IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープディスプレイテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図1
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図2
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図3
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図4
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図5
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図6
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図7
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図8
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図9
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図10
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図11
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図12
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図13
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図14
  • 特開-タッチパネルシステム及び表示装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166512
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】タッチパネルシステム及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221026BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/044 126
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071772
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 武紀
(72)【発明者】
【氏名】木田 和寿
(72)【発明者】
【氏名】山岸 慎治
(72)【発明者】
【氏名】山本 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】杉田 靖博
(72)【発明者】
【氏名】福島 浩
(57)【要約】
【課題】指示体の位置及び押圧の大きさを同時に検出することが可能なタッチパネルシステムと、当該タッチパネルシステムを備えた表示装置を提供する。
【解決手段】タッチパネルシステムSは、ドライブ電極、位置検出電極及び押圧検出電極を備えたタッチパネル1と、ドライブ電極に駆動信号を与え位置検出電極及び押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラ2と、を備える。コントローラ2は、位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体の位置を検出し、押圧検出電極から得られた信号値のうち、検出した指示体の位置に応じた押圧検出範囲内の信号値に基づいて、指示体による押圧の大きさを算出する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブ電極、位置検出電極及び押圧検出電極を備えたタッチパネルと、
前記ドライブ電極に駆動信号を与え、前記位置検出電極及び前記押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体の位置を検出し、前記押圧検出電極から得られた信号値のうち、検出した前記指示体の位置に応じた押圧検出範囲内の信号値に基づいて、前記指示体による押圧の大きさを算出する、タッチパネルシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記位置検出電極と前記押圧検出電極のそれぞれから得られる信号値を1つのニ次元座標系の異なる領域に配置して組み合わせた入力データに基づいて、前記指示体の位置及び前記指示体による押圧の大きさを算出する、請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記位置検出電極から得られた信号値で構成された位置検出マップ内から前記指示体の位置を検出し、前記押圧検出電極から得られた信号値で構成された押圧検出マップ内であって前記指示体の位置に対応した位置を含む前記押圧検出範囲を設定する、請求項2に記載のタッチパネルシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記押圧検出範囲内の信号値に基づいた暫定値を増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出する、請求項1~3のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記指示体の接触範囲が広いほど、前記暫定値を大きく増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出する、請求項4に記載のタッチパネルシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