(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166480
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20221026BHJP
H01H 13/702 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
H01H13/702
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071711
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】村重 毅
(72)【発明者】
【氏名】日野 高文
(72)【発明者】
【氏名】岸 敦史
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS11H
5G206AS33H
5G206AS44H
5G206BS02H
5G206CS01J
5G206CS07H
5G206DS02H
5G206HU03
5G206HU12
5G206KS03
5G206KS13
5G206KS38
5G206KU31
5G206NS02
(57)【要約】
【課題】上下に可動する接点を備えたスイッチ装置において、耐擦傷性、溶剤清掃性、及び質感を向上する。
【解決手段】本スイッチ装置は、ガラス層と、前記ガラス層の裏面側に配置されたスイッチ部と、を有し、前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、前記スイッチ部は、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、前記ガラス層が押されると、前記ガラス層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス層と、
前記ガラス層の裏面側に配置されたスイッチ部と、を有し、
前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、
前記スイッチ部は、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、
前記ガラス層が押されると、前記ガラス層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる、スイッチ装置。
【請求項2】
前記ガラス層の裏面側に、前記ガラス層を支持する支持部を有する、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記スイッチ部の一部又は全部である、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記スイッチ部の外側に配置される、請求項2又は3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記スイッチ部を複数個有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記スイッチ部は二次元に配置されている、請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記ガラス層と前記スイッチ部との間に接合層が介在する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記ガラス層と前記スイッチ部との間に樹脂層が介在する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記ガラス層と前記スイッチ部との間に空隙を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記スイッチ部は、メンブレンスイッチである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項11】
前記スイッチ部は、タクトスイッチである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品のインプットの手法として電気的な接触を機械的に制御するスイッチが多く用いられている。このようなスイッチとして、例えば、特許文献1に示すタクトスイッチが挙げられる。この種のスイッチでは、摺動タイプのボタンはオン/オフを自己認識できるため、タッチ式に比べて誤動作を招かない特長を有すると考えられる。
【0003】
この種のスイッチの中でも、上下に可動する接点を備え、上下に摺動するスイッチは、柔軟性があって破損し難い樹脂を最表面に用いる。しかし、樹脂は、傷等により表面が劣化しやすく、溶剤等による清掃がしにくく、質感もあまりよくない。そこで、これらの問題を解消するスイッチ装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、上下に可動する接点を備えたスイッチ装置において、耐擦傷性、溶剤清掃性、及び質感を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本スイッチ装置は、ガラス層と、前記ガラス層の裏面側に配置されたスイッチ部と、を有し、前記ガラス層の厚さは、20μm以上150μm以下であり、前記スイッチ部は、上下に可動する接点を含む複数の接点を備え、前記ガラス層が押されると、前記ガラス層が弾性変形して複数の前記接点の導通と非導通とが切り替わる。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、上下に可動する接点を備えたスイッチ装置において、耐擦傷性、溶剤清掃性、及び質感を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その1)である。
