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特開2022-165904パーキンソン病患者における神経学的疾患を治療するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165904
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】パーキンソン病患者における神経学的疾患を治療するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20221025BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20221025BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20221025BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221025BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20221025BHJP
   A61K 31/15 20060101ALI20221025BHJP
   A61K 31/277 20060101ALI20221025BHJP
   A61K 31/06 20060101ALI20221025BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A61M5/142 530
A61B5/16 130
A61B5/11 100
A61B5/11 230
A61B10/00 H
A61M5/168 500
A61P25/16
A61K31/198
A61K31/15
A61K31/277
A61K31/06
A61K9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】90
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022036844
(22)【出願日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/160,289
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513119196
【氏名又は名称】ニューロダーム リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEURODERM LTD
【住所又は居所原語表記】3 Pekeris Street 7670212 Rehovot ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ショル,エラン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド,ベン タミル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非運動症状を改善する一方、PD患者の運動症状を効率的に治療することができるか、または運動症状の治療に悪影響を与えることなしに非運動症状を改善することができるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】パーキンソン病(PD)患者に関係する疾患を治療するためのシステムおよび方法であって、例えば、パーキンソン病患者の運動症状もしくは運動障害および/又は非運動症状または非運動障害を治療または改善するためのシステムおよび方法が提供される。システムは、睡眠感知回路および医薬品分配機構を含む。睡眠感知回路は、PD患者の睡眠パターンを検出するために使用され、医薬品分配機構は、睡眠パターンに基づいて、治療に有効な化合物をPD患者に連続的に送達するために使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキンソン病(PD)に関係する疾患を治療することを必要としている患者の当該疾患を治療するための治療用医薬品送達システムを操作する方法であって、以下を含む方法。
治療用医薬品送達システムによって、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付けるか、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データを受け取り、CSPに基づいて治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を決定すること、および/又は
治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための上記の値を受け取ること、および
受け取った操作パラメータの値に従って、または決定された操作パラメータの値に従って治療用医薬品送達システムを操作して、PD患者に治療用医薬品組成物を送達すること。
【請求項2】
PDに関係する疾患が、パーキンソン症状、運動合併症、運動症状、非運動症状、および睡眠障害からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
操作パラメータのために決定された値および操作パラメータのために受け取られた値が、睡眠の最適化と、睡眠の質の改良と、睡眠障害の改善と、振せん、震え、動きの鈍化(運動緩徐)、筋肉の硬直、姿勢の不安定、歩行/足取りの困難およびジストニー;睡眠の持続、就寝から入眠までの時間間隔、睡眠中の覚醒回数、睡眠中の体の動きの速度、覚醒時から起床までの時間間隔、覚醒中のパーキンソン症状の「オン」時間と「オフ」時間の期間、睡眠中の覚醒時間、睡眠中の体の回転数、睡眠中の体の平均回転速度、体の平均回転時間、体の回転の程度、またはそれらの任意の組み合わせを含むパーキンソン症状の改善の観点から最適化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
経時的睡眠パターン(CSP)が、以下の睡眠イベント:睡眠ステージ1、睡眠ステージ2、睡眠ステージ3、急速眼球運動(REM)睡眠、深い睡眠ステージ、睡眠サイクル、覚醒時刻、PD患者の入眠時刻および就寝時刻のうちの少なくとも1つを含み、第1の操作パラメータは治療用医薬品組成物の流量であり、第2の操作パラメータは治療用医薬品流量に対する医薬品送達タイミングである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
治療用医薬品送達システムを操作することは、低い医薬品服用量、もしくは徐々に減少する医薬品服用量、もしくは高い医薬品服用量、もしくは徐々に増加する医薬品服用量、もしくは脈動する医薬品服用量、もしくは連続的な医薬品服用量を送達することに対応する流量で治療用医薬品組成物を送達することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
治療用医薬品送達システムの操作パラメータのために受け取られた値および決定された値が医薬品送達パターン(DDP)を明確に示す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
DDPが経時的睡眠パターン(CSP)に対応するか、CSPに適合するか、またはCSPに由来する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
睡眠データが、PD患者の習慣的な就寝時刻、習慣的な入眠時刻および習慣的な覚醒時刻に関するデータを含み、操作パラメータの値が上記習慣的な就寝時刻、習慣的な入眠時刻および/又は習慣的な覚醒時刻の1つ又は複数に基づいて決定される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
睡眠データが過去の睡眠データを含み、上記過去の睡眠データが少なくとも過去の入眠データおよび過去の覚醒データを含み、操作パラメータの値が過去の睡眠データに基づいて決定され、過去の睡眠データはPD患者に関係する睡眠データおよび/又は他のPD患者に関係する睡眠データを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
操作パラメータの値が、1つ又は複数のセンサの出力信号に基づいてユーザ設定されるか、プリプログラムされるか、または決定される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
治療される疾患が睡眠障害であり、睡眠障害は、急速眼球運動睡眠行動障害(RBD)、アトニーなしのREM睡眠(RWA)、夢の内容の行動化(DEB)、夜間覚醒、不眠症(不眠)、入眠不眠症、昼間の睡眠、夜間の覚醒回数、睡眠の断片化、早朝のジストニー、無動症、夜間のアトニー、睡眠の開始、睡眠の維持、昼間の突然の睡眠の攻撃エピソード(ナルコレプシー)、過度の昼間の眠気(EDS)、幻覚、睡眠中の運動障害、就寝困難、NREMステージIII、レム睡眠、入眠潜時、入眠後の覚醒、概日リズム障害(概日リズム障害、異常な睡眠-覚醒サイクル)、徐波睡眠(SWS)、睡眠中の定期的な脚の動き(PLMS)からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
睡眠データを生成することは、睡眠監視システム(SMS)、着用できる睡眠センサ、および/又は電子患者睡眠日誌を使用することによる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
PD患者に適用される医薬品送達パターン(DDP)に従って、睡眠データを生成すること、および/又はリアルタイムで操作パラメータに対する値を設定することを含む、請求項6~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
治療用医薬品組成物が、PDに関係する疾患を治療または改善するための化合物を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(DDI)、DDI塩、DDIプロドラッグ、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、COMT阻害剤塩、COMT阻害剤プロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
DDI、DDI塩、またはDDIプロドラッグが、カルビドパ、ベンザセラジド、ジフルオロメチルドーパ、α-メチルドーパ、それらの塩、それらのプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
各DDIの服用量が、治療用医薬品中の他のDDIまたは有効成分とは独立して選択される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
DDIが、カルビドパ、カルビドパ塩、カルビドパプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
治療用医薬品組成物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
COMT阻害剤が、エンタカポン、トルカポン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
各COMT阻害剤の服用量が、治療用医薬品中の他のCOMT阻害剤または有効成分とは独立して選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
治療用医薬品組成物がレボドパおよびカルビドパを含む、請求項14~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
治療用医薬品組成物がレボドパ、カルビドパおよびアルギニンを含む、請求項14~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
治療用医薬品組成物が、約4(w/v%)から約8(w/v%)のレボドパ、約0.5(w/v%)から約1.0(w/v%)のカルビドパ、および約12(W/V%)から約17(W/V%)のアルギニンを含む、請求項14~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
治療用医薬品組成物がレボドパプロドラッグを含む、請求項14~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
レボドパプロドラッグがレボドパ-チロシンコンジュゲートである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
治療用医薬品組成物がさらにカルビドパを含む、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、請求項24~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
治療用医薬品組成物が、約20(w/v%)から約50(w/v%)のレボドパ-チロシンコンジュゲート、および約0.5(w/v%)から約1.5(w/v%)のカルビドパを含む、請求項24~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
治療用医薬品組成物がレボドパ、カルビドパおよびエンタカポンを含む、請求項14~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
治療用医薬品組成物がレボドパプロドラッグ、カルビドパ、およびエンタカポンを含む、請求項14~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
レボドパプロドラッグがレボドパ-チロシンコンジュゲートである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
治療用医薬品組成物が室温で実質的に液体である、請求項24~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
経時的睡眠パターン(CSP)中のレム睡眠イベントを特定すること、およびレム睡眠イベント中に高流量で治療用医薬品を送達するように操作パラメータの値を調整することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項37】
経時的睡眠パターン(CSP)中の睡眠サイクルを特定すること、およびn回の睡眠サイクル(n=1、2、・・・)が達成した後に高流量で治療用医薬品を送達するように操作パラメータの値を調整することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項38】
深い睡眠ステージの間に低流量で治療用医薬品を送達するように操作パラメータの値を調整することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項39】
操作パラメータの値を調整することが、医薬品送達パターン(DDP)を、経時的睡眠パターン(CSP)に含まれる睡眠イベントに再調整するためにリアルタイムで実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項40】
操作パラメータの値を調整することが、機械学習を使用して実行される、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
パーキンソン病(PD)に罹患している患者を治療用医薬品送達システムによって治療する方法であって、
治療用医薬品送達システムによって、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付ける、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データを受け取り、経時的睡眠パターンに基づいて治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を決定すること、および/又は
治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を受け取ること、および
受け取った操作パラメータの値に従って、および/又は決定された操作パラメータの値に従って治療用医薬品送達システムを操作して、PD患者に治療用化合物を送達すること
を含む方法。
【請求項42】
化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(DDI)、DDI塩、DDIプロドラッグ、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、COMT阻害剤塩、COMT阻害剤プロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
DDI、DDI塩、またはDDIプロドラッグが、カルビドパ、ベンザセラジド、ジフルオロメチルドーパ、α-メチルドーパ、それらの塩、それらのプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
各DDIの服用量が、治療用医薬品中の他のDDIまたは有効成分とは独立して選択される、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
DDIが、カルビドパ、カルビドパ塩、カルビドパプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項42~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
COMT阻害剤が、エンタカポン、トルカポン、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
各COMT阻害剤の服用量が、化合物中の他のCOMT阻害剤または有効成分とは独立して選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
パーキンソン病(PD)の患者に関係する疾患を治療するための医薬品送達システム(図1の100、図2の200、図12の1200)であって、
PD患者に関係する睡眠データおよび/又は他のPD患者に関係する睡眠データを収集および/又は保存するための睡眠データ収集ユニット(SDCU)と、
治療用医薬品組成物を収容するための医薬品リザーバー(142、232)と医薬品リザーバーから患者に治療用医薬品組成物を分配するための分配機構(144、234)を含む医薬品送達ユニット(140、230)と、
(i)分配機構の1つ又は複数の医薬品送達操作パラメータのために、睡眠データから得られる値を受け取ること、および/又はその値を決定すること、および
