(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166494
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】電力制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071743
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 優介
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA05
5G503BB02
5G503FA03
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】小型化、接続工数の削減が可能な電力制御装置を提供する。
【解決手段】電力制御装置10は、複数のセルユニット14が接続されて構成される高圧バッテリー11に接続される電力制御装置10であって、高圧バッテリー11と負荷とを接続する電気接続ユニット20と、複数のセルユニット14と電気接続ユニット20とに接続され、複数のセルユニット14間の接続を直列と並列との間で切り替える直並列切替ユニット40と、が統合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルユニットが接続されて構成される高圧バッテリーに接続される電力制御装置であって、
前記高圧バッテリーと負荷とを接続する電気接続ユニットと、
前記複数のセルユニットと前記電気接続ユニットとに接続され、前記複数のセルユニット間の接続を直列と並列との間で切り替える直並列切替ユニットと、が統合されている、電力制御装置。
【請求項2】
前記電気接続ユニットと前記直並列切替ユニットとを接続する接続バスバーを備える、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
1つの絶縁樹脂製のベース部材を備え、
前記電気接続ユニットと、前記直並列切替ユニットとは、前記ベース部材上に一体に形成されている、請求項1または請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記電気接続ユニットと、前記直並列切替ユニットとは、別体に形成されるとともに、積層可能とされている、請求項1または請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記直並列切替ユニットは、前記電気接続ユニットの上に積層され、
前記直並列切替ユニットを構成する絶縁樹脂製のベース部材には、切り欠き部が設けられ、
前記電気接続ユニットは、前記負荷に接続される負荷接続部と、前記高圧バッテリーの総正極に接続される総正極接続部と、前記高圧バッテリーの総負極に接続される総負極接続部と、を備え、
前記切り欠き部の内側に前記総正極接続部、前記総負極接続部、及び前記負荷接続部が配されている、請求項4に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記電気接続ユニットは、前記負荷に接続される負荷接続部と、前記高圧バッテリーの総正極に接続される総正極接続部と、前記高圧バッテリーの総負極に接続される総負極接続部と、を備え、
前記直並列切替ユニットは、前記総正極及び前記総負極以外の前記複数のセルユニットの電極端子に接続される複数の中間電位接続部を備え、
前記負荷接続部は、前記総正極接続部、前記総負極接続部、及び前記複数の中間電位接続部と反対側の端部に配され、
前記複数の中間電位接続部は、前記総正極接続部と、前記総負極接続部と、の間に配されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される電力供給装置が知られている。例えば、特開2007-274830号公報(下記特許文献1)に記載の電力供給装置は、インバータと電気的に接続される第1と第2の蓄電手段と、第1の蓄電手段と第2の蓄電手段とをインバータに直列接続するための回路に配置された第1のスイッチ手段と、第1の蓄電手段と第2の蓄電手段とをインバータに並列接続するための回路に配置された第2のスイッチ手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータ及び第1と第2の蓄電手段を接続する回路に対して、上記のような第1と第2の蓄電手段の直並列接続を切り替える回路を組み込む場合、電力供給装置が大型化したり、配線の接続工数が増加したりする場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の電力制御装置は、複数のセルユニットが接続されて構成される高圧バッテリーに接続される電力制御装置であって、前記高圧バッテリーと負荷とを接続する電気接続ユニットと、前記複数のセルユニットと前記電気接続ユニットとに接続され、前記複数のセルユニット間の接続を直列と並列との間で切り替える直並列切替ユニットと、が統合されている、電力制御装置である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、小型化、接続工数の削減が可能な電力制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる電力制御装置の平面図である。
