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特開2022-165944点眼管理装置、点眼管理システム、点眼管理装置利用システム、及び点眼管理装置利用プログラム。
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  • 特開-点眼管理装置、点眼管理システム、点眼管理装置利用システム、及び点眼管理装置利用プログラム。 図1
  • 特開-点眼管理装置、点眼管理システム、点眼管理装置利用システム、及び点眼管理装置利用プログラム。 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165944
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】点眼管理装置、点眼管理システム、点眼管理装置利用システム、及び点眼管理装置利用プログラム。
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/04 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A61J7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069354
(22)【出願日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2021071456
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】小池 直樹
(72)【発明者】
【氏名】深田 政雄
(72)【発明者】
【氏名】平岡 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】萬 隆憲
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC24
4C047NN11
4C047NN20
(57)【要約】
【課題】様々な形態の点眼薬に対応した点眼管理を可能にする。
【解決手段】点眼管理装置1は、筐体3と、筐体3に取り付けられる第1バンド2a及び第2バンド2bであって、点眼薬容器Aに互いに反対側から巻き付けられる第1バンド2a及び第2バンド2bと、第1バンド2aの面及び前記第2バンド2bの面にそれぞれ設けられ、点眼薬容器Aに巻き付けた状態の第1バンド2a及び第2バンド2bを互いに結合させる面ファスナ21a、21bと、筐体3に設けられたジャイロセンサと、ジャイロセンサの検出値に基づいて、点眼薬容器Aに対する使用者の点眼動作を検出する点眼検出部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に取り付けられる第1バンド及び第2バンドであって、点眼薬容器に互いに反対側から巻き付けられる第1バンド及び第2バンドと、
前記第1バンドの面及び前記第2バンドの面にそれぞれ設けられ、前記点眼薬容器に巻き付けた状態の前記第1バンド及び前記第2バンドを互いに結合させる面ファスナと、
前記筐体に設けられたジャイロセンサと、
前記ジャイロセンサの検出値に基づいて、前記点眼薬容器に対する使用者の点眼動作を検出する点眼検出部と、を備える、点眼管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の点眼管理装置であって、
前記点眼検出部は、前記ジャイロセンサの検出値により、前記点眼薬容器が持ち上げられる動き、傾けられる動き、及び、傾きが元に戻される動きを順に検出した場合に、これらの動きを前記点眼動作として検出する、点眼管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の点眼管理装置であって、さらに、
前記点眼検出部が前記点眼動作を検出した場合、前記点眼動作を示す情報を、前記使用者の操作によらず、自動的に、前記使用者又は管理者の端末へ送信する通信部を備える、点眼管理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の点眼管理装置であって、さらに、
前記使用者に情報を通知する通知部を備え、
前記通知部は、スピーカ又はバイブレータの少なくとも一方を有する、点眼管理装置。
【請求項5】
点眼管理システムであって、
筐体と、
前記筐体に取り付けられる第1バンド及び第2バンドであって、点眼薬容器に互いに反対側から巻き付けられる第1バンド及び第2バンドと、
前記第1バンドの面及び前記第2バンドの面にそれぞれ設けられ、前記点眼薬容器に巻き付けた状態の前記第1バンド及び前記第2バンドを互いに結合させる面ファスナと、
前記筐体に設けられたジャイロセンサと、
前記ジャイロセンサの検出値に基づいて、前記点眼薬容器に対する使用者の点眼動作を検出する点眼検出部と、
前記点眼検出部による前記点眼動作の検出結果と、予め決められた点眼薬の処方に基づく投与方法を示す処方データとに基づいて、前記使用者及び管理者の少なくとも一方に対する通知情報の出力を制御する通知制御部と、備える、点眼管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の点眼管理システムであって、
前記点眼検出部は、前記ジャイロセンサの検出値により、前記点眼薬容器が持ち上げられる動き、傾けられる動き、及び、傾きが元に戻される動きを順に検出した場合に、これらの動きを前記点眼動作として検出する、点眼管理システム。
【請求項7】
点眼管理装置利用システムであって、
点眼薬容器に装着される点眼管理装置であって、ジャイロセンサと、使用者に情報を通知する通知部とを備えた点眼管理装置と通信可能であり、
管理対象となる対象点眼薬の処方に基づく投与方法を示す対象処方データの入力を受け付ける対象処方データ受付部と、
前記対象点眼薬の点眼薬容器に装着される点眼管理装置である対象点眼管理装置を一意に特定する対象装置特定データの入力を受け付ける対象装置特定データ受付部と、
前記点眼管理装置の前記ジャイロセンサで検出された前記点眼薬容器に対する前記使用者の動作を示す動作データを、前記点眼管理装置から取得する動作取得部と、
前記動作取得部が前記対象点眼管理装置から取得した前記動作データが示す前記使用者の動作、及び、前記対象処方データが示す前記対象点眼薬の処方に基づく投与方法に従って、点眼を指示する通知情報を、前記対象装置特定データで特定される対象点眼管理装置に供給する通知制御部と、を備えた点眼管理装置利用システム。
【請求項8】
請求項7に記載の点眼管理装置利用システムであって、さらに、
点眼がされたことを示す動作データを前記対象点眼管理装置から取得した場合に、点眼がされたことを示す情報を、前記対象点眼管理装置に対応する前記対象処方データに対応付けて、前記対象点眼薬の点眼履歴を示す点眼履歴データとして、記憶装置に記録する履歴記録部と、を備えた、点眼管理装置利用システム。
【請求項9】
請求項8に記載の点眼管理装置利用システムであって、
前記動作取得部が、前記対象処方データで示される前記処方に基づく点眼時から所定時間経過した後に、前記対象点眼管理装置から点眼がされたことを示す動作データを取得した場合に、前記履歴記録部は、点眼がされたことを示す情報及び点眼動作の時を示す情報を、前記点眼履歴データとして、前記記憶装置に記録する、点眼管理装置利用システム。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の点眼管理装置利用システムであって、
前記対象処方データは、1日における点眼時、1回の点眼における点眼薬の投与量、投与する目又は1日における点眼の回数が、複数の服用期間についてそれぞれ設定されたデータを含み、
前記通知制御部は、前記複数の服用期間の各々において、前記対象処方データが示す1日における点眼時、1回の点眼における点眼薬の投与量、又は1日における点眼の回数に基づいて、前記対象点眼管理装置に、点眼を指示する通知情報を供給する、点眼管理装置利用システム。
【請求項11】
請求項7~9のいずれか1項に記載の点眼管理装置利用システムであって、
同時期に順次投与する複数の前記対象点眼薬について、前記通知制御部は、前記複数の対象点眼薬のうち第1の対象点眼薬の点眼動作から設定時間経過後に、第2の対象点眼薬の点眼を指示する通知情報を、前記第2の対象点眼薬の対象点眼管理装置又は、前記使用者若しくは管理者の端末に供給する、点眼管理装置利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点眼を管理するための装置、コンピュータシステム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
点眼薬は、容器に入れられた状態で提供される。点眼薬の使用者は、予め決められた投与方法に従って、点眼薬を点眼することが求められる。例えば、特許第6568954号公報(特許文献1)には、使用者が、投薬計画を遵守しているか否かを監視するための投薬装置が開示されている。この投薬装置は、薬剤の容器を保持するジャケットを有する。ジャケットは、ユーザが薬剤を吐出させるために容器に圧力を加えることを許容する開口部と、ジャケットに容器が挿入されたことを検出する第1の圧力センサを含む。投薬装置は、さらに、開口部を介してユーザが容器に圧力を加えることで容器が拡張したことを検出する第2の圧力センサと、第2の圧力センサによって記録されたデータを通信装置と交換する無線通信モジュールを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6568954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