(ii)前記分配機構を操作して、1つ又は複数の操作パラメータのために受け取った値または決定した値に従って、PD患者に治療用医薬品組成物を送達するように構成されたコントローラ(150、210)
を含む医薬品送達システム。
【請求項50】
治療される疾患が、パーキンソン症状、運動合併症、運動症状、非運動症状、および睡眠障害からなる群から選択される、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
操作パラメータのために決定された値および操作パラメータのために受け取られた値が、睡眠の最適化と、睡眠の質の改良と、睡眠障害の改善と、振せん、震え、動きの鈍化(運動緩徐)、筋肉の硬直、姿勢の不安定、歩行/足取りの困難およびジストニー;睡眠の持続、就寝から入眠までの時間間隔、睡眠中の覚醒回数、睡眠中の体の動きの速度、覚醒時から起床までの時間間隔、覚醒中のパーキンソンの「オン」時間と「オフ」時間の期間、睡眠中の覚醒時間、睡眠中の体の回転数、睡眠中の体の平均回転速度、体の平均回転時間、体の回転の程度(度)、またはそれらの任意の組み合わせを含むパーキンソン症状の改善の観点から最適化される、請求項49または50に記載のシステム。
【請求項52】
睡眠データ収集ユニット(SDCU)が、以下の構成のうちの少なくとも1つから選択される構成によって構成されるシステムであって、
I.SDCUが睡眠監視システム(SMS)(120、280)であるか又は睡眠監視システム(SMS)を含む第1の構成、SMSは、
a.PD患者の睡眠状態および/又は活動度に、個別に又は集合的に関係する信号を生成するように構成されたn個のセンサ(n=1、2、3、・・・)および、
b.n個のセンサによって生成された信号を受け取り、上記信号を睡眠データに変換するために、n個のセンサに接続されたセンサインターフェース(132、260)を有し、かつ
II.SDCUが、睡眠データを手動でアップロードするためのユーザインターフェース(160、240)および/又は睡眠データをリモートでアップロードするための通信インターフェース(180)を有する第2の構成
を有する請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
コントローラが、
(i)睡眠データから患者の経時的睡眠パターン(CSP)を検出し、および
(ii)CSPに対応するか、CSPに適合するか、またはCSPに由来する医薬品送達パターンで、患者に治療用医薬品組成物を送達する
ように構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項54】
n個のセンサのうちの少なくとも1つは、ユーザが着用可能であるか、さもなければ患者に取り付け可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
n個のセンサが、電極、神経活動センサ、EEGセンサ、ECGセンサ、EMGセンサ、ポリソムノグラフィー(PSG)センサ、睡眠センサ、睡眠状態センサ、ローカル電場電位センサ、加速度計、睡眠中の動きを検出するように構成された腕時計、光学センサ、カメラ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
医薬品送達システム(200)がセンサインターフェース(260)を含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
分配機構の1つまたは複数の操作パラメータが、ユーザインターフェース(160、240)によってユーザ設定可能またはプリプログラム可能である、請求項52に記載のシステム。
【請求項58】
分配機構が、腸内、皮下、静脈内(IV)、皮膚、または脳脊髄液(CSF)ポンプを使用することにより、PD患者に治療用医薬品組成物を送達するように構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項59】
経時的睡眠パターン(CSP)が、以下の睡眠イベント:睡眠ステージ1、睡眠ステージ2、睡眠ステージ3、急速眼球運動(REM)睡眠、深い睡眠ステージ、睡眠サイクル、覚醒時刻、PD患者の入眠時刻および就寝時刻のうちの1つ又は複数を含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項60】
操作パラメータが、治療用医薬品組成物の流量であるか、または治療用医薬品組成物の流量に関連する第1の操作パラメータと、治療用医薬品組成物の医薬品送達タイミングであるか、または医薬品送達タイミングに関連する第2の操作パラメータを含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項61】
睡眠データ収集ユニット(SDCU)が、n個のセンサを介して、上肢(手)の動きを表すこと、下肢(脚)の動きを表すこと、頭の動きを表すこと、腰の動きを表すこと、心拍数、呼吸数、筋電図(EMG)信号、心電図(ECG)信号、脳波(EEG)信号、電位信号、血中酸素飽和レベル、皮膚伝導性および胸部の動きからなる群から選択されるデータを収集するように構成されている、請求項52に記載のシステム。
【請求項62】
コントローラが、レム睡眠イベント中に高流量で治療用医薬品組成物を送達するように操作パラメータの値を調整するように構成されている、請求項59に記載のシステム。
【請求項63】
コントローラが、深い睡眠イベント中に低流量で治療用医薬品組成物を送達するように操作パラメータの値を調整するように構成されている、請求項59に記載のシステム。
【請求項64】
コントローラが、睡眠データまたは経時的睡眠パターン(CSP)における睡眠サイクルを特定し、操作パラメータの値を調整して、n睡眠サイクルが達成された後、高流量で治療用医薬品組成物を送達するように構成されている、請求項59に記載のシステム。
【請求項65】
コントローラが、低い医薬品服用量を送達すること、徐々に減少する医薬品服用量を送達すること、高い医薬品服用量を送達すること、徐々に増加する医薬品服用量を送達すること、脈動する医薬品服用量を送達すること、および連続的に医薬品服用量を送達することからなる群から選択される項目に対応する流量で治療用医薬品組成物を送達するように構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項66】
コントローラは、医薬品送達パターン(DDP)を経時的睡眠パターン(CSP)に含まれる睡眠イベントに(再)調整するために、操作パラメータの値をリアルタイムで調整するように構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項67】
機械学習を使用することによって操作パラメータの値を調整するようにコントローラが構成されている、請求項49に記載のシステム。
【請求項68】
睡眠障害は、急速眼球運動睡眠行動障害(RBD)、アトニーなしのREM睡眠(RWA)、夢の内容の行動化(DEB)、夜間覚醒、不眠症(不眠)、入眠不眠症、昼間の睡眠、夜間の覚醒回数、睡眠の断片化、早朝のジストニー、無動症、夜間のアトニー、睡眠の開始、睡眠の維持、昼間の突然の睡眠の攻撃エピソード(ナルコレプシー)、過度の昼間の眠気(EDS)、幻覚、睡眠中の運動障害、就寝困難、NREMステージIII、レム睡眠、入眠潜時、入眠後の覚醒、概日リズム障害(概日リズム障害、異常な睡眠-覚醒サイクル)、徐波睡眠(SWS)、睡眠中の定期的な脚の動き(PLMS)からなる群から選択される、請求項50に記載のシステム。
【請求項69】
治療用医薬品組成物が、PD患者に関係する疾患を治療または改善するための化合物を含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項70】
化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(DDI)、DDI塩、DDIプロドラッグ、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、COMT阻害剤塩、COMT阻害剤プロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
DDI、DDI塩、またはDDIプロドラッグが、カルビドパ、ベンザセラジド、ジフルオロメチルドーパ、α-メチルドーパ、それらの塩、それらのプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項70に記載のシステム。
【請求項72】
各DDIの服用量が、治療用医薬品組成物中の他のDDIまたは有効成分とは独立して選択される、請求項70または71に記載のシステム。
【請求項73】
DDIが、カルビドパ、カルビドパ塩、カルビドパプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項70~72のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項74】
化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項69に記載のシステム。
【請求項75】
COMT阻害剤が、エンタカポン、トルカポン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項70に記載のシステム。
【請求項76】
各COMT阻害剤の服用量が、治療用医薬品組成物中の他のCOMT阻害剤または有効成分とは独立して選択される、請求項75に記載のシステム。
【請求項77】
治療用医薬品組成物がレボドパおよびカルビドパを含む、請求項69~76のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項78】
治療用医薬品組成物がレボドパ、カルビドパおよびアルギニンを含む、請求項69~77のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項79】
治療用医薬品組成物が、約4(w/v%)~約8(w/v%)のレボドパ、約0.5(w/v%)~約1.0(w/v%)のカルビドパおよび約12(w/v%)~約17(w/v%)のアルギニンを含む、請求項69~78のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項80】
治療用医薬品組成物がレボドパプロドラッグを含む、請求項69~76のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項81】
レボドパプロドラッグがレボドパ-チロシンコンジュゲートである、請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
治療用医薬品成物がさらにカルビドパを含む、請求項79~81のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項83】
治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、請求項79~82のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項84】
治療用医薬品組成物が、約20(w/v%)~約50(w/v%)のレボドパチロシンコンジュゲート、および約0.5(w/v%)~約1.5(w/v%)のカルビドパを含む、請求項79~83のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項85】
治療用医薬品組成物がレボドパ、カルビドパおよびエンタカポンを含む、請求項69~84のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項86】
治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
治療用医薬品組成物がレボドパプロドラッグ、カルビドパ、およびエンタカポンを含む、請求項69~84のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項88】
治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
レボドパプロドラッグがレボドパチロシンコンジュゲートである、請求項87に記載のシステム。
【請求項90】
治療用医薬品組成物が室温で実質的に液体である、請求項69~89のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病(PD)の患者における運動および非運動神経学的疾患(例えば、睡眠障害)を治療(例えば、改善)するための製剤/組成物/化合物(例えば、レボドパ(LD)および/又はカルビドパ(CD)、もしくはLDおよび/又はCDのプロドラッグに基づく製剤、又はLDおよび/又はCD、もしくはLDおよび/又はCDのプロドラッグを含む製剤)を送達するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、また、PD患者における睡眠を最適化し、睡眠の質を改良し、および睡眠障害を改善するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PDは、ドーパミンを生成するニューロンの進行性損失によって特徴づけられる慢性的な神経変性障害である。PDは、例えば、のろいこと/運動緩徐、硬直、震え、筋肉硬直、ジスキネジア、姿勢の不安定などを含む運動上の症状をもたらす。LD、ドーパミン前駆体は、PDの患者を治療するための最も効率的で最高水準の治療法であると、現在考えられている。ニューロダーム リミテッド(イスラエルに本拠を置いている会社)は、小さくて携帯可能なポンプ器具を使うことによって、LD/CDをPD患者の皮下に連続的に送達するための液体製剤の特許技術を開発した。
【0003】
PD患者は、また非運動症状を経験する。PD患者における運動合併症は身体障害となるが、非運動合併症はあるPD患者にとって、運動合併症と同等以上に重要である。非運動症状は、例えば、感情障害(例えば、うつ病、不安、被刺激性);認知変化(例えば、注意および計画について集中力の低下、言語および記憶障害、思考の手間取り、認知症);妄想および錯覚、便秘および早期満腹感、苦痛、疲労、視覚障害、過度の発汗(全く運動をしていないか又は殆ど運動をしていないのに、特に手および足);尿意切迫(頻度および失禁);嗅覚の喪失;自律神経失調症および、例えば、不眠症、過度の昼間の眠気(EDS)、急速眼球運動行動障害(RBD)、鮮やかな夢、睡眠中の会話および移動、レストレスレッグズ症候群(RLS)、周期性四肢運動障害(PLMD)、入眠潜時、不十分な総睡眠時間、睡眠効率に関連する障害、入眠、睡眠維持、睡眠の断片化、および昼間の眠気と夜行性精神病に関係がある睡眠サイクルの変化を含む睡眠障害の様々なタイプを含む。夜間に睡眠障害を経験するPD患者、または睡眠障害に関わらず,PD患者は、昼間に予期せず眠りに陥るような、急激で故意でない睡眠発作(ナルコレプシー)の傾向がある。いくつか例をあげると、入眠不眠症、睡眠の断片化、急速眼球運動睡眠行動障害(RBD)および昼間の過度の眠気(EDS)のような睡眠障害は、PD患者における重大な障害を伴う非運動症状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの科学的な刊行物は、少なくともあるPD患者に対して、上記した非運動症状(例えば、睡眠障害)のいくつかは、レボドパの長期間の使用によって副作用があるか又は悪化させることがあると示唆している。非運動症状(例えば、睡眠障害)を改善する(例えば、緩和すること又は最小化すること)一方、PD患者の運動症状を効率的に治療することができるか、または運動症状の治療に悪影響を与えることなしに非運動症状を改善することができるシステムおよび方法を有することは有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
PD患者に関係がある疾患を治療するためのシステムおよび方法、例えば、PD患者における運動症状および/又は非運動症状又は障害を治療するか又は改善するためのシステムおよび方法が提供される。システムは、一般に睡眠感知回路および医薬品送達デバイス(例えば、ポンプ)を含む。睡眠感知回路はPD患者の睡眠パターンを検出するために使用することができ、医薬品送達デバイスは睡眠パターンに基づいてPD患者に対して治療に効果的な化合物(例えば、医薬品)を連続的に送達するために使用することができる。医薬品送達デバイスの操作パラメーター(例えば、医薬品の送達流量および医薬品の送達時間)は、PD患者に関係がある疾患を治療するために、例えば、治療されるPD患者における睡眠を最適化し、睡眠の質を改良し、非運動障害を改善するために、検出された睡眠パターンに基づいて(または過去の睡眠パターンに基づいて)、例えば、就寝時間前にプリプログラミングするか、および/又は、例えば、睡眠中にリアルタイムで調整することができる。
【0006】
PD患者に関係がある疾患を治療するための治療用医薬品送達システムを操作するための方法の一例は、治療用医薬品送達システムによって、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴づけるか又はPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データを受け取り、CSPに基づいて治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を決定すること、および/又は外部ソース、例えば、リモートコンピュータから治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を受け取るステップを含む。その方法は、また、その疾患を治療するのに好都合である医薬品送達パターン(DDP)によってPD患者に治療用医薬品組成物(または化合物)を送達するために、受け取った操作パラメータの値または決定した操作パラメータの値に従って、治療用医薬品送達システムを操作するステップを含む(特定のDDPは、特定のPD患者における特定の疾患を治療するために使用することができる)。同様の方法は、治療用医薬品送達システムによって、PDを伴う患者における神経学的疾患を治療するための化合物を送達するために使用することができる。
【0007】
