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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166524
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20221026BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/01 303
B41J2/165 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071786
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】山本 なつ美
(72)【発明者】
【氏名】安形 和晃
(72)【発明者】
【氏名】夏目 正尊
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA23
2C056EC11
2C056EC23
2C056FA10
2C056HA22
2C056HA37
2C056JB04
2C056JB07
2C056JB08
2C056JB09
(57)【要約】
【課題】プリンタが大型化することを抑制する。
【解決手段】プリンタ10は、インクヘッド24と、キャリッジ22と、ワイパー60と、ワイピング機構70と、を備えている。インクヘッド24は、インクを吐出するノズル26が形成されたノズル面25を有している。キャリッジ22には、インクヘッド24が設けられている。ワイパー60は、キャリッジ22に設けられ、ノズル面25に対して移動可能なものである。ワイピング機構70は、ワイパー60がノズル面25を拭くように、ワイパー60を移動方向D1に移動させる。プリンタ10は、インクヘッド24を第1方向Yに移動させるヘッド移動機構30を備えていてもよい。ワイピング機構70は、ノズル面25に対してワイパー60を、第1方向Yに移動させるように構成されてもよいし、第2方向Xに移動させるように構成されてもよい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、
前記インクヘッドが設けられたキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記ノズル面に対して移動可能なワイパーと、
前記ワイパーが前記ノズル面を拭くように、前記ワイパーを移動方向に移動させるワイピング機構と、
を備えた、プリンタ。
【請求項2】
前記インクヘッドを第1方向に移動させるヘッド移動機構を備え、
前記ワイピング機構は、前記ノズル面に対して前記ワイパーを、前記第1方向と交差する第2方向に移動させるように構成された、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記ノズル面は、
前記第2方向に並んで配置され、第1インクを吐出する複数の第1ノズルと、
前記第2方向に並んで配置され、前記第1インクとは異なる第2インクを吐出する複数の第2ノズルと、
を有する、請求項2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記インクヘッドを第1方向に移動させるヘッド移動機構を備え、
前記ワイピング機構は、前記ノズル面に対して前記ワイパーを前記第1方向に移動させるように構成された、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記ノズル面の前記第1方向の長さは、前記ノズル面における前記第1方向と交差する第2方向の長さよりも短い、請求項4に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記ワイピング機構は、
前記キャリッジに対して回転可能に設けられた第1プーリと、
前記第1プーリと前記移動方向に離れて配置され、前記キャリッジに対して回転可能に設けられた第2プーリと、
前記第1プーリと前記第2プーリとに巻き掛けられたベルトと、
前記ベルトに固定され、前記ワイパーを支持する支持部材と、
前記第1プーリに接続された駆動モータと、
を有する、請求項1から5までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項7】
前記ワイピング機構は、
前記キャリッジに対して回転可能に設けられ、前記移動方向に延び、外周面に第1螺子部が形成された棒状部材と、
前記第1螺子部と螺合する第2螺子部が内周面に形成された螺合部材と、
前記螺合部材に設けられ、前記ワイパーを支持する支持部材と、
前記棒状部材を回転させる駆動モータと、
を有する、請求項1から5までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項8】
前記ワイパーに付着した付着物を取り除くスクレイパーを備えた、請求項1から7までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項9】
前記インクヘッド、前記キャリッジ、および、前記ワイパーが収容された筐体を備え、
前記スクレイパーは、前記筐体に設けられている、請求項8に記載されたプリンタ。
【請求項10】
前記ワイパーに付着したインクを吸収する吸収部材を備えた、請求項1から7までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項11】
前記インクヘッド、前記キャリッジ、および、前記ワイパーが収容された筐体を備え、
前記吸収部材は、前記筐体に設けられている、請求項10に記載されたプリンタ。
【請求項12】
前記インクヘッドを前記第1方向に移動させるヘッド移動機構と、
前記インクヘッドが前記第1方向に移動した後、前記ノズルを覆うように前記インクヘッドに着脱可能なキャップと、
前記ノズル面に対して前記キャップを相対的に上下方向に移動させる上下移動機構と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
平面視において前記キャップと重なる位置に前記ノズル面が配置されるように前記インクヘッドを移動させる移動制御部と、
平面視において前記キャップと重なる位置に前記ノズル面が配置された後、前記ワイパーで前記ノズル面を拭くように前記ワイピング機構を制御するワイピング制御部と、
を備えた、請求項1から11までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項13】
前記ワイピング機構は、平面視において前記ノズル面と重ならない非重複位置に、前記ワイパーを移動させることが可能に構成された、請求項1から12までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項14】
媒体を支持する支持台と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記支持台に支持された媒体に、前記インクヘッドからインクを吐出させる印刷制御部と、
前記インクヘッドからインクが吐出されているとき、前記非重複位置に前記ワイパーを移動させる印刷ワイパー制御部と、
を備えた、請求項13に記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、プリンタ本体と、インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、インクヘッドのノズル面をワイピングするワイパーを有するワイパー装置と、を備えたインクジェットプリンタが開示されている。
【0003】