点眼薬の容器の形状及び大きさは、点眼薬ごとに異なることが多い。上記特許文献1の投薬装置では、挿入できる容器の形状が限られており、様々な形状及び大きさの容器に対応できない。また、2種類以上の点眼薬を同じ期間内に並行して点眼するように処方された場合の点眼管理に対応する仕組みについても、上記特許文献1には、開示されていない。
【0005】
そこで、本発明は、様々な形態の点眼薬について点眼動作の検出ができる点眼管理装置、点眼管理システム、点眼管理装置利用システム及び点眼管理装置利用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態における点眼管理装置は、筐体と、前記筐体に取り付けられる第1バンド及び第2バンドであって、点眼薬容器に互いに反対側から巻き付けられる第1バンド及び第2バンドと、前記第1バンドの面及び前記第2バンドの面にそれぞれ設けられ、前記点眼薬容器に巻き付けた状態の前記第1バンド及び前記第2バンドを互いに結合させる面ファスナと、前記筐体に設けられたジャイロセンサと、前記ジャイロセンサの検出値に基づいて、前記点眼薬容器に対する使用者の点眼動作を検出する点眼検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、様々な形態の点眼薬について点眼動作の検出が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における点眼管理装置の構成例を示す斜視図である。
図2】本実施形態における点眼管理装置の構成例を示す斜視図である。
図3】点眼薬を点眼する時の点眼管理装置の状態の例を示す側面図である。
図4】ジャイロセンサで検出される点眼管理装置の傾斜角の例を示す図である。
図5】本実施形態における点眼管理システムの構成例を示す機能ブロック図である。
図6】点眼薬容器が上向きの状態と下向きの状態の例を示す図である。
図7】圧力の検出値によりバンドを押す動作を検出する例を示すグラフである。
図8】本実施形態における点眼管理装置利用システムの構成例を示す機能ブロック図である。
図9】対象処方データ及び対象装置特定データの受付処理の例を示すフローチャートである。
図10図9に示す処理における画面遷移の例を示す図である。
図11】記憶装置に記録されるデータの例を示す図である。
図12】点眼管理装置利用システムの通知制御の処理例を示すフローチャートである。
図13図12に示す処理における画面遷移例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態における点眼管理装置は、筐体と、前記筐体に取り付けられる第1バンド及び第2バンドであって、点眼薬容器に互いに反対側から巻き付けられる第1バンド及び第2バンドと、前記第1バンドの面及び前記第2バンドの面にそれぞれ設けられ、前記点眼薬容器に巻き付けた状態の前記第1バンド及び前記第2バンドを互いに結合させる面ファスナと、前記筐体に設けられたジャイロセンサと、前記ジャイロセンサの検出値に基づいて、前記点眼薬容器に対する使用者の点眼動作を検出する点眼検出部と、を備える。
【0010】
上記点眼管理装置は、第1バンド及び第2バンドの間に点眼薬容器を配置して、第1バンド及び第2バンドを点眼薬容器の両側から巻き付けて面ファスナにより結合する。この構成により、様々な形状又は大きさの点眼薬容器に対して第1バンド及び第2バンドを巻き付けて面ファスナで保持することができる。これにより、点眼薬容器が筐体に装着される。筐体には、ジャイロセンサが設けられる。そのため、ジャイロセンサにより、筐体に装着された点眼薬容器の向きの変化が検出される。これにより、様々な形態の点眼薬について点眼動作の検出が可能になる。
【0011】
前記面ファスナは、前記第1バンド及び前記第2バンドの長さ方向における結合位置を調整可能に構成されてもよい。これにより、前記第1バンド及び前記第2バンドを巻き付けられる点眼薬容器の大きさの範囲が広がる。面ファスナは、例えば、前記第1バンド及び前記第2バンドを点眼薬容器に巻き付けた状態で、前記第1バンド及び前記第2バンドが重なり得る領域の第1バンドの内周面と、これに対向する第2バンドの外周面とを結合する構成であってもよい。面ファスナを前記第1バンド及び前記第2バンドの長さ方向に延在させることで、結合位置を調整可能にできる。
【0012】
前記点眼検出部は、前記ジャイロセンサの検出値により、前記点眼薬容器が持ち上げられる動き、傾けられる動き、及び、傾きが元に戻される動きを順に検出した場合に、これらの動きを前記点眼動作として検出してもよい。これにより、点眼動作を精度よく検出できる。
【0013】
なお、点眼管理装置は、ジャイロセンサに加えて、例えば、圧力センサを含んでもよい。圧力センサは、前記第1バンド及び前記第2バンドのいずれかに装着されてもよい。圧力センサは、点眼薬容器に巻き付けられたバンドに対する外部からの圧力を検出することができる。これにより、点眼薬容器を押す使用者の動作を検出できる。
【0014】
ジャイロセンサは、バンドに巻き付けられた点眼薬容器の角速度を検出する。ジャイロセンサは、バンドが巻き付けられた点眼薬容器の向き又は向きの変化を検出することができる。これにより、点眼薬容器を装着した点眼管理装置の向きを変える使用者の動作を検出できる。
【0015】
前記点眼薬容器は、前記点眼検出部が前記点眼動作を検出した場合、前記点眼動作を示す情報を、前記使用者の操作によらず、自動的に、前記使用者又は管理者の端末へ送信する通信部を備えてもよい。これにより、使用者が操作をしなくても、自動的に、点眼動作を示す情報が、使用者又は管理者の端末へ送信される。
【0016】
前記点眼管理装置は、前記使用者に情報を通知する通知部をさらに備えてもよい。前記通知部は、スピーカ又はバイブレータの少なくとも1つを有してもよい。これにより、使用者は、視覚を用いずに、通知を受けることができる。なお、通知部は、筐体に設けられてもよい。
【0017】
前記点眼管理装置は、外部の機器とデータ通信を行う通信部をさらに備えてもよい。通信部は、例えば、点眼検出部で検出された情報を外部へ送信してもよい。また、点眼管理装置の通知部が使用者に対して通知する情報を、通信部が、外部から受信してもよい。通信部は、例えば、前記点眼管理装置は、外部の機器との無線通信を行う無線通信部であってもよい。
【0018】
本発明の実施形態における点眼管理システムは筐体と、前記筐体に取り付けられる第1バンド及び第2バンドであって、点眼薬容器に互いに反対側から巻き付けられる第1バンド及び第2バンドと、前記第1バンドの面及び前記第2バンドの面にそれぞれ設けられ、前記点眼薬容器に巻き付けた状態の前記第1バンド及び前記第2バンドを互いに結合させる面ファスナと、前記筐体に設けられたジャイロセンサと、前記ジャイロセンサの検出値に基づいて、前記点眼薬容器に対する使用者の点眼動作を検出する点眼検出部と、前記点眼検出部による前記点眼動作の検出結果と、予め決められた点眼薬の処方に基づく投与方法を示す処方データとに基づいて、前記使用者及び管理者の少なくとも一方に対する通知を制御する通知制御部と、を備える。
【0019】
上記点眼管理システムでは、点眼薬容器は、第1バンド及び第2バンドが巻き付けられて筐体に装着される。筐体に設けられたジャイロセンサで、点眼薬容器に対する使用者の点眼動作が検出される。これにより、様々な形状又は大きさの点眼薬容器に対する使用者の点眼動作を検出することが可能になる。さらに、ジャイロセンサで検出された点眼動作の検出結果と、点眼薬の処方に基づく投与方法を示す処方データとを基に、使用者又は管理者に対する通知が制御される。これにより、様々な形態の点眼薬の点眼動作を検出し、これに基づく使用者又は検視者への通知が可能になる。
【0020】
なお、使用者は、点眼薬を使用する人である。使用者が点眼することで、点眼薬が使用者に投与される。管理者は、使用者以外の人又は団体であり、点眼の管理に関わる人又は団体である。管理者は、特に限定されないが、例えば、使用者をケアする世話人、介護人、保護者又は家族等の関係者の他、医者、看護婦、薬剤師、又は薬提供者等の医療従事者であってもよい。また、管理者は、医療機関、研究機関、企業、その他の団体(組織)であってもよい。
【0021】
前記点眼検出部は、前記ジャイロセンサの検出値により、前記点眼薬容器が持ち上げられる動き、傾けられる動き、及び、傾きが元に戻される動きを順に検出した場合に、これらの動きを前記点眼動作として検出してもよい。
【0022】
本発明の実施形態における点眼管理装置利用システムは、点眼薬容器が装着される点眼管理装置と通信可能である。点眼管理装置は、ジャイロセンサと、使用者に情報を通知する通知部とを備える。前記点眼管理装置利用システムは、管理対象となる対象点眼薬の処方に基づく投与方法を示す対象処方データの入力を受け付ける対象処方データ受付部と、前記対象点眼薬の点眼薬容器が装着される点眼管理装置である対象点眼管理装置を一意に特定する対象装置特定データの入力を受け付ける対象装置特定データ受付部と、前記点眼管理装置の前記ジャイロセンサで検出された前記点眼薬容器に対する前記使用者の動作を示す動作データを、前記点眼管理装置から取得する動作取得部と、前記動作取得部が前記対象点眼管理装置から取得した前記動作データが示す前記使用者の動作、及び、前記対象処方データが示す前記対象点眼薬の処方に基づく投与方法に従って、点眼を指示する通知情報を、前記対象装置特定データで特定される対象点眼管理装置に供給する通知制御部と、を備える。
【0023】
