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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166525
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
F16K31/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071787
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水沼 赳人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 亮
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA07
3H062BB33
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE07
3H062GG01
3H062HH03
3H062HH08
(57)【要約】
【課題】駆動部から回転子までの間における周方向のガタツキに起因する流路孔の開度バラツキを抑制可能なバルブ装置を提供する。
【解決手段】バルブ装置10は、ハウジング12とシャフト18との間に、シャフト18をハウジング12に対して周方向DRcに付勢する第1トーションスプリング28が配置されている。シャフト18とレバー24との間には、レバー24をシャフト18に対して周方向DRcに付勢する第2トーションスプリング30が配置されている。シャフト18の駆動部16は、シャフト18を初期回転位置に向かう第1回転方向および第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転駆動するモータ161を含んでいる。第1トーションスプリング28は、モータ161によってシャフト18が第1回転方向に向けて駆動されてシャフト18が初期回転位置にある状態で、第2回転方向に向けてシャフト18をハウジング12に対して付勢する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ装置であって、
内部に流体を流通させる流体通路を形成するハウジング(12)と、
前記ハウジングの内側に固定され、流体が通過する流路孔(141、142)が少なくとも1つ形成された板状の固定ディスク(14)と、
回転力を出力する駆動部(16)と、
前記回転力によって所定の軸心(CL)を中心に回転するシャフト(18)と、
前記シャフトの回転に伴って前記流路孔の開度を増減する回転子(20)と、を備え、
前記回転子は、前記固定ディスクに相対して摺動する板状の駆動ディスク(22)と、前記駆動ディスクに固定されるとともに、前記駆動ディスクを前記シャフトの軸心方向に変位可能な状態で前記駆動ディスクおよび前記シャフトを一体に回転可能に連結するレバー(24)と、を含み、
前記ハウジングと前記シャフトとの間には、前記シャフトを前記ハウジングに対して前記シャフトの軸心まわりの周方向に付勢する第1トーションスプリング(28)が配置され、
前記シャフトと前記レバーとの間には、前記レバーを前記シャフトに対して前記周方向に付勢する第2トーションスプリング(30)が配置されており、
前記駆動部は、初期回転位置と最大回転位置との間となる回転駆動範囲において前記シャフトを前記初期回転位置に向かう第1回転方向および前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転駆動するモータ(161)を含み、
前記第1トーションスプリングは、前記モータによって前記シャフトが前記第1回転方向に向けて駆動されて前記シャフトが前記初期回転位置にある状態で、前記第2回転方向に向けて前記シャフトを前記ハウジングに対して付勢する、バルブ装置。
【請求項2】
原点位置を基準に前記シャフトの位置を把握しつつ、前記モータを制御するモータ制御部(163)を含み、
前記初期回転位置は、前記シャフトの回転が前記ハウジングに設けられたストッパ(125a)との接触によって規制される位置であり、
前記モータ制御部は、前記シャフトが前記初期回転位置に回転されて前記ストッパに突き当てられた状態で前記原点位置を更新するイニシャライズ処理を実施する、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記モータは、ステッピングモータであり、
前記モータ制御部は、前記モータのコイルに生ずる逆起電圧に基づいて前記シャフトが前記ストッパに突き当てられた状態であるか否かを判定する、請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記シャフトは、前記軸心を含むとともに前記軸心方向に沿って延びる金属製の軸心部(181)と、前記軸心部に連結されるとともに前記第1トーションスプリングおよび前記第2トーションスプリングの付勢力を受ける樹脂製のホルダ部(182)と、を含んでいる、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記シャフトは、前記固定ディスクおよび前記駆動ディスクを貫通して前記ハウジングに対して回転可能に支持されている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバルブ装置として、例えば、特許文献1に記載された流量制御弁が従来から知られている。特許文献1に記載の流量制御弁は、弁体と、弁体を駆動する駆動装置と、弁体と駆動装置との間に配置されて駆動装置の駆動トルクを増加させる減速装置と、減速装置を介して駆動される弁体に付勢するリターンスプリングと、を備える。この流量制御弁の弁体は、回転子であるディスクおよびシャフトを有し、ディスクがシャフトの軸心方向に変位可能な状態でディスクおよびシャフトが一体に回転可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-257248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の流量制御弁のようなバルブ装置では、回転子であるディスクが駆動装置によって回転されると、ハウジングの入口から出口へ向かう流体が通過する流路孔の開度が増減される。
【0005】
しかしながら、特許文献1の流量制御弁は、回転子であるディスクとシャフトとの間における周方向のガタツキを抑える対策が何ら為されていないので、流路孔の開度にバラツキが生じる。流路孔の開度のバラツキは、バルブ装置を通過する流体の流量のバラツキが生じる要因となることから好ましくない。このことは、本発明者らの鋭意検討の末に見出された。
【0006】
本開示は、駆動部から回転子までの間における周方向のガタツキに起因する流路孔の開度バラツキを抑制可能なバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
バルブ装置であって、
内部に流体を流通させる流体通路を形成するハウジング(12)と、
ハウジングの内側に固定され、流体が通過する流路孔(141、142)が少なくとも1つ形成された板状の固定ディスク(14)と、
回転力を出力する駆動部(16)と、
回転力によって所定の軸心(CL)を中心に回転するシャフト(18)と、
シャフトの回転に伴って流路孔の開度を増減する回転子(20)と、を備え、
回転子は、固定ディスクに相対して摺動する板状の駆動ディスク(22)と、駆動ディスクに固定されるとともに、駆動ディスクをシャフトの軸心方向に変位可能な状態で駆動ディスクおよびシャフトを一体に回転可能に連結するレバー(24)と、を含み、
ハウジングとシャフトとの間には、シャフトをハウジングに対してシャフトの軸心まわりの周方向に付勢する第1トーションスプリング(28)が配置され、
シャフトとレバーとの間には、レバーをシャフトに対して周方向に付勢する第2トーションスプリング(30)が配置されており、
駆動部は、初期回転位置と最大回転位置との間となる回転駆動範囲においてシャフトを初期回転位置に向かう第1回転方向および第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転駆動するモータ(161)を含み、
第1トーションスプリングは、モータによってシャフトが第1回転方向に向けて駆動されてシャフトが初期回転位置にある状態で、第2回転方向に向けてシャフトをハウジングに対して付勢する。
【0008】
このように、第1トーションスプリングによってシャフトがハウジングに対して周方向に付勢されていれば、駆動部とシャフトとの間における周方向のガタツキが抑制される。加えて、第2トーションスプリングによってレバーがシャフトに対して周方向に付勢されていれば、シャフトとレバーとの間における周方向のガタツキが抑制される。そして、レバーは駆動ディスクに固定されているので、第2トーションスプリングによってシャフトと駆動ディスクとの間における周方向のガタツキが抑制される。
