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特開2022-166097粉末床溶融結合のための3D印刷可能硬質鉄系金属合金
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166097
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】粉末床溶融結合のための3D印刷可能硬質鉄系金属合金
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/34 20210101AFI20221025BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20221025BHJP
   B22F 10/32 20210101ALI20221025BHJP
   B22F 12/30 20210101ALI20221025BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20221025BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20221025BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20221025BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20221025BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20221025BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221025BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20221025BHJP
【FI】
B22F10/34
B22F10/36
B22F10/32
B22F12/30
B22F3/24 B
B22F10/28
C22C38/00 302Z
B33Y80/00
B33Y70/00
B33Y10/00
B22F1/00 T
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125027
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2019522812の分割
【原出願日】2017-11-01
(31)【優先権主張番号】62/415,667
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505307611
【氏名又は名称】ザ・ナノスティール・カンパニー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ディー・タッフィル
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド・レムケ
(57)【要約】
【課題】高い硬度、引張強度、降伏強度および延性を有する金属部品を提供する3D金属印刷手法のための合金組成物を提供すること。
【解決手段】本合金は、Fe、CrおよびMo、並びにC、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも3つ以上の元素を含む。アズビルト部品は少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも640MPaの降伏強度、少なくとも3.0%の延性および少なくとも375の硬度(HV)を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部品の層ごとの構築の方法であって、
CrおよびMoの元素と、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからの少なくとも3つの元素とを含む、粒子形態にある鉄系合金を供給するステップであって、Crは10.0wt.%から19.0wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から3.0wt.%で存在し、Cは0から0.35wt.%で存在し、Niは0から5.0wt.%で存在し、Cuは0から5.0wt.%で存在し、Nbは0から1.0wt.%で存在し、Siは0から1.0wt.%で存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、前記合金組成物の残余はFeを含む、供給するステップと、
前記合金を溶融状態まで溶融し、冷却して前記元素の固化層を形成することにより前記合金の1つ以上の層を形成するステップであって、固体層の各々は2.0ミクロンから200.0ミクロンからなる厚さを有している、形成するステップとを含み、
前記金属部品は、以下の特性:少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも640MPaの降伏強度、少なくとも3.0%の伸長度、少なくとも375の硬度(HV)を有している、方法。
【請求項2】
Crは10.0wt.%から18.3wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から2.5wt.%で存在し、Cは0から0.30wt.%で存在し、Niは0から4.0wt.%で存在し、Cuは0から4.0wt.%で存在し、Nbは0から0.7wt.%で存在し、Siは0から0.7wt.%存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、残余はFeである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記合金は、82.0wt.%から86.0wt.%のFe、10.5wt.%から12.0wt.%のCr;1.5wt.%から2.5wt.%のNi;0.4wt.%から0.7wt.%のCu;1.2wt.%から1.8wt.%のMo;0.14wt.%から0.18wt.%のC;0.02wt.%から0.05wt.%のNb;0.04から0.07wt.%のNおよび0から1.0wt.%のSiを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属部品が、以下の特性:1000MPaから1900MPaの引張強度、640MPaから1500MPaの降伏強度、3.0%から25.0%の伸長度、および375から600の硬度(HV)を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記層は2.0ミクロンから200ミクロンの厚さを有している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
