(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166109
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】アデノウイルスコートタンパク質由来送達賦形剤
(51)【国際特許分類】
C12N 15/34 20060101AFI20221025BHJP
C07K 14/075 20060101ALI20221025BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221025BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20221025BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221025BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221025BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221025BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221025BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221025BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20221025BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20221025BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20221025BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221025BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20221025BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20221025BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20221025BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20221025BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20221025BHJP
【FI】
C12N15/34
C07K14/075 ZNA
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/21
C12N1/19
C12N5/10
C12P21/02 C
C12N7/01
A61P31/12
A61P37/04
A61K39/00 A
A61K39/12
A61K38/17
A61K47/64
A61K35/761
【審査請求】有
【請求項の数】39
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125445
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2018551787の分割
【原出願日】2017-03-31
(31)【優先権主張番号】16163372.2
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514157526
【氏名又は名称】ザ ヨーロピアン モレキュラー バイオロジー ラボラトリー
(71)【出願人】
【識別番号】501455677
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィーク
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】ベルジュ アンル
(72)【発明者】
【氏名】ガルゾン フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ファンデル パスカル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウイルス様粒子(VLP)にアセンブルされている改変ペントンベースのプロトマーをべースとした、新規のアデノウイルスコートタンパク質をベースとした送達賦形剤を提供する。
【解決手段】ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合する、少なくとも1つのアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含む改変ポリペプチドであって、前記アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントが、(i)非アデノウイルスポリペプチドにも特異結合し、及び/又は(ii)薬物又は標識に共有結合又は非共有結合している、改変ペプチドを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合する、少なくとも1つのアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含む改変ポリペプチドであって、
前記アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントが、
(i) 非アデノウイルスポリペプチドにも特異結合し、及び/又は
(ii) 薬物又は標識に共有結合又は非共有結合している
改変ペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、ファイバータンパク質フラグメントが下記配列を含む改変ポリペプチド。
X58-F-N-P-V-Y-P-Y-X59(配列番号43)
ここで
X58は、S、D及びTからなる群から選択され、好ましくはS又はDであり、より好ましくはSであり;そして
X59は、E、D及びGからなる群から選択され、好ましくはE又はDであり、より好ましくはEである。
【請求項3】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、前記非アデノウイルスポリペプチドが、免疫原性ペプチド、病原体中和ペプチド、ウイルスペプチド、細菌ペプチド、免疫調節ペプチド、及び癌ペプチドから構成される群から選択されたものである改変ポリペプチド。
【請求項4】
請求項3に記載の改変ポリペプチドであって、前記ウイルスペプチドが、配列番号: 55、配列番号: 56、配列番号: 57、配列番号: 58、配列番号: 59及び配列番号: 60)から構成される群から選択されたものである改変ポリペプチド。
【請求項5】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、プロテアーゼ切断部位を含む改変ポリペプチド。
【請求項6】
請求項5に記載の改変ポリペプチドであって、プロテアーゼ切断部位が配列特異的エンドペプチダーゼ切断部位である改変ポリペプチド。
【請求項7】
請求項6に記載の改変ポリペプチドであって、配列特異的エンドペプチダーゼ切断部位がTEV切断部位である改変ポリペプチド。
【請求項8】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、前記薬物が、化学療法薬、抗病原薬、免疫調節薬、及び抗炎症薬の群から選択される改変ポリペプチド。
【請求項9】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントの2,3,4,5,6,7又は8回反復を含む改変ポリペプチド。
【請求項10】
請求項9に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントの2または3の連続した反復を含む改変ポリペプチド。
【請求項11】
請求項9に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントの反復が頭から尾方向に配置される改変ポリペプチド。
【請求項12】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントがN末端ファイバー配列の50個以下の連続したアミノ酸の長さを有する改変ポリペプチド。
【請求項13】
請求項12に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントがN末端ファイバー配列の20個以下の連続したアミノ酸の長さを有する改変ポリペプチド。
【請求項14】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントが非アデノウイルスポリペプチドのN末端に配置される改変ポリペプチド。
【請求項15】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、非アデノウイルスポリペプチドとアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントとの間にペプチドリンカーを含む改変ポリペプチド。
【請求項16】
請求項1に記載の改変ポリペプチドであって、結合残基を含む改変ポリペプチド。
【請求項17】
請求項16に記載の改変ポリペプチドであって、結合残基が、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントのN及び/又はC末端に挿入及び/又は位置決めされる改変ポリペプチド。
【請求項18】
請求項17に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントが、下記配列を有している改変ポリペプチド。
X58-F-N-P-V-Y-P-Y-X59-(X63)n-Xc (配列番号: 69)
ここで
X58は、S、D及びTなる群から選択され; 又
X59は、E、D及びGからなる群から選択され;
X63はいずれの場合も独立して存在する任意のアミノ酸であり;
Xcは結合残基であり、; そして
nは0~10の整数である。
【請求項19】
請求項17に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントが、下記配列を有している改変ポリペプチド。
A-K-R-A-R-L-S-T-X58-F-N-P-V-Y-P-Y-X59-D-E-Xc(配列番号: 76)
ここで
X58は、S、D及びT、好ましくはS又はDからなる群から選択され、より好ましくはSであり;
X59は、E、D及びG、好ましくはE又はDからなる群から選択され、より好ましくはEであり; 又
Xcは結合残基である。
【請求項20】
請求項17に記載の改変ポリペプチドであって、アデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントが、配列番号: 77の配列を有している改変ポリペプチド。
【請求項21】
請求項16に記載の改変ポリペプチドであって、結合残基がLys,Cys,Asp及びGluからなる群から選択されたものである改変ポリペプチド。
【請求項22】
請求項1に記載のポリペプチドをコード化する核酸。
【請求項23】
請求項1に記載の改変ポリペプチドをコード化する核酸を含む発現ベクター。
【請求項24】
ポリペプチドをコード化するクローニングベクターであって、
該ポリペプチドが、非アデノウイルスペプチドをコードする核酸を、C及び/又はN末端に導入するために適合されたペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含むクローニングベクター。
【請求項25】
請求項1に記載の改変ポリペプチドをコード化する発現ベクターを含む組換え宿主細胞。
【請求項26】
非アデノウイルスペプチドをコードする核酸を、C及び/又はN末端に導入するために適合されたペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含むポリペプチドをコード化するクローニングベクターを含む組換え宿主細胞。
【請求項27】
5つのアデノウイルスペントンベースプロトマー、およびアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに結合する少なくとも1つの請求項1の改変ポリペプチドを含む五量体を12個含むウイルス様粒子(VLP)。
【請求項28】
請求項27のウイルス様粒子(VLP)であって、請求項1の改変ポリペプチドを60個まで含み、それらのそれぞれが、アデノウイルスペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバー結合クレフトに結合するウイルス様粒子(VLP)。
【請求項29】
請求項27のウイルス様粒子(VLP)であって、各アデノウイルスペントンベースプロトマーは、第1のRGDループ、第2のRGDループ、可変ループ(Vループ)、アデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト及び/又はN末端ドメインを含む改変ポリペプチドであり、更に、各アデノウイルスペントンベースプロトマーは、第1のRGDループ又は第2のRGDループ又は第1と第2の両方のRGDループ及び/又はVループ中に1つ以上の非アデノウイルスペプチドを含み、改変VLPsにアセンブルすることができるウイルス様粒子(VLP)。
【請求項30】
請求項29のウイルス様粒子(VLP)であって、改変アデノウイルスペントンベースプロトマーは、第1、第2、第1と第2の両方のRGDループ、及び/又はVループにおいて少なくとも1つの標的特異的結合ドメインを含むウイルス様粒子(VLP)。
【請求項31】
請求項29のウイルス様粒子(VLP)であって、改変アデノウイルスペントンベースプロトマーは、ペントンベースプロトマーのNまたはC末端に非アデノウイルスタンパク質を含むウイルス様粒子(VLP)。
【請求項32】
請求項29のウイルス様粒子(VLP)であって、改変アデノウイルスペントンベースプロトマーは、ペントンベースプロトマーの第1、第2、第1と第2の両方のRGDループ、及び/又はVループ、及び/又はN末端ドメインにおいてヘテロ異形結合残基を含み、ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインのN末端が下記配列によって規定され、
X1-G-R-N-S-I-R(配列番号44)
ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインのC末端が以下のように規定され:
D-X2-R-S-R-G(配列番号45)
ここで 、
X1は、G及びEからなる群から選択され、
X2は、D及びEからなる群から選択される
ウイルス様粒子(VLP)。
【請求項33】
請求項29のウイルス様粒子(VLP)であって、改変アデノウイルスペントンベースプロトマーは、ペントンベースプロトマーの第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループの2つ以上のアミノ酸と及び/又はペントンベースプロトマーのVループの2つ以上のアミノ酸と共有結合又は非共有結合した薬物、標識及び/又はポリペプチドを含むウイルス様粒子(VLP)。
【請求項34】
請求項29のウイルス様粒子(VLP)であって、改変アデノウイルスペントンベースプロトマーは、ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトにおいて少なくとも1つのヘテロ異形結合残基を含むウイルス様粒子(VLP)。
【請求項35】
請求項1に記載する改変ポリペプチドの製造方法であって、以下の工程を有する製造方法。
(a)請求項1の改変ポリペプチドをコード化する核酸を含む発現ベクターを含む組換え宿主細胞を提供する工程。
(b)改変ポリペプチドを発現させる工程、および
(c)改変ポリペプチドを精製する工程。
【請求項36】
請求項27に記載のVLPを製造する方法であって、請求項1の改変ポリペプチドをアデノウイルスペントンベースプロトマーと混合する工程を含むVLPを製造する方法。
【請求項37】
疾患及び/又は患者に特異的な非アデノウイルスペプチドを含む、請求項27によるVLPを製造する方法で、以下の工程を有するVLPを製造する方法。
(a)疾患又は患者に特異的な非アデノウイルスペプチドのアミノ酸配列を確定する工程、
(b)ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトおよび及び前記非アデノウイルスペプチドの少なくとも1つを含む改変ポリペプチドを合成する工程、及び
(c)該改変ポリペプチドをアデノウイルスペントンベースプロトマーと混合する工程。
【請求項38】
請求項1の改変ポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項39】
請求項27のVLPを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アデノウイルスコートタンパク質ベースの新規の送達賦形剤に関する。 該賦形剤はVLPにアセンブルする改変ペントンベースプロトマーである。ペントンベースタンパク質の露出部は改変可能で、VLPをあらゆる標的に特異的に結合し、及び/又はあらゆる望ましいペプチドエピトープを包含することができる。追加的なカーゴ、例えば、薬剤、ポリペプチド、タンパク質、又は核酸は、EGファイバータンパク質フラグメントを経由して、可逆的に又は不可逆的にVLPに付着する。本発明は、上述のEGペントンベースプロトマー、ペントンベースプロトマーに結合することが可能なファイバータンパクフラグメントを包含するEGタンパク質、EGペントンバースプロトマーを包含するVLP、及び選択的には、ファイバータンパク質フラグメント、EGタンパク質をコードする核酸を含むEGタンパク質、VLP、並びにタンパク質及びVLPを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝染病は今も世界中の人々を苦しめ、大量に死に至らしめている。こういった脅威に対抗するために現在利用可能な手段の中で、ワクチン接種は特に強力であることが証明されている。天然痘は絶滅されているし、はしか、ポリオ、そして破傷風はワクチン接種により世界的に抑え込まれている。しかしながら、特に、新しい病気、又は、病原性を促進する属性を有する病原種として適応し、出現している新種のウイルスなどによる深刻な脅威が人々の健康に脅威を与え続けている。
【0003】
最近のこのような例として、蚊に刺されることによって人間に伝染する昆虫由来のウイルスによる重大な脅威、チクングニア熱 及びジカ熱がもたらされている。この2つのウイルスとも蚊を宿主としてアジアとヨーロッパに急速に拡大しており、重大な警鐘となっている。 チクングニア熱及びジカ熱は潜在的に感染した地域共同体及び経済圏に大きな損害を及ぼす可能性があり、このような脅威に対して強力なワクチン接種戦略が強く求められている。しかし、今日、強力なワクチンは全くと言っていいほど不足している。
【0004】
理想的には、ワクチンは安全で、非複製的で、効果が高く、微調整が可能であることである。さらに言えば、ワクチンは工業的規模で容易に製造されることである。組み換えウイルス様粒子(VLPs)はそういった意味で理想的なワクチンとなりうる可能性を持っており、それ故、期待も大である。本提案において、われわれはVLPワクチンの創出を試みる。われわれは、驚くほどの多様性と生物学的類似性を持つADDomer(アデノウイルス12面体由来マルチマー)を利用する。ADDomer は、ウイルスを原因とする伝染病(チクングニヤ熱、ジカ熱、その他)と戦うワクチンの候補を創出に役立つと考えられる。
【0005】
ADDomerは、ヒトアデノウイルス血清型3(HAd3)複製サイクル(内部化に触媒作用を付与する)中に本来生起するウイルス様粒子(VLP)由来の合成足場である((Fender, P., et al. (2012) J Virol 86, 5380-5385)。ADDomer は、この天然のVLPから由来する設計された生物学的類似性を持っており、自律的に自己アセンブルして12面体となる適性を保持している。ADDomerは、十分に柔軟性を有した露出ループによって多重ペプチド及びタンパク質エピトープを表出改変するのに特に適している。これらのループを改変することにより、ADDomer粒子の全体的な構造を破壊しなくなる。これらのループは、合成生物学による方法を利用して、例えばウイルス病原体から高度に免疫原生を有するペプチドエピトープを挿入するための適当な方法を提供する。ADDomerは伝染病に対してワクチン開発に限定されない。がん治療を含む、ADDomr技術による潜在的に広範囲な用途が予想される。さらに、ADDomerはペプチドエピトープのみを表示することができない。タンパク質又はタンパク質ドメインはADDomerによって同様に露出され、顕著にその用途を拡大している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の発明者は、ペントンベースプロトマーにおける特定部位はペントンベースプロトマーのペントンサブユニットへのアセンブルを阻害することなく異種ペプチド配列を導入し、その代わりに、ウイルス様粒子(VLP)を形成するペントン12面体(ADDomerとも呼ぶ)を自己アセンブルする。この設計は実にモジュール式で、マルチペプチド・ディスプレイに対する拡張ループの迅速で柔軟性のある機能化を可能とする。このモジュール性(modulariity)は、ペントンベースプロトマーと特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質であるアデノウイルスファイバータンパク質フラグメントを用いることにより更に高まる。本発明のVLPは、それが遺伝物質を包含しないので安全である。ペントンベースプロトマーは、抗体、中和ポリペプチド、オンコエピトープ・ポリペプチド、単鎖抗体、及びナノボディを含む180個に至る外来ペプチドモチーフを受け取り、表示することができる。
従って、最初の様態において、本発明は、アデノウイルスペントンベースプロトマーを含む改変ポリペプチドに関する。ここにおいて、該ペントンベースプロトマーは、第一RGDループ、第2RGDループ、可変ループ(Vループ)、アデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト、及び/又は、N項ドメインを包含し、以下の一つ以上を含む。
(i) 第1、第2、第1と第2の両方のRGDループ、及び/又はVループにおいて少なくとも1つの標的特異的結合ドメイン;及び/又は
(ii) 第1、第2、第1と第2の両方のRGDループ、及び/又はVループにおいて1以上の非アデノウイルスペプチド;及び/又は
(iii) ペントンベースプロトマーのN及び/又はCの末端において非アデノウイルスポリペプチド;及び/又は
(iv) 第1、第2、第1と第2の両方のRGDループ、Vループにおいて、及び/又はペントンベースプロトマーのN末端ドメインにおいて少なくとも1つの異種カプリングの残留。ここで、ペントンベースプロトマーt内のN末端ドメインのN末端は以下のように定義される。
X1-G-R-N-S-I-R (配列番号: 44)
そして、ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインのC末端は以下のように定義される。
D-X2-R-S-R-G (配列番号: 45),
ここに、
X1はGとEを構成する群から選択され、そして、
X2はDとEを構成する群から選択され、及び/又は
(v) 第1、第2又は第1と第2の両方RGDループの1以上のアミノ酸、及び/又はペントンベースプロトマーのVループの1以上のアミノ酸と共有結合的に、又は非共有結合的に結合した薬剤又はポリペプチド、及び/又は
(vi) ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトにおける少なくとも1つの異種カプリング残留
ここにおいて、第1様態の改変ポリペプチドは好ましくはVLPにアセンブルすることができる。
【0007】
第2の様態において、本発明は、ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合する、少なくとも1つのアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを有する改変ポリペプチドに関係する。:
(i) 非アデノウイルスポリペプチド、及び/又は
(ii) 薬剤又はラベルに共有結合的又は非共有結合的に結合する。
第3の様態において、本発明は、該発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーを有する改変ポリペプチドをコードする核酸、及び/又は、ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを有する該発明の改変ポリペプチドに関する。
【0008】
第4の様態において、本発明は、該発明の拡散を有する発現ベクターに関する。
【0009】