上記点眼管理装置利用システムは、対象点眼薬の処方に基づく投与方法を示す対象処方データと、対象点眼薬の点眼薬容器が装着される対象点眼管理装置を特定する対象装置特定データとの入力を受け付ける。これにより、点眼管理装置利用システムにおいて、対象処方データと、対象装置特定データとを紐づけることができる。このように、上記構成によれば、対象点眼薬の処方に基づく投与方法の情報と、その対象点眼薬の点眼管理装置とを互いに対応付けることができる。この対応関係に基づき、対象点眼薬の対象点眼管理装置から取得した動作データと、対象点眼薬の処方に基づく投与方法に従う点眼を指示する通知情報を、対象点眼薬の点眼薬容器が装着された対象点眼管理装置に供給することができる。そのため、例えば、2種類以上の点眼薬を同じ期間内に点眼するよう処方された場合であっても、点眼薬ごとに点眼管理装置を用意し、処方に基づく投与方法と点眼管理装置とを対応付けて、それぞれについて、点眼管理装置で検出された動作と処方とに基づいて、点眼を指示する通知情報を供給することができる。このように、様々な形態の点眼薬に対応できる点眼管理装置利用システムが実現できる。
【0024】
前記点眼管理装置利用システムは、前記対象装置特定データを前記対象処方データと対応付けて、前記点眼管理装置利用システムがアクセス可能な記憶装置に記録する記録処理部をさらに備えてもよい。これにより、対象点眼薬の処方に基づく投与方法と、その対象点眼薬の対象点眼管理装置との対応関係を示すデータが、記憶装置に記録され、前記点眼管理装置利用システムで利用可能となる。
【0025】
前記対象処方データ受付部は、複数の対象点眼薬について、それぞれ、対象処方データの入力を受け付けることができる。前記対象装置特定データ受付部は、複数の対象点眼薬について、それぞれ、対象処方データの入力を受け付けることができる。この場合、点眼管理装置利用システムでは、複数の対象点眼薬のそれぞれについて、対象処方データと対象装置特定データとの対応関係を保持することができる。例えば、前記記憶装置に、複数の対象点眼薬のそれぞれについて、対象装置特定データが対象処方データと対応付けられて記録されてもよい。
【0026】
前記点眼管理装置利用システムは、さらに、点眼がされたことを示す動作データを前記対象点眼管理装置から取得した場合に、点眼がされたことを示す情報を、前記対象点眼管理装置に対応する前記対象処方データに対応付けて、前記対象点眼薬の点眼履歴を示す点眼履歴データとして、記憶装置に記録する履歴記録部と、を備えてもよい。これにより、対象点眼管理装置で検出された点眼動作を、対象点眼薬の処方に基づく投与方法と対応づけて、点眼履歴データとして、記録することができる。
【0027】
前記動作取得部が、前記対象処方データで示される前記処方に基づく点眼時から所定時間経過した後に、前記対象点眼管理装置から点眼がされたことを示す動作データを取得した場合に、前記履歴記録部は、点眼がされたことを示す情報及び点眼動作の時を示す情報を、前記点眼履歴データとして、前記記憶装置に記録してもよい。これにより、使用者が処方に基づく点眼時から遅れて点眼した場合であっても、点眼した時を示す情報とともに、点眼したことを示す情報を履歴として記録することができる。
【0028】
前記対象処方データは、1日における点眼時、1回の点眼における点眼薬の投与量、又は1日における点眼の回数が、複数の服用期間についてそれぞれ設定されたデータを含んでもよい。前記通知制御部は、前記複数の服用期間の各々において、前記対象処方データが示す1日における点眼時、1回の点眼における点眼薬の投与量、投与する目、又は1日における点眼の回数に基づいて、前記対象点眼管理装置に、点眼を指示する通知情報を供給してもよい。これにより、全服用期間において、投与方法を端末変えて点眼薬を投与する処方にも対応することができる。
【0029】
同時期に順次投与する複数の前記対象点眼薬について、前記通知制御部は、前記複数の対象点眼薬のうち第1の対象点眼薬の点眼動作から、設定時間経過後に、第2の対象点眼薬の点眼を指示する通知情報を、前記第2の対象点眼薬の対象点眼管理装置又は、前記使用者若しくは管理者の端末に供給することができる。これにより、複数の点眼薬の投与する時間の間隔が適切になるよう、使用者に点眼を指示することができる。
【0030】
同時期に投与する複数の対象点眼薬は、同じ機会(例えば、同じ服用回)に順次投与する複数の対象点眼薬である。対象処方データにより、これら複数の対象点眼薬が同時期に順に投与すべきことが示されてもよい。例えば、対象処方データにより、複数の対象点眼薬の点眼時、及び投与順(すなわち点眼する順番)が指定されてもよい。複数の対象点眼薬の点眼時として、同時刻が指定されてもよいし、点眼間隔の設定時間分離れた異なる時刻が指定されてもよい。
【0031】
前記対象処方データ受付部は、同時期に順次投与する複数の前記対象点眼薬について前記対象処方データの入力を受け付けてもよい。前記対象装置特定データ受付部は、前記複数の対象点眼薬の点眼薬容器のそれぞれに装着される複数の前記対象点眼管理装置を特定する対象装置特定データの入力を受け付けてもよい。
【0032】
第1の対象点眼薬の点眼動作から、第2の対象点眼薬の点眼の指示までの点眼間隔の設定時間は、例えば、前記対象処方データに基づき決定されてもよいし、予め決められた時間であってもよい。例えば、前記対象処方データ受付部は、前記使用者又は管理者から前記設定時間の入力を受け付けてもよい。また、前記対象処方データにより、前記第1の対象点眼薬と前記第2の対象点眼薬を設定時間の間隔で順次点眼することが示されてもよい。
【0033】
例えば、動作取得部が第1の対象点眼薬の対象点眼管理装置から取得する動作データによって、前記第1の対象点眼薬の点眼動作が検出される。通知制御部は、動作データが示す第1の対象点眼薬の点眼動作に基づいて、第2の対象点眼薬の点眼指示の供給を制御することができる。
【0034】
前記通知制御部は、前記第2の対象点眼薬の点眼時になっても、前記第1の対象点眼薬の点眼動作が検出されていない場合に、前記第2の対象点眼薬の点眼を指示する通知情報を供給しないように構成されてもよい。例えば、前記対象処方データで、前記第1の対象点眼薬、及び、前記第2の対象点眼薬の順に点眼すべきことが示される場合、前記通知制御部は、前記第1の対象点眼薬の点眼動作を条件として、前記第2の対象点眼薬の点眼を指示する通知情報を供給してもよい。これにより、第1及び第2の対象点眼薬の点眼動作の順番が適切になるように使用者を支援することができる。
【0035】
前記通知制御部は、前記対象処方データが示す点眼時から所定時間経過しても点眼の動作が検出されない対象点眼薬については、当該点眼時の点眼の動作を指示する通知情報を供給しないよう構成されてもよい。これにより、処方に基づく点眼時から大幅にずれた時に点眼薬が投与されるのを避けることができる。
【0036】
通知制御部は、前記対象処方データが示す前記複数の対象点眼薬の点眼時において、実際に前記複数の対象点眼薬のそれぞれの点眼動作が行われたか否かを示す情報を、前記使用者又は管理者の端末へ供給してもよい。これにより、使用者又は管理者は、対象点眼薬が、処方通りに投与された否かを把握することができる。例えば、前記履歴記録部は、前記対象処方データが示す前記複数の対象点眼薬の点眼時のそれぞれに対して、前記対象点眼薬の点眼動作が検出されたか否かを示す情報を前記点眼履歴データとして、前記記憶装置に記録してもよい。通知制御部は、点眼履歴データを基に、上記情報を供給することができる。
【0037】
上記点眼管理装置利用システムにおいて、通知制御部は、通知情報を点眼管理装置へ供給することで、点眼管理装置に使用者への通知処理を実行させることができる。例えば、通知制御部は、点眼管理装置の通知部に、使用者に通知情報を通知する処理を実行させてもよい。
【0038】
使用者若しくは管理者の端末は、通知情報の送信先として予め設定されていてもよい。点眼管理装置利用システムは、通知情報の送信先の使用者又は管理者の端末を示す情報の入力を受け付け、入力された送信先を示す情報を、記憶装置に記録してもよい。なお、管理者は、例えば、医療従事者その他使用者のサポート又はケアをする者であってもよい。
【0039】
コンピュータに、上記の点眼管理装置利用システムの処理を実行させる点眼管理装置利用プログラムも、本発明の実施形態に含まれる。
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(点眼管理装置の構成例)
図1及び図2は、本実施形態における点眼管理装置の構成例を示す斜視図である。図1は、点眼管理装置1に、点眼薬容器Aが装着された状態を示す。図2は、点眼管理装置1に、点眼薬容器が装着されていない状態を示す。図1及び図2に示すように、点眼管理装置1は、バンド2と、バンド2が取り付けられる筐体3とを備える。バンド2は、第1バンド部2a及び第2バンド部2b(以下、これらを特に区別しない場合は、単にバンド2と称する)を含む。第1バンド部2a及び第2バンド部2bの間に点眼薬容器Aが配置される。第1バンド部2a及び第2バンド部2bの長さ方向dLの寸法は、幅方向dWの寸法より長い。第1バンド部2aの外周面及び第2バンド部2bの内周面に面ファスナ21a、21bが設けられる。面ファスナ21a、21bは、第1バンド部2a及び第2バンド部2bが点眼薬容器Aの側面に巻き付けられた状態で、これらを互いに結合する。第1バンド部2a及び第2バンド部2bのそれぞれにおいて、バンドの長さ方向dLにおける面ファスナ21a、21bによる結合位置は、点眼薬容器Aの外周に応じて変えることができる。第1バンド部2a及び第2バンド部2bは、様々な形状及び大きさの点眼薬容器Aに巻き付けることができる。