上記インクジェットプリンタのプリンタ本体には、ワイパー装置を配置するためのスペースが確保されている。当該スペースにワイパー装置を配置する。インクヘッドは、ワイパーに対して相対的に移動するように構成されている。上記インクジェットプリンタでは、ワイパーをノズル面に接触させた状態で、ワイパーに対してインクヘッドを相対的に移動させることで、ノズル面を清掃することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-16971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記インクジェットプリンタでは、上述のように、プリンタ本体にワイパー装置を配置するためのスペースを確保する必要があった。そのため、ワイパー装置を配置するためのスペースの大きさ分、プリンタが大型化するおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリンタが大型化することを抑制することが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタは、インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクヘッドと、前記インクヘッドが設けられたキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記ノズル面に対して移動可能なワイパーと、前記ワイパーが前記ノズル面を拭くように、前記ワイパーを移動方向に移動させるワイピング機構と、を備えている。
【0008】
本発明に係るプリンタによれば、ワイパーがキャリッジに設けられていることで、例えばキャリッジの移動に伴いワイパーが移動する。そのため、従来のように、ワイパーを配置するための専用のスペースを筐体に確保しなくてもよい。よって、プリンタが大型化することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プリンタが大型化することを抑制することが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るプリンタを示す正面図である。
図2図1のII-II断面におけるプリンタの断面図である。
図3】キャリッジの底面の構成を示す模式図である。
図4】キャリッジおよびワイパーを示す正面図である。
図5】キャリッジおよびワイパーを示す右側面図である。
図6】キャリッジおよびキャップユニットを示す正面図である。
図7】キャリッジおよびキャップユニットを示す正面図である。
図8】キャリッジ、ワイパーおよびスクレイパーを示す右側面図である。
図9】プリンタのブロック図である。
図10】第1実施形態の変形例に係るキャリッジおよびワイパーを示す正面図である。
図11】第2実施形態に係るキャリッジおよびワイパーを示す右側面図である。
図12】第3実施形態に係るキャリッジおよびワイパーを示す正面図である。
図13】第3実施形態に係るキャリッジおよびワイパーを示す右側面図である。
図14】他の実施形態に係るキャリッジ、ワイパーおよび吸収部材を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0012】
<第1実施形態>
まず第1実施形態に係るプリンタ10について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ10を示す正面図である。図2は、図1のII-II断面におけるプリンタ10の断面図である。図3は、本実施形態に係るプリンタ10におけるキャリッジ22の底面の構成を示す模式図である。
【0013】
図面において、符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。また、符号Yは主走査方向を示し、符号Xは副走査方向を示している。符号Zは高さ方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差しており、ここでは主走査方向Yと直交している。副走査方向Xは、例えば前後方向である。高さ方向Zは上下方向である。なお、本実施形態では、主走査方向Yは第1方向の一例である。副走査方向Xは第2方向の一例である。ただし、これら方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0014】
プリンタ10は、いわゆるインクジェット方式のプリンタである。しかしながら、プリンタ10の方式は、インクジェット方式に限定されない。プリンタ10は、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、媒体5に対して印刷を行うものである。媒体5は例えばロール状の記録紙であり、いわゆるロール紙である。ただし、媒体5の種類は特に限定されない。媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙であってもよいし、ポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂製のシートやフィルム、板材、織布や不織布などの布帛、その他の媒体であってもよい。
【0016】
本実施形態では、図1に示すように、プリンタ10は、筐体11と、ガイドレール20と、キャリッジ22と、インクヘッド24(図3参照)と、ヘッド移動機構30と、支持台40と、媒体移動機構50とを備えている。
【0017】
本実施形態では、筐体11は、主走査方向Yに延びている。図2に示すように、筐体11は中空であり、内部空間12を有している。この内部空間12において媒体5に対して印刷が行われる。なお、図1において、プリンタ10の内部構成を図示するため、筐体11の一部(ここでは、筐体11の前部の中央部分)の図示は省略されている。筐体11には、筐体11を支持する脚13が設けられている。脚13は、筐体11の下面から下方に延びている。なお、図2では、脚13の図示は省略されている。
【0018】
図1に示すように、筐体11には、ユーザが印刷に関する操作を行う操作パネル15が設けられている。操作パネル15は、例えば解像度、インクの濃さなどの印刷に関する情報や、印刷中のプリンタ10のステータスなどが表示される表示画面16と、印刷に関する情報を入力するための入力キー17とを有している。
【0019】
図2に示すように、ガイドレール20は、筐体11の内部空間12に配置されており、筐体11に固定されている。図1に示すように、ガイドレール20は、主走査方向Yに延びている。キャリッジ22は、ガイドレール20に摺動自在に係合している。キャリッジ22は、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0020】
図3に示すインクヘッド24は、支持台40(詳しくは、支持台40に支持された媒体5)に向かってインクを吐出する。インクヘッド24は、キャリッジ22に設けられている。インクヘッド24は、キャリッジ22と共にガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0021】
インクヘッド24の数は特に限定されない。本実施形態では、インクヘッド24の数は4つである。4つのインクヘッド24は、主走査方向Yに並んで配置されている。ここでは、4つのインクヘッド24について、左から順に第1インクヘッド24A、第2インクヘッド24B、第3インクヘッド24C、第4インクヘッド24Dとも称することとする。以下の説明では、第1インクヘッド24A~第4インクヘッド24Dの全てのインクヘッドに対する説明の場合には、インクヘッド24という文言を適宜使用する。
【0022】
本実施形態では、図3に示すように、第1インクヘッド24A~第4インクヘッド24Dは、それぞれノズル面25を有している。ノズル面25は、インクヘッド24の底面を構成している。1つのノズル面25には、複数のノズル26が形成されている。本実施形態では、1つのノズル面25における複数のノズル26は、副走査方向Xに並んで配置されている。ここでは、副走査方向Xに並んだ複数のノズル26の列のことをノズル列27という。本実施形態では、1つのノズル面25におけるノズル列27の数は1つである。しかしながら、1つのノズル面25におけるノズル列27の数は、複数、例えば2つ以上であってもよい。
【0023】
