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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165902
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】排ガス後処理デバイス
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/22 20060101AFI20221025BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
F01N3/22 301P
F01N3/22 311B
F02B37/00 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022006951
(22)【出願日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】21169464.1
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515191442
【氏名又は名称】ヴィンタートゥール ガス アンド ディーゼル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン レーナー
【テーマコード(参考)】
3G005
3G091
【Fターム(参考)】
3G005DA04
3G005EA14
3G091AA04
3G091AA15
3G091AA17
3G091AA18
3G091AB13
3G091BA07
3G091EA35
3G091HA12
3G091HA38
3G091HB06
(57)【要約】
【課題】既知の欠点を回避し、特に触媒からの煤の除去に確実性及び耐久性を提供する、スートブロワ・ユニット、排ガス後処理デバイス、内燃機関、及び触媒から煤を吹き飛ばす方法を提供する。
【解決手段】本発明は、内燃機関1用の排ガス後処理デバイス10用のスートブロワ・ユニット20、排ガス後処理デバイス10、内燃機関1、及び触媒30から煤を吹き飛ばす方法に関する。スートブロワ・ユニット20は、加圧空気を提供するための供給ライン21と、加圧空気を提供するための供給ライン21に流体接続又は接続可能なスートブロワ弁23、特にダイヤフラム弁を有する少なくとも1つの噴射デバイス22と、を有する。スートブロワ・ユニット20は、少なくとも1つの噴射デバイス22の上流に、加圧空気を提供するための供給ライン21に流体接続又は接続可能なバックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプライン24を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(1)のための排ガス後処理デバイス(10)用のスートブロワ・ユニット(20)であって、
加圧空気を提供するための供給ライン(21)と、
加圧空気を提供するための前記供給ライン(21)に流体接続された又は流体接続可能なスートブロワ弁(23)、特にダイヤフラム弁を有する少なくとも1つの噴射デバイス(22)と、
を有するスートブロワ・ユニット(20)において、
加圧空気を提供するための前記供給ライン(21)に流体接続された又は流体接続可能な、バックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプライン(24)を有することを特徴とする、スートブロワ・ユニット(20)。
【請求項2】
前記スートブロワ・ユニット(20)はスートブロワ空気圧縮機(25)を有する、請求項1に記載のスートブロワ・ユニット(20)。
【請求項3】
前記スートブロワ・ユニット(20)は、前記供給ラインに配置されたスートブロワ主弁(26)を有する、請求項1又は2に記載のスートブロワ・ユニット(20)。
【請求項4】
バックアップ・シーリング空気を提供するための前記パイプライン(24)及び/又は加圧空気を提供するための前記供給ライン(21)に、好ましくはスートブロワ主弁(26)の下流に、逆止弁(27a、27b)が配置されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載のスートブロワ・ユニット(20)。
【請求項5】
前記スートブロワ・ユニット(20)は、好ましくは前記少なくとも1つのスートブロワ弁(23)及び/又はスートブロワ主弁(26)を設定するための、制御ユニット(29)を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載のスートブロワ・ユニット(20)。
【請求項6】
