(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166509
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】ワイパブレード及びその組立て方法
(51)【国際特許分類】
B60S 1/40 20060101AFI20221026BHJP
B60S 1/38 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B60S1/40
B60S1/38 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071767
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 伸敬
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD02
3D225AD09
3D225AE09
3D225AE20
(57)【要約】
【課題】ワイパブレード及びその組立て方法において払拭性能の低下を抑制しつつ組立て性を向上させる。
【解決手段】ガラス11に接触するリップ部14bと本体部14aとを有するブレードラバー14と、ブレードラバー14を保持する一対のバーティブラ16a,16bと、エンドキャップ18と、を備える。エンドキャップ18は、キャップ本体部18aと、キャップ本体部18aに設けられ、開閉可能な一対のフィン部18b,18cと、を備える。キャップ本体部18aは、フィン部18b,18cの開閉方向に沿って突出した第1爪部18dを有する。フィン部18b,18cは、第1爪部18dと係合可能な第2爪部18eを有し、フィン部18b,18cが閉じた状態で第1爪部18dと第2爪部18eは、バーティブラ16a,16bの貫通孔16c,16d内で係合される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動自在に設けられるワイパアームに装着され、ウィンドシールド上を往復払拭動作するワイパブレードであって、
前記ウィンドシールドに接触するリップ部と、前記リップ部と一体に形成された本体部と、を有するブレードラバーと、
前記本体部を保持し、前記ブレードラバーを前記ウィンドシールドの湾曲に合わせて弾性変形させる一対のバーティブラと、
前記一対のバーティブラを保持するホルダ部材と、
前記ホルダ部材の長手方向端部に装着されるエンドキャップと、
を備え、
前記一対のバーティブラのそれぞれは、貫通孔を有し、
前記エンドキャップは、前記ホルダ部材を収容するキャップ本体部と、該キャップ本体部に設けられ、開閉可能な一対のフィン部と、を備え、
前記キャップ本体部は、前記一対のフィン部の開閉方向に沿って突出した第1爪部を有し、
前記一対のフィン部のそれぞれは、前記第1爪部と係合可能な第2爪部を有し、
前記一対のフィン部が閉じた状態で前記第1爪部と前記第2爪部は、前記貫通孔内で係合されることを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
前記一対のフィン部は、該一対のフィン部が開いた状態において、前記キャップ本体部の幅方向における両側端部から前記キャップ本体部の内側に向けて迫り出していることを特徴とする請求項1に記載のワイパブレード。
【請求項3】
前記一対のフィン部は、該一対のフィン部が閉じた状態において、前記貫通孔の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイパブレード。
【請求項4】
揺動自在に設けられるワイパアームに装着され、ウィンドシールド上を往復払拭動作するワイパブレードの組立て方法であって、
前記ワイパブレードは、
前記ウィンドシールドに接触するブレードラバーと、
前記ブレードラバーを前記ウィンドシールドの湾曲に合わせて弾性変形させ、それぞれに貫通孔を備えた一対のバーティブラと、
前記一対のバーティブラを保持するホルダ部材と、
前記ホルダ部材を収容可能であり、第1爪部を有するキャップ本体部と、該キャップ本体部に設けられ、前記第1爪部と係合可能な第2爪部をそれぞれに有し、開閉可能な一対のフィン部と、を備えたエンドキャップと、
から構成され、
(a)前記一対のフィン部が開いた状態で、前記ホルダ部材が装着された前記一対のバーティブラの一部を前記第1爪部の上方に配置する工程と、
