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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166485
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】エンジンシステム
(51)【国際特許分類】
   F02B 67/00 20060101AFI20221026BHJP
   F02M 26/55 20160101ALI20221026BHJP
   F02M 26/30 20160101ALI20221026BHJP
   F02B 75/10 20060101ALI20221026BHJP
   F02M 26/33 20160101ALN20221026BHJP
【FI】
F02B67/00 F
F02M26/55
F02M26/30
F02B75/10 C
F02M26/33 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071720
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 卓央
【テーマコード(参考)】
3G062
【Fターム(参考)】
3G062AA01
3G062AA05
3G062EA08
3G062ED08
3G062GA08
(57)【要約】
【課題】バキュームポンプの駆動による燃費の悪化を抑制する。
【解決手段】エンジンシステムは、排気が流通する排気管54と、負圧を用いて作動するEGRバルブ24と、エンジン本体を駆動源としてEGRバルブ24に負圧を供給するバキュームポンプ6と、バキュームポンプ6の吸気口6aとEGRバルブ24とを接続する配管76と、排気管54とバキュームポンプ6の吸気口6aとを接続する配管78と、配管78に設けられ、排気管54とバキュームポンプ6とを連通する連通状態と排気管54とバキュームポンプ6とを遮断する遮断状態との間で切り替え可能な開閉弁80とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンシステムであって、
内燃機関の排気が流通する排気通路と、
負圧を用いて作動する負圧作動機器と、
前記内燃機関を駆動源として前記負圧作動機器に前記負圧を供給するバキュームポンプと、
前記バキュームポンプの吸気口と前記負圧作動機器とを接続する第1接続通路と、
前記排気通路と前記バキュームポンプの前記吸気口とを接続する第2接続通路と、
前記第2接続通路に設けられ、前記排気通路と前記バキュームポンプとを連通する連通状態と前記排気通路と前記バキュームポンプとを遮断する遮断状態との間で切り替え可能な第1切替弁とを備える、エンジンシステム。
【請求項2】
前記エンジンシステムは、前記第1切替弁を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記負圧作動機器の第1動作が要求される場合に前記遮断状態になり、前記負圧作動機器の前記第1動作と異なる第2動作が要求される場合に前記連通状態になるように前記第1切替弁を制御する、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項3】
前記エンジンシステムは、前記排気通路に設けられ、前記排気を浄化する排気浄化装置をさらに備え、
前記第2接続通路は、前記排気通路における前記排気浄化装置よりも下流の位置と前記吸気口とを接続する、請求項1または2に記載のエンジンシステム。
【請求項4】
前記エンジンシステムは、
前記排気通路を流通する排気の一部を前記内燃機関の吸気通路に戻す排気再循環装置とをさらに備え、
前記排気再循環装置は、前記排気の一部と熱交換を行なう熱交換器と、前記熱交換器が設けられる第1通路と、前記熱交換器をバイパスする第2通路とを含み、
前記負圧作動機器は、前記排気再循環装置に設けられ、前記第1通路と前記第2通路とのうちのいずれかを選択するための第2切替弁を含む、請求項1~3のいずれかに記載のエンジンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バキュームポンプを有するエンジンシステムの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
バキュームポンプが設けられるエンジンシステムの構成が公知である。バキュームポンプは、負圧を用いて作動する機器(以下、負圧作動機器)と接続する接続通路内の気体を吸引することにより負圧作動機器に負圧を供給する。たとえば、特開2014-145342号公報(特許文献1)には、上述のようなバキュームポンプを有するエンジンシステムが開示される。また、負圧作動機器としては、たとえば、排気の一部を吸気に戻す排気再循環装置において吸気に戻される排気の流路を切り替える切替弁等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-145342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなエンジンシステムにおいて、バキュームポンプがエンジンシステムの出力軸に連結されて駆動する機械式のバキュームポンプである場合には、常に吸引動作が行なわれることになる。そのため、バキュームポンプの駆動による摩擦損失が常に生じ、エンジンシステムの燃費の悪化の要因となっている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、バキュームポンプの駆動による燃費の悪化を抑制するエンジンシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に係るエンジンシステムは、内燃機関の排気が流通する排気通路と、負圧を用いて作動する負圧作動機器と、内燃機関を駆動源として負圧作動機器に負圧を供給するバキュームポンプと、バキュームポンプの吸気口と負圧作動機器とを接続する第1接続通路と、排気通路とバキュームポンプの吸気口とを接続する第2接続通路と、第2接続通路に設けられ、排気通路とバキュームポンプとを連通する連通状態と排気通路とバキュームポンプとを遮断する遮断状態との間で切り替え可能な第1切替弁とを備える。