第5の様態において、本発明はクローニングベクターエンコードに関する:
(i) アデノウイルスペントンベースプロトマーを有するポリペプチドであり、該ペントンベースプロトマーは、第1RGDループ、第2RGDループ及び/又は可変ループをコードする核酸に、核酸エンコード非アデノウイルスポリペプチドを導入するのに適合したアデノウイルスファイバータンパク質に対する第1RGDループ、第2RGDループ、可変ループ、及び/又は結合部位を含有している。又は、
(ii) C末端及び/又はN末端における非アデノウイルスペプチドをコードする核酸を導入するために適合したファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを有するポリペプチド。
【0010】
第6様態において、本発明は、該発明の発現ベクター、又は該発明のクローニングベクターを有する組み換え宿主細胞に関する。
【0011】
第7の様態において、本発明は、該発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーを有する5個の改変ポリペプチドを有する5量体に関する。
【0012】
第8の様態において、本発明は、該発明の12個の5量体を有するVLPに関する。
【0013】
第9の様態において、本発明は、それぞれが5個のアデノウイルスペントンベースプロトマー及び、ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを包括する該発明の少なくとも1個の改変ポリペプチドを有する12個の5量体を有するVLPに関する。
【0014】
第10の様態において、本発明は、該発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーを有する改変ポリペプチド、及び/又は、以下の工程を有するファイバータンパク質を結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを有する該発明の改変ポリペプチドを製造するための方法に関する。
(a) 該発明の組み換え宿主細胞を提供する。
(b) 改変ポリペプチドを発現する。
(c) 改変ポリペプチドを精製する。
【0015】
第11の様態において、該発明の第10様態の方法を含む該発明のVLPを製造するための方法、及び改変ポリペプチドをVLPにアセンブル可能にする次の工程。
【0016】
第12様態において、本発明は、以下の工程を含有する病気及び/又は患者に特有な非アデノウイルスポリペプチドを製造するための方法に関する。
(a) 該発明のクローニングベクターを提供する。
(b) 病気又は患者に特有な非アデノウイルスポリペプチドのアミノ酸配列を確定する。
(c) 少なくとも1個の該非アデノウイルスポリペプチドを、第1RGDループ、第2RGDループ、及び/又はアデノウイルスペントンベースプロトマーの可変ループをコードする核酸に、及び/又はファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有する改変ペプチドのN末端又はC末端をコードする核酸の直前又は直後の核酸の位置に挿入する。
(d) ファイバータンパク質を結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有する改変ポリペプチドと選択的に一緒に宿主細胞において改変アデノウイルスペントンベースプロトマーを発現する。
(e) 選択的にファイバータンパク質を結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有するVLP、又は、ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有する該改変ポリペプチドを精製する。
【0017】
第13様態において、本発明は、病気及び/又は患者に特有な非アデノウイルスポリペプチドを含有する該発明のVLPを製造するための方法に関する。それには以下の工程が含まれる:
(a) 該発明のクローニングベクターを提供する。
(b) 病気又は患者に特有な非アデノウイルスポリペプチドの核酸配列を確定する。
(c) 少なくとも1個の非アデノウイルスポリペプチドを、ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有するETGポリペプチドのN末端又はC末端をコードする核酸の直前又は直後の核酸の位置に挿入する。
(d) ファイバータンパク質を結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有する改変ポリペプチドをアデノウイルスペントンベースロトマーと選択的に一緒に宿主細胞において発現する。
(e1) ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有する該改変ポリペプチドを精製し、アデノウイルスペントンベースプロトマー又は該発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーと混合する。
(e2) アデノウイルスペントンベースプロトマーが共発現した場合、該VLPを精製する。
【0018】
第14様態において、本発明は、病気及び/又は患者に特有な非アデノウイルスポリペプチドを含有する該発明のVLPを製造するための方法に関し、以下の工程を含む:
(a) 病気又は患者に特有な非アデノウイルスポリペプチドのアミノ酸配列を確定する。
(b) ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有する該発明の改変ポリペプチドと該非アデノウイルスポリペプチドの少なくとも1個とを合成する。
(c) 該改変ポリペプチドをアデノウイルスペントンベースプロトマーと混合するか、該発明の改変アデノウイルスペントンベースプロトマーを該発明の五量体又は該発明のVLPとを混合する。
【0019】
第15様態において、本発明は、該発明のVLPを製造する補法によって製造可能なVLPに関する。
【0020】
第16様態において、本発明は、該発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーaを含有する該発明の改変ポリペプチドを含有するか及び/又はファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマー、該発明の改変タンパク質の1以上をコードする核酸、該発明の発現ベクター又は該発明のVLPを含有する改変ポリペプチドを含有し、医薬的にキャリア及び/又は適当な賦形剤として受容可能な医薬組成物に関する。
【0021】
第17様態において、本発明は、該発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーを含有する改変ポリペプチド、及び/又は、ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマー、該発明の1以上の改変ポリペプチ、伝染病、免疫病又はがんの治療及び/又は予防のための該発明のVLPを含有する該発明の改変ポリペプチドに関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】VLPとも呼ばれる本発明の合成自己組織化多量体足場を示す。5つのプロトマーが1つのペントンサブユニットを形成し、12のペントンが自発的に自己組織化して、VLP又はADDomerとも呼ばれる大きな上部構造になる。
【
図2】ペントンの側面図。ペントンプロトマーは、2つの高度にヘテロ異形のRGDループと、保存されていない広範に変化する長さ及び配列の1つの可変ループ(Vループ)を含む。これに関して、本発明者らは、それらが抗体CDRと類似であることを確定し、得られたVLPが任意の所望の標的に結合することを可能にする結合部位を導入するのに適していることを確定している。これは、多様なエピトープのディスプレイに適しており、VLPあたり最大180個のエピトープを表示することができる。
【
図3】ペントンベースのプロトマーは、アデノウイルスファイバータンパク質と相互作用する領域(粘着パッチ)を含む。この粘着性パッチは、「ステッカー(STICKER)」とも呼ばれるアデノウイルスファイバーのフラグメントに、サブナノモル親和性で結合することができる。これらのファイバーフラグメントは、結合親和性を増加させるために多量体化されることが好ましい。 STICKERnタグ(nは好ましくは2~4)は、VLPに付着するタンパク質のC及び/又はN末端に融合させることができるか、又は、他の任意のカーゴに共有的に又は、非共有的に結合させることができる。このように、STICKERnタグは、VLPペプチド、タンパク質、核酸、リポソーム、及びVLPによって送達される他のあらゆるカーゴの表面上に表示する能力を提供する。 1つのADDomerには、STICKERタグ付きカーゴに結合するための12の部位がある。1つの実施形態では、ペントンベースのプロトマー上の粘着性パッチは、カップリング残基、好ましくはCysを含むように修飾され、粘着性パッチ中のCysを非還元条件下でCysを含むように修飾し、 STICKERnタグは共有結合を形成することができ、共有結合は還元条件下で切断される。
【
図4】ADDomersの製造プロセスを図式的に示す。 ADDomersは、高収率で製造され、精製が容易であり、特別に安定的である。 pACEBac-ADDOMERベクターは、第1及び第2のRGDループならびに希望する任意のペプチド鎖、例えば、特異的な結合活性を与えるペプチド及び/又は抗原性エピトープで容易に置換され得るVループをコードする3つの領域を有する。
【
図5】ペントンベースのプロトマーは、「ストランドスワッピング」として知られる、12面体にアセンブルするときに隣接するプロトマーと相互作用する領域を含む。関連するアミノ酸残基のシステインへの突然変異は、共有ジスルフィド結合形成によるVLPスーパー構造の安定化をもたらし、ADDomerを熱安定性をもたらす。システインに変異した鎖交換ストランドスワッピング残基を表す概略図を示す。
【
図6】表示の配列は種全体にわたって高度に保存されている。アラインメントは、異なる天然の血清型による野生型ペントンベース配列を示す。表示される配列は:小群C Ad2、受託番号PO3276;小群B Ad3、S41389;小群B Ad7、AAR89958;小群B Ad11、AAP49205;小群F Ad41、AAF14179;小群A Ad12、P36716;小群D Ad17、NP_049379;小群E Ad25、NP_478405;小群D Ad37、CAC82544がアラインされた。Vループはを濃い灰色のボックスで強調表示されている。 RGDループは明るい灰色のボックスで強調表示される。ファイバーに結合するペントンベースプロトマーのそれらのアミノ酸残基は、中間グレーで強調される。それらは全て血清型の間で保存されている。
【
図8】本発明の2つの好ましいクローニングベクターの構造を示す。クローニングベクターの核酸配列は、それぞれ配列番号61及び62で提供される。
【
図9】プラグアンドプレイ発現カセット及びバキュロウイルス転移プラスミド。固有の制限部位に隣接する3つの異なる遺伝子座(暗灰色表示)に「目的のエピトープ」を挿入するために、ADDomerをコードするする遺伝子が設計された。このカセットはpACEBacプラスミドのBamHI/HindIIIに挿入された。目的のエピトープのECoRI/RsrII、BssHII/SalI又はSacI/XbaIのいずれかを用いるBioBrick挿入は、コンストラクトpACEBac-ADDomer2.0において容易に行うことができる
【
図10】ADDomer2.0の熱安定性。精製ADDomerを異なる温度で保存し、続いて電子顕微鏡検査を実施した。室温又は37℃で保存の結果、粒子が完全に保存された。ビルディングブロック(五量体)における解離は、45℃以上の温度でのみ観察された。熱移動アッセイ(TSA)は、37℃までの安定性、45℃を超で、小さな解離の開始及び60℃でのインキュベーションのみによる全変性が確認された。
【
図11】チクングニア熱エピトープ挿入及びエピトープディスプレイの方法。 (a)ADDomer2.0のディスプレイループに組み込まれたアミノ酸配列を上に示す(配列番号78)。主要なチクングニア熱中和エピトープ(暗灰色で強調表示)を挿入した。ペプチドのN末端は、TEV切断部位をコードする余分なアミノ酸を含んでいた(明るい灰色で強調表示)。 (b)エピトープ表示の可能性を概略的に説明する。ADDomer-TevCHIKが発言し、ペプチドの両端がADDomer足場に連結された(「拘束エピトープ」)。 TEVプロテアーゼを用いたインキュベーションは、ペプチドのN末端を「天然様の」コンフィギュレーション(緩和エピトープ)で放出し、(この時点で増殖はニックされている)ADDomer VLPの完全性を十分に維持した。 (c)切断は、SDS-PAGE分析によって経時的にモニターし、完全なADDomer(約60kDa)が予想どおり、43及び17kDaの2つのバンドで効率的に切断されることを示した(左)。切断にもかかわらず、電子顕微鏡検査では、ADDomer足場が破壊されなかったことが確認された(右)。
【
図12】マウス血清によるCHIKエピトープ認識のELISA。8匹のマウス3群にたいして第2週(w2)及び第4週(w4)に10mgのADDomer足場のみ(エピトープ表示ループにおいて抗原性エピトープなし)、ADDomer-TevCHIKADDomer-TevCHIKexp(ループ表示エピトープに露出した「天然様」CHIK抗原性エピトープ、生きていいるチクングニア熱遊離グリコプロテインにみられる遊離N末端離、足場に共有結合的に付着したC末端)又はADDomer-TevCHIK
constr(エピトープ表示ループにおいて「拘束された」CHIK抗原性性エピトープ、ADDomer足場に付着したN及びC末端)。血清は2週間ごとに回収され、CHIK高原性エピトープ認識(希釈1/100)について試験が行われた。た。露出した天然様エピトープを有するADDomer-TevCHIKexpは効率的に応答を誘発する。
【
図13】大規模に伸長したエピトープ表示ループを有するADDomer。 200アミノ酸を含む線状エピトープをADDomer足場のループを表示するエピトープに挿入し、ADDomer足場のみと比較した(挿入なし)。SDS-PAGEゲルは、より高い分子量へのシフト(左)に反映されるような挿入を示す。質量分析法による分析により、分子量(挿入を伴わないADDomer足場については63,573Da;エピトープ表示ループにおける余分な200アミノ酸挿入を含む「延長」ADDについては81,179Da)が確認された)。
【
図14】標的化システイン突然変異を有するADDomerへの「STICKER」ペプチドの共有結合を示す。野生型ADDomer(wt)、及び1つのシステイン突然変異(それぞれ、K363C、Q476C又はA477C)を有するADDomerは、STICKERペプチド(それぞれ、C20(配列番号77)及びC9(配列番号75))とともにインキュベートされた。SDS-PAGE分析が還元(+ bMeSH)及び非還元(-bMeSH)条件下で行われ、PVDF膜に転写した。ADDomer(濃灰色)及びSTICKERペプチド(明灰色)はそれぞれ標識抗体の結合及びアビジン結合によって可視化し、特異的ジスルフィド結合形成によってシステイン突然変異体ADDomerへのSTICKERの結合が証明された(下のパネルの白丸マーク)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を以下に詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル及び試薬に限定されず、これらは様々であってもよいことを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことも理解されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0024】
以下、本発明の要素について説明する。これらの要素は特定の実施形態と共に列挙されているが、追加の実施形態を作成するために任意の方法で任意の数で組み合わせることができることを理解されたい。様々に記載された実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に記載された実施形態のみに限定すると解釈されるべきではない。この説明は、明示的に記載された実施形態を任意の数の開示された及び/又は好ましい要素と組み合わせる実施形態をサポートし含むと理解すべきである。さらに、本明細書に記載されている全ての要素の任意の順列及び組み合わせは、文脈からそうでないことが示されていない限り、本出願の記載によって開示されると考えられるべきである。
【0025】
本明細書の本文中にはいくつかの文献が引用されている。本明細書に引用された各文献(全ての特許、特許出願、科学刊行物、製造者の明細書、指示書などを含む)は、上記又は下記のいずれかにかかわらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書中のいかなるものも、発明が先行発明によってそのような開示よりも先行する資格がないと認めるものとして解釈されるものではない。
【0026】
定義
本発明を実施するために、他に指示がなければ、当該分野の文献で説明されている化学、生化学及び組換えDNA技術の従来の方法が用いられる(参考例:Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、 Sambrook他、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor 1989)。
【0027】
本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて、文脈が他を必要としない限り、「含む(comprise)」という単語及び「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数又はステップ、若しくは整数又はステップのグループを含むこと意味すると理解されるが、他の整数又はステップ又は整数又はステップのグループを除外するものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が明確に別に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0028】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ヌクレオチドモノマーから製造されたポリマー又はオリゴマーの高分子として理解される。ヌクレオチドモノマーは、核酸ベース、5炭素糖(リボース又は2'-デオキシリボースなどであるが、これに限定されない)及び1~3個のリン酸基からなる。典型的には、ポリヌクレオチドは、個々のヌクレオチドモノマー間のホスホジエステル結合を介して形成される。言及される本発明の文脈において、核酸分子には、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、及びそれらの混合物、例えば、RNA-DNAハイブリッド、が含まれるが、これらに限定されない。核酸は、例えば、ホスホトリエステル法に従って化学的に合成することができる(例えば、Uhlmann、E.&Peyman、A.(1990)Chemical Reviews、90、543-584を参照のこと)。「アプタマー」は、ポリペプチドに高親和性で結合する核酸である。アプタマーは、SELEmir146-a(例えば、Jayasena(1999)Clin。Chem.、45,1628-50; Klug and Famulok(1994)M. Mol. Biol. Rep.、20、97-107 ; 米国特許第5,582,981号)のような選択方法で、異なる一本鎖RNA分子の大きなプールから単離する。アプタマーは、例えば、L-リボヌクレオチド(Nolteら(1996)Nat。Biotechnol.、14,1116-9; Klussmannら(1996)Nat.Biotechnol、14、1112-5)のように鏡像形態で合成、選択することもできる。このようにして単離された形態は、天然に存在するリボヌクレアーゼによって分解されず、したがってより大きな安定性を有するという利点を有する。
【0029】
用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書中では互換的に使用され、長さ又は転写後改変にかかわらず、アミノ酸の任意のペプチド結合連鎖をいう。本発明に使用可能なタンパク質(タンパク質誘導体、タンパク質変異体、タンパク質フラグメント、タンパク質セグメント、タンパク質エピトープ及びタンパク質ドメインを含む)は、化学改変によってさらに改変することができる。これは、そのような化学的に改変されたポリペプチドが、20個の天然に存在するアミノ酸以外の他の化学基を含むことを意味する。このような他の化学基の例としては、グリコシル化アミノ酸及びリン酸化アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。ポリペプチドの化学変成は、例えば、安定性の向上、生物学的半減期の増加、又は水溶性の増加の内の1つ又は複数のように、親ポリペプチドと比較して有利な特性を提供し得る。
【0030】
本発明の文脈において使用される用語「ペントンベースタンパク質」又は「ペントンベースプロトマー」は、いわゆる「ペントンタンパク質」にアセンブルさられるアデノウイルスタンパク質を指す。各ペントンタンパク質は、5つのペントンベースタンパク質を含む。ペントンタンパク質は、アデノウイルスコートを形成する3つのタンパク質の1つである。他のタンパク質はヘキソン及びファイバーである。アセンブルされたアデノウイルスの構造を
図1の左上隅に示す。本発明で使用されるペントンベースタンパク質は、任意の哺乳動物種に特異的なアデノウイルスに由来する。アデノウイルスは、ヒト又は非ヒト大型アペルウイルスであることが好ましく、チンパンジー(Pan)、ゴリラ(Gorilla)及びオランウータン(Pongo)が好ましく、さらに好ましいのがBonobo(Pan paniscus)及び一般的なChimpanzee(Pan troglodytes)である。当業者であれば、異なるアデノウイルスのペントンベースタンパク質はそのアミノ酸配列が異なるであろうが、そのような天然の変異体は全て「ペントンベースタンパク質」という用語に包含されることが理解できる。さらに、この用語は、天然に存在するペントンベースタンパク質配列の挿入、欠失及び/又は突然変異を含む人工変異体を含む。これらの突然変異は、以下により詳細に記載されるN末端ドメイン、Vループ、第1のRGD、第2のRGDループ及び/又は粘着性パッチ領域の改変に加えて存在する。そのような人工変異体は、人工的に改変されたペントンベースのタンパク質がペントンサブユニットに組み立てられ、これらのうち12個がVLPにアセンブルされる限り、含まれる。好ましくは、人工変異体は、以下に定義されるN末端ドメイン、Vループ、第1のRGD及び第2のRGDループの外側の天然に存在するペントンベースプロトマーと少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは94%、より好ましくは96%、より好ましくは98%の配列同一性をもつ。好ましいペントンベースのタンパク質は、配列番号1~14に示されたものである。上記で定義したペントンベースのタンパク質は、本発明の改変されたペントンベースのタンパク質の基礎である。このように、改変されたペントンベースのタンパク質は、以下にさらに詳細に概説されるように、天然のペントンベースのタンパク質とアミノ酸の挿入、欠失及び変異によって配列が異なる。
【0031】
本発明の文脈において互換的に使用される「改変ポリペプチドがVLPにアセンブルすることができる」又は「VLPにアセンブルする」という語句は、5つのペントンベースプロトマーがペントンタンパク質に自己組織化し、その後12個のペントンタンパク質が小さな球状の粒子、すなわちウイルス様粒子(VLP)に自己アセンブルすることができる、ということを意味する。ペントンタンパク質又は好ましくはVLP構造をアセンブル及び維持する能力は、当技術分野で公知でありかつ本明細書に記載の方法、特に電子顕微鏡(EM)によって確認することができる。VLPに組み立てる能力が評価される好ましい条件は、20℃及び生理的緩衝液条件である。さらに好ましい実施形態では、この用語は、VLPにアセンブルするだけでなく、20℃を超える温度、好ましくは30℃を超える温度、好ましくは40℃を超える温度、より好ましくは45℃を超える温度、さらにより好ましくは50℃の温度で球形を維持する改変ポリペプチドを含む。球形の完全性は、EMによって、好ましくは生理学的緩衝液条件下で評価することができる。
【0032】
本発明の文脈において使用される「第1のRGDループ」という用語は、ペントンプロトマーに含まれる「RGDモチーフ」のN-末端に位置する10~40アミノ酸のポリペプチド配列を指す(
図6参照)。このポリペプチド配列は、異なるアデノウイルス間で高度に発散している。したがって、相同性によって定義することはできないが、そのN末端のN末端に位置する配列によって規定することができる。ペントンプロトマー内のそのC末端は、RGDモチーフによって確定される。.
