(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166089
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】誘導透過フィルタ
(51)【国際特許分類】
C03C 17/36 20060101AFI20221025BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20221025BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C03C17/36
G02B5/28
G02B5/26
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022124696
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2018087590の分割
【原出願日】2018-04-27
(31)【優先権主張番号】15/601,773
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ジェイ オケンファス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】色フィルタ、バンドパスフィルタ、近赤外ブロッカー、長波パス(LWP)フィルタ、短波パス(SWP)フィルタ、明順応フィルタ、三刺激フィルタ等の光学フィルタを提供する。
【解決手段】光学フィルタ130は、第1の層群を含んでもよい。第1の層群は、誘電材料群の第1の誘電材料および誘電材料群の第2の誘電材料の交互の層を含んでもよい。光学フィルタ130は、第2の層群を含んでもよい。第2の層群は、誘電材料群の第3の誘電材料および誘電材料群の第4の誘電材料の交互の層を含んでもよい。光学フィルタ130は、第3の層群を含んでもよい。第3の層群は、誘電材料群の第5の誘電材料、誘電材料群の第6の誘電材料、および金属材料の交互の層を含んでもよい。第3の層群は、第1の層群と第2の層群との間に配置されてもよい。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルタであって、
誘電材料群の第1の誘電材料および前記誘電材料群の第2の誘電材料の交互の層を含む
第1の層群と、
前記誘電材料群の第3の誘電材料および前記誘電材料群の第4の誘電材料の交互の層を
含む第2の層群と、
前記誘電材料群の第5の誘電材料、前記誘電材料群の第6の誘電材料、および金属材料
の交互の層を含む第3の層群と、を備え、
前記第3の層群は、前記第1の層群と前記第2の層群との間に配置される、光学フィル
タ。
【請求項2】
前記誘電材料群は、2つの材料からなる、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記誘電材料群は、3つの材料からなる、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記誘電材料群は、酸化ニオブチタン(NbTiOx)、二酸化ケイ素(SiO2)、
酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化ニオブ(Nb2O
5)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウ
ム(Y2O3)、二酸化ハフニウム(HfO2)、それらの組み合わせのうちの少なくと
も1つを含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記誘電材料群は、窒化物材料、フッ化物材料、硫化物材料、セレン化物材料、それら
の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記金属材料は、銀材料である、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
ガラス基板をさらに備え、
前記第1の層群は、前記ガラス基板上に配置され、
前記第3の層群は、前記第1の層群上に配置され、
前記第2の層群は、前記第3の層群上に配置される、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項8】
検出器基板を含む検出器をさらに備え、
前記第1の層群は、前記検出器基板上に配置され、
前記第3の層群は、前記第1の層群上に配置され、
前記第2の層群は、前記第3の層群上に配置される、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記検出器は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)検出器、電荷結合素子検出器、前
面入射型検出器、裏面入射型検出器のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の光
学フィルタ。
【請求項10】
前記第1の層群および前記第2の層群は、金属層を含まない、請求項1に記載の光学フ
ィルタ。
【請求項11】
前記誘電材料群の少なくとも1つの誘電材料は、約2.0超の屈折率と対応付けられる
、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項12】
前記誘電材料群の少なくとも1つの誘電材料は、約3.0未満の屈折率と対応付けられ
る、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項13】
カットオフ波長の角シフトは、入射角0度~50度の範囲で約30nm未満である、請
求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項14】
約420nm~約620nmのスペクトル域の通過帯域での平均透過率は、入射角0度
~50度の範囲で約70%超である、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項15】
誘導透過フィルタであって、
第1の誘電体層の組を含む第1の全誘電体部と、
第2の誘電体層の組を含む第2の全誘電体部と、
第3の誘電体層の組および1つ以上の金属層を含む金属/誘電体部と、を備え、
前記金属/誘電体部は、前記第1の全誘電体部と前記第2の全誘電体部との間に配置さ
れる、誘導透過フィルタ。
【請求項16】
前記第1の誘電体層の組および前記第2の誘電体層の組は各々、第1の屈折率の第1の
誘電材料および第2の屈折率の第2の誘電材料の交互の層を含み、
前記第1の屈折率は、前記第2の屈折率よりも高い、請求項15に記載の誘導透過フィ
ルタ。
【請求項17】
前記第1の誘電体層の組、前記第2の誘電体層の組、および前記第3の誘電体層の組は
