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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165908
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ガスタービン熱回収システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F01K 17/06 20060101AFI20221025BHJP
   F01D 25/10 20060101ALI20221025BHJP
   F01D 25/30 20060101ALI20221025BHJP
   F01K 17/02 20060101ALI20221025BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20221025BHJP
   F02C 7/04 20060101ALI20221025BHJP
   F02C 7/08 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
F01K17/06
F01D25/10 C
F01D25/10 Z
F01D25/30 A
F01D25/30 Z
F01K17/02
F02C6/18 A
F02C7/04
F02C7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022042619
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】17/235,203
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・フェヘール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガスタービンシステムを動作させるための方法を提供する。
【解決手段】ガスタービンシステム(100)は、ガスタービン(12)及び水回路(102)を含む。水回路は、低圧エコノマイザ(40)を低圧給水源(118)に流体結合する供給ライン(104)を含む。接続ライン(106)が、低圧蒸発器(42)を低圧エコノマイザに流体結合する。バイパス供給ライン(108)が、接続ラインと熱交換器との間に延在する。バイパス戻りライン(112)が熱交換器から延在し、第1の戻り分岐部(114)及び第2の戻り分岐部(116)を含む。第1の戻り分岐部は供給ラインまで延在する。第2の戻り分岐部は接続ラインまで延在する。少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)が、バイパス戻りラインに配置される。少なくとも1つの第1のダイバータバルブは、水の流れを供給ライン及び接続ラインの一方又は両方に導くように動作可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気セクション(11)、圧縮機セクション(20)、燃焼セクション(18)、タービンセクション(16)、及び排気セクション(13)を有するガスタービン(12)であって、前記排気セクション(13)は、前記タービンセクション(16)から排気ガス(34)の流れを受け取るように構成される、ガスタービン(12)と、
前記排気セクション(13)内に少なくとも部分的に配置された低圧エコノマイザ(40)と、
前記排気セクション(13)内において、前記排気ガス(34)の流れに対して前記低圧エコノマイザ(40)の上流に少なくとも部分的に配置された低圧蒸発器(42)と、
前記低圧エコノマイザ(40)及び前記低圧蒸発器(42)を少なくとも部分的に介して前記ガスタービン(12)と熱連通する水回路(102)であって、
前記低圧エコノマイザ(40)を低圧給水源(118)に流体結合する供給ライン(104)であって、前記水回路(102)は、前記供給ライン(104)を介して前記低圧給水源(118)から水の流れを受け取る、供給ライン(104)と、
前記低圧蒸発器(42)を前記低圧エコノマイザ(40)に流体結合する接続ライン(106)と、
前記接続ライン(106)と熱交換器との間に延在するバイパス供給ライン(108)であって、前記熱交換器は、前記ガスタービン(12)の1つ又は複数の流体と熱連通する、バイパス供給ライン(108)と、
前記熱交換器から延在し、前記供給ライン(104)に延在する第1の戻り分岐部(114)及び前記接続ライン(106)に延在する第2の戻り分岐部(116)を含むバイパス戻りライン(112)と、
前記バイパス戻りライン(112)上に配置された少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)であって、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)は、前記供給ライン(104)及び前記接続ライン(106)の一方又は両方に向けて前記水の流れを導くように動作可能である、少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)と
を備える、水回路(102)と
を備える、ガスタービンシステム(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)は、第1の位置と第2の位置との間で作動可能な第1のマルチパスダイバータバルブであり、前記第1のマルチパスダイバータバルブの前記第1の位置は、前記バイパス戻りライン(112)からの前記水の流れの全てを前記第1の戻り分岐部(114)に搬送し、前記第1のマルチパスダイバータバルブの前記第2の位置は、前記バイパス戻りライン(112)からの前記水の流れの全てを前記第2の戻り分岐部(116)に搬送する、請求項1に記載のガスタービンシステム(100)。
【請求項3】
前記熱交換器は、前記吸気セクション(11)に配置された加熱コイル及び燃料熱交換器のうちの一方である、請求項1又は2に記載のガスタービンシステム(100)。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記ガスタービン(12)の前記吸気セクション(11)に配置された加熱コイルであり、前記ガスタービンシステム(100)は、前記バイパス供給ライン(108)に配置された燃料熱交換器をさらに備える、請求項3に記載のガスタービンシステム(100)。
【請求項5】
前記バイパス戻りライン(112)を通る水の流れに対して前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)の上流で前記バイパス戻りライン(112)上に配置された少なくとも1つの第2のダイバータバルブ(124)をさらに備える、請求項1、2、又は3に記載のガスタービンシステム(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2のダイバータバルブ(124)は、第1の位置と第2の位置との間で作動可能な第2のマルチパスダイバータバルブであり、前記マルチパスダイバータバルブの前記第1の位置は、前記バイパス戻りライン(112)からの前記水の流れの全てを前記バイパス供給ライン(108)に搬送し、前記マルチパスダイバータバルブの前記第2の位置は、前記バイパス戻りライン(112)からの前記水の流れの全てを前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)に搬送する、請求項5に記載のガスタービンシステム(100)。
【請求項7】
前記給水源は、蒸気復水器(36)及び復水器ポンプをさらに備え、前記蒸気復水器(36)は、1つ又は複数の蒸気源からの蒸気を水に復水するように動作可能である、請求項1に記載のガスタービンシステム(100)。
【請求項8】
前記接続ライン(106)に配置されたドラムレベル制御バルブ(107)をさらに備える、請求項1に記載のガスタービンシステム(100)。
【請求項9】
ガスタービンシステム(100)を動作させる方法であって、前記ガスタービンシステム(100)は、ガスタービン(12)、及び前記ガスタービン(12)と熱連通する水回路(102)を含み、前記ガスタービン(12)は、吸気セクション(11)、圧縮機セクション(20)、燃焼セクション(18)、タービンセクション(16)、及び排気セクション(13)を有し、前記排気セクション(13)は、前記タービンセクション(16)から排気ガス(34)の流れを受け取るように構成され、前記方法は、
供給ライン(104)を介して、低圧エコノマイザ(40)への水の流れを受け取るステップであって、前記低圧エコノマイザ(40)は、前記ガスタービンシステム(100)の前記排気セクション(13)内に少なくとも部分的に配置される、受け取るステップと、
接続ライン(106)を介して、前記低圧エコノマイザ(40)からの水の流れの第1の部分を低圧蒸発器(42)に搬送するステップであって、前記低圧蒸発器(42)は、前記排気セクション(13)内において、前記排気ガス(34)の流れに対して前記低圧エコノマイザ(40)の上流に少なくとも部分的に配置される、搬送するステップと、
バイパス供給ライン(108)を介して、前記ガスタービン(12)の1つ又は複数の流体と熱連通する熱交換器に前記水の流れの第2の部分を搬送するステップと、
バイパス戻りライン(112)を介して、少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)に水の流れの第2の部分を送達するステップと、