(b)前記(a)工程の後、前記一対のバーティブラを前記キャップ本体部に向けて降下させて、前記貫通孔に前記第1爪部が配置されるように前記一対のバーティブラを前記キャップ本体部上に載置する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記一対のフィン部を閉じて前記貫通孔内で前記第1爪部と前記第2爪部とを係合させて前記エンドキャップを前記ホルダ部材の長手方向端部に装着する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記ブレードラバーを前記一対のバーティブラに装着する工程と、
を有することを特徴とするワイパブレードの組立て方法。
【請求項5】
前記(c)工程では、前記一対のフィン部の開閉方向に沿った方向において、前記第1爪部と前記第2爪部とを係合させることを特徴とする請求項4に記載のワイパブレードの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパブレード及びその組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両にはワイパ装置が搭載されている。ワイパ装置は、駆動源であるワイパモータと、ワイパモータの駆動により揺動されるワイパアームと、ワイパアームの先端側に装着されるワイパブレードと、を備えている。そして、ワイパアームの先端部分に回動自在に連結されるアーム連結部材と、アーム連結部材に固定されたバーティブラ(板ばね)と、バーティブラを保持するホルダ部材と、ホルダ部材に保持されたブレードラバーと、を有するワイパブレードが、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたワイパブレードでは、エンドキャップをバーティブラに装着する際に、エンドキャップの端部開口部からバーティブラを挿入し、エンドキャップの突起部にバーティブラの孔部を係合させている。すなわち、エンドキャップの突起部の横方向からバーティブラを挿入して、バーティブラの孔部とエンドキャップの突起部とを係合させている。
【0005】
このようなエンドキャップの装着においては、バーティブラの挿入方向の孔部の大きさと、エンドキャップの突起部の大きさとに十分な差を設けないとバーティブラの孔部へのエンドキャップの突起部の係合がしづらい。
【0006】
一方で、エンドキャップの突起部がバーティブラの孔部に容易に配置可能な程度にバーティブラの孔部を大きくすると、エンドキャップ装着後のバーティブラの孔部とエンドキャップの突起部とのがたつきが大きくなる。このとき、バーティブラは金属製であり、エンドキャップは樹脂製であるため、バーティブラの孔部とエンドキャップの突起部とのがたつきが大きいと、ワイパブレード摺動時の振動によってエンドキャップの突起部が削れ、バーティブラの孔部とエンドキャップの突起部とのがたつきが更に大きくなってワイパブレードの払拭性能を低下させる虞があった。
【0007】
本発明の目的は、払拭性能の低下を抑制しつつ組立て性が向上されたワイパブレード及びその組立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、揺動自在に設けられるワイパアームに装着され、ウィンドシールド上を往復払拭動作するワイパブレードであって、前記ウィンドシールドに接触するリップ部と、前記リップ部と一体に形成された本体部と、を有するブレードラバーと、前記本体部を保持し、前記ブレードラバーを前記ウィンドシールドの湾曲に合わせて弾性変形させる一対のバーティブラと、前記一対のバーティブラを保持するホルダ部材と、前記ホルダ部材の長手方向端部に装着されるエンドキャップと、を備え、前記一対のバーティブラのそれぞれは、貫通孔を有し、前記エンドキャップは、前記ホルダ部材を収容するキャップ本体部と、該キャップ本体部に設けられ、開閉可能な一対のフィン部と、を備え、前記キャップ本体部は、前記一対のフィン部の開閉方向に沿って突出した第1爪部を有し、前記一対のフィン部のそれぞれは、前記第1爪部と係合可能な第2爪部を有し、前記一対のフィン部が閉じた状態で前記第1爪部と前記第2爪部は、前記貫通孔内で係合される。
【0009】