溶融が、30J/mmから500J/mmの範囲のエネルギー密度を有するレーザービームまたは電子ビームにより達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属部品は、窒素および/またはアルゴン雰囲気内で構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属部品は、300℃以下の温度に予熱された基材上で構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記金属部品が900℃を超える温度での溶体化、続いてガス急冷および冷却を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
冷却後の前記金属部品は150℃以上の温度で焼戻しされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記合金は、少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも900MPaの降伏強度、少なくとも1.0%の伸長度、および少なくとも475の硬度(HV)を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記金属部品は、表面から4.0mmの深さまで炭素のレベルを増加させるために浸炭されている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記金属部品は、表面から400μmの深さまで窒素のレベルを増加させるために窒化される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも4つの元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも5つの元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記合金が、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
CrおよびMoの元素と、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからの少なくとも3つの元素とを含む1つ以上の鉄系合金層を含む3D印刷された金属部品であって、Crは10.0wt.%から19.0wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から3.0wt.%で存在し、Cは0から0.35wt.%で存在し、Niは0から5.0wt.%で存在し、Cuは0から5.0wt.%で存在し、Nbは0から1.0wt.%で存在し、Siは0から1.0wt.%で存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、前記合金組成物の残余はFeを含有し、
前記層は、2.0ミクロンから200.0ミクロンの範囲にある厚さを有しており、
前記印刷された金属部品は、少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも640MPaの降伏強度、少なくとも3.0%の伸長度および少なくとも375の硬度(HV)を示している、印刷された金属部品。
【請求項18】
Crは10.0wt.%から18.3wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から2.5wt.%で存在し、Cは0から0.30wt.%で存在し、Niは0から4.0wt.%で存在し、Cuは0から3.5wt.%で存在し、Nbは0から0.7wt.%で存在し、Siは0から0.7wt.%存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、残余はFeである、請求項17に記載の印刷された金属部品。
【請求項19】
前記合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも4つの元素を含む、請求項17に記載の印刷された金属部品。
【請求項20】
前記合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも5つの元素を含む、請求項17に記載の印刷された金属部品。
【請求項21】
前記合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNを含む、請求項17に記載の印刷された金属部品。
【請求項22】
前記部品は、1000MPaから1900MPaの引張強度、640MPaから1500MPaの降伏強度、3.0%から25.0%の伸長度、および375から600の硬度(HV)を示している、請求項17に記載の印刷された金属部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年11月1日に出願された米国仮特許出願第62/415,667号の利益を主張し、これは参照により本明細書に完全に組み込まれている。
【0002】
本開示は、比較的高い硬度、引張強度、降伏強度および伸長度を有する金属部品の形成を提供するための合金組成物および3D印刷手順に関する。本合金はまた、そのような機械的性質の特徴に寄与する、金属炭化物および/または金属炭窒化物相などの所望の相を形成する能力を示す。
【背景技術】
【0003】
金属3D印刷工程は、高度に複雑な部品を大幅に短縮された部品製造時間で製造できる能力などの、多数の並外れた利点を提供する。これらの理由のため、3D印刷は多くの産業にとって高い価値がある。金属部品を構築するための多くの3D印刷工程が存在するが、最も広く採用されている工程は、部品を構築するために固相-液相-固相変換を利用するものである。これらの工程は、粉末床溶融結合(PBF)、選択的レーザー溶融(SLM)および電子ビーム溶融(EBM)と一般的に呼ばれ、以下ではこれらの工程はPBFと呼ばれる。