前記制御ユニットは、触媒(30)の前記煤負荷を表すセンサのデータ、例えばSCR反応器(37)に沿った排ガスの圧力降下を表すセンサのデータを受信するように設計され、また前記制御ユニットは、前記データが所定のデータを上回ったとき、前記スートブロワ弁(23)及び/前記スートブロワ主弁(26)のみを開くように好ましくは設計されている、請求項5に記載のスートブロワ・ユニット(20)。
【請求項7】
前記制御ユニット(29)は、前記内燃機関(1)がTIER IIIモードで運転されるべきとき、加圧空気を提供するための前記供給ライン(21)に配置されたスートブロワ主弁(26)が開かれるように設計されている、請求項5又は6に記載のスートブロワ・ユニット(20)。
【請求項8】
内燃機関(1)のための排ガス後処理デバイス(10)であって、少なくとも1つのSCR触媒(30)と、請求1から7までのいずれか一項に記載の少なくとも1つのスートブロワ・ユニット(20)とを有し、特に前記スートブロワ・ユニット(20)は、前記噴射デバイス(22)からの空気流が、前記排ガスの主流方向(34)とは異なる方向(35)に流れるように配置されている、排ガス後処理デバイス(10)。
【請求項9】
少なくとも1つのシリンダ(2)と、請求項8に記載の少なくとも1つの排ガス後処理デバイス(10)とを有する内燃機関(1)。
【請求項10】
前記内燃機関(1)はターボチャージャ(31)を有し、前記排ガス後処理デバイス(10)は前記ターボチャージャ(31)のタービン(32)の上流に配置されている、請求項9に記載の内燃機関(1)。
【請求項11】
前記内燃機関(1)はターボチャージャ(31)を有し、バックアップ・シーリング空気を提供するための前記パイプライン(24)は、前記ターボチャージャ(31)の圧縮機(33)に流体接続されている、又は流体接続可能である、請求項9又は10に記載の内燃機関(1)。
【請求項12】
内燃機関(1)のための排ガス後処理デバイス(10)、好ましくは請求項8に記載の排ガス後処理デバイス(10)の触媒(30)から煤を吹き飛ばす方法であって、
供給ライン(21)に加圧空気が提供され、
加圧空気を提供するための前記供給ライン(21)と流体接続されたスートブロワ弁(23)、特にダイヤフラム弁を有する少なくとも1つの噴射デバイス(22)を介して、前記触媒(30)に前記加圧空気が吹き付けられ、特に前記加圧空気が、前記触媒(30)内の排ガスの主流方向(34)とは異なる方向(35)に吹き付けられ、
前記少なくとも1つの噴射デバイス(22)の上流において、加圧空気を提供するための前記供給ライン(21)に流体接続されてたパイプライン(24)にバックアップ・シーリング空気が提供される、方法。
【請求項13】
前記バックアップ・シーリング空気は、前記内燃機関(1)のターボチャージャ(31)の圧縮機(33)に提供された掃気空気である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス後処理デバイス用のスートブロワ・ユニット、内燃機関用の排ガス後処理デバイス、内燃機関、及び触媒から煤を吹き飛ばす方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、好ましくは、シリンダが少なくとも200mmの内径を有する大型のマリン又は船舶エンジン、或いは定置式エンジンのような内燃機関に関する。エンジンは、好ましくは、2ストローク・エンジン又は2ストローク・クロス・ヘッド・エンジンである。エンジンは、ディーゼル・エンジン又はガス・エンジン、2元燃料エンジン又はマルチ燃料エンジンであり得る。そのようなエンジンでは、自己点火又は強制点火、並びに液体燃料及び/又は気体燃料の燃焼が可能である。
【0003】
内燃機関は、長手方向掃気式2ストローク・エンジンであってもよい。
【0004】
内燃機関という用語は、燃料の自己点火を特徴とするディーゼル・モードだけでなく、燃料の積極的な点火によって特徴付けられるオットー・モード、又は2つの混合物で動作させることができる大型エンジンも指す。さらに、内燃機関という用語は、特に、燃料の自己点火が別の燃料の積極的な点火に使用される2元燃料エンジン及び大型エンジンを含む。
【0005】
エンジン速度は、特に4ストローク・エンジンの場合、800RPM未満であることが好ましく、特に2ストローク・エンジンの場合、200RPM未満であることがより好ましく、これは低速エンジンの指定を示す。
【0006】
燃料は、ディーゼル油、船舶用ディーゼル油、重質燃料油、エマルジョン、スラリ、メタノール又はエタノール、及び液化天然ガス(LNG:liquid natural gas)、液化石油ガス(LPG:liquid petrol gas)などのガスであり得る。
【0007】
