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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165918
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/26 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A43B23/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059238
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2021071024
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】397067428
【氏名又は名称】株式会社キャラバン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】牧田 信也
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 敦郎
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC17
4F050BC19
4F050DA29
4F050GA30
(57)【要約】
【課題】容易に物品を出し入れ可能であり、収納された物品が破壊されにくい靴を提供する。
【解決手段】靴10は、着用者の少なくとも甲を覆うための第1の甲被部11と、第1の甲被部11の少なくとも一部を覆うように設けられ、第1の甲被部11との間に収納空間を生じさせる第2の甲被部12と、を備える。第1の甲被部11は、着用者の甲を保持する機能を有し、第2の甲被部12は、2つの羽根部21と羽根部21の間に設けられた舌部22とを備える。舌部22は、第1の甲被部11と対向する面に物品を収納可能なポケットを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の少なくとも甲を覆うための第1の甲被部と、前記第1の甲被部の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記第1の甲被部との間に収納空間を生じさせる第2の甲被部と、を備え、
前記第1の甲被部は、前記着用者の甲を保持する機能を有し、
前記第2の甲被部は、対向して配置された羽根部と前記羽根部の間に位置する舌部とを備え、
前記舌部は、前記第1の甲被部と対向する面に物品を収納可能なポケットを備える、
ことを特徴とする靴。
【請求項2】
前記第1の甲被部は、前記着用者の甲が位置する部分で少なくとの前記舌部と対向する位置にクッションを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記舌部は、前記収納空間の入口を覆うフラップを備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の靴。
【請求項4】
前記ポケットに収納される前記物品は電子機器である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の靴。
【請求項5】
認知症患者の探索用の靴である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品を収納可能な靴に関し、特に小型の電子機器を収納可能な靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加温剤、除湿剤のような物品を入れるため、靴底に収納空間を設ける構成が知られている(例えば、特許文献1)。また、探索対象者の位置を知るため、送信機を靴底に入れる構成も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-29502号公報
【特許文献2】特開2004-357268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に靴底に収納空間を設ける場合、物品を出し入れしにくいという問題がある。
【0005】
加えて、靴底には、体重若しくは体重を超える力がかかり、振動が強く伝わりやすいため、特許文献1及び特許文献2に記載のような靴底に物品を入れる構成では、収納空間内に収められた物品が破壊されやすいという問題がある。この問題は、収納される物品が電子機器である場合、特に顕著な問題となる。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、容易に物品を出し入れ可能であり、収納された物品が破壊されにくい靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る靴は、
着用者の少なくとも甲を覆うための第1の甲被部と、前記第1の甲被部の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記第1の甲被部との間に収納空間を生じさせる第2の甲被部と、を備え、
前記第1の甲被部は、前記着用者の甲を保持する機能を有し、
前記第2の甲被部は、対向して配置された羽根部と前記羽根部の間に位置する舌部とを備え、