【
図2】
図2は、第3導電路の中間電位接続部を有するバスバーの斜視図である。
【
図3】
図3は、第4導電路の中間電位接続部を有するバスバーの斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態2にかかる電力制御装置の平面図である。
【
図7】
図7は、直並列切替ユニットの平面図である。
【
図8】
図8は、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとを積層方向に分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0009】
(1)本開示の電力制御装置は、複数のセルユニットが接続されて構成される高圧バッテリーに接続される電力制御装置であって、前記高圧バッテリーと負荷とを接続する電気接続ユニットと、前記複数のセルユニットと前記電気接続ユニットとに接続され、前記複数のセルユニット間の接続を直列と並列との間で切り替える直並列切替ユニットと、が統合されている。
【0010】
このような構成によると、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとを接続する配線が不要となるから、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとの接続工数を削減することができる。また、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとが統合されているから、電力制御装置を小型化しやすい。
【0011】
(2)上記の電力制御装置は、前記電気接続ユニットと前記直並列切替ユニットとを接続する接続バスバーを備えることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、電線等を用いる場合に比べて、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとの接続を容易に行うことができる。
【0013】
(3)上記の電力制御装置は、1つの絶縁樹脂製のベース部材を備え、前記電気接続ユニットと、前記直並列切替ユニットとは、前記ベース部材上に一体に形成されていてもよい。
【0014】
このような構成によると、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとは同一のベース部材上に一体に設けられるから、電力制御装置を低背化しやすい。
【0015】
(4)前記電気接続ユニットと、前記直並列切替ユニットとは、別体に形成されるとともに、積層可能とされていてもよい。
【0016】
このような構成によると、電力制御装置が占める面積、すなわち、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとの積層方向にのびる軸に直交する面の面積を小さくすることができる。また、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとを積層して車両等に搭載するだけでなく、電気接続ユニットのみを分離して車両等に搭載することができる。
【0017】
(5)前記直並列切替ユニットは、前記電気接続ユニットの上に積層され、前記直並列切替ユニットを構成する絶縁樹脂製のベース部材には、切り欠き部が設けられ、前記電気接続ユニットは、前記負荷に接続される負荷接続部と、前記高圧バッテリーの総正極に接続される総正極接続部と、前記高圧バッテリーの総負極に接続される総負極接続部と、を備え、前記切り欠き部の内側に前記総正極接続部、前記総負極接続部、及び前記負荷接続部が配されていることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとを積層した後で、電力制御装置と高圧バッテリーとの接続、及び電力制御装置と負荷との接続を行うことができる。
【0019】
(6)前記電気接続ユニットは、前記負荷に接続される負荷接続部と、前記高圧バッテリーの総正極に接続される総正極接続部と、前記高圧バッテリーの総負極に接続される総負極接続部と、を備え、前記直並列切替ユニットは、前記総正極及び前記総負極以外の前記複数のセルユニットの電極端子に接続される複数の中間電位接続部を備え、前記負荷接続部は、前記総正極接続部、前記総負極接続部、及び前記複数の中間電位接続部と反対側の端部に配され、前記複数の中間電位接続部は、前記総正極接続部と、前記総負極接続部と、の間に配されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、高圧バッテリーと負荷との間に電力制御装置を配置しやすい。また、電力制御装置と高圧バッテリー、または電力制御装置と負荷の誤組み付けを抑制することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図4を参照しつつ説明する。以下の説明においては、
