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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166527
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071789
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 直暉
(72)【発明者】
【氏名】濱田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】田中 篤
(72)【発明者】
【氏名】佐野 亮
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA07
3H062BB30
3H062BB33
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE07
3H062FF40
3H062GG04
3H062HH03
3H062HH08
(57)【要約】
【課題】体格の拡大を抑制しつつ、流体の漏れを抑制可能なバルブ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】バルブ装置は、流路孔141、142が形成された固定ディスク14と、シャフト軸心CL1を中心に回転するシャフト18の回転に伴って回転する回転子20と、ハウジング軸心CL2の周りを囲み、開口部120aが形成された側壁部122を有するハウジング12と、開口部を閉塞する開口閉塞部124fを有するハウジングカバー124と、環状のシール部材13とを備える。固定ディスクは、固定外周部144に回り止め突起145を有する。ハウジングは、側壁部に受入溝が設けられ、ハウジング軸心がシャフト軸心に対して偏心する。シール部材は、シャフト軸心とハウジング軸心とが偏心する量に比較して、ハウジング軸心とシール部材のハウジング軸心に沿う方向に直交する方向の断面形状における中心との距離が近づくようにシャフト軸心に対して偏心する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(16)と、
前記駆動部が出力する回転力によってシャフト軸心(CL1)を中心に回転するシャフト(18)と、
流体が流通する流路孔(141、142)が少なくとも1つ形成された固定ディスク(14)と、
前記シャフトの回転に伴って前記シャフト軸心を中心に回転することで、前記流路孔を流れる前記流体の流量を調整する回転子(20)と、
前記シャフト軸心に沿って延びるハウジング軸心(CL2)を有する有底筒状であって、前記ハウジング軸心の周りを囲み、前記固定ディスクおよび前記回転子を収容するとともに、前記ハウジング軸心が延びる方向の一方側に開口部(120a)が形成された側壁部(122)を有するハウジング(12)と、
前記開口部の形状に対応する開口閉塞部(124f)を有し、前記開口閉塞部によって前記開口部を閉塞するハウジングカバー(124)と、
前記側壁部と前記開口閉塞部との隙間をシールする環状のシール部材(13)とを備え、
前記固定ディスクは、前記側壁部に対向する固定外周部(144)を含み、前記固定外周部に前記側壁部の内周部に向かって突出する回り止め突起(145)を有し、
前記ハウジングは、前記側壁部の内周部に前記回り止め突起を受け入れる受入溝(125)が設けられ、前記ハウジング軸心が前記シャフト軸心に対して偏心する位置に位置付けられ、
前記シール部材は、前記シャフト軸心と前記ハウジング軸心とが偏心する量に比較して、
前記ハウジング軸心と前記シール部材の前記ハウジング軸心に沿う方向に直交する方向の断面形状における中心との距離が近づくように、前記シャフト軸心に対して偏心しているバルブ装置。
【請求項2】
バルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(16)と、
前記駆動部が出力する回転力によってシャフト軸心(CL1)を中心に回転するシャフト(18)と、
流体が流通する流路孔(141、142)が少なくとも1つ形成された固定ディスク(14)と、
前記シャフトの回転に伴って前記シャフト軸心を中心に回転することで、前記流路孔を流れる前記流体の流量を調整する回転子(20)と、
前記シャフト軸心に沿って延びるハウジング軸心(CL2)を有する有底筒状であって、前記ハウジング軸心の周りを囲み、前記固定ディスクおよび前記回転子を収容するとともに、前記ハウジング軸心が延びる方向の一方側に開口部(120a)が形成された側壁部(122)を有するハウジング(12)と、
前記開口部の形状に対応する開口閉塞部(163a)を有し、前記開口閉塞部によって前記開口部を閉塞するとともに、前記駆動部を収容する駆動部ケース(163)と、
前記側壁部と前記開口閉塞部との隙間をシールする環状のシール部材(13)とを備え、
前記固定ディスクは、前記側壁部に対向する固定外周部(144)を含み、前記固定外周部に前記側壁部の内周部に向かって突出する回り止め突起(145)を有し、
前記ハウジングは、前記側壁部の内周部に前記回り止め突起を受け入れる受入溝(125)が設けられ、前記ハウジング軸心が前記シャフト軸心に対して偏心する位置に位置付けられ、
前記シール部材は、前記シャフト軸心と前記ハウジング軸心とが偏心する量に比較して、
前記ハウジング軸心と前記シール部材の前記ハウジング軸心に沿う方向に直交する方向の断面形状における中心との距離が近づくように、前記シャフト軸心に対して偏心しているバルブ装置。
【請求項3】
前記シール部材は、前記ハウジング軸心に沿う方向に直交する方向の断面形状における中心が、前記ハウジング軸心と重なる位置に配置されて、前記シャフト軸心に対して偏心している請求項1または2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記シール部材は、円環形状である請求項1ないし3のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記ハウジング軸心から前記受入溝に向かう方向を溝方向としたとき、
前記ハウジング軸心と前記シャフト軸心との偏心量が、前記回り止め突起における前記溝方向の大きさの1/2以下である請求項1ないし4のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記ハウジング軸心から前記受入溝に向かう方向を溝方向としたとき、
前記ハウジング軸心と前記シャフト軸心との偏心量が、前記受入溝における前記溝方向の大きさの1/3以下である請求項1ないし4のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングと、ハウジングカバーとで形成される収容空間の内部に、所定軸心方向に延びるシャフトと、シーリングディスクと、バルブディスクとを備えたバルブ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のバルブ装置は、ハウジングに設けられた突起に、シーリングディスクに設けられた凹部を嵌めることで、シーリングディスクの回転を抑制する構成となっている。また、この特許文献1に記載のバルブ装置は、ハウジングとハウジングカバーとの隙間にOリングが配置されており、当該隙間から流体が漏れること抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2014/072379
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハウジングに設けられた突起は、所定軸心方向に突出している。また、シーリングディスクに設けられた凹部は、当該突起に対して所定軸心方向に重なる位置に設けられている。さらに、シーリングディスクには、凹部が設けられていない位置に、流体が流れる流路孔が所定軸心方向に貫通して形成されている。シーリングディスクは、固定ディスクとして機能するものである。
【0005】
このように、特許文献1に記載のバルブ装置は、ハウジングの突起と固定ディスクの凹みとの嵌め合う方向が固定ディスクを流れる流体の流れる方向と一致しており、流路孔が凹部を避けて形成されている。このため、固定ディスクにおいて、流路孔を形成可能な範囲が制限される。これは、バルブ装置の内部に形成される流体通路の形成位置が制限される要因となるため好ましくない。
