(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166497
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】車載用パレットおよび水平循環式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20221026BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
E04H6/42 H
E04H6/18 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071748
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】一木 渡
(57)【要約】
【課題】横レール、縦レールおよび切り替えレールの製作誤差や切り替えレールの動作角度誤差があっても、案内輪が切り替えレールに強く当たることを防止して、水平循環式駐車装の動作に支障をおよぼすことを無くす。
【解決手段】切り替えレール17の、縦方向延伸状態からの回動角度のずれ量、もしくは、横方向延伸状態からの回動角度のずれ量が、所定の値以内である場合に、一対の案内輪27の、縦レール11から切り替えレール17への乗り移り、横レール13から切り替えレール17への乗り移りができるようにするために、切り替えレール17の幅寸法の値が、縦レール11の幅寸法の値、横レール13の幅寸法の値よりも小さくなっている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が搭載されるパレット本体部と、
縦方向に延びて前記パレット本体部に設けられている一対の縦レールと、
横方向に延びて前記パレット本体部に設けられている一対の横レールと、
前記一対の縦レールのそれぞれと前記一対の横レールのそれぞれとの交差部に設けられている複数のレール切り欠き部と、
前記複数のレール切り欠き部ところで前記パレット本体部に設けられ、縦方向に延伸して前記レール切り欠き部で前記縦レールを補完する縦方向延伸状態、もしくは、横方向に延伸して前記レール切り欠き部で前記横レールを補完する横方向延伸状態をとるように、前記パレット本体部に対して回動する切り替えレールと、
を有し、前記パレット本体部が縦方向もしくは横方向に移動するときに、前記縦レール、前記横レールもしくは前記切り替えレールが、少なくとも一対の案内輪の間に入り込んでガイドされるように構成されており、
前記切り替えレールの、前記縦方向延伸状態からの回動角度のずれ量、もしくは、前記横方向延伸状態からの回動角度のずれ量が、所定の値以内である場合に、前記一対の案内輪の、前記縦レールから前記切り替えレールへの乗り移り、前記一対の案内輪の、前記横レールから前記切り替えレールへの乗り移りができるようにするために、前記切り替えレールの幅寸法の値が、前記縦レールの幅寸法の値、前記横レールの幅寸法の値よりも小さくなっている車載用パレット。
【請求項2】
前記切り替えレールの長手方向の端部には、前記一対の案内輪の、前記縦レールから前記切り替えレールへの乗り移り、前記一対の案内輪の、前記横レールから前記切り替えレールへの乗り移りをしやすくするためのガイド面が設けられている請求項1に記載の車載用パレット。
【請求項3】
前記レール切り欠き部によって前記縦レールがこの長手方向で複数の部位に分断されており、これらの分断されている複数の部位のうちで、前記縦レールの長手方向の中央部にある前記縦レールの部位の下面が、前記縦レールの長手方向の端側にある前記縦レールの部位の下面よりも僅かに下側に位置している請求項1または請求項2に記載の車載用パレット。
【請求項4】
前記切り替えレールは、プランジャとボールボタンとによって、前記縦方向延伸状態、もしくは、前記横方向延伸状態での回動位置決めがされるように構成されており、
前記ボールボタンには、円錐台状もしくは円錐状の凹部を備えて構成されており、前記切り替えレールの回動位置決めがされている状態では、前記プランジャのボールもしくはピンが、前記ボールボタンの凹部に入り込んでいる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載用パレット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載用パレットと、ベースフレームと、上下方向に延びた軸まわりで前記ベースフレームに対して回動するように前記ベースフレームに設けられアクチュエータによって90°インデックス位置決めされる旋回部と、水平方向に延びている軸まわりで回転するように前記旋回部に設けられ前記縦レールもしくは前記横レールもしくは前記切り替えレールが載せられアクチュエータによって回転することで、前記車載用パレットを縦方向もしくは横方向に移動する駆動輪と、上下方向に延びている軸まわりで回転するように前記旋回部に設けられ、前記縦レールもしくは前記横レールもしくは前記切り替えレールを間に入れることで、前記車載用パレットが縦方向もしくは横方向に移動するときに、前記車載用パレットをガイドする前記一対の案内輪と、を備えて構成されているパレット搬送部と、
を有する水平循環式駐車装置。
【請求項6】
車両を載せた車載用パレットを支持し水平駆動する駆動輪と、前記駆動輪を横送り方向と縦送り方向との間で水平旋回させる旋回機構と、を有し、前記車載用パレットをその幅方向と長さ方向に水平移動する水平循環式駐車装置であって、
前記車載用パレットは、その下面に前記駆動輪で支持される支持レールを有し、
前記支持レールは、前記幅方向に延びる1対の幅方向レールと、長さ方向に延びる1対の長さ方向レールと、前記幅方向レールと前記長さ方向レールの交差部に設けられ前記幅方向と前記長さ方向との間で旋回可能な複数の切り替えレールと、からなり、
前記車載用パレットはさらに、前記切り替えレールが前記駆動輪で支持されないときに前記切り替えレールを旋回不能に固定し、前記切り替えレールが前記駆動輪で支持されるときに前記切り替えレールを自由に旋回可能にするロック機構を有し、
