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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165979
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】ポリプロピレン系樹脂多層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20221025BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20221025BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
C08L23/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114713
(22)【出願日】2022-07-19
(62)【分割の表示】P 2020569516の分割
【原出願日】2020-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019013341
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019199028
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉井 智哉
(72)【発明者】
【氏名】今井 徹
(72)【発明者】
【氏名】桐山 和也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低温シール性と高いヒートシール強度を有し、自動包装適性、ガゼット包装適性を有するポリプロピレン系樹脂多層フィルムを提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂組成物からなる基層(A)、その片面にポリプロピレン系樹脂脂組成物からなる表面層(B)、反対面にポリプロピレン系樹脂組成物からなるシール層(C)を有する、厚み10~100μmの多層フィルムであり、下記a)~f)を満たすガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
a)120℃の長手方向の熱収縮率が3.0%以下
b)前記(C)のヒートシール強度立ち上がり温度が100℃以上115℃以下
c)前記(B)のヒートシール強度立ち上がり温度が125℃以上140℃以下
d)前記(C)の厚みがフィルム全層に対し5%以上15%以下
e)前記(C)のヒートシール到達強度が3.0N/15mm以上
f)前記(B)のヒートシール到達強度が3.0N/15mm以上
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂組成物からなる基層(A)と、基層(A)の片面にポリプロピレン系樹脂脂組成物からなる表面層(B)を有し、また基層(A)の表面層(B)の反対面にポリプロピレン系樹脂組成物からなるシール層(C)を有し、フィルム厚みが10~100μmであるポリプロピレン系樹脂多層フィルムであって、下記a)~f)を満たすガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
a)120℃での長手方向の熱収縮率が3.0%以下である。
b)シール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度が100℃以上115℃以下である。
c)表面層(B)のヒートシール強度立ち上がり温度が125℃以上140℃以下である。
d)シール層(C)の厚みがフィルム全層に対し5%以上15%以下の範囲を有する。
e)シール層(C)のヒートシール到達強度が3.0N/15mm以上である。
f)表面層(B)のヒートシール到達強度が3.0N/15mm以上である。
【請求項2】
前記基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物のメソペンダット分率が97.5%以上99.0%以下である請求項1に記載のガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
【請求項3】
前記基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物のプロピレンモノマー由来成分及びαオレフィンモノマー由来成分の合計に対するαオレフィンモノマー由来成分の割合が0.25モル%以上0.6モル%以下である請求項1又は2に記載のガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
【請求項4】
前記シール層(C)が複数のポリプロピレン系樹脂を含有し、複数のポリプロピレン系樹脂の中で最も低い融点を有するポリプロピレン系樹脂の融点の温度が、70~100℃の範囲であり、その含有量がシール層(C)全体に対して1重量%以上50重量%以下の範囲である請求項1~3のいずれかに記載のガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
【請求項5】
前記シール層(C)が複数のポリプロピレン系樹脂を含有し、複数のポリプロピレン系樹脂の中で最も高い融点を有するポリプロピレン系樹脂の融点が100℃以上140℃以下であり、その含有量が50~99重量%の範囲である請求項1~4のいずれかに記載のガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
【請求項6】
前記シール層(C)が複数のポリプロピレン系樹脂を含有し、複数のポリプロピレン系樹脂の融点の温度が、70~140℃の範囲であり、融点が70~100℃のポリプロピレン系樹脂の含有量が1重量%以上50重量%以下であり、100~140℃のポリプロピレン系樹脂の含有量が50重量%以上99重量%以下である請求項1~5のいずれかに記載のガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
【請求項7】
表面層(B)が含有するポリプロピレン系樹脂の融点の温度が、120~140℃の範囲である請求項1~6のいずれかに記載のガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルムを用いた包装体。
【請求項9】
請求項1または2に記載のガゼット包装用ポリプロピレン系樹脂多層フィルムを用いた青果物包装用包装体。
【請求項10】
防曇剤をフィルム中に全層換算で0.1~10重量%含有する請求項9に記載の青果物包装用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂多層フィルム及びそれを用いた包装体に関し、特に、ヒートシール性及び防曇効果を有することで、野菜、果実、草花など高い鮮度が要求される植物類からなる生鮮品(以下、本明細書ではこれらを青果物と称する)を包装するのに適したポリプロピレン系樹脂多層フィルム及びそれを用いた包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリプロピレン系樹脂多層フィルムは光学的性質、機械的性質、包装適性などに優れていることから食品包装及び繊維包装などの包装分野に広く使用されている。特に、防曇フィルムは野菜などの青果物包装に広く使用されている。
【0003】
青果物包装においては、昨今の農業人口の低下から農作業の省力化が求められており、自動包装装置の普及が広がっている。青果物の自動包装装置としてはいわゆるピロー包装方式、ガゼット包装方式が採用されており、ヒートシールによる製袋工程と、内容物の充填工程を同時に行う事が出来る。
【0004】
ピロー包装などの自動包装に使用できるものとして、結晶性ポリプロピレンを主成分とする2軸延伸フィルム状物からなる外層と、外層の持つ融点よりも10~90℃低い融点を持つオレフィン系ポリマーよりなるフィルム状物からなる生野菜包装用積層フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1で開示されたフィルムは、ヒートシール層にプロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体を使用しているので低温シール性とシール強度の両立の点で問題がある。
