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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166005
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】リン酸化無水物含有エポキシ樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/42 20060101AFI20221025BHJP
   C07F 9/6574 20060101ALI20221025BHJP
   C09K 21/12 20060101ALI20221025BHJP
   C07D 307/89 20060101ALI20221025BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C08G59/42
C07F9/6574 A
C09K21/12
C07D307/89 Z
C08J5/24 CFC
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022117518
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2020525898の分割
【原出願日】2017-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】515160552
【氏名又は名称】ブルー キューブ アイピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】イェ,シモン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐炎性である、ハロゲンフリーのリン含有エポキシ樹脂を提供する。
【解決手段】a)少なくとも1つのエポキシ樹脂、及びb)式(IV)の少なくとも1つの化合物、を含む硬化性組成物を提供する。

前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、ジビニルアレーンジオキシド、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、エポキシクレゾールノボラック樹脂、及びこれらの混合物からなる群から選択される。式(IV)の化合物は、硬化剤、難燃剤又はその両方である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又はIIの化合物であって、
【化1】
式中
及びRは、独立して、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、-O-アルキル
-シクロアルキル、-O-シクロアルキル、アリール、アリールオキシであり、又はR
とRとは一緒になって多環式部分を形成し、各アリール又は多環式部分は、アルキル、
アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アルケニル、及びアルキニ
ルから独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換され、
は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、各アリー
ルは、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルケニル、及びアルキニル
から独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換され、
lは、0、1、2、3、4、5、又は6であり、
ただし、以下の化合物は包含されない、化合物。
【化2】
【請求項2】
各Rが、独立して、水素又はメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRの1つが、メチル、メトキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、-O-
シクロペンチル、-O-シクロヘキシル、フェニル、フェニルオキシであり、又はR
びRが一緒になって多環式部分を形成し、前記フェニル、フェニルオキシ、又は多環式
部分が、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アルケ
ニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換される
、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが同じである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
及びRが異なる、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
及びRが任意に置換された多環式部分を形成する、請求項1から3のいずれか一
項に記載の化合物。
【請求項7】
以下の式の、請求項1から3又は6のいずれか一項に記載の化合物、
【化3】
式中、
各R及びRは、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアル
キル、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択され、
lは、0、1、2、又は3であり、
nは、0、1、2、3、又は4であり、そして
mは、0、1、2、3、又は4である。
【請求項8】
m及びnが0である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
m及びnが、独立して、1又は2である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
各R及びRが、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル
、フェニルオキシ、ベンジル、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルであり

lが0又は1である、請求項7又は9に記載の化合物。
【請求項11】
各R及びRが、独立して、メチル、エチル、フェニル、ベンジル、フェネチル、メ
トキシ、エトキシ、エテニル、エチニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
各R及びRが、独立して、フェニル、フェニルオキシ又はベンジルである、請求項
10に記載の化合物。
【請求項13】
及びRが同じである、請求項7又は9から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
及びRが異なる、請求項7又は9から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
nが1であり、mが1である、請求項7、9から12、又は14のいずれか一項に記載
の化合物。
【請求項16】
nが0である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
がベンジルである、請求項7、9から12、14、15、又は16に記載の化合物
【請求項18】
lが0である、請求項1又は3から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
lが1である、請求項1又は3から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
lが2である、請求項1又は3から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
lが3である、請求項1又は3から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
各Rが、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、又はフェニル
であり、各フェニルが、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル、フェニ
ルオキシ、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから独立して選択される1
つ又はそれ以上の基で任意に置換される、請求項19から21のいずれか一項に記載の化
合物。
【請求項23】
各Rが、独立して、メチル、エチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニ
ルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
以下の式のリン含有化合物を、
【化4】
以下の式のオレフィン化合物と、
【化5】
ラジカル開始剤の存在下、約120℃~約160℃の温度で反応させることを含む、請
求項1から23のいずれか一項に記載の化合物の調製方法。
【請求項25】
前記ラジカル開始剤が、有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル又は両方を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ラジカル開始剤がジ-tert-ブチルペルオキシドを含む、請求項25に記載の
方法。
【請求項27】
前記反応が溶媒の存在下で起こる、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記反応が溶媒の非存在下で起こる、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法
【請求項29】
a)少なくとも1つのエポキシ樹脂、及び
b)請求項1から23のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物
を含む硬化性組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂
