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  • 特開-殺生物剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166034
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】殺生物剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/46 20060101AFI20221025BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20221025BHJP
   A01N 51/00 20060101ALI20221025BHJP
   A01N 43/36 20060101ALI20221025BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20221025BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20221025BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20221025BHJP
   A01C 1/08 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
A01N37/46
A01N25/00 102
A01N51/00
A01N43/36 A
A01N25/02
A01P3/00
A01P7/04
A01C1/08
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022120228
(22)【出願日】2022-07-28
(62)【分割の表示】P 2019561835の分割
【原出願日】2018-04-19
(31)【優先権主張番号】62/505,166
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519295993
【氏名又は名称】シンジェンタ パーティシペーションズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ヒース ドリーン エヴァンズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】種子処理剤組成物の乾燥時間を劇的に改良し、それによって、種子への付着性が改良される、種子処理剤組成物を提供する。
【解決手段】組成物であって、組成物の約20重量%~約30重量%の濃度にある、殺生物的活性成分;組成物の約1重量%~約10重量%の濃度にある、プロピレングリコール;及び組成物の約10重量%未満の濃度にある、タルク、を含み、プロピレングリコール対タルクの比率が、約1.5:1から約1:1.5までである、組成物であり、好ましくは、殺生物的活性成分が、チアメトキサム、メフェノキサム、及びフルジオキソニルを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
前記組成物の約20重量%~約30重量%の濃度にある、殺生物的活性成分;
前記組成物の約1重量%~約10重量%の濃度にある、プロピレングリコール;及び
前記組成物の約10重量%未満の濃度にある、タルク、
を含み、
プロピレングリコール対タルクの比率が、約1.5:1から約1:1.5までである、前記組成物。
【請求項2】
前記タルクが、前記組成物の約7重量%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記タルクが、前記組成物の約5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記殺生物的活性成分が、チアメトキサム、メフェノキサム、及びフルジオキソニルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
チアメトキサムが、前記組成物の約21重量%~約24重量%の濃度にあり;
フルジオキソニルが、前記組成物の約0.5重量%~約2重量%の濃度にあり;
メフェノキサムが、前記組成物の約0.5重量%~2.5重量%の濃度にある、
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記プロピレングリコールが、前記組成物の約5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
合計で前記組成物の約1.5重量%~約8重量%の濃度にあるアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤及び前記ノニオン性界面活性剤のそれぞれが、前記合計濃度のうち約0.5重量%~約3重量%の濃度にある、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記アニオン性界面活性剤が、トリデシルアルコールエトキシレートホスフェートエステルであり、前記アニオン性界面活性剤が、前記組成物の約2重量%の濃度にある、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記ノニオン性界面活性剤が、ポリエチレン-ポリプロピレングリコールモノブチルエーテルであり、前記ノニオン性界面活性剤が、前記組成物の約1重量%の濃度にある、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
皮膜形成性ポリマーを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
種子への適用後の種子処理剤組成物を乾燥させるための時間を低減させる方法であって、
請求項1に記載の組成物を用いて種子を処理することを含み、前記種子が、前記種子を処理してから5時間以内に指触乾燥状態になる、方法。
【請求項13】
前記種子が、前記種子を処理してから2時間以内に指触乾燥状態になる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、種子処理剤(seed treatment)、特には、乾燥時間及び植付性(plantability)における改良を有する種子処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