PDを伴う患者に関係がある疾患を治療するためのDDSの一例(図1のDDS100、図2のDDS202,図12のDDS1200)は、睡眠データ収集ユニット(SDCU)を含む。SDCUは、一般に、PD患者に関係がある睡眠データ(例えば、リアルタイムの睡眠データおよび/又は過去の睡眠データ)および又は他のPD患者に関係がある睡眠データ(リアルタイムの睡眠データおよび/又は過去の睡眠データ)を生成し、収集し(例えば、受け取り)、および/又は保存する。SDCUは、(i)SDCUが睡眠監視システム(SMS)(120、280)であるか又は睡眠監視システムを含む第一構成、および(ii)SDCUが、医薬品分配機構を操作するために、リモートで睡眠データおよび/又は操作パラメータの値を受け取るために、睡眠データおよび/又は通信インターフェース(180)を手動でアップロードするためのユーザインターフェース(160、240)であるか又はユーザインターフェース(160、240)を含む第二構成の少なくとも1つから選択することができるような構成とすることができる。
【0008】
SMSは、PD患者の睡眠状態および/又は運動活性に関係がある信号を、個々に又は集合的に生成するように構成されているn個のセンサ(n=1、2、3、・・・)を含む。SMSは、また、n個のセンサに連結されて、センサ信号を睡眠データに変換するセンサインターフェース(132、260)を含む。
【0009】
DDSは、また、医薬品送達ユニット(140、230)を含む。医薬品送達ユニットは、治療用医薬品組成物を収容する医薬品リザーバー(142、232)およびその医薬品リザーバーからPD患者に治療用医薬品組成物を分配するための分配機構(144、234)を含む。
【0010】
上記システムは、また、分配機構の作動を制御するためのコントローラ(150、210、1212)を含む。そのコントローラは、他のものに含めて、(i)分配機構の1つ又は複数の医薬品送達操作パラメータのために、睡眠データから得られる値を受け取り、および/又は決定し、(ii)1つ又は複数の操作パラメータのために、受け取られた値および/又は決定された値に従って、PD患者に治療用医薬品組成物を送達するための分解機構を操作するように構成することができる。上記コントローラは、さらに、PD患者に関係がある睡眠データにおける経時的睡眠パターン(CSP)を検出し、そのCSPに対応しているか、そのCSPのために調整されているか、そのCSPに適合しているか、又はそのCSPに由来する医薬品送達パターン(DDP)を使用して患者に治療用医薬品組成物を送達するように構成することができる。上記コントローラが分配機構を作動するために使用する操作パラメータの値は、DDPを規定することができる。例えば、上記コントローラは、治療に関して好ましいDDPに従って、医薬品を送達させるように(分配させるように)、操作パラメータの値を調整することができる。
【0011】
治療条件は、パーキンソン症状、運動合併症、運動症状、非運動症状、および睡眠障害からなる群から選択することができる。操作パラメータのために決定される値および操作パラメータのために受け取られる値は、睡眠の最適化、睡眠の質の改良、睡眠障害の改善、震えを含むパーキンソン症状の改善、シェイキング、運動緩慢(ブラディキネジア)、筋肉硬直、姿勢の不安定、歩行/足取りの困難およびジストニー;睡眠時間、就寝から入眠までの時間間隔、睡眠中の覚醒回数、睡眠中の体の動きの速度、覚醒時から起床までの時間、覚醒中のパーキンソン症状のオン時間とオフ時間の期間、睡眠中の覚醒時間、睡眠中の体の回転数、睡眠中の体の平均回転速度、体の平均回転時間、体の回転の程度(度)、又はそれらの任意の組み合わせの観点から最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
各種の実施形態を限定する意図はなく、各種の実施形態は添付図面に示されている。図示の簡略化および明確性のために、以下の図面に示されている要素は必ずしもその比率でないことが理解される。また、参照番号は、対応する要素または類似の要素を指摘するために図面において繰り返される。
【0013】
図1図1は、一実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための医薬品送達システムの第1構成を示す。
【0014】
図2図2は、別の実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための医薬品送達システムの第2構成を示す。
【0015】
図3図3は、経時的睡眠パターン(CSP)の例を含むヒプノグラムの一例を示す。
【0016】
図4図4は、一実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための医薬品送達制御スキームを概略的に示す。
【0017】
図5図5は、別の実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための医薬品送達制御スキームを概略的に示す。
【0018】
図6図6は、さらに別の実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための医薬品送達制御スキームを概略的に示す。
【0019】
図7図7は、一実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための医薬品送達システムを操作する方法を示す。
【0020】
図8図8は、一実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための治療用医薬品送達デバイスを操作する方法を示す。
【0021】
図9図9は、別の実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための治療用医薬品送達デバイスを操作する方法を示す。
【0022】
図10図10は、さらに別の実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための治療用医薬品送達デバイスを操作する方法を示す。
【0023】
図11図11は、さらに別の実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための治療用医薬品送達デバイスを操作する方法を示す。
【0024】
図12図12は、さらに別の実施例に従ってPD患者の疾患を治療するための医薬品送達システムの第3構成を示す。
【0025】
図13図13は、一実施例に従ってリアルタイムで医薬品送達制御スキームを制御する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の記載は具体化した実施形態の様々な詳細を提供する。しかしながら、以下の記載は本発明の範囲を限定する意図はなく、本発明の様々な原理およびそれを実行する典型的な方法を説明するものである。
【0027】
“治療する(treat)”、“治療(treatment)”、“治療すること(treating)”、“改良(improving)”、“改善(ameliorating)”などの用語は、好ましい薬理学的および/又は生理学的な効果を得ることに言及するために、この明細書で使用される。その効果は、病気および/又は病気のせいであるとみなされる不都合な作用または症状を部分的または完全に治癒するという観点から治療効果に関するものである。以下の明細書で使用される用語“治療”は、哺乳類、特に人間の病気の治療を含む。そして、治療は、(a)病気を抑制すること、すなわち、病気の重症度および範囲が増加することを防ぐこと、(b)病気を軽くすること、すなわち、病気の部分的もしくは完全な改善または改良を図ること、(c)病気のぶり返しを防ぐこと、すなわち、病気の症状の治療または病気の治療を成功させて、病気が進行状態に戻ることを防ぐことを含む。PD患者において治療される“疾患”は、例えば、PD患者が経験するPD運動症状および/又は非運動症状である。PD患者における非運動症状を治療することは、例えば、睡眠を最適化すること、睡眠の質を改良すること、および/又は何らかの睡眠障害を改善することを含む。
【0028】
“防ぐ(preventing)”とは、病気症状の開始、合併症、その状態の生化学的な兆候、障害、病気、または、その状態、障害、病気もしくは疾患に悩んでいるか又はその状態になりやすいが、その状態、障害、病気もしくは疾患の臨床症状または亜臨床症状を経験していないか又は示さない患者における疾患の進行を遅らせることを含む。“防ぐ”とは、臨床症状、合併症、もしくはその状態の生化学的な兆候、障害、病気、もしくは患者において疾患もしくは症状が出ることを予防的に治療することを含む、その状態、障害、病気、又は患者において疾患もしくは症状が出ることを予防的に治療することを含む。
【0029】
この明細書で使用される用語“薬学的組成物”および“薬学的製剤”は、少なくとも一つの生物学的に活性化合物、例えば、レボドパ、もしくは共役レボドパアミノ酸のようなレボドパのプロドラッグ、又は1つ以上の薬学的に受け入れ可能な賦形剤とともに製剤化されて、この明細書で開示された薬学的に受け入れ可能なレボドパの塩を含む組成物または製剤を指す。用語“製剤”および“組成物”は、明確に他の言及がなければ、又は当業者が異なったように理解しなければ、置換可能であることを指摘する。この明細書で使用される用語“薬学的に受け入れ可能な塩”は、この明細書で開示された組成物で使用される共役物を形成する酸または塩基の塩を指す。
【0030】
‘個体’、‘患者’または‘被験者’は、哺乳動物、ハツカネズミ、ネズミ、他の齧歯類、うさぎ、犬、猫、豚、牛、羊、馬、人間ではない霊長目の動物、および人間を含む動物を含み、置換可能である。いくつかの実施形態において、本発明の方法で治療される哺乳動物は、パーキンソン病のような神経変性疾患に苦しんでいる人間である。
【0031】
この明細書で使用される用語“約”は、明確に他の言及がなければ、又は当業者が異なったように理解しなければ、記載された数値の±10%の範囲を含むと解釈される。用語“約”が使用されていなくても、記載された数値は、その数値の±10%の範囲を含むことも、また指摘される。これは、化合物の純度など、使用される器具や機械類に従って変化する、実施例における数値を含む。この明細書で使用される用語“液体”は、明確に他の言及がなければ、又は当業者が異なったように理解しなければ、ゲル、水性組成物、非水性組成物などを含む、何らかの流体の種類を指す。
【0032】
この説明で使用される用語‘連続的’および‘実質的に連続的’は、明確に他の言及がなければ、又は当業者が異なったように理解しなければ、治療に関して有効な任意の1つ又は複数の間欠期とともに、治療用医薬品(組成物または化合物)が全期間中投与される、その期間を指す。一例としての間欠期は、約24時間、約12時間、約5時間、約3時間、約1時間、約30分間、約15分間、約5分間、又は約1分間より短い。組成物が投与される期間は、少なくとも約6時間、約8時間、約12時間、約15時間、約18時間、約21時間、約24時間、3日間、7日間、2週間、1か月間、3か月間、6か月間、1年間、2年間、3年間、5年間、10年間などである。
【0033】
この明細書で詳細に記載するように、PD患者は、様々な睡眠障害のタイプの非運動症状に苦しんでいる。ある場合には、そのような非運動症状(例えば、睡眠障害)は、PD運動症状を治療するために投与されるレボドパの反復的又は連続的な使用によって起こされる。本願は、限定されるものではないが、彼又は彼女の運動症状を治療するためにレボドパが連続的に送達されるPD患者を含む、PD患者に対する非運動症状を改善するための医薬品送達システムおよび医薬品送達方法を提案する。
【0034】
本願のいくつかの態様は、無表情の睡眠ステージ(例えば、レム睡眠ステージ)を区別すること、実在しないほど小さい患者の全睡眠の質に対する寄与、睡眠ステージを促進すること(例えば、睡眠ステージ3および4)、直接的に睡眠の質に関係がある完全性または欠如を含む。すなわち、睡眠ステージを促進することに対する妨害が少なくなればなるほど、睡眠の質は向上する。一般に、この明細書に記載した医薬品送達システムは、患者の実際の睡眠ステージまたは患者に予想される睡眠ステージへの作用として患者に治療用薬剤(例えば、レボドパ)を選択的かつ有益に送達することができる。例えば、レボドパを、全睡眠の質に対する寄与は存在しないほど小さいが、睡眠ステージ中に比較的高流量でPD患者に対して医薬品送達システムによって送達することができる。PD患者が睡眠ステージの促進(例えば、睡眠ステージ3)を経験すること、または睡眠ステージの促進が予想されることを、医薬品送達システムが、PD患者の睡眠パターンから決定するか(例えば、リアルタイム)、またはPD患者の睡眠パターンに基づいて決定する(例えば、リアルタイム)ときはいつでも、医薬品送達システムは、医薬品がPD患者に送達される流量を減少するか、又はその流量の減少を開始することができる(非運動症状の治療の観点から有益である)。比較的高流量でPD患者にレボドパを送達することは、運動症状の治療の観点から有益であり、一方、比較的低流量でPD患者にレボドパを送達することは、非運動症状の治療の観点から有益である。
【0035】
医薬品送達システムは、医薬品送達システムの医薬品分配機構の作動を制御する操作パラメータの値を調整することによって医薬品の流量を制御することができる。医薬品送達システムは、例えば、リモートシステムから操作パラメーターのための最新の値を受け取ること、またはローカルに(例えば、ローカルユーザインターフェースを介して)その値を受け取ることによって、医薬品分配機構の操作パラメータの値を調整することができる。医薬品送達システムは、代わりに、または加えて、PD患者に関係している睡眠データから値を決定した後、操作パラメータの数値を調整することもできる。
【0036】
図1は、例えば、実施例に従ってPD患者における睡眠の最適化、睡眠の質の改良、および/又は睡眠障害の改善のために、PD患者に関係する疾患を治療するための治療用医薬品送達システム(100)の第1構成を示す。この構成では、治療用医薬品送達システム100は、2つの別個のサブシステム、すなわち、(1)医薬品送達デバイス(DDD)110、および(2)睡眠監視システム(SMS)120を含む。2つのサブシステム(110、120)は、同じ通信プロトコルを利用し、適切な通信チャネル130を介して互いに通信する(例えば、データおよびコマンドを交換する)ことができる。通信チャネル130は、コンピュータ通信ケーブル(例えば、同軸ケーブル、イーサネットケーブル、USBケーブルなど)を実装することができ、また、公知の通信プロトコル(ブルートゥース(登録商標)、WiFi、GSM(第2世代移動通信システム))を使用することによってワイヤレスで通信することができる。
【0037】
DDD110は、制御可能な医薬品送達ユニット(DDU)140、DDU140の作動を制御(152)するためのコントローラ150、ユーザインターフェース(UI)160、データ保存ユニット(DSU)170、通信インターフェース180、およびDDD110に電力を供給するための電池190(再充電式または有限)を含むことができる。通信インターフェース180は、例えば、SMS120(図1に示される)と通信するように構成することができ、または様々な実施形態において、任意のデータ保存媒体(例えば、FitBit、Whoop Band、Apple Watchなどの第三者トラッカーによってホストされるクラウド、メモリ、サーバー、またはコンピュータ)と通信するように構成することができる。DDD110は、PD患者112に装着可能または取り付け可能であるように設計されている。DDU140は、治療用医薬品をその中に貯蔵するための治療用医薬品リザーバー142と、例えば、注入カテーテル148を介して、排出された治療用医薬品を患者112に送達するために、制御された方法(146)で、治療用医薬品リザーバー142から治療用医薬品を排出するように設計されている(機械的もしくは電気的、または機械的および電気的の両方で)制御可能な分配機構144とを含み得る。
【0038】
コントローラ150は、通信インターフェース180またはユーザインターフェース160を介して睡眠データを受け取り、その睡眠データを使用して、1つ又は複数の操作パラメータの値を計算するように構成されることができ、コントローラ150は、分配機構144を作動させるために使用することができる。コントローラ150はまた、通信インターフェース180またはユーザインターフェース160を介して操作パラメータの値を(計算するのではなく)受け取るように構成され得る。
【0039】
ユーザインターフェース(UI)160は、DDD110のユーザ(例えば、内科医、PD患者、またはPD患者を支援する介護者)が、DSU170内に、様々なタイプのデータ(例えば、睡眠パターンを形成する睡眠イベントに対応する睡眠データ)を手動で保存することを可能にする。ユーザインターフェース(UI)160は、また、DDD110のユーザが、コントローラ150に対して、1つ又は複数の医薬品送達操作パラメータ(本明細書では略して「操作パラメータ」と呼ばれることもある)の治療上有効な値を設定することを可能にする。ユーザが操作パラメータに対して設定する値は、DSU170に保存することもできる。コントローラ150は、パラメータの値を実装または使用して、これらの値に従って医薬品分配機構144の作動を制御することができる。
【0040】
ユーザがコントローラ150の操作パラメータに対して設定することができる値は、それらを(例えば、コントローラ150によって)医薬品分配機構144に適用することにより、一般にPD患者が苦しんでいるか、またはPD患者が苦しんでいると疑われるPD患者の睡眠を最適化し、彼もしくは彼女の睡眠の質を改良し、および/又は非運動症状を改善するように選択することができる。コントローラ150が医薬品分配機構144を作動させるために使用することができる操作パラメータの例は、医薬品流量、医薬品送達タイミング(医薬品送達開始時刻および/又は医薬品送達停止時刻を含む)、単位時間あたりの医薬品流量の増加、単位時間あたりの医薬品流量の減少など、またはそれらの任意の組み合わせである。改善される非運動症状のタイプに応じて、異なる操作パラメータまたは追加の操作パラメータを使用することができ、関連するすべての操作パラメータを単独または集合的に(すなわち、他の操作パラメータと共に)使用して、PD患者が経験している1つ又は複数の非運動症状を改善することができる。
【0041】
ユーザインターフェース(UI)160は、保存されているデータに関して、および/又はユーザによって操作パラメータに設定された値に関して、および/又は結果として生じる瞬間的な(現在の)医薬品送達流量、および/又はコントローラ150が現在実施しているか、またはコントローラ150が実施するようにスケジュールされている医薬品送達タイミングに関して、ユーザのために有益なフィードバック信号(視覚的、聴覚的、および/又は触覚的)をさらに出力することができる。
【0042】