要求に応じて追加され得るその他の可能な燃料は、液化バイオガス(LBG:Liquefied Biogas)、生物学的燃料(藻類又は海藻から作られた油など)、アンモニア、水素、CO2からの合成燃料(Power-To-Gas又はPower-To-Liquidによって作られたものなど)である。
【0008】
大型船、特に商品輸送用の船舶は、通常、内燃機関、特にディーゼル・エンジン及び/又はガス・エンジン、主に2ストロークのクロス・ヘッド・エンジンを動力源としている。
【0009】
燃焼機関の排ガス中の窒素酸化物(NOx)のレベルを低減するために、選択的触媒還元(SCR:selective catalytic reduction)技術が使用される。SCRは、陸上エンジン、例えば大型車、産業プラント及びその他の用途で一般的に使用されている。SCR技術は、2ストローク・ディーゼル・エンジンと組み合わせて海洋環境でも使用されている。船舶用ディーゼル・エンジン及び陸上エンジンの規制要件により、効率的なSCRシステムの必要性が高まっている。
【0010】
SCR反応器の触媒要素は、煤を負荷する排ガス(soot loaded exhaust gas)の流れにさらされる。したがってSCR反応器は、SCR触媒を洗浄するための、特に触媒層の前部領域に堆積した煤を除去するためのSCR洗浄システムを有し得る。過剰な堆積物の蓄積と触媒要素の目詰まりとを防ぐために、堆積した煤は、特別に配置されたスートブロワ・ユニットによって、排気流方向に対して横方向に圧縮空気を吹き付けることによって定期的に吹き飛ばされる。
【0011】
通常、スートブロワ・ユニット(soot blower unit)は、スートブロワ弁、空気タンク、及び配管を含む装置構成を有する。
【0012】
そのような弁は通常、大きな流路面積と非常に短い開放時間とを有するダイヤフラム弁である。高圧SCR設備では、排ガスの圧力によってダイヤフラム弁が押し開かれるのを防ぎ、高温の排ガスがスートブロワ・ユニットに逆流するのを防ぐために、スートブロワ・システムはエンジンの全運転時間を通して(例えば、加圧空気によって)加圧されなければならない。高温の排ガスの逆流は、弁のダイヤフラムに熱損傷を引き起こし、弁の誤動作や排ガスの漏れを引き起こし得る。
【0013】
韓国特許第101818262(B1)号は、空気供給ラインと、SCR触媒に空気を噴霧する噴霧デバイスと、空気の供給を制御する制御ユニットと、噴霧デバイスとエンジンの排気マニホールドとを独立して接続する排ガス補助流入ラインと、を有し、これにより、排ガスの一部がSCR触媒の洗浄に利用される、スートブロワ・ユニットを開示している。しかし、排ガスにより、SCR触媒に煤がさらに蓄積し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国特許第101818262(B1)号
【発明の概要】
【0015】
本発明は、既知の欠点を回避し、特に触媒からの煤の除去に確実性及び耐久性を提供する、スートブロワ・ユニット、排ガス後処理デバイス、内燃機関、及び触媒から煤を吹き飛ばす方法を提供するというタスクに基づく。
【0016】
この目的は、独立クレームの特徴によって達成される。
【0017】
本発明によれば、内燃機関用の排ガス後処理デバイス用のスートブロワ・ユニットは、加圧空気を提供するための供給ラインと少なくとも1つの噴射デバイスとを有する。噴射デバイスは、加圧空気を提供するために供給ラインに流体接続された又は流体接続可能なスートブロワ弁、特にダイヤフラム弁を有する。
【0018】
スートブロワ弁は、非常に短い開放時間(通常は1秒未満)で開くことができ、加圧空気を触媒の表面に放出して、蓄積した煤を除去する。
【0019】
噴射デバイスは、触媒の表面、特に、排ガスの流れ方向に対して横方向に配置されているために煤を捕らえる傾向がある表面の部分に向けられた少なくとも1つのノズルを有し得る。
【0020】
好ましくは、噴射デバイスは、吹き付けられる触媒表面ごとに少なくとも1つのノズルを有する。
【0021】
スートブロワ・ユニットは、バックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプラインを有する。パイプラインは、少なくとも1つの噴射デバイスの上流で、加圧空気を提供するための供給ラインに流体接続されている又は流体接続可能である。したがって、スートブロワ弁は、バックアップ・シーリング空気で加圧することができ、これにより、高温の排ガスがスートブロワ・ユニットに逆流するのを防ぐことができる。
【0022】
通常は、バックアップ・シーリング空気の圧力は、煤を吹き飛ばすには小さすぎる。
【0023】
排ガスの圧力が供給ラインによって提供される圧力よりも高い状況では、排ガスがスートブロワ弁を開き、排ガスがスートブロワ弁を通って導かれ得るというリスクがある。特に、スートブロワ主弁が閉じている場合、噴射デバイスに加圧空気を提供することはできない。
