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特開2022-166146フリードライヒ運動失調症の治療用のベクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166146
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】フリードライヒ運動失調症の治療用のベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20221025BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20221025BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221025BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221025BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
A61K35/76 ZNA
A61K48/00
A61P21/00
A61P9/00
A61P25/00
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022127545
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2020522345の分割
【原出願日】2018-10-17
(31)【優先権主張番号】17382691.8
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】519023754
【氏名又は名称】フンダシオ インスティテュート ディンベスティガシオ エン シエンシエス デ ラ サリュ ジャーマンス トライアス アイ プジョル
(71)【出願人】
【識別番号】520132115
【氏名又は名称】ゲンテック, エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティージャ ドゥエニャス アントニ
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス ディアス イベリス
(72)【発明者】
【氏名】バラゲ カバセス エウダルド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フリードライヒ運動失調症の治療のためのアデノ随伴ウイルスベクター、及び該ベクターを含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】核酸を含むアデノ随伴ウイルスベクターであって、該核酸が、(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、(ii)ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターと、(iii)ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)と、を含み、(ii)及び(iii)が(i)に作動可能に連結し、(i)の発現を調節し、(i)と(ii)との間に操作上機能的なリンカーが存在するベクター、及び該ベクターを含む医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、該核酸が、
(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、
(ii)ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターと、
(iii)ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)と、
を含み、(ii)及び(iii)が(i)に作動可能に連結し、(i)の発現を調節し、(i)と(ii)との間に操作上機能的なリンカーが存在し、該リンカーが配列番号6、又は配列番号6と少なくとも95%同一の配列からなる、ベクター。
【請求項2】
前記リンカーが配列番号6からなる、請求項1に記載のベクター。
【請求項3】
前記PGKプロモーターが配列番号1を含む、請求項1又は2に記載のベクター。
【請求項4】
前記WPREが配列番号2を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項5】
前記フラタキシンをコードする核酸配列が配列番号3、又は配列番号3と少なくとも90%同一であり、フラタキシンの機能的変異体である配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項6】
(i)、(ii)、(iii)及び前記リンカーを含む前記核酸の配列が配列番号4、又は配列番号4と少なくとも98%同一の配列からなる、請求項1に記載のベクター。
【請求項7】
前記AAVベクターがAAV血清型9ベクターである、請求項1~6のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項8】
(i)、(ii)、(iii)及び前記リンカーを含む前記核酸の配列が配列番号4からなり、前記AAVベクターがAAV血清型9ベクターである、請求項1に記載のベクター。
【請求項9】
(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、
(ii)PGKプロモーターと、
(iii)WPREと、
を含む核酸であって、(ii)及び(iii)が(i)に作動可能に連結し、(i)の発現を調節し、(i)と(ii)との間に操作上機能的なリンカーが存在し、該リンカーが配列番号6、又は配列番号6と少なくとも95%同一の配列からなる、核酸。
【請求項10】
(i)、(ii)、(iii)及び前記リンカーを含む前記核酸の配列が配列番号4、又は配列番号4と少なくとも98%同一の配列である、請求項9に記載の核酸。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の核酸と、AAVベクター、好ましくはAAV-9ベクターへのトランスファーベクターの組込み又は転位を促進する付加的な核酸エレメントとを含むトランスファーベクター。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載のAAVベクターの作製のための請求項9又は10に記載の核酸、請求項11に記載のトランスファーベクターの使用。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載のAAVベクターと、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項14】
医薬として用いられる、請求項1~8のいずれか一項に記載のAAVベクター。
【請求項15】
フリードライヒ運動失調症の治療のために用いられる、請求項1~8のいずれか一項に記載のAAVベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリードライヒ運動失調症の治療のための新たな治療法の分野に含まれ得る。特に、本願は、遺伝子療法用の新たな製品に関する。該製品は、フリードライヒ運動失調症を治療することが可能である。
【背景技術】
【0002】
フリードライヒ運動失調症(FRDA;OMIM #229300)は、神経系に対して進行性損傷を引き起こし、歩行困難及び言語障害から心疾患又は心筋症に及ぶ症状を生じる、稀な遺伝性神経変性疾患である。この疾患は、1860年代に初めてこの疾患を記述した医師であるニコラウス・フリードライヒにちなんで名付けられた。フリードライヒ運動失調症では、ぎこちない動作及び不安定性等の運動協調性の問題とされる運動失調が脊髄内の神経組織、並びに腕及び脚の筋肉運動を制御する神経の変性により生じる。脊髄が萎縮し、神経細胞がそのミエリン鞘の一部を失う。フリードライヒ運動失調症は、稀ではあるが、30000人~50000人の出生数で1例の範囲の最も一般的な遺伝性運動失調症であり、有病率は100000人当たり2例~4例である。男女共に同様に影響を受ける。症状は通常、5歳~15歳の間に発現するが、稀に早ければ18ヶ月又は遅ければ50歳に現れる場合がある。最初に現れる症状は通常、歩行困難又は歩行失調である。運動失調は徐々に悪化し、腕から体幹へゆっくりと広がる。凹足、足指の不随意屈曲、又は槌状足指等の足変形が初期兆候として現れる場合がある。時間と共に、特に足、脚及び手の筋肉が弱り、消耗され始め、変形が生じる。他の症状としては、特に膝及び足首の腱反射の消失が挙げられる。四肢の感覚が徐々に失われることが多く、これが身体の他の部位に広がる場合がある。構音障害が生じ、患者は疲れやすくなる。眼振と呼ばれる、眼球の急速で律動的な不随意の運動がよく見られる。フリードライヒ運動失調症患者の殆どが脊椎側彎症を発症し、これは重度の場合に呼吸に影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
生じる可能性がある他の症状は胸痛、息切れ及び動悸である。これらの症状は肥大型心筋症、心筋線維症又は心不全等のフリードライヒ運動失調症を伴うことが多い様々な形態の心疾患によるものである。頻脈及び心ブロック等の心拍数異常もよく見られる。フリードライヒ運動失調症患者の約20%が炭水化物不耐症を発症し、30%が糖尿病を示す。聴力又は視力を失う罹患者もいる。疾患進行速度は人によって異なる。概して、初期症状の発現から10年~20年後に、罹患者は車椅子生活を余儀なくされ、疾患の後期には重症身体障害者(totally disabled)となる。平均余命が影響を受ける場合もある。フリードライヒ運動失調症患者の多くは、最も多い死因である関連心疾患によって成人期に死亡する。しかしながら、比較的症状が軽い一部のフリードライヒ運動失調症患者は、60歳又は70歳まで生きることもある。
【0004】
MRI等の神経画像検査は、疾患の初期段階では正常な外観を示すが、頸髄及び小脳の様々な萎縮が次第に明らかとなる。上小脳脚(superior peduncle)の萎縮が示されるこ
とが多い。電気生理学的研究では40m/sを超える伝導速度が示され、知覚神経活動電位の欠如又は低下、及びH反射の欠如が見られる。神経病理学的レベルでは、脊髄、後根、時には小脳の顕著な萎縮、及び心肥大が観察される。神経変性が末梢感覚神経で確認され、大型後根神経節感覚ニューロンの進行性消失、後柱変性、クラーク柱(Clarke's spine)のニューロン、及び脊髄小脳線維、錐体路の経シナプス変性、並びに薄束核及び楔状核の萎縮が見られる。二次病変としては、大型グルタミン酸作動性ニューロンに影響する小脳の歯状核の萎縮、並びにベッツ細胞及び皮質脊髄路の萎縮を挙げることができる。
【0005】
1996年に、フリードライヒ運動失調症の原因が9番染色体(9q21バンド)上に
位置するFXN遺伝子の分子の欠陥であることが特定された。この突然変異は、FXN遺伝子の第一イントロンのALU配列内に位置するGAAトリプレットの異常なホモ接合伸長(homozygous expansion)からなる。FRDAの患者の約98%が、各々のGAA反復の数が201~1700(より頻繁には600~900)である2本の染色体を有する。しかしながら、FRDAの患者の2%~5%がFXN遺伝子中のGAA伸長及び点突然変異を複合ヘテロ接合(composite heterozygosis)で呈する(表1)。これまで、FXN
