(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166488
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20221026BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20221026BHJP
H02B 1/28 20060101ALN20221026BHJP
【FI】
H05K5/06 D
F16J15/10 T
F16J15/10 U
H02B1/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071727
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金筒 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】荻澤 裕也
(72)【発明者】
【氏名】井上 真吾
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋一
【テーマコード(参考)】
3J040
4E360
5G016
【Fターム(参考)】
3J040AA02
3J040AA12
3J040AA17
3J040BA07
3J040EA15
3J040HA01
3J040HA03
3J040HA21
4E360AA02
4E360AB02
4E360AB33
4E360AB34
4E360BA02
4E360BA04
4E360BB22
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA18
4E360EC05
4E360ED03
4E360ED07
4E360FA08
4E360GA29
5G016AA04
5G016CC02
5G016CG24
(57)【要約】
【課題】パッキンの成形などに手間をかけることなく、電気電子機器収納用箱の防水性能を高められるようにすること。
【解決手段】電気電子機器91を収納可能な収納部11を有する箱本体10と、箱本体を覆うカバー部材と、カバー部材で箱本体を覆っている場合に箱本体とカバー部材との間で収納部の周縁を囲うように位置することになるパッキン50と、を備える電気電子機器収納用箱であって、パッキンはパッキン用部材を切断することにより長さが調整されて形成された紐状のものであり、前記紐状のパッキンを非切断面が接するように重ね、環状に配置した構成とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気電子機器を収納可能な収納部を有する箱本体と、箱本体を覆うカバー部材と、カバー部材で箱本体を覆っている場合に箱本体とカバー部材との間で収納部の周縁を囲うように位置することになるパッキンと、を備える電気電子機器収納用箱であって、パッキンはパッキン用部材を切断することにより長さが調整されて形成された紐状のものであり、前記紐状のパッキンを非切断面が接するように重ね、環状に配置した電気電子機器収納用箱。
【請求項2】
カバー部材の裏面に、パッキンに当接する当接部を備え、前記当接部に、パッキンを重ねて配置した部分の一方側を押圧可能な第一押圧部と他方側を押圧可能な第二押圧部と、を備えた請求項1に記載の電気電子機器収納用箱。
【請求項3】
第一押圧部と第二押圧部が連続的に繋がっている請求項2に記載の電気電子機器収納用箱。
【請求項4】
箱本体にパッキンを取り付ける溝部を備え、溝部の一部が溝部の他の部分よりも幅広に設けられた請求項1から3の何れかに記載の電気電子機器収納用箱。
【請求項5】
排水穴を、溝部の幅広に設けられた部分に繋がるように備えた請求項4に記載の電気電子機器収納用箱。
【請求項6】
電気電子機器収納用箱を固定する際に利用する空間部を、電気電子機器収納用箱内かつ溝部より外方側に備え、排水穴は、溝部の幅広に設けられた部分と前記空間部を繋ぐように構成された請求項5に記載の電気電子機器収納用箱。
【請求項7】
ケーブルを挿通可能なケーブル挿通部と、電気電子機器収納用箱に浸入した水の排水経路とすることが可能な空間部と、を下部に備え、空間部に隣接する位置でパッキンの一部が箱本体の内側方向に凹むように、パッキンを配置した請求項1乃至6の何れかに記載の電気電子機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、パッキンを備えた電気電子機器収納用箱が知られている。特許文献1に記載の技術では、カバーの押圧を均一化させるため、断面形状を略三角形としたリング形状のパッキンを使用している。より具体的には、筐体のネジ固定付近より、その中間付近の高さをわずかに大きくしたパッキンを使用している。また、特許文献2に記載の技術では、パッキンの継ぎ目が確実につながり隙間なく設けられるようにするため、パッキンの端部を突き合せたときに合致する特殊形状を形成するように切断している。また、特許文献3に記載の技術では、筐体の歪みを回避するため、硬度の低くかつ圧縮性を有するシリコン等の素材を塗布すするとともに、その上に硬度の高くかつ弾力性を有するシリコン等の素材を直に塗布している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58-184880号公報