また、ポリプロピレン系樹脂を主体とした基層と、プロピレン・ブテン-1共重合体及びプロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体を用いたポリオ1レフィン系樹脂を主体とするヒートシール層とを有する2層以上の積層体からなる包装用フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献2で開示されたフィルムは、ヒートシール強度が十分でないという問題がある。
【0005】
しかも近年は箱型のものやかさの大きいものを包装する場合、袋にマチを付けたガゼット袋がよく用いられる。ガゼット包装はヒートシールにより背張り部が形成された後、側面に折込み部を設けることにより容量を大きくする。一般的な袋では、中のものがつぶれやすかったり、袋そのものに入れにくく、さらに袋を閉じにくかったりするが、ガゼット袋だと余分な隙間もできず内容物をすっきりと入れることができる。
また、製袋中に背貼り部の表面層と外装面とをヒートシールして平面とすることで、ガゼット袋を陳列する時の見栄えが良くなる。
しかし、ガゼット包装では、内容物を入れた後に開口部をヒートシールする際に、シール層の低温シール性が不十分でヒートシール温度が高すぎると、ヒートシール直後において製品同士を重ねた際に外装面同士またはヒートシール部の外装面とその付近の外装面との貼り付きが生じ、その貼り付いた箇所を剥がすときに製品に破れ、穴あきが発生したり、鮮度保持機能が低下しやすいという問題がある。このような問題は横ピロー包装機などによる高速包装において顕著に生じる。
【0006】
これまで、ポリプロピレン系樹脂を主体とした基層と基層の片面に、プロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・エチレン共重合体からなる群から選らばれた少なくとも1種の共重合からなるポリプロピレン系樹脂組成物を主体とする表面層を有し、また表面層の反対面には、プロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体及びプロピレン・エチレン共重合体からなる群から選らばれた少なくとも1種の重合体からなるポリプロピレン系樹脂組成物を主体とするシール層を有するポリプロピレン系樹脂多層フィルムが開示されている。(例えば特許文献3参照)
しかし、特許文献3で開示されたフィルムは、低温シール性が不十分であり、しかも外装同士の貼り付き抑制を可能にするものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3104166号公報
【特許文献2】特許第4385443号公報
【特許文献3】WO2017/170330
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来よりも安価に、低温シール性と高いヒートシール強度を有することによる良好な自動包装適性を有し、さらにガゼット包装適性を有することで幅広い用途に使用可能なポリプロピレン系樹脂多層フィルムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は以下の構成によりなる。
ポリプロピレン系樹脂組成物からなる基層(A)と、基層(A)の片面にポリプロピレン系樹脂脂組成物からなる表面層(B)を有し、
また基層(A)の表面層(B)の反対面にポリプロピレン系樹脂組成物からなるシール層(C)を有するポリプロピレン系樹脂多層フィルムであって、下記a)~d)を満たすポリプロピレン系樹脂多層フィルム。
a)120℃での長手方向の熱収縮率が3.0%以下である。
b)シール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度が100℃以上115℃以下である。
c)表面層(B)のヒートシール強度立ち上がり温度が125℃以上140℃以下である。
d)シール層(C)の厚みがフィルム全層に対し5%以上15%以下の範囲を有する。
【0010】
この場合において、前記基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物のメソペンダット分率が97.5%以上99.0%以下であることが好適である。
【0011】
また、この場合において、前記基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物のプロピレンモノマー由来成分及びαオレフィンモノマー由来成分の合計に対するαオレフィンモノマー由来成分の割合が0.25モル%以上0.6モル%以下であることが好適である。
【0012】
また、この場合において、前記ポリプロピレン系樹脂多層フィルムの前記シール層(C)のヒートシール到達強度が3.0N/15mm以上であり、前記表面層(B)のヒートシール到達強度が3.0N/15mm以上であることが好適である。
【0013】
また、この場合において、前記シール層(C)が複数のポリプロピレン系樹脂を含有し、複数のポリプロピレン系樹脂の中で最も低い融点を有するポリプロピレン系樹脂の融点の温度が、70~100℃の範囲であり、その含有量がシール層(C)全体に対して1重量%以上50重量%以下の範囲であることが好適である。
【0014】
さらにまた、この場合において、前記シール層(C)が複数のポリプロピレン系樹脂を含有し、複数のポリプロピレン系樹脂の中で最も高い融点を有
するポリプロピレン系樹脂の融点が100℃以上140℃以下であり、その含有量が50~99重量%の範囲であることが好適である。
【0015】
さらにまた、この場合において、前記シール層(C)が複数のポリプロピレン系樹脂を含有し、複数のポリプロピレン系樹脂の融点の温度が、70~140℃の範囲であり、融点が70~100℃のポリプロピレン系樹脂の含有量が1重量%以上50重量%以下であり、100~140℃のポリプロピレン系樹脂の含有量が50重量%以上99重量%以下であることが好適である。
【0016】
さらにまた、この場合において、表面層(B)が含有するポリプロピレン系樹脂の融点の温度が、120~140℃の範囲であることが好適である。
【0017】
さらにまた、この場合において、前記ポリプロピレン系樹脂多層フィルムを用い、包装体とすることが好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のポリプロピレン系樹脂多層フィルムは、各層の組成と層厚みを最適化することで、従来よりも良好なガゼット包装適性を付与することが出来た。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(基層(A))
本発明における基層(A)はポリプロピレン系樹脂組成物からなり、プロピレンを90モル%以上含有するプロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のプロピレン・α-オレフィン共重合体、及びプロピレン単独重合体を主に用いることが好ましく、基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中に95重量%以上含有することが好ましく、97重量%以上含有することがより好ましく、99重量%以上含有することがさらに好ましい。
【0020】
(プロピレン・α-オレフィン共重合体)
プロピレン・α-オレフィン共重合体を構成する他のα-オレフィンとしては、炭素数が2~8のα-オレフィン、例えば、エチレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチル-1-ペンテンなどが好ましい。プロピレン・α-オレフィン共重合体の中でも、プロピレンに上記に例示されるα-オレフィンを1種又は2種以上重合して得られたランダム又はブロック共重合体であることが好ましく、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体、またはプロピレン・ペンテン-1共重合体であることが好ましい。
プロピレン・α-オレフィン共重合体の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限は2.0g/10minであることが好ましく、より好ましくは2.2g/10minであり、さらに好ましくは2.5g/10minであり、特に好ましくは2.8g/10minであり、最も好ましくは3.0g/10minである。2.0g/10min以上であると機械的負荷が小さく延伸が容易となる。
