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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165949
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】小分システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20221025BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069777
(22)【出願日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2021070746
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390000583
【氏名又は名称】小西医療器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】吉田 記大
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】物品の物流拠点において、物品のピッキング数量の間違いを防止する。
【解決手段】入荷された物品を小分けする小分システムであって、前記物品の最少納品数を記憶する数量記憶部と、前記物品の1つあたりの基準重量を記憶する重量記憶部と、小分された前記物品の重量を計量する計量部と、前記基準重量に前記最少納品数を乗じて基準重量を算出し、前記計量された物品の重量が当該基準重量に対して所定の範囲内であるかを判定する重量判定部と、前記所定の範囲内にある、前記小分された物品を包装する包装部と、を備える。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入荷された物品を小分けする小分システムであって、
前記物品の最少納品数を記憶する数量記憶部と、
前記物品の1つあたりの基準重量を記憶する重量記憶部と、
小分された前記物品の重量を計量する計量部と、
前記基準重量に前記最少納品数を乗じて基準重量を算出し、前記計量された物品の重量が当該基準重量に対して所定の範囲内であるかを判定する重量判定部と、
前記所定の範囲内にある、前記小分された物品を包装する包装部と、を備える、小分システム。
【請求項2】
前記物品の最少納品数の基準サイズを記憶するサイズ記憶部と、
前記小分された物品のサイズを検出するサイズ検出部と、
前記検出されたサイズが前記基準サイズに対して所定の範囲内であるかを判定するサイズ判定部と、
を備える、請求項1に記載の小分システム。
【請求項3】
前記計量部と前記包装部の間に設けられた搬送装置を備え、
前記搬送装置は、
前記包装部に向かって前記小分された物品を搬送するコンベアと、
前記小分された物品の搬送方向に直交する方向に前記コンベアを移動させる移動装置と、
を備える、請求項1に記載の小分システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を小分する小分システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療現場における医療品の在庫や発注を管理するためのSPDシステムが知られている。SPDは、供給(Supply)、加工(Processing)、分配(Distribution)の略であり、医療現場での要望に応じて医療品の物流管理を的確に行うことで、医療品の死蔵、過剰在庫の解消、請求・発注業務の軽減、保険請求の漏れを防止することを目的としたシステムである。例えば、特許文献1には、病院において医療品の消費管理を的確に行うための管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-15577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、SPD業者の物流拠点では、製造業者から医療品を入荷して在庫として保管し、病院からの発注に基づいて、当該在庫から必要数量の医療品をピッキングして出荷している。しかし、当該物流拠点では、従来から、医療品を単品単位で在庫管理しており、このような在庫からのピッキングを作業者の目視によって行っているため、ピッキングすべき医療品の取り間違えや、ピッキング数量の間違え、期限切迫品の誤出荷が生じるおそれがあった。