前記縦レールの幅寸法の値および前記横レールの幅寸法の値に対する切り替えレールの幅寸法の値の比が、55%~95%になっている水平循環式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用パレットおよび水平循環式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を載せたパレットを支持し水平駆動する駆動輪と、駆動輪を横送り方向と縦送り方向との間で水平旋回させる旋回機構とを備え、パレット(車載用パレット)をその幅方向と長さ方向に水平移動する水平循環式駐車装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
従来の水平循環式駐車装置のパレットは、その下面に駆動輪で支持される支持レールを備えている。従来の水平循環式駐車装置の支持レールは、幅方向に延びる1対の幅方向レール(横レール)と、長さ方向に延びる1対の長さ方向レール(縦レール)と、切り替えレール(転向レール)とで構成されている。切り替えレールは、縦レールと横レールとの交差部に設けられ幅方向と長さ方向との間で旋回可能になっている。
【0004】
従来の水平循環式駐車装置のパレットは、複数組の一対の案内輪でパレットの横レールを挟み込むことで、横方向に直線的に移動するようにガイドされている。また、従来の水平循環式駐車装置のパレットは、複数組の一対の案内輪でパレットの縦レールを挟み込むことで、縦方向に直線的に移動するようにガイドされている。
【0005】
さらに、従来の水平循環式駐車装置のパレットでは、複数組の一対の案内輪でパレットの切り替えレールが挟み込まれているときに、旋回機構(旋回部)によって、90°インデックス位置決めされるようになっている。
【0006】
そして、駆動輪を回転することで、案内輪での横レールや縦レールの挟み込みの態様に応じて、パレットが、縦方向もしくは横方向に移動するようになっている。たとえば、案内輪で横レールを挟み込んでいる状態では、パレットが、横方向に移動するようになっている。こときには、長手方向と切り替えレールの長手方向が横方向になっている。また、たとえば、案内輪での縦レールを挟み込んでいる状態では、パレットが、縦方向に移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来の水平循環式駐車装置において、横レールを案内輪で挟み込んでいる状態で、パレットを横方向に移動すると、案内輪で挟み込む対象が横レールから切り替えレールに変わる。縦レールを案内輪で挟み込んでいる状態で、パレットを縦方向に移動すると、案内輪で挟み込む対象が縦レールから切り替えレールに変わる。
【0009】
したがって、案内輪で挟み込む対象の変化を的確に変えるために、横レールの幅寸法の値、縦レールの幅寸法の値、切り替えレールの幅寸法の値、および、切り替えレールのインデックス位置決めを、精度良く管理する必要がある。
【0010】
すなわち、横レール、縦レールおよび切り替えレールの製作誤差や切り替えレールの動作角度誤差によって、横レールや縦レールの対する切り替えレール出っ張り量が顕著になることがあるが、このような事態の発生を回避する必要がある。
【0011】
横レールや縦レールの対する切り替えレール出っ張り量が顕著になると、パレット搬送時(パレット移動時)に切り替えレールの水平ガイド案内面(縦方向もしくは横方向に対して直交しているべきはずの平面)が斜めになってしまう。そこで、切り替えレールが案内輪に強く当たり、切り替えレールがボールプランジャ(切り替えレールのインデックス位置決め用のボールプランジャ)から外れてしまい、水平循環式駐車装の動作に支障を及ぼすことを防止することが重要である。
【0012】
なお、切り替えレールの動作角度誤差は、旋回機構を構成するリンク機構のアソビ、旋回機構を構成する減速機のバックラッシュ等によって発生する。
【0013】
本発明は、横レール、縦レールおよび切り替えレールの製作誤差や切り替えレールの動作角度誤差があっても、案内輪が切り替えレールに強く当たることを防止して、水平循環式駐車装の動作に支障をおよぼすことを無くすことができる車載用パレットおよび水平循環式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の態様に係る車載用パレットは、車両が搭載されるパレット本体部と、縦方向に延びて前記パレット本体部に設けられている一対の縦レールと、横方向に延びて前記パレット本体部に設けられている一対の横レールと、前記一対の縦レールのそれぞれと前記一対の横レールのそれぞれとの交差部に設けられている複数のレール切り欠き部と、前記複数のレール切り欠き部ところで前記パレット本体部に設けられ、縦方向に延伸して前記レール切り欠き部で前記縦レールを補完する縦方向延伸状態、もしくは、横方向に延伸して前記レール切り欠き部で前記横レールを補完する横方向延伸状態をとるように、前記パレット本体部に対して回動する切り替えレールとを有し、前記パレット本体部が縦方向もしくは横方向に移動するときに、前記縦レール、前記横レールもしくは前記切り替えレールが、少なくとも一対の案内輪の間に入り込んでガイドされるように構成されており、前記切り替えレールの、前記縦方向延伸状態からの回動角度のずれ量、もしくは、前記横方向延伸状態からの回動角度のずれ量が、所定の値以内である場合に、前記一対の案内輪の、前記縦レールから前記切り替えレールへの乗り移り、前記一対の案内輪の、前記横レールから前記切り替えレールへの乗り移りができるようにするために、前記切り替えレールの幅寸法の値が、前記縦レールの幅寸法の値、前記横レールの幅寸法の値よりも小さくなっている車載用パレットである。
【0015】
また、本発明の態様に係る車載用パレットでは、前記切り替えレールの長手方向の端部に、前記一対の案内輪の、前記縦レールから前記切り替えレールへの乗り移り、前記一対の案内輪の、前記横レールから前記切り替えレールへの乗り移りをしやすくするためのガイド面が設けられている。
