(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166486
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】ディスプレイユニット
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20221026BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221026BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221026BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221026BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221026BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308Z
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071721
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷲谷 雄介
(72)【発明者】
【氏名】田端 隆伸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 典文
(72)【発明者】
【氏名】小野木 文寛
【テーマコード(参考)】
3D020
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BC04
3D020BD08
3D020BD09
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC41
3K107DD17
3K107EE61
3K107EE63
5C094AA47
5C094BA27
5C094BA31
5C094BA43
5C094DA06
5C094HA05
5G435AA06
5G435BB05
5G435BB06
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE02
5G435EE13
5G435EE14
5G435EE50
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】本明細書では、比較的簡易な構造により、可撓性を有するディスプレイユニットを、任意の向きで支持し得る技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示するディスプレイユニットは、車両に搭載される。ディスプレイユニットは、可撓性を有するディスプレイパネルと、搬送装置と、支持装置と、を備える。搬送装置は、ディスプレイパネルを、ディスプレイパネルが車両の内装パネルに沿った第1の方向に沿って収納される収納位置と、内装の面に形成された開口を通過したディスプレイパネルが第1の方向とは異なる第2の方向に沿って車両の室内に配置される使用位置と、の間で搬送する。支持装置は、使用位置に配置されたディスプレイパネルを、第2の方向に直交する第3の方向に沿って湾曲するように支持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるディスプレイユニットであって、
可撓性を有するディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルを、前記ディスプレイパネルが前記車両の内装パネルに沿った第1の方向に沿って収納される収納位置と、前記内装パネルに形成された開口を通過した前記ディスプレイパネルが前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って前記車両の室内に配置される使用位置と、の間で搬送する搬送装置と、
前記使用位置に配置された前記ディスプレイパネルを、前記第2の方向に直交する第3の方向に沿って湾曲するように支持する支持装置と、
を備える、ディスプレイユニット。
【請求項2】
前記支持装置は、前記使用位置に配置された前記ディスプレイパネルを前記第3の方向において挟持する一対のガイドを備える、請求項1に記載のディスプレイユニット。
【請求項3】
前記ディスプレイパネルは、有機ELディスプレイである、請求項1または2に記載のディスプレイユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、ディスプレイユニットに関する。特に、可撓性を有するディスプレイパネルを備えるディスプレイユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、車両に搭載されるディスプレイユニットが開示されている。このディスプレイユニットは、可撓性を有するディスプレイパネル(特許文献1では、フラットディスプレイと称している)を備える。ディスプレイパネルは、車両の天井パネルの内側で第1の方向に沿って収納される収納位置と、天井パネルの外側で第1の方向とは異なる第2の方向に沿って配置される使用位置との間で、天井パネルに形成された開口を通じて搬送される。