(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165903
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】キャリア基板及びその適用可能なパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20221025BHJP
H01L 23/13 20060101ALI20221025BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20221025BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20221025BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
H01L23/12 J
H01L23/12 C
H01L25/04 C
H01L23/36 C
H05K1/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036430
(22)【出願日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】202110426217.9
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】511268432
【氏名又は名称】台達電子企業管理(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F&7F&8F, Building 1, No.1675, Huadong Road, Pudong, Shanghai, 201209, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】洪守玉
(72)【発明者】
【氏名】徐海濱
(72)【発明者】
【氏名】王涛
(72)【発明者】
【氏名】周甘宇
(72)【発明者】
【氏名】鄒欣
(72)【発明者】
【氏名】孫麗萍
(72)【発明者】
【氏名】姫超
(72)【発明者】
【氏名】張偉強
【テーマコード(参考)】
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA18
5E338BB01
5E338BB75
5E338EE02
5F136BB04
5F136DA27
5F136FA14
5F136FA16
5F136FA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャリア基板及びその適用可能なパワージュールを提供する。
【解決手段】パワーモジュール2において、キャリア基板1は、回路基板本体及び少なくとも一つのプレハブ基板10を含む。少なくとも一つのプレハブ基板は、回路基板本体20内に埋設され、絶縁層11及び金属層12、13を含む。金属層は、絶縁層の上面及び下面の少なくとも一つの面に設置される。絶縁層は、金属層に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が金属層から露出し、金属層から露出した部分は、外縁部111である。外縁部は、水平方向に沿って回路基板本体内に延びている。パワー半導体30は、キャリア基板の第一面101に設置され、配線層23及び金属層に電気的にハンダ301により接続され、パワー半導体と金属層の垂直方向での投影は、少なくとも部分的に重なっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの配線層を備える回路基板本体と、
前記回路基板本体内に埋設された少なくとも一つのプレハブ基板であって、前記プレハブ基板が、絶縁層及び少なくとも一つの金属層を含み、前記金属層が前記絶縁層の上面及び下面の少なくとも一つの面に設置され、前記絶縁層の前記上面及び前記下面が互いに対向する2つの面であり、かつ前記絶縁層がセラミック材料からなり、前記金属層が焼結工程により前記絶縁層に接続され、かつ前記絶縁層が、前記少なくとも一つの金属層に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が前記金属層から露出しており、前記絶縁層の前記金属層から露出した部分が外縁部であり、かつ前記外縁部が水平方向に沿って前記回路基板本体内に延びている、少なくとも一つのプレハブ基板と、
を含むことを特徴とする、キャリア基板。
【請求項2】
前記少なくとも一つのプレハブ基板が金属被覆セラミック基板であり、前記絶縁層がアルミナセラミック、窒化アルミニウムセラミック、窒化珪素セラミック、酸化ベリリウムセラミック及びジルコニア強化アルミナセラミックからなる群から選択される一つであり、前記少なくとも一つの金属層が銅及びアルミニウムからなる群から選択される一つであり、
前記絶縁層が0.2mmから1.6mmの範囲の厚さを有し、前記少なくとも一つの金属層が0.1mmから1mmの範囲の厚さを有し、
前記少なくとも一つのプレハブ基板が直接金属層被覆または活性金属ろう付けによる金属層被覆工程により実現されることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア基板。
【請求項3】
前記外縁部が、前記回路基板本体と前記水平方向に重ね接続される領域に、0.3mmより大きい幅を有することを特徴とする、請求項1に記載のキャリア基板。
【請求項4】
前記回路基板本体が少なくとも二つの芯板及び少なくとも一つの半硬化シートを含み、前記少なくとも二つの芯板が前記少なくとも一つの半硬化シートにより接続され、前記絶縁層の前記外縁部が前記少なくとも一つの半硬化シートにより前記回路基板本体と垂直方向に重ね接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア基板。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプレハブ基板が前記回路基板本体と組み合わせて前記キャリア基板の第一面及び第二面を形成し、前記第一面と前記第二面が互いに対向する二つの面であり、前記少なくとも一つの配線層と前記少なくとも一つの金属層が、前記キャリア基板の前記第一面により電子デバイスに電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア基板。
【請求項6】
前記キャリア基板が、前記回路基板本体内に設置され、前記少なくとも一つの配線層と空間的に対応しており、かつ前記キャリア基板の前記第二面に位置する有機絶縁材料層をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のキャリア基板。
【請求項7】
前記キャリア基板が、前記有機絶縁材層内に嵌設され、かつ前記少なくとも一つの配線層に電気的に接続された埋め込み要素をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のキャリア基板。
【請求項8】
前記少なくとも一つの配線層が前記回路基板本体に埋設され、前記少なくとも一つの配線層の一部が前記水平方向に沿って延在し、かつ前記少なくとも一つのプレハブ基板の少なくとも片側に位置し、かつ前記少なくとも一つの配線層の一部が、前記プレハブ基板の上面が位置する平面と前記プレハブ基板の下面が位置する平面との間にあることを特徴とする、請求項1に記載のキャリア基板。
【請求項9】