、検出した前記指示体の位置が含まれる位置検出範囲内で、前記指示体が接触していることを示す信号値の数が多いほど、前記暫定値を大きく増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出する、請求項5に記載のタッチパネルシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、検出した前記指示体の位置が含まれる位置検出範囲内で、前記指示体が接触していることを示す信号値の合計が大きいほど、前記暫定値を大きく増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出する、請求項5に記載のタッチパネルシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記指示体の位置に応じた調整値により、前記押圧検出範囲内の信号値に基づいた暫定値を調整して、前記指示体による押圧の大きさを算出する、請求項1~3のいずれか1項に記載のタッチパネルシステム。
【請求項9】
前記調整値は、前記タッチパネルの複数の箇所に対して、一定の接触面積である前記指示体を一定の力で押圧することで得られる前記暫定値の差異が低減されるように設定されている、請求項8に記載のタッチパネルシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記指示体の接触範囲が第1切替値以上の場合、前記暫定値を増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出し、
前記指示体の接触範囲が、前記第1切替値よりも小さい第2切替値以下の場合、前記調整値により前記暫定値を調整して前記指示体による押圧の大きさを算出する、請求項8または9に記載のタッチパネルシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のタッチパネルシステムと、
画像を表示する表示部と、を備え、
前記表示部が画像を表示する表示面上に、前記タッチパネルが配置されている、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指やタッチペンなどの指示体の位置及び押圧の大きさを検出するタッチパネルシステムと、当該タッチパネルシステムを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、相互容量方式のタッチパネルが普及している。相互容量方式のタッチパネルは、駆動信号が入力されるドライブ電極と、検出電極とを備える。このタッチパネルでは、指示体がドライブ電極と検出電極のそれぞれと容量結合することで、両電極間の静電容量が低下し、検出電極の信号が変化する。この検出電極の信号の変化に基づいて、指示体の位置が検出される。
【0003】
例えば、特許文献1では、主センサと副センサの2種類の検出電極から得られた信号の差分値を積分(累積加算)することで、ノイズの影響を低減して指示体の位置を精度良く検出するタッチパネルシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-179035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
指示体の位置及び押圧の大きさを検出可能な構成のタッチパネルは、これらを検出するための電極が別々に設けられていることがある。このようなタッチパネルに、特許文献1に記載されているような従来のコントローラを組み合わせたとしても、指示体の位置と押圧を同時に検出することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、指示体の位置及び押圧の大きさを同時に検出することが可能なタッチパネルシステムと、当該タッチパネルシステムを備えた表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るタッチパネルシステムは、ドライブ電極、位置検出電極及び押圧検出電極を備えたタッチパネルと、前記ドライブ電極に駆動信号を与え、前記位置検出電極及び前記押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体の位置を検出し、前記押圧検出電極から得られた信号値のうち、検出した前記指示体の位置に応じた押圧検出範囲内の信号値に基づいて、前記指示体による押圧の大きさを算出する。
【発明の効果】
【0008】
上記構成のタッチパネルシステムでは、コントローラが、指示体の位置を検出するとともに、当該位置に応じた押圧検出範囲の信号値に基づいて押圧値を算出する。したがって、タッチパネルシステムは、指示体の位置及び押圧の大きさを同時に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係るタッチパネルシステムSの構成を示すブロック図である。
図2図2は、タッチパネル1が備える電極の構成を示す平面図である。
図3図3は、タッチパネル1が備える電極の構成を示す平面図である。
図4図4は、図2及び図3のA-A断面を示す断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係るタッチパネルシステムSを備えた表示装置Pの構成を示す断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。
図7図7は、コントローラ2が処理する入力データIDの構成例を示す模式図である。
図8図8は、コントローラ2による指示体の詳細位置の算出方法を示す模式図である。
図9図9は、第2実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。
図10図10は、第3実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。