、少なくとも1つの材料を共通して含む、請求項15に記載の誘導透過フィルタ。
【請求項18】
前記金属/誘電体部は、層群に配置された層の組を含み、
前記層群は、複数の層を、第1の誘電材料の第1の層、第2の誘電材料の第2の層、金
属材料の第3の層、前記第2の誘電材料の第4の層、および前記第1の誘電材料の第5の
層の順で含む、請求項15に記載の誘導透過フィルタ。
【請求項19】
混合金属/誘電体光学フィルタであって、
基板と、
二酸化ケイ素層および酸化ニオブチタン層を交互に含む第1の全誘電体部と、
二酸化ケイ素層および酸化ニオブチタン層を交互に含む第2の全誘電体部と、
1つ以上の層群を含む金属/誘電体部と、を備え、
前記1つ以上の層群のある層群は、銀層、2つの酸化亜鉛層、および2つの酸化ニオブ
チタン層を含み、
前記銀層は、前記2つの酸化亜鉛層の間に配置され、
前記2つの酸化亜鉛層は、前記2つの酸化ニオブチタン層の間に配置され、
前記金属/誘電体部は、前記第1の全誘電体部と前記第2の全誘電体部との間に配置さ
れる、混合金属/誘電体光学フィルタ。
【請求項20】
色フィルタ、バンドパスフィルタ、近赤外ブロッカー、長波パス(LWP)フィルタ、
短波パス(SWP)フィルタ、明順応フィルタ、三刺激フィルタのうちの少なくとも1つ
を備える、請求項19に記載の混合金属/誘電体光学フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光学センサ装置を利用して、情報を得ることができる。例えば、光学センサ装置は、電
磁周波数の組に関する情報を得ることができる。光学センサ装置は、情報を得るセンサ素
子(例:光学センサ、分光センサ、および/または画像センサ)の組を含んでもよい。例
えば、センサ素子アレイを利用して、複数の周波数に関する情報を得ることができる。あ
る例において、例えば次のように、センサ素子アレイを利用して、光の色帯域の組に関す
る情報を得ることができる:センサ素子アレイの第1のセンサ素子が、光の赤色帯域に関
する情報を得て、センサ素子アレイの第2のセンサ素子が、光の緑色帯域に関する情報を
得て、センサ素子アレイの第3のセンサ素子が、光の青色帯域に関する情報を得る。
【0002】
センサ素子アレイのセンサ素子は、フィルタと対応付けられてもよい。フィルタは、セ
ンサ素子へ伝えられる第1の光スペクトル域と対応付けられた通過帯域を含んでもよい。
フィルタは、第2の光スペクトル域のセンサ素子への通過の遮断と対応付けられてもよい
。ある例において、センサ素子アレイは、赤色通過帯域、青色通過帯域、緑色通過帯域等
(例:赤/緑/青(RGB)フィルタ)等の、異なる色通過帯域を含むフィルタと対応付
けられてもよい。他の例において、センサ素子アレイは、近赤外(NIR)遮断フィルタ
、赤外(IR)遮断フィルタ、長波パス(LWP)フィルタ、短波パス(SWP)フィル
タ、明順応フィルタ、三刺激フィルタ等と対応付けられてもよい。
【発明の概要】
【0003】
可能な実施態様によると、光学フィルタは、第1の層群を含んでもよい。第1の層群は
、誘電材料群の第1の誘電材料および誘電材料群の第2の誘電材料の交互の層を含んでも
よい。光学フィルタは、第2の層群を含んでもよい。第2の層群は、誘電材料群の第3の
誘電材料および誘電材料群の第4の誘電材料の交互の層を含んでもよい。光学フィルタは
、第3の層群を含んでもよい。第3の層群は、誘電材料群の第5の誘電材料、誘電材料群
の第6の誘電材料、および金属材料の交互の層を含んでもよい。第3の層群は、第1の層
群と第2の層群との間に配置されてもよい。
【0004】
可能な実施態様によると、誘導透過フィルタは、第1の誘電体層の組を含む第1の全誘
電体部を含んでもよい。誘導透過フィルタは、第2の誘電体層の組を含む第2の全誘電体
部を含んでもよい。誘導透過フィルタは、第3の誘電体層の組および1つ以上の金属層を
含む金属/誘電体部を含んでもよい。金属/誘電体部は、第1の全誘電体部と前記第2の
全誘電体部との間に配置されてもよい。
【0005】
可能な実施態様によると、混合金属/誘電体光学フィルタは、基板を含んでもよい。混
合金属/誘電体光学フィルタは、二酸化ケイ素層および酸化ニオブチタン層を交互に含む
第1の全誘電体部を含んでもよい。混合金属/誘電体光学フィルタは、二酸化ケイ素層お
よび酸化ニオブチタン層を交互に含む第2の全誘電体部を含んでもよい。混合金属/誘電
体光学フィルタは、1つ以上の層群を含む金属/誘電体部を含んでもよい。1つ以上の層
群のある層群は、銀層、2つの酸化亜鉛層、および2つの酸化ニオブチタン層を含んでも
よい。銀層は、2つの酸化亜鉛層の間に配置されてもよい。2つの酸化亜鉛層は、2つの
酸化ニオブチタン層の間に配置されてもよい。金属/誘電体部は、第1の全誘電体部と第
2の全誘電体部との間に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本明細書に記載の実施形態の概要図である。
【
図1B】本明細書に記載の実施形態の概要図である。
【
図1C】本明細書に記載の実施形態の概要図である。
【
図2A】本明細書に記載の全誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図2B】本明細書に記載の全誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図2C】本明細書に記載の全誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図3A】本明細書に記載の低角シフト誘導透過光学フィルタ(ITF)の特性図である。
【
図3B】本明細書に記載の低角シフト誘導透過光学フィルタ(ITF)の特性図である。
【
図3C】本明細書に記載の低角シフト誘導透過光学フィルタ(ITF)の特性図である。
【
図4A】本明細書に記載の混合金属/誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図4B】本明細書に記載の混合金属/誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図4C】本明細書に記載の混合金属/誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図5A】本明細書に記載の混合金属/誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図5B】本明細書に記載の混合金属/誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図5C】本明細書に記載の混合金属/誘電体光学フィルタの特性図である。
【