回路基板本体と少なくとも一つのプレハブ基板を含むキャリア基板であって、前記回路基板本体が少なくとも一つの配線層、第一面及び第二面を備え、前記第一面と前記第二面が互いに対向する二つの面であり、前記少なくとも一つのプレハブ基板が前記回路基板本体内に埋設され、前記少なくとも一つのプレハブ基板が絶縁層及び少なくとも一つの金属層を含み、前記少なくとも一つの金属層が前記絶縁層の上面及び下面の少なくとも一つの面に設置され、前記絶縁層の前記上面及び前記下面が互いに対向する二つの面であり、かつ前記絶縁層がセラミック材料からなり、前記金属層が焼結工程により前記絶縁層に接続され、かつ前記絶縁層が、前記少なくとも一つの金属層に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が前記金属層から露出しており、前記絶縁層の前記金属層から露出した部分が外縁部であり、かつ前記外縁部が水平方向に沿って前記回路基板本体内に延びている、キャリア基板と、
前記キャリア基板の前記第一面に設置され、前記少なくとも一つの配線層及び前記少なくとも一つの金属層に電気的に接続される少なくとも一つのパワー半導体であって、前記少なくとも一つのパワー半導体と前記少なくとも一つの金属層の前記第一面への垂直投影が、少なくとも部分的に重なっている、少なくとも一つのパワー半導体と、
を含むことを特徴とする、パワーモジュール。
【請求項10】
前記少なくとも一つのパワー半導体が第一パワー半導体及び第二パワー半導体を含み、前記第一パワー半導体と前記第二パワー半導体が、前記少なくとも一つの金属層により直列に接続されてブリッジアームを形成することを特徴とする、請求項9に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記第一面に設置されたクランプ要素をさらに含み、前記少なくとも一つの配線層が第一配線層及び第二配線層を含み、前記第一パワー半導体及び前記第二パワー半導体が、前記第一配線層及び前記第二配線層により前記クランプ要素と並列に接続されていることを特徴とする、請求項10に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
少なくとも一つのプレハブ基板が、前記水平方向に沿って配列して前記キャリア基板の前記第一面を形成する第一プレハブ基板及び第二プレハブ基板を含み、前記第一パワー半導体と前記第二パワー半導体が、それぞれ前記第一プレハブ基板と前記第二プレハブ基板に設置されることを特徴とする、請求項10に記載のパワーモジュール。
【請求項13】
少なくとも一つのプレハブ基板が、前記水平方向に沿って配列して前記キャリア基板の前記第二面を形成する第三プレハブ基板及び第四プレハブ基板をさらに含み、前記第一プレハブ基板と前記第三プレハブ基板が垂直方向に沿って積み重ねられ、前記第二プレハブ基板と前記第四プレハブ基板が前記垂直方向に沿って積み重ねられることを特徴とする、請求項12に記載のパワーモジュール。
【請求項14】
前記キャリア基板が第三配線層をさらに含み、前記第三配線層の少なくとも一部が前記第一プレハブ基板と前記第三プレハブ基板との間または前記第二プレハブ基板と第四プレハブ基板との間に位置し、
前記第三配線層が前記ブリッジアームの一端に電気的に接続され、かつ前記第三配線層が前記ブリッジアームの前記端と等電位であることを特徴とする、請求項13に記載のパワーモジュール。
【請求項15】
前記キャリア基板の前記第二面に設置された放熱器をさらに含むことを特徴とする、請求項10~14のいずれかに記載のパワーモジュール。
【請求項16】
前記キャリア基板が、前記回路基板本体内に設置され、前記少なくとも一つの配線層と空間的に対応しており、かつ前記キャリア基板の前記第二面に位置する有機絶縁材料層をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のパワーモジュール。
【請求項17】
前記キャリア基板が、前記有機絶縁材層内に嵌設され、かつ前記少なくとも一つの配線層に電気的に接続された埋め込み要素をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載のパワーモジュール。
【請求項18】
前記第一面に設置された変圧器をさらに含み、前記少なくとも一つのパワー半導体が第一パワー半導体及び第二パワー半導体を含み、前記変圧器が前記第一パワー半導体と前記第二パワー半導体との間に電気的に接続され、かつ前記第一パワー半導体が前記少なくとも一つのプレハブ基板に設置され、前記キャリア基板が、前記回路基板本体内に嵌埋されかつ前記第二パワー半導体に電気的に接続された金属導体ブロックをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のパワーモジュール。
【請求項19】
前記キャリア基板が、前記金属導体ブロックと前記キャリア基板の前記第二面との間に設置された熱伝導絶縁層を含むことを特徴とする、請求項18に記載のパワーモジュール。
【請求項20】
前記第一パワー半導体が高電圧小電流のパワー半導体であり、前記第二パワー半導体が低電圧大電流のパワー半導体であることを特徴とする、請求項18に記載のパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力電子技術の分野に関し、具体的に、キャリア基板及びその適用可能なパワーモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の電力電子装置は、電力変換の重要な構成部分として、電力、電子、電気機械及びエネルギー産業に広く応用されている。電力電子装置の長期安定動作を確保し、電力電子装置の電気エネルギー変換効率を高めることは、当業者によって追求される重要な目標である。
【0003】
パワー半導体デバイスは、現代の電力電子機器の中核部品として、その性能は電力電子装置の信頼性と電気エネルギー変換効率を直接決定する。しかし、パワー半導体デバイスの性能は、熱管理と密接に関連する。良好な熱管理は、パワーデバイスの変換効率、パワー密度及び信頼性を向上させるためには重要である。その理由は次のとおりである。1)低い作動温度で、MOSFETやIGBTなどのパワーデバイスのオン状態損失が低下し、システム効率の向上に寄与する。2)多くの場合、熱エネルギーの大きさはパワー密度の高低を直接決定し、電源変換器がパワー変換を処理するためのシステムであるため、通常、半導体デバイスは損失の多いデバイスであり、半導体デバイスが耐えられる温度には一定の限界があり、この限界を超えると、デバイスは作動能力が失われたり、性能が急激に劣化したりする。そこで、放熱システムは、半導体チップの温度を許容範囲内に制御する必要がある。3)通常、システムのコストに占める放熱コストの割合も高い。4)半導体デバイスの寿命は温度と密接に関連し、エレクトロニクスの分野では、通常、10度の温度上昇ごとに寿命が半分に低下するようなエンジニアリング経験がある。より低い作動温度では、デバイスの使用寿命を効果的に延ばすことができる。
【0004】
一方、従来のパワー半導体のパッケージング形態としては、銅基板と両面銅被覆セラミック基板を回路キャリア基板とすることが一般的である。しかし、銅基板と両面銅被覆セラミック基板は、単層配線の制限により、より高い集積度またはより柔軟なシステム設計要件を実現することができない。セラミックを埋め込んだプリント回路基板をパワー半導体の熱伝導キャリア基板とすれば、熱伝導絶縁の要件を満たし、柔軟な配線で高集積度の要件を達成する。しかし、従来のプリント回路基板における有機絶縁材料と埋め込まれたセラミックは、熱膨張係数の差が大きい。従来のプリント回路板における有機絶縁材料がセラミックに直接接続されているため、温度サイクル信頼性試験または長時間動作後に、熱膨張係数の深刻な不一致により、セラミックと周辺の有機絶縁材料に貫通亀裂を形成するリスクがあり、かつ貫通亀裂により、パワー半導体と放熱器との間の絶縁耐圧は安全要件を満たさなくなる。
【0005】
そこで、現行技術の問題点を解決し、寄生インダクタンス及びEMIを低減するとともに、信頼性、拡張性及び放熱性能を向上させるという目的を達成するために、キャリア基板及びその適用可能なパワーモジュールをどのように開発するかは、本技術分野で直面する必要のある課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、キャリア基板及びその適用可能なパワーモジュールを提供することにある。キャリア基板における各構成要素の配置を最適化することにより、キャリア基板全体の性能が向上し、寄生インダクタンス及びEMIを低減するという目的を実現するのに寄与し、その組み立てと固定を簡単で信頼性のあるものにすると同時に、パワーモジュールの体積とパワーモジュール全体のパワー密度を低減する。