前記舌部は、前記第1の甲被部と対向する面に物品を収納可能なポケットを備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、容易に物品を出し入れ可能であり、収納された物品が破壊されにくい靴を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る靴の側面図である。
図2】実施形態1に係る靴の部分分解図である。
図3図3(a)は実施形態1に係る靴のフラップを閉じた状態を示す図である。図3(b)はフラップを引き出した状態を示す図である。
図4】実施形態1に係る靴において、フラップを外した状態を説明する図である。
図5】実施形態1に係る靴の収納空間を説明する図である。
図6】実施形態2に係る靴の側面図である。
図7】実施形態2に係る靴の部分分解図である。
図8図8は実施形態2に係る靴のフラップ及び舌部を引き出した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して、本実施形態に係る靴10,50について説明する。
【0011】
(実施形態1)
靴10は、図1及び図2に示すように、第1の甲被部11、第2の甲被部12、平ゴム13、腰部14、バックステイ15、ヒールテープ16、ソール17、及び履き口18を備える。第1の甲被部11、第2の甲被部12、平ゴム13、腰部14、バックステイ15及びヒールテープ16は、天然革、人口皮革、布等、既知の材料から形成される。ソール17も、革、ゴム、ウレタン等の既知の材料から形成される。
【0012】
図2は、第2の甲被部12を第1の甲被部11から離した状態を示す。本実施形態の靴10では、図2に示すように、第2の甲被部12が第1の甲被部11と重なるように設けられることで、図5等に示すように、第1の甲被部11と第2の甲被部12との間に収納空間30が形成される。本実施形態では、収納空間30内に設けられたポケット(収納部)25内に、任意の物品、例えばGPS発信器、歩数計機能、加速度計等の小型の電子機器を入れることができる。
【0013】
第1の甲被部11は、着用者の中足部から前足部を覆う。第1の甲被部11、腰部14及びヒールテープ16とで着用者の足を覆うアッパーを構成する。第1の甲被部11と腰部14及びヒールテープ16の下端は、ソール17と結合されている。また、第1の甲被部11及び腰部14の上端には履き口18が設けられる。靴10は、図2に示すように、平ゴム13を備える。靴10が、平ゴム13を備えることで、平ゴム13による伸縮により、第1の甲被部11は着用者の様々な足の形状に追随することができ、快適な歩行を実現することができる。
【0014】
第1の甲被部11は、靴10の着用者の足に触れ、甲を押さえることで靴10が足から抜け落ちることを防ぐ。また、第1の甲被部11は、踵の浮き上がりも低減する機能を有する。後述するように、本実施形態の靴10は、着用者の甲を覆う位置に第1の甲被部11と第2の甲被部12とが存在するが、第1の甲被部11だけで、甲を押さえる機能を果たすことができる。また、第2の甲被部12を除く、第1の甲被部11、平ゴム13、腰部14、バックステイ15、ヒールテープ16、ソール17、及び履き口18で靴、いわゆるスリッポンを構成する。
【0015】
また、第1の甲被部11は、少なくとも舌部22のポケット25と重なる位置に、クッション11aを有することが好ましい。クッション11aとしては、スポンジ等、弾力性のある任意の材料を使用することができる。後述するように舌部22には、ポケット25が設けられる。クッション11aを設けることで、ポケット25内に収納された物品が第1の甲被部11を介して足に当たり、着用者に異物感を与え、着用感の悪化を抑制することができる。
【0016】
第2の甲被部12は、図2に示すように、第1の甲被部11を覆うように配置される。図1に示すように、着用者の甲が位置する部分の上に配置される。第2の甲被部12が、第1の甲被部11を覆うように配置されることで、第1の甲被部11と第2の甲被部12との間に、図5等に示すように収納空間30が形成される。なお、第2の甲被部12は、少なくとも着用者の甲を覆う位置で第1の甲被部11を覆っていればよく、第1の甲被部11を全体に覆っている必要はない。
【0017】
第2の甲被部12は、図2図4に示すように、羽根部21、舌部22、鳩目23、紐24、ポケット25及びフラップ26を備える。
【0018】
羽根部21は、甲の両側に2つ配置され、それぞれ中足部において甲の側面から中心に向かって上方向に延び、前足部ではソールに沿って延びるように配置されている。靴10の中足部における羽根部21の上端には複数の鳩目23が設けられており、鳩目23には紐24が通されている。紐24としては、任意の紐を使用することができる。紐24は、物品の出し入れが容易となるよう伸縮性があることが好ましい。
【0019】
舌部22は、羽根部21の間に配置される。また、図4に示すように、靴10の中足部において、舌部22は、羽根部21と第1の甲被部11との間に配置される。本実施形態において、舌部22は、袋ベロである。具体的に、舌部22において、履き口18から靴10のつま先へ向かう方向に延びる2つの端22aは、それぞれ羽根部21に、固定されている。加えて、舌部22は、着用者の甲の両側に2つの折り目22bを備えており、袋状の構造を備える。
【0020】