本実施形態では、ノズル列27ごとに、ノズル26から異なるインクが吐出される。ここで、異なるインクとは、色が異なることはもちろんのこと、同じ色であっても成分などの種類が異なるインクも含まれるものとする。ここでは、1つのインクヘッド24のノズル面25に対して1つのノズル列27が設けられているため、インクヘッド24ごとに異なるインクが吐出される。ノズル26から吐出されるインクは、例えばプロセスカラーインクまたは特色インクである。プロセスカラーインクには、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどが含まれる。特色インクには、例えばホワイトインク、クリアインク、プライマインク、蛍光インク、メタリックインク、オレンジインク、レッドインク、バイオレットインク、ブルーインク、グリーンインクなどが含まれる。また、ノズル26から吐出されるインクの種類として、例えば溶剤インク、光硬化型インク、水性インク、レジンインク、昇華インクまたは油性インクなどが挙げられる。
【0024】
なお、本実施形態では、例えば第1インクヘッド24Aのノズル面25に形成されたノズル26が、第1ノズルの一例である。第1インクヘッド24Aのノズル26から吐出されるインクが第1インクの一例である。また、例えば第2インクヘッド24Bのノズル面25に形成されたノズル26が、第2ノズルの一例である。第2インクヘッド24Bのノズル26から吐出されるインクが第2インクの一例である。
【0025】
本実施形態では、各インクヘッド24のノズル面25の大きさは同じであるが、異なっていてもよい。ノズル面25の形状は、長方形状であるが、この形状も特に限定されない。各インクヘッド24において、ノズル面25は、主走査方向Yよりも副走査方向Xに長い面である。ここでは、各インクヘッド24において、ノズル面25の主走査方向Yの長さL11は、ノズル面25の副走査方向Xの長さL12よりも短い。ただし、ノズル面25の主走査方向Yの長さL11は、副走査方向Xの長さL12よりも長くてもよいし、副走査方向Xの長さL12と同じであってもよい。
【0026】
図1に示すように、ヘッド移動機構30は、キャリッジ22およびインクヘッド24(図3参照)を支持台40に対して相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。ここでは、ヘッド移動機構30は、キャリッジ22およびインクヘッド24を主走査方向Yに移動させる。なお、ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。ヘッド移動機構30は、例えば左右のヘッドプーリ31a、31bと、ヘッドベルト32と、スキャンモータ33とを有している。左のヘッドプーリ31aは、ガイドレール20の左端部の周囲に設けられている。右のヘッドプーリ31bは、ガイドレール20の右端部の周囲に設けられている。ヘッドベルト32は、例えば無端状のベルトであり、左右のヘッドプーリ31a、31bに巻き掛けられている。ヘッドベルト32には、キャリッジ22が取り付け固定されている。
【0027】
スキャンモータ33は、例えば右のヘッドプーリ31bに接続されている。ここでは、スキャンモータ33が駆動することで、右のヘッドプーリ31bが回転する。右のヘッドプーリ31bが回転することで、左右のヘッドプーリ31a、31bとの間においてヘッドベルト32が走行する。このことで、キャリッジ22、インクヘッド24は、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動する。
【0028】
図2に示すように、支持台40は媒体5を支持する。媒体5への印刷は支持台40上で行われる。支持台40は、ガイドレール20、キャリッジ22、インクヘッド24の下方に配置されている。ここでは、支持台40は、支持面41と、第1エプロン42と、第2エプロン43とを有している。支持面41は、媒体5を支持するものであり、側面視においてインクヘッド24の真下に位置する。支持面41は、支持台40の上面を構成している。支持面41は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった平らな面である。支持面41上で媒体5への印刷が行われる。
【0029】
第1エプロン42は、支持面41の後方に配置されている。第1エプロン42は、例えば横断面円弧状に形成されている。第1エプロン42は、支持面41から離れるほど下方に向かうように湾曲している。第2エプロン43は、支持面41の前方に配置されている。第2エプロン43は、例えば横断面円弧状に形成されている。第2エプロン43は、支持面41から離れるほど下方に向かうように湾曲している。
【0030】
図1に示す媒体移動機構50は、支持台40に支持された媒体5をインクヘッド24に対して相対的に副走査方向Xに移動させる機構である。ここでは、媒体移動機構50は、支持台40に支持された媒体5を副走査方向Xに移動させる。なお、媒体移動機構50の構成は特に限定されない。本実施形態では、媒体移動機構50は、一部が露出するように支持台40に設けられたグリットローラ51と、グリットローラ51の上方において媒体5を押さえ付けるピンチローラ52と、グリットローラ51に接続されたフィードモータ53と、を備えている。ここでは、グリットローラ51とピンチローラ52との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ53が駆動することで、グリットローラ51が回転する。グリットローラ51が回転することで、支持台40に支持された媒体5が副走査方向Xに移動する。
【0031】
本実施形態では、図3に示すように、プリンタ10は、ワイパー60と、ワイピング機構70とを備えている。なお、図1および図2において、ワイパー60およびワイピング機構70の図示は省略されている。ワイパー60は、インクヘッド24のノズル面25を拭く、すなわちワイピングするものである。例えばインクヘッド24のノズル面25には、ノズル26から吐出されたインクが付着することがあり得る。ワイパー60は、ノズル面25に付着したインクを拭うものである。
【0032】
ワイパー60は、キャリッジ22に設けられている。ここで、「ワイパー60がキャリッジ22に設けられている」とは、キャリッジ22が主走査方向Yに移動したときに、ワイパー60がキャリッジ22およびインクヘッド24と共に主走査方向Yに移動する状態のことをいう。ここでは、ワイパー60がワイピング機構70によって移動していない状態において、ワイパー60とインクヘッド24との相対的な位置は変更されない。
【0033】
図4図5は、それぞれキャリッジ22およびワイパー60を示す正面図、右側面図である。本実施形態では、図4に示すように、ワイパー60は、主走査方向Yに延びたものである。ワイパー60は、ノズル面25を拭いているときに、主走査方向Yおよび高さ方向Zに広がった板状の部材である。ここでは、ワイパー60の先端(ここでは上端)をノズル面25に接触させて、ノズル面25を拭く。
【0034】
ここでは、ワイパー60は、4つのインクヘッド24のノズル面25をまとめて拭くことができる大きさを有している。具体的には、ワイパー60の主走査方向Yの長さL21は、複数のインクヘッド24のノズル面25のうち、最も左方に位置するノズル面25の左端から、最も右方に位置するノズル面25の右端までの距離L22以上である。言い換えると、この距離L22は、第1インクヘッド24Aのノズル面25の左端から、第4インクヘッド24Dのノズル面25の右端までの主走査方向Yの距離である。
【0035】
ワイパー60は、例えばゴム製である。しかしながら、ワイパー60を形成する材料は、ゴムに限定されず、ノズル面25に付着したインクを拭えるものであれば特に限定されない。
【0036】
図5に示すように、ワイピング機構70は、ワイパー60がノズル面25を拭くように、ワイパー60を移動方向D1に移動させる機構である。ワイピング機構70がワイパー60を移動させる方向である移動方向D1の具体的な方向は、特に限定されない。本実施形態では、移動方向D1は、副走査方向Xである。そのため、ワイピング機構70によってワイパー60は、副走査方向Xに移動しながら、ノズル面25を拭く。すなわち、ワイパー60は、ノズル面25に接触しながら副走査方向Xに移動して、ノズル面25に付着したインクを拭き取る。
【0037】