【0004】
PBFは、特定の金属合金から複雑な部品を製造するその能力において非常に用途が広いが、その工程は、316L、17-4PHおよびマルエージング鋼M300などの比較的少数の合金鋼から部品を製造することができるものに限られていた。これらの合金のうち、M300のみが、合金を硬質合金として分類するのに十分であると考えられる硬度を有している(HV>370)。
【0005】
硬質PBF鋼合金の材料の幅を広げることは、とりわけ印刷工程の間に、または後にひび割れ形成の発生といった様々な問題に出くわしている。部品のひび割れは、熱応力、熱間割れ、および液化割れなどの多数の要因によって引き起こすことができ、一般的に、ひび割れの可能性は、構築部品の硬度が増加し、靭性が低減するにつれて増加する。
【0006】
多くの産業は、ツーリング、ダイ、モールド、切削工具、ギア、フィルターおよびベアリングなどの用途のために、より高い硬度の材料(HV>370)でPBFを利用することに多くの関心を寄せている。高硬度に加えて、これらの用途はまた、高い強度、靭性および耐食性、低い環境衛生、低い安全リスクおよび管理リスク並びに低費用を一般的に要求する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
金属部品の層ごとの構築の方法は、CrおよびMoの元素、並びにC、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからの少なくとも3つの元素を含む、粒子形態にある鉄系合金を供給するステップであって、Crは10.0wt.%から19.0wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から3.0wt.%で存在し、Cは0から0.35wt.%で存在し、Niは0から4.0wt.%で存在し、Cuは0から5.0wt.%で存在し、Nbは0から1.0wt.%で存在し、Siは0から1.0wt.%で存在し、Nは0から0.25wt.%で存在し、前記合金組成物の残余はFeを含む、供給するステップと、
合金を溶融状態へと溶融し、冷却して元素の固化層を形成することにより、合金の1つ以上の層を形成するステップであって、固体層の各々は、2.0ミクロンから200.0ミクロンからなる厚さを有している、形成するステップとを含む。1つ以上の層を含む金属部品は、以下の特性:少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも640MPaの降伏強度、少なくとも3.0%の伸長度、少なくとも375の硬度(HV)を有している。
【0008】
本発明はまた、3D印刷された金属部品に関連しており、1つ以上の鉄系金属合金層であって、CrおよびMoの元素、並びにC、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからの少なくとも3つの元素を含み、Crは10.0wt.%から19.0wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から3.0wt.%で存在し、Cは0から0.35wt.%で存在し、Niは0から5.0wt.%で存在し、Cuは0から5.0wt.%で存在し、Nbは0から1.0wt.%で存在し、Siは0から1.0wt.%で存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、並びに前記合金組成物の残余はFeを含有する、1つ以上の鉄系金属合金層を含み、
前記層は、2.0ミクロンから200.0ミクロンの範囲の厚さを有しており、
前記印刷された金属部品は、少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも640MPaの降伏強度、少なくとも3.0%の伸長度および少なくとも375の硬度(HV)を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】SLM 280 HL機械上に構築された合金1(A10)の光学画像である。
図2】Trumpf TRUMAFORM LF 250 PBF機械上に構築された合金1(A10)の光学画像である。
図3】99.5%超の密度でEOS機械上に構築された合金1(A10)の光学画像である。
図4】アズビルト合金1(A10)の10,000倍のSEM顕微鏡写真を示している。
図5】Thermo-Calcで作製された合金1の平衡状態図を示している。
図6】浸炭後の2つの異なる倍率での合金5(表1)で作られた部品の表面における微細構造を示している。
図7】浸炭表面硬化された合金5および合金8(表1)における深さの関数としての硬度を示している。
図8】窒化後の2つの異なる倍率での合金9(表1)の部品の表面における微細構造を示している。
図9】窒化表面硬化された合金8および9(表1)における深さの関数としての硬度を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「アズビルト(as-built)」状態および「熱処理された」状態の両方において、高い硬度(>375 HV)、高い降伏強度および引張強度、および高い伸長度、並びに低い安全リスク(EH&S)、管理リスクおよび比較的低い費用を有する優れた印刷適性を組み合わせた新しい分類の合金鋼が開発された。
【0011】
合金の印刷適性は、構築部品内のひび割れまたは過度の多孔度が生じることなく、様々な市販のPBF機械上で金属合金を印刷することの容易さとして定義される。本明細書では、アズビルト状態とは、PBF機械から取り外す際のPBF構築部品の状態、すなわち、いかなる構築後熱処理なしの状態と理解される。本明細書では、熱処理された状態とは、構築後熱処理を受けたPBF構築部品の状態と理解される。本明細書の合金は、三次元物体を作り出すためのプロセスを指す3D印刷が可能である。
【0012】
以下の表1は、本明細書で好ましく採用される合金化学を示しており、これは合計で11の合金のために、合金1(A10)および次いで10個の追加の合金を含む。
【0013】
【表1】
【0014】
