(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166562
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】自律搬送車の管理制御装置及び管理制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20221026BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G05D1/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071831
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】阪下 英知
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301HH01
5H301HH12
5H301KK03
5H301KK07
5H301KK08
5H301LL01
5H301LL03
5H301LL04
5H301LL06
5H301LL08
(57)【要約】
【課題】効率の良い運行が可能な自律搬送車の管理制御装置及び管理制御システムを提供することである。
【解決手段】自律搬送車の管理制御装置100は、所定エリアで走行する複数の自律搬送車200を制御し、所定エリアのうち同時進入禁止エリアを設定する同時進入禁止エリア設定部110と、複数の自律搬送車の走行情報を取得する走行情報取得部120と、同時進入禁止エリアと走行情報とに基づいて、複数の自律搬送車の、同時進入禁止エリアへの進入期間を算出する進入期間算出部130と、進入期間に基づいて、少なくとも2以上の自律搬送車が同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になるか否かを判定する同時進入判定部140と、同時に進入している状態になると判定された場合、少なくとも2以上の自律搬送車のうち、同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車に進入許可を与える走行指示部150と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアで走行する複数の自律搬送車を制御する自律搬送車の管理制御装置であって、
前記所定エリアのうち同時進入禁止エリアを設定する同時進入禁止エリア設定部と、
前記複数の自律搬送車の走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記同時進入禁止エリアと前記複数の自律搬送車の走行情報とに基づいて、前記複数の自律搬送車の、前記同時進入禁止エリアへの進入期間を算出する進入期間算出部と、
前記進入期間に基づいて、前記複数の自律搬送車のうち、少なくとも2以上の自律搬送車が前記同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になるか否かを判定する同時進入判定部と、
前記同時に進入している状態になると判定された場合、前記少なくとも2以上の自律搬送車のうち、前記同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車に進入許可を与える走行指示部と、を備える、
自律搬送車の管理制御装置。
【請求項2】
前記進入期間算出部は、前記同時進入禁止エリアと前記複数の自律搬送車の走行情報とに基づいて、前記複数の自律搬送車の、前記同時進入禁止エリアへの進入予定時刻及び前記同時進入禁止エリアからの脱出予定時刻を算出する、
請求項1に記載の自律搬送車の管理制御装置。
【請求項3】
前記走行指示部は、前記少なくとも2以上の自律搬送車のうち、進入許可を与える自律搬送車以外の自律搬送車に前記同時進入禁止エリア手前での停止指示を与える、
請求項1又は2に記載の自律搬送車の管理制御装置。
【請求項4】
前記走行指示部は、前記進入許可が与えられた自律搬送車が前記同時進入禁止エリアを脱出した場合、前記停止指示が与えられていた自律搬送車に進入許可を与える、
請求項3に記載の自律搬送車の管理制御装置。
【請求項5】
前記走行指示部は、前記少なくとも2以上の自律搬送車のうち、進入許可を与える自律搬送車以外の自律搬送車が、前記同時進入禁止エリアにおいて前記進入許可を与える自律搬送車と同一の走行経路である場合、当該進入許可を与える自律搬送車以外の自律搬送車に進入許可を与える、
請求項1又は2に記載の自律搬送車の管理制御装置。
【請求項6】
前記進入許可を与えた自律搬送車が、第1所定時間継続して停止している場合、又は前記進入許可を与えた自律搬送車の走行情報が、第2所定時間継続して取得できない場合、異常状態であると判定する異常状態判定部を、さらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の自律搬送車の管理制御装置。
【請求項7】
前記走行指示部は、前記異常状態が解消された場合であって、前記同時進入禁止エリア手前での停止指示が与えられている自律搬送車が存在する場合には、当該自律搬送車に進入許可を与える、
請求項6に記載の自律搬送車の管理制御装置。
【請求項8】
所定エリアで走行する複数の自律搬送車と当該複数の自律搬送車を制御する管理制御装置とを有する自律搬送車の管理制御システムであって、
前記複数の自律搬送車それぞれは、
当該自律搬送車の走行を制御する走行制御部と、
当該自律搬送車の走行情報を取得する自車情報取得部と、を備え、
前記管理制御装置は、
前記所定エリアのうち同時進入禁止エリアを設定する同時進入禁止エリア設定部と、
前記複数の自律搬送車から前記走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記同時進入禁止エリアと前記複数の自律搬送車の走行情報とに基づいて、前記複数の自律搬送車の、前記同時進入禁止エリアへの進入期間を算出する進入期間算出部と、