図4を除き、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方、矢線Zの示す方向を上方として説明する。また、
図4の回路図を用いて電力制御装置10について説明した後、
図1から
図3を用いて具体的な構成を説明する場合がある。複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0023】
図4に示すように、本実施形態に係る電力制御装置10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載されるバッテリーパック1の内部に配置され、高圧バッテリー11と負荷(図示せず)とを接続する。
【0024】
図4に示すように、バッテリーパック1には、電力制御装置10、高圧バッテリー11、電源コネクタ12、急速充電コネクタ13等が設けられている。高圧バッテリー11は、電力制御装置10を介して電源コネクタ12に接続されている。電源コネクタ12は、各種電子機器等の負荷に接続されるようになっている。急速充電コネクタ13は、電力制御装置10と電源コネクタ12とを接続する導電路から分岐して設けられている。急速充電コネクタ13と電力制御装置10とを接続する導電路には、急速充電リレー13A,13Bが設けられている。急速充電リレー13A,13Bは、図示しない電源制御部からの信号によって、導通(オン)の状態、又は開放(オフ)の状態のいずれか一方の状態に切り替えられる。
【0025】
[高圧バッテリー、セルユニット]
図4に示すように、バッテリーパック1は、複数のセルユニット14を備える高圧バッテリー11を有する。本実施形態にかかる複数のセルユニット14は、セルユニット14Aと、セルユニット14Bと、から構成されている。セルユニット14Aの両端部に設けられた一対の電極端子のうち、図示上側に配される正極端子は高圧バッテリー11の総正極とされている。セルユニット14Bの両端部に設けられた一対の電極端子のうち、図示下側に配される負極端子は高圧バッテリー11の総負極とされている。ここで、総正極及び総負極とは、高圧バッテリー11の正負の外部接続端子のことである。各セルユニット14A,14Bは、同数かつ複数の蓄電素子15が直列接続されて構成されている。蓄電素子15としては、例えば、リチウムイオン電池を採用することができる。
【0026】
高圧バッテリー11は、車両の駆動源として使用されるものであり、高電圧を出力する。例えば、本実施形態のセルユニット14A,14Bの電圧は400Vとされており、高圧バッテリー11の電圧は複数のセルユニット14が直列接続された場合には800V、複数のセルユニット14が並列接続された場合には400Vとなっている。
【0027】
[電力制御装置]
図4に示すように、電力制御装置10は、高圧バッテリー11と負荷とを接続する電気接続ユニット20と、複数のセルユニット14間の接続を直列と並列との間で切り替える直並列切替ユニット40と、を備える。
図1に示すように、本実施形態にかかる電力制御装置10では、電気接続ユニット20と直並列切替ユニット40とは、同一のベース部材10A上に一体に形成されている。ベース部材10Aは絶縁性の合成樹脂からなる板状の部材である。詳細に図示しないが、ベース部材10Aは、ボルトを締結可能なボルト締結部や、電力制御装置10を構成する電子部品(リレーやヒューズ等)やバスバーが装着される装着溝を有する。電子部品及びバスバーは、ボルト締結により電気的に接続されるとともに、ベース部材10Aに固定されている。
図1において、電子部品の下方に配されるバスバーについては破線で外形を示している。
【0028】
[電気接続ユニット]
図4に示すように、電気接続ユニット20は、高圧バッテリー11の総正極と負荷とを接続する第1導電路21と、高圧バッテリー11の総負極と負荷とを接続する第2導電路22と、を備える。高圧バッテリー11の総正極に接続される第1導電路21の端部は、総正極接続部23とされている。負荷に接続される第1導電路21の端部は、負荷接続部24Aとされている。高圧バッテリー11の総負極に接続される第2導電路22の端部は、総負極接続部25とされている。負荷に接続される第2導電路22の端部は、負荷接続部24Bとされている。
【0029】
図4に示すように、第1導電路21には、第1システムメインリレー26と、メインヒューズ27と、が直列に接続されている。メインヒューズ27は、第1導電路21に過電流が流れたときに第1導電路21を開放することにより、過電流を遮断するようになっている。第1システムメインリレー26は、図示しない電源制御部からの信号によって、オンとオフのいずれか一方の状態に切り替えられる。第1導電路21は、第1システムメインリレー26と総正極接続部23との間において分岐し、後述する第3導電路41に接続されている。