【0016】
また、本発明の態様に係る車載用パレットでは、前記レール切り欠き部によって前記縦レールがこの長手方向で複数の部位に分断されており、これらの分断されている複数の部位のうちで、前記縦レールの長手方向の中央部にある前記縦レールの部位の下面が、前記縦レールの長手方向の端側にある前記縦レールの部位の下面よりも僅かに下側に位置している。
【0017】
また、本発明の態様に係る車載用パレットでは、前記切り替えレールが、プランジャとボールボタンとによって、前記縦方向延伸状態、もしくは、前記横方向延伸状態での回動位置決めがされるように構成されており、前記ボールボタンには、円錐台状もしくは円錐状の凹部を備えて構成されており、前記切り替えレールの回動位置決めがされている状態では、前記プランジャのボールもしくはピンが、前記ボールボタンの凹部に入り込んでいる。
【0018】
また、本発明の態様に係る水平循環式駐車装置は、前記車載用パレットと、ベースフレームと、上下方向に延びた軸まわりで前記ベースフレームに対して回動するように前記ベースフレームに設けられアクチュエータによって90°インデックス位置決めされる旋回部と、水平方向に延びている軸まわりで回転するように前記旋回部に設けられ前記縦レールもしくは前記横レールもしくは前記切り替えレールが載せられアクチュエータによって回転することで、前記車載用パレットを縦方向もしくは横方向に移動する駆動輪と、上下方向に延びている軸まわりで回転するように前記旋回部に設けられ、前記縦レールもしくは前記横レールもしくは前記切り替えレールを間に入れることで、前記車載用パレットが縦方向もしくは横方向に移動するときに、前記車載用パレットをガイドする前記一対の案内輪と、を備えて構成されているパレット搬送部とを有する水平循環式駐車装置である。
【0019】
また、本発明の態様に係る水平循環式駐車装置は、車両を載せた車載用パレットを支持し水平駆動する駆動輪と、前記駆動輪を横送り方向と縦送り方向との間で水平旋回させる旋回機構と、を有し、前記車載用パレットをその幅方向と長さ方向に水平移動する水平循環式駐車装置であって、前記車載用パレットは、その下面に前記駆動輪で支持される支持レールを有し、前記支持レールは、前記幅方向に延びる1対の幅方向レールと、長さ方向に延びる1対の長さ方向レールと、前記幅方向レールと前記長さ方向レールの交差部に設けられ前記幅方向と前記長さ方向との間で旋回可能な複数の切り替えレールと、からなり、前記車載用パレットはさらに、前記切り替えレールが前記駆動輪で支持されないときに前記切り替えレールを旋回不能に固定し、前記切り替えレールが前記駆動輪で支持されるときに前記切り替えレールを自由に旋回可能にするロック機構を有し、前記縦レールの幅寸法の値および前記横レールの幅寸法の値に対する切り替えレールの幅寸法の値の比が、55%~95%になっている水平循環式駐車装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、横レール、縦レールおよび切り替えレールの製作誤差や切り替えレールの動作角度誤差があっても、案内輪が切り替えレールに強く当たることを防止して、水平循環式駐車装の動作に支障をおよぼすことを無くすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置の概略構成を示す側面図であり、(b)は本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置の概略構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置のパレット搬送部の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置のパレット搬送部の斜視図であって、
図2で示すものから旋回部によって駆動輪と案内輪とを90°旋回した状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置の車載用パレットの斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置の車載用パレットの斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置の車載用パレットの斜視図である。
【
図7】(a)は本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置の車載用パレットの切り替えレールとこの近傍の部位を示す平面図であり、(b)は(a)におけるVIIB-VIIB断面を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置の車載用パレットの切り替えレールとこの近傍の部位を示す平面図であって、パレット搬送部の案内輪に対する車載用パレットの移動について説明する図である。
【
図9】(a)は
図7(a)における切り替えレールまわりの拡大図であり、(b)は(a)におけるIXB-IXB断面を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置に使用されているボールボタンを示す図であって、(b)は(a)におけるXB矢視図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置に使用されているボールブランジャを示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置での車載用パレットの回動位置決めにおけるボールボタンとボールブランジャとの動作を示す図である。
【
図13】(a)は、本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置での、お互いが隣り合っている2つのパレット搬送部と、これらのパレット搬送部間を移動する車載用パレットとを示す平面である。(b)は、(a)における車載用パレットのXIIB矢視図であって、車載パレットとフリーローラとを示す図である。