前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)を介して、前記水の流れの前記第2の部分を前記バイパス戻りライン(112)の第1の戻り分岐部(114)及び前記バイパス戻りライン(112)の第2の戻り分岐部(116)の一方又は両方に導くステップであって、前記第1の戻り分岐部(114)は、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)と前記供給ライン(104)との間に延在し、前記第2の戻り分岐部(116)は、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)と前記接続ライン(106)との間に延在する、導くステップと
を含む、方法。
【請求項10】
少なくとも1つの第2のダイバータバルブ(124)を介して、前記水の流れの前記第2の部分をブリッジライン(126)及び前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)の一方又は両方に導くステップであって、前記ブリッジライン(126)は、前記第2のダイバータバルブ(124)と前記バイパス供給ライン(108)との間に延在する、導くステップ
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バイパス供給ライン(108)、前記熱交換器、前記バイパス戻りライン(112)、及び前記ブリッジライン(126)によって集合的に画定される流れループ(140)を通る一定の流量又は一定の温度の一方を維持するステップ
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ガスタービン(12)の前記1つ又は複数の流体の温度を示すデータを、1つ又は複数のセンサ(304、306)によって検知するステップ
をさらに含む、請求項9、10、又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記検知データに少なくとも部分的に基づいて、前記ガスタービン(12)の前記1つ又は複数の流体の前記温度が所定の範囲外であると判定するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガスタービン(12)の前記1つ又は複数の流体の前記温度が前記所定の範囲外であると判定したことに応答して、前記水の流れの前記第2の部分の水温を修正するために、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)及び前記少なくとも1つの第2のダイバータバルブ(124)を作動させるステップ
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記導くステップは、
前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ(120)を介して、前記水の流れの前記第2の部分を第1の戻り流と第2の戻り流とに分割するステップと、
前記第1の戻り分岐部(114)を介して前記供給ライン(104)に前記第1の戻り流を送達するステップと、
前記第2の戻り分岐部(116)を介して前記第2の戻り流を前記接続ライン(106)に送達するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガスタービン熱回収システム及び方法に関する。特に、本開示は、並列に配置された2つの流れ回路を画定する水回路を含むガスタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合サイクル発電プラント(CCPP)などのガスタービン発電プラントは、一般に、圧縮機セクションと、燃焼器セクションと、タービンセクションと、タービンの下流に配置された排熱回収ボイラ(HRSG)と、HRSGと流体連通する少なくとも1つの蒸気タービンとを有するガスタービンを含む。動作中、空気は、吸気システムを介して圧縮機に入り、燃焼器を少なくとも部分的に取り囲む圧縮機吐出部又はディフューザケーシングに向かって送られるにつれて徐々に圧縮される。圧縮空気の少なくとも一部は、燃料と混合され、燃焼器内に画定された燃焼室内で燃焼され、それによって高温高圧の燃焼ガスを生成する。
【0003】
燃焼ガスは、燃焼器からタービンを通る高温ガス経路に沿って送られ、そこでロータシャフトに結合された固定ベーン及び回転可能なタービンブレードの交互の段を横切って流れるにつれて徐々に膨張する。運動エネルギーは、燃焼ガスからタービンブレードに伝達され、ロータシャフトを回転させる。ロータシャフトの回転エネルギーは、発電機を介して電気エネルギーに変換することができる。燃焼ガスは排気ガスとしてタービンを出て、排気ガスはHRSGに入る。排気ガスからの熱エネルギーは、HRSGの1つ又は複数の熱交換器を通って流れる水に伝達され、それによって過熱された蒸気を生成する。次いで、過熱された蒸気は、蒸気タービンに送られて追加の電気を生成するために使用することができ、したがって全体的な発電プラント効率を向上させる。
【0004】
ガスタービンは、動作中に加熱を必要とする1つ又は複数のシステム又は構成要素を含むことが多い。典型的には、加熱は、加熱を必要とするガスタービンのシステム又は構成要素に配置された熱交換器と共にHRSGからの水又は蒸気の一部を利用することによって達成される。しかしながら、HRSG蒸気又は水を利用してガスタービンの構成要素を加熱する公知のシステム及び方法は、全体的なCCPP効率を低下させることが多い。したがって、HRSG蒸気又は水を利用してガスタービンの1つ又は複数のシステム又は構成要素を加熱する改善されたシステム及び方法が、当技術分野において望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本開示によるガスタービンシステム及び方法の態様及び利点は、以下の説明に部分的に記載されており、又は説明から明らかとなり、又は本技術の実践を通して学ぶことができる。
【0006】
一実施形態によれば、ガスタービンシステムを動作させるための方法が提供される。ガスタービンシステムは、ガスタービン、及びガスタービンと熱連通する水回路を含む。ガスタービンは、吸気セクション、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション、及び排気セクションを有する。排気セクションは、タービンセクションから排気ガスの流れを受け取るように構成される。本方法は、供給ラインを介して、低圧エコノマイザへの水の流れを受け取るステップを含む。低圧エコノマイザは、ガスタービンシステムの排気セクション内に少なくとも部分的に配置される。本方法は、接続ラインを介して、低圧エコノマイザから低圧蒸発器に水の流れの第1の部分を搬送するステップをさらに含む。低圧蒸発器は、排気セクション内において、排気ガスの流れに対して低圧エコノマイザの上流に少なくとも部分的に配置される。本方法は、バイパス供給ラインを介して、ガスタービンの1つ又は複数の流体と熱連通する熱交換器に水の流れの第2の部分を搬送するステップをさらに含む。本方法は、バイパス戻りラインを介して、水の流れの第2の部分を第1のダイバータバルブに送達するステップをさらに含む。本方法は、第1のダイバータバルブを介して、バイパス戻りラインの第1の戻り分岐部及びバイパス戻りラインの第2の戻り分岐部の一方又は両方に、水の流れの第2の部分を導くステップをさらに含む。第1の戻り分岐部は、第1のダイバータバルブと供給ラインとの間に延在する。第2の戻り分岐部は、第1のダイバータバルブと接続ラインとの間に延在する。
【0007】
別の実施形態によれば、ガスタービンシステムが提供される。ガスタービンシステムは、吸気セクションと、圧縮機セクションと、燃焼セクションと、タービンセクションと、排気セクションとを有するガスタービンを含む。排気セクションは、タービンセクションから排気ガスの流れを受け取るように構成される。低圧エコノマイザが、排気セクション内に少なくとも部分的に配置される。低圧蒸発器が、排気セクション内において、排気ガスの流れに対して低圧エコノマイザの上流に少なくとも部分的に配置される。水回路が、低圧エコノマイザ及び低圧蒸発器を少なくとも部分的に介して、ガスタービンと熱連通する。水回路は、低圧エコノマイザを低圧給水源に流体結合する供給ラインを含む。水回路は、供給ラインを介して低圧給水源から水の流れを受け取る。接続ラインが、低圧蒸発器を低圧エコノマイザに流体結合する。バイパス供給ラインが、接続ラインと熱交換器との間に延在する。熱交換器は、ガスタービンの1つ又は複数の流体と熱連通するように位置決めされる。バイパス戻りラインが熱交換器から延在し、第1の戻り分岐部及び第2の戻り分岐部を含む。第1の戻り分岐部は、供給ラインまで延在する。第2の戻り分岐部は、接続ラインまで延在する。少なくとも1つの第1のダイバータバルブが、バイパス戻りラインに配置される。少なくとも1つの第1のダイバータバルブは、水の流れを供給ライン及び接続ラインの一方又は両方に導くように動作可能である。
【0008】
本開示のさらに別の実施形態によれば、複合サイクル発電プラント(CCPP)が提供される。CCPPは、ガスタービン、少なくとも1つの蒸気タービン、並びにガスタービン及び少なくとも1つの蒸気タービンを熱的に結合する排熱回収ボイラ(HRSG)を含む。ガスタービンは、吸気セクション、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション、及び排気セクションを有する。排気セクションは、タービンセクションから排気ガスの流れを受け取るように構成される。HRSGは、排気セクション内に配置された低圧エコノマイザを含む。HRSGは、排気セクション内において、排気ガスの流れに対して低圧エコノマイザの上流に配置された低圧蒸発器をさらに含む。水回路が、低圧エコノマイザ及び低圧蒸発器を少なくとも部分的に介して、ガスタービンと熱連通する。水回路は、低圧エコノマイザを低圧給水源に流体結合する供給ラインを含む。水回路は、供給ラインを介して低圧給水源から水の流れを受け取る。接続ラインが、低圧蒸発器を低圧エコノマイザに流体結合する。バイパス供給ラインが、接続ラインと熱交換器との間に延在する。熱交換器は、ガスタービンの1つ又は複数の流体と熱連通するように位置決めされる。バイパス戻りラインが熱交換器から延在し、第1の戻り分岐部及び第2の戻り分岐部を含む。第1の戻り分岐部は、供給ラインまで延在する。第2の戻り分岐部は、接続ラインまで延在する。少なくとも1つの第1のダイバータバルブが、バイパス戻りラインに配置される。少なくとも1つの第1のダイバータバルブは、水の流れを供給ライン及び接続ラインの一方又は両方に導くように動作可能である。