一方、プロピレン・α-オレフィン共重合体のMFRの上限は好ましくは5g/10minであり、より好ましくは4.7g/10minであり、さらに好ましくは4.5g/10minであり、特に好ましくは4g/10minであり、最も好ましくは3.5g/10minである。5g/10min以下であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率がより低くなる
【0021】
プロピレン・α-オレフィン共重合体のα-オレフィンモノマー由来成分の下限は好ましくは0.1モル%以上であり、より好ましくは0.2モル%以上であり、さらに好ましくは0.25モル%以上である。0.1モル%以上であるとヒートシール到達強度を高めやすく、0.2モル%以上であると防曇性をより高めやすい。一方、プロピレン・α-オレフィン共重合体のα-オレフィンモノマー由来成分の上限は好ましくは0.6モル%以下であり、より好ましくは0.5モル%以下であり、さらに好ましくは0.4モル%以下である。0.6モル%以下であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率が小さくなる。
【0022】
プロピレン・α-オレフィン共重合体のメソペンタッド分率の下限は好ましくは90%であることが好ましく、より好ましくは95%であり、さらに好ましくは97%である。90%以上であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率を低く抑えることができる。メソペンタッド分率の上限は好ましくは99.5%であり、より好ましくは99%であり、さらに好ましくは98%である。99.5%以下であると現実的な製造が容易となり、防曇性が良好となる。
【0023】
(プロピレン単独重合体)
プロピレン単独重合体はn-へプタン不溶性のアイソタクチックのプロピレン単独重合体であることが好ましい。
n-ヘプタン不溶性とは、ポリプロピレンの結晶性を指標すると同時に食品包装用として使用する際の安全性を示すものであり、本発明では、昭和57年2月厚生省告示第20号によるn-ヘプタン不溶性(25℃、60分抽出した際の溶出分が150ppm以下〔使用温度が100℃を超えるものは30ppm以下〕)に適合するものを使用することが好ましい態様である。
【0024】
アイソタクチックのプロピレン単独重合体の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限は5g/10minであることが好ましい。MFRの下限は、好ましくは6g/10minであり、より好ましくは6.5g/10minであり、さらに好ましくは7g/10minであり、特に好ましくは7.3g/10minである。5g/10min以上であると機械的負荷が小さく延伸が容易となる。
【0025】
一方、アイソタクチックのプロピレン単独重合体のMFRの上限は好ましくは10g/10minであり、より好ましくは9.5g/10minであり、さらに好ましくは9g/10minであり、特に好ましくは8.5g/10minであり、最も好ましくは8g/10minである。10g/10min以下であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率がより低くなりやすい。
【0026】
アイソタクチックのプロピレン単独重合体のメソペンタッド分率の下限は好ましくは97%である。より好ましくは98%である。上記範囲であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率を低く抑えることができる。メソペンタッド分率の上限は好ましくは99.5%であり、より好ましくは99%である。上記範囲であると現実的な製造が容易となり、防曇性が良好となりやすい。
【0027】
(基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物全体のメソペンタッド分率の下限は97.5%以上であることが好ましい。メソペンタッド分率の下限は、より好ましくは97.8%である。97.5%以上であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率を低く抑えることができる。メソペンタッド分率の上限は好ましくは99.0%であり、より好ましくは98.8%であり、さらに好ましくは99.5%である。99.0%以下であると現実的な製造が容易となる。
【0028】
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物全体のプロピレンモノマー由来成分及びαオレフィンモノマー由来成分の合計に対するαオレフィンモノマー由来成分の割合は好ましくは0.1モル%以上であり、好ましくは0.2モル%以上であり、さらに好ましくは0.25モル%以上であり、特に好ましくは0.28モル%以上である。0.1モル%以上であると防曇性が良好である。一方、プロピレンモノマー由来成分及びαオレフィンモノマー由来成分の合計に対するαオレフィンモノマー由来成分の割合は好ましくは0.6モル%以下であり、より好ましくは0.5モル%以下であり、さらに好ましくは0.4モル%以下である。0.6モル%以下であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率が小さくなる。
【0029】
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物全体の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限は、3.0g/10minであることが好ましい。全体のMFRの下限は、より好ましくは4.0g/10minであり、さらに好ましくは4.5g/10minである。上記範囲であると機械的負荷が小さく延伸が容易となる。一方、全体のMFRの上限は好ましくは6.0g/10minであり、より好ましくは5.5g/10minであり、さらに好ましくは5.0g/10minであり、特に好ましくは4.0g/10minである。上記範囲であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率がより低くなる。
【0030】
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物全体の融点の下限は好ましくは158℃以上であり、より好ましくは159℃以上である。158℃以上であると高温での低い熱収縮率などの本願の効果が得られやすい。
【0031】
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中に防曇剤を含むのが好ましいが、防曇剤としては例えば、多価アルコ-ルの脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミン類、高級脂肪酸のアマイド類、高級脂肪酸のアミンやアマイドのエチレンオキサイド付加物などを典型的なものとして挙げることができる。かかる防曇剤の多層フィルム中での存在量は全層換算で0.1~10重量%、特に0.2~5重量%となるようにするのが好ましい。
【0032】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物滑り性や帯電防止性などの品質向上のための各種添加剤、例えば、生産性の向上のためにワックス、金属石鹸などの潤滑剤、可塑剤、加工助剤や公知の熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤を基層(A)中に含むことも可能である。
【0033】
(シール層(C))
本発明におけるシール層(C)はポリプロピレン系樹脂組成物からなり、プロピレン・α-オレフィン共重合体を主に用いることが好ましく、シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中に95重量%以上含有することが好ましく、97重量%以上含有することがより好ましく、99重量%以上含有することがさらに好ましい。
【0034】
プロピレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、炭素数が2~8のα-オレフィン、例えば、エチレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチル-1-ペンテンなどが好ましい。プロピレン・α-オレフィン共重合体はプロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体及びプロピレン・エチレン共重合体からなる群から選らばれた少なくとも1種の共重合体を主に用いることがより好ましい。
【0035】
また、シール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度が100℃以上115℃以下であるのが好ましく、より好ましくは105℃以上113℃以下である。シール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度とは、本発明のフィルムの表面層(B)の面同士を向かい合わせ、ヒートシール圧力1kg/cm、時間は1秒でヒートシールしたときの、ヒートシール強度が1N/15mmとなる温度である。
【0036】
シール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度が115℃以下であると、ヒートシール温度が低くても十分な強度を保持してヒートシールすることができるため自動包装する際に高速で運転することができ、また、シール部の密封性に優れ、このため防曇性を有することと相まって生鮮品の鮮度が保持され、内容物の見栄えもよく、包装体の取扱い性が優れている。また、基層(A)のポリプロピレン系樹脂の融点との差が適度に大きくなり、自動包装の運転速度を十分上げやすく、また、設定温度が低くても十分なヒートシール強度を得やすいため、ヒートシール時に多層フィルム全体が収縮しにくく、ヒートシール部にしわが生にくいため、ヒートシール部の密封不良が起こりくい。
さらに、表面層(B)のポリプロピレン系樹脂の融点との差も適度に大きくなり、ヒートシール直後に製品を重ねた際の外装面同士の貼り付きも起こりにくくなる。
【0037】
シール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度が105℃以上の場合、基層(A)との融点差が大きくなり過ぎず、基層(A)とシール層(C)との間で剥離が発生しにくく、自動包装に十分なシール強度を確保しやすい。
ヒートシール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度を105~115℃にするためには、プロピレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・エチレン共重合体の組み合わせが好ましい。
【0038】
シール層(C)のヒートシール到達強度は3.0N/15mm以上が好ましく、より好ましくは4.0N/15mm以上であり、さらに好ましくは5.0N/15mm以上である。3.0N/15mm未満では自動包装体として、内容物の脱落を防止するためには不十分である。ヒートシール到達強度とは、本発明のフィルムのシール層(C)の面同士を向かい合わせ、熱傾斜試験機(東洋精機社製)を用いて、シール温度を100~150℃、ヒートシール圧力1kg/cm、時間は1秒でヒートシールしたときの、最大となったヒートシール強度の数値を表す。
【0039】
従来技術では、低温シール強度を発現するために、シール層樹脂に融点の低いプロピレン-ブテンコポリマーを添加することも行われているが、プロピレン-ブテンコポリマーはブテン成分、エチレン成分が多く含まれるため、コア層のホモポリプロピレン樹脂との相溶性が悪く、界面剥離が発生しやすい。また、シール層の厚みを厚くしているため、界面剥離がより発生しやすく、十分なシール強度が発現できなかった。そこで、本発明においては、シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物は複数のポリプロピレン系樹脂を含むのが好ましい。
【0040】
シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中の複数のポリプロピレン系樹脂の中で最も低い融点を有するポリプロピレン系樹脂の融点の温度が、70℃以上、100℃以下であるのが好ましい。
最も低い融点を有するポリプロピレン系樹脂が1重量%以上、50重量%以下の範囲で添加されているのが好ましい。より好ましくは1重量%以上、25重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以上、20重量%以下である。50重量%以下であると、基層(A)との層間強度が得られやすく、シール強度が十分となりやすい。1重量%以上では低温でのシール強度が十分となりやすい。
【0041】
シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中の複数のポリプロピレン系樹脂の中で最も高い融点を有する樹脂の融点は好ましくは100℃以上、140℃以下であり、その含有量は50重量%以上、99重量%以下であるのが好ましい。より好ましくは120℃以上、135℃以下である。140℃以下では、低温でのヒートシール強度が十分となりやすく、包装体としての信頼性が増す。100℃以上では基層(A)との層間強度が増加しシール強度が十分に得られやすい。
【0042】
シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中の複数のポリプロピレン系樹脂の融点の温度が、70~140℃の範囲であり、融点が70~100℃のポリプロピレン系樹脂の含有量が1重量%以上50重量%以下であり、融点が100~140℃のポリプロピレン系樹脂の含有量が50重量%以上99重量%以下であることが特に好ましく、融点が70~100℃のポリプロピレン系樹脂の含有量が1重量%以上20重量%以下であり、100~140℃の共重合体の含有量が80%以上99重量%以下であることが特に好ましい。
【0043】
シール層(C)の厚みはフィルム全層に対し5~15%の範囲となるのが好ましく、より好ましくは5%~12%であり、さらに好ましくは5%~10%である。5%未満ではヒートシール強度が不十分となり、15%よりも厚いと層間強度が不十分となる。
【0044】
シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物に防曇剤が含まれることが好ましい。これは前述のとおり、青果物を包装し、スーパーなどで陳列、または流通する際に、内容物の生理作用により内部が曇る事を防止するためである。使用する防曇剤としては、例えば、多価アルコ-ルの脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミン類、高級脂肪酸のアマイド類、高級脂肪酸のアミンやアマイドのエチレンオキサイド付加物などを典型的なものとして挙げることができる。かかる防曇剤のフィルム中での存在量は全層換算で0.1~10重量%、特に0.2~5重量%が好ましい。
【0045】
シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物に防曇剤を含ませるためには、多層フィルムの製造時に、本発明の包装用フィルムを構成する全層を形成する樹脂に防曇剤を配合してもよく、基層(A)とシール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂に防曇剤を配合してもよく、基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂のみに防曇剤を配合してもよく、シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂のみに防曇剤を配合してもよい。
シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物に防曇剤が含まれない場合、多層フィルムで青果物を包装した際に内部が曇り、また腐敗が進みやすくなるため、商品価値が低下してしまう。
【0046】
