(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166305
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】飲料中の酸度及びミネラルに対する耐性が高い天然クリーマー
(51)【国際特許分類】
A23C 11/10 20210101AFI20221025BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20221025BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20221025BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20221025BHJP
A23D 7/00 20060101ALI20221025BHJP
A23J 3/14 20060101ALN20221025BHJP
【FI】
A23C11/10
A23L9/20
A23L29/238
A23L29/269
A23D7/00 508
A23J3/14
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022134056
(22)【出願日】2022-08-25
(62)【分割の表示】P 2020512016の分割
【原出願日】2018-09-28
(31)【優先権主張番号】62/566,768
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ルセット, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】サフォン, マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ステフェス, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】フー, シャオピン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】飲料及び食品製品の白色付与及び甘い質感/口当たりを提供するための天然クリーマーを提供する。
【解決手段】人工添加物を含まない液体クリーマーであって、前記人工添加物は、消泡剤、界面活性剤、添加乳化剤、緩衝剤及び/又は白色付与剤であり、前記液体クリーマーは、植物油、植物タンパク質、糖、重炭酸ソーダ、及びレモン果汁濃縮物を含み、前記レモン果汁濃縮物は、クエン酸及びリンゴ酸を含む酸成分を含む、液体クリーマーである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工添加物を含まない液体クリーマーであって、前記人工添加物は、消泡剤、界面活性剤、添加乳化剤、緩衝剤及び/又は白色付与剤であり、前記液体クリーマーは、植物油、植物タンパク質、糖、重炭酸ソーダ、及びレモン果汁濃縮物を含み、前記レモン果汁濃縮物は、クエン酸及びリンゴ酸を含む酸成分を含む、液体クリーマー。
【請求項2】
前記重炭酸ソーダの前記レモン果汁濃縮物に対する比が、総固形分基準で1.3:1.0~2.5:1.0である、請求項1に記載の液体クリーマー。
【請求項3】
前記植物タンパク質の脂肪に対する比が1:20を超える、請求項1又は2に記載の液体クリーマー。
【請求項4】
Lumisizer不安定指数が40未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項5】
前記クリーマーのpHが6を超える、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項6】
前記植物タンパク質が、エンドウ豆タンパク質、ジャガイモタンパク質、カボチャタンパク質、アーモンドタンパク質、レンズ豆タンパク質、米タンパク質、ピーナッツタンパク質、キノアタンパク質、オート麦タンパク質、ココナッツタンパク質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項7】
前記糖の前記植物タンパク質に対する質量比が75:1~25:1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項8】
前記糖が、ビート、サトウキビ、コンデンスミルク、ハチミツ、糖蜜、アガベシロップ、メープルシロップ、麦芽、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される糖供給源に由来する、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項9】
前記植物油が、ココナッツ油、ココナッツクリーム、アーモンド油、アーモンドバター、アーモンドペースト、カシュー油、カシューバター、カシューペースト、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される脂肪供給源に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項10】
前記クリーマーが、風味料を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項11】
Lou Han Gou(モンクフルーツ)抽出物、ステビア、レバウジオシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される天然の甘味料をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項12】
ジェランガム、グアーガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるガムをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項13】
前記重炭酸ソーダが、前記液体クリーマーの0.8~1.0重量%の量で含まれる、請求項1~12のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項14】
前記植物油が、前記液体クリーマーの3~10重量%の量で含まれる、請求項1~13のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本開示は、全般的に、食品製品に関する。より具体的には、本開示は、コーヒー及び茶などの食品製品用クリーマーに関する。
【0002】
[0002]クリーマーは、液体又は粉末状であってよく、温飲料及び冷飲料、例えば、コーヒー、ココア、茶などの白色付与剤として、また、質感/口当たり調整剤としても広く使用されている。これらは、乳及び/又は乳クリームの代わりに一般的に使用される。クリーマーは、様々な異なる香味をもたらし、白色付与効果、口当たり、ボディ、及びより滑らかな質感を提供することができる。
【0003】