【
図2】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その2)である。
【
図3】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その3)である。
【
図4】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その4)である。
【
図5】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その5)である。
【
図6】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その6)である。
【
図7】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その7)である。
【
図8】第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態の概要〉
図1は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その1)である。
図1に示すように、スイッチ装置1は、ガラス層10と、スイッチ部50と、支持部90とを有している。スイッチ装置1は、例えば、配線基板上に実装される。
【0011】
ガラス層10の一方の面10a側は、スイッチ装置1の最表面となる。スイッチ部50は、ガラス層10の他方の面10b側(裏面側)に配置されている。スイッチ部50は、
図1では模式的に示されているが、摺動タイプのスイッチであり、上下に可動する接点を含む複数の接点を備えている。スイッチ部50が備える接点は、2つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0012】
支持部90は、ガラス層10の他方の面10b側に配置され、ガラス層10を支持する。支持部90は、例えば、スイッチ部50の外側に、スイッチ部50を囲むように枠状に配置することができる。或いは、複数の支持部90をスイッチ部50の外側の任意の位置に間隔を置いて配置してもよい。支持部90は、例えば、樹脂や金属等から形成される。
【0013】
なお、スイッチ部50を構成する部品を支持部としてもよい。或いは、スイッチ部50自体を支持部としてもよい。すなわち、支持部は、スイッチ部50の一部であってもよいし、全部であってもよい。これらの場合には、
図1に示す支持部90は配置しなくてもよい。或いは、スイッチ部50の一部又は全部を支持部として用い、これとは別に、さらに
図1に示す支持部90を配置してもよい。
【0014】
図2は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その2)であり、ガラス層10の一方の面10a側が矢印方向に押された様子を示している。
【0015】
ガラス層10の厚さは、20μm以上150μm以下である。ガラス層10をこのような厚さとすることで、ガラス層10は弾性変形が可能となり、局所的に凹ませることができる。ガラス層10の一方の面10a側が押されると、ガラス層10が弾性変形してスイッチ部50の接点を上下方向に摺動させる。これにより、スイッチ部50の複数の接点の導通と非導通とが切り替わる。ガラス層10は、例えば、垂直方向に0.5mm~2mm程度沈み込むように弾性変形することができる。
【0016】
例えば、ガラス層10が押されていないときにスイッチ部50の各々の接点が非接触(非導通状態)であれば、ガラス層10が押されて変形するとスイッチ部50の接点同士が互いに接触して導通状態になる。
図2において、矢印方向に押す力をとり除くと、ガラス層10は
図1の状態に戻り、スイッチ部50の2つの接点が再び非接触となる。
【0017】
このように、ガラス層10の厚さを20μm以上150μm以下とすることで、ガラス層10が弾性変形可能となる。これにより、ガラス層10が押されると、ガラス層10の局所的な変形に伴なってスイッチ部50の接点を上下に摺動させ、スイッチ部50の複数の接点の導通と非導通とを切り替えることができる。
【0018】
スイッチ装置1は、最表面がガラス層10であるため、最表面が樹脂である場合と比べて、耐擦傷性、溶剤清掃性、及び質感を向上することができる。また、スイッチ装置1は、摺動タイプのスイッチであるため、押した感触が得られるとともに、誤動作が生じるおそれを低減できる。
【0019】
なお、最表面にガラスを用いたスイッチとして、静電容量などを用いたタイプも考えられるが、上下に摺動する動作を作り出すことは一般的な板ガラスでは困難である。そのため、押した感触が得られず、意図せずに触れただけで誤動作が生じるおそれがある。
【0020】
〈第1実施形態の第1の例〉
図3は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その3)であり、スイッチ装置の構成の具体的な第1の例を示すものである。
図3に示すように、スイッチ装置1Aは、ガラス層10と、接合層30と、スイッチ部50とを有している。
【0021】