一般に、医薬品は、任意の公知の技術を使用して患者に送達することができる。いくつかの実施形態では、治療用医薬品リザーバー142は、プランジャーロッドに接続され、プランジャーロッドによって駆動可能であるプランジャーヘッドを含み得る。分配機構144は、例えば、電動モータを含むことができる駆動ユニットと、その電動モータによって作動される歯車ユニットを含むことができる。歯車ユニットは、医薬品リザーバーのプランジャーロッドと係合し、プランジャーロッド、従ってプランジャーヘッドを直線的に動かすように構成することができる。ユーザによって操作パラメータに対して設定され、DSU170に保存されている値を使用して、コントローラ150は、例えば、臨床的に望ましい医薬品送達開始時刻から臨床的に望ましい医薬品送達停止時刻まで、電動モータが歯車ユニットを操作してプランジャーヘッドを所望の(例えば、治療上有効な)速度(固定または可変である)で動かすように電動モータを制御することができる。同様の制御原理が適用可能であり、他の医薬品送達機構の適用についても本明細書は意図している。
【0043】
本明細書(例えば上記)に記載されるように、DDD110のユーザは、UI160を使用して、治療上有効な値をコントローラ150の操作パラメーターに設定し、コントローラ150がそれらの値に従って分配機構144の作動を制御できるようにすることができる。あるいは、コントローラ150は、通信インターフェース180を使用して、1つ又は複数の睡眠センサから発信された信号に基づく睡眠データ、またはその信号から得られる睡眠データを受け取ることができる。睡眠監視センサは、治療されるPD患者によって着用可能であるか、そうでなければ治療されるPD患者に接続されるか、又はそうでなければ(例えば、光学システムなどによってリモートで)治療されるPD患者の睡眠を監視することができる。コントローラ150は、アルゴリズムを使用して、通信インターフェース180を介して受け取る睡眠データを分析し、受け取った睡眠データにおいて、関係する(治療される)PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を集合的に形成し得る、1つ又は複数の睡眠イベント(例えば、レム睡眠、睡眠ステージ1、2、3など)を検出するか又は明確にすることができる。コントローラ150は、CSPから、またはCSPに基づいて、操作パラメータの値を決定(例えば、計算)することができる。コントローラ150が通信インターフェース180を介して受け取ることができる睡眠データ、およびコントローラ150によって決定された(例えば、計算された)パラメータの値もまた、DSU170に保存することができる。
【0044】
第1のシナリオによれば、コントローラ150は、DDD110のユーザによって操作パラメータに設定された値のみを使用することができる。第2のシナリオによれば、コントローラ150は、コントローラ150自体が操作パラメータに設定した値のみを使用することができる。第3のシナリオによれば、コントローラ150は、ある場合には、DDD110のユーザによって操作パラメータに設定された値を使用することができるが、他の場合には、コントローラ150は、コントローラ150自体が操作パラメータに設定した値を使用することができる。第3のシナリオでは、コントローラ150は、例えば、最初に、コントローラ150が操作パラメータに設定した値を使用することができるが、ユーザが望む場合、コントローラ150によって設定されたパラメータの値は、ユーザによって操作パラメータに設定される値によって上書き(置換)され得る。いくつかの実施形態では、ユーザによって操作パラメータに対して設定された(例えば、プログラムされた)値は、コントローラが設定した値に上書きされる。このような上書きは、時折、限られた期間など、断続的に実行される場合がある。
【0045】
睡眠監視システム(SMS)120は、コントローラ122、ユーザインターフェース(UI)124、データ保存ユニット(DSU)126、通信インターフェース128、およびセンサインターフェース132を含み得る。通信インターフェース128および通信インターフェース180は、通信チャネル130を介して互いに通信するように(電気的およびソフトウェア的に)構成されている。
【0046】
センサインターフェース132は、数がn個の睡眠センサ(図1では、センサ-1、センサ-2、…、センサ-nと示されている)に有線または無線で接続することができる。n個のセンサの中のあるセンサは、一般に、患者データを収集することができる任意のセンサ、例えば、電極、神経活動センサ、EEGセンサ、ECGセンサ、EMGセンサ、ポリソムノグラフィー(PSG)センサ、睡眠センサ、睡眠状態センサー、ローカル電場電位センサ、加速度計、睡眠中の移動を検出するように構成された腕時計、光学センサ、カメラなどである。代替または追加のセンサをセンサインターフェース132に接続することができる。n個のセンサ、またはn個のセンサのいくつかは、PD患者の1つ又は複数の生理学的パラメータまたは生理学的特性を測定するように構成された生理学的センサであり得る。センサは、治療用医薬品送達パターン(DDP)がPD患者に適用される前、適用中、および/又は適用後に、生理学的データ(例えば、睡眠疾患または睡眠状態を示す生理学的データ)を提供することができる。一部のセンサは、PD患者の空間的な動きを感知するために使用できる。DDPは、治療中に医薬品がPD患者に送達される医薬品の流量、および各医薬品流量のタイミングおよび各医薬品流量の持続時間を指す。
【0047】
睡眠センサ、またはいくつかの睡眠センサは、ユーザが着用することができる(またはそうでなければユーザに接続可能である)か、そうでなければ、ユーザ(例えば、PD患者)の睡眠を監視するように構成することができる。睡眠センサは、ユーザが現在いる可能性のある睡眠ステージ、またはユーザの現在の睡眠状態を表すか、または示す電気信号を生成することができる。センサインターフェース132は、n個のセンサによって生成される電気信号を受け取り、その信号を睡眠データに変換し、結果として生じる睡眠データをDSU126に保存することができる。コントローラ122は、通信チャネル130を介してDDD110から、睡眠データ(例えば、DSU126に保存されている睡眠データ)の“要求”を受け取ることができる。コントローラ122は、コントローラ150によってさらに処理するために、(通信チャネル130を介して)要求された睡眠データをDDD110に転送することによって要求に応答することができる。ユーザインターフェース124は、例えば、睡眠データが収集される(例えば、DSU126に保存するために)センサを選択(または選択解除)し、および/又はDSU126に保存されている睡眠データを操作するなどのために、ユーザによって使用され得る。
【0048】
図2は、パーキンソン病(PD)患者に関連する疾患を治療するための、例えば、他の実施例に従ってPD患者における睡眠の最適化、睡眠の質の改良、および/又は睡眠障害の改善のためのDDD(200)の第2構成を示す。DDD200は、DDU230の作動を制御する(220)ためのコントローラ210、ユーザインターフェース(UI)240、データ保存ユニット(DSU)250、センサインターフェース260、およびDDD200に電力を供給するための電池270(例えば、再充電式または有限)を含むことができる。DDD200は、PD患者212によって着用可能であるか、またはPD患者212に取り付け可能であるように設計されている。DDU230は、治療用医薬品をその中に貯蔵するための治療医薬品リザーバー232、および制御可能な分配機構234を含み得る。分配機構234は、例えば注入セット(例:カテーテル)238を介して、排出された治療用医薬品を患者212に送達するように、制御された方法(236)で、治療用医薬品を医薬品リザーバー232から排出するように(機械的もしくは電気的に、または機械的および電気的の両方で)設計されている。
【0049】
コントローラ210は、センサインターフェース260またはユーザインターフェース240を介して睡眠データを受け取るように構成され得るか、またはSMS280に含まれる通信インターフェースは、任意のデータ保存媒体(例えば、FitBit、Whoop Band、Apple Watchなどの第三者トラッカーによってホストされるクラウド、メモリ、サーバーまたはコンピュータ)と通信するように構成することができる。コントローラ210は、コントローラ210が分配機構234を作動させるために使用する1つ又は複数の操作パラメータの値を(例えば、計算することによって)決定するために、睡眠データを使用することができる。コントローラ210はまた、センサインターフェース260またはユーザインターフェース240を介して操作パラメータの値を(決定するのではなく)受け取るように構成され得る。
【0050】
DDU230は、例えば、図1のDDU140に関連して、本明細書に記載された方法で機能し得る。ユーザインターフェース(UI)240は、例えば、図1のUI160に関連して、本明細書に記載された方法で機能し得る。データ保存ユニット(DSU)250は、例えば、図1のDSU170およびDSU126に関連して、本明細書に記載された方法で機能し得る。センサインターフェース260は、例えば、図1のセンサインターフェース132に関連して、本明細書に記載された方法で機能することができる。センサインターフェース260は、例えば、図1のセンサインターフェース132に関連して、本明細書に記載された方法で機能することができる。
【0051】
センサインターフェース132と同様に、センサインターフェース260は、ユーザ(例えば、PD患者)の睡眠を監視するために、数がn個の睡眠センサ(図1ではセンサ-1、センサ-2、…、センサ-nと示される)に有線または無線で接続することができる。睡眠センサは、ユーザの睡眠ステージおよび/又は睡眠状態を表すか、または示す電気信号を生成することができる。センサインターフェース260は、n個のセンサによって生成される電気信号を受け取り、その電気信号を睡眠データに変換し、結果として生じる睡眠データをDSU250に保存することができる。DDD200のユーザは、また、ユーザインターフェース240を使用して、睡眠データをDSU250に保存するためのセンサを選択(または選択解除)し、およびDSU250にすでに保存されている睡眠データを操作することができる。
【0052】
DDD200のユーザ(例えば、内科医、PD患者、またはPD患者を支援する介護者)は、UI240を使用して、様々なタイプのデータ(例えば、ユーザの睡眠パターン、ユーザの他の健康データ、ユーザの生物学的データ、またはユーザの肉体的データを形成する睡眠イベントに対応する睡眠データ)を手動でDSU250に保存することができる。ユーザインターフェース(UI)240は、また、DDD200のユーザが、コントローラ210の操作パラメータの治療上有効な値を設定することを可能にする。ユーザが操作パラメータに対して設定する値は、また、DSU250に保存することができる。コントローラ210は、そのパラメータの値を実装または使用して、これらの値に従って医薬品分配機構234の作動を制御することができる。
【0053】
ユーザがコントローラ210の操作パラメータに対して設定することができる値は、それらを(コントローラ210によって)医薬品分配機構234に適用することにより、PD患者が苦しんでいるか、またはPD患者が苦しんでいると疑われる、睡眠を最適化し、および/又は睡眠の質を改良し、および/又は非運動症状を改善するように選択することができる。コントローラ210が医薬品分配機構234を作動させるために使用することができる操作パラメータの例は、例えば、コントローラ150に関連して、本明細書に記載されている。
【0054】
ユーザインターフェース(UI)240は、保存されているデータに関して、および/又はユーザによって操作パラメータに設定された値に関して、および/又は結果として生じる瞬間的な(現在の)医薬品送達流量、および/又はコントローラ210が現在実施している、またはコントローラ210が実施するようにスケジュールされている医薬品送達タイミングに関して、ユーザに有益なフィードバック信号(視覚的および/または聴覚的)を出力することができる。
【0055】
一般に、医薬品は、任意の公知の技術を使用して患者に送達することができる。いくつかの実施形態では、治療用医薬品リザーバー232は、プランジャーロッドに接続され、プランジャーロッドによって駆動可能であるプランジャーヘッドを含み得る。分配機構234は、例えば、電動モータを含むことができる駆動ユニットと、電動モータによって駆動される歯車ユニットを含むことができる。歯車ユニットは、医薬品リザーバーのプランジャーロッドと係合し、プランジャーロッド、従ってプランジャーヘッドを直線的に動かすように構成することができる。ユーザによって操作パラメータに設定され、DSU250に保存されている値を使用して、コントローラ210は、例えば、治療上有効なタイミングに従って、固定または可変である、所望の医薬品送達流量に対応して、電動モータが歯車ユニットを操作してプランジャーヘッドを所望の(例えば、治療上有効な)速度で動かすように電動モータを制御することができる。
【0056】
本明細書(例えば上記)に記載されるように、DDD200のユーザは、UI240を使用して、治療上有効な値をコントローラ210の操作パラメータに設定し、コントローラ210がそれらの値に従って分配機構234の作動を制御できるようにすることができる。あるいは、コントローラ210は、睡眠センサ、センサ-1、センサ-2、…、センサ-nのすべて、または一部によって生成される信号に基づくか、またはその信号に由来するか、またはその信号から発生する睡眠データを使用することができる。睡眠センサは、治療されるPD患者によって着用可能であるか、そうでなければ治療されるPD患者に接続されるか、又はそうでなければ治療されるPD患者の睡眠ステージまたは睡眠状態を監視することができる。コントローラ210は、アルゴリズムを使用して睡眠データを分析し、その睡眠データにおいて、関係する(治療される)PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を集合的に形成し得る、1つ又は複数の睡眠イベント(例えば、睡眠ステージ)を検出するか又は明確にすることができる。コントローラ210は、CSPから、またはCSPに基づいて、操作パラメータの値を決定(例えば、計算)することができる。睡眠データおよびコントローラ210によって決定された(例えば、計算された)パラメータの値もまた、DSU250に保存することができる。
【0057】
第1のシナリオでは、コントローラ210は、DDD200のユーザによって設定された操作パラメータの値のみを使用することができる。第2のシナリオでは、コントローラ210は、コントローラ210自体が操作パラメータに設定する値のみを使用することができる。第3のシナリオでは、コントローラ210は、時には、DDD200のユーザによって操作パラメータに設定された値を使用することができるが、他の場合には、コントローラ210は、コントローラ20自体が操作パラメータに設定した値を使用することができる。第3のシナリオでは、例えば、コントローラ210は、コントローラ210が操作パラメータに設定した値を最初に使用することができるが、ユーザが望む場合、コントローラ210によって設定されたパラメータの値は、ユーザによって操作パラメータに設定される値によって上書き(置換)され得る。操作パラメータに対してユーザによって設定された(例えば、プログラムされた)値は、間欠的に、限られた時間の間、または残りの睡眠時間の間、コントローラが設定した値に上書きされる。
【0058】
図3は、睡眠パターン(ヒプノグラム300)の例を概略的に示している。ヒプノグラムは、例えば、睡眠中の脳波(EEG)からの脳波活動の記録、および任意で睡眠中の他の睡眠監視センサおよびシステムからの記録を表す。ヒプノグラムは睡眠ポリグラフ検査の一種であり、ヒプノグラムは睡眠ステージを時間の関数として、例えば、睡眠中に識別できる急速な眼球運動を伴う睡眠(REM)や急速な眼球運動を伴わない睡眠(NREM)を表すグラフである。NREM睡眠はさらに、睡眠ステージ1、睡眠ステージ2および睡眠ステージ3に分類する(含む)ことができる。睡眠ステージ3は、本質的に、徐波睡眠(SWS)としても知られている第4の睡眠ステージ(睡眠ステージ4)を含んでいる。徐波睡眠は最も深い睡眠ステージである。3つのNREMステージのそれぞれ、およびREM睡眠の期間と覚醒状態を決定し、ヒプノグラムに表示することができる。
【0059】
ヒプノグラム300は、時間軸(横軸)および睡眠ステージ軸(縦軸)を含む。例として、睡眠ステージ軸は、覚醒ステージ(W)、レム睡眠ステージ(R)、睡眠ステージ1(1)、睡眠ステージ2(2)および睡眠ステージ3(3)の5つの睡眠ステージを含んでいる。ヒプノグラム300を参照すると、総睡眠時間310は、この例では、覚醒状態から睡眠ステージ1(320で示される)への移行時である、時間T1で開始し、(330で示される睡眠ステージ2などを経て)、この例では、睡眠ステージ1から覚醒状態に戻る移行時である、時間T2で終了している。総睡眠時間310は、先行する覚醒期と後続する覚醒期との間の時間である。
【0060】
通常、総睡眠時間は、いくつかの睡眠サイクルを含む。例として、ヒプノグラム300は、図3に、350、360、370、380および390として示されている5つの睡眠サイクル(n=5)を含む。一部の睡眠サイクルでは、さまざまな睡眠ステージ間で通常の移行が発生する場合がある。睡眠サイクルが不完全であるか、または睡眠サイクルに欠陥がある場合がある。これは、睡眠サイクルに1つ以上の睡眠ステージがないため、全体的な睡眠の質を低下させることを意味する。別の睡眠不足の問題は、睡眠サイクル内の1つ以上の睡眠ステージを飛ばした後に意図せずに目覚めることである。
【0061】
睡眠サイクル350および360は、睡眠ステージ間で下降移行中および睡眠ステージ間で上昇移行中の両方のすべての睡眠ステージを含む。睡眠サイクル350および360は、深い睡眠期間であるか又は深い睡眠期間を含む睡眠ステージ3を含む。睡眠の最も深いステージである徐波睡眠(SWS)を含む睡眠サイクルは、一般的に質の高い睡眠に寄与すると一般に考えられている。睡眠サイクル370は、睡眠ステージ間で上昇移行中の睡眠ステージ1、および睡眠ステージ間で下降移行中の睡眠ステージ3を欠いている。従って、睡眠サイクル370は、全体的な睡眠の質を妨害する。睡眠サイクル380は、睡眠ステージ間の下降移行および上昇移行の両方の間に睡眠ステージ3を欠いている。睡眠サイクル380はまた、睡眠ステージ1と覚醒ステージ(W)との間の異常な(意図的ではない)移行382(時間T3)を含んでいる。従って、睡眠サイクル380も、全体的な睡眠の質を妨害する。睡眠サイクル390はまた、睡眠ステージ間の下降移行および上昇移行の両方の間に睡眠ステージ3を欠いている。従って、睡眠サイクル390も、全体的な睡眠の質を妨害する。
【0062】
