(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166004
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】多重特異性抗体の精製
(51)【国際特許分類】
C07K 1/36 20060101AFI20221025BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20221025BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221025BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221025BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221025BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20221025BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221025BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
C07K1/36 ZNA
C07K16/46
C12P21/08
A61P35/00
A61P27/02
A61K47/68
A61K39/395 B
A61K39/395 J
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022117433
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2018565786の分割
【原出願日】2017-06-16
(31)【優先権主張番号】62/351,908
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ギース, グレン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンベルガー, エーファ
(72)【発明者】
【氏名】サリエル, ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】コンラート, ズザンネ
(72)【発明者】
【氏名】ケーンライン, ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルマン, シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】ビアラス, アガーテ
(72)【発明者】
【氏名】カレアス-キャロル, キンバリー アン
(72)【発明者】
【氏名】イグゾー, インゲス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少なくとも1つの生成物-特異的不純物を含む少なくとも1つの不純物を含む組成物からの多重特異性抗体を精製するための方法を提供する。
【解決手段】複数のアームを含み、各アームがVH/VL単位を含む多重特異性抗体を、不純物を含む組成物から精製するための方法であって、a)不純物を含む組成物を捕獲クロマトグラフィーにかけて、捕獲クロマトグラフィー溶出物を生成するステップと、b)捕獲クロマトグラフィー溶出物を第1の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第1の混合モード溶出物を生成するステップと、c)第1の混合モード溶出物を第2の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第2の混合モード溶出物を生成するステップと、d)多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含む、前記組成物の生成物特異的不純物の量を低減する、前記精製するための方法である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重特異性抗体を、前記多重特異性抗体及び不純物を含む組成物から精製するための方法であって、前記多重特異性抗体が複数のアームを含み、各アームがVH/VL単位を含み、前記方法が、逐次的な、
a)前記組成物を捕獲クロマトグラフィーにかけて、捕獲クロマトグラフィー溶出物を生成するステップと、
b)前記捕獲クロマトグラフィー溶出物を第1の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第1の混合モード溶出物を生成するステップと、
c)前記第1の混合モード溶出物を第2の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第2の混合モード溶出物を生成するステップと、
d)前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記方法が、前記組成物の生成物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
【請求項2】
前記捕獲クロマトグラフィー溶出物が、前記第1の混合モードクロマトグラフィーの前にイオン交換またはHICクロマトグラフィーにかけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多重特異性抗体を、前記多重特異性抗体及び不純物を含む組成物から精製するための方法であって、前記多重特異性抗体が複数のアームを含み、各アームがVH/VL単位を含み、前記多重特異性抗体の各アームが別々に生成され、前記方法が、逐次的な、
a)前記多重特異性抗体の各アームを捕獲クロマトグラフィーにかけて、前記多重特異性抗体の各アームに対する捕獲溶出物を生成するステップと、
b)前記多重特異性抗体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で、前記多重特異性抗体の各アームの捕獲溶出物を含む混合物を形成するステップと、
c)前記多重特異性抗体を含む前記組成物を第1の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第1の混合モード溶出物を生成するステップと、
d)前記第1の混合モード溶出物を第2の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第2の混合モード溶出物を生成することと、
e)前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記方法が、前記組成物の生成物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
【請求項4】
前記多重特異性抗体を含む前記組成物が、前記第1の混合モードクロマトグラフィーの前にイオン交換またはHICクロマトグラフィーにかけられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記捕獲クロマトグラフィーが、親和性クロマトグラフィーである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記親和性クロマトグラフィーが、プロテインLクロマトグラフィー、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインA及びプロテインGクロマトグラフィーである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記親和性クロマトグラフィーが、プロテインAクロマトグラフィーである、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記捕獲クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の混合モードクロマトグラフィー及び前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、連続的である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、混合モードアニオン交換クロマトグラフィーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、混合モードカチオン交換クロマトグラフィーである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、混合モードカチオン交換クロマトグラフィーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、混合モードアニオン交換クロマトグラフィーである、請求項1~10及び12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで実施される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
溶出が勾配溶出である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、フロースルーモードで実施される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで実施される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記溶出が勾配溶出である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、フロースルーモードで実施される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の混合モード溶出物を限外瀘過するステップをさらに含む請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記限外濾過が、逐次的に、第1の限外濾過、透析濾過、及び第2の限外濾過を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記プロテインAクロマトグラフィーが、アガロースに連結されたプロテインAを含む、請求項7~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記プロテインAクロマトグラフィーが、
MAbSelect(商標)、MAbSelect(商標)SuRe及びMAbSelect(商標)SuRe LX、Prosep-VA、Prosep-VA Ultra Plus、プロテインAセファロースファストフロー、またはToyopearlプロテインAクロマトグラフィーである、請求項7~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記プロテインAクロマトグラフィーが、プロテインA平衡化緩衝液、プロテインA装填緩衝液、またはプロテインA洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記平衡化緩衝液、装填緩衝液、及び/または洗浄緩衝液が、約pH7~約pH8である、請求項7~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記プロテインA平衡化緩衝液が、約pH7.7である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プロテインA平衡化緩衝液が、約25mMのトリス及び約25mMのNaClを含む、請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記プロテインAクロマトグラフィーが、装填後に平衡化緩衝液で洗浄される、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記多重特異性抗体が、pH段階溶出によって前記プロテインAクロマトグラフィーから溶出される、請求項7~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記多重特異性抗体が、低いpHを有するプロテインA溶出緩衝液を前記プロテインAクロマトグラフィーに適用することによって前記プロテインAから溶出される、請求項7~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記プロテインA溶出緩衝液が、約150mMの酢酸、約pH2.9を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記プロテインA溶出物がプールされ、前記溶出物のOD280が約0.5を超える、請求項7~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記アニオン交換混合モードクロマトグラフィーが、第四級アミン及び疎水性部分を含む、請求項10~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記アニオン交換混合モードクロマトグラフィーが、高架橋アガロースに連結された第四級アミン及び疎水性部分を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記混合モードクロマトグラフィーが、Capto(商標)AdhereクロマトグラフィーまたはCapto(商標)Adhere ImpResクロマトグラフィーである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記カチオン交換混合モードクロマトグラフィーが、N-ベンジル-n-メチルエタノールアミンを含む、請求項11~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記混合モードクロマトグラフィーが、Capto(商標)MMCクロマトグラフィーまたはCapto(商標)MMC ImpResクロマトグラフィーである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、混合モード装填緩衝液、または混合モード洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記混合モード事前平衡化緩衝液、前記混合モード平衡化緩衝液、前記混合モード装填緩衝液、及び/または前記混合モード洗浄緩衝液は、約pH6~約pH7である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、混合モード装填緩衝液、または混合モード洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記混合モード事前平衡化緩衝液、前記混合モード平衡化緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液が、約pH5~約pH8である、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記混合モード事前平衡化緩衝液、前記混合モード平衡化緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液が、約pH6.5である、請求項37または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記混合モード事前平衡化緩衝液が、約500mMの酢酸塩を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記混合モード平衡化緩衝液が、約50mMの酢酸塩を含む、請求項37~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、装填後に洗浄緩衝液で洗浄される、請求項37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、装填後に洗浄緩衝液で洗浄される、請求項37~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記多重特異性抗体が、pH勾配によって前記第1の混合モードクロマトグラフィーから溶出される、請求項15及び18~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記多重特異性抗体が、低いpHを有する混合モード溶出緩衝液を前記混合モードイオン交換クロマトグラフィーに適用することによって、前記第1の混合モードクロマトグラフィーから溶出される、請求項15及び請求項18~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記多重特異性抗体が、pH勾配によって前記第2の混合モードクロマトグラフィーから溶出される、請求項15及び18~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記多重特異性抗体が、低いpHを有する混合モード溶出緩衝液を混合モード交換クロマトグラフィーに適用することによって、前記第2の混合モードクロマトグラフィーから溶出される、請求項15及び請求項18~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記イオン交換クロマトグラフィーが、第四級アミンを含む、請求項2及び4~47のいずれか一項に記載される方法。
【請求項49】
前記イオン交換クロマトグラフィーが、アニオン交換クロマトグラフィーであり、前記アニオン交換クロマトグラフィーが、架橋アガロースに連結された第四級アミンを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記混合モードアニオン交換クロマトグラフィーが、CaptoAdhereクロマトグラフィーである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記アニオン交換クロマトグラフィーが、アニオン交換事前平衡化緩衝液、アニオン交換平衡化緩衝液、またはアニオン交換装填緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記アニオン交換事前平衡化緩衝液、前記アニオン交換平衡化緩衝液、及び/またはアニオン交換装填緩衝液が、約pH6~約pH8である、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記アニオン交換事前平衡化緩衝液、前記アニオン交換平衡化緩衝液、及び/または前記アニオン交換装填物が、約pH6.5である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記アニオン交換事前平衡化緩衝液が、約50mMのトリス、500mMの酢酸ナトリウムを含む、請求項51または請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記アニオン交換平衡化緩衝液が、約50mMのトリスを含む、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記アニオン交換クロマトグラフィーが、装填後にアニオン交換平衡化緩衝液で洗浄される、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記多重特異性抗体が、塩勾配によって前記アニオン交換クロマトグラフィーから溶出される、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記多重特異性抗体が、増加した塩濃度を有するアニオン交換溶出緩衝液を前記アニオン交換クロマトグラフィーに適用させることによって、前記アニオン交換クロマトグラフィーから溶出される、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記アニオン交換溶出緩衝液が、約50mMのトリス、100mMの酢酸ナトリウムを約pH8.5で含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記アニオン交換溶出物がプールされ、前記溶出物の前記OD280が約0.5~約2.0を超える、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記多重特異性抗体の前記アームが、細胞中で産生される、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞が、原核生物細胞である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記原核生物細胞が、E.coli細胞である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞が、1つ以上のシャペロンを発現するように操作される、請求項61または請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記シャペロンが、FkpA、DsbA、またはDsbCのうちの1つ以上である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記シャペロンが、E.coliシャペロンである、請求項63または請求項64
に記載の方法。
【請求項66】
前記細胞が、真核細胞である、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記真核細胞が、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記真核細胞が、CHO細胞である、請求項66または請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記細胞が、捕獲クロマトグラフィーの前に、溶解され、前記多重特異性抗体または前記多重特異性抗体のアームを含む細胞溶解液を生成する、請求項60~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記細胞が、微小流動化剤を使用して溶解される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
ポリエチレンイミン(PEI)が、クロマトグラフィーの前に前記細胞溶解液に添加される、請求項69または請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記方法が、前記組成物中の宿主細胞タンパク質(HCP)、浸出されたプロテインA、核酸、細胞培養培地構成成分、またはウイルス性不純物のうちのいずれか1つの量を低減する、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記多重特異性抗体が、二重特異性抗体である、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記二重特異性抗体が、ノブインホール(KiH)二重特異性抗体である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記二重特異性抗体が、CrossMab二重特異性抗体である、請求項73または請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記画分が、少なくとも約95%の多重特異性抗体を含む、請求項1~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記生成物特異的不純物が、非対抗体のアーム、抗体ホモ二量体、凝集体、高分子量種(HMWS)、低分子量種(LMWS)、酸性バリアント、または塩基性バリアントのうちの1つ以上である、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記画分が、約5%以下の非対抗体のアームを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記画分が、約5%以下の抗体ホモ二量体を含む、請求項77または請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記画分が、約2%以下の凝集体または高分子量種(HMWS)を含む、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記画分が、約2%以下のLMWSを含む、請求項77~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記画分が、約50%以下の酸性バリアントを含む、請求項77~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記画分が、約35%以下の塩基性バリアントを含む、請求項77~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記画分が、約5%以下の3/4抗体を含む、請求項77~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記画分が、
a)少なくとも約95%~約100%の多重特異性抗体、
b)約1%~約5%以下の非対抗体のアーム、
c)約1%~約5%以下の抗体ホモ二量体、
d)約1%または約2%以下のHMWS、
e)約1%または約2%以下のLMWS、及び
f)約5%以下の3/4抗体を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項86】
請求項1~85のいずれか一項に記載の方法によって精製された多重特異性抗体を含む組成物。
【請求項87】
がんまたは眼疾患の治療のための、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法によって精製された多重特異性抗体を含む組成物。
【請求項88】
マルチステップクロマトグラフィー方法でFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製するための方法であって、前記方法が、親和性クロマトグラフィーのステップを含み、2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーのステップが後に続き、
それによって、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製する、前記方法。
【請求項89】
前記マルチステップクロマトグラフィー方法が、
i.親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップ、
または
ii.親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記マルチステップクロマトグラフィー方法が、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含む、請求項88~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記マルチステップクロマトグラフィー方法が、正確に3つのクロマトグラフィーのステップを含む、請求項88~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップが、フロースルーモードで行われる、請求項89~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、7mS/cm未満の伝導値を有する溶液中に適用される、請求項89~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、約6mS/cm~約2mS/cmの範囲の伝導値を有する溶液中に適用される、請求項89~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、約4.5mS/cmの伝導値を有する溶液中に適用される、請求項89~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップが、約7のpHで行われる、請求項89~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、約4.5mS/cmの伝導性及び約7のpHを有する溶液中に適用される、請求項89~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、クロマトグラフィー材料の、1リットル当たり約100g~約300gの範囲で適用される、請求項89~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料が、マルチモーダル強アニオン交換クロマトグラフィー材料である、請求項89~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料が、高流量アガロースのマトリックス、リガンドとしてのマルチモーダル強アニオン交換、36~44μmの平均粒子サイズ、及び0.08~0.11mmol Cl-/mLの培地のイオン容量を有する、請求項89~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーの培地が、マルチモーダル弱カチオン交換クロマトグラフィーの培地である、請求項89~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーの培地が、高流量アガロースのマトリックス、リガンドとしてのマルチモーダル弱カチオン交換、36~44μmの平均粒子サイズ、及び25~39μmol/mLのイオン容量を有する、請求項89~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップが、結合及び溶出モードで行われる、請求項89~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記親和性クロマトグラフィーが、プロテインA親和性クロマトグラフィー、またはプロテインG親和性クロマトグラフィー、または一本鎖Fvリガンド親和性クロマトグラフィー、またはCaptureSelectクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップ、またはCaptureSelect FcXLクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップである、請求項88~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記親和性クロマトグラフィーのステップが、プロテインAクロマトグラフィーのステップである、請求項88~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記親和性クロマトグラフィーのステップが、CaptureSelect(商標)クロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップである、請求項88~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、抗体、二重特異性抗体、またはFc-融合タンパク質である、請求項88~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、二重特異性抗体である、請求項88~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、CrossMabである、請求項90~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、
a)第1の抗原を特異的に結合する第1の全長抗体の重鎖及び軽鎖、ならびに
b)前記定常ドメインCL及びCH1が互いによって置き換えられる、第2の抗原を特異的に結合する全長抗体の修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含む、二重特異性抗体である、請求項90~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記二重特異性抗体が、ANG2及びVEGFを結合する、請求項108~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記CrossMabが、ANG2及びVEGFを結合する、請求項108~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記二重特異性抗体が、vanucizumabである、請求項108~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記二重特異性抗体が、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号1、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号2を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号3、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号4を含む第2の抗原結合部位を含む、請求項108~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記二重特異性抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する第1の重鎖、及び配列番号10のアミノ酸配列を有する第2の重鎖、ならびに配列番号11のアミノ酸配列を有する第1の軽鎖、及び配列番号12のアミノ酸配列を有する第2の軽鎖を含む、請求項108~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記二重特異性抗体が、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号5、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号6を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号7、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号8を含む第2の抗原結合部位を含む、請求項108~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記二重特異性抗体が、配列番号13のアミノ酸配列を有する第1の重鎖、及び配列番号14のアミノ酸配列を有する第2の重鎖、ならびに配列番号15のアミノ酸配列を有する第1の軽鎖、及び配列番号16のアミノ酸配列を有する第2の軽鎖を含む、請求項108~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
精製されたFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、約5%以下の3/4抗体を含む、請求項108~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
マルチステップクロマトグラフィー方法でANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を精製するための方法であって、前記方法が、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含み、
それによって、ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体を精製し、
二重特異性抗体が、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号1、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号2を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号3、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号4を含む第2の抗原結合部位を含むか、
または重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号5、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号6を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号7、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号8を含む第2の抗原結合部位を含む、前記方法。
【請求項120】
ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体が、
a)前記第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の前記重鎖及び前記軽鎖、ならびに
b)前記定常ドメインCL及びCH1が互いによって置き換えられる、前記第2の抗原結合部位を含む全長抗体の前記修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
二重特異性抗体を含む組成物であって、前記組成物が、少なくとも約95%、二重特異性抗体を含む、前記組成物。
【請求項122】
前記組成物が、約5%以下の非対抗体のアームを含む、請求項121に記載の組成物。
【請求項123】
前記組成物が、約5%以下の抗体ホモ二量体を含む、請求項121または122に記載の組成物。
【請求項124】
CrossMab抗体を含む組成物であって、前記組成物が、少なくとも95%のCrossMab抗体を含む、前記組成物。
【請求項125】
前記組成物が、約2%以下の凝集体または高分子量種(HMWS)を含む、請求項121~124のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項126】
前記組成物が、約2%以下の低分子量種(LMWS)を含む、請求項121~125のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項127】
前記組成物が、約50%以下の酸性バリアントを含む、請求項121~126のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項128】
前記組成物が、約35%以下の塩基性バリアントを含む、請求項121~127のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項129】
前記組成物が、約5%以下の3/4抗体を含む、請求項121~128のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項130】
前記組成物が、
a)少なくとも約95%~約100%の多重特異性抗体、
b)約1%~約5%以下の非対抗体のアーム、
c)約1%~約5%以下の抗体ホモ二量体、
d)約1%または約2%以下のHMWS、
e)約1%または約2%以下のLMWS、及び
f)約5%以下の3/4抗体を含む、請求項121または請求項122に記載の組成物。
【請求項131】
前記二重特異性抗体が、ANG-2及びVEGFを結合する、請求項121~130のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項132】
ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体が、
a)前記第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の前記重鎖及び前記軽鎖、ならびに
b)前記定常ドメインCL及びCH1が互いによって置き換えられる、前記第2の抗原結合部位を含む全長抗体の前記修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含む、請求項131に記載の組成物。
【請求項133】
ANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を含む組成物であって、前記組成物が、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以下の3/4抗体を含む、前記組成物。
【請求項134】
ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体が、
a)前記第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の前記重鎖及び前記軽鎖、ならびに
b)前記定常ドメインCL及びCH1が互いによって置き換えられる、前記第2の抗原結合部位を含む全長抗体の前記修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含む、請求項133に記載の組成物。
【請求項135】
前記組成物が、請求項119に記載の方法を使用して得られる、請求項133または134に記載の組成物。
【請求項136】
Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドの精製のための、請求項88~118のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項137】
Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド関連不純物の低減のための、請求項88~118のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項138】
がんまたは眼疾患の前記治療のための医薬品の製造のための、請求項88~118のいずれか一項に記載の方法で得られるFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド、または請求項119~120のいずれか一項に記載の方法を使用して得られるANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体。
【請求項139】
がんまたは眼疾患の前記治療における使用のための、請求項88~118のいずれか一項に記載の方法から得られるFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド、または請求項119~120のいずれか一項に記載の方法を使用して得られるANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体。
【請求項140】
Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを生成する方法であって、
i.Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養するステップと、
ii.前記Fc-含有ヘテロ二量体タンパク質を細胞または培養培地から回収するステップと、
iii.請求項88~118のいずれか一項に記載の方法で前記Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製するステップと、を含み、
それによって、前記Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを生成する、前記方法。
【請求項141】
請求項119~120のいずれか一項に記載の方法を使用して得られるANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を産生する方法であって、
i.前記二重特異性抗体をコードする核酸を含む細胞を培養するステップと、
ii.前記二重特異性抗体を前記細胞または前記培養培地から回収するステップと、
iii.請求項119~120のいずれか一項に記載の方法で前記二重特異性抗体を精製するステップと、を含み、
それによって、ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体を産生する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年6月17日出願の米国仮特許出願第62/351,908号の優先権利益を主張するものであり、この仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出内容は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる:コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:146392036340SEQLIST.TXT、記録日:2017年6月9日、サイズ:32KB)。
【0003】
多重特異性抗体、及び少なくとも1つの生成物-特異的不純物を含む少なくとも1つの不純物を含む組成物からの多重特異性抗体を精製するための方法が提供される。いくつかの実施形態では,生成物-特異的不純物は、例えば、多重特異性抗体の前駆体、凝集体、及び/またはバリアントである。方法に従って精製される多重特異性抗体、及びそのような多重特異性抗体を含む組成物及び製剤もまた提供される。
【背景技術】
【0004】
ヒト患者への投与に許容される組換え生物薬剤学的タンパク質の場合、製造及び精製プロセスによって生じる残留不純物が最終生物学的産物から除去されることが重要である。これらのプロセス構成成分としては、培養培地タンパク質、免疫グロブリン親和性リガンド、ウイルス、内毒素、DNA、及び宿主細胞タンパク質(HCP)が挙げられる。多重特異性抗体などの新しい抗体の形式の開発は、従来の製造及び精製プロセスが、非対抗体のアーム及びミスアセンブリングされた抗体を含む生成物-特異的不純物を十分に除去するために不十分であるため、新しい課題を呈する。
【0005】
標準の抗体の精製と比較した場合、生成培地からの多重特異性抗体の精製は、独特の課題を呈する。標準の単一-特異性二価抗体が、同一の重鎖/軽鎖サブユニットの二量体化から生じる一方で、多重特異性抗体の産生は、少なくとも2つの異なる重鎖/軽鎖サブユニットの二量体化を必要とし、各々が異なる重鎖、ならびに異なる軽鎖を含む。最小限の量の誤対合、ミスアセンブリングされた、または不完全な分子を有する、最終的及び完全な多重特異性抗体の生成及び精製は、異なる課題を呈する。鎖誤対合(例えば、同一の重鎖ペプチドまたは不適当な重鎖/軽鎖会合のホモ-二量体化)は、異なる抗体鎖の不平衡の宿主細胞発現に起因する不完全なタンパク質アセンブリであるため、しばしば観察される。一般に観察される生成物-特異的不純物は、半(1/2)抗体(単一の重鎖/軽鎖対を含む)、4分の3(3/4)抗体(単一軽鎖を欠乏する完全な抗体を含む)、及びホモ二量体を含む。追加の生成物-特異的不純物は、使用される多重特異性の形式に応じて観察され得る。例えば、多重特異性抗体の可変ドメインが、一本鎖Fab(scFab)として構築されている場合、生成物による5/4抗体(追加の重鎖または軽鎖可変ドメインを含む)が観察され得る。そのような対応する生成物-特異的不純物は、標準の抗体生成においては生じない。
【0006】
HCP、DNA、内毒素、ならびに抗体とは非常に異なる特徴及び特性を有する他の物質などのプロセス関連不純物を除去するために設計された従来の精製技術は、多重特異性抗体により類似する不純物を除去するために実行されるときに不十分であり得る。かくして、生成物-特異的不純物を効果的に除去、ならびに十分な量の正しい及び完全な多重特異性抗体を産出する製造及び精製スキームを開発する必要性がある。
【0007】
特許出願及び刊行物を含む、本明細書に引用される全ての参考文献は、それらの全体において参照により組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に説明及び例示されるように、出願者は、最初の捕獲クロマトグラフィーのステップ後の少なくとも2つの混合モード(本明細書でマルチモーダル(multi-modal)またはマルチモーダル(multimodal)とも称される)クロマトグラフィーのステップの使用が、生成物-特異的不純物のより大きな除去をもたらし、多重特異性抗体を精製するためのプロセスを改善したことを発見した。したがって、ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を多重特異性抗体及び不純物を含む組成物から精製するための方法が提供され、多重特異性抗体は複数のアームを含み、各アームはVH/VL単位を含み、方法は、逐次的な、a)組成物を捕獲クロマトグラフィーにかけて、捕獲クロマトグラフィー溶出物を生成するステップ;b)捕獲クロマトグラフィー溶出物を第1の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第1の混合モード溶出物を生成するステップ;c)第1の混合モード溶出物を第2の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第2の混合モード溶出物を生成するステップ;及びd)多重特異性抗体を含む画分を収集するステップを含み、方法は、組成物の生成物-特異的不純物の量を低減する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィー溶出物は、第1の混合モードクロマトグラフィーの前に、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、アニオン交換)または疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけられる。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第2の混合モード溶出物は、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、アニオン交換)または疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけられる。
【0009】
ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を多重特異性抗体及び不純物を含む組成物から精製するための方法が提供され、多重特異性抗体は複数のアームを含み、各アームはVH/VL単位を含み、多重特異性抗体の各アームは、別々に生成され、方法は、逐次的な、a)多重特異性抗体の各アームを捕獲クロマトグラフィーにかけて、多重特異性抗体の各アームに捕獲溶出物を生成するステップ、b)多重特異性抗体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で、多重特異性抗体の各アームの捕獲溶出物を含む混合物を形成するステップ、c)多重特異性抗体を含む組成物を第1の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第1の混合モード溶出物を生成するステップ、及びd)第1の混合モード溶出物を第2の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第2の混合モード溶出物を生成するステップ;及びe)多重特異性抗体を含む画分を収集するステップを含み、方法は、組成物の生成物-特異的不純物の量を低減する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィー溶出物は、第1の混合モードクロマトグラフィーの前に、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、アニオン交換)または疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけられる。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第2の混合モード溶出物は、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、アニオン交換)または疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけられる。
【0010】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィーは、親和性クロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインLクロマトグラフィー、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインA及びプロテインGクロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィーは、結合及び溶出モードで実施される。
【0011】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィー及び第2の混合モードクロマトグラフィーは、連続的である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、混合モードアニオン交換クロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーは、混合モードカチオン交換クロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、混合モードカチオン交換クロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーは、混合モードアニオン交換クロマトグラフィーである。
【0012】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、結合及び溶出モードまたはフロースルーモードで実施される。第1の混合モードクロマトグラフィーが結合及び溶出モードで実施される実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、溶出は、勾配溶出である。
【0013】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーは、結合及び溶出モードまたはフロースルーモードで実施される。第2の混合モードクロマトグラフィーが結合及び溶出モードで実施される実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、溶出は、勾配溶出である。
【0014】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、方法は、第2の混合モード溶出物を限外濾過するステップをさらに含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、限外濾過は、逐次的に、第1の限外濾過、透析濾過、及び第2の限外濾過を含む。
【0015】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、プロテインAクロマトグラフィーは、アガロースに連結されたプロテインAを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、プロテインAクロマトグラフィーはMAbSelect(商標)、MAbSelect(商標)SuRe及びMAbSelect(商標)SuRe LX、Prosep-VA、Prosep-VA Ultra Plus、プロテインAセファロースファストフロー、またはToyopearlプロテインAクロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、プロテインAクロマトグラフィーは、プロテインA平衡化緩衝液、プロテインA装填緩衝液、またはプロテインA洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、平衡化緩衝液、装填緩衝液、及び/または洗浄緩衝液は、約pH7~約pH8である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、プロテインA平衡化緩衝液は、約pH7.7である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、プロテインA平衡化緩衝液は、約25mMのトリス及び約25mMのNaClを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、プロテインAクロマトグラフィーは、装填後に平衡化緩衝液で洗浄される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、低いpHを有するプロテインA溶出緩衝液をプロテインAクロマトグラフィーに適用することによって、プロテインAから溶出される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、プロテインA溶出緩衝液は、約150mMの酢酸、約pH2.9を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、pH勾配によってプロテインAクロマトグラフィーから溶出される。
【0016】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換混合モードクロマトグラフィーは、第四級アミン及び疎水性部分を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換混合モードクロマトグラフィーは、アガロースに連結された第四級アミン及び高架橋疎水性部分を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーは、Capto(商標)AdhereクロマトグラフィーまたはCapto(商標)Adhere ImpResクロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、カチオン交換混合モードクロマトグラフィーは、N-ベンジル-n-メチルエタノールアミンを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、混合モードクロマトグラフィーは、Capto(商標)MMCクロマトグラフィーまたはCapto(商標)MMC ImpResクロマトグラフィーである。
【0017】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、混合モード装填緩衝液、混合モード洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、混合モード装填緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液は、約pH6~約pH7である。いくつかの実施形態では、アニオン混合モード平衡化緩衝液は、約pH6.5~約pH8である。
【0018】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーは、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、混合モード装填緩衝液、または混合モード洗浄緩衝液を使用し、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液は、約pH5~約pH8、任意に約pH5~約pH7、または約pH5~約pH6、または約pH6~約pH7である。
【0019】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液は、約pH5.5である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、混合モード事前平衡化緩衝液は、約500mMの酢酸塩を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、混合モード平衡化緩衝液は、約50mMの酢酸塩を含む。
【0020】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、装填後に洗浄緩衝液で洗浄される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーは、装填後に洗浄緩衝液で洗浄される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、塩勾配及び/もしくはpH勾配またはpH段階溶出によって第1の混合モードクロマトグラフィーから溶出される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、低いpHを有する混合モード溶出緩衝液を混合モード交換クロマトグラフィーに適用させることによって、第1の混合モードクロマトグラフィーから溶出される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、塩勾配及び/もしくはpH勾配またはpH段階溶出によって、第2の混合モードクロマトグラフィーから溶出される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、低いpHを有する混合モード溶出緩衝液を混合モード交換クロマトグラフィーに適用させることによって、第2の混合モードクロマトグラフィーから溶出される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、混合モード溶出緩衝液は、約25mMの酢酸塩、約pH5.5を含む。
【0021】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーは、第四級アミンを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーは、架橋アガロースに連結された第四級アミンを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーは、QSFFクロマトグラフィーである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーは、アニオン交換事前平衡化緩衝液、アニオン交換平衡化緩衝液、またはアニオン交換装填緩衝液のうちの1つ以上を使用し、アニオン交換事前平衡化緩衝液、アニオン交換平衡化緩衝液、及び/またはアニオン交換装填緩衝液は、約pH8~約pH9である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換事前平衡化緩衝液、アニオン交換平衡化緩衝液、及び/またはアニオン交換装填緩衝液は、約pH8.5である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換事前平衡化緩衝液は、約50mMのトリス、500mMの酢酸ナトリウムを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換平衡化緩衝液は、約50mMのトリスを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーは、装填後にアニオン交換平衡化緩衝液で洗浄される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、塩勾配によってアニオン交換クロマトグラフィーから溶出される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、増加した塩濃度を有するアニオン交換溶出緩衝液をアニオン交換クロマトグラフィーに適用させることによって、アニオン交換クロマトグラフィーから溶出される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、アニオン交換溶出緩衝液は、約50mMのトリス、100mMの酢酸ナトリウムを約pH8.5で含む。