【0007】
このようにすると、第1切替弁が遮断状態である場合には、バキュームポンプによって第1接続通路内の気体が吸気口から吸引されることによって負圧作動機器に対して負圧を供給することができる。また、第1切替弁が連通状態である場合には、排気通路から排気が吸引されることによって第1接続通路内からの気体の吸引が阻害されることによって負圧作動機器への負圧の供給を停止できる。また、排気通路から排気が吸引されることによって排気通路の圧力を低下させることができる。これにより、ポンピングロスが低減し、燃費の悪化を抑制することができる。
【0008】
ある実施の形態においては、エンジンシステムは、第1切替弁を制御する制御装置をさらに備える。制御装置は、負圧作動機器の第1動作が要求される場合に遮断状態になり、負圧作動機器の第1動作と異なる第2動作が要求される場合に連通状態になるように第1切替弁を制御する。
【0009】
このようにすると、負圧作動機器の第1動作が要求される場合に第1切替弁を遮断状態にすることにより負圧作動機器に負圧を供給することができる。負圧作動機器の第2動作が要求される場合第1切替弁を連通状態に制御することにより、負圧作動機器への負圧の供給を停止できる。
【0010】
さらにある実施の形態においては、エンジンシステムは、排気通路に設けられ、排気を浄化する排気浄化装置をさらに備える。第2接続通路は、排気通路における排気浄化装置よりも下流の位置と吸気口とを接続する。
【0011】
このようにすると、バキュームポンプにより吸引された排気の排出先において、排気浄化装置により浄化された排気を排出することができる。
【0012】
さらにある実施の形態においては、エンジンシステムは、排気通路を流通する排気の一部を内燃機関の吸気通路に戻す排気再循環装置とをさらに備える。排気再循環装置は、排気の一部と熱交換を行なう熱交換器と、熱交換器が設けられる第1通路と、熱交換器をバイパスする第2通路とを含む。負圧作動機器は、排気再循環装置に設けられ、第1通路と第2通路とのうちのいずれかを選択するための第2切替弁を含む。
【0013】
このようにすると、燃費の悪化を抑制しつつ、第2切替弁を動作させて、第1通路と第2通路とを適切に選択することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、バキュームポンプの駆動による燃費の悪化を抑制するエンジンシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係るエンジンシステムの概略構成の一例を示す図である。
図2】バキュームポンプとEGRバルブとの間の配管構成の比較例を示す図である。
図3】本実施の形態におけるバキュームポンプとEGRバルブと排気管とを接続する配管構成の一例を示す図である。
図4】制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図5】制御1および制御2の各々に対応した切替弁の状態、配管の状態およびEGRバルブの制御モードを表形式で示した図である。
図6】熱効率と排気管内の圧力との関係の一例を示す図である。
図7】開閉弁の制御状態の時間変化の一例とEGRバルブの制御モードの時間変化の一例とを示すタイミングチャートである。
図8】変形例におけるバキュームポンプとEGRバルブと排気管とを接続する配管構成の一例を示す図である。
図9】変形例における切替弁および開閉弁の制御状態の時間変化の一例とEGRバルブの制御モードの時間変化の一例とを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るエンジンシステム1の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、エンジンシステム1は、エンジン本体2と、バキュームポンプ6と、インテークマニホールド10と、吸気管12,16,18と、インタークーラ14と、排気再循環装置(以下、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置と記載する)20と、エアクリーナ40と、エキゾーストマニホールド50と、排気管52,54と、ターボチャージャ60と、排気浄化装置66と、制御装置100とを備える。このエンジンシステム1は、たとえば、車両等の移動体に搭載され、好ましくは、電動機を主な駆動源とし、エンジンシステム1を主な発電源とするハイブリッド車両に搭載されることが望ましい。
【0018】
エンジン本体2は、気筒4と燃料噴射装置(図示せず)とを含むディーゼルエンジンあるいはガソリンエンジン等の内燃機関である。
【0019】