【0006】
そこで、発明者らは、固定ディスクの外周部にハウジングの内周部に向かって突出する回り止め突起を設け、当該回り止め突起をハウジングの内周部に形成した受入溝に嵌めることで、固定ディスクの回転を抑制することを検討した。
【0007】
発明者らの鋭意検討によれば、回り止め突起が形成された固定ディスクをハウジングの内部に収容するためには、受入溝をハウジングの開口する部位から固定ディスクに対向する部位まで所定軸心方向に沿って形成する必要があることが分かった。しかし、受入溝がハウジングの開口する部位にも形成すると、Oリングで構成されたシール部材と受入溝との間に隙間が生じ、当該隙間から流体が漏れる虞がある。
【0008】
このため、発明者らがさらに鋭意検討し、受入溝を形成する部位に比較して受入溝を形成しない部位のハウジングの内径を回り止め突起の大きさだけ大きくし、固定ディスクに対向する部位のみに受入溝を形成する方法を検討した。これによれば、固定ディスクをハウジングの内部に収容する際に回り止め突起がハウジングの内周部に干渉しない。
【0009】
ただし、ハウジングの強度面から壁の厚さを確保する必要があるため、この方法では、ハウジングの内径を大きくするにともなって、ハウジングの外径も大きくする必要がある。しかし、ハウジングの外径が大きくなると、バルブ装置全体の体格が大きくなる要因となる。さらに、ハウジングの内径を大きくするに伴い、ハウジングとハウジングカバーとの隙間をシールするシール部材の外径および内径も大きくする必要があり、好ましくない。
【0010】
本開示は、流体の漏れを抑制しつつ、ハウジングおよびシール部材の拡大を抑制可能なバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、
バルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(16)と、
駆動部が出力する回転力によってシャフト軸心(CL1)を中心に回転するシャフト(18)と、
流体が流通する流路孔(141、142)が少なくとも1つ形成された固定ディスク(14)と、
シャフトの回転に伴ってシャフト軸心を中心に回転することで、流路孔を流れる流体の流量を調整する回転子(20)と、
シャフト軸心に沿って延びるハウジング軸心(CL2)を有する有底筒状であって、ハウジング軸心の周りを囲み、固定ディスクおよび回転子を収容するとともに、ハウジング軸心が延びる方向の一方側に開口部(120a)が形成された側壁部(122)を有するハウジング(12)と、
開口部の形状に対応する開口閉塞部(124f)を有し、開口閉塞部によって開口部を閉塞するハウジングカバー(124)と、
側壁部と開口閉塞部との隙間をシールする環状のシール部材(13)とを備え、
固定ディスクは、側壁部に対向する固定外周部(144)を含み、固定外周部に側壁部の内周部に向かって突出する回り止め突起(145)を有し、
ハウジングは、側壁部の内周部に回り止め突起を受け入れる受入溝(125)が設けられ、ハウジング軸心がシャフト軸心に対して偏心する位置に位置付けられ、
ハウジングカバーは、開口閉塞部のハウジング軸心に沿う方向に直交する方向の断面形状における中心が、ハウジング軸心と重なる位置に配置されるとともに、シャフト軸心に対して偏心しており、
シール部材は、シャフト軸心とハウジング軸心とが偏心する量に比較して、
ハウジング軸心とシール部材のハウジング軸心に沿う方向に直交する方向の断面形状における中心との距離が近くなるように、シャフト軸心に対して偏心しているバルブ装置。
【0012】
請求項2に記載の発明は、
バルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(16)と、
駆動部が出力する回転力によってシャフト軸心(CL1)を中心に回転するシャフト(18)と、
流体が流通する流路孔(141、142)が少なくとも1つ形成された固定ディスク(14)と、
シャフトの回転に伴ってシャフト軸心を中心に回転することで、流路孔を流れる流体の流量を調整する回転子(20)と、
シャフト軸心に沿って延びるハウジング軸心(CL2)を有する有底筒状であって、ハウジング軸心の周りを囲み、固定ディスクおよび回転子を収容するとともに、ハウジング軸心が延びる方向の一方側に開口部(120a)が形成された側壁部(122)を有するハウジング(12)と、
開口部の形状に対応する開口閉塞部(163a)を有し、開口閉塞部によって開口部を閉塞するとともに、駆動部を収容する駆動部ケース(163)と、
側壁部と開口閉塞部との隙間をシールする環状のシール部材(13)とを備え、
固定ディスクは、側壁部に対向する固定外周部(144)を含み、固定外周部に側壁部の内周部に向かって突出する回り止め突起(145)を有し、
ハウジングは、側壁部の内周部に回り止め突起を受け入れる受入溝(125)が設けられ、ハウジング軸心がシャフト軸心に対して偏心する位置に位置付けられ、
シール部材は、シャフト軸心とハウジング軸心とが偏心する量に比較して、
ハウジング軸心とシール部材のハウジング軸心に沿う方向に直交する方向の断面形状における中心との距離が近くなるように、シャフト軸心に対して偏心しているバルブ装置。
【0013】
これによれば、シャフト軸心に対してハウジング軸心を偏心させることで、ハウジングの壁の厚さを確保しつつ、受入溝が形成されることに起因するバルブ装置全体の体格が大きくなることを抑制することができる。
【0014】
さらに、シャフト軸心とハウジング軸心とが偏心する量に比較して、ハウジング軸心とシール部材の中心との距離が近くなるように、シール部材をシャフト軸心に対して偏心させている。このため、受入溝が形成されることによる流体の漏れを抑制しつつ、シール部材をシャフト軸心に対して偏心させない場合に比較して、シール部材が大きくなることを抑制することができる。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るバルブ装置の上面図である。
図2図1のIIで示す矢印の方向から見たバルブ装置の正面図である。
図3図2のIIIで示す矢印の方向から見たバルブ装置の底面図である。
図4図1のIV-IV断面図である。
図5図2のV-V断面図である。
図6】他の実施形態に係るバルブ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の一実施形態について図1図5に基づいて説明する。本実施形態では、本開示のバルブ装置10を、電動車両における車室内空調および電池温調に供される温調機器に適用した例について説明する。電動車両の温調機器に用いるバルブ装置10は、車室内および電池それぞれに応じた温度の微調整が必要であり、内燃機関であるエンジンの冷却水回路に用いるものに比べて、流体の流量を精度よく調整する必要がある。
【0018】
図1に示すバルブ装置10は、車室内および電池の温度を調整するための流体(本例では、冷却水)が循環する流体循環回路に適用される。バルブ装置10は、流体循環回路のうちバルブ装置10を介した流通経路における流体の流量を増減することができるとともに、当該流通経路における流体の流れを遮断することもできる。流体としては、例えばエチレングリコールを含むLLCなどが用いられる。なお、LLCはLong Life Coolant の略称である。
【0019】
図1図3に示すように、バルブ装置10は、内部に流体を流通させる流体通路を形成するハウジング12を有する。バルブ装置10は、流体が流入する入口部12a、流体を流出させる第1出口部12b、流体を流出させる第2出口部12cがハウジング12に設けられた三方弁で構成されている。バルブ装置10は、単に流路切替弁としての機能だけでなく、入口部12aから第1出口部12bへ流れる流体と、入口部12aから第2出口部12cへ流れる流体との流量割合を調整する流量調整弁としても機能する。
【0020】
バルブ装置10は、後述するシャフト18のシャフト軸心CL1まわりに円盤状の弁体が回転することで、バルブ開閉動作を行うディスクバルブとして構成されている。
【0021】
図4および図5に示すように、バルブ装置10は、ハウジング12の内側に固定ディスク14、シャフト18、回転子20、コンプレッションスプリング26、第1トーションスプリング28、第2トーションスプリング30等が収容される。また、バルブ装置10は、ハウジング12の外側に駆動部16等が配置されている。
【0022】