【0009】
したがって、駆動部から回転子までの間における周方向のガタツキが抑制され、当該ガタツキに起因する流路孔の開度バラツキを抑えることができる。特に、初期回転位置にある状態において第2回転方向に向けてシャフトがハウジングに対して付勢されていれば、初期回転位置を起点とする高精度なシャフトの位置制御(すなわち、流路孔の開度制御)を実施することができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るバルブ装置の正面図である。
図2図1のIIで示す矢印の方向から見たバルブ装置の下面図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4】本体カバー部を軸心方向の他方側から見た際の斜視図である。
図5】本体カバー部の下面図である。
図6】固定ディスクの下面図である。
図7】シャフト、回転子、およびレバーの組付体の平面図である。
図8図7のVIIIで示す矢印の方向から見たシャフト、回転子、およびレバーの組付体の斜視図である。
図9図7のIXで示す矢印の方向から見たシャフト、回転子、およびレバーの組付体の斜視図である。
図10図7のX-X断面図である。
図11】回転子の平面図である。
図12】駆動ディスクの平面図である。
図13】固定ディスクの上に駆動ディスクを重ねた状態を示す平面図である。
図14】本体カバー部にシャフト等を組付けた組付体の側面図である。
図15図14のXVで示す矢印の方向から見た本体カバー部にシャフト等を組付けた組付体の下面図である。
図16】第1トーションスプリングの基準位置、付勢範囲、および非付勢範囲を説明するための説明図である。
図17図14のXVII-XVII断面を示すもので、シャフトが初期回転位置にある状態を示す図である。
図18図14のXVII-XVII断面を示すもので、シャフトが最大回転位置にある状態を示す図である。
図19】第1トーションスプリングとスプリングガイド部との位置関係を説明するための説明図である。
図20】スプリングガイド部とフック係止部との位置関係を説明するための説明図である。
図21図3のXXI-XXI断面図である。
図22】バルブ装置のモータ制御部のブロック図である。
図23】モータ制御部が実行するイニシャライズ処理の流れを示すフローチャートである。を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一実施形態について図1図23に基づいて説明する。本実施形態では、本開示のバルブ装置10を、電動車両における車室内空調および電池温調に供される温調機器に適用した例について説明する。電動車両の温調機器に用いるバルブ装置10は、車室内および電池それぞれに応じた温度の微調整が必要であり、内燃機関であるエンジンの冷却水回路に用いるものに比べて、流体の流量を精度よく調整する必要がある。
【0013】
図1に示すバルブ装置10は、車室内および電池の温度を調整するための流体(本例では、冷却水)が循環する流体循環回路に適用される。バルブ装置10は、流体循環回路のうちバルブ装置10を介した流通経路における流体の流量を増減することができるとともに、当該流通経路における流体の流れを遮断することもできる。流体としては、例えばエチレングリコールを含むLLCなどが用いられる。なお、LLCはLong Life Coolant の略称である。
【0014】
図1図2に示すように、バルブ装置10は、内部に流体を流通させる流体通路を形成するハウジング12を有する。バルブ装置10は、流体が流入する入口部12a、流体を流出させる第1出口部12b、流体を流出させる第2出口部12cがハウジング12に設けられた三方弁で構成されている。バルブ装置10は、単に流路切替弁としての機能だけでなく、入口部12aから第1出口部12bへ流れる流体と、入口部12aから第2出口部12cへ流れる流体との流量割合を調整する流量調整弁としても機能する。
【0015】
バルブ装置10は、後述するシャフト18の軸心CLまわりに円盤状の弁体が回転することで、バルブ開閉動作を行うディスクバルブとして構成されている。なお、本実施形態は、後述するシャフト18の軸心CLに沿う方向を軸心方向DRaとし、当該軸心方向DRaに直交するとともに軸心CLから放射状に拡がる方向を径方向DRrとして各種構成等を説明する。また、本実施形態は、軸心CLまわりの方向を周方向DRcとして各種構成等を説明する。
【0016】
図3に示すように、バルブ装置10は、ハウジング12の内側に固定ディスク14、シャフト18、回転子20、コンプレッションスプリング26、第1トーションスプリング28、第2トーションスプリング30等が収容される。また、バルブ装置10は、ハウジング12の外側に駆動部16等が配置されている。
【0017】
ハウジング12は、回転しない非回転部材である。ハウジング12は、例えば樹脂材料によって形成されている。ハウジング12は、軸心方向DRaに沿って延びる有底筒形状の本体部120と本体部120の開口部120aを閉塞する本体カバー部124とを有している。
【0018】
本体部120は、底面を形成する底壁部121および軸心CLまわりを囲む側壁部122を有している。底壁部121および側壁部122は、一体に成型された一体成型物として構成されている。
【0019】
底壁部121には、後述する固定ディスク14の各流路孔141、142に合わせて段差が設けられている。すなわち、底壁部121は、後述する固定ディスク14の各流路孔141、142に対向する部位が固定ディスク14の各流路孔141、142に対向しない部位に比べて、本体カバー部124との距離が大きくなっている。
【0020】
底壁部121は、固定ディスク14の各流路孔141、142に対向する対向部位121aおよび固定ディスク14の各流路孔141、142に対向しない非対向部位121bを有する。底壁部121は、対向部位121aが固定ディスク14から大きく離れるとともに、非対向部位121bが固定ディスク14に近接している。
【0021】
側壁部122には、底壁部121よりも開口部120aに近い位置に入口部12aが形成され、開口部120aよりも底壁部121に近い位置に第1出口部12bおよび第2出口部12cが形成されている。入口部12a、第1出口部12b、および第2出口部12cは、内側に流路が形成された管状の部材で構成されている。
【0022】
側壁部122の内側には、入口部12aが形成された部位と各出口部12b、12cが形成された部位との間に、固定ディスク14を載置するための載置部122aが設けられている。載置部122aは、固定ディスク14における開口面140の裏面に当接する部位である。載置部122aは、側壁部122において内径が変化する部位に形成されている。具体的には、載置部122aは、径方向DRrに拡がる平坦な部位である。載置部122aには、後述のガスケット15を配置するための収容溝122bが形成されている。
【0023】
また、側壁部122は、固定ディスク14と径方向DRrに対向する第1ディスク対向部122cと、駆動ディスク22と径方向DRrに対向する第2ディスク対向部122dとを有する。
【0024】
図示しないが、第1ディスク対向部122cには、図6に示す固定ディスク14の回り止め突起144を受け入れる受入溝が形成されている。なお、固定ディスク14の回り止めは、回り止め突起144ではなく、例えば、回り止め用のピンによって実現されていてもよい。
【0025】
第1ディスク対向部122cは、その内径Dhが、固定ディスク14のうち回り止め突起144を除く部位の外径Ddよりも大きくなっている。これにより、固定ディスク14を載置部122aに設置した状態で、固定ディスク14と側壁部122との間に隙間が形成される。換言すれば、固定ディスク14は、側壁部122によって位置決めされていない。
【0026】
第2ディスク対向部122dは、その内径が、第1ディスク対向部122cの内径よりも大きい。また、第2ディスク対向部122dの内径は、駆動ディスク22の外径よりも大きい。これにより、駆動ディスク22と側壁部122との間に隙間が形成される。すなわち、駆動ディスク22は、側壁部122に接触せず、側壁部122によって位置決めされていない。なお、駆動ディスク22の外径は、固定ディスク14の外径Ddと略同等になっている。
【0027】
ハウジング12の内側は、固定ディスク14によって入口側空間12dと出口側空間12eとに仕切られている。入口側空間12dは、ハウジング12の内側にて入口部12aに連通する空間である。出口側空間12eは、ハウジング12内側にて第1出口部12bおよび第2出口部12cに連通する空間である。
【0028】
図示しないが、本体部120の内側には、出口側空間12eを第1流路孔141に連通する第1出口側空間と第2流路孔142に連通する第2出口側空間とに仕切る板状の仕切部が設定されている。この仕切部は、出口側空間12eを径方向DRrに沿って横断するように設けられている。