【0022】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体のアームは、細胞中で産生される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、細胞は、原核生物細胞である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、原核生物細胞は、E.coli細胞である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上のシャペロンを発現するように操作されている。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、シャペロンは、FkpA、DsbA、またはDsbCのうちの1つ以上である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、シャペロンは、E.coliシャペロンである。上記の実施形態による(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞である。上記の実施形態による(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である。上記の実施形態による(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、真核細胞は、CHO細胞である。
【0023】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、細胞は、捕獲クロマトグラフィーの前に、溶解され、多重特異性抗体または多重特異性抗体のアームを含む細胞溶解液を生成する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、細胞は、微小流動化剤を使用して溶解される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、ポリエチレンイミン(PEI)は、クロマトグラフィーの前に、細胞溶解液に添加される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、PEIは、約0.4%の最終濃度まで溶解液に添加される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、遠心分離によって浄化される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞の細胞溶解液は、薬剤の添加によって1つ以上の以下の処理、熱不活化、低pH不活性化、ウイルス不活性化を受ける。
【0024】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、方法は、組成物中の宿主細胞タンパク質(HCP)、浸出されたプロテインA、核酸、細胞培養培地構成要素、またはウイルス性不純物のうちのいずれか1つなどのプロセス特異的不純物の量を低減する。
【0025】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ノブインホール(KiH)抗体、例えば、KiH二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CrossMab二重特異性抗体である。
【0026】
上記の方法のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、画分は、最後のクロマトグラフィーのステップ後に収集され、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の多重特異性抗体を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、画分は、最後のクロマトグラフィーのステップ後に収集され、生成物-特異的不純物の低減された量を含み、生成物-特異的不純物は、非対抗体のアーム、抗体ホモ二量体、高分子量種(HMWS)、低分子量種(LMWS)、または3/4抗体のうちの1つ以上である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、画分は、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の非対抗体のアームを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、画分は、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の抗体ホモ二量体を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、画分は、約1%以下または約2%以下のHMWSを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、画分は、約2%以下または約1%以下のLMWSを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、画分は、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下の3/4抗体を含む。
【0027】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、画分は、
a)少なくとも約95%~約100%の多重特異性抗体、
b)約1%-~5%未満の非対抗体のアーム、
c)約1%~約5%未満の抗体ホモ二量体、
d)約1%または約2%以下のHMWS、
e)約1%または約2%以下のLMWS、及び/または
f)約5%以下の3/4抗体を含む。
【0028】
ある特定の実施形態では、上記に説明される方法のうちのいずれか1つの方法によって精製される多重特異性抗体を含む組成物が提供される。
【0029】
上記の方法のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物が提供され、組成物は、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の多重特異性抗体を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物が提供され、組成物は、生成物-特異的不純物の低減された量を含み、生成物-特異的不純物は、非対抗体のアーム、抗体ホモ二量体、高分子量種(HMWS)、低分子量種(LMWS)、または3/4抗体のうちの1つ以上である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物は、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の非対抗体のアームを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物は、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の抗体ホモ二量体を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物は、約1%以下または約2%以下のHMWSを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物は、約2%以下または約1%以下のLMWSを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物は、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下の3/4抗体を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物中の多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ノブインホール(KiH)抗体、例えば、KiH二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CrossMab二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ANG-2及びVEGFを結合する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、ANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体は、a)第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の重鎖及び軽鎖、ならびにb)第2の抗原結合部位を含む全長抗体の修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含み、定常ドメインCL及びCH1は、互いによって置き換えられる。
【0030】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物は、a)少なくとも約95%~約100%の多重特異性抗体、b)約1%~約5%未満の非対抗体のアーム、c)約1%~約5%未満の抗体ホモ二量体、d)約1%または2%以下のHMWS、e)約1%または2%以下のLMWS、及び/またはf)約5%以下の3/4抗体を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物中の多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ノブインホール(KiH)抗体、例えば、KiH二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CrossMab二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ANG-2及びVEGFを結合する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、ANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体は、a)第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の重鎖及び軽鎖、ならびにb)第2の抗原結合部位を含む全長抗体の修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含み、定常ドメインCL及びCH1は、互いによって置き換えられる。
【0031】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、がんまたは眼疾患の治療のための、上記に説明される方法のうちのいずれか1つによって精製される多重特異性または二重特異性抗体(ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体など)を含む組成物が提供される。
【0032】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、がんまたは眼疾患の治療のための医薬品の製造のための、上記に説明される方法のうちのいずれか1つによって精製される多重特異性または二重特異性抗体(ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体など)を含む使用が提供される。
【0033】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドの精製のために使用される。
【0034】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、組成物中のFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド-関連不純物の低減のための本明細書に提供される方法のうちのいずれかの使用が提供される。
【0035】
ある特定の実施形態では、マルチステップクロマトグラフィー方法でFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製するための方法が提供され、方法は、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続く2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーのステップを含み、それによって、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチステップクロマトグラフィー方法は、(i)親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップ、または(ii)親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップを含む。
【0036】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチステップクロマトグラフィー方法は、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチステップクロマトグラフィー方法は、正確に3つのクロマトグラフィーのステップを含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップは、フロースルーモードで行われる。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、7mS/cm未満の伝導値を有する溶液中に適用される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約6mS/cm~約2mS/cmの範囲で伝導値を有する溶液中に適用される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約4.5mS/cmの伝導値を有する溶液中に適用される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップは、約7のpHで行われる。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約4.5mS/cmの伝導性及び約7のpHを有する溶液中に適用される。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、クロマトグラフィー材料の1リットル当たり約100g~約300gの範囲で適用される。
【0037】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料は、マルチモーダル強アニオン交換クロマトグラフィー材料である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料は、高流量アガロースのマトリックス、リガンドとしてのマルチモーダル強アニオン交換、36~44μmの平均粒子サイズ、及び0.08~0.11mmolCl-/mLの培地のイオン容量を有する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー培地は、マルチモーダル弱カチオン交換クロマトグラフィー培地である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー培地は、高流量アガロースのマトリックス、リガンドとしてのマルチモーダル弱カチオン交換、36~44μm平均粒子サイズ、及び25~39μmol/mLのイオン容量を有する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップは、結合及び溶出モードで行われる。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィーは、親和性クロマトグラフィーによって実施される。いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインA親和性クロマトグラフィー、またはプロテインG親和性クロマトグラフィー、または一本鎖Fvリガンド親和性クロマトグラフィー、またはCaptureSelectクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップ、またはCaptureSelect FcXLクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーのステップは、プロテインAクロマトグラフィーのステップである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーのステップは、CaptureSelect(商標)クロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップである。
【0038】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、抗体、二重特異性抗体、またはFc-融合タンパク質である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、二重特異性抗体である。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、CrossMabである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、a)第1の抗原を特異的に結合する第1の全長抗体の重鎖及び軽鎖、ならびにb)第2の抗原を特異的に結合する全長抗体の修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含み、定常ドメインCL及びCH1は、互いによって置き換えられる。
【0039】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ANG2及びVEGFを結合する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、CrossMabは、ANG2及びVEGFを結合する。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、vanucizumabである。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号1、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号2を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号3、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号4を含む第2の抗原結合部位を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有する第1の重鎖、及び配列番号10のアミノ酸配列を有する第2の重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を有する第1の軽鎖、及び配列番号12のアミノ酸配列を有する第2の軽鎖を含む。
【0040】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号5、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号6を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号7、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号8を含む第2の抗原結合部位を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を有する第1の重鎖、及び配列番号14のアミノ酸配列を有する第2の重鎖、及び配列番号15のアミノ酸配列を有する第1の軽鎖、及び配列番号16のアミノ酸配列を有する第2の軽鎖を含む。
【0041】
上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、精製されたFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約5%以下の3/4抗体を含む。
【0042】
ある特定の実施形態では、マルチステップクロマトグラフィー方法でANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を精製するための方法が提供され、方法は、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含み、それによって、ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を精製し、ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号1、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号2を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号3、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号4を含む第2の抗原結合部位を含むか、または重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号5、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号6を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号7、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号8を含む第2の抗原結合部位を含む。上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)いくつかの実施形態では、ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体は、a)第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の重鎖及び軽鎖、ならびにb)第2の抗原結合部位を含む全長抗体の修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含み、定常ドメインCL及びCH1は、互いによって置き換えられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド関連不純物の低減のための、上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)方法のいずれかの使用が提供される。
【0044】
いくつかの実施形態では、がんまたは眼疾患の治療のための医薬品の製造のための、上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)方法で得られるFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドが提供される。
【0045】
いくつかの実施形態では、がんまたは眼疾患の治療における使用のための、上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)方法で得られるFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドが提供される。
【0046】
ある特定の実施形態では、(i)Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養するステップと、(ii)Fc-含有ヘテロ二量体タンパク質を細胞または培養培地から回収するステップと、(iii)上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)方法を使用してFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製し、それによって、Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを生成するステップとを含むFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを生成するための方法が提供される。
【0047】
ある特定の実施形態では、(i)二重特異性抗体をコードする核酸を含む細胞を培養するステップと、(ii)二重特異性抗体を細胞または培養培地から回収するステップと、(iii)上記の実施形態のいずれかによる(または、それらに適用される)方法を使用して二重特異性抗体を精製し、それによって、ANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を産生するステップとを含むANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を産生する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1A】実施例1において使用される第1の精製スキームを示す。
【
図1B】実施例1において使用される第2の精製スキームを示す。
【
図1C】実施例1において使用される第3の精製スキームを示す。
【
図2】実施例2において使用される精製スキームを示す。
【
図3A】実施例3において使用される第1の精製スキームを示す。
【
図3B】実施例3において使用される第2の精製スキームを示す。
【
図4】実施例4において使用される精製スキームを示す。
【
図5A】実施例6において使用される第1の精製スキームを示す。
【
図5B】実施例6において使用される第2の精製スキームを示す。
【
図6A】実施例7において使用される第1の精製スキームを示す。
【
図6B】実施例7において使用される第2の精製スキームを示す。
【
図7A】実施例8において使用される第1の精製スキームを示す。
【
図7B】実施例8において使用される第2の精製スキームを示す。
【
図7C】実施例8において使用される第3の精製スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
多重特異性抗体を含む組成物を、逐次的な、a)捕獲クロマトグラフィーにかけるステップ、b)第1の混合モードクロマトグラフィーにかけるステップ、及びc)第2の混合モードクロマトグラフィーにかけるステップを含む多重特異性抗体(二重特異性抗体または二価のF(ab’)2など)を精製する方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様では、多重特異性抗体を精製するための方法が提供され、多重特異性抗体の個々のアームは、それぞれ、別個の培養において生成され、捕獲クロマトグラフィーによってそれぞれ別々に精製される。次いで、精製された抗体のアームは、多重特異性抗体を生成するようにアセンブリングされる。次いで、アセンブリングされた多重特異性抗体は、第1の混合モードアニオン交換クロマトグラフィー、その後に第2の混合モードクロマトグラフィーにかけられる。以下にさらに詳細に説明されるように、捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、及び/または第2の混合モードクロマトグラフィーの各々が、任意に先行され、及び/またはその後に1つ以上の追加のクロマトグラフィーのステップが続く。混合モードクロマトグラフィー及びマルチモーダルクロマトグラフィーという用語は、本明細書で交換可能に使用される。
【0050】
いくつかの態様では、非対抗体のアーム、ホモ二量体、凝集体、低分子量種、酸性及び塩基性バリアントなどの1つ以上のプロセス特異的及び/または生成物特異的不純物の低減されたレベルを有する多重特異性抗体を含む組成物が提供される。いくつかの態様では、例えば、原核生物宿主細胞タンパク質、真核宿主細胞タンパク質(CHOタンパク質または「CHOP」など)、核酸、及びシャペロン(そのような原核生物シャペロン、例えば、FkpA、DsbA、及びDsbC)などの1つ以上のプロセス特異的不純物の低減されたレベルを有する多重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、本明細書に提供される方法を使用して得られる。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、当該技術分野で既知の方法を使用して得られる組成物よりも、1つ以上のプロセス特異的及び/または生成物特異的不純物の低減されたレベルを有する。
【0051】
いくつかの態様では、Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドの精製及びFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド-関連不純物の低減のための、本明細書に報告される方法の使用が提供される。生成物-特異的不純物の改善された低減が達成される。CrossMab-特異的不純物の場合では、例えば3/4抗体の低減が達成される。
【0052】
定義
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書で同義に使用される。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語は、自然に、または介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸塩化、もしくは任意の他の操作または修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーションにより修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つ以上の類似体を含有するポリペプチド、及び当該技術分野で既知の他の修飾もこの定義に含まれる。本明細書で使用される「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、抗体を具体的に包含する。
【0053】
「精製された」ポリペプチド(例えば、抗体またはイムノアドヘシン)とは、ポリペプチドがその天然環境下で存在するよりもさらに純粋な形態で存在するように、及び/または実験室条件下で最初に合成及び/または増幅されたときにポリペプチドの純度が増加することを意味する。純度は、相対用語であり、必ずしも絶対純度を意味しない。本明細書で交換可能に使用される「精製する」、「分離する」、または「単離する」という用語は、所望の分子及び1つ以上の不純物を含む組成物または試料の所望の分子(多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体など)の純度を増加させることを指す。典型的には、所望の分子の純度は、少なくとも1つの不純物を組成物から除去(完全にまたは部分的に)することによって増加される。
【0054】
「対象の抗原を結合する」二重特異性抗体は、二重特異性抗体が、タンパク質、またはタンパク質を発現する細胞もしくは組織を標的とするのに診断及び/または治療剤として有用であり、他のタンパク質と有意には交差反応しないように十分な親和性で抗原を結合するものである。このような実施形態では、二重特異性抗体の「非標的」タンパク質への結合の程度は、例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、放射性免疫沈降法(RIA)、またはELISAなどによって決定されるように、二重特異性抗体のその特定の標的タンパク質への結合の約10%未満である。二重特異性抗体の標的分子との結合に関して、特定のポリペプチドもしくは特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的な結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」という用語は、非特異的相互作用(例えば、非特異的相互作用は、ウシ血清アルブミンまたはカゼインを結合することであり得る)とはある程度異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、対照分子の結合と比較して分子の結合を決定することによって測定され得る。例えば、特異的結合は、標的、例えば、過剰な非標識標的に類似である対照分子との競合によって決定され得る。この場合、プローブへの標識した標的の結合が過剰な非標識標的によって競合的に阻害された場合に、特異的結合が示される。本明細書で使用される特定のポリペプチドもしくは特定のポリペプチド標的上のエピトープに「特異的な結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」という用語は、例えば、少なくとも約200nM、代替的には少なくとも約150nM、代替的には少なくとも約100nM、代替的には少なくとも約60nM、代替的には少なくとも約50nM、代替的には少なくとも約40nM、代替的には少なくとも約30nM、代替的には少なくとも約20nM、代替的には少なくとも約10nM、代替的には少なくとも約8nM、代替的には少なくとも約6nM、代替的には少なくとも約4nM、代替的には少なくとも約2nM、代替的には少なくとも約1nM、またはそれを超える親和性の標的に対するKdを有する分子によって示され得る。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、多重特異性抗原結合タンパク質がいずれの他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく特定のポリペプチド上の特定のポリペプチドまたはエピトープに結合する結合を指す。
【0055】
「結合親和性」とは、分子(例えば、多重特異性抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一結合部位の間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別段示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)で表され得る。例えば、Kdは、約200nM以下、約150nM以下、約100nM以下、約60nM以下、約50nM以下、約40nM以下、約30nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約8nM以下、約6nM以下、約4nM以下、約2nM以下、または約1nM以下であり得る。親和性は、本明細書に記載のものを含む当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定され得る。低親和性抗体は、一般に、抗原にゆっくり結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は、一般に、抗原により早く結合し、より長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当該技術分野で既知であり、これらのいずれも、本明細書に提供される方法及び組成物の目的のために使用され得る。
【0056】
一実施形態では、本発明による「Kd」または「Kd値」は、25℃で、-10の応答単位(RU)で固定化標的(例えば、抗原)CM5チップを用いて、BIAcore(商標)-2000またはBIAcore(商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用した表面プラズモン共鳴アッセイ使用して測定される。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化される。10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)を用いて抗原を5μg/mL(約0.2μM)になるまで希釈した後、5μL/分の流量で注入して、およそ10の応答単位(RU)のカップリングしたタンパク質を得る。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基をブロックする。動態測定について、Fabの2倍段階希釈液(例えば、0.78nM~500nM)は、0.05%のTween20を有するPBS(PBST)中に、約25uL/分の流量で、25℃で注入される。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、会合センサグラム及び解離センサグラムを同時に適合することによって、単純1対1Langmuir結合モデル(BIAcore Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して計算される。平衡解離定数(Kd)は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。上記表面プラズモン共鳴アッセイによる結合速度が106M-1s-1を超える場合、結合速度は、ストップトフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌レッドキュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定される、増加する抗原濃度の存在下、25℃で、PBS中20nMの抗抗原抗体(Fab形態)(pH7.2)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加または減少を測定する蛍光消光技術を使用することによって決定され得る。
【0057】
本明細書における「活性な」または「活性」とは、天然のまたは天然に存在するポリペプチドの生物学的及び/または免疫学的活性を保持するポリペプチドの形態(複数可)を指し、「生物学的」活性とは、天然のまたは天然に存在するポリペプチドが有する抗原エピトープに対する抗体の産生を誘導する能力以外の天然のまたは天然に存在するポリペプチドによって引き起こされる生物学的機能(阻害または刺激のいずれか)を指し、「免疫学的」活性とは、天然のまたは天然に存在するポリペプチドが有する抗原エピトープに対する抗体の産生を誘導する能力を指す。
【0058】
抗体、断片、またはその誘導体などの本明細書に提供される多重特異性抗原結合タンパク質に関する「生物学的に活性」及び「生物学的活性」及び「生物学的特徴」は、別段の特定の場合を除き、生物学的分子を結合する能力を有することを意味する。
【0059】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を具体的に包含するが、これは、それらが所望の生物活性を呈する場合に限る。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書で抗体と同義に使用される。
【0060】
抗体は、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子であり、それらの構造は全て免疫グロブリン折り畳みに基づく。例えば、IgG抗体は、ジスルフィド結合して機能的抗体を形成する2つの「重」鎖及び2つの「軽」鎖を有する。各重鎖及び軽鎖はそれ自体、「定常」(C)領域及び「可変」(V)領域を含む。V領域が抗体の抗原結合特異性を決定する一方で、C領域は、構造的支持を提供し、免疫エフェクターとの非抗原特異的相互作用において機能する。抗体または抗体の抗原結合断片の抗原結合特異性は、特定の抗原に特異的に結合する抗体の能力である。
【0061】
抗体の抗原結合特異性は、V領域の構造的特徴によって決定される。可変性は、可変ドメインの110アミノ酸長にわたって均等に分布していない。代わりに、V領域は、各9~12アミノ酸長の「超可変領域」と呼ばれる極度の可変性を有するより短い領域によって分離される15~30個のアミノ酸を有するフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の伸長からなる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、主にβシート構成を採用し、3つの超可変領域により連結され、βシート構造に連結し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する4つのFRを含む。各鎖における超可変領域は、FRによって、他方の鎖の超可変領域と近接して保持されており、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与していないが、抗体の抗体依存性細胞毒性(ADCC)への関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
【0062】
各V領域は、典型的には、3つの相補性決定領域(各々が「超可変ループ」を含む「CDR」)、及び4つのフレームワーク領域を含む。したがって、特定の所望の抗原に対して実質的な親和性で結合するために必要とされる最小の構造単位である抗体結合部位は、典型的には、3つのCDRと、適切な立体配座でのCDRを保持し提示するためにそれらの間に散在する少なくとも3つ、好ましくは4つのフレームワーク領域とを含む。古典的な4つの鎖抗体は、VHドメイン及びVLドメインが協働して定義される抗原結合部位を有する。ラクダ及びサメ抗体などのある特定の抗体は、軽鎖を欠き、重鎖のみによって形成される結合部位に依存する。単一ドメインの操作された免疫グロブリンは、VHとVLとの間に協働がない場合、結合部位が重鎖または軽鎖のみによって形成されるように調製され得る。
【0063】
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定の部分が抗体の中で大きく異なり、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって均等には分布していない。これは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメイン中の超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、主にβシート構成を採用し、3つの超可変領域により連結され、βシート構造に連結し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する4つのFRを含む。各鎖における超可変領域は、FRによって、他方の鎖の超可変領域と近接して保持されており、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与していないが、抗体の抗体依存性細胞毒性(ADCC)への関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
【0064】
「超可変領域」という用語は、本明細書で使用されるとき、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」(例えば、VLでは、ほぼ、残基24~34(L1)、50~56(L2)、及び89~97(L3)、ならびにVHでは、ほぼ、31~35B(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3)(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、及び/または「超可変ル-プ」からのそれらの残基(例えば、VLでは、残基26~32(L1)、50~52(L2)、及び91~96(L3)、ならびにVHでは、26~32(H1)、52A~55(H2)、及び96~101(H3)(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))からのアミノ酸残基を含み得る。
【0065】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義されるような超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0066】
抗体または半抗体との関連での「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230までの伸展と定義される(Burton,Molec.Immunol.22:161-206(1985)。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖内S-S結合を形成する最初及び最後のシステイン残基を同じ位置に入れることによってIgG1配列と整列し得る。
【0067】
Fc領域の「下部ヒンジ領域」は、通常、ヒンジ領域のすぐC末端にある残基の伸展、すなわち、Fc領域の残基233~239と定義される。本出願の前は、FcγR結合は、概して、IgG Fc領域の下部ヒンジ領域におけるアミノ酸残基に起因するものであった。
【0068】
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、通常、IgGの残基約231から約340まで延びる。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対合されないという点で特有である。むしろ、2つのN結合分岐状炭水化物鎖がインタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間に介在する。炭水化物がドメイン-ドメイン対合の代替を提供し、CH2ドメインを安定させるのに役立ち得ることが推測されている。Burton,Molec.Immunol.22:161-206(1985)
【0069】
「CH3ドメイン」は、Fc領域におけるC末端からCH2ドメインまで(すなわち、IgGのアミノ酸残基約341からアミノ酸残基約447)の残基の伸展を含む。
【0070】
「抗体断片」は、無傷抗体の一部分を含み、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;タンデムダイアボディ(taDb)、線状抗体(例えば、米国特許第5,641,870号の実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995);一アーム抗体、単一可変ドメイン抗体、ミニボディ、一本鎖抗体分子;抗体断片から形成される多重特異性抗体(例えば、Db-Fc、taDb-Fc、taDb-CH3、(scFV)4-Fc、ジ-scFv、バイ-scFv、またはタンデム(ジ、トリ)-scFvが挙げられるが、これらに限定されない);及び二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTEs)が挙げられる。
【0071】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して表記される1つの残留「Fc」断片とが産生される。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)とともに全L鎖、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン処理により、単一の大きいF(ab’)2断片が産出され、これは、概して、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片に対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にさらなる数個の残基を有する点でFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものであった。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも既知である。
【0072】
「Fv」は、完全な抗原-認識及び抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、緊密な非共有結合性会合にある1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この構成において、各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用して、VH-VL二量体の表面上に抗原結合部位を画定する。集合的に、6つの超可変領域は、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(または抗原に特異的な超可変領域を3つのみ含むFvの半分)でさえも、抗原を認識してそれに結合する能力を有するが、全結合部位よりも親和性が低い。
【0073】
Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端への数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が少なくとも1つの遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものであった。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも既知である。
【0074】
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明らかに異なる種類のうちの1つに割り当てられ得る。
【0075】
抗体は、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当てられ得る。無傷抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分割され得る。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元構成は、周知である。
【0076】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチドに存在している。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これは、scFvが抗原結合に所望の構造を形成することを可能にする。scFvに関する概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0077】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小抗体断片を指し、これらの断片は、同じポリペプチド鎖内の軽鎖可変ドメイン(VL)に接続した重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH-VL)。同じ鎖上の2つのドメイン間での対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させ、2つの抗原結合部位を生成することができる。ダイアボディは、例えば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)により詳しく記載されている。
【0078】
本明細書で使用される「半抗体」または「ヘミマー」は、一価の抗原結合ポリペプチドを指す。ある特定の実施形態では、半抗体またはヘミマーは、VH/VL単位、及び任意に免疫グロブリン定常ドメインの少なくとも一部を含む。ある特定の実施形態では、半抗体またはヘミマーは、1つの免疫グロブリン軽鎖に関連する1つの免疫グロブリン重鎖、またはその抗原結合断片を含む。ある特定の実施形態では、半抗体またはヘミマーは、単一-特異性であり、すなわち、単一抗原またはエピトープを結合する。当業者は、半抗体が、単一可変ドメインからなる、例えば、ラクダ科に由来する抗原結合ドメインを有し得ることを容易に理解するであろう。
【0079】
「VH/VL単位」という用語は、少なくとも1つのVH HVR及び少なくとも1つのVL HVRを含む抗体の抗原結合領域を指す。ある特定の実施形態では、VH/VL単位は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのVH HVR、及び少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのVL HVRを含む。ある特定の実施形態では、VH/VL単位は、フレームワーク領域の(FR)少なくとも一部をさらに含む。いくつかの実施形態では、VH/VL単位は、3つのVH HVR及び3つのVL HVRを含む。いくつかのそのような実施形態では、VH/VL単位は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または4つ全てのVH FR、及び少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または4つ全てのVL FRを含む。
【0080】
「多重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、多重エピトープ特異性を有する(すなわち、1つの生物学的分子上の2つもしくはそれ以上の異なるエピトープに特異的に結合することができるか、または2つもしくはそれ以上の異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる)抗原結合ドメインを含む抗体を具体的に網羅する。いくつかの実施形態において、多重特異性抗体(二重特異性抗体または二価のF(ab’)2など)の抗原結合ドメインは、2つのVH/VL単位を含み、第1のVH/VL単位は、第1のエピトープに特異的に結合し、第2のVH/VL単位は、第2のエピトープに特異的に結合し、各VH/VL単位は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。そのような多重特異性抗体としては、完全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体断片(Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、及びトリアボディなど)、共有結合的または非共有結合的に連結されている抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。重鎖定常領域の少なくとも一部分及び/または軽鎖定常領域の少なくとも一部分をさらに含むVH/VL単位は、「ヘミマー」または「半抗体」とも称され得る。いくつかの実施形態では、半抗体は、単一の重鎖可変領域の少なくとも一部分及び単一の軽鎖可変領域の少なくとも一部分を含む。いくつかのそのような実施形態では、2つの半抗体を含み、かつ2つの抗原に結合する二重特異性抗体は、第1の抗原または第1のエピトープに結合するが、第2の抗原または第2のエピトープには結合しない第1の半抗体、及び第2の抗原または第2のエピトープに結合するが、第1の抗原または第1のエピトープには結合しない第2の半抗体を含む。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体は、5M~0.001pM、3M~0.001pM、1M~0.001pM、0.5M~0.001pM、または0.1M~0.001pMの親和性で各抗原またはエピトープに結合するIgG抗体である。いくつかの実施形態において、ヘミマーは、第2のヘミマーとの分子内ジスルフィド結合が形成されることを可能にするのに十分な重鎖可変領域の一部分を含む。いくつかの実施形態において、ヘミマーは、例えば、相補的ホール変異またはノブ変異を含む第2のヘミマーまたは半抗体とのヘテロ二量体化を可能にする、ノブ変異またはホール変異を含む。ノブ変異及びホール変異は、以下でさらに論じられる。
【0081】
「二重特異性抗体」は、1つの生物学的分子上の2つの異なるエピトープに特異的に結合することができるか、または2つの異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体である。二重特異性抗体はまた、本明細書において、「二重特異性」を有するもの、または「二重特異性」であるとも称される。別途示されない限り、二重特異性抗体によって結合される抗原が二重特異性抗体名で列記される順序は無作為である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一の重鎖可変領域及び任意に重鎖定常領域の少なくとも一部分、ならびに単一の軽鎖可変領域及び任意に軽鎖定常領域の少なくとも一部分を含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一の重鎖可変領域及び単一の軽鎖可変領域を含み、1つよりも多くの単一の重鎖可変領域を含まず、1つよりも多くの単一の軽鎖可変領域を含まない。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一の重鎖可変領域及び単一の軽鎖可変領域を含み、第1の半抗体は、第1の抗原に結合し、第2の抗原には結合せず、第2の半抗体は、第2の抗原に結合し、第1の抗原には結合しない。
【0082】
本明細書で使用される場合、「ノブイントゥホール」または「KiH」技術という用語は、2つのポリペプチドを、それらが相互作用する界面で一方のポリペプチドに隆起(ノブ)を導入し、他方のポリペプチドに空洞(ホール)を導入することによって、インビトロまたはインビボでの対合を指向する技術を指す。例えば、KiHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1界面、またはVH/VL界面に導入されている(例えば、US2011/0287009、US2007/0178552、WO96/027011、WO98/050431、及びZhu et al.,1997,Protein Science6:781-788を参照されたい)。いくつかの実施形態において、KiHにより、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖の対合が駆動される。例えば、それらのFc領域内にKiHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインをさらに含み得るか、または類似のもしくは異なる軽鎖可変ドメインと対合する異なる重鎖可変ドメインをさらに含み得る。KiH技術を使用して、2つの異なる受容体細胞外ドメインを一緒に、または異なる標的認識配列(例えば、アフィボディ(affibody)、ペプチボディ(peptibody)、及び他のFc融合物を含む)を含む任意の他のポリペプチド配列を対合することもできる。
【0083】
本明細書で使用される「ノブ変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面で隆起(ノブ)をポリペプチドに導入する変異を指す。いくつかの実施形態では、他方のポリペプチドは、ホール変異を有する(例えば、各々が参照により全体が本明細書に組み込まれる、US5,731,168、US5,807,706、US5,821,333、US7,695,936、US8,216,805を参照されたい)。
【0084】
本明細書で使用される「ホール変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面で空洞(ホール)をポリペプチドに導入する変異を指す。いくつかの実施形態では、他方のポリペプチドは、ノブ変異を有する(例えば、各々が参照により全体が本明細書に組み込まれる、US5,731,168、US5,807,706、US5,821,333、US7,695,936、US8,216,805を参照されたい)。
【0085】
「単一ドメイン抗体」(sdAb)または「単一可変ドメイン(SVD)抗体」という表現は、一般に、単一可変ドメイン(VHまたはVL)が抗原結合を付与し得る抗体を指す。言い換えれば、単一可変ドメインは、標的抗原を認識するために別の可変ドメインと相互作用する必要はない。単一ドメイン抗体の例としては、ラクダ科動物(ラマ及びラクダ)ならびに軟骨魚類(例えば、テンジクザメ)由来の抗体、ならびにヒト及びマウス抗体由来の組換え方法から得られる抗体が挙げられる(Nature(1989)341:544-546、Dev Comp Immunol(2006)30:43-56、Trend Biochem Sci(2001)26:230-235、Trends Biotechnol(2003):21:484-490、WO2005/035572、WO03/035694、FEBS Lett(1994)339:285-290、WO00/29004、WO02/051870)。
【0086】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を含む個々の抗体は、モノクローナル抗体の産生中に生じ得る想定される変異体を除いて、同一であり、及び/または同じエピトープに結合し、そのような変異体は、一般に、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンによって汚染されない点でも有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本明細書に提供される方法に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler et al.,Nature256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって作製されても、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製されてもよい。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al.,Nature352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)に記載される技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0087】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体、ならびにそれらが所望される生物学的活性を呈する限りはそのような抗体の断片を含む(米国特許第4,816,567号、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:6851-6855(1984))。本明細書において対象となるキメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル、またはカニクイザルなどの旧世界ザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が挙げられる(米国特許第5,693,780号)。