図11図11は、第4実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。
図12図12は、第5実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。
図13図13は、タッチパネル1が備える電極の構成を示す平面図である。
図14図14は、調整値の設定方法の一例を示す図である。
図15図15は、第6実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。また、以下において参照する図面では、各種電極を識別し易くするために、各種電極にハッチングを付して表示している。
【0011】
[第1実施形態]
最初に、タッチパネルシステムSの構成について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るタッチパネルシステムSの構成を示すブロック図である。図1に示すように、タッチパネルシステムSは、タッチパネル1と、コントローラ2を備える。
【0012】
タッチパネル1は、後述のように、ドライブ電極、位置検出電極及び押圧検出電極を備える。コントローラ2は、ドライブ電極に駆動信号を与え、位置検出電極及び押圧検出電極のそれぞれから信号を取得し、指示体の位置及び押圧の大きさを含む出力データを生成する。出力データは、例えばタッチパネルシステムSを備えた表示装置が備える制御部において、表示装置が表示する画像の制御などに利用される。
【0013】
次に、タッチパネル1の構成について図面を参照して説明する。図2図4は、第1実施形態に係るタッチパネル1の概略構成を示す図である。図2及び図3は、第1実施形態に係るタッチパネル1が備える電極の構成を示す平面図である。図4は、図2及び図3のA-A断面を示す断面図である。なお、図示の便宜上、タッチパネル1が備える電極を、図2及び図3に分けて図示しているが、図4に示す通り、図2及び図3に図示した電極は積層されている。
【0014】
図4に示すように、タッチパネル1は、第1基板10、ドライブ電極11、浮島電極12、第2基板20、位置検出電極21、押圧検出電極22、シールド電極23及び誘電体層30を備える。例えば、第1基板10及び第2基板20は、ガラス・PET(Polyethylene terephthalate)フイルムなどの透明な材料で構成される。また、ドライブ電極11、浮島電極12、位置検出電極21、押圧検出電極22及びシールド電極23は、ITO(Indium Tin Oxide)などの導電性のある透明な材料で構成される。また、誘電体層30は、高分子材料、OCA(Optical Clear Adhesive)、OCR(Optical Clear Resin)などの弾性を有する透明な材料で構成される。
【0015】
第1基板10及び第2基板20は、第1基板10の第1表面101と第2基板20の第2表面201が対向するように配置されている。ドライブ電極11は、駆動信号が与えられる電極であり、第1表面101に形成されている。浮島電極12は、フローティングの状態であり、第1表面101に形成されている。
【0016】
位置検出電極21は、指示体の位置を検出するための電極であり、第2表面201に形成されている。押圧検出電極22は、指示体による押圧の大きさを検出するための電極であり、第2表面201に形成されている。シールド電極23は、接地電位または位置検出電極21もしくは押圧検出電極22に与えられる電位と等しい電位が与えられるか、フローティングの状態であり、第2表面201に形成されている。
【0017】
図2に示すように、ドライブ電極11は、複数の菱形状の電極がその対角線方向に連結された形状(ダイヤパターン)になっている。また、浮島電極12は、連結されていない複数の菱形状電極で構成されている。
【0018】
図3に示すように、位置検出電極21は、ドライブ電極11と同様に、複数の菱形状の電極が連結されたダイヤパターンである。また、押圧検出電極22も、複数の菱形状の電極が連結されたダイヤパターンである。位置検出電極21及び押圧検出電極22は、菱形状の電極のそれぞれの連結方向が平行であり、当該連結方向と垂直な方向に対して交互に配置されている。位置検出電極21及び押圧検出電極22のそれぞれにおける菱形状の電極の連結方向は、ドライブ電極11における菱形状の電極の連結方向に対して垂直である。
【0019】
また、図3及び図4に示すように、シールド電極23は、位置検出電極21及び押圧検出電極22の間に配置されている。例えば、シールド電極23は、位置検出電極21及び押圧検出電極22を隔てるように、これらの間に配置されている。
【0020】
第1基板10から第2基板20を見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において、ドライブ電極11は、押圧検出電極22の少なくとも一部を覆っている。なお、図2図4に例示するタッチパネル1では、平面視において、ドライブ電極11を構成する1つの菱形状の電極が、押圧検出電極22を構成する1つの菱形状の電極を包含している。同様に、平面視において、浮島電極12を構成する1つの菱形状の電極が、位置検出電極21を構成する1つの菱形状の電極を包含している。
【0021】
次に、タッチパネル1の動作について図面を参照して説明する。図4では、指示体Fと各種電極の間で生じる容量結合や各種電極間で生じる容量結合に対応する電気力線を、破線で示している。図4に示すように、指示体Fが、第1基板10の第1表面101とは反対側の面に接触すると、ドライブ電極11と浮島電極12が容量結合する。このとき、浮島電極12と位置検出電極21が容量結合しているため、浮島電極12を介してドライブ電極11と位置検出電極21が容量結合する。これにより、指示体Fを介してドライブ電極11と位置検出電極21の間の静電容量が減少し、位置検出電極21で検出される信号が変化することで、指示体Fの位置が検出される。
【0022】