従って、Fe、CrおよびMo、並びにC、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからの少なくとも3つ以上の元素を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる粒子形態の金属合金を供給することが上記から理解することができ、Crは10.0wt.%から19.0wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から3.0wt.%で存在し、Cは0から0.35wt.%で存在し、Niは0から5.0wt.%で存在し、Cuは0から5.0wt.%で存在し、Nbは0から1.0wt.%で存在し、Siは0から1.0wt.%で存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在する。前記合金組成物の残余はFeを含有する。従って、所与の合金形成に対して、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから4つの元素、5つの元素、または6つすべての元素を選択することができる。
【0015】
好ましい実施形態では、Fe、CrおよびMo、並びにC、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからの少なくとも3つ以上の元素を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる粒子形態の金属合金を再び供給し、Crは10.0wt.%から18.3wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から2.5wt.%で存在し、Cは0から0.30wt.%で存在し、Niは0から4.0wt.%で存在し、Cuは0から4.0wt.%で存在し、Nbは0から0.7wt.%存在し、Siは0から0.7wt.%で存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在する。前記合金組成物の残余はFeを含有する。
【0016】
さらに、本合金は、若干の不可避不純物を含んでいてもよく、そのような不純物のレベルは最大で1.0wt.%までであり得る。例えば、上で列挙されていない元素もまた、最大で1.0wt.%までのレベルで存在していてもよく、その時にFeの対応するレベルは、1.0wt.%低減され得る。不純物に関して、そのようなものは、硫黄、リンおよび酸素などの元素を含むことが予期されていることに留意されたい。
【0017】
合金A10として以前に指定された合金1は、それ自体、以下の好ましい組成:82.0から86.0wt.%のFe、10.5から12.0wt.%のCr、1.5から2.5wt.%のNi、0.4から0.7wt.%のCu、1.2から1.8wt.%のMo、0.14から0.18wt.%のC、0.02から0.05wt.%のNb、0.04から0.07wt.%のNおよび0から1.0wt.%のSiを有することができる。
【0018】
金属合金は、粉末粒子またはワイヤの形態でPBFプロセスに供給され、好ましくは、窒素もしくはアルゴンガスなどのガスを利用する、ガスもしくは遠心噴霧、または水噴霧をともなう従来の溶融を使用して製造される。窒素ガス溶融および噴霧は、粉末合金内の窒素含有量を増加させるために使用することができる。粉末粒子は、1から200ミクロン、より好ましくは3から70ミクロン、最も好ましくは15から53ミクロンの範囲の直径を有することができる。
【0019】
PBF部品は、SLM(登録商標)280HLまたはEOS M-280、およびTrumpf TRUMAFORM LF 250などの市販の従来のPBF機械を使用して本明細書の金属合金から好ましくは構築される。部品は、窒素またはアルゴン雰囲気内で好ましくは構築される。部品は、100℃から300℃の範囲内、より好ましくは20℃から200℃の範囲内など、最大で300℃まで予熱される金属基材上に構築され得る。加えて、予熱しない基材を採用することもできる。本明細書におけるPBF手順のために、30から500J/m、より好ましくは50J/mmから300J/mの範囲内、最も好ましくは60J/mmから200J/mmの範囲内のエネルギー密度を有する1つまたは複数のレーザーまたは電子ビームを利用することができる。
【0020】
金属基材は、表1における合金1から11、または他の材料から、例えば304Lステンレス鋼から好ましくは構成される。本明細書におけるPBF手順は、各々が典型的には2.0ミクロンから200.0ミクロン、より好ましくは5.0ミクロンから150.0ミクロン、最も好ましくは5.0ミクロンから120.0ミクロンの範囲の厚さを有している個々の層のビルドアップを予期している。従って、ビルドアップ層の厚さの適切な範囲は2.0ミクロン以上である。しかしながら、より一般的には、ビルドアップ層(個々の層の組み合わせ)の厚さ範囲は、2ミクロンから800mmであり、および所与の印刷手順の能力または要件に応じてさらに高い。
【0021】
部品内の気孔率およびひび割れは、強度、靭性、耐疲労性を含む多数の部品特性に悪影響を及ぼし得る。そのようなものとして、緻密な部品に対して、PBF部品における気孔率およびひび割れを最小にすることが望ましい。いくつかの大きな部品は、1.0%から15.0%より大きい気孔率などのより高い気孔率レベルを許容することができるが、部品内の気孔率は、好ましくは1.0%未満、より好ましくは0.5%未満、最も好ましくは0.2%未満である。本明細書の金属合金を有するアズビルトPBF部品において低い気孔率およびひび割れがないことは、図1から3に示される断面光学顕微鏡画像において証明されており、これらはSLM 280HLおよびTrumpf TRUMAFOR LF 250のPBF機械、並びにEOS M280/290のそれぞれにおいて合金1(A10)で構築された部品から得られたものである。図1から3において示される部品は、予熱しない基材上で、部品内の合計250層に対して、0.040mmの厚さの層を使用して、10mmの高さまで構築された。気孔率は、100倍の倍率で光学画像分析により測定され、合金1は0.2%未満の気孔率を示している。
【0022】
