(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165907
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】抗菌性組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 59/16 20060101AFI20221025BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20221025BHJP
A01N 57/16 20060101ALI20221025BHJP
A61K 33/38 20060101ALI20221025BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221025BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20221025BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221025BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20221025BHJP
A61K 47/16 20060101ALI20221025BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20221025BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20221025BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A01N59/16 A
A01P1/00
A01N57/16 104C
A61K33/38
A61K47/26
A61P31/12
A61P31/04
A61K47/20
A61K47/16
A61K47/18
A61K47/08
A61K9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041368
(22)【出願日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2021070844
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503205481
【氏名又は名称】株式会社キャスティングイン
(74)【代理人】
【識別番号】100174791
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 敬義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌平
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC31
4C076CC35
4C076DD04H
4C076DD09H
4C076DD49H
4C076DD55H
4C076DD66Q
4C076DD67H
4C076EE23H
4C076FF11
4C076FF21
4C076FF63
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA01
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086NA03
4C086ZB33
4C086ZB35
4H011AA04
4H011BB17
4H011BB18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】変色や凝集を惹起しづらい,金属イオンを含んだ抗菌組成物の提供。
【解決手段】金属イオンを抗菌のための有効成分とし,これと核酸化合物と,溶媒とからなることを特徴とする抗菌性組成物。核酸化合物としては,イノシン酸,グアニル酸,イノシン酸Na,グアニル酸Naのいずれか又は複数を用いることができる。金属イオンとして,好ましくは銀イオンを用いることができる。本発明の抗菌性組成物は,抗ウイルス作用を期待して用いることもできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオンを抗菌のための有効成分として,これと核酸化合物と,溶媒とからなる抗菌性組成物。
【請求項2】
金属イオンが銀である請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項3】
核酸化合物が,イノシン酸,グアニル酸,イノシン酸Na,グアニル酸Naのいずれか又は複数から選択される請求項1ないし請求項2に記載の抗菌性組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の抗菌性組成物を,乾燥・固化させることにより得られ,水で溶解することにより抗菌性組成物を得ることが可能な粉末又は粒状の抗菌性組成物。
【請求項5】
請求項4の抗菌性組成物を,水へ溶解・分解させ水分量を調整することにより得られるゲル状の抗菌性組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の抗菌性組成物に,界面活性剤を含有した抗菌性組成物。
【請求項7】