肪族エポキシ樹脂、及びそれらの組み合わせを含む、請求項29に記載の硬化性組成物。
【請求項31】
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、ジビニルアレーンジオキシド、ビスフェノールAの
ジグリシジルエーテル、ブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノー
ルAのオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールA
のオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、ビスフェノールF又はその誘導体の
ジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、エポキシクレゾールノボラック樹脂、
又はこれらの混合物である、請求項30に記載の硬化性組成物。
【請求項32】
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、ポリフェノールのグリシジルエーテル化合物であり
、前記ポリフェノールが、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェ
ノールF、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボ
ラック、トリスフェノール(トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、1,1,2
,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールA、2,
2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパ
ン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され
る、請求項30に記載の硬化性組成物。
【請求項33】
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、少なくとも1つの脂環式環を有するポリオールのポ
リグリシジルエーテル、又はシクロヘキセン環又はシクロペンテン環を含む化合物を酸化
剤でエポキシ化することにより得られるシクロヘキセンオキシド又はシクロペンテンオキ
シドを含む化合物からなる群から選択される脂環式エポキシ樹脂である、又は
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル
、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシ
レート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチル
ヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-
メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メ
チルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレ
ート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メ
チルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)
アジペート、メチレン-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、2,2-ビス(3,
4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレン
-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジオクチルエポキシヘキ
サヒドロフタレート、ジ-2-エチルヘキシルエポキシヘキサヒドロフタレート、及びそ
れらの組み合わせを含む、請求項30に記載の硬化性組成物。
【請求項34】
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル又はそ
のアルキレンオキシド付加物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、アクリル
酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルのビニル重合によって合成されたホモポリマー
、及びアクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルと他のビニルモノマーのビニル
重合により合成されたコポリマーからなる群から選択される脂肪族エポキシ樹脂である、
請求項30に記載の硬化性組成物。
【請求項35】
前記ジビニルアレーンジオキシドが、置換ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフ
タレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキ
シド、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の硬化性組成物
【請求項36】
前記組成物が、ベンゾオキサジン、スチレン無水マレイン酸コポリマー、フェノールノ
ボラック、シアン酸エステル又はそれらの混合物をさらに含む、請求項29から35のい
ずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項37】
前記エポキシ樹脂が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて1重量%~70重量%の範
囲の量で存在する、請求項29から36のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項38】
請求項1から23のいずれか一項に記載のリン含有化合物が、前記組成物の総重量に基
づいて10重量%~70重量%の範囲の量で存在する、請求項29から37のいずれか一
項に記載の硬化性組成物。
【請求項39】
前記組成物が、天然シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、アルミナ、水和アルミナ、タル
ク、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択
される充填剤をさらに含む、請求項29から38のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項40】
請求項29から39のいずれか一項に記載の硬化性組成物から調製されたプリプレグ。
【請求項41】
強化成分をさらに含む、請求項40に記載のプリプレグ。
【請求項42】
前記強化成分が、繊維、布地、又はそれらの組み合わせを含む、請求項41に記載のプ
リプレグ。
【請求項43】
請求項29から39のいずれか一項に記載の硬化性組成物から調製された電気的ラミネ
ート。
【請求項44】
請求項43に記載の電気的ラミネートから調製されたプリント回路基板。
【請求項45】
前記電気的ラミネートが、プリプレグと導電性材料との交互の層を含む、請求項43に
記載の電気的ラミネート。
【請求項46】
請求項29から39のいずれか一項に記載の組成物及び少なくとも1つの硬化剤を含む
硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項47】
前記組成物が0.01重量%~90重量%の硬化剤を含む、請求項46に記載の硬化性
組成物。
【請求項48】
前記硬化剤が、無水物、カルボン酸、アミン化合物、フェノール化合物、ポリオール及
びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項46又は47のいずれか一項に記載
の硬化性組成物。
【請求項49】
(i)請求項29から39のいずれか一項に記載の組成物、及び(ii)少なくとも1
つの硬化剤を混合することを含む、硬化性エポキシ樹脂組成物の調製プロセス。
【請求項50】
請求項29から39又は46から48のいずれか一項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成
物を硬化させることにより調製される硬化された熱硬化性生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にエポキシ樹脂、特にハロゲンフリーのリン含有エポキシ樹脂に関する
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、特に耐薬品性、機械的強度及び電気的特性の理由から、産業用及び家
庭用電化製品の両方で使用されている。例えば、エポキシ樹脂は、ラミネート、接着材料
及び/又は絶縁材料、例えば層間絶縁フィルムとして電子機器に使用することができる。
これらの用途に有用であるためには、エポキシ樹脂は特定の必要な物理的、熱的、電気的
絶縁及び耐湿性の特性を提供する必要がある。例えば、電気用途に使用されるエポキシ樹
脂が高いガラス転移温度(T)を有することは有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、エポキシ樹脂は可燃性である可能性がある。したがって、エポキシ樹脂に耐炎
性(flame resistance)を付与するために様々なアプローチが行われてきた。耐炎性を提供
するために2つの主要なアプローチが採用されている。第1のアプローチでは、ハロゲン
化合物を使用する。電気及び電子アセンブリに耐炎性を付与するために、ハロゲン含有化
合物が電子産業で一般的に使用されている。例えば、テトラブロモビスフェノール-A(
TBBA)は、エポキシ樹脂の難燃剤(flame retardant)として広く使用されている代表
的なハロゲン含有化合物である。ハロゲン含有化合物は効果的であることができるが、寿
命の終わりに電子部品を焼却する間に有害物質が生成される可能性があるため、環境の観