図6A】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【
図6B】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【
図7A】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【
図7B】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【
図7C】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【
図7D】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【
図7E】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【
図7F】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【
図7G】本明細書に記載の光学フィルタの組の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態に対する詳細の説明を、添付の図面を参照して以下に説明する。種々の図面に
おける同じ参照符号は、同じまたは類似の要素を特定するものである。
【0008】
光学センサ装置は、光学トランスミッタ、電球、環境光源等の光源から発せられる光を
受けるセンサ素子のセンサ素子アレイを含んでもよい。光学センサ装置は、相補型金属酸
化物半導体(CMOS)技術や電荷結合素子(CCD)技術等の1つ以上のセンサ技術を
利用してもよい。光学センサ装置のセンサ素子(例:光学センサ)は、電磁周波数の組に
関する情報(例:スペクトルデータ)を取得してもよい。
【0009】
センサ素子は、センサ素子が電磁周波数の特定のスペクトル域に関する情報を取得でき
るようにセンサ素子への光をフィルタリングするフィルタと対応付けられてもよい。例え
ば、センサ素子は、センサ素子へと向かう光の一部をフィルタリングするために赤/緑/
青(RGB)フィルタ、近赤外(NIR)遮断フィルタ、赤外(IR)遮断フィルタ、長
波パス(LWP)フィルタ、短波パス(SWP)フィルタ、明順応フィルタ、三刺激フィ
ルタ等と配列されてもよい。フィルタは、光の一部をフィルタリングする誘電体層の組を
含んでもよい。例えば、フィルタは、酸化ニオブチタン(NbTiOx)および二酸化ケ
イ素(SiO2)の交互の層等の、交互の高指数層および低指数層の誘電体フィルタスタ
ックを含んでもよい。ただし、全誘電体タイプのフィルタは、より高い入射角での閾値角
シフトと対応付けられ得る。例えば、全誘電体フィルタは、入射角20度で約10nm超
、入射角30度で約20nm超、入射角40度で約40nm超、入射角50度で約50n
m超の角シフトと対応付けられ得る。
【0010】
高指数誘電体、低指数誘電体、および金属の交互の層を有する低角シフト(LAS)フ
ィルタを選択して、全誘電体フィルタに対する角シフトを低減してもよい。例えば、低角
シフトフィルタは、全誘電体フィルタに対する角シフトを低減するために酸化ニオブチタ
ン、酸化亜鉛、および銀の層を用いてもよい。ただし、低角シフトフィルタは、閾値を満
たさない低角シフトフィルタの通過帯域における透過率と対応付けられ得る。例えば、低
角シフトフィルタは、入射角0度~50度の範囲で約70%未満の透過率と対応付けられ
得る。
【0011】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、交互誘電体層部分が誘電体層・金属層部分を
挟む、混合誘電体/金属フィルタを提供する。例えば、光学フィルタは、酸化ニオブチタ
ンの高指数層および二酸化ケイ素の低指数層が交互になる組を有する第1の部分と、酸化
ニオブチタンの高指数層および二酸化ケイ素の低指数層が交互になる他の組を有する第2
の部分と、第1の部分と第2の部分との間に配され、酸化ニオブチタンの高指数層、酸化
亜鉛の低指数層、および銀の金属層が交互になる第3の部分とを含んでもよい。こうして
、フィルタは、閾値角シフト未満および閾値透過レベル超で光をフィルタリングしてもよ
い。例えば、混合誘電体/金属フィルタは、入射角0度~50度で約30nm未満の角シ
フト、入射角0度~40度で約20nm未満の角シフト、入射角0度~20度で約10n
m未満の角シフトと対応付けられてもよい。同様に、混合誘電体/金属フィルタは、入射
角0度~50度で約70%超の透過率、入射角0度~50度で約75%超の透過率と対応
付けられてもよい。
【0012】
図1A~1Cは、本明細書に記載の実施形態100/100’/100’’の概要図で
ある。
図1Aに示すように、実施形態100は、センサシステム110を含む。センサシ
ステム110は、光学システムの一部であってもよく、センサ判定に対応する電気出力を
提供してもよい。センサシステム110は、光学フィルタ130を含む光学フィルタ構造
120と、光学センサ140とを含む。例えば、光学フィルタ構造120は、通過帯域フ
ィルタリング機能を行う光学フィルタ130を含んでもよい。他の例において、光学フィ
ルタ130は、光学センサ140のセンサ素子アレイと配列されてもよい。
【0013】
本明細書に記載の実施形態はセンサシステムにおける光学フィルタについて記載される
が、本明細書に記載の実施形態は、例えば、他の種類のシステムで使用されてもよく、セ
ンサシステムの外部で使用されてもよい。
【0014】
図1Aおよび参照符号150に示すように、入力光学信号は、光学フィルタ構造120
に向けられる。入力光学信号は、可視スペクトル(VIS)およびNIR光(例:センサ
システム110が利用される環境からの環境光)を含んでもよいが、これに限定されない
。他の例において、光学トランスミッタが、試験機能、測定機能、通信機能等の他の機能
用の他の光スペクトル域を指示してもよい。
【0015】
図1Aおよび参照符号160に示すように、第1のスペクトル域の光学信号の第1の部
分は、光学フィルタ130および光学フィルタ構造120によって通過しない。例えば、
光学フィルタ130の高指数材料層と低指数材料層とを含み得る誘電体フィルタスタック
および銀/誘電体フィルタスタックは、光の第1の部分を、第1の方向に反射させてもよ
く、吸収させてもよい。参照符号170に示すように、光学信号の第2の部分は、光学フ
ィルタ130および光学フィルタ構造120によって通過する。例えば、光学フィルタ1
30は、第2のスペクトル域の光の第2の部分を光学センサ140へと向かう第2の方向
に通過させてもよい。
【0016】
図1Aおよび参照符号180に示すように、光学センサ140へと伝えられる光学信号
の第2の部分に基づいて、光学センサ140は、イメージング、環境光センシング、対象