本発明の他の態様は、揺動自在に設けられるワイパアームに装着され、ウィンドシールド上を往復払拭動作するワイパブレードの組立て方法であって、前記ワイパブレードは、前記ウィンドシールドに接触するブレードラバーと、前記ブレードラバーを前記ウィンドシールドの湾曲に合わせて弾性変形させ、それぞれに貫通孔を備えた一対のバーティブラと、前記一対のバーティブラを保持するホルダ部材と、前記ホルダ部材を収容可能であり、第1爪部を有するキャップ本体部と、該キャップ本体部に設けられ、前記第1爪部と係合可能な第2爪部をそれぞれに有し、開閉可能な一対のフィン部と、を備えたエンドキャップと、から構成され、(a)前記一対のフィン部が開いた状態で、前記ホルダ部材が装着された前記一対のバーティブラの一部を前記第1爪部の上方に配置する工程と、(b)前記(a)工程の後、前記一対のバーティブラを前記キャップ本体部に向けて降下させて、前記貫通孔に前記第1爪部が配置されるように前記一対のバーティブラを前記キャップ本体部上に載置する工程と、(c)前記(b)工程の後、前記一対のフィン部を閉じて前記貫通孔内で前記第1爪部と前記第2爪部とを係合させて前記エンドキャップを前記ホルダ部材の長手方向端部に装着する工程と、(d)前記(c)工程の後、前記ブレードラバーを前記一対のバーティブラに装着する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ワイパブレードの払拭性能の低下を抑制しつつワイパブレードの組立て性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のワイパブレードの構造を示す外観図である。
【
図2】
図1に示すA-A線に沿って切断した構造を示す拡大断面図である。
【
図3】
図1に示すB-B線に沿って切断した構造を示す拡大断面図である。
【
図4】
図1に示すワイパブレードに装着されたエンドキャップの構造を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示すC-C線に沿って切断した構造を示す断面図である。
【
図6】
図1に示すワイパブレードにおけるエンドキャップとバーティブラの組付け方法を示す部分斜視図である。
【
図7】
図1に示すワイパブレードにおけるエンドキャップとバーティブラの組付け方法を示す部分斜視図である。
【
図8】
図1に示すワイパブレードにおけるエンドキャップとバーティブラの組付け方法を示す部分斜視図である。
【
図9】
図1に示すワイパブレードにおけるエンドキャップとバーティブラの組付け方法を示す部分斜視図である。
【
図10】
図1に示すワイパブレードにおけるエンドキャップとバーティブラの組付け方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1に示すワイパブレード12は、例えば、自動車等の車両に設けられたガラス(ウィンドシールド、
図2参照)11を払拭するワイパ装置(図示せず)に組付けられる。具体的には、自動車等の車両に揺動自在に設けられるワイパアーム10に装着され、車両のガラス11上を往復払拭動作する細長い構造物であり、ガラス11を払拭するラバー部材を備えている。そして、ワイパブレード12には、連結部13が取り付けられており、この連結部13において、ワイパアーム10に設けられたフック部10aと係合される。つまり、ワイパブレード12は、該ワイパブレード12に組付けられた連結部13において、ワイパアーム10の先端側のフック部10aに回動自在に連結されている。なお、連結部13は、カバー15によって覆われている。一方、ワイパアーム10の基端側には、上記ワイパ装置を形成するワイパモータの出力軸(図示せず)が固定されている。
【0014】
また、ワイパブレード12には、上記ラバー部材としてブレードラバー14が設けられ、このブレードラバー14は、板ばねの機能を有した
図2に示す一対のバーティブラ16によって保持される。一対のバーティブラ16は、
図1に示すホルダ部材17によって覆われ、表面からは見えないようにホルダ部材17に組付けられている。そして、一対のバーティブラ16のそれぞれは、ホルダ部材17によって保持されている。また、ホルダ部材17の長手方向Lの両側端部にエンドキャップ18が装着されている。
【0015】
以上の構成により、車室内等に設けたワイパスイッチをオン操作することで、上記ワイパモータの出力軸が正逆方向に回転してワイパアーム10が揺動する。これにより、ワイパブレード12が備えるブレードラバー14が、
図2に示すガラス11上の所定の範囲を往復払拭動作し、その結果、ガラス11の払拭面に付着した雨水等が払拭される。
【0016】
ここで、ブレードラバー14は、
図2に示すように、ガラス11に接触するリップ部14bと、リップ部14bと一体に形成された本体部14aと、を有している。そして、一対のバーティブラ16a,16bのそれぞれは、細長い板状部材であり、溝部14cにおいてブレードラバー14の本体部14aを保持している。また、一対のバーティブラ16a,16bのそれぞれは、ブレードラバー14をガラス11の湾曲に合わせて弾性変形させるように板ばねの機能を備えている。したがって、バーティブラ16は、金属製であることが好ましい。