[0003]ますます多くの消費者が、食品製品中の合成又は人工添加物に関心を持つようになっている。したがって、市販の天然クリーマーには需要がある。通常、クリーマーは、消費者には天然物としては知覚されない、カラギーナン、セルロースガム、セルロースゲル、乳化剤、又は緩衝剤若しくは白色付与剤などの安定剤を含有する。しかしながら、これらの人工かつ不健康なものと知覚されている食品成分は、典型的には、製品の賞味期限及びコーヒーに注いだ後のクリーマーの物理的安定性を担保するために必要とされる。加えて、コーヒーにおいて所望の白色付与及び質感/口当たり効果を達成するために必要とされる。これらの成分を含まない場合、コーヒークリーマーは、時間経過の際にあまり安定しておらず、白色付与が弱く及び有害な感覚効果を示す。加えて、合成添加剤又は人工添加物が存在しなければ、調製し終えた飲料において、クリーマーの深刻な物理的不安定化、及び機能の低下が生じ得る。
【0004】
[0004]現在、乳製品、非乳製品、又は植物ベースであり、かつ以下:安定剤/増粘剤としての親水コロイド、乳化剤、リン酸二カリウムなどの緩衝塩、及び場合により人工風味料のうちの1つ以上を含有する、「疑似天然クリーマー」が存在する。当然のことながら、これらの擬似天然クリーマーは天然の物では全くない。
【0005】
[0005]ほとんどの乳製品、非乳製品、及び植物ベースのクリーマーは、低pHかつ高ミネラル含量の飲料において物理的分離を経験する。物理的分離は、凝結、凝乳、ダマ形成、凝集、又は沈降と呼ばれることが多い。この現象は、まずはエマルション液滴の放出に関連し、次いで液滴の凝集に関連する。エマルションは安定であり、かつその賞味期限中に凝集体又は凝集塊を含まないものであるべきである。また、飲料に添加されたときに物理的不安定性を何ら伴わずに良好な感覚特性を提供するべきである。
[発明の概要]
【0006】
[0006]一態様では、本発明は、人工添加物を含まないクリーマーに関し、当該クリーマーは、植物油及びタンパク質を含み、更に、重炭酸ソーダ及び柑橘系果汁濃縮物を含むことを特徴とし、当該柑橘系果汁濃縮物は、クエン酸及びリンゴ酸を含む、クリーマーに関する。
【0007】
[0007]本開示は、食品製品用クリーマー及びクリーマーの製造方法に関する。クリーマーは、冷蔵温度で保管することができ、長期間(最大9カ月)安定であり得る。クリーマーは、飲料の苦味及び渋味をマスクし、かつ高い白色付与能力及び良好な口当たりを有する。
【0008】
[0008]本開示の利点は、人工的な成分を使用することなく、高い白色付与能力、良好な感覚特性、及び保管中の物理的安定性を有する天然クリーマーを提供することである。
【0009】
[0009]本開示の別の利点は、あらゆる人工成分又は合成成分を含まない天然クリーマーを提供することである。
【0010】
[0010]本発明は、飲料の凝乳又は分離の問題を解決するものである。例えば、クリーマーが淹出コーヒーに添加される場合、抽出水由来のカルシウム、マグネシウムといったミネラル、及び/又はコーヒー由来の酸とのエマルションの相互作用により、凝乳又は分離が生じることがある。本発明は、クリーマーの物理的外観及び品質を変えることなく、天然成分のみでこの凝乳を解決するものである。
【0011】
[0011]一態様では、本発明は、
(i)重炭酸ソーダ及び水を含むプレミックス溶液を調製する工程と、
(ii)柑橘系果汁濃縮物を高撹拌でプレミックス溶液に添加して、二酸化炭素を放出させ、天然のキレート溶液を得る工程と、
(iii)植物タンパク質、植物油、及び糖の存在下で、天然のキレート溶液を低剪断混合して、乾燥成分を完全に水和させ、任意選択により風味料を添加する工程と、
を含む、本発明のクリーマーを製造する方法に関する。
【0012】
[0012]一実施形態では、本発明は、
(i)泡の生成を回避するために、低撹拌条件下又は代替プロセス条件下で維持された油を含む成分を得る工程と、
(ii)重炭酸ソーダ及び水を含むプレミックス溶液を調製する工程と、
(iii)柑橘系果汁濃縮物を高撹拌でプレミックス溶液に添加して、二酸化炭素を放出させ、天然のキレート溶液を得る工程と、
(iv)植物タンパク質、植物油、及び糖の存在下で、天然のキレート溶液を低剪断混合して、乾燥成分を完全に水和させ、任意選択により風味料を添加する工程と、
(v)d50<1μm及びd90<2μmで0.01~2μm(マイクロメートル)の範囲のエマルション粒径を得るように構成された条件で均質化する工程と、
(vi)UHT処理と、
(vii)容器を0.5~20℃において無菌で充填する工程と、
を含む、本発明の液体クリーマーを製造する方法に関する。
【0013】
[0013]本発明のプロセスの一実施形態では、エマルション粒径は、約0.7μm、例えば、0.6~0.8μmmをピークとしてもよい。
【0014】
[0014]本発明のプロセスの一実施形態では、タンパク質は、植物タンパク質、例えば植物性タンパク質粉末の形態である。
【0015】
[0015]粒径d50及びd90は、体積による粒径分布について従来の意味で使用される。d50は、この直径以上及び以下で体積分布を2分割する、マイクロメートルでのサイズである。d90は、測定された粒径分布のマイクロメートルでのサイズであり、粒子の90体積%はこの直径を下回る。粒径分布は、レーザー光散乱法、顕微鏡法、又は画像解析と組み合わせた顕微鏡法によって測定することができる。例えば、粒径分布は、レーザー光散乱法によって測定することができる。
【0016】
[0016]本発明の方法の一実施形態では、UHT処理は、135~145℃で3~15秒間行われる。UHT処理は、最低141℃において約3秒間であってもよい。UHT処理は、139℃において12秒間であってもよい。
【0017】
[0017]本発明の方法にかかるプレミックス溶液は、約0.5~85℃の温度範囲で調製され得る。例えば、プレミックス溶液は、65~85℃で調製され得る。
【0018】
[0018]本開示の更に別の利点は、約0.5~20℃の温度で少なくとも9カ月間安定であり優れた白色付与効果を有する、長期安定性クリーマー(例えば、液体クリーマー)を提供する点である。一実施形態では、無菌充填は、0.5~7.2℃で行われる。
【0019】
[0019]本開示の更に別の利点は、優れた均質性を有する長期安定性クリーマー(例えば、液体クリーマー)を提供する点である。当該クリーマーは、相分離、集塊、ダマ、又はゲル化のいずれも生じない。
【0020】
[0020]本開示の別の利点は、良好な口当たり、ボディ、滑らかな質感、及び異味のない良好な香味を有する液体クリーマーを提供することである。
【0021】
[0021]本発明の一実施形態は、
(i)重炭酸ソーダ及び水を含むプレミックス溶液を調製する工程と、
(ii)柑橘系果汁濃縮物を高撹拌でプレミックス溶液に添加して、二酸化炭素を放出させ、天然のキレート溶液を得る工程と、
(iii)植物タンパク質、植物油、及び糖の存在下で、天然のキレート溶液を低剪断混合して、乾燥成分を完全に水和させ、任意選択により風味料を添加する工程と、