【0030】
図4に示すように、第2導電路22には、第2システムメインリレー28が設けられている。第2システムメインリレー28には、プリチャージ回路29が並列に接続されている。プリチャージ回路29は、直列に接続されたプリチャージリレー30とプリチャージ抵抗31とを備える。第2システムメインリレー28及びプリチャージリレー30は、図示しない電源制御部からの信号によって、オンとオフのいずれか一方の状態に切り替えられる。高圧バッテリー11を充電する際、プリチャージリレー30がオンされた後に、第2システムメインリレー28がオンされることにより、第2システムメインリレー28に突入電流が流れることが抑制されるようになっている。第2導電路22は、第2システムメインリレー28と総負極接続部25との間において分岐し、後述する第4導電路42に接続されている。
【0031】
図1に示すように、第1導電路21は、ベース部材10Aの前側(図示上側)に設けられており、第1システムメインリレー26と、メインヒューズ27と、を備える。第1システムメインリレー26はベース部材10Aの前側かつ右側に配され、メインヒューズ27はベース部材10Aの前側かつ左側に配されている。第1導電路21の右端部に配される総正極接続部23は、ベース部材10Aの右前方の外縁部から右方に突出している。第1導電路21の左端部に配される負荷接続部24Aは、ベース部材10Aの前後方向中央部付近の外縁部から左方に突出している。
【0032】
図1に示すように、第2導電路22は、ベース部材10Aの後側(図示下側)に設けられており、第2システムメインリレー28と、プリチャージ回路29と、を備える。プリチャージ回路29は、プリチャージリレー30と、プリチャージ抵抗31と、を備える。第2システムメインリレー28はベース部材10Aの後側かつ左側に配され、プリチャージ回路29はベース部材10Aの後側かつ右側に配されている。第2導電路22の右端部に配される総負極接続部25は、ベース部材10Aの右後方の外縁部から右方に突出している。第2導電路22の左端部に配される負荷接続部24Bは、ベース部材10Aの前後方向中央部付近の外縁部から左方に突出している。
【0033】
[直並列切替ユニット]
図4に示すように、直並列切替ユニット40は、第1導電路21とセルユニット14Bとを接続する第3導電路41と、第2導電路22とセルユニット14Aとを接続する第4導電路42と、第3導電路41と第4導電路42とを接続する第5導電路43と、を備える。セルユニット14Bに接続される第3導電路41の端部は、中間電位接続部44Bとされている。セルユニット14Aに接続される第4導電路42の端部は、中間電位接続部44Aとされている。
【0034】
図4に示すように、第3導電路41の中間電位接続部44Bは、セルユニット14Bの図示上側に配される正極端子に接続されている。ここで、セルユニット14Bの正極端子は、高圧バッテリー11の総正極及び総負極以外の複数のセルユニット14の電極端子の一例である。すなわち、セルユニット14Bの正極端子と対をなす負極端子は、高圧バッテリー11の総負極とされている。第3導電路41の中間電位接続部44Bと反対側の端部は、第1導電路21の第1システムメインリレー26と総正極接続部23との間に接続されている。第3導電路41には、第2リレー45Bが設けられている。
【0035】
図4に示すように、第4導電路42の中間電位接続部44Aは、セルユニット14Aの図示下側に配される負極端子に接続されている。ここで、セルユニット14Bの負極端子は、高圧バッテリー11の総正極及び総負極以外の複数のセルユニット14の電極端子の一例である。すなわち、セルユニット14Aの負極端子と対をなす正極端子は、高圧バッテリー11の総正極とされている。第4導電路42の中間電位接続部44Aと反対側の端部は、第2導電路22の第2システムメインリレー28と総負極接続部25との間に接続されている。第4導電路42には、第2リレー45Aが設けられている。
【0036】
図4に示すように、第5導電路43は中間電位接続部44A,44Bを直列に接続している。より詳細には、第5導電路43は、第2リレー45Bと中間電位接続部44Bとの間の第3導電路41、及び第2リレー45Aと中間電位接続部44Aとの間の第4導電路42から分岐して設けられている。第5導電路43には、第1リレー46と、第1ヒューズ47と、が設けられている。第1ヒューズ47は、第5導電路43に過電流が流れたときに第5導電路43を開放することにより、過電流を遮断するようになっている。
【0037】
第1リレー46及び第2リレー45A,45Bは、図示しない電源制御部からの信号によって、オンとオフのいずれか一方の状態に切り替えられる。