【0017】
また、バーティブラ16a,16bは、両側の端部付近に貫通孔16c,16dを有している。具体的には、バーティブラ16aの両側の端部付近には長孔の貫通孔16cが設けられ、一方、バーティブラ16bの両側の端部付近には同じく長孔の貫通孔16dが設けられている。
【0018】
また、
図3に示すように、一対のバーティブラ16a,16bのそれぞれを保持するホルダ部材17は、ホルダ本体部17aと、ホルダ本体部17aに接合し、一対のバーティブラ16a,16bを保持する保持部17bと、からなる。保持部17bは、互いに対向して配置されたU字状の溝部17cを備えており、一方の溝部17cにバーティブラ16aが配置されて保持され、他方の溝部17cにバーティブラ16bが配置されて保持されている。
【0019】
次に、本実施の形態のワイパブレード12に組付けられるエンドキャップ18の詳細構造について説明する。
【0020】
図4及び
図5に示すように、エンドキャップ18は、
図3に示すホルダ部材17を収容可能なキャップ本体部18aと、キャップ本体部18aに設けられ、開閉可能な一対のフィン部18b,18cと、を備えている。すなわち、エンドキャップ18は、ホルダ部材17を覆うとともにホルダ部材17の端部を収容可能な部分を有したキャップ本体部18aと、キャップ本体部18aに設けられ、それぞれに開閉可能な部分である一対のフィン部18b,18cと、を備えている。
【0021】
また、キャップ本体部18aは、
図5に示すように、一対のフィン部18b,18cの開閉方向Zに沿って突出した第1爪部18dを有している。一方、一対のフィン部18b,18cのそれぞれは、第1爪部18dと係合可能な第2爪部18eを有している。
【0022】
そして、
図2に示すように、一対のフィン部18b,18cが閉じた状態において第1爪部18dと第2爪部18eは、一対のバーティブラ16a,16bの貫通孔16c,16d内でそれぞれ係合される。
【0023】
なお、
図5に示すように、一対のフィン部18b,18cのそれぞれは、一対のフィン部18b,18cが開いた状態において、キャップ本体部18aの延在方向Y(
図4参照)に直交する幅方向Xにおける両側の端部18fからキャップ本体部18aの内側に向けて迫り出している。言い換えると、一対のフィン部18b,18cのそれぞれは、一対のフィン部18b,18cが開いた状態において、キャップ本体部18aの両側の端部18fより内側に配置されている。つまり、開閉可能な一対のフィン部18b,18cをキャップ本体部18aの幅方向Xの大きさの範囲内に収めることができる。
【0024】
したがって、成形金型によってエンドキャップ18を樹脂成形する際に、エンドキャップ18における一対のフィン部18b,18cが開いた状態においても一対のフィン部18b,18cはキャップ本体部18aの幅方向Xの大きさの範囲内に収まるため、成形金型の大きさをキャップ本体部18aの幅方向Xの大きさより若干大きい程度に収めることができる。その結果、成形金型の小型化を図ることができる。
【0025】
また、エンドキャップ18における一対のフィン部18b,18cは、
図2に示すように、この一対のフィン部18b,18cが閉じた状態において、一対のバーティブラ16a,16bの貫通孔16c,16dの少なくとも一部を覆っている。具体的には、一対のフィン部18b,18cが閉じた状態(第1爪部18dと第2爪部18eとが係合した状態)において、バーティブラ16aの貫通孔16cには第1爪部18d及び第2爪部18eが配置されるとともに、バーティブラ16aの貫通孔16cは、フィン部18bによって覆われる。一方、バーティブラ16bの貫通孔16dにも第1爪部18d及び第2爪部18eが配置されるとともに、バーティブラ16bの貫通孔16dは、フィン部18cによって覆われる。
【0026】
さらに詳細に述べると、エンドキャップ18における一対のフィン部18b,18cのそれぞれは、キャップ本体部18aに設けられたフィン部本体18i,18jと、フィン部本体18i,18jからキャップ本体部18aの内側に向けてさらに迫り出した迫り出し部18g,18hと、を備えている。そして、一対のフィン部18b,18cが閉じた状態において、迫り出し部18g,18hが一対のバーティブラ16a,16bの貫通孔16c,16dそれぞれの少なくとも一部を覆っている。
【0027】
