IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベスパック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-医療用トレイ 図1
  • 特開-医療用トレイ 図2
  • 特開-医療用トレイ 図3
  • 特開-医療用トレイ 図4
  • 特開-医療用トレイ 図5
  • 特開-医療用トレイ 図6
  • 特開-医療用トレイ 図7
  • 特開-医療用トレイ 図8
  • 特開-医療用トレイ 図9
  • 特開-医療用トレイ 図10
  • 特開-医療用トレイ 図11
  • 特開-医療用トレイ 図12
  • 特開-医療用トレイ 図13
  • 特開-医療用トレイ 図14
  • 特開-医療用トレイ 図15
  • 特開-医療用トレイ 図16
  • 特開-医療用トレイ 図17
  • 特開-医療用トレイ 図18
  • 特開-医療用トレイ 図19
  • 特開-医療用トレイ 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166589
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】医療用トレイ
(51)【国際特許分類】
   A61B 50/33 20160101AFI20221026BHJP
【FI】
A61B50/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071899
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】502038989
【氏名又は名称】ベスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115842
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 正則
(72)【発明者】
【氏名】石渡 昌広
(72)【発明者】
【氏名】原 信治
(57)【要約】
【課題】跳ね出し防止部材が別々になるという煩雑さがなく、ワイヤ状部材を収容しない場合であっても、跳ね出し防止部材が邪魔にならない医療用トレイを提供することにある。
【解決手段】本発明に係る医療用トレイ1は、トレイ1と跳ね出し防止部材4が一体化されていることにより、部材が別々になるという煩雑さがなくなるとともに、部材点数の減少を図ることができる。また、跳ね出し防止部材4が内側に折り曲げて固定されることにより、跳ね出し防止部材4が開口13の両側を確実に塞ぐことができ、巻回された状態で収容されているカテーテルやガイドワイヤ等のワイヤ状部材の跳ね出しを防止することができる。加えて、跳ね出し防止部材4が外側に折り曲げて固定されることにより、医療用トレイ1にかかるワイヤ状部材を収容しない場合に、跳ね出し防止部材4が外側に張り出して邪魔になる問題を解消することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状をなす底面部と、
当該底面部の4辺から上方にせり上がる側壁部と、
当該側壁部の頂部により形成される開口と、を備える医療用トレイであって、
前記側壁部の頂部には前記開口の外方に延びるフランジが形成されており、
当該フランジの向かい合う2組の辺のうち少なくとも1組には、折り曲げ可能なヒンジからなる連結部を介して、板状の跳ね出し防止部材が、前記フランジの横方向からさらに延びて、外方に張り出すように形成され、
当該跳ね出し防止部材は、前記連結部を介して内側及び外側に折り曲げた際に固定可能な構造とされていることを特徴とする医療用トレイ。
【請求項2】
前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材が前記フランジ及び前記側壁部の内面のうち選ばれる少なくとも1種に固定される構造であり、
前記跳ね出し防止部材を外側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材が前記側壁部の外面に固定される構造であることを特徴とする請求項1に記載の医療用トレイ。
【請求項3】
前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材における前記フランジと対面する面に形成された嵌合部と、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に、前記側壁部の内面の対応する部分に形成された嵌合部が嵌合する構造を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医療用トレイ。
【請求項4】
前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材における前記フランジと対面する面の両端に形成された嵌合部と、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に、前記側壁部の内面の両端の対応する部分に形成された嵌合部が嵌合する構造を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の医療用トレイ。
【請求項5】
前記フランジの向かい合う2組のうち少なくとも1組には連続した突起が形成され、