本実施形態では、ワイピング機構70は、キャリッジ22に設けられているが、キャリッジ22に設けられていなくてもよい。ここでは、ワイピング機構70は、キャリッジ22の左側部分および右側部分に設けられている。なお、ワイピング機構70が設けられる位置は、キャリッジ22の左側部分および右側部分の何れか一方の位置であってもよい。以下、図4に示すように、キャリッジ22の右側部分に設けられたワイピング機構70を、右ワイピング機構70Aともいう。キャリッジ22の左側部分に設けられたワイピング機構70を、左ワイピング機構70Bともいう。以下の説明では、右ワイピング機構70Aおよび左ワイピング機構70Bの両方に対する説明の場合には、ワイピング機構70という文言を使用する。
【0038】
ワイピング機構70の構成は特に限定されない。本実施形態では、図5に示すように、ワイピング機構70は、ベルト73を使用してワイパー60を移動方向D1に移動させる機構であり、いわゆるベルト機構である。ここでは、右ワイピング機構70Aと、左ワイピング機構70Bとは同じ構成を有している。そのため、以下では、右ワイピング機構70Aの構成について説明する。以下の右ワイピング機構70Aに関する説明において、右を左に置き換えることで、左ワイピング機構70Bの説明になり得る。右ワイピング機構70Aは、第1プーリ71と、第2プーリ72と、ベルト73と、支持部材74と、駆動モータ75とを備えている。
【0039】
第1プーリ71は、キャリッジ22に設けられている。ここでは、第1プーリ71は、キャリッジ22の右面の前部に設けられており、キャリッジ22から右方に突出している。第1プーリ71は、キャリッジ22に対して回転可能である。第2プーリ72もキャリッジ22に設けられている。第2プーリ72は、第1プーリ71と移動方向D1に離れた配置されている。ここでは、第2プーリ72は、第1プーリ71の後方に配置され、キャリッジ22の右面の後部に設けられている。第2プーリ72は、キャリッジ22から右方に突出している。第2プーリ72もキャリッジ22に対して回転可能である。
【0040】
ベルト73は、例えば無端状であり、第1プーリ71と第2プーリ72とに巻き掛けられている。ここでは、第1プーリ71および第2プーリ72のうちの少なくとも何れかが回転することで、ベルト73は、第1プーリ71と第2プーリ72との間で走行する。
【0041】
支持部材74は、ワイパー60を支持するものである。支持部材74は、ベルト73に固定されており、ベルト73が走行すると、支持部材74もベルト73と共に走行する。支持部材74は、例えばベルト73からワイパー60に向かって延びた棒状の部材である。ここでは、支持部材74の一端がベルト73に接続され、支持部材74の他端がワイパー60に接続されている。
【0042】
以下、図4に示すように、右ワイピング機構70Aの支持部材74のことを右支持部材74Aともいう。左ワイピング機構70Bの支持部材74のことを左支持部材74Bともいう。本実施形態では、右支持部材74Aは、ワイパー60の右端部分を支持している。左支持部材74Bは、ワイパー60の左端部分を支持している。
【0043】
図5に示すように、駆動モータ75は、第1プーリ71に接続されている。しかしながら、駆動モータ75は、第2プーリ72に接続されてもよい。本実施形態では、駆動モータ75が駆動すると、第1プーリ71が回転する。第1プーリ71が回転すると、第1プーリ71と第2プーリ72との間でベルト73が走行する。このベルト73の走行に伴い、支持部材74は副走査方向Xに移動する。支持部材74に支持されたワイパー60も副走査方向Xに移動する。ワイパー60が副走査方向Xに移動しているとき、ワイパー60はノズル面25に接触しているため、ノズル面25が拭かれる。
【0044】
なお、ワイパー60が第1プーリ71(または第2プーリ72)の周囲に位置しているときに、ワイピング機構70が作動すると、図5の仮想線で示したワイパー60のように、ワイパー60は、第1プーリ71(または第2プーリ72)を中心に回動する。
【0045】
なお、本実施形態では、図2に示すように、印刷中、ノズル面25の下方には、僅かながらの隙間を空けて支持台40が配置される。ワイパー60は、上記の僅かながらの隙間よりも高さ方向Zに長いものである。仮にノズル面25の下方にワイパー60が配置されていると、ワイパー60が支持台40に接触することがあり得る。そのため、印刷中、ワイパー60が支持台40に接触しないように、ワイパー60をノズル面25の下方から外れた位置に配置するとよい。ここで、図5に示すように、ノズル面25の下方から外れた位置のことを非重複位置P1とする。図5において、仮想線で示したワイパー60は、非重複位置P1に位置している。ワイピング機構70は、ワイパー60を非重複位置P1に移動させることが可能に構成されている。この非重複位置P1は、平面視においてノズル面25と重ならない位置である。本実施形態では、非重複位置P1は、第1プーリ71よりも前方の位置であり、インクヘッド24よりも前方の位置である。また、非重複位置P1は、キャリッジ22よりも前方の位置でもある。
【0046】
本実施形態では、第1プーリ71と第2プーリ72との間でベルト73が走行しているときに、ワイパー60が第1プーリ71よりも前方に位置している場合、ワイパー60は下方に向かうにしたがって前方に傾いた姿勢になる。そのため、ワイパー60が非重複位置P1に配置されているとき、ワイパー60は高さ方向Zから傾いた姿勢で配置されることになる。
【0047】
本実施形態では、図1に示すように、プリンタ10は、キャップユニット80を備えている。キャップユニット80は、主走査方向Yにおいて支持台40と重ならない位置に配置されている。ここでは、キャップユニット80は、ガイドレール20の右端部の下方であって、支持台40の右方に配置されている。ただし、キャップユニット80は、例えばガイドレール20の左端部の下方であって、支持台40の左方に配置されてもよい。本実施形態では、キャップユニット80は、いわゆるホームポジションHPに配置されている。ここで、ホームポジションHPとは、印刷待機中にインクヘッド24が待機する位置であり、ここではガイドレール20の右端部に設定されている。
【0048】
図6および図7は、キャリッジ22およびキャップユニット80を示す正面図である。図6に示すように、キャップユニット80は、複数のキャップ81と、上下移動機構85と、吸引ポンプ88とを備えている。ここでは、キャップユニット80は、いわゆるフラッシングを行うときに使用されるものである。ここで、フラッシングとは、インクヘッド24にキャップ81を装着させて、ノズル26からキャップ81に向かってインクを吐出させる処理のことをいう。
【0049】
図7に示すように、キャップ81は、1つのインクヘッド24の複数のノズル26(図3参照)を覆うようにインクヘッド24に着脱可能なものである。1つのキャップ81は、1つのインクヘッド24に装着される。キャップ81の数は、インクヘッド24の数と同じであり、ここでは4つである。4つのキャップ81は、主走査方向Yに並んで配置されている。キャップ81は、上部が開口した箱状の形状である。ここでは、キャップ81の少なくともインクヘッド24と接触する部分は、例えばゴムによって形成されている。キャップ81の内部には、スポンジなどの吸収体(図示せず)が配置されている。
【0050】
図6に示す上下移動機構85は、ノズル面25に対してキャップ81を相対的に高さ方向Zに移動させる機構である。上下移動機構85は、キャップ81を高さ方向Zに移動させる、すなわち昇降させる機構である。上下移動機構85は、キャップ81を昇降させて、ノズル面25に対してキャップ81を装着させたり、離間させたりする機構である。
【0051】
上下移動機構85の構成は特に限定されない。本実施形態では、上下移動機構85は、複数のキャップ81を支持する板状の支持板86と、支持板86に接続された上下移動モータ87とを有している。上下移動モータ87が駆動することで、支持板86が高さ方向Zに移動する。支持板86の高さ方向Zへの移動に伴い、複数のキャップ81も高さ方向Zに移動する。
【0052】