スイッチ装置1Aにおいて、ガラス層10の厚さは、20μm以上150μm以下である。スイッチ部50は、ガラス層10の他方の面10b側に配置されている。ガラス層10の他方の面10b側には、ガラス層10とスイッチ部50とを接合する接合層30が介在している。スイッチ装置1Aでは、スイッチ部50が支持部としても機能している。
【0022】
スイッチ部50は、メンブレンスイッチであり、第1シート51と、スペーサ52と、第2シート53と、第1接点55と、第2接点56とを有している。第1シート51と第2シート53は、スペーサ52を挟んで対向して配置されている。スペーサ52は、例えば、第1シート51の上面外周部、及び第2シート53の下面外周部と接するように配置されており、スペーサ52の内側は空隙である。第1シート51の第2シート53側には第1接点55が配置され、第2シート53の第1シート51側には第2接点56が、第1接点55と離隔して配置されている。第2シート53は、弾性変形可能に構成されている。第1シート51、スペーサ52、及び第2シート53は、例えば、樹脂製である。
【0023】
図3に示すスイッチ装置1Aにおいて、
図2の場合と同様にガラス層10の一方の面10a側を押すと、ガラス層10が弾性変形してスイッチ部50の第1接点55と第2接点56の接触と非接触とが切り替わる。なお、
図3において、第1接点55と第2接点56と電気的に接続される外部接続用端子については、図示が省略されている。
【0024】
図3の例では、ガラス層10が押されていないときにスイッチ部50の第1接点55と第2接点56が非接触(非導通状態)である。そのため、ガラス層10が押されて変形すると、それに伴ってスイッチ部50の第2シート53が弾性変形して第2接点56が第1接点55に近づき、第1接点55と第2接点56が接触して導通状態になる。
図2の場合と同様に、ガラス層10を押す力をとり除くと、ガラス層10は
図3の状態に戻り、第1接点55と第2接点56とは再び非接触となる。
【0025】
ここで、ガラス層10と接合層30について、より詳しく説明する。
【0026】
ガラス層10は、特に限定はなく、目的に応じて適切なものを採用できる。ガラス層10は、組成による分類によれば、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。又、アルカリ成分による分類によれば、無アルカリガラス、低アルカリガラスが挙げられる。上記ガラスのアルカリ金属成分(例えば、Na2O、K2O、Li2O)の含有量は、好ましくは15重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下である。
【0027】
ガラス層10の厚みは、ガラスの持つ表面硬度や気密性や耐腐食性を考慮すると、20μm以上が好ましい。又、ガラス層10はフィルムのような可撓性と繰り返し耐久性を有する必要があるため、ガラス層10の厚みは150μm以下が好ましい。ガラス層10の厚みは、更に好ましくは30μm以上120μm以下、特に好ましくは50μm以上100μm以下である。
【0028】
ガラス層10の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは85%以上である。ガラス層10の波長550nmにおける屈折率は、好ましくは1.4~1.65である。ガラス層10の密度は、好ましくは2.3g/cm3~3.0g/cm3であり、更に好ましくは2.3g/cm3~2.7g/cm3である。
【0029】
ガラス層10の成形方法は、特に限定はなく、目的に応じて適切なものを採用できる。代表的には、ガラス層10は、シリカやアルミナ等の主原料と、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カーボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃~1600℃程度の温度で溶融し、薄板状に成形した後、冷却して作製できる。ガラス層10の成形方法としては、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。これらの方法によって板状に成形されたガラス層は、薄板化したり、平滑性を高めたりするために、必要に応じて、フッ酸等の溶剤により化学的に研磨されてもよい。
【0030】
ガラス層10の表面及び/又は裏面に、防汚層、反射防止層、導電層、反射層、加飾層等の機能層を設けてもよい。なお、本実施形態に係るスイッチ装置では、ガラス層10が最表面に位置する。ここで、『ガラス層10が最表面に位置する』とは、ガラス層10が実質的に最表面に位置することであり、上記のような付加的な層が設けられた場合であっても、本実施形態では、ガラス層10が最表面に位置すると表現する。
【0031】
接合層30としては、任意の粘着剤又は接着剤を使用できる。ただし、強度の観点から、接合層30として、接着剤を用いることが好ましい。接合層30の厚みは、外観の観点から、0.5μm以上25μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上3μm以下であることが更に好ましい。
【0032】
なお、本明細書において、粘着剤とは、常温で接着性を有し、軽い圧力で被着体に接着する層をいう。従って、粘着剤に貼着した被着体を剥離した場合にも、粘着剤は実用的な粘着力を保持する。一方、接着剤とは、物質の間に介在することによって物質を結合できる層をいう。従って、接着剤に貼着した被着体を剥離した場合には、接着剤は実用的な接着力を有さない。