【0088】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置き換えられる、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも供与体抗体にも見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能をさらに改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、上述のFR置換(複数可)を除いて、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、かつFRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、任意に、免疫グロブリン定常領域、典型的には、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。
【0089】
本明細書では、「無傷抗体」は、重及び軽可変ドメイン、ならびにFc領域を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒトの天然配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであり得る。好ましくは、無傷抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有する。
【0090】
「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖が1つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合している一方で、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖はまた、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(VH)を有し、いくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(VL)を有し、その他方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。
【0091】
「裸抗体」は、細胞毒性部分などの異種分子または放射標識に複合されない(本明細書に定義される)抗体である。
【0092】
本明細書で使用されるとき、「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを組み合わせた分子を指す。構造的に、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を有するアミノ酸配列(このアミノ酸配列は、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(すなわち、抗体の定常領域と比較して「異種」である))と、免疫グロブリン定常ドメイン配列(例えば、IgGのCH2及び/またはCH3配列)。例示的なアドヘシン配列としては、目的とするタンパク質に結合する受容体またはリガンドの一部分を含む連続したアミノ酸配列が挙げられる。アドヘシン配列は、目的とするタンパク質に結合するが、受容体またはリガンド配列ではない配列(例えば、ペプチボディにおけるアドヘシン配列)でもあり得る。そのようなポリペプチド配列は、ファージディスプレイ技法及び高スループット選別方法を含む種々の方法によって選択または特定され得る。イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、またはIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD、またはIgMなどの任意の免疫グロブリンから得られ得る。
【0093】
ある特定の実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、抗体、二重特異性抗体、またはFc-融合タンパク質である。
【0094】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法によって生成されるFc-融合タンパク質は、標的化免疫サイトカインである。ある特定の実施形態では、標的化免疫サイトカインは、CEA-IL2v免疫サイトカインである。ある特定の実施形態では、CEA-IL2v免疫サイトカインは、RG7813である。ある特定の実施形態では、標的化免疫サイトカインは、FAP-IL2v免疫サイトカインである。ある特定の実施形態では、FAP-IL2v免疫サイトカインは、RG7461である。
【0095】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法によって生成される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、CEA及び少なくとも1つの追加の標的分子を結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法によって生成される多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、腫瘍標的化サイトカイン及び少なくとも1つの追加の標的分子を結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法によって生成される多重特異性抗体は、IL2v(すなわち、インターロイキン2価)及び少なくとも1つの追加の標的分子に融合される。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法によって生成される多重特異性抗体は、T-細胞二重特異性抗体(すなわち、二重特異性T-細胞エンゲージャーまたはBiTE)である。
【0096】
いくつかの実施形態では、抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞毒性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体の下方調節が挙げられる。
【0097】
「補体依存性細胞毒性」または「CDC」とは、補体の存在下で標的を溶解させる分子の能力を指す。補体活性化経路は、補体系(C1q)の第1の成分の、同種抗原と複合した分子(例えば、ポリペプチド(例えば、抗体))への結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods202:163(1996)に記載されるようなCDCアッセイが行われ得る。
【0098】
「抗体依存性細胞媒介細胞毒性」及び「ADCC」とは、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介性反応を指す。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。対象となる分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されるようなインビトロADCCアッセイを行ってもよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、または加えて、対象となる分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルにおいて評価してもよい。
【0099】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、かつエフェクター機能を実行する白血球である。いくつかの実施形態では、これらの細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞、及び好中球を含み、PBMC及びNK細胞が好ましい。
【0100】
「Fc受容体」または「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明するために使用される。いくつかの実施形態では、FcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び選択的スプライシング形態を含む、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol9:457-92(1991)、Capel et al.,Immunomethods4:25-34(1994)、及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.
”126:330-41(1995)に概説される。将来的に特定されるものも含む他のFcRは、本明細書における「FcR」という用語に包含される。この用語は、母体IgGsの胎児への移行に関与している新生児受容体FcRnも含む(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))。
【0101】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、同義に使用され、外因性核酸が中に導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞としては、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が挙げられ、これらは、初代形質転換細胞及び継代の数にかかわらずそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と核酸含量の点で完全に同一ではないが、変異を含み得る。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
【0102】
「不純物」とは、所望のポリペプチド生成物とは異なる物質を指す。不純物とは、一アーム抗体及びミスアセンブリングされた抗体、塩基性バリアント及び酸性バリアントを含む抗体バリアント、ならびに凝集体などの生成物-特異的ポリペプチドを指し得る。他の不純物としては、これらに限定されないが、宿主細胞タンパク質(HCP)などの宿主細胞物質、浸出されたプロテインA、核酸、別のポリペプチド、内毒素、ウイルス性混入物、細胞培養培地構成成分などを含むプロセス特異的不純物が挙げられる。いくつかの例では、不純物は、例えばこれらに限定されないが、細菌性細胞、例えばE.coli細胞(ECP)、昆虫細胞、原核細胞、真核細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、真菌細胞からのHCPであってもよい。いくつかの例では、不純物は、CHO細胞、すなわち、CHO細胞タンパク質(CHOP)などの哺乳動物細胞からのHCPであってもよい。不純物は、例えば、FkpA、DsbA、及びDsbCなどの原核生物シャペロンなど、多重特異性抗体の発現、折り畳み、またはアセンブリを容易にするために使用される付属タンパク質を指し得る。
【0103】
本明細書で使用される「複合体」または「複合した」は、ペプチド結合でない結合及び/または力(例えば、ファンデルワールス力、疎水性力、親水性力)を通して互いに相互作用する2つ以上の分子の会合を指す。一実施形態では、複合体は、ヘテロ多量体である。本明細書で使用される「タンパク質複合体」または「ポリペプチド複合体」という用語は、タンパク質複合体(例えば、これらに限定されないが、毒素または検出剤などの化学分子を含む)中でタンパク質コンジュゲートされる非タンパク質の主体を有する複合体を含むことが理解されるべきである。
【0104】
「単離された」核酸とは、その天然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、通常は核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子を含むが、その核酸分子が染色体外に、またはその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0105】
基準ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するように、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後に、かついかなる保存的置換も配列同一性の一部とは見なさずに、候補配列内のアミノ酸残基が、基準ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一であるパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するための整列は、当該技術分野の範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者であれば、比較されている配列の完全長にわたって最大の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。ある特定の実施形態では、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって記述され、ソースコードは、ユーザ文書とともに米国著作権庁(Washington D.C.,20559)に提出されており、米国著作権番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムで使用する場合はコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムにより設定されており、変動しない。
【0106】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況下で、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対する所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(代替的に、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
【0107】
式中、Xは、配列整列プログラムALIGN-2によってそのプログラムのAとBとの整列において完全な一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは等しくないことが理解される。別途具体的に示されない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
【0108】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は一般に、類似の構造を有し、各ドメインが4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えば、Kindt et al.,Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page91(2007)を参照されたい。)単一のVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、VHドメインまたはVLドメインを使用して抗原に結合する抗体から単離されて、それぞれ相補的VLドメインまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol150:880-887(1993)、Clarkson et al.,Nature352:624-628(1991)を参照されたい。
【0109】
本明細書で使用されるとき、「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及び中に導入される宿主細胞のゲノム内に組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが操作可能に連結している核酸の発現を誘導することができる。そのようなベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称される。
【0110】
クロマトグラフィーに関して本明細書で使用される「逐次的な」という用語は、特定の配列におけるクロマトグラフィーのステップ、例えば、第1のクロマトグラフィーのステップ、その後に続く第2のクロマトグラフィーのステップ、その後に続く第3のクロマトグラフィーのステップを指す。さらなるステップは、逐次的なクロマトグラフィーのステップの間に含まれ得る。
【0111】
クロマトグラフィーに関して本明細書で使用される「連続」という用語は、直接または第1のクロマトグラフィー材料と第2のクロマトグラフィー材料との間の連続流を可能にするいくつかの他の機構を介して接続されたこれらの2つのクロマトグラフィー材料を有することを指す。
【0112】
「装填密度」とは、クロマトグラフィー材料の体積(例えば、リットル)と接触した組成物の量(例えば、グラム)を指す。いくつかの例では、装填密度は、g/Lで表わされる。
【0113】
「試料」とは、より大量の材料のわずか一部を指す。一般に、本明細書に記載の方法に従う試験は、試料で行われる。試料は、典型的には、例えば、培養された組換えポリペプチド発現細胞株(本明細書で「産物細胞株」とも称される)から、または培養された宿主細胞から得られる組換えポリペプチド調製物から得られる。本明細書で使用されるとき、「宿主細胞」は、目的とする組換えポリペプチドまたは産物の発現のための遺伝子を含有しない。試料は、例えば、採取された細胞培養液から、精製プロセスのある特定のステップでのインプロセスプールから、または最終精製産物から得られ得るが、これらに限定されない。試料はまた、希釈剤、緩衝剤、洗剤、及び汚染物質種、所望の分子(多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体など)とともに混合されて見出される残屑などを含む。
【0114】
本明細書において「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする変動を含む(及び説明する)。例えば、「約X」を言及する記述は、「X」の記述を含む。
【0115】
本明細書に記載される本発明の態様及び実施形態が、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。
【0116】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a(1つの)」、「or(または)」、及び「the(その)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書に記載の本発明の態様及び変形は、態様及び変形「からなる」及び/または「本質的にからなる」を含むことが理解される。
【0117】
特許出願及び公報を含む本明細書で引用される全ての参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0118】
多重特異性抗体の精製方法
多重特異性抗体を精製するための方法が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体は、第1の標的を結合する第1のF(ab)及び第2の標的を結合する第2のF(ab)を含む二価のF(ab’)2である。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体、すなわち、アミノ酸配列において同一である2つの抗原結合アームを有する抗体であり、各Fabアームは、2つの抗原(二重作用Fab抗体など)を認識することが可能である。
【0119】
いくつかの態様では、多重特異性抗体の精製は、逐次的な、捕獲クロマトグラフィーのステップ、第1の混合モードクロマトグラフィーのステップ、及び第2の混合モードクロマトグラフィーのステップを含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、捕獲クロマトグラフィーの前にアセンブリングされる。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、捕獲クロマトグラフィーの後にアセンブリングされる。
【0120】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体(二重特異性抗体または二価のF(ab’)2など)は、2つ以上の抗体のアームを含み、異なる抗体のアームは、異なるエピトープを結合する。ある特定の実施形態では、異なるエピトープは、同じ抗原上にある。ある特定の実施形態では、各エピトープは、異なる抗原上にある。ある特定の実施形態では、抗体のアームは、VH/VL単位を含む。ある特定の実施形態では、抗体のアームは、半抗体としても既知のヘミマーを含む。アセンブリを容易にするために、ある特定の実施形態では、1つの抗体のアームの重鎖は、「ノブ」を含むように修飾され、別の抗体のアームの重鎖は、第1の重鎖のノブが第2の重鎖のホールに適合するように「ホール」を含む。
【0121】
ある特定の実施形態では、多重特異性抗体の各アームは、別個の細胞培養中で産生される。宿主細胞中で抗体のアームの発現後、全体の細胞ブロスは、収集及び均質化され、抗体のアームが抽出される。ある特定の実施形態では、ポリエチレンイミン(PEI)は、クロマトグラフィーの前に細胞溶解液に添加される。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、クロマトグラフィーの前に遠心分離される。次いで、多重特異性抗体の各アームは、捕獲クロマトグラフィーによって精製される(各アームが、別個のクロマトグラフィーカラムまたは膜上で精製されるように)。ある特定の実施形態では、捕獲クロマトグラフィーは、親和性クロマトグラフィーである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィーである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインGクロマトグラフィーである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、タンパク質A/Gクロマトグラフィーである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインLクロマトグラフィーである。捕獲クロマトグラフィー後、精製された抗体のアームは、例えば、SDS-PAGE、SECクロマトグラフィー、質量分析などによって分析され得る。次いで、多重特異性抗体の精製されたアームは、本明細書の他でさらに詳細に論じられるように、組み合わされて、アセンブリングすることが可能になる。
【0122】
他の実施形態では、多重特異性抗体の各アームは、別個の細胞培養中で産生される。宿主細胞中で抗体のアームの発現後、全体の細胞ブロスは、収集及び均質化される。次いで、各培養の細胞ホモジネートは混合され、組み合わされた抗体のアームが抽出される。いくつかの実施形態では、ポリエチレンイミン(PEI)は、クロマトグラフィーの前に細胞溶解液に添加される。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、クロマトグラフィーの前に遠心分離される。次いで、多重特異性抗体の組み合わされたアームは、親和性クロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィーである。この時点で、精製された抗体のアームは、例えば、SDS-PAGE、SECクロマトグラフィー、質量分析などによって分析され得る。次いで、多重特異性抗体の精製されたアームは、本明細書に説明される方法によって、組み合わされて、アセンブリングすることが可能になる。
【0123】
他の実施形態では、多重特異性抗体の各アームは、同じ細胞培養中で産生される。宿主細胞中で抗体のアームの発現後、全体の細胞ブロスは、収集及び均質化され、抗体のアームが抽出される。いくつかの実施形態では、ポリエチレンイミン(PEI)は、クロマトグラフィーの前に細胞溶解液に添加される。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、クロマトグラフィーの前に遠心分離される。次いで、多重特異性抗体のアームは、親和性クロマトグラフィーによって精製される。いくつかの実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィーである。この時点で、精製された抗体のアームは、例えば、SDS-PAGE、SECクロマトグラフィー、質量分析などによって分析され得る。次いで、多重特異性抗体の精製されたアームは、本明細書に説明される方法によって集合することが可能になる。
【0124】
いくつかの実施形態では、細胞溶解液中のPEIの最終濃度は、少なくとも約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、または約5.0のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、細胞溶解液中のPEIの最終濃度は、約0.1%~約5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、約0.5%~約5%、約0.5%~約1%、または約1%~約5%のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解液は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、または約24時間のうちのいずれかを超える間保持される。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解液は、約1時間~24時間、1時間~6時間、6時間~12時間、12時間~18時間、18時間~24時間のうちのいずれかを超える間保持される。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解液は、約10時間~14時間のうちのいずれかの間保持される。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解液は、約4℃~37℃で保持される。いくつかの実施形態では、PEIを含む細胞溶解液は、約周囲温度で保持される。
【0125】
いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、クロマトグラフィーの前に遠心分離によって浄化される。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、クロマトグラフィーの前に濾過される。いくつかの実施形態では、細胞溶解液は、クロマトグラフィーの前に0.22μmのフィルターを介して濾過される。
【0126】
親和性クロマトグラフィーの例としては、これらに限定されないが、例えば、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインA/Gクロマトグラフィー、またはプロテインLクロマトグラフィーが挙げられる。親和性クロマトグラフィー材料の例としては、これらに限定されないが、ProSep(登録商標)-vA、ProSep(登録商標)Ultra Plus、プロテインAセファロース(登録商標)ファストフロー、Toyopearl(登録商標)AF-rプロテインA、MabSelect(商標)、MabSelect SuRe(商標)、MabSelect SuRe(商標)LX、KappaSelect、CaptureSelect(商標)、及びCaptureSelect(商標)FcXLが挙げられる。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィー材料は、カラム中にある。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、「結合及び溶出モード」(代替的には「結合及び溶出プロセス」と称される)で行われる。「結合及び溶出モード」は、試料中の生成物(多重特異性抗体など)親和性クロマトグラフィー材料を結合する生成物分離技術を指し、親和性クロマトグラフィー材料から逐次的に溶出される。いくつかの実施形態では、溶出は、移動相の組成物が溶出プロセスの間に1つまたはいくつかの場合に段階的に変更される段階溶出である。ある特定の実施形態では、溶出は、移動相の組成物が溶出プロセスの間に連続的に変更される勾配溶出である。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィー材料は、膜である。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインAクロマトグラフィーである。ある特定の実施形態では、プロテインAクロマトグラフィーは、MAbSelect SuReクロマトグラフィーである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、CaptureSelectクロマトグラフィーである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、CaptureSelect FcXLクロマトグラフィーである。
【0127】
ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーのステップの溶出物は、逐次的に、第1の混合モードクロマトグラフィーに適用される。ある特定の実施形態では、第1の混合モード材料は、以下の官能性、アニオン交換、カチオン交換、水素結合、pi-pi結合相互作用、親水性相互作用、親チオ性相互作用、及び疎水性相互作用のうちのいずれか1つ以上が可能である官能基を含む。ある特定の実施形態では、第1の混合モード材料は、アニオン交換及び疎水性相互作用が可能である官能基を含む。ある特定の実施形態では、第1の混合モード材料は、カチオン交換及び疎水性相互作用が可能である官能基を含む。ある特定の実施形態では、第1の混合モード材料は、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミン、4-メルカプト-エチル-ピリジン、2-ベンズアミド-4-メルカプトブタン酸、ヘキシルアミン、またはフェニルプロピルアミン、または架橋ポリアリルアミンを含む。混合モード材料の例としては、Capto(商標)Adhere樹脂、Capto(商標)MMC樹脂、MEP HyperCel(商標)樹脂、HEA HyperCel(商標)樹脂、PPA HyperCel(商標)樹脂、Eshmuno(登録商標)HCX、Capto(商標)Adhere ImpRes、Capto(商標)MMC Impres、Nuvia(商標)cPrime(商標)膜が挙げられる。いくつかの実施形態では、第1の混合モード材料は、Capto(商標)Adhere樹脂である。ある特定の実施形態では、第1の混合モード材料は、Capto(商標)Adhere樹脂である。ある特定の実施形態では、第1の混合モード材料は、Capto(商標)MMCである。ある特定の実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含まない。ある特定の実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで行われる。いくつかの実施形態では、溶出は、段階溶出である。ある特定の実施形態では、溶出は、勾配溶出である。ある特定の実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで行われる。上記のある特定の実施形態では、第1の混合モード材料は、カラム中にある。上記のある特定の実施形態では、第1の混合モード材料は、膜内にある。
【0128】
ある特定の実施形態では、捕獲クロマトグラフィー及び第1の混合モードクロマトグラフィーは、連続的であり、例えば、捕獲クロマトグラフィー材料及び第1の混合モード材料は、直接的に接続されるか、または捕獲クロマトグラフィー材料と第1の混合モード材料との間の連続流を可能にするいくつかの他の機序によって接続されるかのいずれかである。ある特定の実施形態では、捕獲クロマトグラフィー及び第1の混合モードクロマトグラフィーは、連続的であり、第1の混合モードクロマトグラフィーは、捕獲クロマトグラフィーの直後に行われる。
【0129】
ある特定の実施形態では、捕獲クロマトグラフィーの溶出物は、第1の混合モードの樹脂に適用される前に1つ以上の追加のクロマトグラフィーのステップにかけられる。例えば、捕獲クロマトグラフィーの溶出物は、第1の混合モードクロマトグラフィーにかけられる前に、任意の順序及び/または任意の組み合わせで以下のクロマトグラフィーのステップ、疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィー、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)などのうちのいずれか1つ以上にかけられ得る。
【0130】
疎水性相互作用クロマトグラフィーは、生体分子を疎水性に従って分離する液体クロマトグラフィー技術である。HICクロマトグラフィー材料の例としては、これらに限定されないが、例えば、Toyopearl(登録商標)ヘキシル-650、Toyopearl(登録商標)ブチル-650、Toyopearl(登録商標)フェニル-650、Toyopear(登録商標)lエーテル-650、HiTrap(登録商標)セファロース、オクチルセファロース(登録商標)、フェニルセファロース(登録商標)、ブチルセファロース(登録商標)が挙げられる。いくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィー材料は、フェニルセファロースを含む。ある特定の実施形態では、HICクロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで行われる。いくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで行われる。上記のいくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィー材料は、カラム中にある。上記のいくつかの実施形態では、HICクロマトグラフィー材料は、膜内にある。
【0131】
アニオン交換クロマトグラフィー材料は、正に荷電しており、かつ固相を通るか、または通過した水溶液(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)中のアニオンとの交換のために遊離アニオンを有する固相である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、アニオン交換材料は、膜、モノリス、または樹脂であり得る。一実施形態では、アニオン交換材料は、樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、陰イオン交換材料は、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、または第四級アンモニウムイオン官能基、ポリアミン官能基、またはジエチルアミノアエチル(diethylaminoaethyl)官能基を含み得る。アニオン交換材料の例は、当該技術分野で既知であり、これらに限定されないが、Poros(登録商標)HQ50、Poros(登録商標)PI50、Poros(登録商標)D、Mustang(登録商標)Q、Qセファロース(登録商標)ファストフロー(QSFF)、第四級メチルアミン(QMA)樹脂を含むAccell(商標)、Sartobind STIC(登録商標)、及びDEAE-セファロース(登録商標)を含む。いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで行われる。いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで行われる。上記のいくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィー材料は、カラム中にある。上記のいくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィー材料は、膜内にある。
【0132】
カチオン交換クロマトグラフィー材料は、負に荷電しており、かつ固相を通るか、または通過した水溶液(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)中のアニオンとの交換のために遊離アニオンを有する固相である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、カチオン交換材料は、膜、モノリス、または樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、カチオン交換材料は、樹脂であり得る。カチオン交換材料は、例えば、スルホン酸塩、カルボキシル、カルボキシメチルスルホン酸、スルホイソブチル、スルホエチル、カルボキシル、スルホプロピル、スルホニル、スルホキシエチル、またはオルトリン酸塩であるが、これらに限定されないカルボン酸官能基またはスルホン酸官能基を含み得る。上記のいくつかの実施形態では、カチオン交換クロマトグラフィー材料は、カチオン交換クロマトグラフィーカラムである。上記のいくつかの実施形態では、カチオン交換クロマトグラフィー材料は、カチオン交換クロマトグラフィー膜である。当該技術分野で既知のカチオン交換材料の例は、これらに限定されないが、Mustang(登録商標)S、Sartobind(登録商標)S、SO3Monolith(例えば、CIM(登録商標)、CIMmultus(登録商標)、及びCIMac(登録商標)SO3など)、S Ceramic HyperD(登録商標)、Poros(登録商標)XS、Poros(登録商標)HS50、Poros(登録商標)HS20、スルホプロピル-セファロース(登録商標)ファストフロー(SPSFF)、SP-セファロース(登録商標)XL(SPXL)、CM セファロース(登録商標)ファストフロー、Capto(商標)S、Fractogel(登録商標)EMD Se Hicap、Fractogel(登録商標)EMD SO3
-、またはFractogel(登録商標)EMD COO-を含む。いくつかの実施形態では、カチオン交換クロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで行われる。いくつかの実施形態では、カチオン交換クロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで行われる。上記のいくつかの実施形態では、カチオン交換クロマトグラフィー材料は、カラム中にある。上記のいくつかの実施形態では、カチオン交換クロマトグラフィー材料は、膜内にある。
【0133】
ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)クロマトグラフィー材料の官能基は、結晶カルシウムイオン(C-部位)、及び結晶リン酸塩(P-部位)の三つ組に関連する6つの負に荷電された酸素原子のクラスターの正に荷電された対を含む。C-部位、P-部位、及びヒドロキシルは、結晶表面上に固定されたパターンで分布される。タンパク質は、典型的には、低濃度(例えば、10~25mM)のリン酸塩緩衝液中でヒドロキシアパタイトに吸収されるが、ある特定の酸性タンパク質は、水、食塩水、または非リン酸塩緩衝液中に装填される場合、吸収され得る。タンパク質は、通常、リン酸塩勾配を増加させることによって溶出されるが、Ca2+、Mg2+、またはCl-イオンの勾配もまた、塩基性タンパク質の選択的な溶出などに使用され得る。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料は、樹脂であり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料は、樹脂であり得る。上記のいくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料は、カラムである。当該技術分野で既知のヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー材料の例としては、これらに限定されないが、CHT(商標)セラミックヒドロキシアパタイト、CHTセラミックヒドロキシアパタイトI型担体、CHTセラミックヒドロキシアパタイトII型担体が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで行われる。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで行われる。
【0134】
一実施形態では、本明細書に報告される方法はさらに、Fcドメインを含む二重特異性抗体を二重特異性抗体を含む溶液から分離する方法を含み得、方法は、(a)溶液をヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー培地と接触させること、(b)二重特異性抗体をヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー培地に吸収させること、及び(c)塩化物イオンの存在下で二重特異性抗体をヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー培地から溶出することを含み、溶液は、1つ以上の断片がFcドメインを含む二重特異性抗体の1つ以上の断片をさらに含み、及び/または溶液は、二重特異性抗体の分子量を超える分子量を有する1つ以上のポリペプチドを含み、かつ1つ以上のポリペプチドがWO2015/024896に参照されるFcドメインをさらに含む二重特異性抗体の2つの重鎖のうちの少なくとも1つを含む。
【0135】
ある特定の実施形態では、捕獲クロマトグラフィーの溶出物は、アニオン交換クロマトグラフィーにかけられる。ある特定の実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィー材料は、Qセファロース(登録商標)ファストフロー(QSFF)である。ある特定の実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで行われる。
【0136】
ある特定の実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーの後に収集される溶出物は、逐次的に、第2の混合モードクロマトグラフィーに適用される。ある特定の実施形態では、第2の混合モード材料は、以下の官能性、アニオン交換、カチオン交換、水素結合、pi-pi結合相互作用、親水性相互作用、親チオ性相互作用、及び疎水性相互作用のうちのいずれか1つ以上が可能である官能基を含む。ある特定の実施形態では、第2の混合モード材料は、アニオン交換及び疎水性相互作用が可能である官能基を含む。ある特定の実施形態では、第2の混合モード材料は、カチオン交換及び疎水性相互作用が可能である官能基を含む。ある特定の実施形態では、第2の混合モード材料は、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミン、4-メルカプト-エチル-ピリジン、2-ベンズアミド-4-メルカプトブタン酸、ヘキシルアミン、またはフェニルプロピルアミン、または架橋ポリアリルアミンを含む。混合モード材料の例としては、Capto(商標)Adhere樹脂、Capto(商標)MMC樹脂、MEP HyperCel(商標)樹脂、HEA HyperCel(商標)樹脂、Eshmuno(登録商標)HCX、Capto(商標)Adhere ImpRes、Capto(商標)MMC Impres、Nuvia(商標)cPrime(商標)膜が挙げられる。いくつかの実施形態では、第2の混合モード材料は、Capto(商標)Adhere樹脂である。ある特定の実施形態では、第12混合モード材料は、Capto(商標)Adhere樹脂である。ある特定の実施形態では、第2の混合モード材料は、Capto(商標)MMCである。ある特定の実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーは、セラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含まない。ある特定の実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーは、「結合及び溶出」モードで行われる。いくつかの実施形態では、溶出は、段階溶出である。ある特定の実施形態では、溶出は、勾配溶出である。ある特定の実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーは、「フロースルー」モードで行われる。上記のある特定の実施形態では、第2の混合モード材料は、カラム中にある。上記のある特定の実施形態では、第2の混合モード材料は、膜内にある。
【0137】
ある特定の実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィー及び第2の混合モードクロマトグラフィーは、連続的であり、例えば、捕獲クロマトグラフィー材料及び第1の混合モード材料は、直接的に接続されるか、または捕獲クロマトグラフィー材料と第1の混合モード材料との間の連続流を可能にするいくつかの他の機序によって接続されるかのいずれかである。ある特定の実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィー及び第2の混合モードクロマトグラフィーは、連続的であり、第2の混合モードクロマトグラフィーは、第1の混合モードクロマトグラフィーの直後に行われる。
【0138】
ある特定の実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーの溶出物は、第2の混合モードの樹脂に適用される前に1つ以上の追加のクロマトグラフィーの操作にかけられる。例えば、第1の混合モードクロマトグラフィーの溶出物は、第2の混合モードクロマトグラフィーにかけられる前に、任意の順序及び/または任意の組み合わせで以下のクロマトグラフィーのステップ、疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィー、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)などのうちの1つ以上にかけられ得る。
【0139】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーの溶出物は、1つ以上の追加のクロマトグラフィーのステップにかけられる。例えば、第2の混合モードクロマトグラフィーの溶出物は、任意の順序及び/または任意の組み合わせで以下のクロマトグラフィーのステップ、疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィー、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)、混合モードクロマトグラフィーなどのうちのいずれか1つ以上にかけられ得る。
【0140】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、方法は、緩衝液を使用することを含む。様々な緩衝液は、例えば、緩衝液の所望のpH、緩衝液の所望の伝導度、精製される多重特異性抗体の特徴、及び精製方法に応じて、多重特異性抗体の精製の間に用いられ得る。緩衝液は、装填緩衝液、平衡化緩衝液、または洗浄緩衝液であり得る。ある特定の実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液のうちの1つ以上が同じである。ある特定の実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液は異なる。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、緩衝液は塩を含む。ある特定の実施形態では、緩衝液は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、トリスHCl、トリス酢酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、MES、CHES、MOPS、ビストリス、アルギニン、アルギニンHCl、またはそれらの混合物を含む。ある特定の実施形態では、緩衝液は、塩化ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸ナトリウム緩衝液である。ある特定の実施形態では、緩衝液は、トリス、アルギニン、リン酸塩、MES、CHES、またはMOPS緩衝液である。
【0141】
「装填物」とは、クロマトグラフィー材料に装填される組成物を指す。装填緩衝液は、組成物(例えば、多重特異性抗体及び不純物を含む組成物、または抗体のアーム及び不純物を含む組成物)をクロマトグラフィー材料(本明細書に記載されるクロマトグラフィー材料のうちのいずれか1つなど)に装填するために使用される緩衝液である。クロマトグラフィー材料は、精製される組成物の装填前に平衡化緩衝液で平衡化され得る。洗浄緩衝液は、組成物をクロマトグラフィー材料に装填した後に使用される。溶出緩衝液は、対象のポリペプチドを固相から溶出するために使用される。
【0142】
多重特異性抗体(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)を含む組成物の本明細書に記載されるクロマトグラフィー材料のうちのいずれかへの装填は、不純物から多重特異性抗体の精製のために最適化され得る。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)を含む組成物のクロマトグラフィー材料への装填は、クロマトグラフィーが結合及び溶出モードで行われるときに、多重特異性抗体のクロマトグラフィー材料への結合のために最適化される(例えば、本明細書に設計される親和性クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー、及びイオン交換クロマトグラフィー)。
【0143】
伝導度とは、2つの電極間に電流を伝導する水溶液の能力を指す。溶液中で、電流は、イオン輸送により流れる。したがって、水溶液中に存在するイオンの量が増加すると、この溶液は、より高い伝導度を有するようになる。伝導度の尺度の基本単位は、ジーメンス(mS/cm)またはohm(mho)であり、様々なモデルのOrion伝導度計などの伝導度計を使用して測定され得る。電解質伝導度が電流を搬送する溶液中のイオンの能力であるため、溶液の伝導度は、その中のイオンの濃度を変化させることによって変更され得る。例えば、溶液中の緩衝剤の濃度及び/または塩(例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、または塩化カリウム)の濃度は、所望の伝導度を達成するために変更され得る。好ましくは、様々な緩衝液の塩濃度は、所望の伝導度を達成するために修正される。
【0144】
例えば、ある特定の実施形態では、多重特異性抗体(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)を含む組成物は、装填緩衝液の伝導度を一定に保ちながら、いくつかの異なるpH値の装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料、例えば、本明細書に記載されるクロマトグラフィー材料のうちのいずれか1つを含むクロマトグラフィーカラムに装填される。代替的には、多重特異性抗体を含む溶液は、装填緩衝液のpHを一定に保ちながら、いくつかの異なる伝導度の装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料に装填され得る。多重特異性抗体(多重特異性抗体及び不純物を含む組成物など)を含む組成物をクロマトグラフィー材料に装填し、クロマトグラフィー材料から産物をプール画分中に溶出させた時点で、プール画分中に残っている不純物の量は、所与のpHまたは伝導度に対する多重特異性抗体の不純物からの分離に関する情報を提供する。同様に、クロマトグラフィーについて、多重特異性抗体がクロマトグラフィー材料を貫流する場合、装填緩衝液は、多重特異性抗体がクロマトグラフィーを貫流するようなpH及び伝導度のために最適化されるが、不純物は、クロマトグラフィー材料によって保持されるか、または多重特異性抗体より異なる速さでクロマトグラフィー材料を貫流する。
【0145】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体または抗体のアームを含む溶液の装填密度は、親和性クロマトグラフィー材料(例えば、プロテインAクロマトグラフィー材料)の約10g/L、約20g/L、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超える。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体または抗体のアームを含む溶液の装填密度は、捕獲クロマトグラフィー材料(親和性クロマトグラフィー材料、例えば、プロテインAクロマトグラフィー材料、プロテインGクロマトグラフィー材料、プロテインA/Gクロマトグラフィー材料、またはプロテインLクロマトグラフィー材料など)の約10g/L~約20g/L、約20g/L~約30g/L、約30g/L~約40g/L、約40g/L~約50g/L、約50g/L~約60g/L、約60g/L~約70g/L、約70g/L~約80g/L、約80g/L~約90g/L、約90g/L~約100g/Lである。
【0146】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、アニオン交換クロマトグラフィー材料(例えば、Qセファロース(登録商標)ファストフロー(QSFF))に装填される。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超えるアニオンクロマトグラフィー材料(例えば、Qセファロース(登録商標)ファストフロー(QSFF))の多重特異性抗体の装填密度で、アニオン交換クロマトグラフィー材料に装填される。いくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、約10g/L~約20g/L、約20g/L~約30g/L、約30g/L~約40g/L、約40g/L~約50g/L、約50g/L~約60g/L、約60g/L~約70g/L、約70g/L~約80g/L、約80g/L~約90g/L、約90g/L~約100g/Lのうちのいずれかのアニオン交換クロマトグラフィー材料(例えば、Qセファロース(登録商標)ファストフロー(QSFF))の多重特異性抗体の装填密度で、アニオン交換クロマトグラフィー材料に装填される。
【0147】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、捕獲クロマトグラフィーの後(任意に、本明細書に記載されるクロマトグラフィー操作のうちのいずれかを含む捕獲クロマトグラフィー及び1つ以上の追加のクロマトグラフィーのステップの後)に得られる溶出物は、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超える第1の混合モードクロマトグラフィー材料(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィー材料またはCapto(商標)MMCクロマトグラフィー材料)の多重特異性抗体の装填密度で、第1の混合モードクロマトグラフィー材料に装填される。いくつかの実施形態では、捕獲モードクロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、約10g/L~約20g/L、約20g/L~約30g/L、約30g/L~約40g/L、約40g/L~約50g/L、約50g/L~約60g/L、約60g/L~約70g/L、約70g/L~約80g/L、約80g/L~約90g/L、約90g/L~約100g/Lのうちのいずれかの第1の混合モードクロマトグラフィー材料(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィー材料またはCapto(商標)MMCクロマトグラフィー材料)の多重特異性抗体の装填密度で、第1の混合モードクロマトグラフィー材料に装填される。
【0148】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超える多重特異性抗体の装填密度で、第2の混合モードクロマトグラフィー材料(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィー材料またはCapto(商標)MMCクロマトグラフィー材料)に装填される。いくつかの実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、約10g/L~約20g/L、約20g/L~約30g/L、約30g/L~約40g/L、約40g/L~約50g/L、約50g/L~約60g/L、約60g/L~約70g/L、約70g/L~約80g/L、約80g/L~約90g/L、約90g/L~約100g/Lのうちのいずれかの混合モードクロマトグラフィー材料(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィー材料またはCapto(商標)MMCクロマトグラフィー材料)の多重特異性抗体の装填密度で、第2の混合モードクロマトグラフィー材料に装填される。
【0149】
本明細書に記載される方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、約30g/L、約40g/L、約50g/L、約60g/L、約70g/L、約80g/L、約90g/L、約100g/L、約110g/L、約120g/L、約130g/L、約140g/L、または約150g/Lのうちのいずれかを超える逐次的なクロマトグラフィー材料の多重特異性抗体の装填密度で、逐次的なクロマトグラフィー材料(疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー材料、アニオン交換クロマトグラフィー材料、カチオン交換クロマトグラフィー材料、サイズ排除クロマトグラフィー材料、親和性クロマトグラフィー材料、または追加の混合モードクロマトグラフィー材料など)に装填される。いくつかの実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィーの後に得られる溶出物は、約10g/L~約20g/L、約20g/L~約30g/L、約30g/L~約40g/L、約40g/L~約50g/L、約50g/L~約60g/L、約60g/L~約70g/L、約70g/L~約80g/L、約80g/L~約90g/L、約90g/L~約100g/Lのうちのいずれかの逐次的なクロマトグラフィー材料の多重特異性抗体の装填密度で、逐次的なクロマトグラフィー材料(疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー材料、アニオン交換クロマトグラフィー材料、カチオン交換クロマトグラフィー材料、サイズ排除クロマトグラフィー材料、親和性クロマトグラフィー材料、または追加の混合モードクロマトグラフィー材料など)に装填される。
【0150】
溶出は、本明細書で使用されるとき、生成物、例えば、多重特異性抗体または抗体のアームのクロマトグラフィー材料からの除去である。溶出緩衝液は、クロマトグラフィー材料から対象の多重特異性抗体または他の生成物を溶出させるために使用される緩衝液である。多くの場合、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる物理的特徴を有する。例えば、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる伝導度または装填緩衝液とは異なるpHを有し得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも低い伝導度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも高い伝導度を有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも低いpHを有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液よりも高いpHを有する。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液とは異なる伝導度及び異なるpHを有する。溶出緩衝液は、より高いまたはより低い伝導度及びより高いまたはより低いpHの任意の組み合わせを有し得る。
【0151】
ある特定の実施形態では、クロマトグラフィー材料からの多重特異性抗体の溶出は、最小不純物及び最小溶出体積またはプール体積で生成物の産出のために最適化される。例えば、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)または抗体のアームを含む組成物は、装填緩衝液中のクロマトグラフィー材料、例えば、クロマトグラフィーカラムに装填され得る。装填が完了した時点で、多重特異性抗体または抗体のアームは、溶出緩衝液の伝導度を一定に保ちながら、いくつかの異なるpH値の緩衝液で溶出される。あるいは、多重特異性抗体または抗体のアームは、溶出緩衝液のpHを一定に保ちながら、いくつかの異なる伝導度の溶出緩衝液中のクロマトグラフィー材料から溶出され得る。クロマトグラフィー材料からの多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)または抗体のアームの溶出が完了した時点で、プール画分中の不純物の量は、所与のpHまたは伝導度に対する多重特異性抗体または抗体のアームの不純物からの分離に関する情報を提供する。多数のカラム体積(例えば、8カラム体積)における多重特異性抗体または抗体のアームの溶出は、溶出プロファイルの「テーリング」を示す。いくつかの実施形態では、溶出のテーリングは、最小化される。
【0152】