図4に示すように、第1リレー46をオンにし、かつ第2リレー45A,45Bをオフにすると、電気接続ユニット20に対して複数のセルユニット14を直列に接続することができる。一方、第1リレー46をオフにし、かつ第2リレー45A,45Bをオンにすると、電気接続ユニット20に対して複数のセルユニット14を並列に接続することができる。
【0038】
したがって、急速充電コネクタ13に接続される急速充電器(図示せず)の電圧や、電源コネクタ12に接続される負荷が必要とする電圧に応じて、複数のセルユニット14の直並列接続を切り替え、高圧バッテリー11の電圧を適切に変更することができる。例えば、本実施形態の各セルユニット14A,14Bの電圧は400Vであるから、400Vの急速充電器を用いて高圧バッテリー11を充電する場合には複数のセルユニット14を並列に接続し、800Vの急速充電器を用いて高圧バッテリー11を充電する場合には複数のセルユニット14を直列に接続することができる。
【0039】
図1に示すように、直並列切替ユニット40(第3導電路41、第4導電路42、及び第5導電路)は、前後方向において、第1導電路21と第2導電路22との間に配置されている。第3導電路41は、メインヒューズ27の後方に配される第2リレー45Bを備える。第2リレー45Bから右方にのびるバスバーは、接続バスバー48Bとされている。接続バスバー48Bは、第2リレー45Bと、第1導電路21の総正極接続部23を有するバスバーと、を接続している。接続バスバー48Bと反対側の第3導電路41の端部は、中間電位接続部44Bとなっている。中間電位接続部44Bは、ベース部材10Aの前後方向中央部付近の外縁部から右方に突出している。中間電位接続部44Bと第2リレー45Bとの間の第3導電路41は、荒い網掛け部分で示されている。この荒い網掛け部分は、
図2に示すように、中間電位接続部44Bを有する門形状の第1バスバー49と、第1バスバー49の左上端部と接続される第2バスバー50と、により構成されている。
【0040】
図1に示すように、第4導電路42は、第2リレー45Bの後方に配される第2リレー45Aを備える。第2リレー45Aから後方にのびるバスバーは、接続バスバー48Aとされている。接続バスバー48Aは、第2リレー45Aと、第2導電路22の総負極接続部25を有するバスバーと、を接続している。接続バスバー48Aと反対側の第4導電路42の端部は、中間電位接続部44Aとなっている。中間電位接続部44Aは、ベース部材10Aの前後方向中央部付近の外縁部から右方に突出している。第2リレー45Aと中間電位接続部44Aとの間の第4導電路42は、細かい網掛け部分で示されている。この細かい網掛け部分は、
図3に示すように、中間電位接続部44Aを有する第3バスバー51と、第3バスバー51の左端部と接続される第4バスバー52と、により構成されている。
図1に示すように、第4バスバー52は、第3導電路41の第2バスバー50の下方に配されるようになっている。
【0041】
図1に示すように、第5導電路43は、第1リレー46と、第1リレー46の後方に配される第1ヒューズ47と、を有する。第1リレー46及び第1ヒューズ47は、荒い網掛け部分で示す第1バスバー49及び第2バスバー50と、細かい網掛け部分で示す第3バスバー51及び第4バスバー52と、に取り囲まれるように配されている。
【0042】
従来、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとが統合されていない電力制御装置を利用する場合には、電気接続ユニットと直並列切替ユニットとを別々にバッテリーパックに配設し、ワイヤハーネスにより電気接続ユニットと直並列切替ユニットとを接続する必要があった。しかし、本実施形態の電力制御装置10においては、
図1に示すように、電気接続ユニット20と直並列切替ユニット40とが統合されるとともに、接続バスバー48A,48Bによって予め接続されている。したがって、電力制御装置10と高圧バッテリー11及び負荷との接続工数を削減するとともに、電力制御装置10を小型化することが可能となっている。
【0043】
図1に示すように、電気接続ユニット20及び直並列切替ユニット40を構成する電子部品及びバスバーは同一のベース部材10Aにボルト締結により固定されており、電力制御装置10は一体形成されている。したがって、特に電力制御装置10の上下方向(図示紙面垂直方向)の寸法を小さくすることができ、電力制御装置10の低背化につながる。
【0044】
図1に示すように、電力制御装置10の右側の端部には、高圧バッテリー11に接続される総正極接続部23、総負極接続部25、及び中間電位接続部44A,44Bが配されており、中間電位接続部44A,44Bは、総正極接続部23と総負極接続部25との間に配されている。電力制御装置10の左側の端部には、負荷に接続される負荷接続部24A,24Bが配されている。したがって、電力制御装置10を高圧バッテリー11と負荷との間に配置しやすくなっている。また、電力制御装置10と高圧バッテリー11、または電力制御装置10と負荷の誤組み付けを抑制することができる。
【0045】