【0033】
本発明の文脈において使用される「第2のRGDループ」という用語は、ペントンプロトマーに含まれる「RGDモチーフのC末端に位置する10~35アミノ酸のポリペプチド配列を指す(
図6参照)。このポリペプチド配列は、異なるアデノウイルス間で高度に発散している。したがって、それは配列相同性によって規定することはできない。ペントンプロトマー内のそのN末端は、RGDモチーフによって確定される。プロトマー内のそのC末端は、異なるアデノウイルスの間で保存されているそのC末端のC末端端部に位置する配列によって規定することができる。
【0034】
本発明の文脈において用いられる用語「RGDモチーフ」は、アルギニン、グリシン及びアスパラギン酸からなる3アミノ酸長のポリペプチドを指す。このモチーフは、もともとインテグリンへの結合を媒介するものとしてフィブロネクチンにおいて同定された。 RGDモチーフは、多くの他の受容体にも存在し、細胞-基質相互作用及び細胞-細胞の相互作用の両方を媒介する。本発明の改変ポリペプチドのペントンプロトマー中のRGDモチーフは無傷であってもよく、又はペントンプロトマーがもはやインテグリンに結合しないように突然変異していてもよい。
【0035】
本発明の文脈において使用される用語「可変ループ」は、アデノウイルスペントンベースのβシートシートb3とβシートb4との間に位置する配列に対応する。このループの長さ及びアミノ酸組成は両方とも血清型の中で非常に可変である。
図6では、可変ループに対応するシーケンスが緑色で強調表示されている。
【0036】
本発明の文脈において使用される用語「N末端ドメイン」は、ペントンベースプロトマーのN末端における高度に保存された領域を指す。タンパク質のこの部分は、α1及びα2ヘリックス、β1及びβ2シートならびにB及びCドメインを含む(
図6参照)。これは、ペントンベースプロトマー間の相互作用に関与し、したがって、構成部分、例えば、ペントンベースプロトマー間の相互作用を安定化させるカップリング残基などの導入に適している。
本発明の文脈において使用される「アデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト」という用語は、アデノウイルスファイバータンパク質との相互作用表面を形成するペントンベースプロトマーの折り畳み構造(fold)を指す。
図6に示すように、結合クレフトは、異なるアデノウイルス間で保存されているポリペプチド配列のいくつかの非連続ストレッチによって形成される。
【0037】
本明細書を通して使用される「標的特異的結合ドメイン」という用語は、標的への特異的結合を促進するポリペプチドを指す。そのような標的特異的結合ドメインの結合は、それがそれぞれの標的に対して最も高い親和性で、限定的により低い親和性、例えば、10倍低い、好ましくは少なくとも100倍低い親和性で関連アミノ酸配列を有する標的に結合する場合、所与の標的に特異的であると考えられる。
【0038】
本発明において使用される「標的」という用語は、分子がある結合親和性を有するか、分子が特異的に結合する天然の存在する細胞又は分子構造を指す。標的は、1以上のエピトープを含み得る。抗原は、標的の好ましい例である。
【0039】
本発明の文脈において使用される「抗原」という用語は、免疫応答の分子によって認識される任意の構造を指すもので、抗体、T細胞受容体(TCR)などがある。抗原は、身体に対して外来性又は毒性であり得るか、又は特定の疾患に付随する細胞性タンパク質であり得る。抗原は、適応免疫系の高度に可変性の抗原受容体(B細胞受容体又はT細胞受容体)によって認識され、体液性免疫応答又は細胞性免疫応答を誘発し得る。そのような応答を誘発する抗原は、免疫原とも称される。細胞内のタンパク質の一部は、それらが外来であるか細胞であるかにかかわらず、より小さなペプチドに加工され、主要組織適合複合体(MHC)によって提示される。小さなペプチドフラグメントがT細胞レセプターによって結合される場合、細胞性免疫応答が誘発される。細胞表面抗原は、サイトカイン受容体、インテグリン、細胞接着分子、細胞型特異的細胞表面抗原、組織特異的細胞表面抗原、細胞表面発現腫瘍関連抗原、分化抗原のクラスター又は炭水化物の群から選択することができる。
【0040】
本発明の文脈において使用される用語「特異的結合」はエピトープのような標的に強く結合することを意味しており、この場合、第2の標的の解離定数よりも低い解離定数(Kd)で第1の標的に結合するすると、他の法的への結合に比べて特異的になる。標的は、その標的に対してある親和性で結合するそれらのリガンドによって認識され、したがって、そのそれぞれの標的へのリガンド結合は、生物学的効果をもたらす。好ましくは、結合は特異的であり、高親和性で、好ましくはK dは 10 -7、10 -8、10 -9、10 -10 M以下とする。そのような親和性は、好ましくは37℃で測定される。適切なアッセイには、表面プラズモン共鳴測定(例えば、Biacore)、水晶マイクロバランス測定(例えば、Attana)、及び競合アッセイが含まれる。
【0041】
本発明の文脈において使用される用語「抗体」は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する糖タンパク質であり、抗体及び免疫グロブリンという用語は、しばしば互換的に使用される。抗体は、形質細胞によって製造されたタンパク質分子を指し、細菌やウイルスなどの異物を同定し中和するために免疫系によって使用される。抗体は、外来標的の固有の部分、その抗原を認識する。
【0042】
本明細書で使用される「抗体フラグメント」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。この用語に含まれる結合フラグメントの例としては、抗原フラグメント結合(Fab)フラグメント、Fabフラグメント、F(ab ')2フラグメント、重鎖抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)、単鎖フラグメント可変(scFV)、重鎖フラグメント、フラグメント可変(Fv)、VHドメイン、VLドメイン、単一ドメイン抗体、ナノボディ、IgNAR(免疫グロブリン新規抗原受容体)、di-scFv、二重特異性T-細胞(BITE)、二重親和性再標的(DART)分子、三重体、二重特異性抗体、単鎖二重特異性抗体、代替骨格タンパク質及びそれらの融合タンパク質がある。
【0043】
本明細書中で使用される用語「二重特異性抗体」は、異なる抗原に結合し得る融合タンパク質又は二価抗体を指す。二重特異性抗体は、抗体のフラグメント、すなわち可変フラグメントを含む2つの単一のタンパク質鎖から構成される。二重特異性抗体は、同じポリペプチド鎖(VH-VL又はVL-VH)上の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。 2つの可変ドメインを連結する短いペプチドを使用することにより、ドメインは別の鎖の相補的ドメインと対になるように強制され、したがって2つの抗原結合部位を作り出す。二重特異性抗体は、同一(単一特異性)又は異なる抗原(二重特異性)を標的とすることができる。
【0044】
本発明の文脈において使用される「単一ドメイン抗体」という用語は、抗体の単一の単量体可変ドメインからなる抗体フラグメントを指す。単に、それらは、ラクダ科動物又は軟骨魚によって製造される重鎖抗体の単量体重鎖可変領域のみを含む。それらの異なる起源のため、それらはVHH又はVNAR(可変性新規抗原受容体)フラグメントともされる。あるいは、単一ドメイン抗体は、遺伝子工学の使用により従来のマウス又はヒト抗体の可変ドメインを単量体化することで得ることができる。それらは、約12~15kDaの分子量を示し、従って、抗原認識が可能な最小の抗体フラグメントである。さらなる例には、ナノボディ又はナノ抗体が含まれる。
【0045】
本明細書の文脈内で使用される「抗体模倣物」という用語は、抗体と同様に抗原に特異的に結合することができるが、抗体と構造的に関連しない化合物を指す。通常、抗体模倣物は、抗原に特異的に結合する1つ、2つ又はそれ以上の露出ドメインを含む約3~20kDaの分子量を有する人工ペプチド又はタンパク質である。例えば、とりわけ、LACI-D1(リポタンパク質関連凝固阻害剤);アフィリン、例えば、ヒトγ-B結晶又はヒトユビキチン;シスタチン; Sulfolobus acidocaldariusのSac7D;リポカリン及びリポカリンに由来するアンチカリン; DARPins(設計されたアンキリンリピートドメイン); FynのSH3ドメイン;プロテアーゼ阻害剤のKunitsドメイン;モノボディー、例えば。フィブロネクチンの第10番目のIII型ドメイン; adnectins:knottins(システインノットミニタンパク質);アトリマ;例えば、 CTLA4ベースの結合剤、アフィボディ、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)由来のプロテインAのZドメイン由来の3ヘリックスバンドル;トランスボディー、例えば。ヒトトランスフェリン;テトラネクチン類、例えば。単量体又は三量体のヒトC型レクチンドメイン;例えば、トリプシン阻害剤-II;アフィリン;アルマジロリピートタンパク質。核酸及び小分子は時に抗体模倣物(アプタマー)と考えられるが、人工抗体、抗体フラグメント及びこれらから構成される融合タンパク質は考慮されていない。抗体に対する一般的な利点は、より良好な溶解性、組織浸透、熱及び酵素に対する安定性、及び比較的低い生産コストである。
【0046】
本明細書で使用される用語「Kd」(通常「モル/L」で測定される、時には「M」と略記される)は、結合部分(例えば、抗体又はそのフラグメント)と標的分子(例えば、抗原又はそのエピトープ)との間の個別相互作用の乖離平衡定数を指す。Kdを測定する方法には、ELISA及び表面プラズモン共鳴アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の文脈において使用される「抗原決定基」としても知られる「エピトープ」という用語は、免疫系、特に抗体、B細胞又はT細胞によって認識される巨大分子の部分である。本明細書中で使用される場合、「エピトープ」は、本明細書に記載の抗体(例えば、抗体又はその抗原結合フラグメント)に結合することができる巨大分子の一部である。エピトープは、通常、アミノ酸又は糖側鎖などの化学的に活性な表面の分子群からなり、通常、特異的な三次元構造特性ならびに特異的な電荷特性を有する。立体配座及び非立体配座エピトープは、変性溶媒の存在下で、前者への結合ではなく後者への結合が失われるという点で区別することができる。
【0047】
本明細書で使用される「立体配座エピトープ」は、該高分子の三次元構造によって形成される線状高分子(例えば、ポリペプチド)のエピトープを指す。本出願の文脈において、「立体配座エピトープ」は、「不連続エピトープ」、すなわち巨大分子の一次配列(例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列)中の少なくとも2つの別個の領域から形成される巨大分子(例えばポリペプチド)上の立体配座エピトープである。換言すれば、エピトープが、本発明の抗体(又はその抗原結合フラグメント)が同時に結合する一次配列中の少なくとも2つの別個の領域からなる場合、エピトープは、本発明の文脈において「立体構造的エピトープ」であると考えられる。この場合、これらの少なくとも2つの別個の領域は、本発明の抗体(又はその抗原結合フラグメント)が結合しない一次配列中の1つ又は複数の領域によって中断されている。好ましくは、そのような「立体配座エピトープ」はポリペプチド上に存在し、一次配列中の2つの別個の領域は、本発明の抗体(又はその抗原結合フラグメント)が結合する2つの別個のアミノ酸配列であり、この場合、少なくとも2つの別個のアミノ酸配列が、本発明の抗体(又はその抗原結合フラグメント)が結合しない一次配列中のもう1つのアミノ酸配列によって中断される。好ましくは、中断アミノ酸配列は、抗体(又はその抗原結合フラグメント)が結合しない2つ以上のアミノ酸を含む連続アミノ酸配列である。本発明の抗体(又はその抗原結合フラグメント)が結合する少なくとも2つの別個のアミノ酸配列は、その長さに関して特に限定されない。このような別個のアミノ酸配列は、前記少なくとも2つの別個のアミノ酸配列内のアミノ酸の総数が抗体(又はその抗原結合性フラグメント)と抗体との間の特異的結合を達成するのに十分大きい時に限り、ただ1つのアミノ酸及び立体配座エピトープで構成してもよい。
【0048】
本発明の文脈において使用される「アデノウイルスファイバータンパク質」という用語は、ペントンプロトマーに非共有結合し、及び、アデノウイルスの宿主細胞への付着を助けるアデノウイルスタンパク質を指す。
【0049】
本明細書を通じて、「配列同一性」という用語は、ポリペプチド及びポリヌクレオチド配列の比較に関して使用される。 2つの配列が比較され又配列同一性パーセンテーを計算する基準配列が特定されていない場合は、別段の指示がない限り、配列同一性は、比較されるべき2つの配列のうちより長いものを基準として計算する。基準配列が指示されている場合、別段の指示がない限り、配列同一性は、SEQ IDで示される基準配列の全長に基づいて確定される。例えば、基準の300長アミノ酸ポリペプチド配列と比較した200アミノ酸からなるポリペプチド配列は、66.6%(200/300)で、150アミノ酸長の配列では、配列同一性の最大配列同一性率は50%(150/300)である。 150アミノ酸のうち15アミノ酸が300アミノ酸長基準配列のそれぞれのアミノ酸と異なる場合、配列同一性のレベルは45%に低下する。ヌクレオチド及びアミノ酸配列の類似性、すなわち配列同一性率は、配列アライメントを介して確定することができる。このような整列は、幾つかの既知アルゴリズム、好ましくは、Karlin and Altschul(Karlin&Altschul(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877)の数学的アルゴリズム、hmmalign(HMMERパッケージ、http://hmmer.wustl.edu/)又はCLUSTALアルゴリズム(Thompson、JD、Higgins、DG&Gibson、TJ(1994)Nucleic Acids Res。22、4673-80)を用いて実行できる。これらは、 http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/又はhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.html又はhttp://npsa-pbil.ibcp.fr / cgi-bin / npsa_automat.pl?page = / NPSA / npsa_clustalw.htmlで入手できる。使用される好ましいパラメータは、http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/又はhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.htmlで設定されているデフォルトパラメータである。配列同一性(配列一致)の程度は、例えば、 BLAST、BLAT又はBlastZ(又はBlastX)により計算できる。同様のアルゴリズムが、AltschulらのBLASTNおよびBLASTPプログラム(1990J.Mol. Biol. 215:403-410)に組み込まれている。BLASTNプログラム(スコア= 100、ワード長= 12)を用いて、BLASTポリヌクレオチド検索を行う。
BLASTタンパク質プログラム(スコア= 50、ワード長= 3)を用いて、BLASTタンパク質検索を行う。比較目的のためのギャップ付きアラインメントを得るために、Altschul et al,(1997)Nucleic Acids Res. 25:3389-3402で説明しているGapped BLASTを利用する。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータを使用する。配列一致分析は、Shuffle-LAGAN(Brudno M.、Bioinformatics 2003b、19 Suppl 1:I54-162)又はマルコフランダムフィールドのような確立された相同性マッピング技術によって補完してもよい。本出願において配列同一性率が参照される場合、特に示さない限り、これらの比率は、より長い配列の全長を基準として計算される。 「ハイブリダイゼーション」は、2つの核酸配列間の配列同一性又は相同性の尺度として使用することもできる。 F、N、又はM2-1、又はこれらのいずれかの一部をコードする核酸配列は、標準ハイブリダイゼーション技術に従ってハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者に公知であり、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、NY、6.3.1-6.3.6,1991に見出すことができる。「中程度のハイブリダイゼーション条件」は、 30℃で2×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でハイブリダイゼーションした後、50℃で1×SSC、0.1%SDSで洗浄することと同等である。 「高度に厳しい条件」は、45℃での6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーションとそれに続く65℃で0.2×SSC、0.1%SDS中での洗浄と等価であると定義される。
【0050】
本発明の文脈において使用される「カップリング残基」という用語は、共有結合を形成することができる側鎖を有する天然又は非天然のアミノ酸を指す。カップリング残基は、本発明のポリペプチドに挿入することができる。カップリング残基がDNAによってコードされる天然に存在するアミノ酸である場合、カップリング残基の挿入は、本発明のポリペプチドの発現を導くDNAの改変を必要とするだけである。例えば、そのようなアミノ酸又は既存のコドンの変異をコードするコドンの挿入である。この用語の意味における結合残基である天然に存在するアミノ酸の好ましい例は、Asp、Glu、Lys及びCysである。 Cysは、環境の酸化還元状態に応じて他のCysとジスルフィド結合を形成するので特に好ましい。特に、後者は、2つの別々のポリペプチド間の安定した相互接続の形成を可能にする。
【0051】
本発明の文脈において使用される「標識」という用語は、診断目的に適した任意の種類の化合物を指す。好ましい化合物は、蛍光色素、放射性同位体及び造影剤から選択される。造影剤は、体内の異常な領域を示すのに役立つ染料又は他の物質である。一実施形態では、用語「標識」は、二価又は三価の金属カチオンと錯体を形成するキレート剤を含む化合物を指す。好ましい放射性同位体/蛍光発光同位体は、18F、51Cr、67Ga、68Ga、111In、99mTc、140La、175Yb、153Sm、166Ho、88Y、90Y、149Pm、177Lu、47Sc、142Pr、159Gd、212Bi、72As、72Se、97Ru、109Pd、105Rh、101m15Rh、119Sb、128Ba、123I、124I、131I、197Hg、211At、169Eu、203Pb、212Pb、64Cu、67Cu、188Re、186Re、198Au及び199Agなどのアルファ線放射同位体、ガンマ線放射同位体、オージェ電子放射同位体、X線放射同位体、蛍光放射同位体からなる群から選ぶ。好ましい蛍光染料は次の染料等級から選択する:キサンテン類(例えばフルオレセイン)、アクリジン類(例えばアクリジンイエロー)、オキサジン類(例えばオキサジン1)、シニン類(例えばCy7 / Cy3)、スチリル染料類(例えば染料-28)、Coumarines (例えば、Alex Fluor 350)、蛍光タンパク質(例えば、APC、R-フィコエリトリン)、ナノクリスタル(例えばQuantumDot 705)、ペリレン(例えば、ルモゲンレッドF300)、Phtalocyanines (例えば、IRDYE(商標)700DX)、ならびにこれらのクラスの染料のコンジュゲート及び組み合わせ。好ましい造影剤は、常磁性剤、例えば、 Gd、Eu、W及びMnなど、好ましくはキレート化剤と錯体化されたものから選択する。上記以外のオプションは、超原子価鉄(Fe)錯体及び粒子、原子番号の高い原子を含む化合物、すなわちコンピュータ断層撮影(CT)用のヨウ素、マイクロバブル及びこれらの造影剤を含むリポソームなどのキャリアである。
【0052】
用語「薬物」は、本発明の文脈において、患者において予防的、治療的又は緩和的効果を誘発する任意の化合物を指す最も広い意味で理解されるべきである。好ましくは、それは、例えば、500D未満の分子サイズの小分子である。
【0053】
本発明の文脈における「リンカー」は、例えば、薬剤又は標識の本発明の第1態様の改変されたポリペプチドのような、可撓的及び立体的に2つの化学的部分を分ける任意の化学的部分をいう。好ましいリンカーは、少なくとも10:1、好ましくは少なくとも20:1、より好ましくは少なくとも50:1以上の長さ対幅比を有する部分である。好ましくは、リンカーは線状分子である。リンカーによって連結された2つの部分は、共有結合又は非共有結合、好ましくはリンカーのそれぞれの末端に共有結合されていることが好ましい。
【0054】