前記跳ね出し防止部材における前記フランジと対面する面には、当該跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に前記連続した突起に組み合わされる連続した窪みが形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の医療用トレイ。
【請求項6】
前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材に形成された前記連続した窪みの内部に形成された嵌合部と、前記跳ね出し防止部材が内側に折り曲げられた際に、前記側壁部の内面における対応する部分に形成される嵌合部が嵌合される構造を含むことを特徴とする請求項5に記載の医療用トレイ。
【請求項7】
前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材の前記連続した窪みの内部の両端に形成された嵌合部及び前記跳ね出し防止部材の両端と、
前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に、前記跳ね出し防止部材が形成された向かい合う1組の辺と異なる1組の辺の前記フランジにおける前記跳ね出し防止部材の両端に対応する部分に形成された嵌合部が嵌合される構造を含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の医療用トレイ。
【請求項8】
前記跳ね出し防止部材を外側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材の前記側壁部と対面する面に形成された嵌合部と、前記跳ね出し防止部材が外側に折り曲げられた際に、前記側壁部の外面の対応する部分に形成された嵌合部が嵌合される構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の医療用トレイ。
【請求項9】
前記跳ね出し防止部材を外側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材の縁辺部と、前記跳ね出し防止部材が外側に折り曲げられた際に、前記側壁部の外面の対応する部分に形成された嵌合部が嵌合される構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の医療用トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用トレイに関する。さらに詳しくは、例えば、カテーテルやガイドワイヤ等の長尺で弾性を有するワイヤ状部材等の医療器具を収容することが可能な医療用トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場では様々な医療行為が行なわれている。例えば、カテーテルと呼ばれるチューブが血管に導入され、造影剤を注入してレントゲンを撮影したり、そのカテーテルを利用して薬剤を患部に注入したり、あるいは、ガイドワイヤの先のバルーンで血管の狭窄部分を拡張する等の行為が行われている。また、カテーテル検査を行なう場合には、まず、ガイドワイヤが血管に導入され、このガイドワイヤに沿ってカテーテルチューブが患者の血管に導入される。
【0003】
医療行為に用いられる医療器具については、施術前に生理食塩水等のプライミング液に浸漬させる等の目的で、医療用トレイが使用される(例えば、特許文献1や特許文献2棟を参照。)。かかる医療用トレイは滅菌処理がされているため、手術中に種々の器具を置く際にも使用される。また、検査中においては、カテーテル(カテーテルチューブ)、ガイドワイヤ等のワイヤ状部材は、生理食塩水が満たされた医療用トレイの内部に浸漬されることになる。
【0004】
図20は、従来の医療用トレイ100の一例を示す斜視図である。かかる医療用トレイ100は、略矩形形状の底面部101と、この底面部101を四方から取囲む側壁部102と、この側壁部102の上端部に配設される、側方に張出すフランジ103からなる構成が一般的である。
【0005】
かかる従来の医療用トレイ100は、血管造影検査等に使用される図示しないカテーテル(カテーテルチューブ)やガイドワイヤ等のワイヤ状部材を、検査までの間一時的に洗浄したり、ガイドワイヤ等がスムーズにカテーテル内を動くように、医療用トレイ100の内部に生理食塩水を充填した状態にして、ワイヤ状部材を浸漬させておくために用いられる。
【0006】
カテーテルやガイドワイヤ等のワイヤ状部材は、全長が長いため、巻回した状態で収容される。一方、巻回されたワイヤ状部材は、その弾性力により医療用トレイ100から勢いよく跳ね出ようとする。この場合において、ワイヤ状部材の跳ね出し等を防止するために、図20に示すように医療用トレイ100のフランジ103に板状の跳ね出し防止部材104,105が取り付けられるのが一般的である。
【0007】
跳ね出し防止部材104,105は、例えば、底面に形成された突起106をフランジ103に形成された穴107に嵌め込むことによりフランジ103に取り付けることができる(図20では、跳ね出し防止部材104が取り外され、跳ね出し防止部材105が取り付けられた状態を示している。)。また、かかる板状の跳ね出し防止部材104,105は、医療用トレイ100の開口108の内側に突出するように設けられることで、ワイヤ状部材の跳ね出し等を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3211413号公報
【特許文献2】特開2020-514000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記した従来の医療用トレイは、板状の跳ね出し防止部材が独立分離しており、取り扱いが煩雑となるという問題があった。また、跳ね出し防止部材は、使用しない場合は邪魔になるという問題もあり、改善が望まれていた。