PBF部品は、比較的高い硬度、強度および延性を達成することができるように部品が構築された後に好ましくは熱処理される。ひび割れのない構築部品でその場で高硬度を達成することは、高硬度合金の典型的に低い靭性および延性と相まって、それらが構築されるときの部品内の熱応力および熱疲労に起因して比較的困難である。PBFは、粉末層における粉末を選択的に溶融させるためにエネルギー源を使用して、小さな、すばやく横断する溶融金属の溶融池を作り出し、次いで、再凝固して部品内に次の層を追加する。横断する溶融池の熱は、大部分は部品に伝導され、これは部品全体の温度の上昇をもたらし、溶融池の局所的近傍において比較的大きな温度勾配を提供する。部品内の熱勾配および相転移に起因して、PBF部品の構築の間に、部品内に大きな連続的および周期的な熱応力が発生し得る。従って、部品は、局在化された応力条件下でのひび割れの形成に抵抗し、並びに連続的および周期的応力の下でのひび割れの伝播に抵抗するのに十分な強度、靭性および延性を好ましくは有している。
【0023】
「アズビルト」合金特性:表2は、(後熱処理のない)アズビルト状態における市販のPBF鋼合金および表1からの合金1(A10)を用いて製造したPBF部品の機械的性質の比較を示している。合金1(A10)の特性は、部品内の合計250層に対して、0.040mmの厚さの層を使用して10mmの高さまで、予熱のない基材上でPBF構築された部品で測定された。表2は、商業的に応用されるひび割れのない鋼合金に対して本明細書の金属合金の増加した硬度および強度を示している。
【0024】
【表2】
【0025】
表2内の硬度のデータに関して、報告された硬度は、採用される印刷手順のみならず合金組成の関数であることが観察されるようなものであることは注目に値する。従って、例えば、M300の場合では、印刷硬度は、HV硬度が320から370の範囲内となり得るように、印刷手順に応じて変化し得る。
【0026】
以下の表3は、表1で特定された全ての合金に対して、熱処理なしの「AB」またはアズビルト状態における、および熱処理に関連している状態「B1」における機械的性質を示しており、この熱処理はここでさらに議論される。
【0027】
【表3】
【0028】
従って、上記から理解され得るように、(熱処理のない)アズビルト状態における本明細書の合金は、それらが少なくとも1000MPa、より好ましくは少なくとも1100MPa、または少なくとも1200MPa、さらにより好ましくは少なくとも1300MPaの引張強度を示すようなものである。その上、本明細書のアズビルト合金の引張強度は、1000MPaから1900MPa、または1100MPaから1900MPa、または1200MPaから1900MPa、または1300MPaから1900MPaの範囲にあることを理解することができる。
【0029】
上記の引張強度は、少なくとも640MPa、または少なくとも700MPa、または少なくとも800MPa、または少なくとも900MPa、または少なくとも1000MPa、または少なくとも1100MPa、または少なくとも1200MPa、または少なくとも1300MPa、または少なくとも1400MPa、または少なくとも1500MPaの降伏強度と組み合わせて達成される。さらに、本明細書のアズビルト合金の降伏強度は640MPaから1500MPaの範囲にあることを今や理解することができる。
【0030】
さらに、上記の引張強度および降伏強度はまた、少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%など、最大で25%までの伸長度と組み合わせて好ましくは達成される。さらに、本明細書のアズビルト合金の伸長度は、3%から25%の範囲にあることを理解することができる。
【0031】
上記の引張強度、降伏強度および伸長度は次いで、少なくとも375、400、410、420、430、440など、最大で600までの硬度(HV)値と組み合わせて好ましくは達成される。さらに、本明細書の合金のHV値は375から600の範囲内にあることを理解することができる。
【0032】
従って、本明細書の合金は、アズビルト状態において、それらが少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも640MPaの降伏強度、および少なくとも3%の伸長度および少なくとも375の硬度(HV)値を提供できるようなものであることを理解されたい。引張強度、降伏強度、伸長度および硬度の他の組み合わせは、ここで、熱処理されていない合金に対して本明細書に記載した引張強度、降伏強度、伸長度および硬度の個々の好ましいレベルから選択され得る。
【0033】
図4は、PBF製造された、アズビルトの、合金1(A10)部品の10,000倍の二次電子走査電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真を示している。図4に示す部品は、部品内の合計250層に対して、厚さ0.040mmの層を使用して、10mmの高さまで、予熱のない基材上で構築された。SEM撮像は、Jeol JSM-7001F Field Emission SEMで実施された。図4における微細構造は、BCC/マルテンサイト、FCC、MCNおよびMを含むと予期される。
【0034】
図5は、Thermo-Calcを用いて作製した合金1(A10)の平衡状態図を示しており、20℃から1500℃の温度範囲にわたって熱力学的に安定である各相の相分率を示している。平衡状態図は、硬度および強度の増加に寄与する可能性が最も高い相を特定するために使用された。
【0035】
横断する溶融池から部品への熱伝達により引き起こされる、構築の間のPBF部品の昇温は、合金1(A10)に対して図5の状態図に示したCuリッチなFCC相、MN((Cr、Mo)N)相、およびM23((Cr、Fe、Mo)23)相などの二次相のその場での析出を推進するために、本明細書の金属合金において十分に高いことが予期される。部品構築の間のこれらの相のその場での析出は、アズビルト状態における部品の強度および硬度に寄与することが予期される。
【0036】
「熱処理」:本明細書の金属合金を用いて製造されたPBF部品は、部品の強度および硬度を高めるために熱処理することによりさらに強化させることができる。様々な熱処理が部品特性に影響を与えるように実施することができ、熱処理温度は平衡状態図から選択できることが予期される。
【0037】
本明細書の金属合金に対する効果的な熱処理は、(1)高温溶体化(1つ以上の二次相の溶解)、焼入れ、および焼戻し(二次相の析出)、および/または(2)真空、アルゴンまたは窒素雰囲気内で実施される各熱処理ステップを伴うアズビルト部品の焼戻しを含むことが予期される。溶体化は900℃を超える温度で、例えば900℃から1400℃の範囲で好ましくは実施され、焼戻しは150から900℃の範囲の温度で好ましくは実施される。
