(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165974
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】有孔組織マトリックス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/02 20060101AFI20221025BHJP
【FI】
A61F2/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022113623
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2018512587の分割
【原出願日】2016-09-09
(31)【優先権主張番号】62/217,353
(32)【優先日】2015-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504154148
【氏名又は名称】ライフセル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LifeCell Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】リンゴ,アレクサンダー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、組織マトリックス製品に関する。この製品は、穴または穿孔を特定位置に配置し、強度または他の重要な特性を実質的に喪失することなく、特定のインビボ機能を改善する組織マトリックスを有することができる。
【解決手段】この製品は、組織マトリックスを有する可撓性シートを包含することができ、この可撓性シートは組織マトリックスを貫通する穴のグループを有し、これらの穴は5個の穴の繰返しモチーフからなるパターンに形成される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織マトリックスを有する可撓性シートを備え、前記可撓性シートは前記組織マトリックスを貫通する穴のグループを有し、前記穴は5個の穴の繰返しモチーフからなるパターンに形成されている、組織マトリックス製品。
【請求項2】
前記繰返しモチーフは、矩形形状を有し、前記矩形のそれぞれのコーナ部に穴が位置し、前記矩形の中央に1個の穴が位置する、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記可撓性シートは、矩形形状を有する、請求項1または2に記載の製品。
【請求項4】
前記モチーフは、少なくとも2つの縦列で繰り返す、請求項1から3のいずれか1項に記載の製品。
【請求項5】
前記モチーフは、少なくとも3つの縦列で繰り返す、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
前記モチーフは、少なくとも2つの横列で繰り返す、請求項4及び5のいずれか1項に記載の製品。
【請求項7】
前記モチーフは、少なくとも3つの横列で繰り返す、請求項4及び5のいずれか1項に記載の製品。
【請求項8】
それぞれの縦列間の距離は、それぞれの横列間の距離よりも大きい、請求項6及び7のいずれか1項に記載の製品。
【請求項9】
それぞれの穴は、約1.5mm~2.5mmの間の最大寸法を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の製品。
【請求項10】
それぞれの穴は、丸められた縁を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の製品。
【請求項11】
それぞれの穴は、円形である、請求項1から10のいずれか1項に記載の製品。
【請求項12】
前記組織マトリックスは、無細胞組織マトリックスを有する、請求項1から11のいずれか1項に記載の製品。
【請求項13】
前記組織マトリックスは、皮膚組織マトリックスを有する、請求項1から12のいずれか1項に記載の製品。
【請求項14】
前記組織マトリックスは、ヒト組織マトリックスである、請求項1から13のいずれか1項に記載の製品。
【請求項15】
前記組織マトリックスは、ブタ組織マトリックスである、請求項1から13のいずれか1項に記載の製品。
【請求項16】
前記組織マトリックスから、実質的に全ての天然細胞マトリックスが除去されている、請求項1から15のいずれか1項に記載の製品。
【請求項17】
前記穴のグループを有する前記組織マトリックスの可撓性シートは、前記シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度であって、前記穴のグループのないシートの前記一軸方向引張強度の少なくとも60%である前記一軸方向引張強度を有する、請求項1から16のいずれか1項に記載の製品。
【請求項18】
前記穴のグループを有する前記組織マトリックスの可撓性シートは、前記シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度であって、前記穴のグループのないシートの前記一軸方向引張強度の少なくとも70%である前記一軸方向引張強度を有する、請求項1から16のいずれか1項に記載の製品。
【請求項19】