【特許文献2】特開2010-270876号公報
【特許文献3】特開平10-324360号公報
【0004】
ところで、これらの技術を利用しようとすると、パッキンを筐体の形状に合わせてリング形状に成形したり、わずかな高さ調整をしたり、パッキンの継ぎ目を隙間なく設けるための特殊な切断形状としたり、その特殊な切断形状がしっかりと組み合わされるように配置時に神経を使ったり、2回の塗布をしたりと、パッキンの成形などに手間がかかる。なお、パッキンの端部を特殊形状にしようとすると、適切な長さと形状にすることの精度が高度に求められるが、その精度を満たすのは簡単ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、パッキンの成形などに手間をかけることなく、電気電子機器収納用箱の防水性能を高められるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、電気電子機器を収納可能な収納部を有する箱本体と、箱本体を覆うカバー部材と、カバー部材で箱本体を覆っている場合に箱本体とカバー部材との間で収納部の周縁を囲うように位置することになるパッキンと、を備える電気電子機器収納用箱であって、パッキンはパッキン用部材を切断することにより長さが調整されて形成された紐状のものであり、前記紐状のパッキンを非切断面が接するように重ね、環状に配置した電気電子機器収納用箱とする。
【0007】
また、カバー部材の裏面に、パッキンに当接する当接部を備え、前記当接部に、パッキンを重ねて配置した部分の一方側を押圧可能な第一押圧部と他方側を押圧可能な第二押圧部と、を備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
また、第一押圧部と第二押圧部が連続的に繋がっている構成とすることが好ましい。
【0009】
また、箱本体にパッキンを取り付ける溝部を備え、溝部の一部が溝部の他の部分よりも幅広に設けられた構成とすることが好ましい。
【0010】
また、排水穴を、溝部の幅広に設けられた部分に繋がるように備えた構成とすることが好ましい。
【0011】
また、電気電子機器収納用箱を固定する際に利用する空間部を、電気電子機器収納用箱内かつ溝部より外方側に備え、排水穴は、溝部の幅広に設けられた部分と前記空間部を繋ぐように構成された構成とすることが好ましい。
【0012】
また、ケーブルを挿通可能なケーブル挿通部と、電気電子機器収納用箱に浸入した水の排水経路とすることが可能な空間部と、を下部に備え、空間部に隣接する位置でパッキンの一部が箱本体の内側方向に凹むように、パッキンを配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、パッキンの成形などに手間をかけることなく、電気電子機器収納用箱の防水性能を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態における電気電子機器収納用箱の斜視図である。
【
図2】
図1に示す電子機器収納用箱の分解斜視図である。ただし、パッキンは省略している。
【
図4】
図2に示す箱本体の正面図である。ただし、パッキンを装着していない状態である。
【
図5】
図2に示す箱本体の正面図である。ただし、パッキンを装着した状態である。
【
図6】
図2に示すカバー部材を裏側から見た図である。
【
図7】
図6に示すカバー部材の一部の斜視図である。
【
図8】
図1に示す電気電子機器収納用箱を
図5に示すIIX-IIX断面で切った断面図である。
【
図9】
図1に示す電気電子機器収納用箱を
図5に示すIX-IX断面で切った断面図である。
【
図10】
図1に示す電気電子機器収納用箱を
図5に示すX-X断面で切った断面図である。
【
図11】
図1に示す箱本体とカバー部材の斜視図である。
【
図12】
図11に示す箱本体を斜め下側から見た斜視図である。
【
図14】カバー部材の変形例の一部の斜視図である。
【
図15】
図14に示す押圧部周りをやや異なる角度から見た斜視図である。
【
図16】変形例における箱本体の正面図である。ただし、パッキンを装着していない状態である。
【
図17】変形例における箱本体の斜視図である。ただし、パッキンを装着していない状態である。
【
図18】変形例における箱本体の正面図である。ただし、パッキンを装着した状態である。
【
図19】変形例における箱本体の斜視図である。ただし、パッキンを装着した状態である。
【
図20】
図18に示した箱本体に対応させるカバー部材の例を示した図である。