【0007】
本発明の別の目的は、キャリア基板及びその適用可能なパワーモジュールを提供することにある。プレハブ基板を利用して回路基板本体に埋設し、電子デバイスを組み立てるようにキャリア基板を構成する。プレハブ基板の絶縁層はセラミック材料からなり、金属層は焼結工程により絶縁層に接続され、かつ絶縁層は、金属層に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が金属層から露出しており、絶縁層の金属層から露出した部分は外縁部であり、絶縁層の外縁部は、さらに水平方向に沿って回路基板本体内に延びている。絶縁層の外縁部が回路基板本体と水平方向に少なくとも0.3mmより大きい幅で重なり、かつ例えば半硬化シートにより接続されているため、キャリア基板の垂直方向の信頼性の向上に寄与する。また、プレハブ基板の金属層の厚さは、配線層による接続の厚さより大きく、キャリア基板の放熱特性の向上に寄与する。一方、キャリア基板を、パワー半導体、クランプ要素及び変圧器などの電子デバイスと組み合わせて、パワーモジュールに適用すると、寄生インダクタンス及びEMIを低減し、信頼性、拡張性及び放熱性能などを向上させるのにより寄与する。キャリア基板と二つの直列接続されたパワー半導体からなるブリッジアームとの接続工程は、実現が簡単で、低コスト、高い信頼性である。二つの直列接続されたパワー半導体からなるブリッジアームとクランプ要素は、プレハブ基板の金属層と回路基板本体の二つの配線層により接続されることができ、放熱器と組み合わせて放熱を実現し、熱抵抗を低減し、さらにコストを削減し、パワーモジュールの信頼性及び放熱能力を向上させるという目的を達成する。回路基板本体の配線層は薄い厚さで実現でき、プレハブ基板の金属層と組み合わせて、製造コストを削減し、キャリア基板の信頼性をさらに高めることができる。パワーモジュールの二つのパワー半導体とクランプ要素がキャリア基板に直接設置される場合、組み立て構造を簡素化でき、コストを削減し、工程を簡素化し、製品の歩留まり及び製品の信頼性などを高める利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述目的を達成するために、本開示は、回路基板本体及び少なくとも一つのプレハブ基板を含むキャリア基板を提供する。回路基板本体は、少なくとも一つの配線層を備える。少なくとも一つのプレハブ基板は、回路基板本体内に埋設され、プレハブ基板は絶縁層及び少なくとも一つの金属層を含み、金属層は絶縁層の上面及び下面の少なくとも一つの面に設置され、絶縁層の上面及び下面は互いに対向する二つの面であり、かつ絶縁層はセラミック材料からなり、金属層は焼結工程により絶縁層に接続され、かつ絶縁層は、少なくとも一つの金属層に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が金属層から露出しており、絶縁層の金属層から露出した部分は外縁部であり、かつ外縁部は水平方向に沿って回路基板本体内に延びている。
【0009】
前述目的を達成するために、本発明は、キャリア基板及び少なくとも一つのパワー半導体を含むパワーモジュールを提供する。キャリア基板は、回路基板本体及び少なくとも一つのプレハブ基板を含む。回路基板本体は、少なくとも一つの配線層を備える。少なくとも一つのプレハブ基板は、回路基板本体内に埋設され、キャリア基板の第一面及び第二面を形成するように構築され、第一面と第二面は互いに対向する2つの面であり、少なくとも一つのプレハブ基板は絶縁層及び少なくとも一つの金属層を含み、少なくとも一つの金属層は絶縁層の上面及び下面の少なくとも一つの面に設置され、絶縁層の上面及び下面は互いに対向する二つの面であり、かつ絶縁層はセラミック材料からなり、金属層は焼結工程により絶縁層に接続され、かつ絶縁層は、少なくとも一つの金属層に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が金属層から露出しており、絶縁層の金属層から露出した部分は外縁部であり、かつ外縁部は水平方向に沿って回路基板本体内に延びている。少なくとも一つのパワー半導体はキャリア基板の第一面に設置され、少なくとも一つの配線層及び少なくとも一つの金属層に電気的に接続され、少なくとも一つのパワー半導体と少なくとも一つの金属層の第一面への垂直投影は、少なくとも部分的に重なっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態の圧着前のキャリア基板を示す模式断面図である。
【
図3A】本発明の第二の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図3B】本発明の第二の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図4A】本発明の第三の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図4B】本発明の第三の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図5】本発明の実施形態におけるパワーモジュールの対応する等価回路図を示す模式図である。
【
図6】本発明の第四の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図7】本発明の第五の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図8】本発明の第六の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図9】本発明の第七の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図10】本発明の第八の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図11】本発明の第九の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
【
図12】本発明の第十の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において記述する。本発明は異なる態様において様々な変化を有することができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に例示するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。例えば、本開示の以下の内容において、第一特徴を第二特徴の上または上方に設置することが記述される場合、設置された上記第一特徴が上記第二特徴と直接接触している実施形態を含み、追加の特徴を上記第一特徴と上記第二特徴との間に設置することで、上記第一特徴が上記第二特徴と直接接触していない実施形態も含むことを示す。さらに、本開示の異なる実施形態において、重複する参照符号及び/または記号を使用可能である。これらの重複は簡潔化と明確化の目的で、各実施形態及び/または前記外観構造間の関係を制限するために使用されるものではない。また、図面における構成要素または特徴要素と他の(複数の)構成要素または(複数の)特徴要素との関係を簡易に記述するために、例えば、「...の下に」、「下方」、「より下部」、「上方」、「より上部」、及び類似する用語などの空間関連の用語を用いることができる。図面に示される方位に加えて、空間関連の用語は、使用中または作動中の装置の異なる方位を含むために用いられる。前記装置は、別途に位置決めされ(例えば、90度回転または他の方位に位置し)てもよく、それに応じて使用される空間関連の用語の記述を解釈する。