ディスプレイパネルは、可撓性を有しているので、収納位置と使用位置との間で搬送されるときに、第1の方向と第2の方向とが成す角度に応じて湾曲することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したディスプレイユニットでは、使用位置に配置されたディスプレイパネルの姿勢が、ディスプレイパネルの自重によって保持される構成となっている。このような構成であると、使用位置におけるディスプレイパネルの向きが、鉛直方向に直交する水平方向に制限されてしまう。従って、使用位置におけるディスプレイパネルの向きを、水平方向とは異なる所望の向きに設定するためには、使用位置に配置されたディスプレイユニットを、当該所望の向きで支持するためのフレーム等を付加することが考えられる。しかしながら、そのようなフレーム等を、ディスプレイパネルとともに収納するためには、フレーム等に複雑な構成を採用する必要が生じ得る。本明細書では、比較的簡易な構造により、可撓性を有するディスプレイユニットを、任意の向きで支持し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するディスプレイユニットは、車両に搭載される。ディスプレイユニットは、可撓性を有するディスプレイパネルと、搬送装置と、支持装置と、を備える。搬送装置は、前記ディスプレイパネルを、前記ディスプレイパネルが前記車両の内装パネルに沿った第1の方向に沿って収納される収納位置と、前記内装の面に形成された開口を通過した前記ディスプレイパネルが前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って前記車両の室内に配置される使用位置と、の間で搬送する。支持装置は、前記使用位置に配置された前記ディスプレイパネルを、前記第2の方向に直交する第3の方向に沿って湾曲するように支持する。
【0006】
上述したディスプレイユニットでは、使用位置に配置されるディスプレイパネルが、第3の方向に湾曲する。その結果、ディスプレイパネルが使用位置で平坦に広がる構成に比して、ディスプレイパネルが使用位置で変形しにくくなる。すなわち、使用位置のディスプレイパネルの剛性が向上する。その結果、使用位置のディスプレイパネルは、その自重に抗って自身の姿勢を保持することができる。このように、本明細書が開示するディスプレイユニットは、可撓性を有するディスプレイパネルを第3の方向で湾曲させることで、複雑なフレーム等を用いることなく、使用位置のディスプレイパネルの剛性を向上させる。すなわち、上述したディスプレイユニットによると、比較的簡易な構造により、可撓性を有するディスプレイユニットを、任意の向きで支持し得る。
【0007】
前記支持装置は、前記使用位置に配置された前記ディスプレイパネルを前記第3の方向において挟持する一対のガイドを備えてもよい。このような構成によると、ディスプレイパネルの第3の方向における両側縁を一対のガイドで挟持することで、ディスプレイパネルを第3の方向で湾曲させることができる。このため、ディスプレイパネルの表示部(すなわち、幅広面)に傷がつきにくい。
【0008】
前記ディスプレイパネルは、有機ELディスプレイであってもよい。但し、別の実施形態では、可撓性を有する液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等であってもよい。
【0009】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例のディスプレイユニット10を搭載する車両100の側面図を示す。
【
図2】実施例のディスプレイユニット10の斜視図を示す。
【
図3】
図2の線III-IIIに沿った断面図を示す。
【
図4】第2実施例の蓋24における
図2と同様の断面図を示す。
【
図5】第3実施例の蓋26における
図2と同様の断面図を示す。
【0011】
図面を参照して実施例のディスプレイユニットについて説明する。
図1に示されるように、実施例のディスプレイユニット10は、車両100に搭載される。車両100は、ディスプレイユニット10に加え、前列シート2Fと、後列シート2Rと、フロアカーペット4と、インパネ6と、天井パネル8と、を備える。車両100は、前列シート2Fに着座した乗員(図示省略)が操舵することで走行する車両である。フロアカーペット4、インパネ6及び天井パネル8は、車両100の室内を覆う内装パネルである。
【0012】
以下では、車両100の車両上方(即ち、図中矢印Upの方向)を単に「上」と記載し、その反対側の車両下方を単に「下」と記載することがある。同様に、前列シート2Fに着座した乗員から見た左方向(即ち、図中矢印Left方向)を単に「左」と記載し、その反対側を単に「右」と記載することがある。同様に、車両100の車両前方向(即ち、図中矢印Frontの方向)を単に「前」と記載し、その反対側の車両後方を単に「後」と記載することがある。
【0013】
図1に示されるように、ディスプレイユニット10は、天井パネル8に配置される。ディスプレイユニット10は、ディスプレイパネル12と、蓋20と、を備える。ディスプレイパネル12は、可撓性を有する。ディスプレイパネル12は、例えば有機EL(electro-luminescenceの略)ディスプレイパネルである。この種のディスプレイパネル12は、ディスプレイパネル12内の有機物質に電圧を印加し、有機物質を発光させることによって、映像を表示する。