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物のみに防曇剤を配合した場合、フィルム製造時及びフィルム形成後の保管時に、基層(A)中の防曇剤がシール層(C)へ順次移行し、さらにシール層(C)の表面にブリードアウトすることで防曇性を有する状態になる。特に、収穫後も生理作用を持続することが特徴である青果物を包装対象としたときに、その効果を発揮することができる。
流通過程で長期的に優れた防曇性を持続させるためには、包装体は冷凍保存よりもむしろ室温雰囲気での保存が望まれるところから、保存、流通時の気温変化を考慮して、5~30℃の間で温度変化を繰り返す経過中継続して防曇性を示すような防曇剤を選定することが好ましい。
【0047】
(表面層(B))
本発明における表面層(B)はポリプロピレン系樹脂組成物からなり、プロピレン・α-オレフィン共重合体を主に用いることが好ましく、シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中に95重量%以上含有することが好ましく、97重量%以上含有することがより好ましく、99重量%以上含有することがさらに好ましい。
プロピレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、炭素数が2~8のα-オレフィン、例えば、エチレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチル-1-ペンテンなどが好ましい。プロピレン・α-オレフィン共重合体はプロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体及びプロピレン・エチレン共重合体からなる群から選らばれた少なくとも1種の共重合体を主に用いることがより好ましい。
【0048】
また、表面層(B)同士を重ね合わせてヒートシールしたときのヒートシール強度立ち上がり温度が125℃以上140℃以下であるのが好ましい。さらに好ましくは125℃以上135℃以下である。表面層(B)のヒートシール強度立ち上がり温度を125~140℃にするためには、プロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体を含むように共重合体を選択するのが好ましい。
【0049】
表面層(B)のヒートシール強度立ち上がり温度とは、フィルムの表面層(B)の面同士を向かい合わせ、ヒートシール圧力1kg/cm、時間は1秒でヒートシールしたときの、ヒートシール強度が1N/15mmとなる温度である。表面層(B)のヒートシール強度立ち上がり温度が125℃以上の場合、ピロー包装のヒートシール時に表面層(B)がシールバーに融着しにくく、製袋しやすい。また140℃以下の場合、ガゼット包装時に背貼り部分、折込み部分が包装後の外装面同士が融着しにくく見栄えが良い、また包装体を重ねた際に背貼り部分が引っかからず、シールが剥がれる不具合が発生しにくい。
【0050】
表面層(B)の厚みはフィルム全層に対し1~10%の範囲となるのが好ましく、より好ましくは1~7%であり、さらに好ましくは1~5%である。1%未満の場合、背貼り部分、折込み部分のヒートシール強度が不十分であり、10%よりも厚い場合ヒートシール直後に製品同士を重ねた際に外装同士の張り付き等の問題が生じる。
【0051】
表面層(B)のヒートシール到達強度は3.0N/15mm以上が好ましく、より好ましくは3.5N/15mm以上である。3.0N/15mm未満ではガゼット包装体の折り込み部のシール強度として不十分である。ヒートシール到達強度とは、本発明のフィルムの表面層(B)の面同士を向かい合わせ、熱傾斜試験機(東洋精機社製)を用いて、シール温度を100~150℃、ヒートシール圧力1kg/cm、時間は1秒でヒートシールしたときの、最大となったヒートシール強度の数値を表す。
【0052】
表面層(B)の表面には防曇性を有するのが好ましい。これは青果物を包装し、スーパーなどで陳列する際に、結露などにより表面が曇ると見栄えが悪くなるためである。そのため、表面層(B)を形成する樹脂には防曇剤を添加するのが好ましい。
表面層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物中に添加する防曇剤としては、例えば、多価アルコ-ルの脂肪酸エステル類、高級脂肪酸のアミン類、高級脂肪酸のアマイド類、高級脂肪酸のアミンやアマイドのエチレンオキサイド付加物などを典型的なものとして挙げることができる。かかる防曇剤のフィルム中での存在量は全層換算で0.1~10重量%、特に0.2~5重量%が好ましい。
【0053】
表面層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物に防曇剤を含ませるためには、多層フィルムの製造時に、本発明の包装用フィルムを構成する全層を形成する樹脂に防曇剤を配合してもよく、基層(A)と表面層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂に防曇剤を配合してもよく、基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂のみに防曇剤を配合してもよく、表面層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂のみに防曇剤を配合してもよい。表面層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物に防曇剤が含まれない場合、多層フィルムで青果物を包装した際に外部が曇るため、商品価値が低下してしまう。
【0054】
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物のみに防曇剤を配合した場合、フィルム製造時及びフィルム形成後の保管時に、基層(A)中の防曇剤が表面層(B)へ順次移行し、さらに表面層(B)の表面にブリードアウトすることで防曇性を有する状態になる。特に、収穫後も生理作用を持続することが特徴である青果物を包装対象としたときに、その効果を発揮することができる。
流通過程で長期的に優れた防曇性を持続させるためには、包装体は冷凍保存よりもむしろ室温雰囲気での保存が望まれるところから、保存、流通時の気温変化を考慮して、5~30℃の間で温度変化を繰り返す経過中継続して防曇性を示すような防曇剤を選定することが好ましい。
【0055】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂組成物及び滑り性や帯電防止性などの品質向上のための各種添加剤、例えば、生産性の向上のためにワックス、金属石鹸などの潤滑剤、可塑剤、加工助剤やポリプロピレン系フィルムに通常添加される公知の熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などを配合することも可能である。またフィルムの耐ブロッキング性や滑り性を確保するための、無機質あるいは有機質の微細粒子を配合することも可能である。
【0056】
無機質微細粒子としては、二酸化珪素、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、カオリン、雲母、ゼオライトなどが挙げられ、これらの形状は、球状、楕円状、円錐状、不定形と種類を問うものではなく、その粒子径もフィルムの用途、使用法により所望のものを使用配合することができる。また、有機質の微細粒子としては、アクリル、アクリル酸メチル、スチレン-ブタジエンなどの架橋体粒子を使用することができ、形状、大きさに関しては無機質微細粒子と同様にさまざまなものを使用することが可能である。また、これら無機質あるいは有機質の微細粒子表面に各種の表面処理を施すことも可能であり、また、これらは単独で使用し得るほか、2種以上を併用することも可能である。
【0057】
(フィルム厚み)
本発明のポリプロピレン系樹脂多層フィルムのフィルム厚みは、その用途や使用方法によって異なるが、包装フィルムとしてのポリプロピレン系フィルムは一般的に10~100μm程度であり、機械的強度や透明性の点において、より好ましくは、15~50μm程度である。
【0058】
(熱収縮率)