【0038】
(1)高温溶体化および焼入れステップは、
a.PBFプロセスからもたらされ得る部品内の異方性を低減すること、
b.マルテンサイト含有量およびそれによる硬度、並びに場合により強度を増加させること、
c.部品の耐食性に悪影響を及ぼし得るCr炭化物および/またはCr窒化物を溶解すること、
d.不溶解炭化物および/または窒化物を粗雑化することが考えられる。
(2)様々な相の追加の析出を経た部品のさらなる強化および硬化は、後続の焼戻し処理により開始されることが予期される。
【0039】
「熱処理」-手順:図5における平衡状態図は、合金1(A10)からのPBF部品に対して溶体化温度および焼戻し温度を選択するために使用された。合金1(A10)のPBF部品で使用される熱処理は、部品を強化し、および硬化するために、1.5時間の1000℃における溶体化、続いて2時間の-84℃におけるガス急冷、および最後に48時間の454℃におけるアルゴン中での焼戻しからなる。
【0040】
「熱処理」-合金特性:熱処理されたPBF合金1(A10)部品の特性は、PBF部品に対するそれらの製造者指定の熱処理に付した後の市販のPBF鋼合金と共に表4に示されている。熱処理された合金1、4、5、6、7、9、0、10および11の特性がまた表3に列記された。合金1(A10)の特性は、部品内の合計250層に対して、0.040mm厚さの層を使用して、10mmの高さまで、予熱の無い基材上でPBF構築された熱処理部品において測定された。表4に示された合金1(A10)の硬度は、熱処理された部品の表面においてとられた。
【0041】
【表4】
【0042】
従って、表3および表4から理解され得るように、熱処理後の本明細書の合金は、それらが少なくとも1000MPa、または少なくとも1100MPa、または少なくとも1200MPa、または少なくとも1300MPa、または少なくとも1400MPa、または少なくとも1500MPa、または少なくとも1600MPa、または少なくとも1700MPa、または少なくとも1800MPaの引張強度を示すようなものである。さらに、熱処理された合金は、1000MPaから1900MPaの範囲にある引張強度を有すると理解することができる。
【0043】
そのような引張強度は、少なくとも900MPa、または少なくとも1000MPa、または少なくとも1100MPa、または少なくとも1200MPa、または少なくとも1300MPa、または少なくとも1400MPa、または少なくとも1500MPa、または少なくとも1600MPaの降伏強度と組み合わせて達成される。さらに、本明細書の熱処理された合金は、900MPaから1600MPaの範囲にある降伏強度を有すると理解することができる。
【0044】
そのような引張強度および降伏強度はまた、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%など、最大で16%までの伸長度と組み合わせて達成される。さらに、本明細書の熱処理された合金は、1%から16%の範囲にある伸長度の値を有すると理解することができる。
【0045】
そのような引張強度、降伏強度および伸長度は次いで、少なくとも475、または少なくとも500、または少なくとも525、または少なくとも550、または少なくとも600の硬度(HV)値と組み合わせて好ましくは達成される。さらに、本明細書の熱処理された合金は、475から650の範囲にあるHV値を有すると理解することができる。
【0046】
従って、本発明の熱処理を施した合金は、例えば少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも900MPaの降伏強度、少なくとも1%の伸長度および少なくとも475の硬度(HV)値を提供できるようなものであることを理解されたい。引張強度、降伏強度、伸長度および硬度の他の組み合わせは、熱処理された合金に対して本明細書で言及された引張強度、降伏強度、伸長度および硬度の個々の好ましいレベルから選択され得る。
【0047】
表4は、熱処理が316Lおよび17-4PHの硬度を、いずれかの合金が硬質合金(HV>370)として分類できるレベルまで上昇しないことを示している。熱処理後のM-300の硬度値のみが合金を硬質合金(HV>370)として分類し、M300は現在、硬質合金が必要とされるときの付加製造における主要な合金の選択肢である。しかしながら、そのような硬度レベルにあるM300の特徴は低い伸長度(2%)のみを示し、部品を床に落下させるなどの小さな衝撃力にさえ晒されると部品が破断またはチッピングを受ける傾向を示しているので、M-300の適用範囲は非常に限られている。従って、M300の用途は比較的限られた工業的用途を見出す。
【0048】
さらに、M300合金は、著しい濃度の比較的高価な元素(18wt.%のNi、9wt.%のCo、および5wt.%のMo)を含有しており、そういうものとして低コストの合金を考慮しておらず、その工業的用途をさらに制限する。最後に、M-300の工業的使用は、その潜在的なEH&Sおよびその高いコバルト含有量からもたらされる製品管理のリスクに起因してさらに制限される。コバルトは、吸入による健康上のリスク、およびそれが主にコンゴ共和国から供給されるため、紛争鉱物として分類されていることに起因した管理リスクとして知られている。
【0049】
これとは対照的に、熱処理された合金1(A10)は、現在の既存のM300と比較して、多数の利点を有している。合金1(A10)は、より高い硬度、より高い伸長度、より低コストの構造を有しており、好ましくはコバルトを含まない。
【0050】
表面硬化処理(Case Hardening Treatment)-本明細書の金属合金を用いて製造されたPBF部品の表面硬度は、浸炭および窒化の表面硬化処理によりさらに強化することができる。これらの処理は、部品の表面に炭素および窒素をそれぞれ導入し、コア内の熱処理された特性を保持すると同時に、「アズビルト」状態または「熱処理された」状態と比べて硬度が増加したケース層を作り出す。浸炭窒化のような表面効果のために採用される他の処理もまた使用できることが予期される。
【0051】