【0009】
本ガスタービンシステム及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであるが、本技術の実施形態を例示し、明細書における説明と併せて本技術の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
当業者へと向けられた本システム及び方法の作製及び使用の最良の態様を含む、本ガスタービンシステム及び方法の完全かつ実施可能な開示が、添付の図を参照する本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態による複合サイクル発電プラント(CCPP)の概略図である。
図2】本開示の実施形態によるガスタービンシステムの概略図である。
図3】本開示の実施形態によるガスタービンシステムの概略図である。
図4】本開示の実施形態によるガスタービンシステムの概略図である。
図5】本開示の実施形態によるガスタービンシステムの概略図である。
図6】本開示の実施形態による、ガスタービンシステムを動作させる方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本ガスタービンシステム及び方法の実施形態を詳細に参照するが、その1つ又は複数の例が図面に示されている。各例は、本技術の説明のために提供するものであって、本技術を限定するものではない。実際、特許請求される技術の範囲又は趣旨を逸脱せずに、修正及び変更が本技術において可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示又は記載された特徴は、またさらなる実施形態をもたらすために、別の実施形態において使用することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正及び変更を包含することを意図している。
【0013】
詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字及び文字の符号を使用する。図面及び説明における類似又は同様の符号は、本発明の類似又は同様の部分を指すために使用されている。本明細書で使用する場合、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置又は重要性を示すことを意図するものではない。
【0014】
本明細書で使用する場合、「上流」(又は「前方」)、及び「下流」(又は「後方」)という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を指す。例えば、「上流」は、流体が流れてくる方向を指し、「下流」は、流体が流れていく方向を指す。「半径方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に垂直な相対的な方向を指し、「軸方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に平行及び/又は同軸に整列する相対的な方向を指し、「円周方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線の周囲に延びる相対的な方向を指す。「ほぼ」、「実質的に」、「およそ」又は「約」などの近似の用語は、記載された値のプラスマイナス10パーセントの範囲内の値を含む。角度又は方向の文脈で使用されるとき、そのような用語は、記載された角度又は方向のプラスマイナス10度の範囲を含む。例えば、「概して垂直」は、任意の方向、例えば、時計回り又は反時計回りの垂直から10度の範囲内の方向を含む。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ライン」という用語は、流体を運ぶために使用されるホース、配管、又はチューブを指すことができる。「流体」という用語は、気体又は液体とすることができる。「流体連通」という用語は、流体が指定された領域間の接続を行うことができることを意味する。
【0016】
「例示的」という用語は、本明細書では「例、事例、又は例示としての役割を果たす」を意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明される実装形態は、必ずしも他の実施態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。さらに、特に特定されない限り、本明細書に記載される全ての実施形態は例示的であると見なされるべきである。
【0017】
図1は、複合サイクル発電システム又は複合サイクル発電プラント(CCPP)10の一実施形態の概略フロー図である。CCPP10は、第1の負荷14を駆動するためのガスタービン12を含んでもよい。第1の負荷14は、例えば、電力を生成するための発電機15(図2図5に示す)であってもよい。ガスタービン12は、タービンセクション16、燃焼セクション18、及び圧縮機セクション20を含んでもよい。タービンセクション16及び圧縮機セクションは、1つ又は複数のシャフト21によって接続されてもよい。
【0018】
動作中、空気などの作動流体が圧縮機セクション20に流入し、そこで空気が徐々に圧縮され、したがって圧縮空気が燃焼セクション18に供給される。圧縮物は燃料と混合され、各燃焼器内で燃焼して燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、高温ガス経路を通って燃焼セクション18からタービンセクション16に流入し、ここでエネルギー(運動エネルギー及び/又は熱エネルギー)が燃焼ガスからロータブレードに伝達されることにより、1つ又は複数のシャフト21が回転する。次いで、この機械的な回転エネルギーを、圧縮機セクション20の動力及び/又は発電に使用することができる。タービンセクション16を出た加熱された排気ガス34は次いで、排気セクションを介してガスタービン12から排気されてもよい。
【0019】
CCPP10はまた、第2の負荷24を駆動するための蒸気タービン22を含んでもよい。第2の負荷24は、電力を生成するための発電機であってもよい。しかしながら、第1の負荷14及び第2の負荷24の両方が、ガスタービン12及び蒸気タービン22によって駆動可能な他のタイプの負荷であってもよい。さらに、ガスタービン12及び蒸気タービン22は、図示する実施形態に示すように、別個の負荷14、24を駆動してもよいが、ガスタービン12及び蒸気タービン22をタンデムで利用して、単一のシャフトを介して単一の負荷を駆動してもよい。図示の実施形態では、蒸気タービン22は、1つの低圧セクション26(LP ST)、1つの中圧セクション28(IP ST)、及び1つの高圧セクション30(HP ST)を含んでもよい。しかしながら、蒸気タービン22の特定の構成は、ガスタービン12と同様に、実装特有であってもよく、任意のセクションの組合せを含んでもよい。
【0020】
CCPP10はまた、多段HRSG又はHRSG32を含んでもよい。図示した実施形態におけるHRSG32の構成要素は、HRSG32の簡略化された図であり、限定することを意図するものではない。むしろ、図示したHRSG32は、そのようなHRSGシステムの一般的な動作を伝えるために示されている。ガスタービン12からの加熱された排気ガス34は、HRSG32内に輸送され、蒸気タービン22に動力を供給するために使用される蒸気を加熱するために使用することができる。蒸気タービン22の低圧セクション26からの排気は、復水器36に導かれてもよい。次いで、復水器36からの復水は、復水ポンプ38を介してHRSG32の低圧セクションに導かれてもよい。
【0021】
次いで、復水は、ガスを用いて給水を加熱するように構成された装置であり、復水を加熱するために使用することができる低圧エコノマイザ40(LPECON)を通って流れてもよい。低圧エコノマイザ40から、復水は、LPドラム43を介して低圧蒸発器42(LPEVAP)に導かれてもよいし、ポンプ39に向けて導かれてもよい。ポンプ39は、中圧エコノマイザ44(IPECON)又は高圧エコノマイザ48(HPECON)のいずれか又は両方に、LPEVAP42からの復水を導くように異なる圧力で動作可能であってもよい。低圧蒸発器42からの蒸気は、蒸気タービン22の低圧セクション26に戻されてもよい。同様に、中圧エコノマイザ44から、復水は、中圧蒸発器46(IPEVAP)に導かれてもよい。さらに、中圧エコノマイザ44からの水及び/又は蒸気は、1つ又は複数の燃料熱交換器に送られてもよく、そこで蒸気を使用して、ガスタービン12の燃焼セクション18で使用するための燃料ガスを加熱することができる。中圧蒸発器46からの蒸気は、蒸気タービン22の中圧セクション28に送られてもよい。ここでも、図示された実装形態は、本実施形態の固有の態様を採用することができるHRSGシステムの一般的な動作の単なる例示であるため、エコノマイザ、蒸発器、及び蒸気タービン22の間の接続は、実施態様間で変化してもよい。
【0022】