物の存在の検出、測定、通信促進等のために、センサシステム110用の出力電気信号を
提供してもよい。いくつかの実施形態において、光学フィルタ130および光学センサ1
40の他の配置を用いてもよい。例えば、光学信号の第2の部分を入力光学信号と共線的
に通過させる代わりに、光学フィルタ130は、光学信号の第2の部分を、異なる位置の
光学センサ140へと他の方向に向けてもよい。
【0017】
図1Bに示すように、類似の実施形態100’は、光学フィルタ構造の基板120内に
組み込まれたセンサ素子アレイ140のセンサ素子の組を含む。この場合、光学フィルタ
130は、基板120上に配置される。入力光学信号150-1および150-2は、あ
る角度の組で受信され、入力光学信号150-1および150-2の第1の部分は、他の
角度の組で反射される。この場合、入力光学信号150-1および150-2の第2の部
分は、光学フィルタ130を通過してセンサ素子アレイ140へと伝えられ、センサ素子
アレイ140が出力電気信号180を提供する。
【0018】
図1Cに示すように、他の類似の実施形態100’’は、光学フィルタ構造120から
分離されたセンサ素子アレイ140のセンサ素子の組を含み、光学フィルタ130は、光
学フィルタ構造130上に配置される。この場合、光学フィルタ構造130およびセンサ
素子アレイ140は、自由空間等によって分けられてもよい。入力光学信号150-1お
よび150-2は、光学フィルタ130である角度の組で受信される。入力光学信号15
0-1および150-2の第1の部分160は反射され、第2の部分170は光学フィル
タ130および光学フィルタ構造120によってセンサ素子アレイ140へと伝えられ、
センサ素子アレイ140が出力電気信号180を提供する。
【0019】
上記の通り、
図1A~1Cは、単に例を示すものである。他の例も可能であり、
図1A
~1Cに関して記載されたものと異なっていてもよい。
【0020】
図2A~2Cは、光学フィルタに関する特性図である。
図2A~2Cは、全誘電体フィ
ルタの例を示す。
【0021】
図2Aおよびチャート200に示すように、フィルタ210は、基板と誘電体スタック
の組とを含んでもよい。基板は、窒化ケイ素(Si
3N
4、Si3N4として示す)、ガ
ラス基板、高分子基板、他の透明基板等を含んでもよい。いくつかの実施形態において、
基板は、エポキシ樹脂(例:透明接着剤)や空隙(例:光学経路外のエポキシ樹脂を伴う
)等で、誘電体スタックの組に取り付けられてもよい。加えてまたは代替的に、誘電体ス
タックの組を、誘電体スタックの組用の基板を形成する検出器、検出器アレイ、センサ素
子アレイ等の上に直接配置してもよい。例えば、センサ素子アレイは、誘電体スタックの
組が取り付けられ得る窒化ケイ素の最上層を含んでもよい。裏面入射型検出器等の他の例
において、シリコン基板等の他の種類の基板を用いてもよい。いくつかの実施形態におい
て、基板は、誘電体スタックの組のための入口媒体や出口媒体等であってもよい。誘電体
スタックの組は、酸化ニオブチタン(NbTiO
5、NbTiO5として示す)および二
酸化ケイ素(SiO
2、SiO2として示す)の交互の層を含んでもよい。例えば、フィ
ルタ210は、基板上に配置される厚さ99.8ナノメートル(nm)の第1の酸化ニオ
ブチタン層と、酸化ニオブチタン層上に配置される厚さ172.1nmの第1の二酸化ケ
イ素層とを含んでもよい。同様に、フィルタ210は、第1の二酸化ケイ素層上に配置さ
れる厚さ105.2nmの第2の酸化ニオブチタン層と、第2の酸化ニオブチタン層上に
配置される厚さ180.5nmの第2の二酸化ケイ素層とを含んでもよい。この場合、フ
ィルタ210は、約5.36マイクロメートル(μm)の全厚さと関連付けられ、その結
果、過度の成膜時間および成膜時間増加に係る過度のコストへとつながり得る。また、全
厚さは、圧縮応力の閾値量へとつながり、閾値厚さ未満の基板の反りや、複数離散フィル
タを形成するために複数フィルタが配置される基板を分割する際の過度の困難および歩留
損失が起こり得る。
【0022】
図2Bおよびチャート220に示すように、空気の出口媒体に露出したフィルタ210
のフィルタ応答が提供される。例えば、フィルタ210は、入射角(AOI)0度で約6
60nmのカットオフ波長(例:フィルタ210の透過率が閾値レートで低減する波長)
と対応付けられる。対して、入射角10度、20度、30度、40度、および50度では
、フィルタ210は、それぞれ、約5nm、約12nm、約25nm、約42nm、およ
び約52nmのカットオフ波長における閾値シフトと対応付けられる。また、入射角30
度、40度、および50度では、フィルタ210は、それぞれ、約880nmで約4%、
約850nmで約31%、および約805nmで約14%の透過率と対応付けられる。さ
らに、フィルタ210は、AOI50度で約480nm~約505nm間の閾値透過率未
満への透過率の低下(例:約58%~約68%の透過率への低下)と対応付けられ、フィ
ルタ210は、AOI50度で約1000nm超のスペクトル域での閾値透過率を超える
透過率の上昇(例:約1%超の透過率への上昇)と対応付けられる。約420nm~約6
20nm間の通過帯域を提供するフィルタ210の使用では、閾値角シフト、および、閾
値透過率低下および上昇は、相対的に低いフィルタ性能の原因となる。
【0023】
図2Cおよびチャート230に示すように、フィルタ210の色プロット(例:国際照
明委員会(International Commission on Illumin
ation(CIE)1931色プロット)が提供される。参照符号232に示すように
、フィルタ210は、AOI0度からAOI50度へのシフトでの約(0.33、0.3
3)~約(0.30、0.33)間の閾値色シフトを示すCIE色プロットと対応付けら
れる。閾値色シフトは、相対的に低いフィルタ性能の原因となる。
【0024】
上記の通り、
図2A~2Cは、単に例を示すものである。他の例も可能であり、
図2A
~2Cに関して記載されたものと異なっていてもよい。
【0025】
図3A~3Cは、光学フィルタに関する特性図である。
図3A~3Cは、誘電体/金属
フィルタスタックを有する低角シフト誘導透過光学フィルタ(ITF)の例を示す。
【0026】
図3Aおよびチャート300に示すように、フィルタ310は、基板と、誘電体層の組
と、金属層の組とを含む。基板は、窒化ケイ素基板を含んでもよい。誘電体層の組および
金属層の組は、酸化ニオブチタン、酸化亜鉛(ZnO)、および銀(Ag)の交互の層を
含む。例えば、厚さ28.0nmの酸化ニオブチタンの第1の層が、窒化ケイ素基板上に
配置され、厚さ2.0nmの酸化亜鉛の第2の層が、第1の層上に配置され、厚さ11.