【0005】
このようは、ピッキングミスは医療品の物流拠点のみだけでなく、他の物品の物流拠点においても生じうる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、物品の物流拠点において、物品のピッキングミスを防止し得る小分システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、入荷された物品を小分けする小分システムであって、前記物品の最少納品数を記憶する数量記憶部と、前記物品の1つあたりの基準重量を記憶する重量記憶部と、小分された前記物品の重量を計量する計量部と、前記基準重量に前記最少納品数を乗じて基準重量を算出し、前記計量された物品の重量が当該基準重量に対して所定の範囲内であるかを判定する重量判定部と、前記所定の範囲内にある、前記小分された物品を包装する包装部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記物品の最少納品数の基準サイズを記憶するサイズ記憶部と、前記小分された物品のサイズを検出するサイズ検出部と、前記検出されたサイズが前記基準サイズに対して所定の範囲内であるかを判定するサイズ判定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記計量部と前記包装部の間に設けられた搬送装置を備え、前記搬送装置は、前記包装部に向かって前記小分された物品を搬送するコンベアと、前記小分された物品の搬送方向に直交する方向に前記コンベアを移動させる移動装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の小分システムによれば、物品の物流拠点において、物品のピッキング数量の間違いを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の物流拠点において荷受から出荷までの医療品の取り扱いを説明する図
図2】上記物流拠点の荷受エリアおよび小分エリアが有するハードウェアのブロック図
図3】メインサーバが有するテーブルを示す図
図4】(a)収容ボックスの斜視図、(b)電子棚札の一の表示態様、(c)電子棚札の他の表示態様
図5】ピッキングエリアが有するハードウェアのブロック図
図6】仕分出荷エリアが有するハードウェアのブロック図
図7】小分システムが有するハードウェアのブロック図
図8】小分システムが有するハードウェアの側面図
図9】小分システムが有する重量検査装置のブロック図
図10】(a)小分システムが有するサイズ検査装置のブロック図、(b)サイズ検査装置が有するセンサの概略側面図
図11】小分システムが有する搬送装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態に係る小分システムを説明する。
【0013】
本実施形態に係る小分システムは、医療品の在庫を管理し、病院からの発注に基づいて医療品を出荷する医療品の物流センターや倉庫などの物流施設において用いられる。当該施設には、荷受エリア、保管エリア、小分エリア、ピッキングエリア、及び仕分出荷エリアが設けられている。以下、各エリアの概要を説明した上で本実施形態に係る小分システムについて説明する。
【0014】
[荷受エリア]
図1および図2に示すように、荷受エリアは外装箱Pに梱包されている医療品Wを荷受けするエリアであり、当該エリアには作業者によって操作されるリーダ11(以下、「荷受リーダ11」という。)およびコンピュータ12(以下、「荷受コンピュータ12」という。)が設けられている。
【0015】
荷受リーダ11は、外装箱Pに表示されているGS1コードから情報(以下、「GS1情報」という。)を読み取る装置であり、有線または無線によって通信可能に接続された荷受コンピュータ12に対してGS1情報を入力する。荷受コンピュータ12は、荷受リーダ11から入力されたGS1情報に含まれる商品コード(医療品ID)、ロット番号、及び有効期限をディスプレイ(不図示)に表示させる。また、荷受コンピュータ12は、荷受スタッフによるキーボードやマウスの操作によって、外装箱P内の医療品Wの入数などの情報を取得して、ディスプレイに表示させる。当該荷受コンピュータ12は、ネットワークNを介してメインサーバ100と通信可能であり、商品コード、ロット番号、有効期限、及び入数を含む荷受情報をメインサーバ100へと送信する。