【0041】
図1に示すように、点眼薬を使用しない時は、点眼薬容器Aが点眼管理装置1に装着され、且つ、蓋Abを閉じた状態で載置される。通常、蓋Abが本体Aaの上に位置する状態で、点眼薬容器Aは載置される。この時、点眼管理装置1は、点眼薬容器Aの点眼薬の射出口が上方を向いた状態で、点眼薬容器Aを保持する。これを可能にするため、図1の例では、筐体3は、台座部3bと、台座部3bから突出する支柱部3aとを含む。台座部3bは、点眼薬容器Aの底を支持する。台座部3bは、点眼薬容器Aの底を支持する支持面3b2を有する。支柱部3aは、支持面3b2から突出し、バンド2の幅方向dWへ延びて形成される。支柱部3aの側面にバンド2が接続される。
【0042】
図3は、点眼薬を点眼する時の点眼薬容器A及び点眼管理装置1の状態の例を示す側面図である。図3に示すように、点眼時には、点眼薬容器Aの蓋Abが外され、点眼薬の射出口が下方を向いた状態で、バンド2が使用者の指で圧迫される。これにより、点眼薬容器Aが圧迫され、点眼薬が射出口から出る。以下では、説明の便宜のため、図1に示すように、点眼管理装置1が、点眼薬容器Aの射出口が上に向く状態で保持する姿勢を正立と称し、図3のように、射出口が下に向く状態で点眼薬容器Aを保持する姿勢を倒立と称する。
【0043】
図3に示すように、点眼時には、点眼薬容器Aの蓋Abは外される。第1バンド部2a及び第2バンド部2bは、蓋Abの着脱の妨げにならないように、点眼薬容器Aの本体Aaに巻き付けられることが好ましい。この観点から、第1バンド部2a及び第2バンド部2bの幅方向dWの寸法は、例えば、1~5cmであることが好ましい。
【0044】
図2に示す例では、バンド2に圧力センサ4aが設けられる。圧力センサ4aは、バンド2の長さ方向dLにおいて少なくとも一部に設けられる。圧力センサ4aのバンド2の長さ方向dLの寸法は、幅方向dWの寸法より長い。圧力センサ4aは、例えば、感圧シートとすることができる。
【0045】
図3を示す例では、筐体3の台座部3b内に、電子部品を実装する基板9が設けられる。基板9には、ジャイロセンサ4b、通信部7、及びコントローラ8(制御部)が実装される。基板9には、圧力センサ4aから引き出された配線が接続される。また、筐体3の台座部3b内には、電池11、LEDランプ5a、スピーカ5b、及び、バイブレータ5cが設けられる。
【0046】
ジャイロセンサ4bは、筐体3内の基板9に実装される。ジャイロセンサ4bは、筐体3の角速度を検出する。これにより、点眼薬容器Aの角速度が検出できる。ジャイロセンサ4bにより、点眼薬容器Aの動きが検出される。点眼薬容器Aの向きの変化、例えば、正立の状態から倒立の状態又はその逆の変化が、ジャイロセンサ4bにより検出できる。
【0047】
LEDランプ5a、スピーカ5b、及び、バイブレータ5cは、使用者に情報を通知する通知部の例である。LEDランプ5aの発光面は、筐体3の外側に露出している。スピーカ5bの近傍の筐体3にはスピーカ5bの音を筐体3の外へ通すための穴が設けられる。図3の例では、台座部3bの支持面3b2とは反対側の底面3b1にスピーカ5b用の穴が設けられる。
【0048】
通信部7は、点眼管理装置1と、外部の機器との無線通信を可能にする無線通信モジュールである。通信部7による無線通信の距離及び方式は、特に限定されない。例えば、近距離無線(NFC)、無線PAN(例えば、BLE、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)等)、無線LAN(例えば、Wi-Fi等)、又は、無線WAN(例えば、3G、4G、LTE、5G等)を通信部7の無線通信に採用できる。また、通信部7は、外部の機器に有線で接続して通信を行う有線通信部であってもよい。
【0049】
電池11は、点眼管理装置1が備える電子部品に電力を供給する。電池11は、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。コントローラ8は、点眼管理装置1が備える電子部品を制御する。コントローラ8には、圧力センサ4a、ジャイロセンサ4b、LEDランプ5a、スピーカ5b、バイブレータ5c、及び通信部7と接続され、これらと情報の送受信が可能である。コントローラ8は、圧力センサ4a及びジャイロセンサ4b等のセンサから情報を取得し処理する。例えば、コントローラ8は、ジャイロセンサ4bの検出値に基づいて、点眼薬容器の点眼動作を検出する。コントローラ8は、通信部7で通信されるデータを処理する。また、コントローラ8は、LEDランプ5a、スピーカ5b、及び、バイブレータ5c等の通知部に対して通知情報を供給して出力させる。コントローラ8の機能の例については後述する。
【0050】
図4は、ジャイロセンサ4bによって検出される点眼管理装置1の向きの例を示す図である。ジャイロセンサ4bは、点眼管理装置1の基準軸(図4の例ではz軸)の垂直方向すなわち重力方向に対する角度を検出することができる。一例として、図4に示す例では、点眼管理装置1が正立状態の時に、ジャイロセンサ4bで検出される、基準軸(z軸)の垂直方向に対する角度θzは、0°となる。点眼管理装置1が正立状態の時に、θz=180°と検出される。ジャイロセンサ4bにより検出される点眼管理装置1の角度θzは、点眼薬容器の角度とみなすことができる。なお、ジャイロセンサ4bによる検出値は、図4に示す例に限られない。
【0051】
(点眼管理システムの構成例)
図5は、本実施形態における点眼管理システムの構成例を示す機能ブロック図である。図5に示す点眼管理システム10は、点眼管理装置1及び端末20を含む。点眼管理装置1及び端末20は、互いにデータ通信可能である。点眼管理装置1は、例えば、上記の図1図3に示した例のように構成することができる。点眼管理装置1は、バンド2、面ファスナ21、ジャイロセンサ4b、圧力センサ4a、通知部5、通信部7、及びコントローラ8を備える。コントローラ8は、点眼検出部81を備える。点眼検出部81は、ジャイロセンサ4b及び圧力センサ4aで検出された動作に基づいて、点眼薬容器Aを用いて点眼がされたか否かを判断する。
【0052】
端末20は、通知制御部82を備える。端末20は、点眼管理装置1の通信部7から、点眼検出部81の判断結果を受信する。通知制御部82は、この判断結果と、点眼薬の処方に基づく投与方法を示す処方データとに基づいて、使用者及び管理者の少なくとも一方に対する通知を制御する。このように、点眼管理システム10は、点眼管理装置1のバンド2、面ファスナ21、ジャイロセンサ4b及び圧力センサ4aに加えて、使用者による点眼動作を判断する構成及びその判断結果に基づく通知を制御する構成を備えるものである。これらの構成は、点眼管理装置1又は外部のコンピュータ又は回路によって実装できる。
【0053】
点眼検出部81は、ジャイロセンサ4bの検出情報の検出値を用いて、点眼動作を検出できる。また、点眼検出部81は、ジャイロセンサ4bと、圧力センサ4aの検出情報の組み合わせによって点眼を判断することで、判断精度を高めることができる。ジャイロセンサ4bにより点眼管理装置1すなわち点眼薬容器Aの向き(姿勢)又はその変化が検出される。圧力センサ4aにより、バンド2を押す圧力すなわち点眼薬容器Aを押す圧力が検出される。点眼検出部81は、所定時間内に検出される点眼管理装置1の向きとバンド2に対する圧力が予め決められた条件を満たす場合に、点眼動作がなされたと判断することができる。点眼検出部81は、例えば、点眼管理装置1が、正立状態から倒立状態に近い状態まで傾けられ、倒立状態と判断される時にバンド2に加わる圧力又はその変化が閾値以上となり、その後、傾きが正立状態に近い状態まで戻された場合に、点眼動作有りと判断してもよい。
【0054】
点眼検出部81は、ジャイロセンサ4bにより検出される、点眼管理装置1の基準軸(例えば、図4のz軸)の垂直方向に対する角度(例えば、θz、以下、「傾斜角度」と称する。)の変化に基づいて、使用者による点眼管理装置1の各種の動作を検出することができる。例えば、点眼管理装置1の傾斜角度の変化に基づき、点眼管理装置1を持ち上げる動作、傾ける動作、及び傾きを戻す動作を検出することができる。例えば、点眼検出部81は、点眼管理装置1の傾斜角度又は傾斜角度の変化が、予め設定された条件を満たすか否かにより、これらの動作を検出できる。
【0055】
一例として、点眼検出部81は、点眼管理装置1の傾斜角度が、所定時間以上変化しない状態が続いた後に変化した場合に、点眼管理装置1が持ち上げられる動作がされたと判断することができる。また、点眼検出部81は、点眼管理装置1の傾斜角度が変化して、倒立状態の傾斜角から所定範囲内となった場合に、点眼管理装置1が倒立状態に傾けられたと判断することができる。また、点眼検出部81は、点眼管理装置1の傾斜角度が変化して、正立状態の傾斜角から所定範囲内となった場合に、点眼管理装置1が正立状態に戻されたと判断することができる。
【0056】
例えば、点眼検出部81は、図6に示すように、点眼管理装置1の基準軸(z軸)の水平面Ghに対する傾斜角θzhにより、点眼管理装置1すなわち点眼薬容器Aが上向きであるか、下向きであるかを判断してもよい。点眼薬容器Aは、バンド2によって点眼管理装置1に固定されている。そのため、点眼管理装置1の基準軸と点眼薬容器Aの上下方向軸との位置関係は固定されている。そのため、点眼管理装置1の水平面に対する傾斜角度により、点眼薬容器Aが上向き(すなわち直立状態に近い)か、又は、下向き(倒立状態に近い)か、を判断することができる。点眼検出部81は、点眼管理装置1(点眼薬容器A)が上向きの状態から、下向きの状態に変わった場合に、倒立状態に傾ける動作がなされたと判断してもよい。点眼検出部81は、点眼管理装置1(点眼薬容器A)が下向きの状態から、上向きの状態に変わった場合に、直立状態に戻す動作がなされたと判断してもよい。なお、姿勢センサ4bが、傾斜角に基づき、上向き/下向き、若しくは、直立状態/倒立状態等、点眼管理装置1(点眼薬容器A)の向きを示す情報を出力するように構成されてもよい。