遺伝子中の17種を超える異なる突然変異がFRDAを誘発することが可能であることが記載されている。FRDAにおけるGAA伸長は、減数分裂時に非常に不安定であり、FXN遺伝子の転写を妨げ、異常に低レベルのフラタキシンmRNAをもたらす。GAA伸長は、FXN遺伝子の転写をサイレンシングし、三重DNA構造若しくはDNA-RNAハイブリッド、又はその両方の形成によりフラタキシン発現を無効にする。更に最近では、GAA伸長がGAA過剰伸長(hyperexpansion)の近くでのヘテロクロマチン様構造の形成により転写の開始から伸長への移行を妨げることが提唱されている。GAA伸長がFXN遺伝子の5’上流領域に位置するCpGサイトのエピジェネティックメチル化をもたらし、それらのサイレンシングを引き起こすことも提唱されている。このため、FXN遺伝子中のGAA突然変異の結果として、FRDAにおいてフラタキシンタンパク質の欠乏が生じる。
【0006】
【表1】
【0007】
FXN遺伝子は、フラタキシン(Q16595)と名付けられた、前駆体型で210アミノ酸(aa)を含有し、23135Daの分子量を有する小さな保存されたミトコンドリアタンパク質をコードする。この前駆体タンパク質型は、それをミトコンドリア基質へと指向するN末端トランジット配列を含有し、ミトコンドリア基質でミトコンドリアペプチダーゼにより成熟タンパク質フラタキシンの種々のより小さなアイソフォーム(FXN42-210、FXN56-210、FXN81-210、FXN78-210)へと変換され、130aa及び14.2kDaのFXN81-210が最も豊富である。ヒトでは、フラタキシンは、多様な組織においてミトコンドリア基質の内膜に結合して検出され、最も高いレベルが心臓組織、脊髄及び分裂リンパ芽球において特定され、注目すべきことに最低レベルが小脳において特定される。これまで、フラタキシンは大脳皮質中では検出されていない。疾患に関与する遺伝子が特定され、幾つかの動物モデルが作成されたことから、ミトコンドリアの鉄恒常性、鉄貯蔵、酸化ストレスに対する応答、Fe-Sクラスターの生合成、ミトコンドリアアコニターゼ活性の調整及び酸化的リン酸化の調節等の種々の機能がフラタキシンについて想定されている。FRDAでは、FXN遺伝子におけるGAA伸長のホモ接合伸長によって生じるフラタキシン欠乏が、ミトコンドリアにおける電子輸送及びアコニターゼ集合に必要とされる鉄-硫黄クラスターの不十分な生合成をもたらし、その恒常性の変化によるミトコンドリア機能及びミトコンドリア鉄蓄積の調節異常につながる。フラタキシンは、ミトコンドリア基質におけるクエン酸回路に関与する
ことに加えて、細胞の鉄の取込み及び利用を調節するタンパク質アコニターゼ1(ACO1)のDNA結合能も調整する。
【0008】
フリードライヒ運動失調症の幾つかの動物及び細胞モデルが遺伝子操作によって作成されている。ヒト疾患を可能な限り厳密に模倣するマウスのAFモデルの作成は困難な作業であったが、現在では8つの異なるFRDAのマウスモデルが存在する。残念なことに、それらのいずれも後根神経節(DRG)及び小脳歯状核中の病変等のFAの全ての表現型症状の組合せを同じ動物において呈しないが、FRDAにおける分子神経変性過程の単独の態様の研究及び特定の症状における種々の治療の評価に有用である。Prp-CreERTマウス及びYG8Rマウスが前臨床治療に最もよく使用されている。Prp-CreERTマウスは、フリードライヒ運動失調症の最も顕著な神経学的機能である小脳性及び進行性の感覚性運動失調を特異的に発症する。これらの動物における組織学的研究は、ヒト疾患の特徴である運動神経障害を伴わない脊髄及び後根神経節の異常、並びに小脳のプルキンエ細胞の分枝欠陥を示す。対照的に、内因性マウスフラタキシンタンパク質を欠くYG8Rトランスジェニックマウスは、緩徐進行性のFRDAの病態を示す。ヒトとは対照的に、これらのマウスは心臓欠陥を示さない。
【0009】
ヒトの病態に対する遺伝子療法に使用されるウイルスベクター及び非ウイルスベクターの中でも、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターは、特にゴーシェ病、ファブリー病、ポンペ病、異染性白質ジストロフィー、ニーマン-ピック病A型、並びにムコ多糖症I型、II型、III A型、III B型、IV型及びVII型の動物モデルにおいて重要な臨床的利点及び長期発現を示した。リソソーム蓄積症の動物モデルにおけるAAVベクターの静脈内投与は血液、肝臓、脾臓、腎臓及び筋肉において正常値の最大16倍の酵素活性の増大をもたらし、AAVベクターは、このタイプの病態の治療に極めて有用とされた。過去10年間にわたって、AAVは、中枢及び末梢神経系の病態の治療のために行われる殆どの臨床試験で選択されるベクターであった(http://www.abedia.com/wiley/index.html)。重要なことには、これまで、これらのベクターによる有害作用は観察されておらず、結果は非常に有望である。このため、幾つかの要因からAAVは中枢神経系(CNS)に対して理想的な遺伝子送達ビヒクルとなった。フラタキシン配列を含むアデノ随伴ウイルスベクターは、マウスにおけるFRDAの治療に使用されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、特許文献1)。しかし、従来技術で開示されているAAVベクターは、フラタキシンを過剰発現又は過少発現し、FRDAにおいて罹患した全ての標的細胞及びニューロンに到達しないため、FRDA、特にその神経学的兆候の効率的な治療には不適切である。このため、治療有効量でフラタキシンタンパク質を発現するAAVベクターが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2016/150964号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Gerard et al., 2014. Mol Ther Methods Clin Dev. 1: 14044
【非特許文献2】Chapdelaine et al., 2016. Gene Ther. 23(7): 606-614
【非特許文献3】Tremblay et al., 2015. Mol Ther. 23(Suppl. 1): pS153
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
現在、FRDAの治療に効果的な療法は存在せず、したがってFRDAの治療のための新たな治療法が必要とされている。本発明の目的は、FRDAの治療に適切な療法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、核酸を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、該核酸が(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、(ii)ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターと、(iii)ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)とを含む、ベクターを提供する。本発明は、(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、(ii)PGKプロモーターと、(iii)WPREとを含む核酸、該核酸を含むクローニングベクター、及び該核酸を含むトランスファーベクターも提供する。さらに、本発明は、本発明のAAVベクターの作製への核酸、クローニングベクター又はトランスファーベクターの使用を包含する。また、本発明は、医薬組成物、及び薬剤、特にFRDAの治療のための薬剤としてのAAVベクター、核酸又は医薬組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フラタキシン(FXN)タンパク質発現に関するSYN(シナプシン)及びFXN(フラタキシン;1255bp)ヒトプロモーターの評価を示す図である。内因性プロモーター(phFXN)及びシナプシンニューロンプロモーター(phSYN)のフラグメントの調節下でのヒトフラタキシン(FXN)タンパク質発現のレベルを高発現構成的プロモーターCMV下での発現と比較して試験するために、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞に空ベクター(レーン1)、又はヒトシナプシン(phSYN)をコードする構築物(レーン3)、又はフラタキシン(phFXN)プロモーターの1255bpフラグメント(レーン4)をトランスフェクトした。phSYN又はphFXN(1255bp)を用いてヒトFXNコード配列(hFXN CDS)を発現する構築物1.2及び1.3は、組み換えフラタキシンタンパク質(rFXN)の発現をもたらさなかった。HA、ヘマグルチニンタグ。
図2】フラタキシン(FXN)タンパク質発現に関するWPRE配列と合わせたSYN(シナプシン)、NSE(ニューロン特異的エノラーゼ)及びFXN(フラタキシン;1255bp)ヒトプロモーターの評価を示す図である。先の図1に示したphSYNプロモーター(レーン3、レーン4対レーン8)及びphNSE(レーン6)からのFXNの発現に対するFXNに由来する5’末端の320bpフラグメント、及びWPRE配列の影響を評価した。種々の構築物をHEK細胞にトランスフェクトし、トランスフェクションの48時間後に溶解物を分析した。RNAの安定化におけるWPRE配列の有効性がCMVプロモーターからFXNを発現する構築物に見られる(レーン2)。しかしながら、上記に示す調節エレメントの付加及び組合せはphSYN、hpFXN又はphNSEからのFXNの発現をもたらさなかった。HA、ヘマグルチニンタグ;iFXN、中間型FXN;mFXN、成熟型FXN;WPRE、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント。
図3】フラタキシン(FXN)タンパク質発現に関するCMVエンハンサー及びWPRE配列と合わせたSYN(シナプシン)、NSE(ニューロン特異的エノラーゼ)及びFXN(フラタキシン;1255bp)ヒトプロモーターの評価を示す図である。HEK及びマウス神経芽細胞腫細胞N2aにSYN、NSE又はFXN(1255bp)プロモーターのいずれかと共にCMVエンハンサーを含む構築物をトランスフェクトした。上記に示す調節エレメントの組合せはphSYN、phFXN又はphNSEプロモーターからのFXNの発現をもたらさなかった。HA、ヘマグルチニンタグ;iFXN、中間型FXN;mFXN、成熟型FXN;WPRE、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント。
図4】フラタキシン(FXN)タンパク質発現に対する、コザック(5’)及びWPRE(3’)配列を付加したヒトプロモーターSYN(シナプシン)、NSE(ニューロン特異的エノラーゼ)及びFXN(フラタキシン;1255bp)ヒトプロモーターの影響の評価を示す図である。種々の構築物をHEK細胞にトランスフェクトし、トランスフェクションの48時間後に溶解物を分析した。RNAの安定化におけるWPRE配列の有効性がCMVプロモーターからFXNを発現する構築物に見られる(レーン1対レーン2)。プロモーターとFXNコード配列との間にコザック配列及び105nt配列を付加することによる更なるFXN発現の増強がレーン2対レーン3に見られる。しかしながら、上記に示す調節エレメントの付加及び組合せはphSYN、phFXN又はphNSEからのFXNの発現をもたらさなかった。HA、ヘマグルチニンタグ;iFXN、中間型FXN;mFXN、成熟型;pFXN、前駆体型;WPRE、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント。
図5】フラタキシン(FXN)タンパク質発現に関する、コザック(5’)及びWPRE(3’)配列に加えたヒトプロモーターPGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ1)、NSE(ニューロン特異的エノラーゼ)、SYN(シナプシン)又はFXN(フラタキシン;1255bp)とFXNのコード領域(CDS)との間の規定のリンカーの組合せの評価を示す図である。示される種々の構築物をN2a(A、B及びE)又はHEK(C及びD)細胞のいずれかにトランスフェクトし、トランスフェクションの48時間後に溶解物を分析した。プロモーターとコード領域との間に105bpリンカーを使用した場合に、phNSE又はphFXN(1255bp)プロモーターではなくphPGKからのFXNの発現が常に検出された(A、C及びD:レーン4;B:レーン5並びにE:レーン8)。HA、ヘマグルチニンタグ;iFXN、中間型FXN;mFXN、成熟型;pFXN、前駆体型;WPRE、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント。