前記穴のグループを有する前記組織マトリックスの可撓性シートは、前記シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度であって、前記穴のグループのないシートの前記一軸方向引張強度の少なくとも80%である前記一軸方向引張強度を有する、請求項1から16のいずれか1項に記載の製品。
【請求項20】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも80%である、請求項1から19のいずれか1項に記載の製品。
【請求項21】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも90%である、請求項1から19のいずれか1項に記載の製品。
【請求項22】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも95%である、請求項1から19のいずれか1項に記載の製品。
【請求項23】
組織マトリックスを有する可撓性シートを備え、前記可撓性シートは、前記組織マトリックスを貫通する10個~80個の間の穴のグループを包含し、前記可撓性シートは、10cm~30cmの間の幅、及び、10cm~30cmの間の長さを有し、前記穴は、約1.5mm~2.5mmの間の最大寸法を有し、前記穴は、前記シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度が前記穴のグループを有しないシートの前記一軸方向引張強度の少なくとも60%であるようなパターンで配置されている、組織マトリックス製品。
【請求項24】
前記穴のグループを有する前記組織マトリックスの可撓性シートは、前記シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度であって、前記穴のグループのないシートの前記一軸方向引張強度の少なくとも70%である前記一軸方向引張強度を有する、請求項23に記載の製品。
【請求項25】
前記穴のグループを有する前記組織マトリックスの可撓性シートは、前記シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度であって、前記穴のグループのないシートの前記一軸方向引張強度の少なくとも80%である前記一軸方向引張強度を有する、請求項23に記載の製品。
【請求項26】
前記可撓性シートは、14個~64個の間の穴のグループを有する、請求項23から25のいずれか1項に記載の製品。
【請求項27】
前記可撓性シートは、20個~40個の間の穴のグループを有する、請求項23から25のいずれか1項に記載の製品。
【請求項28】
前記可撓性シートは、20個~50個の間の穴のグループを有する、請求項23から25のいずれか1項に記載の製品。
【請求項29】
前記可撓性シートは、10個~30個の間の穴のグループを有する、請求項23から25のいずれか1項に記載の製品。
【請求項30】
前記可撓性シートは、14個~64個の間の穴のグループを有する、請求項23から25のいずれか1項に記載の製品。
【請求項31】
前記可撓性シートは、10cm~25cmの間の幅と、15cm~30cmの間の長さとを有する、請求項23から30のいずれか1項に記載の製品。
【請求項32】
前記可撓性シートは、15cm~25cmの間の幅と、15cm~30cmの間の長さとを有する、請求項23から30のいずれか1項に記載の製品。
【請求項33】
前記可撓性シートは、10cm~20cmの間の幅と、10cm~20cmの間の長さとを有する、請求項23から30のいずれか1項に記載の製品。
【請求項34】
前記可撓性シートは、20cm~25cmの間の幅と、25cm~30cmの間の長さとを有する、請求項23から30のいずれか1項に記載の製品。
【請求項35】
前記穴は、約1.8mm~2.5mmの間の最大寸法を有する、請求項23から34のいずれか1項に記載の製品。
【請求項36】
前記穴は、約1.8mm~2.2mmの間の最大寸法を有する、請求項23から34のいずれか1項に記載の製品。
【請求項37】
それぞれの穴は、丸められた縁を有する、請求項23から36のいずれか1項に記載の製品。
【請求項38】
それぞれの穴は、円形である、請求項23から37のいずれか1項に記載の製品。
【請求項39】
前記組織マトリックスは、無細胞組織マトリックスを有する、請求項23から38のいずれか1項に記載の製品。
【請求項40】
前記組織マトリックスは、皮膚組織マトリックスを有する、請求項23から39のいずれか1項に記載の製品。
【請求項41】
前記組織マトリックスは、ヒト組織マトリックスである、請求項23から40のいずれか1項に記載の製品。
【請求項42】
前記組織マトリックスは、ブタ組織マトリックスである、請求項23から40のいずれか1項に記載の製品。
【請求項43】
前記組織マトリックスから、実質的に全ての天然細胞マトリックスが除去されている、請求項23から42のいずれか1項に記載の製品。
【請求項44】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも80%である、請求項23から43のいずれか1項に記載の製品。
【請求項45】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも90%である、請求項23から43のいずれか1項に記載の製品。
【請求項46】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも95%である、請求項23から43のいずれか1項に記載の製品。