さらに、一つの構成要素が他の構成要素に「接続」または「結合」すると称する場合、他の構成要素に直接的に接続または結合することができ、または介在構成要素が存在しうる。本開示の広範な範囲の数値範囲とパラメータは近似値であるが、具体的な例においてできる限り正確に数値を記述する。さらに、「第一」、「第二」、「第三」などの用語は、特許請求の範囲において異なる構成要素を記述するために用いられることができるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されるべきではなく、実施形態において記述されたこれらの構成要素は異なる構成要素記号によって示されることを理解されたい。これらの用語は、異なる構成要素を区別するためのものである。例えば、第一構成要素は第二構成要素と称されることができ、同様に、第二構成要素も第一構成要素と称されることができ、実施形態の範囲から逸脱することがない。このように使用される用語「及び/または」には、一つまたは複数の列挙された項目のいずれかまたはすべての組み合わせが含まれている。作動例/作業例中以外に、または明示的に規定されない限り、本明細書で開示されるすべての数値範囲、量、値、及びパーセンテージ(例えば、角度、持続時間、温度、作動条件、量比、及び類似するもののパーセンテージなど)は、すべての実施形態において用語の「約」または「実質的に」によって修飾されるものと理解されるべきである。それに応じて、反対の指示がない限り、本開示及び添付の特許請求の範囲に記述される数値パラメータは、必要に応じて変更できる近似値である。例えば、各数値パラメータは、少なくとも記述される有効桁数の数字に基づいて、通常の丸めの原則を適用することによって解釈されるべきである。本明細書において、範囲は一つのエンドポイントからもう一つのエンドポイントまで、または二つのエンドポイント間として表現することができる。本明細書に開示されるすべての範囲は、特に規定がない限り、エンドポイントを含む。
【0012】
パワーデバイスまたはシステムの低い寄生インダクタンス及び良好な放熱を実現するために、本開示は、キャリア基板及びその適用可能なパワーモジュールを提供する。
図1は本発明の第一の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、キャリア基板1は、例えば、
図1に示す太い破線枠で示されるように、回路基板本体20及び少なくとも一つのプレハブ基板10を含む。回路基板本体20は、少なくとも一つの配線層23を備える。プレハブ基板10は、例えば金属被覆セラミック基板であり、絶縁層11及び少なくとも一つの金属層12、13を含む。少なくとも一つの金属層12、13は、それぞれ絶縁層11の上面及び下面に設置され、絶縁層11の上面及び下面は互いに対向する二つの面であり、本実施形態において、絶縁層11は、少なくとも一つの金属層12、13に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が少なくとも一つの金属層12、13から露出しており、絶縁層11の少なくとも一つの金属層12、13から露出した部分は外縁部111である。かつ絶縁層11の外縁部111は、例えばXY平面の水平方向に沿って回路基板本体20内に延びている。本実施形態において、絶縁層11は、例えばアルミナセラミック、窒化アルミニウムセラミック、窒化珪素セラミック、酸化ベリリウムセラミック及びジルコニア強化アルミナセラミックからなる群から選択される一つのセラミック材料からなる。絶縁層11の上面に上金属層12を備え、下面に下金属層13を備える。少なくとも一つの金属層12、13は焼結工程により絶縁層11に接続されている。本実施形態において、金属層12、13は、銅及びアルミニウムからなる群から選択される一つである。少なくとも一つの金属層12、13の厚さは、少なくとも一つの配線層23における一つの配線層の厚さよりも大きいことに注意すべきである。本実施形態において、絶縁層11は0.2mmから1.6mmの範囲の厚さを有し、さらに、例えば0.2mm、0.25mm、0.32mm、0.635mm、1mmまたは1.6mmなどのセラミック板の厚さの典型値を有する。少なくとも一つの配線層23は回路基板本体20に埋設され、例えばXY平面の水平方向に沿って延在し、かつ少なくとも一つのプレハブ基板10の少なくとも片側に位置し、かつ少なくとも一つの配線層23は、プレハブ基板10の上面が位置する平面とプレハブ基板10の下面が位置する平面との間にあり、少なくとも一つの配線層23は、少なくとも一つのプレハブ基板10の上方または下方に位置してもよく、もちろん、本開示はこれに限定されない。本実施形態において、プレハブ基板10は、例えば直接銅被覆(Direct bonded copper、DBC)、直接アルミニウム被覆(Direct bonded aluminum、DBA)または活性金属ろう付けによる銅被覆(Active Metal Brazing、AMB)工程により実現され、DBC、DBAの金属層はセラミック表面に直接焼結され、AMBの金属層は活性ろう材によりセラミック表面に焼結される。プレハブ基板10は、上記の工程によって作製された大型の基板にパターンを形成した後、レーザ切断による分割を行うことで実現される。レーザ切断を実現するために、前処理プロセスにおいて切断領域の表面から金属を除去する必要がある。プレハブ基板10の絶縁層11の外縁部111は、例えばXY平面の水平方向において、隣接する金属層12、13から少なくとも0.3mm幅の領域超えている。したがって、絶縁層11の外縁部111は、例えばXY軸の水平方向において回路基板本体20と重ね接続される領域に、少なくとも0.3mmより大きい幅を有する。プレハブ基板10は回路基板本体20に埋設され、プレハブ基板10において、絶縁層11と少なくとも一つの金属層12、13が積層設置されており、すなわち、キャリア基板1の厚さ方向に絶縁層11に加えて、金属層12を有し、金属層12は通常、より優れた熱伝導性能を有することで、キャリア基板1はより優れた放熱性能を持つ。かつ、回路基板本体20に一般的に使用される絶縁媒体のX-Y平面におけるCTEは、ガラス繊維の制約により、通常10ppm程度であり、Z方向におけるCTE(coefficient of thermal expansion、熱膨張係数)は30ppm程度であり、絶縁層11のCTEは相対的に低く(アルミナセラミックは約9ppm、窒化アルミニウムセラミックは約4ppmであり)、絶縁層11の厚さ方向における割合を減らすことにより、熱膨張係数の不一致による応力を効果的に低減することができる。かつ絶縁層11の外縁部111と回路基板本体20の絶縁媒体とのX-Y平面における適合性が優れるため、応力集中点(絶縁層11の外縁部111の水平面と絶縁層11の垂直側壁との交線位置)における亀裂発生・拡散を効果的に防止することもでき、例えばZ軸の垂直方向におけるキャリア基板1の信頼性を向上させるのに寄与する。なお、プレハブ基板10の構造信頼性の弱い位置が、金属層12の垂直側壁と絶縁層11の外縁部111との接続位置であることを説明すべきであり、回路基板本体20の絶縁媒体が前記位置を効果的に覆うことで、プレハブ基板10の温度サイクル寿命のような構造信頼性を1桁以上向上させることができる。それに対応して、特定の信頼性が要求される場合には、放熱性能をさらに高めるために、プレハブ基板10としては、より薄い絶縁層11またはより厚い金属層12を使用することができる。なお、絶縁層11の外縁部111の設置により、プレハブ基板10の両側の金属層12、13間の距離を増加させるとともに、回路基板本体20の絶縁媒体と絶縁層11との接着界面の絶縁距離により、絶縁性能を効果的に高めることができ、かつ接着経路にX-Y方向、Z方向の二つの方向があり、貫通亀裂の発生リスクをより低減し、信頼性をより高めることができる。さらに、プレハブ基板10の両側の金属層12、13の厚さは、一致しなくてもよく、例えば、パワーデバイスが搭載される金属層12の厚さは、放熱器側に対向する金属層13の厚さよりも大きくなってもよい。
