IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特開2022-166475燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法
<>
  • 特開-燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法 図1
  • 特開-燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法 図2
  • 特開-燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法 図3
  • 特開-燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法 図4
  • 特開-燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法 図5
  • 特開-燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法 図6
  • 特開-燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166475
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20221026BHJP
   H01M 8/0228 20160101ALI20221026BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0228
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071704
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青野 晴之
(72)【発明者】
【氏名】大津 亘
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA12
5H126DD02
5H126DD05
5H126EE03
5H126EE11
(57)【要約】
【課題】本体に対する別ピースの取り付けを簡単に行うことができ、製造に手間がかかることを抑制できるようにする。
【解決手段】セパレータ4は、燃料電池のセルスタックにおける隣合う膜電極ガス拡散層接合体の間に配置することが可能な板状の本体4aと、その本体4aに取り付けられる別ピース21と、を備える。本体4aには、セルスタックに対し給排される流体を流すための孔6が本体4aの厚さ方向に貫通するように形成され、且つ、上記流体を流す流路を形成するための溝が本体4aに沿って延びるように形成される。別ピース21は、本体4aに取り付けられることにより、孔6と上記流路とを繋ぐ接続通路を形成するものとされる。別ピース21は、孔6に挿入することが可能な爪部32を備える。爪部32は、孔6に挿入された状態で別ピース21を孔6の中心線CL回りに取付位置まで回転させることにより孔6から抜けないよう本体4aに掛け留めされる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜電極ガス拡散層接合体を有する複数の燃料電池セルを厚さ方向に重ねることによって形成されたセルスタックに適用され、
前記セルスタックにおける隣合う膜電極ガス拡散層接合体の間に配置することが可能な板状の本体と、その本体に取り付けられる別ピースと、を備えており、
前記本体には、前記セルスタックに対し給排される流体を流すための孔が前記本体の厚さ方向に貫通するように形成され、且つ、前記流体を流す流路を形成するための溝が前記本体に沿って延びるように形成されており、
前記別ピースは、前記本体に取り付けられることにより、前記孔と前記流路とを繋ぐ接続通路を形成するものとされている燃料電池のセパレータにおいて、
前記別ピースは、前記孔に挿入することが可能な爪部を備えており、
前記爪部は、前記孔に挿入された状態で前記別ピースを前記孔の中心線回りに取付位置まで回転させることによって前記孔から抜けないように前記本体に掛け留めされるものとされている燃料電池のセパレータ。
【請求項2】
前記別ピースは、リブを備えており、
前記リブは、前記別ピースを前記取付位置まで回転させたとき、前記孔の内面に接することによって前記本体に対し前記別ピースを位置決めするものである請求項1に記載の燃料電池のセパレータ。
【請求項3】
前記爪部は、前記別ピースのベース部材から突出して前記孔の中心線に沿って延びる基部と、その基部の先端から孔の中心線に対し離れる方向に突出する先端突部と、を備えており、前記孔に挿入された状態で前記別ピースを前記孔の中心線回りに前記取付位置まで回転させたとき、前記先端突部が前記本体の厚さ方向の片側の面に接することにより、前記孔から抜けないように前記本体に掛け留めされるものであり、
前記リブは、前記別ピースのベース部材から前記爪部の基部と同方向に突出しており、その突出方向の端面と前記孔の内面に接することが可能な側面とを有しており、