【請求項47】
前記穴は、5個の穴の繰返しモチーフからなるパターンで形成されている、請求項23から46のいずれか1項に記載の製品。
【請求項48】
前記繰返しモチーフは、矩形形状を有し、前記矩形のそれぞれのコーナ部に穴が位置し、前記矩形の中央に1個の穴が位置する、請求項47に記載の製品。
【請求項49】
前記モチーフは、少なくとも2つの縦列で繰り返す、請求項47から48のいずれか1項に記載の製品。
【請求項50】
前記モチーフは、少なくとも3つの縦列で繰り返す、請求項49に記載の製品。
【請求項51】
前記モチーフは、少なくとも2つの横列で繰り返す、請求項49及び50のいずれか1項に記載の製品。
【請求項52】
前記モチーフは、少なくとも3つの横列で繰り返す、請求項49及び50のいずれか1項に記載の製品。
【請求項53】
それぞれの縦列間の距離は、それぞれの横列間の距離よりも大きい、請求項51及び52のいずれか1項に記載の製品。
【請求項54】
組織マトリックスを有する可撓性シートを備え、前記可撓性シートは、前記組織マトリックスを貫通する10個~80個の間の穴のグループを包含し、前記可撓性シートは、10cm~30cmの間の幅、及び、10cm~30cmの間の長さを有し、前記穴は、約1.5mm~2.5mmの間の最大寸法を有し、前記穴は、前記組織マトリックスの頂面または底面を斜めに横断して引いた直線が3個以下の前記穴を通ることができるようなパターンに配置される、組織マトリックス製品。
【請求項55】
前記穴のグループを有する前記組織マトリックスの可撓性シートは、前記シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度であって、前記穴のグループのないシートの前記一軸方向引張強度の少なくとも70%である前記一軸方向引張強度を有する、請求項54に記載の製品。
【請求項56】
前記穴のグループを有する前記組織マトリックスの可撓性シートは、前記シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度であって、前記穴のグループのないシートの前記一軸方向引張強度の少なくとも80%である前記一軸方向引張強度を有する、請求項54に記載の製品。
【請求項57】
前記可撓性シートは、14個~64個の間の穴のグループを有する、請求項54から56のいずれか1項に記載の製品。
【請求項58】
前記可撓性シートは、20個~40個の間の穴のグループを有する、請求項54から56のいずれか1項に記載の製品。
【請求項59】
前記可撓性シートは、20個~50個の間の穴のグループを有する、請求項54から56のいずれか1項に記載の製品。
【請求項60】
前記可撓性シートは、10個~30個の間の穴のグループを有する、請求項54から56のいずれか1項に記載の製品。
【請求項61】
前記可撓性シートは、14個~64個の間の穴のグループを有する、請求項54から56のいずれか1項に記載の製品。
【請求項62】
前記可撓性シートは、10cm~56cmの間の幅と、15cm~56cmの間の長さとを有する、請求項54から61のいずれか1項に記載の製品。
【請求項63】
前記可撓性シートは、15cm~56cmの間の幅と、15cm~56cmの間の長さとを有する、請求項54から61のいずれか1項に記載の製品。
【請求項64】
前記可撓性シートは、10cm~20cmの間の幅と、10cm~20cmの間の長さとを有する、請求項54から61のいずれか1項に記載の製品。
【請求項65】
前記可撓性シートは、20cm~56cmの間の幅と、25cm~30cmの間の長さとを有する、請求項54から61のいずれか1項に記載の製品。
【請求項66】
前記穴は、約1.8mm~2.5mmの間の最大寸法を有する、請求項54から65のいずれか1項に記載の製品。
【請求項67】
前記穴は、約1.8mm~2.2mmの間の最大寸法を有する、請求項54から65のいずれか1項に記載の製品。
【請求項68】
それぞれの穴は、丸められた縁を有する、請求項54から67のいずれか1項に記載の製品。
【請求項69】
それぞれの穴は、円形である、請求項54から68のいずれか1項に記載の製品。
【請求項70】
前記組織マトリックスは、無細胞組織マトリックスを有する、請求項54から69のいずれか1項に記載の製品。
【請求項71】
前記組織マトリックスは、皮膚組織マトリックスを有する、請求項54から70のいずれか1項に記載の製品。
【請求項72】
前記組織マトリックスは、ヒト組織マトリックスである、請求項54から71のいずれか1項に記載の製品。
【請求項73】
前記組織マトリックスは、ブタ組織マトリックスである、請求項54から71のいずれか1項に記載の製品。
【請求項74】
前記組織マトリックスから、実質的に全ての天然細胞マトリックスが除去されている、請求項54から73のいずれか1項に記載の製品。
【請求項75】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも80%である、請求項54から74のいずれか1項に記載の製品。
【請求項76】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも90%である、請求項54から74のいずれか1項に記載の製品。
【請求項77】