【0016】
メインサーバ100は、荷受コンピュータ12から荷受情報を受信する度に、受信した荷受情報を管理テーブルに追加する。管理テーブルは、施設内にある医療品Wを管理するテーブルであり、図3に示すように、商品コードフィールド(医療品IDフィールド)、有効期限フィールド、ロット番号フィールド、及び数量フィールドを含んでいる。これらのフィールドの各々には、荷受コンピュータ12から受信した荷受情報が登録される。また、管理テーブルは管理番号フィールドを含む。管理番号フィールドは、管理テーブルのレコード毎に一意的に付与される管理番号が登録されるフィールドであり、荷受けした状態の医療品W(外装箱Pに梱包されている一まとまりの医療品W)を管理するために付与される。また、メインサーバ100は、医療品マスタテーブルを備えている。医療品マスタテーブルは、医療品Wに関する基礎的な情報に関するフィールドを有している。当該フィールドには、商品コード、商品名、メーカー、小分数量、1つあたりの重さ、及び後述する小分品Sの形状情報などが含まれる。ここで、小分数量は、病院に対して納品する医療品の最少個数(最少納品数量)である。
【0017】
図1および図2に示すように、上記の通り荷受コンピュータ12は、荷受情報をメインサーバ100に送信した後に、メインサーバ100から管理番号を取得する。荷受コンピュータ12には、RFタグ発行装置13が通信可能に接続されており、荷受コンピュータ12は管理番号をRFタグ発行装置13へと入力する。当該RFタグ発行装置13は、当該入力された管理番号を記憶したRFタグを発行する。このように発行されたRFタグは医療品Wの外装箱Pに貼付される。当該外装箱P(医療品W)は、不図示の搬送装置によって保管エリアへと搬送される。
【0018】
[保管エリア]
保管エリアは荷受した医療品Wを外装箱Pに梱包した状態のままで保管しておくエリアである。このように保管エリアに保管された医療品Wは、医療品Wの出荷状況を加味したメインサーバ100からの指示に基づいて、外装箱Pに入れられた状態で搬送装置によって小分エリアへと搬送される。
【0019】
[小分エリア]
小分エリアは、医療品Wを外装箱Pから取り出して機械的または手作業により小分袋Bに小分作業するエリアであり、当該エリアには作業者によって操作されるコンピュータ22(以下、「小分コンピュータ22」という。)が設けられている。小分コンピュータ22は、ネットワークNを介してメインサーバ100から小分品管理情報を受信し、そのディスプレイ(不図示)に小分品管理情報を表示させる。この小分品管理情報は、小分単位の医療品Wを管理するための情報であって、医療品Wが保管エリアから小分エリアに搬送される時点においてメインサーバ100によって生成されて、管理テーブルに追加される。当該小分品管理情報には、図3に示すように、小分単位に発行される管理番号、小分けすべき医療品Wの商品コード、ロット番号、小分数量、及び小分けの元となる梱包状態の医療品W(荷受時の医療品W)の管理番号(以下、「親管理番号」という。)が含まれる。当該小分品管理情報に基づいて医療品Wが小分けされると、小分袋BにRFタグが貼付される。当該RFタグは、小分エリアに設けられたRFタグ発行装置23により生成される。当該RFタグ発行装置23は、小分コンピュータ22に接続されており、小分コンピュータ22から取得した管理番号をRFタグに記録する。以下、RFタグが貼付された小分袋Bに小分けされた医療品Wを「小分品S」という。
【0020】
上記の小分品Sは収容ボックス30に収容される。収容ボックス30は、図1および図4に示すように、上向きに開口したプラスチック製の収容体であり、一または複数の小分品Sが収容される。当該収容ボックス30は、その側面の下部にRFタグ32が貼付されている。当該RFタグ32には当該収容ボックス30を他の収容ボックス30と識別するための識別情報(以下、「ボックスID」という。)が記憶されている。小分エリアには、図2に示すように、当該RFタグ32からボックスIDを読み取るリーダ21(以下、「小分リーダ21」という。)が備えられており、当該小分リーダ21は読み取ったボックスIDを小分コンピュータ22に入力する。小分コンピュータ22は、小分リーダ21から取得したボックスIDをメインサーバ100へと送信する。メインサーバ100は、小分コンピュータ22からボックスIDを受信すると、受信したボックスIDを小分品管理情報(図3)に含めて管理テーブルに追加する。これにより、メインサーバ100は、収容ボックス30と小分品Sを対応付けて管理することが可能となる。