【0024】
バックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプラインは、供給ラインによって提供される圧力がないか、又は低すぎる状況でも、噴射デバイスに圧力を維持し得る。
【0025】
特に、バックアップ・シーリング空気は、ターボチャージャのタービン又は内燃機関の入口マニホールドからの掃気から分岐される。
【0026】
2ストローク内燃機関の掃気の圧力は、一般に排ガスの圧力よりも高く、スートブロワ・ユニットを掃気で加圧することにより、高温の排ガスがスートブロワ・ユニットに逆流することはない。スートブロワ弁、特にダイヤフラム弁は保護されている。
【0027】
SCR反応器の排ガスによって提供される圧力は、最大4バール、通常は3.5バールから3.6バールであり得る。掃気の圧力は0.3バール高くなり得る。
【0028】
スートブロワ・ユニットは、典型的には8バールから10バールの圧縮空気を生成するためのスートブロワ空気圧縮機を有し得る。
【0029】
追加的又は代替的に、スートブロワ・ユニットは、例えば、空気圧縮機の下流に、圧縮空気を保持するための圧力容器を有し得る。圧力容器の容量は200lから250lであり得る。
【0030】
容器は最大8バールから10バールの耐圧性を有し得る。
【0031】
好ましくは、バックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプラインは、少なくとも4バールの圧力によって加圧され得る。
【0032】
スートブロワ・ユニットは、好ましくは、供給ラインに配置されたスートブロワ主弁を有する。パイプラインは、スートブロワ主弁の下流に加圧空気を提供するために、供給ラインに流体接続され又は流体接続可能であり得る。
【0033】
掃気などのバックアップ・シーリング空気(back-up sealing air)は、保護のためにのみ使用され得る。
【0034】
SCR動作なしのエンジン動作中、例えばTier II基準のみを満たす必要がある場合、スートブロワ主弁を閉じたままにされ得る。このモードでは、排ガスは通常SCR反応器を通過しないが、バイパスを通過する。しかしながら、SCR反応器は、依然として排ガス圧力によって加圧され得る。この場合も、バックアップ・シーリング空気の圧力は、スートブロワ弁を開放させない。したがって、スートブロワ空気圧縮機で発生する加圧空気で噴射デバイスを加圧する必要はない。
【0035】
したがって、船のスートブロワ空気圧縮機の運用コストが削減され得る。SCR動作が再開すると、SCR触媒を使用できるようになり得る。
【0036】
バックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプラインに逆止弁が配置され得る。高温の排ガス又は加圧空気が、例えばターボチャージャの圧縮機又は燃焼機関の空気入口に向かって流れるのを防ぐことができる。
【0037】
追加的又は代替的に、逆止弁は、好ましくはスートブロワ主弁の下流に、加圧空気を提供するための供給ラインに配置され得る。水を含み得る高温の排ガス又はバックアップ・シーリング空気が、例えばスートブロワ空気圧縮機に向かって流れるのを防止され得る。
【0038】
逆止弁は、通常、0.02バールの開放圧力を提供し得る。
【0039】
逆止弁は、供給システムへの空気漏れを防ぐために取り付けられ得る。
【0040】
スートブロワ・ユニットは、バックアップ・シーリング空気を提供するためにパイプラインに配置された調整弁を必要としない。エンジンが作動している限り、ターボチャージャによってバックアップ・シーリング空気が生成され得る。
【0041】
スートブロワ・ユニットの有益な実施例では、スートブロワ・ユニットは制御ユニットを有する。制御ユニットは、少なくとも1つのスートブロワ弁を設定するため、及び/又はスートブロワ主弁を設定するために設計され得る。
【0042】
制御ユニットは、センサのデータ、例えば、圧縮機の下流の圧力センサによって収集及び提供される圧力データを受信するように設計され得る。制御ユニットは、測定された圧力が所定の圧力値を超えたときに、スートブロワ弁及び/又はスートブロワ主弁のみを開くように設計され得る。スートブロワ弁の開放頻度は、燃料の品質と結果として生じる煤の負荷とに依存し得る。
【0043】
スートブロワ弁は、好ましくは、各弁に全圧が提供されるように、連続して開かれる。
【0044】
スートブロワ弁は、1日1回、最大15分に1回開かれ得る。
【0045】