【0029】
本体カバー部124は、本体部120の開口部120aを覆う蓋部材である。本体カバー部124は、板部124a、リブ部124b、ボス部124c、スプリングガイド部125を含んで構成されている。板部124a、リブ部124b、ボス部124c、スプリングガイド部125は、一体に成型された一体成型物として構成されている。
【0030】
板部124aは、径方向DRrに延びる円環形状の部位である。板部124aは、本体カバー部124のうち、側壁部122および固定ディスク14とともに、入口側空間12dを形成する。
【0031】
リブ部124bは、本体カバー部124のうち本体部120の開口部120aに嵌め込まれる部位である。リブ部124bは、筒形状であって板部124aの外周側に設けられている。リブ部124bは、板部124aから底壁部121に向かって突き出るように設けられている。リブ部124bと側壁部122との間には、本体部120と本体カバー部124との隙間をシールするためのOリング124dが配置されている。
【0032】
ボス部124cは、内側にシャフト18が挿通される部位である。ボス部124cは、筒形状であって板部124aの内周側に設けられている。ボス部124cは、板部124aから軸心方向DRaの一方側に向かって突き出ている。ボス部124cは、内側にシャフトシール124eが設けられ、外側に駆動部16との隙間をシールするOリング124fが設けられている。シャフトシール124eは、シャフト18との隙間をシールするリング状のシール部材である。また、ボス部124cの内側には、シャフト18を回転可能に支持する軸受部124gが配置されている。
【0033】
スプリングガイド部125は、第1トーションスプリング28の機能が適切に発揮されるように第1トーションスプリング28を適正位置に規制するガイド部材である。スプリングガイド部125は、第1トーションスプリング28の内側において軸心CLを囲むように配置されている。具体的には、スプリングガイド部125は、ボス部124cと同様に、板部124aの内周側に設けられている。図4に示すように、スプリングガイド部125は、板部124aから軸心方向DRaの他方側に向かって突き出ている。図5に示すように、スプリングガイド部125は軸心CLを中心に円弧状に湾曲している。
【0034】
スプリングガイド部125には、周方向DRcの端部がシャフト18の回転を規制する第1ストッパ125aおよび第2ストッパ125bを構成している。各ストッパ125a、125bは、シャフト18が所定位置に回転した際にシャフト18に当接してシャフト18の回転駆動範囲を規制する。
【0035】
第1ストッパ125aは、スプリングガイド部125のうち周方向DRcの一端部に設定され、シャフト18の第1回転方向R1への回転を規制する。具体的には、第1ストッパ125aは、シャフト18を初期回転位置に回転させた際にシャフト18の回転規制部189と当接する。
【0036】
第2ストッパ125bは、スプリングガイド部125のうち周方向DRcの他端部に設定され、シャフト18の第2回転方向R2への回転を規制する。具体的には、第2ストッパ125bは、シャフト18を最大回転位置に回転させた際にシャフト18の回転規制部189と当接する。
【0037】
固定ディスク14は、円盤状の部材で構成されている。固定ディスク14は、軸心方向DRaを厚み方向とする姿勢でハウジング12の内側に配置されている。固定ディスク14は、駆動ディスク22が摺動する表面としての開口面140を有する。開口面140は、後述する駆動ディスク22の摺動面220に接触する接触面である。
【0038】
固定ディスク14は、ハウジング12の構成材料に比較して、線膨張係数が小さく、且つ、耐摩耗性に優れた材料で形成されていることが望ましい。固定ディスク14は、ハウジング12よりも硬度が高い高硬度材料で構成されている。具体的には、固定ディスク14はセラミックで構成されている。固定ディスク14は、セラミックの粉末をプレス機によって所望の形状に成型された粉末成型体である。なお、固定ディスク14は、開口面140を形成する部位だけが、ハウジング12の構成材料に比較して、セラミック等の線膨張係数が小さく、且つ、耐摩耗性に優れた材料で形成されていてもよい。
【0039】
また、固定ディスク14は、流体が通過する各流路孔141、142が形成された流路形成部を構成する。したがって、本実施形態のバルブ装置10は、流路形成部である固定ディスク14がハウジング12とは別体の部材として構成されている。
【0040】
図6に示すように、固定ディスク14には、流体が通過する第1流路孔141および第2流路孔142が形成されている。第1流路孔141および第2流路孔142は、シャフト18の軸心CLと重ならないように、固定ディスク14のうちシャフト18の軸心CLから離れた位置に形成されている。第1流路孔141および第2流路孔142は、セクタ状(すなわち、扇形状)の貫通孔であり、第1流路孔141および第2流路孔142は、入口側空間12dと出口側空間12eとを連通させる連通路として機能する。なお、第1流路孔141および第2流路孔142は円形状、楕円形状など他の形状であってもよい。
【0041】
具体的には、第1流路孔141は、第1出口側空間に連通するように、固定ディスク14のうち、第1出口側空間に対応する部位に設けられている。また、第2流路孔142は、第2出口側空間に連通するように、固定ディスク14のうち、第2出口側空間に対応する部位に設けられている。
【0042】
固定ディスク14の略中心部分には、固定ディスク孔143が形成されている。固定ディスク孔143は、シャフト18が挿通される固定側挿通孔である。固定ディスク孔143は、シャフト18が摺動しないように、その内径がシャフト18の直径よりも大きくなっている。
【0043】
固定ディスク14と載置部122aとの間には、固定ディスク14と載置部122aとの隙間をシールするガスケット15が配置されている。ガスケット15は、ゴム製である。ガスケット15は、載置部122aに形成された収容溝122bに収容される。ガスケット15は、固定ディスク14に対向するシール面に2つ以上の突起が設けられ、載置部122aに対向するシール面に2つ以上の突起が設けられている。具体的には、ガスケット15には、軸心方向DRaに向けて突き出る2つの突起が設けられている。このようなガスケット15は、例えば、平坦なシール面に対して窪みを形成するといった簡易な手法によって得ることができる。
【0044】
図3および図7に示すように、シャフト18は、駆動部16が出力する回転力によって所定の軸心CLを中心に回転する回転軸である。シャフト18は、軸心方向DRaに沿って延びている。シャフト18は、軸心方向DRaの両側がハウジング12に回転可能に支持されている。すなわち、シャフト18は、両端支持構造になっている。シャフト18は、固定ディスク14および駆動ディスク22を貫通してハウジング12に対して回転可能に支持されている。具体的には、シャフト18は、軸心方向DRaの一方側が本体カバー部124の内側に設けられた軸受部124gによって回転可能に支持されている。また、シャフト18は、軸心方向DRaの他方側が本体部120の底壁部121に形成された軸受孔部121cに支持されている。軸受孔部121cは、滑り軸受で構成されている。なお、軸受孔部121cは、滑り軸受ではなく、玉軸受等で構成されていてもよい。
【0045】
図3図8図9図10に示すように、シャフト18は、金属製の軸心部181と、軸心部181に連結される樹脂製のホルダ部182と、を含んでいる。軸心部181およびホルダ部182は、一体に回転可能なように互いに連結されている。軸心部181およびホルダ部182は、インサート成型によって一体に成型されたインサート成型品である。
【0046】
軸心部181は、シャフト18の軸心CLを含むとともに軸心方向DRaに沿って延びている。軸心部181は、回転子20の回転中心となる部位である。軸心部181は、真直度を確保するために、金属製の棒部材で構成されている。
【0047】
ホルダ部182は、軸心部181の軸心方向DRaの一方側に連結されている。ホルダ部182は、有底筒形状である。ホルダ部182は、軸心方向DRaの一方側の先端部の内側に軸心部181が連結されている。換言すれば、軸心部181は、軸心方向DRaの一方側の端部がホルダ部182の先端部の内側に位置する。ホルダ部182は、ハウジング12の外側に突き出た先端部が駆動部16のギア部162に連結されている。
【0048】
ホルダ部182は、軸心方向DRaの一方側から他方側に向かって内径が段階的に大きくなっている。具体的には、ホルダ部182は、軸心方向DRaの一方側に位置する軸連結部183、軸連結部183に連なる中間部184、中間部184に連なる小径部185、小径部185に連なる大径部186を備える。そして、ホルダ部182は、軸連結部183、中間部184、小径部185、大径部186の順に内径が大きくなっている。