【0057】
点眼検出部81は、例えば、点眼管理装置1を持ち上げる動作、倒立状態に傾ける動作、及び傾き正立状態を戻す動作が、所定時間内にこの順番で検出された場合に、点眼動作がされたと判断することができる。点眼検出部81は、これらの動作の条件に加えて、さらに、点眼管理装置1が倒立状態の時に、圧力センサ4aによりバンド2の圧力が所定量以上上昇して下降することが検出された場合に、点眼動作がされたと判断することができる。
【0058】
点眼検出部81は、圧力センサ4aで検出されたバンド2の圧力に基づき、バンド2が使用者によって押されたことを検出してもよい。又は、圧力センサ4aが、検出したバンド2の圧力に基づいて、バンド2が押されたことを示す情報を出力するよう構成されてもよい。例えば、圧力の検出値と閾値の比較により、バンド2が押されたか否かを判断することができる。
【0059】
図7は、圧力の検出値と閾値との比較により、バンド2を押す動作を検出する例を示すグラフである。図7のグラフにおいて、縦軸は圧力の検出値Pを示し、横軸は時間tを示す。検出値Pは、例えば、圧力センサ4aにおいて圧力に応じて変化する抵抗値又は電圧等としてもよい。図7に示す例では、圧力の検出値Pが閾値Th1を上回る時点t1で押す動作(On)が検出され、その後、閾値Th1を下回る時点t2で離す動作(Off)が検出される。検出値Pが閾値Th1より大きい期間Tonは、バンド2が押されていると判断することができる。
【0060】
バンド2を押す動作の検出に用いられる閾値は、可変であってもよい。例えば、点眼管理装置1が使用者の動作の検出を開始する際に、開始時の圧力に応じて閾値が更新されてもよい。これにより、例えば、バンド2が点眼薬容器Aに巻きなおされる等により、バンドの圧力センサ4aの条件が変化した場合にも適切な閾値を設定できる。また、点眼薬、又は使用者の特徴(年齢、性別等)等に基づいて、閾値が決定されてもよい。
【0061】
点眼管理システム10は、センサ4で検出された使用者の動作の履歴を示すデータ(例えば、ログデータ)を記憶装置に記録する履歴記録部(図示略)をさらに備えてもよい。記憶装置は、点眼管理装置1が備える記憶装置であってもよいし、端末20又はその他の外部機器(サーバ等)が備える記憶装置であってもよい。外部機器の記憶装置に動作の履歴を示すデータを記録する場合、センサ4で検出された動作を示す動作データが、通信部7を介して、端末20又はその他の外部機器に送信され、外部機器において記憶装置に記録される。なお、動作の履歴を示すデータには、動作内容を示す情報と、その動作が行われた時間を示す情報が含まれてもよい。
【0062】
通信部7は、点眼検出部81が点眼動作を検出した場合、この点眼動作を示す情報を、自動的に、使用者又は管理者の端末へ送信してもよい。例えば、コントローラ8は、点眼検出部81が点眼動作を検出した場合、点眼動作がなされたことを示す情報を、通信部7に送信させることができる。
【0063】
通知制御部82は、点眼検出部81の判断結果及び処方データに基づいて、使用者又は管理者に通知する通知情報を決定し、且つ、通知のタイミングを制御する。処方データは、点眼薬の処方に基づく投与方法を示すデータである。処方データは、例えば、点眼すべき時(点眼時)を示す情報が含まれる。通知制御部82は、処方データが示す点眼時に、点眼がなされていないと判断がされている場合に、点眼を指示する通知情報を、使用者又は管理者に対して通知することができる。
【0064】
処方データは、点眼薬、点眼する目(右目、左目又は両目のいずれか)、及び、点眼薬の投与量を示す情報を含んでもよい。この場合、通知制御部82は、点眼薬、点眼する目及び投与量を示す通知情報を、使用者又は管理者に対して通知する。
【0065】
通知制御部82による、使用者又は管理者に対する通知の制御は、点眼管理装置1の通知部5に対して、通知情報を供給し、使用者への通知をさせる処理であってもよい。通知部5は、例えば、スピーカ5b又はバイブレータ5cの少なくとも1つを含んでもよい。点眼管理装置1は、通知制御部82から提供された通知情報を音声としてスピーカ5bから出力してもよい。また、点眼管理装置1は、通知制御部82から通知情報が供給されたタイミングでバイブレータ5cを振動させてもよい。
【0066】
或いは、通知制御部82は、使用者又は管理者の端末に、通知情報を供給し端末に通知処理を実行させてもよい。使用者又は管理者の端末は、通知情報を供給先として予め決められていてもよい。また、通知制御部82が実装される端末20が、使用者又は管理者に対する通知処理を実行してもよい。
【0067】
端末20は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータにより構成される。端末20は、例えば、点眼管理装置1の使用者又は管理者の携帯端末でもよい図5に示す例では、点眼検出部81が点眼管理装置1に、通知制御部82が、点眼管理装置1の外のコンピュータシステムに設けられる。点眼検出部81及び通知制御部82は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータ又は回路によって構成することができる。
【0068】
(点眼管理装置利用システムの構成例)
図8は、本実施形態における点眼管理装置利用システムの構成例を示す機能ブロック図である。図8に示す点眼管理装置利用システム30は、1以上の点眼管理装置1-A~1-Cと通信可能である。点眼管理装置1-A~1-Cは、例えば、上記の点眼管理装置1と同様の構成とすることができるが、上記構成に限られない。以下、点眼管理装置1-A~1-Cを特に区別しない場合は、点眼管理装置1と称する。点眼管理装置1は、ジャイロセンサ4b、圧力センサ4a、通知部5、通信部7及びコントローラ8を備える。
【0069】
点眼管理装置利用システム30は、例えば、使用者又は管理者の携帯端末に構築することができる。例えば、携帯端末のコンピュータに、所定のアプリケーションプログラムをインストールすることで、点眼管理装置利用システム30を携帯端末に実装できる。点眼管理装置利用システム30を実現するためのアプリケーションプログラムも、本発明の実施形態に含まれる。
【0070】
点眼管理装置利用システム30は、対象処方データ受付部31、対象装置特定データ受付部32、記録処理部33、通知制御部34、動作取得部35、及び履歴記録部36を有する。
【0071】
対象処方データ受付部31は、管理対象となる対象点眼薬の処方に基づく投与方法を示す対象処方データの入力を受け付ける。対象処方データは、少なくとも、対象点眼薬を示す情報、及び点眼すべき時(点眼時)を示す情報を含む。対象処方データは、さらに、点眼する目(右目、左目又は両目)、投与量、又は、投与回数等を含んでもよい。対象処方データの入力は、対象処方データの直接入力であってもよいし、対象処方データを取得するための情報の入力であってもよい。なお、対象処方データの入力は、使用者又は管理者(以下、使用者等と称することがある)が行ってもよいし、コンピュータによって自動的に行われてもよい。
【0072】
対象処方データは、医師の処方情報に基づく投与方法を示すデータである。対象処方データ受付部31は、処方情報の入力を対象処方データとして受け付けてもよい。例えば、医療機関において、医師により電子カルテ等に入力された処方情報が、薬剤部の調剤システム60に供給される。又は、薬局において、医師が作成した処方箋(文字又は、バーコード若しくは二次元コード等のパターン)が読み取り装置で読み取られ、薬局の調剤システム60に供給される。このような場合、対象処方データ受付部31は、調剤システム60から、処方情報を対象処方データとして取得してもよい。例えば、点眼管理装置利用システム30が実装された端末を、有線又は無線(例えば、Wifi(登録商標))で調剤システム60に接続して、調剤システムから処方情報を取得することができる。
【0073】
図8では、一例として、薬局にて、複数の点眼薬X1、X2、X3が同時に使用者に提供されるケースを例示している。これは、管理対象とする対象点眼薬が複数ある場合の例である。この場合、対象処方データ受付部31は、複数の対象点眼薬である点眼薬X1、X2、X3のそれぞれについて、対象処方データの入力を受け付ける。
【0074】
対象装置特定データ受付部32は、対象装置特定データの入力を受け付ける。対象装置特定データは、対象点眼薬の点眼薬容器が装着される点眼管理装置(すなわち対象点眼管理装置)を一意に特定する。対象点眼薬は、対象処方データ受付部31が受け付けた対象処方データが示す対象点眼薬である。本例のように、対象点眼薬が複数ある場合、複数の対象点眼薬(点眼薬X1、X2、X3)のそれぞれについて、対象装置特定データの入力が受け付けられる。対象装置特定データ受付部32は、点眼管理装置利用システム30において、通信可能な点眼管理装置として記録されたものを、使用者等に提示し、使用者等に対象点眼管理装置を選択させてもよい。このようにして、使用者等は、対象点眼薬を装着する点眼管理装置を指定することで、対象装置特定データを入力できる。
【0075】