本発明のポリプロピレン系樹脂多層フィルムの長手方向の120℃での熱収縮率は、3%以下であることが重要であり、好ましくは2.5%以下であり、より好ましくは2.0%以下である。3%以下とすることで、印刷加工時または製袋におけるヒートシール時の熱負けシワを低減することができるとともに、ヒートシール時のヒートシール部の変形を低減することができ、包装後の外装面とヒートシール部の表面層(B)の表面との貼り付きを抑制することができる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂多層フィルムの幅方向の120℃での熱収縮率は、3%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。3%以下とすることで、印刷加工時または製袋におけるヒートシール時の熱負けシワを低減することができるとともに、ヒートシール時のヒートシール部の変形を低減することができ、包装後の外装面とヒートシール部の表面層(B)の表面との貼り付きを抑制することができる。
ここで本発明のポリプロピレン系樹脂多層フィルムにおける「長手方向」とは、フィルム製造工程における流れ方向に対応する方向であり、「幅方向」とは、前記のフィルム製造工程における流れ方向と直交する方向である。
【0059】
(製膜方法)
本発明のポリプロピレン系樹脂多層フィルムは以下に示す方法で製造することができるが、これらに制限するものではない。
例えば、積層数に見合う押出し機を用いてTダイ法又はインフレーション法等で溶融積層した後、冷却ロール法、水冷法又は空冷法で冷却して積層フィルムとし、逐次2軸延伸法、同時2軸延伸法、チューブ延伸法等で延伸する方法を例示することができる。ここで、逐次2軸延伸法にて製造する際の条件を例示すると、T型のダイスより溶融押出しした樹脂をキャスティング機にて冷却固化させて、原反シートを作成する。
溶融積層する際の温度は、240℃から300℃の範囲で、各層に使用される原料樹脂の融点を目安にして設定することが好ましい。また、キャスティングするロール温度は、樹脂の結晶化を抑え、透明性を向上させる目的で15℃から40℃の間に設定する事が好ましい。
【0060】
次に、延伸に適した温度まで原反シートを加熱後、延伸ロール間の速度差を利用してシートの流れ方向に延伸する、この際の延伸倍率は、延伸のムラがなく安定して製造する事を考えると3倍から6倍の間に設定することが好ましい。延伸温度も、延伸のムラがなく安定して製造する事を考えると100℃から150℃の間に設定することが好ましい。
次に、縦延伸したシートの両耳部をテンタークリップで把持し、熱風で延伸に適した温度まで加熱しながらシートの流れと直角方向に、順次拡げながら延伸する。この際の横延伸倍率は、厚み変動と生産性を考慮して7倍から10倍の間に設定することが好ましい。延伸温度も、延伸のムラがなく安定して製造する事を考えると130℃から180℃の間に設定することが好ましい。
最後に、熱固定処理を150℃から200℃の範囲で行うことが好ましい。
【0061】
本発明のポリプロピレン系樹脂多層フィルムは、印刷性、他部材とのラミネート性等を向上させるために表面処理を行うことができる。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理等が例示でき、特に制限はない。連続処理が可能であり、このフィルムの製造過程の巻き取り工程前に容易に実施できるコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理を行うのが好ましい。
【実施例0062】
以下、本発明の具体例を実施例によってさらに説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中における特性は下記の方法により評価をおこなった。
【0063】
(1)DSC融点
(株)島津製作所製、島津示差走査熱量計DSC-60を用いて得られた、ポリオレフィン系樹脂フィルムのDSC曲線の最大融解ピークの温度を融点とした。開始温度30℃、昇温速度5℃/min、終了温度180℃とした。サンプル5ヶを測定し、平均値を算出した。
【0064】
(2)メソペンタッド分率
ポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率([mmmm]%)の測定は、13C-NMRを用いて行った。メソペンタッド分率は、Zambelliら、Macromolecules,第6巻,925頁(1973)に記載の方法に従って算出した。13C-NMR測定は、BRUKER社製AVANCE500を用い、試料200mgをo-ジクロロベンゼン-d4とベンゼン-d6の8:2の混合液に135℃で溶解し、110℃で行った。サンプル5ケを測定し、平均値を算出した。
複数のポリプロピレン樹脂の混合物からなるポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率は混合物を上記方法で測定した値を用いる。
【0065】
(3)メルトフローレート(MFR)
メルトフローレート(MFR)は、JISK7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。
複数のポリプロピレン樹脂の混合物からなるポリプロピレン系樹脂のアイソタクチックメソペンタッド分率は混合物を上記方法で測定した値を用いる。
【0066】
(4)α-オレフィンモノマー由来成分の割合(モル%)
プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体中のプロピレン、ブテン-1、エチレンの含有量は、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第615~617頁に記載された方法により、13C-NMRスペクトル法によって決定する。なお、同書の256頁「(i)ランダム共重合体」の項記載の方法によってIRスペクトル法で決定することも可能である。
複数のポリプロピレン樹脂の混合物からなるポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率は混合物を上記方法で測定した値を用いる。
【0067】
(5)フィルム全層厚み
ポリプロピレン系樹脂多層フィルムを1cm×1cmのサイズに切り出し、ミクロトームにて断面試料を作製し、微分干渉顕微鏡にて観察し、基層(A)、表面層(B)、フィルム全層の厚みを測定した。サンプルのうち5ヶ所を測定し、平均値を算出した。
【0068】
(6)α-オレフィンモノマー由来成分の割合(モル%)
プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン-1共重合体中のプロピレン、ブテン-1、エチレンの含有量は、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第615~617頁に記載された方法により、13C-NMRスペクトル法によって決定する。なお、同書の256頁「(i)ランダム共重合体」の項記載の方法によってIRスペクトル法で決定することも可能である。
複数のポリプロピレン樹脂の混合物からなるポリプロピレン系樹脂のメソペンタッド分率は混合物を上記方法で測定した値を用いる。
【0069】
(7)層厚み
ポリプロピレン系樹脂多層フィルムを1cm×1cmのサイズに切り出し、UV硬化性樹脂に包埋し、UVを5分間照射し固化させた。その後、ミクロトームにて断面試料を作製し、微分干渉顕微鏡にて観察し、表面層(B)、シール層(C)の厚みを測定した。サンプルは5点測定し、平均値を算出した。
【0070】
8)シール層(C)及び表面層(B)のヒートシール強度立ち上がり温度
ポリプロピレン系樹脂多層フィルムのシール層(C)同士を向かい合わせて重ね、熱傾斜試験機(東洋精機社製)を用いて、ヒートシール圧力1kg/cm、時間は1秒でヒートシールしたときの、ヒートシール強度が1N/15mmとなる温度を云い、5cm×20cmのフィルムのヒートシール層面同士を向かい合わせ、5℃ピッチで温度設定したヒートシールバー(シール面1cm×3cm)5個で同時にヒートシールして、その中央部を15mmの幅にカットし、引張試験機の上下チャックに取付け、引張速度200mm/minで引っ張った際のそれぞれの強度を測定し、ヒートシール強度を算出した(単位はN/15mm)。横軸に温度、縦軸にヒートシール強度をとった線形グラフを描き、ヒートシール強度が1N/15mmを超える温度をシール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度とした。