前記進入期間に基づいて、前記複数の自律搬送車のうち、少なくとも2以上の自律搬送車が前記同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になるか否かを判定する同時進入判定部と、
前記同時に進入している状態になると判定された場合、前記少なくとも2以上の自律搬送車のうち、前記同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車に進入許可を与える走行指示部と、を備え、
前記進入許可が与えられた自律搬送車は、当該自律搬送車の走行制御部によって前記同時進入禁止エリアに進入するように走行する、
自律搬送車の管理制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律搬送車の管理制御装置及び管理制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、目的地点まで走行経路に沿って自律的に走行する自律搬送車が普及している。例えば、工場等で荷物を搬送する用途として、当該工場の所定のエリア内で複数の自律搬送車が走行している場合がある。
【0003】
複数の自律搬送車が走行している場合、お互いの衝突を回避する必要があり、特に、交差点、及び狭いエリアや走行路等では、優先走行又は停止等の適切な制御が重要となる。
【0004】
特許文献1では、無人搬送車は、交差点エリアの手前に配設されたマーカを検出し、電波を送信することによって自車が交差点エリアにあることを主張すると同時に、他の無人搬送車が送信する電波を受信することによって先行する無人搬送車が当該交差点エリアに存在するか否かを判定する。そして、無人搬送車は、電波受信の有無及び周波数に応じて、走行又は停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3206314号公報
【特許文献2】特許第5448612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、交差点エリアの手前にマーカを配設したり、各無人搬送車が電波を送受信するための機器を装備したりする必要がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されている技術では、交差点エリアの入口に到達した到達順序に基づいて、無人搬送車を走行続行又は停車させているが、交差点エリアの形状によっては、効率的な運行であると言えない場合がある。例えば、交差する走行路の幅の相違により、一方向に距離が長く、他方向に距離が短い交差点エリアでは、交差点エリアの入口に後に到着した無人搬送車を優先的に走行させた方が、全体の運行効率が良くなる場合もある。
【0008】
そこで、本発明は、効率の良い運行が可能な自律搬送車の管理制御装置及び管理制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る自律搬送車の管理制御装置は、所定エリアで走行する複数の自律搬送車を制御する自律搬送車の管理制御装置であって、所定エリアのうち同時進入禁止エリアを設定する同時進入禁止エリア設定部と、複数の自律搬送車の走行情報を取得する走行情報取得部と、同時進入禁止エリアと複数の自律搬送車の走行情報とに基づいて、複数の自律搬送車の、同時進入禁止エリアへの進入期間を算出する進入期間算出部と、進入期間に基づいて、複数の自律搬送車のうち、少なくとも2以上の自律搬送車が同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になるか否かを判定する同時進入判定部と、同時に進入している状態になると判定された場合、少なくとも2以上の自律搬送車のうち、同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車に進入許可を与える走行指示部と、を備える。
【0010】
この態様によれば、同時進入禁止エリア設定部が同時進入禁止エリアを設定し、同時進入判定部が複数の自律搬送車が同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になると判定した場合、走行指示部が、少なくとも2以上の自律搬送車のうち、同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車に進入許可を与える。その結果、同時進入禁止エリアでの自律搬送車の衝突を回避しつつ、効率の良い運行を実現することができる。
【0011】
上記態様において、進入期間算出部は、同時進入禁止エリアと複数の自律搬送車の走行情報とに基づいて、複数の自律搬送車の、同時進入禁止エリアへの進入予定時刻及び同時進入禁止エリアからの脱出予定時刻を算出してもよい。
【0012】
この態様によれば、進入期間算出部が、複数の自律搬送車の進入予定時刻及び脱出予定時刻を算出するため、同時進入禁止エリアから最も早く脱出する自律搬送車を適切に把握することができる。
【0013】
上記態様において、走行指示部は、少なくとも2以上の自律搬送車のうち、進入許可を与える自律搬送車以外の自律搬送車に同時進入禁止エリア手前での停止指示を与えてもよい。
【0014】
この態様によれば、走行指示部は、進入許可を与える自律搬送車以外の自律搬送車に同時進入禁止エリア手前での停止指示を与えるため、同時進入禁止エリアにおいて同時に複数の自律搬送車が進入することを抑止し、同時進入禁止エリアでの自律搬送車の衝突を回避することができる。
【0015】
上記態様において、走行指示部は、進入許可が与えられた自律搬送車が同時進入禁止エリアを脱出した場合、停止指示が与えられていた自律搬送車に進入許可を与えてもよい。
【0016】