【0049】
軸連結部183は、軸心方向DRaの一方側に位置する先端部である。軸連結部183には軸心部181が連結される。軸連結部183は、ボス部124cの外側に突き出た部位の外側部分にギア部162の一部に噛み合うシャフトギア183aが形成されている。軸連結部183は、ボス部124cの内側に位置する部位の外側部分が軸受部124gによって支持されている。
【0050】
中間部184は、ボス部124cの内側に位置する部位である。中間部184は、軸心部181の外径に対して若干大きい内径を有している。中間部184の外側には、シール部材であるシャフトシール124eが配置されている。中間部184は、シール部材であるシャフトシール124eに当接する当接部位を構成している。
【0051】
小径部185は、その内側に後述するコンプレッションスプリング26を配置する空間を形成する。小径部185は、中間部184の内径に対して若干大きい内径を有している。中間部184と小径部185とをつなぐ接続端面185aがコンプレッションスプリング26の一方側の端部が接触する接触部となっている。小径部185の外側には、大径部186は接続されている。
【0052】
大径部186は、小径部185の径方向DRrの外側に位置する。大径部186は、小径部185の内径に対して若干大きい内径を有している。大径部186は、筒形状の胴部186a、第1大径係止部186b、第2大径係止部186c、第1フランジ部187、第2フランジ部188を有する。
【0053】
第1大径係止部186bは、後述する第1トーションスプリング28のフック282が係止されるフック係止部である。図9に示すように、第1大径係止部186bは、胴部186aの外側のうち軸心方向DRaの一方側に設けられている。第1大径係止部186bは、第1トーションスプリング28のフック282と周方向DRcに相対するように、胴部186aから径方向DRrの外側に向けて突き出ている。
【0054】
第2大径係止部186cは、後述する第2トーションスプリング30のフック301が係止されるフック係止部である。図9に示すように、第2大径係止部186cは、胴部186aの外側のうち第1大径係止部186bよりも軸心方向DRaの他方側に設けられている。第2大径係止部186cは、第2トーションスプリング30のフック301と周方向DRcに相対するように、胴部186aから径方向DRrの外側に向けて突き出ている。
【0055】
第1フランジ部187および第2フランジ部188は、シャフト18を後述するレバー24の係合部に係合させる係止片である。第1フランジ部187および第2フランジ部188は、胴部186aの外側のうち第2大径係止部186cよりも軸心方向DRaの他方側に設けられている。図7に示すように、第1フランジ部187および第2フランジ部188は、シャフト18の軸心CLに対して互いに略点対称となる形状を有している。第1フランジ部187および第2フランジ部188は、レバー24の係合部と周方向DRcに相対するように、胴部186aから径方向DRrの外側に向けて突き出ている。
【0056】
このように構成されるホルダ部182は、第1大径係止部186bおよび第2大径係止部186cを有することで、第1トーションスプリング28および第2トーションスプリング30それぞれの付勢力を受ける。また、ホルダ部182は、第1フランジ部187および第2フランジ部188を有することで、シャフト18がレバー24に対して周方向DRcにおいて異なる箇所で接触している。すなわち、シャフト18は、レバー24に接触する当接部が周方向DRcにおける異なる箇所に設けられている。
【0057】
また、ホルダ部182には、周方向DRcにおけるシャフト18の回転駆動範囲を規制する回転規制部189が設けられている。回転規制部189は、ホルダ部182の中間部184のうち、シャフトシール124eに当接する当接部位の下方に設けられている。回転規制部189は、径方向DRrに突き出た凸部で構成されている。この回転規制部189が各ストッパ125a、125bの一方に突き当たることで、周方向DRcにおけるシャフト18の回転駆動範囲を規制される。
【0058】
ここで、回転規制部189は、周方向DRcにおいて各ストッパ125a、125bと重なり合うように、径方向DRrに突き出ている。回転規制部189は、各ストッパ125a、125bと同様に、第1トーションスプリング28の内側に位置付けられている。そして、回転規制部189は、第1トーションスプリング28の内側で各ストッパ125a、125bと当接する。これによると、回転規制部189が各ストッパ125a、125bに突き当たった際に回転規制部189および各ストッパ125a、125bに対して周方向DRcに加わる力が抑えられる。このため、回転規制部189が各ストッパ125a、125bに突き当たった際に回転規制部189および各ストッパ125a、125bが周方向DRcに撓んでしまうことが抑制される。
【0059】
回転子20は、駆動部16の出力によってシャフト18の軸心CLを中心に回転する。回転子20は、シャフト18の回転に伴って固定ディスク14の各流路孔141、142の開度を増減する。図11に示すように、回転子20は、弁体としての駆動ディスク22と、シャフト18に駆動ディスク22を連結するレバー24とを有している。
【0060】
図11図12図13に示す駆動ディスク22は、シャフト18の回転に伴って第1流路孔141の開度および第2流路孔142の開度を増減する弁体である。なお、第1流路孔141の開度は、第1流路孔141が開かれている度合いであり、第1流路孔141の全開を100%、全閉を0%として表される。第1流路孔141の全開は、例えば、第1流路孔141が駆動ディスク22に全く塞がれていない状態である。第1流路孔141の全閉は、例えば、第1流路孔141の全体が駆動ディスク22に塞がれている状態である。第2流路孔142の開度は、第1流路孔141の開度と同様である。
【0061】
駆動ディスク22は、円盤状の部材で構成されている。駆動ディスク22は、軸心方向DRaを厚み方向とする姿勢でハウジング12の内側に配置されている。駆動ディスク22は、軸心方向DRaにおいて固定ディスク14に相対するように入口側空間12dに配置されている。駆動ディスク22は、固定ディスク14の開口面140に相対する摺動面220を有する。摺動面220は、固定ディスク14の開口面140をシールするシール面である。
【0062】
駆動ディスク22は、ハウジング12の構成材料に比較して、線膨張係数が小さく、且つ、耐摩耗性に優れた材料で形成されていることが望ましい。駆動ディスク22は、ハウジング12よりも硬度が高い高硬度材料で構成されている。具体的には、駆動ディスク22はセラミックで構成されている。駆動ディスク22は、セラミックの粉末をプレス機によって所望の形状に成型された粉末成型体である。なお、駆動ディスク22は、摺動面220を形成する部位だけが、ハウジング12の構成材料に比較して、セラミック等の線膨張係数が小さく、且つ、耐摩耗性に優れた材料で形成されていてもよい。
【0063】
ここで、セラミックは、線膨張係数が小さく、且つ、吸水による寸法変化が少ない材料であって、耐摩耗性も優れている。駆動ディスク22をセラミックで構成すれば、駆動ディスク22とシャフト18との相対的な位置関係や駆動ディスク22とハウジング12との相対的な位置関係が安定する。この結果、流体の流量制御の精度を確保したり、意図しない流体漏れを抑えたりすることができる。
【0064】
駆動ディスク22には、シャフト18の軸心CLに対して偏心した位置に回転子孔221が形成されている。回転子孔221は、軸心方向DRaに貫通する貫通孔である。回転子孔221は、駆動ディスク22のシャフト18の軸心CLまわりを回転させた際に、駆動ディスク22において第1流路孔141および第2流路孔142と軸心方向DRaに重なり合う部位に形成されている。
【0065】
駆動ディスク22には、略中心部分にシャフト挿通孔223が形成されている。シャフト挿通孔223は、シャフト18が挿通される駆動側挿通孔である。シャフト挿通孔223は、シャフト18が摺動しないように、その内径がシャフト18の直径よりも大きくなっている。駆動ディスク22には、レバー24の一部を圧入するための第1圧入溝224および第2圧入溝225が形成されている。
【0066】
バルブ装置10は、回転子孔221が第1流路孔141と軸心方向DRaに重なり合う位置に駆動ディスク22を回転させると、第1流路孔141が開放される。また、バルブ装置10は、回転子孔221が第2流路孔142と軸心方向DRaに重なり合う位置に駆動ディスク22を回転させると、第2流路孔142が開放される。
【0067】
駆動ディスク22は、第1流路孔141を通過する流体および第2流路孔142を通過する流体の流量割合を調整可能に構成されている。すなわち、駆動ディスク22は、第1流路孔141の開度が大きくなるにともなって第2流路孔142の開度が小さくなるように構成されている。