図6】YG8R Tg/-及びWTマウスにおけるrAAV9ベクター(4.6×1012vg/kg)の髄腔内注射後のPGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ1)ヒトプロモーター下のルシフェラーゼ(LUC)の発現を示す図である。ルシフェラーゼの発現を、ベクターの髄腔内注射の3.5ヶ月後に150mg/kg(マウス体重)のD-ルシフェリンを150μl腹腔内注射した後に検出した(A)。器官を解離させ、ルシフェラーゼ基質を新たに添加した後、画像を取り込んだ(相対スケールを左パネル及び右パネルの横に示す(B))。
図7】rAAV9-PGK1-FXNを髄腔内投与した7ヶ月齢マウスにおけるフラタキシンmRNAのin vivo発現を示す図である。フラタキシンmRNAレベルを7ヶ月齢のYG8Rヘミ接合トランスジェニック(Tg/-)又はホモ接合(Tg/Tg)マウスの肝臓、心臓、腰部後根神経節(DRG-L)、腰髄(SC-L)、胸髄(SC-T)、頸髄(SC-C)、小脳(Cb)及び脳(前頭部C1)組織においてqRT-PCRによって定量化した。YG8Rヘミ接合トランスジェニックマウス(Tg/-)にはrAAV-Null(黒色で示す)又はrAAV9-PGK1-FXN(薄い灰色で示す)のいずれかを投与し、FRDAホモ接合トランスジェニックマウス(Tg/Tg)(濃い灰色で示す)には注射しなかった。染色体の一方に約82個及び約190個のGAAトリヌクレオチド配列反復を有するヒトFXN遺伝子の2つのタンデムコピーを保有するYG8Rヘミ接合マウス(Tg/-)とは異なり、ホモ接合YG8Rマウスは、各染色体に2つのタンデムコピーを有する。ヒトFXNについてホモ接合又はヘミ接合のいずれのYG8Rマウスも、マウスFxnノックアウト遺伝的背景を有することから内因性Fxnを発現しない。ホモ接合YG8Rマウスは、より多くのヒト導入遺伝子のコピーを有した上で正常機能を示すことからヒトFXN mRNAについてより高発現の対照として働いた。マウスには2.5ヶ月齢で髄腔内注射し、ヒトFXN特異的プライマーを使用して種々の組織におけるFXN mRNAを定量化した。全FXN mRNAのレベルを、分析した各組織についてrAAV9-Nullで処理したYG8Rヘミ接合マウス(Tg/-)において検出されたレベルに対して正規化した。rAAV9-PGK1-FXNベクターの髄腔内注射の5ヶ月後に、FXN mRNAのレベルは、AAV-Null処理したTg/-マウスにおけるレベルと比較して、全ての組織において試験投与量でrAAV9-PGK1-FXNを注射したヘミ接合YG8Rマウス(Tg/-)でより高かった(1.3倍及び3.2倍前後)が、これはホモ接合YG8Rマウス(Tg/Tg)におけるレベルより高くはなかった。A)雌及び雄の両方のマウスにおけるヒトFXN mRNAの相対レベル(n=6(3匹の雌及び3匹の雄))。rAAV9-PGK1-FXN注射YG8Rマウスと比較した、対照AAV-nullを注射したフリードライヒ運動失調症マウスモデルであるYG8Rマウスの倍率差は肝臓、後根神経節及び脊髄において統計的に有意であり(p=0.019、p=0.004及びp=0.024;アスタリスクで示される)、全ての他の組織で増加傾向が示される。より高い変動性が使用した用量で雌性マウスと比較して雄に観察された。B)雌性YG8RマウスにおけるhFXN mRNAの相対レベル。アスタリスクで示され、下記表に挙げるように、フラタキシンレベルの統計的に有意な倍率差が研究した全ての組織で検出される。rAAV9-PGK1-FXN注射マウスにおける倍率増加は、Tg/Tg YG8Rマウスにおいて検出されるレベルより高いことはなかった。統計的有意性、p<0.05、p<0.005**
図8】髄腔内注射後のrAAV9-hPGK1-FXNベクターからの組み換えフラタキシンタンパク質のin vivo発現を示す図である。空ベクター、又は陽性対照として使用されるフラタキシン発現ベクターをトランスフェクトした培養細胞N2aの溶解物(図8A及び図8B:レーン1及びレーン2)。N2a細胞及びWTマウスにおける内因性FXNタンパク質を抗FXN抗体で検出する(A及びB)。YG8Rマウスにおける導入遺伝子からのヒトFXNタンパク質、及び注射マウスにおけるヒト組み換えFXNタンパク質を肝臓及びマウス脳の両方で検出する(A及びB)。1時間にわたるブロットと抗FXN抗体とのインキュベーションによりヒトFXNタンパク質が明らかとなり始め、一晩(o/n)インキュベーションによりWTマウスにおけるマウスFXN、並びにヘミ接合マウス(Tg/-)及びホモ接合マウス(Tg/Tg)におけるヒトFXNの両方が明らかとなる。注射したrAAV9-FXNから発現される組み換えヒトFXNタンパク質の発現のレベルは、WTマウスにおける内因性マウスFXNタンパク質のレベルと同様である。HA、ヘマグルチニンタグ;iFXN、中間型FXN;mFXN、成熟型FXN;WPRE、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント。
図9】rAAV9-FXNベクターの注射後の経時的なYG8Rマウスにおける足組み(clasping)反射の回復を示す図である。rAAV9-FXN又はrAAV9-nullベクターを注射したヘミ接合(Tg/-)マウス及びWTにおいて、後肢の組みを障害の小さいものから大きいものへ0~3にスコアリングした(方法を参照されたい)。雌及び雄を合わせた結果(各群につきn=10、5匹の雄及び5匹の雌)。ヘミ接合YG8Rマウスでは、足組み反射の変化が早ければ4ヶ月齢で検出される。rAAV9-FXNベクターの髄腔内注射後に、足組み反射は正常化するようであり、この神経学的な病理学的表現型の経時的な回復が示される。アスタリスク()は、rAAV9-nullを注射したWT及びTg/-マウスについての値の有意差を表し、ナンバー記号(#)は、rAAV9-nullを注射したTg/-マウス及びrAAV9-FXNを注射したTg/-マウスについて得られた値の有意差を表す。、#:P<0.05
図10】rAAV9-hPGK1-FXN注射マウスにおける組み換えフラタキシンタンパク質のin vivo発現が尾神経(caudal nerve)の刺激からの種々の距離(D1~D4)での電気生理学的性質を回復させることを示す図である。アスタリスク()は、rAAV9-nullで処理したWT及びTg/- YG8R FRDAマウスの有意差を表し、ナンバー(#)記号は、rAAV9-null及びrAAV9-FXN YG8Rで処理したマウスの有意差を表す。rAAV9-FXNベクターによる2.5ヶ月齢のマウスの髄腔内注射は、FRDA(YG8R)のFRDAマウスモデルにおける神経伝導の異常を予防する又は遅らせる。WT、緑色(n=10);rAAV9-nullベクターで処理したTg/- YG8R FRDAマウス、灰色(n=10);rAAV9-FXNベクターで処理したTg/- YG8R FRDAマウス、青色(n=10)。測定値を尾端から1cm、2cm、3cm及び4cmの点で得て、それぞれ部位D1、D2、D3及びD4の値として表した。、#:P<0.05。
図11】rAAV9-FXNで処理したFRDAマウスモデルであるYG8Rマウスにおける後根神経節の維持を示す図である。腰部後根神経節の直径及びミトコンドリア形態は、rAAV9-FXNで処理したFRDAマウスモデルにおいて、rAAV9-nullウイルスで処理した同じマウスと比較して維持されていたようであった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本出願で使用される「治療」及び「療法」という用語は、疾患及び/又は症状を治癒及び/又は緩和する目的と共に健康上の問題の改善を目標として使用される一連の衛生的手段、薬理学的手段、外科的手段及び/又は物理的手段を指す。「治療」及び「療法」という用語には、予防法及び治癒法が含まれる。それというのも、両者とも個体又は動物の健康の維持及び/又は回復に向けられるからである。症状、疾患及び廃疾の原因にかかわらず、健康上の問題を軽減及び/又は治癒するために適した医薬の投与は、本出願の文脈内の治療又は療法の形として解釈されるべきである。
【0016】
「治療有効量」という用語は、治療効果を有し、FRDAを治療することが可能な物質の量を指す。
【0017】
「個体」、「患者」又は「被験体」という用語は、本出願において区別なく使用され、決して限定することを意図するものではない。「個体」、「患者」又は「被験体」は、任意の年齢、性別及び身体状態であってもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合に、「薬学的に許容可能な担体」又は「薬学的に許容可能な希釈剤」は、医薬品投与と適合可能な任意の全ての溶剤、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を意味する。医薬品活性物質用のそのような媒体及び作用物質の使用は、当該技術分野でよく知られている。許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、本発明の範囲を限定するものではないが、追加の緩衝剤、保存剤、共溶媒、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、EDTA等のキレート化剤、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、ポリエステル類等の生分解性ポリマー、ナトリウム、多価糖アルコール等の塩形成対イオン、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸及びトレオニン等のアミノ酸、ラクチトール、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール類(例
えば、イノシトール)、ポリエチレングリコール等の有機糖類又は糖アルコール、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム等の硫黄含有還元剤、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は他の免疫グロブリン等の低分子量タンパク質、並びにポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーが挙げられる。
【0019】
「フラタキシン」という用語は、FXN遺伝子によってコードされ、通常はミトコンドリア内に局在するタンパク質を指す。このタンパク質の詳細は、UniProtKBデータベースにアクセッション番号Q16595で見ることができる。
【0020】
「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼが転写を開始するために結合することができるDNA配列を指す。この配列は、転写因子等の転写を調節する様々なタンパク質の結合部位を更に含有し得る。プロモーター配列は、DNA配列中に近接して局在し、リンカー又はスペーサーによって隔てられ得る種々のプロモーターフラグメント(異なる又は同じフラグメント)から構成されていてもよい。かかるプロモーターは、キメラプロモーターと称される。好ましい実施形態では、「プロモーター」という用語は、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターを指す。
【0021】
「転写後調節エレメント」という用語は、転写された場合にタンパク質の発現を増強又は阻害する三次構造を生じるDNA配列を指す。