3nmの銀の第3の層が、第2の層上に配置され、厚さ2.0nmの酸化亜鉛の第4の層
が、第3の層上に配置され、厚さ53.8nmの酸化ニオブチタンの第5の層が、第4の
層上に配置される。この場合、酸化ニオブチタンの第5の層は、酸化ニオブチタンの複数
層であってもよい。言い換えると、第5の層の第1の部分は、第1の層の共に、第2の層
から第4の層を挟み、第5の層の第2の部分は、第9の層の部分と共に、第6の層から第
8の層を挟んでもよい。フィルタ310を特定の層厚の組で記載したが、他の層厚も可能
であり、
図3Aで示すものと異なっていてもよい。
【0027】
図3Bおよびチャート320に示すように、空気の出口媒体に露出したフィルタ310
のフィルタ応答が提供される。参照符号322に示すように、フィルタ310は、フィル
タ210に対して低減した角シフトと対応付けられる。例えば、フィルタ310は、入射
角0度から30度、40度、または50度の変化での20nm超の角シフトと比較して、
入射角0度から10度、20度、30度、40度、または50度の変化での約20nm未
満のカットオフ波長の角シフトと対応付けられる。ただし、参照符号324に示すように
、フィルタ310は、フィルタ210に対して低減した透過率と対応付けられる。例えば
、フィルタ310は、約420nm~約620nmの通過帯域のスペクトル域における入
射角0度~50度での約62%~65%の平均透過率と対応付けられる。この場合、約7
50nm~約1100nmの赤外(IR)遮断スペクトル域での透過率は、AOI0度で
約0.41%であり、AOI40度で約0.37%である。
【0028】
図3Cおよびチャート330に示すように、フィルタ310のCIE1931色プロッ
トが提供される。参照符号332に示すように、フィルタ310は、入射角0度から入射
角50度へのシフトでのフィルタ210に対して低減した色シフトと対応付けられる。例
えば、フィルタ310は、閾値未満(例:0.2未満、0.1未満、0.05未満等)の
色シフトと対応付けられる。
【0029】
上記の通り、
図3A~3Cは、単に例を示すものである。他の例も可能であり、
図3A
~3Cに関して記載されたものと異なっていてもよい。
【0030】
図4A~4Cは、混合金属/誘電体光学フィルタに関する特性図である。
図4A~4C
は、高指数層および低指数層の誘電体フィルタスタックと誘電体フィルタスタック間に配
置された金属(例:銀)誘電体フィルタスタックとを有する光学フィルタの例を示す。
【0031】
図4Aおよびチャート400に示すように、フィルタ410は、基板と、誘電体層の組
と、金属層の組とを含む。参照符号412に示すように、フィルタ410の第1の部分(
例:第1の全誘電体部)は、交互の高指数層および低指数層の全誘電層を含む。この場合
、交互の高指数層および低指数層は、それぞれ、酸化ニオブチタン層および二酸化ケイ素
層である。例えば、窒化ケイ素基板上に配置された第1の層は、厚さ95.5nmの酸化
ニオブチタン層(層1として示す)であり、第1の層上に配置された第2の層は、厚さ4
8.3nmの二酸化ケイ素(層2として示す)である。いくつかの実施形態において、ガ
ラス基板等の他の種類の基板を用いてもよい。いくつかの実施形態において、約2.0超
、約2.5超、約3.0超、約3.5超、約3.6超、約3.7超等の屈折率の材料等、
他の高指数材料を用いてもよい。いくつかの実施形態において、約3.0未満、約2.5
未満、約2.0未満、約1.5未満等の屈折率の材料等、他の低指数材料を用いてもよい
。いくつかの実施形態において、1つ以上の層は、誘電材料として、二酸化ケイ素(Si
O
2)、五酸化ニオブ(Nb
2O
5)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、二酸化チタン(
TiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化イ
ットリウム(Y
2O
3)、二酸化ハフニウム(HfO
2)等の酸化物材料、窒化ケイ素(
Si3N4)等の窒化物材料、フッ化マグネシウム(MgF)等のフッ化物材料、硫化亜
鉛(ZnS)等の硫化物材料、セレン化亜鉛(ZnSe)等のセレン化物材料、水素化シ
リコンや水素化ゲルマニウム等の水素化材料、窒素化ゲルマニウム等の窒素化材料、また
はそれらの組み合わせ等を用いてもよい。
【0032】
図4Aおよび参照符号414に示すように、フィルタ410の第2の部分は、混合金属
/誘電体層を含む。この場合、フィルタ410の第2の部分は、1つ以上の酸化ニオブチ
タン層、1つ以上の酸化亜鉛層、および1つ以上の銀層の複数の層群を含む。例えば、第
1の層群(層7~11)は、厚さ139.1nmの酸化ニオブチタンの層(例:層7とし
て示す、当該層の第1の部分は、フィルタ410の第1の部分の一部であってもよく、第
2の部分は、フィルタ410の第2の部分の一部であってもよい)、厚さ2.0nmの酸
化亜鉛の層(層8として示す)、厚さ9.9nmの銀の層(層9として示す)、厚さ2.