点からは望ましくないと考えられることがある。第2のアプローチは、第1のアプローチ
の環境問題への対応として、ハロゲンフリー化合物を使用して難燃性(flame retardancy)
を付与する「環境に優しい」アプローチである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、式I又はIIの化合物が本明細書に開示され、
【化6】
式中
及びRは独立して、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、-O-アルキル-
シクロアルキル、-O-シクロアルキル、アリール、アリールオキシであり、又はR
とが一緒になって多環式部分を形成し、各アリール又は多環式部分は、アルキル、ア
ルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アルケニル、及びアルキニル
から独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換され、
は独立して、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、各アリールは、ア
ルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルケニル、及びアルキニルから独立
して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換され、
lは0、1、2、3、4、5、又は6であり、
式I又はIIの化合物を調製する方法、少なくとも1つのエポキシ樹脂及び式I又はI
Iの化合物を含む硬化性組成物、並びに硬化性組成物を硬化させることにより調製された
硬化生成物も開示される。式I及びIIの化合物は、難燃剤、硬化剤又は両方として作用
する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示の実施形態は、特に、自己硬化性化合物として、及び/又は硬化エポキシを形成
するための硬化性組成物中の成分として使用することができるリン含有エポキシ樹脂を含
む。本開示のリン含有エポキシ樹脂はまた、他のエポキシ樹脂で形成された硬化エポキシ
の耐熱性(例えば、本明細書で論じられるT及びT)を高めるために、硬化性組成物
において他のエポキシ樹脂と共に使用できる。
【0006】
本開示のリン含有エポキシ樹脂はまた、部分的にリン含有エポキシ樹脂と共に形成され
る硬化エポキシのための難燃剤として作用しながら、ハロゲンフリーであるという利点を
提供する。リン含有エポキシ樹脂で形成されたそのような硬化エポキシはまた、電気的ラ
ミネート、相互接続基板、ビルドアップフィルム、ソルダマスク、キャスティング、及び
接着剤を含む電子用途に有用な適切な熱的及び電気的特性を有することもできる。
【0007】
具体的には、本開示のリン含有エポキシ樹脂は、熱機械的特性の改善、例えば硬化エポ
キシのガラス転移温度の上昇をもたらすことができる。
【0008】
本開示の改善には、リン含有エポキシ樹脂を用いて形成される硬化エポキシのガラス転
移温度(T)を上昇させることが含まれることができ、こうして、リン含有エポキシ樹
脂は、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも170℃の温度で行われる中~高範囲
の用途に使用できる。さらに、本開示のリン含有エポキシ樹脂で形成された硬化性組成物
は、耐炎性に加えて、他の所望の物理的特性、例えば耐熱性も提供し得る。耐熱性を測定
する1つの方法は、サンプルが一定の速度で加熱されるときに硬化エポキシの5重量パー
セント(重量%)が分解する温度を決定することにより、熱分解温度(T)を測定する
ことである。本開示のリン含有エポキシ樹脂は、少なくとも350℃のTを有する硬化
エポキシ樹脂を提供することができる。
【0009】
さらに、本開示のリン含有エポキシ樹脂は、10:1~1:1、より好ましくは6:1
~2:1、最も好ましくは5:1~3:1の範囲であることができるエポキシ対リンのモ
ル比を有することができる。
【0010】
上記のように、第1の態様では、すべての変数が上記で定義されたとおりである式I又
はIIの化合物がここで開示される。1つの実施形態では、以下の化合物は、式I又はI
Iによって包含されない。別の実施形態では、それらは包含される。
【化7】
【0011】
一実施形態では、各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキ
ル、又はフェニルであり、各フェニルは、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、
フェニル、フェニルオキシ、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから独立
して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換される。別の実施形態では、各R
独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、又はフェニルであり、各フ
ェニルは、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、C
-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以
上の基で任意に置換される。さらに別の実施形態では、各Rは、独立して、メチル、エ
チル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルである。さらに別の実施形態では
、各Rは独立してC-Cアルキルである。さらなる実施形態では、各Rは独立し
てメチル又はエチルである。なおさらなる実施形態では、Rはメチルである。
【0012】
1つの代替の実施形態において、lが1である場合、Rは、メチル、エチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、フェニル、アリル、又はC-Cアルキニルである。別の
実施形態では、Rはメチル又はアリルである。さらに別の代替実施形態では、Rはメ
チルである。
【0013】
別の実施形態では、R及びRは独立してC-Cアルキル、C-Cアルコキ
シ、C-Cシクロアルキル、-O-C-Cアルキル-シクロアルキル、-O-シ
クロアルキル、アリール、アリールオキシ、又はRとRとが一緒になって多環式部分
を形成し、各アリール又は多環式部分は、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオ
キシ、アリールアルキル、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ又は
それ以上の基で任意に置換される。さらなる実施形態では、R及びRの1つは、メチ
ル、メトキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、-O-C-Cアルコキシ-シクロ
アルキル、-O-シクロペンチル、-O-シクロヘキシル、フェニル、フェニルオキシで
あり、又はR及びRが一緒になって多環式部分を形成し、このフェニル、フェニルオ
キシ、又は多環式部分は、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリール
アルキル、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以上の基で
任意に置換される。さらなる実施形態では、R及びRは、C-Cアルキル、C
-Cアルコキシ、フェニル、ナフチル、フェニルオキシ、ベンジル、フェネチル、C
-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以上
の基で任意に置換される。さらに別の実施形態では、R及びRは同じである。別の実
施形態では、R及びRは異なる。
【0014】
異なる実施形態において、R及びRは、任意に置換された多環式部分を形成し、多
環式部分は、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、ア
ルケニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換さ
れる。1つの実施形態では、多環式部分は、2つの、任意に置換される縮合環からなる。
代替の実施形態では、多環式部分は、少なくとも3つの、任意に置換された、縮合環から
なる。多環式部分は、P、N、O、及びSからなる群から選択される1つ又はそれ以上の
ヘテロ原子を含み得る。明確にするために、P、N、O、及び/又はSは、多環式部分の
1つ又はそれ以上の炭素を置き換える。好ましい実施形態では、多環式部分は、P、N、
O、及びSの少なくとも1つを含む。好ましくは、多環式部分は、Pを含む。さらにより
好ましくは、多環式部分内の少なくとも1つの環ヘテロ原子は、Pに直接結合する。さら
なる実施形態では、ヘテロ原子はO又はSである。1つの好ましい実施形態では、ヘテロ
原子はOである。
【0015】
一実施形態では、式I又はIIの化合物は、式III又はIVの化合物である、
【化8】
式中
lは0、1、2、又は3であり、mは0、1、2、3、又は4であり、nは0、1、2
、3又は4であり、m及びnの少なくとも1つが0でない場合、各R及びRは独立し
て、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アルケニル
、及びアルキニルからなる群から選択される。1つの実施形態では、各R及びRは、
-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル、ナフチル、フェニルオキシ、ベ
ンジル、フェネチル、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから独立して選
択される。一実施形態では、R及びRは同じである。代替的に、それらは異なる場合
がある。
【0016】
1つの実施形態では、m及びnは0である。さらなる実施形態では、lはまた0である
【0017】