作物における有害生物(pest)を防除するための殺生物剤(pesticide)の使用は、広い範囲で実施されている。この実施は、高いレベルの商業的成功を収めてきたが、その理由は、そのような防除で、作物の収量を上げることが可能であることが示されているからである。殺生物剤は、播種前の植物繁殖体(plant propagation material)(たとえば種子)に直接適用することが可能であるし、及び/又は、葉への適用又は、畦への適用で使用される。
【0003】
種子処理剤とは、種子に適用される任意の物質である。種子処理剤の例としては、なかんずく、殺生物剤、非殺生物剤処方(non-pesticide formularies)、及びそれらの混合物が挙げられる。非殺生物剤処方には、一般的に、たとえば、界面活性剤、保湿剤、増量剤(filler)、及び処理した種子の特性に影響をおよぼすポリマーのような物質が含まれる。種子処理剤は、一般的に、各種の有害生物を防除するために、各種の作物で使用される。種子処理剤は、一般的に、土壌由来の病気及び昆虫から保護することによって、均一な株立ち(stand establishment)を確保するために使用される。浸透性(systemic)種子処理剤は、ある種の早期(early season)の空中浮遊(airborne)の病気及び昆虫に対する、従来からの、葉用殺真菌剤又は殺虫剤の広域散布(broadcast spray)に代わるものとなる可能性がある。
【0004】
殺生物性種子処理剤は、各種の配合物の形で用いられる:ドライフロアブル剤(dry flowables,DF)、液状フロアブル剤(liquid flowables,LF)、真液剤(true liquids,TL)、乳剤(emulsifiable concentrates,EC)、粉剤(dusts,D)、水和剤(wettable powders,WP)、サスポエマルション(suspoemulsions,SE)、水分散性顆粒剤(water-dispersible granules,WG)、その他。いくつかのものは、密閉施用システムを使用して専門の施用業者(commercial applicator)のみが使用するように規制されているが、その他のものは、粉剤、スラリー剤、水溶性包装製剤、又は液状の調合済み(ready-to-apply)配合物として、農場で使用するために容易に入手可能である。
【0005】
市販されている種子処理剤は、多くの場合、処理を適切に適用したり、あるいは大量の種子を処理したりするためには、特別な装置を必要としている。たとえば、種子の処理を試みたときに、種子を完全に被覆するのが困難となる可能性がある。たとえば、乾燥配合物は、作業者をその殺真菌性又は殺虫性の活性成分に、受容不可能な暴露にさらす可能性がある。たとえば、受容不可能な乾燥時間、種子処理機における原料の付着、低い種子の流動性、低い種子の被覆率、播種前の種子からの殺生物剤のダストオフ(dust-off)などのような問題が起こりうる。その結果、取扱いが困難となり、その種子処理剤の生物学的有効性も低下しうる。
【0006】
種子コーティング添加物は、種子流動性の低さ及び過剰なダストオフのような問題点を救済するために使用される種子処理剤である。しかしながら、ダストオフを抑制するための種子コーティング添加物を選択すると、種子の流動性が低下するという悪影響も同様にあるであろうということは、よく知られている。同様に、種子の流動性を向上させるために種子コーティングを選択すると、ダストオフが増大するという悪影響があるであろうということもよく知られている。
【発明の概要】
【0007】
本技術は、植物繁殖体に対する改良された付着性を有しながらも、ダストオフの少ない種子処理剤組成物を提供する。本技術の組成物は、1種又は複数種の殺生物剤と組み合わせて、植物繁殖体、たとえば種子を有害生物から保護するという、特定の用途を有している。
【0008】
したがって、本技術は、植物繁殖体に適用するのに適した、改良された種子処理剤を提供する。本技術の種子処理には、プロピレングリコール及びタルクが含まれる。そのような添加物は、種子処理剤組成物の乾燥時間を劇的に改良し、それによって、種子への付着性が改良される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例2の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
プロピレングリコールは、プロパン-1,2-ジオールとも呼ばれ、C382の化学式を有している。先にも述べたように、本発明の組成物においてプロピレングリコールを使用することは、種子を処理するためにそれを使用した後で、その組成物の乾燥時間の助けとなる。プロピレングリコールが、時には、種子処理剤配合物で使用されることもあるが、それは、凍結防止成分としてのその性質のためにそうするのであって、乾燥時間を低減させるための成分としてではない。いくつかの実施形態においては、組成物の中のプロピレングリコールの量が、その組成物の約2重量%~約8重量%であってよい。さらなる実施形態においては、組成物の中のプロピレングリコールの量が、その組成物の約4重量%~約6重量%であってよい。さらには、さらなる実施形態においては、組成物の中のプロピレングリコールの量が、その組成物の約5重量%であってよい。
【0011】
本発明のプロピレングリコールと組み合わせて、タルクを使用して、本発明の組成物の乾燥時間を助ける。しかしながら、処理した後に種子から組成物を強制的に払い落とす際に、本発明の組成物があまりにも多くのダストオフが生じないようにするには、ある程度の量のタルクが必要となる可能性がある。したがって、タルクは、組成物の中で、その組成物の約10重量%以下の量で使用される。さらなる実施形態においては、タルクは、その組成物の中で、その組成物の約9重量%以下の量、その組成物の約8重量%以下の量、その組成物の約7重量%以下の量、その組成物の約6重量%以下の量、その組成物の約5重量%以下の量で使用される。本発明に好適なタルクとしては、SILVERLINE 002(ケイ酸マグネシウム)(Fitz Chem of Itasca,IL)及びSILVERLINE 202(ケイ酸マグネシウム)(Imerys Corporation of Sylacauga,AL)が挙げられる。たとえば、いくつかの実施形態においては、そのタルクに、ケイ酸マグネシウムが含まれていてよい。
【0012】