0nmの酸化亜鉛の層(層10として示す)、および厚さ51.9nmの酸化ニオブチタ
ンの層(層11として示す、当該層の第1の部分は、第1の層群の一部であってもよく、
第2の部分は、第2の層群の一部であってもよい)を含む。さらなる例として、第2の層
群(層11~15)は、酸化ニオブチタンの層11、酸化亜鉛の層12、銀の層13、酸
化亜鉛の層14の第2の部分、および酸化ニオブチタンの層15(例:当該層の第2の部
分は、第3の層群の一部であってもよい)の第1の部分を含む。他の例において、他の金
属材料を用いてもよい。
【0033】
図4Aおよび参照符号416に示すように、フィルタ410の第3の部分(例:第2の
全誘電体部)は、交互の高指数層および低指数層の全誘電層を含む。この場合、交互の高
指数層および低指数層は、それぞれ、酸化ニオブチタン層および二酸化ケイ素層である。
例えば、第1の層は、酸化ニオブチタンの層23の一部であり、第2の層は、二酸化ケイ
素の層24であり、第3の層は、酸化ニオブチタンの層25であり、第4の層は、二酸化
ケイ素の層26である。この場合、フィルタ410は、3つの異なる誘電材料を用いる。
他の例において、フィルタ410は、2つの異なる誘電材料を用いてもよい。いくつかの
実施形態において、フィルタ410は、空気の出口媒体と合致してもよい。いくつかの実
施形態において、フィルタ410は、高分子材料、カラー色素、RGB色素、エポキシ樹
脂材料、ガラス材料等の他の出口媒体と合致してもよい。いくつかの実施形態において、
フィルタ410は、RGBフィルタ(例:赤色光スペクトル域、緑色光スペクトル域、ま
たは青色光スペクトル域に対応する通過帯域のフィルタ)、NIRブロッカー、LWPフ
ィルタ、SWPフィルタ、明順応フィルタ、環境光センサフィルタ、三刺激フィルタ等で
あってもよい。フィルタ410を特定の層厚の組で記載したが、他の層厚も可能であり、
図4Aで示すものと異なっていてもよい。
【0034】
図4Bおよびチャート420に示すように、また、
図4Cおよびチャート430に示す
ように、フィルタ410は、フィルタ210に対して低減した角シフトおよび色シフトと
、フィルタ310に対して向上した透過率と対応付けられる。例えば、
図4Bの参照符号
432に示すように、フィルタ410は、約420nmおよび入射角0度で約80%の透
過率と対応付けられ、入射角0度~50度での約420nm~550nmのスペクトル域
で70%超の透過率と対応付けられる。同様に、
図4Bの参照符号434に示すように、
フィルタ410は、約400nm~約1100nmのスペクトル域および入射角0度~5
0度で約40nm未満の角シフトと対応付けられる。
【0035】
図4Cおよびチャート430に示すように、フィルタ410のCIE1931色プロッ
トが提供される。参照符号436に示すように、フィルタ410は、入射角0度から入射
角50度へのシフトでのフィルタ210に対して低減した色シフトと対応付けられる。例
えば、フィルタ410は、閾値未満(例:0.2未満、0.1未満、0.05未満等)の
色シフトと対応付けられる。
【0036】
上記の通り、
図4A~4Cは、単に例を示すものである。他の例も可能であり、
図4A
~4Cに関して記載されたものと異なっていてもよい。
【0037】
図5A~5Cは、他の混合金属/誘電体光学フィルタに関する特性図である。
図5A~
5Cは、高指数層および低指数層の誘電体フィルタスタックおよび金属(例:銀)誘電体
フィルタスタックを有する誘導透過光学フィルタの他の例を示す。
【0038】
図5Aおよびチャート500に示すように、フィルタ510は、基板と、誘電体層の組
と、金属層の組とを含んでもよい。参照符号512に示すように、層1~10のフィルタ
510の第1の部分は、交互の高指数層および低指数層の全誘電層を含む。この場合、交
互の高指数層および低指数層は、それぞれ、酸化ニオブチタン層および二酸化ケイ素層で
ある。参照符号514に示すように、層10~25のフィルタ510の第2の部分は、金
属誘電体層を含む。この場合、フィルタ510の第2の部分は、1つ以上の酸化ニオブチ
タン層、1つ以上の酸化亜鉛層、および1つ以上の銀層の複数の層群を含む。参照符号5
16に示すように、層25~30のフィルタ510の第3の部分は、交互の高指数層およ
び低指数層の全誘電層を含む。この場合、交互の高指数層および低指数層は、それぞれ、
酸化ニオブチタン層および二酸化ケイ素層である。フィルタ510を特定の層厚の組で記
載したが、他の層厚も可能であり、
図5Aで示すものと異なっていてもよい。
【0039】
図5Bおよびチャート520に示すように、また
図5Cおよびチャート530に示すよ
うに、フィルタ510は、フィルタ210に対して低減した角シフトおよび色シフトと、
フィルタ310に対して向上した透過率と対応付けられる。例えば、
図5Bの参照符号5
32に示すように、フィルタ510は、約500nmおよび入射角0度~50度で約80
%の透過率と対応付けられ、入射角0度~50度での約460nm~590nmのスペク
トル域で約70%超の透過率と対応付けられる。同様に、参照符号534に示すように、
フィルタ510は、約400nm~約1100nmのスペクトル域および入射角0度~5
0度で約30nm未満の角シフトと対応付けられる。
【0040】
図5Cおよびチャート530に示すように、フィルタ510のCIE1931色プロッ
トが提供される。参照符号536に示すように、フィルタ510は、入射角0度から入射
角50度へのシフトでのフィルタ210に対して低減した色シフトと対応付けられる。例
えば、フィルタ510は、閾値未満(例:0.2未満、0.1未満、0.05未満等)の
色シフトと対応付けられる。
【0041】
上記の通り、
図5A~5Cは、単に例を示すものである。他の例も可能であり、
図5A
~5Cに関して記載されたものと異なっていてもよい。
【0042】
図6Aおよび6Bは、光学フィルタの組に関する特性図である。
図6Aおよび6Bは、
本明細書に記載のフィルタの特定の比較を示す。
【0043】
図6Aおよびチャート600に示すように、フィルタ210、フィルタ310、フィル
タ410、およびフィルタ510のカットオフ波長の角シフトの比較が提供される。この
場合、フィルタ410およびフィルタ510は、0度~50度の各入射角でフィルタ21
0に対してカットオフ波長の低減した角シフトと対応付けられる。例えば、入射角40度
で、フィルタ410は、約18nmのカットオフ波長の角シフトと対応付けられる。同様
に、入射40度で、フィルタ510は、約20nmのカットオフ波長の角シフトと対応付
けられる。対して、入射角20度で、フィルタ210は、約42nmのカットオフ波長の