1つの実施形態では、lは0である。別の実施形態では、lは1である。さらに別の実
施形態では、lは2である。なおさらに別の実施形態では、lは3である。さらになお別
の実施形態では、lは1又は2である。これらの実施形態のそれぞれにおいて(lが0で
ある場合を除いて)、各Rは、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアル
キル、又はフェニルであり、各フェニルは、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ
、フェニル、フェニルオキシ、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから独
立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換される。別の実施形態では、各R
は独立してC-Cアルキルである。さらなる実施形態では、各Rは独立してメチル
又はエチルである。なおさらなる実施形態では、Rはメチルである。
【0018】
代替の実施形態では、m及びnは独立して0、1又は2であり、m及びnの少なくとも
1つは1又は2である。このような場合、各R及びRは、C-Cアルキル、C
-Cアルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、フェネチル、C-Cアル
ケニル、及びC-Cアルキニルから独立して選択される。なおさらなる実施形態では
、各R及びRは、独立して、メチル、エチル、フェニル、ベンジル、フェネチル、メ
トキシ、エトキシ、エテニル、エチニルである。別のさらなる実施形態では、各R及び
は独立して、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル又はフェネチルである。一実施形
態では、R及びRは同じである。代替的に、それらは異なる場合がある。
【0019】
さらなる実施形態では、nは1であり、mは1である。さらなる実施形態では、R
びRは、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、ベ
ンジル、フェネチル、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから独立して選
択される。なおもさらなる態様では、lは0又は1である。なおさらなる実施形態では、
及びRは独立して、メチル、エチル、フェニル、ベンジル、フェネチル、メトキシ
、エトキシ、エテニル、エチニルである。代替のさらなる実施形態では、R及びR
独立して、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル又はフェネチルである。一実施形態では
、R及びRは同じである。代替的にそれらは異なる。
【0020】
別の実施形態では、nは1であり、mは0である。さらなる実施形態では、Rは、C
-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、フェ
ネチル、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから選択される。なおもさら
なる態様では、lは0又は1である。なおさらなる実施形態では、Rは、メチル、エチ
ル、フェニル、ベンジル、フェネチル、メトキシ、エトキシ、エテニル、エチニルである
。代替的に、Rは独立して、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル又はフェネチルであ
る。さらに別の実施形態では、Rはベンジルである。
【0021】
別の実施形態では、mは1であり、nは0である。さらなる実施形態では、Rは、C
-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、フェ
ネチル、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから選択される。なおさらな
る実施形態では、lは0又は1である。なおさらなる実施形態では、Rは、メチル、エ
チル、フェニル、ベンジル、フェネチル、メトキシ、エトキシ、エテニル、エチニルであ
る。代替的に、Rは独立して、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル又はフェネチルで
ある。さらに別の実施形態において、Rはベンジルである。
【0022】
別の態様では、上記の化合物を調製する方法が本明細書に開示されている。この方法は
、以下の式のリン化合物を、
【化9】
以下の式のオレフィン化合物と、
【化10】
ラジカル開始剤の存在下、約120℃~約160℃の温度で反応させることを含む。
【0023】
アゾ化合物、有機過酸化物及び無機過酸化物を含む様々なフリーラジカル開始剤を使用
してもよい。特定のフリーラジカル開始剤の例には、ジ-tert-ブチルペルオキシド
、ベンゾイルペルオキシド、ペルオキシジスルフェート塩、アゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロ
ヘキサンカルボニトリル)及び2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二
塩酸塩が含まれる。複数のフリーラジカル開始剤を、同時に又は連続して使用してもよい
。一実施形態では、ラジカル開始剤は、有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル又は
両方を含む。代替的に、ラジカル開始剤は、ジ-tert-ブチルペルオキシドを含む。
【0024】
リン化合物とオレフィン化合物との反応は、溶媒の存在下又は非存在下で起こり得る。
好ましくは、水がリン含有化合物と反応して発泡を引き起こす傾向があり得るため、反応
は、水の存在なしで行われる(一般に、水は、硬化性組成物の総重量に基づいて5重量%
未満、より好ましくは3重量%未満、最も好ましくは1重量%未満で存在する)。水は、
周知の方法、例えば乾燥空気又は窒素気流中、真空オーブン内での加熱を使用して、又は
有機液体、例えばヘキサン又はトルエンを使用して水の共沸除去によって除去することが
できる。これは、リン化合物自体又は反応前の混合物のいずれかで行うことができる。
【0025】
様々な実施形態について、リン化合物とオレフィン化合物との間の反応は、溶媒の存在
下で起こる。溶媒は、トルエン、キシレン、メシチレン、2-ブタノン、4-メチル-2
-ペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(D
OWANOL(商標)PMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)であることが
できるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、溶媒は、リン化合物及びオレフ
ィン化合物の総重量に基づいて、30重量%~60重量%の量で使用することができる。
【0026】
様々な実施形態について、リン化合物のオレフィン化合物に対するモル比は、2:1~
1:10、より好ましくは1:1の範囲であることができる。
【0027】
様々な実施形態について、全反応物に対するラジカル開始剤の重量比は、0.01重量
%~5重量%、より好ましくは0.5重量%~2重量%の範囲であることができる。
【0028】
1つの態様では、本明細書に開示されるのは、
a)少なくとも1つのエポキシ樹脂、及び
b)式I、II、III又はIVのリン-オレフィン付加物の少なくとも1つ
を含む硬化性組成物である。
【0029】
本明細書に開示される硬化性及び硬化組成物を調製するために、様々なエポキシ樹脂が
使用されてもよい。使用され得るエポキシ樹脂の種類には、芳香族エポキシ樹脂、脂環式
エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0030】
1つの実施形態では、少なくとも1つのエポキシ樹脂は、ジビニルアレーンジオキシド
、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ブロモビスフェノールAのジグリシジルエ
ーテル、ビスフェノールAのオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、テトラブ
ロモビスフェノールAのオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、ビスフェノー
ルF又はその誘導体のジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、エポキシクレゾ
ールノボラック樹脂、又はこれらの混合物である。一実施形態では、ジビニルアレーンジ
オキシド、ジビニルアレーンジオキシドは、置換ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニル
ナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジ
オキシド、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
又は少なくとも1つのエポキシ樹脂は、ポリフェノールのグリシジルエーテル化合物で
あり、ポリフェノールは、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェ
ノールF、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボ
ラック、トリスフェノール(トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、1,1,2
,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールA、2,
2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパ
ン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され
る。
【0032】