本発明の組成物で使用されるプロピレングリコール及びタルクは、比率の形で表してもよい。たとえば、プロピレングリコール対タルクの比率は、すべて組成物の重量で、約2:1から約1:2まで、約1.5:1から約1:1.5まで、約1.2:1から約1:1.2まで、であってよい。さらに、さらなる実施形態においては、プロピレングリコール対タルクが、組成物の重量で、約1:1の比率であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態においては、本発明の組成物は、組成物の乾燥時間を、種子に適用した後5時間未満に短縮することができる。さらなる実施形態においては、本発明の組成物は、組成物の乾燥時間を、種子に適用した後2時間未満に短縮することができる。
【0014】
種子に適用される種子処理用配合物には、一般的には、殺生物剤、界面活性剤、皮膜形成性ポリマー、キャリヤー、凍結防止剤、及びその他の配合添加物が含まれ、そして、合わせて使用すると、貯蔵安定性であり、そして通常の種子処理装置たとえば以下のもので使用するのに好適な組成物を与える:スラリー種子処理機、ダイレクト(direct)処理機、パノゲン(panogen)処理機、又はミスト・オ・マチック(mist-o-matic)処理機、さらにはオン・ファーム・ホッパー・ボックス(on-farm hopper-box)、又はプランター・ボックス(planter-box)処理。それらの組成物を用いて処理した繁殖体は、すぐに乾燥し、良好な流動性及び適切な被覆力を有し、そして、ダストオフがほとんど、若しくはまったくない。それらの組成物は、殺生物的に有効な量の少なくとも1種の殺生物剤と組み合わせるのが有利である。
【0015】
殺生物剤
本明細書で使用するとき、「殺生物剤(pesticide)」という用語は、有害生物に対して活性があり、雑草、昆虫、齧歯類、真菌、細菌、又はその他の生物体も含めて、有害生物と見なされるいかなる種も、忌避、殺害、又は防除することを目的とした化合物を対象の範囲とすることを意図している。
【0016】
上に挙げた化合物のクラスの個々の化合物の例を、以下に示す。公知である場合には、個々の化合物を示すのに、慣用名を使用する(参照、the Pesticide Manual,12th edition,2001,British Crop Protection Council)。
【0017】
殺生物剤の例としては、たとえば、殺虫剤、ダニ駆除剤、殺菌剤、殺真菌剤、線虫駆除剤、及び軟体動物駆除剤から選択されるものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0018】
殺虫性、殺ダニ性、又は殺軟体動物性の活性成分に好適な添加物としては、たとえば次のクラスの活性成分が代表として挙げられるが、これらに限定される訳ではない:有機リン化合物、ニトロフェノール及び誘導体、ホルムアミジン、トリアジン誘導体、ニトロエナミン誘導体、ニトロ-及びシアノ-グアニジン誘導体、尿素、ベンゾイルウレア、カルバメート、ピレスロイド、塩素化炭化水素、及びバシラス・チューリングエンシス(Bacillus thuringiensis)製剤。たとえば、いくつかの実施形態においては、殺虫剤としては、以下のものが挙げられる:チアメトキサム、アバメクチン、シアノイミン、アセタミプリド、チオジカルブ、ニトロメチレン、ニテンピラム、クロチアニジン、ジノテフラン、フィプロニル、ルフェヌロン、ピリプロキシフェン(pyripfoxyfen)、チアクロプリド、フルキソフェニム(fluxofenime);イミダクロプリド、クロラントラニリプロール、ベターシフルトリン、ラムダシハロトリン、フェノキシカルプ、ジアフェンチウロン、ピメトロジン、ダイアジノン、ジスルホトン;プロフェノホス、フラチオカルブ、シロマジン、シペルメトリン、タウ-フルバリネート、スピネトラム、スピノサド、スルホキサフロル、テフルトリン、又はバシラス・チューリングエンシス(Bacillus thuringiensis)製剤。さらなる実施形態においては、本発明の殺生物剤には、チアメトキサム、メフェノキサム、及びフルジオキソニルが含まれる。
【0019】
殺真菌性活性成分の好適な添加物としては、たとえば以下の活性成分のクラスが代表として挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ストロビルリン類、トリアゾール類、オルト-シクロプロピル-カルボキサニリド誘導体類、フェニルピロール類、及び浸透性殺真菌剤類。殺真菌性の活性成分の好適な添加物の例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定される訳ではない:アゾキシストロビン;ビテルタノール;カルボキシン;Cu2O;シモキサニル;シプロコナゾール;シプロジニル;ジクロフルアミド;ジフェノコナゾール;ジニコナゾール;エポキシコナゾール;フェンピクロニル;フルジオキソニル;フルオキサストロビン、フルキコナゾール(fluquiconazole);フルシラゾール;フルトリアホール;フララキシル;グアザチン;ヘキサコナゾール;ヒメキサゾール;イマザリル;イミベンコナゾール;イプコナゾール;クレソキシムメチル;マンコゼブ;メタラキシル;メフェノキサム;メトコナゾール;ミクロブタニル、オキサジキシル、ペフラゾエート;ペンコナゾール;ペンシクロン;プロクロラズ;プロピコナゾール;ピロキロン;(±)-cis-1-(4-クロロフェニル)-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)シクロヘプタノール;セダキサン;スピロキサミン;テブコナゾール;チアベンダゾール;トリフルアミド(tolifluamide);トリアゾキシド;トリアジメホン;トリアジメノール;トリフロキシストロビン、トリフルミゾール;トリチコナゾール、及びウニコナゾール。
【0020】
いくつかの実施形態においては、本組成物の殺生物剤には、チアメトキサム、メフェノキサム、及びフルジオキソニルが含まれていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態においては、殺生物的活性化合物又は化合物の混合物を、組成物中に、全組成物の約0.05重量%~約50重量%、より特には2重量%~約30重量%の量で存在させる。さらなる実施形態においては、その殺生物的活性化合物が、組成物の約20重量%~30重量%を含む。
【0022】