エンジン本体2の気筒4の頂部には、吸気ポートと排気ポート(いずれも図示せず)とが接続され、吸気ポートにインテークマニホールド10が接続される。エンジン本体2には、たとえば、複数(たとえば、4つ)の気筒4が設けられ、複数の気筒4の各々に接続される吸気ポートにインテークマニホールド10が接続される。
【0020】
燃料噴射装置は、制御装置100からの制御信号に応じて気筒4内に燃料を供給する。燃料噴射装置は、たとえば、気筒4の頂部に設けられ、気筒4内に直接的に燃料を噴射する。なお、エンジン本体2が火花点火式のガソリンエンジンである場合には、燃料噴射装置は、たとえば、吸気ポートに燃料を供給するように構成されてもよい。
【0021】
バキュームポンプ6は、エンジンシステム1に含まれ、負圧を用いて作動する機器(負圧作動機器)に負圧を供給する。バキュームポンプ6は、エンジン本体2を駆動源とする機械式のポンプである。バキュームポンプ6は、エンジン本体2の出力軸(クランク軸)に連結され、エンジン本体2の出力軸の回転力が作用することによって駆動する。バキュームポンプ6の吸気口は、配管を介して後述する負圧作動機器と接続される。詳細な配管構成については後述する。また、バキュームポンプ6の吐出口は、エンジン本体2に設けられる開口部に接続される。バキュームポンプ6が駆動すると吸気口から気体を吸引し、吐出口から吸引した気体を吐出する。これにより、負圧作動機器に接続される配管内の圧力が低下し、負圧となる。これにより、負圧作動機器に設けられる負圧室内の圧力が低下することにより、負圧が供給されることになる。負圧作動機器は、負圧の供給の有無により作動する。負圧作動機器としては、たとえば、後述するEGRバルブ24が含まれる。EGRバルブ24の動作については、後述する。バキュームポンプ6の吐出口から吐出された気体は、エンジン本体2の中にブローバイガスとして混入され、吸気通路に戻される。
【0022】
インテークマニホールド10には、吸気管12の一方端が接続される。吸気管12の他方端には、インタークーラ14が接続される。インタークーラ14は、熱交換器を含み、後述するターボチャージャ60のコンプレッサ62から供給される吸気を冷却する。
【0023】
インタークーラ14には、吸気管16の一方端が接続される。吸気管16の他方端には、ターボチャージャ60のコンプレッサ62の吸気流出口に接続される。コンプレッサ62の吸気流入口には、吸気管18の一方端が接続される。吸気管18の他方端には、エアクリーナ40が接続される。エンジンシステム1の動作時においては、エアクリーナ40から吸引された空気(吸入空気)が吸気管18、コンプレッサ62、吸気管16、インタークーラ14および吸気管12を経由してインテークマニホールド10に流通する。エアクリーナ40からインテークマニホールド10までの構成によってエンジンシステム1の「吸気通路」が構成される。
【0024】
エンジン本体2の複数の気筒4の各々に接続される排気ポートに、エキゾーストマニホールド50が接続される。
【0025】
エキゾーストマニホールド50には、ターボチャージャ60のタービン64の排気流入口が接続される。タービン64の排気流出口には、排気管52の一方端が接続される。排気管52の他方端には、排気浄化装置66の排気流入口が接続される。排気浄化装置66の排気流出口には、排気管54の一方端が接続される。なお、排気管54の他方端には、マフラー等の消音器(図示せず)が接続される。エキゾーストマニホールド50からマフラー等の消音器までの構成によってエンジンシステム1の「排気通路」が構成される。
【0026】
ターボチャージャ60は、吸気管16と吸気管18との間に設けられるコンプレッサ62と、エキゾーストマニホールド50と排気管52の一方端との間に設けられるタービン64とを含む。コンプレッサ62には、回転自在に支持されるコンプレッサブレード(図示せず)が設けられる。タービン64には、回転自在に支持され、コンプレッサブレードとシャフト(図示せず)を介して連結されるタービンブレード(図示せず)が設けられる。そのため、エンジン本体2からエキゾーストマニホールド50を介してタービン64に供給される排気エネルギーによってタービンブレードが回転させられると、シャフトを介してコンプレッサブレードが回転し、吸入空気がコンプレッサ62によって圧縮される。このようにして圧縮(過給)された吸入空気は、吸気管12と吸気管16との間に設けられるインタークーラ14において冷却されてインテークマニホールド10を経由してエンジン本体2に供給される。
【0027】
エンジン本体2においては、インテークマニホールド10から吸入される吸入空気と、燃料噴射装置から気筒4内に供給される燃料との混合気が気筒4内で燃焼する。気筒4内での混合気の燃焼によって燃焼圧力が生じて、気筒4内に収納されるピストンが動作し、クランク機構を介して出力軸(いずれも図示せず)が回転する。気筒4内での混合気の燃焼により生じた排気は、エキゾーストマニホールド50を介してタービン64に供給される。
【0028】
EGR装置20は、エキゾーストマニホールド50を流通する排気の一部(以下、EGRガスと記載する)をインテークマニホールド10に戻すように構成される。EGRガスは、吸入空気とともにインテークマニホールド10から気筒4に流通する。EGRガスが気筒4に導入されることによって燃焼温度が下がり、窒素酸化物(NOx)の低減が図られる。また、吸気損失や冷却損失の低減から燃費向上が図られる。
【0029】
EGR装置20は、第1循環通路22と、EGRバルブ24と、第2循環通路26と、第3循環通路28と、EGRクーラ30と、第4循環通路32とを含む。