例えば、緩衝液の所望のpH、緩衝液の所望の伝導度、対象のタンパク質の特徴、クロマトグラフィー材料、及び精製プロセス(例えば、「結合及び溶出」または「フロースルー」モード)に応じて用いられ得る様々な緩衝液。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの緩衝液の使用を含む。緩衝液は、装填緩衝液、平衡化緩衝液、溶出緩衝液、または洗浄緩衝液であり得る。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、溶出緩衝液、及び/または洗浄緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液など)のうちの1つ以上は同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液など)は異なる。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、緩衝液は塩を含む。装填緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液など)は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、トリス、アルギニン、リン酸塩、MOPS、MES、CHES、ビストリス、硫酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、クエン酸塩、コハク酸塩、またはそれらの混合物を含み得る。ある特定の実施形態では、緩衝液は、塩化ナトリウム緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸ナトリウム緩衝液である。ある特定の実施形態では、緩衝液は、トリス、アルギニン、リン酸塩、MES、CHES、またはMOPS緩衝液である。いくつかの実施形態では、緩衝液は、トリスを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アルギニンを含む。
【0153】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、装填緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液など)は、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、または約20mS/cmのうちのいずれかを超える伝導度を有する。伝導度は、約1mS/cm~約20mS/cm、約4mS/cm~約10mS/cm、約4mS/cm~約7mS/cm、約5mS/cm~約17mS/cm、約5mS/cm~約10mS/cm、または約5mS/cm~約7mS/cmのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、伝導度は、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、または約20mS/cmのうちのいずれかである。一態様では、伝導度は、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液の伝導度である。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液など)のうちの1つ以上の伝導度は同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液の伝導度は、洗浄緩衝液及び/または平衡化緩衝液の伝導度とは異なる。
【0154】
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)は、装填緩衝液の伝導度未満の伝導度を有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)は、約0mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4.0mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、または約7.0mS/cmのうちのいずれか未満の伝導度を有する。伝導度は、約0mS/cm~約7mS/cm、約1mS/cm~約7mS/cm、約2mS/cm~約7mS/cm、約3mS/cm~約7mS/cm、または約4mS/cm~約7mS/cm、約0mS/cm~約5.0mS/cm、約1mS/cm~約5mS/cm、約2mS/cm~約5mS/cm、約3mS/cm~約5mS/cm、または約4mS/cm~約5mS/cmのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)の伝導度は、約0mS/cm、約0.5mS/cm、約1.0mS/cm、約1.5mS/cm、約2.0mS/cm、約2.5mS/cm、約3.0mS/cm、約3.5mS/cm、約4mS/cm、約4.5mS/cm、約5.0mS/cm、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、または約7.0mS/cmのうちのいずれかである。
【0155】
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、装填緩衝液の伝導度を超える伝導度を有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)は、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、約11mS/cm、約12mS/cm、約13mS/cm、約14mS/cm、約15mS/cm、約16mS/cm、約17.0mS/cm、約18.0mS/cm、約19.0mS/cm、約20.0mS/cm、約21.0mS/cm、約22.0mS/cm、約23.0mS/cm、約24.0mS/cm、約25.0mS/cm、約26.0mS/cm、約27.0mS/cm、約28.0mS/cm、約29.0mS/cm、または約30.0mS/cmのうちのいずれかを超える伝導度を有する。伝導度は、約5.5mS/cm~約30mS/cm、約6.0mS/cm~約30mS/cm、約7mS/cm~約30mS/cm、約8mS/cm~約30mS/cm、約9mS/cm~約30mS/cm、または約10mS/cm~約30mS/cmのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液の伝導度は、約5.5mS/cm、約6.0mS/cm、約6.5mS/cm、約7.0mS/cm、約7.5mS/cm、約8.0mS/cm、約8.5mS/cm、約9.0mS/cm、約9.5mS/cm、約10mS/cm、約11mS/cm、約12mS/cm、約13mS/cm、約14mS/cm、約15mS/cm、約16mS/cm、約17.0mS/cm、約18.0mS/cm、約19.0mS/cm、約20.0mS/cm、約21.0mS/cm、約22.0mS/cm、約23.0mS/cm、約24.0mS/cm、約25.0mS/cm、約26.0mS/cm、約27.0mS/cm、約28.0mS/cm、約29.0mS/cm、または約30.0mS/cmのうちのいずれかである。上記の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様では、溶出緩衝液の伝導度(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)は、段階勾配または線形勾配によって装填物及び/または洗浄緩衝液から変更される。
【0156】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む溶液は、約<6.5mS/cmの伝導度を有する装填緩衝液中の第1の混合モードクロマトグラフィー材料に装填され、ポリペプチドは、約1.5mS/cmの伝導度を有する溶出緩衝液中の第1の混合クロマトグラフィー材料から溶出される。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約6.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約3mS/cmの伝導度を有する。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約5.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約2mS/cmの伝導度を有する。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約5.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約1mS/cmの伝導度を有する。上記の実施形態のさらなる実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィー材料は、Capto(商標)Adhere樹脂である。上記の実施形態のさらなる実施形態では、第1の混合モードクロマトグラフィー材料は、Capto(商標)MMC樹脂である。
【0157】
上記の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様では、溶出緩衝液の伝導度は、段階勾配または線形勾配によって装填物及び/または洗浄緩衝液から変更される。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、<6.5mS/cmで第1の混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)AdhereクロマトグラフィーまたはCapto(商標)MMCクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体は、約1.5mS/cmまでの段階伝導勾配によって第1の混合モードクロマトグラフィーから溶出される。
【0158】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む溶液は、約<6.5mS/cmの伝導度を有する装填緩衝液中の第2の混合モードクロマトグラフィー材料に装填され、ポリペプチドは、約1.5mS/cmの伝導度を有する溶出緩衝液中の第2の混合クロマトグラフィー材料から溶出される。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約6.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約3mS/cmの伝導度を有する。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約5.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約2mS/cmの伝導度を有する。いくつかの実施形態では、装填緩衝液は、約5.5mS/cmの伝導度を有し、溶出緩衝液は、約1mS/cmの伝導度を有する。上記の実施形態のさらなる実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィー材料は、Capto(商標)Adhere樹脂である。上記の実施形態のさらなる実施形態では、第2の混合モードクロマトグラフィー材料は、Capto(商標)MMC樹脂である。
【0159】
上記の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様では、溶出緩衝液の伝導度は、段階勾配または線形勾配によって装填物及び/または洗浄緩衝液から変更される。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、<6.5mS/cmで第2の混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)AdhereクロマトグラフィーまたはCapto(商標)MMCクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体は、約1.5mS/cmまでの段階伝導勾配によって第2の混合モードクロマトグラフィーから溶出される。
【0160】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、<2.5mS/cmでアニオン交換クロマトグラフィー(例えば、QSFFクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体は、約8.6mS/cmまでの段階伝導勾配によってアニオン交換クロマトグラフィーから溶出される。
【0161】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約5.0mS/cmでカチオン交換クロマトグラフィー(例えば、POROS50HSクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体は、約27.5mS/cmまでの段階伝導勾配によってカチオン交換クロマトグラフィーから溶出される。
【0162】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、装填緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液など)は、約10、約9、約8、約7、約6、または約5のうちのいずれか未満のpHを有し、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、装填緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液など)は、約4、約5、約6、約7、約8、または約9のうちのいずれかを超えるpHを有し、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。装填緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液など)は、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6のうちのいずれかのpHを有し、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。いくつかの実施形態では、装填緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液など)のpHは、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、または約8のうちのいずれかのpHを有し、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。pHは、装填緩衝液、平衡化緩衝液、または洗浄緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのために使用される装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液など)のpHであり得る。いくつかの実施形態では、装填緩衝液、平衡化緩衝液、及び/または洗浄緩衝液のうちの1つ以上のpHは、同じである。いくつかの実施形態では、装填緩衝液のpHは、平衡化緩衝液及び/または洗浄緩衝液のpHとは異なる。
【0163】
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)は、装填緩衝液のpH未満のpHを有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液は、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2のうちのいずれか未満のpHを有し、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。溶出緩衝液のpHは、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約9、約6~約8、約6~約7のうちのいずれかであり得、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)のpHは、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、または約9.0のうちのいずれかであり、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)は、装填緩衝液のpHを超えるpHを有する。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液(第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)は、約5、約6、約7、約8、または約9のうちのいずれかを超えるpHを有し、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)は、約2、約4、または約4のうちのいずれかを超えるpHを有し、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)のpHは、約2~約9、約3~約9、約4~約9、約2~約8、約3~約8、約4~約8、約2~約7、約3~約7、約4~約7、約2~約6、約3~約6、及び約4~約6のうちのいずれかであり得、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。いくつかの実施形態では、溶出緩衝液のpHは、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0のうちのいずれかであり、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体または抗体のアームを含む溶液は、約pH7で親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインAクロマトグラフィー)に装填され、多重特異性抗体または抗体のアームは、約2.9のpHまでの段階勾配によって親和性クロマトグラフィーから溶出される。
【0166】
上記の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様では、溶出緩衝液(捕獲クロマトグラフィー、第1の混合モードクロマトグラフィー、第2の混合モードクロマトグラフィー、及び/またはアニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、追加の混合モードクロマトグラフィー等などの任意の追加のクロマトグラフィーのための溶出緩衝液など)のpHは、段階勾配または線形勾配によって装填物及び/または洗浄緩衝液から変更される。
【0167】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、流量は、約50CV/時間、約40CV/時間、または約30CV/時間のうちのいずれか未満である。流量は、約5CV/時間~約50CV/時間、約10CV/時間~約40CV/時間、または約18CV/時間~約36CV/時間のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、流量は、約9CV/時間、約18CV/時間、約25CV/時間、約30CV/時間、約36CV/時間、または約40CV/時間のうちのいずれかである。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、流量は、約100cm/時間、約75cm/時間、または約50cm/時間のうちのいずれか未満である。流量は、約25cm/時間~約150cm/時間、約25cm/時間~約100cm/時間、約50cm/時間~約100cm/時間、または約65cm/時間~約85cm/時間のうちのいずれかであり得る。
【0168】
床高さは、使用されるクロマトグラフィー材料の高さである。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、床高さは、約5cm、約10cm、約15cm、約20cm、約25cm、約30cm、約35cm、約40cm、約45cm、または約50cmのうちのいずれかを超える。いくつかの実施形態では、床高さは、約5cm~約50cmである。いくつかの実施形態では、床高さは、装填物中のポリペプチドまたは混入物の量に基づいて決定される。
【0169】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーは、約1mL、約2mL、約3mL、約4mL、約5mL、約6mL、約7mL、約8mL、約9mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約40mL、約50mL、約75mL、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、約10L、約25L、約50L、約100L、約200L、約300L、約400L、約500L、約600L、約700L、約800L、約900L、または約1000Lを超える体積を有するカラムまたは容器内である。
【0170】
いくつかの実施形態では、画分は、クロマトグラフィーから収集される。いくつかの実施形態では、収集される画分は、約0.01CV、約0.02CV、約0.03CV、約0.04CV、約0.05CV、約0.06CV、約0.07CV、約0.08CV、約0.09CV、約0.1CV、約0.2CV、約0.3CV、約0.4CV、約0.5CV、約0.6CV、約0.7CV、約0.8CV、約0.9CV、約1.0CV、約2.0CV、約3.0CV、約4.0CV、約5.0CV、約6.0CV、約7.0CV、約8.0CV、約9.0CV、または約10.0CVを超える。
【0171】
ある特定の実施形態では、精製されたまたは部分的に精製された生成物、例えば、多重特異性抗体(二重特異性抗体または二価のF(ab’)2)または抗体のアームまたはFabを含む画分はプールされる。画分中のポリペプチドの量は、当業者によって決定され得、例えば、画分中のポリペプチドの量は、紫外分光法によって決定され得る。ある特定の実施形態では、画分は、OD280が、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、及び約1.0のうちのいずれかを超える場合に収集される。ある特定の実施形態では、画分は、OD280が、約0.5~約1.0、約0.6~約1.0、約0.7~約1.0、約0.8~約1.0、または約0.9~約1.0のうちのいずれかである場合に収集される。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)または抗体のアームを含む画分はプールされる。
【0172】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、不純物は、生成物特異的不純物である。生成物特異的不純物の例としては、これらに限定されないが、非対半抗体、非対抗体軽鎖、非対重鎖、抗体断片、ホモ二量体(例えば、同じ重鎖及び軽鎖を含む二重特異性抗体の対半二量体)、凝集体、高分子量種(MHWS)(超高分子量種(vHMWS))、誤対合ジスルフィドを有する多重特異性抗体、軽鎖二量体、重鎖二量体、低分子量種(LMWS)、及び荷電バリアント(抗体の酸性バリアント及び塩基性バリアントなど)が挙げられる。
【0173】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、非対半抗体のレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び非対半抗体を含む組成物から除去または低減する。組成物中の非対半抗体の存在またはレベルを測定する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、質量分析(液体クロマトグラフィー-質量分析など)、CE-SDS、逆相HPLC、HIC HPLCによる。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の非対半抗体の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかを超えて低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。ある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の非対半抗体の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10~約95%、約10%~約99%、約20%~約95%、約20%~約99%、約30%~約95%、約30%~約99%、約40%~約95%、約40%~約99%、約50%~約95%、約50%~約99%、約60%~約95%、約60%~約99%、約70%~約95%、約70%~約99%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、または約90%~約99%のうちのいずれかに低減される。いくつかの実施形態では、組成物中の非対半抗体の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかに低減される。ある特定の実施形態では、非対半抗体の存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の非対半抗体の量(クロマトグラフィーの画分など)を、精製ステップ(複数可)の前に組成物中の非対半抗体の量と比較することによって測定される。
【0174】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、ホモ二量体のレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及びホモ二量体を含む組成物から除去及び低減する。組成物中のホモ二量体の存在またはレベルを測定する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、質量分析(液体クロマトグラフィー-質量分析など)、逆相HPLC、及びHIC HPLCによる。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のホモ二量体の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかを超えて低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。ある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のホモ二量体の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10~約95%、約10%~約99%、約20%~約95%、約20%~約99%、約30%~約95%、約30%~約99%、約40%~約95%、約40%~約99%、約50%~約95%、約50%~約99%、約60%~約95%、約60%~約99%、約70%~約95%、約70%~約99%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、または約90%~約99%のうちのいずれかに低減される。いくつかの実施形態では、組成物中のホモ二量体の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかに低減される。ある特定の実施形態では、ホモ二量体の存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のホモ二量体の量(クロマトグラフィーの画分など)を、精製ステップ(複数可)の前に組成物中のホモ二量体の量と比較することによって測定される。
【0175】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、高分子量種(HMWS)タンパク質のレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及びHMWSタンパク質を含む組成物から除去または低減する。HMWSタンパク質は、例えば、凝集体化ポリペプチド(凝集体化多重特異性抗体、凝集体化半抗体、凝集体化ホモ二量体等など)を含み得る。ある特定の実施形態では、凝集体化ポリペプチドは、重鎖多量体、軽鎖多量体、及び/または多重特異性抗体の多量体を含む。HMWSタンパク質は、重鎖または軽鎖の2、3、4、5、6、7、または8、またはそれ以上の単量体、または2、3、4、5、6、7、または8、またはそれ以上の凝集体化多重特異性抗体を含み得る。凝集体化タンパク質(例えば、HMWSタンパク質)を測定する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、WO2011/150110に記載されている。そのような方法は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動-ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)、及び液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)を含む。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のHMWSタンパク質の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかを超えて低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。ある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のHMWSタンパク質の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10~約95%、約10%~約99%、約20%~約95%、約20%~約99%、約30%~約95%、約30%~約99%、約40%~約95%、約40%~約99%、約50%~約95%、約50%~約99%、約60%~約95%、約60%~約99%、約70%~約95%、約70%~約99%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、または約90%~約99%のうちのいずれかに低減される。いくつかの実施形態では、組成物中のHMWSタンパク質の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかに低減される。ある特定の実施形態では、HMWSタンパク質の存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のHMWSタンパク質の量(クロマトグラフィーの画分など)を、精製ステップ(複数可)の前に組成物中のHMWSタンパク質の量と比較することによって測定される。
【0176】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、低分子量種(LMWS)タンパク質のレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及びLMWSタンパク質を含む組成物から除去または低減する。LMWSタンパク質は、断片化ポリペプチドを含み得る。ある特定の実施形態では、断片化ポリペプチドは、多重特異性抗体の断片、抗体のアームの断片、重鎖断片、または軽鎖断片である。LMWSタンパク質の例としては、これらに限定されないが、Fab(すなわち、断片抗原結合)、Fc(断片、結晶化可能)、領域、もしくは両方の組み合わせ、または対象の多重特異性抗体、重鎖、もしくは軽鎖の任意のランダム断片化部分、または1/2抗体(1つの抗体の軽鎖/重鎖対を含む)もしくは3/4抗体(本明細書でHHLとも示される、抗体重鎖及び抗体軽鎖のヘテロ二量体またはホモ二量体を含む)が挙げられる。断片化タンパク質(例えば、LMWSタンパク質)を測定する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、WO2011/150110に記載されている。そのような方法は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動-ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)、及び液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)を含む。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のLMWSタンパク質の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかを超えて低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。ある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のLMWSタンパク質の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10~約95%、約10%~約99%、約20%~約95%、約20%~約99%、約30%~約95%、約30%~約99%、約40%~約95%、約40%~約99%、約50%~約95%、約50%~約99%、約60%~約95%、約60%~約99%、約70%~約95%、約70%~約99%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、または約90%~約99%のうちのいずれかに低減される。いくつかの実施形態では、組成物中のLMWSタンパク質の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかに低減される。ある特定の実施形態では、LMWSタンパク質の存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のLMWSタンパク質の量(クロマトグラフィーの画分など)を、精製ステップ(複数可)の前に組成物中のLMWSタンパク質の量と比較することによって測定される。
【0177】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、酸性及び/または塩基性バリアントのレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)ならびに酸性及び/または塩基性バリアントを含む組成物から除去または低減する。抗体(多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体など)の酸性バリアントは、抗体のpIが天然の無傷の抗体のpI未満のバリアントである。抗体(多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体など)の塩基性バリアントは、抗体のpIが天然の無傷の抗体のpIを超えるバリアントである。そのような荷電バリアント(例えば、酸性及び塩基性バリアント)は、酸化、脱アミド化、リジン残基のC末端処理、N末端ピログルタミン酸形成、及び抗体のグリコシル化などの自然プロセスの結果であり得る。荷電バリアントを測定する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、画像キャピラリーなどの電点電気泳動(iCIEF)である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の荷電バリアントの量(クロマトグラフィーの画分など)は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかを超えて低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。ある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の荷電バリアントの量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10~約95%、約10%~約99%、約20%~約95%、約20%~約99%、約30%~約95%、約30%~約99%、約40%~約95%、約40%~約99%、約50%~約95%、約50%~約99%、約60%~約95%、約60%~約99%、約70%~約95%、約70%~約99%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、または約90%~約99%のうちのいずれかに低減される。いくつかの実施形態では、組成物中の荷電バリアントの量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかに低減される。ある特定の実施形態では、荷電バリアントの存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の荷電バリアントの量(クロマトグラフィーの画分など)を、精製ステップ(複数可)の前に組成物中の荷電バリアントの量と比較することによって測定される。
【0178】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、不純物は、プロセス特異的不純物である。例えば、プロセス特異的不純物は、浸出されたプロテインA、宿主細胞物質、核酸、他のポリペプチド、内毒素、ウイルス性混入物、細胞培養培地構成成分、カルボキシペプチダーゼB、ゲンタマイシンなどのうちの1つ以上を含み得る。ある特定の実施形態では、プロセス特異的不純物は、例えば、原核生物細胞、細菌性細胞(E.coli細胞など)、昆虫細胞、真核細胞、真菌細胞、酵母細胞、鳥類細胞、または哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞からの宿主細胞タンパク質(HCP)であり得る。
【0179】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、浸出されたプロテインAのレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び浸出されたプロテインAを含む組成物から除去及び低減する。浸出されたプロテインAは、それが結合されている固相から分離また洗浄されたプロテインAである。例えば、浸出されたプロテインAは、プロテインAクロマトグラフィーカラムから浸出され得る。プロテインAの量は、WO2011/150110に記載されているように、例えば、ELISAによって測定され得る。ある特定の実施形態では、浸出されたプロテインAの存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の浸出されたプロテインAの量(クロマトグラフィーの画分など)を、精製ステップ(複数可)の前に組成物中の浸出されたプロテインAの量と比較することによって測定される。
【0180】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、宿主細胞タンパク質(HCP)のレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及びHCPを含む組成物から除去及び低減する。HCPは、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)が産生された宿主細胞からのタンパク質である。ある特定の実施形態では、HCPタンパク質は、原核生物細胞からのタンパク質である。ある特定の実施形態では、HCPは、E.coli細胞からのタンパク質である(すなわち、E.coliタンパク質またはECP)。原核生物HCP(ECPなど)の例としては、これらに限定されないが、FkpA、DsbA、及びDsbCなどの原核生物シャペロンが挙げられる。ある特定の実施形態では、HCPは、本明細書の他の箇所で説明されるものなどの真核宿主細胞からのタンパク質である。ある特定の実施形態では、HCP、CHO細胞タンパク質などの哺乳動物細胞からのタンパク質である(すなわち、チャイニーズハムスター卵巣タンパク質またはCHOP)。ある特定の実施形態では、HCP(例えば、ECP、FkpA、DsbA、もしくはDsbC、または、例えば、CHOP)の量は、酵素結合免疫吸着測定法(「ELISA」)によって測定される。例えば、抗体は、FkpA、DsbA、またはDsbCの超高純度組成物に対して産生され得る。ある特定の実施形態では、FkpA、DsbA、及び/またはDsbCの量は、質量分析によって測定される。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、HCP(例えば、ECP、FkpA、DsbA、もしくはDsbC、または、例えば、CHOP)の量。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物(クロマトグラフィーの画分など)中のHCP(例えば、ECP、FkpA、DsbA、もしくはDsbC、または、例えば、CHOP)の量は、約100ppm、約75ppm、約50ppm、約25ppm、約20ppm、約10ppm、約5、ppm、約2ppm、または約1ppm未満に低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。いくつかの実施形態では、組成物(クロマトグラフィーの画分など)中のHCP(例えば、ECP、FkpA、DsbA、もしくはDsbC、または、例えば、CHOP)は、約100ppm未満、約75ppm未満、約50ppm未満、約25ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満、約2ppm未満、または約1ppm未満に低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。ある特定の実施形態では、HCP(例えば、ECP、FkpA、DsbA、もしくはDsbC、または、例えば、CHOP)の存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中のHCPの量(クロマトグラフィーの画分など)を精製ステップ(複数可)の前に組成物中のHCPの量と比較することによって測定される。
【0181】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、核酸(宿主細胞DNA及び/またはRNAなど)のレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び核酸を宇組む組成物から除去または低減する。核酸(宿主細胞DNA及び/またはRNA)を測定する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、WO2011/150110に記載されている。そのような方法は、例えば、宿主細胞DNAまたはRNAのPCRを含む。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の核酸の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかを超えて低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。ある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の核酸の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10~約95%、約10%~約99%、約20%~約95%、約20%~約99%、約30%~約95%、約30%~約99%、約40%~約95%、約40%~約99%、約50%~約95%、約50%~約99%、約60%~約95%、約60%~約99%、約70%~約95%、約70%~約99%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、または約90%~約99%のうちのいずれかに低減される。いくつかの実施形態では、組成物中の核酸の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかに低減される。ある特定の実施形態では、核酸の存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の核酸の量(クロマトグラフィーの画分など)を、精製ステップ(複数可)の前に組成物中の核酸の量と比較することによって測定される。
【0182】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、細胞培養培地構成成分のレベルを多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び細胞培養培地構成成分を含む組成物から除去または低減する。「細胞培養培地構成成分」とは、細胞培養培地中に存在する構成成分を指す。ある特定の実施形態では、「細胞培養培地」とは、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)またはそのアームを発現する宿主細胞(複数可)が採取される時点での細胞培養培地を指す。ある特定の実施形態では、細胞培養培地構成成分は、インスリン、またはテトラサイクリンである。ある特定の実施形態では、インスリン、またはテトラサイクリンの量は、ELISAによって測定される。本明細書に記載の方法のうちのいずれかのある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の細胞培養培地構成成分の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%のうちのいずれかを超えて低減され、これらの値の間のいずれかの範囲を含む。
【0183】
ある特定の実施形態では、1つ以上の精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の細胞培養培地構成成分の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10~約95%、約10%~約99%、約20%~約95%、約20%~約99%、約30%~約95%、約30%~約99%、約40%~約95%、約40%~約99%、約50%~約95%、約50%~約99%、約60%~約95%、約60%~約99%、約70%~約95%、約70%~約99%、約80%~約95%、約80%~約99%、約90%~約95%、または約90%~約99%のうちのいずれかに低減される。いくつかの実施形態では、組成物中の細胞培養培地構成成分の量(クロマトグラフィーの画分など)は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%のうちのいずれかに低減される。ある特定の実施形態では、細胞培養培地構成成分の存在またはレベルの低減は、精製ステップ(複数可)から回収される組成物中の細胞培養培地構成成分の量(クロマトグラフィーの画分など)を、精製ステップ(複数可)の前に組成物中の細胞培養培地構成成分の量と比較することによって測定される。
【0184】
ある特定の実施形態では、第1のアーム及び第2のアーム含む二重特異性抗体を精製する方法が本明細書に提供され、第1及び第2のアームは、別々に生成され、方法は、第1及び第2のアームを結合及び溶出モードで操作される捕獲クロマトグラフィー(本明細書の他の箇所で説明される捕獲クロマトグラフィーのステップのうちのいずれか1つまたは組み合わせなど)にかけて、第1及び第2の捕獲溶出物を生成すること;多重特異性抗体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で第1及び第2の捕獲溶出物を含む混合物を形成すること;多重特異性抗体を含む組成物を結合及び溶出モードでアニオン交換クロマトグラフィー(例えば、Qセファロース(登録商標)ファストフロー(QSFF)クロマトグラフィー)にかけて、溶出が勾配溶出であるアニオン交換溶出物を生成すること;アニオン交換溶出物を結合及び溶出モードでアニオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィー)にかけて、溶出が勾配溶出である第1の混合モード溶出物を生成すること;ならびに第1の混合モード溶出物を結合及び溶出モードでカチオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)MMCクロマトグラフィー)にかけて、溶出が勾配溶出である第2の混合モード溶出物を生成し、二重特異性抗体を含む画分を収集すること、を含み、方法は、第1及び第2のアームを含む混合物に対して画分中の不純物の量を低減する。
【0185】
ある特定の実施形態では、第1のアーム及び第2のアーム含む二重特異性抗体を精製する方法が本明細書に提供され、第1及び第2のアームは、別々に生成され、方法は、第1及び第2のアームを結合及び溶出モードで捕獲クロマトグラフィー(本明細書の他の箇所で説明される捕獲クロマトグラフィーのステップのうちのいずれか1つまたは組み合わせなど)にかけて、第1及び第2の捕獲溶出物を生成することと;多重特異性抗体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で第1及び第2の捕獲溶出物を含む混合物を形成すること;多重特異性抗体を含む組成物を結合及び溶出モードでカチオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)MMCクロマトグラフィー)にかけて第1の混合モード溶出物を生成することとを含み、溶出は、pH及び塩の段階溶出であり、方法はさらに、第1の混合モード溶出物をフロースルーモードでアニオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィー)にかけて、第2の混合モード溶出物を生成することと、二重特異性抗体を含む画分を収集することと、を含み、方法は、第1及び第2のアームを含む混合物に対して画分中の不純物の量を低減する。
【0186】
ある特定の実施形態では、第1のアーム及び第2のアーム含む二重特異性抗体を精製する方法が本明細書に提供され、第1及び第2のアームは、別々に生成され、方法は、第1及び第2のアームを結合及び溶出モードで捕獲クロマトグラフィー(本明細書の他の箇所で説明される捕獲クロマトグラフィーのステップのうちのいずれか1つまたは組み合わせなど)にかけて、第1及び第2の捕獲溶出物を生成すること;多重特異性抗体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で第1及び第2の捕獲溶出物を含む混合物を形成すること;多重特異性抗体を含む組成物を、溶出が段階溶出である結合及び溶出モードでアニオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィー)にかけて、第1の混合モード溶出物を生成すること;第1の混合モード溶出物を結合及び溶出モードでカチオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)MMCクロマトグラフィー)にかけて、溶出が段階溶出である第2の混合モード溶出物を生成し、第2の混合モード溶出物をフロースルーモードで疎水性相互作用クロマトグラフィー(例えば、へキシル-650Cクロマトグラフィー)にかけて、疎水性相互作用溶出物を生成すること;ならびに二重特異性抗体を含む画分を収集すること、を含み、方法は、第1及び第2のアームを含む混合物に対して画分中の不純物の量を低減する。
【0187】
ある特定の実施形態では、第1のアーム及び第2のアームを含む二重特異性抗体(二重特異性F(ab’)2など)を精製する方法が本明細書に提供され、第1及び第2のアームは、別々に生成され、方法は、第1のアームを結合及び溶出モードで操作される捕獲クロマトグラフィー(本明細書の他の箇所で説明される捕獲クロマトグラフィーのステップのうちのいずれか1つまたは組み合わせなど)にかけて第1の捕獲溶出物を生成すること;第1の捕獲溶出物を結合及び溶出モードでカチオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)MMCクロマトグラフィー)にかけて第1の混合モード溶出物を生成すること;第2のアームを結合及び溶出モードで操作される捕獲クロマトグラフィー(本明細書の他の箇所で説明される捕獲クロマトグラフィーのステップのうちのいずれか1つまたは組み合わせなど)にかけて第2の捕獲溶出物を生成すること;多重特異性抗体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で第1の混合モード溶出物及び第2の捕獲溶出物を含む混合物を形成すること;多重特異性抗体を含む組成物をアニオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィーなど)にかけて第2の混合モード溶出物を生成すること;ならびに第2の混合モード溶出物を結合及び溶出モードでカチオン交換クロマトグラフィー(例えば、POROS(登録商標)50HSクロマトグラフィー)にかけてカチオン交換溶出物を生成すること;カチオン交換溶出物を結合及び溶出モードで逐次的なカチオン交換混合モードクロマトグラフィーにかけて第3の混合モード溶出物を生成すること;ならびに二重特異性抗体を含む画分を収集すること、を含み、方法は、第1及び第2のアームを含む混合物に対して画分中の不純物の量を低減する。
【0188】
ある特定の実施形態では、第1のアーム及び第2のアームを含む二重特異性抗体(二重特異性F(ab’)2など)を精製する方法が本明細書に提供され、第1及び第2のアームは、別々に生成され、方法は、第1のアームを結合及び溶出モードで捕獲クロマトグラフィー(本明細書の他の箇所で説明される捕獲クロマトグラフィーのステップのうちのいずれか1つまたは組み合わせなど)にかけて、第1の捕獲溶出物を生成すること;第1の捕獲溶出物を結合及び溶出モードでカチオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)MMCクロマトグラフィー)にかけて、第1の混合モード溶出物を生成すること;第2のアームを結合及び溶出モードで操作される捕獲クロマトグラフィー(本明細書の他の箇所で説明される捕獲クロマトグラフィーのステップのうちのいずれか1つまたは組み合わせなど)にかけて、第2の捕獲溶出物を生成すること;多重特異性抗体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で第1の混合モード溶出物及び第2の捕獲溶出物を含む混合物を形成すること;多重特異性抗体を含む組成物をアニオン交換混合モードクロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィーなど)にかけて第2の混合モード溶出物を生成すること;ならびに第2の混合モード溶出物を結合及び溶出モードでカチオン交換クロマトグラフィー(例えば、Capto(商標)MMCクロマトグラフィー)にかけて、第3の混合モード溶出物を生成すること;ならびに二重特異性抗体を含む画分を収集すること、を含み、方法は、第1及び第2のアームを含む混合物に対して画分中の不純物の量を低減する。
【0189】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)は、ウイルス濾過によってさらに精製される。ウイルス濾過は、ポリペプチド精製供給流中のウイルス性混入物の除去である。ウイルス濾過の例は、例えば、限外濾過及び精密濾過が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、パルボウイルスフィルターを使用して精製される。
【0190】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、クロマトグラフィー後(例えば、第2の混合モードクロマトグラフィー後、または第2の混合モードクロマトグラフィー後に行われるクロマトグラフィーのステップのうちの1つ以上の後)に濃縮される。濃縮方法の例は、当該技術分野で既知であり、これらに限定されないが、例えば、限外濾過及び透析濾過(UFDF)を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、第1の精密濾過、透析濾過、及び第2の限外濾過によって濃縮される。いくつかの実施形態では、限外濾過及び/または透析濾過は、約5kDal、約10kDal、約15kDal、約20kDal、または約25kDalもしくは約30kDalのうちのいずれか未満の切断を有するフィルターを使用する。いくつかの実施形態では、第1の限外濾過の保持物は、薬学的製剤に透析濾過される。
【0191】
いくつかの実施形態では、濃縮後の多重特異性抗体の濃度は、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、約200mg/mL、または約300mg/mLのうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体の濃度は、約10mg/mL~約20mg/mL、約20mg/mL~約30mg/mL、約30mg/mL~約40mg/mL、約40mg/mL~約50mg/mL、約50mg/mL~約60mg/mL、約60mg/mL~約70mg/mL、約70mg/mL~約80mg/mL、約80mg/mL~約90mg/mL、約90mg/mL~約100mg/mL、約100mg/mL~約110mg/mL、約110mg/mL~約120mg/mL、約120mg/mL~約130mg/mL、約130mg/mL~約140mg/mL、約140mg/mL~約150mg/mL、約150mg/mL~約160mg/mL、約160mg/mL~約170mg/mL、約170mg/mL~約180mg/mL、約180mg/mL~約190mg/mL、約190mg/mL~約200mg/mL、約200mg/mLまたは約300mg/mLのうちのいずれかである。
【0192】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、薬学的に許容される担体を用いる精製の方法の精製されたポリペプチドを組み合わせることをさらに含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、限外濾過/透析濾過によって薬学的製剤に製剤化される。
【0193】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%のうちのいずれかを超えて純粋である多重特異性抗体を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、組成物中の多重特異性抗体は、約96%、約97%、約98%、または約99%のうちのいずれかを超えて純粋である。
【0194】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下の非対抗体のアームを含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下のホモ二量体を含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、または約5%のうちのいずれか以下の凝集体化タンパク質を含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下のHMWSを含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下のLMWSを含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のうちのいずれか以下の酸性バリアントを含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下の塩基性バリアントを含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1ppm、約0.2ppm、約0.3ppm、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、または約10ppmのうちのいずれか以下の浸出されたプロテインAを含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1ppm、約0.2ppm、約0.3ppm、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、約10ppm、約15ppm、約20ppm、約25ppm、約30ppm、または約35ppmのうちのいずれか以下のHCPを含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、または約10ppmのうちのいずれか以下の核酸を含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、0ppm以下の核酸を含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物中の核酸は、検出のレベル未満である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下の細胞培養培地構成成分を含む多重特異性抗体を含む組成物を生成する。
【0195】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法のうちのいずれか1つに従って精製される多重特異性抗体を含む組成物が提供される。
【0196】
ある特定の実施形態では、組成物中の多重特異性抗体は、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%のうちのいずれかを超えて純粋である。ある特定の実施形態では、組成物中の多重特異性抗体は、約96%、約97%、約98%、または約99%のうちのいずれかを超えて純粋である。
【0197】
ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下の非対抗体のアームを含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下のホモ二量体を含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、または約5%のうちのいずれか以下の凝集体化タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下のHMWSを含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下のLMWSを含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のうちのいずれか以下の酸性バリアントを含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下の塩基性バリアントを含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1ppm、約0.2ppm、約0.3ppm、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、または約10ppmのうちのいずれか以下の浸出されたプロテインAを含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1ppm、約0.2ppm、約0.3ppm、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、約10ppm、約15ppm、約20ppm、約25ppm、約30ppm、または約35ppmのうちのいずれか以下のHCPを含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1ppm、約0.2ppm、約0.3ppm、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、約10ppm、約15ppm、約20ppm、約25ppm、約30ppm、または約35ppmのうちのいずれか以下の核酸を含む。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物は、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下の細胞培養培地構成成分を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体を含む組成物が提供され、組成物は、a)少なくとも約95%~約100%の多重特異性抗体、b)約1%~約5%未満の非対抗体のアーム、c)約1%~約5%未満の抗体ホモ二量体、d)約1%または約2%以下のHMWS、e)約1%または約2%以下のLMWS、及び/またはf)約5%以下の3/4抗体を含む。