ハウジング12は、回転しない非回転部材である。ハウジング12は、例えば樹脂材料によって形成されている。ハウジング12は、ハウジング軸心CL2を有する有底筒形状の本体部120と本体部120の軸心方向DRaの一方側に形成される開口部120aを閉塞する本体カバー部124とを有している。本実施形態では、本体部120および本体カバー部124は、互いに別体で構成されている。また、本実施形態では、本体カバー部124が、ハウジングカバーに対応する。
【0023】
本実施形態では、シャフト18のシャフト軸心CL1および本体部120のハウジング軸心CL2に沿う方向を軸心方向DRaとする。また、シャフト軸心CL1まわりの方向を第1周方向DRc1とし、ハウジング軸心CL2まわりの方向を第2周方向DRc2とする。そして、本実施形態では、軸心方向DRaに直交するとともにシャフト軸心CL1から放射状に拡がる方向を第1径方向DRr1、軸心方向DRaに直交するとともにハウジング軸心CL2から放射状に拡がる方向を第2径方向DRr2として各種構成等を説明する。シャフト軸心CL1とハウジング軸心CL2との位置関係の詳細については後述する。
【0024】
本体部120は、底面を形成する底壁部121およびハウジング軸心CL2まわりを囲む側壁部122を有している。底壁部121および側壁部122は、本体カバー部124とともに、後述する固定ディスク14および回転子20等を収容する収容空間を形成する。底壁部121および側壁部122は、一体に成型された一体成型物として構成されている。
【0025】
本実施形態のハウジング軸心CL2は、シャフト18のシャフト軸心CL1に沿って延びる円筒形状の側壁部122の軸心である。ハウジング軸心CL2は、側壁部122における収容空間を形成する円筒形状の部位の外縁から等しい距離である。すなわち、ハウジング軸心CL2は、側壁部122のうち、第1出口部12b、第2出口部12cよりも開口部120aに近い部位であって、入口部12aが形成される部位を除く外縁から等しい距離である。
【0026】
側壁部122は、ハウジング軸心CL2がシャフト軸心CL1と同軸上となる位置に設けられていない。換言すれば、側壁部122は、シャフト軸心CL1に対して偏心している。
【0027】
側壁部122がシャフト軸心CL1に対して偏心しているとは、側壁部122の軸心方向DRaに直交する断面形状において、シャフト軸心CL1から側壁部122の外周部および内周部それぞれまでの距離が一定でないことを意味する。また、側壁部122がシャフト軸心CL1に対して偏心するにともない、側壁部122の軸心方向DRaの一方側に形成される開口部120aの中心もシャフト軸心CL1に対して偏心している。
【0028】
底壁部121には、後述する固定ディスク14の第1流路孔141および第2流路孔142に合わせて段差が設けられている。これに対して、底壁部121において、後述する固定ディスク14の第3流路孔143に対向する部位には、段差が設けられていない。すなわち、底壁部121は、後述する固定ディスク14の第1流路孔141および第2流路孔142に対向する部位が固定ディスク14の流路孔143に対向する部位に比べて、本体カバー部124との距離が大きくなっている。
【0029】
底壁部121は、固定ディスク14の第1流路孔141および第2流路孔142に対向して段差が設けられた段差部位121aおよび固定ディスク14の流路孔143に対向して段差が設けられていない非段差部位121bを有する。底壁部121は、段差部位121aが固定ディスク14から大きく離れるとともに、非段差部位121bが固定ディスク14に近接している。
【0030】
側壁部122には、底壁部121よりも開口部120aに近い位置に入口部12aが形成され、開口部120aよりも底壁部121に近い位置に第1出口部12bおよび第2出口部12cが形成されている。入口部12a、第1出口部12b、および第2出口部12cは、内側に流路が形成された管状の部材で構成されている。
【0031】
側壁部122の内側には、入口部12aが形成された部位と各出口部12b、12cが形成された部位との間に、固定ディスク14を載置するための載置部122aが設けられている。また、側壁部122は、固定ディスク14と第2径方向DRr2に対向する第1ディスク対向部122cと、駆動ディスク22と第2径方向DRr2に対向する第2ディスク対向部122dとを有する。
【0032】
さらに、側壁部122の内側には、第1ディスク対向部122cおよび第2ディスク対向部122dよりも開口部120aに近い位置に後述のシール部材13が配置されるシール設置部122eが設けられている。また、図5に示すように、側壁部122のうち、第1ディスク対向部122cの内側には、固定ディスク14の後述する回り止め突起145を受け入れる受入溝125が形成されている。そして、側壁部122の外側には、本体部120に本体カバー部124を取り付けるための本体取付部122mと、バルブ装置10を電動車両に取り付けるための設置部123が設けられている。設置部123は、バルブ装置10が電動車両に取り付ける際に電動車両に連結される部位であって、電動車両に連結するための連結部材が挿通される挿通穴を有する。
【0033】
載置部122aは、固定ディスク14における開口面140の裏面に当接する部位である。載置部122aは、側壁部122において内径が変化する部位に形成されている。具体的には、載置部122aは、第2径方向DRr2に拡がる平坦な部位である。載置部122aには、後述のガスケット15を配置するための収容溝122bが形成されている。
【0034】
第1ディスク対向部122cは、第1ディスク対向部122cのうち受入溝125を除く部位の内径Dhが、固定ディスク14のうち回り止め突起145を除く部位の外径Ddよりも大きくなっている。これにより、固定ディスク14を載置部122aに設置した状態で、固定ディスク14と側壁部122との間に隙間が形成される。
【0035】
また、第1ディスク対向部122cの内径は、収容空間を形成する側壁部122のうち、第1ディスク対向部122cとは異なる部位の内径よりも小さくなっている。すなわち、側壁部122は、収容空間を形成する側壁部122のうち、第1ディスク対向部122cとは異なる部位の内径が第1ディスク対向部122cの内径より大きい。
【0036】
第1ディスク対向部122cは、図5に示すように、第1ディスク対向部122cの外側の部位を形成する第1対向外周部122fと、第1ディスク対向部122cの内側の部位を形成する第1対向内周部122gを有する。さらに、第1ディスク対向部122cは、受入溝125が形成される部位である溝形成部122hと、第2径方向DRr2において溝形成部122hに対向する溝対向部122kを有する。
【0037】
第1ディスク対向部122cは、第1対向外周部122fの中心がハウジング軸心CL2と重なるように形成されている。
【0038】
また、第1ディスク対向部122cは、第1対向内周部122gのうち、溝形成部122hを構成する部位が第2周方向DRc2に沿って延びている。そして、図5に示す軸心方向DRaに直交する方向の断面形状において、当該第2周方向DRc2に沿って延びる溝形成部122hの円弧部分の中心がハウジング軸心CL2に重なるように形成されている。
【0039】
すなわち、第1対向内周部122gは、軸心方向DRaに直交する方向の断面形状において、ハウジング軸心CL2から溝形成部122hの円弧部分までの距離が一定である。
【0040】
これに対して、第1ディスク対向部122cは、第1対向内周部122gにおける受入溝125を除く部分を形成する部分の中心がハウジング軸心CL2に重ならないように形成されている。すなわち、図5に示す軸心方向DRaに直交する方向の断面形状において、第1対向内周部122gのうちの受入溝125を形成しない部位の円弧部分の中心がハウジング軸心CL2に重ならないように形成されている。換言すれば、軸心方向DRaに直交する方向の断面形状において、ハウジング軸心CL2から第1対向内周部122gにおける受入溝125を除く円弧部分までの距離が一定でない。
【0041】
そして、第1対向内周部122gにおける受入溝125を除く部分は、第1対向外周部122fに対して偏心している。具体的に、第1対向内周部122gにおける受入溝125を除く部分は、第1対向外周部122fに対して、ハウジング軸心CL2から溝形成部122hに向かう方向とは反対方向に偏心している。
【0042】