浸炭-本明細書の金属合金に対する浸炭プロセスは、以下のステップ:酸化物還元、浸炭、溶体化、焼入れおよび焼戻し、の組み合わせを好ましくは含む。酸化物還元は、還元雰囲気において、好ましくは800℃から1200℃、より好ましくは900℃から1150℃および最も好ましくは950℃から1100℃の温度で実施される。浸炭は、固体浸炭(pack carburizing)、ガス浸炭、真空浸炭、液体浸炭およびプラズマ浸炭などの部品を取り囲む雰囲気または環境において、好ましくは800℃から1000℃、より好ましくは850℃から975℃、最も好ましくは875℃から950℃の温度において炭素の供給源を提供または生成する方法により実施される。
【0052】
浸炭は、部品の表面における炭素の富化をもたらし、合金5に対して図6における2つの異なる倍率で見られるように、コアと比較して異なる微細構造を有する材料の層をもたらす。この構造は、好ましくは650から1000HV、より好ましくは700から975HV、最も好ましくは800から950HVである外面における最大硬度をもたらす。硬度は次いで、本明細書で議論した熱処理された値と類似しているコア内の定常状態値に達するまで、外面からの距離(すなわち、部品の中への深さ)が増すにつれて徐々に減少する。浸炭表面硬化された合金5および8における深さの関数としての硬度の代表例が図7に示されている。本明細書に列挙された他の合金は同様に、類似の効果を有する浸炭プロセスによる表面硬化とすることができる。炭素のレベルは、表面において少なくとも2.0mmの深さ、および最大で4.0mmまで増加することができる。
【0053】
窒化-本明細書の金属合金に対する窒化プロセスは、以下のステップ:溶体化、焼入れおよび焼戻し、の組み合わせを含む。窒素は、プラズマ窒化プロセスおよび液体窒化プロセスを含む他の窒化方法により部品の表面に導入され得ることが予期される。部品の表面における窒素の富化は、図8に示された合金9(表1)に対する2つの異なる倍率においてわかるように、コアと比較して異なる微細構造を有する材料の層をもたらす。この構造は、好ましくは700から1300HV、より好ましくは750から1250HVおよび最も好ましくは825から1225HVである外面において最大硬度をもたらす。硬度は次いで、本明細書で議論した熱処理された値と類似しているコア内の定常状態値に達するまで、外面からの距離(すなわち、部品の中への深さ)が増すにつれて徐々に減少する。窒化表面硬化された合金8および9における深さの関数としての硬度の代表例が図9に見られる。見て分かるように、窒素のレベルは表面から少なくとも200μmの深さ、および最大で400μmまで増大される。本明細書で列挙された他の合金は同様に、類似の効果を有する窒化プロセスにより表面硬化することができる。
なお、本開示は下記<1>~<22>の態様も含む。
<1>
金属部品の層ごとの構築の方法であって、
CrおよびMoの元素と、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからの少なくとも3つの元素とを含む、粒子形態にある鉄系合金を供給するステップであって、Crは10.0wt.%から19.0wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から3.0wt.%で存在し、Cは0から0.35wt.%で存在し、Niは0から5.0wt.%で存在し、Cuは0から5.0wt.%で存在し、Nbは0から1.0wt.%で存在し、Siは0から1.0wt.%で存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、前記合金組成物の残余はFeを含む、供給するステップと、
前記合金を溶融状態まで溶融し、冷却して前記元素の固化層を形成することにより前記合金の1つ以上の層を形成するステップであって、固体層の各々は2.0ミクロンから200.0ミクロンからなる厚さを有している、形成するステップとを含み、
前記金属部品は、以下の特性:少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも640MPaの降伏強度、少なくとも3.0%の伸長度、少なくとも375の硬度(HV)を有している、方法。
<2>
Crは10.0wt.%から18.3wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から2.5wt.%で存在し、Cは0から0.30wt.%で存在し、Niは0から4.0wt.%で存在し、Cuは0から4.0wt.%で存在し、Nbは0から0.7wt.%で存在し、Siは0から0.7wt.%存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、残余はFeである、<1>に記載の方法。
<3>
前記合金は、82.0wt.%から86.0wt.%のFe、10.5wt.%から12.0wt.%のCr;1.5wt.%から2.5wt.%のNi;0.4wt.%から0.7wt.%のCu;1.2wt.%から1.8wt.%のMo;0.14wt.%から0.18wt.%のC;0.02wt.%から0.05wt.%のNb;0.04から0.07wt.%のNおよび0から1.0wt.%のSiを含む、<1>に記載の方法。
<4>
前記金属部品が、以下の特性:1000MPaから1900MPaの引張強度、640MPaから1500MPaの降伏強度、3.0%から25.0%の伸長度、および375から600の硬度(HV)を有している、<1>に記載の方法。
<5>
前記層は2.0ミクロンから200ミクロンの厚さを有している、<1>に記載の方法。
<6>
溶融が、30J/mmから500J/mmの範囲のエネルギー密度を有するレーザービームまたは電子ビームにより達成される、<1>に記載の方法。
<7>
前記金属部品は、窒素および/またはアルゴン雰囲気内で構築される、<1>に記載の方法。
<8>
前記金属部品は、300℃以下の温度に予熱された基材上で構築される、<1>に記載の方法。
<9>
前記金属部品が900℃を超える温度での溶体化、続いてガス急冷を受ける、<1>に記載の方法。
<10>
冷却後の前記金属部品は150℃以上の温度で焼戻しされる、<9>に記載の方法。
<11>
焼戻し後の前記金属部品は、少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも900MPaの降伏強度、少なくとも1.0%の伸長度、および少なくとも475の硬度(HV)を示す、<10>に記載の方法。
<12>
前記金属部品は、表面から4.0mmの深さまで炭素のレベルを増加させるために浸炭されている、<1>に記載の方法。
<13>