図6に示すように、吸引ポンプ88は、キャップ81に接続されている。ここでは、1つの吸引ポンプ88は、1つのキャップ81に接続されており、吸引ポンプ88の数は、キャップ81の数と同じ4つである。吸引ポンプ88は、接続されたキャップ81内のインクや、キャップ81に装着されたインクヘッド24内のインクを吸引する。吸引ポンプ88の種類は特に限定されないが、例えば真空ポンプである。本実施形態では、吸引ポンプ88は、チューブ(図示せず)を介してキャップ81の底面に接続されている。吸引ポンプ88は、駆動時、対応するインクヘッド24内の圧力よりも低い圧力を形成するように構成されている。例えばキャップ81がインクヘッド24に装着された状態で吸引ポンプ88が駆動すると、ノズル26(図3参照)からインクが吸い出される。吸引ポンプ88に吸引されたインクは、チューブを介して廃液タンク(図示せず)に排出される。
【0053】
図8は、キャリッジ22、ワイパー60およびスクレイパー90を示す右側面図である。本実施形態では、図8に示すように、プリンタ10は、スクレイパー90を備えている。例えばワイパー60には、インクや埃などの付着物が付着することがあり得る。スクレイパー90は、ワイパー60に付着した付着物を取り除く部材である。スクレイパー90を形成する材料は、特に限定されないが、ワイパー60よりも硬い材料であることが好ましい。本実施形態では、スクレイパー90は、例えばプラスチックによって形成されている。
【0054】
スクレイパー90の配置位置も特に限定されない。ここでは、図1に示すように、スクレイパー90は、支持台40の右方に位置するホームポジションHPに配置されている。例えば支持台40およびキャップユニット80よりも右方に、スクレイパー90が配置されている。図8に示すように、スクレイパー90は、筐体11に設けられており、筐体11に固定されている。本実施形態では、筐体11は、キャリッジ22およびインクヘッド24よりも前方に配置された前面壁11Aを有している。スクレイパー90は、前面壁11Aの右端部であり、ホームポジションHPに位置する部分に設けられている。スクレイパー90は、前面壁11Aから後方に延びた板状のものである。また、スクレイパー90は主走査方向Yにも延びており、スクレイパー90の主走査方向Yの長さは、ワイパー60の主走査方向Yの長さL21(図4参照)以上である。
【0055】
スクレイパー90は、ワイピング機構70によってワイパー60が非重複位置P1に移動したときに、ワイパー60に接触するように構成されている。すなわち、ワイパー60が非重複位置P1に位置しているときに、スクレイパー90の少なくとも一部がワイパー60の先端部分(ここではノズル面25と接触する部分)に重なるように構成されている。ここでは、非重複位置P1において、ワイピング機構70が作動することで、第1プーリ71を軸にワイパー60が回転する。このとき、ワイパー60は、撓みながらスクレイパー90に接触する。ワイパー60がスクレイパー90に接触したときに、ワイパー60に付着したインクなどの付着物は、スクレイパー90に付着し、ワイパー60に付着した付着物が取り除かれる。本実施形態では、スクレイパー90にワイパー60を接触させて、ワイパー60に付着した付着物を取り除く処理のことを、スクレイピングという。
【0056】
本実施形態では、図1に示すように、プリンタ10は、制御装置100を備えている。制御装置100は、媒体5への印刷に関する制御を行う装置である。また、制御装置100は、ワイパー60の動作に関する制御を行う装置でもある。制御装置100の構成は特に限定されない。制御装置100は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。制御装置100は、筐体11の内部に設けられている。ただし、制御装置100は筐体11の内部に設けられていなくてもよい。例えば制御装置100は、筐体11の外部に設置されたコンピュータなどで実現されてもよい。この場合、制御装置100は、有線または無線を介して筐体11内に配置された基板(図示せず)などと通信可能に接続されているとよい。
【0057】
図9は、プリンタ10のブロック図である。図9に示すように、制御装置100は、操作パネル15(詳しくは表示画面16および入力キー17)と、インクヘッド24と、ヘッド移動機構30(詳しくはスキャンモータ33)と、媒体移動機構50(詳しくはフィードモータ53)と、ワイピング機構70(詳しくは駆動モータ75)と、キャップユニット80の上下移動機構85(詳しくは上下移動モータ87)と、吸引ポンプ88とに通信可能に、かつ、電気的に接続されている。制御装置100は、操作パネル15、インクヘッド24、ヘッド移動機構30、媒体移動機構50、ワイピング機構70、上下移動機構85、および、吸引ポンプ88を制御する。
【0058】
本実施形態では、制御装置100は、記憶部101と、印刷制御部102と、印刷ワイパー制御部103と、移動制御部104と、ワイピング制御部105と、除去制御部106とを備えている。なお、上述した制御装置100の各部101~106は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば制御装置100の各部101~106は、プロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0059】
印刷制御部102は、支持台40に支持された媒体5に、インクヘッド24からインクを吐出させて、媒体5に印刷する制御を行う。例えば記憶部101には、図示しない印刷画像データが記憶されている。印刷制御部102は、記憶部101に記憶された印刷画像データに基づいた画像を媒体5に印刷する。ここでは、印刷制御部102は、まずインクヘッド24を主走査方向Yへ移動させるようにヘッド移動機構30を制御する。インクヘッド24が主走査方向Yに移動している間において、支持台40に支持された媒体5上を通過するときに、印刷制御部102は、インクヘッド24から媒体5に向かってインクを吐出させて、1ライン分の印刷を行う。1ライン分の印刷の後、印刷制御部102は、支持台40に支持された媒体5を副走査方向Xに所定の距離移動させるように媒体移動機構50を制御する。媒体5を副走査方向Xに移動させた後、次の1ライン分の印刷を行う。このように、1ライン分の印刷と、媒体5の副走査方向Xへの移動とを繰り返し行うことで、媒体5に印刷画像データに基づいた画像を印刷することができる。
【0060】
ところで、印刷制御部102による媒体5への印刷中、ワイパー60が支持台40に接触せず、かつ、インクヘッド24から吐出されるインクがワイパー60に吐出されないように、図5の仮想線で示したワイパー60のように、ワイパー60は、非重複位置P1に配置されていることが好ましい。そこで、図9の印刷ワイパー制御部103は、インクヘッド24からインクが吐出されているとき、非重複位置P1にワイパー60を移動させるように、ワイピング機構70を制御する。ここでは、印刷ワイパー制御部103は、印刷開始前、インクヘッド24がホームポジションHP(図1参照)に位置しているとき、ワイピング機構70を制御して、ワイパー60を副走査方向Xの前方に向かって移動させる。そして、印刷ワイパー制御部103は、ワイパー60が非重複位置P1に移動したとき、ワイピング機構70を停止させる。ワイパー60が非重複位置P1に配置された後、印刷制御部102による媒体5への印刷の制御を開始する。なお、印刷ワイパー制御部103は、印刷中、ワイパー60を非重複位置P1に維持させるようにワイピング機構70を制御する。
【0061】
次に、ワイパー60によるノズル面25のワイピングに関する制御について説明する。以下、ワイパー60がノズル面25を拭くときの制御を、ワイピング制御という。本実施形態では、ワイピング制御は、平面視においてインクヘッド24が支持台40と重ならない位置で実行される。ここでは、図5に示すように、ワイピング制御は、ホームポジションHPで行われ、平面視においてインクヘッド24がキャップ81と重なる位置で行われる。すなわち、ワイピング制御は、キャップ81の真上にインクヘッド24が配置されている状態で行われる。
【0062】
本実施形態では、ワイピング制御は、図9に示す移動制御部104およびワイピング制御部105によって実行される。まず移動制御部104は、平面視においてキャップ81と重なる位置にインクヘッド24のノズル面25が配置されるように、インクヘッド24を移動させる。ここでは、移動制御部104は、インクヘッド24がホームポジションHPに向かって主走査方向Yに移動するようにヘッド移動機構30を制御する。そして、ホームポジションHPにおいて、キャップ81の真上にインクヘッド24が移動したとき、ここでは、全てのキャップ81の真上に全てのインクヘッド24が移動したとき、移動制御部104は、ヘッド移動機構30を停止する。