脂環式エポキシ樹脂の例には、少なくとも1つの脂環式環を有するポリオールのポリグ
リシジルエーテル、シクロヘキセン環又はシクロペンテン環を含む化合物を酸化剤でエポ
キシ化することによって得られたシクロヘキセンオキシド又はシクロペンテンオキシドを
含む化合物が含まれる。特定の例には、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレ
ート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘ
キサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メ
チル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチ
ルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレー
ト、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチ
ルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)ア
ジペート、メチレン-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、2,2-ビス(3,4
-エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレン-
ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジオクチルエポキシヘキサ
ヒドロフタレート、ジ-2-エチルヘキシルエポキシヘキサヒドロフタレート、及びそれ
らの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
脂肪族エポキシ樹脂の例には、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル又はそのア
ルキレンオキシド付加物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルア
クリレート又はグリシジルメタクリレートをビニル重合することにより合成されるホモポ
リマー、並びにグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート及び他のビニルモ
ノマーをビニル重合することにより合成されるコポリマーが含まれる。いくつかの特定の
例には、ポリオールのグリシジルエーテル、例えば1,4-ブタンジオールジグリシジル
エーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジ
ルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラ
グリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレ
ングリコールのジグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエー
テル、脂肪族ポリオール、例えばプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、及び
グリセリンに1種類又は2種類以上のアルキレンオキシドを付加することにより得られた
ポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジル
エステル、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書に開示される硬化性組成物は、本開示のリン含有エポキシ樹脂と反応性又は非
反応性のいずれかであることができる1つ又はそれ以上の追加の成分をさらに含み得る。
様々な実施形態について、リン含有エポキシ樹脂及び組成物成分で形成される硬化性組成
物は、本開示のリン含有エポキシ樹脂を少なくとも1つの組成物成分と組み合わせ、混合
し、次いで反応させることによって得ることができる。そのような組成物成分の例には、
エポキシ樹脂、ポリエポキシド樹脂、シアネートエステル、ジシアネートエステル、ポリ
シアネートエステル、シアネート芳香族エステル、マレイミド樹脂、熱可塑性ポリマー、
ポリウレタン、ポリイソシアネート、ベンゾオキサジン環含有化合物、二重結合又は三重
結合を含む不飽和樹脂システム、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定さ
れない。添加剤のさらなる例には、ベンゾオキサジン、スチレン無水マレイン酸コポリマ
ー、フェノールノボラック、シアネートエステル又はそれらの混合物が含まれる。
【0035】
追加の実施形態では、本開示の硬化性組成物は、本開示のリン含有エポキシ樹脂及び少
なくとも1つの反応性及び/又は非反応性熱可塑性樹脂で形成することができる。このよ
うな熱可塑性樹脂の例には、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニルスルホン、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフルオリド、ポリエーテルイミド、ポリフ
タルイミド、ポリベンズイミダゾール、アクリル、フェノキシ、及びそれらの組み合わせ
又はブレンドが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約70重量%のエ
ポキシ樹脂を含む。
【0037】
本明細書に開示される硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に基づいて、約1重量%
~約70重量%のリン含有化合物を含む。代替的に、本開示のリン含有エポキシ樹脂は、
1重量%~20重量%の範囲内、又は1重量%~10重量%の範囲内、又はより好ましく
は2重量%~9重量%の範囲内、最も好ましくは3重量%~8重量%の範囲内のリン含有
量を有することができる。本開示の実施形態はまた、半導体パッケージング用途、電気及
び電子用途、並びに複合用途を含む、耐炎性材料を必要とする他の用途においても有用で
あることができる。さらに、リン含有エポキシ樹脂は、臭素原子及びハロゲン原子の両方
を実質的に含まない。
【0038】
硬化性組成物は、充填剤をさらに含み得る。充填剤の例には、天然シリカ、溶融シリカ
、球状シリカ、アルミナ、水和アルミナ、タルク、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウ
ム及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0039】
電気的ラミネートはまた、本明細書に開示される硬化性組成物から調製されてもよい。
また、プリント回路基板は、本明細書に開示される硬化性組成物及び電気的ラミネートか
ら調製されてもよい。所望により、電気的ラミネートはプリプレグと導電性材料との交互
の層を含む。
【0040】
本明細書に開示される硬化性組成物は、少なくとも1つの硬化剤(「固化剤(hardener)
」とも呼ばれる)及び/又は硬化促進剤をさらに含み得る。硬化剤の例には、無水物、カ
ルボン酸、アミン化合物、フェノール化合物、ポリオール、及びそれらの混合物が含まれ
る。1つの実施形態では、組成物は、約0.01重量%~約90重量%の硬化剤を含む。
硬化剤の例には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニル
スルホン、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリフェノール、ポリマーチオール、ポリカ
ルボン酸、無水物、例えば無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、メチ
ルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、
メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)、ナジックメチル酸無水物(NMA)、
ポリアゼライン酸ポリ無水物、コハク酸無水物、及び無水マレイン酸スチレン-無水マレ
イン酸コポリマーが含まれるが、これらに限定されない。フェノール系硬化剤、例えばフ
ェノールノボラック、クレゾールノボラック及びビスフェノールAノボラックも使用され
得る。硬化剤は、好ましくは、硬化性組成物の総重量に基づいて、2重量%~80重量%
の範囲内の量で使用される。
【0041】
硬化促進剤(又は触媒)には、置換又はエポキシ変性イミダゾール、例えば2-メチル
イミダゾール、2-フェニルイミダゾール及び2-エチル-4-メチルイミダゾールが含
まれる。他の複素環式アミン、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデサ-
7-エン(DBUとしても公知)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-
エン(DBNとしても公知)も使用され得る。トリエチルアミン、トリプロピルアミン、
トリブチルアミン、及びトリフェニルホスフィンを含むがこれらに限定されない第三級ア
ミン及びホスフィンもまた使用され得る。さらに、ホスホニウム塩、例えばエチルトリフ
ェニルホスホニウムアセテート、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート、及びアン
モニウム塩、例えば酢酸ベンジルトリメチルアンモニウム及びベンジルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシドも、硬化促進剤として使用することができる。ハロゲン塩(ヨウ化物
、臭化物、塩化物及びフッ化物)も使用できるが、一般的にハロゲンフリー用途ではあま
り望ましくない。触媒は、硬化性組成物の総重量に基づいて、好ましくは約0.01重量
%~約2.00重量%の範囲内の量で使用される。
【0042】
硬化剤とリン含有エポキシとの最適比は、通常当量比で表される。硬化剤には、エポキ
シと反応性水素(-SH、-OH、-NH、又は-COOH)又は無水物の1.00:1
