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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166597
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】入力検出システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221026BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/044 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071916
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿木 雄飛
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝明
(72)【発明者】
【氏名】林 真人
(57)【要約】
【課題】外部からノイズが侵入した場合に、誤検出を抑制することができる入力検出システムを提供する。
【解決手段】入力検出システムは、検出領域に配列された複数のセンサ電極を含む検出装置と、LC回路と、LC回路の一端側に接続された第1電極と、LC回路の他端側に接続された第2電極と、を含む入力支援装置と、複数のセンサ電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、複数のセンサ電極に接続される調整回路と、を含む制御回路と、を有し、調整回路は、センサ電極と、センサ電極と対向する第1電極又は第2電極との間の容量に付加される回路定数を調整する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域に配列された複数のセンサ電極を含む検出装置と、
LC回路と、前記LC回路の一端側に接続された第1電極と、前記LC回路の他端側に接続された第2電極と、を含む入力支援装置と、
複数の前記センサ電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、複数の前記センサ電極に接続される調整回路と、を含む制御回路と、を有し、
前記調整回路は、前記センサ電極と、前記センサ電極と対向する前記第1電極又は前記第2電極との間の容量に付加される回路定数を調整する
入力検出システム。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第2電極の一方に対応する前記センサ電極に基準電位が接続され、
前記第1電極及び前記第2電極の他方に対応する前記センサ電極に前記駆動信号供給回路から駆動信号が供給され、
前記調整回路は、前記センサ電極と前記基準電位との間、及び、前記センサ電極と前記駆動信号供給回路との間の少なくとも一方の回路定数を調整する
請求項1に記載の入力検出システム。
【請求項3】
外部からのノイズの周波数を検出する演算回路と、
前記ノイズの周波数に基づいて、複数の前記センサ電極を駆動する周波数である検出周波数を設定する検出周波数設定回路と、を有し、
前記駆動信号供給回路は、前記検出周波数に応じて前記駆動信号の周波数を設定し、
前記調整回路は、前記検出周波数に応じて回路定数を調整する
請求項1又は請求項2に記載の入力検出システム。
【請求項4】
前記調整回路は、前記センサ電極に接続された少なくとも1つ以上の容量素子と、前記容量素子と並列に接続されたスイッチ素子と、を含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項5】
前記調整回路は、前記センサ電極に接続された少なくとも1つ以上のインダクタンス素子と、前記インダクタンス素子と並列に接続されたスイッチ素子と、を含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項6】
前記第1電極及び前記第2電極の一方に対向して複数の前記センサ電極が配置され、
前記調整回路は、複数の前記センサ電極と、基準電位との間に接続されたスイッチ素子を含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項7】
前記駆動信号供給回路は、複数の前記センサ電極に順次前記駆動信号を供給し、
前記駆動信号が供給される駆動対象の前記センサ電極に接続された前記調整回路は、前記スイッチ素子をオンとし、
前記駆動信号が供給されない非駆動対象の前記センサ電極に接続された前記調整回路は、前記スイッチ素子をオフとする
請求項4又は請求項5に記載の入力検出システム。
【請求項8】
複数の画素及び複数の前記センサ電極を含む検出機能付き表示装置を有し、
前記制御回路は、画像を表示する複数の表示期間と、入力支援装置を検出する検出期間とを時分割で実行し、
前記調整回路は、前記表示期間と前記検出期間とで、前記スイッチ素子の接続状態を切り換える
請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項9】
前記表示期間で、前記調整回路は、複数の前記センサ電極に接続される前記スイッチ素子を接続状態とする
請求項8に記載の入力検出システム。
【請求項10】
複数のセンサ電極は、前記駆動信号が供給される複数の駆動電極と、検出信号を出力する複数の検出電極と、を含み、