(iv)d50<1μm及びd90<2μmで0.01~2μm(マイクロメートル)の範囲のエマルション粒径を得るように構成された条件で均質化する工程と、
(v)当該エマルションを噴霧乾燥して粉末クリーマーを得る工程と、
を含む、本発明の粉末クリーマーを製造する方法を提供する。
【0022】
[0022]追加の特徴及び利点を本明細書に記載する。これらは、以降の発明を実施するための形態及び図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[0023]
【
図1】必要とされるレモン果汁(乾燥量基準)の量を、最終飲料中の水硬度の関数として示す。
【
図2】クリーマーの酸度への重炭酸ソーダ/レモン果汁比の影響を示す。
【
図3】コーヒー飲料中の重炭酸ソーダ、レモン果汁(乾燥量基準)、及び凝乳の量間の関係を示す。
【
図4】クリーマーの物理的安定性をpHの関数として示す。
【
図5】レモン果汁固形物添加の液体クリーマー(A)、及び非添加の液体クリーマー(B)の加工工程を示す図。
【
図6】240ppmの水硬度で淹出された100%コロンビアコーヒーにおける、アーモンドベースの液体コーヒークリーマーの外観であり、実施例1がAにおいて示され、実施例2がBにおいて示される。
【
図7】200ppmの水硬度で淹出された100%コロンビアコーヒーにおける、ココナッツベースの液体コーヒークリーマーの外観。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0030]一実施形態では、本発明は、人工添加物を含まないクリーマーに関し、当該クリーマーは、植物油及びタンパク質(例えば、植物タンパク質)を含み、更に、重炭酸ソーダ及び柑橘系果汁濃縮物を含むことを特徴とし、当該柑橘系果汁濃縮物は、クエン酸及びリンゴ酸を含む、クリーマーに関する。クエン酸及びリンゴ酸を含む酸成分に対する重炭酸ソーダの比は、乾燥量基準で1~3、例えば1.3~2.5、更に例えば1.5~1.8であってもよい。
【0025】
[0031]本発明のクリーマーは、液体クリーマー又は粉末クリーマーであってもよい。
【0026】
[0032]用語「柑橘系果汁濃縮物」は、レモン果汁、ブドウ果汁、オレンジ、ベリー、ライム、及びこれらの組み合わせを含む。この用語はまた、清澄化した形態も含む。一実施形態では、「柑橘類果汁濃縮物」は、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、ライム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される柑橘系果実由来の濃縮汁である。
【0027】
[0033]一実施形態では、本発明は、キレート剤としての、クエン酸とリンゴ酸と重炭酸ソーダとの組み合わせの、クリーマーにおける使用に関する。キレート剤は、天然の重炭酸ソーダを天然の柑橘汁と混合することによってその場で形成され、これにより、これらの成分がクリーマーに添加される場合、当該クリーマーは、最大500ppmの水硬度で淹出されたコーヒー(例えば、アラビカ100%)中で凝乳又は凝結しない。
【0028】
[0034]一実施形態では、重炭酸ソーダは、天然に抽出された重炭酸ナトリウム、例えば、天然の重炭酸ソーダとして知られる材料である。
【0029】
[0035]一実施形態では、タンパク質:脂肪比は、1:20超、例えば1:20~1:7、更に例えば1:15~1:3である。
【0030】
[0036]一実施形態では、Lumisizer不安定指数は40未満である。粉末クリーマーについて、クリーマーは、この測定のために水で再構成されることが理解される。
【0031】
[0037]一実施形態では、クリーマーのpHは6より大きい。
【0032】
[0038]一実施形態では、本発明のクリーマーは、添加糖を含む。更なる実施形態では、本発明のクリーマーは、添加糖を含まない。
【0033】
[0039]一実施形態では、本発明のクリーマーは、約75:1~約10:1、例えば約75:1~約25:1の範囲の添加糖:タンパク質質量比を含む。一実施形態では、本発明のクリーマーは、乳化剤、緩衝剤、更なる白色付与剤、消泡剤、界面活性剤、又はあらゆる他の人工成分を含む添加剤を含まない。
【0034】
[0040]クリーマーは、低分子量乳化剤を含まなくてもよい。本発明の文脈において、低分子量乳化剤という用語は、1500ダルトン未満の分子量を有する乳化剤を指す。低分子量乳化剤としては、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、アセチル化モノグリセリド、トリオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸グリセロール、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、グリセロールモノオレエート及びグリセロールモノステアレート、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、リゾリン脂質、リン脂質、ガラクト脂質、並びに脂肪酸のショ糖エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
[0041]一実施形態では、本発明にかかるクリーマーは、添加したモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、アセチル化モノグリセリド、トリオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸グリセロール、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、グリセロールモノオレエート及びグリセロールモノステアレート、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、リゾリン脂質、リン脂質、ガラクト脂質、並びに脂肪酸のショ糖エステルを含まない。例えば、これは、添加したモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、アセチル化モノグリセリド、トリオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸グリセロール、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、グリセロールモノオレエート及びグリセロールモノステアレート、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、リゾリン脂質、並びに脂肪酸のショ糖エステルを含まなくてもよい。
【0036】
[0042]本発明のクリーマーは、そのような添加された緩衝剤を含まなくてもよく、例えば、そのような添加された緩衝塩及び酸を含まなくてもよい。本発明のクリーマーは、モノホスフェート及びジホスフェートなどのリン酸塩を含まなくてもよい。