界面活性剤として,直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム,アルキルグリコシド,アルキルアミンオキシド,第四級アンモニウム塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリエチレングリコールアルキルエーテルのいずれか又は複数を含む請求項6に記載のコーティング用の抗菌性組成物。
【請求項8】
さらに,抗ウイルス作用を合わせて有する請求項1から7のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の抗菌性組成物を,対象となる物体に浸漬又は噴射して抗菌性を付与することを特徴とした抗菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,抗菌性組成物に関する。さらに詳しく言うと本発明は,金属イオンを有効成分とし,これと核酸化合物と溶媒からなる抗菌性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
銀,銅,亜鉛等の重金属イオンは,殺菌性を有することが知られている。
すなわち,重金属イオンは菌に取り込まれた後,酵素などのたんぱくに結合することで機能阻害を引き起こし,殺菌効果を発揮する。この場合,重金属イオンは,数ppm程度の低濃度で殺菌効果を発揮することが可能である。このことから,重金属イオンを用いた殺菌方法は,有用性と経済性を兼ねそろえた殺菌方法といえる。
【0003】
このような重金属イオンの中でも,銀イオンは,ヒトへの安全性が高いことから,古くから抗菌用途として汎用されてきた。そのため,銀イオンを有効成分として含んだ抗菌組成物の技術が開示されている(特許文献1から3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-285543号公報
【特許文献2】特開2012-136482号公報
【特許文献3】WO2014/163126
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに,抗菌剤として銀を使用する際,還元された銀イオンが対象物と反応することで変色したり,銀を含んだ化合物が凝集・沈殿を起こすことが知られていた。これらの点が,銀イオンを有効成分として用いる際の課題として知られていた。
上記事情を背景として,本発明では,変色や凝集を惹起しづらい,銀イオンを含んだ抗菌組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は,鋭意研究の結果,銀イオンを有効成分とする抗菌性水溶液に,核酸化合物を添加することで,変色を起こしづらく,かつ,凝集を引き起こしにくいことを見出し,発明を完成させた。
すなわち,核酸化合物の有する塩基性と,リン酸基を有するヌクレオチド構造とにより,銀イオンとしての安定性と分散性を担保することを見出し,発明を完成させたものである。
【0007】
本発明は,以下の構成からなる。
[1]金属イオンを抗菌のための有効成分として,これと核酸化合物と,溶媒とからなる抗菌性組成物。
[2]金属イオンが銀である[1]に記載の抗菌性組成物。
[3]核酸化合物が,イノシン酸,グアニル酸,イノシン酸Na,グアニル酸Naのいずれか又は複数から選択される[1]ないし[2]に記載の抗菌性組成物。
【0008】
[4][1]から[3]のいずれかに記載の抗菌性組成物を,乾燥・固化させることにより得られ,水で溶解することにより抗菌性組成物を得ることが可能な粉末又は粒状の抗菌性組成物。
[5][4]の抗菌性組成物を,水へ溶解・分解させ水分量を調整することにより得られるゲル状の抗菌性組成物。
【0009】
[6][1]から[5]のいずれかに記載の抗菌性組成物に,界面活性剤を含有した抗菌性組成物。
[7]界面活性剤として,直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム,アルキルグリコシド,アルキルアミンオキシド,第四級アンモニウム塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリエチレングリコールアルキルエーテルのいずれか又は複数を含む[6]に記載のコーティング用の抗菌性組成物。
[8]さらに,抗ウイルス作用を合わせて有する[1]から[7]のいずれかに記載の抗菌性組成物。
[9]ウイルスが,SARS-CoV-2である[8]に記載の抗菌性組成物。
[10][1]から[9]のいずれかに記載の抗菌性組成物を,対象となる物体に浸漬又は噴射して抗菌性を付与することを特徴とした抗菌方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により,変色や凝集を惹起しづらい,銀イオンを含んだ抗菌組成物の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実験例ならびに比較例における試験結果を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の抗菌性組成物は,金属イオンを抗菌のための有効成分として,これと核酸化合物と,溶媒とからなることを特徴とする。
すなわち,核酸化合物により,抗菌性組成物が塗布等された対象物の変色や有効成分の凝集を防ぐことが可能となる。また,凝集を防ぐことにより,有効成分が溶液中に均一に分散化しやすくなり,抗菌作用の効果を効率よく発揮することが可能となる。
【0013】
核酸化合物としては,核酸化合物である限り特に限定する必要はなく,種々の核酸化合物を選択することができる。このような核酸化合物として,典型的には,ヌクレオチド構造と塩基(アデニン,グアニン,シトシン,ウラシル)を有する化合物,もしくはこれらの塩(核酸化合物塩)を用いることができ,より好ましくは,イノシン酸,グアニル酸,ないし,これらの塩を用いることができ,最も好ましくはイノシン酸Na又はグアニル酸Naを用いることができる。