前記穴のいずれか1個の前記縫合糸保持強度は、前記穴のない前記組織マトリックスの領域の前記縫合糸保持強度の少なくとも95%である、請求項54から74のいずれか1項に記載の製品。
【請求項78】
前記穴は、5個の穴の繰返しモチーフからなるパターンで形成されている、請求項54から77のいずれか1項に記載の製品。
【請求項79】
前記繰返しモチーフは、矩形形状を有し、前記矩形のそれぞれのコーナ部に穴が位置し、前記矩形の中央に1個の穴が位置する、請求項78に記載の製品。
【請求項80】
前記モチーフは、少なくとも2つの縦列で繰り返す、請求項78ら79のいずれか1項に記載の製品。
【請求項81】
前記モチーフは、少なくとも3つの縦列で繰り返す、請求項80に記載の製品。
【請求項82】
前記モチーフは、少なくとも2つの横列で繰り返す、請求項80及び81のいずれか1項に記載の製品。
【請求項83】
前記モチーフは、少なくとも3つの横列で繰り返す、請求項80及び81のいずれか1項に記載の製品。
【請求項84】
それぞれの縦列間の距離は、それぞれの横列間の距離よりも大きい、請求項82及び83のいずれか1項に記載の製品。
【請求項85】
処置する解剖学的部位を選択し、
前記解剖学的部位内または上に、請求項1から84のいずれか1項に記載の組織製品を移植することを備える、処置方法。
【請求項86】
前記解剖学的部位は、腹壁である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記インプラントは、腹直筋と筋膜との間に位置決めされる、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
前記インプラントは、腹膜腔内に位置決めされる、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記インプラントは、白線に近接して位置決めされる、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
前記解剖学的部位は、胸の内側または近部である、請求項85に記載の方法。
【請求項91】
更に、前記組織製品の近くにドレナージ管を埋め込むことを備える、請求項85から90のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2015年9月11日出願の米国仮特許出願第62/217,353号に対する優先権を主張し、その全体が参照することにより本願明細書に包含される。
【0002】
本開示は、概して無細胞組織マトリックス製品に関し、特定の位置に穿孔または穴を有する組織マトリックス製品を含む。
【背景技術】
【0003】
外科医は現在、種々の異なる構造的欠陥を処置するため、LIFECELL(登録商標)CORPORATION(Branchburg,NJ)によって製造された、双方とも皮膚無細胞マトリックスであるALLODERM(登録商標)及びSTRATTICE(商標)等の無細胞組織マトリックス製品を使用する。例えば、このような製品は、腹壁の修復(例えば、複雑なヘルニアの修復)、乳房再建、整形外科及び脳神経外科への適用に役立たせることができる。
【0004】
このような組織マトリックスは、既存の組織を置換、強化、または、変更することのできる材料の可撓性シートとして提供されることが多い。しかし、いくつかの用途に対しては、例えば、シートを横断するより迅速な流体の流れを可能とし、または、縫合糸、クリップまたはステープル等の外科用固定具を固定する場所を提供するためにシートに穴または開口を有することが望ましいことがある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本願は、予め形成された穴または穿孔を有する組織マトリックスを提供する。穴または穿孔は、強度および縫合保持等の他の特性を犠牲にすることなく、所要の機能を提供する構成で提供される。
【0006】
特定の実施形態により、組織マトリックス製品が提供される。製品は、組織マトリックスを有する可撓性シートを包含することができ、この可撓性シートは組織マトリックスを貫通する穴のグループを有し、これらの穴は5個の穴の繰返しモチーフからなるパターンに形成される。
【0007】
他の実施形態では、組織マトリックスを有する可撓性シートを備える組織マトリックスが提供される。可撓性シートは、組織マトリックスを貫通する10個~80個の間の穴のグループを包含し、可撓性シートは、10cm~30cmの間の幅、及び、10cm~30cmの間の長さを有し、穴は、約1.5mm~2.5mmの間の最大寸法を有し、これらの穴は、シートに沿う任意の方向で測定した一軸方向引張強度が、穴のグループを有しないシートの一軸方向引張強度の少なくとも60%であるようなパターンで配置される。
【0008】
他の実施形態では、組織マトリックスを有する可撓性シートを包含する組織マトリックスが提供される。可撓性シートは、組織マトリックスを貫通する10個~80個の間の穴のグループを包含し、可撓性シートは、10cm~30cmの間の幅、及び、10cm~30cmの間の長さを有し、穴は、約1.5mm~2.5mmの間の最大寸法を有し、これ等の穴は、組織マトリックスの頂面または底面を斜めに横断して引いた直線が3個以下の穴を通ることができるようなパターンに配置される。
【0009】
更に、開示された製品を包含する処置方法が提供される。
【0010】