【0199】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法のうちのいずれか1つに従って精製される二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ノブインホール(KiH)抗体、例えば、KiH二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CrossMab二重特異性抗体である。
【0200】
ある特定の実施形態では、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%のうちのいずれかを超えて純粋である二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、組成物中の二重特異性抗体は、約96%、約97%、約98%、または約99%のうちのいずれかを超えて純粋である。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ノブインホール(KiH)抗体、例えば、KiH二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CrossMab二重特異性抗体である。
【0201】
ある特定の実施形態では、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下の非対抗体のアームを含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下のホモ二量体を含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、または約5%のうちのいずれか以下の凝集体化タンパク質を含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下のHMWSを含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、または約10%のうちのいずれか以下のLMWSを含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のうちのいずれか以下の酸性バリアントを含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下の塩基性バリアントを含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.1ppm、約0.2ppm、約0.3ppm、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、または約10ppmのうちのいずれか以下の浸出されたプロテインAを含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.1ppm、約0.2ppm、約0.3ppm、約0.4ppm、約0.5ppm、約0.6ppm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1ppm、約1.5ppm、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、約10ppm、約15ppm、約20ppm、約25ppm、約30ppm、または約35ppmのうちのいずれか以下のHCPを含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約2ppm、約2.5ppm、約3ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約6.5ppm、約7ppm、約7.5ppm、約8ppm、約8.5ppm、約9ppm、約9.5ppm、または約10ppmのうちのいずれか以下の核酸を含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体を含む組成物は、0ppm以下の核酸を含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体を含む組成物中の核酸は、検出のレベル未満である。ある特定の実施形態では、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%のうちのいずれか以下の細胞培養培地構成成分を含む二重特異性抗体を含む組成物が提供される。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ノブインホール(KiH)抗体、例えば、KiH二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CrossMab二重特異性抗体である。
【0202】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体を含む組成物が提供され、組成物は、a)少なくとも約95%~約100%の二重特異性抗体、b)約1%~約5%未満の非対抗体のアーム、c)約1%~約5%未満の抗体ホモ二量体、d)約1%または約2%以下のHMWS、e)約1%または約2%以下のLMWS、及び/またはf)約5%以下の3/4抗体を含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ノブインホール(KiH)抗体、例えば、KiH二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CrossMab二重特異性抗体である。
【0203】
本明細書に報告される一態様は、マルチステップクロマトグラフィー方法でFc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドを精製するための方法であり、方法は、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続く2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーのステップを含み、それによって、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製する。
【0204】
ある特定の実施形態では、方法は、i.親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップ、またはii.親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップを含む。
【0205】
本明細書に報告される一態様は、i.Fc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養するステップ、ii.Fc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドを細胞または培養培地から回収するステップ、iii.本明細書に報告される方法でFc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドを精製し、それによってFc領域含有ヘテロ二量体タンパク質を生成するステップを含むFc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドを生成する方法である。抗体精製プロセスの性能は、用いられるクロマトグラフィーのステップの配列によることが見出されている。クロマトグラフィーのステップのある特定の配列/順序を選択することによって、改善されたプロセスが得られ得る。
【0206】
本明細書に提供される方法は、少なくとも部分的には、(最初の)親和性クロマトグラフィーのステップの(直)後かつマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップの前に、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップを行うことによって、限外濾過/透析濾過のステップが省略され得るという知見に基づく。このステップは、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップが、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップの前に行われる場合に必要である。
【0207】
ある特定の実施形態では、マルチステップクロマトグラフィー方法は、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含む。
【0208】
本明細書に記載される方法で、良好な純度及び収率が、3つのクロマトグラフィーのステップのみで達成され得ることが見出されている。
【0209】
ある特定の実施形態では、マルチステップクロマトグラフィー方法は、正確に3つのクロマトグラフィーのステップを含む。
【0210】
宿主細胞タンパク質の除去は、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー方法/ステップが、フロースルーモードで行われる場合に改善され得ることが見出されている。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー方法/ステップは、フロースルーモードで行われる。
【0211】
マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップの装填物のpHが、生成物及びDNA除去によってHCPに影響を与えることが見出されている。全ての態様のうちの1つの好ましい実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップは、約7.0のpHで行われる。
表1
【0212】
溶液の伝導度は、精製プロセスの間に異なるパラメータへの影響を有し得る。ここでは、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップの装填物中の低い伝導値(すなわち、クロマトグラフィー材料に適用されるFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドを含む溶液)が、改善されたHCP及びDNAの除去をもたらすことが見出されている。
表2
【0213】
ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、7mS/cm未満の伝導値を有する溶液中に適用される。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、6mS/cm未満の伝導値を有する溶液中に適用される。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約6mS/cm~約2mS/cmの範囲の伝導値を有する溶液中に適用される。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約5mS/cm~約4mS/cmの範囲の伝導値を有する溶液中に適用される。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約4.5mS/cmの伝導値を有する溶液中に適用される。
【0214】
ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約4.5mS/cmの伝導性及び約7のpHを有する溶液中に適用される。
【0215】
本明細書に提供される方法は、少なくとも部分的には、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップのタンパク質の装填物もまた、精製プロセスの性能に影響を与えること見出すことに基づく。装填物が、定義された範囲にある場合、全体の精製プロセスは、例えば、DNA混入の除去が改善される。
表3:DNAの開始量:80pg/mg
【0216】
ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、クロマトグラフィー材料の1リットル当たり約100g~約300gの範囲で適用され、すなわち、装填物は、約100g/L~約300g/Lの範囲である。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、クロマトグラフィー材料の1リットル当たり約120g~約240gの範囲で適用される。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、クロマトグラフィー材料の1リットル当たり約160g~約200gの範囲で適用される。
【0217】
ある特定のマルチモーダル樹脂材料が、本明細書に報告される方法において適用されるとき、特に有用であることが見出されている。
【0218】
ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料は、マルチモーダル強アニオン交換クロマトグラフィー材料である。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料は、高流量アガロースのマトリックス、リガンドとしてのマルチモーダル強アニオン交換、36~44μmの平均粒子サイズ、及び0.08~0.11mmol Cl-/mL培地のイオン容量を有する。ある特定の実施形態では、マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料は、「Capto adhere ImpRes」である。
【0219】
ある特定の実施形態では、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー培地は、マルチモーダル弱カチオン交換クロマトグラフィー培地である。ある特定の実施形態では、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー培地は、高流量アガロースマトリックス、リガンドとしてのマルチモーダル弱カチオン交換、36~44μmの平均粒子サイズ、及び25~39μmol/mLのイオン容量を有する。ある特定の実施形態では、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー培地は、「Capto MMC ImpRes」。
【0220】
ある特定の実施形態では、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィー方法/ステップは、結合及び溶出モードで行われる。
【0221】
ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーのステップは、プロテインAクロマトグラフィーのステップ、またはプロテインG親和性クロマトグラフィー、または一本鎖Fvリガンド親和性クロマトグラフィー、またはKappaSelectクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップ、またはCaptureSelectクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップ、またはCaptureSelect FcXLクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーのステップは、プロテインAクロマトグラフィーのステップである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーのステップは、CaptureSelect(商標)クロマトグラフィーのステップである。ある特定の実施形態では、親和性クロマトグラフィーのステップは、プロテインAクロマトグラフィーのステップである。
【0222】
ある特定の実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドは、抗体、二重特異性抗体、またはFc-融合タンパク質である。ある特定の実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドは、二重特異性抗体である。ある特定の実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドは、CrossMabである。ある特定の実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドは、Fc-融合タンパク質である。ある特定の実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドは、Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、a)第1の抗原を特異的に結合する第1の全長抗体の重鎖及び軽鎖、ならびにb)第2の抗原を特異的に結合する全長抗体の修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含み、定常ドメインCL及びCH1は、互いによって置き換えられる。
【0223】
ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体である。ある特定の実施形態では、Fc領域含有ヘテロ二量体タンパク質/ポリペプチドは、ANG2及びVEGFを結合するCrossMabである。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、vanucizumabである。
【0224】
ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号1、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号2を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号3、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号4を含む第2の抗原結合部位を含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有する第1の重鎖、及び配列番号10のアミノ酸配列を有する第2の重鎖、ならびに配列番号11のアミノ酸配列を有する第1の軽鎖、及び配列番号12のアミノ酸配列を有する第2の軽鎖を含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号5、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号6を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号7、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号8を含む第2の抗原結合部位を含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号13のアミノ酸配列を有する第1の重鎖、及び配列番号14のアミノ酸配列を有する第2の重鎖、及び配列番号15のアミノ酸配列を有する第1の軽鎖、及び配列番号16のアミノ酸配列を有する第2の軽鎖を含む。配列番号1~16のアミノ酸配列は、以下の表4に提供される。
表4
【0225】
ある特定の実施形態では、精製されたFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約5%以下の3/4抗体を含む。ある特定の実施形態では、精製されたFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約4%以下の3/4抗体を含む。ある特定の実施形態では、精製されたFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約3%以下の3/4抗体を含む。ある特定の実施形態では、精製されたFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約2%以下の3/4抗体を含む。ある特定の実施形態では、精製されたFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドは、約1%以下の3/4抗体を含む。
【0226】
本明細書に報告される一態様は、マルチステップクロマトグラフィー方法でANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を精製するための方法であり、方法は、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含み、それによって、ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を精製し、ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号1、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号2を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号3、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号4を含む第2の抗原結合部位を含むか、または重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号5、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号6を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号7、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号8を含む第2の抗原結合部位を含む。
【0227】
一実施形態では、ANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体は、a)第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の重鎖及び軽鎖、ならびにb)第2の抗原結合部位を含む全長抗体の修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含み、定常ドメインCL及びCH1は、互いによって置き換えられる。
【0228】
本明細書に報告される一態様は、Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドの精製のための、本明細書に報告される方法の使用である。
【0229】
本明細書に報告される一態様は、Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド関連不純物の低減のための、本明細書に報告される方法の使用である。
【0230】
本明細書に報告される一態様は、がんまたは眼疾患の治療のための医薬品の製造のための、本明細書に報告される方法で得られるFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドである。
【0231】
本明細書に報告される一態様は、がんまたは眼疾患の治療における使用のための、本明細書に報告される方法で得られるFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドである。
【0232】
ポリペプチド
モノクローナル抗体
いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、実質的に同種の抗体の集団から得られ、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は、同一であり、及び/または同じエピトープに結合するが、モノクローナル抗体の産生中に生じる想定される変異体は除外され、そのような変異体は、概して、少量で存在する。したがって「モノクローナル」という修飾語は、個別のまたはポリクローナル抗体の混合物ではないような抗体の特徴を示す。
【0233】
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature256:495(1975)によって最初に記載されるハイブリドーマ法により作製されてもよいし、組換えDNA法によって作製されてもよい(米国特許第4,816,567号)。
【0234】
ハイブリドーマ方法では、マウスまたは他の適切な宿主動物が本明細書に記載されるように免疫化されて、免疫化に使用されるポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫化され得る。次いで、ポリエチレングリコールなどの適した融剤を用いてリンパ球を骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。
【0235】
このように調製されたハイブリドーマ細胞は、播種され、融合されていない親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を好ましくは含有する好適な培養培地で成長する。例えば、親骨髄腫細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培養培地は典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT培地)を含み、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の成長を阻止する。
【0236】
いくつかの実施形態では、骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支援し、HAT培地などの培地に感受性を示すものである。これらの中で、いくつかの実施形態では、骨髄腫細胞株は、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California USAから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍、ならびにAmerican Type Culture Collection,Rockville,Maryland USAから入手可能なSP-2またはX63-Ag8-653細胞に由来するものなどのマウス骨髄腫株である。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生について説明されている(Kozbor,J.Immunol.133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0237】
ハイブリドーマ細胞が成長する培養培地は、抗原に対して指向されたモノクローナル抗体の産生に関してアッセイされる。いくつかの実施形態では、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、または放射免疫アッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって測定される。
【0238】
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al.,Anal.Biochem.107:220(1980)のスキャッチャード解析によって測定され得る。
【0239】
所望の特異性、親和性、及び/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が特定された後、クローンは、限界希釈手順によってサブクローン化され、標準的な方法によって成長され得る(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice pp.59-103(Academic Press,1986))。この目的に好適な培養培地としては、例えば、D-MEMまたはRPMI-1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍としてインビボで成長し得る。
【0240】
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、ポリペプチドA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、または親和性クロマトグラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーなどによって、培養培地、腹水、または血清から好適に分離される。
【0241】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離及び配列決定される。いくつかの実施形態では、ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの供給源としての機能を果たす。単離されると、DNAは、発現ベクター内に置かれ得て、その後、これが宿主細胞、例えば、E.coli細胞、サルCOS細胞、ヒト胚腎臓(HEK)293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはさもなければ免疫グロブリンポリペプチドを産生しない骨髄腫細胞にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現に関する概説論文としては、Skerra et al.,Curr.Opinion in Immunol.5:256-262(1993)及びPluckthun,Immunol.Revs.,130:151-188(1992)が挙げられる。
【0242】
さらなる実施形態では、抗体または抗体断片は、McCafferty et al.,Nature348:552-554(1990)に記載される技法を使用して作製された抗体ファージライブラリーから単離され得る。Clackson et al.,Nature352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)は、それぞれ、ファージライブラリーを使用したマウス及びヒト抗体の単離を記載する。その後の刊行物は、非常に大きなファージライブラリーを構築するための戦略として、鎖シャッフリング(Marks et al.,Bio/Technology10:779-783(1992))、ならびに組み合わせ感染及びインビボ組換えによる高い親和性(nM範囲)のヒト抗体の産生を記載する(Waterhouse et al.,Nuc.Acids.Res.21:2265-2266(1993))。したがって、これらの技術は、モノクローナル抗体を単離するための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実行可能な代替案である。
【0243】
DNAはまた、例えば、コード配列を、相同的なマウス配列の代わりに、ヒトの重及び軽鎖の定常ドメインに置換することによるか(米国特許第4,816,567号、Morrison et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA81:6851(1984))、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てもしくは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合することにより修飾されてもよい。
【0244】
典型的には、そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインの代わりに置換されるか、またはそれらが、抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに置換されて、抗原に対して特異性を有する1つの抗原結合部位、及び異なる抗原に対して特異性を有する別の抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を作製する。
【0245】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgMである。いくつかの実施形態では、抗体は、IgGモノクローナル抗体である。
【0246】
抗体断片
いくつかの実施形態では、抗体は、抗体断片である。抗体断片を産生するための様々な技法が開発されている。従来、これらの断片は、無傷抗体のタンパク質分解消化により得られた(例えば、Morimoto et al.,Journal of Biochemical and Biophysical Methods24:107-117(1992)及びBrennan et al.,Science229:81(1985)を参照されたい)。しかしながら、これらの断片は、現在、組換え宿主細胞により直接産生され得る。例えば、抗体断片は、上記で考察される抗体ファージライブラリーから単離され得る。あるいは、Fab’-SH断片は、E.coliから直接回収され、化学的にカップリングされて、F(ab’)2断片を形成することができる(Carter et al.,Bio/Technology10:163-167(1992)。別のアプローチに従って、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養から直接単離することができる。抗体断片を産生するための他の技法が、当業者には明らかであろう。他の実施形態では、最適な抗体は、一本鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185、米国特許第5,571,894号、及び米国特許第5,587,458号を参照されたい。抗体断片は、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されるように、「線状抗体」でもあり得る。そのような線状抗体断片は、単一特異性または二重特異性であり得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体の断片が提供される。いくつかの実施形態では、抗体断片は、抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv、Fv、及びダイアボディからなる群から選択される。
【0248】
ポリペプチドバリアント及び修飾
ある特定の実施形態では、本明細書におけるタンパク質のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、タンパク質の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。タンパク質のアミノ酸配列バリアントは、タンパク質をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。そのような修飾としては、例えば、タンパク質のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそれへの挿入、及び/またはその置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが行われて、最終構築に到達することができるが、但し、最終構築物が所望の特性を有することを条件とする。
【0249】
「ポリペプチドバリアント」とは、ポリペプチドの全長天然配列、シグナルペプチドを欠くポリペプチド配列、シグナルペプチドを有するかまたは有しないポリペプチドの細胞外ドメインと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する本明細書に定義されるポリペプチド、例えば、活性ポリペプチドを意味する。そのようなポリペプチド変異体としては、例えば、1つ以上のアミノ酸残基が完全長天然アミノ酸配列のN末端またはC末端に付加または欠失されたポリペプチドが挙げられる。通常、ポリペプチドバリアントは、全長天然配列ポリペプチド配列、シグナルペプチドを欠くポリペプチド配列、シグナルペプチドを有するかまたは有しないポリペプチドの細胞外ドメインと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%のうちのいずれかのアミノ酸配列同一性を有する。任意に、変異体ポリペプチドは、天然ポリペプチド配列と比較して1つ以下の保存的アミノ酸置換を有し、あるいは天然ポリペプチド配列と比較して約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10個のうちの任意の以下の保存的アミノ酸置換を有する。
【0250】
変異体ポリペプチドは、N末端またはC末端で切断され得るか、または例えば、全長天然ポリペプチドと比較して、内部残基を欠き得る。ある特定の変異体ポリペプチドは、所望の生物学的活性にとって不可欠ではないアミノ酸残基を欠き得る。切断、欠失、及び挿入を有するこれらの変異体ポリペプチドは、いくつかの従来の技法のうちのいずれかによって調製され得る。所望の変異体ポリペプチドは、化学的に合成されたものであり得る。別の好適な技法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって所望の変異体ポリペプチドをコードする核酸断片の単離及び増幅することを伴う。核酸断片の所望の末端を定義するオリゴヌクレオチドは、PCRにおいて5’プライマー及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、変異体ポリペプチドは、本明細書に開示される天然ポリペプチドと少なくとも1つの生物学的及び/または免疫学的活性を共有する。
【0251】
アミノ酸配列挿入としては、1個の残基から100個以上の残基を含有するポリペプチドの範囲の長さを有するアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。末端挿入の例には、N-末端メチオニル残基を有する抗体、または細胞毒性ポリペプチドに融合した抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体としては、抗体の血清半減期を増大する酵素またはポリペプチドへの抗体のN末端またはC末端の融合が挙げられる。
【0252】
例えば、ポリペプチドの結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。ポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチド変化を抗体核酸に導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。そのような修飾としては、例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそれへの挿入、及び/またはその置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終構築物に到達するためになされるが、但し、最終構築物が所望の特徴を有することを条件とする。アミノ酸変化は、ポリペプチド(例えば、抗体)の翻訳後プロセスも改変することができ、例えば、グリコシル化部位の数または位置を変化することができる。
【0253】
どのアミノ酸残基が所望の活性に悪影響を及ぼすことなく挿入、置換、または欠失され得るかを決定する際の手引きは、ポリペプチドの配列を同種の既知のポリペプチド分子の配列と比較し、かつ相同性の高い領域のアミノ酸配列変化の数を最小限に抑えることによって見出され得る。
【0254】
変異誘発の好ましい位置であるポリペプチド(例えば、抗体)のある特定の残基または領域の特定に有用な方法は、Cunningham and Wells,Science244:1081-1085(1989)によって説明される「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。ここで、残基または標的残基群(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGluなどの荷電残基)が特定され、中性または負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)に置き換えられて、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を及ぼす。次いで、置換に対する機能的感受性を実証するアミノ酸位置は、さらなるまたは他の変異体を置換部位に、またはそこの代わりに導入することにより洗練される。したがって、アミノ酸配列変異を導入するための部位が予め決定されている一方で、変異自体の性質は予め決定される必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を分析するために、alaスキャニングまたはランダム変異生成が標的コドンまたは領域で行われ、発現された抗体変異体が所望の活性に関してスクリーニングされる。
【0255】
別の種類の変異体は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、異なる残基に置き換えられた抗体分子内に少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換変異誘発に関する最も関心ある部位としては、超可変領域が挙げられるが、FR改変も企図される。そのような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表5に「例示的な置換」と表示されるか、またはアミノ酸クラスを参照して以下にさらに記載されるより実質的な変化が導入され、産物がスクリーニングされ得る。
表5
【0256】
ポリペプチドの生物学的特性の実質的な修飾は、(a)置換領域中のポリペプチド骨格の構造、例えば、シートもしくは螺旋立体配座、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルク、を維持するそれらの効果において大いに異なる置換を選択することによって達成される。アミノ酸は、それらの側鎖の特性の類似性に従って群分けされ得る(A.L.Lehninger,Biochemistry second ed.,pp.73-75,Worth Publishers,New York(1975))。
【0257】
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
【0258】
(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)
【0259】
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
【0260】
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)
【0261】
あるいは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群分けされ得る。
【0262】
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile
【0263】
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln
【0264】
(3)酸性:Asp、Glu
【0265】
(4)塩基性:His、Lys、Arg
【0266】
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro
【0267】
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
【0268】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのあるメンバーと別のクラスとの交換を伴うことになる。
【0269】
抗体の適切な立体配座の維持に関与しない任意のシステイン残基も概してセリンで置換されて、分子の酸化的安定性が改善され、異常な架橋が阻止され得る。逆に、システイン結合(複数可)がポリペプチドに付加されて、その安定性を改善することができる(具体的には、抗体がFv断片などの抗体断片である場合)。
【0270】
置換バリアントの一例は、親抗体(例えば、ヒト化抗体)の1つ以上の超可変領域残基の置換を伴う。概して、さらなる開発のために選択されて得られた変異体(複数可)は、それらが生成される親抗体に対して改善された生物学的特性を有する。そのような置換変異体を生成するための好都合な方法は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟を伴う。簡潔には、いくつかの超可変領域部位(例えば、6~7つの部位)は、各部位に全ての可能なアミノ置換を生成するために変異される。このように生成された抗体変異体は、各粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III産物への融合物として糸状ファージ粒子からの一価様式で表示される。その後、ファージディスプレイされた変異体は、本明細書に開示されるそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補超可変領域部位を特定するために、アラニンスキャニング変異生成が行われ、抗原結合に著しく寄与する超可変領域残基が特定され得る。あるいは、または加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と標的との間の接触点を特定することが有益であり得る。そのような接触残基及び隣接残基は、本明細書に詳述される技法に従う置換の候補である。そのような変異体が生成されると、変異体のパネルが本明細書に記載されるようにスクリーニングに供され、1つ以上の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体がさらなる開発のために選択され得る。
【0271】
ポリペプチドの別の種類のアミノ酸変異体は、抗体の元のグリコシル化パターンを改変する。ポリペプチドは、非アミノ酸部分を含み得る。例えば、ポリペプチドは、グリコシル化され得る。そのようなグリコシル化は、宿主細胞または宿主生物でのポリペプチドの発現中に天然に生じ得るか、またはヒト介入に起因する計画的な修飾であり得る。改変とは、ポリペプチドに見られる1つ以上の炭水化物部分の欠失、及び/またはポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位の付加を意味する。
【0272】
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合またはO結合のいずれかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素結合の認識配列である。したがって、ポリペプチド内でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合グリコシル化とは、糖類であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用され得る。
【0273】
グリコシル化部位のポリペプチドへの付加は、(N結合グリコシル化部位のための)上述のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成される。改変は、(O結合グリコシル化部位のための)元の抗体の配列への1つ以上のセリンまたはトレオニン残基の付加、またはそれによる置換によっても行われ得る。
【0274】
ポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的もしくは酵素的に、またはグリコシル化の標的としての機能を果たすアミノ酸残基をコードするコドンの変異置換によって達成され得る。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、様々なエンド-及びエキソ-グリコシダーゼの使用によって達成され得る。
【0275】
他の修飾としては、それぞれ、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基の対応するグルタミル残基及びアスパルチル残基それぞれへの脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のγ-アミノ基のメチル化、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0276】
キメラポリペプチド
本明細書に記載のポリペプチドは、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合したポリペプチドを含むキメラ分子を形成するための方法で修飾され得る。いくつかの実施形態では、キメラ分子は、ポリペプチドと、抗タグ抗体が選択的に結合し得るエピトープを提供するタグポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般に、ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端に位置する。そのようなエピトープタグ形態のポリペプチドの存在は、タグポリペプチドに対する抗体を使用して検出され得る。エピトープタグの提供により、抗タグ抗体またはエピトープタグに結合する別の種類の親和性マトリックスを使用してポリペプチドが親和性精製によって容易に精製されることも可能になる。
【0277】
多重特異性抗体
特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、結合特異性の一方は、c-metに対するものであり、他方は、任意の他の抗原に対するものである。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、c-metの2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体を使用して、細胞毒性薬を、c-metを発現する細胞に限局させることもできる。二重特異性抗体は、全長抗体または抗体フラグメントとして調製することができる。
【0278】
多重特異性抗体を作製するための技術としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature305:537(1983))、WO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、及び「ノブインホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電ステアリング効果を操作して抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体またはフラグメントを架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体フラグメントを作製すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444-6448(1993)を参照されたい)、及び一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい)、ならびに三重特異性抗体を調製すること(例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)によって作製され得る。
【0279】
本明細書における抗体または断片はまた、WO2009/080251、WO2009/080252、WO2009/080253、WO2009/080254、WO2010/112193、WO2010/115589、WO2010/136172、WO2010/145792、及びWO2010/145793に記載される多重特異性抗体を含む。
【0280】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。
【0281】
本明細書における抗体または断片はまた、第1のエピトープ(例えば、第1の抗原上)、ならびに別の異なるエピトープ(例えば、第1の抗原または第2の異なる抗原上)に結合する抗原結合部位を含む「二重作用Fab」または「二重作用Fab”」(DAF)を含む(例えば、US2008/0069820、Bostrom et al.(2009)Science,5921,1610-1614を参照されたい)。
【0282】
二重特異性抗体の作製方法が、当該技術分野で既知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの重鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づく(Milstein and Cuello,Nature305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな組み合わせのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)が10個の異なる抗体分子の混合物を産生する可能性があり、それらのうちの1つのみが正しい二重特異性構造を有する。親和性クロマトグラフィーステップによって通常行われる正しい分子の精製は幾分面倒であり、産物収率は低い。同様の手順が、1993年5月13日公開のWO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.,10:3655(1991)に開示されている。
【0283】
異なるより好ましいアプローチに従って、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)が、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合する。この融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2、及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。融合物のうちの少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物と、所望の場合、免疫グロブリン軽鎖とをコードするDNAは、別個の発現ベクターに挿入され、好適な宿主生物に共トランスフェクトされる。これにより、構築に使用される3つのポリペプチド鎖の不等比が最適収率をもたらす実施形態では、3つのポリペプチド断片の相互比率の調整において優れた柔軟性が提供される。しかしながら、等比での少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現により高収率がもたらされる場合、またはそれらの比が特に重要ではない場合に、2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
【0284】
このアプローチの好ましい一実施形態では、二重特異性抗体は、一方のアームにある第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、及び他方のアームにある(第2の結合特異性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対から成る。二重特異性分子の半分のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が分離の容易な方法を提供するため、この非対称構造が、所望の二重特異性化合物の望ましくない免疫グロブリン鎖組み合わせからの分離を容易にすることが見出された。このアプローチは、WO94/04690に開示されている。二重特異性抗体の生成のさらなる詳細については、例えば、Suresh et al.,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照されたい。
【0285】
ノブインホール
別のアプローチに従って、一対の抗体分子間の界面が操作されて、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大にすることができる。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面由来の1つ以上の小さいアミノ酸側鎖は、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えられる(ノブまたは隆起)。大きい側鎖(複数可)と同一または同様の大きさの補償「空洞」(ホール)は、大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置き換えることによって第2の抗体分子の界面上に作製される。これは、ホモ二量体などの他の望ましくない最終産物を上回るヘテロ二量体の収率を増大するための機序を提供する。ノブ及びホールは、本明細書にさらに記載されている。
【0286】
多重特異性抗体及び/または一アーム抗体及び/またはイムノアドヘシンの産生方法としてノブイントゥホール(Knobs into holes)を使用することは、当該技術分野で周知である。Genentechに割り当てられ、1998年3月24日に承認された米国特許第5,731,168号、Amgenに割り当てられ、2009年7月16日に公開されたPCT公開第WO2009089004号、及びNovo Nordisk A/Sに割り当てられた、2009年7月16日に公開された米国特許公開第2009/0182127号を参照されたい。Marvin and Zhu,Acta Pharmacologica Sincia(2005)26(6):649-658及びKontermann(2005)Acta Pharacol.Sin.,26:1-9もまた参照されたい。簡潔な考察が本明細書に提供されている。
【0287】
「隆起」は、第1のポリペプチドの界面から突出し、したがって、隣接界面(すなわち、第2のポリペプチドの界面)の補償空洞内に位置付け可能となることで、例えば、ヘテロ多量体を安定させ、それによりホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成が好都合になる、少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。隆起は、元の界面に存在し得るか、または合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。通常、第1のポリペプチドの界面をコードする核酸は、隆起をコードするように改変される。これを達成するために、第1のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも大きい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸で置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解されるだろう。置き換えられる元の残基の数の上限は、第1のポリペプチドの界面における残基の総数である。様々なアミノ残基の側鎖体積が以下の表に示される。
表6:アミノ酸の特性
aアミノ酸の分子量から水の分子量を差し引いたもの。Handbook of Chemistry and Physics,43rd ed.Cleveland,Chemical Rubber Publishing Co.,1961からの値。
bA.A.Zamyatnin,Prog.Biophys.Mol.Biol.,24:107-123,1972からの値。
cC.Chothia,J.Mol.Biol.105:1-14,1975からの値。接書可能表面領域は、この参考文献の
図6~20に定義されている。
【0288】
隆起の形成に好ましい移入残基は、一般に、天然に存在するアミノ酸残基であり、好ましくはアルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)から選択される。トリプトファン及びチロシンが最も好ましい。一実施形態では、隆起を形成するための元の残基は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン、またはバリンなどの小さい側鎖体積を有する。隆起を形成するためのCH3ドメインにおける例示的なアミノ酸置換としては、T366W置換が挙げられるが、これに限定されない。
【0289】
「空洞」は、第2のポリペプチドの界面から凹んでおり、したがって、隣接する第1のポリペプチドの界面上の対応する隆起を収容する少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元の界面に存在し得るか、または合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。通常、第2のポリペプチドの界面をコードする核酸は、空洞をコードするように改変される。これを達成するために、第2のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも小さい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAで置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解されるだろう。置き換えられる元の残基の数の上限は、第2のポリペプチドの界面における残基の総数である。様々なアミノ残基の側鎖体積が上の表2に示されている。空洞の形成に好ましい移入残基は、通常、天然に存在するアミノ酸残基であり、好ましくはアラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、及びバリン(V)から選択される。セリン、アラニン、またはトレオニンが最も好ましい。一実施形態では、空洞を形成するための元の残基は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンなどの大きい側鎖体積を有する。空洞を生成するためのCH3ドメインにおける例示的なアミノ酸置換としては、T366S置換、L368A置換、及びY407A置換が挙げられるが、これらに限定されない。
【0290】