【0030】
第1循環通路22の一方端は、インテークマニホールド10に接続される。第1循環通路22の他方端は、EGRバルブ24に接続される。
【0031】
第2循環通路26の一方端は、EGRバルブ24に接続される。第2循環通路26の他方端は、EGRクーラ30に接続される。
【0032】
EGRクーラ30は、内部に収納される熱交換器(図示せず)を含む。熱交換器は、たとえば、エンジン本体2内を流通する冷却水が流通するように構成される。そのため、熱交換器においては、EGRクーラ30内を流通するEGRガスの温度が低下される。EGRクーラ30におけるEGRガスの冷却により第1循環通路22を流通するEGRガスのガス体積を縮小させることができ、多くのEGRガスを吸気通路に戻すことが可能となる。
【0033】
第3循環通路28の一方端は、EGRクーラ30に接続される。第3循環通路28の他方端は、エキゾーストマニホールド50に接続される。
【0034】
第4循環通路32の一方端は、第3循環通路28の途中の所定位置に接続される。第4循環通路32の他方端は、EGRバルブ24に接続される。
【0035】
EGRバルブ24は、第1循環通路22の他方端と、第2循環通路26の一方端と、第4循環通路32の他方端とを接続する三方弁である。EGRバルブ24は、制御装置100からの制御信号に応じて、第1循環通路22と第2循環通路26とを連通状態にし、かつ、第1循環通路22および第2循環通路26の各々と第4循環通路32とを遮断状態にする第1状態と、第1循環通路22と第4循環通路32とを連通状態にし、かつ、第1循環通路22および第4循環通路32の各々と第2循環通路26とを遮断状態にする第2状態との間で切り替え可能に構成される切替弁である。
【0036】
EGRバルブ24が第1状態に切り替えられることにより、エキゾーストマニホールド50から流通する排気は、EGRクーラ30を経由してインテークマニホールド10に流通する。そのため、以下、EGRバルブ24を第1状態にする制御モードを「クーラモード」と記載する。
【0037】
また、EGRバルブ24が第2状態に切り替えられることにより、エキゾーストマニホールド50から流通する排気は、EGRクーラ30を経由せずにインテークマニホールド10に流通する。そのため、以下、EGRバルブ24を第2状態にする制御モードを「バイパスモード」と記載する。
【0038】
エキゾーストマニホールド50からタービン64を介して排気管52に流通する排気は、排気浄化装置66に流通する。排気浄化装置66は、たとえば、各種触媒(たとえば、排気中の未燃成分を酸化する酸化触媒や排気中の窒素酸化物の還元が可能なSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒等)や、排気に含まれるPM(Particulate Matter)を捕集するPM除去フィルタ(いずれも図示せず)とを含む。
【0039】
制御装置100には、水温センサ102が接続される。水温センサ102は、エンジン本体2に設けられ、エンジン本体2に設けられる冷却水通路内を流通するクーラントの温度(以下、水温と記載する)Twを検出する。水温センサ102は、検出した水温Twを示す信号を制御装置100に送信する。
【0040】
制御装置100は、各種処理を行なうCPU(Central Processing Unit)と、プラグラムおよびデータを記憶するROM(Read Only Memory)およびCPUの処理結果等を記憶するRAM(Random Access Memory)等を含むメモリ(いずれも図示せず)とを含む。
【0041】
制御装置100は、各種センサ(たとえば、上述した水温センサ102など)からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、エンジンシステム1が所望の運転状態になるように各種機器(たとえば、EGRバルブ24など)を制御する。なお、制御装置100が実行する各種処理については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
【0042】
制御装置100は、たとえば、エンジンシステム1が作動状態であって、かつ、水温Twがしきい値よりも低い冷間時においては、制御モードをバイパスモードとし、第2状態になるようにEGRバルブ24を制御する。また、制御装置100は、たとえば、エンジンシステム1が作動状態であって、かつ、水温Twがしきい値以上になる暖機完了時においては、制御モードをクーラモードとし、第1状態になるようにEGRバルブ24を制御する。このように冷間時においては、吸気に戻される排気が過剰に冷却されることを抑制し、暖機後には吸気に戻される排気がEGRクーラ30を用いて冷却される。そのため、エンジンシステム1の状態に応じてインテークマニホールド10に戻される排気の温度が適切な温度になるようにEGRバルブ24が制御される。
【0043】
上述のようなエンジンシステム1において、バキュームポンプ6が上述したように機械式のポンプである場合には、バキュームポンプ6は、エンジンシステム1の動作中においては、常に吸引動作が行なわれ、負圧作動機器に対して常時負圧を供給した状態になる。そのため、バキュームポンプ6の駆動による摩擦損失が常に生じ、エンジンシステム1の燃費の悪化の要因となっている。
【0044】
以下、比較例として、図2を参照して、本実施の形態における負圧作動機器であるEGRバルブ24に負圧を供給するための配管構成の一例について説明する。
【0045】