殺生物的活性成分(化合物)に関する種子処理適用量は、100kgの種子あたり、殺生物的活性化合物が約0.5~1000gでよい。さらなる実施形態においては、種子処理剤に関する適用量としては、以下の範囲が挙げられる:100kgの種子あたり、0.5~500gの殺生物的活性化合物;100kgの種子あたり、0.5~250gの殺生物的活性化合物;100kgの種子あたり、0.5~100gの殺生物的活性化合物;100kgの種子あたり、0.5~75gの殺生物的活性化合物、そして100kgの種子あたり、0.5~55gの殺生物的活性化合物。
【0023】
界面活性剤
種子処理組成物には、少なくとも約2%から約15重量%までの界面活性剤を含んでいてもよい。組成物には、3重量%から7重量%までの界面活性剤を含んでいてよい。
【0024】
一般的に界面活性剤には、少なくとも1種のノニオン性界面活性剤が含まれていてよく、任意選択的に、1種又は複数種のアニオン性界面活性剤がさらに含まれていてよい。
【0025】
ノニオン性界面活性剤の例としては、以下のものが挙げられる:ポリアリールフェノールポリエトキシエーテル、ポリアルキルフェノールポリエトキシエーテル、飽和脂肪酸のポリグリコールエーテル誘導体、不飽和脂肪酸のポリグリコールエーテル誘導体、脂肪族アルコールのポリグリコールエーテル誘導体、脂環族アルコールのポリグリコールエーテル誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル、アルコキシル化植物油、アルコキシル化アセチル系ジオール、ポリアルコキシル化アルキルフェノール、脂肪酸アルコキシレート、ソルビタンアルコキシレート、ソルビトールエステル、C8~C22アルキル若しくはアルケニルポリグリコシド、ポリアルコキシスチリルアリールエーテル、アルキルアミンオキシド、ブロックコポリマーエーテル、ポリアルコキシル化脂肪酸グリセリド、ポリアルキレングリコールエーテル、直鎖状の脂肪族又は芳香族ポリエステル、オルガノシリコーン、ポリアリールフェノール、ソルビトールエステルアルコキシレート、並びにエチレングリコールのモノ-及びジ-エステル、並びにそれらの混合物。
【0026】
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる:Genapol X-060(Clariant)(エトキシル化脂肪族アルコール);Sorpohor BSU(Rhodia)(エトキシル化トリスチリルフェノール);Makon TD-6(Stepan)(エトキシル化脂肪族アルコール);BRIJ 30(Uniqema)(エトキシル化ラウリルアルコール);Witconol CO-360(Witco)(エトキシル化ヒマシ油);Toximul 8320(Stepan)(ポリエチレン-ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル);及びWitconol NP-60(Witco)(エトキシル化ノニルフェノール)。適切なノニオン性界面活性剤は、自体公知の方法により調整することもできるし、市場で入手することもできる。
【0027】
一般的に、アニオン性界面活性剤は、当技術分野で公知のいかなるものであってもよい。アニオン性界面活性剤は、一般的には、オリゴマー及びポリマー、さらには重縮合物であって、それらの水溶性を確保するために十分な数のアニオン基を有している。アニオン性界面活性剤としては、以下のものも挙げられる:アルコールスルフェート、アルコールエーテルスルフェート、アルキルアリールエーテルスルフェート、アルキルアリールスルホネートたとえばアルキルベンゼンスルホネート及びアルキルナフタレンスルホネート並びにそれらの塩、アルキルスルホネート、ポリアルコキシル化アルキルアルコール又はアルキルフェノールのモノ-若しくはジ-ホスフェートエステル、C12~C15アルカノール又はポリアルコキシル化C12~C15アルカノールのモノ-若しくはジ-スルホスクシネートエステル、アルコールエーテルカルボキシレート、フェノール性エーテルカルボキシレート、オキシブチレン若しくはテトラヒドロフランの残基からなるエトキシル化ポリオキシアルキレングリコールの多塩基酸エステル、スルホアルキルアミド及びそれらの塩たとえばN-メチル-N-オレオイルタウレートNa塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールカルボキシレート、ポリオキシアルキレンアルコールカルボキシレート、アルキルポリグリコシド/アルケニル無水コハク酸の縮合反応生成物、アルキルエステルスルフェート、ナフタレンスルホネート、ナフタレンホルムアルデヒド縮合物、アルキルスルホンアミド、スルホン化脂肪族ポリエステル、スチリルフェニルアルコキシレートのスルフェートエステル及びスチリルフェニルアルコキシレートのスルホネートエステル、並びにそれらに相当する、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、又はトリエタノールアンモニウム塩、リグニンスルホン酸の塩、たとえばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はアンモニウム塩、ポリアリールフェノールポリアルコキシエーテルスルフェート及びポリアリールフェノールポリアルコキシエーテルホスフェート、並びにスルフェート化アルキルフェノールエトキシレート及びホスフェート化アルキルフェノールエトキシレート。
【0028】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる:Geropon T77(Rhodia)(N-メチル-N-オレオイルタウレートNa塩);Soprophor 4D384(Rhodia)(トリスチリルフェノールスルフェート);Reax 825(Westvaco)(エトキシル化リグニンスルホネート);Stepfac 8171(Stepan)(エトキシル化ノニルフェノールホスフェートエステル);Stepfac 8181(Stepan)(トリデシルアルコールエトキシレートホスフェートエステル)、Ninate 401-A(Stepan)(カルシウムアルキルベンゼンスルホネート);Emphos CS-131(Witco)(エトキシル化ノニルフェノールホスフェートエステル);Ultrazine NA(ナトリウムリグノスルホネート);Ufoxane 3A,NA(ナトリウムリグノスルホネート);Morwet D-425(ナトリウムアルキルナフタレンスルホネート)、Reax 1425E(リグニンスルホネートエトキシレート)、及びAtphos 3226(Uniqema)(エトキシル化トリデシルアルコールホスフェート)。適切なアニオン性界面活性剤は、自体公知の方法により調整することもできるし、市場で入手することもできる。