この態様によれば、走行指示部は、進入許可が与えられた自律搬送車が同時進入禁止エリアを脱出した場合、停止指示が与えられていた自律搬送車に進入許可を与えるため、同時進入禁止エリアでの自律搬送車の衝突を回避しつつ、効率の良い運行を実現することができる。
【0017】
上記態様において、走行指示部は、少なくとも2以上の自律搬送車のうち、進入許可を与える自律搬送車以外の自律搬送車が、同時進入禁止エリアにおいて進入許可を与える自律搬送車と同一の走行経路である場合、当該進入許可を与える自律搬送車以外の自律搬送車に進入許可を与えてもよい。
【0018】
この態様によれば、走行指示部は、同時進入禁止エリアにおいて、複数の自律搬送車が同一の走行経路である場合には、当該複数の自律搬送車に進入許可を与えるため、後続の自律搬送車は、同時進入禁止エリアでの衝突の可能性はなく、効率の良い運行を実現することができる。
【0019】
上記態様において、進入許可を与えた自律搬送車が、第1所定時間継続して停止している場合、又は進入許可を与えた自律搬送車の走行情報が、第2所定時間継続して取得できない場合、異常状態であると判定する異常状態判定部を、さらに備えてもよい。
【0020】
この態様によれば、異常状態判定部が、自律搬送車の停止又は通信障害を判定するため、作業者に対して異常状態の旨を通知することができる。その結果、適切な運行に回復させるための対策を採るように促すことができる。
【0021】
上記態様において、走行指示部は、異常状態が解消された場合であって、同時進入禁止エリア手前での停止指示が与えられている自律搬送車が存在する場合には、当該自律搬送車に進入許可を与えてもよい。
【0022】
この態様によれば、走行指示部は、既に停止指示が与えられている自律搬送車に対して、異常状態が解消された場合には、進入許可を与えるため、適切に運行を再開させることができる。
【0023】
本発明の一態様に係る自律搬送車の管理制御システムは、所定エリアで走行する複数の自律搬送車と当該複数の自律搬送車を制御する管理制御装置とを有する自律搬送車の管理制御システムであって、複数の自律搬送車それぞれは、当該自律搬送車の走行を制御する走行制御部と、当該自律搬送車の走行情報を取得する自車情報取得部と、を備え、管理制御装置は、所定エリアのうち同時進入禁止エリアを設定する同時進入禁止エリア設定部と、複数の自律搬送車から走行情報を取得する走行情報取得部と、同時進入禁止エリアと複数の自律搬送車の走行情報とに基づいて、複数の自律搬送車の、同時進入禁止エリアへの進入期間を算出する進入期間算出部と、進入期間に基づいて、複数の自律搬送車のうち、少なくとも2以上の自律搬送車が同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になるか否かを判定する同時進入判定部と、同時に進入している状態になると判定された場合、少なくとも2以上の自律搬送車のうち、同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車に進入許可を与える走行指示部と、を備え、進入許可が与えられた自律搬送車は、当該自律搬送車の走行制御部によって同時進入禁止エリアに進入するように走行する。
【0024】
この態様によれば、同時進入禁止エリア設定部が同時進入禁止エリアを設定し、走行情報取得部が複数の自律搬送車から走行情報を取得し、進入期間算出部が同時進入禁止エリアと複数の自律搬送車の走行情報とに基づいて、当該同時進入禁止エリアへの進入期間を算出する。同時進入判定部が複数の自律搬送車が同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になると判定した場合、走行指示部が、少なくとも2以上の自律搬送車のうち、同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車に進入許可を与える。その結果、同時進入禁止エリアでの自律搬送車の衝突を回避しつつ、効率の良い運行を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、効率の良い運行が可能な自律搬送車の管理制御装置及び管理制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自律搬送車の管理制御システム10の概要を示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る自律搬送車の管理制御システム10における管理制御装置100及び自律搬送車200の各機能を示す機能ブロック図である。
【
図3】2台の自律搬送車200A,200Bについて、交差点エリアA10において一方に進入許可が与えられ、他方に停止指示が与えられる様子を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る自律搬送車の管理制御システム10における管理制御装置100が実行する自律搬送車の管理制御方法M100を示すフローチャートである。
【
図5】交差点エリアA10において自律搬送車200Aが停止している様子を示す図である。
【
図6】すれ違いが困難である細い走行路周辺が同時進入禁止エリアとして設定された様子を示す図である。
【
図7】すれ違いが困難である細い走行路の先が行き止まりである袋小路周辺が同時進入禁止エリアとして設定された様子を示す図である。
【
図8】すれ違いが困難である細い走行路周辺が同時進入禁止エリアとして設定され、複数の自律搬送車200が当該同時進入禁止エリアを同一方向に走行する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0028】
<一実施形態>
[自律搬送車の管理制御システムのシステム構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る自律搬送車の管理制御システム10の概要を示すシステム構成図である。