制御ユニットは、触媒の煤負荷(soot load)を代表するセンサのデータを受信するように設計され得る。1つ又は複数の圧力センサをSCR反応器内に配置することができ、例えば、SCR反応器に沿った排ガスの圧力降下を示すデータを提供し得る。制御ユニットは、データが所定のデータを上回っている限りすぐに、スートブロワ弁及び/又はスートブロワ主弁のみを開くように設計され得る。
【0046】
煤を吹き飛ばす主加圧空気の圧力がバックアップ・シーリング空気の圧力よりも低い場合、バックアップ・シーリング空気の供給が自動的にアクティブになり得る。
【0047】
制御ユニットは、内燃機関がTIER III方式で運転されるときに、加圧空気を提供するために供給ラインに配置されたスートブロワ主弁が開くように設計され得る。制御ユニットは、そうでない場合は調整弁を閉じるように設計され得る。
【0048】
Tier III基準を満たす必要がある場合、排ガス後処理デバイスは、SCR触媒を使用して運転される。この場合、触媒に煤がないようにすることが重要である。
【0049】
この問題は、上記のように、少なくとも1つのSCR触媒及び少なくとも1つのスートブロワ・ユニットを有する内燃機関用の排ガス後処理デバイスによっても解決される。
【0050】
排ガス後処理デバイスは、いくつかのSCR触媒と、触媒ごとに少なくとも1つの噴射デバイスとを有し得る。触媒は、SCR反応器内に配置され得る。
【0051】
スートブロワ・ユニットは、好ましくは、噴射デバイスからの空気流が、排ガスの主流方向とは異なる方向に流れるように、特に、排気流方向に対して横方向又は横切る方向に流れるように配置される。したがって、スートブロワ弁は、排ガスの主流方向が弁に直接向けられないように配置されている。
【0052】
ただし、排ガスの圧力が高い場合は、スートブロワ弁を閉じたままにするために背圧が必要になり得る。この背圧は、供給ラインを介した圧縮空気及び/又はパイプラインを介したバックアップ・シーリング空気によって提供され得る。
【0053】
この問題はまた、上記のように、少なくとも1つのシリンダ及び少なくとも1つの排ガス後処理デバイスを有する内燃機関によって解決される。
【0054】
内燃機関は、好ましくはターボチャージャを有する。
【0055】
排ガス後処理デバイスは、ターボチャージャのタービンの上流に配置され得る。この場合、排ガスは通常、SCR触媒を通過するときに比較的高い圧力になる。スートブロワ弁を閉じたままにするために、背圧が必要になり得る。
【0056】
バックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプラインは、ターボチャージャの圧縮機に流体接続され又は流体接続可能であり得る。好ましくは、パイプラインは、圧縮機の下流、例えば、冷却器の下流のターボチャージャに流体接続され又は流体接続可能である。したがって、掃気は、通常、触媒内の排ガスの圧力よりも高い十分に高い圧力を有するバックアップ・シーリング空気として提供され得る。
【0057】
この問題はまた、内燃機関用の排ガス後処理デバイス、好ましくは上記の排ガス後処理デバイスの触媒から煤を吹き飛ばす方法によって解決される。
【0058】
加圧空気は供給ラインで提供される。加圧空気は、少なくとも1つのスートブロワ弁、特にダイヤフラム弁を有する少なくとも1つの噴射デバイスを介して触媒に吹き込まれる。噴射デバイスは、加圧空気を提供するための供給ラインと流体接続されている。
【0059】
特に、加圧空気は、触媒中の排ガスの主流方向とは異なる方向に吹き付けられる。
【0060】
バックアップ・シーリング空気はパイプラインに提供され、パイプラインは供給ラインに流体接続されて、少なくとも1つの噴射デバイスの上流に加圧空気を提供する。
【0061】
したがって、弁スートブロワ弁は、バックアップ・シーリング空気によって加圧される。
【0062】
バックアップ・シーリング空気は、内燃機関のターボチャージャの圧縮機に提供され得るため、バックアップシール空気は、掃気であり得る。
【0063】
本発明のさらに有利な態様は、例示的な実施例及び図によって以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】内燃機関の概略図を示す図である。
図2】スートブロワ弁の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
内燃機関1は、シリンダ2と排ガス後処理デバイス10とを有する。
【0066】
排ガス後処理デバイス10は、いくつかのSCR触媒30とスートブロワ・ユニット20とを有する。
【0067】
排ガスは、シリンダ2を出て、排気マニホールド36を通過し、SCR触媒30を収容するSCR反応器37を通って導かれる。排ガスは、触媒30上に煤層を形成し得る炭素粒子を運ぶ。煤は、加圧空気を吹き付けることで取り除かれ得る。
【0068】
加圧空気は、スートブロワ空気圧縮機25で生成され得、加圧空気容器38に貯蔵され得る。