本発明の文脈における「ペプチドリンカー」は、本発明の改変されたポリペプチド内の2つの部分を立体的に分離するアミノ酸配列、すなわちポリペプチドを指す。典型的には、このようなリンカーは、1~100個、好ましくは3~50個、より好ましくは5~20個のアミノ酸からなる。したがって、そのようなリンカーは、最小長さが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のアミノ酸であり又最大長さは100、95、90、85、80、75、70、65、60、55の最大長さ、50、45、40、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、又は15アミノ酸以下である。ペプチドリンカーは、連結された2つの部分の間に柔軟性を提供することもできる。このような柔軟性は、アミノ酸が小さい場合には一般に増加する。したがって、可撓性ペプチドリンカーでは、小さなアミノ酸、特にグリシン及び/又はアラニン、及び/又はセリン、スレオニン、アスパラギン及びグルタミンのような親水性アミノ酸の含有量が増えている。好ましくは、ペプチドリンカーのアミノ酸の20%、30%、40%、50%、60%又はそれ以上が小さなアミノ酸となる。
【0055】
「調製物」及び「組成物」という用語は、活性化合物、例えば、担体及び/又は賦形剤をもつ本発明のVLPを含む。
【0056】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府又は州政府の規制機関によって承認された若しくは米国薬局方又は動物、特にヒトにおける使用のために一般的に認められている薬局方で承認されていることを意味する。
【0057】
本明細書で使用される「キャリア」という用語は、治療上有効な成分と共に投与される希釈剤、賦形剤、界面活性剤、安定剤、生理学的緩衝溶液又は賦形剤(ビヒクル)などの薬理学的に不活性な物質を指すが、これらに限定しない。そのような医薬キャリアは、液体であっても固体であってもよい。液体キャリアとしては、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などの石油、動物、植物又は合成起源のものを含むが、これらに限定されない、水及び油中の食塩水などの滅菌液体が挙げられる。生理食塩水及びデキストロース及びグリセロール水溶液も、特に注射液用の液体キャリアとして使用することができる。食塩水は、医薬組成物が静脈内投与される場合の好ましいキャリアである。適切な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0058】
適切な医薬品「賦形剤」には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。
【0059】
「界面活性剤」には、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、トリトンX-100、及びポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65及びポリソルベート80などのポリソルベート類などの、ただしこれらに限定しない、アニオン性、カチオン性及び非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0060】
「安定剤」には、マンニトール、スクロース、トレハロース、アルブミン、ならびにプロテアーゼ及び/又はヌクレアーゼアンタゴニストが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の文脈で使用することがある「生理学的緩衝溶液」には、限定されないが、塩化ナトリウム溶液、脱塩水、ならびにリン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、HEPES緩衝液([4(2ヒドロキシエチル)ピペラジノ]エタンスルホン酸)又はMOPS緩衝液(3モルホリノ-1プロパンスルホン酸)などを含むが、これらに限定しない。それぞれの緩衝液の選択は、一般に、所定の緩衝液モル濃度に依存する。リン酸緩衝液は、例えば注射溶液及び注入溶液に適している。
【0061】
「アジュバント」という用語は、組成物の活性成分に対する免疫応答を、細胞又は体液のいずれかのレベルで、増強、刺激、活性化、強化又は調節する薬剤を指す。例えば、免疫アジュバントは実際の抗原に対する免疫系の応答を刺激するが、それ自体免疫学的効果はない。このようなアジュバントの例には、無機アジュバント(例えばリン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムなどの無機金属塩)、有機アジュバント(例えばサポニン又はスクアレン)、油性アジュバント(例えばフロイントの完全アジュバント及びフロイントの不完全アジュバント)サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-2、IL-7、IL-12、IL-18、GM-CFS及びINF-γ)、微粒子アジュバント(例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、リポソーム又は生分解性ミクロスフェア)、virosomes、バクテリアアジュバント(例えば、monophosphoryl脂質A又はmuramylペプチド)、合成アジュバント(例えば、非イオン性ブロックコポリマー、ムラミルペプチドアナログ、又は合成脂質A)、又は合成ポリヌクレオチドアジュバント(例えば、ポリアルギニン又はポリリジン)を含むが、これらに限定されない。
【0062】
「有効量」又は「治療有効量」は、意図された目的を達成するのに十分な治療剤の量である。所与の治療剤の有効量は、薬剤の性質、投与経路、治療剤を受ける動物のサイズ及び種、及び投与の目的などの因子によって変化する。個々の場合における有効量は、当該技術分野における確立された方法に従って当業者によって経験的に確定されてもよい。
【実施例0063】
本発明は、とりわけ、先行技術に対して以下の利点を提供する:(i)抗原及び/又は標的の特異結合ドメインの挿入/表示のための容易に改変された足場であって、患者の必要性及びウイルスの表面抗原に合わせて調整することができ、(ii)例えば高熱のような不良貯蔵条件下でさえも、例えばワクチン接種で使用できるような組成、(iii)1つ又は複数の抗原を提供するための非常に高密度の賦形剤、(iv)さらなる抗原又は他の活性をその場で加えるためのファイバー(STICKER)タンパク質の使用。
【0064】
したがって、第1態様では、本発明は、アデノウイルスペントンベースのプロトマーを含むか、本質的にそれからなるか又は構成される改変ポリペプチドに関するものであり、前記ペントンベースのプロトマーは、第1のRGDループ、第2のRGDループ、可変ループ(Vループ)、アデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト及び/又はN末端ドメインを含み、以下の2つ以上を含む:
(i) 第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループ及び/又はVループ中の少なくとも1つの標的特異的結合ドメイン;及び/又は
(ii) 第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループ及び/又はVループの1つ又は複数の非アデノウイルスポリペプチド;及び/又は
(iii) ペントンベースプロトマーのN末端及び/又はC末端の非アデノウイルスポリペプチド;及び/又は
(iv) 第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループ、Vループ及び/又はペントンベースプロトマーのN末端ドメインにおける少なくとも1つの異種結合残基であって、ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインの末端は、以下のように定義される:
X1-G-R-N-S-I-R(配列番号44)
又、ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインのC末端は以下のように定義される:
D-X2-R-S-R-G(配列番号45)、
ここで
X1はG及びE、好ましくはEからなる群から選択され、又
X2は、D及びE、好ましくはEからなる群から選択され、及び/又は
(v) 第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループの2つ以上のアミノ酸と及び/又はペントンベースプロトマーのVループの2つ以上のアミノ酸と共有結合又は非共有結合した薬物、標識及び/又はポリペプチ;及び/又は
(vi) ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトの少なくとも1つの異種カップリング残基であって、改変されたポリペプチドは、好ましくは、VLPに組み立てることができる。
【0065】
上記の実施形態の1つにおいて、残基又は残基群、例えば、標的特異的結合ドメイン、2つ以上の非アデノウイルスポリペプチド又は少なくとも1つの異種結合残基は、ペントンベースタンパク質の特定の領域に含まれることが示されル場合、この残基又は残基群は、それぞれ示されたペントンベースタンパク質に挿入、すなわち、追加されてもよいが、又はそれぞれ示された第1 RGDループ、第2RGDループを形成する一つ又は全てのアミノ酸に挿入されても、追加されてもよく、及び/又はVループでは、VLPに組み立てる能力に影響を与えることなく削除することもできる。
【0066】
本発明の第1態様の改変されたポリペプチドの好ましい実施形態は、アデノウイルスペントンベースプロトマーを含むか、本質的にそれからなるか又は構成され、ここで、上記ペントンベースプロトマーは、第1のRGDループ、第2のRGDループ、可変ループ(Vループ)、アデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト及び/又はN末端ドメインを含み又第1、第2及び第1及び第2の両方のRGDループ及び/又はVループに1つ又は複数の非アデノウイルスポリペプチドを含む;場合によってはさらに以下の1つ又は複数をさらに含む:
(i) 第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループ及び/又はVループに少なくとも1つの標的特異的結合ドメインを含む;及び/又は
(ii) ペントンベースプロトマーのN末端及び/又はC末端の非アデノウイルスポリペプチド;及び/又は
(iii) 第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループ、Vループ及び/又はペントンベースプロトマーのN末端ドメインにおける少なくとも1つの異種結合残基であって、ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインの末端は、以下のように定義される:
X1-G-R-N-S-I-R(配列番号44)
又、ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインのC末端は以下のように定義される:
D-X2-R-S-R-G(配列番号45)、
ここで
X1は、G及びE、好ましくはEからなる群から選択され、又
X2は、D及びE、好ましくはEからなる群から選択され;及び/又は
(iv) 第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループの2つ以上のアミノ酸と及び/又はペントンベースプロトマーのVループの2つ以上のアミノ酸と共有結合又は非共有結合した薬物、標識及び/又はポリペプチ;及び/又は
(v) ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトの少なくとも1つの異種カップリング残基であって、改変されたポリペプチドは、好ましくは、VLPに組み立てることができる。
【0067】
第1、第2又は第1及び第2の両方のRGD ループ及び/又はVループの少なくとも1つの標的特異的結合ドメインは、ペントンベースプロトマー、したがってアセンブルされたVLPに標的構造、例えば、細胞表面の細胞受容体と特異的に結合する能力を提供する。ペントンベースのプロトマーのこれらの部分が、ペントン又はVLP形成を乱すことなくかなりの長さの標的特異的結合ドメインを含むことができることは、本発明者らの驚くべき発見である。さらに、これらの領域に含まれる標的特異的結合ドメインは、自由に標的と自由に相互作用し、標的に結合する。 1つ又は複数の標的特異的結合ドメインは、それぞれのループの任意の点に挿入でき、すなわちループアミノ酸のいずれかを除去することはない。あるいは、それぞれのループアミノ酸の全部又は一部を標的特異的結合ドメインのアミノ酸で置換してもよい。標的特異的結合ドメインは、ペプチドリンカーによってN末端及び/又はC末端に隣接していてもよい。
【0068】
ペントンベースのプロトマーが2つ以上の標的特異的結合ドメインを含む場合、これらがペントンベースのプロトマーの異なるループ、例えば、第1及び第2RGDループ、第1RGdループ及びVループ、又は第2RGDループとVループに含まれることが好ましい。ペントンベースプロトマーが2つ以上の標的特異的結合ドメインを含む場合、それらが異なる標的、例えば、第1のタイプの細胞上の標的及び第2のタイプの細胞上の異なる標的と結合することも好ましい。そのような二重又は多重特異性は、相互に通常の又は頻繁な相互作用しない細胞をまとめるために使用され得る。そのような細胞の例は、腫瘍細胞及び免疫系の細胞、特に細胞傷害性T細胞である。
【0069】
上に概説した2つ以上の他の代替実施形態と組み合わせることができる代替実施形態(ii)において、第2のRGDループ又は第1及び第2の両方のRGDループ及び/又はVループは非アデノウイルスポリペプチドを含む。この実施形態はまた、ペントンベースプロトマーのこれらの領域の1つ以上に挿入されたポリペプチドが免疫系の細胞によって認識され、したがって免疫応答を誘発するのに十分に曝露されるという驚くべき観察に基づく。 「非アデノウイルス」ポリペプチドという用語は、アデノウイルス、特に少なくとも5アミノ酸の長さにわたって天然に存在するアデノウイルスペントンベースプロトマーに存在する任意のポリペプチドと配列同一性を有さないポリペプチドを指す。好ましくは、非アデノウイルスポリペプチドは、少なくとも10アミノ酸、好ましくは少なくとも15アミノ酸のストレッチにわたってアデノウイルスに存在する任意のポリペプチドと配列同一性を有さない。 1つ又は複数の非アデノウイルスポリペプチドは、それぞれのループの任意の点で、すなわちループアミノ酸のいずれも除去することなく、それぞれ独立して挿入することができる。あるいは、それぞれのループアミノ酸の全部又は一部を標的特異的結合ドメインのアミノ酸で置換してもよい。 1つ又は複数のループに含まれる非アデノウイルスポリペプチドは、ペプチドリンカーによってN末端及び/又はC末端に隣接していてもよい。これは、VLPの表面上の非アデノウイルス性ポリペプチドの曝露を増加させるために好ましいことがある。少なくとも1つの非アデノウイルスポリペプチドが各ループに挿入される場合、各ペントンベースのプロトマーは、その表面上に少なくとも3つの同一又は異なる非アデノウイルスポリペプチドを含む。一度VLPに組み立てられると、少なくとも180個の非アデノウイルスポリペプチドが本発明のVLPの表面に表示され得る。
【0070】
驚くべきことに、本発明者らは、50アミノ酸以上、100アミノ酸以上、150アミノ酸以上、200アミノ酸以上、250アミノ酸以上又は300アミノ酸以上の長いアミノ酸配列を第1、第2又は第1及び第2両方のRGDループ、及び/又はVループにおいて、ペントンタンパク質に、続いてVLPにアセンブルする能力を破壊することなく導入できる可能性を発見した。したがって、(i)及び/又は(ii)の実施形態では、上記長さのアミノ酸配列をもつ上記の長さのアミノ酸配列を挿入してもよい(それぞれのループを有するいくつかのアミノ酸の欠失の有無にかかわらず)。
【0071】
(i)及び(ii)で示される代替の実施形態が組み合わされる場合、非アデノウイルスタンパク質が標的特異的結合ドメインとは異なるループに挿入されることがさらに好ましい。
本発明者らは、ペントン基質プロトマーのN末端及び/又はC末端のいずれかに位置するポリペプチドがペントン及びそれに続くVLPアセンブリと干渉せずまたアセンブルされたVLP中で表面露出されることを観察した。したがって、さらなる代替の実施形態(iii)において、非アデノウイルスポリペプチドは、介在ペプチドリンカーの有無に関係なく、ペントンベースプロトマーのN末端及び/又はC末端に連結され得る。したがって、第1及び/又は第2の実施形態と組み合わせると、ペントンベースのプロトマーは、1つ又は複数のループ、好ましくは3つのループすべてにおいて、ならびにN末端、C末端又はN及びC末端に非アデノウイルスポリペプチドを含み得る。この代替実施形態は、他の代替実施形態(i)、(iii)、(iv)、(v)及び/又は(vi)の少なくとも1つと組み合わせられることが好ましい。
【0072】
異種ペプチド配列をV-ループ、第1のRGD-ループ及び/又は第2のRGD-ループ(それぞれ示されたループの全て又は一部の付随する欠失の有無にかかわらず)に挿入する可能性に関する本発明者の観察は、前述の代替実施形態の1つ又は複数と組み合わせることができるさらに別の実施形態(iv)を導く。この実施形態では、少なくとも1つの異種結合残基が、第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループ及び/又はVループに導入される。 1つ又は複数の結合残基の挿入により、さらなる分子をループに共有結合させることが可能になる。例えば、1つ以上のループに1つ以上の結合残基を含む、第1態様の改変ポリペプチドからVLPが最初に組み立てられ、引き続いて結合残基を含むポリペプチドがVLPに共有結合されることが想定される。この戦略を使用して、ポリペプチドでVLPの表面を「装飾する」ことが可能である。そのようなVLPは、そのようなポリペプチドに対する体液性及び/又は細胞性免疫応答を誘発するために使用され得る。
【0073】
さらに、本発明者らは、「ペントンベースプロトマーのN末端ドメイン」と呼ばれるペントンベースプロトマー内の領域を同定した。このドメインは、ペントン内のペントンベースプロトマーと、VLPを形成するペントン間の相互作用との相互作用に関与する。この領域への結合残基の挿入は、同じ又は別個のペントン内の2つ以上のペントンベースプロトマー間の共有結合の形成を可能にする。そのような共有結合の形成は、ペントン及び組み立てられたVLPを安定化させる。N末端ドメインは、異なるアデノウイルス種間で高度に保存されている。したがって、ペントンベースプロトマー内のこのドメインのN末端及びC末端をさらに詳細に描写することが可能である。したがって、1つ又は複数の結合残基がN末端ドメインに含まれることが好ましい。結合残基は、既存のアミノ酸を置換してもよく又はN末端ドメインを形成するアミノ酸に加えて挿入されてもよい。 1つ以上の結合残基がN末端ドメイン内の残基を置換することが好ましい。ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインのN末端は、以下のように定義されることが好ましい:
X1-G-R-N-S-I-R(配列番号44)
ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインのC末端は、以下のように定義されることが好ましい:
D-X2-R-S-R-G(配列番号45)、
ここで
X1はG及びE、好ましくはEからなる群から選択され、及び
X2は、D及びEからなる群から選択される。
【0074】
したがって、この代替実施形態(iv)では、1つ又は複数の結合残基が、上記N及びC末端領域によって画定された本発明の改変ポリペプチドに含まれるペントンベースプロトマーのアミノ酸配列内に含まれる。当業者であれば、この実施形態では、配列番号 44又は45内の1つ又は複数のアミノ酸残基を置換することも可能であることが理解されよう。結合残基は、ペントン又はVLPのアセンブリを妨害しない限り、N末端ドメイン内の任意の場所に位置してもよい。
【0075】
第1の実施形態の選択肢(i)~(vi)に従って改変することができる好ましいプロトマーアミノ酸配列は配列番号 64(コード化ヌクレオチド配列は配列番号 63で示す)である。実施形態(i)による少なくとも1つの標的特異的結合ドメインの挿入、及び/又は実施形態(ii)による1つ以上の非アデノウイルスペプチドの挿入、及び/又は実施形態(iv)による1つ以上の異種結合残基の挿入、及び/又は実施形態(v)による第1、第2又は第1及び第2の両方のRGDループ及び/又はVループの1つ又は複数のアミノ酸への薬物又はポリペプチドの共有結合又は非共有結合は、配列番号 64のアミノ酸312~339の間の第1RGDループ及び/又は配列番号 64のアミノ酸343~367の間の第2RGDループ及び/又は配列番号 64及び/又は配列番号 64のアミノ酸150~178の間のVループにおいて生じる。そのような挿入により、第1及び第2のRGDループ及びVループに属するそれぞれ示されたアミノ酸のすべて又は一部を削除することができる。
【0076】
好ましくは、ジスルフィド結合形成を可能にするために、結合残基のPAIR、好ましくはシステインへの突然変異が存在する必要がある。この結果得られる安定化されたVLPは、120個までのジスルフィド結合を含み、少なくとも数ヶ月間は、37℃、時には42℃でも超安定である。特に好ましい実施形態では、結合残基は、配列番号 64、すなわちヒトAd B3に基づくペントンベースプロトマーミノ酸、を基準とするアミノ酸位置51及び54又は別のアデノウイルスのペントンベースプロトマーの類似位置又は配列番号 64を基準とするアミノ酸位置54及び113、若しくは別のアデノウイルスのペントンベースプロトマーの類似位置に位置する。
【0077】