舌部22を図4に示すような袋状とすることで、収納空間30の高さを収納される物品に応じて変更することができる。舌部22の折り目22bをそれぞれ甲の両側へと引き、舌部22を羽根部21及び/又は第1の甲被部11に沿うようにすることで、収納空間30の高さを低くでき、物品を収納する場合は舌部22の中央部分を持ち上げ、第1の甲被部11と離すことで収納空間30を広くすることができる。このように、本実施形態の靴10は、舌部22が袋状の構造を備えることから、収納する物品の高さに応じて収納空間30の高さを変化させることができる。また、ポケット25に物品が収められた場合、物品が着用者に当たりにくくすることができる。
【0021】
ポケット25は、図4及び図5に示すように、舌部22の第1の甲被部11と対向する面に設けられる。また、ポケット25は、図5に示すように、着用者の甲が位置する部分の上側に設けられる。ポケット25は、図4に示すように履き口18側に物品を入れるための挿入口25aを備える。ポケット25の平面形状は、任意の形状に形成され、例えば方形に形成される。また、ポケット25の形状は、収納する物品、例えば電子機器の形に合わせても形成されてもよい。
【0022】
本実施形態では、図4及び図5に示すように、ポケット25を第2の甲被部12の舌部22に設ける。これにより、図5に示すように、収納された物品40は舌部22に沿って配置されるため、ポケット25に収納される物品40を第1の甲被部11に接触しにくくすることができる。従って、第1の甲被部11に物品が接触しにくくなり、物品40によって靴の着用感が損なわれることを抑制する。
【0023】
フラップ26は、図3(a)及び図3(b)に示すように舌部22の履き口18側の端に設けられる。図3(a)はフラップ26を閉じた状態を示し、図3(b)はフラップ26を引き出した状態を示す。フラップ26は革、布等から形成され、図3(b)に示すように、略方形に形成される。フラップ26の一端は舌部22の履き口18側の端に、縫合、接着剤等の任意の手段で固定されている。一方、図3(b)に示すように、フラップ26のその他の端は固定されていない。
【0024】
フラップ26を図3(a)に示すように、収納空間30の入口を覆うように配置させることで収納空間30を隠すことができ、収納されている物品を視認できないようにすることができる。また、物品を取り出すときはフラップ26を開き、収納空間30から容易に物品を出すことができる。図3に示すように第1の甲被部11に沿うように配置させる。なお、フラップ26の端は収納空間30内に挿入されてもよい。また、フラップ26の他の端は、面ファスナー等の固定手段で、着脱可能に第1の甲被部11又は第2の甲被部12に固定されてもよい。
【0025】
また、ポケット25に収納される物品40を、GPS発信器とすると、着用者の位置情報の把握、移動距離の測定、着用者の危険箇所等への立ち入り確認等を行うことができる。また、加速度計を収納すると、着用者の転倒などを検出することができる。加えて、物品40を歩数計とすると、着用者の歩数の確認や健康管理等を行うこともできる。これらの機能はいずれか1つを備えてもよく、任意の機能を組み合わせることができる。また収納する物品40も1つに限られず複数であってもよい。
【0026】
本実施形態の靴10では、第1の甲被部11と第2の甲被部12とを重ねて空間を形成しているため、収納空間30が甲部分に位置しており、物品40の入れ替えを容易に行うことができる。また、着用者の甲部分に物品40が収納されるため、収納した物品40が体重等の外力によって壊れることを抑制することができる。
【0027】
加えて、甲を保持する機能を第1の甲被部11が有するため、第2の甲被部12によって着用者の甲を押さえる必要がない。また、ポケット25は第2の甲被部12側に設けられるため、第2の甲被部12のポケット25に収めた物品40が着用者の甲にあたることを抑制することができる。従って、足あたりが、収納された物品40の形状に左右されにくく、異物が足に当たる感覚を軽減させる効果を得ることができる。加えて、第1の甲被部11にクッション11aを備える場合は、更に物品40によって履き心地が損なわれることを抑制することができる。
【0028】
更に、舌部22を袋構造とし、舌部22の両側に位置する羽根部21を備える第2の甲被部12を設けることで、靴10の外観を市場で多く見られる靴のデザインに近づけることができ、靴10の美観が損なわれない。また、物品40が収納された場合も、物品40が収納される空間は羽根部21に隠れるため、下に物品40が収納されていることが視認されにくい。従って、本実施形態の靴10によれば、ファッション性に繋がるスタイルを維持したまま甲を押さえる機能と収納空間を設ける機能を同時に実現することもできる。
【0029】
実施形態に係る靴10は、探索が必要な者(要探索者)用の靴として使用することで、特に優れた効果を発揮する。要探索者としては、認知症患者を例に挙げる。
【0030】
本実施形態の靴10では、上述したように物品40の出し入れが容易である。このため、要探索者に徘徊などの症状が見られない時には物品(例えば、GPS発信器)40を外しておき、症状が見られるようになってから物品40を入れることができる。従って、症状に応じて必要なときに物品40を入れることが可能となる。加えて、症状に応じて、収納する物品40を変えることができるため、症状に応じ、必要な機能に変えることもできる。