【
図14】
図8に対応する図であって、従来の水平循環式駐車装置での、パレット搬送部の案内輪に対する車載用パレットの移動について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る水平循環式駐車装置1は、
図1で示すように、車両3を載せた車載用パレット5を水平面内で移動させて車両3の入出庫(入庫と出庫)を行う機械式駐車設備である。車両3は、例えば乗用車である。また、車両3は、小型車、中型車、大型車、ハイルーフ車などである。
【0023】
ここで、水平な所定の一方向を縦方向とし、水平な他の所定の一方向であって縦方向に対して直交する方向を横方向とし、縦方向と横方向とに対して直交する方向を上下方向(高さ方向)とする。
【0024】
水平循環式駐車装置1は、車載用パレット5とパレット搬送部(駆動セル)7とを備えて構成されている。パレット搬送部7によって、車両3が搭載された車載用パレット5もしくは車両3が搭載されていない空の車載用パレット5が、縦方向もしくは横方向で移動位置決めされるようになっている。
【0025】
また、水平循環式駐車装置1は、車載用パレット5を昇降するリフト8が設けられており、上下複数段(たとえば上下2段)で車両3を格納することができるようになっている。
【0026】
図4~
図6で示すように、車載用パレット5は、パレット本体部9と少なくとも一対の縦レール11と少なくとも一対の横レール13と複数のレール切り欠き部15と複数の切り替えレール(転向レール)17とを備えて構成されている。
【0027】
パレット本体部9は、たとえば矩形な平板状に形成されており、パレット本体部9上に車両3が搭載されるようになっている。一対の縦レール11は、パレット本体部9の下側でパレット本体部9から下側に僅かに突出し、縦方向に長く延びてパレット本体部9に一体的に設けられている。縦方向(縦レール11の長手方向)と上下方向とに対して直交する方向を縦レール11の幅方向とすると、縦レール11の幅方向は、横方向と一致している。
【0028】
縦レール11は、たとえば、「H形鋼」で構成されている。したがって、縦レール11の断面形状(長手方向に対して直交する平面による断面の形状)は、「H」字状(より精確には「H」字を90°回転した形状)になっている。また、縦レールでは、「H」字の3本の線分のうちのお互いが平行になって延びている2本の線分が横方向に延びており、お互いが平行になっている2本の線分のうちの一方の線分は上側に位置し他方の線分が下側に位置している。また、縦レール11では、「H」字の3本の線分のうちの真ん中の1本の線分が上下方向に延びている。
【0029】
これにより、縦レール11は、この下面19が縦方向に細長い矩形な平面(上下方向に対して直交する平面)になっている。縦レール11の下面19は、すでに理解されるように、「H」字のお互いが平行になって延びている2本の線分のうちの下側にある線分の下面で形成されている。
【0030】
また、縦レール11は、縦レール11の幅方向に対して直交している一対の平面21を備えている。この一対の平面21も、「H」字のお互いが平行になっている2本の線分のうちの下側にある線分の両端部のところに形成されている。縦レール11の一対の平面21の間の距離が、縦レール11の幅寸法の値となる。
【0031】
一対の横レール13は、パレット本体部9の下側でパレット本体部9から下側に僅かに突出し横方向に長く延びてパレット本体部9に一体的に設けられている。横方向(横レール13の長手方向)および上下方向に対して直交する方向を横レール13の幅方向とすると、横レール13の幅方向は、縦方向と一致している。
【0032】
横レール13も、たとえば、縦レール11と同じ「H形鋼」で構成されている。したがって、横レール13は、この下面23が横方向に細長い矩形な平面(上下方向に対して直交する平面)になっている。横レール13の下面23は、すでに理解されるように、「H」字のお互いが平行になって延びている2本の線分のうちの下側にある線分の下面で形成されている。
【0033】
また、横レール13も、横レール13の幅方向に対して直交している一対の平面25を備えている。この一対の平面25も、「H」字のお互いが平行になっている2本の線分のうちの下側にある線分の両端部のところに形成されている。横レール13の一対の平面25の間の距離が、横レール13の幅寸法の値となる。
【0034】
レール切り欠き部15は、
図7~
図9で示すように、一対の縦レール11のそれぞれと一対の横レール13のそれぞれとの交差部に設けられている。レール切り欠き部15では、縦レール11が非存在になっているとともに横レール13も非存在になっている。したがって、縦レール11は、縦方向に連続して延びているわけではなく、レール切り欠き部15のところで途切れていることになる。横レール13も、横方向に連続して延びているわけではなく、レール切り欠き部15のところで途切れていることになる。また、
図5等で示すように、縦レール11が一対で(2本)設けられており、横レール13も一対(2本)で設けられているとすると、レール切り欠き部15は4つ存在していることになる。
【0035】
切り替えレール17は、パレット本体部9の下側でパレット本体部9から下側に僅かに突出し、複数のレール切り欠き部15それぞれのところでパレット本体部9に設けられている。また、切り替えレール17は、縦方向延伸状態(
図6参照)もしくは横方向延伸状態(
図5参照)をとるように、パレット本体部9に対して回動する(旋回する;90°インデックス位置決めされる)ようになっている。縦方向延伸状態とは、縦方向に延伸してレール切り欠き部15で縦レール11を補完する状態である。すなわち、切り替えレール17がレール切り欠き部15のところで縦レール11の代わりになる状態なのである。横方向延伸状態とは、横方向に延伸してレール切り欠き部15で横レール13を補完する状態である。すなわち、切り替えレール17がレール切り欠き部15のところで横レール13の代わりになる状態なのである。