【0037】
[0043]本発明のクリーマーは、固体粒子状の白色付与剤を含まなくてもよく、例えば、クリーマーは二酸化チタンを含まなくてもよい。
【0038】
[0044]本発明のクリーマーは、そのような添加された消泡剤を含まなくてもよい。
【0039】
[0045]本発明のクリーマーは、界面活性剤、例えば合成界面活性剤、更に例えば、そのような添加された合成界面活性剤を含まなくてもよい。
【0040】
[0046]本発明のクリーマーは、乳製品の乳脂肪及び乳製品の乳タンパク質を含まなくてもよい。例えば、本発明のクリーマーは、乳製品を含まなくてもよい。
【0041】
[0047]一実施形態では、タンパク質は、エンドウ豆タンパク質、ジャガイモタンパク質、カボチャタンパク質、レンズ豆タンパク質、アーモンドタンパク質、米タンパク質、ピーナッツタンパク質、キノアタンパク質、ココナッツタンパク質、オート麦タンパク質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される植物タンパク質である。タンパク質は、液体エンドウ豆抽出物、エンドウ豆果汁、エンドウ豆タンパク質単離物、エンドウ豆粉、ジャガイモタンパク質単離物、パンプキンシードタンパク質単離物、アーモンドタンパク質、レンズ豆タンパク質単離物、米タンパク質単離物、ピーナッツタンパク質単離物、キノアタンパク質単離物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分中に含まれた植物タンパク質、又は当該成分からなる植物タンパク質であってもよい。
【0042】
[0048]本発明のクリーマーとしては、乳(スキムミルク若しくは全乳、生乳若しくは低温殺菌乳、アーモンド乳、カシュー乳、亜麻乳、ココナッツ乳、又はあらゆる植物系乳)、ヘビークリーム、糖(並びに天然甘味料)、タンパク質(乳タンパク質/カゼイン塩、エンドウ豆タンパク質(液体エンドウ抽出物、エンドウマメ果汁、エンドウ豆タンパク質単離物、エンドウ豆粉、又はこれらの組み合わせ)、米タンパク質、オート麦タンパク質、ジャガイモタンパク質、アーモンドタンパク質、レンズ豆タンパク質単離物、ピーナッツタンパク質単離物、キノアタンパク質単離物、ココナッツタンパク質、又はこれらの組み合わせ)、植物由来油(ココナッツ油、ココナッツクリーム、亜麻油、アーモンド油、カシュークリーム、カシューペースト、並びに他のナッツ油及びペースト、又は全ての組み合わせ)、及び天然風味料を挙げることができる。クリーマーは、エンドウ豆タンパク質、例えば黄色エンドウ豆タンパク質を含んでもよい。クリーマー中の脂肪、タンパク質、及び糖は、全て天然の資源から得ることができる。クリーマーは、凝集、分離、ゲル化、集塊形成、ダマ形成、又はフェザーリングなどの望ましくない現象を生じることのない安定性を有する。更に、コーヒー又は茶などの温飲料に添加した後は、凝集、分離、又は凝乳などの物理的分離は生じない。
【0043】
[0049]一実施形態では、クリーマーは、アーモンドペースト及びココナッツ油を含む。
【0044】
[0050]一実施形態では、クリーマーはココナッツクリーム及びココナッツ油を含む。
【0045】
[0051]一実施形態では、クリーマーは、アーモンドペースト、ココナッツクリーム、及びココナッツ油を含む。
【0046】
[0052]一実施形態では、クリーマーは、エンバク粉及びココナッツ油を含む。
【0047】
[0053]一実施形態では、クリーマーは、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)、グアーガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるガムを含む。
【0048】
[0054]一実施形態では、添加糖は、ビート、サトウキビ、コンデンスミルク、ハチミツ、糖蜜、アガベシロップ、メープルシロップ、麦芽、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される糖供給源に由来する。例えば、添加糖は、甜菜糖、甘ショ糖、コンデンスミルク、蜂蜜、糖蜜、アガベシロップ、メープルシロップ、麦芽、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された成分の形態であってもよい。
【0049】
[0055]一実施形態では、植物油は、ココナッツ油、ココナッツクリーム、アーモンド油、アーモンドバター、アーモンドペースト、カシュー油、カシューバター、カシューペースト、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される脂肪供給源である。本発明の文脈において、脂肪という用語は、トリグリセリドを意味する。脂肪は、動物脂肪組織及び多くの植物種子の主成分である。一般的に液状で存在する脂肪は、総じて油と呼ばれる。本発明において、油及び脂肪という用語は互換可能である。
【0050】
[0056]一実施形態では、クリーマーは風味料を更に含む。
【0051】
[0057]一実施形態では、クリーマーは、Lou Han Gou(モンクフルーツ)抽出物、ステビア、レバウジオシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される天然の甘味料を含む。
【0052】
[0058]本開示の実施形態におけるクリーマーは、レモン果汁、リンゴ果汁、ブドウ果汁、又はクエン酸及びリンゴ酸に富んだあらゆる果汁を含有する。本発明にかかる柑橘系果汁濃縮物は、30~50重量%の酸を含み得る。適切な柑橘系果汁濃縮物の例は、Citromax S.A.C.L(トゥクマン、アルゼンチン)より供給されるレモン果汁濃縮物であって、総濃縮物の百分率として34~43%のクエン酸及び4~5%のリンゴ酸を含む40~50%の総固形分を含有する。
【0053】
[0059]本開示の実施形態におけるクリーマーは、天然の重炭酸ソーダ、天然ソーダ灰、ナーコライト、ナトロン、ナトライト(Natrite)、トロナ、苛性アルカリ液、又は他の天然アルカリ剤を含有する。
【0054】
[0060]タンパク質は、天然の乳化剤として官能化されて、例えば、レシチン、モノグリセリド、モノグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステルなどの、あらゆる低分子量乳化剤を含まない油エマルション液滴を形成する。上記天然の乳化剤、例えば乳製品及び植物タンパク質で安定化された油エマルションの粒径は、0.7マイクロメートルを最大濃度として、0.1~2.0マイクロメートルの範囲であり得る。本開示のクリーマーのあらゆる実施形態では、クリーマー中に存在するタンパク質の量は、約0.1~約1質量%の範囲であり得る。より具体的には、タンパク質は、約0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、1質量%、及び同様のものであり得る。本明細書に列挙されるタンパク質の2とおりの量は、タンパク質の好ましい範囲におけるエンドポイントを更に表し得るということを理解されたい。例えば、0.2質量%及び0.4質量%の量は、クリーマー中のタンパク質の個々の量、並びにクリーマー中のタンパク質に好ましい範囲が約0.2~約0.4質量%の範囲であることを表すことができる。