【0031】
また、上述したように、本実施形態の靴10では、物品40の有無で履き心地に影響が出にくい。認知症患者は、特に着用感に敏感であるため、異物感があると靴を履かない、又はGPS発信器を取り出してしまうという問題が生ずることがある。しかし、本実施形態の靴10では、異物感を与えにくいため、このような問題が生ずることを抑制することができる。
【0032】
更に、靴10の外観が収納空間を備えない既知の靴と近いデザインとすることができるため、認知症の症状が進んだ場合も、既知の靴であると認識されやすく、履くことを拒まれ難い。また、上述したように症状に応じて物品の出し入れが容易であるため、症状が軽いうちから靴10に慣らしておくことができ、GPS発信器等を使用する必要が生じたとき、慣れた靴10を探索可能な靴として使用することも可能である。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2に係る靴50について、図面を用いて説明する。実施形態1と共通する特徴については、同一の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0034】
実施形態2に係る靴50は、図6及び図7に示すように、第1の甲被部11、第2の甲被部52、平ゴム13、腰部14、ソール17、履き口18、プルストラップ53、及びアウトカウンター54を備える。第1の甲被部11、第2の甲被部52、平ゴム13、腰部14、腰部14、ソール17、履き口18、プルストラップ53、及びアウトカウンター54は、天然革、人口皮革、布等、既知の材料から形成される。ソール17も、革、ゴム、ウレタン等の既知の材料から形成される。また、本実施形態のソール17は、ミドルソール、アウトソールを含む多層構造である。
【0035】
図7は、第2の甲被部52を第1の甲被部11から離した状態を示す。本実施形態の靴50でも、実施形態1と同様に、図7に示すように、第2の甲被部52が第1の甲被部11と重なるように設けられる。これにより、実施形態1の図5と同様に、第1の甲被部11と第2の甲被部52との間に収納空間30が形成される。収納空間30内に設けられたポケット(収納部)25内には、GPS発信器等の任意の物品を入れることができる。
【0036】
第1の甲被部11は、着用者の中足部から前足部を覆い、第1の甲被部11、腰部14及びアウトカウンター54で着用者の足を覆うアッパーを構成する。また、靴50は、図7に示すように、平ゴム13を備えており、平ゴム13による伸縮により、第1の甲被部11は着用者の様々な足の形状に追随することができる。また、第1の甲被部11は、少なくとも舌部62のポケット25と重なる位置に、クッション11aを有することが好ましい。
【0037】
第2の甲被部52を除く、第1の甲被部11、平ゴム13、腰部14、ソール17、アウトカウンター54及び履き口18で靴、いわゆるスリッポンを構成しており、第1の甲被部11だけで、甲を押さえる機能を果たすことができる。
【0038】
第2の甲被部52は、図7に示すように、第1の甲被部11を覆うように配置され、第1の甲被部11と第2の甲被部52との間に、図5等に示すように収納空間30が形成される。なお、第2の甲被部52は、少なくとも着用者の甲を覆う位置で第1の甲被部11を覆うことで収納空間30を形成することができればよく、第1の甲被部11を全体に覆っている必要はない。また、第2の甲被部52は、一般的な靴のアッパーの構成要素を部分的に備えているとも言える。
【0039】
第2の甲被部52は、図6及び7に示すように、羽根部61、舌部62、第2腰部63、第1つま先部64、第2つま先部65、鳩目23、紐24、ポケット25及びフラップ26を備える。第2腰部63は甲の両側に位置する。第1つま先部64は、着用者の足先の位置に設けられ、第2つま先部65は第1つま先部64の下端を覆うように設けられている。また、羽根部61、舌部62、第2腰部63、第1つま先部64、第2つま先部65、ポケット25及びフラップ26は、天然革、人口皮革、布等、既知の材料から形成される。
【0040】
羽根部61は、U字状に形成され、第2腰部63と第1つま先部64の上側に設けられる。羽根部61の2つの第1の部分61aは、中足部において靴50の前後方向に延びる。また、羽根部61の2つの第1の部分61aは、互いに対向して配置される。羽根部61の第2の部分61bは、2つの第1の部分61aのつま先側の端に接続されており、第1の部分61aと第2の部分61bとによって、U字状に形成される。また、羽根部61の第1の部分61aには、複数の鳩目23が設けられており、鳩目23には紐24が通されている。
【0041】
舌部62は、略台形状に形成され、つま先側の端は羽根部61に縫合等によって固定される。かかと側の端にはフラップ26が設けられる。また、舌部62は、羽根部61と第1の甲被部11との間に配置され、舌部62の足の前後方向に延びる2つの端は、いずれも羽根部61の対向する第1の部分61aの下に位置する。
【0042】
舌部62を引き出した状態を図8に示す。舌部62の第1の甲被部11と対向する面にはポケット25が設けられる。ポケット25は挿入口25aを有する。ポケット25に物品が入れられた場合、舌部62は靴50の上方にせり上がる。この際、舌部62の足の前後方向に延びる端が羽根部61から出てしまい、第1の甲被部11が露出することがないよう、舌部62の幅(足幅方向の長さ)が設計される。具体的には、収納空間30の高さを最大とした場合にも、舌部62の端は羽根部61の第1の部分61a下にある。