最後に、高圧エコノマイザ48からの復水は、高圧蒸発器50(HPEVAP)に導かれてもよい。高圧蒸発器50を出る蒸気は、一次高圧過熱器52及び仕上げ高圧過熱器54に導かれてもよく、そこで蒸気は過熱され、最終的に蒸気タービン22の高圧セクション30に送られる。次いで、蒸気タービン22の高圧セクション30からの排気は、蒸気タービン22の中圧セクション28に導かれてもよく、蒸気タービン22の中圧セクション28からの排気は、蒸気タービン22の低圧セクション26に導かれてもよい。
【0023】
段間過熱防止装置56は、一次高圧過熱器52と仕上げ高圧過熱器54との間に位置してもよい。段間過熱防止装置56は、仕上げ高圧過熱器54からの蒸気の排気温度のより堅牢な制御を可能にすることができる。具体的には、段間過熱防止装置56は、仕上げ高圧過熱器54を出る蒸気の排気温度が所定値を超えるたびに、仕上げ高圧過熱器54の上流の過熱蒸気に低温給水噴霧を注入することによって、仕上げ高圧過熱器54を出る蒸気の温度を制御するように構成されてもよい。
【0024】
さらに、蒸気タービン22の高圧セクション30からの排気は、一次再加熱器58及び二次再加熱器60に導かれてもよく、そこで蒸気タービン22の中圧セクション28に導かれる前に再加熱されてもよい。一次再加熱器58及び二次再加熱器60はまた、再加熱器からの排気蒸気温度を制御するための段間過熱防止装置62に関連付けられてもよい。具体的には、段間過熱防止装置62は、二次再加熱器60を出る蒸気の排気温度が所定の値を超えるたびに、二次再加熱器60の上流の過熱蒸気に低温給水噴霧を注入することによって、二次再加熱器60を出る蒸気の温度を制御するように構成されてもよい。
【0025】
CCPP10などの複合サイクルシステムでは、高温排気はガスタービン12から流れてHRSG32を通過してもよく、高温水だけでなく高圧高温蒸気を生成するために使用することができる。HRSG32によって生成された蒸気は、発電のために蒸気タービン22を通過することができる。さらに、生成された蒸気は、過熱蒸気が使用される場合のある任意の他のプロセスに供給されてもよい。
【0026】
ガスタービン12の生成サイクルは、しばしば「トッピングサイクル」と呼ばれ、蒸気タービン22の生成サイクルは、しばしば「ボトミングサイクル」と呼ばれる。図1に示すようにこれらの2つのサイクルを組み合わせることにより、複合サイクル発電プラント10は両方のサイクルにおいてより一層の効率性をもたらすことができる。特に、トッピングサイクルからの排熱を取り込み、それを用いて、ボトミングサイクルで使用するための蒸気を生成することができる。
【0027】
CCPP10は、有利には、HRSG32を使用することによって、加熱された排気ガス34から熱を再捕捉する。図1に示すように、ガスタービン12及びHRSG32の構成要素は、個別の機能ユニットに分離されてもよい。言い換えれば、ガスタービン12は、加熱された排気ガス34を生成し、加熱された排気ガス34をHRSG32に向けて導くことができ、HRSG32は、過熱蒸気を生成することによって、加熱された排気ガス34から熱を再捕捉することに主に関与してもよい。次いで、過熱蒸気は、蒸気タービン22によって動力源として使用することができる。加熱された排気ガス34は、CCPP10の特定の設計に基づいて変化し得る一連のダクトワークを介して、HRSG32に移送されてもよい。
【0028】
図2図4はそれぞれ、本開示の実施形態による、独立型システムであってもよく、又は上述のCCPP10に組み込まれてもよいガスタービンシステム100の概略図を示す。図示のように、ガスタービンシステム100は、ガスタービン12を含む。ガスタービン12は、直列の流れの順序で、吸気セクション11、圧縮機セクション20、燃焼セクション18、タービンセクション16、及び排気セクション13を含んでもよい。多くの実施形態では、排気セクション13は、タービンセクションから排気ガス34を受け取り、排気ガスを(例えば大気に)排出する排気ダクト及び/又は排気スタックであってもよい。
【0029】
ガスタービン12の動作時、空気200などの作動流体が、吸気セクション11を通って圧縮機セクション20に流入し、圧縮機セクション20において空気200が徐々に圧縮され、したがって燃焼セクション18の燃焼器に加圧空気がもたらされる。加圧空気は、燃料と混合され、各々の燃焼器において燃やされて、燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、高温ガス経路を通って燃焼セクション18からタービンセクション16に流入し、ここでエネルギー(運動エネルギー及び/又は熱エネルギー)が燃焼ガスからロータブレードに伝達されることにより、シャフトを回転させる。次いで、この機械的な回転エネルギーを、圧縮機セクション20の動力及び/又は発電に使用する(例えば、発電機15を使用して)ことができる。タービンセクション16を出た燃焼ガスは次いで、排気セクション13を介してガスタービン12から排気される燃焼ガス34となってもよい。
【0030】
例示的な実施形態では、ガスタービンシステム100は、排気セクション13内に少なくとも部分的に配置された低圧エコノマイザ(LPECON)40を含んでもよく、LPECON40は排気ガス34に直接曝される。LPECON40は、本開示を通して「給水予熱器」又は「給水加熱器」と呼ばれる場合がある。ガスタービンシステム100は、排気セクション13内において、排気セクション13を通る燃焼ガス34の流れに対して低圧エコノマイザ40の上流に少なくとも部分的に配置された低圧蒸発器(LPEVAP)42をさらに含んでもよい。LPECON40及びLPEVAP42はいずれも、少なくとも部分的に熱交換器として機能することができ、LPECON40及びLPEVAP42を介して排気ガス34と作動流体(水、CO2、フロン、又は他の適切な作動流体など)との間の熱連通を提供する。例えば、低圧給水源118からLPECON40に低温の水が流入することで、水の温度が上昇し、高温の水が生成される。次いで、高温の水は、LPドラム43を介してLPEVAP42に流入する。排気ガスからの熱は、高温供給水に伝達され、それによってLP蒸気45(図1に示すようにLP蒸気タービンで利用することができる)を生成する。
【0031】
ガスタービンシステム100は、LPECON40及びLPEVAP42の両方が流体接続され得る水回路102をさらに含んでもよい。例示的な実施形態では、水回路102は、LPECON40及びLPEVAP42を少なくとも部分的に介して、ガスタービン12と熱連通してもよい。図2に示すように、水回路102は、供給ライン104、接続ライン106、バイパス供給ライン108、熱交換器110、バイパス戻りライン112、バイパス戻りライン112の第1の戻り分岐部114、バイパス戻りライン112の第2の戻り分岐部116、バイパス戻りライン112のブリッジライン126、及びバイパス戻りラインの接続部分128をさらに含んでもよい。
【0032】
LPECON40は、再循環ライン134上に流体連通して各々配置されたエコノマイザバルブ130及びエコノマイザポンプ132を含んでもよい。再循環ライン134は、LPECON40のすぐ下流からLPECON40のすぐ上流まで延在してもよい。したがって、エコノマイザバルブ130が開いており、エコノマイザポンプ132が作動している場合、水回路102内の水の少なくとも一部は、所望の温度に達するまでLPECON40を通って再循環してもよい。あるいは、エコノマイザバルブ130は閉じられてもよく、エコノマイザポンプ132は遮断されてもよく、それによって水が再循環ライン134を通過するのを防止する。
【0033】
供給ライン104は、低圧復水器118へのLPECON40に流体結合してもよい。低圧復水器118は、1つ又は複数の蒸気タービンの出口(低圧蒸気タービン26などの)から蒸気を収集して復水してもよい。多くの実施形態では、供給ライン104は、水回路102に水の流れを供給するために、低圧復水器118と低圧エコノマイザ40との間に延在してもよい。供給ライン104は、供給ライン104が排気ガス34に全く曝されないように、排気セクション13の完全に外部にあってもよい。
【0034】
ガスタービンシステム100がCCPP(例えば、図1のCCPP10)に組み込まれる他の実施形態では、低圧復水器118は、低圧蒸気タービンの出口に流体結合された蒸気復水器(蒸気復水器36など)であってもよい。同様に、供給ポンプ119は、復水ポンプ(復水ポンプ38など)であってもよい。そのような実施形態では、蒸気復水器36は、供給ライン104を介して水回路102に供給される液体水の流れを生成するために、低圧蒸気タービン26の出口から蒸気の流れを受け取ることができ、蒸気から熱を除去することができる。
【0035】
接続ライン106は、接続ラインがLPECON40をLPEVAP42に流体結合するように、低圧エコノマイザ40と低圧蒸発器42との間に流体的に延在してもよい。特に、接続ライン106は、低圧エコノマイザ40とLPEVAP42のLPドラム43との間に延在してもよい。様々な実施形態では、バイパス供給ライン108は、接続ライン106と熱交換器110との間に延在してもよい。いくつかの実施形態では、バイパス供給ライン108は、バイパス供給ライン108が排気ガス34に全く曝されないように、排気セクション13の完全に外部にあってもよい。動作中、バイパス供給ライン108は、水(又は他の冷却剤流体)の一部を接続ライン106から熱交換器110に向けて導いてもよい。様々な実装形態では、LPECON40とLPEVAP42との間の水(すなわち、接続ライン106内の水)は、有利には液体状態(水の飽和点未満)であってもよく、熱交換器110内での使用に適した温度であってもよい。
【0036】