【0033】
接合層30に粘着剤を用いる場合は、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとする粘着剤が用いられる。
【0034】
接合層30に接着剤を用いる場合は、例えば、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、エポキシ系接着剤が用いられる。接着剤が熱硬化型接着剤である場合は、加熱して硬化(固化)することにより剥離抵抗力を発揮できる。又、接着剤が紫外線硬化型等の光硬化型接着剤である場合は、紫外線等の光を照射して硬化することにより剥離抵抗力を発揮できる。又、接着剤が湿気硬化型接着剤である場合は、空気中の水分等と反応して硬化し得るので、放置することによっても硬化して剥離抵抗力を発揮できる。
【0035】
〈第1実施形態の第2の例〉
図4は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その4)であり、スイッチ装置の構成の具体的な第2の例を示すものである。
図4に示すように、スイッチ装置1Bは、ガラス層10と、接合層30と、スイッチ部60と、支持部90とを有している。
【0036】
スイッチ装置1Bにおいて、ガラス層10の厚さは、20μm以上150μm以下である。スイッチ部60は、ガラス層10の他方の面10b側に配置されている。ガラス層10の他方の面10bの外周側の一部又は全部は、接合層30を介して支持部90と接合されている。支持部90は、前述のように、スイッチ部60を囲むように枠状に配置してもよいし、複数の支持部90をスイッチ部60の外側の任意の位置に間隔を置いて配置してもよい。また、接合層30はガラス層10の面内の位置を固定する目的で設けられており、スイッチ装置の構造によりガラス層10の面内の位置が変動しなければ接合層30は無くてもよい。
【0037】
スイッチ部60は、タクトスイッチであり、ハウジング61と、フィルム62と、フレーム63と、ステム64と、第1接点65と、第2接点66とを有している。ハウジング61とフレーム63は、それぞれが枡状であり、粘着性のフィルム62を挟んで対向して配置されている。フィルム62は、例えば、ハウジング61の開口部を塞ぐように配置されている。ステム64は、上下方向に摺動自在な状態でフレーム63に保持されている。ハウジング61の底面には第1接点65及び第2接点66が配置されている。第2接点66は、第1接点65と離隔して第1接点65の上方に配置されている。フィルム62及び第2接点66は、弾性変形可能に構成されている。ハウジング61、フィルム62、フレーム63、及びステム64は、例えば、樹脂製である。
【0038】
図4に示すスイッチ装置1Bにおいて、
図2の場合と同様にガラス層10の一方の面10a側を押すと、ガラス層10が弾性変形してスイッチ部60の第1接点65と第2接点66の接触と非接触とが切り替わる。なお、
図4において、第1接点65と第2接点66と電気的に接続される外部接続用端子については、図示が省略されている。
【0039】
図4の例では、ガラス層10が押されていないときにスイッチ部60の第1接点65と第2接点66が非接触(非導通状態)である。そのため、ガラス層10が押されて変形すると、それに伴ってスイッチ部60のステム64が押されてフィルム62及び第2接点66が弾性変形して第2接点66が第1接点65に近づき、第1接点65と第2接点66が接触して導通状態になる。
図2の場合と同様に、ガラス層10を押す力をとり除くと、ガラス層10は
図4の状態に戻り、第1接点65と第2接点66とは再び非接触となる。
【0040】
〈第1実施形態の第3の例〉
図5は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その5)であり、スイッチ装置の構成の具体的な第3の例を示すものである。
図5に示すように、スイッチ装置1Cは、ガラス層10と接合層30との間に樹脂層20を有している点が、スイッチ装置1A(
図3参照)と相違する。すなわち、ガラス層10とスイッチ部50との間に樹脂層20が介在している。
【0041】
樹脂層20は、可撓性を有する。樹脂層20の厚さは、可撓性の観点から50μm以上150μmであることが好ましい。樹脂層20の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0042】
このように、ガラス層10と樹脂層20とを積層すると、樹脂層20がガラス層10の必要以上の変形を抑制し、ガラス層10の割れを防止する効果があるとともに、適正な変形量を実現するため、ガラス層10が繰り返し弾性変形する際の耐久性を向上することができる。なお、樹脂層20の厚さを変えることで、ガラス層10の変形量を制御できる。
【0043】
ガラス層10と樹脂層20の間には接合層30が設けられている。接合層30としては任意の粘着剤又は接着剤を使用できる。ただし、強度の観点から、接合層30として、接着剤を用いることが好ましい。接合層30の厚みは、外観の観点から、0.5μm以上25μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上3μm以下であることが更に好ましい。
【0044】
〈第1実施形態の第4の例〉
図6は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その6)であり、スイッチ装置の構成の具体的な第4の例を示すものである。