第1対向内周部122gにおける受入溝125を除く部分と第1対向外周部122fとの偏心量は、受入溝125の溝の深さ以下であることが望ましい。本実施形態では、第1対向内周部122gにおける受入溝125を除く部分は、受入溝125の溝の深さの1/2の大きさだけ、ハウジング軸心CL2から偏心している。
【0043】
また、第1ディスク対向部122cは、溝形成部122hに隣接する部位の壁の厚さが他の部位の壁の厚さに比較して最も大きくなっている。そして、第1ディスク対向部122cの壁の厚さは、第2周方向DRc2に沿って、溝形成部122hから離れるにしたがい小さくなっている。
【0044】
すなわち、第1ディスク対向部122cの壁の厚さは、受入溝125が形成される部位から最も離れた部位が最も小さくなっている。換言すれば、第1ディスク対向部122cは、溝対向部122kの壁の厚さが他の部位に比較して最も小さい。
【0045】
第1ディスク対向部122cは、溝形成部122hおよび溝対向部122kそれぞれの壁の厚さの差である壁厚差が、受入溝125の溝の深さに比較して小さい方が望ましい。さらに言えば、当該壁厚差は、受入溝125の溝の深さの1/2以下であることが望ましい。
【0046】
本実施形態では、壁厚差が0となるように、第1ディスク対向部122cが形成されている。すなわち、第1ディスク対向部122cは、溝形成部122hの壁の厚さと溝対向部122kの壁の厚さとが略同等である。
【0047】
受入溝125は、ハウジング軸心CL2から遠ざかるように第1ディスク対向部122cの内側が窪んで形成されている。受入溝125は、溝の深さに比較して、溝形成部122hの壁の厚さが充分確保可能な大きさで形成されている。具体的に、受入溝125の溝の深さは、溝形成部122hの壁の厚さに比較して1/3以下であることが望ましい。本実施形態では、受入溝125は、溝の深さ方向の大きさが、溝形成部122hの壁の厚さに比較して1/5以下となるように、形成されている。
【0048】
また、受入溝125は、第2径方向DRr2において、ハウジング軸心CL2と第1出口部12bとの間に介在する部位とは異なる部位であって、且つ、ハウジング軸心CL2と第2出口部12cとの間に介在する部位とは異なる部位に形成されている。
【0049】
ここで、ハウジング軸心CL2から第1出口部12bに向かう方向を第1出口方向DR1、ハウジング軸心CL2から第2出口部12cに向かう方向を第2出口方向DR2、ハウジング軸心CL2から溝形成部122hに向かう方向を溝方向DR3とする。
【0050】
受入溝125は、溝方向DR3が第1出口方向DR1および第2出口方向DR2に重ならない位置に設けられている。本実施形態では、受入溝125は、溝方向DR3が第1出口方向DR1に反対する方向に重なる位置に設けられている。
【0051】
第2ディスク対向部122dは、その内径が、第1ディスク対向部122cの内径よりも大きい。また、第2ディスク対向部122dの内径は、駆動ディスク22の外径よりも大きい。これにより、駆動ディスク22と側壁部122との間に隙間が形成される。すなわち、駆動ディスク22は、側壁部122に接触せず、側壁部122によって位置決めされていない。なお、駆動ディスク22の外径は、固定ディスク14の外径Ddと略同等になっている。
【0052】
ハウジング12の内側は、固定ディスク14によって第1流路孔141に連通する入口側空間12dと出口側空間12eとに仕切られている。入口側空間12dは、ハウジング12の内側にて入口部12aに連通する空間であって、固定ディスク14および回転子20を収容する収容空間でもある。出口側空間12eは、ハウジング12内側にて第1出口部12bおよび第2出口部12cに連通する空間である。
【0053】
図示しないが、本体部120の内側には、出口側空間12eを、第1流路孔141に連通する第1出口側空間と第2流路孔142に連通する第2出口側空間とに仕切る板状の仕切部が設定されている。この仕切部は、出口側空間12eを第2径方向DRr2に沿って横断するように設けられている。
【0054】
シール設置部122eは、側壁部122の開口部120aが形成されている側の端部の内径を他の部位に比較して大きくすることで、第2径方向DRr2に拡がる平坦な部位で形成される。シール設置部122eは、本体部120と本体カバー部124との隙間を閉塞するシール部材13が配置される部位である。
【0055】
本体取付部122mは、本体部120と本体カバー部124とを締結させるための締結部材TNが取り付けられる部位である。本体取付部122mは、側壁部122における開口部120aが形成されている側の端部から第2径方向DRr2の外側に向かって突出している。本体取付部122mは、図示しないが、第2周方向DRc2に沿って、所定の間隔を空けて3つ設けられている。本体取付部122mには、側壁部122よりも第2径方向DRr2の外側の部位に、締結部材TNが挿入される本体挿入穴122nが軸心方向DRaに沿って形成されている。
【0056】
本体カバー部124は、本体部120の開口部120aを覆う蓋部材である。本体カバー部124は、板部124a、カバーリブ部124b、ボス部124c、カバー側壁部124d、カバー取付部124eを含んで構成されている。板部124a、カバーリブ部124b、ボス部124c、カバー側壁部124d、カバー取付部124eは、一体に成型された一体成型物として構成されている。
【0057】
板部124aは、第2径方向DRr2に延びる円環形状の部位である。板部124aは、本体カバー部124のうち、側壁部122および固定ディスク14とともに、入口側空間12dを形成する。
【0058】
また、板部124aは、軸心方向DRaの他方側から一方側に向かって外径が段階的に大きくなっている。具体的には、板部124aは、軸心方向DRaの他方側に位置するシール支持部124fと、シール支持部124fに連なる蓋部124gとを備える。そして、板部124aは、シール支持部124fの外径に比較して蓋部124gの外径が大きくなっている。
【0059】
シール支持部124fは、シール設置部122eに設置されるシール部材13を挟持するための部位である。シール支持部124fの外径は、開口部120aの内径より僅かに小さく形成されている。このため、開口部120aの内周部とシール支持部124fの外周部との間に隙間が発生する。本実施形態では、シール支持部124fが開口閉塞部に対応する。
【0060】
シール支持部124fは、開口部120aから入口側空間12dに挿入される際に、シール支持部124fの軸心方向DRaの他方側の面とシール設置部122eとの間にシール部材13を挟持する。これにより、開口部120aの内周部とシール支持部124fの外周部との隙間がシール部材13によって閉塞される。
【0061】
シール支持部124fは、ハウジング軸心CL2からシール支持部124fの外縁を形成する外周の中心がハウジング軸心CL2と重なるように形成されている。すなわち、シール支持部124fは、軸心方向DRaに直交する方向の断面形状において、ハウジング軸心CL2からシール支持部124fの外周部までの距離が一定となるように形成されている。また、シール支持部124fは、シャフト軸心CL1に対して偏心する。以下、シール支持部124fの外縁を形成する外周の中心を支持部中心とも呼ぶ。
【0062】
蓋部124gは、本体部120と本体カバー部124とが締結される際に、開口部120aを閉塞するための部位である。蓋部124gは、シール支持部124fよりも第2径方向DRr2の外側に位置する。蓋部124gの外径は、本体部120の開口部120aの内径より大きくなっており、開口部120aに挿入不可能になっている。また、蓋部124gの外径は、側壁部122の外径と略同等になっている。
【0063】
シール部材13は、弾性体であるウレタンゴムで構成されており、シール支持部124fとシール設置部122eとで挟持された際に、軸心方向DRaに弾性変形可能に構成されている。また、シール部材13は、軸心方向DRaを厚み方向とする円環形状の部材で構成されている。本実施形態では、シール部材13は、Oリングが採用されている。
【0064】
シール部材13は、外径が開口部120aの内径より僅かに小さく、内径がカバーリブ部124bの外径より僅かに大きく形成されている。換言すれば、シール部材13は、本体部120の開口部120aの内径より僅かに小さい外径を有し、カバーリブ部124bの外径より僅かに大きい内径を有する。シール部材13は、開口部120aの内周部とカバーリブ部124bの外周部に当接し、入口側空間12dとバルブ装置10との間をシールしている。なお、シール部材13の設置位置を示すため、図4において、シール部材13を一点鎖線で記載している。