記録処理部33は、対象処方データ受付部31が受け付けた対象装置特定データを、対象装置特定データ受付部32が受け付けた対象処方データと対応付けて、記憶装置40に記録する。これにより、対象点眼薬の処方に基づく投与方法を示す情報と、その処方された対象点眼薬が装着される対象点眼管理装置を示す情報とが紐づけられる。すなわち、対象点眼薬の処方に基づく投与方法と、対象点眼薬の対象点眼管理装置との対応関係を示すデータが記憶装置40に記録される。なお、記録処理部33は、対象処方データ受付部31又は対象装置特定データ受付部32の一部として実装されてもよい。対象点眼薬が複数ある場合は、複数の対象点眼薬(点眼薬X1、X2、X3)のそれぞれについて、対象装置特定データと対象処方データとが対応付けられる。
【0076】
記憶装置40は、点眼管理装置利用システム30がアクセス可能な記憶装置40である。記憶装置40は、コンピュータがデータを読み書き可能なメモリ又はストレージである。記憶装置40は、例えば、点眼管理装置利用システム30が実装されるコンピュータが備える記憶装置であってもよいし、そのコンピュータがネットワークを介してアクセス可能な記憶装置であってもよい。記憶装置40は、複数の分散された記憶装置で構成されてもよい。
【0077】
動作取得部35は、点眼管理装置1のセンサ4で検出された点眼薬容器Aに対する使用者の動作を示す動作データを、点眼管理装置1から取得する。動作データは、ジャイロセンサ4b又は圧力センサ4aで検出された物理量を示す値(例えば、角速度、角度、又は圧力等)であってもよい。なお、動作取得部35は、動作データとともに、動作データの送信元の点眼管理装置1を特定する装置特定データを取得してもよい。
【0078】
通知制御部34は、動作取得部35が対象点眼装置から取得した動作データ及び、対象処方データが示す投与方法に基づく点眼を指示する通知情報を、対応する対象装置特定データで特定される対象点眼管理装置に供給する。すなわち、通知制御部34は、対象点眼管理装置で検出された動作及び対象点眼薬の処方に基づき点眼を指示する通知情報を、その対象点眼薬が装着される対象点眼管理装置へ供給する。これは、対象処方データ及び対象装置特定データが入力され、互いに対応付けられているために可能となっている。
【0079】
例えば、通知制御部34は、対象処方データが示す対象点眼薬の処方で指定された点眼時に基づくタイミングで、点眼を指示する通知情報を、対象点眼管理装置へ供給する。これにより、通知制御部34は、対象処方データが示す点眼時に応じた時に、対象点眼管理装置の通知部に、点眼の指示を使用者に対して通知させることができる。
【0080】
本例のように、対象点眼薬が複数ある場合は、通知制御部34は、複数の対象点眼薬(点眼薬X1、X2、X3)のそれぞれについて、対象処方データに基づく通知情報を、対応する対象装置特定データで特定される対象点眼管理装置へ供給する。
【0081】
通知制御部34は、動作データに基づく通知情報を、動作データを取得した点眼管理装置、すなわち、動作データの送信元の点眼管理装置に供給してもよい。これにより、点眼管理装置1に対する使用者の動作に応じた通知が可能になる。また、この動作データに基づく通知情報は、点眼管理装置の他、使用者又は管理者の端末に供給してもよい。これにより、端末から使用者又は管理者に対して、動作データに基づく通知ができる。
【0082】
動作データに基づく通知の例として、通知制御部34は、対象処方データで示される点眼時から所定時間経過しても対応する対象点眼管理装置から点眼動作を示す動作データを取得できない場合に、アラームの通知情報を、その対象点眼管理装置、又は、使用者若しくは管理者の端末に供給してもよい。
【0083】
このように、記憶装置40に記録された対象点眼薬の処方に基づく投与方法と、その対象点眼薬の点眼管理装置からの動作データに基づいて、対象点眼薬の点眼に関する通知が制御される。これは、各対象点眼薬について、対象処方データと対象装置特定データが対応付けられているために可能になる。すなわち、通知制御部34は、対象処方データが示す対象点眼薬の点眼時から所定時間内に、対象処方データに対応付けられた対象装置特定データが示す対象点眼管理装置から点眼動作を示す動作データを取得したか否かを判断することができる。
【0084】
履歴記録部36は、対象点眼管理装置から取得した動作データが示す動作に関する情報を、対象点眼管理装置に対応する対象処方データに対応付けて、点眼履歴データとして、記憶装置40に記録する。点眼履歴データは、対象点眼薬の点眼の履歴を示すデータである。例えば、対象点眼薬を点眼したこと、及び、点眼した時間を示す情報が、点眼履歴データとして蓄積される。なお、点眼履歴データは、点眼動作の他、点眼薬容器に対する動作の履歴を含んでもよい。点眼履歴データとして、例えば、点眼管理装置1(点眼薬容器A)の向き、及び、バンド2を押す動作の履歴を示すデータが記憶装置40に記録されてもよい。また、点眼履歴データには、使用者の動作及びその動作の時間を示す情報が含まれてもよい。記憶装置40には、対象点眼薬の対象処方データと対象装置特定データとが、対応付けて記録されている。そのため、履歴記録部36は、取得した動作データの送信元の対象点眼管理装置に対応する対象処方データを特定することができる。
【0085】
図8に示す例では、点眼管理装置1のコントローラ8は、動作モード制御部83を有する。動作モード制御部83は、点眼管理装置1の電子部品の動作モードを、切り替える。切り替え可能な動作モードとして、例えば、省電力モードと通常動作モードが含まれてもよい。省電力モードは、通常動作モードに比べて、消費電力が小さい。省電力モードは、例えば、通知部5、センサ4及び通信部7の少なくとも一部の動作を停止し、待機状態とする動作モードであってもよい。
【0086】
省電力モードから通常動作モードへの切り替えの条件は、例えば、センサ4が所定の動作を検出すること、又は、通信部7が所定のデータを受信すること等であってもよい。通常動作モードから省電力モードへの切り替えの条件は、例えば、ジャイロセンサ4b及び圧力センサ4aのいずれのセンサも動作を検出しない状態が所定時間継続したこと、又は、通信部7のデータの送受信がない状態が所定時間継続したこと、等であってもよい。このように、動作モード制御部83は、センサ又は通信部7の動作状態に応じて動作モードを切り替えることができる。これにより、消費電力を節約できる。
【0087】
例えば、省電力モードでは、ジャイロセンサ4bの機能が有効で、他の不要な機能が休止した状態であってもよい。この場合、動作モード制御部83は、ジャイロセンサ4bで点眼管理装置1の動きが検出された場合に、動作モードを省電力モードから通常動作モードへ切り替えることができる。これにより、電力を節約しながら、点眼管理装置1の動作を常時監視することができる。
【0088】
通知制御部34は、点眼管理装置1における動作モードの切り替えのトリガとなる情報を点眼管理装置1へ供給することができる。例えば、通知制御部34は、対象処方データで示される点眼時より所定時間前の時点に、対象点眼管理装置が動作モードを省電力モードから通常動作モードへ切り替えるトリガとなる情報を対象点眼管理装置へ供給することができる。例えば、通知制御部34は、点眼管理装置1に通知情報を供給する際には、通知情報の供給と同時又は送信に先立って、動作モードを切り替えの指示を点眼管理装置1に供給することができる。また、通知制御部34は、点眼管理装置1に動作データを要求する時又は要求に先立って、動作モード切り替えの指示を点眼管理装置1に供給してもよい。これらの場合、例えば、省電力モードから通常動作モードへの切り替えの指示が供給される。
【0089】
(入力受付の処理例)
図9は、対象処方データ及び対象装置特定データの受付処理の例を示すフローチャートである。図10は、図9に示す処理における画面遷移の例を示す図である。図9に示す例では、対象処方データ受付部31が、使用者等から、管理対象とする点眼薬の投与方法を示す対象処方データの入力を受け付ける(S1)。対象処方データ受付部31は、例えば、ディスプレイに、対象処方データの入力を受け付ける画面を表示する。
【0090】
図10に示す画面G1~G3は、対象処方データの入力を受け付ける画面の例である。画面G1は、管理対象とする点眼薬の入力を受け付ける。画面G1では、対象点眼薬の候補が選択可能な態様で表示される。表示される候補は、例えば、使用者等に対応付けて予め記録された点眼薬(例えば、使用者が過去に使用した点眼薬等)であってもよいし、使用者等の指定する条件でデータベースから検索された点眼薬であってもよい。又は、医師が処方した点眼薬が、選択可能な態様で表示されてもよい。医師が処方した点眼薬を示す処方情報は、例えば、処方情報が入力された調剤システムから、点眼管理装置利用システム30に転送されてもよい。この場合、使用者等が、画面G1において、処方された点眼薬を選択することで、処方情報に基づく点眼薬、及びその投与方法が対象処方データとして入力される。
【0091】
画面G2は、点眼薬を投与する目及び投与量の入力を受け付ける。画面G2では、左目及び右目のそれぞれについて、点眼の回数(例えば、滴数(滴下の回数))の入力が可能である。なお、点眼薬を投与する目及び投与量は、本例のように画面から直接入力を受け付けてもよいし、調剤システム60又は読み取り装置から取得した処方情報に含まれる投与する目及び投与量の情報が自動的に入力されてもよい。
【0092】
画面G3は、点眼すべき時(点眼時)の入力を受け付ける。点眼時は、点眼する予定の日時である。画面G3では、点眼時刻及び点眼日の入力を受け付ける。画面G3は、点眼時刻の入力欄と、点眼日を選択するためのカレンダーを含む。画面G3では、カレンダーの各日が選択可能である。選択された日の、入力された時刻が、点眼時となる。なお、医師による処方では、点眼時について、具体的な日時まで指定されることは少ない。そこで、画面G3のように、点眼時の日時の入力を受け付けることで、点眼時の日時を、対象処方データとして入力することができる。