アミノ酸位置53(配列番号:1を基準)での結合残基は、アミノ酸位置543(配列番号:64を基準)の又は別のアデノウイルスのペントンベースプロトマーの類似位置の結合残基と共有結合を形成することができることがさらに発見された。後者の残基はN末端ドメインの外側にある。したがって、結合残基が位置53に挿入される場合、第2の結合残基が配列番号:64を基準とするアミノ酸541に又は別のアデノウイルスのペントンベースプロトマーの類似位置に配置されることが好ましい。
図6を参照して、さらにペントンベースタンパク質をアライメントに含めることによって、当業者は、アミノ酸と類似の位置、配列番号:64の51,53,54,114及び541を占めるそれぞれのペントンベースプロトマー中の残基を容易に確定することができる。
【0078】
本発明の改変ポリペプチドのこの実施形態では、ペントンベースプロトマーが以下の配列を含むことが好ましい。
P-T-X1-Xc-R-N-Xc-I-R(配列番号: 50)。
P-T-X1-G-R-Xc-S-I-R(配列番号: 51)及びT-Q-T-I-N-X60-Xc-X61(配列番号: 52)
又は
P-T-X1-G-R-N-Xc-I-R(配列番号: 53)及び
T-C-P-Xc-V-X62-K-A-L-G(配列番号: 54)
ここで
X1はG及びE、好ましくはEからなる群から選択される
Xcは各場合のは結合残基、好ましくはCであり; D、E及びK、最も好ましくはC;
X60は、F、I及びL、好ましくはF及びL、最も好ましくはFからなる群から選択され、
X61は、D及びE、好ましくはEからなる群から選択され;また
X62は、H及びY、好ましくはYからなる群から選択される。
【0079】
特に、好ましい安定化されたペントンベースプロトマーは、配列番号: 65~67によるアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。さらに、これらのアミノ酸配列は、この代替態様がN端末ドメインに関わらない場合に限って、代替態様(i)、(ii)、(iii)、(iv) 又は上記の発明の第1態様の(v)又は(vi)に従って1 つ以上の改変を含むことが好ましい。
実施形態(i)による少なくとも1つの標的特異的結合ドメインの挿入、及び/又は実施形態(ii)による1つ以上の非アデノウイルスペプチドの挿入、及び/又は実施形態(iv)による少なくとも1つの異種結合残基の挿入、及び/又は第1、第2及び第1及び第2の両方のRGDループの1つ又は複数のアミノ酸並びに実施形態(v)によるVループの1つ以上のアミノ酸への薬物又はポリペプチドの共有結合又は非共有結合が配列番号:65~67のアミノ酸312~339の間で発生すること及び/又は第2 RGDループへの挿入が配列番号:65~67のアミノ酸150~178の間で発生すること及び/又はVループへの挿入が配列番号:65~67のアミノ酸65~67の間で発生することが好ましい。このような挿入は、第1及び第2のTGDループ及びVループに属するそれぞれ示されたアミノ酸のうちの全部又は一部を削除することがある。
本発明の改変タンパク質によって形成されたペントン及びVLPの熱安定化は、本発明の改変タンパク質の他の代替実施形態のいずれかとの関連においても望ましい。従って、N末端ドメインに関連して上記(iv)で言及された代替実施形態は、この代替形態(v)、(vi)がN末端ドメインに関連しない限りは、代替実施形態(i)、(ii)、(iii)、(v)又は(vi)の一つ又は複数と組み合わせることが好ましい。(iv)及び(vi)で言及された代替実施形態が、改変されたペントンベースプロトマー中に存在し、又この代替の実施形態、すなわち、(v)がN末端ドメインに関連しない限り、(i)、(ii)、(iii)、(iv)の1つ以上と組み合わされることが好ましい、
【0080】
本発明の第1態様の他の代替実施形態の1つ又は複数と組み合わせることができる本発明の第1態様のさらなる代替実施形態(v)では、薬剤、標識及び/又はポリペプチドが、第1、第2及び第1及び第2の両方のRGDループの及び/又はペントンベースプロトマーのVループの1つ以上のアミノ酸に共有結合又は非共有結合させる。1つ又は複数のアミノ酸、及び/又はペントンベースプロトマーのVループの1つ以上のアミノ酸に結合することができる。この場合も、この実施形態は、これらの領域への部分結合がペントン及びVLPアセンブリを妨害せず、VJPをこれらの部分で装飾するという観察に基づく。好ましい実施形態では、薬剤又はラベルは、生理学的条件下で切断可能なリンカー、例えば、プロテーゼによって、ペプチドリンカーを介してペントンベースのプロトマーに結合され、それにより、プロテアーゼは作用部位でVLPから薬物を放出する。この好ましい実施形態では、リンカー、好ましくは、ペプチドリンカーは、エンドペプチダーゼ切断部位を含む。
好ましい実施形態では、アデノウイルスファイバーのフラグメントを使用して、部分、例えば、ポリペプチド、薬物、又は標識などを、ペントンベースプロトマー、アセンブルされたペントン及び/又はアセンブルされたVLPに非共有結合的に結合する。この相互作用は、本発明の第1態様の改変ポリペプチド中に存在するペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトを介して媒介される。以下に記載される好ましい実施形態では、ファイバーフラグメントは、ファイバーフラグメントのペントンベースプロトマーへの共有結合のための異種結合残基を含む。結合残基は、カウンターパート、すなわち共有結合を形成し得る残基を必要とするので、ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに含まれる少なくとも1つの異種結合残基は、本発明の第1態様の改変タンパク質のさらに好ましい代替実施形態(vi)である。結合クレフト及びファイバータンパク質フラグメントの結合残基は、ファイバータンパク質フラグメントがペントンベースプロトマーのクレフトに結合すると共有結合の形成を可能にするように配置される。
【0081】
各ペントンベースプロトマーは、本明細書で「ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト」と呼ばれる高度に保存された領域を介して1つのアデノウイルスファイバータンパク質と相互作用する。この相互作用は、さらなる部分、好ましくはポリペプチド、薬物又は標識をペントンベースプロトマーに間接的に付着させ、又本発明の60ペントンベースプロトマーのアセンブリ時に、アセンブルされたVLPの表面上に60以上の部分を現す。したがって、第2態様において、本発明は、少なくとも1つのアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含み又はそれにより構成され又ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合する改変ポリペプチド及び:
(i)非アデノウイルスペプチドと関連し、及び/又は
(ii)薬物又は標識に共有結合又は非共有結合している。
本発明の第2態様の改変ポリペプチドに含まれるペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合する少なくとも1つのアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントは、本明細書を通して、「粘着剤」(STICKER) とも呼ばれる。
【0082】
驚くべきことに、アデノウイルスファイバータンパク質の比較的小さなN末端フラグメントは、ペントンベースプロトマーに特異的に結合するのに十分であった。ファイバーフラグメントが小さいほど、ペントンベースプロトマーに結合することができる部分が大きくなる。さらに、アデノウイルスファイバーフラグメントの長さの短縮は、アデノウイルスファイバーに対して新たな免疫応答が誘発される可能性及び/又はVLPに結合したファイバーが既存の抗ファイバー抗体によって除去される可能性を低下させる。したがって、ファイバーフラグメントは、N末端ファイバー配列の50個以下の連続したアミノ酸の長さを有することが好ましい。フラグメントの長さは、40アミノ酸以下、35アミノ酸以下、30アミノ酸以下、25アミノ酸以下又は20アミノ酸以下であることがより好ましい。ペントンベースプロトマーの結合クレフトへの特異的結合に必要な最小ファイバーアミノ酸配列は、F-N-P-V-Y-P-Yである。この最小配列は、好ましくは、他のアデノウイルスファイバー、好ましくは両側のAd3アミノ酸配列に隣接している。この小さなフラグメントは、汎用性及び/又はVLP表面上の曝露されたエピトープの数を増やすために使用することができる。あるいは、任意のタンパク質又はエピトープ配列へのSTICKERタグの付加は、それらのVLP表面への結合を可能にする。これは、タンパク質を含むSTICKERをVLPでインビトロインキュベーションするか又はバキュロウイルス系における両方の成分の同時発現によって行われる。
【0083】
改変ポリペプチドは、STICKERに隣接するさらなるファイバーアミノ酸配列を含まないことが好ましい。より好ましくは、本発明の第2態様のポリペプチドは、他のアデノウイルスタンパク質又はSTICKER以外のポリペプチドを含まない。
【0084】
驚くべきことに、STICKERは、ペントンベースプロトマーへの結合を妨害されることなく、N-及び/又はC-末端に結合することができることが見出されている。好ましくは、STICKERは、非アデノウイルスポリペプチドのN末端に結合される。このポリペプチドは、本発明のVLPの表面に結合させることが望まれる任意のポリペプチドであり得る。STICKERに結合されるポリペプチドのサイズは、特に限定されない。これは、ペントンベースプロトマーのファイバータンパク質結合クレフトへの特異的結合を依然として可能にする任意のサイズであり得る。改変ポリペプチドは、非アデノウイルスポリペプチドとSTICKERとの間にペプチドリンカーをさらに含み得る。非アデノウイルスポリペプチドがポリペプチドの60個がSTICKERを介して組み立てられたVLPに結合することを妨げるサイズを有する場合、これは必要とされ得る。ペプチドリンカーはまた、STICKERが結合しているN末端及び/又はC末端がポリペプチド内に埋め込まれている状況で有利であり得る。
【0085】
ヒト集団の大部分はヒトAd5に曝露されており、ヒトAd5に対する免疫応答を獲得する記憶B細胞を有する。したがって、ヒトAd5ベースプロトマー及び/又はファイバーが本発明の第1及び第2態様の改変タンパク質に含まれる場合、得られるVLPは、既存の免疫によって循環から除去される可能性がより高い。したがって、好ましい実施形態では、本発明の第1及び/又は第2態様による改変ポリペプチドに含まれるアデノウイルスタンパク質は、ヒト又は非ヒト大型アペイトウイルス、好ましくはチンパンジー(Pan)アデノウイルス、ゴリラ(Gorilla)アデノウイルス及びオランウータン(Pongo)アデノウイルス、より好ましくはBonobo(Pan paniscus)及び一般的なChimpanzee(Pan troglodytes)由来のアデノウイルスペントン及びファイバータンパク質に基づいている。
【0086】
アデノウイルスペントンベースプロトマーを含む改変ポリペプチド及び少なくとも1つのアデノウイルスペントンベースプロトマー結合ファイバータンパク質フラグメントを含む改変ポリペプチドが、WO 2005/071093 及び WO 2010/086189に記載するhAd3, hAd4, hAd5, hAd7, hAd11, hAd26, hAd35 and hAd49, ChAd3, ChAd4, ChAd5, ChAd6, ChAd7, ChAd8, ChAd9, ChAd10, ChAd11, ChAd16, ChAd17, ChAd19, ChAd20, ChAd22, ChAd24, ChAd26, ChAd30, ChAd31, ChAd37, ChAd38, ChAd44, ChAd63 及びを含む群から選択したアデノウイルスのペントン及びファイバータンパク質にそれぞれ基づいていることが好ましい。
【0087】
本発明の第1態様の改変ポリペプチドは、好ましくは、配列番号: 1~14の野生型ペントンベースプロトマーに基づくものであり、すなわち、配列番号: 1~14は、変更前のタンパク質の配列を、上記(i)~(vi)の代替形態に従って反映している。当業者であれば、標的特異的結合ドメインをVループ、第1及び/又は第2のRGDループに挿入することにより、配列番号: 1~14のその部分の配列が変更されることが理解されるであろう。同様に、アミノ酸を結合残基で置換しても、アミノ酸配列を変更するであろう。
【0088】
上記の(i)及び(ii)による改変は、RGDループ及び/又はVループの一方又は両方の改変を必要とする。本発明の改変ポリペプチドの好ましい実施形態では、改変される領域は、大部分のアデノウイルスに共通するコンセンサス配列によって規定される。したがって、これらのコンセンサス配列は、アデノウイルス種由来のいくつかの好ましいペントンベースプロトマーミノ酸配列のアラインメントに基づいており、実施形態に従って改変するペントンベースタンパク質の部分のN末端及びC末端をそれぞれ確定するのに適している(i)又は(ii)のいずれかに記載されたとおりである。好ましくは、ペントンベースプロトマー内の第1のRGDループのN末端は、以下のように定義される。
X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号15)
ここで
X3は、D、E及びNからなる群から選択され、好ましくはDであり;
X4は、V、L及びIからなる群から選択され、好ましくはVであり;
X5は任意のアミノ酸であり、好ましくはA、D、E、K、S及びTからなる群から選択され、より好ましくはTであり;
X6は任意のアミノ酸であり、好ましくはA、D、E及びKからなる群から選択され、より好ましくはAであり;
X7は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはYであり;
X8は、A、D、E、N及びQからなる群から選択され、好ましくはE又はQであり、より好ましくはEであり;
X9は、好ましくはA、D、E、N及びKからなる群から選択される任意のアミノ酸であり、より好ましくはEであり;
X10は、S又はTからなる群から選択され、好ましくはSであり;そして
X11は任意のアミノ酸であり、第1のRGDループのN末端アミノ酸を構成する。
及び/又は
以下の配列は、第1のRGDループのC末端を規定し、同時に、ペントンベースプロトマー内の第2のRGDループのN末端を規定する:
X12-X13-X14-X15-X16(配列番号16)
ここで
X12は任意のアミノ酸であり、第1のRGDループのC末端アミノ酸を構成する。
X13はRであり;
X14はGであり;
X15はDであり;そして
X16は第2のRGDループの任意のアミノ酸及びN末端アミノ酸であり;
及び/又は
以下の配列は、ペントンベースプロトマー内の第2のRGDループのC末端を構成する。
X17-X18-X19-X20-X21-X22-X23-X24(配列番号17)。
ここで
X17は任意のアミノ酸であり、第2のRGDループのC末端アミノ酸を構成する。
X18は、I、L及びVからなる群から選択され、好ましくはIであり;
X19は、D、E、K、N、Q及びVからなる群から選択され、好ましくはQ又はKであり、より好ましくはQであり;
X20は、C、G及びPからなる群から選択され、好ましくはPであり;
X21は、I、L及びVからなる群から選択され、好ましくはL又はVであり、より好ましくはLであり;
X22は、D、E、S及びTからなる群から選択され、好ましくはE又はTであり、より好ましくはEであり;
X23は、D、E、K、S及びTからなる群から選択され、好ましくはE、K又はTであり、より好ましくはKであり;そして
X24は、D及びEからなる群から選択され、好ましくはDである。
同様に、以下の配列は、ペントンベースプロトマーのVループのN末端を規定する:
X25-X26-X27-X28-X29-X30-X31-X32(配列番号18)。
ここで
X25は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはFであり;
X26は、H、K及びRからなる群から選択され、好ましくはKであり;
X27は、A、V、I及びLからなる群から選択され、好ましくはAであり;
X28は、H、K及びRからなる群から選択され、好ましくはRであり;
X29は、A、V、I及びLからなる群から選択され、好ましくはVであり;
X30は、A、V、I、L及びMからなる群から選択され、好ましくはMであり;
X31は、A、V、I及びLからなる群から選択され、好ましくはVであり;そして
X32は任意のアミノ酸であり、VループのN末端アミノ酸を構成する。
及び/又は
以下の配列は、VループのC末端を規定する
X33-X34-X35-X36-X37-X38-X39(配列番号19)
ここで
X33は任意のアミノ酸であり、VループのC末端アミノ酸を構成する。
X34は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはYであり;
X35は、D、E、S及びTからなる群から選択され、好ましくはE又はTであり、より好ましくはEであり;
X36は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはWであり;
X37は、A、F、V、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはF又はVであり、より好ましくはFであり;
X38は、D、E、S及びTからなる群から選択され、好ましくはD又はEであり、より好ましくはEであり;そして
X39は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはFであり;
及び/又は、ペントンベースプロトマー内の以下の非連続ペプチドの1つ以上がアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトを形成する(太字のアミノ酸はファイバーと直接相互作用する)
X32はN末端アミノ酸であり、X33はVループのC末端アミノ酸である。 Vループの1つ以上の又は全てのアミノ酸は、挿入された標的特異的結合ドメイン及び/又は非アデノウイルスポリペプチドによって置換されてもよい。
【0089】
上記のように、STICKERに特異的に結合するペントンベースプロトマーの部分は、非連続エピトープである。したがって、好ましくは、ペントンベースプロトマー内の以下の非連続ペプチドの1つ以上がアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトを形成する(太字のアミノ酸はファイバーと直接相互作用する)
M-T-I-D-L-M-N-N-A-I-X40-X41-X42-Y-L-X43-X44-G-R-Q-X45-G-V-L-E-S (配列番号20)。
W-D-P-X46-T-X47-X48-P-G (配列番号46);
X49-V-X50-X51-Y-X52-X53 (配列番号);
X54-X55-R-S-Y (配列番号48);及び/又は
L-T-X56-V-F-N-R-F-P-X57 (配列番号49)
ここで
X40は、V、I及びLからなる群から選択され;
X41は、E及びDからなる群から選択され;
X42は、H、N及びQ、好ましくはH及びNからなる群から選択され;
X43は、K、E、R、Q及びAからなる群から選択され;
X44は、V、L及びI、好ましくはV及びIからなる群から選択され;
X45は、H、N及びQ、好ましくはH及びNからなる群から選択され;
X46は、V、I、L、E又はD、好ましくはV及びEからなる群から選択され;
X47は、V、L及びI、好ましくはV及びIからなる群から選択され;
X48は、M、T及びS、好ましくはM及びTからなる群から選択され;
X49は、D、E、N及びQ、好ましくはD及びNからなる群から選択され;
X50は、好ましくはA、D、P、K及びTからなる群から選択される任意のアミノ酸であり;
X51は、A、D、E、K及びRからなる群から選択され、好ましくはA、E及びKであり;
X52は、D、E、L、I、Q及びNからなる群から選択され、好ましくはE、L及びQであり;
X53は、A、D、E、K、N、Q及びRからなる群から選択され、好ましくはA、E、N及びKであり;
X54は、K、R、S及びT、好ましくはK、S及びTからなる群から選択され;
X55は、A、D、E、G、K、N、Q、R、S及びT、好ましくはD、G、K、N及びSからなる群から選択される。
X56は、H、K及びRからなる群から選択され、好ましくはH及びRであり;そして
X57は、D及びEからなる群から選択される。
【0090】
本発明の改変ポリペプチドの好ましい互いの実施形態において、X3~X10のアミノ酸配列は、DVTAYEES (配列番号: 21), DVDAYENS (配列番号: 22), DVAEYEKS (配列番号: 23), DVEAYEKS (配列番号: 24), DVDAYEKS (配列番号: 25), DVSKYEAS (配列番号: 26), NVKAYEDS (配列番号: 27), DVKKYENS (配列番号: 28), DVDAYQAS (配列番号: 29)及びDVDAYQAS (配列番号: 30)を含む群から独自に選択され、X10~X24のアミノ酸配列は、DVTAYEES(配列番号: 21)、DVDAYENS(配列番号: 22)、DVAEYEKS(配列番号: 22)配列番号: 23)、DVEAYEKS(配列番号: 24)、DVDAYEKS(配列番号: 25)、DVSKYEAS(配列番号: 26)、NVKAYEDS(配列番号: 27)、DVKKYENS(配列番号: 28 )、DVDAYQAS(配列番号: 29)及びDVDAYQAS(配列番号: 30)からなる群から独自に選択され、X25~X31のアミノ酸配列は、FKARVMV (配列番号: 37), FRAKLMV (配列番号: 38)及び FRAKVMV (配列番号: 39)を含む群から独自に選び、X33~X39のアミノ酸配列は、YEWFEF (配列番号: 40), YEWVEF (配列番号: 41), and YEWAEF (配列番号: 42)を含む群から独自に選ぶ。