.00等量比であることができる。本開示の硬化性組成物は、好ましくは、1.20:1
.00~1.00:1.20の当量比、より好ましくは1.10:1.00~1.00:
1.10の範囲内、最も好ましくは1.10:1.00~1.00:1.05の範囲内で
調製される。
【0043】
別の態様において、本明細書に開示されるのは、本明細書に開示される硬化性組成物と
少なくとも1つの硬化剤とを混合することを含む、硬化性エポキシ樹脂組成物の調製プロ
セスである。本明細書に開示される硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることによって
調製される硬化された熱硬化性生成物も開示される。
【0044】
一般に、式I、II、III、及び/又はIVのリン含有エポキシ樹脂で形成された硬
化性組成物の硬化は、本開示に従って、硬化性組成物中のリン含有エポキシ樹脂を最初に
溶融して、均質な溶融物を得るか、又は適切な溶媒に溶解させることによって行うことが
できる。適切な溶媒の例には、ケトン、例えばアセトン及び/又はメチルエチルケトン、
エステル及び/又は芳香族炭化水素が含まれるが、これらに限定されない。実施形態では
、溶媒は、硬化性組成物の総重量に基づいて約50重量%までの量で使用することができ
る。溶媒は、硬化の最中又は最後に、蒸留又は単純な蒸発によって除去することができる
【0045】
本開示のリン含有エポキシ樹脂は、熱可塑性樹脂と混合して、ハイブリッド架橋ネット
ワークを形成することができる。本開示の硬化性組成物の調製は、個々の成分を乾式ブレ
ンドし、続いて最終物品を調製するために使用される押出機で直接溶融混合、又は別の押
出機で予備混合することを含む、当分野で公知の適切な混合手段によって達成することが
できる。
【0046】
熱を加えることによって軟化又は溶融すると、本開示のリン含有エポキシ樹脂及び熱可
塑性樹脂で形成される硬化性組成物は、従来技術、例えば圧縮成形、射出成形、ガスアシ
スト射出成形、カレンダ加工、真空成形、熱成形、押出成形及び/又はブロー成形を単独
又は組み合わせて使用して形成又は成形できる。本開示のリン含有エポキシ樹脂及び熱可
塑性樹脂を用いて形成される硬化性組成物はまた、フィルム、繊維、多層ラミネート又は
押出シートに形成、紡糸、又は延伸され得、又は1つ又はそれ以上の有機又は無機物質と
コンパウンドできる。
【0047】
ルイス酸はまた、エポキシ樹脂を含む組成物に使用されてもよい。ルイス酸は、例えば
亜鉛、スズ、チタン、コバルト、マンガン、鉄、ケイ素、アルミニウム、及びホウ素の2
つ以上のハロゲン化物、酸化物、水酸化物及びアルコキシドの1つ又は2つ以上の混合物
を含み得る。そのようなルイス酸、及びルイス酸の無水物の例には、ホウ酸、メタホウ酸
、任意に置換されたボロキシン(例えばトリメトキシボロキシン、トリメチルボロキシン
又はトリエチルボロキシン)、任意に置換されたホウ素の酸化物、ホウ酸アルキル、ハロ
ゲン化ホウ素、ハロゲン化亜鉛(例えば塩化亜鉛)及び比較的弱い共役塩基を有する傾向
がある他のルイス酸が含まれる。
【0048】
リン含有エポキシ樹脂及び/又はリン含有エポキシ樹脂で形成された硬化性組成物は、
様々な製造物品の調製に有用であり得る。したがって、本開示はまた、上記の組成物のプ
リプレグ、並びに硬化又は部分硬化したリン含有エポキシ樹脂又は本開示のリン含有エポ
キシ樹脂を含む組成物からの、以降に記載されるような成形品、強化組成物、ラミネート
、電気的ラミネート、コーティング、成形物品、接着剤、複合製品を含む。さらに、本開
示の組成物は、乾燥粉末、ペレット、均質な塊、含浸生成物及び/又は化合物の形態で様
々な目的に使用することができる。
【0049】
本開示の硬化性組成物には、様々な追加の添加剤を添加してもよい。これらの追加の添
加剤の例には、強化材料、充填剤、顔料、染料、増粘剤、湿潤剤、潤滑剤、難燃剤などが
含まれる。適切な強化材料には、とりわけ、シリカ、アルミナ三水和物、酸化アルミニウ
ム、水酸化酸化アルミニウム、金属酸化物、ナノチューブ、ガラス繊維、石英繊維、炭素
繊維、ホウ素繊維、ケブラー繊維及びテフロン(登録商標)繊維が含まれる。繊維状及び
/又は粒子状強化材料のサイズ範囲は、0.5ナノメートル(nm)~100ミクロン(
μm)を含むことができる。様々な実施形態の場合、繊維状強化材料は、マット、布、又
は連続繊維の形をとることができる。
【0050】
硬化性組成物の実施形態はまた、硬化された組成物のフレームアウト能力の改善を助け
るために、少なくとも1つの相乗剤を含み得る。そのような相乗剤の例には、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、金属ホスフィネート、例えばExolit
(登録商標)OP-930(Clariantから入手可能)、及びそれらの組み合わせ
が含まれるが、これらに限定されない。さらに、硬化性組成物の実施形態は、接着促進剤
、例えば変性オルガノシラン(エポキシ化、メタクリル、アミノ)、アセチルアセトネー
ト、硫黄含有分子及びそれらの組み合わせも含み得る。他の添加剤には、湿潤剤及び分散
助剤、例えば変性オルガノシラン、Byk(登録商標)900シリーズ及びW9010(
Byk-Chemie GmbH)、変性フルオロカーボン及びそれらの組み合わせ、脱
泡剤、例えばByk(登録商標)A530、Byk(登録商標)A525、Byk(登録
商標)A555、及びByk(登録商標)A560(Byk-Chemie GmbH)
、表面改質剤、例えばスリップ及び光沢添加剤、離型剤、例えばワックス、及びポリマー
特性を改善するための他の機能性添加剤又は予備反応生成物、例えばイソシアネート、イ
ソシアヌレート、シアネートエステル、アリル含有分子又は他のエチレン性不飽和化合物
、アクリレート及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
様々な実施形態について、樹脂シートは、本開示のリン含有エポキシ樹脂及び/又は硬
化性組成物から形成することができる。1つの実施形態では、複数のシートを互いに結合
して、積層ボードを形成することができ、シートは、少なくとも1つの樹脂シートを含む
。リン含有エポキシ樹脂及び/又はリン含有エポキシ樹脂で形成された硬化性組成物はま
た、樹脂クラッド金属箔を形成するために使用できる。例えば、金属箔、例えば銅箔を、
本開示のリン含有エポキシ樹脂で形成されたリン含有エポキシ樹脂及び/又は硬化性組成
物でコーティングすることができる。
【0052】
様々な実施形態について、本開示のリン含有エポキシ樹脂及び/又は硬化性組成物は、
コーティング又は接着剤層として基材に適用することができる。代替的に、本開示のリン
含有エポキシ樹脂及び/又は組成物は、粉末、ペレットの形態で成形又は積層することが
でき、或いは基材、例えば繊維強化材に含浸させることができる。次に、本開示のリン含
有エポキシ樹脂及び/又は硬化性組成物は、熱を加えることによって硬化させることがで
きる。
【0053】
適切な硬化条件を提供するために必要な熱は、硬化性組成物を構成する組成物成分の割
合及び使用される組成物成分の性質に依存する可能性がある。一般に、本開示の硬化性組
成物は、硬化剤の存在又はその量又は硬化性組成物中の組成物成分のタイプによって異な
るが、約25℃~約250℃、好ましくは100℃~220℃の範囲内の温度でそれを加
熱することにより硬化され得る。加熱に必要な時間は60秒から24時間であることがで
き、正確な時間は、特に電気及び電子用途、例えば、非導電性材料に適用され、続いて硬
化性組成物を硬化させる場合、硬化性組成物が薄いコーティングとして使用されるか、又
は比較的厚い成形物品として又はラミネートとして又は繊維強化複合材料のマトリックス
樹脂として使用されるかによって異なる。
【実施例0054】
材料
Sanko Co.,Ltd.から入手可能なDOPO(9,10-ジヒドロ-9-オ
キサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド)
Sanko Co.,Ltd.から入手可能なBz-HCA(8-ベンジル-9,10
-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド)
Sinopharm Chemical Co.から入手可能なメチルナディック酸無
水物(MNA)
Sinopharm Chemical Co.から入手可能なメチルテトラヒドロ無
水フタル酸(MTHPA)
Sinopharm Chemical Co.から入手可能なジ-tert-ブチル
ペルオキシド
Sinopharm Chemical Co.から入手可能な2-エチル-4-メチ
ルイミダゾール(触媒)
Blue Cube Operation LLC.から入手可能なD.E.N.(商
標)438(ノボラックエポキシ樹脂)
DIC.から入手可能なEPICLON HP-7200H(ノボラックエポキシ樹脂

Sinopharm Chemical Co.から入手可能なベンゾオキサジン
Cray Valley.から入手可能なSMA2000(スチレン無水マレイン酸コ
ポリマー)
Blue Cube Operation LLC.から入手可能なXZ-92741
Kolon Industries,Inc.から入手可能なKPH-F2003(フ
ェノールノボラック)
【0055】
試験方法
【0056】
ラミネートの調製
ワニスを2116ガラスクロスに含浸させた。樹脂を含むガラスクロスをトリータで焼
成し、プリプレグを部分硬化させた。6枚のプリプレグを共に重ね、表面を35μmの標
準銅箔のシートで覆った。次いで、スタックをホットプレスにて200℃で90分間ラミ
ネートした。
【0057】
ガラス転移温度(T
は、IPC-TM650-2.4.25に従ってTA Q2000(TA Ins
truments製)の示差走査熱量測定(DSC)で測定した。通常、サーマルスキャ
ンは40℃~210℃の範囲であり、加熱速度20℃/分を使用した。2回の加熱サイク
ルが実行され、2番目のサイクルの曲線が「ハーフハイト」法によるTの決定に使用さ
れた。
【0058】
熱分解温度(T
は、窒素中の重量損失が5%の温度として定義される。IPC-TM650-2.