「元の」アミノ酸残基とは、元の残基よりも小さいまたは大きい側鎖体積を有し得る「移入」残基に置き換えられるものである。移入アミノ酸残基は、天然に存在するか、または天然に存在しないアミノ酸残基であり得るが、好ましくは、天然に存在するアミノ酸残基である。「天然に存在する」アミノ酸残基とは、遺伝子コードによってコードされ、上の表2に列記される残基である。「天然に存在しない」アミノ酸残基とは、遺伝子コードによってコードされないが、ポリペプチド鎖内の隣接するアミノ酸残基(複数可)に共有結合することができる残基を意味する。天然に存在しないアミノ酸残基の例は、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン、及び他のアミノ酸残基類似体、例えば、Ellman et al.,Meth.Enzym.202:301-336(1991)に記載されるものなどである。そのような天然に存在しないアミノ酸残基を生成するために、Noren et al.Science244:182(1989)及びEllman et al.(上記参照)の手順が使用され得る。簡潔には、これは、天然に存在しないアミノ酸残基を有するサプレッサーtRNAの化学的活性化、その後のRNAのインビトロ転写及び翻訳を伴う。本明細書に提供される方法は、少なくとも1つの元のアミノ酸残基の置き換えを伴うが、2つ以上の元の残基が置き換えられ得る。通常、第1または第2のポリペプチドの界面における合計残基より多くが、置き換えられる元のアミノ酸残基を含むことはない。典型的には、置き換えられる元の残基は「埋められる」。「埋められる」とは、残基が溶媒に本質的にアクセス不能であることを意味する。一般に、移入残基は、ジスルフィド結合の起こり得る酸化または誤対合を阻止するために、システインではない。
【0291】
隆起は、空洞内で「位置付け可能」であり、これは、それぞれ、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの界面の隆起及び空洞の空間的位置、ならびに隆起及び空洞の大きさが、界面での第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの正常な会合を著しく乱すことなく隆起が空洞内に位置し得るようなものであることを意味する。Tyr、Phe、及びTrpなどの隆起が、典型的には、界面の軸から垂直に延びず、好ましい立体配座を有しないため、隆起と対応する空洞との整列は、X線結晶学または核磁気共鳴(NMR)によって得られるものなどの三次元構造に基づく隆起/空洞対のモデリングに依存する。これは、当該技術分野で広く受け入れられている技術を使用して達成され得る。
【0292】
「元のまたは鋳型核酸」とは、隆起または空洞をコードするように「改変され」得る(すなわち遺伝子操作され得るか、または変異させられ得る)目的とするポリペプチドをコードする核酸を意味する。元のまたは開始核酸は、天然に存在する核酸であり得るか、または事前改変されている核酸(例えば、ヒト化抗体断片)を含み得る。核酸を「改変する」とは、元の核酸が目的とするアミノ酸残基をコードする少なくとも1つのコドンの挿入、欠失、または置き換えによって変異させられることを意味する。通常、元の残基をコードするコドンは、移入残基をコードするコドンに置き換えられる。この様式でのDNAを遺伝子的に修飾するための技術は、Mutagenesis:a Practical Approach,M.J.McPherson,Ed.,(IRL Press,Oxford,UK.(1991)に概説されており、例えば、部位特異的変異誘発、カセット変異誘発、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発を含む。元の/鋳型核酸を変異させることによって、元の/鋳型核酸によってコードされた元の/鋳型ポリペプチドがそれに従って対応して改変される。
【0293】
隆起または空洞は、合成手段によって、例えば、組換え技法、インビトロペプチド合成、前述の天然に存在しないアミノ酸残基を導入するための技法、ペプチドの酵素または化学的カップリング、またはこれらの技法のいくつかの組み合わせによって、第1または第2のポリペプチドの界面に「導入され」得る。したがって、「導入される」隆起または空洞は、「天然に存在しない」または「非天然」であり、これは、それが天然または元のポリペプチド(例えば、ヒト化モノクローナル抗体)には存在しないことを意味する。
【0294】
一般に、隆起を形成するための移入アミノ酸残基は、比較的小数の「回転異性体」(例えば、約3~6つ)を有する。「回転異性体」とは、アミノ酸側鎖のエネルギー的に好ましい立体配座である。様々なアミノ酸残基の回転異性体の数は、Ponders and Richards,J.Mol.Biol.193:775-791(1987)に概説されている。
【0295】
一実施形態では、第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドは、界面で接触する/相互作用する。第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドが界面で接触するいくつかの実施形態では、第2のFcポリペプチドの界面(配列)は、第1のFcポリペプチドの界面(配列)の空洞(「ホール」とも称される)内に位置付け可能な隆起(「ノブ」とも称される)を含む。一実施形態では、第1のFcポリペプチドが、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されているか、または第2のFcポリペプチドが、隆起をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されているか、またはこれらの両方である。一実施形態では、第1のFcポリペプチドが、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されており、第2のFcポリペプチドが、隆起をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されている。一実施形態では、第2のFcポリペプチドの界面は、第1のFcポリペプチドの界面の空洞内に位置付け可能な隆起を含み、空洞もしくは隆起、またはこれらの両方が、それぞれ、第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドの界面に導入されている。第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドが界面で接触するいくつかの実施形態では、第1のFcポリペプチド(配列)の界面は、第2のFcポリペプチドの界面(配列)の空洞内に位置付け可能な隆起を含む。一実施形態では、第2のFcポリペプチドが、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されているか、または第1のFcポリペプチドが、隆起をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されているか、またはこれらの両方である。一実施形態では、第2のFcポリペプチドが、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されており、第1のFcポリペプチドが、隆起をコードするように鋳型/元のポリペプチドから改変されている。一実施形態では、第1のFcポリペプチドの界面は、第2のFcポリペプチドの界面の空洞内に位置付け可能な隆起を含み、隆起もしくは空洞、またはこれらの両方が、それぞれ、第1のFcポリペプチド及び第2のFcポリペプチドの界面に導入されている。
【0296】
一実施形態では、隆起及び空洞は各々、天然に存在するアミノ酸残基を含む。一実施形態では、隆起を含むFcポリペプチドは、鋳型/元のポリペプチドの界面由来の元の残基を、元の残基よりも大きい側鎖体積を有する移入残基で置き換えることによって生成される。一実施形態では、隆起を含むFcポリペプチドは、ポリペプチドの界面由来の元の残基をコードするポリヌクレオチドが元の残基よりも大きい側鎖体積を有する移入残基をコードするポリヌクレオチドで置き換えられるステップを含む方法によって生成される。一実施形態では、元の残基は、トレオニンである。一実施形態では、元の残基は、T366である。一実施形態では、移入残基は、アルギニン(R)である。一実施形態では、移入残基は、フェニルアラニン(F)である。一実施形態では、移入残基は、チロシン(Y)である。一実施形態では、移入残基は、トリプトファン(W)である。一実施形態では、移入残基は、R、F、YまたはWである。一実施形態では、隆起は、鋳型/元のポリペプチドの2つ以上の残基を置き換えることによって生成される。一実施形態では、隆起を含むFcポリペプチドは、366位のトレオニンのトリプトファンでの置き換えを含む(Kabat et al.(pp.688-696in Sequences of proteins of immunological interest,5th ed.,Vol.1(1991;NIH,Bethesda,MD))のEU番号付けスキームに従うアミノ酸番号付け)。
【0297】
いくつかの実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、鋳型/元のポリペプチドの界面の元の残基を、元の残基よりも小さい側鎖体積を有する移入残基で置き換えることによって生成される。例えば、空洞を含むFcポリペプチドは、ポリペプチドの界面由来の元の残基をコードするポリヌクレオチドが元の残基よりも小さい側鎖体積を有する移入残基をコードするポリヌクレオチドで置き換えられるステップを含む方法によって生成され得る。一実施形態では、元の残基は、トレオニンである。一実施形態では、元の残基は、ロイシンである。一実施形態では、元の残基は、チロシンである。一実施形態では、移入残基は、システイン(C)ではない。一実施形態では、移入残基は、アラニン(A)である。一実施形態では、移入残基は、セリン(S)である。一実施形態では、移入残基は、トレオニン(T)である。一実施形態では、移入残基は、バリン(V)である。空洞は、鋳型/元のポリペプチドの1つ以上の元の残基を置き換えることによって生成され得る。例えば、一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、トレオニン、ロイシン、及びチロシンからなる群から選択される2つ以上の元のアミノ酸の置き換えを含む。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、アラニン、セリン、トレオニン、及びバリンからなる群から選択される2つ以上の移入残基を含む。いくつかの実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、トレオニン、ロイシン、及びチロシンからなる群から選択される2つ以上の元のアミノ酸の置き換えを含み、元のアミノ酸は、アラニン、セリン、トレオニン、及びバリンからなる群から選択される移入残基で置き換えられる。いくつかの実施形態では、置き換えられる元のアミノ酸は、T366、L368、及び/またはY407である。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、366位のトレオニンのセリンでの置き換えを含む(Kabat et al.(上記参照)のEU番号付けスキームに従うアミノ酸番号付け)。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、368位のロイシンのアラニンでの置き換えを含む(Kabat et al.(上記参照)のEU番号付けスキームに従うアミノ酸番号付け)。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、407位のチロシンのバリンでの置き換えを含む(Kabat et al.(上記参照)のEU番号付けスキームに従うアミノ酸番号付け)。一実施形態では、空洞を含むFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vからなる群から選択される2つ以上のアミノ酸置き換えを含む(Kabat et al.(上記参照)のEU番号付けスキームに従うアミノ酸番号付け)。これらの抗体断片のいくつかの実施形態では、隆起を含むFcポリペプチドは、366位のトレオニンのトリプトファンでの置き換えを含む(Kabat et al.(上記参照)のEU番号付けスキームに従うアミノ酸番号付け)。
【0298】
一実施形態では、本抗体は、WO2005/063816に記載されるように「ノブ」及び「ホール」を構成するFc変異を含む。例えば、ホール変異は、FcポリペプチドにおけるT366A、L368A、及び/またはY407Vのうちの1つ以上であり得、ノブ変異は、IgG1またはIgG4骨格においてT366Wであり得る。当業者であれば、他の免疫グロブリンアイソタイプにおける同等の変異を作製することができる。さらに、当業者であれば、二重特異性に使用される2つの半抗体が同じアイソタイプのものであることが好ましいことを容易に理解するであろう。
【0299】
CrossMab技術
Schaefer et al.(Roche Diagnostics GmbH)は、人工的なリンカーを使用することなく、ヒト二価の二重特異性IgG抗体として、2つの存在する抗体に由来する2つの重鎖及び2つの軽鎖を発現するための方法を記載する(PNAS(2011)108(27):11187-11192及びUS2009/0232811)。方法は、2分の1の二重特異性抗体の抗原結合断片(Fab)内で1つ以上の重鎖及び軽鎖ドメインを交換することを含む(CrossMab)。軽鎖及びそれらの同種重鎖の正しい会合は、二重特異性抗体の2分の1の抗原結合断片(Fab)内での重鎖及び軽鎖ドメインの交換によって達成される。この「クロスオーバー」は、抗原結合親和性を保持するが、2つのアームを異なるようにするため軽鎖の誤対合はもはや生じ得ない。WO2009/080251、WO2009/080252、WO2009/080253、WO2009/080254、WO2010/115589、WO2010/136172、WO2010/145792、及びWO2010/145793を参照されたく、各々がその全体において参照により本明細書に組み込まれる。例えば、多重特異性抗体の「ノブイントゥホール(Knobs into holes)」(KiH)または「CrossMab」技術発現のような方法論の開発に起因する、これらの最近の利点は、依然として、それらの生成に特異的に関連する生成物-特異的不純物の所望でない形成をもたらし得る。これらの生成物-特異的不純物は、例えば、1/2抗体(単一の重鎖/軽鎖対を含む)、3/4抗体(単一の軽鎖を欠乏する完全抗体を含む)、または生成物5/4抗体(追加の重鎖または軽鎖可変ドメインを含む)を含み得る。
【0300】
BiTE技術
二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)分子に使用される別の形式(例えば、Wolf et al.(2005)Drug Discovery Today10:1237-1244)は、一本鎖可変断片(scFv)モジュールに基づく。scFvは、柔軟なリンカーを介して融合された抗体の軽鎖及び重鎖可変領域からなり、それは、概して、適切に折り畳むことができるため、領域は同種抗原を結合し得る。BiTEは、一本鎖上でタンデムにおける2つのscFvの異なる特異性を連結する。この構成は、同じ重鎖可変領域の2つのコピーを有する分子の生成を排除する。加えて、リンカー構成は、それぞれの軽鎖及び重鎖の正しい対合を確実にするために設計されている。
【0301】
他の二重特異性抗体形式
Strop et al.(Rinat-Pfizer Inc.)は、対象の2つの抗体を別々に発現及び精製し、次いで、特定の酸化還元条件下でそれらを一緒に混合することによって安定な二重特性抗体を生成する方法を記載する(J.Mol.Biol.(2012)420:204-19)。
【0302】
ホモ二量体よりもヘテロ二量体の形成を断然好む他のヘテロ二量体化ドメインは、本多重特異性抗原結合タンパク質へ組み込まれ得る。例示としての例は、これらに限定されないが、例えば、WO2007/147901(Kjaergaard et al.-Novo Nordisk(イオン相互作用について説明))、WO2009089004(Kannan et al.-Amgen(静電ステアリング効果について説明))、WO2010/034605(Christensen et al.-Genentech(コイルドコイルについて説明))を含む。例えば、Pack,P.&Plueckthun,A.,Biochemistry31,1579-1584(1992)(ロイシンジッパーについて説明)、またはPack et al.,Bio/Technology11,1271-1277(1993)(ヘリックスターンヘリックスモチーフについて説明)も参照されたい。「ヘテロ多量体化ドメイン」及び「ヘテロ二量体化ドメイン」という語句は、本明細書で同義に使用される。ある特定の実施形態では、多重特異性抗原結合タンパク質は、1つ以上のヘテロ二量体化ドメインを含む。
【0303】
Zhu et al.(Genentech)は、定常ドメインが完全に欠けているバリアントドメイン抗体断片からなるダイアボディ構築物のVL/VH界面において変異を操作し、ヘテロ二量体ダイアボディを生成した(Protein Science(1997)6:781-788)。同様に、Igawa et al.(Chugai)はまた、選択的な発現を促進し、ダイアボディの構造異性化を阻害するために、一本鎖ダイアボディのVL/VH界面において、変異を操作した(Protein Engineering,Design&Selection(2010)23:667-677)。
【0304】
米国特許公開第2009/0182127号(Novo Nordisk,Inc.)は、他の対の重鎖で相互作用させるために一対の軽鎖の能力を低減する軽-重鎖対のFc界面及びCH1:CL界面においてアミノ酸残基を修飾することによって二重特異性抗体の生成を記載する。
【0305】
二重特異性抗体としては、架橋または「ヘテロコンジュゲート」抗体が挙げられる。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける抗体のうちの一方がアビジンにカップリングし得、他方がビオチンにカップリングし得る。そのような抗体は、例えば、望ましくない細胞に対して免疫系細胞の標的とするために(米国特許第4,676,980号)、かつHIV感染を治療するために(WO91/00360、WO92/200373、及びEP03089)提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋方法を使用して作製され得る。好適な架橋剤が当該技術分野で周知であり、いくつかの架橋技法とともに米国特許第4,676,980号に開示されている。
【0306】
抗体断片から二重特異性抗体を生成するための技法もこの文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して調製され得る。Brennan et al.,Science229:81(1985)は、インタクトな抗体がタンパク質分解的に切断されてF(ab’)2断片を生成する手順について記載している。これらの断片は、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元されて、隣接ジチオールを安定させ、分子間ジスルフィド形成を阻止する。次いで、生成されたFab’断片は、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。Fab’-TNB誘導体のうちの1つが、メルカプトエチルアミンでの還元によりFab’-チオールに再変換され、等モル量の他のFab’-TNB誘導体と混合されて、二重特異性抗体が形成される。産生された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化のための薬剤として使用され得る。
【0307】
二重特異性抗体断片を組換え細胞培養物から直接作製及び単離するための様々な技法についても記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelny et al.,J.Immunol.148(5):1547-1553(1992).Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドが、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に連結された。抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を形成し、その後、再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体ホモ二量体の産生にも利用され得る。Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444-6448(1993)により記載される「ダイアボディ」技法は、二重特異性抗体断片を作製するための代替的機序を提供している。断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に接続した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つの断片のVH及びVLドメインが別の断片の相補的VL及びVHドメインと対合させられ、それにより2つの抗原結合部位が形成される。一本鎖Fv(scFv)二量体を使用して二重特異性抗体断片を作製するための別の戦略も報告されている。Gruber et al.,J.Immunol.152:5368(1994)を参照されたい。
【0308】
様々な二重特異性及び多重特異性抗体の概説は、Klein et al.,(2012)mAbs4:6,653-663、Spiess et al.(2015)“Alternative molecular formats andrapeutic applications for bispecific antibodies.”Mol.Immunol.Published online January27,2015、doi:10.1016/j.molimm.2015.01.003、及びKontermann et al.(2015)Drug Discovery Today20,838-847に提供される。
【0309】
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及び組換え方法
本明細書に記載される精製の方法で使用される多重特異性抗体は、組換え方法を含む、当技術分野で周知の方法を使用して得られてもよい。以下のセクションは、これらの方法に関する手引きを提供する。
【0310】
ポリヌクレオチド
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。
【0311】
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリペプチドmRNAを保有し、検出可能なレベルでそれを発現すると考えられている組織から調製されたcDNAライブラリーを含むが、これに限定されない、任意の供給源から得られ得る。したがって、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ヒト組織から調製されたcDNAライブラリーから簡便に得ることができる。ポリペプチドコード遺伝子はまた、ゲノムライブラリーから、または既知の合成手順(例えば、自動核酸合成)によっても得られ得る。
【0312】
例えば、ポリヌクレオチドは、軽鎖または重鎖などの全体の免疫グロブリン分子鎖をコードし得る。完全な重鎖は、重鎖可変領域(VH)だけでなく、重鎖定常領域(CH)も含み、これは典型的には3つの定常ドメイン:CH1、CH2、及びCH3;及び「ヒンジ」領域を含む。場合によっては、定常領域の存在が望ましい。
【0313】
ポリヌクレオチドによってコードされ得る他のポリペプチドには、抗原結合抗体断片、例えば、単一ドメイン抗体(「dAb」)、Fv、scFv、Fab’、及びF(ab’)2、ならびに「ミニボディ」が含まれる。ミニボディは、(典型的には)CH1及びCKまたはCLドメインが切除されている二価抗体断片である。ミニボディは、従来の抗体より小さいので、それらは臨床/診断用途では良好な組織浸透を達成するはずであるが、dAbのような一価抗体断片よりも高い結合親和性を保持しなければならない二価である。したがって、別途文脈が規定しない限り、「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、全ての抗体分子だけでなく、上記で考察される型の抗原結合抗体断片も包含する。好ましくは、コードされたポリペプチド中に存在する各フレームワーク領域は、対応するヒト受容体フレームワークに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。したがって、例えば、フレームワーク領域は、受容体フレームワーク領域に対して、合計で3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸置換を含み得る。
【0314】
好適には、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、単離及び/または精製され得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドである。
【0315】
「単離されたポリヌクレオチド」という用語は、分子がその正常または天然環境から除去もしくは分離されるか、または、その正常もしくは天然環境に存在しない方法で生成されたことを示すように意図される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、精製されたポリヌクレオチドである。精製されたという用語は、少なくともいくつかの混入分子または基質が除去されていることを示すように意図される。
【0316】
好適には、ポリヌクレオチドは、関連ポリヌクレオチドが、組成物中に存在する優性(すなわち、最も豊富な)ポリヌクレオチドを構成するように実質的に精製される。
【0317】
ポリヌクレオチドの発現
以下の説明は、主に、ポリペプチドコードポリヌクレオチドを含むベクターで転換またはトランスフェクトされた細胞を培養することによるポリペプチドの生成に関する。当然、当該技術分野で周知の代替的な方法が、ポリペプチドを調製するために用いられ得ることが企図される。例えば、適切なアミノ酸配列またはその部分は、固相技法を使用する直接ペプチド合成によって産生され得る(Stewart et al.,Solid-Phase Peptide Synthesis W.H.Freeman Co.,San Francisco,Calif.(1969);Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149-2154(1963)を参照されたい)。インビトロタンパク質合成は、手動技法を使用して、または自動で行われ得る。自動合成は、例えば、製造業者の指示を使用したApplied Biosystems Peptide Synthesizer(Foster City,Calif.)を使用して達成され得る。ポリペプチドの様々な部分が別個に化学的に合成され、化学的または酵素的方法を使用して組み合わせられて、所望のポリペプチドを産生することができる。
【0318】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、ポリペプチドの生成のために発現ベクター(複数可)へ挿入される。「制御配列」という用語は、特定の宿主生物における、操作可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。制御配列は、これらに限定されないが、プロモーター(例えば、天然に関連するまたは異種プロモーター)、シグナル配列、エンハンサー要素、及び転写終結配列を含む。
【0319】
ポリヌクレオチドは、それが別のポリヌクレオチド配列と機能的な関係性に置かれるとき、「操作可能に連結」されている。例えば、プレ配列または分泌リーダーの核酸は、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合、ポリペプチドの核酸に操作可能に連結しているか、プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、その配列に操作可能に連結しているか、あるいはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に操作可能に連結されている。一般に、「操作可能に連結」されるとは、連結している核酸配列が連続的であること、及び分泌リーダーの場合、連続しており、リーディング相にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、連続していなくてもよい。連結は、好都合な制限部位でのライゲーションによって達成される。そのような部位が存在していない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の慣例に従って使用される。
【0320】
抗体について、軽鎖及び重鎖は、同じまたは異なる発現ベクター中でクローン化され得る。免疫グロブリン鎖をコードする核酸セグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発現ベクター(複数可)における制御配列に操作可能に連結されている。
【0321】
4つの異なるポリペプチド鎖を含むCrossMabには、4つの発現価セットが使用される。これらは、2つまたは4つの異なる発現ベクター中でクローン化され得る。免疫グロブリン鎖をコードする核酸セグメントの各々は、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発現ベクター(複数可)における制御配列に操作可能に連結されている。2つ以上の発現価セットが、同じ発現ベクター上で含まれる場合、これらは、一方向性または双方向性に組織化され得る。
【0322】
ポリヌクレオチド配列(例えば、配列及び任意の発現制御配列をコードする可変重鎖及び/または可変軽鎖)を含むベクターは、周知の方法によって宿主細胞へ移されることができ、それは、細胞宿主の型に応じて変化する。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは、一般に、原核生物細胞に利用されるが、リン酸塩カルシウム処理、電気穿孔、リポフェクション、微粒子銃、またはウイルス性に基づくトランスフェクションは、他の細胞宿主のために使用され得る。(概して、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press,2nd ed.,1989を参照されたい)。哺乳動物細胞を転換するために使用される他の方法は、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔、及び微量注入を含む。トランスジェニック動物の生成のために、導入遺伝子は、受精卵母細胞に微量注入されるか、または胚性幹細胞のゲノム、及び除核された卵母細胞に移されたそのような細胞の細胞核に組み込まれ得る。
【0323】
ベクター
「ベクター」という用語は、発現ベクター、ならびに形質転換ベクター及びシャトルベクターを含む。
【0324】
「発現ベクター」という用語は、インビボまたはインビトロ発現が可能な構築物を意味する。
【0325】
「形質転換ベクター」という用語は、1つの主体から別の主体へ移されることができる構築物を意味し、それは、その種であり得るか、または異なる種であり得る。構築物は、1つの主体から別の主体、Escherichia coliプラスミドからバチルス属などの細菌へなどに移されることができる場合、次いで形質転換ベクターは、時折「シャトルベクター」と称される。それは、さらに、E.coliプラスミドからアグロバクテリウム、植物へ移されることができる構築物であり得る。
【0326】
ベクターは、本明細書に記載されるように、好適な宿主細胞へ転換され、ポリペプチドの発現を提供し得る。様々なベクターが、公的に利用可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、またはファージであり得る。適切な核酸配列は、様々な手順によってベクターへ挿入され得る。一般に、DNAは、当該技術分野で既知の技術を使用して適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(複数可)に挿入される。これらの構成要素のうちの1つ以上を含む好適なベクターの構築物は、当業者に既知の標準的なライゲーション技術を用いる。
【0327】
ベクターは、例えば、複製起点で提供されるプラスミド、ウイルス、またはファージベクター、任意にポリヌクレオチドの発現のためのプロモーター、及び任意にプロモーターのレギュレーターであり得る。ベクターは、当該技術分野で周知の1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子を含み得る。
【0328】
これらの発現ベクターは、典型的には、エピソームまたは宿主染色体DNAの不可欠な部分のいずれかとして宿主生物中で複製可能である。
【0329】
多重特異性抗体の生成について、多重特異性抗体(または、多重特異性抗体のアーム、すなわち、重鎖/軽鎖対)をコードする核酸(複数可)は、典型的には、さらなるクローン化、増幅、及び/または発現のために単離され、複製可能なベクターに挿入される。抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することのできるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離及び配列決定される。多くのベクターが利用可能である。ベクターの選択は、使用される宿主細胞に部分的に依存する。IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE定常領域を含む任意のアイソタイプの定常領域がこの目的のために使用され得、そのような定常領域が任意のヒトまたは動物種から得られ得ることが理解される。
【0330】
宿主細胞
宿主細胞は、例えば、細菌細胞、酵母細胞、または他の真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、または哺乳動物細胞であり得る。
【0331】
遺伝子的に操作されているトランスジェニック多細胞宿主生物は、ポリペプチドを生成するために使用され得る。生物は、例えば、トランスジェニック哺乳類生物(例えば、トランスジェニックヤギまたはマウス株)であり得る。
【0332】
好適な原核生物には、これらに限定されないが、グラム陰性またはグラム陽性の生物などの真正細菌、例えば、E.coli.などのEnterobacteriaceaeが挙げられる。E.coli K12株MM294(ATCC31,446)、E.coli X1776(ATCC31,537)、E.coli株W3110(ATCC27,325)及びK5 772(ATCC53,635)などの様々なE.coli株が公的に利用可能である。他の好適な原核生物宿主細胞としては、EscherichiaなどのEnterobacteriaceae、例えば、E.coli、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella、例えば、Salmonella typhimurium、Serratia、例えば、Serratia marcescans、及びShigella、ならびにB.subtilis及びB.licheniformis(例えば、B.licheniformis41P)などのBacilli、P.aeruginosaなどのPseudomonas、及びStreptomycesが挙げられる。これらの例は、限定するものではなく、例示するものである。株W3110は、それが組換えポリヌクレオチド生成物の発酵に対して一般的な宿主株であるため、1つの特に好ましい宿主または親宿主である。好ましくは、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110は、宿主に対して内因性であるポリペプチドをコードする遺伝子において遺伝子変異に影響を与えるように修飾され得、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型tonAを有するE.coli W3110株1A2、完全な遺伝子型tonA ptr3を有するE.coli W3110株9E4、完全な遺伝子型tonA ptr3phoA E15(argF-lac)169degP ompT kan’を有するE.coli W3110株27C7(ATCC55,244)、完全な遺伝子型tonA ptr3phoA E15(argF-lac)169degP ompT rbs7ilvG kan’を有するE.coli W3110株37D6、非カナマイシン耐性degP欠失変異を有する株37D6であるE.coli W3110株40B4、及び変異体ペリプラズムプロテアーゼを有するE.coli株が挙げられる。代替的には、クローン化のインビトロ方法、例えば、PCRまたは他の核酸ポリメラーゼ反応が好適である。いくつかの実施形態では、原核生物宿主細胞(例えば、E.coli宿主細胞)は、1つ以上のシャペロンを発現し、抗体の折り畳み及びアセンブリを容易にする。いくつかの実施形態では、シャペロンは、FkpA、DsbA、またはDsbCのうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、シャペロンは、内因性シャペロン遺伝子から発現される。いくつかの実施形態では、シャペロンは、外因性シャペロン遺伝子から発現される。いくつかの実施形態では、シャペロン遺伝子は、E.coliシャペロン遺伝子(例えば、E.coli FkpA遺伝子、E.coli DsbA遺伝子、及び/またはE.coli DsbC遺伝子)である。
【0333】
これらの原核生物宿主において、1つは発現ベクターを作製することができ、それは、典型的には、宿主細胞と適合性のある発現制御配列を含む(例えば、複製起点)。加えて、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ベータ-ラクタマーゼプロモーター系、またはラムダファージのプロモーター系などの任意の数の様々な周知のプロモーターが存在するであろう。プロモーターは、典型的には、発現を制御し、任意にオペレーター配列を有し、転写及び翻訳の開始及び完了のためにリボソーム結合部位配列などを有する。
【0334】
真核微生物は、発現のために使用され得る。糸状真菌または酵母などの真核微生物が、ポリペプチドコードベクターに好適なクローニングまたは発現宿主である。Saccharomyces cerevisiaeは、一般に使用されるより低次の真核宿主微生物である。他のものとしては、Schizosaccharomyces pombe;例えば、K.lactis(MW98-8C、CBS683、CBS4574)、K.fragilis(ATCC12,424)、K.bulgaricus(ATCC16,045)、K.wickeramii(ATCC24,178)、K.waltii(ATCC56,500)、K.drosophilarum(ATCC36,906)、K.thermotolerans、及びK.marxianusなどのKluyveromyces宿主;yarrowia(EP402,226);Pichia pastoris;Candida;Trichoderma reesia;Neurospora crassa;Schwanniomyces occidentalisなどのSchwanniomyces;ならびに、例えば、Neurospora、Penicillium、Tolypocladiumなどの糸状真菌、及びA.nidulans及びA.nigerなどのAspergillus宿主が挙げられる。メチロトローフ酵母は、本明細書において好適であり、これらに限定されないが、Hansenula、Candida、Kloeckera、Pichia、Saccharomyces、Torulopsis、及びRhodotorulaからなる属から選択されるメタノール上での成長が可能である酵母を含む。Saccharomycesは、所望のとおり発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製起点、終結配列などを有する好適なベクターを有する、好ましい酵母宿主である。典型的なプロモーターは、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ及び他の解糖酵素を含む。誘導酵母プロモーターは、数ある中でも、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムC、ならびにマルトース及びガラクトース利用に関与する酵素を含む。
【0335】
微生物に加えて、哺乳動物組織細胞培養はまた、本明細書に記載されるようにポリペプチドを発現及び生成するために使用され得、いくつかの例では好ましい(Winnacker,From Genes to Clones VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)を参照されたい)。いくつかの実施形態について、異種ポリペプチド(例えば、無傷免疫グロブリン)を分泌することが可能であるいくつかの好適な宿主細胞株が、当該技術分野で開発されており、CHO細胞株、様々なCos細胞株、HeLa細胞、好ましくは、骨髄腫細胞株、または形質転換B-細胞もしくはハイブリドーマを含むため、真核細胞が好ましくあり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物宿主細胞は、CHO細胞である。
【0336】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、脊椎動物宿主細胞である。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40(COS-7、ATCC CRL1651)によって転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(293細胞または懸濁培養物中での成長のためにサブクローン化された293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHOまたはCHO-DP-12株);マウスセルトリ細胞;サル腎臓細胞(CV1ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL3A、ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB8065);マウス乳房腫瘍(MMT060562、ATCC CCL51);TRI細胞;MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝臓癌株(Hep G2)である。
【0337】
原核生物宿主細胞を使用した多重特異性抗体の生成
ベクター構築
本明細書に提供される方法に従って精製される多重特異性抗体のポリペプチド構成成分をコードするポリヌクレオチド配列は、標準的な組換え技術を使用して得られることができる。所望のポリヌクレオチド配列は、ハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞から単離及び配列決定され得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成機またはPCR技術を使用して合成され得る。得られた時点で、ポリペプチド(2つ以上の重鎖及び/または2つ以上の軽鎖)をコードする配列は、宿主細胞(E.coli細胞など)で異種ポリヌクレオチドを複製及び発現することができる組換えベクターに挿入される。利用可能であり、当該技術分野で既知である多くのベクターが、本明細書に提供される方法及び組成物の目的のために使用され得る。適切なベクターの選択は、ベクターに挿入される核酸の大きさ及びベクターで形質転換される特定の宿主細胞に主に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、またはこれらの両方)及びそれが存在する特定の宿主細胞とのその適合性に応じて種々の成分を含有する。ベクター成分としては、一般に、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入、及び転写終結配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0338】
一般に、宿主細胞と適合性のある種由来のレプリコン及び制御配列を含有するプラスミドベクターが、これらの宿主に関連して使用される。このベクターは、通常、複製部位、及び形質転換細胞において表現型選択を提供することができるマーキング配列を持つ。例えば、E.coliは、典型的には、pBR322、E.coli種に由来するプラスミド、を使用して転換される。pBR322は、アンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含み、それ故に形質転換細胞を特定するための容易な手段を提供する。pBR322、その誘導体、または他の微生物プラスミドもしくはバクテリオファージはまた、内因性タンパク質の発現のための微生物によって使用され得るプロモーターも含有し得るか、またはそれを含有するように修飾され得る。特定の抗体の発現のために使用されるpBR322誘導体の例は、Carter et al.,米国特許第5,648,237号に詳細に記載されている。
【0339】
加えて、宿主微生物と適合性のあるレプリコン及び制御配列を含有するファージベクターは、これらの宿主に関連して形質転換ベクターとして使用され得る。例えば、GEM(商標)-11などのバクテリオファージが、E.coli LE392などの感受性宿主細胞を形質転換するために使用され得る組換えベクターを作製する際に利用され得る。
【0340】
発現ベクターは、ポリペプチド構成成分の各々をコードする2つ以上のプロモーター-シストロン対を含み得る。プロモーターは、その発現を調節するシストロンの上流(5’)に位置する非翻訳調節配列である。原核生物プロモーターは、典型的には、2つのクラス、誘導プロモーター及び構成プロモーターに分けられる。誘導プロモーターは、培養条件の変化、例えば、栄養素の存在もしくは不在、または温度の変化に応答してその制御下で増加したレベルのシストロンの転写を開始するプロモーターである。
【0341】
様々な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。選択されたプロモーターは、制限酵素消化によりソースDNAからプロモーターを除去し、かつ単離されたプロモーター配列をベクターに挿入することによって、軽鎖または重鎖をコードするシストロンDNAに操作可能に結合し得る。天然プロモーター配列も多くの異種プロモーターもいずれも、標的遺伝子の増幅及び/または発現を誘導するために使用され得る。いくつかの実施形態では、異種プロモーターが一般に天然標的ポリペプチドプロモーターと比較して発現された標的遺伝子のより大きい転写及びより高い収率をもたらすため、異種プロモーターが利用される。
【0342】
原核生物宿主との使用に好適なプロモーターとしては、PhoAプロモーター、-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター、例えば、tacまたはtrcプロモーターが挙げられる。しかしながら、細菌において機能的な他のプロモーター(他の既知の細菌またはファージプロモーターなど)も好適である。それらのヌクレオチド配列が公開されており、それにより、当業者が、任意の必要な制限部位を提供するためにリンカーまたはアダプターを使用して、それらを標的軽鎖及び重鎖をコードするシストロンに操作可能にライゲーションすることを可能にする(Siebenlist et al.(1980)Cell20:269)。
【0343】
翻訳開始領域(TIR)は、タンパク質の全体の翻訳レベルの主要な決定因子である。TIRは、シグナル配列をコードするポリヌクレオチドを含み、シャイン・ダルガノ配列の直上流から開始コドンのおよそ20ヌクレオチド下流まで延びている。一般に、このベクターは、TIRを含み、TIR及びバリアントTIRは、当該技術分野で既知であり、TIRの生成方法は、当該技術分野で既知である。一連の核酸配列バリアントがある範囲の翻訳強度で作製され、それにより多くの異なるポリペプチドの最適な分泌のためにこの因子を調整するための便利な手段を提供することができる。PhoAなどのこれらのバリアントに融合するレポーター遺伝子の使用により、異なる翻訳開始領域の相対翻訳強度の定量方法が提供される。バリアントまたは変異体TIRがプラスミドベクターのバックグラウンドに提供され、それにより、成熟ポリペプチドの最大発現の翻訳強度の最適範囲を確立するように目的とする遺伝子が挿入される一組のプラスミド及び測定されるその発現を提供することができる。バリアントTIRは、USP8,241,901に開示されている。
【0344】
一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、膜にわたる発現ポリペプチドの転位を誘導する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であり得るか、またはベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であり得る。選択されたシグナル配列は、宿主細胞によって認識及びプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであるべきである。異種ポリペプチドに特有のシグナル配列を認識及びプロセシングしない原核生物宿主細胞の場合、シグナル配列は、原核生物シグナル配列により置換される。そのような配列は、当該技術分野において周知である。加えて、ベクターは、アルカリ性ホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Lpp、または熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA、及びMBPからなる群から選択されるシグナル配列を含み得る。
【0345】
一態様では、1つ以上のポリヌクレオチド(例えば、発現ベクター)が、抗体を集合的にコードする。一実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、抗体の軽鎖をコードし、別個のポリヌクレオチドが、抗体の重鎖をコードする。一実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、抗体の軽鎖及び重鎖をコードする。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリヌクレオチド(例えば、発現ベクター)が、一アーム抗体を集合的にコードする。一実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、(a)一アーム抗体の軽鎖及び重鎖、ならびに(b)Fcポリペプチドをコードする。一実施形態では、単一のポリヌクレオチドが、一アーム抗体の軽鎖及び重鎖をコードし、別個のポリヌクレオチドが、Fcポリペプチドをコードする。一実施形態では、別個のポリヌクレオチドが、それぞれ、一アーム抗体の軽鎖成分、一アーム抗体の重鎖成分、及びFcポリペプチドをコードする。一アーム抗体の産生については、例えば、WO2005063816に記載されている。
【0346】
抗体を発現するために好適な原核生物宿主細胞としては、グラム陰性菌またはグラム陽性菌などのArchaebacteria及びEubacteriaが挙げられる。有用な細菌の例としては、Escherichia(例えば、E.coli)、Bacilli(例えば、B.subtilis)、Enterobacteria、Pseudomonas種(例えば、P.aeruginosa)、Salmonella typhimurium、Serratia marcescans、Klebsiella、Proteus、Shigella、Rhizobia、Vitreoscilla、またはParacoccusが挙げられる。一実施形態では、グラム陰性細胞が使用される。一実施形態では、E.coli細胞が、宿主細胞として使用される。E.coli株の例としては、株W3110(Bachmann,Cellular and Molecular Biology,vol.2(Washington,D.C.:American Society for Microbiology,1987),pp.1190-1219、ATCC寄託番号27,325)及びその誘導体が挙げられ、遺伝子型W3110ΔfhuA(ΔtonA)ptr3lac Iq lacL8ΔompTΔ(nmpc-fepE)degP41kanR(米国特許第5,639,635号)を有する株33D3、ならびに株63C1及び64B4を含む。いくつかの実施形態では、E.coli株は、62A7(ΔfhuA(ΔtonA)ptr3、lacIq、lacL8、ompTΔ(nmpc-fepE)ΔdegP ilvG修復型)と名付けられたW3110誘導体である。他の株及びその誘導体、例えば、E.coli294(ATCC31,446)、E.coli B、E.coliλ1776(ATCC31,537)、及びE.coli RV308(ATCC31,608)も好適である。これらの例は、限定するものではなく、例示するものである。定義された遺伝子型を有する上述の細菌のうちのいずれかの誘導体の構築方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Bass et al.,Proteins,8:309-314(1990)に記載されている。一般に、細菌の細胞におけるレプリコンの複製可能性を考慮して適切な細菌を選択することが必要である。例えば、pBR322、pBR325、pACYC177、またはpKN410などの周知のプラスミドを使用してレプリコンを提供する場合、E.coli、Serratia、またはSalmonella種が宿主として好適に使用され得る。典型的には、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素しか分泌すべきでなく、追加のプロテアーゼ阻害剤が細胞培養物に組み込まれることが望ましくあり得る。
【0347】
細菌培養におけるポリペプチドの産生収率及び品質を改善するために、細菌細胞が修飾され得る。例えば、分泌抗体ポリペプチドの適切なアセンブリ及び折り畳みを改善するために、細菌宿主細胞は、宿主原核生物細胞を共形質転換するために使用され得るFkpAタンパク質及びDsbタンパク質(DsbB、DsbC、DsbD、及び/またはDsbG)などのシャペロンタンパク質を発現する追加のベクターを含み得る。シャペロンタンパク質が細菌宿主細胞において産生される異種タンパク質の適切な折り畳み及び溶解を容易にすることが実証されている。
【0348】
多重特異性抗体産生
宿主細胞は、上述の発現ベクターで形質転換され、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適切になるように修飾された従来の栄養素培地で培養される。
【0349】
形質転換とは、DNAが染色体外要素として、または染色体組み込み体によってのいずれかで複製可能になるように、DNAを原核生物宿主に導入することを意味する。使用される宿主細胞に応じて、形質転換がそのような細胞に適切な標準の技術を使用して行われる。一般に、塩化カルシウムを用いるカルシウム処理が、実質的な細胞壁障壁を含有する細菌細胞に使用される。形質転換の別の方法は、ポリエチレングリコール/DMSOを用いる。使用されるさらに別の技術は、電気穿孔法である。
【0350】
ポリペプチドを産生するために使用される原核生物細胞は、当該技術分野で既知の、かつ選択された宿主細胞の培養に好適な培地で成長させられる。好適な培地の例としては、必要な栄養素補充物を含むルリアブロス(LB)が挙げられる。いくつかの実施形態では、培地は、発現ベクターを含有する原核生物細胞の成長を選択的に許容するために、発現ベクターの構築に基づいて選択された選択剤も含有する。例えば、アンピシリンは、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞を成長させるための培地に添加される。
【0351】
炭素、窒素、及び無機リン酸塩源に加えて、任意の必要な補助剤も、単独で、または複合窒素源などの別の補助剤もしくは培地との混合物として導入される適切な濃度で含まれ得る。任意に、培養培地は、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール、及びジチオスレイトールから成る群から選択される1つ以上の還元剤を含有し得る。
【0352】
原核生物宿主細胞は、好適な温度で培養される。E.coli成長の場合、例えば、好ましい温度は、約20℃~約39℃の範囲、より好ましくは約25℃~約37℃の範囲、さらにより好ましくは約30℃である。培地のpHは、主に宿主生物に応じて約5~約9の範囲の任意のpHであり得る。E.coliの場合、pHは、好ましくは約6.8~約7.4、より好ましくは約7.0である。
【0353】
誘導プロモーターが発現ベクターに使用される場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に好適な条件下で誘導される。一態様では、PhoAプロモーターは、ポリペプチドの転写を制御するために使用される。したがって、形質転換宿主細胞は、誘導のためにリン酸塩制限培地で培養される。好ましくは、リン酸塩制限培地は、C.R.A.P培地である(例えば、Simmons et al.,J.Immunol.Methods(2002),263:133-147を参照のこと)、またはWO2002/061090に記載の培地である。様々な他の誘導因子が、当該技術分野で既知の用いられるベクター構築物に従って使用され得る。
【0354】
一実施形態では、発現ポリペプチドは、宿主細胞のペリプラズムに分泌され、それから回収される。タンパク質回収は、典型的には、一般に浸透圧ショック、超音波処理、または溶解などの手段による微生物の破壊を伴う。細胞が破壊されると、細胞残屑または全細胞は、遠心分離または濾過によって除去され得る。タンパク質は、例えば、親和性樹脂クロマトグラフィーによってさらに精製される。あるいは、タンパク質は、培養培地に輸送され、その中で単離され得る。細胞が培養物から除去され得、培養上清が、産生されたタンパク質のさらなる精製のために濾過及び濃縮される。発現ポリペプチドは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)及びウエスタンブロットアッセイなどの一般に既知の方法を使用してさらに単離及び特定され得る。
【0355】
一態様では、抗体産生は、発酵プロセスによって大量に行われる。様々な大規模供給バッチ発酵手技が組換えポリペプチドの産生に利用可能である。大規模発酵は、少なくとも1000リットルの容量、好ましくは約1,000~100,000リットルの容量を有する。これらの発酵槽は、酸素及び栄養素、特にグルコース(好ましい炭素/エネルギー源)を分布させるために撹拌インペラーを使用する。小規模発酵とは、一般に、容積がおよそ100リットル以下であり、約1リットル~約100リットルの範囲であり得る発酵槽での発酵を指す。
【0356】
発酵プロセスにおいて、タンパク質発現の誘導は、典型的には、細胞が所望の密度、例えば、約180~220のOD550になるまで好適な条件下で成長した後に開始され、その段階で、細胞は、初期静止期にある。様々な誘導因子が、当該技術分野で既知の上述の用いられるベクター構築物に従って使用され得る。細胞は、誘導前により短い期間成長し得る。細胞は、通常、約12~50時間誘導されるが、より長いまたはより短い誘導時間も使用され得る。
【0357】
ポリペプチドの産生収率及び品質を改善するために、様々な発酵条件が修正され得る。例えば、分泌抗体ポリペプチドの適切なアセンブリ及び折り畳みを改善するために、FkpA、DsbA、及び/またはDsbCなどのシャペロンタンパク質を発現する追加のベクターを使用して、宿主原核生物細胞を共形質転換することができる。シャペロンタンパク質が細菌宿主細胞において産生される異種タンパク質の適切な折り畳み及び溶解を容易にすることが実証されている。いくつかの実施形態では、FkpA、DsbA、及び/またはDsbCは、細菌宿主細胞において発現される。
【0358】
発現異種タンパク質(特にタンパク質分解感受性のもの)のタンパク質分解を最小限に抑えるために、タンパク質分解酵素が欠損したある特定の宿主株が使用され得る。例えば、宿主細胞株は、既知の細菌プロテアーゼ、例えば、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI、及びそれらの組み合わせをコードする遺伝子において遺伝子変異(複数可)をもたらすように修飾され得る。いくつかのE.coliプロテアーゼ欠損株が利用可能であり、例えば、Joly et al.(1998)(上記を参照);Georgiou et al.、米国特許第5,264,365号;Georgiou et al.、米国特許第5,508,192号;Hara et al.,Microbial Drug Resistance,2:63-72(1996)に記載されている。
【0359】
一実施形態では、タンパク質分解酵素が欠損し、かつ1つ以上のシャペロンタンパク質を発現するプラスミドで形質転換されたE.coli株が、発現系における宿主細胞として使用される。
【0360】
真核宿主細胞を使用した多重特異性抗体の生成
シグナル配列構成成分
真核宿主細胞において使用するためのベクターもまた、目的とする成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドを含有してもよい。選択された異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識及びプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞発現において、哺乳動物シグナル配列、ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。そのような前駆体領域のDNAは、リーディングフレームにおいて、所望のヘテロ多量体タンパク質(例えば、抗体)をコードするDNAにライゲーションされる。
【0361】
複製起点
一般に、複製起点成分は、哺乳動物発現ベクターに必要とされない。例えば、SV40起点が典型的に使用され得るが、これは単に、SV40起点が初期プロモーターを含有するためである。
【0362】
選択遺伝子構成要素
発現及びクローニングベクターは、選択遺伝子、別名、選択可能なマーカーを含有し得る。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンへの耐性を与えるか、(b)栄養要求性欠損を補完するか(関連性のある場合)、または(c)複合培地から入手不可能な必須の栄養素を供給する、タンパク質をコードする。
【0363】
選択スキームの一例は、宿主細胞の成長を停止する薬物を利用する。異種遺伝子を用いた形質転換に成功した細胞は、薬物耐性を与え、したがって選択レジメンで生き残るタンパク質を産生する。そのような優性選択の例は、薬物ネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシンを使用する。