【0036】
また、切り替えレール17は、
図7~
図9で示すように、たとえば、所定の長さと幅と厚さとを備えた矩形な平板状に形成されており、切り替えレール17の平板の厚さ方向が上下方向になっている。また、上下方向で見ると、レール切り欠き部15の中心と切り替えレール17の中心とはお互いが一致している。さらに、切り替えレール17は、この中心を通り上下方向に延びている軸を中心にしてパレット本体部9に対し回動するこことで、90°インデックス位置決めされるようになっている。
【0037】
90°インデックス位置決めされることで、縦方向延伸状態では、切り替えレール17の長手方向が縦方向になり切り替えレール17の幅方向が横方向になる。また、横方向延伸状態では、切り替えレール17の長手方向が横方向になり切り替えレール17の幅方向が縦方向になる。
【0038】
なお、レール切り欠き部15が存在しないと仮定すると、縦レール11の長さ寸法の値は、横レール13の長さ寸法の値よりも大きくなっており、横レール13の長さ寸法の値は、切り替えレール17の長さ寸法の値よりも大きくなっている。
【0039】
また、パレット本体部9の下面からの縦レール11の突出量と、パレット本体部9の下面からの横レール13の突出量と、パレット本体部9の下面からの切り替えレール17の突出量とは、お互いがほぼ一致している。
【0040】
水平循環式駐車装置1では、
図2、
図3で示すように、パレット搬送部7に少なくとも一対の案内輪(ガイドローラ;案内ローラ)27が設けられている。そして、車載用パレット5が縦方向もしくは横方向に移動するときに、縦レール11、横レール13もしくは切り替えレール17が、少なくとも一対の案内輪27の間に入り込んでガイドされるように構成されている(
図8(b)等参照)。このガイドによって、車載用パレット5が縦方向もしくは横方向にまっすぐ進むようになっている。
【0041】
縦レール11の幅寸法の値と横レール13の幅寸法の値とは、たとえばお互いが等しくなっている。切り替えレール17の幅寸法の値は、縦レール11の幅寸法の値、横レール13の幅寸法の値よりも所定の値だけ小さくなっている。さらに説明する。切り替えレール17の、縦方向延伸状態での回動角度のずれ量、もしくは、横方向延伸状態での回動角度のずれ量が、所定の値以内である場合を想定する(
図8(b)参照)。この想定において、一対の案内輪27の、縦レール11から切り替えレール17への乗り移りが阻害されずスムーズにできるようにするために、切り替えレール17の幅寸法の値が小さくなっている(
図8参照)。また、上記想定において、一対の案内輪27の、横レール13から切り替えレール17への乗り移りが(阻害されずスムーズの)できるようにするために、切り替えレール17の幅寸法の値が小さくなっている(
図8(b)参照)。
【0042】
たとえば、縦レール11の幅寸法の値および横レール13の幅寸法の値に対する切り替えレール17の幅寸法の値の比(切り替えレールの幅寸法比)は、55%~95%になっている。なお、切り替えレールの幅寸法比が、60%~90%程度になっていてもよいし、65%~85%程度になっていてもよい。また、70%~80%程度になっていてもよいし、73%~78%程度になっていてもよいし、75%になっていてもよい。
【0043】
また、車載用パレット5では、縦レール11の長手方向の端部と横レール13の長手方向の端部と切り替えレール17の長手方向の端部とにガイド面29が設けられている(
図9等参照)。ガイド面29は、一対の案内輪27の、縦レール11から切り替えレール17への乗り移り、一対の案内輪27の、横レール13から切り替えレール17への乗り移りをしやすくするために設けられている。また、ガイド面29は、一対の案内輪27の、切り替えレール17から縦レール11への乗り移り、一対の案内輪27の、切り替えレール17から横レール13への乗り移りをしやすくするために設けられている。
【0044】
また、車載用パレット5では、レール切り欠き部15によって縦レール11がこの長手方向で複数の部位11A、11B、11Cに分断されている(
図5、
図6、
図13参照)。これらの分断されている複数の部位11A、11B、11Cのうちで、縦レール11の長手方向の中央部にある縦レールの部位11Bの下面19Bが、他の部位の下面19A、19Cよりも僅かに下側に位置している。すなわち、縦レールの部位11Bの下面19Bが、縦レール11の長手方向の端側にある縦レールの部位11A、11Cの下面19A、19Cよりも僅かに下側に位置している(
図13参照)。
【0045】
横レール13において、縦レール11と同様に、長手方向の中央部にある横縦レールの部位13Bの下面23B(
図5参照)が、長手方向の端側にある横レールの部位13A、13Cの下面23A、23C(
図5参照)よりも僅かに下側に位置していてもよい。
【0046】
切り替えレール17は、プランジャ(たとえば、ボールプランジャ)31(
図11参照)とボールボタン33とによって、上記縦方向延伸状態、もしくは、上記横方向延伸状態での回動位置決めがされるように構成されている(
図9等参照)。
【0047】
ボールボタン33には、
図10で示すように、円錐台状もしくは円錐状の凹部(誘い込み部)35を備えて構成されている。切り替えレール17の、上記縦方向延伸状態、もしくは、上記横方向延伸状態での回動位置決めがされている状態では、プランジャ31のボール37もしくはピンが、ボールボタン33の凹部35に入り込んでいる(
図12参照)。そして、プランジャ31のボール37もしくはピンとボールボタン33の凹部35との接触箇所が円形状になっている。
【0048】
パレット搬送部7は、
図2、
図3で示すように、ベースフレーム39と旋回部41と駆動輪(駆動ローラ)43と案内輪27とを備えて構成されている。旋回部41は、ベースフレーム39に設けられており、上下方向に延びた軸(回動中心軸)まわりでベースフレーム39に対して回動するようになっている。そして、旋回部41は、アクチュエータ(たとえば減速機付きモータ)47によって90°インデックス位置決めされるようになっている。