【0013】
図2は、本発明の好ましい実施形態の圧着前のキャリア基板を示す模式断面図である。本実施形態において、回路基板本体20は、例えば少なくとも二つの芯板(Core)21及び少なくとも一つの半硬化シート(Prepreg、PP)22を含んで構成されることができる。少なくとも二つの芯板21は、前記少なくとも一つの半硬化シート22により圧着で接続される。絶縁層11の外縁部111は、例えばXY軸の水平方向において、少なくとも一つの半硬化シート22により回路基板本体20に重ね接続されている。プレハブ基板10の絶縁層11の外縁部111は、例えばXY軸の水平方向において少なくとも一つの金属層12、13から少なくとも0.3mmの距離超えているため、超えた部分の外縁部111は、例えばXY軸の水平方向に沿って回路基板本体20における半硬化シート22に接続されている。回路基板本体2に芯板21と半硬化シート22が設置され、芯板21と半硬化シート22内に熱膨張係数が10ppm/°C未満の絶縁材料、例えばガラス繊維が設置されているため、芯板21と半硬化シート22の熱膨張係数が絶縁層11と一致していることで、キャリア基板1の失敗が生じにくく、かつ半硬化シート22内にプリセットされたガラス繊維は高い強度を有し、応力集中点(絶縁層11の外縁部111の水平面と絶縁層11の垂直側壁との交線位置)での亀裂の拡散経路の発生を効果的に遮断することができ、特に外縁部がその上方または下方の隣接する金属層から0.3mm以上超えている場合、亀裂の拡散確率をほぼ0に低下させることを確保できる。したがって、キャリア基板1はより優れた信頼性を有する。
【0014】
本実施形態において、プレハブ基板10と回路基板本体20の芯板21と半硬化シート22は、例えば圧着により一体型キャリア基板1を形成することができる。一実施形態において、プレハブ基板10と回路基板本体20の芯板21と半硬化シート22とを圧着する前に、芯板21と半硬化シート22を、プレハブ基板10の形状に応じて対応する寸法に切断する必要があるため、プレハブ基板10の水平方向において金属層12、13から超えた外縁部111の上面の上方または下面の下方に、半硬化シート22を設置し、絶縁層11の外縁部111は直接圧着により接続され、接続強度が高い。他の実施形態において、半硬化シート22にガラス繊維及び絶縁無機フィラーを含む。もちろん、本開示はこれに限定されない。
【0015】
第一の好ましい実施形態において、少なくとも一つのプレハブ基板10は回路基板本体20と組み合わせてキャリア基板1の第一面101及び第二面102を形成し、第一面101と第二面102は互いに対向する二つの面であり、少なくとも一つの配線層23と少なくとも一つの金属層12は、キャリア基板1の第一面101により、例えばパワー半導体30に電気的に接続されることができる。さらに、キャリア基板1の第二面102には、貼付デバイスが搭載されていてもよい。もちろん、本開示はこれに限定されない。
【0016】
前記キャリア基板1に基づいて、本開示はさらに、パワーデバイスまたはシステムの低い寄生インダクタンス及び良好な放熱を実現するためのパワーモジュールを開示する。
図1は本発明の第一の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2は、前記キャリア基板1及び少なくとも一つのパワー半導体30を含む。キャリア基板1は、回路基板本体20及び少なくとも一つのプレハブ基板10を含む。回路基板本体20は、少なくとも一つの配線層23を備える。少なくとも一つのプレハブ基板10は回路基板本体20内に埋設され、前記キャリア基板1の第一面101及び第二面102を形成するように構築される。第一面101と第二面102は互いに対向する二つの面である。さらに、本実施形態において、少なくとも一つのプレハブ基板10は、絶縁層11、上金属層12及び下金属層13を含む。上金属層12と下金属層13は、それぞれ絶縁層11の上面及び下面に設置されている。本実施形態において、絶縁層11は、上金属層12、下金属層13に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が上金属層12と下金属層13から露出しており、上金属層12と下金属層13から露出した部分は外縁部111であり、かつプレハブ基板10の絶縁層11の外縁部111は、例えばXY軸の水平方向において、隣接する上金属層12と下金属層13から少なくとも0.3mm幅の領域超えている。本実施形態において、絶縁層11の外縁部111は、例えばXY平面の水平方向に沿って回路基板本体20内に延びている。少なくとも一つのパワー半導体30は、例えばはんだ301によりキャリア基板1の第一面101に設置され、少なくとも一つの配線層23及び上金属層12に電気的に接続され、少なくとも一つのパワー半導体30と上金属層12の第一面101への垂直投影は、少なくとも部分的に重なっている。上金属層12の厚さは、配線層23における一つの配線層の厚さよりも大きい。パワー半導体30をキャリア基板1に設置することで、パワーモジュール2の信頼性及び放熱能力を向上させるのに寄与する。
【0017】
図3A及び
図3Bは、本発明の第二の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2aは、
図1に示すパワーモジュール2と類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、パワーモジュール2aは、キャリア基板1a、第一パワー半導体S1及び第二パワー半導体S2を含む。キャリア基板1aは、例えば
図3Aに示す太い破線枠で示されるように、回路基板本体20及びプレハブ基板10aを含む。プレハブ基板10aは、絶縁層11a、第一上金属層121a、第二上金属層122a及び下金属層13aを含む。第一上金属層121a及び第二上金属層122aは、絶縁層11aの上面に設置され、下金属層13aは絶縁層11aの下面に設置されている。本実施形態において、第一上金属層121aと第二上金属層122aとの間のギャップは、例えば0.5mmの小さな範囲に制御することができる。本実施形態において、第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2は、キャリア基板1aの第一面101に設置されることにより主電力電流を形成することができる。
図3Bに示すように、第一パワー半導体S1の第一端T11は第一上金属層121aに接続され、第一パワー半導体S1の第二端T12と第二パワー半導体S2の第一端T21は、第二上金属層122aにより電気的に接続され、第二パワー半導体S2の第二端T22は第一配線層231に接続されている。したがって、第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2は直列に接続されて主電力電流を形成し、前記主電力電流は、第一上金属層121aを通って第一パワー半導体S1の第一端T11を経て、さらに第一パワー半導体S1の第二端T12から第二上金属層122a乃至第二パワー半導体S2の第一端T21を通って、最終的に第二パワー半導体S2の第二端T22から流出する。本実施形態において、パワーモジュール2aのキャリア基板1aにおける内部電流経路が通過する第一上金属層121aと第二上金属層122aは、プレハブ基板10aによって提供され、厚さは0.1mmから1mmである。他の実施形態において、第一上金属層121aと第二上金属層122aの厚さは、実際の電流の大きさに応じて任意に選択され得るが、本開示はこれに限定されない。パワーモジュール2aは、このような構造により、主電力電流のスムーズな経路を確保することができ、回路経路の長さも十分に短縮し、これによって、電流経路のインピーダンスを低減し、さらに電流経路上の損失を低減することができる。
【0018】
図4A及び