前記リブの端面の前記ベース部材に対する高さ位置は、前記本体の厚さ方向の片側の面に対する前記先端突部の接触面の前記ベース部材に対する高さ位置よりも低くされ、それら端面と接触面との高さ位置の差は前記本体の厚さよりも小さくされている請求項2に記載の燃料電池のセパレータ。
【請求項4】
前記孔は、少なくとも二組の平行な二辺を有する多角形状に形成されており、
前記別ピースを前記孔の中心線回りに前記取付位置まで回転させたとき、前記孔における平行な二辺に前記爪部がそれぞれ対応して位置し、且つ、前記孔における別の平行な二辺に前記リブがそれぞれ対応して位置するように、前記爪部及び前記リブが設けられている請求項2又は3に記載の燃料電池のセパレータ。
【請求項5】
燃料電池のセルスタックに対し給排される流体を流すための孔、及び、前記流体を流す流路を形成するための溝を有するセパレータの本体に対し、別ピースを取り付けることにより、前記孔と前記流路とを繋ぐ接続通路を形成する通路形成工程を有するセパレータの製造方法において、
前記通路形成工程では、前記別ピースの爪部を前記孔に挿入し、その後に前記孔の中心線回りに前記別ピースを取付位置まで回転させて前記爪部を前記孔から抜けないように前記本体に掛け留めすることにより、前記本体に対し前記別ピースを取り付けるセパレータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示される燃料電池のセパレータは、燃料電池のセルスタックに適用される。こうしたセルスタックは、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode Gas-diffusion Assembly)を有する燃料電池セルを、厚さ方向に重ねることによって形成されている。セパレータは、セルスタックにおける隣合う膜電極ガス拡散層接合体の間に配置される。
【0003】
セパレータは板状の本体を備えている。本体には孔及び溝が形成されている。本体の孔は、セルスタックに対し給排される流体、例えば燃料ガス、酸化ガス、冷媒といった流体を流すためのものであって、本体の厚さ方向に貫通するように形成されている。本体の溝は、上記流体を流す流路を形成するためのものであって、本体に沿って延びるように形成されている。セパレータは、本体に取り付けられる別ピースを備えている。別ピースは、本体に取り付けられることにより、上記孔と上記流路とを繋ぐ接続通路を形成するものとされている。
【0004】
上記セパレータでは、本体に対し別ピースが取り付けられる分、セパレータの厚みを増すことができる。そして、セパレータの厚みが増した場所に上記接続通路が形成されるため、その接続通路に必要とされる流体の流通断面積を確保しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-26633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記セパレータでは、製造時に本体に対し別ピースを取り付けなければならない分、製造に手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する燃料電池のセパレータは、膜電極ガス拡散層接合体を有する複数の燃料電池セルを厚さ方向に重ねることによって形成されたセルスタックに適用される。上記セパレータは、セルスタックにおける隣合う膜電極ガス拡散層接合体の間に配置することが可能な板状の本体と、その本体に取り付けられる別ピースと、を備えている。本体には、セルスタックに対し給排される流体を流すための孔が本体の厚さ方向に貫通するように形成され、且つ、流体を流す流路を形成するための溝が本体に沿って延びるように形成されている。別ピースは、本体に取り付けられることにより、孔と流路とを繋ぐ接続通路を形成するものとされている。別ピースは、孔に挿入することが可能な爪部を備えている。爪部は、孔に挿入された状態で別ピースを孔の中心線回りに取付位置まで回転させることによって孔から抜けないように本体に掛け留めされる。
【0008】
上記構成によれば、本体の孔に別ピースの爪部を挿入し、その後に別ピースを孔の中心線回りに取付位置まで回転させることにより、爪部が孔から抜けないように本体に掛け留めされ、それに伴って別ピースが本体に取り付けられる。このように本体に対する別ピースの取り付けを簡単に行うことができるため、セパレータの製造に手間がかかることを抑制できる。
【0009】
上記課題を解決するセパレータの製造方法は、燃料電池のセルスタックに対し給排される流体を流すための孔、及び、上記流体を流す流路を形成するための溝を有するセパレータの本体に対し、別ピースを取り付けることにより、孔と流路とを繋ぐ接続通路を形成する通路形成工程を有する。通路形成工程では、別ピースの爪部を孔に挿入し、その後に孔の中心線回りに別ピースを取付位置まで回転させて爪部を孔から抜けないように本体に掛け留めすることにより、本体に対し別ピースを取り付ける。
【0010】
この方法によれば、本体の孔に別ピースの爪部を挿入し、その後に別ピースを孔の中心線回りに取付位置まで回転させることにより、別ピースが本体に取り付けられる。このため、本体に対する別ピースの取り付けを簡単に行うことができる。これにより、セパレータの製造に手間がかかることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】燃料電池のセルスタックを示す断面図。