多くの実施形態では、ガスタービンシステム100は、接続ライン106に配置されたドラムレベル制御バルブ107をさらに含んでもよい。ドラムレベル制御バルブ107は、LPドラム43内の水位を維持するように機能することができる。
【0037】
水回路102のバイパス供給ライン108は、接続ライン106と熱交換器110との間に延在してもよく、接続ライン106及び熱交換器110の両方と流体連通してもよい。例えば、バイパス供給ライン108は、接続ライン(ドラムレベル制御バルブ107の上流側)から熱交換器110まで直接延在してもよい。このようにして、バイパス供給ライン108は、LPECON40によって加熱された(しかし、飽和温度未満の)水の流れを熱交換器110に供給するように動作可能であってもよい。
【0038】
様々な実施形態では、バイパス戻りライン112は、熱交換器110、接続ライン106、供給ライン104、及びバイパス供給ライン108の間に延在し、それらと流体連通してもよい。例えば、バイパス戻りライン112は、熱交換器110から延在してもよく、第1の戻り分岐部114、第2の戻り分岐部116、ブリッジライン126、及び接続部分128を含んでもよい。バイパス戻りライン112の第1の戻り分岐部114は供給ライン104まで延在してもよく、バイパス戻りライン112の第2の戻り分岐部116は接続ライン106まで延在してもよく、ブリッジライン126はバイパス供給ライン108まで延在してもよく、そして、接続部分128はダイバータバルブ120、124間に延在してもよい。
【0039】
多くの実施形態では、少なくとも1つの第1のダイバータバルブ120、少なくとも1つの第2のダイバータバルブ124、及び制御ループポンプ122は、バイパス戻りライン112に沿って配置されてもよく、それぞれバイパス戻りライン112と流体連通してもよい。例えば、制御ループポンプ122は、バイパス戻りライン112上で、第1のダイバータバルブ120及び第2のダイバータバルブ124の両方の上流に流体連通して取り付けられてもよい。以下でより詳細に説明するように、少なくとも1つの第1のダイバータバルブ120は、(第1の戻り分岐部114を介して)供給ライン104及び/又は(第2の戻り分岐部116を介して)接続ライン106の一方又は両方に向けて水の流れを導くように動作可能であってもよい。少なくとも1つの第2のダイバータバルブ124は、(ブリッジライン126を介して)バイパス供給ライン108及び/又は(接続部分128を介して)少なくとも1つの第1のダイバータバルブ120の一方又は両方に向けて水の流れを導くように動作可能であってもよい。
【0040】
図2及び図3に示すような例示的な実施形態では、少なくとも1つの第1のダイバータバルブ120は、第1のマルチパスダイバータバルブ(第1の三方バルブなど)であってもよく、少なくとも1つの第2のダイバータバルブ124は、第2のマルチパスダイバータバルブ(第2の三方バルブなど)であってもよい。そのような実施形態では、バイパス戻りライン112の接続部分128は、第2のダイバータバルブ124と第1のダイバータバルブ120との間に直接延在してもよい。
【0041】
図2及び図3に示すように、バイパス戻りライン112の第1の戻り分岐部114は、第1のダイバータバルブ120から接続ライン106に直接延在してもよい。具体的には、第1の戻り分岐部114は、LPECON40の下流ではあるが、LPEVAP42、ドラムレベル制御バルブ107、及びバイパス供給ライン108の上流で接続ライン106に流体結合されてもよい。別個に、第2の戻り分岐部116は、第1のダイバータバルブ120から供給ライン104まで直接延在してもよい。具体的には、第2の戻り分岐部116は、給水源から下流かつLPECON40から上流で、供給ライン104に流体結合されてもよい。このようにして、第1のダイバータバルブ120は、別個に延在する分岐部114、116を介して、LPECON40の上流又は下流のいずれかに水を選択的に送ることができる。有利には、第1のダイバータバルブ120及び分岐部114、116は、大量の配管を必要とせずに、熱交換器110によって利用された水を、LPECON40の上流及び/又は下流のいずれかに選択的に戻すための手段を提供する。
【0042】
多くの実施形態では、第1のダイバータバルブ120は、第1のダイバータバルブ120が接続部分128、第1の分岐部114、及び第2の分岐部116の間の流体接合部を形成するように、バイパス戻りライン112に沿って、バイパス戻りラインが分岐部114、116に分かれる位置で配置されてもよい。例えば、バイパス戻りライン112の分岐部114、116は各々、第1のダイバータバルブ120から直接延在してもよい。例えば、バイパス戻りライン112の第1の戻り分岐部114は、第1のダイバータバルブ120と供給ライン104との間に延在し、LPECON40の上流に水を選択的に供給又は導いてもよい。別個に、第2の戻り分岐部116は、第1のダイバータバルブ120と接続ライン106との間に延在し、LPECON40の下流に水を選択的に供給又は導いてもよい。いくつかの実施形態では、第2の戻り分岐部116は、第2の戻り分岐部116が排気ガス34に全く曝されないように、排気セクション13の完全に外側にあってもよい。
【0043】
同様に、第2のダイバータバルブ124は、バイパス戻りライン112に沿って、バイパス戻りライン112がブリッジライン126と接続部分128とに分かれる位置で配置されてもよい。このようにして、第2のダイバータバルブ124は、接続部分128とブリッジライン126との間に流体接合部を形成することができる。例えば、ブリッジライン126及びバイパス戻りライン112の接続部分128は各々、第2のダイバータバルブ124から直接延在してもよい。例えば、ブリッジライン126は、第2のダイバータバルブ124とバイパス供給ライン108との間に延在し、バイパス供給ライン108内に水を選択的に供給又は戻すように導いてもよい。別個に、バイパス戻りライン112の接続部分128は、第2のダイバータバルブ124と第1のダイバータバルブ120との間に延在し、第1のダイバータバルブ120に向けて水を選択的に供給又は導いてもよい。
【0044】
水回路102の動作は、一般に、処理装置又はコントローラ300によって制御されてもよい。コントローラ300は、水回路102に配置された1つ又は複数の熱交換器の所望の熱伝達負荷を満たすために、水回路102の様々な構成要素を動作させることができる。例示的な実施形態では、コントローラ300は、バルブの各々、例えば、少なくとも1つの第1のダイバータバルブ120及び少なくとも1つの第2のダイバータバルブ124と動作可能に結合される(例えば、電気通信又は無線通信で)。したがって、コントローラ300は、コントローラ300からの信号302に基づいてバルブを選択的に作動及び動作させることができる。例えば、バルブの各々は、コントローラ300によって、開位置と閉位置との間で選択的に作動してもよい。特に、バルブの1つは、それが取り付けられているそれぞれのライン又は配管を通る流体の流れを可能にするために選択的に開いてもよい。同様に、ポンプ122及び132の各々は、コントローラ300によって選択的に動作してもよい。例えば、コントローラ300は、ポンプ122及び132を選択的に有効化及び無効化し、それによってシステム100内の流体の移送を制御するように動作可能であってもよい。
【0045】
第1のダイバータバルブ120は、第1の位置と第2の位置との間で(例えばコントローラ300によって)作動可能であってもよい。第1のダイバータバルブ120の第1の位置は、バイパス戻りライン112の接続部分128からの水の流れの全てを、第1の戻り分岐部114に向けて搬送又は導いてもよい。第1のダイバータバルブ120の第2の位置は、バイパス戻りライン112の接続部分128からの水の流れの全てを、第2の戻り分岐部116に向けて搬送又は導いてもよい。同様に、第2のダイバータバルブ124は、第1の位置と第2の位置との間で作動可能であってもよい。第2のダイバータバルブ124の第1の位置は、バイパス戻りライン112からの水の流れの全てを、バイパス供給ライン108に向けて搬送又は導いてもよい。第2のダイバータバルブ124の第2の位置は、バイパス戻りライン112からの水の流れの全てを、少なくとも1つの第1のダイバータバルブ121に向けて搬送又は導いてもよい。さらに、第1のダイバータバルブ120は、分岐部114、116の両方に様々な量で水を導くように動作可能であってもよい。例えば、第1のダイバータバルブ120は、第1の戻り分岐部114及び第2の戻り分岐部116に同時に水を導くように動作可能であってもよい。特に、水は、第1のダイバータバルブ120によって、分岐部114、116間で、パーセンテージで50/50、例えば40/60、例えば30/70、例えば20/80、例えば10/90、又は任意の他のパーセンテージ比で分割されてもよい。さらに、第1のダイバータバルブ120は、水の100%が分岐部114、116の一方に入り、水の0%が分岐部114、116の他方に入るように、分岐部114、116の一方に水の全てを導くように動作可能であってもよい。
【0046】
同様に、第2のダイバータバルブ124は、ブリッジライン126と接続部分128の両方に様々な量で水を導くように動作可能であってもよい。例えば、第2のダイバータバルブ124は、ブリッジライン126及び接続部分128に同時に水を導くように動作可能であってもよい。特に、水は、第2のダイバータバルブ124によって、接続部分128とブリッジライン126との間で、パーセンテージで50/50、例えば40/60、例えば30/70、例えば20/80、例えば10/90、又は任意の他のパーセンテージ比で分割されてもよい。さらに、第2のダイバータバルブ124は、接続部分128又はブリッジライン126の一方に水の全てを導くように動作可能であってもよい。