【0043】
上述したように、本実施形態では、第1の甲被部11だけで、甲を押さえる機能を果たすことができる。従来の靴では着用者の甲を押さえるために、羽根部、紐、舌部等を使用する必要があった。しかし、本実施形態では、この甲を押さえる機能は第1の甲被部11が担うことにより、紐24を緩め、舌部62を着用者の甲から離すことができ、第2の甲被部52と第1の甲被部11との間に収納空間30を形成することが可能となる。また、紐24を緩め、舌部62を持ち上げることにより、収納空間30の高さも自在に変更することができる。
【0044】
例えば、舌部62を第1の甲被部11に沿わせれば、収納空間30の高さを低くできる。また必要であれば、紐24を締め、羽根部61及び舌部62を第1の甲被部11に接近させることもできる。物品を収納する場合等では、舌部62の中央部分を持ち上げ、第1の甲被部11から離すことで収納空間30を広くすることができる。また舌部62を持ち上げる程度を変化させることにより、収納する物品の高さに応じて収納空間30の高さを変化させることもできる。また、収納空間30の高さが可変であることで、ポケット25に物品が収められた場合、物品が着用者に当たりにくくすることもできる。更には、本実施形態のように舌部62が部分的に固定されている構成では、図8に示すように、舌部62を裏返す程度まで引き上げることも可能であり、容易にポケット25に物品を収納することができる。
【0045】
また、物品を収納した後に、フラップ26の固定されていない端を、舌部62と第1の甲被部11との間に挿入することにより、ポケット25を隠し、収納空間30の入口を隠すことができる。フラップ26は第1の甲被部11が視認できないよう、実施形態1の図3(a)に示すように、第1の甲被部11に沿うように配置させてもよい。
【0046】
本実施形態の靴50では、第1の甲被部11と第2の甲被部52とを重ねて空間を形成しているため、物品40の入れ替えを容易に行うことができ、更に収納した物品40が体重等の外力によって壊れることを抑制することができる。加えて、ポケット25が第2の甲被部52側に設けられることにより、異物が足に当たる感覚を軽減させる効果を得ることができる。
【0047】
加えて、甲を保持する機能を第1の甲被部11が有し、第2の甲被部52によって着用者の甲を押さえる必要がないため、収納空間30を形成することができるだけでなく、その高さを変えることもできる。更には第2の甲被部52によって靴50の外観を市場で多く見られる靴のデザインに近づけることができ、靴50の美観も損なわれない。また、物品40が収納された場合も、物品40が収納される空間は羽根部61に隠れるため、下に物品40が収納されていることが視認されにくい。従って、本実施形態の靴50によれば、ファッション性に繋がるスタイルを維持したまま甲を押さえる機能と収納空間を設ける機能を同時に実現することもできる。
【0048】
実施形態2に係る靴50も、実施形態1と同様に探索が必要な者(要探索者)用の靴として使用することで、特に優れた効果を発揮することができる。
【0049】
本発明は上述した実施形態に限られず、様々な変形が可能である。
例えば、靴10,50のデザインは図1又は図6に示す例に限られず、変更することが可能である。例えば、靴10,50とのそれぞれの特徴を任意に組み合わせることも可能である。また、つま先等に図示しない他のパーツを設けてもよい。また、プロテクタを加え、安全靴としてもよい。
【0050】
上述した各実施形態では、図2等に示すように、第2の甲被部12が全体に第1の甲被部11を覆う構成を開示しているが、これに限られない。第2の甲被部12,52は、収納空間30を形成するため、少なくとも着用者の甲上面を覆うことができればよく、甲側面から反対の甲側面にかけて第1の甲被部11を覆うようにしてもよい。
【0051】
また、実施形態1において、第2の甲被部12は、羽根部21がつま先まで延びる構成を例に挙げたが、これに限られず、中足部だけに羽根部21を有するような構成としてもよい。また、羽根部21の鳩目23に紐24を通す構成を例に挙げているが、これに限らない。例えば、紐に代えて面ファスナーやバックルを利用してもよい。また、鳩目23は、リング状の金具を備える構成に限られず、穴のみであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
10,50・・・靴、11・・・第1の甲被部、11a・・・クッション、12,52・・・第2の甲被部、13・・・平ゴム、14・・・腰部、15・・・バックステイ、16・・・ヒールテープ、17・・・ソール、18・・・履き口、21,61・・・羽根部、22,62・・・舌部、22a・・・端、22b・・・折り目、23・・・鳩目、24・・・紐、25・・・ポケット、25a・・・挿入口、26・・・フラップ、30・・・収納空間、40・・・物品、53・・・プルストラップ、54・・・アウトカウンター、61a・・・第1の部分、61b・・・第2の部分、63・・・第2腰部、64・・・第1つま先部、65・・・第2つま先部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8