前記調整回路は、複数の前記駆動電極に接続される
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【請求項11】
複数のセンサ電極は、前記検出領域にマトリクス状に配列される
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の入力検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、静電容量の変化又は接触領域の変化を検出するタッチパネル上に置かれ、タッチパネルからの入力操作を支援する入力支援装置(特許文献1、2では、操作ノブ又はノブと表記)が記載されている。入力支援装置の検出方式として、入力支援装置に設けられた共振回路の共振を利用して、入力支援装置を検出する方式が知られている。このような入力支援装置を用いた入力検出システムでは、タッチパネルの駆動電極は、入力支援装置の共振周波数に応じた駆動周波数で駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6342105号公報
【特許文献2】特許第6532631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部からのノイズの周波数が、タッチパネルの駆動周波数及び入力支援装置の共振周波数と近い場合、誤検出が発生する可能性がある。タッチパネルの駆動周波数はタッチパネル側の回路で調整できるものの、入力支援装置は内部電源が無いので入力支援装置の回路定数を調整できない場合がある。すなわち、タッチパネルの駆動周波数を調整すると、入力支援装置の共振周波数とずれる可能性がある。
【0005】
本発明は、外部からノイズが侵入した場合に、誤検出を抑制することができる入力検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の入力検出システムは、検出領域に配列された複数のセンサ電極を含む検出装置と、LC回路と、前記LC回路の一端側に接続された第1電極と、前記LC回路の他端側に接続された第2電極と、を含む入力支援装置と、複数の前記センサ電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、複数の前記センサ電極に接続される調整回路と、を含む制御回路と、を有し、前記調整回路は、前記センサ電極と、前記センサ電極と対向する前記第1電極又は前記第2電極との間の容量に付加される回路定数を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る入力検出システムを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II’断面図である。
図3図3は、表示装置が有するアレイ基板を模式的に示す平面図である。
図4図4は、入力支援装置の検出方法を説明するための説明図である。
図5図5は、入力支援装置の検出方法を説明するためのタイミング波形図である。
図6図6は、入力検出システムの構成例を模式的に示すブロック図である。
図7図7は、調整回路の構成例を説明するための説明図である。
図8図8は、入力支援装置と表示装置の駆動電極との関係を模式的に示す等価回路図である。
図9図9は、入力検出システムの表示期間、ノイズ検出期間及び検出期間を説明するためのタイミング波形図である。
図10図10は、入力検出システムの動作例を示すフローチャート図である。
図11図11は、第1変形例に係る入力検出システムの動作例を示すフローチャート図である。
図12図12は、第2変形例に係る入力検出システムの、調整回路の構成例を説明するための説明図である。
図13図13は、第2変形例に係る入力検出システムの、入力支援装置と表示装置の駆動電極との関係を模式的に示す等価回路図である。
図14図14は、第3変形例に係る入力検出システムの、入力支援装置と表示装置の駆動電極との関係を模式的に示す等価回路図である。
図15図15は、第3変形例に係る入力検出システムの、入力支援装置と表示装置の駆動電極との関係を模式的に示す平面図である。
図16図16は、第2実施形態に係る入力検出システムの概略断面構造を表す断面図である。
図17図17は、第2実施形態に係る入力検出システムのアレイ基板を模式的に示す平面図である。
図18図18は、第2実施形態に係る入力検出システムの、調整回路の構成例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る入力検出システムを模式的に示す斜視図である。図2は、図1のII-II’断面図である。図1及び図2に示すように、入力検出システム1は、表示装置2と、入力支援装置3と、を有する。
【0011】
ここで、表示装置2の平面(上面111a)の一方向を第1方向Dxとし、第1方向Dxと直交する方向を第2方向Dyとする。これに限定されず、第2方向Dyは第1方向Dxに対して90°以外の角度で交差していてもよい。また、第1方向Dx及び第2方向Dyに直交する第3方向Dzは、アレイ基板SUB1の厚み方向である。
【0012】