【0065】
シール部材13は、シール部材13の外縁を形成する外周の中心およびシール部材13の内縁を形成する内周の中心が、ハウジング軸心CL2と重なる位置に配置されている。すなわち、シール部材13は、ハウジング軸心CL2からシール部材13の外周部までの距離が一定であって、且つ、ハウジング軸心CL2からシール部材13の内周部までの距離が一定である。換言すれば、シール部材13は、軸心方向DRaに直交する方向の断面形状における中心が、側壁部122の軸心方向DRaに直交する方向の中心と、一直線上に位置するように配置されている。以下、シール部材13の軸心方向DRaに直交する方向の断面形状における中心をシール部材中心とも呼ぶ。
【0066】
そして、シール部材13は、シール部材中心が、シャフト軸心CL1と重なる位置に配置されていない。換言すれば、シール部材13は、シャフト軸心CL1に対して偏心して配置されている。シール部材13は、側壁部122がシャフト軸心CL1に対して所定の偏心量dだけ偏心するのにともない、シャフト軸心CL1から所定の偏心量dだけ側壁部122と同じ方向に偏心している。偏心量dについての詳細は後述する。
【0067】
カバーリブ部124bは、本体カバー部124のうち本体部120の開口部120aに嵌め込まれる部位である。カバーリブ部124bは、筒形状であって板部124aの外周側に設けられている。カバーリブ部124bは、板部124aから底壁部121に向かって突き出るように設けられている。
【0068】
ボス部124cは、内側にシャフト18が挿通される部位である。ボス部124cは、筒形状であって板部124aの内周側に設けられている。ボス部124cは、板部124aから軸心方向DRaの一方側に向かって突き出ている。ボス部124cは、内側にシャフトシール124hが設けられ、外側に駆動部16との隙間をシールするOリング124kが設けられている。シャフトシール124hは、シャフト18との隙間をシールするリング状のシール部材である。また、ボス部124cの内側には、シャフト18を回転可能に支持する軸受部124mが配置されている。
【0069】
カバー側壁部124dは、内側に駆動部16が挿入される部位である。カバー側壁部124dは、筒形状であってボス部124cの外周側に設けられている。駆動部16は、ボス部124cの外周部とカバー側壁部124dの内周部との間に挿入される。
【0070】
カバー取付部124eは、本体取付部122mに対応する部位であって、本体部120と本体カバー部124とを締結させるための締結部材TNが取り付けられる部位である。カバー取付部124eは、カバー側壁部124dの外周部から第2径方向DRr2の外側に向かって突出している。カバー取付部124eは、図示しないが、カバー側壁部124dの外周部において、第2周方向DRc2に沿って、所定の間隔を空けて3つ設けられている。3つのカバー取付部124eそれぞれは、本体取付部122mに対応する位置に設けられている。
【0071】
カバー取付部124eには、側壁部122よりも第2径方向DRr2の外側の部位に、締結部材TNが挿入されるカバー挿入穴124nが軸心方向DRaに沿って形成されている。カバー挿入穴124nは、本体挿入穴122nに対応する位置に形成されている。
【0072】
固定ディスク14は、軸心方向DRaを厚み方向とする円盤状の部材で構成されている。固定ディスク14は、駆動ディスク22が摺動する表面としての開口面140を有する。開口面140は、後述する駆動ディスク22の摺動面220に接触する接触面である。
【0073】
固定ディスク14は、ハウジング12の構成材料に比較して、線膨張係数が小さく、且つ、耐摩耗性に優れた材料で形成されていることが望ましい。固定ディスク14は、ハウジング12よりも硬度が高い高硬度材料で構成されている。具体的には、固定ディスク14はセラミックで構成されている。固定ディスク14は、セラミックの粉末をプレス機によって所望の形状に成型された粉末成型体である。なお、固定ディスク14は、開口面140を形成する部位だけが、ハウジング12の構成材料に比較して、セラミック等の線膨張係数が小さく、且つ、耐摩耗性に優れた材料で形成されていてもよい。
【0074】
また、固定ディスク14は、図5に示すように、流体が通過する第1流路孔141および第2流路孔142が形成された流路形成部を構成する。したがって、本実施形態のバルブ装置10は、流路形成部である固定ディスク14がハウジング12とは別体の部材として構成されている。
【0075】
また、固定ディスク14には、流体が通過しない第3流路孔143が形成されている。そして、固定ディスク14は、側壁部122に対向する固定外周部144と、側壁部122に向かって突出して形成された回り止め突起145とを有する。
【0076】
各流路孔141、142、143は、シャフト18のシャフト軸心CL1と重ならないように、固定ディスク14のうちシャフト18のシャフト軸心CL1から離れた位置に形成されている。各流路孔141、142、143は、セクタ状(すなわち、扇形状)の貫通孔である。第1流路孔141および第2流路孔142は、入口側空間12dと出口側空間12eとを連通させる連通路として機能する。これに対して、第3流路孔143は、非段差部位121bによって軸心方向DRaの他方側が閉塞されており、入口側空間12dと出口側空間12eとを連通させる連通路として機能しない。なお、各流路孔141、142、143は円形状、楕円形状など他の形状であってもよい。
【0077】
具体的には、第1流路孔141は、第1出口側空間に連通するように、固定ディスク14のうち、第1出口側空間に対応する部位に設けられている。また、第2流路孔142は、第2出口側空間に連通するように、固定ディスク14のうち、第2出口側空間に対応する部位に設けられている。第3流路孔143は、第1出口側空間および第2出口側空間に連通しないように、非段差部位121bに対応する部位に設けられている。
【0078】
固定ディスク14の略中心部分には、固定ディスク孔146が形成されている。固定ディスク孔146は、シャフト18が挿通される固定側挿通孔である。固定ディスク孔146は、シャフト18が摺動しないように、その内径がシャフト18の直径よりも大きくなっている。
【0079】
固定外周部144は、固定ディスク14の外縁を形成する部位である。固定外周部144は、回り止め突起145を形成する部位が受入溝125に対向している。
【0080】
回り止め突起145は、受入溝125に嵌められることによって、固定ディスク14が第1周方向DRc1に回転することを抑制する回転抑制部である。回り止め突起145は、固定ディスク14が本体部120の内部に収容された際に、第1径方向DRr1において、受入溝125に相対する位置に形成されている。回り止め突起145は、固定外周部144の一部がシャフト軸心CL1から遠ざかるよう、固定外周部144のうち回り止め突起145が形成されていない部位よりも第1径方向DRr1の外側に突出して形成されている。
【0081】
回り止め突起145は、受入溝125に嵌め合い可能な大きさで形成されている。具体的に、回り止め突起145は、軸心方向DRaおよび溝方向DR3に直交する方向の大きさが、受入溝125における軸心方向DRaおよび溝方向DR3に直交する方向の大きさに比較して僅かに小さい。固定ディスク14は、回り止め突起145が受入溝125に嵌め合うことで、固定ディスク14の第1周方向DRc1への移動が規制される。
【0082】
固定ディスク14は、固定外周部144のうち回り止め突起145を除く部位の中心が、シャフト軸心CL1と重なる位置に配置されている。すなわち、固定ディスク14は、シャフト軸心CL1から固定外周部144のうち回り止め突起145を除く部位までの距離が一定である。換言すれば、固定ディスク14は、シャフト18に対して同一軸心上に配置されている。
【0083】
そして、固定ディスク14は、固定外周部144のうち回り止め突起145を除く部位の中心が、ハウジング軸心CL2と重なる位置に配置されていない。換言すれば、固定ディスク14は、ハウジング軸心CL2に対して偏心して配置されている。固定ディスク14は、シャフト軸心CL1がハウジング軸心CL2に対して所定の偏心量dだけ偏心するのにともない、ハウジング軸心CL2から所定の偏心量dだけ偏心している。以下、固定ディスク14における固定外周部144のうち回り止め突起145を除く部位の中心を固定ディスク中心とも呼ぶ。