また、図4に示すように、ドライブ電極11と押圧検出電極22は容量結合している。ここで、指示体Fによって第1基板10が押圧されると、誘電体層30が弾性を有する材料であるため、ドライブ電極11と押圧検出電極22との距離が短くなる。これにより、両電極11,22間の静電容量が増加し、押圧検出電極22において検出される信号が変化することで、押圧の大きさが検出される。
【0023】
指示体Fにより第1基板10が押圧されると、ドライブ電極11と位置検出電極21との距離が短くなる。しかし、ドライブ電極11は、位置検出電極21よりもシールド電極23の方に近いため、シールド電極23の方に容量結合し易い。そのため、ドライブ電極11と位置検出電極21の間の静電容量が増大し難くなり、指示体Fによる両電極11,21間の静電容量の減少分が相殺され難くなる。
【0024】
また、指示体Fから押圧検出電極22に至るまでの経路上において、指示体Fは、押圧検出電極22よりもシールド電極23の方に近いため、シールド電極23に容量結合し易い。そのため、指示体Fがドライブ電極11と押圧検出電極22のそれぞれと容量結合することが抑制され、両電極間の静電容量が変動することが抑制される。
【0025】
タッチパネルシステムSは、例えば表示装置に備えられる。図5は、第1実施形態に係るタッチパネルシステムSを備えた表示装置Pの構成を示す断面図である。図5に示すように、表示装置Pは、タッチパネル1と、表示面401に画像を表示する表示部40を備える。表示部40は、例えば、液晶ディスプレイや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される。タッチパネル1は、第2基板20が表示部40側になるようにして、表示部40の表示面401上に配置される。
【0026】
次に、コントローラ2による、指示体Fの位置及び押圧の大きさの検出方法について、図面を参照して説明する。図6は、第1実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体Fの位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。図7は、コントローラ2が処理する入力データIDの構成例を示す模式図である。
【0027】
図6に示すように、コントローラ2は、最初に入力データIDを取得する(ステップ#1)。このとき、コントローラ2は、ドライブ電極11に駆動信号を与え、位置検出電極21及び押圧検出電極22のそれぞれから信号を取得することで、入力データIDを取得する。
【0028】
ここで、入力データIDについて図面を参照して説明する。図7に例示する入力データIDは、ドライブ電極11が15本、位置検出電極21及び押圧検出電極22がそれぞれ32本である場合に得られるデータである。入力データIDは、(X,Y)の二次元座標で表された要素を有するデータである。X方向はドライブ電極11が並ぶ方向であり、Y方向は位置検出電極21及び押圧検出電極22が並ぶ方向である。なお、以下では、Yの値が増大する方向を下、減少する方向を上と表現する。
【0029】
入力データIDは、位置検出電極21と押圧検出電極22のそれぞれから得られる信号値を1つのニ次元座標系の異なる領域に配置して組み合わせたデータである。図7に例示する入力データIDは、Y方向の中央部分に2行分のダミーを挟んで、位置検出電極21から得られた信号値が並べられた位置検出マップTMが上側、押圧検出電極22から得られた信号値が並べられた押圧検出マップFMが下側となるように、それぞれ異なる領域に配置されている。図3及び図4に示したように、位置検出電極21及び押圧検出電極22は交互に並んでいるが、入力データIDではそれぞれの電極から得られた信号値が分離されて配置されている。図7に例示する入力データIDにおいて、タッチパネル1上のある角を原点としてX本目のドライブ電極11とY本目の位置検出電極21で形成される静電容量に対応した信号値は、(X,Y)の要素になる。一方、X本目のドライブ電極11と、Y本目の押圧検出電極22で形成される静電容量に対応した信号値は、(X,Y+34)の要素になる。
【0030】
以下、入力データIDが、タッチパネル1の表面が指示体Fによって押圧された場合、位置検出マップTM内における指示体Fの接触部分の中心付近に相当する要素の信号値が正の値に大きくなるとともに、押圧検出マップFM内においても指示体Fの接触部分の中心付近に相当する要素の信号値が正の値に大きくなる場合を例に挙げて説明する。
【0031】
次に、コントローラ2は、入力データIDの位置検出マップTM内から、指示体Fの位置TPを検出する(ステップ#2)。例えば、コントローラ2は、位置検出マップTM内の要素のうち、信号値が所定の閾値以上かつ位置検出マップTM内で最大となる要素を、指示体Fの位置TPとして検出する。なお、コントローラ2は、位置検出マップTM内に、信号値が閾値以上の要素がない場合、タッチパネル1に接触している指示体Fは存在しないものと判断して、その旨を示す出力データを出力してもよい。
【0032】
次に、コントローラ2は、指示体Fの詳細位置を算出する(ステップ#3)。コントローラ2による詳細位置の算出方法について、図8を参照して説明する。図8は、コントローラ2による指示体の詳細位置の算出方法を示す模式図である。なお、図8では、指示体Fの位置TPを(0,0)としている。
【0033】
図7及び図8に示すように、コントローラ2は、ステップ#2で検出した指示体Fの位置TPを含むようにA×Bの大きさの位置検出範囲TRを設定する。図7及び図8では、指示体Fの位置TPを中心として、5×5の領域を位置検出範囲TRとして設定する場合を例示している。なお、指示体Fの位置TPを中心として5×5の位置検出範囲TRを設定すると一部が位置検出マップTMからはみ出す場合、位置検出範囲TRが、はみ出す部分が削除されて5×5よりも小さくなるように設定されてもよいし、5×5の大きさであるが指示体Fの位置TPが中心からずれることで位置検出マップTM内に収まるように設定されてもよい。