次に、例示的な実施形態を参照し、その実施例は添付図面に示してある。可能な限り、同じ参照番号は図面を通じて同じまたは同様な部分を指すために使用する。図面は必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の組織マトリックス製品を使用する腹壁の処置方法を示す。
【
図2A】特定の実施形態による、穴または穿孔を有する組織マトリックス製品を示す。
【
図2B】特定の実施形態による、種々の特徴を強調した
図2Aの組織マトリックス製品を示す。
【
図2C】特定の実施形態による、種々の特徴を強調した
図2Aの組織マトリックス製品を示す。
【
図3】特定の実施形態による、穴または穿孔を有する組織マトリックス製品を示す。
【
図4】特定の実施形態による、穴または穿孔を有する組織マトリックス製品を示す。
【
図5】特定の実施形態による、穴または穿孔パターンの生成に使用するモチーフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、開示した装置及び方法の種々の実施形態を詳細に参照し、その実施例が添付図面に示してある。可能な限り、同じ参照番号は図面を通じて同じまたは同様な部分を指すために使用する。
【0013】
本願では、特に断らない限り、単数は複数を含んで使用する。本願では、「または」は、断らない限り「及び/または」の意味で使用する。更に、用語「including」は、「includes」及び「included」等の他の形態と同様に、限定的に使用するのではない。本明細書に記載のいずれの範囲も、端点及び端点間の全ての値を包含することが理解される。
【0014】
本明細書に使用するセクションの表題は、編成目的のみであり、記載の主題事項を限定するものと解釈すべきではない。限定するものではないが特許、特許出願、論文、書籍及び文書を含む本願で引用する全ての書類または書類の一部は、参照することにより、あらゆる目的のためにその全体が明示的に、本明細書に包含される。
【0015】
本開示は、概して外科的処置用装置並びにそのような装置に関するシステム及び方法に関する。装置は、組織強化、損傷した組織の修復または再生、及び/または、組織欠陥の矯正に使用することができる。このように、本明細書で検討する装置及び方法は、例えば、(例えば、ヘルニア、裂開または他の術後腹部合併症を予防する)腹壁の修復、術後合併症の予防的治療、ヘルニア治療(例えば、裂孔ヘルニア、鼠径ヘルニア、胸部ヘルニア、または正中線腹部ヘルニア等の任意の腹部または内臓ヘルニア)等の広範囲の外科的応用に適切なものとすることができる。本明細書に開示した装置は、例えば、乳房、結合組織(腱、靭帯または筋膜)を含む他の組織部位を処置するため、及び、任意の構造的欠陥の矯正または予防を支援するために使用することもできる。
【0016】
本明細書に検討する装置及び関連する方法は、無細胞組織マトリックス等の生物学的材料の可撓性シートを包含することができる。このような組織マトリックス材料は、種々の外科的用途に使用され、加齢、疾病、先天的若しくは後天的欠陥、または、医原性問題による外傷、術後合併症及び/または構造的欠陥に関連する多くの問題を処置または予防するための重要なツールとなってきた。
【0017】
いくつかの外科的処置について、組織マトリックスに穴または開口が設けられることが望ましいことがある。例えば、いくつかのケースでは、漿液腫または他の体液蓄積の形成を防止するために、流体の排出を可能とする排液チューブを手術部位の近くに配置することが望ましい。しかし、移植可能な組織マトリックスの対向側からの流体の排出は、一方側に配置される排液装置が装置の両側から流体を収集するように、マトリックスを介する穴または流体通路を設けることにより改善することができる。
【0018】
更に、適正にデザインされた穴または開口は、組織マトリックスを固定するために有益とすることができる。例えば、いくつかの組織マトリックスは、強くかつ潜在的に比較的厚くデザインされる。したがって、このような装置を、縫合糸、ステープルまたはクリップ等の通常の手段を使用して周囲の組織にこのような装置を固定することは、困難であり、及び/または、時間がかかることがある。したがって、縫合糸または他の手段を使用して固定するために使用することができる予め形成された穴を有する組織マトリックスが望ましい。
【0019】
他方では、組織マトリックス内の穴または開口は、他の材料特性の受入れ難い変化を防止するように構成すべきである。例えば、組織マトリックスの可撓性シートの穴のグループは、組織マトリックスが引張強度、弾性、破裂強度及び/または縫合保持強度等の重要な機械的特性を受入れ難いほど劣化させないような、サイズ、形状及び位置としなければならない。したがって、本願は、他の材料特性に受入れ難い変化を生じさせることなく、上述の利点を提供するように特別に構成される穴または穿孔のグループを有する改善された組織マトリックス製品を提供する。本明細書で使用される「穴」及び「穿孔」は、置き換え可能に使用され、一般的に、可撓性シートまたは材料を一方側から他方側に貫通する任意の開口を指す。
【0020】
特定の実施形態によると、本願は、外科的処置に使用する組織製品を提供する。組織製品は、組織マトリックスを有する可撓性シート10(
図2A~2C)を包含することができ、この可撓性シートは組織マトリックス10を貫通する穴20のグループを有する。穴20は、特別にデザインされたパターンでシートに配置することができる。一実施形態では、穴は、繰返しモチーフ30(
図2B)を使用して配置される。
【0021】