【0010】
本発明は前記のような問題を解決するためになされたものであり、巻回された状態で収容されているワイヤ状部材の跳ね出しを防止する、跳ね出し防止部材を備えた医療用トレイであって、跳ね出し防止部材が別々になるという煩雑さがなく、ワイヤ状部材を収容しない場合であっても、跳ね出し防止部材が邪魔にならない医療用トレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、本発明に係る医療用トレイは、
略矩形状をなす底面部と、
当該底面部の4辺から上方にせり上がる側壁部と、
当該側壁部の頂部により形成される開口と、を備える医療用トレイであって、
前記側壁部の頂部には前記開口の外方に延びるフランジが形成されており、
当該フランジの向かい合う2組の辺のうち少なくとも1組には、折り曲げ可能なヒンジからなる連結部を介して、板状の跳ね出し防止部材が、前記フランジの横方向からさらに延びて、外方に張り出すように形成され、
当該跳ね出し防止部材は、前記連結部を介して内側及び外側に折り曲げた際に固定可能な構造とされていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る医療用トレイは、前記した本発明において、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材が前記フランジ及び前記側壁部の内面のうち選ばれる少なくとも1種に固定される構造であり、前記跳ね出し防止部材を外側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材が前記側壁部の外面に固定される構造であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る医療用トレイは、前記した本発明において、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材における前記フランジと対面する面に形成された嵌合部と、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に、前記側壁部の内面の対応する部分に形成された嵌合部が嵌合する構造を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る医療用トレイは、前記した本発明において、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材における前記フランジと対面する面の両端に形成された嵌合部と、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に、前記側壁部の内面の両端の対応する部分に形成された嵌合部が嵌合する構造を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る医療用トレイは、前記した本発明において、前記フランジの向かい合う2組のうち少なくとも1組には連続した突起が形成され、前記跳ね出し防止部材における前記フランジと対面する面には、当該跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に前記連続した突起に組み合わされる連続した窪みが形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る医療用トレイは、前記した本発明において、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材に形成された前記連続した窪みの内部に形成された嵌合部と、前記跳ね出し防止部材が内側に折り曲げられた際に、前記側壁部の内面における対応する部分に形成される嵌合部が嵌合される構造を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る医療用トレイは、前記した本発明において、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材の前記連続した窪みの内部の両端に形成された嵌合部及び前記跳ね出し防止部材の両端と、前記跳ね出し防止部材を内側に折り曲げた際に、前記跳ね出し防止部材が形成された向かい合う1組の辺と異なる1組の辺の前記フランジにおける前記跳ね出し防止部材の両端に対応する部分に形成された嵌合部が嵌合される構造を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る医療用トレイは、前記した本発明において、前記跳ね出し防止部材を外側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材の前記側壁部と対面する面に形成された嵌合部と、前記跳ね出し防止部材が外側に折り曲げられた際に、前記側壁部の外面の対応する部分に形成された嵌合部が嵌合される構造であることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る医療用トレイは、前記した本発明において、前記跳ね出し防止部材を外側に折り曲げた際に固定可能な構造が、前記跳ね出し防止部材の縁辺部と、前記跳ね出し防止部材が外側に折り曲げられた際に、前記側壁部の外面の対応する部分に形成された嵌合部が嵌合される構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る医療用トレイは、開口の外方に延びるフランジのうち向かい合う2組のうち少なくとも1組に、連結部を介して板状の跳ね出し防止部材が、外方に張り出すように形成されている。また、かかる跳ね出し防止部材は、連結部を介して内側及び外側に折り曲げた際に、医療用トレイの構成部材に固定可能な構造とされている。