【0068】
レバー24は、シャフト18に駆動ディスク22を連結する連結部材である。レバー24は、駆動ディスク22に固定されるとともに、駆動ディスク22をシャフト18の軸心方向DRaに変位可能な状態で駆動ディスク22およびシャフト18を一体に回転可能に連結する。
【0069】
具体的には、レバー24は、図11に示すように、円盤部241、第1腕部242、および第2腕部243を有する。円盤部241、第1腕部242、および第2腕部243は、一体に成型された一体成型物として構成されている。
【0070】
円盤部241は、その略中心部分にシャフト18を挿通させる中間挿通孔241aが形成されている。円盤部241は、軸心方向DRaにおいてシャフト挿通孔223と重なり合わない大きさになっている。円盤部241には、第1腕部242および第2腕部243が接続されている。
【0071】
第1腕部242および第2腕部243それぞれは、円盤部241から径方向DRrの外側に向けて突き出ている。第1腕部242および第2腕部243は、互いに逆向きに突き出ている。
【0072】
具体的には、第1腕部242には、駆動ディスク22に対向する対向面の反対側に軸心方向DRaに向かって突き出る第1係合爪242aおよび第2係合爪242bが設けられている。第1係合爪242aおよび第2係合爪242bは、それぞれL字形状になっている。第1係合爪242aおよび第2係合爪242bは、根元側が軸心方向DRaに沿って延びるとともに、先端側が周方向DRcに突き出ている。第1係合爪242aおよび第2係合爪242bは、先端側が互いに離れる方向に突き出ている。
【0073】
第1係合爪242aは、シャフト18の第1フランジ部187に係合する。すなわち、第1係合爪242aは、レバー24においてシャフト18に係合する係合部である。第1係合爪242aは、軸心方向DRaおよび周方向DRcそれぞれで第1フランジ部187に対向する部位を有している。また、第1係合爪242aは、軸心方向DRaにおいて第1フランジ部187との間に隙間があいた状態で第1フランジ部187に係合されている。これにより、レバー24および駆動ディスク22は、軸心方向DRaに変位可能な状態でシャフト18に連結される。
【0074】
第2係合爪242bは、第2トーションスプリング30のフック302が係止されるフック係止部である。第2係合爪242bに第2トーションスプリング30のフック302が係止されることで、レバー24には第2トーションスプリング30の付勢力が作用する。これにより、第2トーションスプリング30の付勢力によって第1係合爪242aおよび第1フランジ部187の当接状態が維持される。第1係合爪242aは、シャフト18に接触する当接部である。
【0075】
一方、第2腕部243には、駆動ディスク22に対向する対向面の反対側に軸心方向DRaに向かって突き出る第3係合爪243aおよび第4係合爪243bが設けられている。第3係合爪243aおよび第4係合爪243bは、第1係合爪242aおよび第2係合爪242bと略同様に構成されている。
【0076】
第3係合爪243aは、シャフト18の第2フランジ部188に係合する。すなわち、第3係合爪243aは、シャフト18に設けられた当接部に係合する係合部である。第3係合爪243aは、軸心方向DRaおよび周方向DRcそれぞれで第2フランジ部188に対向する部位を有している。図示しないが、第3係合爪243aは、軸心方向DRaにおいて第2フランジ部188との間に隙間があいた状態で第2フランジ部188に係合されている。これにより、レバー24および駆動ディスク22は、軸心方向DRaに変位可能な状態でシャフト18に連結される。
【0077】
図示しないが、第1腕部242および第2腕部243には、駆動ディスク22に対向する対向面に凸部が形成されている。各凸部は、駆動ディスク22に形成された第1圧入溝224および第2圧入溝225に圧入可能なように、駆動ディスク22に向けて突き出ている。
【0078】
このように構成されるレバー24は、各凸部が各圧入溝224、225に圧入されることによって駆動ディスク22に固定されている。本実施形態のレバー24は、中間挿通孔241aに対して点対称となるように第1腕部242および第2腕部243が略同等の形状になっている。これにより、レバー24を周方向DRcに180°回転させた状態でも、シャフト18および駆動ディスク22に対して組み付けることができる。
【0079】
図3図10に示すコンプレッションスプリング26は、回転子20を固定ディスク14に付勢する付勢部材である。コンプレッションスプリング26は、シャフト18の軸心方向DRaに弾性変形する。コンプレッションスプリング26は、軸心方向DRaの一方側の端部がシャフト18に接し、軸心方向DRaの他方側の端部が回転子20に接するように、軸心方向DRaに圧縮された状態でハウジング12の内側に配置されている。具体的には、コンプレッションスプリング26は、軸心方向DRaの一方側の端部がホルダ部182の内側の接続端面185aに接し、軸心方向DRaの他方側の端部が円盤部241に接するように配置されている。コンプレッションスプリング26は、トーションスプリングとして機能しないように、回転子20およびシャフト18の少なくとも一方に対して固定されていない。
【0080】
コンプレッションスプリング26によって回転子20が固定ディスク14に押し付けられることで、固定ディスク14の開口面140と駆動ディスク22の摺動面220との接触状態が維持される。この接触状態は、固定ディスク14の開口面140と駆動ディスク22の摺動面220とが面接触した状態である。すなわち、バルブ装置10は、駆動ディスク22の姿勢を固定ディスク14に接する姿勢に維持することができる。
【0081】
具体的には、コンプレッションスプリング26は、シャフト18の軸心CLを囲むように配置されている。換言すれば、シャフト18は、コンプレッションスプリング26の内側に配置されている。これによると、駆動ディスク22に対するコンプレッションスプリング26の荷重がシャフト18の周方向DRcで偏ることが抑制されるので、摺動面220と開口面140との接触状態が維持され易くなる。
【0082】
第1トーションスプリング28は、シャフト18をハウジング12に対してシャフト18の軸心CLまわりの周方向DRcに付勢するスプリングである。第1トーションスプリング28は、ハウジング12とシャフト18との間に配置されている。具体的には、第1トーションスプリング28は、軸心方向DRaの両端に径方向DRrの外側に突き出るフック281、282が設けられている。説明の便宜上、以下では、軸心方向DRaの一方側のフック281を第1フック281と呼び、軸心方向DRaの他方側のフック282を第2フック282と呼ぶ。本実施形態では、第1フック281が、ハウジング12に対して係止される係止フックを構成している。
【0083】
図14図15に示すように、第2フック282は、ホルダ部182の第1大径係止部186bに対して係止されている。第2フック282は、回転部材である第1大径係止部186bに係止されるので、回転子20が回転するとその位置が周方向DRcに変化する。
【0084】
図15に示すように、第1フック281は、本体カバー部124に形成された本体側係止部126に対して係止されている。本体側係止部126は、リブ部124bの内側に形成された凸部で構成されている。第1フック281は、非回転部材である本体カバー部124に係止されるので、回転子20が回転してもその位置が変化しない。本体側係止部126は、本実施形態では、本体側係止部126が、第1フック281を係止するフック係止部である。
【0085】
第1トーションスプリング28は、基本的に、周方向DRcに捩られて弾性変形した状態で使用される。第1トーションスプリング28の付勢力は、シャフト18が回転している場合にも止まっている場合にもシャフト18に作用する。そして、第1トーションスプリング28の付勢力は、シャフト18を介して駆動部16のギア部162からモータ161に回転力として伝達される。このため、第1トーションスプリング28をハウジング12とシャフト18との間に配置することで、駆動部16とシャフト18との間における周方向DRcのガタツキが抑制される。なお、第1トーションスプリング28は、周方向DRcに捩じられているだけで軸心方向DRaに圧縮されているわけではない。
【0086】
ここで、周方向DRcにおけるシャフト18の回転駆動範囲について説明する。シャフト18の回転駆動範囲は、シャフト18が軸心CLまわりに回転することができる可動範囲である。
【0087】
図16に示すように、シャフト18の回転駆動範囲は、第1トーションスプリング28がシャフト18を周方向DRcへ付勢する付勢範囲と、第1トーションスプリング28がシャフト18を周方向DRcへ付勢しない非付勢範囲とが含まれる。付勢範囲は、第2フック282が第1大径係止部186bに接し、シャフト18に対して第1トーションスプリング28の付勢力が作用する範囲である。また、非付勢範囲は、第2フック282が第1大径係止部186bから離間し、シャフト18に対して第1トーションスプリング28の付勢力が作用していない範囲である。なお、基準位置は、第2フック282が第1大径係止部186bから接している状態において、シャフト18に作用する第1トーションスプリング28の付勢力が最小となる位置である。