【0034】
コントローラ2は、位置検出範囲TR内における信号値D(X,Y)を、Y方向に累積加算することで、信号値C(X,Y)を算出する。具体的に、コントローラ2は、信号値C(X,Y)を、C(X,Y)=C(X,Y-1)+D(X,Y)で算出する。ただし、コントローラ2は、信号値C(X,Y)の算出にあたり、C(X,Y-1)を算出することができない位置検出範囲TRの上端の要素については、C(X,Y)=D(X,Y)とする。
【0035】
コントローラ2は、算出した信号値C(X,Y)について、信号値の大きさと座標(X,Y)に基づいて重心位置を算出し、この重心位置を指示体Fの詳細位置とする。このように指示体Fの詳細位置を算出すると、座標(X,Y)の間に存在する指示体Fの位置を検出することができるため、指示体Fの位置を検出する分解能を向上させることができる。
【0036】
次に、コントローラ2は、入力データIDの押圧検出マップFM内に、押圧検出範囲FRを設定する(ステップ#4)。図7に示すように、コントローラ2は、ステップ#2で検出した指示体Fの位置TPを含むようにC×Dの大きさの押圧検出範囲FRを設定する。図7では、指示体Fの位置TPに対応した押圧検出マップFM内の位置FPを中心として、5×5の領域を押圧検出範囲FRとして設定する場合を例示している。図7に示す例の場合、位置FPのX座標は位置TPと同じであり、位置FPのY座標は位置TPのY座標に34を加算した値になる。なお、位置FPを中心として5×5の押圧検出範囲FRを設定すると一部が押圧検出マップFMからはみ出す場合、押圧検出範囲FRが、はみ出す部分が削除されて5×5よりも小さくなるように設定されてもよいし、5×5の大きさであるが位置FPを中心とせず押圧検出マップFM内に収まるように設定されてもよい。
【0037】
次に、コントローラ2は、押圧検出範囲FR内の信号値に基づいて、指示体Fによる押圧の大きさである押圧値を算出する(ステップ#5)。例えば、コントローラ2は、押圧検出範囲FR内の信号値の絶対値を合算して、押圧値を算出する。なお、押圧検出範囲FRの設定方法を含む押圧値の算出方法は、例えば、一定の接触面積である指示体Fを、押しつける力を変えながらタッチパネル1に押しつけたときに、押圧値が押しつけた力に比例する値になるようにすると好ましい。
【0038】
最後に、コントローラ2は、指示体Fの詳細位置と押圧値を含む出力データを生成し、出力する(ステップ#6)。
【0039】
以上のように、タッチパネルシステムSでは、コントローラ2が、指示体Fの位置TPを検出するとともに、当該位置TP(位置FP)に応じた押圧検出範囲FRの信号値に基づいて押圧値を算出する。したがって、タッチパネルシステムSは、指示体Fの位置及び押圧の大きさを同時に検出することができる。
【0040】
また、タッチパネルシステムSでは、入力データIDが、位置検出電極21と押圧検出電極22のそれぞれから得られる信号値を1つのニ次元座標系の異なる領域に配置して組み合わせた構成である。したがって、従来の指示体Fの位置のみを検出するコントローラの設計を変更するだけで、タッチパネルシステムSに適用可能なコントローラ2を得ることができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、コントローラ2による押圧値の算出方法が第1実施形態と異なる。そこで、以下では、第2実施形態における押圧値の算出方法を説明する。
【0042】
図9は、第2実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。図9に示すように、コントローラ2は、指示体Fによる押圧の大きさの暫定値を算出する(ステップ#51)。このとき、コントローラ2は、第1実施形態の押圧値と同様の算出方法により、この暫定値を算出する。
【0043】
次に、コントローラ2は、暫定値を増幅して押圧値を算出する(ステップ#52)。暫定値の増幅方法は任意である。例えば、コントローラ2は、暫定値に増幅率を乗じた後、オフセット値を加算または減算して、押圧値を算出してもよい。
【0044】
以上のように、タッチパネルシステムSでは、コントローラ2が、暫定値を増幅して押圧値を算出する。したがって、タッチパネルシステムSは、指示体Fが押圧する大きさに対応した押圧値を精度よく算出することができる。
【0045】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態も、第2実施形態と同様に暫定値を増幅して押圧値を算出するものであるが、その増幅方法に特徴がある。そこで、以下では、第3実施形態における暫定値の増幅方法について説明する。
【0046】
図10は、第3実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。図10に示すように、コントローラ2は、図8に示した指示体Fの詳細位置を算出するための位置検出範囲TR内における信号値C(X,Y)において、第1閾値以上となる信号値C(X,Y)の数が多いほど、大きく増幅した押圧値を算出する(ステップ#521)。例えば、コントローラ2は、第1閾値以上となる信号値C(X,Y)の数が多いほど、暫定値に乗じる増幅率を大きくする。なお、この増幅率は、第1閾値以上となる信号値C(X,Y)の数の増大に応じて連続的に増大してもよいし、段階的に増大してもよい。また、コントローラ2は、暫定値に増幅率を乗じた後、当該増幅率に応じたオフセット値を加算または減算して、押圧値を算出してもよい。
【0047】
指示体Fの接触範囲が大きくなるほど、指示体による押圧の力は広範囲に分散されるため、結果的に算出される押圧値が小さくなる場合が生じ得る。第3実施形態に係るタッチパネルシステムSでは、コントローラ2が、上記のように暫定値を増幅して押圧値を算出することで、指示体Fの接触範囲が大きくなった場合に押圧値が小さくなることを防止する。
【0048】