【0022】
「作動可能に連結した」という用語は、或る核酸配列が別の核酸配列に影響を与えることができるように接続した2つ以上の核酸配列を指す。例えば、PGKプロモーター及びWPREは、フラタキシンの発現レベルがPGKプロモーター及びWPREによって調節されるように、フラタキシンをコードする核酸配列に作動可能に連結する。
【0023】
「機能的変異体」という用語は、核酸又はアミノ酸配列が1つ以上の位置で親核酸又はアミノ酸配列とは異なり(その違いは、核酸又はアミノ酸残基の付加、欠失及び/又は置換であり得る)、依然として機能的であり、したがってFRDAの治療に適している核酸又はアミノ酸を指す。当業者は、BLAST検索を用いてホモログを探索するか、又は集団内のタンパク質若しくは遺伝子の変動性を研究することで機能的変異体を決定することができる。
【0024】
「アデノ随伴ウイルス」という用語は、ヒト及び他の幾つかの霊長類種に感染する小さなウイルスを指す。「ベクター」は、外来遺伝物質を細胞内に人為的に運び込むために使用することができる任意のビヒクルである。このため、「AAVベクター」は、核酸を細胞内に運び込む組み換えAAVを指す。
【0025】
AAVベクター
第1の態様において、本発明は、核酸を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、該核酸が、
(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、
(ii)ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターと、
(iii)ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)と、
を含み、(ii)及び(iii)が(i)に作動可能に連結し、(i)の発現を調節する、ベクターを提供する。
【0026】
配列番号1は、以下の配列を指す:
gaattccggggttggggttgcgccttttccaaggcagccctgggtctgcgcagggacgcggctgctctgggcgtggttccgggaaacgcagcggcgccgaccctgggtctcgcacattcttcacgtccgttcgcagcgtcacccggatcttcgccgctacccttgtgggccccccggcgacgcttcctgctccgcccctaagtcgggaaggttccttgcggttcgcggcgtgccggacgtgacaaacggaagccgcacgtctcactagtaccctcgcagacggacagcgccagggagcaatggcagcgcgccgaccgcgatgggctgtggccaatagcggctgctcagcagggcgcgccgagagcagcggccgggaaggggcggtgcgggaggcggggtgtggggcggtagtgtgggccctgttcctgcccgcgcggtgttccgcattctgcaagcctccggagcgcacgtcggcagtcggctccctcgttgaccgaatcaccgacctctctccccag
【0027】
好ましい実施形態では、PGKプロモーターは配列番号1、又は配列番号1と少なくとも75%同一の配列を含む。好ましくは、PGKプロモーターは配列番号1、又は配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列を含む。より好ましくは、PGKプロモーターは配列番号1、又は配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0028】
2つの配列間の配列同一性は、従来の方法により、例えばBLAST等の現行の技術水準で既知の標準アラインメントアルゴリズムを用いて決定することができる(Altschul et al., 1990. J Mol Biol. 215(3): 403-10)。好ましい実施形態では、2つの配列間の
配列同一性は、BLASTを用いて決定する。
【0029】
配列番号2は、以下の配列を指す:
TCGACAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAGCTGACGTCCTTTCCATGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTG
【0030】
好ましい実施形態では、WPREは配列番号2、又は配列番号2と少なくとも75%同一の配列を含む。好ましくは、WPREは配列番号2、又は配列番号2と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列を含む。より好ましくは、WPREは配列番号2、又は配列番号2と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0031】
配列番号3は、以下の配列を指す:
ATGTGGACTCTCGGGCGCCGCGCAGTAGCCGGCCTCCTGGCGTCACCCAGCCCGGCCCAGGCCCAGACCCTCACCCGGGTCCCGCGGCCGGCAGAGTTGGCCCCACTCTGCGGCCGCCGTGGCCTGCGCACCGACATCGATGCGACCTGCACGCCCCGCCGCGCAAGTTCGAACCAGAGAGGTCTCAACCAGATTTGGAATGTCAAAAAGCAGAGTGTCTATTTGATGAATTTGAGGAAATCTGGAACTTTGGGCCACCCAGGCTCTCTAGATGAGACCACCTATGAAAGACTAGCAGAGGAAACGCTGGACTCTTTAGCAGAGTTTTTTGAAGACCTTGCAGACAAGCCATACACGTTTGAGGACTATGATGTCTCCTTTGGGAGTGGTGTCTTAACTGTCAAACTGGGTGGAGATCTAGGAACCTATGTGATCAACAAGCAGACGCCAAACAAGCAAATCTGGCTATCTTCTCCATCCAGTGGACCTAAGCGTTATGACTGGACTGGGAAAAACTGGGTGTACTCCCACGACGGCGTGTCCCTCCATGAGCTGCTGGCCGCAGAGCTCACTAAAGCCTTAAAAACCAAACTGGACTTGTCTTCCTTGGCCTATTCCGGAAAAGATGCTT
【0032】
好ましい実施形態では、フラタキシンをコードする核酸配列は配列番号3、又は配列番号3と少なくとも75%同一であり、フラタキシンの機能的変異体である配列を含む。好ましくは、フラタキシンをコードする核酸配列は配列番号3、又は配列番号3と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列を含む。より好ましくは、フラタキシンをコードする核酸配列は配列番号3、又は配列番号3と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0033】
好ましい実施形態では、核酸は、プロモーターとフラタキシンをコードする核酸配列との間にリンカーを更に含み、リンカーは配列番号6、又は配列番号6と少なくとも75%同一の配列のみからなるか、又はそれを含む。好ましくは、リンカーは配列番号6、又は配列番号6と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列のみからなるか、又はそれを含む。
【0034】
配列番号6は、以下の配列を指す:
TGGCTAACTAGAGAACCCACTGCTTACTGGCTTATCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCCAAGCTGGCTAGCGTTTAAACTTAAGCTTGGCCGCCACC
【0035】
好ましい実施形態では、核酸はコザック配列を更に含み、コザック配列は、フラタキシンをコードする核酸配列に同様に作動可能に連結し、その発現を調節する。コザック配列は、真核生物mRNA中に生じ、コンセンサス配列gccRccAUGG(ここで、Rはプリンであり、小文字は、その位置で最も一般的な塩基を表すが、塩基は異なる場合があり、大文字は高度に保存される)を有する配列である。
【0036】
配列番号4は、以下の配列を指す:
GAATTCCGGGGTTGGGGTTGCGCCTTTTCCAAGGCAGCCCTGGGTCTGCGCAGGGACGCGGCTGCTCTGGGCGTGGTTCCGGGAAACGCAGCGGCGCCGACCCTGGGTCTCGCACATTCTTCACGTCCGTTCGCAGCGTCACCCGGATCTTCGCCGCTACCCTTGTGGGCCCCCCGGCGACGCTTCCTGCTCCGCCCCTAAGTCGGGAAGGTTCCTTGCGGTTCGCGGCGTGCCGGACGTGACAAACGGAAGCCGCACGTCTCACTAGTACCCTCGCAGACGGACAGCGCCAGGGAGCAATGGCAGCGCGCCGACCGCGATGGGCTGTGGCCAATAGCGGCTGCTCAGCAGGGCGCGCCGAGAGCAGCGGCCGGGAAGGGGCGGTGCGGGAGGCGGGGTGTGGGGCGGTAGTGTGGGCCCTGTTCCTGCCCGCGCGGTGTTCCGCATTCTGCAAGCCTCCGGAGCGCACGTCGGCAGTCGGCTCCCTCGTTGACCGAATCACCGACCTCTCTCCCCAGTGGCTAACTAGAGAACCCACTGCTTACTGGCTTATCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCCAAGCTGGCTAGCGTTTAAACTTAAGCTTGGCCGCCACCATGTGGACTCTCGGGCGCCGCGCAGTAGCCGGCCTCCTGGCGTCACCCAGCCCGGCCCAGGCCCAGACCCTCACCCGGGTCCCGCGGCCGGCAGAGTTGGCCCCACTCTGCGGCCGCCGTGGCCTGCGCACCGACATCGATGCGACCTGCACGCCCCGCCGCGCAAGTTCGAACCAGAGAGGTCTCAACCAGATTTGGAATGTCAAAAAGCAGAGTGTCTATTTGATGAATTTGAGGAAATCTGGAACTTTGGGCCACCCAGGCTCTCTAGATGAGACCACCTATGAAAGACTAGCAGAGGAAACGCTGGACTCTTTAGCAGAGTTTTTTGAAGACCTTGCAGACAAGCCATACACGTTTGAGGACTATGATGTCTCCTTTGGGAGTGGTGTCTTAACTGTCAAACTGGGTGGAGATCTAGGAACCTATGTGATCAACAAGCAGACGCCAAACAAGCAAATCTGGCTATCTTCTCCATCCAGTGGACCTAAGCGTTATGACTGGACTGGGAAAAACTGGGTGTACTCCCACGACGGCGTGTCCCTCCATGAGCTGCTGGCCGCAGAGCTCACTAAAGCCTTAAAAACCAAACTGGACTTGTCTTCCTTGGCCTATTCCGGAAAAGATGCTTTGCCCACCTAGGGATCGGATCCCCGGGTACCGAGCTCGAATTCTGCAGATATCCAGCACACTTTGCCTTTCTCTCCACAGGTGTCGACAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAGCTGACGTCCTTTCCATGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTG
【0037】
好ましい実施形態では、(i)、(ii)及び(iii)を含む核酸の配列は配列番号4、又は配列番号4と少なくとも75%同一の配列である。好ましくは、(i)、(ii)及び(iii)を含む核酸は配列番号4、又は配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0038】