【0029】
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤に加えて、ある種のカチオン性界面活性剤又は両性イオン界面活性剤もまた、本発明で使用するのに適しているが、そのようなものとしては、たとえば以下のものが挙げられる:C8~C18脂肪酸とC8~C18脂肪族アミンポリアルコキシレートとのアルカノールアミド、C10~C18アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ココナツアルキルジメチルアミノ酢酸、及びC8-18脂肪族アミンポリアルコキシレートのホスフェートエステル。
【0030】
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤、そして任意選択的にカチオン性界面活性剤又は両性イオン界面活性剤の混合物は、次のようにして採用することができる:(1)0.5重量%~4重量%の、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤から選択される湿潤剤。アニオン性界面活性剤の湿潤剤としては、以下のものが挙げられる:スルホアルキルアミド及びそれらの塩たとえばN-メチル-N-オレオイルタウレートNa塩、アルキルアリールスルホネートたとえば、アルキルベンゼンスルホネート及びアルキルナフタレンスルホネート並びにそれらの塩、及びリグニンスルホン酸の塩;(2)1重量%~4重量%の、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤から選択される分散剤。アニオン性界面活性剤分散剤としては、以下のものが挙げられる:スチリルフェニルアルコキシレートのスルフェートエステル、並びにスチリルフェニルアルコキシレートのスルホネートエステル及びそれらに相当する、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、又はトリエタノールアンモニウム塩;(3)1重量%~5重量%の、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種のノニオン性界面活性剤、及びそれらの混合物から選択される乳化剤。好適なアニオン性/ノニオン性界面活性剤乳化剤としては、以下のものが挙げられる:エトキシル化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンアルキルフェノール、(脂肪族)アルコールエトキシレート、及びエトキシル化トリスチリルフェノールの塩。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態においては、その組成物に、約1.5重量%~約8重量%の界面活性剤が含まれていてよい。そのような実施形態においては、本発明の組成物には、約1重量%~約3重量%のアニオン性界面活性剤及び約0.5重量%~約3重量%のノニオン性界面活性剤が含まれていてよい。さらに、そのような実施形態においては、そのアニオン性界面活性剤が、トリデシルアルコールエトキシレートホスフェートエステルであってよく、そしてそのノニオン性界面活性剤が、ポリエチレン-ポリプロピレングリコールモノブチルエーテルであってよい。もっとさらには、そのような実施形態においては、本発明の組成物が、約1重量%のノニオン性界面活性剤を含んでいてよく、その上さらに、約2重量%のアニオン性界面活性剤を含んでいてよい。
【0032】
いくつかの実施形態においては、その組成物が以下のものを含んでいてよい:その組成物の約0.2重量%のMorwet D-425(ナトリウムアルキルナフタレンスルホネート)、その組成物の約2.0重量%のUltrazine NA(ナトリウムリグノスルホネート)、その組成物の約2.0重量%のStepfac 8181(トリデシルアルコールエトキシレートホスフェートエステル)、その組成物の約1.0重量%のToximul 8320(ポリエチレン-ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル)、その組成物の約5.0重量%のプロピレングリコール、及びその組成物の約5.0重量%又はその組成物の約10.0重量%のSilverline 002(ケイ酸マグネシウム)。
【0033】
保湿剤
種子処理組成物には、保湿剤をさらに含んでいてもよい。保湿剤は、水を保持させるための吸湿性物質である。その組成物には、一般的に、その組成物の1重量%~30重量%で含まれる。非限定的に例を挙げれば、一般的に使用される配合用保湿剤としては、凍結防止剤、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンが挙げられる。保湿剤としてプロピレングリコールが使用される例においては、上述の量は、与えられる他の量に加えたものである。
【0034】
皮膜形成性ポリマー
種子処理組成物には、水溶性及び水分散性の皮膜形成性ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーも含まれていてよい。適切なポリマーは、一般的には少なくとも約1,000から約100,000まで、より特には少なくとも約5,000から約100,000までの平均分子量を有している。組成物には、一般的には、その組成物の約0.5重量%~約10重量%のポリマーが含まれる。特定の実施形態においては、その組成物には、約1.0重量%から約5重量%までの皮膜形成性ポリマーが含まれる。
【0035】
ポリマーは、一般的には、以下のものから選択される:アルキレンオキシドのランダム及びブロックコポリマーたとえば、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー(EO/POブロックコポリマー)(EO-PO-EOブロックコポリマー及びPO-EO-POブロックコポリマーの両方を含む)、エチレンオキシド-ブチレンオキシドのランダム及びブロックコポリマー、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのランダム及びブロックコポリマーのC2-6アルキルアダクト、エチレンオキシド-ブチレンオキシドのランダム及びブロックコポリマーのC2-6アルキルアダクト。期待されるポリマーとしてはさらに、以下のものが挙げられる:ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンのモノアルキルエーテルたとえば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、又はそれらの混じり;ビニルアセテート/ビニルピロリドンコポリマー;アルキル化ビニルピロリドンコポリマー;ポリビニルピロリドン;並びに、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールを含むポリアルキレングリコール。