驚くべきことに、大きな非相同ポリペプチドを、本発明のペントン及びその後のVLPのアセンブリを乱すことなく、第1及び/又は第2のRGDループに挿入され及び/又はこれを置換することができることが見出された。
【0091】
本発明の改変ポリペプチドの好ましい実施形態では、第1のRGDループの標的特異的結合ドメインの各々は、互いに独立して、5~300アミノ酸、好ましくは6~200アミノ酸の長さを、第2のRGDループの標的特異的結合ドメインは、5~300アミノ酸、好ましくは10~200アミノ酸の長さを、及び/又はVループ中の標的特異的結合ドメインは、5~300アミノ酸、好ましくは10~200アミノ酸の長さを有する。
【0092】
1つの代替案において、標的特異的結合ドメインによって結合される標的は、細胞の表面上又は細胞外マトリックス中に存在する部分である。 VLPがそのペイロード、例えば、薬物又はラベル、を送達するために特定の細胞型を標的とする場合、標的特異的結合ドメインの特異性が選択される。本発明の改変ポリペプチドの別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの標的特異的結合ドメインは、免疫原性ペプチド、病原体中和ペプチド、ウイルスペプチド、細菌ペプチド、免疫調節ペプチド、癌ペプチドに、細胞表面、好ましくは細胞レセプター、低分子量タグ、好ましくはビオチン又はキチン特異的に結合することができる。これは、様々なペプチドをVLPの表面に結合させる代替的かつ迅速な方法を提供する。
本発明の第1又は第2態様の改変ポリペプチドの好ましい実施形態では、非アデノウイルスポリペプチド又は挿入又は結合されたポリペプチドは、免疫原性ペプチド、病原体中和ペプチド、ウイルスペプチド、細菌ペプチド、免疫調節ペプチド、及び癌ペプチドから構成される群から選ばれる。デング熱HAKKQDVVVLGSQEGAM(配列番号: 55)、Cチクングニア熱STKDNFNVYKATRPYLAH(配列番号: 56)及びZジカウイルスSTKDNFNVYKATRPLAH(配列番号: 57)のウイルスペプチドが特に好ましい。STICKER及びチクングニア熱ペプチドを含む本発明の第2態様の改変ポリペプチドの例は、AKRARLSTSFNPVPYEDESSTKDNFNVYKATRPYLAH(配列番号: 58)、AKRARLSTSFNPVPYEDECSSTKDNFNVYKATRPYLAH(配列番号: 59)及びAKRARLSTCFNPVPYEDESSTKDNFNVYKATRPYLAH(配列番号: 60)である。後者の2つの例は、結合残基、すなわち、ペントンベースプロトマーのファイバーの結合クレフト中の対応する結合残基と共有結合を形成するためのCysを含む。
【0093】
標的特異的結合ドメインの好ましい例は、抗体、一本鎖抗体、抗体フラグメント、ナノボディ、軽鎖又は重鎖、可変軽鎖又は可変重鎖、ダイアボディ又は抗体模倣物である。好ましい抗体フラグメントは、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、Fab 'フラグメント、F(ab')2フラグメント、重鎖抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)、一本鎖フラグメント変数(scFv) フラグメント変数(Fv)、VHドメイン、VLドメイン、単一ドメイン抗体、ナノボディ、IgNAR(免疫グロブリン新規抗原レセプター)、di-scFv、二重特異性T細胞エンゲージャー(BITEs)、二重特異性抗体(DART)分子、三重体、二重特異性抗体、一本鎖二重特異性抗体、代替足場タンパク質、及びそれらの融合タンパク質を含む。
【0094】
非アデノウイルスペプチド又はペプチドが第1のRGDループに挿入される場合、それらは好ましくは5~60アミノ酸、好ましくは6~45アミノ酸の長さを有する。非アデノウイルス性ペプチド又はペプチドが第2のRGDループに挿入される場合、それらは5~50アミノ酸、好ましくは10~36アミノ酸の長さを有することができる。非アデノウイルスペプチド又はペプチドが第2のVループに挿入される場合、それらは5~30アミノ酸、好ましくは10~21アミノ酸の長さを有することができる。
【0095】
第1又は第2態様の改変ポリペプチドの好ましい実施形態において、非アデノウイルスポリペプチド又はポリペプチドは、プロテアーゼ切断部位、好ましくは配列特異的エンドペプチダーゼ切断部位、より好ましくはTEV切断部位を含む。そのようなTEV切断部位の好ましい例は、ENLYFQG(配列番号: 60)である。そのような切断部位は、いったんペントン又はVLPにアセンブルされると、本発明の第1態様のポリペプチドの切断を可能にする。いくつかの抗原は、免疫応答を誘発するために遊離N-及び/又はC-末端の曝露を必要とする。したがって、ペントンタンパク質又はVLPがアセンブルされた場合、プロテアーゼを用いたそれらの処理は、開裂部位が非アデノイドポリペプチドのN-末端及び/又はC-末端に位置する場合、そのような抗原のN-及び/又はC-末端配列を曝露するであろう。驚くべきことに、本発明者らは、このような切断がアセンブルされたペントン又はVLPを破壊しないことを見出した。これは、強力な抗原特異的免疫応答が抗原の遊離N-及び/又はC-末端の曝露を必要とする状況において極めて有用である。あるいは、開裂座は、本発明の第1及び/又は第2態様の改変ポリペプチドに含まれて、改変ポリペプチドの精製を容易にすることができる。例えば、それは、それぞれの改変ポリペプチドのN又はC末端に置き、改変ポリペプチドの一部を含むペントン又はファイバーをアフィニティータグ、例えば、ビオチン、キチン結合タンパク質、Myc-taqなどのアフィニティータグから分離することができる。そのような親和性タグは、適切なアフィニティマトリックス上での改変ポリペプチドの固定化及びマトリックスからの精製された改変ポリペプチドの放出を可能にする。
【0096】
本発明の第1又は第2態様の改変ポリペプチドの好ましい実施形態では、結合残基は、Lys、Cys、Asp及びGlu、好ましくはCysを含む群から選択される。
【0097】
本発明の第1又は第2態様の改変ポリペプチドの好ましい実施形態では、薬物は化学療法薬、抗病原薬、免疫調節薬及び抗炎症薬の群から選択される。
【0098】
本発明の第2態様の改変ポリペプチドの好ましい実施形態では、ファイバータンパク質フラグメントは、以下を含むか、本質的になる:
X58-F-N-P-V-Y-P-Y-X59(配列番号: 43)
ここで
X58は、S、D及びT、好ましくはS又はDからなる群から選択され、より好ましくはSであり;又
X59は、E、D及びG、好ましくはE又はDからなる群から選択され、より好ましくはEである。
好ましくは、ファイバータンパク質フラグメントは、ファイバーの9~20連続アミノ酸の長さを有する。
【0099】
本発明の第2態様の改変ポリペプチドは、ファイバータンパク質のフラグメントの2,3,4,5,6,7又は8回反復を含むことがさらに好ましい。多量体化は結合親和性を増加させる。サブナノモル親和性を有するペントンベースプロトマー上のファイバー結合クレフトへの結合を媒介するのに2又は3、好ましくは連続した繰り返しが適していることが本発明者らにより観察された。好ましくは、多量体は頭から尾方向に配置される。
【0100】
上に示したように、代替実施形態(vi)によれば、1つ以上の結合残基がペントンベースプロトマーの結合クレフトに含まれることが好ましい。ペントンベースプロトマー中のこれらの1つ以上の結合残基と、本発明の第2態様の改変ポリペプチドに含まれる結合残基との間の共有結合の形成を容易にするためである。本発明の第2の容態の改変ポリペプチドの好ましい実施形態では、少なくとも1つの結合残基が、好ましくは配列番号: 43のN末端及び/又はC末端に挿入及び/又は位置するファイバータンパク質フラグメントのN及び/又はC末端に挿入及び/又は位置決めされるか、又はファイバータンパク質フラグメントのN末端及び/又はC末端に挿入及び/又は付着させられる。上述したように、結合残基は、対応する結合残基と共有結合を形成しなければならない。 2つのポリペプチドが相互作用すると、一方のポリペプチドの結合残基が他方のポリペプチドの結合残基に立体的に近いことが好ましい。
【0101】
代替の実施形態(vi)の好ましい実施形態において、結合残基は、本発明の第1態様の改変ポリペプチドに含まれるペントンベースプロトタイマー中で、アミノ酸位置476及び/又は477(配列番号: 64のアミノ酸配列を基準とする)又は別のアデノウイルスのペントンベースプロトマーの類似のアミノ酸位置に存在する。他のアデノウイルスペントンベースプロトマーにおける類似の位置は、配列番号: 64による配列を他のアデノウイルスペントンベースプロトマー配列と、例えばCLUSTALなどの標準的なアラインメントツールで整列させることによって確定することができる。当業者は、別のアデノウイルスペントンタンパク質中のアミノ酸476又は477と類似の位置を占めるアミノ酸を容易に確定することができる。本発明の第1態様及び別の実施態様(iv)による改変タンパク質は、次の配列を含む
KSFX64NXc1Xc2AVY(配列番号: 68)
ここで
X64は、Y及びFからなる群から選択され、好ましくはYであり;
Xc1は、D、E及び結合残基からなる群から選択され、好ましくはCysであり;
Xc2は、L、Q及び結合残基からなる群から選択され、好ましくはCysであり;
又、ここでXc1及びXc2の少なくとも1つ、好ましくはこれら両方が結合残基、好ましくはCysである。
ペントンベースプロトマー中の結合残基がアミノ酸位置476及び/又は477又は別のアデノウイルスのペントンベースプロトマーの類似のアミノ酸位置に位置する場合には、本発明の第2態様の改変ポリペプチドの対応する結合残基がポリペプチドのSTICKER部分のC末端に結合残基を含むことが望ましい。結合残基は、以下の配列に示すように、STICKER内に位置することが好ましい。
X58-F-N-P-V-Y-P-Y-X59-(X63)n-Xc (配列番号: 69)
ここで
X58は、S、D及びT、好ましくはS又はD、より好ましくはSからなる群から選択され; 又
X59は、E、D及びG、好ましくはE又はD、より好ましくはEからなる群から選択され;
X63はいずれの場合も独立して任意のアミノ酸、好ましくはこの又はこれらの位置でファイバータンパク質に天然に存在するアミノ酸であり;
Xcは結合残基、好ましくはC、D、E、及びKであり、最も好ましくはCであり; 又
nは0~10の整数、すなわち0,1,2,3,4,5,6,7,8,9又は10、好ましくは1~5、より好ましくは2である。
このように、本発明の第2態様の改変タンパク質は、好ましい形態において、配列番号: 69のSTICKERポリペプチドを含む。本発明の第2態様の改変タンパク質に含まれ得る特に好ましいSTICKERポリペプチドは、次の通りである
A-K-R-A-R-L-S-T-X58-F-N-P-V-Y-P-Y-X59-D-E-Xc(配列番号: 76)
ここで
X58は、S、D及びT、好ましくはS又はDからなる群から選択され、より好ましくはSであり;
X59は、E、D及びG、好ましくはE又はDからなる群から選択され、より好ましくはEであり; 又
Xcは結合残基、好ましくはC、D、E及びKであり、最も好ましくはCである。
【0102】
特に好ましい実施形態では、STICKERポリペプチドは、20位に結合残基Cysを含み、以下のアミノ酸配列からなる:
A-K-R-A-R-L-S-T-S-F-N-P-V-Y-P-Y-E-D-E-C(配列番号: 77)
【0103】
代替実施形態(vi)の別の好ましい実施形態において、結合残基は、本発明の第1態様の改変ポリペプチドに含まれるペントンベースプロトマー中の、配列番号: 64によるペントンベースプロトマーのLys376又は別のアデノウイルスのペントンベースプロトマーの類似位置に位置決めされる。第1態様の改変タンパク質は、好ましくは以下の配列を含む:
Xc-X65-R-S-Y-N(配列番号: 73)
ここで
Xcは結合残基、好ましくはC、D、E、及びKであり、最も好ましくはCであり; 又
X65は任意のアミノ酸であり、好ましくはD、E、G、K、N又はS、より好ましくはS又はNからなる群から選択される。
結合残基がこの位置に含まれる場合、本発明の第2態様の改変ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列に示される対応する結合残基を含むことが好ましい:
Xc-F-N-P-V-Y-P-Y-X59(配列番号: 70)
ここで
X59は、E、D及びG、好ましくはE又はD、より好ましくはEからなる群から選択され;及び/又は
Xcは結合残基、好ましくはC、D、E、及びKであり、最も好ましくはCである。
【0104】
したがって、本発明の第2態様の改変タンパク質は、好ましい形態において配列番号: 70のSTICKERポリペプチドを含む。本発明の第2態様の改変タンパク質に含まれ得る特に好ましいSTICKERポリペプチドは、次の通りである:
A-K-R-A-R-L-S-T-XC-F-N-P-V-Y-P-Y-X59-D-E-S(配列番号: 74)
ここで
Xcは結合残基、好ましくはC、D、E、及びKであり、最も好ましくはCであり; 又
X59は、E、D及びG、好ましくはE又はD、より好ましくはEからなる群から選択される。
特に好ましい実施形態では、STICKERポリペプチドは、位置9に結合残基Cysを含み、以下のアミノ酸配列からなる:
A-K-R-A-R-L-S-T-C-F-N-P-V-Y-P-Y-E-D-E-S(配列番号: 75)
【0105】
本発明の第1態様の改変ポリペプチドのいくつかの実施形態では、第1及び第2のRGDループの間に位置するRGDモチーフは、そのままの状態で、ペントン基質プロトマー、ペントン又はVLPを患者内に存在する特定の細胞及び細胞外構造に結合する。あるいは、そのような標的化が、本発明の第1態様の改変ポリペプチドの特定の用途において希望されない場合、RGDモチーフは突然変異をして、インテグリンに結合するその能力を失うようになる。
【0106】
第3の形態において、本発明は、本発明の第1態様の改変ポリペプチド及び/又は本発明の第2態様の改変ポリペプチドをコードする核酸に関する。
第4態様において、本発明は、本発明の核酸を含む発現ベクターに関する。発現ベクターは、プラスミド及びウイルスベクターを含み又本発明の第1及び/又は第2態様の改変タンパク質をコードするコード配列及び特定の宿主生物(例えば、細菌、酵母、植物、昆虫、又は哺乳動物)又はインビトロ発現系における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要な適切なDNA配列を含む。)又はインビトロ発現系で発現させることができる。クローニングベクターは、一般に、一部の希望されたDNAフラグメントを改変して増幅するために使用され、希望されたDNAフラグメントの発現に必要な機能的配列を欠いている可能性がある。
当分野では、抗原性エピトープを急速に変化させる疾患、例えば、インフルエンザ、又は患者特異的エピトープ混合物により特徴付けられる疾患に対する免疫付与がクチンの迅速な適応又は個体化を必要とすることが認識されている。本発明のVLPは、それぞれ希望する抗原を表示するように迅速に適合させることができる。したがって、本発明は、第5態様において、第1及び/又は第2のRGDループ又はVループへの核酸セグメントの迅速挿入に適したクローニングベクターに関するもので、一つ又は複数の希望する抗原をコードする。本発明のこの形態のクローニングベクターは、次のものを含む。
(i)アデノウイルスペントンベースプロトマーを含むポリペプチドで、前記ペントンベースプロトマーは、第1のRGDループ、第2のRGDループ、可変ループ及び/又は非アデノウイルスペプチドをコードする核酸を第1のRGDループ、第2のRGDループ、可変ループをコードする核酸に挿入するのに適したアデノウイルスファイバータンパク質の結合部位を含む;又は、
(ii)非アデノウイルスペプチドをコードする核酸をC及び/又はN末端に導入するのに適したアデノウイルスペントンベースプロトマー結合ファイバータンパク質フラグメントを含むポリペプチド。
【0107】
本発明の好ましい実施形態のクローニングベクターにおいて、適応は、1つ又は複数の制限酵素部位、好ましくはBamHI、KpnI、KasI、NarI、SfdI、EcoRI及びRsrII、PfoI、BssHII、SalI、SacI、XbaI、BstEII及びHindIIIを含む。そのようなクローニングベクターの好ましい例の核酸配列は、配列番号: 61及び62に示される。pACEBac-ADDOmer1.0及びpACEBac-ADDOmer2.0と呼ばれるこれらのベクターの構造は、
図7及び8に図示される。好ましいチクングニヤウイルス抗原性エピトープを含むクローニングベクターpACEBac-ADDOmer2.0のヌクレオチド配列は、配列番号: 71及び72に示される。
【0108】
第6態様において、本発明は、本発明の発現ベクター又は本発明のクローニングベクターを含む組換え宿主細胞に関する。本発明の発現ベクター又は本発明のクローニングベクターは、そのまま自由に分散された宿主細胞(i)又は宿主細胞ゲノム又はミトコンドリアDNAに組み込まれていてもよい。組換え宿主細胞は、本発明の改変されたポリペプチドの発現のために使用される。用語「組換え宿主細胞」は、本発明のポリヌクレオチド又は組換えベクターで形質転換、トランスフェクト又は感染された元の細胞の子孫を含む。組換え宿主細胞は、大腸菌細胞などの細菌細胞、Saccharomyces cerevisiae又はPichia pastorisなどの酵母細胞、植物細胞、SF9又はHi5細胞などの昆虫細胞、又は哺乳類細胞であってもよい。哺乳動物細胞の好ましい例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、緑色アフリカサル腎臓(COS)細胞、ヒト胎児腎臓(HEK293)細胞、HELA細胞などである。
【0109】
本発明の第1態様の改変されたポリペプチドは、それぞれの野生型ペントンベースプロトマーと比較して、代替実施形態(i)~(vi)によるそれらの改変にもかかわらず、ペントンサブユニット、すなわち五量体にアセンブルできる。本発明の第1の態様の所定の改変タンパク質が五量体に組み立てられるかどうかは、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィー、質量分析などを含む当業者に周知の方法によって容易に評価することができる。したがって、第7態様では、本発明は、本発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む5つの改変ポリペプチドを含む五量体に関する。この五量体は、本発明の第2態様の1と改変ポリペプチドとの間に追加的に包含することができる。
【0110】
本発明の第1の態様の改変ポリペプチドからアセンブルされた五量体は、さらにVLPにアセンブルすることができる。従って、第8態様において、本発明は、本発明の12量体を含むウイルス様粒子(VLP)に関する。 VLPは安定であり、患者への投与に最も適した組成物である。好ましくは、VLPは、ペントンベースプロトマー中の結合残基間の共有結合の形成を可能にするために、非還元条件下でアセンブル及び/又は保存される。
【0111】
好ましい実施形態では、本発明のVLPは、本発明の第2態様の少なくとも1つの改変ポリペプチド、好ましくは本発明の第2態様の60までの改変ポリペプチドをさらに含む。後者の実施形態では、本発明の第1態様の改変ポリペプチドのペントンベースタンパク質のすべてのファイバータンパク質結合クレフトは、本発明の第2態様の改変タンパク質によって占められている。本発明のVLPは、好ましくは代替態様(vi)による改変を含み、好ましくは代替態様(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び/又は(v)に従う改変と組み合わされた本発明の第1態様の改変タンパク質、及び少なくとも1つの結合残基、好ましくはファイバータンパク質フラグメントのN-及びC-末端に挿入及び/又は配置されている、好ましくは、配列番号: 43の N末端及び/又はC末端に挿入及び/又は配置された、又はファイバータンパク質フラグメントのアミノ酸に結合された少なくとも1つの結合残基を含む。好ましくは、本発明の第1態様の改変されたタンパク質は、KSFX64NXc1Xc2AVY (配列番号: 68)を含み、ここでX64、Xc1、及びXc2が上記に概説された意味を有する。また、本発明の第2態様の改変タンパク質は、X58-F-N-P-V-Y-P-Y-X59-(X63)n-Xc (配列番号: 69)を含み、ここで、X58, X59, X63, Xc, 及び nは上記に概説された意味を有する。別の好ましい実施形態では、本発明の第1態様の改変タンパク質は、以下の配列Xc-X65-RSYN(配列番号: 73)を含み、ここでXc及びX65は上記に概説された意味を有し、本発明の第2態様は、Xc-FNPVYPY-X59(配列番号: 70)を含み、ここで、Xc及びX59は、上で概説した意味を有する。
【0112】
好ましくは、本発明の第1態様の改変ポリペプチドを改変されたポリペプチド第2の本発明の改変ポリペプチドに共有結合させるための結合残基を含むVLPは、非還元条件下でアセンブル及び/又は保存されて、ペントンベースプロトマーの結合残基と本発明の第2態様の改変ポリペプチドに含まれるSTICKERポリペプチドとの間で共有結合できるようにする。