変化と対応付けられる。
【0044】
図6Bおよびチャート610に示すように、フィルタ210、フィルタ310、フィル
タ410、およびフィルタ510の約420nm~約620nmのスペクトル域の通過帯
域の平均透過率の比較が提供される。この場合、フィルタ410およびフィルタ510は
、0度~50度の各入射角でフィルタ310に対して向上した透過率と対応付けられる。
例えば、入射角40度で、フィルタ410およびフィルタ510は、それぞれ、約72%
および約75%の平均透過率と対応付けられる。対して、入射角40度で、フィルタ31
0は、約63%の平均透過率と対応付けられる。
【0045】
上記の通り、
図6Aおよび6Bは、単に例を示すものである。他の例も可能であり、図
6Aおよび6Bに関して記載されたものと異なっていてもよい。
【0046】
図7A~7Gは、光学フィルタの組に関する特性図である。
図7A~7Gは、本明細書
に記載の緑色タイプのフィルタの特性の比較を示す。
【0047】
図7Aに示すように、フィルタ702のスタックアップ例が提供される。フィルタ70
2は、二酸化ケイ素(SiO
2)および酸化ニオブチタン(NbTiO
5)の交互の層を
含む緑色フィルタであってもよい。フィルタ702は、窒化ケイ素(Si
3N
4)の入口
媒体および空気の出口媒体と対応付けられてもよい。フィルタ702は、全誘電タイプフ
ィルタであってもよく、
図2Aに示すフィルタ210と同様であってもよい。
【0048】
図7Bに示すように、フィルタ704のスタックアップ例が提供される。フィルタ70
4は、酸化ニオブチタン(NbTiO
5)、酸化亜鉛(ZnO)、および銀(Ag)の層
と、窒化ケイ素(Si
3N
4)の入口媒体と、空気の出口媒体とを含む緑色フィルタであ
ってもよい。フィルタ704は、
図3Aに示すフィルタ310と同様であってもよい。
【0049】
図7Cに示すように、フィルタ706のスタックアップ例が提供される。フィルタ70
6は、酸化ニオブチタン(NbTiO
5)、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化亜鉛(Zn
O)、および銀(Ag)の層と、窒化ケイ素(Si
3N
4)の入口媒体と、空気の出口媒
体とを含む緑色フィルタであってもよい。フィルタ706は、
図4Aに示すフィルタ41
0と同様であってもよい。例えば、フィルタ706は、交互誘電体層を含む層1~13等
の第1の部分と、交互誘電体層および金属層を含む層13~25等の第2の部分と、交互
誘電体層を含む層25~37等の第3の部分とを含んでもよい。
【0050】
図7Dおよびチャート708および710に示すように、フィルタ702のフィルタ応
答が提供される。例えば、フィルタ702は、約450nm~約575nmのスペクトル
域における約50nm~約80nmの入射角(AOI)約0度~約50度の変化での角シ
フトと対応付けられる。また、フィルタ702は、入射角約0度での約100%から入射
角約50度での約90%の通過帯域でのピーク透過の低下と対応付けられる。さらに、フ
ィルタ702は、約[0.08、0.47]から約[0.25、0.69]のCIE19
31色プロットでの色シフトと対応付けられる。
【0051】
図7Eおよびチャート712および714に示すように、フィルタ704のフィルタ応
答が提供される。例えば、フィルタ704は、約450nm~約575nmのスペクトル
域における約25nm~約40nmの入射角(AOI)約0度~約50度の変化での角シ
フトと対応付けられる。また、フィルタ704は、入射角約0度での約72%から入射角
約50度での約66%の通過帯域でのピーク透過の低下と対応付けられる。さらに、フィ
ルタ704は、約[0.17、0.58]から約[0.26、0.63]のCIE193
1色プロットでの色シフトと対応付けられる。
【0052】
図7Fおよびチャート716および718に示すように、フィルタ706のフィルタ応
答が提供される。例えば、フィルタ706は、約450nm~約575nmのスペクトル
域における約25nm~約40nmの入射角(AOI)約0度~約50度の変化での角シ
フトと対応付けられる。また、フィルタ706は、入射角約0度での約78%から入射角
約50度での約70%の通過帯域でのピーク透過の低下と対応付けられる。さらに、フィ
ルタ706は、約[0.18、0.62]から約[0.26、0.65]のCIE193
1色プロットでの色シフトと対応付けられる。こうして、フィルタ706は、フィルタ7
02に対して低減した角シフトおよび低減した色シフトと、フィルタ704に対して向上
した透過率と対応付けられる。
【0053】
図7Gおよびチャート720および722に示すように、それぞれ、フィルタ702、
フィルタ704、およびフィルタ706の約510nm~約550の通過帯域における中
心波長変化の比較および平均透過の比較が提供される。チャート720に示すように、フ
ィルタ706は、入射角約10度~約50度でフィルタ702に対して低減した中心波長
変化と対応付けられる。チャート722に示すように、フィルタ706は、入射角約0度
~約50度でフィルタ704に対して通過帯域における向上した平均透過と、入射角約4
0度~約50度でフィルタ702に対して通過帯域における向上した平均透過と対応付け
られる。
【0054】
上記の通り、
図7A~7Gは、単に例を示すものである。他の例も可能であり、
図7A
~7Gに関して記載されたものと異なっていてもよい。
【0055】
こうして、誘電体層の第1の部分と、混合誘電体および金属層の第2の部分と、誘電体
層の第3の部分とを含むフィルタの利用によって、全誘電体フィルタやLASITFフィ
ルタに対して低減した角シフトおよび向上した透過率のフィルタリングが提供される。角
シフトの低減および透過率の向上に基づき、フィルタと配列されるセンサ素子によって得
られるデータの正確さは、他の種類のフィルタと配列されるセンサ素子によって得られる
データの正確さに対して向上する。
【0056】
上述の開示は例示および説明を提供するものであるが、全てを網羅している訳ではなく
、実施形態を開示された形態に厳密に制限することを意図するものではない。変更および
変形は、上述の開示に照らして行うことができる、または実施形態の実施から取得するこ
とができる。
【0057】
本明細書に記載するいくつかの実施形態は閾値に関するものである。本明細書に記載す
る、閾値を満足させるとは、閾値よりも大きい値、閾値を超える値、閾値よりも高い値、
閾値以上の値、閾値未満の値、閾値よりも少ない値、閾値よりも低い値、閾値以下の値、
閾値と等しい値などを指す。