【
図22】パッキンの接続のしかたの変形例を表す図である。
【
図23】パッキンの接続のしかたの変形例を表す図である。
【
図24】電気電子機器収納用箱を後側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図5に示されていることから理解されるように、本実施形態の電気電子機器収納用箱1は、電気電子機器91を収納可能な収納部11を有する箱本体10と、箱本体10を覆うカバー部材30と、カバー部材30で箱本体10を覆っている場合に箱本体10とカバー部材30との間で収納部11の周縁を囲うように位置することになるパッキン50と、を備えている。この電気電子機器収納用箱1のパッキン50はパッキン用部材を切断することにより長さが調整されて形成された紐状のものであり、前記紐状のパッキン50を非切断面が接するように重ね、環状に配置した構成としている。このため、機器専用の環状のパッキン50を作らなくても良いし、切断面同士が適切に接するような長さや形状になるように切断しなくても良いため、パッキン50の成形に手間をかけることなく、電気電子機器収納用箱1の防水性能を高められる。また、パッキン50の配置時に神経質にならなくても良いため、作業性も良くなる。
【0016】
ここで、
図1及び
図2などに示す電気電子機器収納用箱1を例に挙げて説明をする。電気電子機器収納用箱1は、電気電子機器91を収納可能な収納部11を有する箱本体10と、箱本体10を覆うカバー部材30と、カバー部材30で箱本体10を覆っている場合に箱本体10とカバー部材30との間で収納部11の周縁を囲うように位置することになるパッキン50と、を備えている。
【0017】
図2及び
図3に示す箱本体10は、底面を備える角筒状に形成されている。また、箱本体10の底面から前面に向かって隔壁17が立設されている。この隔壁17により、箱本体10の中央付近に電気電子機器91が収納される収納部11が区画される。
図3乃至
図5に示すことから理解されるように、実施形態の隔壁17には、パッキン50を収納できる溝部12が、正面視で収納部11の周縁を囲うように設けられている。なお、実施形態では、紐状のパッキン50の非切断面が接するようにパッキン50の両端部が重ねられた部分が溝部12に収まるようにするため、溝部12の一部が溝部12の他の部分よりも幅広に設けられている。
【0018】
箱本体10の底面には、電気電子機器収納用箱1を所望箇所に固定する際に用いられるねじ固定孔21が形成されている。箱本体10の上部と下部のそれぞれには、箱本体10の側面と隔壁17との間にねじ固定孔21が位置しており、このねじ固定孔21にアクセスできるように、箱本体10の側面と隔壁17との間に空間部14を備えている。
【0019】
ところで、箱本体10に備えられた溝部12には、紐状のパッキン50が取り付けられる。なお、パッキン50は1本として認識できるように延びる形状であればよく、断面形状は問わない。実施形態では、パッキン50の幅(太さ)にあった溝部12を形成し、嵌め合わせることでパッキン50が外れにくいように取り付けることができる。なお、溝部12に複数の突起18を形成しておき、パッキン50が外れにくいようにするのが好ましい。パッキン50が外れにくいようにする方法は、その他の方法であっても良く、例えば接着材を用いてもよい。
【0020】
図5に示す例では、パッキン50を取り付ける際には、パッキン50の両端側をパッキン50の幅方向に重ねる。このため、正面視では、この部分だけ、パッキン50が位置している部分が幅方向に厚くなる(
図5参照)。
図5に示す例では、パッキン50の両端は、環状に配したパッキン50の下部側に位置するようにしており、略断面方形状のパッキン50の端部が上下に重ね合わさるようにしている。なお、以下では、紐状のパッキン50の両端が重なった部分を接合部52と呼ぶ。
【0021】
箱本体10はカバー部材30で覆うことができるが、
図6及び
図7に示す例のカバー部材30は、1面が開口した箱形状である。このカバー部材30には、箱本体10の開口面を覆うように取り付けられた場合にパッキン50に当接させるためのリブ31が、前面側から箱本体10の内側方向(後方)に向かうように設けられている。
【0022】
実施形態では、カバー部材30を箱本体10に取り付けるとリブ31の先端が、パッキン50に対して当接する。この当接部32の中でも、パッキン50の接合部52と対応する位置では、リブ31は、平行に並ぶように位置するパッキン50の両端部の双方を押圧することができる。このようにすればパッキン50の端部に対して、均等に力を加えることができ、防水性を保つことができる。なお、当接部32のうちパッキン50の重ねられた部分の少なくとも一方を押圧することができる部分は押圧部33と称し、重ねられた部分の一方側を押圧可能な部分を第一押圧部33a、他方側を押圧可能な部分を第二押圧部33bと称することにする。
【0023】
このようなことを可能とするため、