野生型ペントンベースプロトマーから構成又は含有するVLPは、賦形剤を提供するために利用され、これらのVLPは本発明の第2態様の改変ポリペプチドを利用することにより異なる非アデノウイルスポリペプチドで修飾されることも想定されている。本発明の第2態様の改変ポリペプチドが好ましい実施形態では短くなることから、例えば、固体化学によって1日以内に合成することができる。達成される。したがって、第9態様では、本発明は、5つのアデノウイルスペントンベースプロトマー及び本発明の第2の態様の少なくとも1つの改変ポリペプチドをそれぞれ含む12量体を含むVLPに関する。ペントンベースプロトマーの全てのファイバータンパク質結合クレフトが占有され、したがってこれらのVLPが本発明の第2態様の60個の改変ポリペプチドを含むことが好ましい。
【0113】
第10態様では、本発明は、本発明の第1又は第2態様の改変ポリペプチドを製造する方法であって、次の工程を含む:
(a)本発明の組換え宿主細胞を提供する;
(b)改変されたポリペプチドを発現させる;及び
(c)改変されたポリペプチドを精製する。
【0114】
第11態様において、本発明の第10態様の方法の工程、及び改変ポリペプチドをVLPにアセンブルするさらなる工程を含む本発明のVLP製造の方法。
【0115】
本発明の第10態様の方法は、VLPをプロテアーゼ、好ましくは配列特異的エンドペプチダーゼ切断部位、より好ましくはTEVとともにインキュベートする工程をさらに含む。
【0116】
第12態様において、本発明は、疾患及び/又は患者に特異的な非アデノウイルスペプチドを含む本発明のVLP製造方法に関し、以下の工程を有する。
(a)本発明のクローニングベクターを提供する;
(b)疾患又は患者に特異的な非アデノウイルスペプチドのアミノ酸配列を確定する;
(c)該非アデノウイルスペプチドの少なくとも1つをコードする核酸を、アデノウイルスペントンベースの第1のRGDループ、第2のRGDループ、及び/又はアデノウイルスペントンベースプロトマーの可変ループコードする核酸に、及び/又は、ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む改変ポリペプチドのN又はC末端をコードする核酸の前又は後の核酸位置で挿入する。
(d)宿主細胞の改変アデノウイルスペントンベースプロトマーを、望ましくは、ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む改変ポリペプチドと一緒に発現させる;及び
(e)ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含むVLP、又はファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む該改変ポリペプチドを精製する。
【0117】
第13態様において、本発明は、疾患及び/又は患者に特異的な非アデノウイルスペプチドを含む本発明のVLPを製造する方法であり、以下の工程をゆうする。
(a)本発明のクローニングベクターを提供する;
(b)疾患又は患者に特異的な非アデノウイルスペプチドのアミノ酸配列を確定する;
(c)該非アデノウイルスポリペプチドの少なくとも1つをコードする核酸を、ファイバータンパク質フラグメントを含む改変ポリペプチドのN末端又はC末端をコードする核酸の前又は後の核酸位置において挿入する。
(d)選択的に、アデノウイルスペントンベースプロトマーと一緒に宿主細胞中でファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む改変されたポリペプチドを発現させる。
(e1)ファイバータンパク質フラグメント結合アデノウイルスペントンベースプロトマーを含む前記改変されたポリペプチドを精製し、本発明のアデノウイルスペントンベースプロトマー又は改変されたアデノウイルスペントンベースプロトマーと混合するか、又は
(e2)アデノウイルスペントンベースプロトマーが共発現されている場合に該VLPを精製する。
【0118】
第14態様では、本発明は、疾患及び/又は患者に特異的な非アデノウイルスペプチドを含む本発明のVLPを製造する方法であり、以下の工程を有する。
(a)疾患又は患者に特異的な非アデノウイルスペプチドのアミノ酸配列を確定する。
(b)ファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマー及び該非アデノウイルスペプチドの少なくとも1つを含む、本発明の改変ポリペプチドを合成する工程、又は、
(c)該改変ポリペプチドをアデノウイルスペントンベースプロトマーと又は該発明の改変アデノウイルスペントンベースプロトマーを本発明の五量体又は本発明のVLPと混合する工程。
【0119】
第15態様において、本発明は、本発明のVLPを製造する方法によって製造できるるVLPに関する。
【0120】
第16態様において、本発明は医薬組成物に関するもので、本発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む改変ポリペプチド、及び/又はファイバータンパク質フラグメントを結合するアデノウイルスペントンベースプロトマー、本発明の1つ以上の改変タンパク質をコードする核酸、本発明の発現ベクター、又は本発明のVLP、及び薬学的に許容される担体及び/又は適当な賦形剤を含む。好ましくは、このような組成物は医薬組成物である。好ましい実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤、及び選択的に1つ以上のの追加の活性物質をさらに含む。好ましくは、第5態様の組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するために、治療有効量の化合物を、好ましくは精製形態で、適切な量のキャリア及び/又は賦形剤をともに含む。処方は投与様式に適合するのが望ましい。
【0121】
医薬組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形態を取ることができる。医薬組成物は、トリグリセリドなどの伝統的な結合剤及び担体を用いて坐剤として製剤化することができる。
【0122】
本発明の医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は、固体又は液体のいずれかであり得る。固体形態の組成物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、カシェ剤、坐剤及び分散性顆粒剤が含まれる。固体賦形剤は、希釈剤、着香剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材料としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。散剤において、賦形剤は、好ましくは微細に分割された固体であり、これは本発明の微細に分割された阻害剤との混合物である。錠剤において、有効成分は、必要な結合特性を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。適切な賦形剤は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバターなどである。坐剤を調製するために、脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物などの低融点ワックスを最初に融解し、活性成分を攪拌のようにその中に均一に分散させる。次いで、溶融した均一混合物を都合のよい大きさの型に注ぎ、冷却させて凝固させる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤及びロゼンジ剤は、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
【0123】
液体形態の組成物には、溶液、懸濁液、及びエマルジョン、例えば水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール溶液又は水/プロピレングリコール溶液が含まれる。非経口注射(例えば、静脈内、動脈内、骨内注入、筋肉内、皮下、腹腔内、皮内、及び髄腔内注射)のために、液体製剤は溶液中、例えば、水性ポリエチレングリコール溶液中で作成する。食塩水は、医薬組成物が静脈内投与される場合の好ましい担体である。
【0124】
好ましくは、医薬組成物は単位剤形である。そのような形態では、組成物は、適切な量の活性成分を含む単位用量に細分してもよい。単位剤形は、包装された組成物であってもよく、パッケージは、包装された錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル中の粉末のような、組成物の別々の量を有する。また、単位投薬形態は、カプセル、注射バイアル、錠剤、カシェ剤又はロゼンジそれ自体であってもよく、又は包装された形態でこれらのいずれかの適切な数であってもよい。
【0125】
組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤を有することもできる。
さらに、そのような医薬組成物は、アジュバント及び/又は追加の活性成分などの他の薬理学的に活性な物質を含むことができるが、これに限定されない。本発明の文脈におけるアジュバントとしては、無機アジュバント、有機アジュバント、油性アジュバント、サイトカイン、微粒子アジュバント、ビロソーム、細菌アジュバント、合成アジュバント、又は合成ポリヌクレオチドアジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。
第17態様において、本発明は、本発明のアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む改変ポリペプチド及び/又は、ファイバータンパク質フラグメント結合アデノウイルスペントンベースプロトマー、本発明の1以上の改変タンパク質をコードする核酸、本発明の発現ベクター又は感染性疾患、免疫疾患又は癌を治療及び/又は予防するための本発明のVLP含む本発明の改変ポリペプチドに関する。
【0126】
応用例
ADDomerは、非常に高収率(1リットルの発現培養物につき数10グラム)で設計され製造された。 ADDomerを精製して均質的にするための一般的な3工程プロトコルが確定された(下記参照)。概念実証プロジェクトでは、高度に免疫原性を有するエピトープを、ADDomerの機能化ループに挿入することが実験的に確定された。この際、粒子形成を混乱させることなく、又は、収率を顕著に低下させることはなかった。 チクングニア熱エピトープを含むADDomersを均質的に精製し、細胞ベースで動物試験を開始して、ワクチン候補としての効力を確定した。 ADDomerは、電子顕微鏡法、均質に構造化された離散多量体(十二面体)を含む様々な技術で確認された。システイン - ジスルフィド化学は、ADDomerの既に顕著な熱安定性(冷鎖要求の排除)をさらに高めるために実施された。さらに、ペプチドエピトープのみならず、タンパク質ドメイン及び高親和性結合剤(ナノボディDARPins、抗体フラグメント)を含むタンパク質全体を含むADDomersーを調製し、これらを大規模に製造するための効率的なプロトルを確立しつつある。 ジカ熱ウイルスの最近の出現により引き起こされたADDomerベースのZジカ熱ワクチン候補も設計され、ADDomersも同時に複数の病気と闘うように設計された(コンボワクチン)。これらを検証する細胞ベース及び動物実験が行われる。
以下においては、ADDomer VLP及びADDomer VLPワクチンを生成及び検証するための実験及びプロトコルが記載されている
【0127】
1.ADDomerの設計
天然に発生する12量体の種(例えば、アデノウイルスAd3血清型に由来)の原子構造は、X線結晶構造解析によって確定さた(Szolajska Eら、PLoS One。2012; 7(9):e46075及びZubieta C et al、Mol Cell 2005:17(1):121-35)。原子構造の注意深い検査により、拡張ループ構造の存在が解明された。より正確にいえば、野生型12量体のいわゆるRGDループにおける1つの可変ループ(Vループと呼ぶ)及び2つの領域が、機能化の潜在的部位として同定された。多数の12量体プロトマーの比較により、長さ及び配列組成の両方において、種全体のV-ループ及び2つのRGD-ループ領域の幅広い変動性が明らかになり、それらの可能性が明らかとなった。この情報を使用して、我々は合成デザイナー12量体プロモーターをコード化するDNA配列を新規に設計した。エンドヌクレアーゼ切断部位を表すDNA配列を導入することにより、V-ループ及び2つのRGDを表すアミノ酸の設計された変異(ランダム化を含めて)を促進することによって、BioBrick設計(Shetty et al. J。Biol。End。2008) (RGDloop2、RGDloop2)が適用された。野生型ヒトAd3血清型12量体の高い溶解性及び構造完全性を維持しながら、上記ループ領域の完全なBioBrick設計を特徴とする組換え12量体(ADDomer)を生じるプロトマーが同定されるまで、プロトマー設計の最適化を繰り返した。
【0128】
2.超安定性ADDomerの設計
ADDomerは、すでに非常に熱安定性があり、37℃で長時間保管することができ、インフラが不十分な遠隔地でのコールドチェーンを必要としないことを示している。 天然のAd3粒子の結晶座標を調べると、いわゆる「ストランドスワッピング」領域が明らかになり、プロトマーのセグメントが隣接するプロトマーの近傍まで伸びて、その結果として、共有結合の形成を可能にする距離内にあるアミノ酸が並置された 。我々は、ADDomer中にある、これらのアミノ酸をシステインで遺伝的に置換し、それぞれ異なるプロトマー由来の2つのシステインがジスルフィド結合形成に必要な距離内にあった。
【0129】
3.MultiBacベースのADDomerの発現
次に、MultiBacシステムを用いてADDomerを発現された。ADDomerをコードする遺伝子は、最初から合成され(S配列番号63:63及びコードされたADDomerは配列番号64で提供)、古典的クローニング法(制限/ライゲーション)によってMultiBacシステムの伝達プラスミドであるpACEBacに挿入された。ADDomer遺伝子を含む合成 MultiBacは、ADDomerのような複雑な生物製剤の製造のために発明者の1人(Berger)によって特別に開発された。ADDomer遺伝子を含む合成MultiBacウイルスが調整され(
図7及び8参照)、既述のプロトコル(Berger Iet al.、J Vis Exp.(2013)77):e50159及びFitzgerald DJ et al. Nat Methods(2006)3(12):1021)を用いて感染させた昆虫細胞培養物を調製した。 ADDomerタンパク質含有細胞ペレットを、記載のように遠心分離によって調製した。細胞ペレットを-80℃で保存した。ペプチド又はタンパク質エピトープが挿入されたADDomerの発現、ならびに超安定性ADDomerの発現が、比較可能で、非常に高い収率及び均質に構造化された12面体粒子をすべて生じさせた。
【0130】
3.中和エピトープ
例として、主要な中和チクングニア熱免疫エピトープHAKKQDVVVLGSQEGAM(配列番号55)の複数のコピーを表示するADDomer-CHIKADDomerベースのVLPワクチン候補が構築された。主要中和免疫エピトープはチクングニア熱エンベロープタンパク質の一部であり、極端にあるN末端に位置する直鎖ペプチドエピトープである(Kam YWet al.、EMBO Mol Med。(2012); 4(4):330-4)。圧倒的多数の患者血清において、この線状ペプチドエピトープと反応する抗体が見出される。 ADDomerは、制限された様式(ADDomerスキャホールドに共有結合したN及びC末端)、又は非制限的な様式(特定のプロテアーゼによる切断によって遊離されたN末端)、又は制限と非制限が組み合わさった様式のいずれかで、ADDomerスキャホールドの構造的完全性を維持しつつ線状エピトープを表示する手段を提供する。使用される好ましい構成は以下の通りである。AKRARLSTSFNPVPYEDESSTKDNFNVYKATRPYLAH(配列番号:58)、AKRARLSTSFNPVPYEDECSSTKDNFNVYKATRPYLAH(配列番号:59)及びAKRARLSTCFNPVPYEDESSTKDNFNVYKATRPYLAH(配列番号:60)。 チクングニア熱の主要な中和エピトープの自然様の表示は、それぞれが中和エピトープ配列に先行した特異的TEV切断部位を含み、自然のN末端を保持し、エピトープの複数コピーを表示するADDomerのTEVプロテアーゼ媒介切断によって達成された。同様のアプローチは、 ADDomerによって表示される任意のエピトープ又はペプチド又はタンパク質ドメインに対して利用することができる。
【0131】
4.ADDomer及び変異体の精製
Spodoptera frugiperda Sf21昆虫細胞ペレットは凍結融解により溶解された。溶解物を、昆虫細胞の標準的なプロトコルに従って遠心分離により清浄化した(Berger I 他、J Vis Exp。(2013)(77):e50159及びFitzgerald DJ et al.、Nat Methods、2006 3(12):1021)。 清浄化した上清を15~40%スクロース勾配でロードし、Beckman SW41ローターを用いて一晩遠心分離した。1.1mLの画分が勾配の頂部から回収され、タンパク質の内容を分析し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)をプールするために変性SDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)にロードされ、 及び/又はイオン交換(IEX)がスクロース透析の後に行われた。
【0132】
5.電子顕微鏡検査によるADDomerの検証
精製されたADDomer及びADDomer変異体を、ネガティブステイン電子顕微鏡(EM)によって可視化して、それらのアセンブリ状態及びそれらの構造的完全性を評価した。担体物質上に沈着させる前に、約0.1mg / mlの濃度のADDomerと共に標準的なマイカ - 炭素調製物を利用した。試料を1%(wt / vol)のケイ素タングステン酸ナトリウム(pH7.0)を用いて染色し、JEOL電子顕微鏡により100kVで可視化した。画像の記録及び分析は、Gatanが提供するソフトウェアを用いて行った。 熱安定性実験のために、ADDモノマーを凍結、4℃、室温(室温)又は37℃で1週間保存した。電子顕微鏡法では、室温又は37℃での保存により、正確に自己集合した粒子が熱安定性を示すことが示された。 45℃での2時間のADDomer(配列番号64)のインキュベーションは、可逆的な粒子の分解をもたらし、室温で戻したときに再集合した。この可逆的解離は、熱移動アッセイ(
図10、矢印参照)によっても観察されたが、50℃超の温度でのみ不可逆的な解離が見られた。
【0133】
6.ADDomer免疫原性を評価するための動物(ネズミ)実験の設計
ADDomer-CHIK チクングニア熱 ADDomer VLPワクチン候補のネズミ免疫分析のために、6週齢のBALB / c雌マウスを使用した。8匹のマウスからなる4群(例えば、チクングニア熱 VLPワクチン候補の場合、i)ADDomer、ii)ADDomer CHIK無制約エピトープ、iii)ADDomer CHIK制限エピトープ、iv)単離されたCHIK主要中和ペプチドエピトープ交差体 - 陽性対照としてKLHに連結した)。各動物に10μgのADDomer及びADDomer変異体を2週間間隔で注射した。 IgA、IgM、全IgG、IgG1 IgG2a及び抗CHIK抗体をELISAによりマウス血清から力価測定した。他のADDomer VLPワクチン候補の免疫分析も同様の方法で設計した。 ADDomer表面における2種類のエピトープディスプレイを試験した(制限付き及び緩和、以下の第7項目参照)。時間依存性応答が観察された(第0~第6週)。抗Chikエピトープ応答を引き起こす拘束形態に対するエピトープの緩和された形態の優れた能力が示された(
図12)。
【0134】
7.目的のエピトープのADDomer表面での露出
目的のエピトープの上流にTEV切断部位を付加することにより、拘束された又は緩和された2つの異なる形態でのそのディスプレイが可能になる。 精製すると、エピトープは、ADDomerループに自然に拘束される。 室温で2時間、TEV(タバコエッチウイルス)プロテアーゼ(1/100 w:w)を添加することにより、エピトープを緩和し、スカフォールド表面で直線状に表示することができる。 切断効率は、SDS-PAGEによって容易に監視することができる。 注目すべきは、全体のADDomer足場はこの切断によって影響を受けないことである(
図11)。
【0135】
8.ADDomerにおけるエピトープ挿入能の延長
大きなエピトープ配列を運ぶADDomerの能力を評価した。 この目的のために、200アミノ酸長の人工エピトープをADDomer(拡張ADDomerと命名)に挿入した。 これにより、正しく自動アセンブルされたADDomerが得られた。 挿入は、
図13に示すように、SDS-PAGE分析及び質量分析の両方によって確認した。
【0136】
9.ADDomer表面でのエピトープの共有結合