図1に示されるように、管理制御システム10は、管理制御装置100、複数の自律搬送車200A,200B(以下、総称して自律搬送車200という場合もある。)を有し、有線LAN及びWiFi(登録商標)等の無線通信を介してネットワーク接続されている。さらには、当該ネットワークに接続可能なタブレット300等の電子機器を備えてもよい。
【0029】
管理制御装置100は、管理制御システム10におけるデータの送受信及び管理等を含めて管理制御システム10の全体を統括管理及び制御している。具体的には、管理制御装置100は、所定エリアで走行する複数の自律搬送車200とデータの送受信を行いながら、複数の自律搬送車200の走行を管理及び制御している。
【0030】
管理制御装置100は、複数の自律搬送車200が走行する所定エリアの地図データを記録しており、当該地図データに基づいて、複数の自律搬送車200が目的地点までどのような経路を辿るのかについて把握していても構わない。
【0031】
なお、地図データは、管理制御装置100に格納されている地図作成ソフトによって作成されても構わないし、別装置又はシステムで作成された地図データを管理制御装置100に記録されても構わない。
【0032】
複数の自律搬送車200は、例えば、工場内において走行し、設定された目的地点まで荷物を搬送する。複数の自律搬送車200は、管理制御装置100とデータの送受信を行いながら、管理制御装置100からの動作指示に基づいて走行及び停止等が制御されており、無人で自律走行する。
【0033】
なお、複数の自律搬送車200は、地図データを備えていてもよく、自車が目的地点まで走行する走行経路を生成し、当該走行経路に沿って走行するようにしても構わない。
【0034】
タブレット300は、作業者が操作する端末機器であって、例えば、管理制御装置100とデータの送受信を行いながら、アクション、タスク及びスケジュールの管理、確認及び設定等の操作を行っても構わない。また、作業者はタブレット300を用いて、複数の自律搬送車200に対して、目的地点及び走行条件の設定等の操作を行っても構わない。さらに、管理制御システム10において異常が発生した場合には、当該タブレット300に通知され、作業者は、当該タブレット300から異常を解消するような操作をしたりしても構わない。
【0035】
なお、作業者が操作する端末機器は、タブレット300に限定されるものではなく、管理制御装置100及び複数の自律搬送車200とネットワークを介してデータの送受信ができるのであれば、例えば、PC、スマートフォン及び専用端末等であっても構わない。
【0036】
[自律搬送車の管理制御システムの機能]
図2は、本発明の一実施形態に係る自律搬送車の管理制御システム10における管理制御装置100及び自律搬送車200の各機能を示す機能ブロック図である。
図2に示されるように、管理制御システム10は、管理制御装置100及び自律搬送車200を有し、上述したように通信可能な構成となっている。そして、管理制御装置100と自律搬送車200とは、データの送受信を行いながら、管理制御装置100は、例えば、工場内等の所定のエリアを走行する複数台の自律搬送車200の走行(停止)を管理及び制御している。
【0037】
管理制御装置100は、同時進入禁止エリア設定部110と、走行情報取得部120と、進入期間算出部130と、同時進入判定部140と、走行指示部150と、地図データ記録部160とを備える。自律搬送車200は、自車情報取得部210と、経路情報生成部220と、走行制御部230と、地図データ記録部240とを備える。
【0038】
同時進入禁止エリア設定部110は、所定エリアのうち同時進入禁止エリアを設定する。例えば、自律搬送車200が走行する工場内の地図データが予め地図データ記録部160に記録されており、同時進入禁止エリア設定部110は、当該地図データに基づいて、同時進入禁止エリアを設定する。
【0039】
ここで、同時進入禁止エリアとは、例えば、十字路、T字路及びロータリー等の交差点エリアのように、少なくとも2台以上の自律搬送車200が同時に進入すると衝突の可能性がある領域を含む。
【0040】
なお、同時進入禁止エリアは、地図データに示される工場内において複数個所で存在する場合もあり、それぞれ、例えば、ID等の一意で示される識別情報を付与して登録するようにしても構わない。さらに、同時進入禁止エリアは、種類、入口及び出口情報、走行路の距離及び幅等の大きさ等に関する情報を付加して登録するようにしても構わない。
【0041】
走行情報取得部120は、複数の自律搬送車200から走行情報を取得する。
【0042】
具体的には、複数の自律搬送車200には、例えば、作業者がタブレット300を操作することによって、それぞれ目的地点が設定される。各自律搬送車200において、経路情報生成部220は、地図データ記録部240に記録されている地図データに基づいて、目的地点までの適切な走行経路を生成する。そして、走行制御部230は、経路情報生成部220によって生成された走行経路に沿って自律搬送車200の走行を制御する。なお、目的地点及び走行経路は、管理制御装置100に送信されても構わないし、クラウド等のサーバに送信されることによって、管理制御装置100と自律搬送車200とで情報を共有するようにしても構わない。
【0043】
ここで、各自律搬送車200において、自車情報取得部210は、当該自律搬送車200の走行情報を取得する。走行情報とは、例えば、自律搬送車200の位置、進行方向ベクトル、走行速度、走行経路、バッテリー状態、搬送物に関する情報、及び当該自律搬送車に関する情報等が含まれていてもよい。
【0044】
各自律搬送車200において、自車情報取得部210は、所定期間(例えば、0.1秒~数秒)毎に走行情報を取得し、管理制御装置100に送信する。換言すれば、管理制御装置100における走行情報取得部120は、各自律搬送車200の走行情報を同期データとして取得している。そして、管理制御装置100は、各自律搬送車200の同期データに基づいて、当該各自律搬送車200の走行を管理及び制御する。