図4は、PD患者に関係する疾患を治療するためにPD患者に送達される治療用医薬品の流量を制御するための医薬品送達制御スキームを概略的に示している。医薬品送達制御スキームは、医薬品送達ユニット(例えば、DDU140、DDU230)を作動させるために使用される操作パラメータに設定される値によって決定されるか、または明確に示される。特定の医薬品送達制御スキームは、PD患者に医薬品を送達するために使用される特定のパターンを明確に示す。従って、操作パラメータに設定される値は、間接的に医薬品送達パターン(DDP)を明確に示すため、医薬品送達制御スキーム(DDCS)とDDPは相互に関連している。疾患の治療には、例えば、2、3例を挙げると、睡眠の最適化、睡眠の質の改良、および/又は睡眠障害の改善が含まれる。図4は、PD患者の睡眠パターン410の例を具現化するヒプノグラム400の例、および睡眠パターンの関数としての治療用医薬品流量制御スキーム420のトグル(オン/オフ)を示す。簡単に言えば、オン/オフ医薬品流量制御スキーム420は、PD患者が目覚めているときは高流量(430)で治療用医薬品をPD患者に送達し、PD患者が眠っているときは低流量(440)で治療用医薬品をPD患者に送達することを含む(例えば、時刻T1と覚醒時刻T2の間)。
【0063】
昼間、例えば、PD患者の運動症状を治療するために、PD患者に治療用医薬品(典型的にはレボドパまたはレボドパ-カルビドパベースの製剤)を連続的に送達することによって、PD患者は治療されるか、またはPD患者は治療されることができる。運動治療を効果的にするために、治療用医薬品は、図4の430で示される流量レベルである比較的高い流量(例えば、流量レベルL1)でPD患者にしばしば送達される。L1の値は、例えば、0.50ml/h~0.80ml/hの範囲から選択することができ、例えば、L1の値は、0.64ml/hとすることができる。L2の値は、例えば、0.05ml/h~0.10ml/hの範囲から選択することができ、例えば、L2の値は、0.08ml/hとすることができる。
【0064】
PD患者が眠りに落ちるとき、PD患者が覚醒しており、彼または彼女の不随意運動を制御する援助を必要とする昼間の運動症状の発現と比較して、運動症状は、それほど重症ではない。さらに、PD患者が就寝または入眠した場合、夜間の医薬品の過剰摂取を避けるために、夜間の医薬品送達流量を減らして、夜間の医薬品の総服用量を低く維持する必要がある。一部のPD患者では、夜間の医薬品の高い服用量が睡眠障害を引き起こす。従って、特に睡眠監視システムが、PD患者がちょうど眠りに落ちたことを示している場合、夜間に低流量で治療用医薬品を送達することは有益である。一部のPD患者の場合、全睡眠期間(たとえば、期間410)に低い医薬品送達流量であることが治療面および睡眠の質に関して有益であるが、他のPD患者の場合、総睡眠期間410内の特定の期間のみ、低い医薬品送達流量であることが、治療面および睡眠の質に関して有益である。他のPD患者は、効率的な治療を行うために、医薬品送達流量を別のスキームに従って変更することが必要とされる。言い換えれば、医薬品送達流量は、運動症状の治療および非運動症状(例えば、睡眠障害)の治療の両方の観点から、特定のPD患者の特定の治療ニーズに合わせて調整された医薬品送達制御スキームに従って変更することができる。
【0065】
図4図5および図6では、2つの流量(例えば、L1およびL2)が示されているが、本発明のさらなる実施例は、PD患者にとって望ましいように、もしくはPD患者に必要とされるように、またはPD患者に有益であるように、任意の数の流量(例えば、L1、L2、・・・、Lm:m=1、2、3、・・・)を実行できることが指摘される。例えば、L1とL2の間に中程度のレートがあり、特定の時間に実施される。例えば、図4図5および/又は図6に示されているL1および/又はL2の流量のいずれかと入れ替えるか、または部分的に入れ替えることができる。適切なタイミングで実施されるL2より低い流量、またはL1より高い流量がある。さらに、流量が0.00ml/hのときがあり、その結果、特定の時間、医薬品が投与されないか、または本質的に投与されない場合があり、その時間の長さは、センサ、内科医、介護者またはPD患者自身が記録したPD患者の健康状態から得たデータ(例えば、睡眠データ、運動データなど)によって本明細書に詳細に記載されているように決定される。
【0066】
本明細書に詳しく記載されるように、様々な流量の投与は、夜間流量および昼間流量の両方を含むことがさらに指摘される。しかしながら、昼間の睡眠症状の発現もあるので、PD患者が昼間に睡眠または休息するとき、本明細書に詳しく記載されるように、医薬品送達流量は変えられる。
【0067】
さらに、眠りに落ちるなどのPD患者へのすべての言及はまた、本明細書に詳しく記載されるように、休止、すなわち、その間の流量の変化が適切である、動きが活発でないPD患者を指す場合がある。同様に、覚醒などへの言及は、本明細書に詳しく記載されるように、流量の変化が適切であるように、より活発になることを含んでいる。さらに、「昼間」および「夜間」などへの言及は、それぞれ活動時間または高活動時間および非活動時間または低活動時間を指すことがある。
【0068】
医薬品送達制御スキームの例を示す図4を再び参照すると、時間T1で、PD患者は眠りに落ちる(患者の入眠は、睡眠監視システムによって感知または検出される)。睡眠中に推奨される医薬品送達流量についての上記の説明を考慮すれば、時間T1で、医薬品送達流量はレベルL1からレベルL2に減少する(レベル「L2」は440で示される;L1>L2)。時間T2で、PD患者は(睡眠監視システムによって与えられる表示)目覚め、そして上記の説明を考慮すれば、覚醒時間中に推奨される医薬品送達流量に関して、時間T2で、流量レベルL2から流量レベルL1に戻して医薬品送達流量を増加することによって、高い医薬品送達流量が再開される。
【0069】
図5は、パーキンソン病(PD)患者に関係する疾患を治療するために、PD患者に送達される治療用医薬品の流量を制御するための制御スキーム、例えば、制御スキームの別の例による睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠障害の改善を概略的に示す。この例では、医薬品送達流量制御スキームは、睡眠パターンで識別された(例えば、それに適合しているか、またはそれに由来している)レム睡眠イベントを対象としている。医薬品送達流量制御スキームがレム睡眠イベントを対象とする別の理由は、睡眠ステージ3(最も深い睡眠ステージ)が中断されないようにすることである。睡眠ステージ3を中断すると、睡眠の質が低下するが、これは通常望ましくない。簡単に言えば、医薬品流量(医薬品送達)制御スキーム520は、図5の例ではレム睡眠イベントR1、R2、・・・R5である特定の睡眠イベント中に比較的高い流量でPD患者に治療用医薬品を送達することを示している。
【0070】
図5は、PD患者の睡眠パターン510の例を具現化するヒプノグラム500の例、および睡眠パターン510の関数としての治療用医薬品流量制御スキーム(グラフ520)の例を示す。例として、睡眠パターン510は、時間T1で開始し、時間T8で終了し、5つのREM睡眠期間を含む:時間T2で開始するREM睡眠期間R1、時間T3で開始するREM睡眠期間R2、時間T4で開始するREM睡眠期間R3、時間T5で開始する期間R4および時間T6で開始するREM睡眠期間R5。各レム睡眠期間は、異なる睡眠サイクルを表すか、または異なる睡眠サイクルと関係している。
【0071】
本明細書に詳しく記載するように、医薬品送達流量は、運動症状を効率的に治療するために、昼間(PD患者が覚醒しているとき)に比較的高い、すなわち、レベルL1(図5の530で示される、L1> L2)である。この例では(例えば、特定のPD患者に関係する睡眠履歴データに基づいて)、PD患者の入眠時刻は、通常時刻T1またはその近くであると想定する。時刻T1に先行する時刻T0において、PD患者はまだ覚醒しているが、それにもかかわらず(すなわち、図5の医薬品送達流量制御スキームの例によれば)、医薬品送達流量は、全体的な睡眠の質の観点から低い総医薬品服用量が有益である睡眠モードに入る準備として、高い医薬品流量レベルL1(530で示される)から低い医薬品流量レベルL2(540で示される)に変化する。入眠開始時刻T1に先行する時間差550(Td)(すなわち、時間差Td=T1-T0)は、例えば、PD患者が経験している運動症状および/又は非運動症状(例えば、睡眠障害)の重症度に基づいて決定される。例えば、PD患者の運動症状が重症であるほど、Tdの値を小さくして、PD患者が睡眠モードに近づくか、または睡眠モードに入れるように、治療用医薬品(運動症状の治療に有用である)の高流量を可能な限り長く維持することができる。反対の例では、PD患者が経験している運動症状が中程度の場合、時間差(Td)が比較的長くなることがあり、従って、睡眠中に予想される全体的な医薬品服用量を減少することで、一方では、非運動症状(例えば、睡眠障害)を回避または抑制するのに役立つが、多方では、PD患者の運動症状を管理するのに依然として効果的である。
【0072】
睡眠の研究は、睡眠ステージ3が睡眠中の最も深い睡眠期間であり、睡眠の質および/又は睡眠量の低下が睡眠ステージ3中に発生する睡眠障害と相関していることを示唆している。一般に、睡眠ステージ3に対する中断が大きくなるほど、全体的な睡眠の質の低下が大きくなる。睡眠の研究はまた、睡眠中の医薬品(例えば、レボドパ)の服用のための過剰な送達が睡眠ステージ3を中断することを示唆している。従って、特に睡眠の質を最適化するため、一般に睡眠中および深い睡眠ステージ(睡眠ステージ3または睡眠ステージ4)中の医薬品送達流量を低くすることが有益である。
【0073】
レム睡眠ステージは睡眠ステージ3よりも睡眠の質に及ぼす影響が小さいので、睡眠の質を著しく損なうことなく、レム睡眠ステージR1、R2、・・・、R5中の医薬品送達流量は比較的高く(例えば、図5のレベルL1)することができる。従って、医薬品送達流量は、時間T0からT2(第1のレム睡眠(R1)イベントが開始する時間)まで低レベル(L2、540)に維持され、時間T2(第1のレム睡眠(R1)イベントが開始する時間)において、REM睡眠イベントR1に対応する(例えば、少なくとも部分的に重複し、または一致する)期間d1の間、高レベル(L1)に変更される。レム睡眠イベントR1が終了すると(またはレム睡眠イベントR1の終了直前または直後)、医薬品送達流量は時間T3まで低レベルL2に減少される。医薬品送達流量は、時間T3(第2のレム睡眠(R2)イベントが開始する時間)で、REM睡眠イベントR2に対応する(例えば、少なくとも部分的に重複し、または一致する)期間d2の間、高レベル(L1)で再開される。同上の医薬品送達流量プロセスは、例えば、レム睡眠イベントR3、R4、およびR5などの連続する各レム睡眠イベントにも適用される。従って、図5は、脈動型の医薬品流量制御を示す。
【0074】
各レム睡眠イベントにおける医薬品送達流量レベルは図5に示されているように変化する。つまり、すべてのレム睡眠イベントで、医薬品の流量を低レベルのL2から高レベル(例えば、レベルL1)に増加することができるが、他のシナリオでは、医薬品の流量を他の高流量レベルに増加することができる。その一部はレベルL1よりも低い場合もあり、高い場合もある。例として、レム睡眠イベントR1中の医薬品送達流量値はL1-delta_1、レム睡眠イベントR2中の医薬品送達流量値はL1+delta_2、レム睡眠イベントR3中の医薬品送達流量値はL1-delta_3などとすることができる(delta_1、delta_2、delta_3などは、例えば、基礎となる流量レベルL1のパーセンテージであり、例えば、それぞれ流量レベルL1の約5%、約3%、約2%などである)。
【0075】
レム睡眠イベント間の医薬品送達流量レベルは図5に示すように変化する。例えば、各レム睡眠イベントの後に、医薬品流量を高レベルL1から低レベル(例えば、レベルL2)に減少させることができるが、他のシナリオでは、医薬品流量を他の低流量レベルに減少させることができる。その一部は低レベルL2よりも低い場合もあり、高い場合もある。例として、レム睡眠イベントR1に続く期間(すなわち、レム睡眠イベントR1とレム睡眠イベントR2との間の時間)の医薬品送達流量値は、L2-delta_1とすることができる。レム睡眠イベントR2に続く期間(すなわち、レム睡眠イベントR2とレム睡眠イベントR3の間の時間)の医薬品送達流量値は、L2+delta_2とすることができる。レム睡眠イベントR3に続く期間(すなわち、レム睡眠イベントR3とレム睡眠イベントR4との間の時間)の医薬品送達流量値は、L2-delta_3とすることができる。(delta_1、delta_2、delta_3などは、例えば、基礎となる流量レベルL2のパーセンテージであり、(例えば、それぞれ流量レベルL2の約6%、約4%、約1%などである)。一部のシナリオでは、医薬品送達流量を組み合わせたスキームに従って変更できる。つまり、基礎となるレベルL1とL2の両方は、修飾子delta_i(i=1、2、3、・・・)を使用して変更できる。
【0076】
図6は、PD患者に関係する疾患を治療するために、PD患者に送達される治療用医薬品の流量を制御するための医薬品送達制御スキーム、例えば、別の実施例による睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠障害の改善を概略的に示す。簡単に言えば、医薬品流量制御スキーム650は、PD患者が睡眠モードに入る前に(例えば、予想して)、時間T0と時間T1との間で、医薬品送達流量を(例えば、比較的高い昼間の医薬品送達流量から)徐々に低下させることを示している。次に、睡眠中(時間T1から時間T2の間)の低い医薬品送達流量を維持し、最後に、PD患者の目覚めを見越して、時間T2と時間T3の間で医薬品送達流量を徐々に増加させる(例えば、昼間の医薬品送達流量に戻す)。
【0077】
図6は、PD患者の睡眠パターン610を具現化するヒプノグラム600、および睡眠パターンの関数としての治療用医薬品流量制御グラフ650を示している。この例では、医薬品送達流量制御スキームは、患者の睡眠パターンの睡眠サイクルの所定の数n(依存するか、それに基づくか、またはそれに由来する)を対象としている。例として、睡眠パターン610は、時間T1(入眠時)で開始し、時間T3(覚醒時)で終了し、5つのREM睡眠イベントを含む:REM睡眠イベントR1、REM睡眠イベントR2、REM睡眠イベントR3、REM睡眠イベントR4、およびREM睡眠イベントR5。各レム睡眠イベントは、異なる睡眠サイクルと関係している(従って、表すことができる)。例として、3つの睡眠サイクルが620、630および640として示されている。
【0078】
この例では、時間T0に至るまで、PD患者は覚醒している。その間、患者の運動症状を改善するために、医薬品送達流量は高レベル(L2;652で示される)である。入眠時刻T1に先行する時刻T0において、PD患者はまだ覚醒しているが、図6の医薬品送達流量制御スキームの例によれば、医薬品送達流量は、医薬品服用量を減少して睡眠モードに入る準備として(予想して)、例えば、減少する角度660で、高い医薬品流量レベルL1から低い医薬品流量レベルL2に徐々に減少する(例えば、654で示されるように、線形、単調、段階的など)。これは、全体的な睡眠の質の観点から有益である。入眠時刻T1に先行する時間差Td(時間654、すなわち、Td=T1-T0)およびT0とT1との間の下降流量の減少角度660は、例えば、PD患者が経験している運動症状および/又は非運動症状(例えば、睡眠障害)の重症度に基づいて決定され得る。
【0079】
図6の医薬品送達流量制御スキームによれば、医薬品送達流量は、低レベル、例えば、流量レベルL2(670で示される)で、およびn個の連続する睡眠サイクルの間、維持することができる。例として、図6は、3つ(n=3)の連続した睡眠サイクル(睡眠サイクル620、630および640)を示しており、その間、医薬品送達流量は、低レベルL2に維持される。3つの連続する睡眠サイクルの間、医薬品送達流量を低レベル(L2)に維持することは、睡眠サイクル620、630、および640のうちの1つ又は複数が睡眠ステージ3(最も深い睡眠ステージ)を含み、睡眠ステージ3において医薬品流量を低レベルに維持することは、深い睡眠ステージが中断されることを防ぎ、患者が正常な(中断されない)睡眠または正常に近い睡眠につくチャンスが増えるので、有益である。
【0080】
時刻T2は、3つの睡眠サイクル620、630および640の完了を大まかに示す。この例では(たとえば、過去の睡眠データに基づいて)、関係するPD患者の睡眠パターンが合計で、例えば5つの睡眠サイクル(追加の2つの睡眠サイクルは、図6でR4およびR5として示されている)を含むと仮定すると、3つの睡眠サイクル620、630および640(5つの睡眠サイクルの総数の60%)の完了後にPD患者が目覚めようとしていることが、(例えば、図1のDDD100または図2のDDD200によって)決定できる。従って、時刻T2において、医薬品送達流量は、PD患者が完全に目覚めている、またはPD患者が目覚めていると予想される時刻である時刻T3で医薬品送達流量が高流量レベルL1に達するまで、例えば、増加する角度680で、徐々に(例えば、線形、単調、段階的など)増加する。n個の睡眠サイクルの直後の時間、すなわち、時刻T2とT3の間の時間は、覚醒前期間と見なすことができる。時刻T2と時刻T3との間で(例えば、PD患者が覚醒前期間でまだ眠っている間に)医薬品送達流量を徐々に増加させると、PD患者の覚醒への準備として医薬品のレベルを徐々に上昇させる。そのような準備は、PD患者がベッドから出て、服を着て、そして一般的に、目覚めた後に彼または彼女が通常することを手助けしてくれる。
【0081】
図7は、実施例に従って、例えば、睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠障害の改善のために、パーキンソン病(PD)患者に関係する疾患を治療するための治療用医薬品送達システムを操作する方法を示す。図7は、図1に関連して説明される。
【0082】
ステップ710において、治療用医薬品送達システム100は、いくつかの実施形態において、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付ける、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データを受け取り、CSPに基づいて、睡眠の最適化、一般的な睡眠の質の改良および/又は睡眠機能障害の改善の観点から有益な値に治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータを設定する。あるいは(例えば、他の実施形態では)、治療用医薬品送達システム100は、外部システムから治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を受け取ることができる。