図2】燃料電池セルを示す正面図。
図3】燃料電池セルを分解した状態を示す斜視図。
図4】セパレータにおける別ピース及びその周辺を示す拡大図。
図5】セパレータの本体に対する別ピースの取り付け方を示す拡大図。
図6】セパレータにおける別ピース及びその周辺を示す断面図。
図7】爪部における先端突部の他の例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、燃料電池のセパレータ及びセパレータの製造方法の一実施形態について、図1図6を参照して説明する。
図1に示すように、燃料電池のセルスタックは、複数の燃料電池セル1をその厚さ方向に重ねることによって形成されている。燃料電池セル1は、膜電極ガス拡散層接合体2とセパレータ4,5とを備えている。膜電極ガス拡散層接合体2は、シート状に形成されている。セパレータ4,5は、膜電極ガス拡散層接合体2をその厚さ方向の両側から挟んでいる。
【0013】
セパレータ4,5の本体4a,5aは、セルスタックにおける隣合う膜電極ガス拡散層接合体2の間に配置されている。本体4aと本体5aとは、隣合う燃料電池セル1同士の間で隣接している。本体4a,5aは、チタン、ステンレス、及びアルミニウムといった金属によって形成されていてもよいし、カーボン等の金属以外の材料によって形成されていてもよい。
【0014】
セパレータ4の本体4aには複数の溝4b,4cが形成されている。複数の溝4bは、互いに平行となっており、且つ本体4aに沿って延びている。溝4bは、酸化ガス(空気等)を流す流路13を、本体4aと膜電極ガス拡散層接合体2との間に形成するためのものである。複数の溝4cも、互いに平行となっており、且つ本体4aに沿って延びている。溝4cは、冷媒(冷却水等)を流す流路14を、本体4aと本体5aとの間に形成するためのものである。
【0015】
セパレータ5の本体5aにも複数の溝5b,5cが形成されている。複数の溝5bは、互いに平行となっており、且つ本体5aに沿って延びている。溝5bは、燃料ガス(水素等)を流す流路16を、本体4aと膜電極ガス拡散層接合体2との間に形成するためのものである。複数の溝5cも、互いに平行となっており、且つ本体5aに沿って延びている。溝5cも、冷却水を流す上記流路14を、本体4aと本体5aとの間に形成するためのものである。
【0016】
燃料電池のセルスタックでは、酸化ガスが流路13を通過するとともに燃料ガスが流路16を通過すると、それら酸化ガスと燃料ガスとの膜電極ガス拡散層接合体2での反応に基づき発電が行われる。また、冷却水が流路14を通過すると、その冷却水によって発電時に発生する熱が奪われ、セルスタックが冷却されるようになる。
【0017】
図2及び図3はそれぞれ、燃料電池セル1を正面から見た状態、及び、同燃料電池セル1を分解した状態を示している。これらの図から分かるように、燃料電池セル1は長方形の板状に形成されている。燃料電池セル1における膜電極ガス拡散層接合体2の周縁部には、四角枠状をなす樹脂プレート3が接合されている。燃料電池セル1のセパレータ4,5は、膜電極ガス拡散層接合体2及び樹脂プレート3を、それらの厚さ方向の両側から挟んでいる。
【0018】
燃料電池セル1の樹脂プレート3及びセパレータ4,5には、孔6~11が形成されている。孔6~11は、燃料電池セル1の長手方向両端部に位置しており、樹脂プレート3及びセパレータ4,5を厚さ方向に貫通している。孔6~11の内形は長方形状となっている。これらの孔6~11は、水素、空気、及び冷却水といった上述した流体を流すことが可能であり、それらの流体をセルスタックに流入させたり同セルスタックから流出させたりするためのものである。
【0019】
セパレータ4は、本体4aに取り付けられる別ピース21を備えている。別ピース21は、本体4aの孔6,7にそれぞれ取り付けられ、本体4aと樹脂プレート3との間に挟まれるようになる。別ピース21は、本体4aに取り付けられることにより、孔6,7と流路13(図1)とを繋ぐ接続通路を形成するものである。なお、孔6は、セルスタックに空気を流入させるものであり、セルスタックで発電に用いられなかった空気は孔7からセルスタックの外に流出する。
【0020】
セパレータ4は、本体4aに取り付けられる別ピース22も備えている。別ピース22は、本体4aの孔10,11にそれぞれ取り付けられ、本体4aと隣合うセパレータ5の本体5aとの間に挟まれるようになる。別ピース22は、本体4aに取り付けられることにより、孔10,11と流路14(図1)とを繋ぐ接続通路を形成するものである。なお、孔10はセルスタックに冷却水を流入させるものであり、セルスタックを冷却した後の冷却水は孔11からセルスタックの外に流出する。
【0021】
セパレータ5は、本体5aに取り付けられる別ピース23を備えている。別ピース23は、本体5aの孔8,9にそれぞれ取り付けられ、本体5aと樹脂プレート3との間に挟まれるようになる。別ピース23は、本体5aに取り付けられることにより、孔8,9と流路16(図1)とを繋ぐ接続通路を形成するものである。なお、孔8はセルスタックに水素を流入させるものであり、セルスタックで発電に用いられなかった水素は孔9からセルスタックの外に流出する。