【0045】
なお、ここでは、各自律搬送車200において、経路情報生成部220によって走行経路が生成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、管理制御装置100又はその他のシステムで走行経路が生成されても構わない。
【0046】
このように、各自律搬送車200は、管理制御装置100によって管理及び制御されながら、走行経路に沿って目的地点まで走行するが、例えば、交差点エリア等においては、他の自律搬送車200との衝突を回避しつつ、適切に走行制御される。交差点エリアにおいて、2台の自律搬送車200が走行制御される様子について、具体的に詳しく説明する。
【0047】
図3は、2台の自律搬送車200A,200Bについて、交差点エリアA10において一方に進入許可が与えられ、他方に停止指示が与えられる様子を示す図である。なお、交差点エリアA10は、上述したように、同時進入禁止エリア設定部110によって予め同時進入禁止エリアとして設定されている。
【0048】
図3に示されるように、2台の自律搬送車200A,200Bが交差点エリアA10に差し掛かった場合(
図3(a))、自律搬送車200Aを優先的に走行させて、その間、自律搬送車200Bを交差点エリアA10の手前で停止させている(
図3(b))。そして、自律搬送車200Aが交差点エリアA10を通過(脱出)した後、自律搬送車200Bの走行を再開させている(
図3(c))。
【0049】
具体的には、進入期間算出部130は、交差点エリアA10と自律搬送車200A,200Bの走行情報とに基づいて、自律搬送車200A,200Bの、交差点エリアA10への進入期間を算出する。
【0050】
例えば、進入期間算出部130は、走行情報取得部120によって取得された自律搬送車200A,200Bの位置、進行方向ベクトル及び走行速度等の走行情報に基づいて、自律搬送車200A,200Bの交差点エリアA10への進入予定時刻及び交差点エリアA10からの脱出予定時刻を算出する。なお、進入期間算出部130は、地図データ記録部160に記録されている地図データ及び同時進入禁止エリア設定部110によって設定された交差点エリアA10を把握しているため、これらの情報も参照し、自律搬送車200A,200Bの交差点エリアA10への進入予定時刻及び交差点エリアA10からの脱出予定時刻を算出する。
【0051】
なお、ここでは、自律搬送車200A,200Bが交差点エリアA10に進入している進入期間を把握するために、進入期間算出部130は、進入予定時刻と脱出予定時刻とを算出したが、これに限定されるものではない。例えば、進入期間算出部130は、自律搬送車200が現在時刻から何秒後に交差点エリアA10に進入し、当該進入から何秒後又は現在時刻から何秒後に交差点エリアA10から脱出するかを算出して進入期間を把握するようにしても構わない。
【0052】
同時進入判定部140は、進入期間算出部130によって算出された進入期間に基づいて、複数の自律搬送車200のうち、少なくとも2以上の自律搬送車200が同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になるか否かを判定する。
図3に示される例では、同時進入判定部140は、進入期間算出部130の算出結果に基づいて、自律搬送車200Aと自律搬送車200Bとが交差点エリアA10に同時に進入している状態になると判定するものとする。なお、交差点エリアA10に同時に進入している状態とは、交差点エリアA10に滞在している期間が重複するという意味である。
【0053】
走行指示部150は、同時進入判定部140によって同時に進入している状態になると判定された場合、少なくとも2以上の自律搬送車200のうち、同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車200に進入許可を与える。
図3に示される例では、自律搬送車200Aが自律搬送車200Bよりも早く交差点エリアA10から脱出するものとし、走行指示部150は、自律搬送車200Aに進入許可を与える。一方、走行指示部150は、自律搬送車200Bに交差点エリアA10手前での停止指示を与える。
【0054】
進入許可が与えられた自律搬送車200Aは、継続して走行することによって、交差点エリアA10に進入して、当該交差点エリアA10を通過する。
【0055】
停止指示が与えられた自律搬送車200Bは、交差点エリアA10に進入せずに、走行を中断し、交差点エリアA10の手前で停止する。
【0056】
そして、自律搬送車200Aが交差点エリアA10から脱出した後、走行指示部150は、自律搬送車200Bに進入許可を与える。進入許可が与えられた自律搬送車200Bは、走行を再開することによって、交差点エリアA10に進入して、当該交差点エリアA10を通過する。
【0057】
なお、自律搬送車200Aが交差点エリアA10を脱出したか否かについては、上述した自律搬送車200Aの走行情報の同期データに基づいて判定される。例えば、管理制御装置100における走行情報取得部120によって取得された自律搬送車200Aの位置と、地図データ記録部160に記録されている地図データ及び同時進入禁止エリア設定部110によって設定された交差点エリアA10とに基づいて、判定すればよい。
【0058】
このように、管理制御装置100は、2台の自律搬送車200A,200Bが交差点エリアA10に差し掛かった場合、自律搬送車200Aを優先的に走行させて、その間、自律搬送車200Bを交差点エリアA10の手前で停止させ、自律搬送車200Aが交差点エリアA10を通過した後、自律搬送車200Bを走行させている。これにより、2台の自律搬送車200A,200Bは、交差点エリアA10での衝突を回避しつつ、さらに、交差点エリアA10から早く脱出する自律搬送車200Aを優先的に走行させて、効率の良い適切な運行を実現している。