【0093】
なお、同じ日の同じ時刻に、異なる2以上の対象点眼薬の点眼時が設定されてもよい。画面G3のような点眼日時の入力において、2以上の対象点眼薬について同時に入力可能としてもよい。また、対象処方データ受付部31は、同じ日時に点眼時が設定された2以上の対象点眼薬について、点眼する順番の指定を受け付けてもよい。対象処方データ受付部31は、同じ日時に点眼時が設定された複数の(すなわち2種類以上の)対象点眼薬について、点眼間隔の設定時間の指定を受け付けてもよい。これにより、同時期に順次投与する複数の対象点眼薬について、点眼時間を決め、さらに、複数の対象点眼薬の点眼間隔時間(例えば、5分、又は、10分以上)を設定できる。例えば、点眼薬の種類によっては、他の点眼薬と間隔をあけて点眼することで治療効果が十分に得られる場合がある。このような場合、複数の点眼薬の点眼間隔の時間を設定することで、治療効果をより向上できる。なお、点眼間隔の設定時間は、例えば、調剤システムから供給される対象処方データに含まれてもよいし、使用者又は管理者からの入力に基づいて決められてもよい。また、同時期に順次投与する複数の対象点眼薬の点眼時として、点眼間隔だけ離れた異なる時刻が設定されてもよい。
【0094】
図9のS2において、対象装置特定データ受付部32は、対象装置特定データの入力を受け付ける。図10の画面G4は、対象装置特定データの入力を受け付ける画面の例である。画面G4では、点眼管理装置利用システム30が通信可能な装置として記憶装置40に記録されている点眼管理装置が選択可能な状態で表示される。例えば、点眼管理装置利用システム30が構築される端末とペアリングされている点眼管理装置が、画面G4で選択候補として表示されてもよい。使用者等が、画面G4において、対象点眼薬を装着する点眼管理装置を選択することで、対象装置特定データを入力する。
【0095】
図8に示すように、複数の対象点眼薬X1~X3を同じ期間に投与する場合、対象点眼薬ごとに、図9のS1及びS2の入力受付処理が実行される。その際、異なる対象点眼薬の対象処方データが、同じ対象装置特定データに対応しないように、対象点眼管理装置の選択が制限されてもよい。なお、同じ対象点眼薬についての異なる2つ以上の対象処方データに、同じ対象装置特定データが対応付けられることは許容されてもよい。
【0096】
入力を受け付ける画面が表示されるディスプレイは、例えば、点眼管理装置利用システム30が構築されるコンピュータ(例えば、携帯端末)又は、点眼管理装置利用システム30が通信可能なコンピュータのディスプレイであってもよい。
【0097】
図9のS3において、記録処理部33は、S1で入力された対象処方データと、S2で入力された対象装置特定データとを対応付けて、記憶装置40に記録する。図11は、記憶装置40に記録される対象処方データ及び対象装置特定データの例を示す図である。図11の例では、対応テーブルT1に、点眼管理装置を一意に特定する装置IDと、処方を識別する処方IDが互いに対応付けられて記録される。点眼時テーブルT2には、処方IDと、点眼時を示すデータが対応付けられて記録される。また、図11に示す例では、点眼時ごとに、点眼の順番を示すデータが対応付けて記録される。これは、同じ点眼時に点眼する点眼薬が他にもある場合、他の点眼薬に対する点眼の順番を示す情報である。同時に点眼する点眼薬が他になければ、この順番のデータは省略してもよい。なお、同時に点眼する点眼薬がある場合は、他の点眼薬との点眼間隔の設定時間を示す情報(図示略)が、さらに、点眼時テーブルT2に記録されてもよい。これは、同時期に順次投与する複数の点眼薬の点眼間隔の設定時間を示すデータの例である。なお、同時期に順次投与する複数の点眼薬の点眼時を示すデータの変形例として、点眼間隔だけ離れた異なる時刻が、複数の点眼薬の点眼時を示すデータとして記録されてもよい。処方情報テーブルT3には、処方IDに、点眼薬、左目の点眼回数、右目の点眼回数、1日の投与回数及び投与時を示す投与形態が対応付けられて記録される。
【0098】
点眼薬の処方では、例えば、初めの1週間は朝夕の2回で、次の2週間は朝のみに点眼するといった投与方法が異なる複数の期間が指定される場合がある。また、1日の中でも、朝は、右目に2回、昼は右目に1回等、1日の中でも時間(すなわち期間)によって投与方法が異なる場合がある。このように、点眼薬の処方では、異なる投与方法が複数の服用期間についてそれぞれ設定される場合がある。このような場合、1つの処方に含まれる複数の服用期間のそれぞれに処方IDが割り当てることができる。例えば、図11に示す処方情報テーブルには、複数の服用期間のそれぞれの処方IDに対応付けて、投与する目、投与量、及び、1日の投与回数(投与形態)を示すデータが記録される。処方された1つの対象点眼薬について、複数の服用期間において異なる投与方法を示す対象処方データを記録することができる。
【0099】
(通知制御の処理例)
図12は、点眼管理装置利用システム30の通知制御の処理例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、対象処方データが示す点眼時が到来したことを契機として開始される(S11)。対象処方データとして、例えば、複数の対象点眼薬X1~X3のそれぞれの点眼時を示すデータが記憶装置40に記録される。対象点眼薬X1~X3のうちいずれかの対象点眼薬(ここでは、一例として、X1及びX2とする)の点眼時が到来した時に、その対象点眼薬X1及びX2について点眼を指示する通知処理が開始される。例えば、通知制御部34は、図11の点眼時テーブルT2を参照することで、対象点眼薬X1~X3のそれぞれの点眼時が到来したか否かを判断することができる。
【0100】
図12のS12において、通知制御部34は、点眼時が到来した複数の対象点眼薬X1及びX2のうち、n番目(初期値はn=1)の対象点眼薬X1の対象点眼管理装置1-Aを特定する。複数の対象点眼薬X1及びX2の処理の順番は、例えば、図12の点眼時テーブルT2の点眼時に対応して記録された順番により決定できる。通知制御部34は、例えば、図11の点眼時テーブルT2における到来した点眼時に対応する処方IDを取得し、取得した処方IDに対応する装置IDを対応テーブルT1から取得することで、対象点眼管理装置の装置IDを決定できる。
【0101】
図12のS13において、通知制御部34は、S12で決定した装置IDの対象点眼管理装置1-Aに対して、点眼を指示する通知情報を供給(送信)する。S13において、通知制御部34は、通知情報の送信前または送信と同時に、対象点眼管理装置1-Aの動作モードを省電力モードから通常動作モードに切り替える指示を送信してもよい。通知情報の供給を受けた対象点眼管理装置1-Aのコントローラ8は、動作モードが省電力モードであれば、通常動作モードに切り替え、供給された通知情報を、通知部5に通知させる。例えば、コントローラ8は、点眼を指示する音声をスピーカ5bから出力するとともに、バイブレータ5cを振動させる。
【0102】
また、S13において、通知制御部34は、使用者又は管理者の端末に、点眼を指示する通知情報を供給する。例えば、通知制御部34は、使用者又は管理者の端末に点眼を指示する通知情報を音声又は画像で出力させる。使用者の端末は、例えば、点眼管理装置利用システム30が構築される使用者の携帯端末であってもよい。管理者の端末50は、例えば、点眼管理装置利用システム30とネットワークを介してデータ通信可能な端末である。通知情報の供給先の端末を示す情報は、記憶装置40に予め記録される。通知制御部34は、予め記録された端末へ通知情報を供給する。
【0103】
S13において、点眼を指示する通知情報に、点眼する目と投与量を示す情報が含まれてもよい。通知制御部34は、例えば、図11の処方情報テーブルT3から、対象点眼管理装置1-Aに対応する処方IDに対応付けられた左目回数及び右目回数を取得し、通知情報に含めることができる。この場合、対象点眼管理装置1-Aは、例えば、スピーカ5bから、点眼する目と投与量を案内する音声を出力できる。また、使用者又は管理者の端末は、ディスプレイに点眼する目と投与量を示す情報を表示することができる。
【0104】
通知制御部34は、通信可能な全ての点眼管理装置1-A~1-Cからの動作データの受信を待機する。点眼管理装置1-A~1-Cのいずれかから動作データを受信した場合(S14でYES)、動作データの送信元が、S12で特定された対象点眼管理装置1-Aであるか否かを判断する(S15)。S15でYESの場合で、且つ、動作データが点眼動作を示す場合(S16でYES)、通知制御部34は、滴数を1回とカウントし、カウントされた滴数が、対象処方データに示された回数に達しているか否かを判断する(S17)。滴数が対象処方データに示された回数に達していない場合(S17でNO)は、S19の処理が実行される。滴数が対象処方データに示された回数に達している場合(S17でYES)は、履歴記録部36が、点眼動作を示す履歴データを記録して(S21)、次の点眼薬があれば(S22でYES)、S12の処理に戻り、次の点眼薬がなければ(S22でNO)、処理は終了する(S23)。次の点眼薬がある場合(S22でYES)、通知制御部34は、動作データにより点眼動作が検出された時間(時刻)から、予め設定された設定時間後に、次の点眼薬X2の点眼を指示する通知情報を、対象点眼管理装置1-Bに供給してもよい。この設定時間は、例えば、図11に示す点眼時テーブルT2に記録される。
【0105】