【0014】
図1の破線で示されるように、ディスプレイパネル12は、天井パネル8の内側(即ち、天井パネル8の上側)に収納される。この際、ディスプレイパネル12は、天井パネル8に沿った第1の方向D1(すなわち、
図1の紙面左右方向)に沿って天井パネル8に収納される。このように、第1の方向D1に沿って、即ち、天井パネル8に沿ってディスプレイパネル12を収納することで、ディスプレイパネル12を収納するスペースの高さ方向の寸法を小さくすることができる。その結果、車両100の高さに対して、室内の高さを大きくすることができる。また、ディスプレイパネル12が天井パネル8に収納されると、蓋20によって、天井パネル8の開口8hが覆われる。
【0015】
ディスプレイパネル12は、天井パネル8の開口8hを通過して、車両100の室内に搬送される。その際、ディスプレイパネル12の姿勢は、第1の方向D1に沿った姿勢から、第1の方向D1とは異なる第2の方向D2に沿った姿勢へと変化する。従って、ディスプレイパネル12は、車両100の室内へ搬送される際に、第1の方向D1と第2の方向D2とが成す角度に応じて湾曲する。その結果、
図1に示されるように、ディスプレイパネル12は、第2の方向D2に沿って、車両100の室内に移動する。これにより、後列シート2Rに着座する乗員(図示省略)は、ディスプレイパネル12の映像を見ることができる。
【0016】
図2を参照して、ディスプレイユニット10の構造について説明する。ディスプレイユニット10は、ディスプレイパネル12、蓋20に加え、さらに、フレームモジュール40と、レールモジュール30と、を備える。フレームモジュール40は、ディスプレイパネル12を収納位置と使用位置との間で搬送する搬送装置である。収納位置とは、ディスプレイパネル12が、第1の方向D1に沿って天井パネル8の上方に収納される位置である。使用位置とは、ディスプレイパネル12が、第2の方向D2に沿って車両100の室内に配置される位置である。フレームモジュール40は、いわゆる、Xアーム式の搬送装置である。レールモジュール30は、フレームモジュール40の幅方向(すなわち、
図2の紙面左右方向)の両側において、搬送されるディスプレイパネル12を第1の方向D1に規制するガイドである。
【0017】
フレームモジュール40は、モータ50と、第1のフレーム46と、第2のフレーム48と、モータ側プレート42と、パネル側プレート44と、パネルサポート36と、フラップパネル38と、を備える。モータ50は、機構部52を介して第1のフレーム46と接続される。第1のフレーム46の前端(すなわち、
図2の紙面左側の端)は、パネル側プレート44に対して回転可能に接続される。第2のフレーム48の後端(すなわち、
図2の紙面右側の端)は、モータ側プレート42に対して回転可能に接続される。各フレーム46,48は、その中央で互いに回転可能に接続される。
【0018】
各プレート42,44は、車両100の幅方向に延びる長孔を備える。第1のフレーム46の後端は、機構部52を介してモータ側プレート42の長孔に回転可能に接続される。第2のフレーム48の前端は、パネル側プレート44の長孔に回転可能に接続される。
【0019】
パネル側プレート44は、パネルサポート36に接続される。パネルサポート36の前端は、フラップパネル38を介して、ディスプレイパネル12の後端16に接続される。
【0020】
レールモジュール30は、一対のロール32R,32Lと、一対の板バネ34R,34Lと、一対のレール35R,35Lと、を備える。一対の板バネ34R,34Lのそれぞれの前端は、パネルサポート36に接続される。一対の板バネ34R,34Lは、パネルサポート36を後方(すなわち、
図2の紙面右方)に引っ張るように付勢されている。一対のレール35R,35Lには、パネルサポート36の左右両側縁が遊嵌されている。
【0021】
次に、ディスプレイユニット10の動作について説明する。乗員がディスプレイパネル12を使用する場合、ディスプレイパネル12は室内の使用位置へ搬送される必要がある。この場合、一例ではあるが、乗員は、車両100の室内に配置されているディスプレイ引出しスイッチ(図示省略)を操作すればよい。ディスプレイ引出しスイッチが操作されると、モータ50が一方向への回転を開始する。これにより、モータ側プレート42の長孔に沿って、機構部52が右方(即ち、
図2の紙面左方)に移動する。これにより、第1のフレーム46の姿勢は、第1の方向D1(即ち、車両の長手方向)に沿うように変位する。それに伴い、第2のフレーム48の前端も、パネル側プレート44の長孔に沿って、第1の方向D1に沿うように変位する。その結果、一対の板バネ34R,34Lの弾性力に抗って、パネル側プレート44が、各フレーム46,48によって前方に押し出される。パネル側プレート44は、パネルサポート36を前方に押し出す。パネルサポート36は、フラップパネル38を介して、ディスプレイパネル12の後端16を前方に押し出す。
【0022】