【0059】
[自律搬送車の管理制御方法]
次に、本発明の一実施形態に係る自律搬送車の管理制御システム10における管理制御装置100が実行する自律搬送車の管理制御方法について、具体的に詳しく説明する。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態に係る自律搬送車の管理制御システム10における管理制御装置100が実行する自律搬送車の管理制御方法M100を示すフローチャートである。
図4に示されるように、管理制御方法M100は、ステップS110~S160を含み、各ステップは、管理制御装置100に含まれるプロセッサによって実行される。
【0061】
ステップS110では、管理制御装置100の同時進入禁止エリア設定部110は、所定エリアのうち同時進入禁止エリアを設定する。具体例としては、同時進入禁止エリア設定部110は、複数の自律搬送車200が走行する工場内の地図データが予め地図データ記録部160に記録されており、当該地図データに基づいて、交差点エリア等について同時進入禁止エリアを設定する。
【0062】
ステップS120では、管理制御装置100の走行情報取得部120は、複数の自律搬送車200の走行情報を取得する。具体例としては、走行情報取得部120は、工場内を走行する複数の自律搬送車200それぞれについて、位置、進行方向ベクトル及び走行速度等を含む走行情報を取得する。走行情報は、複数の自律搬送車200それぞれの自車情報取得部210が所定期間毎に取得し、同期データとして管理制御装置100に送信している。
【0063】
ステップS130では、管理制御装置100の進入期間算出部130は、同時進入禁止エリアと複数の自律搬送車200の走行情報とに基づいて、複数の自律搬送車200の、同時進入禁止エリアへの進入期間を算出する。具体例としては、進入期間算出部130は、工場内を走行する複数の自律搬送車200それぞれについて、同時進入禁止エリアである交差点エリアA10への進入予定時刻及び交差点エリアA10からの脱出予定時刻を算出する。
【0064】
ステップS140では、管理制御装置100の同時進入判定部140は、ステップS130で算出された進入期間に基づいて、複数の自律搬送車200のうち、少なくとも2以上の自律搬送車200が同時進入禁止エリアに同時に進入している状態になるか否かを判定する。具体例としては、同時進入判定部140は、
図3に示された場面において、自律搬送車200A,200Bの交差点エリアA10に滞在する期間が重複するか否かを判定する。
【0065】
同時進入判定部140が同時に進入している状態になると判定した場合(ステップS140のYes)、ステップS150及びステップS160の処理に進み、複数の自律搬送車200のうち、いずれの自律搬送車200を優先的に走行させるかについて調停処理を実行する。
【0066】
一方、同時進入判定部140が同時に進入している状態にならないと判定した場合(ステップS140のNo)、上記調停処理は実行せずに、複数の自律搬送車200はそのまま走行を継続する。
【0067】
ステップS150及びステップS160では、管理制御装置100の走行指示部150は、少なくとも2以上の自律搬送車200のうち、同時進入禁止エリアからの脱出が最も早い自律搬送車200に進入許可を与え、それ以外の自律搬送車200に同時進入禁止エリア手前での停止指示を与える。
図3に示された場面では、走行指示部150は、交差点エリアA10からの脱出が早い自律搬送車200Aに進入許可を与え、自律搬送車200Bには交差点エリアA10手前での停止指示を与える。
【0068】
その後、進入許可が与えられた自律搬送車200Aが交差点エリアA10から脱出すれば、走行指示部150は、交差点エリアA10の手前で停止していた自律搬送車200Bに進入許可を与える。
【0069】
以上のように、本発明の一実施形態に係る管理制御装置100及び管理制御方法M100によれば、複数の自律搬送車200が交差点エリアA10に差し掛かった場合、交差点エリアA10からの脱出が最も早い自律搬送車200に進入許可を与えて優先的に走行させ、その間、それ以外の自律搬送車200には停止指示を与え、交差点エリアA10の手前で停止させる。そして、進入許可を与えた自律搬送車200が交差点エリアA10を通過した後、それ以外の自律搬送車200を走行させる。これより、複数の自律搬送車200は、交差点エリアA10での衝突を回避しつつ、さらに、交差点エリアA10から早く脱出する自律搬送車を優先的に走行させるため、効率の良い適切な運行を実現することができる。
【0070】
なお、本実施形態では、2台の自律搬送車200A,200Bについて説明したが、交差点エリアA10に差し掛かる自律搬送車200は、2台に限定されるものではなく、3台以上であっても構わない。具体的には、3台の自律搬送車200のうち、最も早く交差点エリアA10を脱出する自律搬送車200に進入許可が与えられ、他の2台の自律搬送車200には、停止指示が与えられる。その後、1台目の自律搬送車200が交差点エリアA10を脱出すれば、他の2台の自律搬送車200のうち、早く交差点エリアA10を脱出する自律搬送車200に進入許可が与えられる。このように、3台以上の自律搬送車の場合であっても、順に、進入許可を与えることにより、交差点エリアA10での衝突を回避しつつ、さらに、交差点エリアA10から早く脱出する自律搬送車200を優先的に走行させるため、効率の良い適切な運行を実現することができる。
【0071】
[異常状態が発生した場合]
次に、管理制御システム10において異常状態が発生した場合の動作について、具体例を示しながら説明する。
【0072】
図5は、交差点エリアA10において自律搬送車200Aが停止している様子を示す図である。