【0058】
特徴の特別な組み合わせを請求項に記載し、および/または明細書に開示したが、これ
らの組み合わせは可能な実施形態の開示を制限することを意図するものではない。実際、
これらの特徴の多くは、請求項に具体的に記載されていない方法、および/または明細書
に開示されていない方法で組み合わせることができる。以下に記載する各々の従属請求項
は1つの請求項のみに従属させることができるが、可能な実施形態の開示は、各々の従属
請求項と請求項の範囲における他の全ての請求項との組み合わせを含んでいる。
【0059】
本明細書で使用される要素、行為または命令は、明示的な記載のない限り、重要または
必須であると解釈してはならない。また、本明細書で使用する「a」および「an」の冠
詞は1つ以上のアイテムを含むものとし、「1つ以上の(one or more)」と
代替可能に使用することができる。さらに、本明細書で使用する「組(set)」という
用語は、1つ以上のアイテム(例えば関連アイテム、非関連アイテム、関連アイテムと非
関連アイテムの組み合わせなど)を含むものとし、「1つ以上の」と代替可能に使用する
ことができる。1つのアイテムのみが意図される場合、「1つの(one)」という用語
または類似の言葉が使用される。また、本明細書で使用する「有する(has,have
,having)」などの用語は開放型用語であるものとする。さらに、「に基づく(b
ased on)」という言い回しは、特に断りのない限り、「少なくとも部分的に~に
基づく」ことを意味するものとする。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルタであって、
誘電材料群の第1の誘電材料および前記誘電材料群の前記第1の誘電材料とは異なる第2の誘電材料の交互の層を含む第1の層群と、
前記誘電材料群の第3の誘電材料および前記誘電材料群の前記第3の誘電材料とは異なる第4の誘電材料の交互の層を含む第2の層群と、
前記誘電材料群の第5の誘電材料、前記誘電材料群の前記第5の誘電材料とは異なる第6の誘電材料、および金属材料の交互の層を含む第3の層群と、を備え、
前記第5の誘電材料の層、前記第6の誘電材料の層、前記金属材料の層、前記第6の誘電材料の層および前記第5の誘電材料の層がこの順に配置されており、
前記第3の層群は、前記第1の層群と前記第2の層群との間に配置されており、
前記光学フィルタは、閾値角シフトよりも小さい角シフトを有し、閾値透過レベルよりも大きい透過レベルを有する光をフィルタリングする、光学フィルタ。
【請求項2】
前記誘電材料群は、2つの材料からなる、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項3】
前記誘電材料群は、3つの材料からなる、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記誘電材料群は、酸化ニオブチタン(NbTiOx)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、二酸化ハフニウム(HfO2)、それらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記誘電材料群は、窒化物材料、フッ化物材料、硫化物材料、セレン化物材料、それらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記金属材料は、銀材料である、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
ガラス基板をさらに備え、
前記第1の層群は、前記ガラス基板上に配置され、
前記第3の層群は、前記第1の層群上に配置され、
前記第2の層群は、前記第3の層群上に配置される、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項8】
検出器基板を含む検出器をさらに備え、
前記第1の層群は、前記検出器基板上に配置され、
前記第3の層群は、前記第1の層群上に配置され、
前記第2の層群は、前記第3の層群上に配置される、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記検出器は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)検出器、電荷結合素子検出器、前面入射型検出器、裏面入射型検出器のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記第1の層群および前記第2の層群は、金属層を含まない、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項11】
前記誘電材料群の少なくとも1つの誘電材料は、約2.0超の屈折率と対応付けられる、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項12】
前記誘電材料群の少なくとも1つの誘電材料は、約3.0未満の屈折率と対応付けられる、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項13】
前記閾値角シフトは、約30nmである、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項14】
前記閾値透過レベルは、約70%である、請求項1に記載の光学フィルタ。
【請求項15】
誘導透過フィルタであって、
第1の誘電体層の組を含む第1の全誘電体部と、
第2の誘電体層の組を含む第2の全誘電体部と、
第3の誘電体層の組および1つ以上の金属層を含む金属/誘電体部と、を備え、
前記金属/誘電体部は、前記第1の全誘電体部と前記第2の全誘電体部との間に配置され、
前記第1の誘電体層の組および前記第2の誘電体層の組は各々、第1の屈折率の第1の誘電材料および第2の屈折率の第2の誘電材料の交互の層を含み、
前記第1の屈折率は、前記第2の屈折率よりも高く、
前記金属/誘電体部は、層群に配置された層の組を含み、前記層群は、複数の層を、第3の誘電材料の第1の層、第4の誘電材料の第2の層、金属材料の第3の層、前記第4の誘電材料の第4の層、および前記第3の誘電材料の第5の層の順で含み
前記誘導透過フィルタは、閾値角シフトよりも小さな角シフトを有し、閾値透過レベルよりも大きな透過レベルを有する光をフィルタリングする、誘導透過フィルタ。
【請求項16】
前記第1の誘電体層の組、前記第2の誘電体層の組、および前記第3の誘電体層の組は、少なくとも1つの材料を共通して含む、請求項15に記載の誘導透過フィルタ。
【外国語明細書】