【0049】
駆動輪43は、水平方向に延びている軸(回転中心軸)まわりで回転するように旋回部41に設けられている。そして、アクチュエータ(たとえば減速機付きモータ)49のよって回転するようになっている。縦レール11、横レール13もしくは切り替えレール17が駆動輪43に載せられている状態で、アクチュエータ49によって駆動輪43が回転することで、車載用パレット5が縦方向もしくは横方向に移動するようになっている。
【0050】
なお、
図2は、車載用パレット5を縦方向に移動するときにおける、旋回部41でインデックス位置決めされた案内輪27と駆動輪43とを示している。
図3は、車載用パレット5を横方向に移動するときにおける、旋回部41でインデックス位置決めされた案内輪27と駆動輪43とを示している。
【0051】
少なくとも一対の案内輪27は、上下方向に延びている軸(回転中心軸)まわりで回転するように旋回部41に設けられている。一対の案内輪27の間に縦レール11、横レール13もしくは切り替えレール17が入ることで、車載用パレット5が縦方向もしくは横方向に移動するときに、車載用パレット5がガイドされるようになっている。
【0052】
ここで、水平循環式駐車装置1についてさらに詳しく説明する。
【0053】
図5、
図6で示すように、車載用パレット5の縦レール11は、2本設けられており、横レール13も2本設けられている。縦レール11は、横方向で所定の間隔をあけ、中心面(車載用パレット5の中心を含み横方向に対して直交する平面)に対して対称に配置されている。横レール13は、縦方向で所定の間隔をあけ、中心面(車載用パレット5の中心を含み縦方向に対して直交する平面)に対して対称に配置されている。
【0054】
縦レール11と横レール13との交差部が4か所存在しているので、レール切り欠き部15は4つ存在している。レール切り欠き部15が4つ存在していることで縦レール11の部位11Aが一対で設けられており、部位11Bも一対で設けられており、部位11Cも一対で設けられている。また、レール切り欠き部15が4つ存在していることで横レール13の部位13Aが一対で設けられており、部位13Bも一対で設けられており、部位13Cも一対で設けられている。
【0055】
1つ目のレール切り欠き部15における縦方向での部位11Aと部位11Bとの間の寸法の値と、横方向における部位13Aと部位13Bとの間の寸法の値はお互いが等しくなっている。その他のレール切り欠き部15での寸法の値も同様になっている。
【0056】
上下方向で見ると、
図9等で示すように、縦レール11の部位11Aの長手方向の両端部のガイド面29は一対の斜面で形成されている。ガイド面29のところでは、縦レール11の長手方向で部位11Aの両端に向かうにしたがって、部位11Aの幅寸法の値が次第に小さくなっている。
【0057】
縦レール11の部位11Bの長手方向の両端部のガイド面29、縦レール11の部位11Cの両端部のガイド面29も、縦レール11の部位11Aの両端部のガイド面29と同様に構成されている。横レール13の部位13A、横レール13の部位13Bおよび横レール13の部位13Cの長手方向の両端部のガイド面29も、縦レール11の部位11Aの両端部のガイド面29と同様に構成されている。
【0058】
横方向で見たときの縦レール11の部位11Aの下面19A、縦レール11の部位11Bの下面19Bおよび縦レール11の部位11Cの下面19Cについて説明する。
図13(b)で示すように、下面19Bは、縦方向に直線状になって延びている。上下方向での、パレット本体部9の平面状の上面と下面19Bとの間の寸法の値は一定になっている。
【0059】
下面19Aは、縦方向に対してごく僅かに傾いて直線状なって斜めに延びている。上下方向における下面19Aの部位11B側の端と、パレット本体部9の平面状の上面との間の寸法の値は、パレット本体部9と下面19Bとの間の寸法の値と同じになっている。上下方向における下面19Aとパレット本体部9の平面状の上面との間の寸法の値は、部位11Bとは反対側(車載用パレット5の縦方向の端)に向かうにしたがって次第に小さくなっている。
【0060】
下面19Aと同様にして、下面19Cは、縦方向に対してごく僅かに傾いて直線状なって斜めに延びている。上下方向における下面19Cの部位11B側の端と、パレット本体部9の平面状の上面との間の寸法の値は、パレット本体部9の平面状の上面と下面19Bとの間の寸法の値と同じになっている。上下方向における下面19Cとパレット本体部9の平面状の上面との間の寸法の値は、部位11Bとは反対側(車載用パレット5の横方向の端)に向かうにしたがって次第に小さくなっている。
【0061】
上下方向での、切り替えレール17の下面51とパレット本体部9の平面状の上面との間の寸法の値は、パレット本体部9と下面19Bとの間の寸法の値と同じになっている。
【0062】
図7~
図9で示すように、切り替えレール17は、概ね、所定の厚さ備えた矩形状に形成されている。上下方向で見ると、切り替えレール17の長手方向の両端部のガイド面29も、縦レール11の部位11Aの両端部のガイド面29と同様に構成されている。
【0063】
切り替えレール17の上面からは、
図9等で示すように、たとえば円柱状に形成されている切り替えレール支持部材53が上側に突出している。切り替えレール支持部材53は、ベアリング55を介して支持されており、切り替えレール17がパレット本体部9に対して上下方向に延びている軸まわりで回動するようになっている。上下方向で見ると、切り替えレール17の回動中心軸とレール切り欠き部15の中心と切り替えレール支持部材53の中心軸とは、お互いが一致している。なお、ベアリング55は、パレット本体部9に一体的に設けられパレット本体部9から下側に突出している筒状のベアリング支持部材56で支持されている。
【0064】
図2、
図3で示すように、パレット搬送部7の旋回部41は、切り替えレール17の個数に合わせて切り替えレール17の個数と同じ数である4つ設けられている。