【0055】
[0061]本開示の実施形態における植物ベースのクリーマーは、10~40マイクロメートルの範囲のサイズを有するいくつかのより大きな粒子を含有する。これらの粒子は、ココナッツ、アーモンド、及び不溶性繊維に富む他のナッツなどの、植物ベースの成分由来のシグネチャー粒子である。
【0056】
[0062]本開示の実施形態におけるクリーマーは、天然の果汁(例えば、レモン)由来の酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸)が天然アルカリ(例えば、重炭酸ソーダ)と反応する、その場での化学反応を示す。得られたクエン酸塩及び/又はリンゴ酸塩をその場で使用して、カルシウム及びマグネシウムなどの水硬度からミネラルをキレート化することで、コーヒー飲料の凝乳を防止する。ミネラルキレートの容量は、クリーマー中のクエン酸及び/又はリンゴ酸の総量に基づく(
図1及び
図2)。
【0057】
[0063]飲料(例えば、コーヒー)中の総硬度が400ppmである場合、重炭酸ソーダ:レモン果汁(総固形分)の比率は、1~3、より好ましくは1.3~2.5、更により好ましくは1.5~1.8である。添加されたレモン果汁(固形物基準)の合計は、好ましくは0.5~0.8%、より好ましくは0.57~0.75%、最も好ましくは0.65~0.7%である。添加された総重炭酸ソーダは、好ましくは0.8~1%、より好ましくは0.83~0.92%、最も好ましくは0.85~0.88%である。レモン果汁又は他の果汁は、ミネラル(例えば、カルシウム、マグネシウム)との相互作用によってエマルションの凝集又は凝乳を回避するために、ミネラルキレート剤として機能する(
図3)。
【0058】
[0064]本開示の実施形態におけるクリーマーは、pHが5.2~10の範囲であることを示す。好ましくはpH5.2~10、より好ましくはpH6~9、更により好ましくはpH7~7.5が、コーヒー(例えば、中煎りした100%コロンビアアラビア(Columbian Arabic)コーヒー)に由来する酸を中和するためには必要である。酸度は、エマルションを合体又は凝集又は凝乳させることが知られている。クリーマーのpHもまた、クリーマーの物理的安定性及び賞味期限に影響を与える。7~7.5の範囲の最も好ましいpHを有するクリーマーが最も安定であった一方で、pHが6未満である場合、クリーマーはLumisizerのデータによって示されるように賞味期限中に物理的不安定性を示す。
【0059】
[0065]本明細書で使用する場合、用語「安定性」とは、冷蔵条件(例えば、約0.5~7.2℃)において最長9カ月までの長期間にわたって、相分離(例えば、クリーミング、沈降、及び/又は熟成ゲル化(Age gelation))又は腐敗若しくは苦味(例えば、保管に起因)を有しない状況又は状態を維持することを意味する。更に、Lumisizer不安定指数は、40未満である(
図4)。
【0060】
[0066]Lumisizer(LUM、ドイツ)Model611を使用して、クリーミングに対する安定性を評価した。Lumisizer(LUM、ドイツ)は、試料遠心分離下での光散乱検出を利用した装置である。特に、水中油型エマルション及び分散液において生じる油滴クリーミング又は粒子沈降に基づき、異なる分離現象を評価するように設計されている。Lumisizerでは、いわゆるSTEP技術(空間及び時間分解吸光プロファイル:Step and Time resolved Extinction Profiles)が使用される。試料を希釈せずに測定し、20℃かつ2300gの力で最大2時間遠心力をかけた。試料の透過率プロファイルを20秒ごとに取得した。
【0061】
[0067]未処理の透過率プロファイルから、経時的な透過率の積分を計算し、その勾配(不安定性指標と称する)を、クリーミングに対するエマルション不安定性の定量的な尺度として使用した。分離グラフは、分散相(すなわちエマルション層の移動)と透明な相との間の界面の移動を、時間の関数として示す。
【0062】
[0068]試料間の分離率(不安定性指標)の差異により、クリーミングに対するエマルションの相対的安定性を評価することが可能であった。積分透過率(T)を時間(t)の関数としてプロットし、勾配(ΔT/Δt)を計算した。勾配(不安定性指標)が大きくなるほど分離が速くなること、したがって製品の安定性がより低いことを示す。
【0063】
[0069]一般的な実施形態では、本開示は、人工添加剤又は化学添加剤を含まないクリーマーを提供する。本開示の実施形態におけるクリーマーは、全て天然成分であり、乳製品、非乳製品ベースのクリーマー、又は植物ベースのクリーマーの所望の賞味期限安定性及び性能(例えば、白色付与特性)を達成するために通常使用される、消泡剤、界面活性剤、添加乳化剤(例えば、レシチン、モノグリセリド、モノグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステルなど)、緩衝剤(例えば、モノホスフェート、ジホスフェートなど)、及び白色付与剤(例えば、二酸化チタンなど)などの添加剤を含有する従来のクリーマーとは異なる。本開示の実施形態におけるクリーマーは、あらゆる人工添加物(例えば、安定剤)を含有しないが、クリーマーは、人工添加物を含有するそれぞれの従来のクリーマーと比較して、類似する質感若しくは優れた質感、感覚特性及び感覚安定性、又は白色付与能力を示し得る。
【0064】
[0070]本開示のクリーマーのあらゆる実施形態では、糖(例えば、ショ糖、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類など)は、あらゆる適切な天然の糖供給源から得ることができる。糖の供給源の非限定的な例としては、ビート、サトウキビ、蜂蜜、糖蜜、アガベシロップ、メープルシロップ、麦芽、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、サトウキビ果汁、ヤーコンシロップ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。天然の甘味料供給源の非限定的な例としては、Lou Han Gou(モンクフルーツ)抽出物、ステビア、レバウジオシドなどが挙げられる。本開示のクリーマーのあらゆる実施形態では、クリーマー中の添加糖の量は、約12~約30質量%の範囲であり得る。より具体的には、糖は、約12質量%、13質量%、14質量%、15質量%、16質量%、17質量%、18質量%、19質量%、20質量%、21質量%、22質量%、23質量%、24質量%、25質量%、26質量%、27質量%、28質量%、29質量%、30質量%、及び同様のものであり得る。本明細書に列挙される糖のあらゆる2つの量は、糖の好ましい範囲におけるエンドポイントを更に表し得るということを理解されたい。例えば、20質量%及び25質量%の量は、クリーマー中の糖の個々の量、並びにクリーマー中の糖に好ましい範囲が約20~約25質量%の範囲であることを表すことができる。本明細書で使用する場合、用語「質量」はまた、適切な場合では、「重量」と同等であると考えることもできる。