蓋20は、カバー20c、一対のガイド21R,21Lを備える。一対のガイド21R,21Lは、それぞれ、第2の方向D2に沿って延びる溝を有している。図示は省略したが、ディスプレイパネル12が天井パネル8に収納されている状態(すなわち、収納位置)では、ディスプレイパネル1の前部は、一対のガイド21R,21Lによって下方に曲げられる。その結果、収納位置におけるディスプレイパネル12の前端14は、第2の方向D2に沿う。このため、パネルサポート36によってディスプレイパネル12の後端16が前方に押し出されると、ディスプレイパネル12の前端14は、第2の方向D2に沿って、天井パネル8の開口8hを通過する。その後、フレームモジュール40の各フレーム46,48が第1の方向D1に沿うようにさらに変位すると、
図1に示されるようにディスプレイパネル12は、車両100の室内に配置される。
【0023】
乗員がディスプレイパネル12の使用を終了する場合、ディスプレイパネル12は天井パネル8内の収容位置へ搬送される必要がある。この場合、一例ではあるが、乗員は、車両100の室内に配置されているディスプレイ収納スイッチ(図示省略)を操作すればよい。ディスプレイ収納スイッチが操作されると、モータ50が、他方向への回転を開始する。これにより、各フレーム46,48が車両100の幅方向に沿うように変位する。その結果、パネルサポート36が後方に移動する。この際、パネルサポート36は、一対のレール35R,35Lに沿って後方に移動しながら、ディスプレイパネル12の後端16を引っ張る。その結果、ディスプレイパネル12は、第1の方向D1に沿うように天井パネル8に収納される。
【0024】
その後、蓋20のカバー20cが一対のガイド21R,21Lの下方に回り込み、ディスプレイパネル12の前端14と、開口8hを下方から覆う。これにより、ディスプレイパネル12の収納時に、開口8hを介して、ディスプレイパネル12の前端14が乗員から見えることを防止する。このように、フレームモジュール40は、ディスプレイパネル12を搬送する。
【0025】
ここで、再び
図1を参照して、ディスプレイパネル12の車両100の室内(即ち、使用位置)における姿勢について説明する。使用位置におけるディスプレイパネル12の姿勢は、車両100の室内では、鉛直方向(すなわち、
図1の紙面上下方向)に対して角度A1だけ傾いている。これにより、後列シート2Rに着座する乗員の視線と直交しやすい。すなわち、ディスプレイパネル12を鉛直方向に対して角度A1だけ傾けることで、ユーザがディスプレイパネル12の映像を見やすくなる。
【0026】
ディスプレイパネル12は、可撓性を有するため、その姿勢を保持することが難しい。仮にディスプレイパネル12の後端16側を天井パネル8の開口8h付近で規制した場合であっても、ディスプレイパネル12は、その自重により鉛直方向に沿って垂れ下がりやすい。鉛直方向とは異なる角度でその姿勢を保持するためには、使用位置においてフレーム等でディスプレイパネル12の姿勢を支持することが考えられる。しかしながら、先に述べたように、ディスプレイパネル12は、天井パネル8の内側に収納される。例えば、ディスプレイパネル12の背面(すなわち、
図1の紙面左側の面)にフレーム等を付加すると、フレーム等もディスプレイパネル12とともに天井パネル8の内側に収納しなければならず、フレーム等の構造が複雑となる。
【0027】
図3に示されるように、一対のガイド21R,21Lのうち、右側に位置する右側ガイド21Rには、右側溝22Rが設けられている。同様に、左側ガイド21Lには、左側溝22Lが設けられている。ディスプレイパネル12の幅方向の両端部は、一対の溝22R,22Lに遊嵌されている。ここで、一対のガイド21R,21Lの間の長さL1は、収納位置におけるディスプレイパネル12の第3の方向D3(即ち、ディスプレイパネル12の幅方向)の長さに比して短い。そのため、右側溝22Rの底面(すなわち、
図3の紙面右側の面)は、ディスプレイパネル12の右端と当接する。同様に、左側溝22Lの底面(すなわち、
図3の紙面左側の面)は、ディスプレイパネル12の左端と当接する。すなわち、ディスプレイパネル12は、第3の方向D3において一対のガイド21R,21Lに挟持される。その結果、ディスプレイパネル12の中心部は前方に変位する。ディスプレイパネル12は、前方に向かって弓なりに変形する。別言すれば、ディスプレイパネル12は、第3の方向D3に沿って全体で湾曲する。
【0028】
先に述べたように、使用位置に搬送される際、ディスプレイパネル12は、一対のガイド21R,21Lを通過して、第2の方向D2に沿って搬送される。その結果、
図2に示されるように、使用位置におけるディスプレイパネル12の全体は、第2の方向D2と直交する第3の方向D3に沿って湾曲する。湾曲するディスプレイパネル12は、平坦なディスプレイパネル12に比して、変形しにくい。より具体的には、第3の方向D3に湾曲するディスプレイパネル12は、ディスプレイパネル12の表面と直交する方向(即ち、前後方向)に変形しにくい。このため、湾曲するディスプレイパネル12は、自身の姿勢を保持しやすい。このように、本実施例のディスプレイユニット10は、蓋20の一対のガイド21R,21Lによってディスプレイパネル12を、第3の方向D3に湾曲させることで、フレーム等の構造を追加することなく、使用位置におけるディスプレイパネル12を、鉛直方向に対して角度A1だけ傾けることができる。