前記金属部品は、表面から400μmの深さまで窒素のレベルを増加させるために窒化される、<1>に記載の方法。
<14>
合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも4つの元素を含む、<1>に記載の方法。
<15>
前記合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも5つの元素を含む、<1>に記載の方法。
<16>
前記合金が、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNを含む、<1>に記載の方法。
<17>
CrおよびMoの元素と、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからの少なくとも3つの元素とを含む1つ以上の鉄系合金層を含む3D印刷された金属部品であって、Crは10.0wt.%から19.0wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から3.0wt.%で存在し、Cは0から0.35wt.%で存在し、Niは0から5.0wt.%で存在し、Cuは0から5.0wt.%で存在し、Nbは0から1.0wt.%で存在し、Siは0から1.0wt.%で存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、前記合金組成物の残余はFeを含有し、
前記層は、2.0ミクロンから200.0ミクロンの範囲にある厚さを有しており、
前記印刷された金属部品は、少なくとも1000MPaの引張強度、少なくとも640MPaの降伏強度、少なくとも3.0%の伸長度および少なくとも375の硬度(HV)を示している、印刷された金属部品。
<18>
Crは10.0wt.%から18.3wt.%で存在し、Moは0.5wt.%から2.5wt.%で存在し、Cは0から0.30wt.%で存在し、Niは0から4.0wt.%で存在し、Cuは0から3.5wt.%で存在し、Nbは0から0.7wt.%で存在し、Siは0から0.7wt.%存在し、およびNは0から0.25wt.%で存在し、残余はFeである、<17>に記載の印刷された金属部品。
<19>
前記合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも4つの元素を含む、<17>に記載の印刷された金属部品。
<20>
前記合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNから選択される少なくとも5つの元素を含む、<17>に記載の印刷された金属部品。
<21>
前記合金は、C、Ni、Cu、Nb、SiおよびNを含む、<17>に記載の印刷された金属部品。
<22>
前記部品は、1000MPaから1900MPaの引張強度、640MPaから1500MPaの降伏強度、3.0%から25.0%の伸長度、および375から600の硬度(HV)を示している、<17>に記載の印刷された金属部品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C、CrおよびMoの元素と、Ni、Cu、Nb、SiおよびNからなる群より選択される少なくとも2種の元素とを含む、金属部品の3D印刷用の合金であって、
Cは0.1wt.%から0.35wt.%で存在し、
Crは10.0wt.%から19.0wt.%で存在し、
Moは0.5wt.%から3.0wt.%で存在し
iは0から5.0wt.%で存在し、
Cuは0から5.0wt.%で存在し、
Nbは0から1.0wt.%で存在し、
Siは0から1.0wt.%で存在し、および
Nは0から0.25wt.%で存在し
金組成物の残余はFeを含む、
金属部品の3D印刷用の合金
【請求項2】
Cは0.1wt.%から0.30wt.%で存在し、
Crは10.0wt.%から18.3wt.%で存在し、
Moは0.5wt.%から2.5wt.%で存在し、
Niは0から4.0wt.%で存在し、
Cuは0から4.0wt.%で存在し、
Nbは0から0.7wt.%で存在し、
Siは0から0.7wt.%存在し、および
Nは0から0.25wt.%で存在する
請求項1に記載の合金
【請求項3】
Crは10.5wt.%から19.0wt.%で存在する、請求項1に記載の合金。
【請求項4】
Moは0.89wt.%か3.0wt.%で存在する、請求項1に記載の合金。
【請求項5】
Cは0.1wt.%から0.25wt.%で存在する、請求項1に記載の合金。
【請求項6】
i、Cu、Nb、SiおよびNからなる群より選択される少なくとも3種の元素を含む、請求項1に記載の合金
【請求項7】
i、Cu、Nb、SiおよびNからなる群より選択される少なくとも4種の元素を含む、請求項1に記載の合金
【請求項8】
i、Cu、Nb、SiおよびNを含む、請求項1に記載の合金
【請求項9】
前記金属部品が、以下の特性:1000MPa以上の引張強度、640MPa以上の降伏強度、1.0%以上の伸長度、および375以上の硬度(HV)を有している、請求項1に記載の合金。
【請求項10】
前記金属部品が、以下の特性:1000MPaから1900MPaの引張強度、640MPaから1500MPaの降伏強度、1.0%から25.0%の伸長度、および375から600の硬度(HV)を有している、請求項1に記載の合金
【請求項11】
000MPa以上の引張強度、900MPa以上の降伏強度、1.0%以上の伸長度、および475以上の硬度(HV)を示す、請求項に記載の合金
【請求項12】
粉末形態である、請求項1に記載の合金。
【請求項13】
前記粉末形態の合金は1から200ミクロンの範囲の直径を有する粒子を含む、請求項12に記載の合金。
【請求項14】
前記粉末形態の合金は3から70ミクロンの範囲の直径を有する粒子を含む、請求項12に記載の合金。
【請求項15】
前記粉末形態の合金は噴霧(atomization)により製造される、請求項12に記載の合金。
【請求項16】
前記噴霧は、ガス噴霧(gas atomization)及び水噴霧(water atomization)の少なくとも一方を含む、請求項15に記載の合金。
【請求項17】
少なくとも部分的に固相-液相-固相変換を利用した3D印刷によって前記金属部品を形成するように構成された、請求項1に記載の合金。
【請求項18】
前記固相-液相-固相変換は少なくとも部分的に粉末床溶融結合(PBF)を含む、請求項17に記載の合金。