図5に示されるように、自律搬送車200Aに異常が発生し、交差点エリアA10において当該自律搬送車200Aが停止しており、自律搬送車200Bは、交差点エリアA10の手前で停止している状況である。
【0073】
交差点エリアA10において、自律搬送車200A及び自律搬送車200Bに対して調停処理が行われ、自律搬送車200Aに進入許可が与えられ、自律搬送車200Bに停止指示が与えられている場面である。管理制御装置100における異常状態判定部(図示せず)は、進入許可を与えた自律搬送車200Aが、第1所定時間(例えば、数十秒~数分)継続して停止している場合、異常状態であると判定する。ここで、自律搬送車200Aが第1所定時間継続して停止しているか否かは、管理制御装置100における走行情報取得部120によって取得される自律搬送車200Aの位置を含む走行情報(同期データ)に基づいて判定すればよい。
【0074】
異常状態判定部によって自律搬送車200Aが異常状態であると判定されれば、例えば、管理制御装置100からタブレット300に対して異常状態である旨のメッセージを送信し、作業者に通知するようにしても構わない。なお、作業者に通知する手段としては、自律搬送車200A等から警告音を発したり、パトランプ等を点灯させたりしても構わない。このように、作業者に対して異常状態を通知することによって、当該異常状態を解消するように促す。
【0075】
その後、異常状態が解消されれば、例えば、作業者は、タブレット300を用いて異常状態が解消された旨を操作する。その際、自律搬送車200Aが交差点エリアA10から脱出していれば、走行指示部150は、当該交差点エリアA10の手前に停止している自律搬送車200Bに進入許可を与えればよい。
【0076】
なお、交差点エリアA10への進入許可が与えられた自律搬送車200Aが、交差点エリアA10に進入する前に停止する場合も考えられる。この場合、自律搬送車200Aには進入許可が与えられており、自律搬送車200Bには停止指示が与えられているため、交差点エリアA10には、未だ自律搬送車200Aが進入していないにもかかわらず、自律搬送車200Bも交差点エリアA10へ進入することができなくなっている。
【0077】
この場合も同様に、異常状態判定部によって自律搬送車200Aが異常状態であると判定されれば、作業者に異常状態を解消するように促す。その後、異常状態が解消されれば、又は交差点エリアA10に自律搬送車200Aが停止していないことを確認できれば、走行指示部150は、当該交差点エリアA10の手前に停止している自律搬送車200Bに進入許可を与えればよい。
【0078】
また、管理制御装置100と自律搬送車200との間で通信障害が発生した場合について、例えば、第2所定時間(例えば、数十秒~数分)継続して、走行情報取得部120によって自律搬送車200の走行情報(同期データ)が取得できない場合には、異常状態判定部は、異常状態(通信障害)であると判定しても構わない。この場合も同様に、作業者に異常状態を解消するように促す。その後、異常状態が解消し、交差点エリアA10に自律搬送車200Aが停止していないことを確認できれば、走行指示部150は、当該交差点エリアA10の手前に停止している自律搬送車200Bに進入許可を与えればよい。
【0079】
このように、異常状態判定部によって異常状態が発生していると判定された場合、当該異常状態が解消し、交差点エリアA10に自律搬送車200Aが停止していないことが確認された上で、交差点エリアA10の手前に停止している自律搬送車200Bに進入許可を与える。これにより、交差点エリアA10での衝突を回避しつつ、一旦、停止指示が与えられた自律搬送車200Bも交差点エリアA10の手前に停止したままの状態となることを解消することができ、その結果、効率の良い適切な運行を実現することができる。
【0080】
なお、通信障害の場合については、自律搬送車200Aに異常が発生して停止しているものではないため、自律搬送車200Aは、正常に交差点エリアA10を脱出している可能性がある。例えば、走行情報取得部120によって自律搬送車200Aの走行情報(同期データ)が取得できない場合であって、当該自律搬送車200Aが交差点エリアA10を確実に脱出したか否かが判定できない場合であっても、進入期間算出部130によって算出された脱出予定時刻に基づいて、自律搬送車200Aが交差点エリアA10を脱出したと判定するようにしても構わない。その結果、走行指示部150は、当該交差点エリアA10の手前に停止している自律搬送車200Bに進入許可を与えることができ、より効率の良い適切な運行を実現することができる。
【0081】
<他の実施形態>
上述した本発明の一実施形態では、同時進入禁止エリアとして交差点エリアA10を例に挙げて説明したが、同時進入禁止エリアは、これに限定されるものではなく、例えば、正面衝突の可能性のある細い走行路等であっても構わない。
【0082】
図6は、すれ違いが困難である細い走行路周辺が同時進入禁止エリアとして設定された様子を示す図である。
図6に示されるように、細い走行路エリアA20が同時進入禁止エリアとして設定されており、3台の自律搬送車200A,200B,200Cに対して調停処理が実行される。
【0083】
具体的には、3台の自律搬送車200A,200B,200Cについて、細い走行路エリアA20から脱出する脱出予定時刻が自律搬送車200A,200B,200Cの順で早いものとする。この場合、3台の自律搬送車200A,200B,200Cが細い走行路エリアA20に差し掛かった際、自律搬送車200Aに進入許可を与えて優先的に走行させ、自律搬送車200B,200Cには停止指示を与えて細い走行路エリアA20の手前で停止させる。
【0084】
自律搬送車200Aが細い走行路エリアA20から脱出した後、自律搬送車200Bに進入許可を与えて、さらに自律搬送車200Bが細い走行路エリアA20から脱出した後、自律搬送車200Cに進入許可を与えて、順に、細い走行路エリアA20を通過させる。
【0085】