【0036】
ポリマーの具体例としては、以下のものが挙げられる:Pluronic P103(BASF)(EO-PO-EOブロックコポリマー)、Pluronic P65(BASF)(EO-PO-EOブロックコポリマー)、Pluronic P108(BASF)(EO-PO-EOブロックコポリマー)、Vinamul 18160(National Starch)(ポリビニルアセテート)、Agrimer 30(ISP)(ポリビニルピロリドン)、Agrimer VA7w(ISP)(ビニルアセテート/ビニルピロリドンコポリマー)、Agrimer AL10(ISP)(アルキル化ビニルピロリドンコポリマー)、PEG400(Uniqema)(ポリエチレングリコール)、Pluronic R25R2(BASF)(PO-EO-POブロックコポリマー)、Pluronic R31R1(BASF)(PO-EO-POブロックコポリマー)、及びWitconol NS500LQ(Witco)(ブタノールPO-EOコポリマー)。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態においては、その組成物及び方法には、先に示した皮膜形成性ポリマーが含まれない。以下に示す実施例でも説明するように、そのような皮膜形成性ポリマーが存在しないことが、組成物の植付性に役立つ可能性がある。
【0038】
凍結防止剤
その組成物には、約2重量%から約30重量%までの凍結防止剤を含んでいてもよい。
【0039】
凍結防止剤の具体例としては、以下のものが挙げられる:エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、キシレノール、ビスフェノールたとえばビスフェノールA、など。さらには、エーテルアルコール類たとえば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量約4000までのポリオキシエチレングリコール又はポリオキシプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシエタノール、ブチレングリコールモノブチルエーテル、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、テトラペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール、ペンタグリセロール、ヘキサグリセロール、ヘプタグリセロール、オクタグリセロール、など。
【0040】
好適な凍結防止剤物質の具体的なサブセットとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリンが挙げられる。凍結防止剤としてプロピレングリコールが使用される例においては、上述の量は、与えられる他の量に加えたものである。
【0041】
さらなる成分
その組成物にはさらに、(e)少なくとも1種の増粘剤が含まれていてもよい。
【0042】
一つの実施形態においては、増粘剤は、水性組成物の中に、全組成物の約0.01重量%~約25重量%、より特には0.02重量%~10重量%の量で存在させる。
【0043】
増粘剤(水媒体の中で、疑似塑性的性質を示す水溶性ポリマー)の例としては、以下のものが挙げられる:アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、グアーゴム、イナゴマメゴム、キサンタンゴム、カラゲナン、アルギネート塩、カゼイン、デキストラン、ペクチン、寒天、2-ヒドロキシエチルデンプン、2-アミノエチルデンプン、2-ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、セルローススルフェート塩、ポリアクリルアミド、無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリレートのアルカリ金属塩、など。
【0044】
好適な増粘剤としてはさらに、以下のものも挙げられうる:アタパルジャイト-タイプのクレー、カラゲナン、クロスカルメロースナトリウム、フルセラン(furcelleran)、グリセロール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリスチレン、ビニルピロリドン/スチレンブロックコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピグアーゴム、及びナトリウムカルボキシメチルセルロース。
【0045】
本発明による組成物は、配合技術において慣用される補助剤と組み合わせて採用することもできるが、そのようなものとしては、殺生物剤(biocide)、制生剤(biostat)、乳化剤(レチシン(lethicin)、ソルビタンなど)、消泡剤、又は配合剤の分野で慣用される施用促進補助剤(application-promoting adjuvant)が挙げられる。さらには、接種剤(inoculant)及び光沢剤(brightener)も挙げられうる。
【0046】
さらには、着色剤、たとえば染料又は顔料(及び、たとえばCFR 180.1001に記載されているようなもの)を、種子コーティング中に含ませて、見た人が一目で、その種子が処理されたものであることに気づくことができるようにする。染料はさらに、使用者に、適用したコーティングの均一度を示すのにも有用である。
【0047】
本発明の組成物には、さらなる活性化合物を含む、及び/又は同時若しくは順次に適用してもよい。これらのさらなる化合物は、植物の生育に影響を与える、肥料又は微量栄養素供与物又はその他の調製物であってもよい。それらが、選択的除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、昆虫成長調整物質、植物生育調整物質、線虫駆除剤、軟体動物駆除剤、又は複数のそれら調製物の混合物であってもよい。
【0048】
プロセス
本発明の殺生物的組成物は、当技術分野で公知のプロセスによって調製することができる。
【0049】