【0022】
これら別ピース21~23は、ゴム又は樹脂によって形成されているものとすることが考えられる。また、別ピース21~23は、金属をプレス加工したり切削したりして形成されていてもよい。
【0023】
次に、別ピース21~23について説明する。なお、孔6~11に取り付けられる別ピース21~23は同じ構造であるため、以下では孔6に取り付けられる別ピース21についてのみ詳しく述べる。
【0024】
図4に示すように、セパレータ4における本体4aの孔6は、少なくとも二組の平行な二辺を有する多角形状に形成されている。より詳しくは、孔6は、長方形状に形成されており、互いに平行となる二つの長辺6a,6b及び互いに平行となる二つの短辺6c,6dを有している。
【0025】
別ピース21は、ベース部材31と爪部32とリブ24とを備えている。ベース部材31には接続孔25、切欠部26、及び溝27が形成されている。接続孔25は、別ピース21が孔6(本体4a)に取り付けられたときに同孔6に繋がる。切欠部26及び溝27は、接続孔25に繋がっている。また、別ピース21が孔6(本体4a)に取り付けられ、且つ、セパレータ4とセパレータ5との間に挟まれたとき、切欠部26及び溝27は流路14(図1)とも繋がる。このとき、接続孔25、切欠部26、及び溝27等により、孔6と流路14とを繋ぐ接続通路28が形成される。
【0026】
図5に示すように、別ピース21の爪部32は、本体4aの孔6に挿入することが可能となっている。爪部32は、孔6に挿入された状態で別ピース21を孔6の中心線CL回りに取付位置(図4の位置)まで回転させることによって、孔6から抜けないように本体4aに掛け留めされるものである。別ピース21は、上記取付位置まで回転されることにより、本体4a(孔6)に対して取り付けられる。
【0027】
図4に示すように、別ピース21のリブ24は、孔6の中心線CL回りに別ピース21を上記取付位置まで回転させたとき、孔6の内面に接する。これにより、中心線CL回りについての別ピース21の本体4aに対する位置決め、及び、孔6の短辺方向についての別ピース21の本体4aに対する位置決めが行われる。別ピース21が上記取付位置に位置したときには、爪部32が孔6の短辺6c,6dにそれぞれ対応して位置するとともに、リブ24が孔6の長辺6a,6bにそれぞれ対応して位置する。すなわち、そうなるように爪部32及びリブ24が別ピース21に設けられている。
【0028】
図6に示すように、爪部32は、基部29と先端突部30とを供えている。基部29は、別ピース21のベース部材31から突出し、孔6の中心線CLに沿って延びている。先端突部30は、基部29の先端から孔6の中心線CLに対し離れる方向に突出している。図6の上方から見た先端突部30の形状は、図5に示すように三角形状となっている。爪部32は、図5に示すように孔6に挿入された状態で別ピース21を孔の中心線回りに取付位置(図4)まで回転させたとき、図6に示すように先端突部30が本体4aの厚さ方向の片側の面(図6の上面)に接することにより、孔6から抜けないように本体4aに掛け留めされる。
【0029】
リブ24は、別ピース21のベース部材31から爪部32の基部29と同方向に突出している。リブ24は、その突出方向の端面24aと、孔6の内面に接することが可能な側面24b(図4)とを有している。リブ24の端面24aのベース部材31に対する高さ位置P2は、本体4aの厚さ方向の片側の面(図6の上面)に対する先端突部30の接触面30aのベース部材31に対する高さ位置P1よりも低くされ、それら端面24aと接触面30aとの高さ位置の差ΔP(=P1-P2)は本体4aの厚さよりも小さくされている。
【0030】
なお、孔7~11は、孔6と同じ形状とされている。また、別ピース22,23は、別ピース21と同じ構成であるため、別ピース21と同じくベース部材31、爪部32、及びリブ24等を備えている。そして、本体4aの孔6に対し別ピース21が取り付けられるのと同様に、本体4aの孔7に対して別ピース21が取り付けられ、本体5aの孔8,9に対して別ピース23が取り付けられ、本体4aの孔10,11に対して別ピース22が取り付けられる。
【0031】
次に、セパレータ4,5の製造方法について説明する。
セパレータ4,5は、本体4a,5aに対し、別ピース21~23を取り付けることによって製造される。そして、本体4a,5aに別ピース21~23を取り付けることにより、セルスタックにおける孔6~11と流路13,14,16とを繋ぐ接続通路が形成される。言い換えれば、セパレータ4,5の製造方法は、本体4a,5aに別ピース21~23を取り付けることにより、セルスタックにおける孔6~11と流路13,14,16とを繋ぐ接続通路を形成する通路形成工程を有している。
【0032】