本発明の抗菌性組成物においては,核酸化合物を,一つ又は複数種,含むことができる。
【0014】
本発明の抗菌性組成物は,金属イオンを有効成分とする。金属イオンは,抗菌性を発揮しうる限り特に限定する必要はなく,種々の金属イオンを用いることができる。このような金属イオンとして,例えば,金,銀,銅,白金,亜鉛,チタン,タングステン,ニッケル,鉄,スズ,水銀,パラジウム,アルミニウム,コバルト,モリブデン,鉛,バナジウム,ジルコニウムを用いることができ,好ましくは銀イオンと亜鉛イオン,最も好ましくは銀イオンを用いることができる。
【0015】
本発明の溶媒は,核酸化合物ならびに金属イオンを溶解しうる限り特に限定する必要はなく,種々の溶媒を用いることができる。このような溶媒として,典型的には,水を用いることができる。
すなわち,本発明において,銀イオンを抗菌のための有効成分とし,その他,水と核酸化合物とからなる構成とすることにより,組成物としての製造を容易にし,コストを低減させることが可能となる。
なお,本発明の抗菌性組成物について,他の成分の含有を排除する趣旨ではなく,安定化剤やpH調整剤,賦形剤等の他の成分を含んでもよい。
【0016】
本発明において,さらに界面活性剤を含むことが好ましい。これにより,抗菌性と組成物としての安定性の向上を図ることができ,本発明の抗菌性組成物の性能を向上させる効果を有する。加えて,当該構成により,抗菌性組成物として塗布対象のコーティング性能を向上させ,コーティング剤としての有用性をさらに向上させる効果を有する。
界面活性剤としては,特に限定する必要はなく組成物の構成に応じた界面活性剤を用いることができる。好ましくは水溶性の界面活性剤を用いることができ,このような界面活性剤として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム,アルキルグリコシド,アルキルアミンオキシド,第四級アンモニウム塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリエチレングリコールアルキルエーテルのいずれか又は複数を用いることができる。
【0017】
金属イオン含量は,抗菌性組成物の形状や用途を勘案して,抗菌効果を発揮するための十分な量とすればよい。
金属イオンの含量について,典型的には,5から10000ppm,より好ましくは5から5000ppm,さらに好ましくは5から4000ppm,特に好ましくは5から3000ppm,最も好ましくは5から2000ppmとすることができる。
【0018】
核酸化合物について,組成液中に含まれる金属イオンの量に対し,耐変色性ならびに分散効果を発揮しうる十分な量とすればよい。
核酸化合物の含量は,金属イオンに対して,典型的には,1から500倍,好ましくは1から400倍,より好ましくは1から400倍,さらに好ましくは1から300倍,特に好ましくは1から200倍,最も好ましくは1から150倍の重量比とすることができる。
【0019】
本発明の抗菌性組成物について,これを,乾燥・固化させた粉状又は粒状の抗菌性組成物として用いることができる。
すなわち,本発明の抗菌性組成物を乾燥・固化させたことで得られる残渣については,これを水で溶解することにより,再び,液体状の抗菌性組成物とすることが可能である。また,そのようにしても,固形化された有用成分の分散性や耐変色性を損なうことがなく,抗菌効果としても十分な効果を発揮しうる。
これにより,本発明の抗菌性組成物の容量ないし重量を小さくすることができるとともに,水で溶解することで用事調整することができることから,本発明の抗菌性組成物の利便性を飛躍的に向上させる効果を有する。
【0020】
本発明において粉状又は粒状の組成物を,水へ溶解・分散させ水分量を調整することにより得られるゲル状の抗菌性組成物とすることが好ましい。これにより,対象物への付着性を向上させることができ,抗菌性の向上が期待できる効果を有する。
【0021】
本発明の抗菌性組成物は,スプレー,噴霧用液,塗布用液,含侵用液などとして用いることができる。また,これを粉状又は粒状の固形化組成物とすることで,用事調整可能な液体状ないしゲル状の抗菌性組成物として提供することができる。加えて,粉状又は粒状の固形化組成物は,重量ならびに容量の低減化を図ることができ,輸送の効率化や製品としての安定性を向上させることが可能となる。
【0022】
本発明の抗菌性組成物は,抗菌作用のみならず,抗ウイルス作用を目的として用いることができる。すなわち,抗菌・抗ウイルス組成物として用いることができる。
抗ウイルス作用としては,汎用的なウイルスに対する作用を期待して用いることができ,より好ましくは病原性ウイルスに対して,さらに好ましくは病原性コロナウイルスに対して,最も好ましくはsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2(SARS-CoV-2)に対して用いることができる。
【実施例0023】
本発明について,実施例を用いて詳述する。
【0024】
<<実験1,銀イオンを用いた実験>>
<<I.実験方法>>
<抗菌組成液の作製>
表1の抗菌組成液を,下記の手順で作製した。
(1) 水へ銀を0.01%添加,もしくは,高濃度の銀水溶液を0.01%となるよう水で希釈を行った。
(2) (1)の溶液に,表1に従い,所定量の試料を添加した。
【表1】
【0025】
<耐変色試験>