【0063】
次に、図9のワイピング制御部105は、平面視においてキャップ81と重なる位置にノズル面25が配置された後、ワイパー60でノズル面25を拭くようにワイピング機構70を制御する。例えばキャップ81の真上にインクヘッド24が位置したとき、ワイパー60は、非重複位置P1に配置されているものとする。
【0064】
このような状態で、ワイピング制御部105は、ワイピング機構70を制御して、ワイパー60を移動方向D1(ここでは副走査方向X)の後方に移動させる。ワイパー60が後方に向かって移動しているときに、ワイパー60の先端部分(ここでは上端部分)が、全てのインクヘッド24のノズル面25に接触する。ノズル面25にワイパー60が接触した状態で、後方に向かって移動するとき、ワイパー60が撓んだ状態で移動する。そして、ノズル面25にワイパー60が接触しながら後方に移動することで、ノズル面25に付着した付着物がワイパー60に拭き取られる。
【0065】
ノズル面25の後端にまでワイパー60が移動した後、次に、ワイピング制御部105は、ワイピング機構70を制御して、ワイパー60を移動方向D1の前方に向かって移動させる。ノズル面25にワイパー60が接触した状態で、前方に向かって移動するとき、ワイパー60が撓んだ状態で移動する。そして、ノズル面25にワイパー60が接触しながら前方に移動することで、ノズル面25に付着した付着物がワイパー60に更に拭き取られる。以上のようなワイピング制御が行われる。
【0066】
本実施形態では、ワイピング制御の後、ワイパー60には付着物が付着されることがあり得る。そこで、ワイパー60の付着物を除去するための制御である、除去制御が行われる。除去制御は、図8に示すように、ワイパー60をスクレイパー90に当て付けることでワイパー60の付着物を除去する制御であり、図9の除去制御部106によって行われる。除去制御部106は、図8に示すように、インクヘッド24がホームポジションHPに配置され、かつ、ワイパー60が非重複位置P1に配置されている状態において、ワイピング機構70を制御し、ワイパー60をスクレイパー90に接触させる。ワイパー60がスクレイパー90に接触した状態でワイパー60が更に移動すると、ワイパー60は撓みながらスクレイパー90に接触する。ワイパー60がスクレイパー90に接触したときに、ワイパー60に付着した付着物は、スクレイパー90に付着し、ワイパー60に付着した付着物が除去される。
【0067】
以上、本実施形態では、図3に示すように、プリンタ10は、インクヘッド24と、キャリッジ22と、ワイパー60と、ワイピング機構70とを備えている。インクヘッド24は、インクを吐出するノズル26が形成されたノズル面25を有している。キャリッジ22には、インクヘッド24が設けられている。ワイパー60は、キャリッジ22に設けられ、ノズル面25に対して移動可能なものである。図5に示すように、ワイピング機構70は、ワイパー60がノズル面25を拭くように、ワイパー60を移動方向D1に移動させる。このことによって、ワイパー60がキャリッジ22に設けられていることで、キャリッジ22の移動に伴いワイパー60が移動する。そのため、従来のように筐体11(例えば支持台40の右方のホームポジションHPの位置)に、ワイパー60を配置するための専用のスペースを確保しなくてもよい。よって、プリンタ10が大型化(特に主走査方向Yに大型化)することを抑制することができる。
【0068】
また本実施形態では、ワイパー60がキャリッジ22に設けられているため、インクヘッド24が主走査方向Yに移動したときに、インクヘッド24に対するワイパー60の主走査方向Yの位置は変更されない。よって、インクヘッド24に対するワイパー60の主走査方向Yの位置の調整を行うための制御を省略することができ、制御が容易になる。
【0069】
本実施形態では、ヘッド移動機構30は、インクヘッド24を主走査方向Yに移動させる。図5に示すように、ワイピング機構70は、ノズル面25に対してワイパー60を副走査方向Xに移動させるように構成されている。このことによって、インクヘッド24が移動する方向とは異なる方向であっても、ワイパー60を移動させることができる。
【0070】
本実施形態では、図3に示すように、各ノズル面25は、副走査方向Xに並んで配置され、インクを吐出する複数のノズル26を有している。例えば第1インクヘッド24Aの複数のノズル26は、第1インクを吐出し、第2インクヘッド24Bの複数のノズル26は、第1インクとは異なる第2インクを吐出する。例えばワイパー60でノズル面25を拭く際、ノズル26にワイパー60に付着したインクが入り込むことがあり得る。ここでは、同じ色および同じ種類(言い換えると同じ成分)のインクが吐出される複数のノズル26が並ぶ方向に沿って、ワイパー60が移動してノズル面25を拭いている。そのため、ワイパー60でノズル面25を拭く際、ノズル26に入り込む、ワイパー60に付着したインクは、ノズル26から吐出されるインクと色や種類が同じである可能性が高い。よって、ワイパー60でノズル面25を拭く際、異なる色や種類のインクがノズル26に付着し難くすることができる。
【0071】
本実施形態では、図5に示すように、ワイピング機構70は、第1プーリ71と、第2プーリ72と、ベルト73と、支持部材74と、駆動モータ75とを備えている。第1プーリ71は、キャリッジ22に対して回転可能に設けられている。第2プーリ72は、第1プーリ71と移動方向D1に離れて配置され、キャリッジ22に対して回転可能に設けられている。ベルト73は、第1プーリ71と第2プーリ72とに巻き掛けられている。支持部材74は、ベルト73に固定され、ワイパー60を支持する。駆動モータ75は、第1プーリ71に接続されている。このように、ワイピング機構70をいわゆるベルト機構で実現することで、ワイパー60が移動方向D1に移動する速度を比較的に速くすることができる。よって、ワイパー60がワイピングするのに要する時間を短くすることができる。
【0072】
本実施形態では、図8に示すように、プリンタ10は、ワイパー60に付着したインクなどの付着物を取り除くスクレイパー90を備えている。このことによって、ワイパー60における付着物が付着している部分にスクレイパー90を当て付けることで、ワイパー60に付着した付着物を取り除くことができる。よって、ワイパー60でワイピングしているときに、ワイパー60の付着物がノズル面25に付着し難くすることができる。よって、ワイピング能力が向上する。
【0073】
本実施形態では、プリンタ10は、インクヘッド24、キャリッジ22、および、ワイパー60が少なくとも収容された筐体11を備えている。スクレイパー90は、筐体11に設けられている。このことによって、ワイパー60でワイピングしているときには、スクレイパー90の位置は変更されず、ヘッド移動機構30やワイピング機構70によってワイパー60の位置が変更されているときに、ワイパー60に対するスクレイパー90の相対的な位置が変更される。よって、ヘッド移動機構30やワイピング機構70によってワイパー60を移動させることで、ワイパー60をスクレイパー90に接触させて、ワイパー60に付着した付着物を取り除くことができる。したがって、スクレイピングするための専用の移動機構を設けなくてもよいため、構成を簡素化することができる。
【0074】