【0364】
哺乳類細胞に好適な選択可能なマーカーの別の例は、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン-I及び-II、好ましくは、霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどの、抗体核酸を取り込むための細胞成分の特定を可能にするものである。
【0365】
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、最初に、DHFRの競合アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地中で全ての形質転換体を培養することによって特定される。野生型DHFRが用いられるときに適切な宿主細胞は、DHFR活性が欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例えば、ATCC CRL-9096)である。
【0366】
代替的に、抗体、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3’-ホスホトランスフェラーゼ(APH)などの別の選択可能なマーカーをコードするDNA配列で形質転換または共形質転換された宿主細胞(特に、内因性DHFRを含有する野生型宿主)は、アミノグリコシド抗生物質、例えば、カナマイシン、ネオマイシン、またはG418などの選択可能なマーカー用の選択剤を含有する培地中での細胞成長によって選択され得る。例えば、米国特許第4,965,199号を参照されたい。
【0367】
プロモーター成分
発現ベクター及びクローニングベクターは通常、宿主生物によって認識され、所望のヒンジ含有ポリペプチド(複数可)(例えば、抗体)核酸に操作可能に連結されるプロモーターを含有する。真核生物のためのプロモーター配列が既知である。事実上全ての真核遺伝子が、転写が開始する部位からおよそ25~30塩基上流に位置するATに富んだ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始から70~80塩基上流に見られる別の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大半の真核遺伝子の3’末端は、コード配列の3’末端へのポリA尾部の付加のためのシグナルであり得るAATAAA配列である。これらの配列は全て、真核発現ベクターに好適に挿入される。
【0368】
哺乳類宿主細胞中のベクターからの所望の重鎖及び/または軽鎖の転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、異種哺乳類プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、熱ショックプロモーターから得られるプロモーターによって制御されるが、但し、そのようなプロモーターが宿主細胞系と適合性であることを条件とする。
【0369】
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含有するSV40制限フラグメントとして好都合に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターは、Hind III E制限断片として好都合に得られる。ウシ乳頭腫ウイルスをベクターとして使用して哺乳動物宿主におけるDNAを発現させるための系は、米国特許第4,419,446号で開示される。この系の修飾は、米国特許第4,601,978号に記載される。単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞内のヒトb-インターフェロンeDNAの発現に関しては、Reyes et al.,Nature297:598-601(1982)も参照されたい。あるいは、ラウス肉腫ウイルス長末端反復がプロモーターとして使用され得る。
【0370】
エンハンサー要素構成成分
より高次の真核生物による、所望のヒンジ含有ポリペプチド(複数可)(例えば、抗体)をコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加され得る。哺乳類遺伝子(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリン遺伝子)由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている。また、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーを使用してもよい。例としては、複製起点の後半側のSV40エンハンサー(bp100~270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後半側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核プロモーターの活性化を強化するための要素の説明に関しては、Yaniv,Nature297:17-18(1982)も参照されたい。エンハンサーは、エンハンサーが達成される限り、抗体ポリペプチドコード配列の5’位側でも3’位側でもベクターへとスプライシングされ得るが、一般には、プロモーターから5’部位に位置する。
【0371】
転写終結構成成分
原核宿主細胞において使用される発現ベクターはまた、典型的には、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含有する。そのような配列は、一般に、真核またはウイルスDNAまたはcDNAの5’非翻訳領域、時に、3’非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、抗体をコードするmRNAの非翻訳部分内のポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結構成成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026及びそこで開示される発現ベクターを参照されたい。
【0372】
宿主細胞の選択及び形質転換
本明細書におけるベクター中のDNAのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞としては、脊椎動物宿主細胞を含む本明細書に記載のより高次の真核生物細胞が挙げられる。培養物(組織培養物)中での脊椎動物細胞の繁殖は、日常的な手技になっている。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL1651)、ヒト胚腎臓株(293細胞または懸濁培養物中での成長のためにサブクローン化された293細胞、Graham et al.,J.Gen Viral.36:59(1977))、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO,Urlaub et al.,Proc.Nat/.Acad.Sci.USA77:4216(1980);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980))、サル腎臓細胞(CV1ATCC CCL70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2)、イヌ腎臓細胞(MOCK、ATCC CCL34)、バッファローラット肝細胞(BRL3A、ATCC CRL1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75)、ヒト肝細胞(Hep G2、HB8065)、マウス乳房腫瘍(MMT060562、ATCC CCL51)、TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982))、MRC5細胞、FS4細胞、及びヒト肝臓癌株(Hep G2)である。
【0373】
宿主細胞は、所望のヒンジ含有ポリペプチド(複数可)(例えば、抗体)産生のために、上述の発現ベクターまたはクローニングベクターで形質転換され、プロモーターの誘導、形質転換対の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜改変された従来の栄養素培地中で培養される。
【0374】
宿主細胞の培養
多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)を産生するために使用される宿主細胞は、様々な培地中で培養され得る。Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、及びダルベッコ修飾イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販されている培地は、宿主細胞の培養に好適である。加えて、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、同第4,560,655号、もしくは同第5,122,469号、WO90/03430、WO87/00195、または米国特許再発行第30,985号に記載される培地のいずれも、宿主細胞のための培養培地として使用され得る。これらの培地のいずれにも、必要に応じて、ホルモン及び/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬など)、微量要素(マイクロモルの範囲の最小濃度で通常存在する無機化合物と定義される)、及びグルコースまたは同等のエネルギー源が補充され得る。任意の他の必要な補充物も、当業者には既知であろう適切な濃度で含まれ得る。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞とともにこれまでに使用されているものであり、当業者には明らかであろう。
【0375】
多重特異性抗体の形成/アセンブリ
ある特定の実施形態では、多重特異性抗体を産生する方法が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体は、半抗体を別々に産生することによって産生され、各半抗体は、特定のエピトープ(例えば、単一標的上で異なるエピトープ、または2つ以上の標的上で異なるエピトープ)を結合するVH/VL単位を含む。いくつかの実施形態では、各半抗体は、宿主細胞中で別々に産生される。いくつかの実施形態では、半抗体の各々は、同じ宿主細胞中で産生され得る。半抗体は、混合され、多重特異性抗体をアセンブリングすることを可能にされる。いくつかの実施形態では、半抗体の各々は、同じ宿主細胞中で一緒に産生される。いくつかの実施形態では、宿主細胞(原核生物宿主細胞、例えば、E.coli細胞など)は、FkpA、DsbA、及び/またはDsbCなどのシャペロンを発現し、半抗体の折り畳みを容易にする。
【0376】
いくつかの実施形態では、ノブまたはホール変異のいずれかを含む半抗体は、細菌宿主細胞、例えば、E.coliにおいて重鎖及び軽鎖の構築物を発現することによって、別々の培養物中に生成される。各半抗体は、タンパク質A親和性クロマトグラフィーによって別個に精製することができる。ノブ及びホール半抗体から浄化された細胞抽出物は、プロテインAカラムによって精製され得る。異なる特異性を持つタンパク質A精製半抗体をアセンブリングして、還元剤の存在下でのインビトロの酸化還元反応において二重特異性抗体を形成することができる。
【0377】
いくつかの実施形態では、ノブまたはホール変異のいずれかを含む半抗体は、同じ細菌宿主細胞、例えば、E.coli宿主細胞またはCHO宿主細胞において重鎖及び軽鎖の構築物を発現することによって、同じ培養物中に生成される。半抗体は、プロテインA親和性クロマトグラフィーによって精製され得る。ノブ及びホール半抗体から浄化された細胞抽出物は、プロテインAカラムによって精製され得る。異なる特異性を持つタンパク質A精製半抗体をアセンブリングして、還元剤の存在下でのインビトロの酸化還元反応において二重特異性抗体を形成することができる。
【0378】
任意の好適な方法を使用して、所望の還元条件を調製することができる。例えば、所望の還元条件は、還元体/還元剤を反応物(本明細書に記載されるアセンブリ混合物など)に添加することによって調製し得る。好適な還元体としては、ジチオスレイトール(DTT)、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、チオグリコール酸、アスコルビン酸、チオール酢酸、グルタチオン(GSH)、ベータ-メルカプトエチルアミン、システイン/シスチン、GSH/グルタチオンジスルフィド(GSSG)、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン、及びベータ-メルカプトエタノールが挙げられるが、これらに限定されず、好ましくは、GSHである。ある特定の実施形態において、還元体は、弱還元体であり、弱還元体としては、ベータ-メルカプトエチルアミン、システイン/シスチン、GSH/GSSG、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン、及びベータ-メルカプトエタノールが挙げられるが、これらに限定されず、好ましくは、GSHである。ある特定の好ましい実施形態において、還元体はGSHである。ある特定の実施形態において、還元体はDTTではない。所望の還元条件を反応において達成するのに好適な実験条件下で好適な濃度の好適な還元体を選択することは、当業者の能力の範囲内である。例えば、20℃の二重特異性抗体タンパク質濃度が10g/Lである溶液中の10mMのL還元グルタチオンは、約-400mVの開始酸化還元電位をもたらすことになる。例えば、アセンブリ混合物に添加するグルタチオンは、ノブ-イン-ホール二重特異性アセンブリに有利な弱還元条件を創出する。BMEA(ベータ-メルカプトエチルアミン)などの類似のクラスの他の還元体は、類似の効果を有し得る。全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2013/055958を参照されたい。反応の還元条件は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して推定及び測定することができる。例えば、還元条件は、レザズリンインジケータ(還元条件における青から無色への変色)を使用して測定し得る。より正確に測定するためには、酸化還元電位メータ(BROADLEY JAMES(登録商標)によって作製されるORP電極など)を使用することができる。
【0379】
ある特定の実施形態において、還元条件は弱還元条件である。本明細書で使用される「弱還元体」または「弱還元条件」という用語は、25℃で負の酸化電位を有する還元剤によって調製される還元剤または還元条件を指す。還元剤の酸化電位は、pHが7~9でありかつ温度が15℃~39℃である場合に、好ましくは、-50~-600mV、-100~-600mV、-200~-600mV、-100~-500mV、-150~-300mV、より好ましくは、約-300~-500mV、最も好ましくは、約-400mVである。当事者は、所望の還元条件を調製するために好適な還元体を選択することができるであろう。当業者であれば、強還元体、すなわち、同じ濃度、pH、及び温度に対して、上述した還元体よりも大きい負の酸化電位を有するものを、より低い濃度で使用しても良いことを認識するであろう。好ましい実施形態において、タンパク質は、上述した条件下でインキュベートする場合に、還元剤の存在下でジスルフィド結合を形成することができる。弱還元体の例としては、グルタチオン、ベータ-メルカプトエチルアミン、シスチン/システイン、GSH/GSSG、システアミン/シスタミン、グリシルシステイン、及びベータ-メルカプトエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、GSH:抗体の200倍のモル比のものと類似した酸化電位を、他の還元体を使用する効率的なアセンブリが期待できる弱還元条件についての基準点として使用することができる。
【0380】
グルタチオン濃度は、モル濃度の観点から、またはアセンブリ混合物中に存在する半抗体の量に対するモル比またはモル過剰の観点から表され得る。還元体の標的モル比を使用することでアセンブリ混合物中のタンパク質濃度が制御され、これにより、様々なタンパク質濃度による還元過剰または還元不足を防止する。ある特定の他の実施形態において、還元体は、半抗体の全量に対して、2~600倍、2~200倍、2~300倍、2~400倍、2~500倍、2~20倍、2~8倍、20~50倍、50~600倍、50~200倍、または100~300倍のモル過剰、好ましくは50~400倍または50~150倍、より好ましくは100~300倍、最も好ましくは200倍または100倍のモル過剰でアセンブリ混合物に添加される。ある特定の実施形態において、アセンブリ混合物のpHは、7~9、好ましくはpH8.5または8.3である。
【0381】
例えば、化学療法剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素的に活性な毒素、もしくはその断片)、または放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)などの細胞毒性薬にコンジュゲートされる本明細書に記載の抗体のうちのいずれかを含む免疫コンジュゲート(同義に「抗体-薬物コンジュゲート」または「ADC」と称される)もまた提供される。
【0382】
抗原/標的分子
本明細書に記載される方法に従って精製される多重特異性抗体によって標的とされ得る分子の例としては、これらに限定されないが、可溶性血清タンパク質及びそれらの受容体、ならびにタンパク質(例えば、アドヘシン)を結合する他の膜が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って精製される多重特異性抗体は、1つ、2つ、または2つ超のサイトカイン、サイトカイン-関連タンパク質、ならびに8MPI、8MP2、8MP38(GDFIO)、8MP4、8MP6、8MP8、CSFI(M-CSF)、CSF2(GM-CSF)、CSF3(G-CSF)、EPO、FGF1(αFGF)、FGF2(βFGF)、FGF3(int-2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST-2)、FGF7(KGF)、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF12B、FGF14、FGF16、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF23、IGF1、IGF2、IFNA1、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFN81、IFNG、IFNWI、FEL1、FEL1(EPSELON)、FEL1(ZETA)、IL1A、IL1B、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL13、IL14、IL15、IL16、IL17、IL17B、IL18、IL19、IL20、IL22、IL23、IL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL30、IL33、PDGFA、PDGFB、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFBb3、LTA(TNF-β)、LTB、TNF(TNF-α)、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4-1BBリガンド)、TNFSF10(TRAIL)、TNFSF11(TRANCE)、TNFSF12(APO3L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM-L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF18、HGF(VEGFD)、VEGF、VEGFB、VEGFC、IL1R1、IL1R2、IL1RL1、IL1RL2、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3RA、IL4R、IL5RA、IL6R、IL7R、IL8RA、IL8RB、IL9R、IL10RA、IL10RB、IL11RA、IL12RB1、IL12RB2、IL13RA1、IL13RA2、IL15RA、IL17R、IL18R1、IL20RA、IL21R、IL22R、IL1HY1、IL1RAP、IL1RAPL1、IL1RAPL2、IL1RN、IL6ST、IL18BP、IL18RAP、IL22RA2、AIF1、HGF、LEP(レプチン)、PTN、及びTHPOからなる群から選択されるサイトカイン受容体を結合することが可能である。
【0383】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って精製される多重特異性抗体は、ケモカイン、ケモカイン受容体、またはCCLI(1-309)、CCL2(MCP-1/MCAF)、CCL3(MIP-Iα)、CCL4(MIP-Iβ)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(mcp-2)、CCL11(エオタキシン)、CCL13(MCP-4)、CCL15(MIP-Iδ)、CCL16(HCC-4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MDP-3b)、CCL20(MIP-3α)、CCL21(SLC/エクソダス-2)、CCL22(MDC/STC-1)、CCL23(MPIF-1)、CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン-3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CXCLI(GROI)、CXCL2(GR02)、CXCL3(GR03)、CXCL5(ENA-78)、CXCL6(GCP-2)、CXCL9(MIG)、CXCL10(IP10)、CXCL11(1-TAC)、CXCL12(SDFI)、CXCL13、CXCL14、CXCL16、PF4(CXCL4)、PPBP(CXCL7)、CX3CL1(SCYDI)、SCYEI、XCLI(リンホタクチン)、XCL2(SCM-Iβ)、BLRI(MDR15)、CCBP2(D6/JAB61)、CCRI(CKRI/HM145)、CCR2(mcp-IRB IRA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBII)、CCR8(CMKBR8/TER1/CKR-L1)、CCR9(GPR-9-6)、CCRL1(VSHK1)、CCRL2(L-CCR)、XCR1(GPR5/CCXCR1)、CMKLR1、CMKor1(RDC1)、CX3CR1(V28)、CXCR4、GPR2(CCR10)、GPR31、GPR81(FKSG80)、CXCR3(GPR9/CKR-L2)、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、HM74、IL8RA(IL8Rα)、IL8RB(IL8Rβ)、LTB4R(GPR16)、TCP10、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、BDNF、C5R1、CSF3、GRCC10(C10)、EPO、FY(DARC)、GDF5、HDF1、HDF1α、DL8、PRL、RGS3、RGS13、SDF2、SLIT2、TLR2、TLR4、TREM1、TREM2、及びVHLからなる群から選択されるケモカイン-関連タンパク質を結合することが可能である。
【0384】
ある特定の実施形態では、本明細書で説明される方法に従って精製される多重特異性抗体は、ABCF1;ACVR1;ACVR1B;ACVR2;ACVR2B;ACVRL1;ADORA2A;アグリカン;AGR2;AICDA;AIF1;AIG1;AKAP1;AKAP2;AMH;AMHR2;ANGPTL;ANGPT2;ANGPTL3;ANGPTL4;ANPEP;APC;APOC1;AR;AZGP1(亜鉛-α-糖タンパク質);B7.1;B7.2;BAD;BAFF(BLys);BAG1;BAI1;BCL2;BCL6;BDNF;BLNK;BLRI(MDR15);BMP1;BMP2;BMP3B(GDF10);BMP4;BMP6;BMP8;BMPR1A;BMPR1B;BMPR2;BPAG1(プレクチン);BRCA1;C19orf10(IL27w);C3;C4A;C5;C5R1;CA125;CA15-3;CA19-9;CANT1;CASP1;CASP4;CAV1;CCBP2(D6/JAB61);CCL1(1-309);CCL11(エオタキシン);CCL13(MCP-4);CCL15(MIP1δ);CCL16(HCC-4);CCL17(TARC);CCL18(PARC);CCL19(MIP-3β);CCL2(MCP-1);MCAF;CCL20(MIP-3α);CCL21(MTP-2);SLC;エクソダス-2;CCL22(MDC/STC-1);CCL23(MPIF-1);CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2);CCL25(TECK);CCL26(エオタキシン-3);CCL27(CTACK/ILC);CCL28;CCL3(MTP-Iα);CCL4(MDP-Iβ);CCL5(RANTES);CCL7(MCP-3);CCL8(mcp-2);CCNA1;CCNA2;CCND1;CCNE1;CCNE2;CCR1(CKRI/HM145);CCR2(mcp-IRβ/RA);CCR3(CKR/CMKBR3);CCR4;CCR5(CMKBR5/ChemR13);CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6);CCR7(CKBR7/EBI1);CCR8(CMKBR8/TER1/CKR-L1);CCR9(GPR-9-6);CCRL1(VSHK1);CCRL2(L-CCR);CD11a;CD13;CD164;CD19;CD1C;CD20;CD200;CD22;CD23;CD24;CD28;CD3;CD30;CD31;CD33;CD34;CD35;CD37;CD38;CD39;CD3E;CD3G;CD3Z;CD4;CD40;CD40L;CD41;CD44;LCA/CD45;CD45RA;CD45RB;CD45RO;CD5;CD52;CD69;CD7;CD71;CD72;CD74;CD79A;CD79B;CD8;CD80;CD81;CD83;CD86;CD95/Fas;CD99;CD100;CD106;CDH1(E-カドヘリン);CD9/p24;CDH10;CD11a;CD11c;CD13;CD14;CD19、CD20;CDH12;CDH13;CDH18;CDH19;CDH20;CDH5;CDH7;CDH8;CDH9;CDK2;CDK3;CDK4;CDK5;CDK6;CDK7;CDK9;CDKN1A(p21/WAF1/Cip1);CDKN1B(p27/Kip1);CDKN1C;CDKN2A(P16INK4a);CDKN2B;CDKN2C;CDKN3;CEA;CEBPB;CER1;CHGA;CHGB;Chitinase;CHST10;CKLFSF2;CKLFSF3;CKLFSF4;CKLFSF5;CKLFSF6;CKLFSF7;CKLFSF8;CLDN3;CLDN7(クローディン-7);CLN3;CLU(クラステリン);C-MET;CMKLR1;CMKOR1(RDC1);CNR1;COL18A1;COL1A1;COL4A3;COL6A1;CR2;CRP;CSFI(M-CSF);CSF2(GM-CSF);CSF3(GCSF);CTLA4;CTNNB1(b-カテニン);CTSB(カテプシンB);CTSD(カテプシンD);CX3CL1(SCYDI);CX3CR1(V28);CXCL1(GRO1);CXCL10(IP-10);CXCL11(I-TAC/IP-9);CXCL12(SDF1);CXCL13;CXCL14;CXCL16;CXCL2(GRO2);CXCL3(GRO3);CXCL5(ENA-78/LIX);CXCL6(GCP-2);CXCL9(MIG);CXCR3(GPR9/CKR-L2);CXCR4;CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo);CYB5;CYC1;CYSLTR1;cytokeratins;DAB2IP;DES;DKFZp451J0118;DNCLI;DPP4;E2F1;ECGF1;EDG1;EFNA1;EFNA3;EFNB2;EGF;EGFR;ELAC2;ENG;ENO1;ENO2;ENO3;EPHB4;EPO;ERBB2(Her-2);EREG;ERK8;ESR1;エストロゲン受容体;プロゲステロン受容体;ESR2;F3(TF);FADD;FasL;FASN;FCER1A;FCER2;FCGR3A;FGF;FGF1(αFGF);FGF10;FGF11;FGF12;FGF12B;FGF13;FGF14;FGF16;FGF17;FGF18;FGF19;FGF2(bFGF);FGF20;FGF21;FGF22;FGF23;FGF3(int-2);FGF4(HST);FGF5;FGF6(HST-2);FGF7(KGF);FGF8;FGF9;FGFR1;FGFR3;FIGF(VEGFD);FEL1(EPSILON);フィブリン;FIL1(ZETA);FLJ12584;FLJ25530;FLRTI(フィブロネクチン);FLT1;FOS;FOSL1(FRA-1);FY(DARC);GABRP(GABAa);GAGEB1;GAGEC1;GALNAC4S-6ST;GATA3;GDF5;GFI1;GGT1;GM-CSF;GNASI;GNRHI;GPR2(CCR10);GPR31;GPR44;GPR81(FKSG80);GRCCIO(C10);GRP;GSN(ゲルゾリン);GSTP1;HAVCR2;HDAC4;HDAC5;HDAC7A;HDAC9;HGF;HIF1A;HOP1;ヒスタミン及びヒスタミン受容体;HLA-A;HLA-DRA;HM74;HMOXI;HPVタンパク質;HUMCYT2A;ICEBERG;ICOSL;1D2;IFN-a;IFNA1;IFNA2;IFNA4;IFNA5;IFNA6;IFNA7;IFNB1;IFNガンマ;ITGB7;DFNW1;IGBP1;IGF1;IGF1R;IGF2;IGFBP2;IGFBP3;IGFBP6;IL-lを含むIL1-IL36またはそれらの受容体などのインターロイキン;IL10;IL10RA;IL10RB;IL11;IL11RA;IL-12;IL12A;IL12B;IL12RB1;IL12RB2;IL13;IL13RA1;IL13RA2;IL14;IL15;IL15RA;IL16;IL17;IL17B;IL17C;IL17R;IL18;IL18BP;IL18R1;IL18RAP;IL19;IL1A;IL1B;ILIF10;IL1F5;IL1F6;IL1F7;IL1F8;IL1F9;IL1HY1;IL1R1;IL1R2;IL1RAP;IL1RAPL1;IL1RAPL2;IL1RL1;IL1RL2、ILIRN;IL2;IL20;IL20RA;IL21R;IL22;IL22R;IL22RA2;IL23;IL24;IL25;IL26;IL27;IL28A;IL28B;IL29;IL2RA;IL2RB;IL2RG;IL3;IL30;IL3RA;IL33;IL4;IL4R;IL5;IL5RA;IL6;IL6R;IL6ST(糖タンパク質130);P-糖タンパク質;EL7;EL7R;EL8;IL8RA;DL8RB;IL8RB;DL9;DL9R;DLK;INHA;INHBA;INSL3;INSL4;IRAK1;ERAK2;ITGA1;ITGA2;ITGA3;ITGA6(a6インテグリン);ITGAV;ITGB3;ITGB4(b4インテグリン);JAG1;JAK1;JAK3;JUN;K6HF;KAI1;KDR;ケラチン;KITLG;KLF5(GC Box BP);KLF6;KLKIO;KLK12;KLK13;KLK14;KLK15;KLK3;KLK4;KLK5;KLK6;KLK9;KRT1;KRT19(ケラチン19);KRT2A;KHTHB6(毛髪特異的H型ケラチン);カッパ軽鎖;ラムダ軽鎖;LAMAS;LEP(レプチン);Lingo-p75;Lingo-Troy;LPS;LTA(TNF-b);LTB;LTB4R(GPR16);LTB4R2;LTBR;LEWIS-xMACMARCKS;MAGまたはOmgp;MAP2K7(c-Jun);MDK;MIB1;メラノソームタンパク質;ミッドカイン;MEF;MIP-2;MKI67;(Ki-67);MMP2;MMP9;MS4A1;MSMB;MT3(メタロチオネクチン-111);MTSS1;MUC1(ムチン);MYC;MY088;NCK2;ニューロカン;NFKB1;NFKB2;NGFB(NGF);NGFR;NgR-Lingo;NgR-Nogo66(Nogo);NgR-p75;NgR-Troy;NME1(NM23A);NOX5;NPPB;NR0B1;NR0B2;NR1D1;NR1D2;NR1H2;NR1H3;NR1H4;NR112;NR113;NR2C1;NR2C2;NR2E1;NR2E3;NR2F1;NR2F2;NR2F6;NR3C1;NR3C2;NR4A1;NR4A2;NR4A3;NR5A1;NR5A2;NR6A1;NRP1;NRP2;NT5E;NTN4;ODZI;OPRD1;P2RX7;PAP;PART1;PATE;PAWR;PCA3;PCNA;POGFA;POGFB;PECAM1;PF4(CXCL4);PGF;PGR;ホスファカン;PIAS2;PIK3CG;PLAU(uPA);PLG;PLXDC1;PPBP(CXCL7);PPID;PRI;PRKCQ;PRKDI;PRL;PROC;PROK2;PSA;PSAP;PSCA;PTAFR;PTEN;PTGS2(COX-2);PTN;p53;RAC2(p21Rac2);RAS;Rb;RARB;RGSI;RGS13;RGS3;RNF110(ZNF144);ROBO2;S100A2;SCGB1D2(リポフィリンB);SCGB2A1(マンマグロビン2);SCGB2A2(マンマグロビン1);SCYEI(内皮単球活性化サイトカイン);S-100SDF2;SERPINA1;SERPINA3;SERP1NB5(マスピン);SERPINE1(PAI-1);SERPDMF1;SHBG;SLA2;SLC2A2;SLC33A1;SLC43A1;SLIT2;SPPI;SPRR1B(Sprl);ST6GAL1;STABI;STAT6;STEAP;STEAP2;TB4R2;TBX21;TCPIO;TOGFI;TEK;TGFA;TGFBI;USP7,521,541に記載されるTAAなどの膜貫通または細胞葉面腫瘍特性抗原(TAA);TAU;TGFB1II;TGFB2;TGFB3;TGFBI;TGFBRI;TGFBR2;TGFBR3;THIL;THBSI(トロンボスポンジン-1);THBS2;THBS4;THPO;TIE(Tie-1);TMP3;組織因子;TLR1;TLR2;TLR3; TLR4;TLR5;TLR6;TLR7;TLR8;TLR9;TLR10;Tn抗原TNF;TNF-a;TNFAEP2(B94);TNFAIP3;TNFRSFIIA;TNFRSF1A;TNFRSF1B;TNFRSF21;TNFRSF5;TNFRSF6(Fas);TNFRSF7;TNFRSF8;TNFRSF9;TNFSF10
(TRAIL);TNFSF11(TRANCE);TNFSF12(AP03L);TNFSF13(April);TNFSF13B;TNFSF14(HVEM-L);TNFSF15(VEGI);TNFSF18;TNFSF4(OX40リガンド);TNFSF5(CD40リガンド);TNFSF6(FasL);TNFSF7(CD27リガンド);TNFSFS(CD30リガンド);TNFSF9(4-1BBリガンド);TOLLIP;Toll様受容体;TOP2A(トポイソメラーゼEa);TP53;TPM1;TPM2;TRADD;TRAF1;TRAF2;TRAF3;TRAF4;TRAF5;TRAF6;TREM1;TREM2;TRPC6;TSLP;TWEAK;ユビキチン;VEGF;VEGFB;VEGFC;バーシカン;VHL C5;ビメンチン;VLA-4;XCL1(リンホタクチン);XCL2(SCM-1b);XCRI(GPR5/CCXCRI);YY1;ならびにZFPM2からなる群から選択される1つ以上の標的を結合することが可能である。
【0385】
ある特定の実施形態では、本明細書に従って精製された多重特異性抗体の標的分子は、CD3、CD4、CD8、CD16、CD19、CD20、CD34などのCDタンパク質;EGF受容体、HER2、HER3、またはHER4受容体などのErbB受容体ファミリーのCD64、CD200メンバー;LFA-1、Mac1、p150.95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、アルファ4/ベータ7インテグリン、及びアルファv/ベータ3インテグリン(それらのアルファサブユニットまたはベータサブユニットを含む)(例えば、抗CD11a、抗CD18、または抗CD11b抗体)などの細胞接着分子;VEGF(VEGF-A)、FGFR、Ang1、KLB、VEGF-Cなどの成長因子;組織因子(TF);アルファインターフェロン(アルファIFN);TNFアルファ、IL-1ベータ、IL-3、IL-4、IL-5、IL-S、IL-9、IL-13、IL17AF、IL-1S、IL13などのインターロイキン;IL-13Rアルファ1、IL13Rアルファ2、IL14IL-4R、IL-5R、IL-9R、IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体の受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA-4;RANKL、RANK、RSV Fタンパク質、プロテインC、BR3などを含む。
【0386】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って精製される多重特異性抗体の標的分子は、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)-1またはLRP-8またはトランスフェリン受容体、ならびに1)ベータ-セクレターゼ(BACE1またはBACE2)、2)アルファ-セクレターゼ、3)ガンマ-セクレターゼ、4)タウ-セクレターゼ、5)アミロイド前駆体タンパク質(APP)、6)細胞死受容体6(DR6)、7)アミロイドベータペプチド、8)アルファ-シヌクレイン、9)パーキン、10)ハンチンチン、11)p75NTR、及び12)カスパーゼ-6からなる群から選択される少なくとも1つの標的を含む。
【0387】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って精製される多重特異性抗体の標的分子は、IL-1アルファ及びIL-1ベータ、IL-12及びIL-1S;IL-13及びIL-9;IL-13及びIL-4;IL-13及びIL-5;IL-5及びIL-4;IL-13及びIL-1ベータ;IL-13及びIL-25;IL-13及びTARC;IL-13及びMDC;IL-13及びMEF;IL-13及びTGF-~;IL-13及びLHRアゴニスト;IL-12及びTWEAK、IL-13及びCL25;IL-13及びSPRR2a;IL-13及びSPRR2b;IL-13及びADAMS、IL-13及びPED2、IL13及びIL17;IL13及びIL4;IL13及びIL33;IL17A及びIL17F、CD3及びCD19、CD138及びCD20;CD138及びCD40;CD19及びCD20;CD20及びCD3;CD3S及びCD13S;CD3S及びCD20;CD3S及びCD40;CD40及びCD20;CD-S及びIL-6;CD20及びBR3、TNFアルファ及びTGF-ベータ、TNFアルファ及びIL-1ベータ;TNFアルファ及びIL-2;TNFアルファ及びIL-3;TNFアルファ及びIL-4;TNFアルファ及びIL-5;TNFアルファ及びIL6;TNFアルファ及びIL8;TNFアルファ及びIL-9、TNFアルファ及びIL-10、TNFアルファ及びIL-11、TNFアルファ及びIL-12、TNFアルファ及びIL-13、TNFアルファ及びIL-14、TNFアルファ及びIL-15、TNFアルファ及びIL-16、TNFアルファ及びIL-17、TNFアルファ及びIL-18、TNFアルファ及びIL-19、TNFアルファ及びIL-20、TNFアルファ及びIL-23、TNFアルファ及びIFNアルファ、TNFアルファ及びCD4、TNFアルファ及びVEGF、TNFアルファ及びMIF、TNFアルファ及びICAM-1、TNFアルファ及びPGE4、TNFアルファ及びPEG2、TNFアルファ及びRANKリガンド、TNFアルファ及びTe38、TNFアルファ及びBAFF、TNFアルファ及びCD22、TNFアルファ及びCTLA-4、TNFアルファ及びGP130、TNF a及びIL-12p40、FGFR1及びKLB;VEGF及びHER2、VEGF-A及びHER2、VEGF-A及びPDGF、HER1及びHER2、VEGFA及びANG2,VEGF-A及びVEGF-C、VEGF-C及びVEGF-D、HER2及びDR5,VEGF及びIL-8、VEGF及びMET、VEGFR及びMET受容体、EGFR及びMET、VEGFR及びEGFR、HER2及びCD64、HER2及びCD3、HER2及びCD16、HER2及びHER3;EGFR(HER1)及びHER2、EGFR及びHER3、EGFR及びHER4、IL-14及びIL-13、IL-13及びCD40L、IL4及びCD40L、TNFR1及びIL-1R、TNFR1及びIL-6R及びTNFR1及びIL-18R、EpCAM及びCD3、MAPG及びCD28、EGFR及びCD64、CSPGs及びRGM A;CTLA-4及びBTN02;IGF1及びIGF2;IGF1/2及びErb2B;MAG及びRGM A;NgR及びRGM A;NogoA及びRGM A;OMGp及びRGM A;POL-l及びCTLA-4;ならびにRGM A及びRGM Bからなる群から選択される少なくとも2つの標的分子を含む。
【0388】
他の分子に任意にコンジュゲートされる可溶性抗原またはその断片は、抗体を生成するための免疫原として使用され得る。受容体などの膜貫通分子の場合、これらの断片(例えば、受容体の細胞外ドメイン)が免疫原として使用され得る。あるいは、膜貫通分子を発現する細胞が免疫原として使用され得る。そのような細胞は、天然源(例えば、がん細胞株)に由来し得るか、または膜貫通分子を発現するように組換え技法により形質転換されている細胞であり得る。抗体の調製に有用な他の抗原及びその形態は、当業者には明らかであろう。
【0389】
製剤及び製剤の作製方法
製剤及び本明細書に記載される方法によって精製される多重特異性抗体を含む製剤を作製する方法もまた本明細書に提供される。例えば、精製されたポリペプチドは、薬学的に許容される担体と組み合わされ得る。
【0390】
いくつかの実施形態におけるポリペプチドの製剤は、所望の純度を有するポリペプチドを、任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製され得る。
【0391】
本明細書で使用される「担体」は、用いられる投与量及び濃度でそれに曝露されている細胞または哺乳動物に非毒性の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含む。多くの場合、生理的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。
【0392】
許容される担体、賦形剤、または安定化剤は、レシピエントに対し、用いられる投与量及び濃度で非毒性であり、リン酸、クエン酸及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0393】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド製剤中のポリペプチドは、機能的活性を維持する。
【0394】
インビボ投与に使用される製剤は、滅菌されてなければならない。これは、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
【0395】
本明細書の製剤は、治療されている特定の適応症に対して必要な2つ以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する活性化合物を含有してもよい。例えば、ポリペプチドに加えて、1つの製剤中に、追加のポリペプチド(例えば、抗体)を含むことが望ましい場合がある。代替的に、または加えて、組成物は、化学治療剤、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、及び/または心臓保護剤をさらに含んでもよい。そのような分子は、意図される目的に有効な量で、組み合わせで好適に存在する。
【0396】
製品
本明細書に記載の方法によって精製される多重特異性抗体及び/または本明細書に記載の方法によって精製されるポリペプチドを含む製剤は、製品に含まれ得る。製品は、ポリペプチド及び/またはポリペプチド製剤を含む容器を含み得る。好ましくは、製品は、(a)本明細書に記載のポリペプチド及び/またはポリペプチド製剤を含む組成物を容器内に含む容器、ならびに(b)製剤を対象に投与するための指示を有する添付文書を含む。
【0397】
製造品は、容器と、容器上のもしくは容器に関連するラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、製剤を保持または収容し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈用溶液袋またはバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、ポリペプチドである。ラベルまたは添付文書は、提供されているポリペプチド及び任意の他の薬物の投与量及び間隔についての具体的な指示による、患者における組成物の使用を示す。製品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、容器は、シリンジである。いくつかの実施形態では、シリンジは、注入デバイス内にさらに収容される。いくつかの実施形態では、注入デバイスは、自己注入器である。
【0398】
「添付文書」は、そのような治療薬の適応症、使用法、投与量、投与、禁忌症についての情報、パッケージ製品と組み合わされる他の治療薬、及び/またはその使用に関する警告を含む、治療薬の商用のパッケージに通例含まれる指示書を指すように使用される。
【0399】
本明細書に開示される特徴は全て、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。本明細書に開示される各特徴は、同じ、同等、または同様の目的を果たす代替の特徴に置き換えられてもよい。したがって、別途明確に示されない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等または同様の特徴の一例にすぎない。
【0400】
前述の記述は、当業者が方法を実施し、及び/または本明細書に記載される組成物を得ることを可能にするのに十分であると見なされる。以下の実施例及び詳細な説明は、限定するものではなく、例証として提供されている。
【0401】
本明細書における全ての参考文献の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
配列表の説明
【0402】
配列番号1 vanucizumabの<VEGF>の可変重鎖ドメインVH
【0403】
配列番号2 vanucizumabの<VEGF>の可変軽鎖ドメインVL
【0404】
配列番号3 vanucizumabの<ANG-2>の可変重鎖ドメインVH
【0405】
配列番号4 vanucizumabの<ANG-2>の可変軽鎖ドメインVL
【0406】
配列番号5 RG7716の<VEGF>の可変重鎖ドメインVH
【0407】
配列番号6 RG7716の<VEGF>の可変軽鎖ドメインVL
【0408】
配列番号7 RG7716の<ANG-2>の可変重鎖ドメインVH
【0409】
配列番号8 RG7716の<ANG-2>の可変軽鎖ドメインVL
【0410】
配列番号9 vanucizumabの<ANG-2>の重鎖
【0411】
配列番号10 vanucizumabの<VEGF>の重鎖
【0412】
配列番号11 vanucizumabの<ANG-2>の軽鎖
【0413】
配列番号12 vanucizumab’の<VEGF>の軽鎖
【0414】
配列番号13 RG7716の<VEGF>の重鎖
【0415】
配列番号14 RG7716の<ANG-2>の重鎖
【0416】
配列番号15 RG7716の<VEGF>の軽鎖
【0417】
配列番号16 RG7716の<ANG-2>の軽鎖
【実施例0418】
実施例は、例証目的で提示されるにすぎず、決して本発明の範囲を限定するようには意図されていない。実際、本明細書に示され、記載される修正に加えて、種々の修正が前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【0419】
実施例1:抗X1/抗Y1二重特異性抗体のアセンブリ及び精製
標的タンパク質X1及びY1-抗X1/抗Y1二重特異性抗体またはaX1/Y1二重特異性に対する二重特異性抗体は、以下のとおりにアセンブリングされた。各半抗体(aX1(ノブ)及びaY1(ホール)は独立して、プロテインA樹脂(MabSelect SuRe,GE Healthcare)を使用して親和性クロマトグラフィーのステップにかけられた。プロテインAのステップは独立して、類似のプロセス条件を使用して各半抗体を完了するが、異なる装填物密度の標的である。プロテインAカラムは、周囲温度(15~30℃)で行われ、装填物は、12~18℃に冷却された。プロテインAカラムは、溶出緩衝液の3つのカラムの体積、その後に再生成緩衝液の3つのカラムの体積を適用させることによって調製された。カラムは、次いで、装填材料を処理するのに十分なサイクルで平衡化、装填、3回洗浄(平衡化緩衝液洗浄、リン酸塩カリウム洗浄、平衡化緩衝液洗浄)、溶出、及び再生成された。プロテインAカラムのプールされた材料は、調節されたpHであり、必要な場合、溶出緩衝液の添加によってpH≦3.60を達成し、最低120分間維持する。このステップの後に、プールされた材料のpHは、さらなるプロセスのためにpH5.0±0.3に調節された。
【0420】
次いで、プロテインAクロマトグラフィーのステップから得られた半抗体のプールは、1:1のモル比で組み合わされ、pHは、pH8.2に調節された。200mMのL-グルタチオン(91/9%GSH/GSSG)緩衝液は、組み合わされたプールに添加され、形成されている二重特異性の1モル当たり165モルのL-グルタチオンの比率を達成した。物質は、32.0±2.0℃まで8~24時間加熱された。得られたアセンブリングされたプールは、15~25℃まで冷却され、次いで、pH5.5に調節された。
【0421】
次いで、pH調節されたアセンブリングされたプールは、結合及び溶出モードでCapto(商標)MMC樹脂を使用してマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーにかけられた。カラムは、100mMの酢酸ナトリウム(pH5.5)で平衡化された。調節されたアセンブリプールは、45g/L樹脂にカラム上に装填され、その後に平衡化緩衝液及び、pH8.0で25mMの酢酸ナトリウムを有する50mMのHEPESの第2の洗浄相で洗浄された。二重特異性抗体は、pH8.0で245mMの酢酸ナトリウムを有する50mMのHEPESを使用して、段階溶出で塩及びpHの両方を増加させることによってカラムから溶出された。カチオン交換プールは、280nmの吸光度に基づいて開始及び終結された。
【0422】
マルチモーダルカチオンクロマトグラフィーのステップからの溶出物は、次いで、フロースルーモードでCapto(商標)Adhere樹脂を使用してマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーにかけられた。Capto(商標)Adhereカラムは、50mMのトリス、85mMの酢酸ナトリウム(pH8.0)で平衡化された。先行のステップからの生成物プールは、精製水で9.0mS/cmの伝導度に調節され、カラム上に装填された。二重特異性抗体は、カラムを通して流れ、カラムは、次いで、平衡化緩衝液で洗浄された。アニオン交換プールは、280nmの吸光度に基づいて開始及び終結された。上記に記載される精製スキームは、
図1Aに示される。
【0423】
第3のクロマトグラフィーのステップは、DNA、宿主細胞タンパク質、及び内毒素、ならびに半抗体、ホモ二量体、及び凝集体を含む生成物-バリアントのような残留不純物を除去した。Capto(商標)Adhere装填物は、20%のaY1ホモ二量体が添加され、クロマトグラフィープロセスは、aY1ホモ二量体をおおよそ2倍(MSによって8%、及び生成物-関連不純物を検出するための細胞に基づくアッセイによって10%)減少させた。
【0424】
図1A)に示される精製スキームの、従来式カチオン交換(CEX)樹脂(POROS XS)(
図1Bを参照されたい)を使用した精製スキームとの比較は、マルチモーダル樹脂の使用が、二重特異性抗体の生成物-関連バリアント、特にホモ二量体からの分離を改善したことを示した。したがって、親和性クロマトグラフィーのステップからのプールされた材料は、20%のホールホモ二量体が添加され、マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーは、ホールホモ二量体を、生成物-関連不純物について質量分析(MS)によって2%未満、及び細胞に基づくアッセイによって定量下限の0.5%未満に減少させた。
表7:抗X1/抗Y1二重特異性抗体の宿主細胞-関連不純物及び生成物-関連不純物からの分離(POROS XS樹脂、結合/溶出モード)
表8:二重特異性抗体の宿主細胞-関連不純物及び生成物-関連不純物からの分離(Capto MMC樹脂、結合/溶出モード)
CHOP=CHO細胞タンパク質;HMWS=高分子量種;150kD=二重特異性及びホモ二量体;75kD=半抗体;LMWS=低分子量種
【0425】
表9及び10に示されるように、従来式アニオン交換(AEX)樹脂(QSFF)(
図1Cを参照されたい)とマルチモーダルAEX樹脂(Capto(商標)Adhere)(
図1Aを参照されたい)との比較は、マルチモーダルAEX樹脂が、従来のAEX QSFF樹脂と比較して二重特異性抗体の生成物-関連不純物からの著しくより良好な分離を達成したことを実証した。半抗体(75kd)及び凝集体、すなわち、高分子量種(HMWS)の除去に起因して、QSFFは、主ピーク1%高め、Adhereは、主ピークを10%高めた。同じCapto MMCプールを使用したCapto Adhere及びQSFFの直接比較は、Capto Adhere樹脂が、QSFF(表11)と比較して、サイズ-バリアント、半抗体を含む生成物関連バリアント、及び宿主細胞タンパク質の浄化のより良好な浄化を達成したことを示した。
表9:二重特異性抗体の宿主細胞-関連不純物及び生成物-関連不純物からの分離
(QSFF樹脂、フロースルーモード)
CHOP=CHO細胞タンパク質;HMWS=高分子量種;150kD=二重特異性及びホモ二量体;75kD=半抗体;LMWS=低分子量種
表10:二重特異性抗体の
宿主細胞-関連不純物及び生成物-関連不純物からの分離(Capto(商標)Adhere樹脂、フロースルーモード)
CHOP=CHO細胞タンパク質;HMWS=高分子量種;75kD=半抗体;LOQ=定量下限
表11:Capto Adhere及びQSFFの比較
CHOP=CHO細胞タンパク質;HMWS=高分子量種;75kD=半抗体;LOQ=定量下限
【0426】
上記に記載される実験は、
図1Aに示される精製スキームが、
図1Bまたは
図1C中の精製スキームと比較して、aX1/Y1二重特異性抗体の生成物-関連不純物からの著しくより良好な分離を達成したことを実証した。最初に、親和性クロマトグラフィーのステップからのプールされた材料は、20%のホールホモ二量体が添加され、Capto MMC(すなわち、マルチモーダルカチオン交換樹脂)は、ホールホモ二量体を、生成物-関連不純物について質量分析(MS)によって2%未満、及び細胞に基づくアッセイによって定量下限の0.5%未満に減少させた。(表7及び8を参照されたい)。そのような分離は、POROS XS、すなわち、従来式カチオン交換樹脂を使用して達成されなかった。加えて、CaptoAdhere(すなわち、マルチモーダルアニオン交換樹脂)は、半抗体(75kD)及び凝集体などの高分子量種の除去に起因して、主ピークを10%高めたが、QSFF(すなわち、従来式アニオン交換樹脂)は、主ピークを1%のみ高めた。さらに、2つの多様型樹脂の組み合わせである、マルチモーダルカチオン樹脂(CaptoMMC)、その後に続くマルチモーダルアニオン樹脂CaptoAdhereは、マルチモーダルカチオン樹脂、その後に続く従来式アニオン交換樹脂、QSFFの組み合わせと比較して、サイズ-バリアント、半抗体を含む生成物関連バリアント、及び宿主-細胞タンパク質の浄化のより良好な浄化を達成した(例えば、表11を参照されたい)。
【0427】
生成物-関連バリアント及びサイズバリアントの除去の類似の改善は、マルチモーダル樹脂の順序が逆であったときに見出された。別々の実験では、aX1/Y1二重特異性抗体の生成物-関連不純物からのより良好な分離はまた、プールされた材料をまず親和性クロマトグラフィーのステップからマルチモーダルアニオン樹脂、その後に続くマルチモーダルカチオン樹脂にかけることによって達成された。
【0428】
実施例2:F(ab’)
2二重特異性のアセンブリ及び精製
90%純粋のF(ab’)
2二重特異性を達成するための最初の試みは、低い収率(10%未満の開始材料)をもたらした。純度の損失なく許容可能な収率を維持する問題に加えることは、いくつかの困難であり、プロセス中間体の不安定性と、ホモ二量体、遊離軽鎖及び重鎖、ならびに未反応Fab’脱離基などの生成物-関連バリアントの存在とを含む。新規の単位操作は、所望の二重特異性F(ab’)
2の効率的なアセンブリ及び精製を達成するために開発された。2つの異なるFab’分子を含む二重特異性F(ab’)2は、
図2に提供される概略図に示されるようにアセンブリング及び精製された。
【0429】
最初に、捕獲ステップが以下のとおりに実行された。各Fab’は、まず別々のE.coli抽出物上清から捕獲された。2つのFab’半分子のうちの1つを含む上清は、CaptoLプロテインL親和性クロマトグラフィー樹脂を使用して捕獲ステップにかけられた。カラムは、25mMのトリス塩化ナトリウム平衡化緩衝液(pH7.7)を使用して平衡化された。装填物材料のカラムへの適用の後、カラムは、平衡化緩衝液(pH7.7)で洗浄され、その後に0.4Mのリン酸塩カリウム(pH7)での洗浄、システインキャップを除去するための還元体での洗浄、及び平衡化緩衝液(pH7.7)での追加の洗浄が続いた。次いで、対象のFab’生成物は、0.1Mの酢酸(pH2.9)の溶出緩衝液を使用してCaptoLカラムから溶出された。生成物は、280nmの吸光度を使用して収集された。
【0430】
第1のFab’半分子(Fab’A)を含むCaptoLクロマトグラフィーのステップからのプールは、pH5.5に調節された。DPDS(ジピリジルジスルフィド)は、pH5.5まで添加され、CaptoLプールを調節した。DPDSは、Fab’分子中で、遊離ヒンジシステインと反応し、利用可能なFab’遊離チオールと反応するピリジル化Fab’を形成し、それによって、F(ab’)2ヘテロ二量体の形成を促進する。一旦形成されると、ピリジル化Fab’Aは、精製のために第2のクロマトグラフィーカラム上に装填された。
【0431】
ピリジル化Fab’が不純物(すなわち、Fab’ホモ二量体、高分子量種(HMWS)、Fab’単量体)から分離され得る条件下でのクロマトグラフィーの条件を特定するために、Capto MMC樹脂上のFab’ホモ二量体、高分子量種(HMWS)、Fab’単量体、及びピリジル化Fab’(pyr-Fab’)の結合挙動は、クロマトグラフィー樹脂結合条件の96ポイントの分配係数スクリーニングで特徴付けられた。ピリジル化Fab’プールは、Capto(商標)MMC樹脂に装填された。Fab’単量体は、勾配pyr-Fab’でより早く溶出することが予測されたが、HMWS及びFab’ホモ二量体は、勾配でより遅く溶出することが予測された。第2のFab’分子、Fab’Bは、CaptoLクロマトグラフィー樹脂から溶出され、次いで、酸化された。
【0432】
次いで、ピリジル化Fab’A及び酸化Fab’Bを含む2つのFab’プールは、F(ab’)2二重特異性分子のアセンブリに好適な条件に晒された。ピリジル化Fab’A及び酸化Fab’B CaptoLプールは組み合わされた。組み合わされたプールは、最小限のアセンブリのために保持され、F(ab’)2二重特異性の形成を可能にした。次いで、アセンブリプールは、次のクロマトグラフィーカラム上に装填するために条件付けされた。
【0433】
低解像度Kp(すなわち、分配係数)スクリーニングは、異なるクロマトグラフィー樹脂上のF(ab’)2アセンブリ混合物の結合挙動を特徴付けるために行われた。アセンブリ混合物(SEC-HPLCによって測定された場合、0%凝集体、21.5%Fab’Aホモ二量体、43.9%F(ab’)2、10.3%Fab’A単量体、8.8%ピリジル化Fab’A、及び15.5%Fab’B単量体)は、以下の樹脂上:Capto(商標)MMC樹脂、Capto(商標)Adhere樹脂、QSFF樹脂、またはPOROS(登録商標)50HS樹脂に、5g/L樹脂装填物密度で装填することによって試験された。各フロースループレートのタンパク質組成物及びタンパク質濃度は、SEC-HPLCを介して分析された。これらのデータは、デコンボリューションされ、試験条件下で4つの樹脂の各々においてF(ab’)2、Fab’Aホモ二量体、Fab’Bホモ二量体、Fab’A単量体、及びFab’B単量体の挙動に対応する等高線プロットを生成するために使用された。
【0434】
等高線プロットに基づいて、Capto(商標)Adhereは、Fab’A単量体、Fab’Aホモ二量体、及びFab’Bホモ二量体を分解することが予測された。具体的には、Capto(商標)Adhere樹脂上の結合及びpH勾配溶出では、Fab’A単量体及びFab’Bホモ二量体は、F(ab’)2の主ピークより早く溶出することが予期されたが、Fab’Aホモ二量体は、樹脂に結合したままであることが予測された。QSFFの等高線プロットは、いずれの種も、試験されるpH範囲についてQSFF樹脂を結合することを予測されず、F(ab’)2生成物-関連不純物からの分離はQSFFクロマトグラフィーを介して達成されないことを示すことを示した。混合モード樹脂は、実験条件下でF(ab’)2の生成物関連不純物からの最良の分離を提供した。Capto(商標)MMC等高線プロットは、Capto(商標)MMCが、pH5.5でF(ab’)2をその生成物-特異的不純物から効果的に分離することが予測された。