図4Bは、本発明の第三の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。
図5は、本発明の実施形態におけるパワーモジュールの対応する等価回路図を示す模式図である。本実施形態において、パワーモジュール2bは、
図3Aから
図3Bに示すパワーモジュール2aと類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、パワーモジュール2bは、キャリア基板1b、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及びクランプ要素40を含む。キャリア基板1bは、例えば
図4Aに示す太い破線枠で示されるように、回路基板本体20、第一プレハブ基板10a及び第二プレハブ基板10bを含む。第一プレハブ基板10aは、それぞれ第一絶縁層11aの上面と下面に設置された第一上金属層12aと第一下金属層13aを含む。第二プレハブ基板10bは、それぞれ第二絶縁層11bの上面と下面に設置された第二上金属層12bと第二下金属層13bを含む。第一プレハブ基板10aと第二プレハブ基板10bは、例えばXY軸方向の水平方向に沿って配列され、回路基板本体20内に埋め込まれ、キャリア基板1bの第一面101と第二面102を形成する。本実施形態において、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及びクランプ要素40は、キャリア基板1bの第一面101に設置されている。第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2は、それぞれ第一プレハブ基板10aと第二プレハブ基板10bに設置され、かつそれぞれ例えばはんだ301により第一上金属層12a及び第二上金属層12bに接続されている。本実施形態において、第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2は、例えばIGBT、SiMOSFET、SiC MOSFETであってもよい。第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2は、例えばベアチップであってもよく、パッケージ化されたディスクリートデバイスまたはパッケージ化されたパワーモジュールであってもよい。もちろん、本開示はこれに限定されない。本実施形態において、少なくとも一つの配線層23は、第一配線層231及び第二配線層232を含む。第一配線層231は、例えば表面配線層であり、第二配線層232は、例えば埋め込み配線層であり、本開示はこれに限定されない。他の実施形態において、少なくとも一つの配線層23は、回路基板本体20に埋設されている。少なくとも一つの配線層23の一部は、例えばXY軸の水平方向に沿って延在し、かつ第一プレハブ基板10aまたは第二プレハブ基板10bの片側に位置し、本開示はこれに限定されない。本実施形態において、第一パワー半導体S1の第一端T11は、第一プレハブ基板10aの第一上金属層12aに接続され、第一パワー半導体S1の第二端T12と第二パワー半導体S2の第一端T21は、第二プレハブ基板10Bの第二上金属層12b及び第一配線層231により接続されている。第一パワー半導体S1の第一端T11及び第二パワー半導体S2の第二端T22は、第二配線層232及び第一配線層231によりクランプ要素40に接続されている。本実施形態において、クランプ要素40は、例えばクランプコンデンサであり、
図5の等価回路図におけるクランプコンデンサCinに対応する。パワーモジュール2bにクランプコンデンサCinが配置されると、例えばスイッチの第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2がオフになるときに、対応する高周波ループによって囲まれる面積が低減し、ループ寄生インダクタンスも低減する。パワーモジュール2bにクランプコンデンサCinが設置されていない時、ループ寄生インダクタンス値はLout+Linとなる。
図4Bに示すように、パワーモジュール2bにクランプコンデンサCinが設置された後、ループ寄生インダクタンス値はLinとなり、インダクタンス値が低減するため、ループにクランプインダクタンスCinを追加すると、寄生インダクタンスを効果的に低減することができる。
【0019】
本実施形態において、第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2は、それぞれ第一プレハブ基板10aと第二プレハブ基板10bに設置され、第一プレハブ基板10aと第二プレハブ基板10bの良好な放熱能力により、第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2の温度を効果的に制御することができる。また、
図4Bに示すように、第二配線層232を流れる高周波電流の方向は、第一パワー半導体S1の第一端T11から第二端T12、第一配線層231、第二パワー半導体S2の第一端T21から第二端T22の高周波電流の方向と逆方向であり、大きさは等しい。なお、高周波ループの面積は、第二配線層232と第一端T11、T21及び第二端T12、T22との距離、並びに第二配線層232と第一配線層231との距離にも影響される。回路基板20において、第一配線層231と第二配線層232との距離は、例えば100μm程度である。したがって、本開示のパワーモジュール2bは、断面における高周波ループの面積を効果的に低減する。水平方向において、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及びクランプ要素40の距離が近く、断面方向において、高周波ループの面積が小さいため、本開示のパワーモジュール2bの対応するループ寄生インダクタンスは非常に小さい。キャリア基板1bにおける回路基板本体20の少なくとも一つの配線層23は、例えば駆動回路、制御回路などのより多くの機能を統合した多層配線層である。ここでは説明を省略する。
【0020】
図6は本発明の第四の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2cは、
図4Aから
図4Bに示すパワーモジュール2bと類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、パワーモジュール2cは、キャリア基板1c、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2、クランプ要素40及び放熱器50を含む。第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及びクランプ要素40は、キャリア基板1cの第一面101に設置されている。放熱器50はキャリア基板1cの第二面102に設置され、熱伝導絶縁材料により接続されている。キャリア基板1cは、例えば