【0084】
固定ディスク14と載置部122aとの間には、固定ディスク14と載置部122aとの隙間をシールするガスケット15が配置されている。ガスケット15は、ゴム製である。ガスケット15は、載置部122aに形成された収容溝122bに収容される。ガスケット15は、固定ディスク14に対向するシール面に2つ以上の突起が設けられ、載置部122aに対向するシール面に2つ以上の突起が設けられている。具体的には、ガスケット15には、軸心方向DRaに向けて突き出る2つの突起が設けられている。このようなガスケット15は、例えば、平坦なシール面に対して窪みを形成するといった簡易な手法によって得ることができる。
【0085】
駆動部16は、回転力を出力するための機器である。図示しないが、駆動部16は、駆動源としてのモータと、モータの出力をシャフト18に伝達する動力伝達部材としてのギア部とを有している。モータは、例えばサーボモータまたはブラシレスモータが採用される。ギア部は、例えば、ヘリカルギアまたは平歯車を含むギア機構部で構成されている。図示しないが、モータは、モータと電気的に連結したバルブ制御部からの制御信号に従って回転する。バルブ制御部は、非遷移的実体的記憶媒体であるメモリ、およびプロセッサなどを有するコンピュータである。バルブ制御部は、メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行するとともに、コンピュータプログラムに従って種々の制御処理を実行する。
【0086】
シャフト18は、駆動部16が出力する回転力によって所定のシャフト軸心CL1を中心に回転する回転軸である。シャフト18は、軸心方向DRaに沿って延びている。シャフト18は、軸心方向DRaの両側がハウジング12に回転可能に支持されている。すなわち、シャフト18は、両端支持構造になっている。シャフト18は、固定ディスク14および駆動ディスク22を貫通してハウジング12に対して回転可能に支持されている。
【0087】
具体的には、シャフト18は、軸心方向DRaの一方側が本体カバー部124の内側に設けられた軸受部124mによって回転可能に支持されている。また、シャフト18は、軸心方向DRaの他方側が本体部120の底壁部121に形成された軸受孔部121cに支持されている。軸受孔部121cは、滑り軸受で構成されている。なお、軸受孔部121cは、滑り軸受ではなく、玉軸受等で構成されていてもよい。
【0088】
シャフト18は、金属製の軸心部181と、軸心部181に連結される樹脂製のホルダ部182と、を含んでいる。軸心部181およびホルダ部182は、一体に回転可能なように互いに連結されている。軸心部181およびホルダ部182は、インサート成型によって一体に成型されたインサート成型品である。
【0089】
軸心部181は、シャフト18のシャフト軸心CL1を含むとともに軸心方向DRaに沿って延びている。軸心部181は、回転子20の回転中心となる部位である。軸心部181は、真直度を確保するために、金属製の棒部材で構成されている。
【0090】
ホルダ部182は、軸心部181の軸心方向DRaの一方側に連結されている。ホルダ部182は、有底筒形状である。ホルダ部182は、軸心方向DRaの一方側の先端部の内側に軸心部181が連結されている。また、ホルダ部182は、ハウジング12の外側に突き出た先端部が駆動部16のギア部に連結されている。
【0091】
回転子20は、駆動部16の出力によってシャフト18の軸心CLを中心に回転する。回転子20は、シャフト18の回転に伴って固定ディスク14の各流路孔141、142の開度を増減する。図4に示すように、回転子20は、弁体としての駆動ディスク22と、シャフト18に駆動ディスク22を連結するレバー24とを有している。
【0092】
駆動ディスク22は、シャフト18の回転に伴って第1流路孔141の開度および第2流路孔142の開度を増減する弁体である。なお、第1流路孔141の開度は、第1流路孔141が開かれている度合いであり、第1流路孔141の全開を100%、全閉を0%として表される。第1流路孔141の全開は、例えば、第1流路孔141が駆動ディスク22に全く塞がれていない状態である。第1流路孔141の全閉は、例えば、第1流路孔141の全体が駆動ディスク22に塞がれている状態である。第2流路孔142の開度は、第1流路孔141の開度と同様である。
【0093】
駆動ディスク22は、軸心方向DRaを厚み方向とする円盤状の部材で構成されている。駆動ディスク22は、軸心方向DRaにおいて固定ディスク14に相対するように入口側空間12dに配置されている。駆動ディスク22は、固定ディスク14の開口面140に相対する摺動面220を有する。摺動面220は、固定ディスク14の開口面140をシールするシール面である。
【0094】
駆動ディスク22は、ハウジング12の構成材料に比較して、線膨張係数が小さく、且つ、耐摩耗性に優れた材料で形成されていることが望ましい。駆動ディスク22は、ハウジング12よりも硬度が高い高硬度材料で構成されている。具体的には、駆動ディスク22はセラミックで構成されている。駆動ディスク22は、セラミックの粉末をプレス機によって所望の形状に成型された粉末成型体である。なお、駆動ディスク22は、摺動面220を形成する部位だけが、ハウジング12の構成材料に比較して、セラミック等の線膨張係数が小さく、且つ、耐摩耗性に優れた材料で形成されていてもよい。
【0095】
ここで、セラミックは、線膨張係数が小さく、且つ、吸水による寸法変化が少ない材料であって、耐摩耗性も優れている。駆動ディスク22をセラミックで構成すれば、駆動ディスク22とシャフト18との相対的な位置関係や駆動ディスク22とハウジング12との相対的な位置関係が安定する。この結果、流体の流量制御の精度を確保したり、意図しない流体漏れを抑えたりすることができる。
【0096】
また、駆動ディスク22には、シャフト18のシャフト軸心CL1に対して偏心した位置に回転子孔221が形成されている。回転子孔221は、軸心方向DRaに貫通する貫通孔である。回転子孔221は、駆動ディスク22のシャフト18のシャフト軸心CL1まわりを回転させた際に、駆動ディスク22において第1流路孔141および第2流路孔142と軸心方向DRaに重なり合う部位に形成されている。
【0097】
このため、駆動ディスク22は、固定ディスク14と同様に、ハウジング軸心CL2から所定の偏心量dだけ偏心している。具体的に、駆動ディスク22は、駆動ディスク22の外縁を形成する外周の中心が、シャフト軸心CL1と重なる位置に配置されている。すなわち、駆動ディスク22は、固定ディスク14およびシャフト18に対して同一軸心上に配置されている。以下、駆動ディスク22の外縁を形成する外周の中心を駆動ディスク中心とも呼ぶ。
【0098】
駆動ディスク22には、略中心部分にシャフト挿通孔223が形成されている。シャフト挿通孔223は、シャフト18が挿通される駆動側挿通孔である。シャフト挿通孔223は、シャフト18が摺動しないように、その内径がシャフト18の直径よりも大きくなっている。
【0099】
バルブ装置10は、回転子孔221が第1流路孔141と軸心方向DRaに重なり合うように駆動ディスク22を回転させると、第1流路孔141が開放される。また、バルブ装置10は、回転子孔221が第2流路孔142と軸心方向DRaに重なり合うように駆動ディスク22を回転させると、第2流路孔142が開放される。
【0100】
駆動ディスク22は、第1流路孔141を通過する流体および第2流路孔142を通過する流体の流量割合を調整可能に構成されている。すなわち、駆動ディスク22は、第1流路孔141の開度が大きくなるにともなって第2流路孔142の開度が小さくなるように構成されている。
【0101】
レバー24は、シャフト18に駆動ディスク22を連結する連結部材である。レバー24は、駆動ディスク22に固定されるとともに、駆動ディスク22がシャフト18の軸心方向DRaに変位可能な状態で、駆動ディスク22およびシャフト18を一体に回転可能に連結する。
【0102】