【0065】
[0071]本開示のクリーマーのあらゆる実施形態では、脂肪(例えば、油)は、ヘビークリーム、ココナッツミルク、ココナッツクリーム、ココナッツバター、アーモンドバター、アーモンド油、パンプキンシード油、パーム油、全てのナッツバター、全てのナッツペーストなどのうちの少なくとも1つを含む脂肪供給源から得ることができる。本開示のクリーマーのあらゆる実施形態では、生品中に存在する脂肪の量は、約1~約9質量%の範囲であり得る。より具体的には、脂肪は、約1質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%、及び同様のものであり得る。本明細書に列挙される脂肪のあらゆる2とおりの量は、脂肪の好ましい範囲におけるエンドポイントを更に表し得ることを理解されたい。例えば、3.3質量%及び5質量%の量は、クリーマー中の脂肪の個々の量、並びにクリーマー中の脂肪に好ましい範囲が約3~約10質量%、例えば3.3~9質量%の範囲であることを表すことができる。タンパク質対脂肪比は、1:25超、より好ましくは1:20超であることが好ましい。
【0066】
[0072]本開示のクリーマーのあらゆる実施形態では、クリーマーの糖:タンパク質質量比は、約75:1~約25:1の範囲であってもよく、例えば、比は75:1~25:1の範囲であり得る。本明細書に列挙される糖:タンパク質質量比のあらゆる2つの量は、糖:タンパク質質量比の好ましい範囲におけるエンドポイントを更に表し得るということを理解されたい。例えば、13.5:1及び16:1の量は、クリーマー中の個々の糖:タンパク質質量比、並びにクリーマー中の糖:タンパク質質量比に好ましい範囲が約13.5:1~約16:1の範囲であることを表すことができる。
【0067】
[0073]本開示の実施形態におけるクリーマーは、天然の風味料、天然の甘味料及び/又は天然の着色剤などのあらゆる他の好適な成分を更に含むことができる。風味料は、例えば、チョコレート、ココア、ヘーゼルナッツ、カラメル、バニラなどであり得る。甘味料は、例えば、ステビア抽出物、Luo Han Guo抽出物などであり得る。風味料、甘味料、及び着色剤の使用量は大きく変化し、風味料、甘味料、及び使用される色の量及び種類、並びにコストの考慮といった因子によって異なる。
【0068】
[0074]本開示の代替的な実施形態におけるクリーマーは、クリーマーがコーヒー/茶に添加されるとき、クリーマー自体又は調製し終えた飲料において凝集、分離、ゲル化、集塊形成、又はダマ形成などの望ましくない現象を引き起こさない冷蔵温度で保管することができる。
【0069】
[0075]本開示の代替的な実施形態におけるクリーマーは、コーヒー中で容易に分散可能であり、以下の問題:フェザーリング、エマルションの破壊、脂肪分離、凝結及び沈降のうちの1つ以上を伴わずに高温及び低温酸性環境において安定であり得る。コーヒー、茶、ココア、又は他の液体製品に添加されると、クリーマーは、高い白色付与能力、良好な口当たり、フルボディ、滑らかな質感、及び保管中に発生し得る異臭のノートを有さない良好な香味を提供することができる。クリーマーは、ベリー用クリーム、スープ用クリーマーとして、又は多くの調理用途において、穀物などの他の様々な食品と共に使用することができる。
【0070】
[0076]本開示の実施形態にかかる方法の一例として、クリーマーは、タンパク質、天然油、及び糖を混合することによって調製することができる。このクリーマー混合物は、適切な時間(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、又は60分以上)にわたって、約0.5~約85℃の温度範囲に曝露することができる。クリーマー混合物は、次いで、蒸気注入又は蒸気吹き込みによって、例えば、最低約141℃で約3秒間、又はあらゆる他の適切な熱処理によって滅菌することができる。
【0071】
[0077]本明細書に記載される方法のあらゆる実施形態では、クリーマーの加工及び製造中の、液体への、タンパク質、脂肪/ココナツクリーム、及びココナッツ油、レモン果汁、重炭酸ソーダ、糖、風味料などといった、クリーマーのあらゆる成分の混合は、撹拌下において、熱処理、均質化、冷却及び無菌条件下での無菌容器への充填と共に、又はこれらの前に行うことができる。無菌熱処理は、直接的又は間接的な超高温(「UHT」)蒸気注入又は蒸気吹き込みプロセスを使用してもよい。UHTプロセスは、当技術分野において既知である。UHTプロセスの例としては、UHT滅菌及びUHT低温殺菌が挙げられる。
【0072】
[0078]直接熱処理は、混合物に蒸気を注入することによって行うことができる。この場合、フラッシングによって過剰な水を除去することが必要であり得る。間接的熱処理は、混合物と接触する伝熱界面を用いて行うことができる。均質化は、熱処理の前及び/又は後に行うことができる。混合物中の熱伝達を改善し、したがって改善された熱処理を達成するために、熱処理前に均質化を行うことが興味深い場合がある。熱処理後に均質化を行うと、通常、エマルション中の油滴は確実に所望の寸法を有する。無菌充填は、L.Grimmによる”Beverage Aseptic Cold Filling”(Fruit Processing,July 1998,p.262-265)、R.Nicolasによる”Aseptic Filling of UHT Dairy Products in HDPE Bottles”(Food Tech.Europe,March/April 1995,p.52-58)の記事、Taggartへの米国特許第6,536,188(B1)号などの様々な刊行物に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
[0079]本発明のクリーマーは、クエン酸とリンゴ酸との比が30:1~15:1の範囲であるレモン果汁濃縮物を含み得る。
【実施例0074】
[0080]実施例1
以下の実施例は、限定するものではなく例として、本開示の様々な実施形態を例示する。
【0075】
[0081]液体クリーマーを以下のように調製した。方法は、プロセス図(
図5a)によって示される。
【0076】
[0082]糖、重炭酸ナトリウム、高アシルジェランガム、グアーガム、黄色エンドウ豆タンパク質、海塩、天然風味料のドライブレンドを、27,000gのショ糖と、300gの重炭酸ナトリウムと、100gの高アシルジェランと、100gのグアーガムと、500gのエンドウ豆タンパク質と、100gの海塩と、111gの天然の風味料とを混合することによって調製した。ドライブレンドを、高撹拌下で50kgの熱水(約75℃)に添加した。