ADDomerの能力を広げるために、ADDomerで追加のエピトープの付加でが可能なシステムを開発した。単一のシステインを、ADDomer配列の特定の位置(K363C又はQ476C又はA477Cのいずれか)に挿入した。 K363Cは、20アミノ酸長のファイバータンパク質断片(配列番号59に由来するペプチドC20(配列番号77))との共有ジスルフィド架橋を形成するように設計され、Q476C又はA477Cは、別のファイバータンパク質フラグメント(配列番号60に由来するペプチドC9(配列番号75))と同様の作用を行うよに設計された。ペプチドを対応するCys修飾ADDomerとの共有結合的相互作用は、酸化状態(すなわち、β-メルカプトエタノールの不在)又は還元条件(β-メルカプトエタノールの添加)下で、対応するペプチドと粒子をインキュベートすることによって確認された。複合体をSDS-PAGE上で泳動し、ADDomerは特異的抗体及びCy3で標識した二次抗体によって検出され、ビオチン化したペプチドをAlexa488標識アビジンで検出された。右のCys-ADDomer /ペプチドを使用した場合、ペプチドの存在はADDomerバンドサイズで検出された(
図14の円)。この相互作用は、還元条件下で妨げられたので、Cys-ADDomerとペプチドとの間に形成されたジスルフィド架橋に特異的であった。
【0137】
本発明は、以下の態様に関する。
1.第1のRGDループ、第2のRGDループ、可変ループ(Vループ)、アデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト及び/又はN末端ドメインを含むアデノウイルスペントンベースのプロトマーを含む改変ポリペプチドで、以下の1以上のを含む:
(i)第1及び第2のRGDループの第1、第2又は両方、及び/又はVループ中の少なくとも1つの標的特異的結合ドメイン;及び/又は
(ii)第1及び第2のRGDループの第1、第2又はその両方及び/又はVループの1つ以上の非アデノウイルスペプチド;及び/又は
(iii)ペントンベースプロトマーのN末端及び/又はC末端の非アデノウイルスペプチド;及び/又は
(iv)ペントロンベースプロトマーのVループ及び/又はN末端ドメインにおける第1及び第2のRGDループにおける第1、第2又は両方の少なくとも1つの異種カップリング残基であって、ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインの末端は、以下のように定義される:
X1-G-R-N-S-I-R(配列番号44)
ペントンベースプロトマー内のN末端ドメインのC末端は以下のように定義される:
D-X2-R-S-R-G(配列番号45)
ここで 、
X1は、G及びEからなる群から選択され、
X2は、D及びEからなる群から選択され;及び/又は
(v)第1及び第2のRGDループ及び/又はVループの1つ以上のアミノ酸の1以上ののアミノ酸の1以上ののアミノ酸に共有結合又は非共有結合した薬物、標識又はポリペプチドペントンベースプロトマー;及び/又は
(vi)ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトの少なくとも1つの異種カップリング残基で、 改変されたポリペプチドは、好ましくは、VLPに組み込むことができる。
2.少なくとも1つのアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含み、ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合する改変ポリペプチドであって、
(i)非アデノウイルスペプチド及び/又は
(ii)は、薬物又は標識に共有結合又は非共有結合している。
3.項目1又は項目2による改変ポリペプがヒト又は非ヒトの類人猿のアデノウイルス、好ましくは、チンパンジー(Pan)、ゴリラ(Gorilla)及びオランウータン(Pongo)、より好ましくはBonobo(Pan paniscus)及びコモンチンパンジーおものである。
4.アデノウイルスが、以下のものから構成される群から選ばれた、項3による改変ポリペプチド。
hAd3、hAd4、hAd5、hAd7、hAd11、hAd26、hAd35、及びhAd49、ChAd3、ChAd4、ChAd5、ChAd6、ChAd7、ChAd8、ChAd9、及びChAd5 PanAd1、PanAd2、PanAd3、ChAd55、ChAd73、ChAd83、ChAd146、及びChAd147
5.野生型ペントンベースプロトマーの配列が、配列番号1から14からなる群から選択される、項目1又は項目3又は項目4による改変ポリペプチド。
6.第1項又は第3項から第5項に記載の改変ポリペプチドであって、以下の配列が、ペントンベースプロトマー内の第1RGDループのN末端を定義する
X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11(配列番号15)
ここで
X3は、D、E及びNからなる群から選択され、好ましくはDであり;
X4は、V、L及びIからなる群から選択され、好ましくはVであり;
X5は任意のアミノ酸であり、好ましくはA、D、E、K、S及びTからなる群から選択され、より好ましくはTであり;
X6は任意のアミノ酸であり、好ましくはA、D、E及びKからなる群から選択され、より好ましくはAであり;
X7は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはYであり;
X8は、A、D、E、N及びQからなる群から選択され、好ましくはE又はQであり、より好ましくはEであり;
X9は、好ましくはA、D、E、N及びKからなる群から選択される任意のアミノ酸であり、より好ましくはEであり;
X10は、S又はTからなる群から選択され、好ましくはSであり;そして
X11は任意のアミノ酸であり、第1のRGDループのN末端アミノ酸を構成する。
次の配列は、第1のRGDループのC末端及び第2のRGDループのN末端をペントンベースプロトマー内に定義する:
X12-X13-X14-X15-X16(配列番号16)
ここに、
X12は任意のアミノ酸であり、第1のRGDループのC末端アミノ酸を構成する;
X13はRであり;
X14はGであり;
X15はDであり; そして
X16は任意のアミノ酸であり、第2のRGDループのN末端アミノ酸を構成する;
及び/又は
以下の配列は、ペントンベースプロトマー内の第2のRGDループのC末端を定義する:
X17-X18-X19-X20-X21-X22-X23-X24(配列番号17)
ここで
X17は、任意のアミノ酸であり、第2のRGDループのC末端アミノ酸を構成する;
X18は、I、L及びVからなる群から選択され、好ましくはIであり;
X19は、D、E、K、N、Q及びVからなる群から選択され、好ましくはQ又はKであり、より好ましくはQであり;
X20は、C、G及びPからなる群から選択され、好ましくはPであり;
X21は、I、L及びVからなる群から選択され、好ましくはL又はVであり、より好ましくはLであり;
X22は、D、E、S及びTからなる群から選択され、好ましくはE又はTであり、より好ましくはEであり;
X23は、D、E、K、S及びTからなる群から選択され、好ましくはE、K又はTであり、より好ましくはKであり;そして
X24は、D及びEからなる群から選択され、好ましくはDであり;
及び/又は
次のシーケンスは、VループのN末端を定義する:
X25-X26-X27-X28-X29-X30-X31-X32(配列番号18)。
ここで
X25は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはFであり;
X26は、H、K及びRからなる群から選択され、好ましくはKであり;
X27は、A、V、I及びLからなる群から選択され、好ましくはAであり;
X28は、H、K及びRからなる群から選択され、好ましくはRであり;
X29は、A、V、I及びLからなる群から選択され、好ましくはVであり;
X30は、A、V、I、L及びMからなる群から選択され、好ましくはMであり;
X31は、A、V、I及びLからなる群から選択され、好ましくはVであり;そして
X32は任意のアミノ酸であり、VループのN末端アミノ酸を構成する。
及び/又は
以下の配列は、VループのC末端を規定する:
X33-X34-X35-X36-X37-X38-X39(配列番号19)
ここで
X33は任意のアミノ酸であり、VループのC末端アミノ酸を構成する;
X 34は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはYであり;
X 35は、D、E、S及びTからなる群から選択され、好ましくはE又はTであり、より好ましくはEであり;
X 36は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはWであり;
X 37は、A、F、V、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはF又はVであり、より好ましくはFであり;
X38は、D、E、S及びTからなる群から選択され、好ましくはD又はEであり、より好ましくはEであり;そして
X 39は、F、Y及びWからなる群から選択され、好ましくはFであり;
及び/又は、ペントンベースプロトマー内の以下の非連続ペプチドの1つ以上がアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトを形成する(太字のアミノ酸はファイバーと直接相互作用する)
M-T-I-D-L-M-N-N-A-I-X40-X41-X42-Y-L-X43-X44-G-R-Q-X45-G-V-L-E-S (配列番号20)。
W-D-P-X46-T-X47-X48-P-G (配列番号46);
X49-V-X50-X51-Y-X52-X53 (配列番号);
X54-X55-R-S-Y (配列番号48);及び/又は
L-T-X56-V-F-N-R-F-P-X57 (配列番号49)
ここで
X40は、V、I及びLからなる群から選択され;
X41は、E及びDからなる群から選択され;
X42は、H、N及びQ、好ましくはH及びNからなる群から選択され;
X43は、K、E、R、Q及びAからなる群から選択され;
X44は、V、L及びI、好ましくはV及びIからなる群から選択され;
X45は、H、N及びQ、好ましくはH及びNからなる群から選択され;
X46は、V、I、L、E又はD、好ましくはV及びEからなる群から選択され;
X47は、V、L及びI、好ましくはV及びIからなる群から選択され;
X48は、M、T及びS、好ましくはM及びTからなる群から選択され;
X49は、D、E、N及びQ、好ましくはD及びNからなる群から選択され;
X50は、好ましくはA、D、P、K及びTからなる群から選択される任意のアミノ酸であり;
X51は、A、D、E、K及びRからなる群から選択され、好ましくはA、E及びKであり;
X52は、D、E、L、I、Q及びNからなる群から選択され、好ましくはE、L及びQであり;
X53は、A、D、E、K、N、Q及びRからなる群から選択され、好ましくはA、E、N及びKであり;
X54は、K、R、S及びT、好ましくはK、S及びTからなる群から選択され;
X55は、A、D、E、G、K、N、Q、R、S及びT、好ましくはD、G、K、N及びSからなる群から選択される。
X56は、H、K及びRからなる群から選択され、好ましくはH及びRであり;そして
X57は、D及びEからなる群から選択される。
7.互いに独立して、X3~X10のアミノ酸配列が、DVTAYEES(配列番号21)、DVDAYENS(配列番号22)、DVAEYEKS(配列番号22) 配列番号23)、DVEAYEKS(配列番号24)、DVDAYEKS(配列番号25)、DVSKYEAS(配列番号26)、NVKAYEDS(配列番号27)、DVKKYENS(配列番号28)、DVDAYQAS(配列番号29)及びDVDAYQAS(配列番号30)からなる群から選択され、X18~X24のアミノ酸配列は、IQPLEKD(配列番号31)、IQPVEKD :32)、IKPLEKD(配列番号33)、IVPLTKD(配列番号34)、IEPVETD(配列番号35)及びIKPLTED(配列番号36)のアミノ酸配列において、X25~ X33~X39のアミノ酸配列は、FKARVMV(配列番号37)、FRAKLMV(配列番号38)及びFRAKVMV(配列番号39)からなる群から選択され、YEWFEF 配列番号40)、YEWVEF(配列番号41)及びYEWAEF(配列番号42)を含む。
8.第1のRGDループの標的特異的結合ドメインは、互いに独立して、5~300アミノ酸、好ましくは6~200アミノ酸の長さを有する、項目1又は3~7のいずれかに記載の改変ポリペプチド。第2のRGDループの標的特異的結合ドメインは、5~300アミノ酸、好ましくは10~200アミノ酸の長さを有する。及び/又はVループ中の標的特異的結合ドメインは、5~300アミノ酸、好ましくは10~200アミノ酸の長さを有する。
9.標的特異的結合ドメインの少なくとも1つが、免疫原性ペプチド、病原体中和ペプチド、ウイルスペプチド、細菌ペプチド、免疫調節ペプチドに特異的に結合することができる、項目1又は3~8のいずれかに記載の改変ポリペプチド。好ましくは細胞レセプター、低分子量タグ、好ましくはビオチン又はキチンの表面に結合することができる。
10.非アデノウイルスポリペプチド又はポリペプチドが、免疫原性ペプチド、病原体中和ペプチド、ウイルス性ペプチド、細菌性ペプチド、免疫調節性ペプチド及び癌ペプチドからなる群より選択される、項目1~9のいずれかに記載の改変ポリペプチド。ペプチド。
11.非アデノウイルスペプチド又はペプチドがプロテアーゼ切断部位、好ましくは配列特異的エンドペプチダーゼ切断部位、より好ましくはタバコエッチウイルスNIaプロテアーゼ(TEV)を含む、項目10のいずれかに記載の改変ポリペプチド。
12.カップリング残基が、Lys、Cys、Asp、及びGlu、好ましくはCysを含む群から選択される、項目1~11のいずれかに記載の改変ポリペプチド。
13.薬物が、化学療法薬、抗病原薬、免疫調節薬、及び抗炎症薬の群から選択される、項目1から項目12のいずれかに記載の改変ポリペプチド。
14.ァイバータンパク質断片が、以下を含む、項目2に記載の改変ポリペプチド。
X58-F-N-P-V-Y-P-Y-X59(配列番号43)
ここで
X58は、S、D及びTからなる群から選択され、好ましくはS又はDであり、より好ましくはSであり;そして
X59は、E、D及びGからなる群から選択され、好ましくはE又はDであり、より好ましくはEである。
15.前記ファイバータンパク質断片が9~20アミノ酸の長さを有する、項目14に記載の改変ポリペプチド。
16.前記ファイバータンパク質断片のN末端及び/又はC末端に挿入された、及び/又は前記末端に位置する少なくとも1つのカップリング残基が、好ましくは挿入され、及び/又は配置されている、項目2及び14又は15に記載の改変ポリペプチド。配列番号43のN末端及び/又はC末端に存在するか、又はファイバータンパク質断片のアミノ酸に結合している。
17.項目1から16のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸。
18.項目17の核酸を含む発現ベクター。
19.以下をコードするクローニングベクターであり、
(i)アデノウイルスペントンベースプロトマーを含むポリペプチドで、該ペントンベースプロトマーが、第1RGDループ、第2ループ、可変ルール、及び/又は第1のRGDループ、第2のRGDループ、可変ループをコードするアミノ酸に非アデノウイルスペプチドをコードする核酸を導入するためにに適合したアデノウイルスファイバータンパク質の結合部位を有する。又は、
(ii)非アデノウイルスペプチドをコードする核酸をC及び/又はN末端に導入するために適合したペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト(cleft)に特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含むポリペプチド。
20.項目19のクローニングベクターで、適合化に1以上の酵素部位で、好ましくは、BamHI、KpnI、KasI、NarI、SfdI、EcoRI及びRsrII、PfoI、BssHII、SalI、SacI、XbaI、BstEII及びHindIIIを含む。
21.項目18の発現ベクター、又は、項目19又は20のクローニングベクターを含む組み換え宿主細胞。
22.項目1、項目3から13に記載のアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む5つの改変ポリペプチドを含む五量体。
23.項目22に記載の12の五量体を含むウイルス様粒子(VLP)。
24.請求項2~4及び10~16に記載のペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合裂け目(cleft)に特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含む少なくとも1つの改変ポリペプチドを含む、項目23に記載のVLP。
25.G51C、S555C、G53C、Y64C、S54C、D114Cなどのアミノ酸残基のCysに少なくとも1つの突然変異をさらに含む、項目24に記載のVLP。
26.請求項2から4のいずれか1項目に記載のアデノウイルスファイバータンパク質結合裂け目に特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含む少なくとも1つの改変ポリペプチド及び5つのアデノウイルスペントンベースプロトマーを含む12の五量体10~16。
27.請求項1~16のいずれかに記載の改変ポリペプチドの製造方法であって、
(a)項目21の組換え宿主細胞を提供する;
(b)改変ポリペプチドを発現させる工程;そして
(c)改変ポリペプチドを精製する工程。
28.項目27に記載の方法、及び前記改変ポリペプチドをVLPにアセンブルする工程をさらに含む、項目23~26のいずれか1項目に記載のVLPの製造方法。
29.VLPをプロテアーゼ、好ましくは配列特異的エンドペプチダーゼ切断部位、より好ましくはTEVと共にインキュベートする工程をさらに含む、項目28に記載の方法。
30.疾患及び/又は患者特異的非アデノウイルスペプチドを含む、項目23から26のいずれかに記載のVLPの製造方法であって、
(a)項目19及び/又は20のクローニングベクターを提供する;
(b)疾患又は患者特異的非アデノウイルスペプチドのアミノ酸配列を確定する;
(c)前記非アデノウイルスペプチドの少なくとも1つをコードする核酸を、第1のRGDループ、第2のRGDループ、及び/又はアデノウイルスペントンベースプロトマーの可変ループをコードする核酸に挿入すること、及び/又は核酸ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含む改変ポリペプチドのN末端又はC末端をコードする核酸の前又は後の位置;
(d)必要に応じて、ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含む改変ポリペプチドと一緒に、宿主細胞中で操作されたアデノウイルスペントンベースプロトマーを発現させる工程;そして
(e)場合によりアデノウイルスペントンベースプロトマー結合ファイバータンパク質断片を含むVLP、又はアデノウイルスペントンベースプロトマー結合ファイバータンパク質断片を含む前記改変ポリペプチドを精製する段階。
31. 疾患及び/又は患者特異的非アデノウイルスペプチドを含む、項目23~26のいずれかに記載のVLPの製造方法であって、
(a)項目20のクローニングベクターを提供する工程;
(b)疾患又は患者特異的非アデノウイルスペプチドのアミノ酸配列を確定する;
(c)前記非アデノウイルスペプチドの少なくとも1つをコードする核酸を、前記改変ポリペプチドのN末端又はC末端をコードする核酸の前又は後の核酸位置に挿入すること;ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフト;
(d)場合によりアデノウイルスペントンベースプロトマーと共に、宿主細胞中のペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントを含む改変ポリペプチドを発現させる工程;そして
(e1)アデノウイルスファイバータンパク質のN末端フラグメントを含む前記改変ポリペプチドを精製する工程と、アデノウイルスファイバータンパク質の結合部位にペントンベースのプロトマーのアデノウイルスペントンベースのプロトマー又はエンジニアリングアデノウイルスペントンベースのプロトマーと混合する工程と、 ~13;又は
(e2)前記アデノウイルスペントンベースプロトマーが共発現されている場合に前記VLPを精製する工程。
32.疾患及び/又は患者特異的非アデノウイルスペプチドを含む、項目23から26のいずれかに記載のVLPの製造方法であって、
(a)疾患又は患者特異的非アデノウイルスペプチドのアミノ酸配列を確定すること;
(b)ペントンベースプロトマーのアデノウイルスファイバータンパク質結合クレフトに特異的に結合するアデノウイルスファイバータンパク質N末端フラグメントと、前記非天然アミノ酸配列の少なくとも1つとを含む、項目2~4及び10~16のいずれかに記載の改変ポリペプチドを合成すること、アデノウイルスペプチド;そして
(c)前記改変ポリペプチドを、項目1又は3~10のいずれかに記載のアデノウイルスペントンベースプロトマー又はアデノウイルスペントンベースプロトマーと、項目19に記載のVLPの項目18に記載の五量体とを混合する工程。
33. 項目28~32のいずれかに記載の方法によって製造可能なVLP。
34. 項目1~16のいずれかに記載の改変ポリペプチド、項目17の核酸、項目18の発現ベクター又は項目23~26又は33のいずれかのVLP、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、及び/又は適切な賦形剤を含む。
35. 請求項1~16のいずれかに記載の改変ポリペプチド、項目17の核酸、項目18の発現ベクター又は項目23~26又は33のいずれかのVLP、感染症の治療及び/又は予防用のポリペプチド、免疫疾患又は癌である。