【0065】
旋回部41は、上端が開口している矩形な筒状部位57を備えて構成されている。また、筒状部位57はこの筒の中心軸(上下方向に延びている軸)を回動中心にして、90°インデックス位置決めされるようになっている。
【0066】
さらに説明すると、4つの筒状部位57はアクチュエータ47とリンク機構59とによって、お互いが同期して回動するようになっている。
【0067】
案内輪27は、1つの筒状部位57に4つ(2対)設けられている。案内輪27は、たとえば、カムフォロアーで構成されており、カムフォロアーの回転輪が、筒状部位57の上端から上側に突出している。また、上下方向で見て、4つの案内輪27のそれぞれは、筒状部位57の4つの角部それぞれの近傍に位置している。2対の案内輪27それぞれの間に、縦レール11、横レール13、切り替えレール17が入れるようになっている。
【0068】
筒状部位57が4つ設けられていることで、案内輪27は、1つのパレット搬送部7に16個(8対)設けられている。そして、8対の案内輪27のそれぞれの間に、縦レール11、切り替えレール17が、入るようになっている。なお、縦レール11を間に位置させる2つの案内輪27間の距離(横方向における間隙の寸法)は、上記縦方向延伸状態においては、縦レール11の幅寸法の値よりもごく僅かに大きくなっており、切り替えレール17の幅寸法の値よりも大きくなっている。また、横レール13を間に位置させる2つの案内輪27間の距離(縦方向における間隙の寸法)は、上記横方向延伸状態においては、横レール13の幅寸法の値よりもごく僅かに大きくなっており、切り替えレール17の幅寸法の値よりも大きくなっている。
【0069】
車載用パレット5が縦方向もしくは横方向に移動しているときには、縦レール11、横レール13、切り替えレール17は、案内輪27ところがり対偶をなしている。
【0070】
駆動輪43は、筒状部位57の内部に設けられており、駆動輪43の上端部は、筒状部位57の上端から僅かに突出しいる。なお、案内輪27は、駆動輪43の上側に位置している。駆動輪43は、1つの筒状部位57に一つ設けられている。
【0071】
パレット搬送部7では、筒状部位57が4つ設けられているので、1つのパレット搬送部7に駆動輪43が4つ設けられていることになる。
図2等では、4つ駆動輪43のうちの対角線上にある2つの駆動輪43がアクチュエータ49によって回転駆動するようになっているが、4つ駆動輪43がアクチュエータ49によって回転駆動するようになっていてもよい。
【0072】
上記縦方向延伸状態においては、
図2で示すように、駆動輪43が、横方向に延びている中心軸を回転中心にしてアクチュエータ49によって回転するようになっている。そして、駆動輪43を回転駆動することで、パレット搬送部7が、縦方向に移動するようになっている。このとき、駆動輪43と、縦レール11、切り替えレール17がころがり対偶をなしている。
【0073】
上記横方向延伸状態においては、
図3で示すように、駆動輪43が、縦方向に延びている中心軸を回転中心にしてアクチュエータ49によって回転するようになっている。そして、駆動輪43を回転駆動することで、パレット搬送部7が、横方向に移動するようになっている。このとき、駆動輪43と、横レール13、切り替えレール17がころがり対偶をなしている。
【0074】
プランジャ31は、たとえば、
図9等で示すように、パレット本体部9に一体的に設けられており、ボールボタン33は、たとえば、切り替えレール17に一体的に設けられている。
【0075】
上記縦方向延伸状態から上記横方向延伸状態への、切り替えレール17の長手方向の切り替えは、4つの切り替えレール17のそれぞれが4つの駆動輪43のそれぞれに載っており、切り替えレール17が案内輪27の間の位置しているときにされる。さらに、旋回部41で、駆動輪43と案内輪27とを回動することでされるようになっている。上記横方向延伸状態から上記縦方向延伸状態への、切り替えレール17の長手方向の切り替えも同じようにしてされるようになっている。
【0076】
パレット搬送部7は、
図1(b)で示すように、複数設けられている。複数のパレット搬送部7は、上下方向で見て、縦方向および横方向で一定の間隔をあけて、行列になって配置されている。
【0077】
また、お互いが隣接しているパレット搬送部7の間には、
図13で示すようにフリーローラ61が配置されている。フリーローラ61は、車載用パレット5が、お互いが隣接しているパレット搬送部7の間で移動するときに、車載用パレット5や車両3の重量を受けて、車載用パレット5や車両3を支えるようになっている。フリーローラ61は、縦レール11、横レール13、切り替えレール17にころがり対偶をなして係合している。
【0078】
次に、水平循環式駐車装置1の動作について説明する。
【0079】
初期状態として、複数のパレット搬送部7のそれぞれに車載用パレット5が載置されているものとする。ただし、複数のパレット搬送部7のうちの1つのパレット搬送部7には、車載用パレット5が搭載されていないものとする。車載用パレット5には、車両3が搭載されていてもよいし、車両3が搭載されていなくてもよい。
【0080】
また、初期状態では、車載用パレット5の切り替えレール17が駆動輪43に載置され、車載用パレット5の切り替えレール17が案内輪27の間にあり、車載用パレット5の切り替えレール17が縦方向延伸状態にあるものとする。この初期状態を平面視すると、車載用パレット5の中心とパレット搬送部7の中心とがお互いに一致している。また、この中心がお互いに一致している状態で、車載用パレット5が停止しており、車両3の保管がされている。
【0081】
上記初期状態で、1つの車載用パレット5を縦方向に移動して、車載用パレット5が搭載されていない隣のパレット搬送部7まで移動するときには、駆動輪43を回転して、車載用パレット5を縦方向で所定の距離だけ移動する。
【0082】
上記初期状態で、1つの車載用パレット5を横方向に移動して、車載用パレット5が搭載されていない隣のパレット搬送部7まで移動するときには、旋回部41で切り替えレール17を横方向延伸状態にする。この後、駆動輪43を回転して、車載用パレット5を横方向で所定の距離だけ移動する。