【0077】
[0083]次に、連続的な高撹拌下で5分間混合した後、4.5kgのアーモンドペーストを、5分間の高撹拌下でタンクに添加した。
【0078】
[0084]次に、連続的な高撹拌下で5分間混合した後、3.0kgのココナッツ油を、5分間の高撹拌下でタンクに添加した。追加の水を添加して総量を100kgに調整した。
【0079】
[0085]液体クリーマーを、130/28で予め均質化し、予熱し、139℃で12秒間UHT処理し、130/28barで均質化し、冷却した。液体クリーマーをボトルに無菌的に充填した。得られた液体クリーマーは、例えば広口瓶、ジャグ又はパウチなどの任意の無菌容器に無菌的に充填することができる。液体クリーマーを4℃で5カ月間保管した。
【0080】
[0086]クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の、物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中、相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は認められず、実質的な粘度変化も認められなかった。
【0081】
[0087]驚くべきことに、液体クリーマーは、良好な外観、口当たり、滑らかな質感、及び良好なフレーバーを有し、味の「劣化」がないことが分かった。加えて、クリーマーは、コーヒーに添加した場合に高い白色付与能力を示した。
【0082】
[0088]驚くべきことに、
図6Aに示すように、より高硬度の240ppmの水で淹出した100%アラビカコーヒー(例えば、100%中煎りコロンビア)に添加した場合、液体クリーマーは、凝乳又は凝結したことが見出された。
【0083】
[0089]実施例2
800gの重炭酸ソーダ及び1.2kgのレモン果汁濃縮物400GPLを使用したこと以外、実施例1と同様に液体クリーマーを調製した。実施例1で引用したドライブレンドの分散前に、重炭酸ソーダを50kgの熱水(約75℃)に高撹拌下で5分間添加し、次いでレモン果汁濃縮物400GPLを加え、5分間混合した。方法は、プロセス図(
図5b)によって示される。クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の、物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中、相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は認められず、実質的な粘度変化も認められなかった。驚くべきことに、
図6Bに示すように、より高硬度の240ppmの水で淹出した100%アラビカコーヒー(例えば、100%中煎りコロンビア)に添加した場合、液体クリーマーは、凝乳又は凝結しなかったことが見出された。
【0084】
[0090]実施例3
糖、重炭酸ナトリウム、高アシルジェランガム、及び黄色エンドウ豆タンパク質のドライブレンドを、27,000gのショ糖と、250gの重炭酸ナトリウムと、90gの高アシルジェランと、500gのエンドウ豆タンパク質とを混合することによって調製した。ドライブレンドを、高撹拌下で50kgの熱水(約75℃)に添加した。
【0085】
[0091]次に、連続的な高撹拌下で5分間混合した後、17kgのココナッツ(クリームの形状)を、高撹拌下でタンクに添加した。5分後、3.0kgのココナッツ油を添加し、5分間混合した。追加の水を添加して総量を100kgに調整した。
【0086】
[0092]液体クリーマーを、130/30で予め均質化し、予熱し、136℃で12秒間UHT処理し、130/30barで均質化し、冷却した。液体クリーマーをボトルに無菌的に充填した。得られた液体クリーマーは、例えば広口瓶(jar)、ジャグ(jug)又はパウチなどの任意の無菌容器に無菌的に充填することができる。液体クリーマーを4℃で5カ月間保管した。
【0087】
[0093]クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の、物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中、相分離(例えば、クリーミング、オイルオフ、マーブリング等)、ゲル化は認められず、実質的な粘度変化も認められなかった。
【0088】
[0094]驚くべきことに、液体クリーマーは、見た目、口当たりが良く、質感が滑らかで、香味もよく、味の「劣化」がないことが認められた。加えて、クリーマーは、コーヒーに添加した場合に高い白色付与能力を示した。
【0089】
[0095]驚くべきことに、
図7Aに示すように、より高硬度の240ppmの水で淹出した100%アラビカコーヒー(例えば、100%中煎りコロンビア)に添加した場合、液体クリーマーは、凝乳又は凝結したことが見出された。
【0090】
[0096]実施例4
850gの重炭酸ソーダ、1.4kgのレモン果汁濃縮物400GPLを使用したこと以外、実施例3と同様に液体クリーマーを調製した。実施例3で引用したドライブレンドの分散前に、重炭酸ソーダを50kgの熱水(約75℃)に高撹拌下で5分間添加し、次いでレモン果汁濃縮物400GPLを加え、5分間混合した。方法は、プロセス図(
図6b)によって示される。クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の、物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中、相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は認められず、実質的な粘度変化も認められなかった。驚くべきことに、
図7Bに示すように、より高硬度の240ppmの水で淹出した100%アラビカコーヒー(例えば、100%中煎りコロンビア)に添加した場合、液体クリーマーは、凝乳又は凝結しなかったことが見出された。
【0091】
[0097]実施例5
300gの重炭酸ソーダ及び400gの化学的に合成したクエン酸ナトリウムを使用したこと以外、実施例1と同様に液体を調製した。クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の、物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中、相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は認められず、実質的な粘度変化も認められなかった。驚くべきことに、
図6Cに示すように、より高硬度の240ppmの水で煎出した100%アラビカコーヒー(例えば、100%中煎りコロンビア)に添加した場合、液体クリーマーは、凝乳又は凝結したことが見出された。
【0092】