図6及び
図7に示すリブ31の押圧部33は、第一押圧部33aと第二押圧部33bが連続的に繋がるように、パッキン50の幅方向に延びるように形成されている。そうすることで、
図8に示すことから理解されるように、パッキン50の両端部を押圧部33で押圧することができる。実施形態では、リブ31のうち上下方向に延びる部分で、接合部52である2つのパッキン50の端部に渡って当接するようにしているが、押圧部33は上下方向に延びる部分に限定する必要は無い。例えば、上下方向に対して傾斜した部分や太く形成した面で押圧部33を形成してもよい。
【0024】
なお、実施形態のリブ31は、防水機能を発揮させるために、溝部12と概略同様な環状を形成するようにしており、
図8から
図10などに示すことから理解されるように、パッキン50とリブ31の間から収納部11内に水が浸入することを抑制している。
【0025】
ところで、実施形態においては、パッキン50を取り付けることができる溝部12の隙間に水が浸入した場合でも、その水を溝部12から排水させることができるようにするため、排水穴13が溝部12に接続するように構成している。なお、
図4及び
図5に示す例においては、接合部52の下方に排水穴13が位置するようにしており、溝部12の他の部分よりも幅広に設けられた部分の下部に繋がるように上下方向に延びる排水穴13が設けられている。より詳しくは、実施形態の排水穴13は、溝部12の中でもパッキン50二本分が並べられるほど幅広に設けられた部分に繋がるように備えられている。
【0026】
ここで、
図1などに示す電気電子機器収納用箱1の箱本体10に対するカバー部材30の取り付け方法について説明する。
図11及び
図12に示すことから理解されるように、箱本体10には上部に本体側嵌合部28を備えるとともに下部に係止突起29を備えている。またカバー部材30には、上部にカバー側嵌合部38を備えるとともに下部に係止爪39を備えている。
【0027】
先ず、箱本体10とカバー部材30の上部側に設けた本体側嵌合部28とカバー側嵌合部38を用いて接続し、本体側嵌合部28とカバー側嵌合部38の接続箇所を回動中心としてカバー部材30を回動させ、箱本体10の下部側に設けた係止突起29に、カバー部材30の下部側に設けた係止爪39を引っ掛けた状態とすることで、カバー部材30を箱本体10に取り付けることができる。
【0028】
なお、箱本体10の隔壁17の左右方向の外方には、隔壁17の前端よりも少し後方に前端が位置するように、上下方向に延びるカバー合わせ部27が形成されている。カバー部材30の後端部が箱本体10のカバー合わせ部27と当接するようにして取り付けた状態においては、カバー部材30と箱本体10との間に隙間が存在する。
【0029】
図13に示すことから理解されるように、実施形態においては、箱本体10の下部において隔壁17とカバー合わせ部27の一部を不連続とすることで、排水路26を形成している。環状に配置したパッキン50よりも外側に位置する空間部14には水が浸入する虞があるが、侵入した水は排水路26を経由して電気電子機器収納用箱1の外側に排水することができる。
【0030】
溝部12と連絡する排水穴13は溝部12と空間部14を繋ぐ貫通穴状であるため、溝部12に浸入した水を排水穴13を通じて空間部14に導くことができ、溝部12から水を排水することができる。また、空間部14に浸入した水は排水路26を経由して外部に排出することができる。なお、空間部14の下部を排水路26に向かうように傾斜させると、より排水路26へと流れやすくなる。このため、実施形態においては、空間部14の下部を前面側に向かうスロープを作るように傾斜させている。さらに、空間部14の下部を排水路26に向かうように左右方向に傾斜させるようにしてもよい。
【0031】
実施形態の電気電子機器収納用箱1では、カバー部材30を取り付けた状態においては、排水穴13はカバー部材30に覆われる。このようにすれば、排水穴13が電気電子機器収納用箱1の外側に露出しないため、風雨などが生じても、排水穴13から水が浸入(逆流)することを抑制することができる。また、排水穴13の奥側に位置するパッキン50が紫外線などの外的要因により劣化することを抑制することができる。
【0032】
また、
図13に示すことから理解されるように、実施形態においては、箱本体10の下面に、外部と接続するためのケーブルを通すためのケーブル挿通部15を備えている。このため、箱本体10と外部との間で情報の入出力等を行うことができる。なお、このケーブル挿通部15から水が浸入することを防ぐために、防水コネクタ(図示せず)を使用することが好ましい。
【0033】
このように、実施形態の箱本体10の下部にはケーブルを挿通可能なケーブル挿通部15を備えているが、空間部14も箱本体10の下部に備えている。このため、ケーブルを伝って箱本体10内に水が浸入することを抑制でき、かつ、電気電子機器収納用箱1に浸入した水の排水経路とすることが可能な空間部14を適切な位置に配置することができる。