図1に示すように、第3導電路41の第2バスバー50と、第4導電路42の第4バスバー52とは、上下方向にずれて配され、互いに非接触な状態で交差するようになっている。すなわち、第2バスバー50と第4バスバー52とは立体交差している。このように第3導電路41及び第4導電路42を配すると、
図4に示すように、セルユニット14Aと中間電位接続部44Aとの間の配線と、セルユニット14Bと中間電位接続部44Bとの間の配線と、を交差させなくてもよい。よって、複数のセルユニット14と中間電位接続部44A,44Bとの接続が容易になる。一方、仮に直並列切替ユニットにおいて第3導電路と第4導電路とが立体交差していない場合、複数のセルユニットと中間電位接続部との間の配線を交差させる必要があり、複数のセルユニットと中間電位接続部との接続が煩雑になる。
【0046】
[実施形態1の作用効果]
実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態1にかかる電力制御装置10は、複数のセルユニット14が接続されて構成される高圧バッテリー11に接続される電力制御装置10であって、高圧バッテリー11と負荷とを接続する電気接続ユニット20と、複数のセルユニット14と電気接続ユニット20とに接続され、複数のセルユニット14間の接続を直列と並列との間で切り替える直並列切替ユニット40と、が統合されている。
【0047】
上記の構成によれば、電気接続ユニット20と直並列切替ユニット40とを接続する配線が不要となるから、電気接続ユニット20と直並列切替ユニット40との接続工数を削減することができる。また、電気接続ユニット20と直並列切替ユニット40とが統合されているから、電力制御装置10を小型化しやすい。
【0048】
実施形態1にかかる電力制御装置10は、電気接続ユニット20と直並列切替ユニット40とを接続する接続バスバー48A,48Bを備える。
【0049】
上記の構成によれば、電線等を用いる場合に比べて、電気接続ユニット20と直並列切替ユニット40との接続を容易に行うことができる。
【0050】
実施形態1にかかる電力制御装置10は、1つの絶縁樹脂製のベース部材10Aを備え、電気接続ユニット20と、直並列切替ユニット40とは、ベース部材10A上に一体に形成されている。
【0051】
上記の構成によれば、電気接続ユニット20と直並列切替ユニット40とは同一のベース部材10A上に一体に設けられるから、電力制御装置10を低背化しやすい。
【0052】
実施形態1では、電気接続ユニット20は、負荷に接続される負荷接続部24A,24Bと、高圧バッテリー11の総正極に接続される総正極接続部23と、高圧バッテリー11の総負極に接続される総負極接続部25と、を備え、直並列切替ユニット40は、総正極及び総負極以外の複数のセルユニット14の電極端子に接続される複数の中間電位接続部44A,44Bを備え、負荷接続部24A,24Bは、総正極接続部23、総負極接続部25、及び複数の中間電位接続部44A,44Bと反対側の端部に配され、複数の中間電位接続部44A,44Bは、総正極接続部23と、総負極接続部25と、の間に配されている。
【0053】
このような構成によると、高圧バッテリー11と負荷との間に電力制御装置10を配置しやすい。また、電力制御装置10と高圧バッテリー11、または電力制御装置10と負荷の誤組み付けを抑制することができる。
【0054】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、
図5から
図10を参照しつつ説明する。以下の説明においては、
図10を除き、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方、矢線Zの示す方向を上方として説明する。また、
図10の回路図を用いて電力制御装置110について説明した後、
図5から
図9を用いて具体的な構成を説明する場合がある。複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。実施形態2にかかる電力制御装置110の構成は、電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140とが別体に設けられている点を除いて、実施形態1の構成と略同様に構成されている。以下、実施形態1と同一の部材には実施形態1で用いた符号を付し、実施形態1と同一の構成、作用効果については説明を省略する。
【0055】
図8に示すように、本実施形態の電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140とは別体に形成されており、電気接続ユニット120の上に直並列切替ユニット140を積層可能とされている。このような積層構造を採用することにより、バッテリーパック1において電力制御装置110が占める面積を小さくできる。ここで、電力制御装置110が占める面積とは、電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140とが積層される方向(上下方向)にのびる軸に直交する面(前後方向及び左右方向に広がる面)の面積のことである。