以上のように、タッチパネルシステムSでは、コントローラ2が、第1閾値以上となる信号値C(X,Y)の数が多いほど、暫定値を大きく増幅する。したがって、タッチパネルシステムSは、指示体Fの接触範囲が大きくなったとしても、精度よく押圧値を算出することができる。
【0049】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態も、第2及び第3実施形態と同様に暫定値を増幅して押圧値を算出するものであるが、増幅方法が第3実施形態とは異なる。そこで、以下では、第4実施形態における暫定値の増幅方法を説明する。
【0050】
図11は、第4実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。図11に示すように、コントローラ2は、図8に示した指示体Fの詳細位置を算出するための位置検出範囲TR内における信号値C(X,Y)において、第2閾値以上となる信号値C(X,Y)の合計が大きいほど、大きく増幅した押圧値を算出する(ステップ#522)。例えば、コントローラ2は、第2閾値以上となる信号値C(X,Y)の合計が大きいほど、暫定値に乗じる増幅率を大きくする。なお、この増幅率は、第2閾値以上となる信号値C(X,Y)の合計の増大に応じて連続的に増大してもよいし、段階的に増大してもよい。また、コントローラ2は、暫定値に増幅率を乗じた後、当該増幅率に応じたオフセット値を加算または減算して、押圧値を算出してもよい。また、第2閾値は0であってもよい。
【0051】
第3実施形態と同様に、第4実施形態に係るタッチパネルシステムSも、コントローラ2が、上記のように暫定値を増幅して押圧値を算出することで、指示体Fの接触範囲が大きくなった場合に押圧値が小さくなることを防止する。
【0052】
以上のように、タッチパネルシステムSでは、コントローラ2が、第1閾値以上となる信号値C(X,Y)の数が多いほど、暫定値を大きく増幅する。したがって、タッチパネルシステムSは、指示体Fの接触範囲が大きくなったとしても、精度よく押圧値を算出することができる。
【0053】
また、第4実施形態では、信号値C(X,Y)の合計に応じて増幅の大きさを決定するため、信号値C(X,Y)の数に応じて増幅の大きさを決定する場合と異なり、1つの信号値C(X,Y)の僅かな違いによって増幅の大きさが異なることを防止することができる。したがって、さらに精度よく押圧値を算出することができる。
【0054】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態も、第2ないし第4実施形態と同様に暫定値に基づいて押圧値を算出するものであるが、その算出方法が第2ないし第4実施形態とは異なる。そこで、以下では、第5実施形態における暫定値の算出方法を説明する。
【0055】
図12は、第5実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。図12に示すように、コントローラ2は、第2ないし第4実施形態と同様に暫定値を算出した後(ステップ#51)、指示体の位置に応じた調整値により暫定値を調整して押圧値を算出する(ステップ#523)。
【0056】
ここで、調整値について説明する。図13は、タッチパネル1が備える電極の構成を示す平面図であり、図3と同様の電極の構成を示す図である。図13に示すように、位置検出電極21及び押圧検出電極22のそれぞれは、対角線が直線上に並ぶように連なった複数の菱形状の幅広部211,221で構成されており、この複数の幅広部211,221が互い違いになるように、複数本の位置検出電極21及び押圧検出電極22が交互に配置されている。また、位置検出電極21及び押圧検出電極22は、平面内で繰返パターンUが連続した形状である。なお、図13に例示する繰返パターンUは、幅広部211の連結部分を中心として2分の1に分割された幅広部211,221が2つずつ含まれるものであるが、これとは異なる部分(例えば、幅広部221の連結部分を中心として2分の1に分割された幅広部211,221が2つずつ含まれる部分、幅広部211を中心として4分の1に分割された幅広部221が4つ含まれる部分、幅広部221を中心として4分の1に分割された幅広部211が4つ含まれる部分など)も繰返パターンになり得る。また、図4に示したように、ドライブ電極11と押圧検出電極22とは対向している。
【0057】
上記のような電極構成の場合、押圧検出電極22における幅広部221の中心部分の真上を押圧する方が、位置検出電極21における幅広部211の中心部分の真上を押圧するよりも、電極11,22間の距離が短くなり易いため容量が増大し易く、信号値も増大し易い。また、このような信号値の差(押圧感度の差)は、指示体の接触面積が小さいほど生じ易い。
【0058】
そこで、第5実施形態では、このようなタッチパネル1の面内で生じ得る信号値の差(押圧感度の差)が抑制されるように調整値を設定し、当該調整値により暫定値を調整する。例えば、コントローラ2は、押圧値=暫定値×調整値の計算により、押圧値を算出する。
【0059】
図14は、調整値の設定方法の一例を示す図である。調整値は、タッチパネル1の複数の箇所に対して、一定の接触面積である指示体を一定の力で押圧することで暫定値を取得し、得られた暫定値の差異が低減されるような値を算出することで設定することができる。例えば、図14において、位置FP1の暫定値が75、位置FP2の暫定値が100、位置FP3の暫定値が50であったとする。この場合、位置FP1の調整値を1、位置FP2の調整値を0.75、位置FP3の調整値を1.5と設定すれば、いずれの位置FP1~FP3の押圧値も75となり、暫定値のばらつきが抑制されて等しい大きさになる。なお、調整値を設定する際に目標とする押圧値は、例えば、暫定値の平均値としてもよいし、暫定値の最大値や最小値としてもよいし、事前に設定した任意の値としてもよい。
【0060】