本実施形態では、図6および図7に示すように、プリンタ10は、キャップ81と、上下移動機構85と、制御装置100(図1参照)とを備えている。キャップ81は、インクヘッド24が主走査方向Yに移動した後、ノズル26を覆うようにインクヘッド24に着脱可能なものである。上下移動機構85は、ノズル面25に対してキャップ81を相対的に高さ方向Zに移動させる。図9に示すように、制御装置100は、移動制御部104と、ワイピング制御部105とを備えている。移動制御部104は、図5に示すように、平面視においてキャップ81と重なる位置にノズル面25が配置されるようにインクヘッド24を移動させる。ワイピング制御部105は、平面視においてキャップ81と重なる位置にノズル面25が配置された後、ワイパー60でノズル面25を拭くようにワイピング機構70を制御する。このように、ワイパー60によるノズル面25のワイピングは、キャップ81の上で行われる。よって、ワイピング中、ワイパー60に付着した付着物が落下した場合、付着物はキャップ81に落下して収容される。キャップ81は、例えばフラッシングをする際に使用されるものである。したがって、ワイパー60から落下した付着物を収容するための専用の容器を設けなくてもよいため、部品点数を削減することができる。
【0075】
本実施形態では、図5に示すように、ワイピング機構70は、平面視においてノズル面25と重ならない非重複位置P1に、ワイパー60を移動させることが可能に構成されている。このことによって、ワイピング以外のときには、ワイパー60を非重複位置P1に移動させることができる。
【0076】
本実施形態では、図9に示すように、制御装置100は、支持台40に支持された媒体5に、インクヘッド24からインクを吐出させる印刷制御部102と、インクヘッド24からインクが吐出されているとき、非重複位置P1にワイパー60を移動させる印刷ワイパー制御部103とを備えている。このことによって、印刷中、ワイパー60を非重複位置P1に配置することができる。よって、印刷中、ワイパー60が支持台40に接触したり、インクヘッド24から吐出されたインクがワイパー60に付着したりすることを防止することができる。
【0077】
なお、第1実施形態では、図4に示すように、ワイパー60は四角形状の板状の部材であり、ノズル面25に接触するワイパー60の先端(ここでは上端)は、直線状であった。しかしながら、図10に示すプリンタ10Aのように、ワイパー60Aの先端には、切り込み61が設けられてもよい。この切り込み61は、ノズル面25と接触しないワイパー60Aの先端の部分に形成されている。ここでは、切り込み61は、第1インクヘッド24Aと第2インクヘッド24Bとの間、第2インクヘッド24Bと第3インクヘッド24Cとの間、第3インクヘッド24Cと第4インクヘッド24Dとの間にそれぞれ位置するワイパー60Aの先端の部分に形成されている。切り込み61の数は3つである。なお、切り込み61の位置、深さや幅は特に限定されず、ワイパー60Aの大きさや材質によって適宜に設定される。例えば切り込み61の深さは、ワイパー60Aの厚み(ここでは、ワイパー60Aが高さ方向Zに立ち上っている状態(言い換えると、高さ方向Zに延びている状態)における前後方向の長さ)と同じでもよいし、ワイパー60Aの厚みよりも深くてもよい。
【0078】
このように、切り込み61を形成することで、ワイパー60の先端が、4つのインクヘッド24のノズル面25に接触するとき、4つのノズル面25に接触するワイパー60の撓み方を同じようにすることができる。このことで、各ノズル面25に対するワイパー60の接触角度などの接触の具合いを同じようにすることができ、各ノズル面25に対して均一にワイピングし易い。
【0079】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るプリンタ110について説明する。図11は、第2実施形態に係るプリンタ110のキャリッジ22およびワイパー60を示す右側面図である。図11に示すように、プリンタ110は、ワイパー60と、ワイピング機構170とを備えている。ワイパー60の構成や向きなどは、第1実施形態と同じである。
【0080】
ワイピング機構170は、ワイパー60がノズル面25を拭うように、ワイパー60を移動方向D1、ここでは副走査方向Xに移動させる機構である。本実施形態では、ワイピング機構170は、第1実施形態に係るワイピング機構70(図5参照)と構成が異なる。ここでは、ワイピング機構170は、いわゆるネジ機構によって実現されている。
【0081】
ワイピング機構170は、棒状部材171と、螺合部材173と、支持部材174と、駆動モータ175とを備えている。棒状部材171は、キャリッジ22に対して回転可能に設けられ、移動方向D1(ここでは副走査方向X)に延びている。この棒状部材171は、例えばキャリッジ22の内部に配置されている。棒状部材171の一端は、キャリッジ22の前面に回転可能に支持され、棒状部材171の他端は、キャリッジ22の後面に回転可能に支持されている。棒状部材171の外周面には、第1螺合部171aが形成されている。すなわち棒状部材171の外周面には、螺子が切られており、棒状部材171は雄螺子を構成している。
【0082】
螺合部材173は、棒状部材171と螺合するものである。螺合部材173は、円筒状のものであり、内周面に第2螺合部173aが形成されている。すなわち螺合部材173の内周面には、螺子が切られており、螺合部材173は雌螺子を構成している。第2螺合部173aは、棒状部材171の第1螺合部171aと螺合する。本実施形態では、第2螺合部173aと第1螺合部171aとが螺合した状態で、螺合部材173に棒状部材171が挿入される。
【0083】
なお、本実施形態では、キャリッジ22には、移動孔22aが形成されている。移動孔22aは、副走査方向Xに延びた孔であり、例えばキャリッジ22の右面に形成されている。ここでは、螺合部材173の一部は、キャリッジ22内に配置され、螺合部材173の他の一部は、移動孔22aから外部に露出している。螺合部材173は、移動孔22aに沿って、副走査方向Xに移動可能である。
【0084】
支持部材174は、ワイパー60を支持するものである。支持部材174は、螺合部材173に設けられている。ここでは、支持部材174は、移動孔22aから露出した螺合部材173の部分から下方に延びた棒状の部材である。駆動モータ175は、棒状部材171に接続されており、棒状部材171を回転させる。
【0085】
本実施形態では、駆動モータ175が駆動すると、棒状部材171が移動方向D1に延びた中心軸A1を中心に方向T1に回転する。このとき、棒状部材171は、螺合部材173に対して回転している。第2螺合部173aと第1螺合部171aとが螺合した状態で棒状部材171が回転するため、螺合部材173は、棒状部材171が回転することで、移動方向D1(ここでは副走査方向X)に移動する。螺合部材173が移動方向D1に移動すると共に、支持部材174およびワイパー60も移動方向D1に移動する。ここでは、ワイパー60が移動方向D1に移動しているときに、ワイパー60の先端部分(ここでは上端部分)が、全てのインクヘッド24のノズル面25に接触する。ノズル面25にワイパー60が接触した状態で、ワイパー60が移動方向D1に移動することで、ノズル面25に付着した付着物がワイパー60に拭き取られる。
【0086】
なお、本実施形態では、ワイピング機構170は、キャリッジ22の右側に設けられているが、キャリッジ22の左側に設けられてもよいし、キャリッジ22の左右両側に設けられてもよい。
【0087】
本実施形態に係るワイピング機構170であっても、キャリッジ22に設けられたワイパー60を移動方向D1に移動させながらワイピングすることができる。また、本実施形態では、ワイピング機構170はネジ機構で実現されているため、分解能を細かくすることができる。よって、ワイパー60の移動距離を細かく設定することができる。
【0088】
<第3実施形態>
次に第3実施形態に係るプリンタ210について説明する。図12図13は、それぞれ第3実施形態に係るプリンタ210のキャリッジ22およびワイパー260を示す右側面図、正面図である。本実施形態では、図12および図13に示すように、プリンタ210は、ワイパー260と、ワイピング機構270とを備えている。
【0089】
上記各実施形態では、図4に示すように、ワイパー60は主走査方向Yに延びていたが、本実施形態に係るワイパー260は、図13に示すように、副走査方向Xに延びている。ここでワイパー260の副走査方向Xの長さは、ノズル列27(図3参照)の長さよりも長い。
【0090】