ポリプロピレン系樹脂多層フィルムの表面層(B)同士を向かい合わせて重ね、シール層(C)のヒートシール強度立ち上がり温度の測定と同様にして、表面層(B)のヒートシール強度立ち上がり温度を測定した。
【0071】
(9)シール層(C)及び表面層(B)のヒートシール到達強度
ポリプロピレン系樹脂多層フィルムのシール層(C)同士を向かい合わせて重ね、熱傾斜試験機(東洋精機社製)を用いて、ヒートシール圧力1kg/cm、時間は1秒でヒートシールし、その中央部を15mmの幅にカットし、引張試験機の上下チャックに取付け、引張速度200mm/minで引っ張った際のヒートシール強度から算出した(単位はN/15mm)。ヒートシール温度の上限を150℃とし、最大強度となった数値をシール層(C)のヒートシール到達強度とした。
ポリプロピレン系樹脂多層フィルムの表面層(B)同士を向かい合わせて重ね、シール層(C)のヒートシール到達強度の測定と同様にして、表面層(B)のヒートシール到達強度を測定した。
【0072】
(10)自動包装適性
ポリプロピレン系樹脂多層フィルムのヒートシール層同士を向かい合わせて重ね、熱傾斜試験機(東洋精機社製)を用いて、ヒートシール圧力1kg/cm、時間は1秒でヒートシールした。
その際のシールバーへの表面層(B)の融着有無と、ヒートシール立ち上がり温度から以下の基準で評価した。
○:シールバーへの融着なし・立ち上がり温度115℃以上125℃以下
△:シールバーへの融着なし・立ち上がり温度115℃未満または125℃より高い
×:シールバーへの融着あり
【0073】
(11)ガゼット包装適性
ポリプロピレン系樹脂多層フィルムのヒートシール層同士を向かい合わせて重ね、熱傾斜試験機(東洋精機社製)を用いて、ヒートシール圧力1kg/cm、時間は1秒でヒートシールした。
その際のシール層(C)と表面層(B)のヒートシール立ち上がり温度から以下の基準で評価した。
○:シール層のヒートシール立ち上がり温度が100℃以上115℃以下かつ、表面層のヒートシール立ち上がり温度が125℃以上140℃以下
△:シール層のヒートシール立ち上がり温度が100℃未満または115℃より高く、かつ表面層のヒートシール立ち上がり温度が125℃以上140℃以下。もしくは、シール層のヒートシール立ち上がり温度が100℃以上115℃以下かつ、表面層のヒートシール立ち上がり温度が125℃未満または140℃より高い。
×:シール層のヒートシール立ち上がり温度が100℃未満または115℃より高く、かつ表面層のヒートシール立ち上がり温度が125℃未満または140℃より高い。
【0074】
(12)熱収縮率
熱収縮率は以下の方法で測定した。フィルムを、長手方向と幅方向のそれぞれにおいて、幅20mm、長さ200mmにカットし、120℃の熱風オーブン中に吊して5分間加熱した。加熱後の長さを測定し、元の長さに対する収縮した長さの割合で120℃での熱収縮率を求めた。同様にして、150℃での熱収縮率を求めた。
【0075】
(13)防曇性
1.500ccの上部開口容器に50℃の温水を300cc入れる。
2.フィルムの防曇性測定面を内側にしてフィルムで容器開口部を密閉する。
3.5℃の冷室中に放置する。
4.容器内温水が完全に雰囲気温度まで冷却された状態で、フィルム面の露付着状況を5段階で評価した。
評価1級:全面露なし(付着面積0)
評価2級:多少の露付着(付着面積1/4まで)
評価3級:約1/2の露付着(付着面積2/4まで)
評価4級:ほとんど露付着(付着面積3/4まで)
評価5級:全面露付着(付着面積3/4以上)
【0076】
(使用樹脂)
下記製造例で使用した各層を構成する樹脂は次の通りである。
[PP-1]:プロピレン・エチレンランダム共重合体(住友化学(株)製FS2011GDG3、MFR2.5g/10分、融点158℃、メソペンダット分率97.0%、エチレン成分0.6モル%)に防曇剤(松本油脂製薬(株)製TBD-1、ステアリルアミンモノステアレート含有量74重量%、ステアリルアミン含有量12重量%、グリセリンモノステアレート含有量11重量%、グリセリンジステアレート含有量3重量%)を1.14重量
%、帯電防止剤(松本油脂製薬(株)製KYM-4K、ステアリルアミンステアレート含有量100質量%)を0.59重量%となるように樹脂温度240℃で溶融混合したもの。
【0077】
[PP-2]:アイソタクチックプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製FS8052、MFR7.5g/10分、融点162.5℃、メソペンダット分率98.9%、エチレン成分0モル%)に帯電防止剤(松本油脂製薬(株)製KYM-4K、ステアリルアミンステアレート含有量100質量%)を1.68重量%となるように樹脂温度240℃で溶融混合したもの。
【0078】
[PP-3]:プロピレン-ブテン共重合体とプロピレン・エチレン共重合体との混合物(住友化学(株)製SP7834、ブテン含有量12重量%、エチレン含有量2.5重量%、MFR7.0g/10分、融点126℃)にステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン(株)製リケマールS100、)を0.56重量%、非晶質シリカを0.39重量%、エルカ酸アミドを0.17重量%となるように樹脂温度240℃で溶融混合したもの。
【0079】
[PP-4]:プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル(株)製ビスタマックス3980FL、エチレン含有量9重量%、MFR8.3g/10分、融点78℃)
【0080】
[PP-5]:プロピレン・ブテン共重合体(住友化学(株)製SPX78P9、ブテン含有量17重量%、MFR7.0g/10分、融点128℃)
【0081】
[PP-6]:プロピレン・エチレンランダム共重合体(住友化学(株)製FS2011GDG3、MFR2.5g/10分、融点158℃、メソペンダット分率97.0%、エチレン成分0.6モル%)
【0082】
[PP-7]:プロピレン・エチレン・ブテン-1ランダム共重合体(住友化学(株)製FSX66E8、エチレン含有量2.5モル%、ブテン含有量7モル%、MFR3.1g/10分、融点133℃)に、有機ポリマー微粒子としてエルカ酸アミド粒子(住友化学工業(株)製重量平均粒子径3.5μm)1.5重量%、防曇剤としてグリセリンモノステアレート(松本油脂製薬(株)製TB-123)を0.45重量%となるように樹脂温度240℃で溶融混合しペレット状にしたもの。
【0083】
(実施例1)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を50重量%、[PP-2]を50重量%混合したものを使用し、シール層(C)形成用樹脂として[PP-3]を90重量%、[PP-4]を10重量%混合したものを使用し、表面層(B)形成用樹脂として[PP-7]を100重量%使用した。
【0084】
3台の溶融押出機を用い、第1の押出機より基層(A)形成樹脂を280℃の樹脂温度で溶融押出しし、第2の押出機により表面層(B)形成樹脂を250℃の樹脂温度にて溶融押出しし、第3の押出機よりシール層(C)形成樹脂を250℃の樹脂温度にて溶融押出しし、チルロール接触面から表面層(B)/基層(A)/シール層(C)の順番に、Tダイにて押出し、30℃の冷却ロールにて冷却固化し未延伸シートを得た。
引き続き、130℃に加熱された金属ロール間で、周速差を利用して長手方向に4.5倍延伸し、さらにテンター延伸機に導入し、幅方向に9.5倍の延伸を行った。テンター延伸機の予熱部温度は168℃、延伸部温度は155℃であった。
【0085】
さらに、テンター延伸機の後半では、熱固定を163℃にて実施した後、表面層(B)表面に春日電機社製のコロナ放電処理機によるコロナ放電処理を実施し、次いで、シール層(C)に同様にコロナ放電処理を実施し、フィルムワインダーにより巻き取って自動包装可能なポリプロピレン系樹脂多層フィルムを得た。最終的なフィルム厚みは25μmであった。
得られたフィルムは各層の厚み比が表面層(B)/基層(A)/シール層(C)=1.0/21.9/2.1(μm)となった。
得られた多層フィルムは本発明の要件を満足するものであり、低温での十分なヒートシール強度とヒートシール到達強度を有し、自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0086】