【0021】
[ピッキングエリア]
小分品Sを収容した収容ボックス30は、搬送装置によってピッキングエリアへと搬送され、保管される。ピッキングエリアは、病院からの発注に基づいて、保管されている医療品Wをピッキングするエリアである。ここで、本実施形態では、病院からの発注は小分単位で行われるものであり、メインサーバ100が発注を取得した場合に、当該小分品Sの出荷頻度に応じたピッキングが開始される。具体的には、本実施形態のピッキングエリアは、小分品Sの出荷頻度に応じて、高頻度品ピッキングエリア、中頻度品ピッキングエリア、及び低頻度品ピッキングエリアの3つのピッキングエリアに分けられている。高頻度品ピッキングエリアは、出荷頻度の高い小分品S(以下、「高頻度品」という。)の保管およびピッキングが実施されるピッキングエリアである。中頻度品ピッキングエリアは、出荷頻度が中程度の小分品S(以下、「中頻度品」という。)が保管およびピッキングされるエリアである。低頻度品ピッキングエリアは、出荷頻度が低い小分品S(以下、「低頻度品」という。)が保管およびピッキングされるエリアである。
【0022】
高頻度品ピッキングエリアには、図5に示すように、高頻度品を収容する収容ボックス30が陳列された複数の小棚と、当該複数の小棚を保管し、メインサーバ100からの指令に基づいて収容ボックス30を搬入および搬出する自動倉庫40と、メインサーバ100からの指令に基づいて自動倉庫40から搬出された小棚をピッキングスタッフの位置まで搬送する複数の無人搬送ロボット41(AGV41)と、ピッキングスタッフによって小棚からピッキングされた高頻度品の小分袋BのRFタグから管理番号を読み取るRFID読取装置42と、RFID読取装置42から入力された管理番号とメインサーバ100から指定された管理番号とを比較するコンピュータ43と、が設けられている。
【0023】
中頻度品ピッキングエリアには、収容ボックス30が陳列された複数の陳列棚と、陳列棚からピックアップされた収容ボックス30および当該収容ボックス30から取り出された中頻度品が適切であるかを確認するチェックカウンターが設けられている。チェックカウンターには、収容ボックス30のRFタグ32および収容ボックス30から取り出された中頻度品の小分袋BのRFタグからボックスIDおよび管理番号を読み取るRFID読取装置44と、RFID読取装置44からボックスIDと管理番号を取得するコンピュータ45と、を備えている。コンピュータ45は、RFID読取装置44から取得したボックスIDと管理番号をメインサーバ100へと送信し、メインサーバ100は受信したボックスIDと管理番号が適切であるか否かを確認する。ここで、中頻度品ピッキングエリアには、陳列棚に陳列されている収容ボックス30の電子棚札33に、中頻度品に関する情報を表示させる表示システム46が設けられており、当該表示システム46は病院からの発注に基づいて、ピックアップすべき収容ボックス30の電子棚札33にピックアップすべき旨を表示させるよう構成されている。ピッキングスタッフは電子棚札33の表示を確認しながら、陳列棚を巡回し、ピックアップすべき旨が表示されている電子棚札33(図4(c))の収容ボックス30をピックアップする。
【0024】
低頻度品ピッキングエリアには、低頻度品を収容する収容ボックス30が陳列された複数の棚と、メインサーバ100と通信可能であり、ピッキングスタッフが使用する表示端末47と、が設けられている。メインサーバ100は病院からの発注に基づいて、表示端末47に対してピックアップすべき低頻度品の保管位置を示す位置情報を送信し、表示端末47は位置情報を表示する。ピッキングスタッフは、表示端末47に表示された位置を確認しながら低頻度品をピックアップする。
【0025】
上記各ピッキングエリアにおいてピックアップされた小分品Sは、各ピッキングエリアに配置された病院別ボックスに入れられる。当該病院別ボックスは、病院毎に割り当てられたボックスであり、小分品Sが入れられた後に搬送装置によって仕分出荷エリアへと搬送される。
【0026】