【0021】
本発明は、このように、医療用トレイと跳ね出し防止部材が一体化されていることにより、部材が別々になるという煩雑さがなくなるとともに、部材点数の減少を図ることができる。また、跳ね出し防止部材が内側に折り曲げて固定されることにより、跳ね出し防止部材が開口の両側を確実に塞ぐことができ、巻回された状態で収容されているカテーテルやガイドワイヤ等のワイヤ状部材の跳ね出しを防止することができる。加えて、跳ね出し防止部材が外側に折り曲げて固定されることにより、医療用トレイにかかるワイヤ状部材を収容しない場合に、跳ね出し防止部材が外側に張り出して邪魔になる問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る医療用トレイの一態様を示した斜視図である。
図2】本発明に係る医療用トレイの一態様を示した斜視図である。
図3】本発明に係る医療用トレイの一態様を示した斜視図である。
図4】本発明に係る医療用トレイの一態様を示した平面図である。
図5】本発明に係る医療用トレイの一態様を示した平面図である。
図6図4のA-A断面図である。
図7】医療用トレイの部分拡大図である。
図8】医療用トレイの部分拡大図である。
図9図4のB-B断面図である。
図10】跳ね出し防止部材の両端付近の部分拡大図である。
図11図10の一部を切断した図である。
図12図4のC-C断面図である。
図13】フランジに形成された凹部付近の部分拡大図である。
図14図4のD-D断面図である
図15】医療用トレイの側面図である。
図16】医療用トレイの側壁部周辺の部分拡大図である。
図17図5のE-E断面図である
図18】跳ね出し防止部材の縁辺部を側壁部の食い込む凹部に固定させた状態を示した図である。
図19図17の別の態様であって、図18の固定状態を示した断面図である。
図20】従来の医療用トレイの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(A)医療用トレイ1の構成について:
以下、本発明に係る医療用トレイ1の一態様について、図面を用いて説明する。
【0024】
図1ないし図3は、本発明に係る医療用トレイ1(以下、単に「トレイ1」とする場合もある。)の一態様を示した斜視図である。このうち、図1は、跳ね出し防止部材4が固定されていない状態、図2は、跳ね出し防止部材4を内側(医療用トレイ1の開口13側)に曲げて固定した状態、図3は、跳ね出し防止部材4を外側(医療用トレイ1の開口13と反対側(側壁部12側))に曲げて固定した状態、をそれぞれ示す。
【0025】
また、図4及び図5は、本発明に係る医療用トレイ1の一態様を示した平面図である。このうち、図4は、跳ね出し防止部材4を内側(医療用トレイ1の開口13側)に曲げて固定した状態、図5は、跳ね出し防止部材4を外側(医療用トレイ1の開口13と反対側(側壁部12側))に曲げて固定した状態、をそれぞれ示す。なお、図面においては、符号に対応する部材等が複数存在する場合には、その一部にのみ符号を付している場合もある。また、図1図3にあっては、後記するリブRBに符号はつけていない。
【0026】
図1等に示した本発明に係る医療用トレイ1は、図示しないカテーテルやガイドワイヤ等のワイヤ状部材をトレイ1の内部に収容するために用いられ、略矩形状をなす底面部11と、当該底面部11の4辺から上方にせり上がる側壁部12と、当該側壁部12の頂部により形成される開口13と、を備え、前記側壁部12の頂部には前記開口13の外方に延びるフランジ2が形成されており、当該フランジ2の向かい合う2組の辺のうち少なくとも1組(本実施形態にあっては向かい合う1組の長辺)には、折り曲げ可能なヒンジからなる連結部3を介して、板状の跳ね出し防止部材4が、前記フランジ2の横方向からさらに延びて、外方に張り出すように形成され、当該跳ね出し防止部材4は、前記連結部3を介して内側及び外側に折り曲げた際に、医療用トレイ1(の構成部材)に固定可能な構造とされている。
【0027】
なお、本発明にあって、「上方」とは、底面部11(あるいは開口13)から上側に向かう方向、「下方」とは、上方とは反対の方向(例えば、開口13から底面部11へ向かう方向等。)、をそれぞれ指す。
【0028】
同様に、「外方」とは、医療用トレイ1の開口13からフランジ2、跳ね出し防止部材4に向かう方向、「内方」とは、医療用トレイ1のフランジ2や跳ね出し防止部材4から開口13に向かう方向(跳ね出し防止部材4からフランジに向かう方向も含む。)、をそれぞれ指す(なお、これらの方向については、図1等に示した矢印方向も参照。また、外方と内方の矢印方向については、医療用トレイ1の開口13から、図1等における手前(右側)のフランジ2、跳ね出し防止部材4を「外方」、かかるフランジ2等から医療用トレイ1の開口13に向かう方向等を「内方」としている。)。
【0029】
図1等に示すように、医療用トレイ1を構成する略矩形状の底面部11は、向かい合う1組の長辺と1組の短辺(計2組)を有する4辺形(略長方形)であり、本実施形態にあっては、4隅がそれぞれ略斜め上方に向かって起立しており、隣接する2枚の側壁部12を連結する略三角形状の隅部12bが形成されている。
【0030】