【0056】
詳細は後述するが、
図8に示すように、直並列切替ユニット140の接続バスバー48A,48Bは、電気接続ユニット120の接続部61A,61Bとそれぞれ接続されるようになっている。換言すると、接続バスバー48A,48Bと接続部61A,61Bとが接続されていない状態においては、直並列切替ユニット140と電気接続ユニット120とは分離された状態となっている。なお、分離状態の電気接続ユニット120は、例えばジャンクションボックスとして単体で車両等に搭載することも可能とされている。
【0057】
図10に示すように、実施形態2の電力制御装置110の回路図は、実施形態1の電力制御装置10の回路図(
図4参照)と略同様であるが、実施形態2の第1導電路21、第3導電路41、及び第4導電路42には、それぞれ電流センサ60A,60B,60Cが設けられている。電流センサ60A,60B,60Cは各導電路21,41,42における電流値を出力し、これらの電流値は図示しない電力制御部に伝達されるようになっている。また、電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140とは、接続部61A(接続バスバー48A)及び接続部61B(接続バスバー48B)において接続されている。
【0058】
図6に示すように、電気接続ユニット120は、ベース部材110A上に電子部品及びバスバーを配置して構成されている。ベース部材110Aの前側には第1導電路21が左右方向にのびて設けられている。第1導電路21は、第1システムメインリレー26と、メインヒューズ27と、電流センサ60Aと、を備える。第1導電路21の右端部には、総正極接続部23と、総正極接続部23の後側に位置する接続部61Bと、が設けられている。第1導電路21の左端部には、負荷接続部24Aが設けられている。
【0059】
図6に示すように、ベース部材110Aの後側には第2導電路22が左右方向にのびて設けられている。第2導電路22は、第2システムメインリレー28と、プリチャージ回路29(プリチャージリレー30及びプリチャージ抵抗31)と、を備える。第2導電路22の右端部には、総負極接続部25と、総負極接続部25の後側に位置する接続部61Aと、が設けられている。第1導電路21の左端部には、負荷接続部24Bが設けられている。
【0060】
図6に示すように、ベース部材110Aの右前方、左前方、右後方、及び左後方の外縁部には、4つの固定孔62Aが上下方向に貫通形成されている。
図9に示すように、固定孔62Aの孔縁部には、ベース部材110Aの上面から下方に窪んで突起受け部63が設けられている。
【0061】
図7に示すように、直並列切替ユニット140は、ベース部材110B上に電子部品及びバスバーを配置して構成されている。第3導電路41は、第2リレー45Bと、電流センサ60Bと、を備え、ベース部材110Bの前側かつ右側に配されている。第2リレー45Bに接続され、第2リレー45Bの下方に配されているバスバーは、第5バスバー64とされている。第5バスバー64の右端部には、中間電位接続部44Bが設けられている。電流センサ60Bに接続され、右方にのびるバスバーは、接続バスバー48Bとされている。
図8に示すように、接続バスバー48Bは、大きく下方にのびており、電気接続ユニット120の接続部61Bにボルト締結により接続されるようになっている。
【0062】
図7に示すように、第4導電路42は、第2リレー45Aと、電流センサ60Cと、を備え、ベース部材110Bの後側かつ右側に配されている。第2リレー45Aに接続され、第2リレー45Aの下方に配されているバスバーは、第6バスバー65とされている。第6バスバー65の右端部には、中間電位接続部44Aが設けられている。
図8に示すように、第6バスバー65は第5バスバー64の下方に配され、第6バスバー65と第5バスバー64とは非接触で交差している。すなわち、第6バスバー65及び第5バスバー64は、実施形態1における第2バスバー50及び第4バスバー52と同様に、立体交差している。
図7に示すように、電流センサ60Cに接続され、右方にのびるバスバーは、接続バスバー48Aとされている。
図8に示すように、接続バスバー48Aは、大きく下方にのびており、電気接続ユニット120の接続部61Aにボルト締結により接続されるようになっている。
【0063】
図7に示すように、第5導電路43は、第1リレー46と、第1ヒューズ47と、を備え、ベース部材110Bの左側に配されている。
【0064】
図7に示すように、ベース部材110Bの右前方、左前方、右後方、及び左後方の外縁部には、4つの固定孔62Bが上下方向に貫通形成されている。