表示装置2は、例えば、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)である。ただし、これに限定されず、表示装置2は、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(マイクロLED、ミニLED)であってもよい。或いは、表示装置2は、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。
【0013】
表示装置2は、駆動電極Txと検出電極Rxと(図3参照)を有し、相互静電容量方式のタッチパネル(検出装置)としての機能を備えた検出機能付き表示装置である。本実施形態では、表示装置2が有する電極及び配線の一部が、タッチパネル(検出装置)の電極(駆動電極Tx)及び配線に共用される。
【0014】
図1に示すように、表示装置2は、アレイ基板SUB1と、対向基板SUB2と、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、カバー部材111と、接着層112(図2参照)と、を備えている。第3方向Dzにおいて、第1偏光板PL1、アレイ基板SUB1、対向基板SUB2、第2偏光板PL2、接着層112、カバー部材111の順に積層される。
【0015】
アレイ基板SUB1は、複数の画素PXを駆動するための駆動回路基板である。アレイ基板SUB1は、基体として第1基板10を有する。駆動電極Txは、アレイ基板SUB1上に設けられる。また、アレイ基板SUB1は、第1基板10に設けられたトランジスタや、走査線GL、画素信号線SL(図3参照)等の各種配線を有する。対向基板SUB2は、アレイ基板SUB1と対向して設けられる。表示機能層である液晶層は、アレイ基板SUB1と対向基板SUB2との間に設けられる。また、検出電極Rxは、対向基板SUB2上に設けられる。
【0016】
図1に示すように、表示装置2において、表示領域DAの外側に周辺領域BEが設けられている。表示領域DAは、四角形状に形成されているが、表示領域DAの外形の形状は限定されない。例えば、表示領域DAには、角部が曲線状に設けられた略四角形状であってもよく、切り欠きがあってもよく、あるいは表示領域DAが他の多角形状に形成されてもよいし、表示領域DAが円形状あるいは楕円形状などの他の形状に形成されてもよい。
【0017】
表示領域DAは、画像を表示させるための領域であり、複数の画素PX(図3参照)が設けられる領域である。周辺領域BEは、アレイ基板SUB1の外周よりも内側で、かつ、表示領域DAよりも外側の領域を示す。なお、周辺領域BEは表示領域DAを囲う枠状であってもよく、その場合、周辺領域BEは額縁領域ともいえる。
【0018】
図2に示すように、アレイ基板SUB1の張出部には、表示IC(Integrated Circuit)50及び配線基板114が接続されている。表示IC50は、表示装置2の表示及びタッチ検出を制御する制御回路等を含む。また、この例に限らず、表示IC50は、配線基板114に実装されていてもよい。表示IC50の配置は、これに限定されず、例えばモジュール外部の制御基板やフレキシブル基板上に備えられていてもよい。
【0019】
対向基板SUB2には、配線基板115が接続される。検出IC51は配線基板115に実装される。検出IC51は、検出回路76(図6参照)を含み、検出電極Rxから検出信号Vdetが供給される。検出IC51は、検出信号Vdetに基づいて、入力支援装置3及び指Fg等の被検出体を検出することができる。検出IC51の配置は、これに限定されず、例えばモジュール外部の制御基板やフレキシブル基板上に備えられていてもよい。
【0020】
配線基板114及び配線基板115は、例えばフレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuits)によって構成される。
【0021】
本明細書では、表示IC50及び検出IC51を、区別して説明する必要が無い場合には、単に制御回路と表す場合がある。また、表示IC50に含まれる回路、機能の一部が、検出IC51に設けられていてもよいし、検出IC51に含まれる回路、機能の一部が、表示IC50に設けられていてもよい。また、制御回路は、表示IC50及び検出IC51とは別に形成された回路素子や配線、例えばアレイ基板SUB1上に形成された回路素子や配線を含んでもよい。
【0022】
図1及び図2に示すように、入力支援装置3は、カバー部材111の上面111aに配置(装着)して使用される。ユーザは、表示装置2上に配置された入力支援装置3を操作することで、表示装置2への入力操作を行うことができる。入力支援装置3は、例えばロータリーノブであり、表示装置2の上面111aから見たときの平面視で円形状である。表示装置2は、入力支援装置3の平面内での位置や、回転軸AXを中心とした回転操作RTを検出することができる。つまり、本実施形態では、表示領域DAは、複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rx(図3参照)が設けられた領域であり、検出領域を兼ねる。
【0023】
図2に示すように、入力支援装置3は、ハウジング30と、第1電極31と、第2電極32と、LC回路35と、を含む。ハウジング30は、例えば、金属材料等の導体で形成され、内部に空間が設けられた中空の部材である。なお、ハウジング30は、金属材料に限定されず、樹脂材料で形成されてもよく、あるいは、金属材料の表面を覆って樹脂材料が設けられた構成であってもよい。
【0024】