底面部11には、長辺及び短辺に沿った、上方に向かう直線状の隆起構造(連続した凸部)となるリブ(底面部11のリブ)RBが複数本形成されており、長辺に沿って形成されるリブRBと短辺に沿って形成されるリブRBで格子模様を形成している。
【0031】
また、隆起構造(連続した凸部)となるリブRBが形成されることにより、リブRBの間やリブRBで取り囲まれる領域には複数の凹部が形成される。かかる連続した凸部と凹部による凸凹の形成により、底面部11の剛性が高められる。
【0032】
底面部11の4辺(1組の長辺と1組の短辺)からは上方にせり上がる側壁部12が立設して形成されている。また、側壁部12には、外方に向かって、隆起構造であるリブ(側壁部のリブRW)が形成されている。
【0033】
4枚の側壁部12の頂部(上端部)により、医療用トレイ1には略矩形状の開口13が形成される。かかる開口13から、図示しないガイドワイヤやカテーテルチューブが医療用トレイの内部1に収容、保持されることになる。
【0034】
4枚の側壁部12の頂部(上端部)には、側壁部12から横方向に延び、開口13から外方に延びて張り出すように、フランジ2が側壁部12と一体になって形成されている。なお、本実施形態において、4枚の側壁部12の頂部に形成されるフランジ2は、向かい合う1組の辺(1組の長辺、1組の短辺)について、対称形状であることを除けば共通した形状とされている。
【0035】
フランジ2のうち、矩形状の底面部11及び開口13の長辺に対応する向かい合う1組に形成されるフランジ2(フランジ2L。なお、短辺に対応する向かい合う1組に形成されるフランジ2をフランジ2Sとする。)には、折り曲げ可能なヒンジからなる連結部3を介して、板状の跳ね出し防止部材4が、フランジ2の横方向からさらに延びて、外方に張り出すように形成されている。なお、本実施形態において、跳ね出し防止部材4も、向かい合う1組の辺(1組の長辺)について、対称形状であることを除いて共通した形状とされている。
【0036】
板状の跳ね出し防止部材4は、ヒンジとなる連結部3を介して、内側(開口13側)及び外側(側壁部12の外側)に折り曲げ可能であり、内側及び外側に折り曲げた際に、医療用トレイ1の構成部材に対して固定可能な構造とされている。跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げて、医療用トレイ1の構成部材である側壁部12の内面やフランジ2に固定された場合は、フランジ2Lに重なるとともに、フランジ2から内方に張り出して開口13の両側(フランジ2Lの内側)を塞ぐことが可能となる。このように、板状の跳ね出し防止部材4が開口13の両側を塞ぐことで、巻回された状態で収容されている図示しないカテーテルやガイドワイヤ等のワイヤ状部材の跳ね出しを防止することができる。
【0037】
(B)跳ね出し防止部材4の固定(跳ね出し防止部材4の医療用トレイ1(の構成部材)への固定):
フランジ2には、連続した突起21が、フランジ2の全体を覆うように形成されており、本実施形態にあっては、向かい合う1組の長辺のフランジ2Lのほか、向かい合う1組の短辺のフランジ2Sにも連続した突起21が形成されている。
【0038】
また、跳ね出し部材4を内側に折り曲げて固定するに際して、向かい合う1組の長辺に形成されるかかる連続した突起21が、跳ね出し防止部材4におけるフランジ2と対面する面(上面)に形成された、連続した窪み41と組み合わされて位置決め等がなされるとともに、後記する構造により、跳ね出し防止部材4と側壁部12等が嵌め合う(嵌合する)ことにより固定される。
【0039】
連続した突起21及び連続した窪み41は、本実施形態にあっては、開口13の矩形形状の4隅にあたる部分(跳ね出し防止部材4にあっては両端)が、医療用トレイ1の形状に合わせてアーチ状とされて隅(角)が丸くされている態様を示している。連続した突起21は、フランジ2の1組の長辺(及び短辺)に沿って形成されている。なお、本発明における「連続した突起21」あるいは「連続した窪み41」は、長辺(連続した突起21については、短辺も含む。)方向に沿って連続して形成されていることを意味するが、完全に連続している必要はなく、途中の一部が連続していない(途切れている)ものも含むものとする。
【0040】
本発明における「嵌合」とは、いわゆる凸部(ないしは突起等。)と凹部(ないしは窪み等。)が組み合わさって固定状態(取り外し可能であることを前提に、多少の力では外れない、動かない状態を指す。以下同じ。)とされる場合のほか、板形状の部材等の所定の部材が凹部(ないしは窪み等。)が組み合わさって(例えば、板形状の部材の両端(端部)が凹部等に引っかけられて固定状態となる等。)固定状態とされることも含む概念である。また、これらの部分(凸部(ないしは突起等。)と凹部(ないしは窪み等。))や所定の部材と凹部(ないしは窪み等。)を総称して嵌合部とすることもある。
【0041】
板状の跳ね出し防止部材4には、前記した連続した窪み41の内部に、平面視で4箇所の凸部42が形成されている。一方、フランジ2に形成された連続した突起21における対応する部分には、平面視で4箇所の凹部22が形成されており、かかる凸部42と凹部22は、跳ね出し防止部材4が内側に折り曲げられた際に組み合わされて位置決め等がなされることになる。図6は、図4のA-A断面図である。
【0042】
なお、本発明における「対応する部分」とは、例えば、跳ね出し防止部材4に形成された所定の部分に対して、跳ね出し防止部材4を内側あるいは外側に折り曲げて固定しようとした際における、前記した所定の部分が対面する部分(対面してして接触する部分)を指すものとする。