抗菌組成液について,下記の方法にて,耐変色試験を行った。
(1) 白と黒の用紙を,適当な大きさにカットしたものを用意した。
(2) (1)の用紙に,20μLの各試料液を滴下した。
(3) 室内雰囲気下で1日以上放置した後,滴下部分表面の観察を行い,変色有無の評価を肉眼的に行った。
【0026】
<分散安定性試験(凝集確認試験)>
作製した各抗菌組成液について,作製後,下記一連の手順にて分散安定性の評価を行った。
(1) 作製された各試料について,室内雰囲気下で,経時的に液変色・汚濁・沈殿の有無の確認を行った。
(2) 作製された各試料について,ロータリーエバポレーターを用いて,残渣が固形化するまで濃縮し,減圧乾燥器にて固化を行った。得られた固形残渣を粉末化した後,水を加え,再び分散液としたものに(1)と同様に評価を行った。
(3) (2)の評価で,水を水道水に変えて,評価を行った。
【表2】
【0027】
<抗菌性評価>
作製した各抗菌組成液について,下記の手順で,抗菌性の評価を行った。
(1) 作製された各抗菌絵組成液を,アクリル片に噴射し,乾燥を行った。
(2) カンジダ・アルビカンスを前培養したものを,純水10mLに溶かし,そのうち50μLをアクリル片に滴下したのちに,通気性フィルムを密着させた。
(3) (2)の30分後,通気性フィルムをはがし,培地を押し付け,菌を採取したものを,
恒温槽で48時間培養を行った。
(4) 培養した培地のコロニー数を,陽性対照群(無加工のアクリル片)のコロニー数で除して除菌率を求めた。
【0028】
<<II.実験結果>>
1.結果を,
図1ならびに
図2に示す。
2.比較例
(1) 試料を含まない比較例1において,抗菌性を有していたものの,変色を引き起こすとともに,有効成分がところどころ凝集しており分散安定性を損なう結果であった。
(2) 有効成分である銀イオンを含まない比較例2において,抗菌性は有していなかったものの,変色や凝集は見られなかった。
(3) これらの結果から,抗菌性,変色性,凝集性,これらについては銀イオンが要因となっていることが確認された。
【0029】
3.実験例1において,抗菌性を保持しつつも,変色は起こらず,かつ,凝集も見られなかった。この結果から,アルギニン酸により,変色や凝集が防止されていることが分かった。
【0030】
4.実験例2ならびに実験例3において,抗菌性を保持しつつも,変色は起こらず,かつ,凝集も見られなかった。これらの結果から,グアニル酸Naならびにイノシン酸Naにより,変色や凝集が防止されていることが分かった。
【0031】
5.実験例1から3を固化・再溶解した実験例1’ないし実験例3’において,同様に,抗菌性を保持しつつ,変色は起こらず,かつ,凝集も見られなかった。これらの結果から,実験例1’ないし実験例3’は,実験例1から3と同等の性能を有していることが分かった。
【0032】
6.実験例4において,天然アミノ酸であるヒスチジンは,抗菌性を保持しつつ,かつ,変色は起こさなかったものの,凝集が散見され分散安定性に優れていなかった。
7.実験例5のPVP(ポリビニルピロリドン)では,抗菌性を保持しつつ,かつ,凝集は起きなかったものの,変色が起こっていた。
【0033】
8.これらの結果から,下記のことが分かった。
(1) 塩基性の天然アミノ酸であるアルギニン酸は,抗菌性を保持しつつ,変色や凝集を起こさない優れた添加試料であることが分かった。
(2) 核酸化合物であるグアニル酸Naならびにイノシン酸Naについても,抗菌性を保持しつつ,変色や凝集を起こさない優れた添加試料であることが分かった。
(3) アルギニン酸,グアニル酸Na,イノシン酸Naについては,これを蒸発乾固し,固形化したものを,水で溶解しても,同様の効果が確認された。
(4) ヒスチジンならびにPVPは,アミノ基を有する化合物ではあるものの,ヒスチジンは分散安定性を,PVPは耐変色性を満たすことができなかった。
(5) これらのことから,アミノ基を有する化合物であっても,わずかな構造の違いにより,耐変色性や分散安定性が異なってくることが分かった。
【0034】
<<実験2,銀イオンと亜鉛イオンを用いた実験>>
1.銀イオン,又は亜鉛イオンの水溶液を用いて,実験1と同様の方法で,耐変色試験を行った。
2.各組成成分ならびに結果を表3に示す。なお,表中,核酸は,5´-リボヌクレオチドナトリウム(グアニル酸Naとイノシン酸Naの混合物)を用いた。
(1) 銀イオンを用いたサンプルにおいて,添加剤を含まない場合,強い変色がみられた(実験例6)。これに対し,PVPを用いた場合,若干の耐変色がみられ(実験例8),核酸を用いた場合は変色が見られなかった(実験例7)。
(2) 同様に,亜鉛イオンを用いたサンプルにおいては,PVP,核酸,いずれを用いたサンプルにおいても,変色がみられなかった。
【表3】
【0035】
<<実験3,抗ウイルス性試験>>
1.銀イオンと核酸(5´-リボヌクレオチドナトリウム)を含む抗菌性組成が,抗ウイルス効果を有するかを調べることを目的に実験を行った。
2.ウイルス液1μLと,各組成液199μLを混合させ,20分作用させた。作用後の反応液を,細胞に感染させて細胞培養を行った。培養後の細胞について,細胞変性効果(CPE)の測定を行い,感染値として評価を行った。
3.結果を表4に示す。
(1) 比較対象である実験例11では,感染価が10
6であった。
(2) 一方,核酸と銀イオンを含む実験例12では,感染価が10
3と,比較対象である実験例11と比較して,1/1000の値となった。
(3) これらの結果から,実験例12の組成成分により,抗ウイルス効果が期待できることが確認された。
【表4】