コンプレッションスプリング26は、回転子20を固定ディスク14に付勢する付勢部材である。コンプレッションスプリング26は、シャフト18の軸心方向DRaに弾性変形する。コンプレッションスプリング26は、軸心方向DRaの一方側の端部がシャフト18に接し、軸心方向DRaの他方側の端部が回転子20に接するように、軸心方向DRaに圧縮された状態でハウジング12の内側に配置されている。具体的には、コンプレッションスプリング26は、軸心方向DRaの一方側の端部がホルダ部182の内側に接し、軸心方向DRaの他方側の端部がレバー24に接するように配置されている。コンプレッションスプリング26は、トーションスプリングとして機能しないように、回転子20およびシャフト18の少なくとも一方に対して固定されていない。
【0103】
コンプレッションスプリング26によって回転子20が固定ディスク14に押し付けられることで、固定ディスク14の開口面140と駆動ディスク22の摺動面220との接触状態が維持される。この接触状態は、固定ディスク14の開口面140と駆動ディスク22の摺動面220とが面接触した状態である。すなわち、バルブ装置10は、駆動ディスク22の姿勢を固定ディスク14に接する姿勢に維持することができる。
【0104】
具体的には、コンプレッションスプリング26は、シャフト18のシャフト軸心CL1を囲むように配置されている。換言すれば、シャフト18は、コンプレッションスプリング26の内側に配置されている。これによると、駆動ディスク22に対するコンプレッションスプリング26の荷重がシャフト18の第1周方向DRc1で偏ることが抑制されるので、摺動面220と開口面140との接触状態が維持され易くなる。
【0105】
第1トーションスプリング28は、シャフト18をハウジング12に対してシャフト18のシャフト軸心CL1まわりの第1周方向DRc1に付勢するスプリングである。第1トーションスプリング28は、ハウジング12とシャフト18との間に配置されている。
【0106】
第1トーションスプリング28は、基本的に、第1周方向DRc1に捩られて弾性変形した状態で使用される。第1トーションスプリング28の付勢力は、シャフト18が回転している場合にも止まっている場合にもシャフト18に作用する。そして、第1トーションスプリング28の付勢力は、シャフト18を介して駆動部16のギア部からモータに回転力として伝達される。このため、第1トーションスプリング28をハウジング12とシャフト18との間に配置することで、駆動部16とシャフト18との間における第1周方向DRc1のガタツキが抑制される。なお、第1トーションスプリング28は、第1周方向DRc1に捩じられているだけで軸心方向DRaに圧縮されているわけではない。
【0107】
第2トーションスプリング30は、レバー24をシャフト18に対して第1周方向DRc1に付勢するスプリングである。第2トーションスプリング30は、シャフト18とレバー24との間に配置されている。第2トーションスプリング30は、第1トーションスプリング28に比べて軸心方向DRaの寸法および第1径方向DRr1の寸法が小さくなっている。
【0108】
第2トーションスプリング30は、基本的に、第1周方向DRc1に捩られて弾性変形した状態で使用される。第2トーションスプリング30の付勢力は、シャフト18が回転している場合にも止まっている場合にもレバー24に作用する。そして、第2トーションスプリング30の付勢力は、レバー24を介して駆動ディスク22に回転力として伝達される。このため、第2トーションスプリング30をシャフト18とレバー24との間に配置することで、シャフト18とレバー24の間における第1周方向DRc1のガタツキが抑制される。そして、レバー24は、駆動ディスク22に固定されているので、第2トーションスプリング30によってシャフト18から駆動ディスク22までの間における第1周方向DRc1のガタツキが抑制される。なお、第2トーションスプリング30は、第1周方向DRc1に捩じられているだけで軸心方向DRaに圧縮されているわけではない。
【0109】
バルブ装置10は、シャフト18とレバー24との間に第2トーションスプリング30が介在させた状態でシャフト18をレバー24に係合させることで、これら3部品がサブアッシー化されている。
【0110】
次に、本実施形態のバルブ装置10の作動について説明する。バルブ装置10は、図1図4に示すように、流体が矢印Fiのように入口部12aから入口側空間12dへ流入する。そして、第1流路孔141が開いている場合には、流体が入口側空間12dから第1流路孔141を介して第1出口側空間へ流れる。第1出口側空間へ流れ込んだ流体は、第1出口側空間から第1出口部12bを介してバルブ装置10の外部へ矢印F1oのように流出する。この場合、第1流路孔141を通過する流体の流量は、第1流路孔141の開度に応じて定まる。すなわち、入口部12aから第1流路孔141を介して第1出口部12bへ流れる流体の流量は、第1流路孔141の開度が大きいほど大きくなる。
【0111】
一方、第2流路孔142が開いている場合には、流体が入口側空間12dから第2流路孔142を介して第2出口側空間へ流入する。第2出口側空間へ流れ込んだ流体は第2出口側空間から第2出口部12cを介してバルブ装置10の外部へ矢印F2oのように流出する。この場合、第2流路孔142を通過する流体の流量は、第2流路孔142の開度に応じて定まる。すなわち、入口部12aから第2流路孔142を介して第2出口部12cへ流れる流体の流量は、第2流路孔142の開度が大きいほど大きくなる。
【0112】
続いて、シャフト軸心CL1とハウジング軸心CL2との偏心について説明する。上述のように、本実施形態のバルブ装置10は、シャフト軸心CL1がハウジング軸心CL2に対して偏心している。そして、側壁部122における収容空間を形成する部位の外周の中心、シール支持部中心、シール部材中心は、それぞれハウジング軸心CL2と重なっている。
【0113】
これに対して、固定ディスク中心、駆動ディスク中心は、ハウジング軸心CL2に対して偏心するとともに、シャフト18の軸心であるシャフト軸心CL1と重なっている。
【0114】
ここで、仮に、シャフト軸心CL1およびハウジング軸心CL2が互いに偏心しておらず、側壁部122、シール支持部124f、シール部材13、固定ディスク14、駆動ディスク22それぞれの外周の中心がシャフト軸心CL1に重なって配置されているとする。
【0115】
この場合、回り止め突起145を嵌める受入溝125を側壁部122の内周部に形成する方法として、側壁部122における開口部120aが設けられた側の端部から軸心方向DRaに沿って第1ディスク対向部122cに至る部位まで設ける方法がある。このように受入溝125を形成することで、固定ディスク14の回り止め突起145を受入溝125に嵌めた状態で固定ディスク14を開口部120aから入口側空間12dの内部に入れることができる。
【0116】
しかし、受入溝125をこのように形成する場合、受入溝125が開口部120aを形成する部位にも形成されるため、シール部材13と受入溝125との間に隙間が生じ、当該隙間からバルブ装置10の外部へ流体が漏れる虞がある。
【0117】
これに対して、本実施形態では、側壁部122のうち、第1ディスク対向部122cとは異なる部位の内径を回り止め突起145の大きさだけ大きくし、他の部位に比較して第2径方向DRr2の内側に突出した第1対向内周部122gに受入溝125を有する。これにより、固定ディスク14を開口部120aから入口側空間12dの内部に入れる際に、回り止め突起145が側壁部122の内周部に干渉しなくなる。
【0118】
ここで、第1ディスク対向部122cとは異なる部位の内径を大きくする場合、バルブ装置10の強度確保の観点から、側壁部122の第2径方向DRr2の大きさ、すなわち、側壁部122の壁の厚さを充分に確保する必要がある。このため、側壁部122の内径を大きくすることで、側壁部122の壁の厚さが小さくなることは好ましくない。
【0119】
また、側壁部122の内径を大きくするにともない、図5の一点鎖線で示すように、側壁部122の外径も回り止め突起145の大きさだけ大きくすることで、側壁部122の壁の厚さを充分に確保する方法がある。しかし、この方法は、側壁部122の外径が回り止め突起145の大きさだけ大きくなり、バルブ装置10全体の体格が大きくなるため、好ましくない。
【0120】
これらの問題に対して、本実施形態のバルブ装置10は、ハウジング軸心CL2に対してシャフト軸心CL1を偏心させている。具体的に、シャフト軸心CL1は、ハウジング軸心CL2に対して溝方向DR3とは反対方向に所定の偏心量dだけ偏心している。
【0121】