調整値は、繰返パターンUにおけるx座標とy座標の関数として規定してもよいし、ルックアップテーブル等で規定してもよい。調整値をx座標とy座標の関数として規定する場合、例えば、調整値=a+a・x+a・y+a・x+a・xy+a・y+a・x+a・xy+a・xy+a・yとしてもよい(「a」ないし「a」は定数、「x」はx座標、「y」はy座標、「・」は乗算記号である。)。なお、調整値は、タッチパネル1内の一部の繰返パターンUについてのみ暫定値を取得して算出し、それ以外の繰返パターンUについては算出したものと同様の調整値を適用してもよいし、タッチパネル1の全部の繰返パターンUについて暫定値を取得して算出してもよい。
【0061】
以上のように、タッチパネルシステムSでは、コントローラ2が、指示体の位置に応じた調整値により暫定値を調整して押圧値を算出する。したがって、タッチパネルシステムSは、タッチパネル1の面内に押圧感度の差がある場合でも、当該差を低減することが可能になる。
【0062】
なお、コントローラ2が、押圧値=暫定値×調整値の計算により押圧値を算出する場合について例示したが、押圧値=暫定値×調整値の計算で押圧値を算出してもよい。この場合、例えば、図14において、位置FP1の暫定値が75、位置FP2の暫定値が100、位置FP3の暫定値が50であったとすると、位置FP1の調整値を25、位置FP2の調整値を0、位置FP3の調整値を50と設定すれば、いずれの位置FP1~FP3の押圧値も100となり、暫定値のばらつきが抑制されて等しい大きさになる。この計算により押圧値を算出する場合も、調整値を設定する際に目標とする押圧値は、例えば、暫定値の平均値としてもよいし、暫定値の最大値や最小値としてもよいし、事前に設定した任意の値としてもよく、一部または全部の調整値が負の値になってもよい。また、押圧値=暫定値×第1調整値+第2調整値として押圧値を算出してもよい。
【0063】
[第6実施形態]
上述した第2ないし第4実施形態は、例えばグローブなどの接触範囲が広い指示体を使用された場合において、押圧する力が広範囲に分散されて低下した暫定値を増幅することにより、適切な大きさの押圧値を算出する。一方、第5実施形態は、例えばペンなどの接触範囲が小さい指示体が使用された場合において、タッチパネル1の面内における押圧感度のばらつきを低減して押圧値を算出するものである。第6実施形態では、コントローラ2が、指示体の接触範囲に応じて、これらの押圧値の算出方法を切り替えてもよい。
【0064】
図15は、第6実施形態に係るタッチパネルシステムSが備えるコントローラ2による指示体の位置及び押圧の大きさの検出方法を示すフローチャートである。図15に示すように、コントローラ2は、第2ないし第5実施形態と同様に暫定値を算出した後(ステップ#51)、指示体の接触範囲に応じた算出方法で暫定値を増幅または調整して押圧値を算出する(ステップ#524)。例えば、コントローラ2は、指示体の接触が第1切替値以上であれば、第2ないし第4実施形態と同様に暫定値を増幅する算出方法で押圧値を算出する。一方、コントローラ2は、指示体の接触範囲が、第1切替値よりも小さい第2切替値以下であれば、第5実施形態と同様に暫定値を調整する方法で押圧値を算出する。なお、指示体の接触範囲は、第3実施形態と同様に第1閾値以上となる信号値C(X,Y)の数として算出してもよいし、第4実施形態と同様に第2閾値以上となる信号値C(X,Y)の合計値として算出してもよい。
【0065】
以上のように、タッチパネルシステムSでは、指示体の種類が変わるなどして接触範囲が変動した場合であっても、変動前後の指示体のそれぞれに応じた適切な方法で押圧値を算出することが可能になる。
【0066】
なお、コントローラ2は、指示体の接触範囲が第1切替値よりも小さく、かつ、第2切替値よりも大きい場合、第1実施形態と同様に暫定値をそのまま押圧値として算出してもよいし、第1ないし第5実施形態とは異なる方法で押圧値を算出してもよい。
【0067】
また、第1切替値と第2切替値を一致させてもよい。即ち、コントローラ2が、指示体の接触面積が第1切替値以上であれば、第2ないし第4実施形態と同様に暫定値を増幅する方法で押圧値を算出し、第1切替値よりも小さければ、第5実施形態と同様に暫定値を調整する方法で押圧値を算出してもよい。
【0068】
また、指示体が頻繁に変更されることが想定し難い場合、一定の時間またはタッチ回数が経過するまでの期間中は、押圧値の算出方法が変わらないようにしてもよい。
【0069】
[変形等]
以上、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0070】
例えば、上述した第1~第6実施形態のタッチパネルシステムSにおいて、コントローラ2が、ステップ#2で指示体Fの位置TPを検出した後に、ステップ#3で指示体の詳細位置を算出する場合について例示した。しかし、コントローラ2が、ステップ#3を行わず、ステップ#2で検出した指示体Fの位置TPの座標を、そのまま指示体Fの詳細位置としてもよい。
【0071】
また、上述した第1~第6実施形態のタッチパネルシステムSにおいて、コントローラ2が、ステップ#2で検出された指示体Fの位置TPに基づいて押圧検出範囲FRを設定する場合について例示した。しかし、コントローラ2が、ステップ#3で算出される指示体Fの詳細位置に基づいて押圧検出範囲FRを設定してもよい。
【0072】
また、上述した第3、第4及び第6実施形態のタッチパネルシステムSにおいて、コントローラ2が、信号値C(X,Y)に基づいた増幅方法で暫定値を増幅する場合について例示したが、図8に示す信号値C(X,Y)に変換する前の信号値D(X,Y)に基づいた増幅方法で暫定値を増幅してもよい。また、これらのタッチパネルシステムSにおいて、コントローラ2が、信号値の数及び合計以外の指標に基づいて、指示体Fの接触範囲の広狭を判定してもよい。
【0073】
また、上述した第1~第6実施形態のタッチパネルシステムSにおいて、浮島電極12やシールド電極23が設けられていなくてもよい。また、ドライブ電極11、浮島電極12、位置検出電極21及び押圧検出電極22のそれぞれが、ダイヤパターン以外のパターンで形成されていてもよい。また、位置検出電極21、押圧検出電極22及びシールド電極23の一部または全部が、メッシュメタル(メッシュ状の金属細線)で形成されていてもよい。