本明細書で使用する「モチーフ」は、任意の穴の繰返し可能なパターンを指すことが理解される。更に、モチーフは正確に繰り返す必要はなく、本明細書に検討する目標の1つまたは全てに合致する限り、変化してもよい(例えば、穴の寸法または穴の間隔を変更することにより)。
【0022】
他の実施形態によると、本願は、組織マトリックス及び穴20のグループを有する可撓性シート10を備える組織製品を提供する。穴20は、組織マトリックス10の可撓性シート上に、穴20のグループを有しないシートと比較して、シートの所要の引張強度を維持するサイズに形成され、配置される。
【0023】
他の実施形態によると、本願は、組織マトリックス及び穴20のグループを有する可撓性シート10を備える組織製品を提供する。穴のグループは、シートの傾斜軸に沿って整列する穴の数が最少化され、または特定レベルより下となるように配置される。例えば、一実施形態では、穴20は、組織マトリックスの頂面または底面を斜めに横断して引いた直線80,81(
図2C)が3個以下の穴20を通ることができるようなパターンで配置される。
【0024】
本明細書に開示した装置は、種々の異なる解剖学的部位を処置するために使用することができる。例えば、
図1は、本願の組織マトリックス製品10を使用する腹壁の処置方法を示す。処置方法を以下により詳細に説明するが、一般に、装置10は、穴20のグループを使用して、装置を介して流体が流れるのを可能とし、縫合糸または他の固定手段を使用する固定するための場所を提供しつつ、腹壁150の部位を処置するために使用することができる。更に、後述するように、装置10は、種々の異なる位置に移植し、種々の解剖学的構造を支持し、及び/または、種々の異なる状態を処置することができる。
【0025】
図2A~2Cは、特定の実施形態による、穴または穿孔を有する例示的な組織マトリックス製品10を示す。
図2A~2Cのそれぞれに示す製品10は、同じであるが、製品10の種々の特徴の検討を容易とするために異なる参照番号及びマークを有する。
【0026】
組織マトリックス製品10は、材料の可撓性シートの二次元の図として示してある。したがって、可撓性シートは、長さ40と幅50と厚さ(図示しない)とを有することを理解すべきである。長さ40、幅50及び厚さは、例えば、十分な表面領域(長さ40及び幅50について測定)と構造的安定性(例えば、強度、引張特性、縫合保持、破裂強度等に基づく)を提供するために、所要の外科的指示に基づいて選択することができる。皮膚組織マトリックス材料について、厚さは変えることができ、例えば0.75mmから4mm、0.75mmから1.25mmまたは1.05mmから1.55mmの間としてもよい。
【0027】
本明細書に記載の製品10を製造するために使用する組織マトリックスは種々の異なる材料を包含することができる。例えば、無細胞組織マトリックスまたは他の組織製品は、マトリックスが移植される部位で通常見られる組織の再生を支援するために、組織の内方成長及びリモデリングを可能とするように選択することができる。例えば、無細胞組織マトリックスは、皮下組織、筋膜、乳房組織または他の組織上にまたはその中に移植したときに、過度の繊維症または瘢痕を形成することなく、組織の再生を可能とするように選択することができる。特定の実施形態では、装置は、それぞれヒト及びブタの無細胞皮膚マトリックスであるALLODERM(登録商標)またはSTRATTICE(登録商標)(LIFECELL CORPORATION、BRANCHBURG、NJ)から形成することができる。または、他の適切な無細胞組織マトリックスを使用することができる。例えば、Badylakらによって記載されるように多数の生物学的骨格材料、または、任意の他の同様な材料を使用することができる。Badylakら「Extracellular Matrix as a Biological Scaffold Material:Structure and Function,」Acta Biomaterialia(2008)、doi:10.1016/j.actbio.2008.09.013。本明細書に記載の装置は、ヒト、ブタ、ヒツジ、ウシ、または他の動物の組織を含む種々の異なるヒトまたは動物組織から製造することができる。
【0028】
上述のように、製品10は、多くの所要の特性を提供するようなサイズ及び配置とすることができる穴20のグループを有することができる。
図2Aに示すように、製品10は合計30個の穴を有するが、後述するように、ある範囲の穴の数を使用することができる。更に、
図2Aに示すように、周囲領域60に穴20が存在しないように、これ等の穴20を配置することができる。周囲領域60は、縫合糸または他の接続装置の通路領域を可能とし、及び/または、筋膜等の組織に固定するための非穿孔部を提供するサイズに形成することができる。適切なサイズは、1.5~3cm、2~2.5cm、約2cm、1.5~2.5cmまたはその間の値を含んでもよい。より大きなまたはより小さな周囲領域60を用いることができる。
【0029】
所要の機能特性を設けるために、穴20のグループは特別なパターンで配置することができる。例えば、一実施形態では、穴20のグループは、繰返しモチーフ30を使用して配置される。モチーフ30は、強度または弾性等の特定の材料特性を受入れ難いほど変化させることなく、所要数の穴20を形成できるように選択することができる。
【0030】
適切なモチーフ30が