図12に示すように、ワイピング機構270は、ワイパー260がノズル面25を拭くように、ワイパー260を移動方向D1に移動させる機構である。本実施形態では、ワイピング機構270がワイパー260を移動させる移動方向D1は、主走査方向Yである。そのため、ワイピング機構270によってワイパー260は、主走査方向Yに移動しながらノズル面25を拭く。すなわち、ワイパー260は、ノズル面25に接触しながら主走査方向Yに移動して、ノズル面25に付着したインクを拭き取る。図13に示すように、ワイピング機構270は、例えばキャリッジ22の前側部分および後側部分に設けられている。ただし、ワイピング機構270は、キャリッジ22の前側部分および後側部分のうち何れか一方の部分にのみ設けられてもよい。
【0091】
ワイピング機構270の構成要素は、第1実施形態のワイピング機構70の構成要素と同じである。すなわち、図12に示すように、ワイピング機構270は、いわゆるベルト機構によって実現されており、第1プーリ271と、第2プーリ272と、ベルト273と、支持部材274と、駆動モータ275とを備えている。
【0092】
第1プーリ271および第2プーリ272は、キャリッジ22に対して回転可能に設けられている。第1プーリ271および第2プーリ272は、キャリッジ22から前方に突出している。ただし、第1プーリ271および第2プーリ272は、キャリッジ22から後方に突出していてもよい。第1プーリ271と第2プーリ272とは、移動方向D1(ここでは主走査方向Y)に離れた位置に配置されており、主走査方向Yに並んでいる。ここでは、第2プーリ272は、第1プーリ271の右方に配置されている。
【0093】
ベルト273は、例えば無端状であり、第1プーリ271と第2プーリ272とに巻き掛けられている。支持部材274は、例えば棒状の部材であり、ベルト273に固定され、ワイパー260を支持している。駆動モータ275は、第1プーリ271に接続されている。
【0094】
駆動モータ275が駆動すると、第1プーリ271が回転し、ベルト273が走行する。このことで、支持部材274およびワイパー260が主走査方向Yに移動する。ここでは、ワイパー260が移動方向D1(ここでは主走査方向Y)に移動しているときに、ワイパー260の先端部分が、ノズル面25に接触する。ノズル面25にワイパー260が接触した状態で、移動方向D1に移動することで、ノズル面25に付着した付着物がワイパー260に拭き取られる。
【0095】
以上のように、本実施形態では、ワイピング機構270は、ノズル面25に対してワイパー260を主走査方向Yに移動させるように構成されている。このことによって、インクヘッド24が移動する方向と同じ方向に、ワイパー260を移動させることができる。
【0096】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、図3に示すように、ノズル面25の主走査方向Yの長さL11は、ノズル面25の副走査方向Xの長さL12よりも短い。このことによって、ノズル面25が短い方向である主走査方向Yにワイパー260が移動しながらワイピングされるため、ワイピングに要する距離を短くすることができる。よって、ワイピング時、ワイパー260の任意の一部分が通過するノズル26の数を比較的に少なくする(ここでは、ノズル列27の数であり、4つにする)ことができるため、ワイパー60に付着した埃などの付着物がノズル26に入り込み難くすることができる。
【0097】
なお、本実施形態では、ワイピング機構270は、ベルト機構によって実現されていたが、第2実施形態のように、ネジ機構で実現されてもよい。この場合、第2実施形態のような棒状部材171は、主走査方向Yに延びているとよい。
【0098】
<他の実施形態>
図14は、他の実施形態に係るキャリッジ22、ワイパー60および吸収部材390を示す右側面図である。第1実施形態では、筐体11にスクレイパー90(図8参照)が設けられていたが、図14に示すように、スクレイパー90の代わりに、筐体11に吸収部材390が設けられていてもよい。吸収部材390は、ワイパー60に付着したインクを吸収するものである。吸収部材390を形成する材料は、特に限定されないが、インクを吸収するものであればよい。吸収部材390は、ワイパー60よりも柔らかい材料であることが好ましい。吸収部材390は、例えばスポンジによって形成されている。
【0099】
吸収部材390の配置位置は特に限定されないが、例えば第1実施形態のスクレイパー90と同じ位置である。すなわち、吸収部材390は、支持台40の右方に位置するホームポジションHP(図1参照)に配置されている。吸収部材390は、筐体11に設けられており、筐体11に固定されている。詳しくは、吸収部材390は、インクヘッド24よりも前方に配置された筐体11の前面壁11Aの右端部であり、ホームポジションHPに位置する部分に設けられている。吸収部材390は、前面壁11Aから後方に延びている。また、吸収部材390は主走査方向Yにも延びており、吸収部材390の主走査方向Yの長さは、ワイパー60の主走査方向Yの長さL21(図4参照)以上である。
【0100】
吸収部材390は、ワイパー60が非重複位置P1に移動したときに、ワイパー60に接触するように構成されている。ワイパー60が非重複位置P1に位置しているときに、吸収部材390の少なくとも一部がワイパー60の先端部分に重なる。ここでは、非重複位置P1において、吸収部材390にワイパー60が接触することで、ワイパー60に付着したインクは、吸収部材390に吸収される。
【0101】
このように、吸収部材390を設けることで、ワイパー60に付着したインク付着物を取り除くことができる。よって、ワイパー60でワイピングしているときに、ワイパー60に付着したインクがノズル面25に付着し難くすることができる。よって、ワイピング能力が向上する。
【0102】
また、本実施形態では、吸収部材390が筐体11に設けられている。そのため、ワイパー60でワイピングしているときには、吸収部材390の位置は変更されず、ヘッド移動機構30やワイピング機構70によってワイパー60の位置が変更されているときに、ワイパー60に対する吸収部材390の相対的な位置が変更される。よって、ヘッド移動機構30やワイピング機構70によってワイパー60を移動させることで、ワイパー60を吸収部材390に接触させて、ワイパー60に付着したインクを取り除くことができる。したがって、吸収部材390にインクを吸収させるための専用の移動機構を設けなくてもよいため、構成を簡素化することができる。
【0103】
上記各実施形態では、非重複位置P1は、インクヘッド24よりも前方の位置であった。しかしながら、非重複位置P1は、平面視においてノズル面25と重ならない位置であればよく、例えばインクヘッド24よりも後方の位置であってもよい。
【0104】
上記各実施形態では、1つのワイパー60で、全てのインクヘッド24のノズル面25を拭いていた。しかしながら、1つのワイパー60で、1つのインクヘッド24のノズル面25を拭くように構成されていてもよい。この場合、ワイパー60の数は、インクヘッド24と同じであり、例えば4つである。この場合、ワイピング機構70は、1つのワイパー60に対して1つ設けられてもよいし、複数のワイパー60に対して1つ設けられてもよい。すなわち、ワイピング機構70は、各ワイパー60を独立で移動させるように構成されてもよいし、全てのワイパー60をまとめて移動させるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0105】
5 媒体
10、120、220 プリンタ
11 筐体
22 キャリッジ
24 インクヘッド
25 ノズル面
26 ノズル
30 ヘッド移動機構
40 支持台
60、260 ワイパー
70、270 ワイピング機構
71 第1プーリ
72 第2プーリ
73 ベルト
74 支持部材
75 駆動モータ
81 キャップ
85 上下移動機構
90 スクレイパー
100 制御装置
102 印刷制御部
103 印刷ワイパー制御部
104 移動制御部
105 ワイピング制御部
170 ワイピング機構
171 棒状部材
171a 第1螺合部
173 螺合部材
173a 第2螺合部
174 支持部材
175 駆動モータ
390 吸収部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14