図6に示す太い破線枠で示されるように、回路基板本体20、第一プレハブ基板10a、第二プレハブ基板10b、第三のプレハブ基板10c及び第四プレハブ基板10dを含む。第一プレハブ基板10aは、それぞれ第一絶縁層11aの上面と下面に設置された第一上金属層12aと第一下金属層13aを含む。第二プレハブ基板10bは、それぞれ第二絶縁層11bの上面と下面に設置された第二上金属層12bと第二下金属層13bを含む。第三のプレハブ基板10cは、それぞれ第三絶縁層11cの上面と下面に設置された第三上金属層12cと第三下金属層13cを含む。第四プレハブ基板10dは、それぞれ第四絶縁層11dの上面と下面に設置された第四上金属層12dと第四下金属層13dを含む。第一プレハブ基板10aと第二プレハブ基板10bは、例えばXY軸方向の水平方向に沿って配列され、回路基板本体20内に埋め込まれ、キャリア基板1cの第一面101を形成する。第一プレハブ基板10aと第三プレハブ基板10cは、例えばZ軸の垂直方向に沿って積み重ねられ、第二プレハブ基板10bと第四プレハブ基板10dは、例えばZ軸の垂直方向に沿って積み重ねられている。第三プレハブ基板10cと第四プレハブ基板10dは、例えばXY軸方向の水平方向に沿って配列され、回路基板本体20内に埋め込まれ、キャリア基板1cの第二面102を形成する。本実施形態において、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及びクランプ要素40は、キャリア基板1cの第一面101に設置されている。第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2は、それぞれ第一プレハブ基板10aと第二プレハブ基板10bに設置され、かつそれぞれ第一上金属層12aと第二上金属層12bに接続されている。かつ第一パワー半導体S1と第二パワー半導体S2は、さらに例えば第二上金属層12bと第一配線層231により直列に接続されて、ブリッジアームを形成する。放熱器50とキャリア基板1cの第二面102は、導体絶縁材料により接続されている。本実施形態において、キャリア基板1cは、第二プレハブ基板10bと第四プレハブ基板10dとの間に位置し、回路基板本体20内の例えばスルーホール234の工程により第二パワー半導体S2の第二端T22に接続された第三配線層233をさらに含む。
図5の等価回路図に対応して、第一パワー半導体S1の第一端T11は、正極Pに接続され、第二パワー半導体S2の第二端T22は負極Nに接続され、第一パワー半導体S1の第二端T12と第二パワー半導体S2の第一端T21はともに出力電極Oに接続されている。第三配線層233は負極Nに接続されており、負極Nと等電位を有する。出力電極Oと放熱器50との間に寄生キャパシタンスがあるため、放熱器50と制御回路(図示せず)との間にも寄生キャパシタンスがあり、制御回路と負極Nとの間に低インピーダンスリンクがあることで、出力電極Oから放熱器50、放熱器50から制御回路、制御回路から負極N、さらに負極Nから出力電極Oの電気ループを構成する。出力電極Oと負極Nとの間の電圧がジャンプすると、上記ループにコモンモード電流が発生し、前記電流は制御回路に電圧降下を生じ、前記電圧降下は制御信号またはサンプリング信号に重畳して干渉作用を起こす。本実施形態において、出力電極Oと放熱器50との間に負極Nと等電位である第三配線層233を設置し、これは上記ループにおいて出力電極Oと負極Nとの間に低いインピーダンス分岐を並列に接続することに相当し、コモンモード電流の大部分を前記分岐に分流させることで、制御回路におけるコモンモード電流による電圧降下を大幅に低減し、制御信号とサンプリング信号が干渉されることを効果的に回避する。本実施形態において、正極Pと負極Nがいずれも静点であり、すなわち、回路に高周波電圧変動がないことを説明すべきであり、安定した基準接地に対して常に定電圧の回路ノードである場合には、負極Nの下方に設置された第三配線層233は、第三配線層233と負極が等電位となるように、負極Nに接続することができる。もちろん、他の実施形態において、第三配線層233は、例えば、第三配線層233とP極が等電位となるように、正極Pに接続され、すなわち、第三配線層233は第一プレハブ基板10aと第三プレハブ基板10cとの間に位置する。一方、第三配線層233と放熱器50との間に安全絶縁要件があるため、第三配線層233の作製が完了した後に、第三プレハブ基板10cと第四プレハブ基板10dを、それぞれはんだ302により第一プレハブ基板10aと第二プレハブ基板10bに接続することができる。他の実施形態において、第一プレハブ基板10aと第三プレハブ基板10cとの接続及び第二プレハブ基板10bと第四プレハブ基板10dとの接続は、例えば焼結により実現することができ、焼結の厚さ精度誤差は、一般的には10μm以内の非常に小さな範囲に制御することができる。焼結されたプレハブ基板は、回路基板本体20の有機材料に圧着される。本開示はこれに限定されず、かつ説明を省略する。
【0021】
図7は本発明の第五の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2dは、
図4Aから
図4Bに示すパワーモジュール2bと類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、パワーモジュール2dは、キャリア基板1d、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及びクランプ要素40を含む。キャリア基板1dは、例えば
図7に示す太い破線枠で示されるように、回路基板本体20、第一プレハブ基板10a及び第二プレハブ基板10bを含む。なお、キャリア基板1dは、回路基板本体20内に設置され、少なくとも一つの配線層23と空間的に対応しており、かつキャリア基板1dの第二面102に位置する有機絶縁材料層24をさらに含む。本実施形態において、キャリア基板1dにおいて、例えば多層配線層の少なくとも一つの配線層23に対応して、隣接するキャリア基板1dの第二面102をフライスにより除去した後、有機絶縁材料(例えば半硬化シートなど)を使用して充填圧着し、少なくとも一つの配線層23と空間的に対応する有機絶材料層24を形成することができる。キャリア基板1dの配線層23の下方にある第二面102が絶縁材料からなり、かつ第一プレハブ基板10aと第二プレハブ基板10bにそれぞれ絶縁層11aと11bがあるため、パワーモジュールと放熱器の組み立てを設計する際に、パワーモジュールと放熱器との間に両者間の絶縁を処理するための絶縁材料を追加する必要がなく、放熱構造設計が簡素化される。
【0022】
図8は本発明の第六の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2eは、
図7に示すパワーモジュール2dと類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、パワーモジュール2eは、キャリア基板1e、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及びクランプ要素40を含む。キャリア基板1eは、有機絶縁材層24内に嵌設され、かつ少なくとも一つの配線層23に電気的に接続された埋め込み要素25をさらに含む。一実施形態において、キャリア基板1eにおいて、例えば多層配線層の少なくとも一つの配線層23に対応して、隣接するキャリア基板1eの第二面102をフライスにより除去した後、埋め込み要素25を貼り付け、少なくとも一つの配線層23に接続し、有機絶縁材料を使用して充填圧着し、有機絶材料層24を形成することで、埋め込み要素25の設置を実現することができる。多層配線領域をキャリア基板1eの第二面102の設計に十分に利用することで、キャリア基板1eの利用率を向上させ、キャリア基板1eの寸法を縮小し、さらにパワーモジュール2eのパワー密度を高めることができる。もちろん、キャリア基板1eの第一面101の配線層に貼付デバイスを接続してもよい。
【0023】
図9は本発明の第七の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2fは、
図7に示すパワーモジュール2dと類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、キャリア基板1fは、スルーホール26をさらに含み、スルーホール26内に樹脂を充填して、樹脂メッシュを形成する。キャリア基板1fの回路基板本体20に多層配線層を形成するために使用されるスルーホールにより、銅メッキ時にキャリア基板1fの第二面102に銅リングを形成する。一実施形態において、前記銅リングは、機械的穴あけによりキャリア基板1fの第二面102の銅を除去し、樹脂メッシュによりキャリア基板1fの多層配線領域の第二面102における絶縁を完成することができ、パワーモジュールと放熱器を組み立てる際に、絶縁材料を追加する必要もなく、放熱構造設計が簡素化される。
【0024】
図10は本発明の第八の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2gは、