好ましい実施形態では、核酸はPolyAシグナルを更に含む。好ましくは、PolyAシグナルは少なくとも50bp長、100bp長、150bp長又は228bp長である。より好ましくは、PolyAシグナルは少なくとも228bp長である。最も好ましくは、PolyAシグナルは228bp長である。
【0039】
好ましい実施形態では、核酸は、1つ以上の逆方向末端反復(ITR)配列を更に含む。好ましくは、核酸は2つのITR配列を含む。より好ましくは、ITR配列が核酸の残りの構成要素に隣接する。
【0040】
配列番号5は、以下の配列を指す:
CTGGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGAATTCCGGGGTTGGGGTTGCGCCTTTTCCAAGGCAGCCCTGGGTCTGCGCAGGGACGCGGCTGCTCTGGGCGTGGTTCCGGGAAACGCAGCGGCGCCGACCCTGGGTCTCGCACATTCTTCACGTCCGTTCGCAGCGTCACCCGGATCTTCGCCGCTACCCTTGTGGGCCCCCCGGCGACGCTTCCTGCTCCGCCCCTAAGTCGGGAAGGTTCCTTGCGGTTCGCGGCGTGCCGGACGTGACAAACGGAAGCCGCACGTCTCACTAGTACCCTCGCAGACGGACAGCGCCAGGGAGCAATGGCAGCGCGCCGACCGCGATGGGCTGTGGCCAATAGCGGCTGCTCAGC
AGGGCGCGCCGAGAGCAGCGGCCGGGAAGGGGCGGTGCGGGAGGCGGGGTGTGGGGCGGTAGTGTGGGCCCTGTTCCTGCCCGCGCGGTGTTCCGCATTCTGCAAGCCTCCGGAGCGCACGTCGGCAGTCGGCTCCCTCGTTGACCGAATCACCGACCTCTCTCCCCAGTGGCTAACTAGAGAACCCACTGCTTACTGGCTTATCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCCAAGCTGGCTAGCGTTTAAACTTAAGCTTGGCCGCCACCATGTGGACTCTCGGGCGCCGCGCAGTAGCCGGCCTCCTGGCGTCACCCAGCCCGGCCCAGGCCCAGACCCTCACCCGGGTCCCGCGGCCGGCAGAGTTGGCCCCACTCTGCGGCCGCCGTGGCCTGCGCACCGACATCGATGCGACCTGCACGCCCCGCCGCGCAAGTTCGAACCAGAGAGGTCTCAACCAGATTTGGAATGTCAAAAAGCAGAGTGTCTATTTGATGAATTTGAGGAAATCTGGAACTTTGGGCCACCCAGGCTCTCTAGATGAGACCACCTATGAAAGACTAGCAGAGGAAACGCTGGACTCTTTAGCAGAGTTTTTTGAAGACCTTGCAGACAAGCCATACACGTTTGAGGACTATGATGTCTCCTTTGGGAGTGGTGTCTTAACTGTCAAACTGGGTGGAGATCTAGGAACCTATGTGATCAACAAGCAGACGCCAAACAAGCAAATCTGGCTATCTTCTCCATCCAGTGGACCTAAGCGTTATGACTGGACTGGGAAAAACTGGGTGTACTCCCACGACGGCGTGTCCCTCCATGAGCTGCTGGCCGCAGAGCTCACTAAAGCCTTAAAAACCAAACTGGACTTGTCTTCCTTGGCCTATTCCGGAAAAGATGCTTTGCCCACCTAGGGATCGGATCCCCGGGTACCGAGCTCGAATTCTGCAGATATCCAGCACACTTTGCCTTTCTCTCCACAGGTGTCGACAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAGCTGACGTCCTTTCCATGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTGGAATTCGAGCTCGGTACGATCAGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCTGGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCT
【0041】
好ましい実施形態では、核酸は配列番号5、又は配列番号5と少なくとも75%同一の配列である。好ましくは、核酸は配列番号5、又は配列番号5と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0042】
好ましい実施形態では、ベクターにより、フリードライヒ運動失調症を患う患者における治療有効量のフラタキシンの発現が可能となる。このため、ベクターは核酸を患者の細胞に送達し、核酸が続いて治療有効量のフラタキシンを発現する。
【0043】
好ましい実施形態では、AAVベクターはAAV血清型9ベクター、すなわちAAV-9ベクターである。
【0044】
核酸
第2の態様では、本発明は、(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、(ii)PGKプロモーターと、(iii)WPREとを含む核酸であって、(ii)及び(iii)が(i)に作動可能に連結し、(i)の発現を調節する、核酸を提供する。
【0045】
好ましい実施形態では、PGKプロモーターは配列番号1、又は配列番号1と少なくとも75%同一の配列を含む。好ましくは、PGKプロモーターは配列番号1、又は配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列を含む。より好ましくは、PGKプロモーターは配列番号1、又は配列番号1と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0046】
好ましい実施形態では、WPREは配列番号2、又は配列番号2と少なくとも75%同一の配列を含む。好ましくは、WPREは配列番号2、又は配列番号2と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列を含む。より好ましくは、WPREは配列番号2、又は配列番号2と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0047】
好ましい実施形態では、フラタキシンをコードする核酸配列は配列番号3、又は配列番号3と少なくとも75%同一であり、フラタキシンの機能的変異体である配列を含む。好ましくは、フラタキシンをコードする核酸配列は配列番号3、又は配列番号3と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列を含む。より好ましくは、フラタキシンをコードする核酸配列は配列番号3、又は配列番号3と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0048】
好ましい実施形態では、核酸は、プロモーターとフラタキシンをコードする核酸配列との間にリンカーを更に含み、リンカーは配列番号6、又は配列番号6と少なくとも75%同一の配列のみからなるか、又はそれを含む。好ましくは、リンカーは配列番号6、又は配列番号6と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列のみからなるか、又はそれを含む。
【0049】
好ましい実施形態では、核酸はコザック配列を更に含み、コザック配列は、フラタキシンをコードする核酸配列に同様に作動可能に連結し、その発現を調節する。
【0050】
好ましい実施形態では、(i)、(ii)及び(iii)を含む核酸の配列は配列番号4、又は配列番号4と少なくとも75%同一の配列である。好ましくは、(i)、(ii)及び(iii)を含む核酸は配列番号4、又は配列番号4と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0051】
好ましい実施形態では、核酸はPolyAシグナルを更に含む。好ましくは、PolyAシグナルは少なくとも50bp長、100bp長、150bp長又は228bp長である。より好ましくは、PolyAシグナルは少なくとも228bp長である。最も好ましくは、PolyAシグナルは228bp長である。
【0052】
好ましい実施形態では、核酸は、1つ以上の逆方向末端反復(ITR)配列を更に含む。好ましくは、核酸は2つのITR配列を含む。より好ましくは、ITR配列が核酸の残りの構成要素に隣接する。
【0053】
好ましい実施形態では、核酸は配列番号5、又は配列番号5と少なくとも75%同一の配列である。好ましくは、核酸は配列番号5、又は配列番号5と少なくとも75%、80%、85%、89%、90%、91%、92%、95%、97%、98%若しくは99%同一の配列である。
【0054】
クローニングベクター
第3の態様では、本発明は、上述の実施形態のいずれか1つによる核酸と、細菌細胞におけるクローニングベクターの複製を促進する付加的な核酸エレメントとを含むクローニングベクターを提供する。
【0055】
「クローニングベクター」という用語は、概して制限部位、細菌増殖のための複製起点
、及び選択可能なマーカーの存在を伴う、クローニングに適した任意のベクターを指す。
【0056】
本発明のクローニングベクターは、本発明の核酸を含み、好ましくは本発明のトランスファーベクター又はAAVベクターの作製に使用することができる。
【0057】
トランスファーベクター
第4の態様では、本発明は、上述の実施形態のいずれか1つによる核酸と、AAVベクター、好ましくはAAV-9ベクターへのトランスファーベクターの組込み又は転位を促進する付加的な核酸エレメントとを含むトランスファーベクターを提供する。
【0058】
「トランスファーベクター」という用語は、AAVベクターにおける組込み又は転位に適したベクターを指す。このため、トランスファーベクターは概して、AAVベクターへの遺伝情報の挿入を可能にする。
【0059】
本発明のトランスファーベクターは、本発明の核酸を含み、好ましくは本発明のAAVベクターの作製に使用することができる。
【0060】
核酸、クローニングベクター及びトランスファーベクターの使用
第5の態様では、本発明は、上述の実施形態のいずれか1つによるAAVベクターの作製への本発明の核酸、本発明のクローニングベクター又は本発明のトランスファーベクターの使用を提供する。
【0061】
医薬組成物
第6の態様では、本発明は、本発明のAAVベクター又は本発明の核酸と薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0062】
本明細書に記載される医薬組成物は、その他の物質も含有し得る。これらの物質としては、限定されるものではないが、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、界面活性剤、増量剤、酸化防止剤及び安定化剤が挙げられる。幾つかの実施形態では、医薬組成物は凍結乾燥されていてもよい。
【0063】
本明細書で使用される「凍結保護剤」という用語は、AAVベクター表面から優先的に排除されることにより凍結誘導ストレスに対してAAVベクターに安定性を与える作用物質を含む。凍結保護剤は、一次乾燥及び二次乾燥並びに長期産物貯蔵の間の保護も提供し得る。凍結保護剤の非限定的な例としては、スクロース、グルコース、トレハロース、マンニトール、マンノース及びラクトース等の糖類、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン及びポリエチレングリコール等のポリマー、ポリソルベート等の界面活性剤(例えば、PS-20又はPS-80)並びにグリシン、アルギニン、ロイシン及びセリン等のアミノ酸が挙げられる。生物系における毒性が低い凍結保護剤が一般的に使用される。
【0064】