S21において、履歴記録部36は、例えば、図11に示すテーブルT4に、動作データが示す動作、及び動作が検出された時間を、処方IDに対応付けて、記録する。処方IDは、動作データの送信元の点眼管理装置の装置IDに対応する処方IDである。
【0106】
S15でNOの場合、すなわち、取得した動作データの送信元の点眼管理装置が、S12で特定された対象点眼管理装置1-Aでない場合、通知制御部34は、その送信元の点眼管理装置及び使用者の端末に、誤った点眼管理装置に対する動作が行われていることを警告するアラームの通知情報を供給する(S18)。これにより、動作が検出された点眼管理装置は、動作する点眼管理装置が誤っている旨の警告を使用者に通知することができる。また、使用者の端末は、使用者に対して、同様の警告を通知することができる。
【0107】
S19にて、通知制御部34は、S11の処理開始(すなわち対象処方データで示される点眼時)からの経過時間が、予め決められた許容時間に達しているか否かを判断する。処理開始からの経過時間が、許容時間に達するまでは、通知制御部34は、点眼管理装置1-A~1-Cからの動作データを待機する。経過時間が、許容時間に達した場合(S16でYES)、通知制御部34は、点眼動作がされていない旨のアラームの通知情報を、対象点眼管理装置1-A及び使用者等の端末に供給する(S20)。この時、履歴記録部36は、例えば、図11に示すテーブルT4に、点眼動作が検出されなかったことを、処方IDに対応付けて、記録してもよい。そして処理は終了する(S23)。
【0108】
本例では、同時期に順次投与する複数の対象点眼薬として、点眼順が指定された複数の対象点眼薬(例えば、X1及びX2)がある。このような場合に、先に点眼すべき対象点眼薬X1の点眼動作が許容時間内に検出されない場合、通知制御部34は、次の対象点眼薬X2について点眼指示の通知情報を供給しないようにしてもよい。例えば、対象処方データで、複数の対象点眼薬(例えば、X1、X2)について、異なる点眼時(例えば、9:00と9:05)と、点眼順(X1→X2)が示されてもよい。この場合、通知制御部34は、9:05になってもまだX1の点眼動作が検出されていない場合は、X2の点眼指示を通知しないようにしてもよい。すなわち、通知制御部34は、指定された点眼順で、複数の対象点眼薬の点眼指示を通知するようにしてもよい。例えば、点眼薬の組み合わせによっては、点眼の順番が異なると治療効果が十分に得られなくなる場合がある。このような場合に、指定された順番に従って、点眼指示を通知することで、治療効果を得るために適切な順番で点眼を指示することができる。
【0109】
上記の図12に示す処理は、対象点眼薬の対象処方データが示す点眼時が到来する度に実行される。複数の対象点眼薬X1~X3が同じ期間において異なる点眼時に投与される場合であっても、各対象点眼薬X1~X3の点眼時に上記処理を実行することで、複数の対象点眼管理装置1-A~1-Cのうち適切な点眼管理装置に対して点眼を指示する通知情報を供給できる。これにより、複数の様々な点眼薬に対応した適切な点眼管理が可能になる。
【0110】
また、上記の例では、対象点眼薬の点眼時から所定時間(許容時間)経過しても、点眼動作が検出されない場合、それ以降は、その点眼時に関する点眼指示は通知されない。これにより、使用者が、ある点眼時の点眼を忘れた場合に、その点眼時から大きくずれた時に点眼することが避けられる。また、通知制御部34は、対象点眼薬の点眼時から所定時間(許容時間)経過しても、点眼動作が検出されない場合に、既に通知した点眼指示の通知情報を削除してもよい。例えば、通知制御部34は、使用者又は管理者の端末に表示させた点眼を指示する通知情報を削除してもよい。これにより、使用者が点眼時から大幅にずれた時間に点眼動作をしてしまうのを防ぐことができる。
【0111】
また、履歴記録部36は、各対象点眼薬の各点眼時について、点眼動作が行われたか否か(点眼の実施/未実施)を示す情報を、点眼履歴データとして記憶装置40に記録する。通知制御部34は、各対象点眼薬の各点眼時について点眼動作が実際にされたか否かを示す情報を、使用者又は管理者の端末へ表示させてもよい。例えば、処方対象データで示される対象点眼薬の点眼時と、点眼動作の実施/未実施が一覧で表示される点眼表が、使用者又は管理者の端末に表示されてもよい。表示態様は、特に限定されないが、例えば、対象点眼薬ごとに点眼時と点眼の実施/未実施が対応付けられて表示されてもよい。或いは、処方ごと、若しくは、日又は週等の単位期間ごとに、点眼時と点眼の実施/未実施が表示されてもよい。また、点眼管理装置利用システム30は、使用者又は管理者の端末から、各点眼時の点眼の実施/未実施の入力を受け付けてもよい。これにより、使用者又は管理者は、点眼の実施結果を、マニュアルで入力することができる。
【0112】
図13は、図12に示す処理において、画面遷移の例を示す図である。図13は、例えば、使用者の端末に表示される画面の例である。図13の例では、画面G11にて、点眼すべき対象点眼薬と、点眼する目、及び点眼回数(滴下回数)が表示される。画面G11では、対象点眼薬X1及びX2のうち、X1の点眼が指示される。この状態で、対象点眼薬X2の点眼管理装置1-Bを動かす動作が検出された場合、画面G12に示すアラーム画面が表示される。画面G12では、現在、点眼すべき対象点眼薬X1が表示される。画面G12の表示は、時間経過又は使用者による確認入力によって終了し、画面G11の表示に戻る。
【0113】
画面G11の表示時に、対象点眼管理装置1-Aにて対象点眼薬X1の点眼操作が検出された場合、画面G13に示すように、1回の点眼(滴下)が行われたことが表示される。なお、1回の点眼(滴下)動作は、例えば、点眼管理装置1が倒立状態でバンド2の圧力が所定量以上上昇して下降することが検出された場合に、1回の滴下動作と判断される。さらに、もう1回の対象点眼薬X1の点眼(滴下)が検出されると、画面G14のように、対象点眼薬X1の点眼が終了したことを示し、さらに、次の点眼対象として、対象点眼薬X2の点眼を指示する画面が表示される。画面G14の表示時に、対象点眼管理装置1-Bにて対象点眼薬X2の点眼操作が検出された場合、画面G15に示すように、点眼が終了したことが表示される。なお、点眼の終了を示す画面G15又はその後の画面により、次回の点眼に関する案内(例えば、次回の点眼時間又は点眼薬)が表示されてもよい。また、例えば、G13の対象点眼薬X1の点眼指示画面を表示した後に、所定時間経過してもX1の点眼動作が検出されない場合、対象点眼薬X1及びX2の点眼指示の表示が、削除(終了)されてもよい。このようにして、通知制御部は、対象点眼薬X1、X2の対象点眼管理装置1-A、1-Bで検出された動作、及び対象処方データの投与方法に基づいて、使用者に対する通知情報を制御することができる。
【0114】
上記の図12に示した処理は、対象処方データで示される点眼時が到来した時に実行される。この他に、対象処方データで示される点眼時の到来前に使用者が対象点眼薬を点眼する場合がある。又は、対象処方データで示される点眼時から所定時間(例えば、図12のS19の許容時間)の経過後に、対象点眼薬の点眼がなされる場合がある。これらの場合に、対象点眼管理装置1において、ジャイロセンサ4bの検出値に基づき、点眼検出部81が点眼動作を検出する。通信部7は、点眼検出部81による点眼動作の検出を契機として、点眼がされたことを示す情報を、使用者又は管理者の端末へ送信する。これにより、使用者の操作によらず、自動的に、点眼を示す情報が端末へ送信される。
【0115】
点眼管理装置利用システム30は、対象点眼管理装置1から点眼を示す情報、すなわち点眼動作を示す動作データを受信すると、まず、送信元の対象点眼管理装置1に対応する対象処方データを特定する。この特定には、例えば、図11に示す対応テーブルT1のような、対象装置特定データと対象処方データとの対応を示すデータが用いられる。履歴記録部36は、点眼を示す情報を、特定した対象処方データに対応付けて点眼履歴データとして、記憶装置40に記録する。
【0116】
履歴記録部36は、例えば、動作取得部35が、対象点眼管理装置1から点眼動作を示す動作データを受信した時点を点眼がなされた時間として、点眼を示す情報とともに、対象処方データに対応付けて記録することができる。或いは、点眼管理装置1の点眼検出部81が点眼動作を検出した時点が、点眼がなされた時間として点眼履歴データとして記録されてもよい。このように、点眼履歴データに記録される点眼の時間は、実際の点眼の時点に限られず、システムにおいて点眼が認知された時点を基に決定された時間であってもよい。
【0117】
上記の点眼管理装置利用システム30は、プロセッサとメモリを有する1以上のコンピュータによって構成される。対象処方データ受付部31、対象装置特定データ受付部32、記録処理部33、通知制御部34、動作取得部35、及び履歴記録部36の各機能は、プロセッサが所定のプログラムを実行することで実現できる。そのようなプログラム及びそのプログラムを記録した非一時的(non-transitory)な記録媒体も本発明の実施形態に含まれる。
【0118】
なお、上記の実施形態は、本発明の例であって、本発明は、この例に限られない。また、上記の実施形態で説明する構成及び処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0119】
1:点眼管理装置、2:バンド、3:筐体、4:センサ、5:通知部、6:凸部、7:通
信部、8:コントローラ、10:点眼管理システム、20:点眼管理装置利用システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13