[仕分出荷エリア]
仕分出荷エリアは、病院別ボックスに入れられた小分品Sを部署(診療科)別に仕分けする仕分エリアと、仕分けられた医療品Wを出荷する出荷エリアと、を含む。仕分エリアには、作業台が設けられている。図6に示すように、作業台には、RFID読取装置51、SPDタグ発行装置52、及びコンピュータ53(以下、「仕分コンピュータ53」という。)が配置されている。RFID読取装置51は、病院別ボックスから取り出されて作業台の天板上に置かれた小分品SのRFタグ(以下、「小分管理タグ」という。)から管理番号を読み取る装置であり、読み取った管理番号を仕分コンピュータ53に入力する。仕分コンピュータ53は、ネットワークNを介して、入力された管理番号をメインサーバ100へと送信する。メインサーバ100は、仕分コンピュータ53から管理番号を受信すると、受信した管理番号を含むレコードを管理テーブルから抽出し、抽出したレコードに基づいてSPD情報を生成し、生成したSPD情報を仕分コンピュータ53へ送信する。仕分コンピュータ53は、メインサーバ100からSPD情報を受信し、受信したSPD情報をSPDタグ発行装置52に入力する。SPDタグ発行装置52は、入力されたSPD情報を記録したRFタグ(以下、SPDタグという。)を発行する。SPDタグ発行装置52によって発行されたSPDタグは小分品Sの小分袋Bに貼付される。これにより、小分品Sには小分管理タグとSPDタグが貼付されることとなる。ここで、上記RFID読取装置51は、再度、小分品Sに貼付されている小分管理タグから管理番号を読み取るとともに、SPDタグからSPD情報を読み取る。そして、RFID読取装置51は、読み取った管理番号およびSPD情報を仕分コンピュータ53に入力する。仕分コンピュータ53は、入力された管理番号およびSPD情報をメインサーバ100に送信する。メインサーバ100は、仕分コンピュータ53から管理番号とSPD情報を受信すると、管理テーブルにおいて当該管理番号を含むレコードを抽出し、SPD情報と抽出したレコードを照合する。照合した結果、SPD情報と抽出したレコードの内容が正しい場合には、SPDタグが適切な小分品Sに貼付されたものと判定される。一方、照合した結果、SPD情報と抽出したレコードの内容が相違する場合には、SPDタグが誤って他の小分品Sに貼付されたものと判定し、エラー情報を仕分コンピュータ53に送信する。仕分コンピュータ53は受信したエラー情報をディスプレイに表示させ、SPDタグの貼り間違えを作業者に報知する。
【0027】
SPDタグが貼付された小分品Sは部署別ボックスへと仕分けされる。部署別ボックスは棚に配置されている。当該棚にはモニター装置54が併設されており、仕分け作業を行う作業者は、ハンディ型の読取装置55を用いてSPD情報を読み取り、読み取ったSPD情報をメインサーバ100へと送信する。メインサーバ100は、当該読取装置からSPD情報を受信すると、当該小分品Sを入れるべき部署別ボックスを指定するボックス指定情報をモニター装置54へと送信する。モニター装置54は、メインサーバ100からボックス指定情報を受信すると、受信したボックス指定情報をモニター装置54に表示させる。作業者は当該モニター装置54の表示に従って部署別ボックスを特定し、当該部署別ボックスに小分品Sを入れる。
【0028】
発注された全ての医療品Wが部署別ボックスに入れられると、作業者は当該部署別ボックスを棚から取り出して台車に載せて出荷エリアへと搬送する。ここで、仕分エリアから出荷エリアの間にはゲート装置56が設けられている。ゲート装置56は、部署別ボックスを搬送するコンベア57と、コンベア57の搬送経路上に設けられたゲート本体と、ゲート本体に設けられたRFID読取装置58と、当該コンベア57およびRFID読取装置58を制御するコントロールパネル59と、を備えている。作業者は、部署別ボックスをコンベア57に載せたあとに、コントロールパネル59を操作して当該部署別ボックスの出荷先である病院と部署を入力する(部署別ボックス内のSPDタグからSPD情報を読み取って病院と部署を取得しても構わない)。コントロールパネル59は入力された病院と部署をメインサーバ100に送信する。メインサーバ100は、コントロールパネル59から病院と部署を受信すると、当該部署からの発注情報を検品情報としてゲート装置56へと送信する。ゲート装置56のコントロールパネル59は、検品情報をメインサーバ100から受信すると、コンベア57を駆動して部署別ボックスをゲート本体内へと搬送する。コントロールパネル59は、部署別ボックスがゲート本体内まで搬送されると、コンベア57を一旦停止させて、RFID読取装置58を用いて部署別ボックス内の小分品Sに貼付されたSPDタグからSPD情報を読み取る。コントロールパネル59はRFID読取装置58から取得したSPD情報とメインサーバ100から受信した検品情報を照合して、出荷物の過不足や、期限切迫品の有無、部署・病院の混在を確認する。過不足なく出荷物が取り揃えられている場合には、出荷工程へと部署別ボックスが搬送される。