1つの実施形態では、凍結乾燥保護剤が本明細書に記載される医薬組成物に添加される。本明細書で使用される「凍結乾燥保護剤」という用語は、非晶質のガラス質マトリックスを提供し、水素結合によりAAVベクター表面と結合することで、乾燥過程の間に除去される水分子と置き換えることにより、凍結乾燥又は脱水過程(一次凍結乾燥サイクル及び二次凍結乾燥サイクル)の間にAAVベクターに安定性を与える作用物質を含む。凍結乾燥保護剤は、凍結乾燥サイクルの間の産物の分解を最小限にして長期産物安定性を改善するのを助ける。凍結乾燥保護剤の非限定的な例としては、スクロース又はトレハロース等の糖類、グルタミン酸モノナトリウム、非結晶性グリシン又はヒスチジン等のアミノ酸、ベタイン等のメチルアミン、硫酸マグネシウム等のリオトロピック塩、三価以上の糖アルコール、例えばグリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリト
ール、ソルビトール及びマンニトール等のポリオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プルロニック(登録商標)類及びそれらの組み合わせが挙げられる。医薬組成物に添加される凍結乾燥保護剤の量は一般に、医薬組成物が凍結乾燥されたときに、許容することができない株の分解をもたらさない量である。
【0065】
幾つかの実施形態では、増量剤が医薬組成物に含まれる。本明細書で使用される「増量剤」という用語は、医薬製品と直接的に相互作用せずに凍結乾燥産物の構造をもたらす作用物質を含む。薬学的に洗練されたケークを提供することに加えて、増量剤はまた、崩壊温度の変更、凍結融解保護の提供及び長期貯蔵にわたる株安定性の向上に関して有用な品質を与えることもできる。増量剤の非限定的な例としては、マンニトール、グリシン、ラクトース及びスクロースが挙げられる。増量剤は結晶性(例えば、グリシン、マンニトール又は塩化ナトリウム)又は非晶質(例えば、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン)であってもよく、一般的に製剤中で0.5%~10%の量で使用される。
【0066】
Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載さ
れるようなその他の薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤が本明細書に記載される医薬組成物中に含まれていてもよいが、但し、それらは医薬組成物の所望の特性に悪影響を及ぼさないものとする。本明細書で使用される場合に、「薬学的に許容可能な担体」は、医薬品投与と適合可能な任意の全ての溶剤、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を意味する。医薬品作用物質用のそのような媒体及び作用物質の使用は、当該技術分野でよく知られている。許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、使用される投与量及び濃度で、レシピエントに対して非毒性であり、追加の緩衝剤、保存剤、共溶媒、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、EDTA等のキレート化剤、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、ポリエステル類等の生分解性ポリマー、ナトリウム、多価糖アルコール等の塩形成対イオン、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸及びトレオニン等のアミノ酸、ラクチトール、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース、ミオイニシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコール等の有機糖類又は糖アルコール、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム等の硫黄含有還元剤、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は他の免疫グロブリン等の低分子量タンパク質並びにポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーを含む。
【0067】
医薬組成物は、経口投与、舌下投与、バッカル投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、結膜投与、直腸投与、経皮投与、髄腔内投与、局所投与及び/又は吸入による投与用に調製され得る。好ましい実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与、筋肉内投与、結膜投与、経皮投与、腹腔内投与及び/又は皮下投与に適した溶液であり得る。別の実施形態では、医薬組成物は舌下投与経路、バッカル投与経路及び/又は吸入による投与経路に適した溶液であり得る。代替的な実施形態では、医薬組成物は、髄腔内投与に適したゲル又は溶液であってもよい。代替的な実施形態では、医薬組成物は、吸入による投与に適したエアロゾルであってもよい。好ましい実施形態では、医薬組成物は、髄腔内投与用に調製することができる。
【0068】
医薬組成物は、現行の技術水準で既知の一般的な賦形剤及び担体を更に含み得る。固体医薬組成物には、例えば医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等を含む従来の非毒性固体担体を使用することができる。注射用溶液については、医薬組成物は凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、界面活性剤、増量剤、酸化防
止剤、安定剤及び薬学的に許容可能な担体を更に含んでいてもよい。エアロゾル投与については、医薬組成物は概して、界面活性剤及び噴射剤と共に微粉化形態で供給される。界面活性剤は、当然ながら非毒性でなくてはならず、概して噴射剤に可溶である。かかる作用物質の代表的なものは、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステリン(olesteric)酸及びオレイン酸等の6
個~22個の炭素原子を含有する脂肪酸と脂肪族多価アルコール又はその環状無水物とのエステル又は部分エステルである。混合又は天然グリセリド等の混合エステルを用いることができる。例えば鼻腔内送達用のレシチンのように、担体が必要に応じて含まれていてもよい。坐剤については、従来の結合剤及び担体は、例えばポリアルカレン(polyalkalene)グリコール又はトリグリセリドを含み得る。
【0069】
医学的使用
第7の態様では、本発明は、薬剤として使用される本発明のAAVベクター、本発明の核酸又は本発明の医薬組成物を提供する。第8の態様では、本発明は、フリードライヒ運動失調症の治療に使用される本発明のAAVベクター、本発明の核酸又は本発明の医薬組成物を提供する。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明のAAVベクター、本発明の核酸又は本発明の医薬組成物は髄腔内、筋肉内、脳内又は脳室内に、好ましくは髄腔内又は筋肉内に投与される。
【0071】
好ましい実施形態では、本発明のAAVベクター、本発明の核酸又は本発明の医薬組成物は、体重1kg当たり少なくとも1×10個のベクターゲノム、好ましくは体重1kg当たり1×1010個、1×1011個又は1×1012個のベクターゲノムの用量で投与される。より好ましくは、体重1kg当たり少なくとも又は約4.6×1012個のベクターゲノムを投与する。
【実施例0072】
実施例1:プラスミド構築
ヒトフラタキシン(hFXN)のアイソフォーム1のコード配列をヘマグルチニンタグ(HA)と融合させ、In-Fusion(商標) HD Cloning Kit(Clontech)を用いてpcDNA3.1発現ベクターにクローニングした。この融合系を全てのクローニング工程に使用した。CMV、又はシナプシン(phSYN)、ニューロン特異的エノラーゼ(phNSE)、1255bpのFXNプロモーター(phFXN1255)若しくはヒトホスホグリセリン酸キナーゼアイソフォーム1(phPGK1)のヒト(h)プロモーター(p)のいずれかとFXN遺伝子のコード領域とを融合させることで幾つかの構築物を生成した。3’末端のウッドチャック肝炎ウイルス応答エレメント(responsive element)(WPRE)配列に加えて、CMVエンハンサー及びコザック配列等の更なる調節エレメントを5’末端に付加した。これら全ての発現ベクターにより生成する構築物を表2に挙げる。
【0073】
同じ組合せの調節エレメントを含有するプラスミドも、FXNのコード配列を、同様にIn-Fusion(商標) HD Cloning Kit(Clontech)を用いてpGL3-LUCベクター(Promega)から増幅したホタルルシフェラーゼコード配列(LU
C)に置き換えることによってルシフェラーゼ発現を駆動するように生成した。これらのプラスミドを表3に挙げる。
【0074】
実施例2:組み換えアデノ随伴ウイルスベクターの構築及び作製
pcDNA3.1-phPGK-kFXN-HA-WPRE及びpcDNA3.1-phPGK-kLUC-HA-WPREプラスミドの発現カセットを、組み換えAAV9ベクターのSnaBI-MfeI部位にクローニングした(rAAV9-phPGK1-F
XN-HA-WPREベクター及びrAAV9-phPGK-LUC-WPREベクター)。加えて、FXNコード配列を欠く対照nullベクターを生成した(AAV2/9-null)。3つ全ての構築物及びウイルス粒子は、Center of Animal Biotechnology and Gene Therapy(バルセロナ自治大学)のVector Production Unitで生成された。得ら
れる最終力価は、AAV9-phPGK-FXN-HA-WPREについては1.4×1013vg/ml、AAV9-phPGK-LUC-WPREについては9.8×1012vg/ml、AAV2/9-nullについては6×1012vg/mlであった。
【0075】
実施例3:フラタキシン発現の最適化
1. 細胞培養、in vitro発現及びルシフェラーゼレポーターアッセイ
マウス神経芽細胞腫細胞(N2a)、ヒト神経芽細胞腫細胞(SH-SY5Y)及びヒト胎児腎臓(HEK 293)細胞を、10cm培養皿において10%ウシ胎仔血清(Sigma)、2mM グルタミン、50μg/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Life technologies)を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中にて70%コンフルエンスで培養した。トランスフェクションを、N2a及びSH-SY5Y細胞についてはlipofectamine 2000(Life technologies)、HEK 293につい
てはリン酸カルシウムを用い、0.25μgのEGFPに加えて4μgのプラスミドDNA単独を用いて行った。トランスフェクション後に、培地をHEK細胞については新鮮DMEM培養培地、N2a及びSH-SY5Y細胞についてはNeurobasal、B27サプリメント、10μMレチノイン酸、2mMグルタミン、50μg/mlペニシリン/ストレプトマイシンに置き換えた。細胞培養培地交換の48時間後に、表2に挙げる発現プラスミドがトランスフェクトされた細胞を採取し、更に使用するまで-80℃で保管した。ルシフェラーゼレポーターアッセイについては、表3に挙げるプラスミドを上述のようにトランスフェクトし、細胞を384ウェルプレートに再プレーティングし、ルシフェラーゼ活性を、デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイキットを製造業者(Promega)の使用説明書の通りに使用して決定した。
【0076】
2. SDS-PAGE及び免疫ブロット法