この通路形成工程では、別ピース21~23の爪部32を孔6~11に挿入し、その後に孔6~11の中心線回りに別ピース21~23を取付位置まで回転させて爪部32を孔6~11から抜けないように本体4a,5aに掛け留めすることにより、本体4a,5aに対し別ピース21~23が取り付けられる。このため、本体4a,5aに対する別ピース21~23の取り付けを簡単に行うことができる。これにより、セパレータ4,5の製造に手間がかかることを抑制できる。
【0033】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)セパレータ4,5の本体4a,5aの孔6~11に別ピース21~23の爪部32を挿入し、その後に別ピース21~23を孔6~11の中心線回りに取付位置まで回転させることにより、爪部32が孔6~11から抜けないように本体4a,5aに掛け留めされ、それに伴って別ピース21~23が本体4a,5aに取り付けられる。このように本体4a,5aに対する別ピース21~23の取り付けを簡単に行うことができるため、セパレータ4,5の製造に手間がかかることを抑制できる。
【0034】
(2)別ピース21~23を本体4a,5aに取り付けたとき、別ピース21~23のリブ24が本体4a,5aにおける孔6~11の内面に接する。これにより、別ピース21~23が、本体4a,5aに対し、孔6~11の中心線回りに回転する方向について位置決めされるとともに、孔6~11の短辺方向についても位置決めされる。従って、本体4a,5aに取り付けられた別ピース21~23が取付位置からずれることを抑制できる。
【0035】
(3)リブ24の端面24aのベース部材31に対する高さ位置P2は、本体4aの厚さ方向の片側の面に対する先端突部30の接触面30aのベース部材31に対する高さ位置P1よりも低くされる。更に、それら端面24aと接触面30aとの高さ位置の差ΔPは本体4aの厚さよりも小さくされている。
【0036】
このため、別ピース21~23が本体4a,5aに対して、次のように取り付けられる。すなわち、本体4a,5aの孔6~11に別ピース21~23の爪部32を挿入した状態で、別ピース21~23を孔6~11の中心線回りに取付位置に向けて回転させると、爪部32が弾性変形することにより、リブ24の端面24aと先端突部30の接触面30aとの高さ位置の差ΔPが、本体4a,5aの厚さと同じになるように広げられる。そして、上記端面24aと上記接触面30aとの間に本体4a,5aが挟まれた状態で、別ピース21~23の上記回転が行われる。こうした別ピース21~23の回転によって別ピース21~23が取付位置に達すると、リブ24が孔6に入り込むことにより、弾性変形していた上記爪部32が元の位置に戻るとともに、リブ24の側面24bが孔6~11の内面に接触する。その結果、爪部32が本体4a,5aに掛け留めされつつ、リブ24によって別ピース21~23が位置決めされる。
【0037】
従って、取付位置からの別ピース21~のずれを抑制した状態での本体4a,5aに対する別ピース21~23の取り付けを簡単に行うことができる。
(4)別ピース21~23が取付位置まで回転して本体4a,5aに取り付けられたときには、孔6~11の短辺6c,6dに対応する位置で爪部32による別ピース21~23の本体4a,5aに対する掛け留めが行われるとともに、孔6~11の長辺6a,6bに対応する位置でリブ24が孔6~11の内面に接する。このように孔6~11の短辺6c,6dに対応する位置でそれぞれ爪部32による別ピース21~23の本体4a,5aに対する掛け留めが行われることにより、別ピース21~23が孔6~11から抜けにくくなる。また、孔6~11の長辺6a,6bに対応する位置でそれぞれリブ24が孔6~11の内面に接するため、別ピース21~23が取付位置から孔6~11の中心線回りの回転方向及び孔6~11の短辺方向にずれにくくなる。
【0038】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・爪部32の先端突部30は、必ずしも図4に示すように三角形状とされている必要はなく、その他の形状とされていてもよい。例えば先端突部30が図7に示すように略半円弧状とされていてもよい。
【0039】
・孔6~11は、必ずしも長方形状である必要はなく、二組以上の平行な二辺を有する他の多角形状に形成されていたり、そうした多角形状以外の形状に形成されていたりしてもよい。
【0040】
・必ずしもリブ24を別ピース21~23に設ける必要はない。
・セルスタックは、セパレータ4,5の別ピース21~23のうち、いずれか一種類の別ピースのみが設けられるものであったり、二種類の別ピースのみが設けられるものであったりしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…燃料電池セル
2…膜電極ガス拡散層接合体
3…樹脂プレート
4…セパレータ
4a…本体
4b,4c…溝
5…セパレータ
5a…本体
5b,5c…溝
6…孔
6a,6b…長辺
6c,6d…短辺
7~11…孔
13,14,16…流路
21~23…別ピース
24…リブ
24a…端面
24b…側面
25…接続孔
26…切欠部
27…溝
28…接続通路
29…基部
30…先端突部
30a…接触面
31…ベース部材
32…爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7