図2は、バキュームポンプ6とEGRバルブ24とを接続する配管構成の比較例を示す図である。図2に示すように、バキュームポンプ6は、吸気口6aと吐出口6bとを含む。
【0046】
吸気口6aには、配管72の一方端が接続される。配管72の他方端には、切替弁70に接続される。切替弁70には、配管74の一方端が接続される。配管74の他方端は、EGRバルブ24の負圧室に接続される。吐出口6bは、エンジン本体2の開口部に接続される。
【0047】
切替弁70は、配管72と配管74とを連通する連通状態と、配管72と配管74とを遮断しつつ、配管74を大気開放する遮断状態とのうちのいずれか一方の状態から他方の状態に切替可能な電磁弁であって、制御装置100からの制御信号に応じて動作する。
【0048】
EGRバルブ24は、たとえば、負圧室と、負圧室に隣接して設けられる弁体と、弁体を初期位置に保持するように設けられる弾性部材(いずれも図示せず)とを含む。切替弁70によって配管72と配管74とが連通状態になると、バキュームポンプ6の駆動によってEGRバルブ24の負圧室内の圧力が負圧になる。EGRバルブ24の負圧室内の圧力が負圧になると、弁体が初期位置から所定位置に移動し、EGRバルブ24は、第2状態になる。一方、切替弁70によって配管72と配管74とが遮断状態になり、配管74が大気開放されると、負圧室内の圧力が正圧になる。負圧室内の圧力が正圧になると、弁体が所定位置から初期位置に戻り、EGRバルブ24は、第1状態になる。
【0049】
このような構成である場合には、EGRバルブ24の制御モードの変更に対する応答性を確保するために、バキュームポンプ6は、常に第1配管72内を負圧状態にするために常に吸引動作が行なわれることになる。そのため、エンジンシステム1の燃費の悪化の要因となり得る。
【0050】
そこで、本実施の形態においては、エンジンシステム1は、排気管54とバキュームポンプ6の吸気口6aとを接続する配管78(図3参照)と、配管78に設けられ、排気管54とバキュームポンプ6とを連通する連通状態と、排気管54とバキュームポンプ6とを遮断する遮断状態との間で切り替え可能な切替弁(以下、開閉弁と記載する)80(図3参照)とを備えるものとする。そして、制御装置100は、EGRバルブ24が第2状態になることが要求される場合に遮断状態になり、EGRバルブ24が第1状態になることが要求される場合に連通状態になるように開閉弁80を制御するものとする。
【0051】
このようにすると、EGRバルブ24が第1状態になることが要求される場合には、開閉弁80によって配管78が連通状態になるため、排気管54から配管78を経由して排気が吸引されることによって排気管54内の圧力を低下させることができる。これにより、ポンピングロスが低減し、燃費の悪化を抑制することができる。
【0052】
以下に、本実施の形態におけるバキュームポンプ6とEGRバルブ24と排気管54とを接続する配管構成の一例について図3を用いて詳細に説明する。図3は、本実施の形態におけるバキュームポンプ6とEGRバルブ24と排気管54とを接続する配管構成の一例を示す図である。
【0053】
図3に示すように、バキュームポンプ6は、吸気口6a,6cと吐出口6bとを含む。吸気口6aには、配管76の一方端が接続される。配管76の他方端は、EGRバルブ24の負圧室に接続される。吐出口6bは、エンジン本体2の開口部に接続される。
【0054】
吸気口6cには、配管78の一方端が接続される。配管78の他方端は、排気管54における所定位置に接続される。配管78の途中には、開閉弁80が設けられる。
【0055】
開閉弁80は、配管78における気体を流通を可能とする連通状態と、配管78における気体の流通を遮断する遮断状態との間で状態の切り替えが可能な電磁弁であって、制御装置100からの制御信号に応じて動作する。
【0056】
なお、EGRバルブ24の構成は、図2で示すEGRバルブ24の構成と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0057】
このような構成において、制御装置100は、たとえば、エンジンシステム1が作動状態であって、かつ、水温Twがしきい値以上の暖機完了時である場合には、開閉弁80を連通状態にする制御1を実行する。また、制御装置100は、たとえば、エンジンシステム1が作動状態であって、かつ、水温Twがしきい値よりも低い冷間時である場合には、開閉弁80を遮断状態にする制御2を実行する。
【0058】
以下、図4を参照して、制御装置100の処理の一例について説明する。図4は、制御装置100の処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、制御装置100により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0059】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、制御装置100は、エンジンシステム1が作動状態であるか否かを判定する。制御装置100は、たとえば、エンジンシステム1の始動要求に応じてエンジンシステム1が作動状態になるときにオン状態に設定されるフラグを用いてエンジンシステム1が作動状態であるか否かを判定してもよいし、あるいは、エンジン回転数がしきい値以上であって、かつ、燃料噴射量の制御指令値がしきい値以上である場合にエンジンシステム1が作動状態であると判定してもよい。エンジンシステム1が作動状態であると判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。なお、エンジンシステム1が作動状態でないと判定される場合(S100にてNO)、この処理は終了される。