タンパク質をRIPA溶解バッファー:10mM Tris-HCl(pH7.4)、140mM NaCl、0.1%デオキシコール酸ナトリウム、1%Triton X-100、1%SDS、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、25mMフッ化ナトリウム(NaF)、2.5mM NaVO及びタンパク質阻害剤カクテル(Roche)中
でのホモジナイズにより培養細胞から抽出した。タンパク質濃度を、DC-BioRadプロテインアッセイ(BioRad)を用いて決定した。全タンパク質抽出物を、1mM DTTを含有する4X Protein Sample Loading Buffer(Li-Cor Biosciences)と混合し、一定の20mAにて15%アクリルアミドゲル上での電気泳動によって分離した後、PVDF膜に転写した。使用した一次抗体は、抗FXN PAC 2518(Grazia Isaya博士(Mayo Clinic、ミネソタ州ロチェスター)の厚意によ
る寄贈)、抗FXN(1G2、Merck Millipore)、抗HAタグ(クローン16B12、
MMS-101P、Covance)及び抗βアクチン(AC15、Sigma)であった。赤外色素コンジュゲート二次抗体は、抗マウスIRDye-800CW及び抗ウサギIRDye 700CW(Li-Cor Biosciences)であり、免疫反応性を、Odyssey分析ソフトウェアv2.1(Li-Cor Biosciences)を用いて検出した。
【0077】
3. 結果
図1図5、並びに表2及び表3に見ることができるように、hPGK1プロモーター、リンカー配列(長さ及び含量)及びWPREを含む構築物の供給により、細胞におけるフラタキシンの発現が可能であった。ヒトPGK1プロモーターは、生理学的に適切な組織において発現される、代謝的に調節されるプロモーターであるため、フラタキシンのプロモーターとして有力な候補である。しかしながら、フラタキシンコード配列を発現する
ことを可能にするために使用される調節エレメント又はリンカーの配列/長さは、不明であった。エレメント及び配列の種々の組合せを試みることで、本発明者らの結果から、約105ntの長さを有する構築物がFXN発現を可能にするが、35nt前後のリンカー長では、WPRE RNA安定化配列(stabilizer sequence)を付加したとしてもFX
N発現が可能でないことから、ヒトフラタキシンコード配列からのタンパク質発現が、hPGK1プロモーターとFXNコード配列との間に操作上機能的なリンカーを組み入れることを必要とすることが示される。興味深いことに、このリンカーの要求は、試験した他のプロモーター(すなわち、hSYN)ではなく、hPGK1プロモーターを使用した場合にのみ顕著であった。さらに、このベクターからのフラタキシンタンパク質のレベルは、WPRE配列の非存在下であっても、CMV又はCAGプロモーター駆動性ベクターから得られたものよりもはるかに低く、内因性レベルにより匹敵する。以前のアプローチの制限の1つは、フラタキシン発現を得ることを可能にするために、CAG又はCMVプロモーター等の高駆動プロモーターが使用されており、細胞ストレスを引き起こし、予防効果の一部を無効にする可能性がある、非常に高レベルのタンパク質発現をもたらすことである。本明細書に提示されるベクターは、関連する神経系及び末梢組織において生理学的に機能的な範囲内の量でフラタキシンタンパク質の発現を駆動することが可能である。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
実施例4:in vivoデータ
1. 動物
本研究に使用した、Pookらによって開発されたフリードライヒ運動失調症マウスモデルYG8R(Pook et al. 2001. Neurogenetics. 3(4):185-93、Virmouni et al., 2014. PLoS ONE. 9(9):e107416)は、Jackson Laboratoriesのリポジトリから入手した(ストッ
ク番号012253)。このヒトFXNトランスジェニックマウスモデルは、内因性マウスフラタキシン遺伝子のノックアウト(Fxn-/-)であり、ファウンダーYG8(およそ82個及び190個のGAAトリヌクレオチド配列反復を有するヒトFXN遺伝子の2つのタンデムコピーを保有する)に由来するヒトFXN YAC導入遺伝子を有する。マウスをNexGen Mouse IVCケージ(Allentown、ニュージャージー州)
内で12時間の明暗サイクルを用い、陰圧、温度及び湿度を制御し、水及び照射齧歯類固形飼料Teklad global 18% protein(Envigo)を自由に与えながらSPF様条件で飼育した。YG8Rマウスコロニーは、The Institute for Health Science Research Germans Trias i Pujol(IGTP)で作り出された。雌性及び雄性ヘ
ミ接合YG8R(Tg/-)、並びにWT C57Bl/6マウスを全実験に使用した。
【0081】
突然変異ヒトFXN遺伝子(YG8R)についてヘミ接合のマウスを以前に報告されているようにジェノタイピングした(29、36)。簡潔に述べると、ゲノムDNAをYG8Rマウスの尾部からMaxwell(商標) 16 Mouse Tail DNA Purification Kit(Promega)によって抽出した。各マウスについての
導入遺伝子コピー数を、SYBR Premix Ex Taq II(Tli RNase H Plus)(タカラバイオ株式会社)、及びヒトフラタキシン導入遺伝子用の以下のプライマー:hFXN_Tg_FW:5’-GAAC-TTCAAATTAGTTCCCCTTTCTTC-3’(配列番号7)、hFXN_Tg_RV:5’-CACAGCCAT-TCTTTGGGTTTC-3’(配列番号8)、及び内部対照アポリポタンパク質B-100アイソフォームX1:IC_FW:5’-CACGTGGGCTCCAGCATT-3’(配列番号9)、IC_RV:TCACCAGTCATTTCTGCCTTTG(配列番号10)を使用するLightCycler(商標) 480 Instrument(Roche)での定量リアルタイムPCR(qPCR)を用いて決定した
。アッセイを95℃で5分間、95℃で20秒間及び60℃で30秒間、72℃で30秒間の40サイクル、最後に72℃で2分間の1サイクルの熱サイクル条件を用いて行った。サンプルを関心の各遺伝子について三連でアッセイし、導入遺伝子のレベルをCt(ΔΔCt)法によって決定した。導入遺伝子コピー数を、既知のコピー数を有する対照サンプルのCtデータと比較して推定した。GAA反復長をLA taq(Invitrogen)、並びに以下のプライマー:GAA-F:5’-GGGATTGGTT-GCCAGTGCTT-AAAAGTTAG-3’(配列番号11)及びGAA-R:5’-GATCTAAGGACCATCATGG-CCACACTTGCC-3’(配列番号12)を使用するGAA PCR増幅PCRによって決定した。PCR産物を100Vで3時間の電気泳動
によって1.5%アガロースゲル中で分離し、バンドサイズを分析した。次いで、GAA反復の数をPCR産物のサイズから451bp(隣接する非反復DNA)を差し引き、残りの塩基対反復サイズを3で割ることによって決定した。
【0082】
全ての動物の処置がEU及び地方の規制に従って行われ、適切な地方倫理委員会によって認可された。
【0083】
2. AAV投与
YG8Rヘミ接合及びWT 10週齢マウスをケタミン(10mg/kg(体重);Imalgene 500;Rhone-Merieux、フランス、リヨン)及びキシラジン(1mg
/kg(体重);Rompun;Bayer)の腹腔内注射によって麻酔した。AAV9-p
hPGK-FXN-HA-WPRE、AAV9-phPGK-LUC-WPRE又はAAV2/9-nullの髄腔内投与を腰部に行った。傍脊椎筋の切開による脊椎側面の露出後に、ウイルスベクターを33ゲージ針及びハミルトンシリンジにより腰椎L3及びL4の間でCSF中にゆっくりと注射した。髄腔への適切なアクセスは、動物の尾部の動きによって確認された。その後、筋肉及び皮膚を縫合した。各マウスへの種々のウイルスベクターの投与量は、4.6×10-12vg/kg(マウス体重)であった。
【0084】
3. ルシフェラーゼイメージングを用いたベクターの生体内分布
AAV9-phPGK-LUC-WPREベクターの生体内分布のin vivo評価のために、10週齢(2.5ヶ月齢)で、また150mg/kg(マウス体重)のD-ルシフェリン基質溶液の単回腹腔内注射を行った3.5ヶ月後にマウスにベクターを髄腔内投与した。マウスを基質投与の15分後に吸入麻酔(導入には4%、維持には2%のイソフルラン)によって麻酔した。麻酔マウスをPerkin Elmer Ivis Lumina II(Caliper Life Sciences、ドイツ)の暗チャンバー内に維持し、光子放
出を記録した。画像を1分間の積分時間、12.5cmの視野を用いてLivingイメージングソフトウェア(Xenogen Corporation、米国、カリフォルニア州)で分析した。
ex vivo評価のために、マウスの組織及び器官を基質投与の15分後に摘出した。組織及び器官を透明皿に入れ、上記のようなLivingイメージングソフトウェア(Xenogen Corporation、米国、カリフォルニア州)を用いて画像を取り込んだ。結果は図6
に見ることができる。
【0085】
4. qRT-PCR
RNAを30mgの新鮮凍結マウス組織からRNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて抽出した。RNAのRIN及び定量化をAgilent 2200 TapeStation(Agilent)で得た。RNAを37℃で15分間、85℃で5秒間の温度
条件でPrimeScript(商標) RT reagent Kit(タカラバイオ株式会社)を用いてcDNA(25ng/μl)に逆転写した(retrotranscribed)。qRT-PCRをマウス組織に由来するcDNAを用いて行い、フラタキシン発現のレベルをマルチウェルプレートフォーマットでLightCycler480機器(Roche Diagnostics)を用いて試験した。反応混合物は0.1mMの各プライマー、10ngのcD
NA及び5μlのTaqMan Universal Master Mix II、UNGなし(Thermofisher Scientific)からなる10μlの総量を有していた。ヒトフラ
タキシン検出のためのプライマー-プローブは、Bio-radによって設計済みであり(dH
saCPE5031641、Bio-rad)、マウスサンプル用のβ-2ミクログロブリン(
B2m)ハウスキーピング遺伝子のプライマーは、IDTによって設計済みであった(Mm
.PT.39a.22214835;IDT)。アッセイは50℃で2分間、95℃で10
分間、95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルの熱サイクル条件で行った。サンプを関心の各遺伝子について三連でアッセイし、レベルをCt(ΔΔCt)法によって決定した。結果は図7に見ることができる。
【0086】
5. SDS-PAGE及び免疫ブロット法
タンパク質をRIPA溶解バッファー:10mM Tris-HCl(pH7.4)、140mM NaCl、0.1%デオキシコール酸ナトリウム、1%Triton X-100、1%SDS、2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、25mMフッ化ナトリウム(NaF)、2.5mM NaVO及びタンパク質阻害剤カクテル(Roche)中