図6に示すように、スイッチ装置1Dは、支持部90上に接合された積層体の層構成がスイッチ装置1B(
図4参照)と相違する。
【0045】
スイッチ装置1Dでは、ガラス層10の他方の面10b側に、接合層31、樹脂層21、接合層32、及び樹脂層22が順次積層され、この積層体がガラス層10を表面側に向けて、接合層33を介して支持部90上に接合されている。ただし、接合層33は、積層体がスイッチ装置1D内に固定され平面内でズレ等が生じなければ必ずしも必要ではない。
【0046】
樹脂層21及び22は、可撓性を有する。樹脂層21及び22の各々の厚さは、可撓性の観点から50μm以上150μmであることが好ましい。樹脂層21及び22の材料としては、樹脂層20として例示した樹脂を用いることができる。樹脂層21と樹脂層22は、同一の樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。
【0047】
接合層31、32、及び33としては、任意の粘着剤又は接着剤を使用できる。ただし、強度の観点から、接合層31としては接合層30として例示した接着剤を用い、接合層32としては接合層30として例示した粘着剤を用い、接合層33としては接合層30として例示した接着剤または粘着剤を用いることが好ましい。接合層31の厚みは、0.5μm以上25μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上3μm以下であることが更に好ましい。接合層32の厚みは、粘着層の製法上、5μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましく、20μm以上100μm以下であることが更に好ましい。接合層33の厚みは、5μm~2mm以内が好ましい。
【0048】
このように、樹脂層や接合層は1層ずつである必要はなく、複数層を積層してもよい。このような積層構造により、ガラス層10の割れを防止することができると共にガラス層10が繰り返し弾性変形する際の耐久性をさらに向上することができる。なお、この積層構造は、
図5に示すスイッチ装置1Aに適用してもよいし、以降に説明するスイッチ装置に適用してもよい。
【0049】
〈第1実施形態の第5の例〉
図7は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その7)であり、スイッチ装置の構成の具体的な第5の例を示すものである。
図7に示すように、スイッチ装置1Eは、1つのガラス層10の他方の面10b側にスイッチ部50を複数個有している点が、スイッチ装置1A(
図3参照)と相違する。スイッチ部50の個数は任意である。複数のスイッチ部50は、例えば、一列に配置してもよいし、千鳥状に配置してもよいし、二次元に配置してもよい。二次元に配置する場合には、規則的に(例えば、行列状に)配置してもよいし、不規則に配置してもよい。
【0050】
このように、スイッチ装置が複数のスイッチ部を有することで、様々な機器への適用が可能となる。例えば、リモコン、キーボード、スマートフォン、温水洗浄便座の操作パネル、白物家電の操作パネル、オーディオビジュアル機器の操作パネル、壁面スイッチ等が挙げられる。
【0051】
なお、スイッチ装置が複数のスイッチ部を有する場合、全てのスイッチ部が同一仕様である必要はない。例えば、スイッチ部として、メンブレンスイッチとタクトスイッチとが混在してもよい。或いは、一部のスイッチ部は摺動タイプとせずに、非摺動タイプ(例えば、静電容量式)としてもよい。例えば、リモコン等の最表面を構成する1枚の弾性変形可能なガラス層の裏面側に、摺動タイプのスイッチ部と、非摺動タイプのスイッチ部とを配置し、摺動タイプは電源スイッチ等の特に誤動作を防止したい部分のみに用いる方法が考えられる。
【0052】
〈第1実施形態の第6の例〉
図8は、第1実施形態に係るスイッチ装置を例示する断面図(その8)であり、スイッチ装置の構成の具体的な第8の例を示すものである。
図8に示すように、スイッチ装置1Fは、複数のスイッチ部50の外側に支持部90を有する点、ガラス層10の他方の面10bと各々のスイッチ部50の上面との間に空隙Sが形成されている点が、スイッチ装置1D(
図6参照)と相違する。
【0053】
このように、ガラス層10とスイッチ部50とは必ずしも接している必要はなく、ガラス層10とスイッチ部50との間に空隙Sを有してもよい。空隙Sを有することにより、スイッチ装置1Fの用途によっては、デザイン性が向上する場合がある。スイッチ部50以外を用いる場合も同様である。
【0054】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0055】
例えば、上述の実施形態ではスイッチ部としてメンブレンスイッチ及びタクトスイッチを例示したが、これには限らず、本実施形態に係るスイッチ装置のスイッチ部には、いかなるタイプのスイッチを用いてもよい。
【0056】
また、スイッチの加飾印刷は、ガラス層、樹脂層等のどの層に設けてもよく。それぞれの層に設けて重ねてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F スイッチ装置
10 ガラス層
20、21、22 樹脂層
30、31、32、33 接合層
50、60 スイッチ部
51 第1シート
52 スペーサ
53 第2シート
55、65 第1接点
56、66 第2接点
61 ハウジング
62 フィルム
63 フレーム
64 ステム
90 支持部