【0034】
また、このような配置をしても箱本体10を下方に延ばさなくても良いようにするため、実施形態では、空間部14とケーブル挿通部15とを箱本体10の下部に並設に備え、空間部14に隣接する位置でパッキン50の一部が箱本体10の内側方向に凹むように、パッキン50を配置している。
【0035】
ところで、電気電子機器収納用箱1は必ずしも上記したような形態である必要は無い。例えば、
図14及び
図15に示すことから理解されるように、第一押圧部33aと第二押圧部33bが不連続となるように、第一押圧部33aと第二押圧部33bの間に、水を排水できる隙間34を設けるようにしても良い。
【0036】
また、
図4及び
図5などに示す例では、空間部14の上方に溝部12とつながる排水穴13を備えている構成であるが、
図16から
図19に示すことから理解されるように、空間部14の側方に溝部12とつながる排水穴13を備えた構成としても良い。このようにすれば、溝部12の下端の高さから水を空間部14側に排出することも可能となり、排水しやすくなる。
【0037】
なお、箱本体10の構成を
図16から
図19に示すような構成とする場合にも、カバー部材30には押圧部33を備えるようにするのが好ましい。この際、例えば、
図20及び
図21に示すことから理解されるように、第一押圧部33aと第二押圧部33bが不連続となるようにしても良い。
【0038】
また、
図5に示す例では、パッキン50の両端部が幾らか重なる程度であるが、
図22に示すことから理解されるように、パッキン50の両端側が比較的長めに重なるようにしても良い。重なる部分が長くなると、パッキンが二重になる部分が多くなるため防水性を高められるが、製造費用としては高くなるため、重なる部分を適切な長さにし、両端部の一定の長さのみが重なるようにするのが好ましい。
【0039】
また、
図5に示す例では、パッキン50の両端部の両切断面が互いに反対方向を向くような構成であるが、このような構成に限る必要は無い。例えば
図23に示すことから理解されるように、パッキン50の両端部の両切断面が互いに同じ方向を向くような構成としても良い。この図の例では、紐状のパッキン50の非切断面を左右方向並べて接するように重ねているが、上下方向など、その他の方向に向けて並べて接するように重ねても良い。
【0040】
ところで、
図11に示すことから理解されるように、実施形態の電気電子機器収納用箱1は、箱本体10に本体側錠取付部25を設け、カバー部材30にカバー側錠取付部37を設けている。箱本体10にカバー部材30を取り付けると、本体側錠取付部25に備えられた穴部とカバー側錠取付部37に備えられた穴部が向かい合うことになるため、これらの穴部に通すように南京錠などを取り付ければ、カバー部材30を箱本体10から外しにくくすることができる。
【0041】
また、
図11に示すことから理解されるように、実施形態の箱本体10にはノックアウト部24を備えている。このノックアウト部24は必要に応じて取り外すことができる部分であり、工具などを用いてこのノックアウト部24を取り外せば、貫通した状態にすることができる。外部アンテナや、外部環境を計測するセンサなどの機器を箱の外側に取り付けたい場合などには、このノックアウト部24を取り外して、機器を取り付けることができるようにすれば良い。
【0042】
また、
図12に示すことから理解されるように、実施形態の箱本体10の下面には、ケーブルを支持する際に用いることが可能なケーブル支持部23を備えている。例えば、このケーブル支持部23に結束具などを通し、ケーブ挿通部15に挿通されるケーブルを支持するようにすれば、ケーブルに予想外の力が加わった場合でも、電気電子機器収納用箱1とケーブルの接続部分に直接力が加わることを防ぐことができる。
【0043】
また、
図24に示すことから理解されるように、実施形態の箱本体10の背面には、ねじ固定孔21の他にマグネット81を取り付けている。このマグネット81を用いて、電気電子機器収納用箱1を所望の場所に固定するようにしても良い。また、実施形態の箱本体10の背面側には、ベルトなどの帯体を通して固定するためのベルト固定部82を備えている。このように、複数種類の固定手段を箱本体10に備えるようにすれば、取付箇所に応じて、箱本体10の固定方法を選択することができる。
【0044】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、カバー部材30は箱本体10に対して軸支されて回動する扉形状であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 電気電子機器収納用箱
10 箱本体
11 収納部
12 溝部
13 排水穴
14 空間部
15 ケーブル挿通部
30 カバー部材
32 当接部
33a 第一押圧部
33b 第二押圧部
50 パッキン
91 電気電子機器