【0043】
また、図1等にも示すように、板状の跳ね出し防止部材4における、前記した連続した窪み41の内部には、前記した凸部42とは反対側に、3箇所の凸部43が形成されている。加えて、かかる3箇所の凸部43における内側に向かう面には、嵌合部となる突起43aがそれぞれ形成されている。一方、医療用トレイ1の側壁部12の内面(ワイヤ状部材を収容する空間と対面する面のこと。)には、嵌合部となる窪み121が形成されている。
【0044】
図7及び図8は、医療用トレイ1の部分拡大図である。なお、図7は、跳ね出し防止部材4が固定されない状態における、跳ね出し防止部材4及びフランジ2付近の部分拡大図、図8は、跳ね出し防止部材4及び側壁部12の一部を切断し、フランジ2及び側壁部12の内面(窪み121の断面含む。)をわかりやすくした部分断面図である。図7及び図8に示すように、医療用トレイ1の側壁部12の内面には、嵌合部となる窪み121が形成されており、前記した突起43aは、跳ね出し防止部材4が内側に折り曲げられた際に、側壁部12の内面における対応する部分に形成される窪み121と嵌合することができる構造とされている。
【0045】
図9は、図4のB-B断面図である。図9に示すように、跳ね出し防止部材4の連続した窪み41の内部に形成された凸部43の内側に向かう面に形成された突起43aは、跳ね出し防止部材4が内側に折り曲げられた際に、側壁部12の内面における対応する部分に形成される窪み121と嵌合され、跳ね出し防止部材4が内側(側壁部12の内面)に固定されることになる。
【0046】
次に、図10は、跳ね出し防止部材4の両端付近の部分拡大図、図11は、図10の一部を切断した図である。図10及び図11、並びに前記した図1等にも示すように、板状の跳ね出し防止部材4におけるフランジ2と対面する面の両端には、嵌合部となる、平面視で略アーチ形状(略弧形状)の突起44が形成されている。かかる突起44は、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げた際に、側壁部12の内面の両端における対応する部分に形成された、嵌合部となるスロープ状の窪み122(例えば、図1図3等を参照。)に嵌合することができる構造とされている。なお、本発明における「両端」は、両端(両方の端(はじ))自体(の部分、部材)に加え、その付近(の部分、部材)も含むものである(両端及びその付近(の部分、部材)と解釈する。)。
【0047】
図12は、図4のC-C断面図である。図12に示すように、跳ね出し防止部材4におけるフランジ2と対面する面の両端に形成された略アーチ形状の突起44は、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げた際に、側壁部12の内面の両端に形成されたスロープ状の窪み122に嵌合することにより、跳ね出し防止部材4が内側(側壁部12の内面)に固定されることになる。
【0048】
さらに、図10及び図11、並びに前記した図1等にも示すように、跳ね出し防止部材4に形成された連続した窪み41の内部の両端には、嵌合部となる突起45が形成されており(図1参照。)、また、跳ね出し防止部材4の両端には、外側にさらに張り出す部分となる、板状の耳部46が嵌合部として形成されている。
【0049】
一方、図1図5や、前記した図10にも示すように、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げた際に、跳ね出し防止部材4が形成された向かい合う1組の辺(長辺)と異なる1組の辺(短辺)となる、医療用トレイ1の1組の短辺方向のフランジ2(フランジ2S)には、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げた際の、かかる耳部46に対応する部分に、嵌合部を内部に形成する凹部23が形成されており、耳部46は、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げた際に対応する部分となる、かかる凹部23に収まることになる。
【0050】
図13は、フランジ2に形成された凹部23付近の部分拡大図である。図13にもあわせて示すように、フランジ2(フランジ2S)に形成された凹部23の内部(両壁)には、前記した突起45に対応する部分であり、耳部46が入り込む部分に嵌合部となる窪み23a(後記する図14にも示すように、突起45が入り込む部分である窪み23aの上部が飛び出して、相対的に窪み23aが引っ込んでいる。)と、耳部46の先端に対応する部分には、さらに内側に向かう窪み23bが嵌合部として形成されている。
【0051】
このような構造により、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げることにより、1組の短辺方向のフランジ2Sに形成された凹部23に、跳ね出し防止部材4の両端に形成された板状の耳部46を収めた場合には、突起45及び耳部46の先端が、かかる凹部23の内部で固定されることになる。
【0052】
図14は、図4のD-D断面図である。図14に示すように、跳ね出し防止部材4の両端に形成される板状の耳部46は、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げ、耳部46が短辺方向のフランジ2に形成された凹部23に収まる際に、跳ね出し防止部材4の連続した窪み41の内部の両端に形成された突起45が、凹部23の内部に形成された窪み23aと嵌合して固定され、また、板状の耳部46の先端も、凹部23の内部の窪み23bに引っかかって嵌合することにより、耳部46が凹部23の内部で固定されることになる。このようにして、跳ね出し防止部材4が内側(フランジ2の凹部23)に固定されることになる。