【0060】
S102にて、制御装置100は、水温Twがしきい値以上であるか否かを判定する。しきい値は、エンジンシステム1の暖機が完了しているか否かを判定するための値であって、たとえば、実験等によって適合される予め定められた値である。水温Twがしきい値以上であると判定される場合(S102にてYES)、処理はS104に移される。
【0061】
S104にて、制御装置100は、制御1を実行する。すなわち、制御装置100は、開閉弁80を連通状態にする。なお、水温Twがしきい値よりも低いと判定される場合(S102にてNO)、処理はS106に移される。
【0062】
S106にて、制御装置100は、制御2を実行する。すなわち、制御装置100は、開閉弁80を遮断状態にする。
【0063】
図5は、制御1および制御2の各々に対応した開閉弁80の状態、配管76,78の状態およびEGRバルブ24の制御モードを表形式で示した図である。制御1が実行されると、図5に示すように、開閉弁80が連通状態になることにより、配管78における気体の流通が可能となり、バキュームポンプ6の吸気口6aと排気管54とが接続された状態になる。そのため、制御1が実行されると、バキュームポンプ6の駆動により配管78を経由して排気管54から排気が吸い込まれた状態になる。その結果、排気管54内の圧力が低下する。
【0064】
図6は、熱効率と排気管54内の圧力との関係の一例を示す図である。図6の縦軸は、エンジンシステム1における熱効率を示す。図6の横軸は、排気管54内の圧力を示す。図6のLN1は、排気管54内の圧力の変化に対する熱効率の変化の一例を示す。図6に示すように熱効率と圧力とは、排気管54内の圧力が低下するほど熱効率は高くなり、排気管54内の圧力が増加するほど熱効率が低くなる関係を有する。なお、図6のLN1には、熱効率と排気管54内の圧力とが線形の関係を有する場合が一例として示されるが、特に線形の関係を有することに限定されるものではなく、非線形の関係であってもよい。
【0065】
このように、制御1が実行されることによって排気管54内の圧力が低下すると、エンジンシステム1の熱効率が高くなるため、燃費向上の効果が得られる。
【0066】
排気管54から排気が吸い込まれる場合においては、配管78の圧力は正圧となる。このとき、配管76内の圧力は、正圧になるか、あるいは、負圧になったとしても後述する制御2が実行される場合の圧力よりも昇圧した値となる。そのため、配管76内がEGRバルブ24の弁体を移動させるほどの負圧に達しないため、弁体は初期位置で保持され、EGRバルブ24は、第1状態になる。そのため、EGRバルブ24の制御モードがクーラモードになる。
【0067】
一方、制御2が実行されると、図5に示すように、開閉弁80が遮断状態になることにより、配管78において気体の流通が遮断される、バキュームポンプ6の吸気口6aと排気管54とが遮断状態になる。そのため、制御2が実行されると、バキュームポンプ6が駆動しても排気管54から排気が吸い込まれない。このとき、排気管54内の圧力低下が生じないため、燃費向上の効果は得られない。
【0068】
排気管54から排気が吸い込まれない場合においては、配管78におけるバキュームポンプ6から開閉弁80までの経路内の圧力は負圧となる。そのため、配管76内の気体もバキュームポンプ6の駆動によって吸い込まれるため、配管76内の圧力も負圧となる。そのため、EGRバルブ24の負圧室内の圧力が弁体を移動させるほどの負圧に達するため、EGRバルブ24が第2状態になる。そのため、EGRバルブ24の制御モードがバイパスモードになる。
【0069】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態における制御装置100の動作の一例について図7を参照しつつ説明する。図7は、開閉弁80の制御状態の時間変化の一例とEGRバルブ24の制御モードの時間変化の一例とを示すタイミングチャートである。図7の横軸は、時間を示す。図7の縦軸は、EGRバルブ24の制御モードと、開閉弁80の制御状態とを示す。図7のLN2は、EGRバルブ24の制御モードの時間変化を示す。図7のLN3は、開閉弁80の制御状態の時間変化を示す。
【0070】
たとえば、エンジンシステム1が作動状態であって、かつ、水温Twがしきい値以下であって、開閉弁80が遮断状態であり、EGRバルブ24の制御モードがバイパスモードである場合を想定する。
【0071】
時間T(0)にて、エンジンシステム1の作動状態が継続しており(S100にてYES)、水温Twがしきい値よりも大きくなると(S102にてYES)、暖機完了状態になり、制御1が実行される(S104)。制御1が実行されると、図7のLN2およびLN3に示すように、開閉弁80が連通状態になり、EGRバルブ24の制御モードがクーラモードに変化していく。
【0072】
すなわち、開閉弁80が連通状態になると、排気管54から排気が吸い込まれるため、配管78が正圧になり、配管76内の圧力が上昇する。これにより、EGRバルブ24の負圧室内の圧力が上昇していき、弁体が所定位置から初期位置へと時間の経過とともに変化していく。
【0073】