【0029】
出荷工程では、搬送されてきた部署別ボックスを、病院ごとに纏めて、病院単位で出荷する。
【0030】
次に、上記小分エリアに設けられている小分システムについて説明する。小分システムは、医療品Wを機械的に小分するシステムであり、上記の小分コンピュータ22、RFタグ発行装置23、及び小分リーダ21に加えて、図7および図8に示すように、当該小分コンピュータ22と通信可能に電気的に接続された重量検査装置60、サイズ検査装置70、搬送装置80、及び自動袋詰装置90を備えている。
【0031】
小分コンピュータ22は、上述したように、メインサーバ100から小分管理情報を受信する。ここで、小分管理情報には、管理番号、商品コード、ロット番号、小分数量、及び親管理番号に加えて、単品重量および小分数量、並びに基準サイズが含まれている。このようにメインサーバ100は、単品重量および小分数量(最少納品数量)、並びに基準サイズを記憶する記憶部として機能している。小分コンピュータ22は、受信した小分管理情報をディスプレイ61に表示させるとともに、単品重量および小分数量を重量検査装置60へ、基準サイズをサイズ検査装置70へ、管理番号をRFタグ発行装置23へ入力する。
【0032】
重量検査装置60は、小分袋Bに入れられる前の小分品Sの重量を検査する装置であり、保管エリアから小分エリアにかけて設けられた搬送装置の側方に設けられている。重量検査装置60は、図8および図9に示すように、検査に関する情報を表示する表示部として機能するディスプレイ61と、小分品Sの重量を測定する重量測定部として機能する重量測定装置62と、ディスプレイ61と重量測定装置62を制御する制御部として機能するコンピュータ63(以下、「重量検査コンピュータ63」という。)と、を備えている。
【0033】
重量検査コンピュータ63は、小分コンピュータ22から入力された単品重量および小分数量、並びに、基準重量および実測重量をディスプレイ61に表示させる。基準重量は、小分品Sの重量の基準となる値であり、単品重量に小分数量を乗じて算出される。実測重量は、重量測定装置62によって測定された小分品Sの重量である。当該小分品Sの重量は、小分作業を行う作業者(以下、「小分スタッフ」という。)が、ディスプレイ61に表示されている小分数量と同量の医療品Wを一まとまりに纏め、これを重量測定装置62に載置することで測定される。
【0034】
重量測定装置62は、小分品S(一まとまりの医療品W)が載置されるベルトコンベア64と、小分品Sの荷重を電気信号に変換する荷重変換器65と、荷重変換器65から出力された電気信号に基づいて小分品Sの重量(実測重量)を求めるマイコン67と、を備えている。荷重変換器65はベルトコンベア64と土台の間に介在している。すなわち、ベルトコンベア64は荷重変換器65によって支持された状態となっており、ベルトコンベア64に載せられた小分品Sの荷重が荷重変換器65にかかるように構成されている。荷重変換器65の出力は、増幅器およびアナログデジタル変換器66を経てマイコン67へと入力される。マイコン67は、アナログデジタル変換器66からの信号に基づいて、ベルトコンベア64上に載置された小分品Sの実測重量を求め、当該実測重量を重量検査コンピュータ63へと入力する。
【0035】
重量検査コンピュータ63は、重量測定装置62から入力された実測重量が小分品Sの重量として適正であるか否かを判定する。具体的には、実測重量から基準値を減じた値の絶対値を所定値と比較し、当該絶対値が所定値よりも小さい場合には、実測重量が適正であると判定する。このように重量検査コンピュータ63は判定部として機能している。重量検査コンピュータ63は、当該判定結果をディスプレイ61に表示させるとともに、判定結果を小分コンピュータ22へと入力する。ここで、重量検査コンピュータ63は、実測重量が適正である場合には、重量測定装置62のマイコン67に対して、ベルトコンベア64を作動すべき旨の命令を入力する。重量測定装置62のマイコン67は、当該命令が入力された場合にベルトコンベア64を駆動するモータに対して制御信号を入力し、ベルトコンベア64を作動させる。