【0047】
多くの実施形態では、図示するように、熱交換器110は、ガスタービンの吸気セクション11内に配置された加熱コイルであってもよい。加熱コイルは、吸気セクション11に入る空気200と、加熱コイルを通る水の流れとの間の熱連通を提供する。例えば、加熱コイルは、周囲空気を受け取り、空気に熱を伝達し、それによって圧縮機20内に加熱空気流210を確立するように構成されてもよい。特に、加熱コイルは、作動流体(例えば、水)と、吸気セクション11が受け取った空気200との間の熱連通を提供するように構成されてもよい。
【0048】
代替的又は追加的に、図3に示すように、ガスタービンシステム100は、バイパス供給ライン108上に熱連通して配置された熱交換器111をさらに含んでもよい。熱交換器111は、例示的な実施形態では燃料熱交換器であってもよい。燃料熱交換器は、燃料がガスタービン12の燃焼セクション18に入る前に、バイパス供給ライン108内の水からの熱エネルギーを、燃料ライン109を通って移動する燃料に加えるように動作可能であってもよい。
【0049】
1つ又は複数のセンサ304、306は、熱交換器110、111の一方又は両方に近接して配置されてもよい。1つ又は複数のセンサ304が検知データをコントローラ300に通信するように動作可能であるように、1つ又は複数のセンサ304、306は、コントローラ300と電気的に通信してもよい。特に、1つ又は複数のセンサ304は、ガスタービン流体(吸気空気など)の温度データを検知し、温度データをコントローラ300に通信するように動作可能な熱電対(又は他の適切な温度測定センサ)であってもよい。センサ304は、ガスタービン12の吸気セクション11内に配置されてもよく、空気の温度を検知するように動作可能であってもよい。センサ306(図3)は、燃料ライン109内に配置されてもよく、燃料の温度を検知するように動作可能であってもよい。
【0050】
本発明の1つ又は複数の例示的な実装形態では、動作中に熱交換器110、111のいずれかで追加の熱エネルギーが必要であると判定された場合(例えば、コントローラ300及び1つ又は複数のセンサ304、306を介して)、第1のダイバータバルブ120は、水がLPECON40を通過することによって追加の熱エネルギーを得るように、第2の戻り分岐部116を介してLPECON40の上流に水を選択的に送ることができる。あるいは、動作中に熱交換器110、111で追加の熱エネルギーが必要ではないと(例えば、コントローラ300及び1つ又は複数のセンサ304、306を介して)判定された場合、第2のダイバータバルブ124は、ブリッジライン126を介して、水をバイパス戻りライン112からバイパス供給ライン108に選択的に戻すことができ、それにより、接続ライン106からの任意の熱源(温水供給源)が熱交換器110及び111に熱を伝えることを防止する。
【0051】
図2及び図3に示すマルチパスダイバータバルブの代わりに、図4に示すものなどの他の実施形態では、少なくとも1つの第1のダイバータバルブ120は、互いに機械的に結合された2つの第1のダイバータバルブ150であってもよく、それにより、2つの第1のダイバータバルブ150を一緒に(例えばコントローラ300を用いて)作動させて、それらを通る水の流れを制御することができる。例えば、2つのバルブ150、150間の機械的、電気的、油圧的又は空気圧的リンク機構は、2つのバルブが協働して連動する(例えば、一方が閉じていれば他方は開いている)ことを確実にする。同様に、他の実施形態では、図4に示すように、少なくとも1つの第2のダイバータバルブ124は、互いに機械的に結合された2つの第2のダイバータバルブ152であってもよく、それにより、2つの第2のダイバータバルブ152を一緒に作動させて、それらを通る水の流れを制御することができる。例えば、2つのバルブ152、152間の機械的、電気的、油圧的又は空気圧的リンク機構は、2つのバルブが協働して連動する(例えば、一方が閉じていれば他方は開いている)ことを確実にする。
【0052】
追加的又は代替的に、図5に示すものなどのさらなる実施形態では、システム100は凍結保護システム400を含んでもよい。そのような実施形態では、熱交換器110(及び/又は熱交換器111)は、水回路102から流体的に隔離されてもよいが、熱交換器402を介して水回路102と熱連通してもよい。例えば、ガスタービンシステム100は、ポンプ406を動作させることによって動力流体(水、CO2、フロン、水/グリコール、又は他の適切な動力流体など)を循環させることができる回路402をさらに含んでもよい。熱交換器402は、回路102、402を互いに流体的に隔離しながら、回路402と水回路102との間の熱連通を提供することができる。ガスタービンシステム100をこのように動作させることにより、水回路102内の水が凍結するリスクが有利に低減される。
【0053】
本明細書に記載のガスタービンシステム100は、不要な配管を利用することなく、互いに並列に配置された2つの流れ回路を有利に画定することができる。例えば、第1の流れ回路170は、接続ライン106、バイパス供給ライン108、熱交換器110、熱交換器110と第1のダイバータバルブ120との間に延在するバイパス戻りライン112の一部、及びバイパス戻りライン112の第1の戻り分岐部114によって集合的に画定されてもよい。このようにして、第1の流れ回路170は、接続ライン106から水の流れを受け取ってもよく、水の流れをLPECON40の上流に戻してもよい。
【0054】
同様に、第2の流れ回路180は、接続ライン106、バイパス供給ライン108、熱交換器110、熱交換器110と第1のダイバータバルブ120との間に延在するバイパス戻りライン112の一部、バイパス戻りライン112の第2の戻り分岐部116、及び供給ライン104によって集合的に画定されてもよい。このようにして、第2の流れ回路180は、接続ライン106から水の流れを受け取ってもよく、水の流れをLPECON40の下流に戻してもよい。したがって、第1のダイバータバルブ120は、システム要件に応じて、1つ又は複数の熱交換器によって利用された水を、分岐部114、116を介してLPECON40の上流及び/又は下流のいずれかに有利に戻してもよい。例として、ガスタービンシステム100が1つ又は複数の熱交換器でより多くの熱を必要とする場合、第1のダイバータバルブ120は、(熱エネルギーを加えるために)水の大部分をLPECON40の上流に導いてもよい。逆に、ガスタービンシステム100が1つ又は複数の熱交換器で必要とする熱が少ない場合、第1のダイバータバルブ120は、水の大部分をLPECON40の下流に導いてもよい。
【0055】
例示的な実装形態では、システム100は、「0%加熱負荷」モードに入る場合がある。そのような実装形態では、第2のダイバータバルブ124は、接続部分128に対して完全に閉じ、ブリッジライン126に対して完全に開いていてもよく、これにより、流れループ140を形成することができる(例えば、ポンプ122を作動させることによって)。流れループ140は、バイパス供給ライン108、熱交換器110、バイパス戻りライン112、及びブリッジライン126によって集合的に画定されてもよい。このように第2のダイバータバルブ124を動作させることにより、流れループ140を熱源(例えば、LPECON40)から熱的に隔離することができ、流れループ140内の作動流体(例えば、水)の温度を迅速に空気200の温度と等しくすることができる。
【0056】
さらなる例示的な実装形態では、システム100は、「100%加熱負荷」モードに入る場合がある。そのような実装形態では、第2のダイバータバルブ124は、接続部分128に対して完全に開き、ブリッジライン126に対して完全に閉じていてもよい。このように第2のダイバータバルブ124を動作させることにより、最大の流量が熱源(例えば、LPECON40)を通って再循環することができ、それにより、最大量の熱が熱交換器110、111に供給される。
【0057】
ダイバータバルブ120、124は、動作要件に従ってダイバータバルブ120、124を作動させることによって、システム100において、動作の柔軟性(例えば、0%の加熱負荷と100%の加熱負荷との間の完全な動作柔軟性)を高めることを理解されたい。
【0058】
ここで図6を参照すると、ガスタービンシステム(上述のガスタービンシステム100など)を動作させる方法500の流れ図であり、破線のボックスは、方法500の任意選択のステップを示す。ガスタービンシステム100は、ガスタービン12、及びガスタービン12と熱連通する水回路102を含む。ガスタービン12は、吸気セクション11、圧縮機セクション20、燃焼セクション18、タービンセクション16、及び排気セクション13を有する。排気セクション13は、タービンセクション16から排気ガス34の流れを受け取るように構成されてもよい。
【0059】
図示するように、方法500は、供給ライン104を介して、低圧エコノマイザ40への水の流れを受け取る最初のステップ502を含んでもよい。低圧エコノマイザ40は、ガスタービンシステム100の排気セクション13内に少なくとも部分的に配置されてもよい。このようにして、低圧エコノマイザ40は、排気ガス34と水の流れとの間の熱連通を提供する熱交換器として機能することができる。
【0060】
方法500は、接続ライン106を介して、低圧エコノマイザ40から低圧蒸発器42に水の流れの第1の部分を搬送するステップ504をさらに含んでもよい。低圧蒸発器42は、排気セクション13内において、排気ガス34の流れに対して低圧エコノマイザ40の上流に少なくとも部分的に配置されてもよい。低圧蒸発器42は、LPドラム43を介して低圧エコノマイザ40を出る高温水の流れを受け取ってもよく、高温水から低圧蒸気45を生成してもよい。低圧蒸気45は、1つ又は複数の蒸気タービンで利用されてもよい(図1に示すように)。