【0074】
また、上述したタッチパネルシステム及び表示装置は、以下のように説明することができる。
【0075】
タッチパネルシステムは、ドライブ電極、位置検出電極及び押圧検出電極を備えたタッチパネルと、前記ドライブ電極に駆動信号を与え、前記位置検出電極及び前記押圧検出電極のそれぞれから信号値を取得するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記位置検出電極から得られた信号値に基づいて指示体の位置を検出し、前記押圧検出電極から得られた信号値のうち、検出した前記指示体の位置に応じた押圧検出範囲内の信号値に基づいて、前記指示体による押圧の大きさを算出する(第1の構成)。この構成によれば、コントローラが、指示体の位置を検出するとともに、当該位置に応じた押圧検出範囲の信号値に基づいて押圧値を算出する。したがって、このタッチパネルシステムは、指示体の位置及び押圧の大きさを同時に検出することができる。
【0076】
第1の構成において、前記コントローラは、前記位置検出電極と前記押圧検出電極のそれぞれから得られる信号値を1つのニ次元座標系の異なる領域に配置して組み合わせた入力データに基づいて、前記指示体の位置及び前記指示体による押圧の大きさを算出してもよい(第2の構成)。さらに、第2の構成において、前記コントローラは、前記位置検出電極から得られた信号値で構成された位置検出マップ内から前記指示体の位置を検出し、前記押圧検出電極から得られた信号値で構成された押圧検出マップ内であって前記指示体の位置に対応した位置を含む前記押圧検出範囲を設定してもよい(第3の構成)。この構成によれば、従来の指示体の位置のみを検出するコントローラの設計を変更するだけで、タッチパネルシステムに適用可能なコントローラ2を得ることができる。
【0077】
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、前記コントローラは、前記押圧検出範囲内の信号値に基づいた暫定値を増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出してもよい(第4の構成)。この構成によれば、指示体が押圧する大きさに対応した押圧値を精度よく算出することができる。
【0078】
第4の構成において、前記コントローラは、前記指示体の接触範囲が広いほど、前記暫定値を大きく増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出してもよい(第5の構成)。この構成によれば、指示体の接触範囲が大きくなった場合に押圧値が小さくなることを防止することができる。
【0079】
第5の構成において、前記コントローラは、検出した前記指示体の位置が含まれる位置検出範囲内で、前記指示体が接触していることを示す信号値の数が多いほど、前記暫定値を大きく増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出してもよい(第6の構成)。この構成によれば、指示体の接触範囲が大きくなったとしても、指示体による押圧の大きさを精度よく算出することができる。
【0080】
または、第5の構成において、前記コントローラは、検出した前記指示体の位置が含まれる位置検出範囲内で、前記指示体が接触していることを示す信号値の合計が大きいほど、前記暫定値を大きく増幅してもよい(第7の構成)。この構成によれば、1つの信号値の僅かな違いによって増幅の大きさが異なることを防止することができるため、指示体による押圧の大きさを精度よく算出することができる。
【0081】
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、前記コントローラは、前記指示体の位置に応じた調整値により、前記押圧検出範囲内の信号値に基づいた暫定値を調整して、前記指示体による押圧の大きさを算出してもよい(第8の構成)。この構成によれば、タッチパネルの面内に押圧感度の差がある場合でも、当該差を低減することが可能になる。
【0082】
第8の構成において、前記調整値は、前記タッチパネルの複数の箇所に対して、一定の接触面積である前記指示体を一定の力で押圧することで得られる前記暫定値の差異が低減されるように設定されていてもよい(第9の構成)。この構成によれば、押圧感度の差を効果的に低減する調整値を設定することができる。
【0083】
第8または第9の構成において、前記コントローラは、前記指示体の接触範囲が第1切替値以上の場合、前記暫定値を増幅して前記指示体による押圧の大きさを算出し、前記指示体の接触範囲が、前記第1切替値よりも小さい第2切替値以下の場合、前記調整値により前記暫定値を調整して前記指示体による押圧の大きさを算出してもよい(第10の構成)。この構成によれば、指示体の種類が変わるなどして接触範囲が変動した場合であっても、変動前後の指示体のそれぞれに応じた適切な方法で押圧値を算出することが可能になる。
【0084】
本発明の他の実施形態は、第1~第10のいずれかの構成に係るタッチパネルシステムと、画像を表示する表示部と、を備え、前記表示部が画像を表示する表示面上に、前記タッチパネルが配置されている、表示装置である(第8の構成)。
【符号の説明】
【0085】
1…タッチパネル、2…コントローラ、10…第1基板、101…第1表面、11…ドライブ電極、12…浮島電極、20…第2基板、201…第2表面、21…位置検出電極、211…幅広部、22…押圧検出電極、221…幅広部、23…シールド電極、30…誘電体層、40…表示部、401…表示面、S…タッチパネルシステム、P…表示装置、TR…位置検出範囲、FR…押圧検出範囲、TP,FP,FP1~FP3…指示体の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15