【0088】
本実施形態のシャフト18は、初期回転位置から最大回転位置までの間の回転駆動範囲で回転可能になっている。初期回転位置は、シャフト18が第1回転方向R1に回転された際の端となる位置である。最大回転位置は、シャフト18が第2回転方向R2に回転された際の端となる位置である。本実施形態では、シャフト18の回転がハウジング12に設けられた各ストッパ125a、125bとの接触によって規制される位置を初期回転位置および最大回転位置としている。
【0089】
図17に示すように、シャフト18が第1回転方向R1に回転された際に第1ストッパ125aに付き当たる位置をシャフト18の初期回転位置としている。また、図18に示すように、シャフト18が第2回転方向R2に回転された際に第2ストッパ125bに付き当たる位置をシャフト18の最大回転位置としている。
【0090】
第1トーションスプリング28は、モータ161によってシャフト18が第1回転方向R1に向けて駆動されてシャフト18が初期回転位置にある状態で、第2回転方向R2に向けてシャフト18をハウジング12に対して付勢する。すなわち、第1トーションスプリング28は、初期回転位置にある状態で第1回転方向R1に捩られた状態となるように設置されている。これにより、シャフト18が初期回転位置にある状態では、第1トーションスプリング28による付勢力Ftが第1回転方向R1と逆向きに作用することでシャフト18がハウジング12に対して第2回転方向R2に付勢される。
【0091】
ここで、図19に示すように、第1トーションスプリング28は、第1フック281を起点に第1回転方向R1に巻き方向が設定されている。第1フック281には、第2回転方向R2に反力Frが作用する。また、第1トーションスプリング28のうち、軸心CLを挟んで第1フック281に対向する位置には、第1回転方向R1に力Ftが作用する。
これらによって、第1トーションスプリング28は、第1フック281から第1回転方向R1に略90°となる部位が軸心CLに近づくように変位しようとする。第1トーションスプリング28を適正位置に規制するためには、少なくとも第1フック281から第1回転方向R1に90°となるまでの範囲にスプリングガイド部125を設ける必要がある。
【0092】
このことを加味して、バルブ装置10は、図20に示すように、少なくとも第1フック281から第1回転方向R1に90°となるまでの範囲にスプリングガイド部125が設けられている。本体側係止部126と軸心CL1とを結ぶ線を第1仮想線IL1とし、周方向DRcにおいて本体側係止部126から第1トーションスプリング28の捩り方向に90°回転した位置と軸心CLとを結ぶ線を第2仮想線IL2としたとする。このとき、スプリングガイド部125は、少なくとも第1仮想線IL1から第2仮想線IL2までの範囲に設けられている。換言すれば、スプリングガイド部125は、少なくとも第1トーションスプリング28、第1仮想線IL1、および第2仮想線IL2で囲まれる範囲に配置されている。具体的には、スプリングガイド部125は、第1仮想線IL1から第2回転方向R2に所定角度(例えば、10°~30°)回転した位置に第1ストッパ125aが設定されている。また、スプリングガイド部125は、第2仮想線IL2から第1回転方向R1に所定角度(例えば、10°~30°)回転した位置に第2ストッパ125bが設定されている。上記の所定角度は、一例であり上記した角度に限定されない。
【0093】
また、バルブ装置10は、スプリングガイド部125が設けられていない範囲でシャフト18が回転可能になっている。これにより、シャフト18の回転駆動範囲が確保されている。
【0094】
さらに、バルブ装置10は、ハウジング12に対して本体側係止部126が一箇所設けられている。この本体側係止部126は、リブ部124bの内周に設けられている。本体側係止部126は、軸心CLとの距離が第1フック281の先端から軸心CLまでの距離よりも短くなるように軸心CLに向かって突き出ている。リブ部124bのうち本体側係止部126以外の内周部位は、軸心CLまでの距離が第1フック281の先端から軸心CLまでの距離と略等しくなっている。これにより、本体カバー部124に第1トーションスプリング28を組付けた際に、第1トーションスプリング28の第1フック281が本体側係止部126以外の箇所で係止されないようになっている。
【0095】
第2トーションスプリング30は、レバー24をシャフト18に対して周方向DRcに付勢するスプリングである。第2トーションスプリング30は、シャフト18とレバー24との間に配置されている。第2トーションスプリング30は、第1トーションスプリング28に比べて軸心方向DRaの寸法および径方向DRrの寸法が小さくなっている。
【0096】
第2トーションスプリング30は、軸心方向DRaの両端に径方向DRrの外側に突き出るフック301、302が設けられている。説明の便宜上、以下では、軸心方向DRaの一方側のフック301を第3フック301と呼び、軸心方向DRaの他方側のフック302を第4フック302と呼ぶ。
【0097】
図9に示すように、第2トーションスプリング30は、第3フック301がホルダ部182の第2大径係止部186cに対して係止されている。また、図8に示すように、第4フック302がレバー24の第2係合爪242bに対して係止されている。
【0098】
第2トーションスプリング30は、基本的に、周方向DRcに捩られて弾性変形した状態で使用される。第2トーションスプリング30の付勢力は、シャフト18が回転している場合にも止まっている場合にもレバー24に作用する。そして、第2トーションスプリング30の付勢力は、レバー24を介して駆動ディスク22に回転力として伝達される。このため、第2トーションスプリング30をシャフト18とレバー24との間に配置することで、シャフト18とレバー24の間における周方向DRcのガタツキが抑制される。そして、レバー24は、駆動ディスク22に固定されているので、第2トーションスプリング30によってシャフト18から駆動ディスク22までの間における周方向DRcのガタツキが抑制される。なお、第2トーションスプリング30は、周方向DRcに捩じられているだけで軸心方向DRaに圧縮されているわけではない。
【0099】
バルブ装置10は、シャフト18とレバー24との間に第2トーションスプリング30が介在させた状態でシャフト18の各フランジ部187、188をレバー24に係合させることで、これら3部品がサブアッシー化されている。
【0100】
駆動部16は、回転力を出力するための機器である。図3に示すように、駆動源としてのモータ161と、モータ161の出力をシャフト18に伝達する動力伝達部材としてのギア部162とを有している。
【0101】
モータ161は、初期回転位置と最大回転位置との間となる回転駆動範囲においてシャフト18を初期回転位置に向かう第1回転方向R1および第1回転方向R1とは逆の第2回転方向R2に回転駆動する。モータ161は、ステッピングモータで構成されている。モータ161は、モータ161と電気的に連結したモータ制御部163からの制御信号に従って回転する。
【0102】
ギア部162は、モータ161の出力を減速する減速機である。ギア部162は、出力ギア162aを含むギア機構部で構成されている。出力ギア162aは、図22に示すように、シャフトギア183aに噛み合う内歯ギアで構成されている。出力ギア162aとシャフトギア183aとの間には、両ギアのロックをさけるためにバックラッシュが設けられている。バックラッシュは、出力ギア162aとシャフトギア183aのピッチ円間にある隙間である。
【0103】
モータ制御部163は、非遷移的実体的記憶媒体であるメモリ、およびプロセッサなどを有するコンピュータである。モータ制御部163は、メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行するとともに、コンピュータプログラムに従って種々の制御処理を実行する。
【0104】
図22に示すように、モータ制御部163の入力側には、起電圧計測部164や温調機器100を制御する温調制御装置110が接続されている。起電圧計測部164は、モータ161のコイルに生ずる逆起電圧を計測する計測機器である。
【0105】
ここで、モータ161によってシャフト18が初期回転位置に回転されると、シャフト18が第1ストッパ125aに突き当たり、モータ161が脱調状態となる。モータ161が脱調状態になると、モータ161のコイルに生ずる逆起電圧が変動する。
【0106】