図2B,3,4及び5に示してある。示すように、モチーフ30は、5個の穴20を有することができる。一実施形態では、モチーフ30は矩形形状を有し、矩形のそれぞれのコーナ部に配置した穴31と、矩形の中央に配置した1個の穴32とを有する。更に、
図5に示すように、矩形形状は、幅35と長さ34(長さは、コーナ部の穴31から中央の穴32までの矩形の縁部に沿って測定した距離33の2倍である)を含む適切な範囲のサイズを有することができる。種々の実施形態では、幅は約2~4cmの間、または、約2.5~3.5cmの間、長さは約3~5cmの間、約3.5~4.5cmの間、及び、距離33は約1.5~2.5cmの間とすることができる。一実施形態では、幅は約3cm、長さ34は約4cmであるが、幅と長さとは変更することができる(例えば、同じ比の尺度とし、または、本明細書に記載の目標にしたがって他の方法で変更される)。
【0031】
モチーフ30は、種々のパターンで組織マトリックス10を横断して分散することができる。例えば、示すように、モチーフ30は、複数の縦列1,2,3及び横列11,12,13に配置してもよい。縦列1,2,3及び横列の数は、製品10のサイズ及び望ましい穴20の特別な数に基づいて変更してもよい。例えば、
図2Bの装置は、3つの縦列を有するが、適切な装置は1列~10列の間の縦列、または、間にある任意の特別の数を有してもよい。更に、それぞれの縦列または横列は、モチーフの5個の穴の全てを有する必要はない。例えば、
図2Bに示すように、いくつかの位置におけるモチーフ、例えば、縦列1、横列11及び13は、モチーフ30の4個の穴を有し、列2の頂部及び底部におけるモチーフは、3個の穴のみを有する(穴23及び22は、モチーフ30の一部ではなく、後述する)。
【0032】
それぞれの縦列1,2,3及び横列11,12,13間の距離は、所要の穴間隔を形成するように選択することができる。例えば、一実施形態では、2つの縦列間の距離及びモチーフ30のサイズは、シートの種々の方向に沿う穴20の直線状の配列を減少する間隔パターンを提供するように選択される。そのようにすることで、製品10の機械的強度が維持される。
【0033】
注目すべきは、
図2Bに示すように、2つの縦列(Lr)の穴間の距離は、モチーフ30の底部コーナにおける穴31間の距離(Lm)と相違する。この距離の変化は、2つの異なる縦列1,2のモチーフ30を整列から外れさせ、したがって、モチーフは、単に繰り返すだけでなく、穴の整列は傾斜軸に沿って減少する(81,83、
図2C)。
【0034】
本明細書に記載の製品10は、種々の形状及びサイズを有することができる。例えば、
図2A~2C,3及び4に示す組織マトリックスの可撓性シートの各々は、矩形であり、これは、腹壁処置に使用するために単純な形状を提供する。更に、矩形形状は、特別な患者の要求または外科医の好みに基づいてトリミングまたは再形成することができる。しかし、円形、楕円形、正方形、三角形、両凸、または、非対称形状を含む他の形状を使用可能なことが理解される。
【0035】
穴20のそれぞれのサイズ及び形状も、変更することができる。しかし、全体的に、穴20は、これ等の穴を介する流体流または縫合糸若しくは他の固定具の通過を可能としつつ、組織マトリックス10のシートの機械的特性を維持するサイズ及び形状とされる。例えば、穴は、最大寸法が約1.5mm~2.5mmの間、約1.6~2.4mmの間、1.7~2.3mmの間、1.8~2.2mmの間、1.9~2.1mmの間、約2mm、または、上述の範囲内の任意の値となるようなサイズとすることができる。
【0036】
更に、穴20は、シートの機械的特性を維持するように成形することができる。例えば、穴20を通過する縫合糸の引張力による過度の力、または、引張からの高応力ポイントを防止するため、それぞれの穴は、丸められた縁(例えば、楕円形、円形、丸められているが非対称)を有することができる。一実施形態では、全ての穴20は、円形で、径が約1.5mm~2.5mmの間、約1.6~2.4mmの間、1.7~2.3mmの間、1.8~2.2mmの間、1.9~2.1mmの間、約2mm、または、上述の範囲内の任意の値とすることができる。
【0037】
いくつかの場合には、穴のサイズ、穴の位置及び組織マトリックス10の他の機械的特質は、組織マトリックス10の一軸方向引張強度を維持するように選択される。例えば、製品は、穴20を有しないシートの一軸方向引張強度に対して、一軸方向引張強度(組織マトリックス10の長さに平行な軸に沿って測定したとき)が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくは少なくとも90%、または、間にある任意の値となるように構成することができる。
【0038】
穴のサイズ及び形状並びに他のシート特性(例えば、厚さ)は、縫合糸または他の固定装置が穴に挿通された場合、縫合糸保持力を維持する穴を提供するように構成することができる。例えば、それぞれの穴20の縫合糸保持力は、穴20のない同じ組織マトリックスの領域の縫合糸保持力の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または、約100%であるように構成することができる。
【0039】