時間T(1)にて、EGRバルブ24の弁体が初期位置に戻ると、EGRバルブ24の制御モードがクーラモードになり、EGRガスは、EGRクーラ30を経由して吸気通路に流通する。そのため、図7のLN2に示すように、開閉弁80が遮断状態から連通状態へと変化してから一定時間が経過した後に、図7のLN3に示すように、EGRバルブ24の制御モードがバイパスモードからクーラモードへと変化することとなる。
【0074】
一方、時間T(3)になるまでの間に、エンジンシステム1の非作動状態が継続する期間があるなどして、水温Twが再びしきい値以下の未暖機状態になる場合を想定する。エンジンシステム1が作動状態になり(S100にてYES)、水温Twがしきい値以下である場合には(S102にてNO)、制御2が実行される(S106)。制御2が実行されると、図7のLN2およびLN3に示すように、開閉弁80が遮断状態になり、EGRバルブ24の制御モードがバイパスモードに変化していく。
【0075】
すなわち、開閉弁80が遮断状態になると、排気管54から排気が吸い込まれなくなるため、配管76内の圧力が低下する。その結果、EGRバルブ24の負圧室内の圧力が低下していき、弁体が初期位置から所定位置へと時間の経過とともに変化していく。
【0076】
時間T(4)にて、EGRバルブ24の弁体が所定位置に移動すると、EGRバルブ24の制御モードがバイパスモードになり、EGRガスは、EGRクーラ30を経由せずに吸気通路に流通する。そのため、図7のLN2に示すように、開閉弁80が連通状態から遮断状態へと変化してから一定時間が経過した後に、図7のLN3に示すように、EGRバルブ24の制御モードがクーラモードからバイパスモードへと変化することとなる。
【0077】
以上のようにして、本実施の形態に係るエンジンシステム1によると、開閉弁80が遮断状態である場合には、バキュームポンプ6によって配管76内の気体が吸気口6aから吸引されることによってEGRバルブ24に対して負圧を供給して、EGRバルブ24を第2状態にすることができる。また、開閉弁80が連通状態である場合には、排気管54から排気が吸引されることによって配管76内からの気体の吸引が阻害されることによってEGRバルブ24への負圧の供給を停止して、EGRバルブ24を第1状態にすることができる。また、排気管54から排気が吸引されることによって排気管54内の圧力を低下させることができる。これにより、ポンピングロスが低減し、燃費の悪化を抑制することができる。したがって、バキュームポンプの駆動による燃費の悪化を抑制するエンジンシステムを提供することができる。
【0078】
さらに、配管78の一方端を排気浄化装置66よりも下流の排気管54に接続することにより、バキュームポンプ6により吸引された、排気浄化装置66により浄化された排気をエンジンシステム1の吸気に戻すことができる。
【0079】
さらに、ハイブリッド車両(特に、シリーズハイブリッド車両)においては、エンジンシステム1は、発電源としてのみ使用されるため、エンジンシステム1の動作点(たとえば、エンジントルクとエンジン回転数とによって示される動作点)としては、一点あるいは狭い範囲で使用される。そのため、EGRバルブ24は、水温Twによって制御モードが切り替えられるため、頻繁な制御モードの切り替えもなく、また、制御モードの切り替えにおいて高い応答性は求められない。そのため、このような使用態様のハイブリッド車両に図3で示した上述の配管構成を適用することにより、制御モードを適切に変更しつつ、燃費向上の効果を得ることができる。
【0080】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、バキュームポンプ6は、吸引した気体をエンジン本体2内に吐出される構成を一例として説明したが、たとえば、エンジン本体2の外部に吐出する構成であってもよい。バキュームポンプ6には、排気浄化装置66により浄化された排気が吸引されるため、浄化されていない排気が外部に排出されることを抑制しつつ、燃費の悪化を抑制することができる。
【0081】
さらに上述の実施の形態では、負圧作動機器としてEGRバルブ24を一例として説明したが、負圧作動機器は、たとえば、EGR装置20に設けられ、EGRガスの流量を調整する調整弁であってもよい。調整弁は、たとえば、EGRガスの流量を制限しない第1開度と、EGRガスの流量を制限する第2開度との間で開度の切替えが可能に構成される。
【0082】
さらに上述の実施の形態では、配管78の一方端を排気管54に接続する構成を一例として説明したが、配管78の一方端の接続先としては排気通路であればよく、特に排気管54に限定されるものではない。たとえば、配管78の一方端は、ターボチャージャ60の下流の排気管52に接続されるようにしてもよい。このようにすると、配管78を連通状態にすることで、排気管52内の圧力を低下させてポンピングロスを低減できるとともに、タービン64のタービンブレードが回転しやすくなり、ターボチャージャ60を応答性よく作動させることができる。
【0083】
さらに上述の実施の形態では、EGRバルブ24に負圧が供給されることで制御モードがバイパスモードになり、負圧の供給が停止されることで制御モードがクーラモードになる場合を一例として説明したが、たとえば、EGRバルブ24に負圧が供給されることで制御モードがクーラモードになり(すなわち、EGRバルブ24が第1状態になり)、負圧の供給が停止されることで制御モードがバイパスモードになる(すなわち、EGRバルブ24が第2状態になる)ようにしてもよい。
【0084】