具体的には、フィン部18bは、キャップ本体部18aに設けられたフィン部本体18iと、フィン部本体18iからキャップ本体部18aの内側に向けてさらに迫り出した迫り出し部18gと、を備えている。一方、フィン部18cは、キャップ本体部18aに設けられたフィン部本体18jと、フィン部本体18jからキャップ本体部18aの内側に向けてさらに迫り出した迫り出し部18hと、を備えている。そして、一対のフィン部18b,18cが閉じた状態において、フィン部18bの迫り出し部18gがバーティブラ16aの貫通孔16cの少なくとも一部を覆っており、かつ、フィン部18cの迫り出し部18hがバーティブラ16bの貫通孔16dの少なくとも一部を覆っている。
【0028】
これにより、バーティブラ16a,16bの貫通孔16c,16dがエンドキャップ18のフィン部18b,18cによってある程度覆われるため、貫通孔16c,16dで発生する錆などの汚れを隠すことができ、ワイパブレード12の外観性が損なわれることを抑制できる。
【0029】
なお、一対のフィン部18b,18cが閉じられた状態において、フィン部18bの迫り出し部18gとフィン部18cの迫り出し部18hのそれぞれの一部は、ブレードラバー14の溝部14dに配置されている。
【0030】
次に、本実施の形態のワイパブレード12の組立て手順について説明する。
【0031】
まず、
図3に示すように、ホルダ部材17の保持部17bのU字状の溝部17cに、一対のバーティブラ16a,16bを装着する。バーティブラ16a,16bを装着した後、
図6に示すように、一対のフィン部18b,18cが開いた状態で、ホルダ部材17が装着された一対のバーティブラ16a,16b(
図7参照)を、キャップ本体部18aの第1爪部18dの上方に配置する。その際、一対のバーティブラ16a,16bの貫通孔16c,16dのそれぞれを、
図7に示すように第1爪部18dの上方に配置する。このとき、一対のフィン部18b,18cが開いており、第1爪部18dの上方に十分なスペースが空いているため、第1爪部18dの上方に一対のバーティブラ16a,16bの先端部を配置することが可能である。
【0032】
一対のバーティブラ16a,16bをキャップ本体部18aの第1爪部18dの上方に配置した後、一対のバーティブラ16a,16bをキャップ本体部18aに向けて降下させて第1爪部18dが貫通孔16c,16dのそれぞれに配置されるようにバーティブラ16a,16bをキャップ本体部18a上に載置する。すなわち、第1爪部18dの直上に貫通孔16c,16dが配置された状態で、一対のバーティブラ16a,16bを第1爪部18dの上方から降下方向Qに沿って降下させ、
図8及び
図10に示すように、貫通孔16c,16dのそれぞれに第1爪部18dが配置されるように一対のバーティブラ16a,16bをキャップ本体部18a上に載置する。
【0033】
一対のバーティブラ16a,16bをキャップ本体部18a上に載置した後、
図9に示すように、閉方向Rに従って一対のフィン部18b,18cを閉じる。これにより、
図2に示すように、貫通孔16c,16dのそれぞれにおいて第1爪部18dと第2爪部18eとを係合させる。なお、第1爪部18dと第2爪部18eとの係合は、一対のフィン部18b,18cの開閉方向Z(
図5参照)に沿った方向である
図10に示す係合方向Sにおいて行われる。ここで、第1爪部18dと第2爪部18eとの係合方向Sは、
図9に示すバーティブラ16の延在方向Pと直交する方向である。
【0034】
第1爪部18dと第2爪部18eの係合により、ホルダ部材17のキャップ本体部18aへの収容、及びエンドキャップ18のホルダ部材17の長手方向Lの端部への装着を完了する。
【0035】
そして、ホルダ部材17の両側の端部にエンドキャップ18を装着した後、ブレードラバー14を一対のバーティブラ16a,16bに装着する。ここでは、一方のエンドキャップ18においてバーティブラ16aとバーティブラ16bとの隙間Dからブレードラバー14の本体部14aを挿入するとともに、他方のエンドキャップ18の位置までブレードラバー14をスライドさせながら押し込む。その後、一方のエンドキャップ18の位置までブレードラバー14の端部を引き戻すことで、ブレードラバー14のバーティブラ16a,16bへの装着を完了する。これにより、
図3に示すように、ブレードラバー14の本体部14aが一対のバーティブラ16a,16bによって保持される。
【0036】
以上により、ワイパブレード12の組立てを完了する。
【0037】