[0098]本明細書に記載される主題の態様は、以下の付番された節に記載される。
1.人工添加物を含まないクリーマーであって、添加糖、植物油、タンパク質を含み、更に、重炭酸ソーダ及び柑橘系果汁濃縮物を含むことを特徴とし、当該柑橘系果汁濃縮物は、クエン酸及びリンゴ酸を含む酸成分を含む、クリーマー。
2.酸成分に対する重炭酸ソーダの比が、1~3、より好ましくは1.3~2.5、更により好ましくは1.5~1.8である、節1に記載のクリーマー。
3.柑橘系果汁濃縮物が、レモン果汁、ブドウ果汁、オレンジ、ベリー、ライム、及びこれらの組み合わせを含む、節1に記載のクリーマー。
4.タンパク質:脂肪の比が1:12を超え、Lumisizer不安定指数が40未満である、節1に記載のクリーマー。
5.クリーマーのpHが6を超える、節1に記載のクリーマー。
6.タンパク質が、液体エンドウ豆抽出物、エンドウ豆果汁、エンドウ豆タンパク質単離物、エンドウ豆粉、ジャガイモタンパク質単離物、パンプキンシードタンパク質単離物、アーモンドタンパク質、レンズ豆タンパク質単離物、米タンパク質単離物、ピーナッツタンパク質単離物、キノアタンパク質単離物、及びこれらの組み合わせを含む植物タンパク質である、節1に記載のクリーマー。
7.当該クリーマーが、約75:1~約25:1の範囲の添加糖:タンパク質質量比を含む、節1に記載のクリーマー。
8.前記添加糖が、ビート、サトウキビ、コンデンスミルク、ハチミツ、糖蜜、アガベシロップ、メープルシロップ、麦芽、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、及びこれらの組み合わせを含む糖供給源に由来する、節1に記載のクリーマー。
9.当該植物油が、ココナッツ油、ココナッツクリーム、アーモンド油、アーモンドバター、アーモンドペースト、カシュー油、カシューバター、カシューペースト、及びこれらの組み合わせを含む脂肪供給源である、節1に記載のクリーマー。
10.節1のクリーマーは、風味料、天然の甘味料、及びこれらの組み合わせを更に含む。
11.当該天然の甘味料の供給源が、Lou Han Gou(モンクフルーツ)抽出物、ステビア、レバウジオシド、及びこれらの組み合わせを含む、節10に記載のクリーマー。
12.当該植物油が、3.3~9質量%の範囲である、節1に記載のクリーマー。
13.節1に記載のクリーマーを製造する方法であって、
(i)泡の生成を回避するために、低撹拌条件下又は代替プロセス条件下で維持された油を含む成分を得る工程と、
(ii)重炭酸ソーダ及び水を含むプレミックス溶液を調製する工程と、
(iii)柑橘系果汁濃縮物を高撹拌で重炭酸ソーダ溶液に添加して、CO2を放出させ、天然のキレート溶液を得る工程と、
(iv)植物タンパク質粉末、植物油、糖の存在下でプレミックスを低剪断混合して、乾燥成分を完全に水和させ、任意選択により風味料を添加する工程と、
(v)d50<1μm及びd90<2μm、0.7μmをピークとし、かつ10μmを超える粒子ははぼなしで、0.01~2μm(マイクロメートル)の範囲のエマルション粒径を得るように構成された条件で均質化する工程と、
(vi)UHT処理と、
(vii)容器を0.5~20℃において無菌で充填する工程と、
を含む、方法。
14.UHT処理温度が、最低141℃で約3秒間、又はあらゆる他の好適な組み合わせである、節13に記載の方法。
15.クリーマーを、均質化し、無菌処理することを含む、節13に記載の方法。
16.好適な温度範囲が、約0.5~約85℃の範囲である、節13に記載の方法。
【0093】
[0099]本明細書に記載される主題のさらなる態様は、以下の付番された節に記載される。
1. 人工添加物を含まないクリーマーであって、前記クリーマーは、植物油及びタンパク質を含み、更に、重炭酸ソーダ及び柑橘系果汁濃縮物を含むことを特徴とし、前記柑橘系果汁濃縮物は、クエン酸及びリンゴ酸を含む酸成分を含む、クリーマー。
2. 酸成分に対する重炭酸ソーダの比が、1~3である、節1に記載のクリーマー。
3. 柑橘系果汁濃縮物が、レモン果汁、ブドウ果汁、オレンジ、ベリー、ライム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む、節1又は2に記載のクリーマー。
4. タンパク質:脂肪の比が1:25を超え、Lumisizer不安定指数が40未満である、節1~3のいずれか一項に記載のクリーマー。
5. 前記クリーマーのpHが6を超える、節1~4のいずれか一項に記載のクリーマー。
6. 前記タンパク質が、エンドウ豆タンパク質、ジャガイモタンパク質、カボチャタンパク質、アーモンドタンパク質、レンズ豆タンパク質、米タンパク質、ピーナッツタンパク質、キノアタンパク質、オート麦タンパク質、ココナッツタンパク質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される植物タンパク質である、節1~5のいずれか一項に記載のクリーマー。
7. 前記クリーマーが、添加糖を含む、節1~6のいずれか一項に記載のクリーマー。
8. 前記クリーマーが、約75:1~約10:1の範囲の添加糖:タンパク質質量比を含む、節7に記載のクリーマー。
9. 前記添加糖が、ビート、サトウキビ、コンデンスミルク、ハチミツ、糖蜜、アガベシロップ、メープルシロップ、麦芽、トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される糖供給源に由来する、節7又は8に記載のクリーマー。
10. 前記植物油が、ココナッツ油、ココナッツクリーム、アーモンド油、アーモンドバター、アーモンドペースト、カシュー油、カシューバター、カシューペースト、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される脂肪供給源である、節1~9のいずれか一項に記載のクリーマー。
11. 前記クリーマーが、風味料を更に含む、節1~10のいずれか一項に記載のクリーマー。
12. 前記クリーマーが、Lou Han Gou(モンクフルーツ)抽出物、ステビア、レバウジオシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される天然の甘味料を含む、節1~11のいずれか一項に記載のクリーマー。
13. 前記植物油が、3~10質量%の範囲である、節1~12のいずれか一項に記載のクリーマー。
14. 節1~13のいずれか一項に記載のクリーマーを製造する方法であって、
(i)重炭酸ソーダ及び水を含むプレミックス溶液を調製する工程と、
(ii)柑橘系果汁濃縮物を高撹拌で前記プレミックス溶液に添加して、二酸化炭素を放出させ、天然のキレート溶液を得る工程と、
(iii)植物タンパク質、植物油、及び糖の存在下で、前記天然のキレート溶液を低剪断混合して、乾燥成分を完全に水和させ、任意選択により風味料を添加する工程と、
(iv)d50<1μm及びd90<2μmで0.01~2μmの範囲のエマルション粒径を得るように構成された条件で均質化する工程と、
を含む、方法。