一つの実施形態においては、本発明の組成物は、以下の工程を含むプロセスによって調製することができる:(a)少なくとも1種の殺生物的化合物、少なくとも1種の界面活性剤、及び水を用いてプレミックスを形成する工程、(b)増粘剤及び水のプレミックスを形成する工程、及び(c)撹拌しながら、プレミックス(a)及び(b)、タルク、プロピレングリコール、残りの成分、及び水を順次添加して、均質な組成物を形成させる工程。
【0050】
また別の実施形態においては、市販されている種子処理剤配合物を、タルク及びプロピレングリコールと組み合わせて、本発明の組成物を調製することができる。
【0051】
組成物
本発明による殺生物的組成物は、水溶液、分散液、懸濁液、エマルション、又はサスポエマルションの形態をとることができる。一つの実施形態においては、その組成物が、調製ずみの(ready for use)懸濁液又はサスポエマルションである。
【0052】
使用
本明細書において定義される、「植物繁殖体(plant propagation material)」及び「種子(seed)」という用語には、真正種子(true seed)と、それから植物が生育する他のタイプの植物繁殖体との両方が包含される。植物繁殖体そのものは、一般的には種子を指しているので、本明細書においても、そのように定義する。多くの種子処理剤は、胚芽のまわりに種皮を有する真正種子に適用される。種子処理剤は、たとえば根茎、球根、球茎、又は塊茎のような植物繁殖体にも適用される。
【0053】
種子処理剤において使用される殺真菌剤、殺虫剤、又はその他の成分の量は、一般的には、種子の生成を阻害したり、種子に植物毒性的害を及ぼしたりしない量で採用される。活性成分の合計量は、全組成物の、一般的には約0.05重量%~約50重量%、より特には15重量%~約28重量%の範囲に入る。
【0054】
目標とするのに適した種子は、特には、以下のものである:トウモロコシ(corn)、ジャガイモ、穀物類(コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、イネ)、トウモロコシ(maize)、テンサイ、ワタ、キビ品種たとえばモロコシ、ヒマワリ、マメ、エンドウ、油料植物たとえばカノーラ、セイヨウアブラナ、ダイズ、キャベツ、トマト、ナス(eggplant、aubergine)、コショウ、及びその他の野菜及び香辛植物、さらには、観賞用灌木及び花卉。好適な目標種子にはさらに、前述の品種の遺伝子組換え作物も含まれる。
【0055】
植物種子に対するタルク及びプロピレングリコールの適切な適用量は、0.05~10.0g/500g(種子);0.1~5.0g/500g(種子);0.1~2.5g/500g(種子);0.1~1.0g/500g(種子);さらには、0.25~1.0g/500g(種子)である。
【0056】
種子処理剤の適用の技術は、当業者には周知であり、本発明の文脈においては、それらを容易に使用することができる。本発明の組成物は、スラリー又は浸漬剤として種子に適用される。たとえば、薄膜コーティング又はカプセル化もまた挙げられる。そのコーティングプロセスは、当技術分野では周知であり、種子の場合には、薄膜コーティング又はカプセル化の技術が採用されるか、又は、他の増殖産物(multiplication products)の場合では、浸漬法の技術が採用される。種子に対して本発明の組成物を適用する方法は、変えることが可能であって、本技術では、使用するべきあらゆる技法を含むことを目的としている。
【0057】
先に示したように、本技術の組成物は、種子処理機タンクの中で配合又は混合するか、又は、他の種子処理剤と共にオーバーコーティングすることによって、種子の上に結合させるのがよい。本発明の化合物と共に混合する薬剤は、有害生物の防除のため、栄養のため、及び植物の病気の防除のためであってよい。
【0058】
本技術の特徴は、処理された種子に、慣用される種子処理剤よりも短い乾燥時間を与えながらも、それと同時に、過剰なダストを抑制するところにある。したがって、その配合物は、処理された種子を扱う人、たとえば、加工プラントの従業員、トラックの運転手、倉庫の作業員、及び農業従事者に対する、関連の健康危害を低減させるのに役立つ。
【0059】
本技術のさらに別な特徴は、非ダスティング性(non-dusting)の種子処理剤を用いた種子の均質なコーティングであって、これは、種子の発芽(germination)及び芽生え(sprouting)を妨害することはなく、種子由来の(seed-borne)病原体から種子を保護することになるであろう。
【実施例0060】
この技術を、当業者がよりよく実施できるように、以下の実施例を説明のために提供するが、本特許を限定するものではない。以下の実施例、さらには本明細書及び特許請求項においては、特に断らない限り、温度は摂氏であり、圧力は大気圧であり、そして部はすべて重量部である。
【0061】
実施例1:配合の概念の試験
先に提供した本発明の概念の有効性を実証するために、3種の異なった配合物について試験した。それぞれの配合物には、チアメトキサム(22.62重量%)、フルジオキソニル(1.12重量%)、及びメフェノキサム(1.70重量%)が含まれていた。配合物Bにはさらに、プロピレングリコール(5.0重量%)が、そして配合物Cには、プロピレングリコール(5.0重量%)及びタルク(Silverline 002、5.0重量%)が含まれていた。
【0062】
フィルム上でのコーティングの評価:それぞれの配合物を、種子に適用する前に、プラスチックのフィルムの上に置いて、乾燥させた。それぞれの配合物の乾燥時間を、次の表に示す。
【0063】
表1
【表1】
【0064】
次いで、3種の異なった配合物(A、B、及びC)のそれぞれを用いて、ダイズ種子を処理し、湿時流動性(g/秒)及び乾時流動性(g/秒)を測定した。
【0065】
湿時流動性の測定:種子を処理機から直ちに取り出し、秤量する。次いでその種子を、軸部に1.25インチの開口部を有するCox漏斗の中に入れる。漏斗のドアを開けると同時に、ストップォッチをスタートさせる。種子が塊を作りだしたら、漏斗を軽く叩く。漏斗から最後の種子が流れ出したら、ストップォッチを止める。種子を2回漏斗に戻して、都合3回上記の手順を繰り返す。次いで、流量の測定値を計算して、平均する。
【0066】
乾時流動性の測定:種子を処理機から取り出し、完全に乾燥させ(約24時間)、次いで秤量する。次いでその種子を、軸部に1.25インチの開口部を有するCox漏斗の中に入れる。漏斗のドアを開けると同時に、ストップォッチをスタートさせる。種子が塊を作りだしたら、漏斗を軽く叩く。漏斗から最後の種子が流れ出したら、ストップォッチを止める。種子を2回漏斗に戻して、都合3回上記の手順を繰り返す。次いで、流量の測定値を計算して、平均する。