【0061】
方法500は、バイパス供給ライン108を介して、ガスタービン12の1つ又は複数の流体と熱連通する熱交換器110、111に水の流れの第2の部分を搬送するステップ506をさらに含んでもよい。例えば、熱交換器110、111は、ガスタービン12の吸気セクション11に配置された加熱コイル及び/又はバイパス供給ラインに配置された燃料熱交換器の一方であってもよい。熱交換器が加熱コイルである場合、熱交換器は、バイパス供給ライン内の水とガスタービン12の吸気セクション11に入る空気との間の熱連通を提供することができる。熱交換器が燃料熱交換器である場合、熱交換器は、燃焼セクション18に入る前に、バイパス供給ライン内の水と燃料との間の熱連通を提供することができる。代替的又は追加的に、ガスタービンシステム100は、加熱コイル及び燃料熱交換器の両方を含んでもよい。
【0062】
方法500は、バイパス戻りライン112を介して、水の流れの第2の部分を第1のダイバータバルブ120に送達するステップ508をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のダイバータバルブ120は、1つの第1のダイバータバルブ120(図2及び図3)であってもよい。他の実施形態では、第1のダイバータバルブ120は、(例えば、コントローラ300によって)一緒に作動されるように互いに機械的に結合された2つの第1のダイバータバルブ150(図4)であってもよい。
【0063】
方法500は、第1のダイバータバルブ120を介して、バイパス戻りライン112の第1の戻り分岐部114及びバイパス戻りライン112の第2の戻り分岐部116の一方又は両方に、水の流れの第2の部分を導くステップ510をさらに含んでもよい。第1の戻り分岐部114は、第1のダイバータバルブ120と供給ライン104との間に延在してもよい。第2の戻り分岐部116は、第1のダイバータバルブ120と接続ライン106との間に延在してもよい。
【0064】
任意選択の実施形態では、方法500は、少なくとも1つの第2のダイバータバルブ124を介して、ブリッジライン126及び少なくとも1つの第1のダイバータバルブ120の一方又は両方に、水の流れの第2の部分を導く任意選択のステップ512をさらに含んでもよい。ブリッジラインは、少なくとも1つの第2のダイバータバルブ124とバイパス供給ライン108との間に延在してもよい。いくつかの実施形態では、第2のダイバータバルブ124は、1つの第2のダイバータバルブ124(図2及び図3)であってもよい。他の実施形態では、第2のダイバータバルブ124は、(例えば、コントローラ300によって)一緒に作動されるように互いに機械的に結合された2つの第2のダイバータバルブ152(図4)であってもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、方法500は、バイパス供給ライン108、熱交換器110、バイパス戻りライン112、及びブリッジライン126によって集合的に画定された流れループ140を通る一定の流量又は一定の温度の一方を維持する任意選択のステップ514をさらに含んでもよい。一定の流量が維持される場合、制御ループポンプ122を一定速度に設定することができ、ダイバータバルブ120、124を作動させることによって流れループ140内の水の温度を変化させることができる。あるいは、一定の温度が維持される場合、制御ループポンプ122の速度を変化させることによって、流量を流れループ140内で変化させることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本方法は、ガスタービンの1つ又は複数の流体の温度を示すデータを、1つ又は複数のセンサ304、306を介して検知するステップを含んでもよい。例えば、センサ304、306は、熱が伝達されている流体の温度を測定するように構成されてもよい。具体的には、吸気セクション11に配置されたセンサ304は、空気の温度を測定するように構成されてもよく、燃料ライン109に配置されたセンサ304は、燃料の温度を測定するように構成されてもよい。このようにして、センサ304、306は、いずれかの流体に熱を加える必要があるかどうかを判定することができるコントローラ300にデータを通信することができ、コントローラ300はそれに応じてダイバータバルブ120、124を作動させることができる。
【0067】
例えば、本方法はまた、センサ304、306からの検知データに少なくとも部分的に基づいて、ガスタービン12の1つ又は複数の流体の温度が所定の範囲外であると判定するステップを含んでもよい。例えば、吸気セクション内の空気の温度が、低温すぎ/高温すぎ、又は燃料の温度が、低温すぎ/高温すぎる。それに応答して、コントローラ300は、ガスタービンの1つ又は複数の流体の温度が所定の範囲外であると判定したことに応答して、第1のダイバータバルブ120及び第2のダイバータバルブを作動させて、水の第2の部分の水温を修正することができる。
【0068】
本明細書は、本発明を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本発明を実施することができるように実施例を用いており、任意の装置又はシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者であれば想到できる他の例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、あるいは特許請求の範囲の文言との実質的な相違がない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【0069】
本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
【0070】
ガスタービンシステムを動作させる方法であって、前記ガスタービンシステムは、ガスタービン、及び前記ガスタービンと熱連通する水回路を含み、前記ガスタービンは、吸気セクション、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション、及び排気セクションを有し、前記排気セクションは、前記タービンセクションから排気ガスの流れを受け取るように構成され、前記方法は、供給ラインを介して、低圧エコノマイザへの水の流れを受け取るステップであって、低圧エコノマイザは、ガスタービンシステムの排気セクション内に少なくとも部分的に配置される、受け取るステップと、接続ラインを介して、前記低圧エコノマイザから低圧蒸発器への水の流れの第1の部分を搬送するステップであって、前記低圧蒸発器は、前記排気セクション内において、前記排気ガスの流れに対して前記低圧エコノマイザの上流に少なくとも部分的に配置される、搬送するステップと、バイパス供給ラインを介して、前記ガスタービンの1つ又は複数の流体と熱連通する熱交換器に前記水の流れの第2の部分を搬送するステップと、バイパス戻りラインを介して、少なくとも1つの第1のダイバータバルブに水の流れの第2の部分を送達するステップと、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブを介して、前記水の流れの前記第2の部分を前記バイパス戻りラインの第1の戻り分岐部及び前記バイパス戻りラインの第2の戻り分岐部の一方又は両方に導くステップであって、前記第1の戻り分岐は、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブと前記供給ラインとの間に延在し、前記第2の戻り分岐部は、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブと前記接続ラインとの間に延在する、導くステップとを含む、方法。
【0071】
少なくとも1つの第2のダイバータバルブを介して、前記水の流れの前記第2の部分をブリッジライン及び前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブの一方又は両方に導くステップであって、前記ブリッジラインは、前記第2のダイバータバルブと前記バイパス供給ラインとの間に延在する、導くステップをさらに含む、これらの条項の1つ又は複数に記載の方法。
【0072】
前記バイパス供給ライン、前記熱交換器、前記バイパス戻りライン、及び前記ブリッジラインによって集合的に画定された流れループを通る一定の流量又は一定の温度の一方を維持するステップをさらに含む、これらの条項の1つ又は複数に記載の方法。
【0073】
前記ガスタービンの前記1つ又は複数の流体の温度を示すデータを、1つ又は複数のセンサによって検知するステップをさらに含む、これらの条項の1つ又は複数に記載の方法。
【0074】
前記検知データに少なくとも部分的に基づいて、前記ガスタービンの前記1つ又は複数の流体の前記温度が所定の範囲外であると判定するステップをさらに含む、これらの条項の1つ又は複数に記載の方法。
【0075】
前記ガスタービンの前記1つ又は複数の流体の前記温度が前記所定の範囲外であると判定したことに応答して、前記水の流れの前記第2の部分の水温を修正するために、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブ及び前記少なくとも1つの第2のダイバータバルブを作動させるステップをさらに含む、これらの条項の1つ又は複数に記載の方法。
【0076】
前記導くステップは、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブを介して、前記水の流れの前記第2の部分を第1の戻り流と第2の戻り流とに分割するステップと、前記第1の戻り分岐部を介して前記供給ラインに前記第1の戻り流を送達するステップと、前記第2の戻り分岐部を介して前記第2の戻り流を前記接続ラインに送達するステップとを含む、これらの条項の1つ又は複数に記載の方法。