なお、自律搬送車200Aが細い走行路エリアA20から脱出した際に、2台の自律搬送車200B,200Cに対して再度調停処理が実行されても構わない。自律搬送車200Aが細い走行路エリアA20を走行している間に、2台の自律搬送車200B,200Cの位置、走行速度及びバッテリー状態等を含む走行情報が変化する可能性がある。このため、最新の走行情報(同期データ)に基づいて、自律搬送車200B,200Cが細い走行路エリアA20から脱出する脱出予定時刻を算出し、脱出予定時刻の早い方に進入許可を与えるようにしても構わない。
【0086】
図7は、すれ違いが困難である細い走行路の先が行き止まりである袋小路周辺が同時進入禁止エリアとして設定された様子を示す図である。
図7に示されるように、袋小路エリアA30が同時進入禁止エリアとして設定されており、2台の自律搬送車200A,200Bに対して調停処理が実行される。
【0087】
具体的には、2台の自律搬送車200A,200Bのうち、袋小路エリアA30から脱出する脱出予定時刻が早い自律搬送車200Aに進入許可を与えて優先的に走行させ、自律搬送車200Bには停止指示を与えて袋小路エリアA30の手前で停止させる。
【0088】
自律搬送車200Aが袋小路エリアA30から脱出した後、自律搬送車200Bに進入許可を与えて、順に、袋小路エリアA30に進入させる。
【0089】
図8は、すれ違いが困難である細い走行路周辺が同時進入禁止エリアとして設定され、複数の自律搬送車200が当該同時進入禁止エリアを同一方向に走行する様子を示す図である。
図8に示されるように、細い走行路エリアA20が同時進入禁止エリアとして設定されている。
【0090】
この場面では、
図6と同様に、3台の自律搬送車200A,200B,200Cに対して調停処理が実行されるところ、3台の自律搬送車200A,200B,200Cは、細い走行路エリアA20において同一の走行経路(同一の進行方向)である場合、複数の自律搬送車200に進入許可を与えても構わない。
【0091】
細い走行路エリアA20は、同時進入禁止エリアであるが、当該細い走行路エリアA20に進入する自律搬送車200が同一の走行経路である場合には、先の自律搬送車200に後続して衝突せずに走行することが可能である。このため、後続の自律搬送車200には、細い走行路エリアA20手前での停止指示を与えるのではなく、進入許可を与えて、継続して走行させるようにする。
【0092】
なお、同時進入禁止エリアにおいて、複数の自律搬送車200が同一の走行経路であるかについては、例えば、走行情報取得部120が取得する複数の自律搬送車200それぞれの走行情報(同期データ)に含まれる位置及び進行方向ベクトル等に基づいて判定しても構わないし、経路情報生成部220によって生成された目的地点までの走行経路に基づいて判定しても構わない。
【0093】
また、これは、
図8に示されたような細い走行路エリアA20が同時進入禁止エリアとして設定された場合に限定されるものではなく、
図3に示されたような交差点エリアA10が同時進入禁止エリアとして設定された場合等にも適用しても構わない。交差点エリアA10の場合、複数の自律搬送車200が同一方向に直進する場面、及び複数の自律搬送車200が同一方向に右折又は左折する場面等、交差点エリアA10の入口と出口とが共通している場面に適用されればよい。
【0094】
一方、
図7に示されたような袋小路エリアA30では、複数の自律搬送車200が同一の走行経路であったとしても、正面衝突の可能性があれば適用しない。
【0095】
なお、同時進入禁止エリアにおいて、複数の自律搬送車200が同一の走行経路の場合、同時進入禁止エリアがどのような種類であれば、後続の自律搬送車200に、同時進入禁止エリア手前での停止指示を与えずに、進入許可を与えて、継続して走行させるようにするのかについては、同時進入禁止エリア設定部110によって同時進入禁止エリアが設定される際に、同時進入禁止エリアの種類、入口及び出口情報、走行路の距離及び幅等の大きさ等に関する情報を付加して登録し、さらに、後続の自律搬送車200の進入可否を付加して登録しておいても構わない。
【0096】
<その他>
上述した本発明の一実施形態及び他の実施形態では、調停処理において、同時進入禁止エリアを最も早く脱出する自律搬送車200に進入許可を与えていたが、進入許可を与えた後であって、当該同時進入禁止エリアに進入する前に、例えば、当該自律搬送車200の減速、他の自律搬送車200の加速、又は新たな自律搬送車200の出現等が発生する場合がある。この場合、最新の同期データに基づく調停処理において、同時進入禁止エリアを最も早く脱出する自律搬送車200が変化すれば、先に進入許可を与えていた自律搬送車200への進入許可を取り消し、他の自律搬送車200又は新たな自律搬送車200に進入許可を与えるようにしても構わない。
【0097】
上述した本発明の一実施形態及び他の実施形態では、調停処理において、同時進入禁止エリアを最も早く脱出する自律搬送車200に進入許可を与えていたが、仮に、同時進入禁止エリアからの脱出予定時刻が同一となる自律搬送車200が複数存在する場合には、それらの自律搬送車200のうち、例えば、同時進入禁止エリアへの進入予定時刻が最も早い自律搬送車200に進入許可を与えるようにすればよい。
【0098】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0099】
10…管理制御システム、100…管理制御装置、110…同時進入禁止エリア設定部、120…走行情報取得部、130…進入期間算出部、140…同時進入判定部、150…走行指示部、160,240…地図データ記録部、200,200A~200C…自律搬送車、210…自車情報取得部、220…経路情報生成部、230…走行制御部、A10~A30…同時進入禁止エリア、M100…管理制御方法、S110~S160…管理制御方法M100の各ステップ