(実施例2)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を55重量%、[PP-2]を45重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、実施例1と同様に自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0087】
(実施例3)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を60重量%、[PP-2]を40重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、実施例1と同様に自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0088】
(実施例4)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を65重量%、[PP-2]を35重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、実施例1と同様に自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0089】
(実施例5)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を65重量%、[PP-2]を35重量%混合したものを使用した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、実施例2と同様に自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0090】
(実施例6)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を65重量%、[PP-2]を35重量%混合したものを使用し、得られたフィルムは各層の厚み比が表面層(B)/基層(A)/シール層(C)=1.0/20.6/3.4(μm)とした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、実施例1と同様に自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0091】
(実施例7)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を65重量%、[PP-2]を35重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、実施例1と同様に自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0092】
(実施例8)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を65重量%、[PP-2]を35重量%混合したものを使用し、得られたフィルムは各層の厚み比が表面層(B)/基層(A)/シール層(C)=1.0/20.6/1.7(μm)とした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、実施例1と同様に自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0093】
(実施例9)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を70重量%、[PP-2]を30重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、実施例1と同様に自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。また防曇性も青果物包装に問題の無いレベルとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0094】
(実施例10)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を45重量%、[PP-2]を55重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られたフィルムは、長自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0095】
(実施例11)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を75重量%、[PP-2]を25重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られたフィルムは、自動包装適性、ガゼット包装適性を両立するものとなった。フィルム組成と物性結果を表1に示す。
【0096】
(比較例1)
シール層(C)を構成するポリプロピレン系樹脂として、[PP-5]を100重量%を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、シール層(C)のヒートシール立ち上がり温度が高く、ガゼット包装適性が劣るものとなった。フィルム組成と物性結果を表2に示す。
【0097】
(比較例2)
表面層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂として、[PP-6]を50重量%、[PP-7]を50重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、表面層(B)のヒートシール立ち上がり温度が高く、ガゼット包装適性が劣るものとなった。フィルム組成と物性結果を表2に示す。
【0098】
(比較例3)
表面層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂として、[PP-6]を75重量%、[PP-7]を25重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、表面層(B)のヒートシール立ち上がり温度が高く、ガゼット包装適性が劣るものとなった。フィルム組成と物性結果を表2に示す。
【0099】
(比較例4)
表面層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂として、[PP-6]を100重量%を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、表面層(B)のヒートシール立ち上がり温度が高く、またヒートシール立ち上がり温度が低いため、ガゼット包装適性が劣るものとなった。フィルム組成と物性結果を表2に示す。
【0100】
(比較例5)
シール層(C)の厚みを0.7μmにすることでシール層厚み比率を3%にした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、シール層(C)のヒートシール立ち上がり温度が高く、ガゼット包装適性が劣るものとなった。フィルム組成と物性結果を表2に示す。
【0101】
(比較例6)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として、[PP-1]を100%を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、長手方向の熱収縮率が高く、ガゼット包装時の貼り付きを低減することができなかった。フィルム組成と物性結果を表2に示す。
【0102】
(比較例7)
基層(A)を構成するポリプロピレン系樹脂として[PP-1]を85重量%、[PP-2]を15重量%混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムは、長手方向の熱収縮率が高く、ガゼット包装時の貼り付きを低減することができなかった。フィルム組成と物性結果を表2に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の自動包装可能なポリプロピレン系樹脂多層フィルムは、シール厚みと組成を最適化することで、従来よりも安価に良好なガゼット包装適性を付与することが出来た。また防曇性も有する事から、特に青果物の包装用途に好適である。