本実施の形態のワイパブレード12の組立てにおいては、エンドキャップ18をバーティブラ16a,16bに装着する際に、一対のフィン部18b,18cを開いた状態とし、第1爪部18dの上方に十分なスペースが確保された状態で第1爪部18dの上方に一対のバーティブラ16a,16bの先端部付近を配置する。そして、バーティブラ16a,16bを配置した後、第1爪部18dの上方からバーティブラ16a,16bをキャップ本体部18aに向けて降下させることで、第1爪部18dが貫通孔16c,16dのそれぞれに配置されるようにバーティブラ16a,16bをキャップ本体部18a上に載置させることができる。
【0038】
したがって、第1爪部18dに対して上方から貫通孔16c,16dの部分を降下させて貫通孔16c,16dのそれぞれに第1爪部18dを配置させることができる。これにより、バーティブラ16a,16bの延在方向Pにおいて、貫通孔16c,16dの大きさに対する第1爪部18dの大きさを、貫通孔16c,16dより僅かに小さい程度に抑えることができる。すなわち、第1爪部18dの貫通孔16c,16dに対するがたつきを最小限に留めることができる。
【0039】
なお、バーティブラ16a,16bは金属製材料からなり、エンドキャップ18は樹脂系材料からなるため、第1爪部18dと貫通孔16c,16dのがたつきが大きいと、ワイパブレード12の摺動時の振動によりエンドキャップ18の第1爪部18dが削れ、バーティブラ16a,16bのそれぞれの貫通孔16c,16dとエンドキャップ18の第1爪部18dとのがたつきが更に大きくなる。その結果、ワイパブレード12の払拭性能が低下する虞があったが、本実施の形態のワイパブレード12の組立てによれば、第1爪部18dの貫通孔16c,16dに対するがたつきを最小限に留めることができるため、ワイパブレード12の払拭性能の低下を抑制しつつ、ワイパブレード12の組立て性を向上させることができる。
【0040】
また、第1爪部18dと第2爪部18eの係合方向Sは、バーティブラ16a,16bの延在方向Pと直交する方向である。すなわち、第1爪部18dと第2爪部18eの係合形態が、フィン部18b,18cの開閉方向Z(
図5参照)と同方向における上下両側からの両持ち梁の形態であるため、第1爪部18dと第2爪部18eとの係合により、エンドキャップ18のバーティブラ16からの抜け力に対する強度を高めることができる。すなわち、エンドキャップ18を抜けづらくすることができる。
【0041】
また、本実施の形態のワイパブレード12の組立てでは、エンドキャップ18の装着を第1爪部18dと第2爪部18eとの係合による装着としたことにより、エンドキャップ18を着脱可能にすることが可能である。そして、エンドキャップ18の着脱を容易に行うことができるため、消耗品であるブレードラバー14の交換も容易に行うことが可能になる。
【0042】
また、本実施の形態のエンドキャップ18の構造では、一対のフィン部18b,18cを開閉することが可能なため、一対のフィン部18b,18cを開いた状態とすることができ、その際、
図5に示すように、エンドキャップ18のキャップ本体部18aの上方に十分なスペースを確保することができる。具体的には、エンドキャップ18のキャップ本体部18aの上方のフィン部18b,18cとの間に、高さH1や高さH2のスペースを確保することができる。
【0043】
これにより、エンドキャップ18を樹脂成形する成形金型において、スライド部分の板厚を大きく設定することが可能になり、上記成形金型のメンテナンス頻度を少なくすることができる。
【0044】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、ワイパブレード12を自動車等の車両のガラスを払拭するワイパ装置に適用する場合について説明したが、自動車等の車両に限定されることはなく、船舶、航空機、鉄道車両等に搭載されるワイパ装置にも適用することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10:ワイパアーム,10a:フック部,11:ガラス(ウィンドシールド),12:ワイパブレード,13:連結部,14:ブレードラバー,14a:本体部,14b:リップ部,14c,14d:溝部,15:カバー,16,16a,16b:バーティブラ,16c,16d:貫通孔,17:ホルダ部材,17a:ホルダ本体部,17b:保持部,17c:溝部,18:エンドキャップ,18a:キャップ本体部,18b,18c:フィン部,18d:第1爪部,18e:第2爪部,18f:端部,18g,18h:迫り出し部,18i,18j:フィン部本体