さらに上述の実施の形態では、EGR装置20は、インテークマニホールド10とエキゾーストマニホールド50とを接続するHPL(High Pressure Loop)-EGRである場合を一例に説明したが、たとえば、吸気管18と排気管52または排気管54とを接続するLPL(Low Pressure Loop)-のEGRであってもよい。
【0085】
さらに上述の実施の形態では、図3に示すように、バキュームポンプ6と、EGRバルブ24と、排気管54とを接続する配管構成として、図2に示す切替弁70を有しない構成を一例として説明したが、図2に示す切替弁70をさらに有する構成であってもよい。
【0086】
図8は、変形例におけるバキュームポンプ6とEGRバルブ24と排気管54とを接続する配管構成の一例を示す図である。図8において、バキュームポンプ6の吸気口6aとEGRバルブ24の負圧室とを接続する配管構成は、図2に示す、バキュームポンプ6の吸気口6aとEGRバルブ24の負圧室とを接続する配管構成と同じ構成である。そのため、吸気口6aとEGRバルブ24の負圧室とを接続する、切替弁70および配管72,74の構成についての詳細な説明は繰り返さない。さらに、図8において、吸気口6cと排気管54とを接続する配管構成は、図3に示す、吸気口6cと排気管54とを接続する配管構成と同じ構成である。そのため、吸気口6cと排気管54とを接続する、配管78および開閉弁80の構成についての詳細な説明は繰り返さない。
【0087】
図9は、変形例における切替弁70および開閉弁80の制御状態の時間変化の一例とEGRバルブ24の制御モードの時間変化の一例とを示すタイミングチャートである。図9の横軸は、時間を示す。図9の縦軸は、EGRバルブ24の制御モードと、切替弁70の制御状態と、開閉弁80の制御状態とを示す。図9のLN4は、EGRバルブ24の制御モードの時間変化を示す。図9のLN5は、切替弁70の制御状態の時間変化を示す。図9のLN6は、開閉弁80の制御状態の時間変化を示す。
【0088】
変形例において制御装置100は、制御1を実行する場合には、開閉弁80を遮断状態にするとともに、遮断状態にした時点から所定時間が経過した後に切替弁70を連通状態にする。また、変形例において制御装置100は、制御2を実行する場合には、開閉弁80を連通状態にするとともに、切替弁70を遮断状態(すなわち、配管74を大気開放状態)にする。
【0089】
なお、変形例において制御装置100が実行する処理は、図4のフローチャートを用いて説明した処理と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0090】
たとえば、エンジンシステム1が作動状態であって、かつ、水温Twがしきい値以下であって、開閉弁80が遮断状態であり、EGRバルブ24の制御モードがバイパスモードである場合を想定する。
【0091】
時間T(4)にて、エンジンシステム1の作動状態が継続しており(S100にてYES)、水温Twがしきい値よりも大きくなると(S102にてYES)、暖機完了状態になり、制御1が実行される(S104)。制御1が実行されると、図9のLN5およびLN6に示すように、切替弁70が遮断状態になるとともに、開閉弁80が連通状態になる。
【0092】
切替弁70が遮断状態になると、配管74が大気開放状態になるため、EGRバルブ24の負圧室内の圧力は、大きく上昇し、弁体が所定位置から初期位置に戻ることにより、EGRバルブ24は、第1状態になる。そのため、図9のLN4に示すように、EGRバルブ24の制御モードがクーラモードに変化する。
【0093】
一方、時間T(5)になるまでの間に、エンジンシステム1の非作動状態が継続する期間があるなどして、水温Twが再びしきい値以下の未暖機状態になる場合を想定する。エンジンシステム1が作動状態になり(S100にてYES)、水温Twがしきい値以下である場合には(S102にてNO)、制御2が実行される(S106)。制御2が実行されると、図9のLN6に示すように、開閉弁80が遮断状態になる。開閉弁80が遮断状態になると、排気管54から排気が吸い込まれなくなるため、配管74内の圧力が低下していく。
【0094】
時間T(5)から所定時間経過後の時間T(6)にて、配管74内の圧力が十分に低下した状態になるため、図9のLN5に示すように、切替弁70が遮断状態になると、EGRバルブ24の弁体が初期位置から所定位置に速やかに移動することにより、EGRバルブ24は、第2状態になる。そのため、図9のLN4に示すように、EGRバルブ24の制御モードがバイパスモードに変化する。
【0095】
このように、図8に示すような切替弁70をさらに含む配管構成とすることにより、EGRバルブ24の制御モードを応答性良く変更することが可能となる。
【0096】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
1 エンジンシステム、2 エンジン本体、4 気筒、6 バキュームポンプ、6a,6c 吸気口、6b 吐出口、10 インテークマニホールド、12,16,18 吸気管、14 インタークーラ、20 EGR装置、22 第1循環通路、24 EGRバルブ、26 第2循環通路、28 第3循環通路、30 EGRクーラ、32 第4循環通路、40 エアクリーナ、50 エキゾーストマニホールド、52,54 排気管、60 ターボチャージャ、62 コンプレッサ、64 タービン、66 排気浄化装置、70 切替弁、72,74,76,78 配管、80 開閉弁、100 制御装置、102 水温センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9