図4Aから
図4Bに示すパワーモジュール2bと類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、パワーモジュール2gは、キャリア基板1g、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及びクランプ要素40を含む。キャリア基板1gは、例えば
図10に示す太い破線枠で示されるように、回路基板本体20、第一プレハブ基板10a及び第二プレハブ基板10bを含む。
図4Aから
図4Bに示すパワーモジュール2bとは異なり、本実施形態において、キャリア基板1gは、第一プレハブ基板10aの第一下金属層13a及び第二プレハブ基板10bの第二下金属層13bをさらに省略し、パワーモジュール2g全体の高さをさらに減らすのに寄与する。もちろん、本開示はこれに限定されない。
【0025】
図11は本発明の第九の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2hは、
図3Aから
図3Bに示すパワーモジュール2aと類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、パワーモジュール2hは、キャリア基板1h、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及び変圧器60を含む。第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及び変圧器60は、キャリア基板1hの第一面101に設置されている。変圧器60は、第一パワー半導体S1及び前記第二パワー半導体S2との間に電気的に接続されている。キャリア基板1hは、例えば
図11に示す太い破線枠で示されるように、回路基板本体20、第一プレハブ基板10a、金属導体ブロック27及び熱伝導絶縁層28を含む。第一プレハブ基板10a、金属導体ブロック27及び熱伝導絶縁層28は、回路基板本体20に埋め込まれ、キャリア基板1hの第一面101と第二面102を形成するように構築される。本実施形態において、金属導体ブロック27と熱伝導絶縁層28は、例えばZ軸の垂直方向に沿って積み重ねられ、金属導体ブロック27と熱伝導絶縁28は、それぞれ第一面101と第二面102に対応している。本実施形態において、第一パワー半導体S1は、例えば高電圧小電流のパワー半導体であり、第二パワー半導体S2は、例えば低電圧大電流のパワー半導体である。第一パワー半導体S1の電圧と第二パワー半導体S2の電圧は、変圧器60により変換される。第一パワー半導体S1の高電圧要件を満たす必要があるため、第一パワー半導体S1は、第一プレハブ基板10aが第一パワー半導体S1の放熱及び熱伝導絶縁要件を満たすように、第一プレハブ基板10aに設置されている。第二パワー半導体S2は、金属導体ブロック27に対応して設置され、第二パワー半導体S2は、金属導体ブロック27に電気的に接続され、金属導体ブロック27は、例えば回路基板本体20に埋め込まれた厚い銅である。第二パワー半導体S2の電流が大きいため、第一プレハブ基板10aにおける第一上金属層12aに比べて、金属導体ブロック27の垂直電流方向の導体断面が大きく、抵抗が小さく、導通損失をさらに低減することができる。さらに、金属導体ブロック27とキャリア基板1hの第二面102との間に、熱伝導絶縁層28が圧着されている。本実施形態において、熱伝導絶縁層28の厚さは、例えば100μmであり、第二パワー半導体S2の絶縁要件を効果的に満たすことができ、厚い金属導体ブロック27及び薄い熱伝導絶縁層28は、より良好な放熱能力を有し、第二パワー半導体S2の放熱要件を満たす。したがって、パワーモジュール2hは、信頼性、拡張性及び放熱性能を向上させるという目的を実現する。もちろん、金属導体ブロック27の下方には、熱伝導絶縁層28を設置しなくてもよく、その後放熱器との組み立て時に、金属導体ブロック27の下方で使用される絶縁熱伝導材料または放熱器の表面に絶縁熱伝導材料を設置することにより、絶縁要件を満たし、放熱能力をさらに向上させる。
【0026】
図12は、本発明の第十の好ましい実施形態におけるパワーモジュールを示す模式断面図である。本実施形態において、パワーモジュール2iは、
図11に示すパワーモジュール2hと類似しており、かつ同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは説明を省略する。本実施形態において、パワーモジュール2iは、キャリア基板1i、第一パワー半導体S1、第二パワー半導体S2及び変圧器60を含む。キャリア基板1iは、例えば
図12に示す太い破線枠で示されるように、回路基板本体20、第一プレハブ基板10a、金属導体ブロック29及び熱伝導絶縁層28を含む。第一プレハブ基板10a、金属導体ブロック29及び熱伝導絶縁層28は、回路基板本体20に埋め込まれ、キャリア基板1iの第一面101と第二面102を形成するように構築される。
図11に示すパワーモジュール2hとは異なり、パワーモジュール2iにおける金属導体ブロック29は異形構造であり、すなわち、XY平面の水平方向に、少なくとも一つの突出部29aを有し、スルーホール工程により突出部29aをキャリア基板1iの内部の配線層23に接続することで、導電経路が増加し、導通抵抗が低減され、損失が低減される。
【0027】
上記のように、本発明の実施形態はキャリア基板及びその適用可能なパワーモジュールを提供する。キャリア基板の各構成要素の配置を最適化することにより、キャリア基板全体の性能を向上させ、寄生インダクタンス及びEMIを低減するという目的の実現に寄与し、その組み立てと固定を簡単で信頼性のあるものにすると同時に、パワーモジュールの体積とパワーモジュール全体のパワー密度を低減する。プレハブ基板、例えば金属被覆セラミック基板を利用して回路基板本体に埋設し、電子デバイスを組み立てるようにキャリア基板を構築する。プレハブ基板の絶縁層はセラミック材料からなり、金属層は焼結工程により絶縁層に接続され、かつ絶縁層は、金属層に接触する表面が位置する平面において、少なくとも一部が金属層から露出しており、絶縁層の金属層から露出した部分は外縁部であり、絶縁層の外縁部は、さらに水平方向に沿って回路基板本体内に延びている。絶縁層の外縁部が回路基板本体と水平方向に少なくとも0.3mmより大きい幅で重なり、かつ、例えば半硬化シートにより接続されているため、キャリア基板の垂直方向の信頼性の向上に寄与する。また、プレハブ基板の金属層の厚さは、配線層による接続の厚さより大きく、キャリア基板の放熱特性の向上に寄与する。一方、キャリア基板を、パワー半導体、クランプ要素及び変圧器などの電子デバイスと組み合わせて、パワーモジュールに適用すると、寄生インダクタンス及びEMIを低減し、信頼性、拡張性及び放熱性能を向上させるのにより寄与する。キャリア基板と二つの直列接続されたパワー半導体からなるブリッジアームとの接続工程は、実現が簡単で、低コスト、高い信頼性である。二つの直列接続されたパワー半導体からなるブリッジアームとクランプ要素は、プレハブ基板の金属層と回路基板本体の二つの配線層により接続されることができ、放熱器と組み合わせて放熱を実現し、熱抵抗を低減し、さらにコストを削減し、パワーモジュールの信頼性及び放熱能力を向上させるという目的を達成する。回路基板本体の配線層は薄い厚さで実現でき、プレハブ基板の金属層と組み合わせて、製造コストを削減し、キャリア基板の信頼性をさらに高めることができる。パワーモジュールの二つのパワー半導体とクランプ要素がキャリア基板に直接設置される場合、組み立て構造を簡素化でき、コストを削減し、工程を簡素化し、製品の歩留まり及び製品の信頼性などを高める利点がある。
【0028】
当業者であれば、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるが、添付の特許請求の範囲によって保護されるものから逸脱することはない。