【0435】
F(ab’)2二重特異性のアセンブリの後、アセンブリプールは、CaptoAdhere樹脂を使用してマルチモーダルAEXクロマトグラフィーにかけられる。アセンブリプールはpH7.5に滴定され、≦5.5mS/cmの伝導度に希釈される。カラムは、25mMの酢酸ナトリウム、50mMのトリス(pH7.5)平衡化緩衝液で平衡化された。アセンブリプールは、25g/L樹脂の装填物密度でカラム上に装填される。次いで、カラムは、平衡化緩衝液で洗浄される。カラムは、25mMの酢酸ナトリウム、45mMのMES、5mMトリス(pH5.5)溶出緩衝液を使用して溶出され、及び溶出プールは、A280の吸光度によってプールされる。
【0436】
その後に、マルチモーダルAEXである、材料は、結合及び溶出モードで操作されるPoros50HS樹脂上に装填される。Poros50HSカラムは、52mMの酢酸ナトリウム(pH4.9)で平衡化される。装填物は、pH5及び伝導度≦3.3mS/cmに条件付けされる。カラムは、平衡化緩衝液で洗浄される。次いで、カラムは、169mMの酢酸ナトリウム(pH4.9)で洗浄される。カラムは、247mMの酢酸ナトリウム(pH4.9)溶出緩衝液を使用して段階溶出を使用して溶出される。プールは、A280によって収集される。
【0437】
次いで、POROS50HSのステップからのプール、CaptoMMC樹脂を使用してマルチモーダルCEXクロマトグラフィーにかけられる。マルチモーダルCEXステップは、結合及び溶出モードで操作される。カラムは、50mMの酢酸ナトリウム(pH5.5)平衡化緩衝液を使用して平衡化される。装填物は、pH5.0及び伝導度≦5mS/cmに調製され、15g/Lの装填物密度にカラム上に装填される。カラムは、平衡化緩衝液で洗浄される。次いで、カラムは、140mMの酢酸ナトリウム(pH5.5)洗浄2緩衝液で洗浄される。カラムは、平衡化緩衝液及び350mMの酢酸ナトリウム(pH5.5)溶出緩衝液を使用して勾配溶出で溶出される。プールは、A280によって収集される。
【0438】
表12に示されるように、E.coliタンパク質からの対象のF(ab’)
2二重特異性生成物(100kD)、及び71kDの誤形成ジスルフィド生成物関連バリアントの改善された分離は、POROS(登録商標)HS樹脂を使用するときと比較しCapto(商標)MMC樹脂を使用したときに達成された。SECによって測定される95%超のFab’2の純度は、4番目のカラムとしてCaptoMMC使用して達成された。5%未満の71kD誤形成ジスルフィド生成物はまた、4番目のカラムとしてCaptoMMCを使用して達成された。
表12:F(ab’)
2の宿主細胞-関連不純物及び生成物-関連不純物からの分離(POROS(登録商標)HS樹脂、結合及び溶出モード対Capto(商標)MMC、結合及び溶出モード)
F(ab’)
2%=SECによって測定された二重特異性%;100kD=CE-SDSによって測定された対象のF(ab’)
2二重特異性生成物;71kD=CE-SDSによって測定された誤形成ジスルフィドを有する生成物関連バリアント;ECP=E.coliタンパク質
【0439】
したがって、
図2に示される精製スキームは、装填物材料と比較して、純粋F(ab’)
2を著しく改善し、精製されたF(ab’)
2のプール中で宿主細胞タンパク質の量を99%以上低減した。
【0440】
実施例3:抗X2/抗Y2二重特異性抗体のアセンブリ及び精製
別の実施例では、二重特異性抗体は、以下のとおりに精製された。各半抗体は、別々に生成され、親和性クロマトグラフィーにかけられ、その後に上記に記載されるアセンブリが続いた。アセンブリ後に、アセンブリ材料は、結合及び溶出モードでCapto(商標)Adhere樹脂を使用して、まずマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーにかけられた。アセンブリ材料は、pH7.5に調節され、150mMの酢酸塩/トリス緩衝液(pH7.5)で事前平衡化されたカラム上に装填された。装填後に、カラムは、平衡化緩衝液で洗浄され、結合タンパク質は、25mMの酢酸塩(pH5.0)で溶出された。溶出プールの収集は、A280nmのシグナルに基づいて引き起こされた。次いで、Capto(商標)Adhere溶出プールは、結合及び溶出モードでCapto(商標)MMC樹脂を使用してマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーにかけられた。Capto Adhere溶出プールは、pH6.5に調節され、25mMの酢酸塩、25mMのMES(pH6.5)緩衝液中に事前平衡化されたCapto MMCカラム上に装填された。装填後に、Capto(商標)MMCカラムは、平衡化緩衝液で洗浄され、結合タンパク質は、150mMのNa-酢酸塩、25mMのMES(pH6.5)で溶出された。Capto(商標)MMC溶出緩衝液。プール収集は、A280nmのシグナルに基づいた。この精製スキームは、
図3Aに示される。
【0441】
表13及び表14に示されるとおり、二重特異性抗体の、E.coliタンパク質及びシャペロン(例えば、fkpA、dsbA、及びdsbC)などのプロセス特異的不純物からのより優れた分離は、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィーの後にQSFFクロマトグラフィーが続く(
図3Bを参照されたい)ときと比較して、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィーの後にCapto(商標)MMCクロマトグラフィーが続く(
図3Aを参照されたい)ときに達成された。さらに、二重特異性抗体の、超高分子量種(vHMWS)、高分子量種(HMWS)、及び低分子量種(LMWS)などの生成物-特異的不純物からのより優れた分離は、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィーの後にQSFFクロマトグラフィーが続く(
図3Bを参照されたい)ときと比較して、Capto(商標)Adhereクロマトグラフィーの後にCapto(商標)MMCクロマトグラフィーが続く(
図3Aを参照されたい)ときに達成された。(表13及び14を参照されたい)。
表13:抗X2/Y2プロセスにおいてCapto(商標)Adhere-QSFFステップで達成されるプロセス特異的不純物及び生成物-特異的不純物の浄化
表14:抗X2/Y2プロセスにおいてCapto(商標)Adhere-Capto(商標)MMCステップで達成される
プロセス特異的不純物及び生成物特異的不純物の浄化
【0442】
上記に記載される実験は、
図3Aに示される精製スキーム(すなわち、そこでマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーの後にマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーが続いた)が、
図3Bに示される精製スキーム(すなわち、そこでマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーの後に従来式カチオン交換クロマトグラフィーが続いた)と比較して、抗X2Y2二重特異性抗体の、プロセス関連生成物及び生成物関連不純物からの改善された分離を達成したことを実証した。さらに、
図3Aに示される精製スキームはまた、
図3Bに示される精製スキームと比較して、抗X2Y2二重特異性抗体の改善された収率を達成した。
【0443】
実施例4:抗X3/抗Y3二重特異性抗体のアセンブリ及び精製
抗X3ノブ半抗体は、プロテインAカラム上で捕捉された。カラムは、最初に、25mMのトリス、25mMの塩化ナトリウム(pH7.7)平衡化緩衝液を使用して平衡化された。次いで、抗X3半抗体を含むE.coli抽出物上清は、カラム上に装填された。抽出物上清の装填後に、カラムは、平衡化緩衝液、その後に0.4Mのリン酸塩(pH7)洗浄緩衝液で洗浄され、次いで、平衡化緩衝液で洗浄された。次いで、抗X3半抗体は、0.15Mの酢酸(pH2.9)溶出緩衝液を使用して溶出された。溶出プールは、A280によって収集された。溶出プールは、pH5.0に滴定され、次いで、抗Y3ホール半抗体との組み合わせまで保管された。抗Y3ホール半抗体は、抗X3半抗体について記載される同じプロテインAを使用して捕捉された。
【0444】
2つの半抗体は、1:1の質量比で組み合わされた。アルギニンは、50mMの最終濃度までアセンブリプールに添加される。組み合わされた半抗体のプールは、200mMのヒスチジン、8%のPVP(pH8)で1:1に希釈された。L還元グルタチオンは、2つの半抗体をアセンブリングするために200倍(二重特異性抗体のモル当たり、200モルのグルタチオン)のモル過剰に添加された。アセンブリプールは、pH8.0に滴定され、次いで、摂氏35度まで6時間加熱された。次いで、プールは、室温に冷却され、次のクロマトグラフィーカラム上で装填のために調節された。
【0445】
アセンブリプールは、QSFFアニオン交換カラム上に装填された。カラムは、最初に、25mMのトリス、350mMの塩化ナトリウム(pH9.1)、その後の25mMのトリス、70mMの塩化ナトリウム(pH9.1)平衡化緩衝液で事前平衡化された。次いで、調節された装填物は、pH8.5、伝導度≦4.9mS/cmでカラムに適用された。次いで、カラムは、平衡化緩衝液で洗浄された。次いで、プールは、平衡化緩衝液及び25mMのトリス、350mMの塩化ナトリウム溶出緩衝液を使用して溶出された。溶出プールは、A280によって収集された。
【0446】
次いで、QSFFプールは、次のカラム上に装填するために調節された。CaptoAdhereマルチモーダルアニオン交換カラムは、500mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)事前平衡化緩衝液で事前平衡化され、その後に50mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)平衡化緩衝液の8カラム体積で平衡化された。pH6.0、伝導度≦12mS/cmで調節された装填物は、カラムに適用された。次いで、カラムは、平衡化緩衝液、その後に0.1Mのアルギニン(pH7.0、伝導度7.5mS/cm)洗浄緩衝液で洗浄され、次いで平衡化緩衝液で洗浄された。次いで、カラムは、50mMの酢酸ナトリウム(pH5.0)溶出緩衝液を使用して勾配溶出で溶出された。溶出プールは、A280によって収集された。
【0447】
次いで、CaptoAdhereプールは、次のカラム上に装填するために調節された。CaptoMMCマルチモーダルカチオン交換カラムは、350mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)事前平衡化緩衝液で事前平衡化され、その後に50mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)平衡化緩衝液で平衡化された。pH6.0、伝導度≦6.5mS/cmで調節された装填物は、カラムに適用された。次いで、カラムは、80mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)洗浄緩衝液で洗浄された。次いで、カラムは、350mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)溶出緩衝液を使用して勾配溶出で溶出された。溶出プールは、A280によって収集された。この精製スキームは、
図4に示される。
【0448】
表15に以下に示されるように、1つのみのマルチモーダルカラムを含む3カラムプロセス(すなわち、プロテインA、その後のQSFF、その後のCapto(商標)Adhere)は、十分なECP除去を達成しなかった。Capto(商標)MMCクロマトグラフィーを使用してCapto(商標)Adhereクロマトグラフィーの溶出物を第4のクロマトグラフィーカラムにかけることは、E.coliタンパク質のレベルをCapto(商標)Adhereプールに対して3倍超を低減し、HMWSを1%未満に低下させ、二重特異性含量を100%に増加させた。
表15
HMWS=SECによって測定された高分子量種;二重特異性%=逆相HPLCによって測定された二重特異性抗体の%;ECP=E.coli宿主細胞タンパク質
【0449】
実施例5:実施例6及び7の材料及び方法
抗体
実施例6~7は、WO2011/117329もしくは配列番号1~配列番号4に記載されるANG2及びVEGFを結合する二重特異性抗体-A(抗Ang2/VEGF-A抗体;vanucizumab;RG7221)、またはWO2014/009465もしくは配列番号5~配列番号8に記載されるVEGF-A及びAng2に対する二重特異性抗体(抗VEGF-A/Ang2抗体;RG7716)を含む様々な例示的な抗体を使用する。また以下の実施例に記載されるように、いくつかの抗体が本明細書に含まれる。
【0450】
本明細書に記載または参照される技法及び手順は、当業者には概して十分に理解されており、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003))、the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture (R.I.Freshney,ed.(1987))、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、及びThe Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)に記載される幅広く利用される方法論などの、当業者による従来の方法論を使用して用いられる。
【0451】
SE(サイズ排除)HPLCによる純度
SE HPLCは、SE HPLCカラムを用いることによって天然の条件下でサイズ異種性を監視するために使用され、抗体凝集体、単量体、及び断片を分離する。溶出物は、UV吸光度によって監視される。純度は、検出される全てのタンパク質のピークの合計に対して主ピーク、HMWS形態の合計、及びLMWS形態の合計の百分率(領域)で決定される。
【0452】
IE(イオン交換)HPLCによる純度
勾配イオン交換クロマトグラフィーは、カチオン交換カラムを用いることによってカルボキシペプチダーゼBで処理される試料の荷電異種性を定量的に監視するために使用され、試料を主ピーク、酸性領域、及び塩基性領域に分離する。検出は、UV吸光度によって行われる。純度は、検出される全てのタンパク質のピークの合計に対して主ピーク、酸性領域、及び塩基性領域の百分率(領域)で決定される。
【0453】
CE-SDS(カリパス)による純度
タンパク質の電気泳動分離のための従来のSDS-PAGE方法は、Caliper GXII/LabChip GXアッセイシステム(Caliper LifeScience,Inc./Perkin Elmer)におけるチップ形式に移行されている。タンパク質は、それらの相対的なサイズによって分離される。試料は、製造者の指示に従って検出及び分析され得る蛍光色素で標識することによって分離前に調製される。
【0454】
純度及び抗体完全性は、マイクロ流体Labchip技術(Caliper Life Science,USA)を使用してCE-SDSによって各精製ステップ後に分析された。したがって、分析物溶液は、調製され、HT Protein Express Chipを使用してLabChip GXIIシステム上で分析された。データは、LabChip GXソフトウェアを使用して分析された。
【0455】
UVによるタンパク質含量
試料のタンパク質濃度は、UVによって決定される。タンパク質吸収は、280nmの吸収から320nmの吸収を差し引くことによって修正した。この吸光値は、タンパク質濃度に直接正比例する。タンパク質濃度は、1.5mLmg-1cm-1の吸光係数を使用して計算される。
【0456】
宿主細胞タンパク質(HCP)及びDNA含量の検出方法
a)CHO HCPアッセイ
プロセス試料中の残留CHO HCP含量は、cobas e411免疫分析装置(Roche Diagnostics GmbH,Mannheim,Germany)上で電気化学発光免疫測定法(ECLIA)によって測定される。
【0457】
アッセイは、ヒツジのポリクローナル抗CHO HCP抗体を使用したサンドイッチ法に基づく。
【0458】
第1のインキュベーション:15μL試料(そのまま及び/または希釈された)からのチャイニーズハムスター卵巣宿主細胞タンパク質(CHO HCP)及びビオチン複合化ポリクローナルCHO HCP特異的抗体は、サンドイッチ複合体を形成し、それは、ストレプトアビジンを有するビオチンの相互作用を介してストレプトアビジンコーティング微粒子に結合するようになる。
【0459】
第2のインキュベーション:ルテニウム複合体(トリス(2,2`-ビピリジル)ルテニウム(II)-複合体)で標識されたポリクローナルCHO HCP特異的抗体の添加後、三元サンドイッチ複合体は、微粒子上で形成される。
【0460】
反応混合物を測定セルに吸引し、ここで、微粒子が電極の表面に磁気的に補足される。次いで、未結合の基質は、洗浄ステップで除去される。その後、電圧を電極に適用することで化学発光放出が誘導され、これを光電子増倍管によって測定する。
【0461】
試験試料中のCHO HCPの濃度は、最後に、既知の濃度のCHO HCPの標準曲線から計算される。
【0462】
b)DNA含量
q PCRに基づくアッセイは、CHO DNAの検出及び定量化に使用される。試料からのDNAは、シリカゲルに基づく膜を使用して商用のRNA抽出キットで抽出される。抽出されたDNAは、配列検出システムでPCRプライマー及びプローブを使用して定量的リアルタイムPCRにかけられる。アンプリコン(増幅産物)は、DNA増幅の間に連続的に測定された蛍光発光の増加に対して正比例して定量化される。標準曲線は、試料中のCHO細胞DNAの量を定量化するために使用される。
【0463】
実施例6:ANG2及びVEGF-Aを結合する二重特異性抗体(WO2011/117329に記載される抗Ang2/抗VEGF-A抗体)の精製
CHO発現培養から採取された細胞培養液(HCCF)は、結合溶出モードでMabSelect SuRe親和性クロマトグラフィーによって処理された。38gmAb/l樹脂の最大装填物密度までのカラム上へのHCCFの装填後、カラムは、5カラム体積に対して25mMのトリス、25mMのNaCl(pH7.2)で洗浄された。次いで、5カラム体積に対して0.7Mのトリス/HCl(pH7.2)で追加の洗浄が行われた。第3の洗浄ステップは、高純度精製水または10mMのトリス/HCl(pH7.5)を使用して行われた。カラム結合抗体は、50mMの酢酸塩(pH3.4)を使用して溶出された。溶出プールは、最大3カラム体積にわたる500~250mAU(路長1cm)のOD280に基づいて収集された。
【0464】
親和性溶出プールは、酢酸でpH3.5に調節され、30分間保持された。プールは、1.5Mのトリス塩基でpH5.0に条件付けされ、深層濾過によって浄化された。深層濾過プールは、1.5Mのトリス塩基を使用してpH7に条件付けされ、マルチモーダルアニオン交換樹脂Capto adhere ImpResを使用する第2のクロマトグラフィーのステップのために供給原料として役立った。
【0465】
Capto adhere ImpResカラムは、50mMのトリス酢酸塩(pH7.0)で平衡化された。平衡化されたカラムは、180gmAb/l樹脂の最大装填物密度まで装填され、20mMのトリス酢酸塩(pH7.0)で洗浄された。溶出プールは、1000~4000mAU(路長1cm)のOD280に基づいて収集された。
【0466】
第2のクロマトグラフィーのステップのプールは、酢酸でpH5.0に条件付けされ、マルチモーダルカチオン交換樹脂Capto MMC ImpResを使用する最終の第3のクロマトグラフィーのステップのために供給原料として役立った。第3のクロマトグラフィーのステップは、結合及び溶出モードで行われた。Capto MMC ImpResカラムは、30mMのトリス/酢酸塩(pH5.0)(平衡化緩衝液)で平衡化された。平衡化されたカラムは、5カラム体積に対して45gmAb/l樹脂の最大装填物密度まで装填され、平衡化緩衝液で洗浄された。第2の洗浄は、10カラム体積に対して30mMのトリス/酢酸塩(pH6.8)、その後に5カラム体積に対して平衡化緩衝液を使用して行われた。最終の洗浄ステップは、10カラム体積に対して30mMのトリス/酢酸塩(pH4.9)、500mMのリン酸ナトリウムを使用して行われた。カラム結合抗体は、30mMのトリス/酢酸塩(pH6.0)、500mMのリン酸ナトリウムを使用して溶出された。溶出プールは、3600~1000mAU(路長1cm)のOD280に基づいて収集された。
【0467】
第3のクロマトグラフィーのステップのプールは、濃縮され、製剤緩衝液に緩衝液交換された。上記に記載される精製スキームは、
図5Aに示される。
表16:それぞれのクロマトグラフィーのステップ後の生成物-特異的不純物及びプロセス特異的不純物の分析的データ
表17:親和性クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む4つのクロマトグラフィーカラムを使用するプロセス(4カラム(4C)プロセス)との比較
【0468】
MabSelectSure、Capto adhere及びCapto MMC ImpRes HHL、3/4抗体、前ピーク、HMWS、LMWSなどの生成物-関連不純物、ならびにHCP及びDNAなどのプロセス関連不純物を含む3つのカラムプロセスを使用することは、捕獲クロマトグラフィー、従来式カチオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、及び従来式アニオン交換クロマトグラフィーを含む4つのカラムプロセスを使用することと比較して、低減され得ることが見られ得る。
【0469】
実施例7:VEGF-A及びAng2に対する二重特異性抗体(WO2014/009465に記載される抗VEGF-A/抗Ang2抗体)の精製
CHO発現培養から採取された細胞培養液(HCCF)は、結合溶出モードでCapture Select FcXL親和性クロマトグラフィーによって処理された。25gmAb/l樹脂の最大装填物密度までのカラム上へのHCCFの装填後、カラムは、2カラム体積に対して25mMのトリス/HCl、25mMのNaCl(pH7.2)で洗浄された。次いで、5カラム体積に対して精製水PWIIで追加の洗浄が行われた。カラム結合抗体は、30mMの酢酸塩(pH3.2)を使用して溶出された。溶出プールは、2500~1000mAU(路長1cm)のOD280に基づいて収集された。
【0470】
親和性溶出プールは、酢酸でpH3.4に調節され、60分間保持された。プールは、1.5Mのトリス塩基でpH5.0に条件付けされ、深層濾過によって浄化された。深層濾過プールは、1.5Mのトリス塩基を使用してpH7に条件付けされ、マルチモーダルアニオン交換樹脂Capto adhereを使用する第2のクロマトグラフィーのステップのために供給原料として役立った。装填物の伝導度は、<5mS/cmであり、伝導度の調節は必要でなかった。
【0471】
Capto adhereカラムは、50mMのトリス/酢酸塩(pH7.0)で平衡化された。平衡化されたカラムは、170gmAb/l樹脂の最大装填物密度まで装填され、50mMのトリス酢酸塩(pH7.0)(=平衡化緩衝液)で洗浄された。溶出プールは、最大3カラム体積の洗浄にわたる1000~2500mAU(路長1cm)のOD280に基づいて収集された。
【0472】
第2のクロマトグラフィーのステップのプールは、酢酸でpH5.0に条件付けされ、マルチモーダルカチオン交換樹脂Capto MMC ImpResを使用する最終の第3のクロマトグラフィーのステップのために供給原料として役立った。第3のクロマトグラフィーのステップは、結合及び溶出モードで行われた。CaptoMMC ImpResカラムは、30mMのトリス/酢酸塩、30mMのトリス/クエン酸塩(pH5.0)で平衡化された。平衡化されたカラムは、5カラム体積に対して30g
mAb/l
樹脂の最大装填物密度まで装填され、平衡化緩衝液で洗浄された。第2の洗浄は、10カラム体積に対して30mMのトリス/酢酸塩、30mMのトリス/クエン酸塩、150mMのNaCl(pH5.0)、その後に5カラム体積に対して平衡化緩衝液を使用して行われた。最終の洗浄ステップは、10カラム体積に対して30mMのトリス/酢酸塩、30mMのトリス/クエン酸塩、500mMのNaCl(pH4.5)を使用して行われた。カラム結合抗体は、40カラム体積で0~50%BのpH/塩勾配を使用して溶出された。緩衝液Aは、平衡化緩衝液、30mMのトリス/酢酸塩、30mMのトリス/クエン酸塩(pH5.0)であり、緩衝液Bは、30mMのトリス/Acetate、30mMのトリス/クエン酸塩、1.5MのNaCl(pH8.5)であった。溶出プールは、250~4500mAU(路長1cm)のOD
280に基づいて収集された。
表18:それぞれのクロマトグラフィーのステップ後の生成物-特異的不純物及びプロセス特異的不純物の分析的データ
表19:親和性クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む4つのクロマトグラフィーカラムを使用するプロセス(4カラム(4C)プロセス)との比較
【0473】
Capto Adhere及びCapto MMC ImpRes HHL、3/4抗体、前ピーク、HMWS、LMWSなどの生成物-関連不純物、ならびにHCP及びDNAなどのプロセス関連不純物を使用することは低減され得ることが見られ得る。
【0474】
実施例8:抗X1/抗Y1二重特異性抗体のアセンブリ及び精製
標的タンパク質X1及びY1-抗X1/抗Y1二重特異性抗体またはaX1/Y1二重特異性に対する二重特異性抗体は、以下のとおりにアセンブリングされる。各半抗体(aX1(ノブ)及びaY1(ホール)は独立して、実施例1に記載のように、プロテインA樹脂(MabSelect SuRe,GE Healthcare)を使用して親和性クロマトグラフィーのステップにかけられる。
【0475】
次いで、プロテインAクロマトグラフィーのステップから得られた半抗体のプールは、1:1のモル比で組み合わされ、実施例1に記載のようにアセンブリングされた。次いで、pH調節されたアセンブリングされたプールは、フロースルーモードでCapto(商標)Adhere樹脂を使用してマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーにかけられる。Capto(商標)Adhereカラムは、実施例1に記載されるように記載されるように平衡化される。二重特異性アセンブリのステップからの生成物プールは、精製水で9.0mS/cmの伝導度に調節され、カラム上に装填される。二重特異性抗体は、カラムを通して流れ、次いで、平衡化緩衝液で洗浄される。アニオン交換プールは、280nmの吸光度に基づいて開始及び終結される。
【0476】
次いで、マルチモーダルアニオンクロマトグラフィー生成物のプールは、結合及び溶出モードでCapto(商標)MMC樹脂を使用してマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーにかけられる。カラムは、実施例1に記載されるように平衡化される。マルチモーダルアニオンクロマトグラフィー生成物のプールは、実施例1に記載されるように装填及び洗浄される。二重特異性抗体は、実施例1に記載されるように、段階溶出で塩及びpHの両方を増加させることによってカラムから溶出される。カチオン交換プールは、280nmの吸光度に基づいて開始及び終結される。上記に記載される精製スキームは、
図7Aに示される。
【0477】
図7Aに示される精製スキームを使用して達成される二重特異性抗体の生成物-関連不純物及びプロセス関連不純物からの分離の程度は、
図7B及び7Cに示される精製スキームを使用して達成されるものと比較される。
【0478】
上記に記載される実験は繰り返され、親和性クロマトグラフィーのステップからプールされた材料は、20%のホールホモ二量体が添加される。
図7Aに示される精製スキームを使用して達成される二重特異性抗体の生成物-関連不純物及びプロセス関連不純物からの分離の程度は、
図7B及び7Cに示される精製スキームを使用して達成されるものと再び比較される。
実施形態の一覧
1.多重特異性抗体を、前記多重特異性抗体及び不純物を含む組成物から精製するための方法であって、前記多重特異性抗体が複数のアームを含み、各アームがVH/VL単位を含み、前記方法が、逐次的な、
a)前記組成物を捕獲クロマトグラフィーにかけて、捕獲クロマトグラフィー溶出物を生成するステップと、
b)前記捕獲クロマトグラフィー溶出物を第1の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第1の混合モード溶出物を生成するステップと、
c)前記第1の混合モード溶出物を第2の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第2の混合モード溶出物を生成するステップと、
d)前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記方法が、前記組成物の生成物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
2.前記捕獲クロマトグラフィー溶出物が、前記第1の混合モードクロマトグラフィーの前にイオン交換またはHICクロマトグラフィーにかけられる、実施形態1に記載の方法。
3.多重特異性抗体を、前記多重特異性抗体及び不純物を含む組成物から精製するための方法であって、前記多重特異性抗体が複数のアームを含み、各アームがVH/VL単位を含み、前記多重特異性抗体の各アームが別々に生成され、前記方法が、逐次的な、
a)前記多重特異性抗体の各アームを捕獲クロマトグラフィーにかけて、前記多重特異性抗体の各アームに対する捕獲溶出物を生成するステップと、
b)前記多重特異性抗体を含む組成物を生成するのに十分な条件下で、前記多重特異性抗体の各アームの捕獲溶出物を含む混合物を形成するステップと、
c)前記多重特異性抗体を含む前記組成物を第1の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第1の混合モード溶出物を生成するステップと、
d)前記第1の混合モード溶出物を第2の混合モードクロマトグラフィーにかけて、第2の混合モード溶出物を生成することと、
e)前記多重特異性抗体を含む画分を収集するステップと、を含み、
前記方法が、前記組成物の生成物特異的不純物の量を低減する、前記方法。
4.前記多重特異性抗体を含む前記組成物が、前記第1の混合モードクロマトグラフィーの前にイオン交換またはHICクロマトグラフィーにかけられる、実施形態3に記載の方法。
5.前記捕獲クロマトグラフィーが、親和性クロマトグラフィーである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.前記親和性クロマトグラフィーが、プロテインLクロマトグラフィー、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、プロテインA及びプロテインGクロマトグラフィーである、実施形態5に記載の方法。
7.前記親和性クロマトグラフィーが、プロテインAクロマトグラフィーである、実施形態5または実施形態6に記載の方法。
8.前記捕獲クロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで実施される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.前記第1の混合モードクロマトグラフィー及び前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、連続的である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、混合モードアニオン交換クロマトグラフィーである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、混合モードカチオン交換クロマトグラフィーである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、混合モードカチオン交換クロマトグラフィーである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
13.前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、混合モードアニオン交換クロマトグラフィーである、実施形態1~10及び12のいずれか1つに記載の方法。
14.前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで実施される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.溶出が勾配溶出である、実施形態14に記載の方法。
16.前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、フロースルーモードで実施される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
17.前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、結合及び溶出モードで実施される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.前記溶出が勾配溶出である、実施形態17に記載の方法。
19.前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、フロースルーモードで実施される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
20.前記第2の混合モード溶出物を限外瀘過するステップをさらに含む実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.前記限外濾過が、逐次的に、第1の限外濾過、透析濾過、及び第2の限外濾過を含む、実施形態20に記載の方法。
22.前記プロテインAクロマトグラフィーが、アガロースに連結されたプロテインAを含む、実施形態7~21のいずれか1つに記載の方法。
23.前記プロテインAクロマトグラフィーが、
MAbSelect(商標)、MAbSelect(商標)SuRe及びMAbSelect(商標)SuRe LX、Prosep-VA、Prosep-VA Ultra Plus、プロテインAセファロースファストフロー、またはToyopearlプロテインAクロマトグラフィーである、実施形態7~21のいずれか1つに記載の方法。
24.前記プロテインAクロマトグラフィーが、プロテインA平衡化緩衝液、プロテインA装填緩衝液、またはプロテインA洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記平衡化緩衝液、装填緩衝液、及び/または洗浄緩衝液が、約pH7~約pH8である、実施形態7~23のいずれか1つに記載の方法。
25.前記プロテインA平衡化緩衝液が、約pH7.7である、実施形態24に記載の方法。
26.前記プロテインA平衡化緩衝液が、約25mMのトリス及び約25mMのNaClを含む、実施形態24または実施形態25に記載の方法。
27.前記プロテインAクロマトグラフィーが、装填後に平衡化緩衝液で洗浄される、実施形態24~26のいずれか1つに記載の方法。
28.前記多重特異性抗体が、pH段階溶出によってプロテインAクロマトグラフィーから溶出される、実施形態7~27のいずれか1つに記載の方法。
29.前記多重特異性抗体が、低いpHを有するプロテインA溶出緩衝液を前記プロテインAクロマトグラフィーに適用することによって前記プロテインAから溶出される、実施形態7~28のいずれか1つに記載の方法。
30.前記プロテインA溶出緩衝液が、約150mMの酢酸、約pH2.9を含む、実施形態29に記載の方法。
31.前記プロテインA溶出物がプールされ、前記溶出物のOD
280が約0.5を超える、実施形態7~30のいずれか1つに記載の方法。
32.前記アニオン交換混合モードクロマトグラフィーが、第四級アミン及び疎水性部分を含む、実施形態10~31のいずれか1つに記載の方法。
33.前記アニオン交換混合モードクロマトグラフィーが、高架橋アガロースに連結された第四級アミン及び疎水性部分を含む、実施形態32に記載の方法。
34.前記混合モードクロマトグラフィーが、Capto(商標)AdhereクロマトグラフィーまたはCapto(商標)Adhere ImpResクロマトグラフィーである、実施形態33に記載の方法。
35.前記カチオン交換混合モードクロマトグラフィーが、N-ベンジル-n-メチルエタノールアミンを含む、実施形態11~34のいずれか1つに記載の方法。
36.前記混合モードクロマトグラフィーが、Capto(商標)MMCクロマトグラフィーまたはCapto(商標)MMC ImpResクロマトグラフィーである、実施形態35に記載の方法。
37.前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、混合モード装填緩衝液、または混合モード洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記混合モード事前平衡化緩衝液、前記混合モード平衡化緩衝液、前記混合モード装填緩衝液、及び/または前記混合モード洗浄緩衝液は、約pH6~約pH7である、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
38.前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、混合モード事前平衡化緩衝液、混合モード平衡化緩衝液、混合モード装填緩衝液、または混合モード洗浄緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記混合モード事前平衡化緩衝液、前記混合モード平衡化緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液が、約pH5~約pH8である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
39.前記混合モード事前平衡化緩衝液、前記混合モード平衡化緩衝液、及び/または混合モード洗浄緩衝液が、約pH6.5である、実施形態37または実施形態38に記載の方法。
40.前記混合モード事前平衡化緩衝液が、約500mMの酢酸塩を含む、実施形態37~39のいずれか1つに記載の方法。
41.前記混合モード平衡化緩衝液が、約50mMの酢酸塩を含む、実施形態37~40のいずれか1つに記載の方法。
42.前記第1の混合モードクロマトグラフィーが、装填後に洗浄緩衝液で洗浄される、実施形態37~41のいずれか1つに記載の方法。
43.前記第2の混合モードクロマトグラフィーが、装填後に洗浄緩衝液で洗浄される、実施形態37~42のいずれか1つに記載の方法。
44.前記多重特異性抗体が、pH勾配によって前記第1の混合モードクロマトグラフィーから溶出される、実施形態15及び18~43のいずれか1つに記載の方法。
45.前記多重特異性抗体が、低いpHを有する混合モード溶出緩衝液を前記混合モードイオン交換クロマトグラフィーに適用することによって、前記第1の混合モードクロマトグラフィーから溶出される、実施形態15及び実施形態18~44のいずれか1つに記載の方法。
46.前記多重特異性抗体が、pH勾配によって前記第2の混合モードクロマトグラフィーから溶出される、実施形態15及び18~45のいずれか1つに記載の方法。
47.前記多重特異性抗体が、低いpHを有する混合モード溶出緩衝液を前記混合モード交換クロマトグラフィーに適用することによって、前記第2の混合モードクロマトグラフィーから溶出される、実施形態15及び実施形態18~46のいずれか1つに記載の方法。
48.前記イオン交換クロマトグラフィーが、第四級アミンを含む、実施形態2及び4~47のいずれか1つに記載される方法。
49.前記イオン交換クロマトグラフィーが、アニオン交換クロマトグラフィーであり、前記アニオン交換クロマトグラフィーが、架橋アガロースに連結された第四級アミンを含む、実施形態48に記載の方法。
50.前記混合モードアニオン交換クロマトグラフィーが、CaptoAdhereクロマトグラフィーである、実施形態49に記載の方法。
51.前記アニオン交換クロマトグラフィーが、アニオン交換事前平衡化緩衝液、アニオン交換平衡化緩衝液、またはアニオン交換装填緩衝液のうちの1つ以上を使用し、前記アニオン交換事前平衡化緩衝液、前記アニオン交換平衡化緩衝液、及び/またはアニオン交換装填緩衝液が、約pH6~約pH8である、実施形態48~50のいずれか1つに記載の方法。
52.前記アニオン交換事前平衡化緩衝液、前記アニオン交換平衡化緩衝液、及び/または前記アニオン交換装填物が、約pH6.5である、実施形態51に記載の方法。
53.前記アニオン交換事前平衡化緩衝液が、約50mMのトリス、500mMの酢酸ナトリウムを含む、実施形態51または実施形態52に記載の方法。
54.前記アニオン交換平衡化緩衝液が、約50mMのトリスを含む、実施形態51~53のいずれか1つに記載の方法。
55.前記アニオン交換クロマトグラフィーが、装填後にアニオン交換平衡化緩衝液で洗浄される、実施形態51~54のいずれか1つに記載の方法。
56.前記多重特異性抗体が、塩勾配によって前記アニオン交換クロマトグラフィーから溶出される、実施形態51~55のいずれか1つに記載の方法。
57.前記多重特異性抗体が、増加した塩濃度を有するアニオン交換溶出緩衝液を前記アニオン交換クロマトグラフィーに適用させることによって、前記アニオン交換クロマトグラフィーから溶出される、実施形態51~56のいずれか1つに記載の方法。
58.前記アニオン交換溶出緩衝液が、約50mMのトリス、100mMの酢酸ナトリウムを約pH8.5で含む、実施形態57に記載の方法。
59.前記アニオン交換溶出物がプールされ、前記溶出物のOD
280が約0.5~約2.0を超える、実施形態51~58のいずれか1つに記載の方法。
60.前記多重特異性抗体のアームが、細胞中で産生される、実施形態1~59のいずれか1つに記載の方法。
61.前記細胞が、原核生物細胞である、実施形態60に記載の方法。
62.前記原核生物細胞が、E.coli細胞である、実施形態61に記載の方法。
63.前記細胞が、1つ以上のシャペロンを発現するように操作される、実施形態61または実施形態62に記載の方法。
64.前記シャペロンが、FkpA、DsbA、またはDsbCのうちの1つ以上である、実施形態63に記載の方法。
65.前記シャペロンが、E.coliシャペロンである、実施形態63または実施形態64に記載の方法。
66.前記細胞が、真核細胞である、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。
67.前記真核細胞が、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である、実施形態66に記載の方法。
68.前記真核細胞が、CHO細胞である、実施形態66または実施形態67に記載の方法。
69.前記細胞が、捕獲クロマトグラフィーの前に、溶解され、前記多重特異性抗体または前記多重特異性抗体のアームを含む細胞溶解液を生成する、実施形態60~68のいずれか1つに記載の方法。
70.前記細胞が、微小流動化剤を使用して溶解される、実施形態69に記載の方法。
71.ポリエチレンイミン(PEI)が、クロマトグラフィーの前に前記細胞溶解液に添加される、実施形態69または実施形態70に記載の方法。
72.前記方法が、前記組成物中の宿主細胞タンパク質(HCP)、浸出されたプロテインA、核酸、細胞培養培地構成成分、またはウイルス性不純物のうちのいずれか1つの量を低減する、実施形態1~71のいずれか1つに記載の方法。
73.前記多重特異性抗体が、二重特異性抗体である、実施形態1~72のいずれか1つに記載の方法。
74.前記二重特異性抗体が、ノブインホール(KiH)二重特異性抗体である、実施形態73に記載の方法。
75.前記二重特異性抗体が、CrossMab二重特異性抗体である、実施形態73または実施形態74に記載の方法。
76.前記画分が、少なくとも約95%の多重特異性抗体を含む、実施形態1~75のいずれか1つに記載の方法。
77.前記生成物特異的不純物が、非対抗体のアーム、抗体ホモ二量体、凝集体、高分子量種(HMWS)、低分子量種(LMWS)、酸性バリアント、または塩基性バリアントのうちの1つ以上である、実施形態1~76のいずれか1つに記載の方法。
78.前記画分が、約5%以下の非対抗体のアームを含む、実施形態77に記載の方法。
79.前記画分が、約5%以下の抗体ホモ二量体を含む、実施形態77または実施形態78に記載の方法。
80.前記画分が、約2%以下の凝集体または高分子量種(HMWS)を含む、実施形態77~79のいずれか1つに記載の方法。
81.前記画分が、約2%以下のLMWSを含む、実施形態77~80のいずれか1つに記載の方法。
82.前記画分が、約50%以下の酸性バリアントを含む、実施形態77~81のいずれか1つに記載の方法。
83.前記画分が、約35%以下の塩基性バリアントを含む、実施形態77~82のいずれか1つに記載の方法。
84.前記画分が、約5%以下の3/4抗体を含む、実施形態77~83のいずれか1つを含む方法。
85.前記画分が、
a)少なくとも約95%~約100%の多重特異性抗体、
b)約1%~約5%以下の非対抗体のアーム、
c)約1%~約5%以下の抗体ホモ二量体、
d)約1%または約2%以下のHMWS、
e)約1%または約2%以下のLMWS、及び
f)約5%以下の3/4抗体を含む、実施形態77に記載の方法。
86.実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法によって精製された多重特異性抗体を含む組成物。
87.がんまたは眼疾患の治療のための、実施形態1~85のいずれか1つに記載の方法によって精製された多重特異性抗体を含む組成物。
88.マルチステップクロマトグラフィー方法でFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製するための方法であって、前記方法が、親和性クロマトグラフィーのステップを含み、2つの異なるマルチモーダルイオン交換クロマトグラフィーのステップが後に続き、
それによって、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製する、前記方法。
89.前記マルチステップクロマトグラフィー方法が、
i.親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップ、
または
ii.親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップを含む、実施形態88に記載の方法。
90.前記マルチステップクロマトグラフィー方法が、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含む、実施形態88~89のいずれか1つに記載の方法。
91.前記マルチステップクロマトグラフィー方法が、正確に3つのクロマトグラフィーのステップを含む、実施形態88~90のいずれか1つに記載の方法。
92.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップが、フロースルーモードで行われる、実施形態89~91のいずれか1つに記載の方法。
93.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、7mS/cm未満の伝導値を有する溶液中に適用される、実施形態89~92のいずれか1つに記載の方法。
94.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、約6mS/cm~約2mS/cmの範囲の伝導値を有する溶液中に適用される、実施形態89~93のいずれか1つに記載の方法。
95.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、約4.5mS/cmの伝導値を有する溶液中に適用される、実施形態89~94のいずれか1つに記載の方法。
96.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップが、約7のpHで行われる、実施形態89~95のいずれか1つに記載の方法。
97.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、約4.5mS/cmの伝導性及び約7のpHを有する溶液中に適用される、実施形態89~96のいずれか1つに記載の方法。
98.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップにおいて、前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、クロマトグラフィー材料の、1リットル当たり約100g~約300gの範囲で適用される、実施形態89~97のいずれか1つに記載の方法。
99.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料が、マルチモーダル強アニオン交換クロマトグラフィー材料である、実施形態89~98のいずれか1つに記載の方法。
100.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィー材料が、高流量アガロースのマトリックス、リガンドとしてのマルチモーダル強アニオン交換、36~44μmの平均粒子サイズ、及び0.08~0.11mmol Cl-/mLの培地のイオン容量を有する、実施形態89~99のいずれか1つに記載の方法。
101.前記マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーの培地が、マルチモーダル弱カチオン交換クロマトグラフィーの培地である、実施形態89~100のいずれか1つに記載の方法。
102.前記マルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーの培地が、高流量アガロースのマトリックス、リガンドとしてのマルチモーダル弱カチオン交換、36~44μmの平均粒子サイズ、及び25~39μmol/mLのイオン容量を有する、実施形態89~101のいずれか1つに記載の方法。
103.前記マルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップが、結合及び溶出モードで行われる、実施形態89~102のいずれか1つに記載の方法。
104.前記親和性クロマトグラフィーが、プロテインA親和性クロマトグラフィー、またはプロテインG親和性クロマトグラフィー、または一本鎖Fvリガンド親和性クロマトグラフィー、またはCaptureSelectクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップ、またはCaptureSelect FcXLクロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップである、実施形態88~103のいずれか1つに記載の方法。
105.前記親和性クロマトグラフィーのステップが、プロテインAクロマトグラフィーのステップである、実施形態88~104のいずれか1つに記載の方法。
106.前記親和性クロマトグラフィーのステップが、CaptureSelect(商標)クロマトグラフィー材料を用いるクロマトグラフィーのステップである、実施形態88~105のいずれか1つに記載の方法。
107.前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、抗体、二重特異性抗体、またはFc-融合タンパク質である、実施形態88~106のいずれか1つに記載の方法。
108.前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、二重特異性抗体である、実施形態88~107のいずれか1つに記載の方法。
109.前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、CrossMabである、実施形態90~108のいずれか1つに記載の方法。
110.前記Fc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、
a)第1の抗原を特異的に結合する第1の全長抗体の重鎖及び軽鎖、ならびに
b)前記定常ドメインCL及びCH1が互いによって置き換えられる、第2の抗原を特異的に結合する全長抗体の修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含む二重特異性抗体である、実施形態90~109のいずれか1つに記載の方法。
111.前記二重特異性抗体が、ANG2及びVEGFを結合する、実施形態108~110のいずれか1つに記載の方法。
112.前記CrossMabが、ANG2及びVEGFを結合する、実施形態108~110のいずれか1つに記載の方法。
113.前記二重特異性抗体が、vanucizumabである、実施形態108~112のいずれか1つに記載の方法。
114.前記二重特異性抗体が、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号1、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号2を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号3、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号4を含む第2の抗原結合部位を含む、実施形態108~112のいずれか1つに記載の方法。
115.前記二重特異性抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する第1の重鎖、及び配列番号10のアミノ酸配列を有する第2の重鎖、ならびに配列番号11のアミノ酸配列を有する第1の軽鎖、及び配列番号12のアミノ酸配列を有する第2の軽鎖を含む、実施形態108~112のいずれか1つに記載の方法。
116.前記二重特異性抗体が、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号5、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号6を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号7、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号8を含む第2の抗原結合部位を含む、実施形態108~112のいずれか1つに記載の方法。
117.前記二重特異性抗体が、配列番号13のアミノ酸配列を有する第1の重鎖、及び配列番号14のアミノ酸配列を有する第2の重鎖、ならびに配列番号15のアミノ酸配列を有する第1の軽鎖、及び配列番号16のアミノ酸配列を有する第2の軽鎖を含む、実施形態108~112のいずれか1つに記載の方法。
118.精製されたFc領域含有ヘテロ二量体ポリペプチドが、約5%以下の3/4抗体を含む、実施形態108~117のいずれか1つに記載の方法。
119.マルチステップクロマトグラフィー方法でANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を精製するための方法であって、前記方法が、親和性クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルアニオン交換クロマトグラフィーのステップ、その後に続くマルチモーダルカチオン交換クロマトグラフィーのステップを含み、
それによって、ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体を精製し、
二重特異性抗体が、重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号1、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号2を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号3、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号4を含む第2の抗原結合部位を含むか、
または重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号5、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号6を含む第1の抗原結合部位、ならびに重鎖可変ドメイン(VH)として配列番号7、及び軽鎖可変ドメイン(VL)として配列番号8を含む第2の抗原結合部位を含む、前記方法。
120.ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体が、
a)前記第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の前記重鎖及び前記軽鎖、ならびに
b)前記定常ドメインCL及びCH1が互いによって置き換えられる、前記第2の抗原結合部位を含む全長抗体の前記修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含む、実施形態119に記載の方法。
121.二重特異性抗体を含む組成物であって、前記組成物が、少なくとも約95%、二重特異性抗体を含む、前記組成物。
122.前記組成物が、約5%以下の非対抗体のアームを含む、実施形態121に記載の組成物。
123.前記組成物が、約5%以下の抗体ホモ二量体を含む、実施形態121または122に記載の組成物。
124.CrossMab抗体を含む組成物であって、前記組成物が、少なくとも95%のCrossMab抗体を含む、前記組成物。
125.前記組成物が、約2%以下の凝集体または高分子量種(HMWS)を含む、実施形態121~124のいずれか1つに記載の組成物。
126.前記組成物が、約2%以下の低分子量種(LMWS)を含む、実施形態121~125のいずれか1つに記載の組成物。
127.前記組成物が、約50%以下の酸性バリアントを含む、実施形態121~126のいずれか1つに記載の組成物。
128.前記組成物が、約35%以下の塩基性バリアントを含む、実施形態121~127のいずれか1つに記載の組成物。
129.前記組成物が、約5%以下の3/4抗体を含む、実施形態121~128のいずれか1つに記載の組成物。
130.前記組成物が、
a)少なくとも約95%~約100%の多重特異性抗体、
b)約1%~約5%以下の非対抗体のアーム、
c)約1%~約5%以下の抗体ホモ二量体、
d)約1%または約2%以下のHMWS、
e)約1%または約2%以下のLMWS、及び
f)約5%以下の3/4抗体を含む、実施形態121または実施形態122に記載の組成物。
131.前記二重特異性抗体が、ANG-2及びVEGFを結合する、実施形態121~130のいずれか1つに記載の組成物。
132.ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体が、
a)前記第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の前記重鎖及び前記軽鎖、ならびに
b)前記定常ドメインCL及びCH1が互いによって置き換えられる、前記第2の抗原結合部位を含む全長抗体の前記修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含む、実施形態131に記載の組成物。
133.ANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を含む組成物であって、前記組成物が、約5%以下、約4%、約3%、約2%、または約1%の3/4抗体を含む、前記組成物。
134.ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体が、
a)前記第1の抗原結合部位を含む第1の全長抗体の前記重鎖及び前記軽鎖、ならびに
b)前記定常ドメインCL及びCH1が互いによって置き換えられる、前記第2の抗原結合部位を含む全長抗体の前記修飾された重鎖及び修飾された軽鎖を含む、実施形態133に記載の組成物。
135.前記組成物が、実施形態119に記載の方法を使用して得られる、実施形態133または134に記載の組成物。
136.Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドの精製のための、実施形態88~118のいずれか1つに記載の方法の使用。
137.Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド関連不純物の低減のための、実施形態88~118のいずれか1つに記載の方法の使用。
138.がんまたは眼疾患の前記治療のための医薬品の製造のための、実施形態に88~118のいずれか1つに記載の方法で得られるFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド、または実施形態119~120のいずれか1つに記載の方法を使用して得られるANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体。
139.がんまたは眼疾患の前記治療における使用のための、実施形態88~118のいずれか1つに記載の方法から得られるFc-含有ヘテロ二量体ポリペプチド、または実施形態119~120のいずれか1つに記載の方法を使用して得られるANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体。
140.Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを生成する方法であって、
i.Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を培養するステップと、
ii.前記Fc-含有ヘテロ二量体タンパク質を細胞または培養培地から回収するステップと、
iii.実施形態88~118のいずれか1つに記載の方法で前記Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを精製するステップと、を含み、
それによって、前記Fc-含有ヘテロ二量体ポリペプチドを生成する、前記方法。
141.実施形態119~120のいずれか1つに記載の方法を使用して得られるANG-2及びVEGFを結合する二重特異性抗体を産生する方法であって、
i.前記二重特異性抗体をコードする核酸を含む細胞を培養するステップと、
ii.前記二重特異性抗体を前記細胞または前記培養培地から回収するステップと、
iii.実施形態119~120のいずれか1つに記載の方法で前記二重特異性抗体を精製するステップと、を含み、
それによって、ANG-2及びVEGFを結合する前記二重特異性抗体を生産する、前記方法。