【0053】
本実施形態の医療用トレイ1は、以上のような構造(特に、図9図12及び図14に断面図を示した嵌合構造。)により、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げた際に、かかる跳ね出し防止部材4を医療用トレイ1の構成部材である側壁部12(の内面)やフランジ2に効率よく固定することができる。また、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げて固定することにより、跳ね出し防止部材4が開口13の両側を確実に塞ぐことができ、巻回された状態で収容されているカテーテルやガイドワイヤ等のワイヤ状部材の跳ね出しを防止することができる。
【0054】
ここで、板状の跳ね出し防止部材4は、医療用トレイ1にワイヤ状部材を収容しない際には、内側に折り曲げる必要はない。一方、図1図4に示したように、跳ね出し防止部材4が固定されずに(跳ね出し防止部材4が医療用トレイ1の構成部材に固定されずに)外側に張り出した状態のままでは邪魔になってしまうという問題がある。よって、本発明にあっては、跳ね出し防止部材4を外側に折り曲げて、外側(側壁部12の外面)に固定できるような構造としている。
【0055】
図15は、医療用トレイ1の側面図、図16は、医療用1トレイの側壁部12周辺の部分拡大図である。なお、図15では、跳ね出し防止部材4が固定されていない状態、図16では、跳ね出し防止部材4の一部を切断した状態、をそれぞれ示している。図15及び図16に示すように、跳ね出し防止部材4が配設される医療用トレイ1の側壁部12の外面には、嵌合部となる、医療用トレイ1の内側に食い込む凹部123が形成されている。
【0056】
また、図15に加え、図2図4等に示すように、跳ね出し防止部材4の下面の対応する部分には、嵌合部となる張り出した凸部47が形成されており、跳ね出し防止部材4を外側に折り曲げた際には、かかる凸部47が、側壁部12の外側に形成された凹部123と嵌合する構造とされている。
【0057】
図17は、図5のE-E断面図である。図17に示すように、板状の跳ね出し防止部材4の下面(側壁部12と対向する面)に形成された張り出した凸部47は、跳ね出し防止部材4が外側に折り曲げられた際に、医療用トレイ1の側壁部12の外面(内面と反対の面(外から見える面)のこと。)の対応する部分に形成された凹部123に嵌合され、跳ね出し防止部材4が外側(側壁部12の外面)に固定されることになる。
【0058】
本実施形態の医療用トレイ1は、以上のような構造により、跳ね出し防止部材4を外側に折り曲げた際に、かかる跳ね出し防止部材4を医療用トレイ1の構成部材である側壁部12の外面に効率よく固定することができる。また、跳ね出し防止部材4が外側に折り曲げて固定されることにより、医療用トレイ1にワイヤ状部材を収容しない場合に、跳ね出し防止部材4が外側に張り出して邪魔になる問題を解消することができる。
【0059】
なお、図9図12図14及び図17に断面図を示した嵌合構造における、嵌合構造を形成するための凸部(あるいは突起)や、凹部(あるいは突起)の形状は、特に制限はなく、凸部(突起)と凹部(突起)が組み合わさって固定状態(前記)とすることが可能な任意の形状を採用することができる。例えば、前記の断面図に示すような、断面が略鋭角形状や略上嘴形状等の形状等が挙げられる(図17等参照。)。
【0060】
また、図14等に示す嵌合構造のような、部材(板形状)を固定するための凹部(窪み)の形状についても、部材が引っかかって固定状態(前記)とすることが可能な任意の形状を採用することができ、例えば、図14の窪み23bのような、上方に張り出す部分を形成して、引っ込んだ部分(窪み23b)を形成すれば、板形状のものが窪み23bに入ると簡単には外すことができず、固定状態が簡便に維持されることになる。なお、嵌合状態(固定状態)は、形状に加えて、後記する医療用トレイ1の後記する構成材料(熱可塑性樹脂等)等の剛性等を利用して、嵌め込みや引っ掛け等を好適に呈するようにすればよい。
【0061】
本発明の医療用トレイ1は、例えば、成形加工性、汎用性、コスト等に優れるポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂等が使用できる。また、医療用トレイ1は、かかる熱可塑性樹脂に顔料等を添加して、着色したトレイとするようにしてもよい。また、前記した熱可塑性樹脂等には、フィラー等を添加するようにしてもよい。
【0062】
本発明の医療用トレイ1は、前記したポリプロピレン等で形成された所望の厚さの図示しないシートを、例えば、真空成形等の従来公知の成形方法を用いることにより、簡便に製造することができる。
【0063】
医療用トレイ1の厚さは、前記した図示しないシートの厚さに依存するが、医療用トレイとしての強度等を有するものであれば特に制限はなく、例えば、0.3~3.0mmとすることが好ましく、0.8~1.5mmとすることが特に好ましい。
【0064】
(C)本発明の効果:
以上説明したように、本発明に係る医療用トレイ1は、開口13の外方に延びるフランジ2のうち向かい合う2組のうち少なくとも1組(フランジ2L)に、連結部3を介して板状の跳ね出し防止部材4が、外方に張り出すように形成されている。また、かかる跳ね出し防止部材4は、連結部3を介して内側及び外側に折り曲げた際に、医療用トレイ1の構成部材に固定可能な構造とされている。