【0083】
ステップ720で、治療用医薬品送達システム100は、治療用医薬品送達システムの操作パラメータに設定された値、またはその操作パラメータのために受け取られた値に従って、PD患者に治療用医薬品を送達することができる。治療用薬送達システム100の操作パラメータに設定された値、またはその操作パラメータのために受け取られた値は、睡眠期間全体にわたって使用されるが、またはそれらは時々、またはリアルタイムで(新たに受け取られた値、または新たに設定された操作パラメータの値を使用することによって)調整することができる。その調整は、リアルタイムで、または時々、例えば、事前に指定された時間間隔で、または特定の客観的または主観的な表示またはパラメータが、調整が有益であると示唆する場合、自動的に、例えば、システムによって又はシステムからの入力に基づいて実行することができる。または、その調整は、例えば、手動で、例えば、PD患者、内科医または介護者によって実行される。
【0084】
ステップ730で、治療用医薬品送達システム100は、操作パラメータのための新しい値が受け取られたか、または決定される必要があるかどうかをチェックすることができる。そのような値が受け取られていないか、または決定される必要がない場合(これは、ステップ730で「いいえ」(No)として示される)、治療用医薬品送達システム100は、最後に受け取られた値または最後に決定された値を使用し続けることができる。しかしながら、治療用医薬品送達システム100が操作パラメータのための新しい値を受け取る場合、またはその値を再計算する必要がある場合(ステップ730で「はい」(Yes)として示される)、治療用医薬品送達システム100は、治療用医薬品送達システム100の操作パラメータに設定された新しい値、または操作パラメータのために受け取られた新しい値に従って治療用医薬品をPD患者に送達する。
【0085】
図8は、別の実施例に従って、例えば、睡眠の最適化、睡眠の質の改良、および/又は睡眠障害の改善のためのPD患者に関係する疾患を治療するための治療用医薬品送達デバイスを操作する方法を示す。図8は、図2に関連して説明される。
【0086】
ステップ810で、治療用DDD200は、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付ける、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データ、または治療用DDD200の1つ又は複数の操作パラメータの値のいずれかを受け取ることができる。これらは、睡眠の最適化、睡眠の質の改良または睡眠機能障害の改善の観点から有益である。治療用DDD200が睡眠データを受け取る場合、治療用DDD200(例えば、コントローラ210)は、CSPに基づいて、治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータを計算し、例えば、睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠機能障害の改善の観点から有益な値に設定することができる。
【0087】
ステップ820で、治療用DDD200は、治療用医薬品送達システムの操作パラメータのために、コントローラ210によって設定された値、またはコントローラ210によって受け取られた値に従って、医薬品リザーバー232からPD患者に治療用医薬品を(例えば、分配機構234の作動を制御するコントローラ210によって)送達することができる。
【0088】
制御ループ830は、コントローラ210が医薬品送達ユニット(DDU)230を制御して治療用医薬品をPD患者に送達するために使用できる操作パラメータの値を(例えば、コントローラ210によって)調整するための様々なオプションを表す。例えば、操作パラメータの値は、いつでも(例えば、就寝前、患者が夜中に目覚めているときなど)、PD患者、介護者および/又は内科医によって(例えば、ユーザインターフェース240を介して)、手動で調整する(例えば、プリプログラムする)ことができる。あるいは、またはさらに、操作パラメータの値は、コントローラ210が受け取る(および操作パラメータの新しい値を計算または決定するために使用する)ことができるリアルタイムの睡眠データに基づいて、またはコントローラ210が受け取ることができる新しい操作パラメータ値に基づいて、リアルタイムで自動的に(例えば、コントローラ210によって)調整することができる。
【0089】
図9は、さらに別の実施例に従って、例えば、睡眠の最適化、睡眠の質の改良、および/又は睡眠障害の改善のための、パーキンソン病(PD)患者に関係する疾患を治療するための治療用医薬品送達デバイスを操作する方法を示す。図9は、図2および図5に関連して説明される。
【0090】
(例えば)図5に関して記載されているように、レム睡眠イベント中の医薬品送達流量は、図5について説明されているように、レム睡眠イベント中の中断は、通常、睡眠の質に大きな関係がないか、又は実質的な関係がないので、高くすることができる。従って、図9の医薬品送達制御スキームは、PD患者の睡眠パターン内のレム睡眠イベントの検出に基づいており、関係する操作パラメータの値を、検出された各レム睡眠イベント中の高い医薬品流量に対応する値に設定する。
【0091】
ステップ910において、治療用DDD200は、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付ける、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データ、または治療用DDD200の1つ又は複数の操作パラメータの値のいずれかを受け取ることができ、これらは、睡眠の最適化、睡眠の質の改良または睡眠機能障害の改善の観点から有益である。治療用DDD200が睡眠データを受け取る場合、治療用DDD200(例えば、コントローラ210)は、CSPに基づいて、治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータを計算し、睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠機能障害の改善の観点から有益な値に設定することができる。
【0092】
ステップ920で、治療用DDD200は、医薬品送達流量を制御するための操作パラメータのためにコントローラ210によって設定された値またはコントローラ210によって受け取られた値に従って、医薬品リザーバ232からPD患者に治療用医薬品を(例えば、分配機構234の作動を制御するコントローラ210によって)送達することができる。
【0093】
ステップ930で、コントローラ210は、(例えば、コントローラ210が受け取ることができるリアルタイムの睡眠データに基づいて)、新しいレム睡眠イベントまたは追加のレム睡眠イベントが始まったかどうかをチェックする。コントローラ210が、ステップ930で、新しいか又は別のレム睡眠イベントが始まったと判断した場合(ステップ930で「はい」(Yes)として示される状態)、コントローラ210は、ステップ940で、操作パラメータを、高流量でPD患者に治療用医薬品を送達するために医薬品送達ユニット(DDU)230を制御するために適した値に設定することができる。コントローラ210は、現在のレム睡眠イベントがオンである限り(この状態は、ステップ930でチェックされる)、医薬品送達を高流量に維持することができる。しかしながら、コントローラ210が、ステップ930で、現在のレム睡眠イベントが終了したと決定した場合(ステップ930で「いいえ」(No)として示される状態)、コントローラ210は、ステップ910で、コントローラ210によって最後に受け取られたか又はコントローラ210によって決定された操作パラメータの値を再利用することができ、ステップ920でそれらを使用して、これらの値に対応する医薬品送達流量で医薬品リザーバー232からPD患者に治療用医薬品を送達する。
【0094】
コントローラ210は、ステップ930に再度アクセスして、追加のレム睡眠イベントがあるかどうかを確認し、上記の方法でそのような各レム睡眠イベントを管理することができる。すなわち、レム睡眠イベント中およびレム睡眠イベント期間中、高流量で治療用医薬品を送達するように、治療用医薬品送達システムの操作パラメータの値を設定する。コントローラ210は、PD患者が目覚めたときに医薬品送達プロセスを終了することができる。
【0095】
図10は、さらに別の実施例に従って、睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠障害の改善のために、パーキンソン病(PD)患者に関係する疾患を治療するための治療用医薬品送達デバイスを操作する方法を示す。図10は、図2および図6に関連して説明される。
【0096】
(例えば)図6に関して記載されているように、医薬品送達流量は、nより大きい睡眠サイクルの総数のうち、睡眠パターンにおける最初のn個の連続する睡眠サイクル(例えば、図6の睡眠サイクル620、630および640、すなわち、図6においては、n=3)の間、低くなることは有益である。この理由は、その期間中の低い医薬品服用量が睡眠の質に寄与するか、睡眠を促進するためである。例として、n個の睡眠サイクルは、夜間の睡眠サイクルの総数の50%、または夜間の睡眠サイクルの総数の70%、または関連する睡眠パターン内の睡眠サイクルの総数の別のパーセンテージである。n個の連続する睡眠サイクルに続く睡眠サイクルの間、PD患者が朝に目覚める準備をするために、図6の690に示すように、医薬品送達流量を徐々に(例えば、線形、単調、段階的に)増加させることが有益である。
【0097】
ステップ1010で、治療用DDD200は、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付ける、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データ、または治療用DDD200の1つ又は複数の操作パラメータの値のいずれかを受け取ることができる。これらの値は、睡眠の最適化、睡眠の質の改良または睡眠機能障害の改善の観点から有益である。治療用DDD200が睡眠データを受け取る場合、コントローラ210は、CSPを使用して、例えば、睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠障害の改善の観点から有益である医薬品送達値を計算し、これらの値に対して、DDD200の1つ又は複数の操作パラメータを設定することができる。
【0098】
ステップ1020において、治療用DDD200は、医薬品送達流量を制御するための操作パラメータのために、コントローラ210によって設定された値、またはコントローラ210によって受け取られた値に従って、医薬品リザーバー232からPD患者に治療用医薬品を(例えば、分配機構234の作動を制御するコントローラ210によって)送達することができる。図6を参照すると、コントローラ210がこのステージで実施することができる医薬品送達流量制御スキームは、入眠に先行する短い期間であるプリスリーピング期間(図6で654で示される)において、(この例では)線形に、または徐々に、医薬品送達流量を減少させる。図6の例では、それは時刻T0と入眠時刻T1との間の時間である。
【0099】
ステップ1030で、コントローラ210は、(例えば、過去の睡眠データに基づいて、および/又はコントローラ210が受け取ることができるリアルタイムの睡眠データに基づいて)、入眠時刻、例えば入眠時刻T1(図6参照)から経過した連続する睡眠サイクルの数をチェックすることができる。コントローラ210が、ステップ1030で、入眠時刻から(例えば、入眠時刻T1から)経過した睡眠サイクルの数がn(ステップ1030で「はい」(Yes)として示される状態)であると決定した場合、コントローラ210は、ステップ1040で、操作パラメータを、医薬品送達ユニット(DDU)230を制御するために適した値に設定し、例えば、図6の時刻T3でPD患者が目覚めるのを予想して、PD患者に対して、徐々に(例えば、線形、単調、段階的など)流量が増加する(図6の690で角度680として示されている)ように治療用医薬品を送達することができる。次に、ステップ1020で、コントローラ210は、ステップ1040で操作パラメータに設定した値に従って、PD患者に治療用医薬品を送達する。すなわち、コントローラ210は、徐々に流量が増加するようにPD患者に医薬品を送達し始める。しかしながら、コントローラ210が、ステップ1030で、連続する睡眠サイクルの数がまだnよりも少ないと決定した場合(その状態は、ステップ1030で「いいえ」(No)として示されている)、コントローラ210は、ステップ1010に再度アクセスすることができ、例えば、患者の睡眠の中断を回避するために、医薬品送達流量を低レベルに(例えば、図6で670として示されるように)維持することができる。コントローラ210は、n個の連続する睡眠サイクルが経過するまで待機してから、PD患者の目覚めに向けて医薬品送達流量を徐々に(例えば、線形、段階的など)増加させ始めることができる。
【0100】
図11は、実施例に従って、例えば、睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠障害の改善のために、パーキンソン病(PD)患者に関係する疾患を治療するための治療用医薬品送達デバイスを操作する方法を示す。図11は、図2に関連して説明される。本明細書に記載されているように、この重要な睡眠ステージ3のあいだの睡眠障害を回避するために、睡眠ステージ3(睡眠サイクルの最も深い睡眠ステージ)の間に低流量でPD患者に医薬品を送達することが有益である。
【0101】
ステップ1110で、DDD200は、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付ける、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データ、またはDDD200の1つ又は複数の操作パラメータの値のいずれかを(例えば、ユーザインターフェース240を介して)受け取ることができる。これは、睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠障害の改善の観点から有益である。DDD200が睡眠データを受け取る場合、コントローラ210は、CSPを使用して、DDD200の1つ又は複数の操作パラメータを計算し、例えば、PD患者の睡眠を最適化し、睡眠の質を改良し、および/又は睡眠障害を改善することができる値に設定することができる。ステップ1120で、DDD200は、コントローラ210が医薬品送達流量を制御するための操作パラメータに対して設定する値か、またはその操作パラメータのために受け取る値に従って、医薬品リザーバー232からPD患者に治療用医薬品を(例えば、分配機構234の作動を制御するコントローラ210によって)送達することができる。
【0102】
ステップ1130で、コントローラ210は、PD患者が現在睡眠ステージ3(深い睡眠ステージ)にあるかどうかを決定するために、リアルタイムで(例えば、センサインターフェース260を介して)受け取る睡眠データ、またはユーザインターフェース240を介して受けとる睡眠データを分析する。コントローラ210が、ステップ1130で、PD患者が現在睡眠ステージ3にあると決定した場合(ステップ1130で「はい」(Yes)として示される状態)、コントローラ210は、ステップ1140で、操作パラメータを、低流量でPD患者に治療用医薬品を送達するために医薬品送達ユニット(DDU)230を制御するために適している値に設定することができる。次に、ステップ1120で、コントローラ210は、ステップ1140で操作パラメータに設定した値に従って、PD患者に治療用医薬品を送達する。しかしながら、コントローラ210が、ステップ1130で、PD患者が現在いる睡眠ステージが睡眠ステージ3ではないと決定した場合(ステップ1130で「いいえ」(No)として示される状態)、コントローラ210は、ステップ1110に戻って、他の睡眠ステージ(すなわち、非睡眠3ステージ)の間にPD患者に治療用医薬品を送達するために(ステップ1120において)使用することができる操作パラメータのための次の値を決定する。
【0103】
図12は、さらに別の実施例に従って、例えば、睡眠の最適化、睡眠の質の改良および/又は睡眠障害の改善のための、パーキンソン病(PD)患者に関係する疾患を治療するための治療用医薬品送達システム(DDS)1200の第3構成を示す。DDS1200はDDD1210および操作パラメータ計算システム(OPCS)を含む。
【0104】
図1および2において、医薬品送達システム100および医薬品送達システム200はローカルシステムである。すなわち、システム100のすべての部分(例えば、システムの医薬品送達デバイスおよび睡眠監視システム)は、通常、PD患者の居住地内の同じ物理的場所にある。同様に、システム200のすべての部分は、通常、PD患者の居住地内の同じ物理的な場所に配置される。対照的に、DDS1200は、医薬品送達操作パラメータの値の計算がどこでも実行できる手段を提案する。つまり、適切な睡眠データが(例えば、SMSまたはPD患者が着用している他の生理学的トラッカー、例えば、Fitbit、Whoop Band、Apple Watchなどによって)生成されたとしても、ローカル(例えば、PD患者の居住地内)および/又はリモートで(例えば、リモートシステムによって、またはリモートシステムで)、またはPD患者の居住地内で別のやり方で(ユーザインターフェイスを介して)提供される。そのようなネットワークベースの医薬品送達スキームを容易にする通信システムおよび通信方法の例を以下に説明する。
【0105】
DDD1210は、コントローラ1212、1つ又は複数の睡眠センサから睡眠信号を受け取り、任意選択で、コントローラ1212のために、その睡眠信号から睡眠データを生成するための、睡眠監視システム(SMS)1214を含む。DDD1210は、また、PD患者1218に治療用医薬品を送達するための医薬品送達ユニット(DDU)1216を含む。睡眠監視システム(SMS)1214は、一般に、SMS120(図1)および/又はSMS280(図2)と同じ方法または同様の方法で機能し得る。コントローラ1212は、コントローラ150がDDU140を制御し(図1)、かつコントローラ210がDDU230を制御する(図2)のと同じ方法または同様の方法でDDU1216を制御することができる。
【0106】