でのホモジナイズによりマウス組織から抽出した。タンパク質濃度を、DC-BioRadプロテインアッセイ(BioRad)を用いて決定した。全タンパク質抽出物を、1mM DTTを含有する4X Protein Sample Loading Buffer(Li-Cor Biosciences)と混合し、一定の20mAにて15%アクリルアミドゲル上での電気泳動によって分離した後、PVDF膜に転写した。使用した一次抗体は、抗FXN PAC 2518(Grazia Isaya博士(Mayo Clinic,Rochester MN)の厚意による寄贈)
、抗FXN(1G2、Merck Millipore)、抗HAタグ(クローン16B12、MMS-
101P、Covance)及び抗βアクチン(AC15、Sigma)であった。赤外色素コンジュゲート二次抗体は、抗マウスIRDye-800CW及び抗ウサギIRDye 700CW(Li-Cor Biosciences)であり、免疫反応性を、Odyssey分析ソフトウェアv2.1(Li-Cor Biosciences)を用いて検出した。結果は図8に見ることができる。
【0087】
6. 足組み
後肢の組みは、多数の神経変性マウスモデルにおいて疾患進行のマーカーであることが示されている。各マウスを、尾を持って周囲のあらゆる物体から離して持ち上げた。後肢の位置を10秒間観察し、以下のようにスコアリングした。後肢が常に腹部から離れて外向きに開いていた場合、スコア0を割り当てる。ぶら下げた時間の50%を超えて一方の後肢が腹部に向かって引っ込められていた場合、スコア1が付けられる。ぶら下げた時間の50%を超えて両方の後肢が腹部に向かって部分的に引っ込められていた場合、スコア2が付けられる。ぶら下げた時間の50%を超えて後肢が完全に引っ込められ、腹部に触れていた場合、スコア3が付けられる。マウスにおける足組み反射を4ヶ月齢から2ヶ月に一度評定した。結果は図9に見ることができる。
【0088】
7. 電気生理学
マウス尾部の尾神経における振幅(μV)及び神経伝導速度(m/s)を測定した。吸入麻酔(イソフルラン2%)下の動物について、刺激電極針を4つの異なる刺激点(尾端から1cm、2cm、3cm、4cm)で皮下に位置付け、登録針点を尾端から6cmに固定した。値をMedelec Synergy装置(Viasys、米国)の2つのチャンネルを用いてEMG/PE N-EPで記録した。電気生理学的試験中に、動物の皮膚温は32℃超に維持した。マウスを4ヶ月齢から2ヶ月に一度評定した。結果は図10に見ることができる。
【0089】
8. 結果
本発明者らは、提示のAAV処理が、生理学的に適切な組織において生理学的に適切なレベルで発現され、内因性タンパク質と同様のプロセシングを示し、FRDAのマウスモデル(YG8R)において罹患ニューロンの電気生理学的性質、及び神経症状を大幅に改善し得ることから、FRDAの治療として効果的であることを提唱する。AAV9-hPGK1-FXNベクター中のFXNと同じ調節エレメント下のAAV9ベクター中のルシフェラーゼ遺伝子が髄腔内注射した場合に脊髄、脳全体、更には末梢組織において発現されることが図6に示される。また、同じベクター及び調節エレメント下のルシフェラーゼの発現は、注射後少なくとも7ヶ月前後にわたって一貫したままである(データは示さない)。フラタキシンレベルの低下が全てではないにしても殆どのFRDAの症状の根底にあり、25%以上のフラタキシンレベルを発現する突然変異を保有する個体がFRDAの症状を示さないことから、FXN発現の僅かな増加によりFRDA患者における症状を阻
止するか又は大幅に改善することが可能であるはずである。しかしながら、非常に高レベルのFXN発現又は任意の他のタンパク質は、細胞効果を誘導し、最終的に阻止効果を弱め、又は更には症状を悪化させる可能性がある。したがって、内因性FXNタンパク質と可能な限り同様のレベルをもたらすFXN発現ベクターを開発することに関心が寄せられる。したがって、本発明者らは、代謝的に調節されるプロモーター下で生理学的に適切なレベルでのFXNの発現を可能にするベクター(AAV9-hPGK1-FXNベクター)を開発し、10週齢のYG8Rヘミ接合マウス(Tg/-)の髄腔内に送達した。非注射マウスと比較してより高レベルのFXN mRNAが、YG8Rヘミ接合マウス(Tg/-)において肝臓と脊髄の胸部との両方でAAV9-PGK1-FXNベクターの髄腔内注射の3.5ヶ月後に検出された(それぞれ0.5倍及び2倍;図7)。これらは、ヘミ接合YG8Rマウスと比較して、脊髄でそれぞれ0.5倍及び3倍を示したホモ接合YG8Rマウスにおいて同じか又はより低かった。これにより、L3-L4髄腔内領域に注射したこのFXNコードベクターが取り込まれ、逆行性輸送によって又は髄液を介して拡散することで胸髄ニューロンにおいて発現されることが示される。本発明者らは、髄腔内投与したAAV9ベクターが血液脳関門を通過し、肝臓、心臓等の末梢組織に到達することも可能であり(図6)、注射したベクターからhFXN mRNAを発現することが可能である(図7)ことにも注目した。
【0090】
開発した組み換えベクターからのFXNタンパク質の発現レベルも分析した。使用した抗体は、一次抗FXN抗体とのブロットの一晩のインキュベーションに対する1時間後に得られたタンパク質パターンに見られるように、ヒトFXNタンパク質に対してより高い親和性を示すが、rAAV9-PGK1-FXNベクターから発現されるFXNタンパク質のレベルがWTマウスにおけるマウスFXNレベルと同様のようであることが図8に示される(図8A、レーン3対レーン4、並びに図8Bの第2のパネル、レーン3対レーン4及びレーン5対レーン6及びレーン7)。注目すべきことに、マウス脳の運動皮質領域(C1)において組み換えFXNタンパク質を検出することができた(図8B、レーン7)。これにより、脊髄の腰部への髄腔内注射による本発明者らのベクターの送達がCNSの運動関連領域全体にわたるベクターの分布をもたらすことが示される。加えて、組換えタンパク質は、野生型FXNタンパク質と同様のパターンでプロセシングされるようであり、中間型及び成熟型が最も顕著なプロセシング型である。
【0091】
rAAV9-PGK1-FXNで処理したYG8Rヘミ接合マウス(Tg/-)の表現型を神経学的足組み反射、及び尾神経の電気生理学的性質についてrAAV9-nullベクターと比較して更に分析した。足組み反射は、幾つかの神経変性障害に関与することが示されている。この反射は感覚経路、更には前肢及び後肢の運動を調節する脊髄運動経路に関与するようである。特に、小脳-皮質-網様体経路(cerebello-cortico-reticular pathways)が関与することが示されている。したがって、YG8Rマウスにおけるこれらの経路に対するrAAV9-hPGK1-FXNベクターの処理の影響を決定するために、ベクターの髄腔内注射後に種々の時点で足組み反射を定量化した(方法を参照されたい)。AAV9-nullベクター及びAAV9-FXNベクターのいずれかで処理したYG8Rマウスが早くも4ヶ月齢(髄腔内注射の1.5ヶ月後)で足組み異常を示すことが図9に示される。しかしながら、時間と共に、AAV-FXN処理マウスにおける足組み反射は正常化し、10ヶ月齢(注射の6.5ヶ月後)では一層、WTマウスによりよく似ている。これにより、FRDAマウスモデルに感覚系及び小脳-皮質-網様体系の初期異常が見られ、これがAAV-FXNベクターでの処理によって顕著に改善又は逆転することが示唆される。
【0092】
感覚ニューロンに対する処理の影響をより具体的に決定するために、AAV-FXNベクターで処理したYG8Rマウスの尾神経の電気生理学的性質(振幅及び速度)をAAV9-null対照ベクターで処理したマウスと比較して決定した。尾端からの全ての距離
(1cm~4cm)で、4ヶ月齢(処理の1.5ヶ月後)ではnullベクターで処理したWT、又はnull及びAAV-FXNで処理したYG8Rヘミ接合マウスの間に有意差が認められなかったことが図10に示される。しかしながら、6ヶ月齢からは、AAV9-null処理YG8R(Tg/-)マウスが振幅の有意な減少を示した一方で、AAV9-FXN処理マウスは、13ヶ月齢(処理の9.5ヶ月後)になってもWTマウスによりよく似ていた。速度の変化は認められなかった(データは示さない)。これらのデータから、AAV-hPGK1-FXNベクターでの処理が、おそらくは罹患ニューロンからの軸索の喪失を防ぐことによって、YG8Rマウスにおいて尾神経の機能を保持することができたことが示される。
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
2022166146000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、該核酸が、
(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、
(ii)ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターと、
(iii)ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)と、
を含み、(ii)及び(iii)が(i)に作動可能に連結る、ベクター。
【請求項2】
前記PGKプロモーターが配列番号1、又は配列番号1と少なくとも75%同一の配列を含む、請求項1に記載のベクター。
【請求項3】
前記WPREが配列番号2、又は配列番号2と少なくとも75%同一の配列を含む、請求項1又は2に記載のベクター。
【請求項4】
前記フラタキシンをコードする核酸配列が配列番号3、又は配列番号3と少なくとも75%同一であり、フラタキシンの機能的変異体である配列を含む、請求項1又は2に記載のベクター。
【請求項5】
(i)、(ii)、及び(iii)を含む前記核酸の配列が配列番号4、又は配列番号4と少なくとも75%同一の配列からなる、請求項1に記載のベクター。
【請求項6】
前記AAVベクターがAAV血清型9ベクターである、請求項1、2及び5のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項7】
(i)、(ii)、及び(iii)を含む前記核酸の配列が配列番号4からなり、前記AAVベクターがAAV血清型9ベクターである、請求項1に記載のベクター。
【請求項8】
(i)フラタキシンをコードする核酸配列と、
(ii)PGKプロモーターと、
(iii)WPREと、
を含む核酸であって、(ii)及び(iii)が(i)に作動可能に連結る、核酸。
【請求項9】
前記PGKプロモーターが配列番号1、又は配列番号1と少なくとも75%同一の配列を含む、請求項8に記載のベクター。
【請求項10】
前記WPREが配列番号2、又は配列番号2と少なくとも75%同一の配列を含む、請求項8又は9に記載のベクター。
【請求項11】
前記フラタキシンをコードする核酸配列が配列番号3、又は配列番号3と少なくとも75%同一であり、フラタキシンの機能的変異体である配列を含む、請求項8又は9に記載のベクター。
【請求項12】
(i)、(ii)、及び(iii)を含む前記核酸の配列が配列番号4、又は配列番号4と少なくとも75%同一の配列である、請求項に記載の核酸。
【請求項13】
請求項8、9及び12のいずれか一項に記載の核酸と、細菌細胞における前記クローニングベクターの複製を促進する付加的な核酸エレメントとを含むクローニングベクター。
【請求項14】
請求項8、9及び12のいずれか一項に記載の核酸と、AAVベクター、すなわちAAV血清型9ベクターへのトランスファーベクターの組込み又は転位を促進する付加的な核酸エレメントとを含むトランスファーベクター。
【請求項15】
請求項1、2、5、及び7のいずれか一項に記載のAAVベクターの製造方法であって、
請求項8、9及び12のいずれか一項に記載の核酸の使用を含む方法
【請求項16】
請求項1、2、5及び7のいずれか一項に記載のAAVベクター又は請求項8、9及び12のいずれか一項に記載の核酸と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項17】
フリードライヒ運動失調症の治療用医薬であって、請求項1、2、5及び7のいずれか一項に記載のAAVベクター、又は請求項8、9及び12のいずれか一項に記載の核酸を、治療有効量含む、医薬
【外国語明細書】