【0083】
水平循環式駐車装置1では、切り替えレール17の幅寸法の値が、縦レール11の幅寸法の値および横レール13の幅寸法の値よりも所定の値だけ小さくなっている。これにより、切り替えレール17の製作誤差や切り替えレール17の動作角度誤差(回動角度のずれ量)によって、切り替えレール17の長手方向が横方向や縦方向に対して若干斜めになっていても、案内輪27が切り替えレール17に強く当たることが防止される。そして、水平循環式駐車装置1の動作に支障をおよぼすことを無くすことができる。
【0084】
水平循環式駐車装置1の切り替えレール17の機能として、駆動輪43の駆動力(摩擦力)を車載用パレット5に伝達することが挙げられる。そもそも車載用パレット5の搬送時に案内輪27に案内されることに対しては、その構造上において弱点となっている。そこで、切り替えレール17の幅を横レール13や縦レール11の幅に対して十分に小さくして、切り替えレール17が案内輪27にほぼ案内されないようにしても特に問題は無い。すなわち、切り替えレール17の幅寸法の値が、縦レール11の幅寸法の値および横レール13の幅寸法の値よりも所定の値だけ小さくなっていても、切り替えレール17の長さが短いことと切り替えレール17と駆動輪43との間の摩擦力により、特に問題は無い。
【0085】
また、水平循環式駐車装置1は、従来の水平循環式駐車装置について、たとえば、切り替えレール17の幅寸法の値を、縦レール11の幅寸法の値および横レール13の幅寸法の値よりも所定の値だけ小さくすればよい。したがって、従来の水平循環式駐車装置の構造と基本的には変わらず、切り替えレール17の形状を変えるだけで、別途の新たな装置を追加する必要はなく、安定した動作が期待でき、コストアップにもならない。
【0086】
これに対して、
図14で示す従来の水平循環式駐車装置では、切り替えレール63の幅寸法の値が、縦レール11の幅寸法の値および横レール13の幅寸法の値とほぼ等しくなっている。したがって、
図14(a)で示すように、切り替えレール63が斜めに傾いていない場合には、問題は発生しないが、
図14(b)で示すように、切り替えレール63が斜めに傾くと、案内輪27が切り替えレール63に強くぶつかることがある。
【0087】
すなわち、
図14(b)で示す状態から、案内輪27に対して車載用パレット5が
図14(b)の上側に移動すると、斜めになっている切り替えレール63が案内輪27に強くぶつかることがある。
【0088】
また、水平循環式駐車装置1では、縦レール11の端部、横レール13の端部および切り替えレール17の端部にガイド面29が設けられている。これにより、横レール13や縦レール11から切り替えレール17への、案内輪27の乗り移りを円滑にすることができるようになっている。
【0089】
また、水平循環式駐車装置1では、縦レール11の長手方向の中央部にある縦レールの部位11Bの下面が、縦レール11の長手方向の端側にある縦レールの部位11A、11Cの下面よりも僅かに下側に位置している。これにより、車載用パレット5が載っているパレット搬送部7から、このパレット搬送部7の隣にあるパレット搬送部7へ、車載用パレット5を、フリーローラ61を経由して移すときに、滑らかに車載用パレット5を移動することができる。すなわち、車載用パレット5が車両3を搭載したときに、車両3の重量で、縦レール11の下面19が、ほぼ面一になるように車載用パレット5が僅かに弾性変形する。これにより、縦レール11が、駆動輪43とフリーローラ61とに確実に接触し、搭載されている車両3によって質量の増加した車載用パレット5でも、滑らかに移動させることができる。
【0090】
また、水平循環式駐車装置1では、切り替えレール17が、プランジャ31とボールボタン33とによって、回動位置決めがされるように構成されており、ボールボタン33には、円錐台状もしくは円錐状の凹部35が設けられている。これにより、旋回部41による切り替えレール17のインデックス位置決めが90°の角度より若干ずれたとしても、ボール37が凹部35の斜面でガイドされて、切り替えレール17のインデックス位置決めが90°の角度になるよう修正される。
【0091】
なお、上述した水平循環式駐車装置1は、車両を載せた車載用パレットを支持し水平駆動する駆動輪と、前記駆動輪を横送り方向と縦送り方向との間で水平旋回させる旋回機構と、を有し、前記車載用パレットをその幅方向と長さ方向に水平移動する水平循環式駐車装置であって、前記車載用パレットは、その下面に前記駆動輪で支持される支持レールを有し、前記支持レールは、前記幅方向に延びる1対の幅方向レールと、長さ方向に延びる1対の長さ方向レールと、前記幅方向レールと前記長さ方向レールの交差部に設けられ前記幅方向と前記長さ方向との間で旋回可能な複数の切り替えレールと、からなり、前記車載用パレットはさらに、前記切り替えレールが前記駆動輪で支持されないときに前記切り替えレールを旋回不能に固定し、前記切り替えレールが前記駆動輪で支持されるときに前記切り替えレールを自由に旋回可能にするロック機構を有し、前記縦レールの幅寸法の値および前記横レールの幅寸法の値に対する切り替えレールの幅寸法の値の比が、55%~95%になっている水平循環式駐車装置の例である。
【0092】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 水平循環式駐車装置
3 車両
5 車載用パレット
7 パレット搬送部
9 パレット本体部
11 縦レール
11A、11B、11C 縦レールの部位
13 横レール
15 レール切り欠き部
17 切り替えレール
19(19A、19B、19C) 縦レールの下面
27 案内輪
29 ガイド面
31 プランジャ
33 ボールボタン
35 凹部(誘い込み部)
37 プランジャのボール
39 ベースフレーム
41 旋回部
43 駆動輪
47 旋回部のアクチュエータ
49 駆動輪のアクチュエータ