4.24.6に従ってTA Q50(TA Instruments製)で測定された。
昇温速度は10℃/分であった。
【0059】
288℃での層間剥離までの時間(T288)
T288はIPC-TM-2.4.24.1に従ってTA Q400(TA Inst
ruments製)で測定された。層間剥離までの時間は、温度が288℃に達してから
急激な寸法変化が発生するまでの経過時間として決定された。
【0060】
誘電率(D )/散逸率(D
ラミネート試料の誘電率及び散逸率(dissipation factor)は、ASTM D-150に
準拠して、25℃、1GHzでAgilent16453A試験装置を装備したAgil
ent E4991A RFインピーダンス/材料アナライザによって決定された。
【0061】
銅剥離強度(CPS)
銅剥離強度は、試験全体を通して所望の90°剥離角度を維持できる可変角度剥離装置
を備えたIMASS SP-2000スリップ/ピールテスターを使用して測定した。銅
エッチングのために、2インチ×4インチの銅クラッドラミネートが切断された。0.2
5インチのグラファイトテープの2つのストリップを、サンプルに沿ってラミネートの両
面に縦方向に、少なくとも0.5インチの間隔で配置した。次に、ラミネート片をKey
Proベンチトップエッチャーに配置した。エッチャーからサンプルを取り出して適切に
乾燥させたら、グラファイトテープを除去して銅のストリップを露出させた。かみそりの
刃を使用して、各銅ストリップを引き上げた。次に、ラミネートをIMASSテスターに
ロードした。銅ストリップをクランプし、銅剥離試験を2.8インチ/分の引張速度で9
0°の角度で実施した。
【0062】
プレスクッキング試験(PCT)
銅アンクラッドラミネートを2インチ×3インチのサイズで4片に切断した。サンプル
を正確に計量し、オートクレーブ(Thermo Electron Corp.800
0-DSE)に入れた。サンプルは、121℃の水蒸気下で1時間処理した。表面水を拭
き取り、サンプルを再度正確に計量して平均吸水率を計算した。
【0063】
UL94難燃性試験
5つの試料(13cm×12mm)のそれぞれを、標準のUL94試験チャンバ(At
las UL94チャンバVW-1)で10秒間2回点火した。点火源を離してから自己
消火するまでの時間を燃焼時間として記録した。UL94V-0の評価付けには、各点火
で10秒未満の燃焼時間、及び10回の点火で50秒未満の合計燃焼時間が必要である。
以下の例は、本開示の範囲を例示するために与えられ、限定するものではない。
【0064】
実施例1
DOPO(172.50g)を140℃で溶融させた。MNA(143.55g)及び
ジ-tert-ブチルペルオキシド(3.74g)の混合物を、45分かけて徐々に、溶
融したDOPOに添加した。混合物を140~160℃で8時間加熱した。最終生成物は
、室温で淡褐色の固体であった。
【0065】
実施例2
DOPO(323.15g)を140℃で溶融した。MTHPA(250.68g)と
ジ-tert-ブチルペルオキシド(11.08g)との混合物を、70分かけて徐々に
、溶融したDOPOに添加した。混合物を140~160℃で7時間加熱した。最終生成
物は、室温で淡褐色の固体であった。
【0066】
実施例3
Bz-HCA(30.52g)及びMTHPA(16.70g)を160℃で混合した
。ジ-tert-ブチルペルオキシド(0.78g)を反応混合物に滴下した。混合物を
160℃で7時間加熱した。最終生成物は、室温で淡褐色の固体であった。
【0067】
実施例4~6
実施例4~6は、実施例1及び2の化合物をエポキシ樹脂と混合して硬化させた場合に
得られた結果を記載する。
配合物は高いTg(>180℃)を示し、これは新しいリン酸化無水物がエポキシを硬
化させるのに効果的な硬化剤であることを示した。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例7~9
下の表には、配合作業及びラミネートの評価を示した。本発明の実施例7~9はすべて
、V-0 UL94等級を達成し、リン酸化無水物は、比較例のXZ-92741と同様
に有効な難燃剤として作用することができることを示した。実施例7は1GHzで0.0
074Dを達成し、比較例よりも低く、これは、リン酸化無水物が、エポキシで硬化す
る場合に広く使用されているXZ-92741よりも有利にDが低いことを示している
。配合物に使用された無水物が多すぎるため、吸水率は高かった。ベンゾオキサジン又は
SMAで配合をさらに変更すると、結果として得られた実施例8及び9のラミネートは、
比較例と比較して、全体的にバランスの取れた性能、例えば高いT、優れた耐熱性、優
れた銅剥離強度、適度な吸水率、比較的低いDを示した。
【0070】
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのエポキシ樹脂、及び
b)式(IV)の少なくとも1つの化合物、を含む硬化性組成物。
【化3A】
式中、
は、独立して、水素、又はメチルであり、
各R及びRは、独立して、 -C アルキル、 -C アルコキシ、フェニルフェニルオキシベンジル -C アルケニル、及び -C アルキニルからなる群から選択され、
lは、0、1、2、又は3であり、
nは、0、1、2、3、又は4であり、そして
mは、0、1、2、3、又は4である。
【請求項2】
m及びnが0である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
m及びnが、独立して、1又は2である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
各R及びRが、独立して、 -C アルキルであり、
lが0又は1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
各R及びRが、独立して、フェニル、フェニルオキシ、及びベンジルからなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
nが1であり、mが1である、請求項~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
がベンジルである、請求項1~3、5、及び6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
lが1であり、R がメチルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
lが0である、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、ジビニルアレーンジオキシド、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、ビスフェノールF又はその誘導体のジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、エポキシクレゾールノボラック樹脂、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、1つ以上のポリフェノールのグリシジルエーテル化合物を含み、前記ポリフェノールが、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、トリスフェノール(トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、少なくとも1つの脂環式環を有するポリオールのポリグリシジルエーテル、又はシクロヘキセン環又はシクロペンテン環を含む化合物を酸化剤でエポキシ化することにより得られるシクロヘキセンオキシド又はシクロペンテンオキシドを含む化合物からなる群から選択される脂環式エポキシ樹脂であるか、又は
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレン-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレン-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジオクチルエポキシヘキサヒドロフタレート、ジ-2-エチルヘキシルエポキシヘキサヒドロフタレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル又はそのアルキレンオキシド付加物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、アクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルのビニル重合によって合成されたホモポリマー、及びアクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルと他のビニルモノマーのビニル重合により合成されたコポリマーからなる群から選択される脂肪族エポキシ樹脂である、請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、置換ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるジビニルアレーンジオキシドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
前記組成物が、ベンゾオキサジン、スチレン無水マレイン酸コポリマー、フェノールノボラック、シアン酸エステル又はそれらの混合物をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
前記エポキシ樹脂が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて1重量%~70重量%の範囲の量で存在する、請求項1~15のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
式(IV)のリン含有化合物が、前記組成物の総重量に基づいて10重量%~70重量%の範囲の量で存在する、請求項1~16のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の硬化性組成物から調製されたプリプレグ。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載の硬化性組成物から調製された電気的ラミネート。
【請求項20】
請求項19に記載の電気的ラミネートから調製されたプリント回路基板。
【請求項21】
請求項1~17のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させることにより調製される、硬化された熱硬化性生成物。
【請求項22】
以下の式のリン含有化合物を、
【化4B】
以下の式のオレフィン化合物と、
【化5A】
ラジカル開始剤の存在下、120℃~160℃の温度で反応させることを含む、式(IV)の化合物の調製方法であって、
前記ラジカル開始剤が、有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル又は両方を含む、調製方法
【化3A】
式中、
は、独立して、水素、又はメチルであり、
各R及びRは、独立して、 -C アルキル、 -C アルコキシ、フェニルフェニルオキシベンジル -C アルケニル、及び -C アルキニルからなる群から選択され、
lは、0、1、2、又は3であり、
nは、0、1、2、3、又は4であり、そして
mは、0、1、2、3、又は4である。
【請求項23】
前記ラジカル開始剤がジ-tert-ブチルペルオキシドを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記反応が溶媒の非存在下で起こる、請求項22又は23に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
適切な硬化条件を提供するために必要な熱は、硬化性組成物を構成する組成物成分の割合及び使用される組成物成分の性質に依存する可能性がある。一般に、本開示の硬化性組成物は、硬化剤の存在又はその量又は硬化性組成物中の組成物成分のタイプによって異なるが、約25℃~約250℃、好ましくは100℃~220℃の範囲内の温度でそれを加熱することにより硬化され得る。加熱に必要な時間は60秒から24時間であることができ、正確な時間は、特に電気及び電子用途、例えば、非導電性材料に適用され、続いて硬化性組成物を硬化させる場合、硬化性組成物が薄いコーティングとして使用されるか、又は比較的厚い成形物品として又はラミネートとして又は繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として使用されるかによって異なる。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
式I又はIIの化合物であって、
【化1】
式中
及びRは、独立して、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、-O-アルキル-シクロアルキル、-O-シクロアルキル、アリール、アリールオキシであり、又はRとRとは一緒になって多環式部分を形成し、各アリール又は多環式部分は、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換され、
は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、各アリールは、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換され、
lは、0、1、2、3、4、5、又は6であり、
ただし、以下の化合物は包含されない、化合物。
【化2】
項2.