このような現象を踏まえて、モータ制御部163は、シャフト18が初期回転位置に回転されて第1ストッパ125aに突き当てられた状態であるか否かを判定する。すなわち、モータ制御部163は、シャフト18が第1回転方向R1に回転された際の起電圧計測部164で計測される逆起電圧に基づいて、シャフト18が初期回転位置に回転されて第1ストッパ125aに突き当てられた状態であるか否かを判定する。
【0107】
モータ制御部163は、温調制御装置110からの要求等に応じてモータ161を制御する。モータ制御部163は、原点位置を基準にシャフト18の位置を把握しつつ、モータ161を制御する。本実施形態のモータ制御部163は、シャフト18が初期回転位置に回転されて第1ストッパ125aに突き当てられた状態で原点位置を更新するイニシャライズ処理を実施する。原点位置の更新は、モータ制御部163が把握するシャフト18の位置情報と実際のシャフト18の位置とを整合して原点位置の学習を行うことである。イニシャライズ処理の詳細については後述する。
【0108】
次に、本実施形態のバルブ装置10の作動について説明する。バルブ装置10は、図1図2図3に示すように、流体は、矢印Fiのように入口部12aから入口側空間12dへ流入する。そして、第1流路孔141が開いている場合には、流体が入口側空間12dから第1流路孔141を介して第1出口側空間へ流れる。第1出口側空間へ流れ込んだ流体は、第1出口側空間から第1出口部12bを介してバルブ装置10の外部へ矢印F1oのように流出する。この場合、第1流路孔141を通過する流体の流量は、第1流路孔141の開度に応じて定まる。すなわち、入口部12aから第1流路孔141を介して第1出口部12bへ流れる流体の流量は、第1流路孔141の開度が大きいほど大きくなる。
【0109】
一方、第2流路孔142が開いている場合には、流体が入口側空間12dから第2流路孔142を介して第2出口側空間へ流入する。第2出口側空間へ流れ込んだ流体は第2出口側空間から第2出口部12cを介してバルブ装置10の外部へ矢印F2oのように流出する。この場合、第2流路孔142を通過する流体の流量は、第2流路孔142の開度に応じて定まる。すなわち、入口部12aから第2流路孔142を介して第2出口部12cへ流れる流体の流量は、第2流路孔142の開度が大きいほど大きくなる。
【0110】
ここで、バルブ装置10は、モータ161によるシャフト18の位置調整によって各流路孔141、142の開度を調整することで、バルブ装置10を通過する流体の流量を所望の流量に調整している。この種のバルブ装置10において所望の流量を正確に得るためには、シャフト18の原点位置の学習精度を高めることが重要である。
【0111】
そこで、本実施形態のバルブ装置10は、モータ制御部163が周期的または不定期にシャフト18の原点位置を更新するイニシャライズ処理を実行する。イニシャライズ処理については、図23を参照しつつ説明する。
【0112】
図23に示すように、モータ制御部163は、ステップS100にて、起電圧計測部164からモータ161のコイルに生ずる逆起電圧の測定結果を取得する。そして、モータ制御部163は、ステップS110にて、逆起電圧の測定結果に基づいて、シャフト18が初期回転位置であるか否かを判定する。すなわち、モータ制御部163は、モータ161のコイルに生ずる逆起電圧に基づいて、シャフト18が初期回転位置に回転されて第1ストッパ125aに突き当てられた状態であるか否かを判定する。
【0113】
ステップS110の判定処理の結果、シャフト18が初期回転位置でない場合、モータ制御部163は、本処理を抜ける。一方、シャフト18が初期回転位置である場合、モータ制御部163は、ステップS120に移行する。
【0114】
モータ制御部163は、ステップS120にて、シャフト18の原点位置を更新する。具体的には、モータ制御部163は、現在のシャフト18の位置である初期回転位置を原点位置として更新する。
【0115】
前述したように、シャフト18が初期回転位置にある状態では、第1トーションスプリング28によってシャフト18がハウジング12に対して第2回転方向R2に付勢されている。これにより、バックラッシュに起因するシャフト18の位置のバラツキが抑制されているので、上記のイニシャライズ処理によってシャフト18の原点位置を適切に更新することができる。
【0116】
以上説明したバルブ装置10において、高精度なシャフト18の位置制御(すなわち、各流路孔141、142の開度制御)を実施するためには、周方向DRcのガタツキ抑制による制御位置精度の向上およびシャフト18の原点位置の学習精度が重要となる。
【0117】
これに対して、バルブ装置10は、第1トーションスプリング28によってシャフト18がハウジング12に対して周方向DRcに付勢されている。これによると、駆動部16とシャフト18との間における周方向DRcのガタツキが抑制される。
【0118】
また、バルブ装置10は、第2トーションスプリング30によってレバー24がシャフト18に対して周方向DRcに付勢されている。これによると、シャフト18とレバー24との間における周方向DRcのガタツキが抑制される。そして、レバー24は駆動ディスク22に固定されているので、第2トーションスプリング30によってシャフト18と駆動ディスク22との間における周方向DRcのガタツキが抑制される。
【0119】
したがって、駆動部16から回転子20までの間における周方向DRcのガタツキが抑制され、当該ガタツキに起因する各流路孔141、142の開度バラツキを抑えることができる。
【0120】
また、バルブ装置10は、初期回転位置にある状態において第2回転方向R2に向けてシャフト18がハウジング12に対して付勢されている。これによれば、初期回転位置を起点とする高精度なシャフト18の位置制御(すなわち、各流路孔141、142の開度制御)を実施することができる。
【0121】
加えて、シャフト18が各ストッパ125a、125bに突き当った際に、ハウジング12やシャフト18の意図しない撓みを抑制することができる。これによると、シャフト18を第1ストッパ125aへ突き当てた状態で原点位置を学習するとき、高精度に位置出しすることができるので、シャフト18の原点位置の学習精度を向上させることができる。したがって、本実施形態のバルブ装置10によれば、各流路孔141、142の開度バラツキを抑制してバルブ装置10を通過する流体の流量を適切に調整することができる。
【0122】
加えて、駆動ディスク22がシャフト18の軸心方向DRaに変位可能な状態でシャフト18に連結されている。このため、シャフト18とレバー24との間に第2トーションスプリング30を配置したとしても、駆動ディスク22の摺動面220と固定ディスク14との面接触を良好に維持することができる。
【0123】
ここで、単一のトーションスプリングによって駆動部16から回転子20までの間における周方向DRcのガタツキを抑える場合、トーションスプリングの付勢力が過大となってしまうので、駆動部16の負荷の増大が避けられない。
【0124】
これに対して、第1トーションスプリング28および第2トーションスプリング30によって駆動部16から回転子20までの間における周方向DRcのガタツキを抑える構造になっていれば、各トーションスプリング28、30の付勢力を抑えることができる。この結果、駆動部16の負荷の増大を抑制することができる。
【0125】
また、本実施形態のバルブ装置10は、例えば、以下の効果を得ることができる。
【0126】
(1)駆動部16は、原点位置を基準にシャフト18の位置を把握しつつ、モータ161を制御するモータ制御部163を含んでいる。モータ制御部163は、シャフト18が初期回転位置に回転されて第1ストッパ125aに突き当てられた状態で原点位置を更新するイニシャライズ処理を実施する。これによれば、初期回転位置を起点とする高精度なシャフト18の位置制御を実施することができる。
【0127】
(2)具体的には、モータ161は、ステッピングモータが採用されている。そして、モータ制御部163は、モータ161のコイルに生ずる逆起電圧に基づいてシャフト18が第1ストッパ125aに突き当てられた状態であるか否かを判定する。このように、位置精度に優れたステッピングモータを採用すれば、初期回転位置を起点とする高精度なシャフト18の位置制御(すなわち、各流路孔141、142の開度制御)を実施することができる。
【0128】
(3)シャフト18は、軸心CLを含むとともに軸心方向DRaに沿って延びる金属製の軸心部181と、軸心部181に連結されるとともに各トーションスプリング28、30の付勢力を受ける樹脂製のホルダ部182と、を含んでいる。これによると、シャフト18全体が樹脂材料で構成される場合に比べて、シャフト18の剛性および精度(すなわち真直度)を確保することができる。また、ホルダ部182を樹脂製とすることで、軽量であって複雑な形状のシャフト18を実現することができる。特に、シャフト18の真直度を確保できることで、軸受部124g等のクリアランスを低減できるので、シャフト18のラジアル方向(すなわち、径方向DRr)の位置ズレを抑制することができる。