縫合糸の保持力は、簡単な技術を用いて測定することができる。特に、縫合糸または縫合糸類似物(例えば、鋼線)は、組織を挿通してループを形成し、材料が裂けるまで張力を加えることができる。組織を引き裂くために必要とされる力の大きさ(ニュートン)が、縫合糸保持力である。縫合糸保持力は、穴20の1個に縫合糸を通し、穴を使用するときに縫合糸保持力を測定することにより、測定することができる。
【0040】
種々の実施形態では、穴20は、種々の方向に直線状に整列する穴の数を最少とし、またはコントロールするように位置決めされる。例えば、特定の実施形態では、穴20は、可撓性シート10の傾斜軸81,83に沿って直線状に整列する穴の数が特定の値よりも下に維持されるように位置決めされる。
【0041】
本明細書で使用される「傾斜軸」は、(可撓性シートが平坦面上に載置されたとき)シートの平坦な頂面または底面に平行である可撓性シートに沿うが、可撓性シート10の長さ40に沿って向けられる軸90、または幅50に沿って向けられる軸91に対して平行ではない方向を参照することが理解される。
【0042】
いくつかの実施形態では、傾斜軸に沿って直線状に整列することのできる穴の数は2以下、3以下、4以下または5以下である。
【0043】
特別のパターンで設けられる穴20に加え、1つまたは複数の追加の穴22,23を包含することができる。例えば、
図2Bに示すように、1個の穴22はシートの底部25に配置され、他の穴23はシートの頂部24に配置される。穴22,23は、シートの頂部24及び底部25がどこに配置されているか外科医が識別(すなわち、外科医が腹壁に移植するときにシートをどのように整合させるべきか認識するように、シートの配向を識別)するために設けられる。特に、
図2A~2Cに示すパターンを使用すると、シート10は、穴22,23が全体的に、上下(吻側-尾側)方向の解剖学的軸に整列するように、移植すべきである。しかし、穴は、異なる手術適応に対して異なる解剖学的方向を識別するために移動することができることが理解される。
【0044】
図2A~2Bは、穴20を有する組織マトリックス10の可撓性シートの一実施形態を示す。しかし、ここに示すシート10は、他の方法で変更してもよい。例えば、
図3及び4は、穴または穿孔を有するが、異なるサイズ及び異なる穴数を有する組織マトリックス10’,10”を示す。製品のサイズ及び穴の数は、患者のサイズ、処置すべき状態、または、外科医が判断する他のファクタに基づいて調節してもよいことを理解すべきである。
【0045】
図示の装置10,10’,10”の特別な穴20の数は、変更することができる。例えば、シートは、組織マトリックスを貫通する10個~80個の間の穴、20個~40個の間の穴、20個~50個の間の穴、10個~30個の間の穴、14個~64個の間の穴、または、他の範囲の値を有することができる。更に、シートは、10cm~30cmの間、10cm~25cmの間、20cm~25cmの間、または、任意の範囲の幅を有する矩形とすることができる。更に、装置10,10’,10”は、10cm~30cmの間、15cm~30cmの間または20cm~25cmの間の長さを有することができる。
【0046】
本明細書に記載の製品は、全体的に無細胞組織マトリックスを参照して説明しているが、組織マトリックスは、移植前または後に外因性細胞または他の治療要素で予め処置することができることが認められる。したがって、装置は、実質的に全ての天然細胞材料を除去した組織マトリックス製品を有することができるが、しかし、幹細胞、線維芽細胞、血小板、血液細胞または他の細胞源等の外因性細胞源を包含する。
【0047】
本明細書に記載の装置は、腹壁の問題を処置するための手術を含む、種々の異なる外科手術に使用することができる。例えば、
図1は、腹壁の種々の異なる位置における装置10の移植を示す。当業者であれば、特定の処理が
図1の装置10の1つのみを必要とし、図示の移植位置のそれぞれは、(他のものと同様に)実行される特別な処置にしたがった、望ましいものであり得ることが理解される。図示の埋め込み位置は、外科医が認めることであり、オンレー170、インレー171、筋肉後方172、腹膜前173、または、腹腔内174を包含することができるが、追加の部位を使用することもできる。
【0048】
いくつかの実施形態では、装置10は、移植した装置の近部の手術部位220に通るチューブを有してもよいドレナージバルブ等のドレナージドレナージ装置200に隣接して埋め込んでもよい。
【0049】
更に、装置10は、開放中、腹腔鏡的または任意の適切な外科的アプローチで移植してもよい。穴20は縫合糸、クリップ、ステープル、または、装置及び/または周囲の組織を所定位置に位置決め及び固定することを容易とする他の固定装置を受け入れるために使用することができる。
【0050】
穴20は、種々の方法で形成することができる。例えば、一実施形態では、穴は、細長い鋭利な延長部を有するように選択されたカッティングダイを設けた機械プレスを使用して生産される。鋭利な延長部は、穴20を切断または穿刺するために所要のパターンに配置することができ、更に、ナイフまたはカッティングダイを有し、装置10の周囲をカットすることができる。または、穴は、手作業または適切な切削工具を使用して個々にカットすることができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織マトリックスを有する可撓性シートを備え、前記可撓性シートは前記組織マトリックスを貫通する穴のグループを有し、前記穴は5個の穴の繰返しモチーフからなるパターンに形成されている、組織マトリックス製品。
【外国語明細書】