操作パラメータ計算システム(OPCS)1220は、例えば、リモートコントローラ1212から睡眠データを受け取り、通信ネットワーク1230を介してコマンドおよび他のタイプのデータをコントローラ1212と交換するための通信インターフェース(その通信インターフェースは図12には示されていない)を含む。操作パラメータ計算システム1220はまた、コントローラ1212が通信ネットワーク1230を介してOPCS1220に転送することができる睡眠データに基づくコントローラ1212の操作パラメータの値を計算するための操作パラメータの計算機(OPC)1222を含む。OPCS1220はまた、OPC1222を操作し、例えば、通信ネットワーク1230を介してのインバウンドデータ転送およびアウトバウンドデータ転送を制御するためのコントローラ(そのコントローラは図12には示されていない)を含む。インバウンドデータには、例えば、DDD1210がオンで作動中であることをOPCS1220に通知するメッセージ、SMS1214から発信された睡眠データ、およびDDD1210の操作パラメータの値(例えば、DDU1216のために)の要求が含まれる。アウトバウンドデータには、例えば、DDD1210がオン状態であることを認めるOPCS1220からのメッセージが含まれる。アウトバウンドデータには、DDD1210によって要求された操作パラメータの値も含まれる。
【0107】
DDS1200を操作する方法の例を以下に説明する。コントローラ1212は、SMS1214からリアルタイムの睡眠データ、または(ローカル)ユーザインターフェース(UI)からリアルタイムの睡眠データを受け取る(図12に示されていないUIは、UI160および/又はUI240と同じ方法または同様の方法で機能し得る)。通信ネットワーク1230を使用して、コントローラ1212は、DDD1210がオンで作動中であることをOPCS1220に通知する。また、コントローラ1212は、睡眠データをOPCS1220に転送する意図をOPCS1220に通知することもできる。次に、コントローラ1212は、DDU1216を作動させるための操作パラメータの値の計算または決定などの処理をするために、睡眠データをOPCS1220に送ることができる。コントローラ1212は、コントローラ1212がDDU1216の作動を制御することができる操作パラメータの値を返すために、OPCS1220に対する要求とともに睡眠データをOPCS1220に送ることができる。
【0108】
OPCS1220は、コントローラ(コントローラ1212)の通知および要求を受け取ることをコントローラ1212に(通信ネットワーク1230を介して)認め、通信ネットワーク1230を介して睡眠データを受け取ることができる。操作パラメータの計算機(OPC)1222は、睡眠データに基づいて、操作パラメータの値を計算するか、または決定することができる。次に、OPCS1220は、通信ネットワーク1230を介して要求された操作パラメータの値をコントローラ1212に返すことができる。医薬品送達操作パラメータのための要求された値を受け取ると、コントローラ1212は、DDU1216を作動させて、これらの操作パラメータの値を使用することによって治療用医薬品をPD患者1218に送達することができる。
【0109】
操作パラメータの計算機(OPC)1222は、例えば、睡眠データに基づいて、しかしまた、特定のPD患者に適した(例えば、合わせて作られた)所定の医薬品送達流量制御スキームに基づいて、コントローラ1212の操作パラメータの値を計算するか、さもなければ決定することができる。例えば、睡眠データは、様々な睡眠イベント(例えば、睡眠ステージ1イベントの開始時刻および持続時間、レム睡眠イベントの開始時刻および持続時間など)の時間(例えば、開始時刻および持続時間)に関する情報を提供できるが、医薬品送達流量制御スキームは、様々な睡眠イベントのそれぞれに望ましい医薬品流量を指定することができ、その医薬品流量は、低いか又は高く、一定か(ある期間)または徐々に変化する(時々増加するか、および/又は他の時間に減少する)。
【0110】
本明細書に記載されている図4から図11(すべて含む)は、OPCS1220が操作パラメータの値を計算するために、またはそうでなければ、操作パラメータの値を決定するために使用することができる医薬品送達流量制御スキームの例を示している(特定のPD患者の対象疾患を治療するのに有用な他の医薬品送達流量制御スキームも同様の方法で使用することができる)。DDD1210による実施のための患者特有の医薬品送達流量制御スキームを、例えば、ユーザインターフェースを使用することによって(そのユーザインターフェースは図12には示されていない)、ローカルにOPCS1220にアップロードすることができる。また、そのスキームは、例えば、睡眠ラボ(または内科医)1240から通信ネットワーク1230を介してOPCS1220に転送される。OPCS1220は、アップロードされた、または転送された医薬品送達流量制御スキームを睡眠データに対して使用して(例えば、比較して)、各睡眠イベントに適した操作パラメータの値を計算するか、さもなければ決定することができる。いくつかの実施形態では、医薬品送達流量制御スキームは、例えば、医薬品送達流量制御スキームを睡眠データに対して使用すること(例えば、比較すること)によって、操作パラメータの値を決定するために、睡眠ラボ(または内科医)1240から直接コントローラ1212(OPCS1220ではなく)に送られる。
【0111】
通信ネットワーク1230は、例えば、有線ネットワークおよび/又は無線通信ネットワークであるか、またはそれらを含むことができる。通信ネットワークは、例えば、インターネット、Wi-Fiネットワーク、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、ワイヤレスLAN(ローカルエリアネットワーク)、ワイヤレスWAN(ワイドエリアネットワーク)、ワイヤレスMAN(メトロポリタンエリアネットワーク)、デジタルセルラーネットワーク(例えば、GSM)などである。操作パラメータ計算システム(OPCS)1220および睡眠ラボ1240はそれぞれ、例えば、ワイヤレスモバイルデバイス、携帯電話(例えば、スマートフォン)、個人用携帯情報端末(PDA)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータなどであるか、またはそれらを含む。これらは、適切なアプリケーションを含み、適切なアルゴリズムを実行する。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、医薬品送達制御スキームは、特定のPD患者における特定の疾患を治療(標的化)するために事前に決定され、睡眠プロセス全体にわたって変化しない。本明細書に記載されているように、(例えば、図4図5および図6に示され、本明細書に記載されているように)医薬品送達パターン(DDP)をPD患者に関係する睡眠イベントと共同させることは、疾患を治療するのに有益である。従って、DDPと睡眠イベントの間の共同性が治療中のある時点(たとえば、睡眠中)で損なわれた場合、治療が行われたとしても、その治療は最適とは言えないことがある。他の実施形態では、医薬品送達制御スキーム(DDCS)は、リアルタイムで収集または生成される睡眠データに基づいて、最初に適用され、後で、リアルタイムで、昼間や例えば、夜間に修正される。リアルタイム睡眠データが、現在使用されている医薬品送達パターン(DDP)とリアルタイム睡眠イベントの間に不整合があることを指摘または示している場合、DDCSはリアルタイム睡眠データに基づいてリアルタイムで変更(つまり、関連する操作パラメータの値が調整)されることがあり、DDPが実際の睡眠イベントおよび一般的な実際の睡眠パターンに再調整される。
【0113】
睡眠ラボ1240は、パーソナルコンピュータ、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、タブレット、アイパッド(登録商標)、携帯電話、アイフォンおよびアンドロイド(登録商標)フォンのようなスマートフォンなどであり、これらを含む。これらは、例えば、ネットワーク1230を介して(および/又は他の通信ネットワークを介して)、DDD1210およびOPCS1220との接続を確立することができ、一般に、任意のサーバーおよび/又はクラウドベースのアプリケーションとの接続を確立することができる。
【0114】
図13は、実施例に従って、医薬品送達パターン(DDP)をそのときの睡眠イベントに再調整するために、医薬品送達制御スキーム(DDCS)をリアルタイムで調整する方法を示す。ステップ1310において、コントローラ(例えば、コントローラ150、210または1212)は、初期値を医薬品送達ユニット(例えば、医薬品送達ユニット140、230または1216)の操作パラメータに設定して、初期医薬品送達制御スキーム(従って、初期の医薬品送達パターン)を明確に示すことができる。初期医薬品送達制御スキーム(DDCS)は、特定のPD患者における特定の疾患を標的とするように構成することができる。例えば、コントローラが使用できる初期のDDCSは、DDCS520に似ている場合がある(図5)。
【0115】
ステップ1320で、コントローラは初期DDCSを適用することができ、同時に、睡眠監視システム(SMS)(例えば、SMS120、280または1214)は、初期DDCSを使用することによって医薬品がPD患者に送達される間、PD患者の睡眠を監視することができる。SMSは、監視されている睡眠に対応する睡眠データを生成し、コントローラは、睡眠データを処理(例えば、解析、分析)して、例えば、睡眠ステージ1イベント、睡眠ステージ2イベント、REM睡眠イベント、深い睡眠イベントなどの睡眠データ中の様々な睡眠イベントを検出する。
【0116】
ステップ1330において、コントローラは、例えば、検出された睡眠イベントに対して初期DDCSを分析することによって、初期DDCSが検出された睡眠イベントと整合しているかどうかを決定することができる。再び図5を参照すると、それは、睡眠パターン510の様々な睡眠ステージに整合するDDCS520を示している。例えば、レム睡眠イベントが検出されるたびに、レム睡眠イベントの期間中は、医薬品流量レベルの値が高く(例えば、図5のL1)、レム睡眠イベントとレム睡眠イベントの間は、医薬品流量レベルの値が低い(例えば、L2)。睡眠パターンはPD患者ごとに、また夜ごとに変わる可能性があるため、DDCSを実際の睡眠パターンに再調整するために、医薬品の流量、医薬品のタイミングおよび/又は医薬品の期間を調整する必要がある。コントローラが使用している医薬品送達制御スキームに関わらず、コントローラは選択されたDDCSと睡眠パターンの間の整合性を再チェックし、もし非整合が検出された場合、コントローラは操作パラメータを調整してDDCSを睡眠パターンに再調整する。
【0117】
ステップ1330に戻って、医薬品送達制御スキーム(DDCS)が実際の睡眠パターンと整合しているとコントローラが決定した場合(ステップ1330で、その状態は「はい」(Yes)として示される)、これは計画に従って医薬品の送達が実行されることを意味する。初期のDDCSは変更されず、患者の睡眠は引き続き監視される(ステップ1320)。しかしながら、DDCSが実際の睡眠パターンと整合していない場合、例えば、コントローラがDDCSと睡眠パターンとの間の不一致を検出した場合(ステップ1330で、その状態は「いいえ」(No)として示される)、コントローラは、医薬品送達ユニット(DDU)の操作パラメータの値をより適切な値に調整することによってDDCSを変更することができる。次に、または同時に、患者の睡眠の構造を監視し続けて(ステップ1320で)、コントローラが残りの睡眠期間中にDDCSが追加の調整を必要としているかどうかを決定できるようにすることができる。
【0118】
冠詞「a」および「an」は、文脈に応じて、冠詞の文法的目的語の1つまたは2つ以上(例えば、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、文脈に応じて、「要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する場合がある。「含む」という用語は、本明細書では、「含むがこれに限定されない」という句を意味するために使用され、交換可能に使用される。用語「または」と「および」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、「および/または」という用語を意味するために本明細書で使用され、交換可能に使用される。 「そのような」という用語は、本明細書では、「などであるがこれに限定されない」という句を意味するために使用され、交換可能に使用される。
【0119】
このように本発明の実施例を説明したので、開示された実施例の修正が本発明の範囲内にあることは当業者には明らかである。従って、代替の実施例は、機能的に同等の対象/物品を含む。特定の実施例の特徴は、本明細書に示されている他の実施例と共に使用される。本願の開示は、様々なタイプの運動症状/障害、非運動症状/障害、ポンプ、注射器、治療用医薬品、注入チューブ/セット/ライン、治療用医薬品分配デバイスなどに関連している(例えば、それによって実行され、それと一緒に使用され、またはそれのために使用される)。従って、以下の特許請求の範囲は、本明細書の開示によって限定されない。
【0120】
本願の開示の様々な態様および実施形態は、以下の番号が付けられた各条項を参照してさらに理解される。
1.パーキンソン病(PD)に関係する疾患を治療することを必要としている患者の当該疾患を治療するための治療用医薬品送達システムを操作する方法であって、以下を含む方法。
治療用医薬品送達システムによって、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付けるか、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データを受け取り、CSPに基づいて治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を決定すること、および/又は
治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための上記の値を受け取ること、および
受け取った操作パラメータの値に従って、または決定された操作パラメータの値に従って治療用医薬品送達システムを操作して、PD患者に治療用医薬品組成物を送達すること。
2.PDに関係する疾患が、パーキンソン症状、運動合併症、運動症状、非運動症状、および睡眠障害からなる群から選択される、条項1に記載の方法。
3.操作パラメータのために決定された値および操作パラメータのために受け取られた値が、睡眠の最適化と、睡眠の質の改良と、睡眠障害の改善と、振せん、震え、動きの鈍化(運動緩徐)、筋肉の硬直、姿勢の不安定、歩行/足取りの困難およびジストニー;睡眠の持続、就寝から入眠までの時間間隔、睡眠中の覚醒回数、睡眠中の体の動きの速度、覚醒時から起床までの時間間隔、覚醒中のパーキンソン症状の「オン」時間と「オフ」時間の期間、睡眠中の覚醒時間、睡眠中の体の回転数、睡眠中の体の平均回転速度、体の平均回転時間、体の回転の程度、またはそれらの任意の組み合わせを含むパーキンソン症状の改善の観点から最適化される、条項1または2に記載の方法。
4.経時的睡眠パターン(CSP)が、以下の睡眠イベント:睡眠ステージ1、睡眠ステージ2、睡眠ステージ3、急速眼球運動(REM)睡眠、深い睡眠ステージ、睡眠サイクル、覚醒時刻、PD患者の入眠時刻および就寝時刻のうちの少なくとも1つを含み、第1の操作パラメータは治療用医薬品組成物の流量であり、第2の操作パラメータは治療用医薬品流量に対する医薬品送達タイミングである、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
5.治療用医薬品送達システムを操作することは、低い医薬品服用量、もしくは徐々に減少する医薬品服用量、もしくは高い医薬品服用量、もしくは徐々に増加する医薬品服用量、もしくは脈動する医薬品服用量、もしくは連続的な医薬品服用量を送達することに対応する流量で治療用医薬品組成物を送達することを含む、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
6.治療用医薬品送達システムの操作パラメータのために受け取られた値および決定された値が医薬品送達パターン(DDP)を明確に示す、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
7.DDPが経時的睡眠パターン(CSP)に対応するか、CSPに適合するか、またはCSPに由来する、条項6に記載の方法。
8.睡眠データが、PD患者の習慣的な就寝時刻、習慣的な入眠時刻および習慣的な覚醒時刻に関するデータを含み、操作パラメータの値が上記習慣的な就寝時刻、習慣的な入眠時刻および/又は習慣的な覚醒時刻の1つ又は複数に基づいて決定される、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
9.睡眠データが過去の睡眠データを含み、上記過去の睡眠データが少なくとも過去の入眠データおよび過去の覚醒データを含み、操作パラメータの値が過去の睡眠データに基づいて決定され、過去の睡眠データはPD患者に関係する睡眠データおよび/又は他のPD患者に関係する睡眠データを含む、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
10.操作パラメータの値が、1つ又は複数のセンサの出力信号に基づいてユーザ設定されるか、プリプログラムされるか、または決定される、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
11.治療される疾患が睡眠障害であり、睡眠障害は、急速眼球運動睡眠行動障害(RBD)、アトニーなしのREM睡眠(RWA)、夢の内容の行動化(DEB)、夜間覚醒、不眠症(不眠)、入眠不眠症、昼間の睡眠、夜間の覚醒回数、睡眠の断片化、早朝のジストニー、無動症、夜間のアトニー、睡眠の開始、睡眠の維持、昼間の突然の睡眠の攻撃エピソード(ナルコレプシー)、過度の昼間の眠気(EDS)、幻覚、睡眠中の運動障害、就寝困難、NREMステージIII、レム睡眠、入眠潜時、入眠後の覚醒、概日リズム障害(概日リズム障害、異常な睡眠-覚醒サイクル)、徐波睡眠(SWS)、睡眠中の定期的な脚の動き(PLMS)からなる群から選択される、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
12.睡眠データを生成することは、睡眠監視システム(SMS)、着用できる睡眠センサ、および/又は電子患者睡眠日誌を使用することによる、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