【0036】
小分コンピュータ22は、重量検査装置60から入力された判定結果が適正である場合には、サイズ検査装置70に対して、小分品Sを検査させる検査命令と、当該小分品Sの基準サイズを入力する。
【0037】
サイズ検査装置70は、小分コンピュータ22からの検査命令に基づいて小分品Sのサイズを検査する装置であり、上記重量測定装置62のベルトコンベア64の下流部に設けられている。サイズ検査装置70は、図8及び図10に示すように、サイズ測定装置71と、コンピュータ72と(以下、「サイズ検査コンピュータ72」という。)、を備えている。
【0038】
サイズ測定装置71は、ベルトコンベア64によって搬送されている小分品Sのサイズを測定する装置であり、センサ74と、マイコン75と、により構成されている。本実施形態のセンサ74は、ベルトコンベア64が通過するように設けられたゲート型の距離計であり、ベルトコンベア64の側方において垂直に配列された複数の距離計74aと、ベルトコンベア64の上方において水平に配列された距離計74bと、を備えている。マイコン75は、各距離計74a,74bから入力された距離情報に基づいて、センサ74を通過する小分品Sの実測サイズ(縦寸法、横寸法、高さ寸法)を算出する。また、マイコン75は、各距離計74a,74bから入力された距離情報に基づいて、ベルトコンベア64上における小分品Sの位置を算出する。当該小分品Sの位置とは、ベルトコンベア64によって形成される搬送面において、搬送面の中心を原点とし、搬送方向をx軸とした場合のy座標値である)。
【0039】
サイズ検査コンピュータ72は、サイズ測定装置71から入力された実測サイズが小分品Sのサイズとして適正であるか否かを判定する。具体的には、実測サイズから基準サイズを減じた値の絶対値を所定値と比較し、当該絶対値が所定値よりも小さい場合には、実測サイズが適正であると判定する。このようにサイズ検査コンピュータ72はサイズ判定部として機能している。サイズ検査コンピュータ72は、小分品Sの判定結果および小分品Sの位置を小分コンピュータ22へと送信する。
【0040】
小分コンピュータ22は、サイズ検査装置70から入力された判定結果が適正であった場合には、搬送装置80に対して、小分品Sを搬送させる搬送命令と、当該小分品Sの位置を入力する。
【0041】
搬送装置80は、小分コンピュータ22からの搬送命令に基づいて小分品Sを搬送する装置であり、図8及び図11に示すように、ベルトコンベア81と、ベルトコンベア81を制御するコンピュータ82(以下、「コンベア制御コンピュータ82」という)と、を備えている。
【0042】
ベルトコンベア81は、上記重量検査装置60のベルトコンベア64(以下、「重量検査用コンベア64」という。)の下流に接続されており、重量検査用コンベア64と同じ方向に小分品Sを搬送する。当該ベルトコンベア81を駆動するモータ83はコントローラ84(以下、「コンベア用コントローラ84」という。)を介してコンベア制御コンピュータ82によって回転が制御される。コンベア制御コンピュータ82は、小分コンピュータ22と接続されており、小分コンピュータ22から入力された搬送命令に従ってベルトコンベア81を作動させる。
【0043】
ここで、本実施形態の搬送装置80は、ベルトコンベア81自体を左右に移動させる(上記した搬送方向に直交する軸方向に移動させる)移動装置85を備えており、自動袋詰装置90に向かって搬送される小分品Sの位置を補正することとしている。当該移動装置85は、ベルトコンベア81を支持する支持体86と、支持体86を搬送方向に直交する方向に移動させる電動アクチュエータ87と、を備えている。支持体86は、ベルトコンベア81の基体に接続され、下方に延在する4つの支持アーム86aと、支持アーム86aの下端に設けられたベース板86bと、を備えている。電動アクチュエータ87は、ベース板86bに取り付けられ、上記搬送方向に直交する方向に直動するスライダと、スライダを直道させる軸本体部と、軸本体部のボールねじを回転させるモータと、モータを制御するコントローラ(以下、「移動用コントローラ」という。)と、を備えている。当該移動用コントローラは、コンベア制御コンピュータ82に接続されている。