【0069】
スートブロワ主弁26が開いているとき、加圧空気は、供給ライン21によって噴射デバイス22に導かれ得る。各触媒30に対して、1つの噴射デバイス22が存在する。各噴射デバイス22は、スートブロワ弁23を有する。スートブロワ弁23が開かれると、噴射デバイス22からの空気流が、排ガスの主流方向34に垂直な方向35でそれぞれの触媒30に吹き付けられる。触媒30から煤が除去される。
【0070】
バックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプライン24は、噴射デバイス22の上流及びスートブロワ主弁26の下流に加圧空気を提供するために供給ライン21に流体接続されている。
【0071】
バックアップ・シーリング空気は、ターボチャージャ31の圧縮機33からの掃気から分岐される。掃気の圧力は通常、排ガスの圧力よりも高いので、バックアップ・シーリング空気は、スートブロワ弁23を加圧して、それらが排ガスによって意図せずに開かないようにする。
【0072】
パイプライン24には逆止弁27aが配置されている。逆止弁27bは、スートブロワ主弁26の下流、及び供給ライン21とパイプライン24との間の流体接続の上流の供給ラインに配置されている。
【0073】
圧縮空気は圧縮機33に導かれなくてもよい。
【0074】
ターボチャージャ31は、SCR反応器37を出る排ガスによって駆動されるタービン32をさらに有する。
【0075】
スートブロワ・ユニット20は、スートブロワ弁23及びスートブロワ主弁26を設定するための制御ユニット29を有する。
【0076】
供給ライン21に圧力センサ39が配置されている。制御ユニットは、供給ライン21内の圧力に応じて、スートブロワ弁23を開くことを可能にし得る。
【0077】
図2は、スートブロワ弁23の例を示している。
【0078】
スートブロワ弁は、供給ライン21に接続され得る入口49を有する(図1を参照)。スートブロワ弁は、SCR触媒30の表面に向けられた出口40をさらに有する(図1を参照)。
【0079】
この例では、スートブロワ弁23は、膜41又はダイヤフラムを有する。スートブロワ弁23が作動されていない間、スートブロワ弁23を通常は閉じた状態に保つためにばね42が使用される。
【0080】
スートブロワ空気圧縮機25によって圧力が提供される場合(図1を参照)、膜41を通るピンホール(図には示されていない)は、ダイヤフラム41の両側で圧力が等しくなるように、ダイヤフラム41の裏側の空洞43に加圧空気が入ることを可能にする。ばね42は、正味の下向きの力を供給する。
【0081】
電流がソレノイド44を通過する場合、さらなる膜45が磁力によって引き抜かれる。加圧空気の一部は、第2の出口46を通って逃げることができ、空洞43内の圧力は低下する。ばね42の力は、膜41を押し下げ続けるのに十分な大きさではない。スートブロワ弁23が開くと、加圧空気が出口40を通って逃げることができる。
【0082】
ソレノイド44が非アクティブ化されると、再びキャビティ43内に直ちに圧力が蓄積し、膜41が押し下げられて弁23が閉じられる。
【0083】
出口40側の圧力が入口49側の圧力よりも高い場合、ばね42は、膜41を閉じた状態に保つのに十分な力を提供しない可能性がある。
【0084】
したがって、スートブロワ主弁26(図1参照)が閉じている場合でも、入口側に十分な圧力をかける必要がある。出口40に圧力を提供する排ガスは、膜41を開くことができないであろう。
【0085】
ばね42の力がより強ければ、出口40に圧力が発生している間も、主に膜41を閉じたままにすることができる。しかしながら、ばね42の力がより強ければ、スートブロワ弁23の動力学を変化させるであろう。弁23の開放はより時間がかかるであろう。
【0086】
煤を吹き付けるには、短い圧力パルスが必要である。したがって、弁23は非常に速く応答するべきであり、これは比較的弱いばね力でのみ可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 内燃機関
10 排ガス後処理デバイス
20 スートブロワ・ユニット
21 供給ライン
22 噴射デバイス
23 スートブロワ弁
24 バックアップ・シーリング空気を提供するためのパイプライン
25 スートブロワ空気圧縮機
26 スートブロワ主弁
27a、27b 逆止弁
29 制御ユニット
30 SCR触媒
31 ターボチャージャ
32 タービン
33 圧縮機
34 方向
35 方向
36 排気マニホールド
37 SCR反応器
38 圧縮空気容器
39 センサ
49 入口
40 出口
41 膜
42 ばね
43 空洞
44 ソレノイド
45 さらなる膜
46 第2の出口
図1
図2
【外国語明細書】