13.PD患者に適用される医薬品送達パターン(DDP)に従って、睡眠データを生成すること、および/又はリアルタイムで操作パラメータに対する値を設定することを含む、条項6~12のいずれか1項に記載の方法。
14.治療用医薬品組成物が、PDに関係する疾患を治療または改善するための化合物を含む、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
15.化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(DDI)、DDI塩、DDIプロドラッグ、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、COMT阻害剤塩、COMT阻害剤プロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項14に記載の方法。
16.DDI、DDI塩、またはDDIプロドラッグが、カルビドパ、ベンザセラジド、ジフルオロメチルドーパ、α-メチルドーパ、それらの塩、それらのプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項15に記載の方法。
17.各DDIの服用量が、治療用医薬品中の他のDDIまたは有効成分とは独立して選択される、条項15または16に記載の方法。
18.DDIが、カルビドパ、カルビドパ塩、カルビドパプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項15~17のいずれか1項に記載の方法。
19.治療用医薬品組成物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、条項14に記載の方法。
20.COMT阻害剤が、エンタカポン、トルカポン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項15に記載の方法。
21.各COMT阻害剤の服用量が、治療用医薬品中の他のCOMT阻害剤または有効成分とは独立して選択される、条項20に記載の方法。
22.治療用医薬品組成物がレボドパおよびカルビドパを含む、条項14~21のいずれか1項に記載の方法。
23.治療用医薬品組成物がレボドパ、カルビドパおよびアルギニンを含む、条項14~22のいずれか1項に記載の方法。
24.治療用医薬品組成物が、約4(w/v%)から約8(w/v%)のレボドパ、約0.5(w/v%)から約1.0(w/v%)のカルビドパ、および約12(W/V%)から約17(W/V%)のアルギニンを含む、条項14~23のいずれか1項に記載の方法。
25.治療用医薬品組成物がレボドパプロドラッグを含む、条項14~21のいずれか1項に記載の方法。
26.レボドパプロドラッグがレボドパ-チロシンコンジュゲートである、条項25に記載の方法。
27.治療用医薬品組成物がさらにカルビドパを含む、条項24~26のいずれか1項に記載の方法。
28.治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、条項24~27のいずれか1項に記載の方法。
29.治療用医薬品組成物が、約20(w/v%)から約50(w/v%)のレボドパ-チロシンコンジュゲート、および約0.5(w/v%)から約1.5(w/v%)のカルビドパを含む、条項24~28のいずれか1項に記載の方法。
30.治療用医薬品組成物がレボドパ、カルビドパおよびエンタカポンを含む、条項14~29のいずれか1項に記載の方法。
31.治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、条項30に記載の方法。
32.治療用医薬品組成物がレボドパプロドラッグ、カルビドパ、およびエンタカポンを含む、条項14~29のいずれか1項に記載の方法。
33.治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、条項32に記載の方法。
34.レボドパプロドラッグがレボドパ-チロシンコンジュゲートである、条項32に記載の方法。
35.治療用医薬品組成物が室温で実質的に液体である、条項24~34のいずれか1項に記載の方法。
36.経時的睡眠パターン(CSP)中のレム睡眠イベントを特定すること、およびレム睡眠イベント中に高流量で治療用医薬品を送達するように操作パラメータの値を調整することをさらに含む、条項4に記載の方法。
37.経時的睡眠パターン(CSP)中の睡眠サイクルを特定すること、およびn回の睡眠サイクル(n=1、2、・・・)が達成した後に高流量で治療用医薬品を送達するように操作パラメータの値を調整することをさらに含む、条項4に記載の方法。
38.深い睡眠ステージの間に低流量で治療用医薬品を送達するように操作パラメータの値を調整することを含む、条項4に記載の方法。
39.操作パラメータの値を調整することが、医薬品送達パターン(DDP)を、経時的睡眠パターン(CSP)に含まれる睡眠イベントに再調整するためにリアルタイムで実行される、条項7に記載の方法。
40.操作パラメータの値を調整することが、機械学習を使用して実行される、前記の条項のいずれか1項に記載の方法。
41.パーキンソン病(PD)に罹患している患者を治療用医薬品送達システムによって治療する方法であって、
治療用医薬品送達システムによって、PD患者の経時的睡眠パターン(CSP)を特徴付ける、またはPD患者の経時的睡眠パターンを含む睡眠データを受け取り、経時的睡眠パターンに基づいて治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を決定すること、および/又は
治療用医薬品送達システムの1つ又は複数の操作パラメータのための値を受け取ること、および
受け取った操作パラメータの値に従って、および/又は決定された操作パラメータの値に従って治療用医薬品送達システムを操作して、PD患者に治療用化合物を送達すること
を含む方法。
42.化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(DDI)、DDI塩、DDIプロドラッグ、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、COMT阻害剤塩、COMT阻害剤プロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項41に記載の方法。
43.DDI、DDI塩、またはDDIプロドラッグが、カルビドパ、ベンザセラジド、ジフルオロメチルドーパ、α-メチルドーパ、それらの塩、それらのプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項42に記載の方法。
44.各DDIの服用量が、治療用医薬品中の他のDDIまたは有効成分とは独立して選択される、条項42または43に記載の方法。
45.DDIが、カルビドパ、カルビドパ塩、カルビドパプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項42~44のいずれか1つに記載の方法。
46.化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項41に記載の方法。
47.COMT阻害剤が、エンタカポン、トルカポン、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、条項42に記載の方法。
48.各COMT阻害剤の服用量が、化合物中の他のCOMT阻害剤または有効成分とは独立して選択される、条項47に記載の方法。
49.パーキンソン病(PD)の患者に関係する疾患を治療するための医薬品送達システム(図1の100、図2の200、図12の1200)であって、
PD患者に関係する睡眠データおよび/又は他のPD患者に関係する睡眠データを収集および/又は保存するための睡眠データ収集ユニット(SDCU)と、
治療用医薬品組成物を収容するための医薬品リザーバー(142、232)と医薬品リザーバーから患者に治療用医薬品組成物を分配するための分配機構(144、234)を含む医薬品送達ユニット(140、230)と、
(i)分配機構の1つ又は複数の医薬品送達操作パラメータのために、睡眠データから得られる値を受け取ること、および/又はその値を決定すること、および
(ii)前記分配機構を操作して、1つ又は複数の操作パラメータのために受け取った値または決定した値に従って、PD患者に治療用医薬品組成物を送達するように構成されたコントローラ(150、210)
を含む医薬品送達システム。
50.治療される疾患が、パーキンソン症状、運動合併症、運動症状、非運動症状、および睡眠障害からなる群から選択される、条項49に記載のシステム。
51.操作パラメータのために決定された値および操作パラメータのために受け取られた値が、睡眠の最適化と、睡眠の質の改良と、睡眠障害の改善と、振せん、震え、動きの鈍化(運動緩徐)、筋肉の硬直、姿勢の不安定、歩行/足取りの困難およびジストニー;睡眠の持続、就寝から入眠までの時間間隔、睡眠中の覚醒回数、睡眠中の体の動きの速度、覚醒時から起床までの時間間隔、覚醒中のパーキンソンの「オン」時間と「オフ」時間の期間、睡眠中の覚醒時間、睡眠中の体の回転数、睡眠中の体の平均回転速度、体の平均回転時間、体の回転の程度(度)、またはそれらの任意の組み合わせを含むパーキンソン症状の改善の観点から最適化される、条項49または50に記載のシステム。
52.睡眠データ収集ユニット(SDCU)が、以下の構成のうちの少なくとも1つから選択される構成によって構成されるシステムであって、
I.SDCUが睡眠監視システム(SMS)(120、280)であるか又は睡眠監視システム(SMS)を含む第1の構成、SMSは、
a.PD患者の睡眠状態および/又は活動度に、個別に又は集合的に関係する信号を生成するように構成されたn個のセンサ(n=1、2、3、・・・)および、
b.n個のセンサによって生成された信号を受け取り、上記信号を睡眠データに変換するために、n個のセンサに接続されたセンサインターフェース(132、260)を有し、かつ
II.SDCUが、睡眠データを手動でアップロードするためのユーザインターフェース(160、240)および/又は睡眠データをリモートでアップロードするための通信インターフェース(180)を有する第2の構成
を有する条項49に記載のシステム。
53.コントローラが、
(i)睡眠データから患者の経時的睡眠パターン(CSP)を検出し、および
(ii)CSPに対応するか、CSPに適合する、またはCSPに由来する医薬品送達パターンで、患者に治療用医薬品組成物を送達する
ように構成されている、条項49に記載のシステム。
54.n個のセンサのうちの少なくとも1つは、ユーザが着用可能であるか、さもなければ患者に取り付け可能である、条項52に記載のシステム。
55.n個のセンサが、電極、神経活動センサ、EEGセンサ、ECGセンサ、EMGセンサ、ポリソムノグラフィー(PSG)センサ、睡眠センサ、睡眠状態センサ、ローカル電場電位センサ、加速度計、睡眠中の動きを検出するように構成された腕時計、光学センサ、カメラ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項52に記載のシステム。
56.医薬品送達システム(200)がセンサインターフェース(260)を含む、条項52に記載のシステム。
57.分配機構の1つまたは複数の操作パラメータが、ユーザインターフェース(160、240)によってユーザ設定可能またはプリプログラム可能である、条項52に記載のシステム。
58.分配機構が、腸内、皮下、静脈内(IV)、皮膚、または脳脊髄液(CSF)ポンプを使用することにより、PD患者に治療用医薬品組成物を送達するように構成されている、条項49に記載のシステム。
59.経時的睡眠パターン(CSP)が、以下の睡眠イベント:睡眠ステージ1、睡眠ステージ2、睡眠ステージ3、急速眼球運動(REM)睡眠、深い睡眠ステージ、睡眠サイクル、覚醒時刻、PD患者の入眠時刻および就寝時刻のうちの1つ又は複数を含む、条項53に記載のシステム。
60.操作パラメータが、治療用医薬品組成物の流量であるか、または治療用医薬品組成物の流量に関連する第1の操作パラメータと、治療用医薬品組成物の医薬品送達タイミングであるか、または医薬品送達タイミングに関連する第2の操作パラメータを含む、条項49に記載のシステム。
61.睡眠データ収集ユニット(SDCU)が、n個のセンサを介して、上肢(手)の動きを表すこと、下肢(脚)の動きを表すこと、頭の動きを表すこと、腰の動きを表すこと、心拍数、呼吸数、筋電図(EMG)信号、心電図(ECG)信号、脳波(EEG)信号、電位信号、血中酸素飽和レベル、皮膚伝導性および胸部の動きからなる群から選択されるデータを収集するように構成されている、条項52に記載のシステム。
62.コントローラが、レム睡眠イベント中に高流量で治療用医薬品組成物を送達するように操作パラメータの値を調整するように構成されている、条項59に記載のシステム。
63.コントローラが、深い睡眠イベント中に低流量で治療用医薬品組成物を送達するように操作パラメータの値を調整するように構成されている、条項59に記載のシステム。
64.コントローラが、睡眠データまたは経時的睡眠パターン(CSP)における睡眠サイクルを特定し、操作パラメータの値を調整して、n睡眠サイクルが達成された後、高流量で治療用医薬品組成物を送達するように構成されている、条項59に記載のシステム。
65.コントローラが、低い医薬品服用量を送達すること、徐々に減少する医薬品服用量を送達すること、高い医薬品服用量を送達すること、徐々に増加する医薬品服用量を送達すること、脈動する医薬品服用量を送達すること、および連続的に医薬品服用量を送達することからなる群から選択される項目に対応する流量で治療用医薬品組成物を送達するように構成されている、条項49に記載のシステム。
66.コントローラは、医薬品送達パターン(DDP)を経時的睡眠パターン(CSP)に含まれる睡眠イベントに(再)調整するために、操作パラメータの値をリアルタイムで調整するように構成されている、条項49に記載のシステム。
67.機械学習を使用することによって操作パラメータの値を調整するようにコントローラが構成されている、条項49に記載のシステム。
68.睡眠障害は、急速眼球運動睡眠行動障害(RBD)、アトニーなしのREM睡眠(RWA)、夢の内容の行動化(DEB)、夜間覚醒、不眠症(不眠)、入眠不眠症、昼間の睡眠、夜間の覚醒回数、睡眠の断片化、早朝のジストニー、無動症、夜間のアトニー、睡眠の開始、睡眠の維持、昼間の突然の睡眠の攻撃エピソード(ナルコレプシー)、過度の昼間の眠気(EDS)、幻覚、睡眠中の運動障害、就寝困難、NREMステージIII、レム睡眠、入眠潜時、入眠後の覚醒、概日リズム障害(概日リズム障害、異常な睡眠-覚醒サイクル)、徐波睡眠(SWS)、睡眠中の定期的な脚の動き(PLMS)からなる群から選択される、条項50に記載のシステム。
69.治療用医薬品組成物が、PD患者に関係する疾患を治療または改善するための化合物を含む、条項50に記載のシステム。
70.化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(DDI)、DDI塩、DDIプロドラッグ、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、COMT阻害剤塩、COMT阻害剤プロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項69に記載のシステム。
71.DDI、DDI塩、またはDDIプロドラッグが、カルビドパ、ベンザセラジド、ジフルオロメチルドーパ、α-メチルドーパ、それらの塩、それらのプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項70に記載のシステム。
72.各DDIの服用量が、治療用医薬品組成物中の他のDDIまたは有効成分とは独立して選択される、条項70または71に記載のシステム。
73.DDIが、カルビドパ、カルビドパ塩、カルビドパプロドラッグ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項70~72のいずれか1項に記載のシステム。
74.化合物が、レボドパ、レボドパ塩、レボドパプロドラッグ、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項69に記載のシステム。
75.COMT阻害剤が、エンタカポン、トルカポン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項70に記載のシステム。
76.各COMT阻害剤の服用量が、治療用医薬品組成物中の他のCOMT阻害剤または有効成分とは独立して選択される、条項75に記載のシステム。
77.治療用医薬品組成物がレボドパおよびカルビドパを含む、条項69~76のいずれか1項に記載のシステム。
78.治療用医薬品組成物がレボドパ、カルビドパおよびアルギニンを含む、条項69~77のいずれか1項に記載のシステム。
79.治療用医薬品組成物が、約4(w/v%)~約8(w/v%)のレボドパ、約0.5(w/v%)~約1.0(w/v%)のカルビドパおよび約12(w/v%)~約17(w/v%)のアルギニンを含む、条項69~78のいずれか1項に記載のシステム。
80.治療用医薬品組成物がレボドパプロドラッグを含む、条項69~76のいずれか1項に記載のシステム。
81.レボドパプロドラッグがレボドパ-チロシンコンジュゲートである、条項80に記載のシステム。
82.治療用医薬品成物がさらにカルビドパを含む、条項79~81のいずれか1項に記載のシステム。
83.治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、条項79~82のいずれか1項に記載のシステム。
84.治療用医薬品組成物が、約20(w/v%)~約50(w/v%)のレボドパチロシンコンジュゲート、および約0.5(w/v%)~約1.5(w/v%)のカルビドパを含む、条項79~83のいずれか1項に記載のシステム。
85.治療用医薬品組成物がレボドパ、カルビドパおよびエンタカポンを含む、条項69~84のいずれか1項に記載のシステム。
86.治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、条項85に記載のシステム。
87.治療用医薬品組成物がレボドパプロドラッグ、カルビドパ、およびエンタカポンを含む、条項69~84のいずれか1項に記載のシステム。
88.治療用医薬品組成物がさらにアルギニンを含む、条項87に記載のシステム。
89.レボドパプロドラッグがレボドパチロシンコンジュゲートである、条項87に記載のシステム。
90.治療用医薬品組成物が室温で実質的に液体である、条項69~89のいずれか1項に記載のシステム。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】