【0044】
コンベア制御コンピュータ82は、小分コンピュータ22から入力された小分品Sの位置に応じた制御信号を移動用コントローラに入力し、移動用コントローラは入力された制御命令に基づいてモータを制御する。具体的には、小分品Sの位置を中心に戻す(y座標値を0にする)制御命令を移動用コントローラに入力する。言い換えれば、小分品Sの位置が搬送方向に対して左側に偏っている場合には、ベルトコンベア81を搬送方向に対して右側に移動させる制御命令を移動用コントローラに入力する。逆に、小分品Sの位置が搬送方向に対して右側に偏っている場合には、ベルトコンベア81を搬送方向に対して左側に移動させる制御命令を移動用コントローラに入力する。
【0045】
当該制御命令に基づいて移動用コントローラがモータを制御することで、支持体86ととともにベルトコンベア81が移動し、小分品Sの位置が補正される。
【0046】
自動袋詰装置90は、小分品Sを自動で袋詰する装置であり、上記搬送装置によって搬送されてきた小分品Sを袋詰位置まで搬送するベルトコンベア91を備えている。当該ベルトコンベア91は、上記搬送装置80のベルトコンベア81と連続するように設けられている。袋詰位置まで搬送された小分品Sに対して筒状シートが水平搬送され、筒状シート内に小分品Sが入れられ、筒状シートの一端と他端がシールされることで小分品Sが入れられた小分袋Bが形成される。当該小分袋Bに対して上記RFタグ発行装置23によって発行されたRFタグが貼付される。
【0047】
本実施形態の小分システムによると、重量検査装置60によって、小分品Sの実測重量が測定され、当該実測重量が基準重量と対比されたうえで小分袋Bに袋詰されるので、小分袋Bに入れられた医療品Wの過不足や、種類の異なる医療品Wが混在することを防止することができる。
【0048】
また、サイズ検査装置70によって、一まとまりに纏められた小分品Sの実測サイズが測定され、当該実測サイズが基準サイズと対比されたうえで小分袋Bに袋詰されるので、小分袋Bに入れられた医療品Wの過不足や、種類の異なる医療品Wが混在することを防止することができる。
【0049】
また、上記重量検査装置60から自動袋詰装置90の間に搬送装置80が介在しており、当該搬送装置80が備える移動装置によって小分品Sの位置が補正されるので、自動袋詰装置90に対して小分品Sの供給位置のズレが軽減される。よって、自動袋詰装置90内で待機する小分品Sの位置が安定するので、袋詰のミスを防止することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、当業者の知識に基づいて、上記実施形態や変形例の態様に種々の変更や追加を加えても構わない。
【0051】
[変形例1]
上記実施形態におけるサイズ測定装置71は、ベルトコンベア64とベルトコンベア81の継ぎ目に配置されても構わない。当該態様においてサイズ測定装置は、1対の側方センサ群と、上方センサ群と、下方センサ群と、を備える。側方センサ群は、複数の距離計74aが垂直方向に配列されたものである。当該側方センサ群がベルトコンベア64,81の両側側方に配置されることにより1対の側方センサ群が構成されている。上方センサ群は、上記実施形態と同様に、ベルトコンベア64,81の上方において、複数の距離計74bが水平方向に配列されたものである。また、下方センサ群は、ベルトコンベア64,81の継ぎ目の下方において、複数の距離計が水平方向に配列されたものである。これら1対の側方センサ群、上方センサ群、及び下方センサ群によれば、小分品のサイズをその上下左右に配置されたセンサ群によって特定できるので、サイズの測定精度を向上させることができる。また、小分品の位置をその上下左右に配置されたセンサ群によって特定できるので、位置の測定精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0052】
S 小分品
22 小分コンピュータ
60 重量検査装置
70 サイズ検査装置
80 搬送装置
100 メインサーバ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11