【0029】
また、一対のガイド21R,21Lは、ディスプレイパネル12が第1の方向D1から第2の方向D2に湾曲することで形成されるフィレット部18の下方で、ディスプレイパネル12を第3の方向D3に湾曲させる。このため、ディスプレイパネル12では、異なる2方向の湾曲(即ち、第1の方向D1と第2の方向D2とからなる湾曲と、第3の方向D3における湾曲)が、同じ部位に形成されない。即ち、ディスプレイパネル12には、いわゆる、3次元曲げが生じない。これにより、ディスプレイパネル12の湾曲部に加えられるダメージを低減することができる。
【0030】
以下、
図4~
図6を参照して、別の実施例のディスプレイユニットについて説明する。別の実施例のディスプレイユニットは、基本的には上述した第1実施例のディスプレイユニット10と同様の構造を有しており、そのディスプレイパネル12を第3の方向D3に湾曲させる構造のみが異なる。
【0031】
図4に示されるように、第2実施例の蓋24は、一対のガイド23R,23Lを備える。一対のガイド23R,23Lのうち、右側に位置する右側ガイド23Rには、右側溝25Rが設けられている。同様に、左側ガイド23Lには、左側溝25Lが設けられている。ディスプレイパネル12の幅方向の両端部は、一対の溝25R,25Lと嵌合する。
図4に示されるように、左側溝25Lは、第3の方向D3に対して角度A2だけ前方に傾いている。左側溝25Lの両側面(即ち、前後方向の面)は、ディスプレイパネル12を両側から支持する。そのため、ディスプレイパネル12は、左側溝25Lによって、円弧を描くように湾曲する。右側溝25Rも、同様に、ディスプレイパネル12を第3の方向D3において湾曲させる。このように、第2実施例の蓋24は、一対のガイド23R,23Lの溝を第3の方向D3に対して傾けることで、ディスプレイパネル12を第3の方向D3において湾曲させる。
【0032】
図5に示されるように、第3実施例の蓋26は、その第3の方向D3の中央部に、突起27を備える。突起27の先端には、フィレットが形成されている。突起27の先端は、ディスプレイパネル12の背面(即ち、
図5の紙面上側の面)を後方に押す。これにより、ディスプレイパネル12の第3の方向D3の中央は、後方に変位する。その結果、ディスプレイパネル12は、後方(すなわち
図5の紙面下方)に向かって弓なりに変形する。別言すれば、ディスプレイパネル12は、第3の方向D3に沿って湾曲する。このように、第3実施例の蓋26は、突起27でディスプレイパネル12の中央部を押すことによって、ディスプレイパネル12を第3の方向D3において湾曲させる。
【0033】
また、ディスプレイパネル12を第3の方向D3に湾曲させる構造は、蓋に設けられなくてもよい。例えば、
図6に示されるように、第4実施例のディスプレイユニットは、上述した蓋に代えて、天井パネル8の開口8hを覆うベゼル28を備えてもよい。ベゼル28には、第3の方向D3に湾曲する湾曲開口29が形成されている。ディスプレイパネル12が湾曲開口29を通過して室内に搬送されることで、使用位置のディスプレイパネル12が、第3の方向D3に湾曲する。
【0034】
上述した実施例の留意点について説明する。ディスプレイパネル12を第3の方向D3に湾曲させる構造は、蓋、ベゼル28に限定されない。例えば、パネルサポート36を用いて、ディスプレイパネル12は、を第3の方向D3に湾曲させてもよい。また、使用位置のディスプレイパネル12は、車両100の前後方向に沿って配置されてもよい。その場合、第3の方向D3は、車両100の前後方向であってもよい。
【0035】
また、ディスプレイパネル12が収納される内装パネルは、天井パネル8に限定されず、例えば、インパネ6に収納されてもよいし、インパネ6の下方から後方に延びるコンソールパネル(図示省略)に収納されてもよい。
【0036】
さらに、上述した実施例のディスプレイパネル12は、ユーザがスイッチをオンすることで、自動で搬送されたが、これに限定されず、変形例では、ディスプレイパネル12がユーザによって手動で引き出される構成であってもよい。その場合、ディスプレイユニット10は、モータ50を備えなくてもよい。
【0037】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
2F :前列シート
2R :後列シート
4 :フロアカーペット
6 :インパネ
8 :天井パネル
8h :開口
10 :ディスプレイユニット
12 :ディスプレイパネル
14 :前端
16 :後端
18 :フィレット部
20、24、26:蓋
20c :カバー
21L、23L :左側ガイド
21R、23R :右側ガイド
22L :左側溝
22R :右側溝
25L :左側溝
25R :右側溝
27 :突起
28 :ベゼル
29 :湾曲開口
30 :レールモジュール
32L、32R :ロール
34L、34R :板バネ
35L、35R :レール
36 :パネルサポート
38 :フラップパネル
40 :フレームモジュール
42 :モータ側プレート
44 :パネル側プレート
46 :第1のフレーム
48 :第2のフレーム
50 :モータ
52 :機構部
100 :車両
A1、A2 :角度
D1 :第1の方向
D2 :第2の方向
D3 :第3の方向