【0065】
本発明は、このように、医療用トレイ1と跳ね出し防止部材4が一体化されていることにより、部材が別々になるという煩雑さがなくなるとともに、部材点数の減少を図ることができる。また、跳ね出し防止部材4が内側に折り曲げて固定されることにより、跳ね出し防止部材4が開口13の両側を確実に塞ぐことができ、巻回された状態で収容されているカテーテルやガイドワイヤ等のワイヤ状部材の跳ね出しを防止することができる。加えて、跳ね出し防止部材4が外側に折り曲げて固定されることにより、医療用トレイ1にかかるワイヤ状部材を収容しない場合に、跳ね出し防止部材4が外側に張り出して邪魔になる問題を解消することができる。
【0066】
(D)実施形態の変形:
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0067】
例えば、前記した実施形態では、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げた際に固定可能な構造として、跳ね出し防止部材4が医療用トレイ1の構成部材である側壁部12やフランジ2に固定される構造とし、側壁部12等と跳ね出し防止部材4の所定の箇所に嵌合部(所定の凸部及び凹部、突起や窪み等。)を形成し、これらが嵌合等する構造を、断面構造として図9図12及び図14等を挙げて説明した。一方、跳ね出し防止部材4が側壁部12やフランジ2に固定される構造としては、図9等に挙げた構造には限定されず、跳ね出し防止部材4を内側に折り曲げた際に医療用トレイ1の構成部材に固定可能な任意の構造を使用することができる。
【0068】
同様に、前記した実施形態では、跳ね出し防止部材4を外側に折り曲げた際に固定可能な構造として、跳ね出し防止部材4が医療用トレイ1の構成部材である側壁部12の外面に固定される構造とし、側壁部12及び跳ね出し防止部材4の所定の箇所に嵌合部となる張り出した凸部47及び凹部123を形成し、これらが嵌合等する構造等を、図15図17等を挙げて説明した。一方、跳ね出し防止部材4が側壁部12に固定される構造としては、かかる構造には限定されず、跳ね出し防止部材4を外側に折り曲げた際に医療用トレイ1の構成部材に固定可能な任意の構造を使用することができる。
【0069】
跳ね出し防止部材4が医療用トレイ1の構成部材である側壁部12の外面に固定される構造として、例えば、後記する図18及び図19に示す構造のような、医療用トレイ1の側壁部12の外側に形成された凹部123に、板状の跳ね出し防止部材4の長手方向の縁に連なる辺から形成される縁辺部48(図1等参照。)を引っかけて嵌合させるようにしてもよい。
なお、前記した実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0070】
図18は、跳ね出し防止部材4の縁辺部48を側壁部12の食い込む凹部123に固定させた状態を示した図、図19は、図17の別の態様であって、図18の固定状態を示した断面図である。図18及び図19に示す固定構造は、側壁部12の構造を前記した実施形態と共通として、跳ね出し防止部材4が外側に折り曲げられた際に、板状の跳ね出し防止部材4の長手方向(跳ね出し防止部材4が形成される辺方向(長辺方向)と平行な方向)の縁に連なる辺から形成される縁辺部48を、医療用トレイ1の側壁部12の外面の対応する部分に形成された凹部123(前記した実施形態では、凹部123は、張り出した凸部47を嵌合させた部分として説明した。)に引っかけて嵌合することができ、これにより、跳ね出し防止部材4が外側(側壁部12の外面)に固定されることになる。
【0071】
本実施形態の医療用トレイ1は、以上のような構造により、跳ね出し防止部材4を外側に折り曲げた際に、かかる跳ね出し防止部材4を医療用トレイ1の構成部材である側壁部12の外面に効率よく固定することができる。また、跳ね出し防止部材4が外側に折り曲げて固定されることにより、医療用トレイ1にワイヤ状部材を収容しない場合に、跳ね出し防止部材4が外側に張り出して邪魔になる問題を解消することができる。
【0072】
また、前記した実施形態では、底面部11及び側壁部12等に剛性を高める等の目的で所定形状のリブRB,RWを形成した態様を説明したが、リブRB,RWの形状や形成する箇所、本数等は前記した実施形態に限定されず、任意に決定することができる。また、不要と考える場合には、リブRB,RWを形成しないようにしてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、内部に巻回された状態で収容されるカテーテルやガイドワイヤ等のワイヤ状部材の跳ね出しを防止することができる医療用トレイを簡便に提供する手段として有利に利用することができ、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0074】
1 医療用トレイ
11 底面部
RB 底面部のリブ
12 側壁部
RW 側壁部のリブ
12b 隅部
121 窪み
122 スロープ状の窪み
123 食い込む凹部
13 開口
2 フランジ
2L フランジ(長辺)
2S フランジ(短辺)
21 連続した突起
22 凹部
23 凹部
23a 窪み
23b 窪み
3 連結部
4 跳ね出し防止部材
41 連続した窪み
42 凸部
43 凸部
43a 突起
44 略アーチ形状の突起
45 突起
46 板状の耳部
47 張り出した凸部
48 縁辺部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20