【0129】
(4)シャフト18は、固定ディスク14および駆動ディスク22を貫通してハウジング12に対して回転可能に支持されている。このように、固定ディスク14および駆動ディスク22をシャフト18が貫通する構造とすれば、固定ディスク14および駆動ディスク22を同一部材であるシャフト18で芯出しすることが可能となる。これにより、固定ディスク14および駆動ディスク22のラジアル方向の位置ズレを抑制することができる。このことは、各流路孔141、142の開度バラツキを抑える上で有効である。
【0130】
(5)また、各ストッパ125a、125bが第1トーションスプリング28の内側に設定されている。これによれば、シャフト18が各ストッパ125a、125bに突き当った際に、ハウジング12やシャフト18の意図しない撓みを抑制することができる。これにより、シャフト18を第1ストッパ125aへ突き当てた状態で原点位置を学習するとき、高精度に位置出しすることができるので、シャフト18の原点位置の学習精度を向上させることができる。すなわち、シャフト18が第1ストッパ125aに突き当った際に、ハウジング12やシャフト18の意図しない撓みを抑制することができ、シャフト18等の意図しない撓みに起因する各流路孔141、142の開度バラツキを抑えることができる。
【0131】
(6)ハウジング12には、第1トーションスプリング28の内側において軸心CLを囲むように配置されたスプリングガイド部125を含み、スプリングガイド部125における周方向DRcの端部に各ストッパ125a、125bが構成されている。このように、スプリングガイド部125の周方向DRcの端部によってシャフト18の回転駆動範囲を規制する構成とすれば、スプリングガイド部125と各ストッパ125a、125bとが別個に構成されたものに比べて、簡素な構造にすることができる。このことは、バルブ装置10の小型化に寄与する。
【0132】
(7)スプリングガイド部125は、少なくとも第1仮想線IL1から第2仮想線IL2までの範囲に設けられている。このように、第1トーションスプリング28が軸心CLに近づくように変位し易い範囲にスプリングガイド部125を設定すれば、スプリングガイド部125によって第1トーションスプリング28を適正位置に規制することができる。
【0133】
また、必要最小限の範囲にスプリングガイド部125を配置する場合、第1トーションスプリング28を適正位置に規制しつつ、シャフト18の回転駆動範囲を拡大させることができる。この場合、バルブ開度指示の自由度が高まり、バルブ装置10としての価値を向上させることができる。
【0134】
(8)ハウジング12には、第1トーションスプリング28の第1フック281を係止する本体側係止部126が周方向DRcにおいて一箇所設けられている。これによると、ハウジング12において第1フック281を係止可能な部位が1箇所となるので、第1フック281が意図しない位置で係止されるような第1トーションスプリング28の誤組付を防止することができる。
【0135】
(9)周方向DRcにおけるシャフト18の回転駆動範囲には、第1トーションスプリング28がシャフト18を周方向DRcへ付勢する付勢範囲と、第1トーションスプリング28がシャフト18を周方向DRcへ付勢しない非付勢範囲とが含まれている。これによると、例えば、第1トーションスプリング28をハウジング12およびシャフト18に組み付ける際、シャフト18の回転位置を非付勢範囲とすることで、第1トーションスプリング28を捩った状態で組み付ける必要がなくなる。なお、第1トーションスプリング28の組付け後にシャフト18を或る程度回転させることで、第1トーションスプリング28の捩り弾性変形が得られる。
【0136】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されない。また、バルブ装置10の構成部品は、上述したものに限定されず、上述したものと異なっていてもよい。
【0137】
イニシャライズ処理は、例えば、シャフト18が最大回転位置に回転されて第2ストッパ125bに突き当てられた状態で実施されるようになっていてもよい。また、モータ161は、例えば、サーボモータで構成されていてもよい。また、モータ161の回転位置を検出するためのポジションセンサの出力に基づいて、シャフト18が第1ストッパ125aに突き当てられた状態であるか否かを判定するようになっていてもよい。
【0138】
上述の実施形態の如く、シャフト18は、金属製の軸心部181および樹脂製のホルダ部182を備えていることが望ましいが、これに限定されない。シャフト18は、例えば、軸心部181およびホルダ部182が金属材料および樹脂材料の一方によって構成されていてもよい。
【0139】
上述の実施形態では、シャフト18の両端がハウジング12に対して回転可能に支持されているものを例示したが、バルブ装置10は、これに限定されない。バルブ装置10は、例えば、シャフト18の一端が固定ディスク14に対して回転可能に支持されていてもよい。また、バルブ装置10は、例えば、シャフト18の一端だけがハウジング12に回転可能に支持されていてもよい。
【0140】
上述の実施形態の如く、各ストッパ125a、125bは、第1トーションスプリング28の内側に設定されていることが望ましいが、これに限らず、例えば、第1トーションスプリング28の外側に設定されていてもよい。
【0141】
上述の実施形態の如く、各ストッパ125a、125bは、スプリングガイド部125の周方向DRcの端部に構成されていることが望ましいが、これに限らず、例えば、スプリングガイド部125とは別体で構成されていてもよい。この場合、スプリングガイド部125は、必須ではなく、省略されていてもよい。
【0142】
上述の実施形態の如く、ハウジング12には、第1フック281を係止可能な部位が1箇所設けられていることが望ましいが、これに限らず、第1フック281を係止可能な部位が複数箇所設けられていてもよい。
【0143】
上述の実施形態では、コンプレッションスプリング26によって回転子20を固定ディスク14に付勢しているが、バルブ装置10は、これに限定されない。バルブ装置10は、例えば、シャフト18の軸心方向DRaに弾性変形する円筒形状の弾性体によって、回転子20を固定ディスク14に付勢するようになっていてもよい。また、バルブ装置10は、例えば、入口側空間12dと出口側空間12eとの圧力差によって、回転子20を固定ディスク14に付勢するようになっていてもよい。これらに示すように、コンプレッションスプリング26は、バルブ装置10において必須の構成部品ではない。
【0144】
上述の実施形態の如く、バルブ装置10は、シャフト18の回転駆動範囲に非付勢範囲が含まれていることが望ましいが、これに限定されない。バルブ装置10は、シャフト18の回転駆動範囲に非付勢範囲が含まれていなくてもよい。
【0145】
上述の実施形態の如く、バルブ装置10は、レバー24に対して、シャフト18との間に第2トーションスプリング30を介在させた状態でシャフト18に係合する係合部が設けられていることが望ましいが、当該係合部が設けられていなくてもよい。
【0146】
上述の実施形態では、バルブ装置10として三方弁で構成されるものを例示したが、バルブ装置10は三方弁に限定されない。本開示のバルブ装置10は、例えば、1つの流体入口、1つの流体出口を有する流量調整弁または開閉弁として構成されていてもよい。この場合、固定ディスク14には1つの流路孔が形成される。本開示のバルブ装置10は、例えば、1つの流体入口および3つ以上の流体出口を有する多方弁、3つ以上の流体入口および1つの流体出口を有する多方弁、複数の流体入口および複数の流体出口を有する多方弁等で構成されていてもよい。
【0147】
上述の実施形態では、本開示のバルブ装置10を、車両に搭載される車両用の制御バルブに適用した例について説明したが、バルブ装置10は、車両以外の他の機器の制御バルブにも適用可能である。
【0148】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0149】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0150】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0151】
本開示の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0152】
12 ハウジング
14 固定ディスク
16 駆動部
161 モータ
18 シャフト
20 回転子
22 駆動ディスク
24 レバー
28 第1トーションスプリング
30 第2トーションスプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23