【0077】
前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブがマルチパスダイバータバルブであり、前記方法が、第1の位置と第2の位置との間で前記マルチパスダイバータバルブを作動させるステップをさらに含み、前記マルチパスダイバータバルブの前記第1の位置が、前記バイパス戻りラインからの前記水の流れの前記第2の部分の全てを前記第1の戻り分岐部に搬送し、前記マルチパスダイバータバルブの前記第2の位置が、前記バイパス戻りラインからの前記水の流れの前記第2の部分の全てを前記第2の戻り分岐部に搬送する、これらの条項の1つ又は複数に記載の方法。
【0078】
前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブは、互いに機械的に結合された2つの第1のダイバータバルブであり、前記2つの第1のダイバータバルブは一緒に作動される、これらの条項の1つ又は複数に記載の方法。
【0079】
吸気セクション、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション、及び排気セクションを有するガスタービンであって、前記排気セクションは、前記タービンセクショから排気ガスの流れを受け取るように構成される、ガスタービンと、前記排気セクション内に少なくとも部分的に配置された低圧エコノマイザと、前記排気セクション内において、前記排気ガスの流れに対して前記低圧エコノマイザの上流に少なくとも部分的に配置された低圧蒸発器と、前記低圧エコノマイザ及び前記低圧蒸発器を少なくとも部分的に介して前記ガスタービンと熱連通する水回路であって、前記低圧エコノマイザを低圧給水源に流体結合する供給ラインであって、前記水回路は、前記供給ラインを介して前記低圧給水源から水の流れを受け取る、供給ラインと、前記低圧蒸発器を前記低圧エコノマイザに流体結合する接続ラインと、前記接続ラインと熱交換器との間に延在するバイパス供給ラインであって、前記熱交換器は、前記ガスタービンの1つ又は複数の流体と熱連通する、バイパス供給ラインと、前記熱交換器から延在し、前記供給ラインに延在する第1の戻り分岐部及び前記接続ラインに延在する第2の戻り分岐部を含むバイパス戻りラインと、前記バイパス戻りライン上に配置された少なくとも1つの第1のダイバータバルブであって、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブは、前記供給ライン及び前記接続ラインの一方又は両方に向けて前記水の流れを導くように動作可能である、少なくとも1つの第1のダイバータバルブとを備える、水回路とを備えるガスタービンシステム。
【0080】
前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブは、第1の位置と第2の位置との間で作動可能な第1のマルチパスダイバータバルブであり、前記第1のマルチパスダイバータバルブの前記第1の位置は、前記バイパス戻りラインからの前記水の流れの全てを前記第1の戻り分岐部に搬送し、前記第1のマルチパスダイバータバルブの前記第2の位置は、前記バイパス戻りラインからの前記水の流れの全てを前記第2の戻り分岐部に搬送する、これらの条項の1つ又は複数に記載のガスタービンシステム。
【0081】
前記熱交換器は、前記吸気セクションに配置された加熱コイル及び燃料熱交換器のうちの一方である、これらの条項の1つ又は複数に記載のガスタービンシステム。
【0082】
前記熱交換器は、前記ガスタービンの前記吸気セクションに配置された加熱コイルであり、前記ガスタービンシステムは、前記バイパス供給ラインに配置された燃料熱交換器をさらに備える、これらの条項の1つ又は複数に記載のガスタービンシステム。
【0083】
前記バイパス戻りラインを通る水の流れに対して前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブの上流で前記バイパス戻りライン上に配置された少なくとも1つの第2のダイバータバルブをさらに備える、これらの条項の1つ又は複数に記載のガスタービンシステム。
【0084】
前記少なくとも1つの第2のダイバータバルブは、第1の位置と第2の位置との間で作動可能な第2のマルチパスダイバータバルブであり、前記マルチパスダイバータバルブの前記第1の位置は、前記バイパス戻りラインからの前記水の流れの全てを前記バイパス供給ラインに搬送し、前記マルチパスダイバータバルブの前記第2の位置は、前記バイパス戻りラインからの前記水の流れの全てを前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブに搬送する、これらの条項の1つ又は複数に記載のガスタービンシステム。
【0085】
前記給水源は、蒸気復水器及び復水器ポンプをさらに備え、前記蒸気復水器は、1つ又は複数の蒸気源からの蒸気を水に復水するように動作可能である、これらの条項の1つ又は複数に記載のガスタービンシステム。
【0086】
前記接続ライン上に配置されたドラムレベル制御バルブをさらに備える、これらの条項の1つ又は複数に記載のガスタービンシステム。
【0087】
ガスタービン、少なくとも1つの蒸気タービン、並びに前記ガスタービン及び前記少なくとも1つの蒸気タービンを熱的に結合する排熱回収ボイラ(HRSG)を備える複合サイクル発電プラント(CCPP)であって、前記ガスタービンは、吸気セクション、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション、及び排気セクションを有し、前記排気セクションは前記タービンセクションから排気ガスの流れを受け取るように構成され、前記HRSGは、前記排気セクション内に配置された低圧エコノマイザと、前記排気セクション内において、前記排気ガスの流れに対して前記低圧エコノマイザの上流に配置された低圧蒸発器と、前記低圧エコノマイザ及び前記低圧蒸発器を少なくとも部分的に介して前記ガスタービンと熱連通する水回路であって、前記低圧エコノマイザを低圧給水源に流体結合する供給ラインであって、前記水回路は、前記供給ラインを介して前記低圧給水源から水の流れを受け取る、供給ラインと、前記低圧蒸発器を前記低圧エコノマイザに流体結合する接続ラインと、前記接続ラインと熱交換器との間に延在するバイパス供給ラインであって、前記熱交換器は前記ガスタービンの1つ又は複数の流体と熱連通する、バイパス供給ラインと、前記熱交換器から延在し、前記供給ラインに延在する第1の戻り分岐部及び前記接続ラインに延在する第2の戻り分岐部を含むバイパス戻りラインと、前記バイパス戻りライン上に配置された少なくとも1つの第1のダイバータバルブであって、前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブは前記供給ライン及び前記接続ラインの一方又は両方に向けて前記水の流れを導くように動作可能である、少なくとも1つの第1のダイバータバルブとを備える、水回路とを備える、複合サイクル発電プラント(CCPP)。
【0088】
前記少なくとも1つの第1のダイバータバルブは、第1の位置と第2の位置との間で作動可能な第1のマルチパスダイバータバルブであり、前記第1のマルチパスダイバータバルブの前記第1の位置は、前記バイパス戻りラインからの前記水の流れの全てを前記第1の戻り分岐部へ搬送し、前記第1のマルチパスダイバータバルブの前記第2の位置は、前記バイパス戻りラインからの前記水の流れの全てを前記第2の戻り分岐部に搬送する、これらの条項の1つ又は複数に記載のCCPP。
【0089】
前記熱交換器は、前記吸気セクションに配置された加熱コイル及び燃料熱交換器のうちの少なくとも一方である、これらの条項の1つ又は複数に記載のCCPP。
【符号の説明】
【0090】
10 複合サイクル発電プラント、CCPP
11 吸気セクション
12 ガスタービン
13 排気セクション
14 第1の負荷
15 発電機
16 タービンセクション
18 燃焼セクション
20 圧縮機セクション、圧縮機
21 シャフト
22 蒸気タービン
24 第2の負荷
26 低圧セクション
28 中圧セクション
30 高圧セクション
32 HRSG
34 排気ガス、燃焼ガス
36 蒸気復水器
38 復水ポンプ
39 ポンプ
40 低圧エコノマイザ、LPECON
42 低圧蒸発器、LPEVAP
43 LPドラム
44 中圧エコノマイザ
45 低圧蒸気
46 中圧蒸発器
48 高圧エコノマイザ
50 高圧蒸発器
52 一次高圧過熱器
54 仕上げ高圧過熱器
56 段間過熱防止装置
58 一次再加熱器
60 二次再加熱器
62 段間過熱防止装置
100 ガスタービンシステム
102 水回路
104 供給ライン
106 接続ライン
107 ドラムレベル制御バルブ
108 バイパス供給ライン
109 燃料ライン
110 熱交換器
111 熱交換器
112 バイパス戻りライン
114 第1の戻り分岐部
116 第2の戻り分岐部
118 低圧復水器、低圧給水源
120 第1のダイバータバルブ
122 ポンプ
124 第2のダイバータバルブ
126 ブリッジライン
128 接続部分
130 エコノマイザバルブ
132 エコノマイザポンプ
134 再循環ライン
140 流れループ
150 第1のダイバータバルブ
152 第2のダイバータバルブ
170 第1の流れ回路
180 第2の流れ回路
200 空気
210 加熱空気流
300 コントローラ
302 信号
304 センサ
306 センサ
402 熱交換器、回路
500 方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】