各Rが、独立して、水素又はメチルである、項1に記載の化合物。
項3.
及びRの1つが、メチル、メトキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、-O-シクロペンチル、-O-シクロヘキシル、フェニル、フェニルオキシであり、又はR及びRが一緒になって多環式部分を形成し、前記フェニル、フェニルオキシ、又は多環式部分が、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換される、項1又は2に記載の化合物。
項4.
及びRが同じである、項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
項5.
及びRが異なる、項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
項6.
及びRが任意に置換された多環式部分を形成する、項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
項7.
以下の式の、項1から3又は6のいずれか一項に記載の化合物、
【化3】
式中、
各R及びRは、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、アルケニル、及びアルキニルから独立して選択され、
lは、0、1、2、又は3であり、
nは、0、1、2、3、又は4であり、そして
mは、0、1、2、3、又は4である。
項8.
m及びnが0である、項7に記載の化合物。
項9.
m及びnが、独立して、1又は2である、項7に記載の化合物。
項10.
各R及びRが、独立して、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルであり、
lが0又は1である、項7又は9に記載の化合物。
項11.
各R及びRが、独立して、メチル、エチル、フェニル、ベンジル、フェネチル、メトキシ、エトキシ、エテニル、エチニルである、項10に記載の化合物。
項12.
各R及びRが、独立して、フェニル、フェニルオキシ又はベンジルである、項10に記載の化合物。
項13.
及びRが同じである、項7又は9から12のいずれか一項に記載の化合物。
項14.
及びRが異なる、項7又は9から12のいずれか一項に記載の化合物。
項15.
nが1であり、mが1である、項7、9から12、又は14のいずれか一項に記載の化合物。
項16.
nが0である、項15に記載の化合物。
項17.
がベンジルである、項7、9から12、14、15、又は16に記載の化合物。
項18.
lが0である、項1又は3から17のいずれか一項に記載の化合物。
項19.
lが1である、項1又は3から17のいずれか一項に記載の化合物。
項20.
lが2である、項1又は3から17のいずれか一項に記載の化合物。
項21.
lが3である、項1又は3から17のいずれか一項に記載の化合物。
項22.
各Rが、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、又はフェニルであり、各フェニルが、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルから独立して選択される1つ又はそれ以上の基で任意に置換される、項19から21のいずれか一項に記載の化合物。
項23.
各Rが、独立して、メチル、エチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はフェニルである、項22に記載の化合物。
項24.
以下の式のリン含有化合物を、
【化4A】
以下の式のオレフィン化合物と、
【化5】
ラジカル開始剤の存在下、約120℃~約160℃の温度で反応させることを含む、項1から23のいずれか一項に記載の化合物の調製方法。
項25.
前記ラジカル開始剤が、有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル又は両方を含む、項24に記載の方法。
項26.
前記ラジカル開始剤がジ-tert-ブチルペルオキシドを含む、項25に記載の方法。
項27.
前記反応が溶媒の存在下で起こる、項24から26のいずれか一項に記載の方法。
項28.
前記反応が溶媒の非存在下で起こる、項24から26のいずれか一項に記載の方法。
項29.
a)少なくとも1つのエポキシ樹脂、及び
b)項1から23のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物
を含む硬化性組成物。
項30.
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、及びそれらの組み合わせを含む、項29に記載の硬化性組成物。
項31.
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、ジビニルアレーンジオキシド、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー又はポリマーのジグリシジルエーテル、ビスフェノールF又はその誘導体のジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、エポキシクレゾールノボラック樹脂、又はこれらの混合物である、項30に記載の硬化性組成物。
項32.
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、ポリフェノールのグリシジルエーテル化合物であり、前記ポリフェノールが、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、トリスフェノール(トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールA、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項30に記載の硬化性組成物。
項33.
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、少なくとも1つの脂環式環を有するポリオールのポリグリシジルエーテル、又はシクロヘキセン環又はシクロペンテン環を含む化合物を酸化剤でエポキシ化することにより得られるシクロヘキセンオキシド又はシクロペンテンオキシドを含む化合物からなる群から選択される脂環式エポキシ樹脂である、又は
前記少なくとも1つのエポキシ樹脂が、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレン-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレン-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジオクチルエポキシヘキサヒドロフタレート、ジ-2-エチルヘキシルエポキシヘキサヒドロフタレート、及びそれらの組み合わせを含む、項30に記載の硬化性組成物。
項34.
少なくとも1つのエポキシ樹脂が、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル又はそのアルキレンオキシド付加物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、アクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルのビニル重合によって合成されたホモポリマー、及びアクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルと他のビニルモノマーのビニル重合により合成されたコポリマーからなる群から選択される脂肪族エポキシ樹脂である、項30に記載の硬化性組成物。
項35.
前記ジビニルアレーンジオキシドが、置換ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、及びそれらの混合物からなる群から選択される、項31に記載の硬化性組成物。
項36.
前記組成物が、ベンゾオキサジン、スチレン無水マレイン酸コポリマー、フェノールノボラック、シアン酸エステル又はそれらの混合物をさらに含む、項29から35のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
項37.
前記エポキシ樹脂が、前記硬化性組成物の総重量に基づいて1重量%~70重量%の範囲の量で存在する、項29から36のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
項38.
項1から23のいずれか一項に記載のリン含有化合物が、前記組成物の総重量に基づいて10重量%~70重量%の範囲の量で存在する、項29から37のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
項39.
前記組成物が、天然シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、アルミナ、水和アルミナ、タルク、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される充填剤をさらに含む、項29から38のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
項40.
項29から39のいずれか一項に記載の硬化性組成物から調製されたプリプレグ。
項41.
強化成分をさらに含む、項40に記載のプリプレグ。
項42.
前記強化成分が、繊維、布地、又はそれらの組み合わせを含む、項41に記載のプリプレグ。
項43.
項29から39のいずれか一項に記載の硬化性組成物から調製された電気的ラミネート。
項44.
項43に記載の電気的ラミネートから調製されたプリント回路基板。
項45.
前記電気的ラミネートが、プリプレグと導電性材料との交互の層を含む、項43に記載の電気的ラミネート。
項46.
項29から39のいずれか一項に記載の組成物及び少なくとも1つの硬化剤を含む硬化性エポキシ樹脂組成物。
項47.
前記組成物が0.01重量%~90重量%の硬化剤を含む、項46に記載の硬化性組成物。
項48.
前記硬化剤が、無水物、カルボン酸、アミン化合物、フェノール化合物、ポリオール及びそれらの混合物からなる群から選択される、項46又は47のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
項49.
(i)項29から39のいずれか一項に記載の組成物、及び(ii)少なくとも1つの硬化剤を混合することを含む、硬化性エポキシ樹脂組成物の調製プロセス。
項50.
項29から39又は46から48のいずれか一項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより調製される硬化された熱硬化性生成物。
【外国語明細書】