これにより、シール支持部124fは、所定の偏心量dに比較して、支持部中心とハウジング軸心CL2との距離が近くなるように、シャフト軸心CL1に対して偏心している。具体的に、シール支持部124fは、所定の偏心量dだけ溝方向DR3に偏心している。これにより、シール支持部124fは、支持部中心がハウジング軸心CL2に重なっている。
【0122】
また、シール部材13も、所定の偏心量dに比較して、シール部材中心とハウジング軸心CL2との距離が近くなるように、シャフト軸心CL1に対して偏心している。具体的に、シール部材13は、所定の偏心量dだけ溝方向DR3に偏心している。これにより。シール部材13は、シール部材中心がハウジング軸心CL2に重なっている。
【0123】
所定の偏心量dは、回り止め突起145を嵌めるための受入溝125を溝形成部122hに設けた際に、溝形成部122hおよび溝対向部122kそれぞれの壁の厚さを充分に確保可能な大きさで定められる。換言すれば、所定の偏心量dは、溝形成部122hの壁の厚さが、第1ディスク対向部122cにおける壁の厚さが最も小さくなる部位の壁の厚さ以上となるように設定される。本実施形態では、溝形成部122hの壁の厚さが、第1ディスク対向部122cにおける壁の厚さが最も小さい溝対向部122kの壁の厚さと略同等となるように所定の偏心量dが設定されている。
【0124】
また、所定の偏心量dは、回り止め突起145における溝方向DR3の大きさおよび受入溝125の溝方向DR3の大きさに比較して小さい値で設定される。本実施形態では、所定の偏心量dは、回り止め突起145における溝方向DR3の大きさの1/2以下の値となっている。また、所定の偏心量dは、受入溝125の溝方向DR3の大きさの1/3以下の値となっている。
【0125】
これによれば、シャフト軸心CL1に対してハウジング軸心CL2を偏心させることで、受入溝125が形成される溝形成部122hの壁の厚さを確保しつつ、受入溝125の形成に起因してバルブ装置10全体の体格が大きくなることを抑制することができる。
【0126】
また、ハウジング軸心CL2がシャフト軸心CL1に対して所定の偏心量dだけ偏心するにともない、シール支持部124fおよびシール部材13もシャフト軸心CL1から所定の偏心量dだけ偏心している。このため、シール支持部124fの外周部と開口部120aの内周部との隙間からの流体の漏れを抑制しつつ、シール部材13がシャフト軸心CL1に対して偏心しない場合に比較して、シール部材13が大きくなることを抑制できる。
【0127】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0128】
上述の実施形態では、開口部120aが本体カバー部124によって閉塞される例について説明したが、これに限定されない。例えば、図6に示すように、開口部120aが駆動部16によって閉塞される構成であってもよい。なお、図6は、上述の実施形態で説明した図4に比較して簡略した図であり、バルブ装置10の構成機器である第2トーションスプリング30等を省略している。
【0129】
図6に示す実施形態のバルブ装置10の駆動部16は、駆動源としてのモータ161と、モータ161の出力をシャフト18に伝達するギア部162と、モータ161およびギア部162を収容する駆動部ケース163とを有する。そして、駆動部ケース163は、開口部120aの形状に対応するケースリブ部163aを有する。ケースリブ部163aは、開口閉塞部に対応する。
【0130】
ケースリブ部163aは、外径が開口部120a内径より僅かに小さい筒状であって、軸心方向DRaの他方側に向かって突き出るように設けられている。ケースリブ部163aは、開口部120aから入口側空間12dに挿入される際に、ケースリブ部163aの外周部と側壁部122の内周部との間にシール部材13を挟持する。これにより、ケースリブ部163aの外周部と側壁部122の内周部との隙間がシール部材13によって閉塞される。
【0131】
ケースリブ部163aは、軸心方向DRaに直交する方向の断面形状において、ハウジング軸心CL2からケースリブ部163aの外周部までの距離が一定となるように形成されている。また、ケースリブ部163aは、シャフト軸心CL1に対して偏心している。
【0132】
これによれば、シャフト軸心CL1に対してハウジング軸心CL2を偏心させることで、受入溝125が形成される溝形成部122hの壁の厚さを確保しつつ、受入溝125の形成に起因してバルブ装置10全体の体格が大きくなることを抑制することができる。
【0133】
また、シール部材13によって、ケースリブ部163aの外周部と開口部120aの内周部との隙間からの流体の漏れを抑制しつつ、シール部材13がシャフト軸心CL1に対して偏心しない場合に比較して、シール部材13が大きくなることを抑制できる。
【0134】
上述の実施形態では、シール部材中心がハウジング軸心CL2に重なるようにシール部材13がシャフト軸心CL1に対して偏心している例について説明したが、これに限定されない。例えば、所定の偏心量dに比較して、シール部材中心とハウジング軸心CL2との距離が近づく位置であれば、シール部材13は、シール部材中心がハウジング軸心CL2に重ならない位置に配置されてもよい。
【0135】
上述の実施形態では、シール部材13が円環形状である例について説明したが、これに限定されない。シール部材13は、開口部120aの形状に合わせて適宜変更可能である。
【0136】
上述の実施形態では、所定の偏心量dが、回り止め突起145における溝方向DR3の大きさの1/2以下の値である例について説明したが、これに限定されない。また、所定の偏心量dが、受入溝125における溝方向DR3の大きさの1/3以下の値である例について説明したが、これに限定されない。
【0137】
例えば、シャフト軸心CL1は、ハウジング軸心CL2に対して、回り止め突起145における溝方向DR3の大きさの1/2より大きい量だけ偏心してもよい。また、シャフト軸心CL1は、ハウジング軸心CL2に対して、受入溝125における溝方向DR3の大きさの1/3より大きい量だけ偏心してもよい。
【0138】
上述の実施形態では、第1ディスク対向部122cの壁の厚さが、第2周方向DRc2に沿って、溝形成部122hから離れるにしたがい小さくなっている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1ディスク対向部122cは、壁の厚さが、第2周方向DRc2に沿って、一定の大きさで形成されてもよい。
【0139】
上述の実施形態では、第1ディスク対向部122cにおける溝形成部122hの壁の厚さと溝対向部122kの壁の厚さとが略同等である例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1ディスク対向部122cは、溝形成部122hの壁の厚さが溝対向部122kの壁の厚さに比較して大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0140】
上述の実施形態では、溝方向DR3が第1出口方向DR1および第2出口方向DR2に重ならないように受入溝125が設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、受入溝125は、溝方向DR3が第1出口方向DR1または第2出口方向DR2に重なる位置にもうけられてもよい。
【0141】
上述の実施形態では、シャフト軸心CL1が、ハウジング軸心CL2に対して溝方向DR3とは反対方向に偏心している例について説明したが、これに限定されない。例えば、シャフト軸心CL1は、ハウジング軸心CL2に対して、溝方向DR3に反対方向する方向とは異なる方向に偏心してもよい。
【0142】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0143】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0144】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【符号の説明】
【0145】
12 ハウジング
13 シール部材
14 固定ディスク
16 駆動部
18 シャフト
20 回転子
124 ハウジングカバー
124f 開口閉塞部
CL1 シャフト軸心
CL2 ハウジング軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6