図9に示すように、固定孔62Bはベース部材110Aの固定孔62Aに対応する位置に設けられており、ベース部材110A,110Bを重ねると、固定孔62A,62Bが連通するようになっている。固定孔62Bの孔縁部には、ベース部材110Bの下面から下方に突出する突起部66が設けられている。突起部66は突起受け部63に嵌まるようになっており、ベース部材110A,110Bを位置合わせすることができる。図示しないものの、固定孔62A,62Bには、ボルトが挿通され、バッテリーパック1内のボルト締結部に締結されるようになっている。
【0065】
図7に示すように、ベース部材110Bは、ベース部材110Bの外縁部から内方に向かって凹状に設けられた4つの切り欠き部67,68,69,70を備える。切り欠き部67は、接続バスバー48Bの前方に配されている。切り欠き部68は、接続バスバー48Aの前方に配されている。切り欠き部69は、第1リレー46の左方に配されている。切り欠き部70は、切り欠き部69の後方に配されている。
図5に示すように、電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140とが積層された状態において、切り欠き部67,68,69,70の内側には、それぞれ総正極接続部23、総負極接続部25、負荷接続部24A,24Bが配されるようになっている。したがって、電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140とを積層した後、ボルト締結によって、総正極接続部23と総正極との接続、総負極接続部25と総負極との接続、及び負荷接続部24A,24Bと負荷との接続が行いやすくなっている。
【0066】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態2では、電気接続ユニット120と、直並列切替ユニット140とは、別体に形成されるとともに、積層可能とされている。
【0067】
上記の構成によれば、電力制御装置110が占める面積、すなわち、電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140との積層方向にのびる軸に直交する面の面積を小さくすることができる。また、電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140とを積層して車両等に搭載するだけでなく、電気接続ユニット120のみを分離して車両等に搭載することができる。
【0068】
実施形態2では、直並列切替ユニット140は、電気接続ユニット120の上に積層され、直並列切替ユニット140を構成する絶縁樹脂製のベース部材110Bには、切り欠き部67,68,69,70が設けられ、電気接続ユニット120は、負荷に接続される負荷接続部24A,24Bと、高圧バッテリー11の総正極に接続される総正極接続部23と、高圧バッテリー11の総負極に接続される総負極接続部25と、を備え、切り欠き部67,68,69,70の内側に総正極接続部23、総負極接続部25、及び負荷接続部24A,24Bが配されている。
【0069】
上記の構成によれば、電気接続ユニット120と直並列切替ユニット140とを積層した後で、電力制御装置110と高圧バッテリー11との接続、及び電力制御装置110と負荷との接続を行うことができる。
【0070】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、バスバー間の接続や電子部品とバスバーとの接続は、ボルト締結によりなされていたが、これに限られることはなく、溶接等によりなされてもよい。
(2)上記実施形態では、高圧バッテリー11は2つのセルユニット14A、14Bから構成されたが、これに限られることはなく、高圧バッテリーは3つ以上のセルユニットから構成されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1: バッテリーパック
10,110: 電力制御装置
10A,110A,110B: ベース部材
11: 高圧バッテリー
12: 電源コネクタ
13: 急速充電コネクタ
13A,13B: 急速充電リレー
14: 複数のセルユニット
14A,14B: セルユニット
15: 蓄電素子
20,120: 電気接続ユニット
21: 第1導電路
22: 第2導電路
23: 総正極接続部
24A,24B: 負荷接続部
25: 総負極接続部
26: 第1システムメインリレー
27: メインヒューズ
28: 第2システムメインリレー
29: プリチャージ回路
30: プリチャージリレー
31: プリチャージ抵抗
40,140: 直並列切替ユニット
41: 第3導電路
42: 第4導電路
43: 第5導電路
44A,44B: 中間電位接続部
45A,45B: 第2リレー
46: 第1リレー
47: 第1ヒューズ
48A,48B: 接続バスバー
49: 第1バスバー
50: 第2バスバー
51: 第3バスバー
52: 第4バスバー
60A,60B,60C: 電流センサ
61A,61B: 接続部
62A,62B: 固定孔
63: 突起受け部
64: 第5バスバー
65: 第6バスバー
66: 突起部
67,68,69,70: 切り欠き部