【0067】
表2
【表2】
【0068】
表1及び2に見られるように、タルク及びプロピレングリコールの組合せを用いると、乾燥時間と種子の流動性の点でメリットが得られる。
【0069】
実施例2A:配合物の比較
5種の異なった組成物(A、B、C、D及びE、表3に示す)を調製し、ダイズ種子の上に処理し、各種の条件下で試験して、未処理のダイズ種子と比較して、種子の植付性を調べた。4種の異なった組成物を、Waseguro種のダイズ種子の上に処理した。種子を、しかるべき組成物で処理したら、直ちにそれらをプラスチックコンテナーの中に入れた。次いで、それらの種子を各種の温度及び各種の相対湿度(RH)で貯蔵し、期間を変えて乾燥させた。それらの乾燥時間と条件は、次の通りである:(1)25℃、RH60~70%で、30分間貯蔵した種子;(2)25℃、RH60~70%で、3時間貯蔵した種子;(3)25℃、RH60~70%で、24時間貯蔵した種子;(4)40℃、RH98%で、1時間貯蔵した種子;及び(5)40℃、RH98%で、4時間貯蔵した種子。割り当てた時間が完了したら、それらの種子を、ロールタイプの種まき機の中に入れ、それを2分間運転して、排出された種子を集めた。その排出された種子の重量を記録し、それぞれの試験を3回繰り返した。それぞれの試験を3回繰り返した(それぞれの試験の後で、穴に詰まっていた種子はすべて取り除いた)。それぞれのサンプルを評価した後で機械を掃除し、サンプルの間で未処理の種子を用いた試験をすることにより、清澄さを検証した。標準としては、Cruiser FS30を含めたが、その理由は、これが良好な植付特性を有していることがわかっていたからである。
【0070】
表3
【表3】
【0071】
配合物AとCとの間の唯一の違いは、使用した特定のアクチサイド(acticide)である。
【0072】
落下種子重量対未処理の種子の種子重量(%表示)についての結果を、表4及び図1に示す。
【0073】
表4
【表4】
【0074】
100%よりも低い落下種子重量は、未処理の種子に比較して、植付性が損なわれていることを示している。この結果は、本発明の配合物A~Eはすべて、CruiserMaxx又はCruiser FS30の市販品標準よりも、特に高湿度条件下では、良好な植付性を与えるということを示している。バインダーを使わない処理物(配合物A,B,C)は、30分間の乾燥の後では、バインダーを含む処理物(配合物D及びE)に比較して、より良好な植付性を示した。ある種の温度及び相対湿度では、皮膜形成性ポリマーの存在が、種子の流動性を阻害する可能性がある。多くの種子は、極めて高温多湿の条件下で植えられるので、そのような発見は、非常に重要である。
【0075】
表3の中の配合物A~Eをさらに、標準のCruiserMaxx種子処理剤と比較した。CruiserMaxxには、プロピレングリコール又はタルクは含まれていない。
【0076】
実施例2B:剥離試験
処理した種子からの種子処理剤の剥離を評価するための試験を実施した。処理した種子の100gを、密閉式のプラスチックビンの中に入れ、そのビンを、オーブン中60℃で2時間置いておいた。そのビン(種子の水分から、ビンの内側で結露が起きている)をボールミルにセットし、25℃で、28rpmで5分間回転させた。次いで、剥離について、外観を目視で評価した。CruiserMaxxと、ポリマー又はタルクのいずれかとで処理した種子では、より少ない剥離が観察された。その結果は、ポリマー及びタルクの両方が、コーティングした種子からのCruiserMaxxの剥離を防止したことを示している。
【0077】
実施例2C:ダストオフ及び乾燥時間
種子を処理した後、一定時間の間隔を空けて、乾燥時間を評価し、産業界で標準となっている方法を使用して、ダストオフを測定した。それらの結果を表5に示す。
【0078】
表5:処理した種子のダストオフおよび乾燥時間
【表5】
【0079】
ダストオフのレベルは、すべての配合物で似たようなものであり、そしていずれも、種子処理剤配合物として受容可能なレベルの範囲内であった。プロピレングリコールを添加すると、CruiserMaxx標準の中のグリセリンと比較して、乾燥時間を劇的に加速することが見出された。さらには、5%のタルクを添加すると、ダストオフの問題を起こすことなく、乾燥時間を劇的に加速した。10%のタルクを添加しても、乾燥時間がさらに改良されることはなかった。バインダーの有無は、乾燥時間にはほとんど影響しないが、ダスト性は多少は改良される。
【0080】
実施例2D:乾時流動性
処理したダイズ種子の流動性を測定するために、25℃、相対湿度75%で3時間貯蔵した後で、漏斗流通試験(funnel flow test)を実施した。漏斗は、スタンドにセットし、下にポリビーカーを置いた。漏斗とポリビーカーの間に、プラスチック板をセットした。400gのコーティングした種子を、漏斗の中に入れた。プラスチック板を素早く取り除き、種子全部が落下するまでの時間を、ストップォッチで測定した(n=6)。
【0081】
それに加えて、FT4装置を使用して、種子が動いているときの、種子の流動抵抗性を測定した。精密「ブレード(blade)」又はインペラーを、回転させ、サンプルの中で上下に移動させて、精密な流動パターンを確立させた。これにより、多くの粒子/種子に、相互作用又は互いに関連する流動を起こさせ、そのブレードが受ける抵抗性が、この相対的な粒子の移動、すなわちバルク流動性の困難さを表す。粒子の移動に対する抵抗性が大きいほど、そして、粉体を流動させにくいほど、ブレードを動かすのが困難になる。この抵抗性を、種子を動かすのに必要な力として測定し、下降エネルギー又は上昇エネルギー(Down Energy or Up Energy)として表す。力が小さいほど、処理した種子の流動性が良好である。流動抵抗性は、種子の取扱性及び植付性における問題を引き起こす可能性がある。良好な流動性は、単に処理の直後だけではなく、乾燥プロセスの後でも、種子の粘着性に関係している。
【0082】
6回の反復試験の手段を用いた、それらの結果を、表6に示す。
【0083】
表6:400gの処理したダイズ種子での、乾時流動時間
【表6】
【0084】
プロピレングリコール及びタルクを用いて処理した種子(配合物A~E)は、CruiserMaxx標準よりも早い乾時流動時間を示した。
図1
【外国語明細書】