第1電極31、第2電極32及びLC回路35は、ハウジング30の内部に設けられる。LC回路35は、コンデンサ33とインダクタ34とが並列に接続されたLC共振回路を構成する。第1電極31は、LC回路35の一端側(コンデンサ33とインダクタ34の一端側の接続部N1(図4参照))に接続される。第2電極32は、LC回路35の他端側(コンデンサ33とインダクタ34の他端側の接続部N2(図4参照))に接続される。表示装置2は、LC回路35のLC共振を利用して、第1電極31及び第2電極32の位置を検出することができる。
【0025】
なお、図1では、入力支援装置3の他の例として、複数の入力支援装置3A、3B、3Cを示している。入力支援装置3Aは、ロータリーノブであり、入力支援装置3よりも小さい平面形状(径)を有するつまみ状に形成される。入力支援装置3Bは、スライダであり、つまみを平面内で変位させることで入力操作を行うことができる。入力支援装置3Bは、平面視で、棒状である。入力支援装置3Cは、ボタン又は入力キーであり、入力支援装置3Cをタッチ、又は押し込み操作を行うことで入力操作を行うことができる。入力検出システム1は、複数の入力支援装置3、3A、3B、3Cの全てが装着されている場合に限定されず、複数の入力支援装置3、3A、3B、3Cの少なくとも1つ以上が設けられていればよい。以下の説明では、入力支援装置3について説明する。ただし、入力支援装置3についての説明は、他の入力支援装置3A、3B、3Cにも適用できる。
【0026】
図3は、表示装置が有するアレイ基板を模式的に示す平面図である。なお、図3では、駆動電極Txと検出電極Rxとの関係を説明するために、対向基板SUB2に設けられた検出電極Rxの一部を模式的に示している。図3に示すように、画素PX(副画素SPX)は、表示領域DAにマトリクス状に配置されている。画素信号線SL及び走査線GLは、複数の副画素SPXに対応して設けられる。画素信号線SLは、周辺領域BEに設けられた表示IC50等の制御回路に接続される。走査線駆動回路52は、周辺領域BEのうち、第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。走査線GLは、走査線駆動回路52に接続される。走査線駆動回路52は、各画素PX(副画素SPX)を駆動する走査信号を走査線GLに供給する回路である。
【0027】
複数の駆動電極Tx(センサ電極)は、それぞれ第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに配列される。複数の駆動電極Txは、それぞれ接続配線53Aを介して表示IC50に接続される。また、複数の検出電極Rxは、それぞれ第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに配列される。複数の検出電極Rxは、それぞれ接続配線53Bを介して検出IC51に接続される。複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとは、平面視で交差して設けられる。複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとの交差部分にそれぞれ静電容量が形成される。検出IC51は、複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとの間の相互静電容量の変化に応じて出力される検出信号Vdetに基づいて、被検出体を検出することができる。なお、複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとを含めてセンサ電極と表す場合がある。
【0028】
図3では、図面を見やすくするために、一部の駆動電極Tx、検出電極Rx及び一部の画素PX(副画素SPX)のみ示しているが、駆動電極Tx、検出電極Rx及び画素PXは、表示領域DAの全体に配置される。すなわち、1つの駆動電極Txに重なって複数の画素PXが配置される。また、1つの駆動電極Txは、複数の画素信号線SLと重なって配置される。
【0029】
駆動電極Txは、表示時に画素電極(図示は省略する)との間で電界を形成するための共通電極としての機能と、タッチ検出時に入力支援装置3及び指Fg等の被検出体を検出する駆動電極Txとしての機能と、を兼ねる。具体的には、表示の際に、表示IC50は、表示駆動信号VCOMを駆動電極Txに供給する。また、検出IC51が備える駆動信号供給回路75は、複数の駆動電極Txに順次検出駆動信号VDを供給する。なお、駆動電極Txの詳細な駆動については後述する。
【0030】
次に、図4図5を参照して、入力支援装置3の検出方法について説明する。図4は、入力支援装置の検出方法を説明するための説明図である。図4に示すように、入力支援装置3の第1電極31及び第2電極32は、それぞれ、検出期間(図9参照)のあるタイミングではアレイ基板SUB1の駆動電極Tx及び対向基板SUB2の検出電極Rxと対向する。
【0031】
入力支援装置3は、複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rxと重なって配置される。第1電極31と、一方の駆動電極Tx(図4中左の駆動電極Tx)との間に容量C1が形成される。一方の駆動電極Txは、基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続される。第2電極32と、他方の駆動電極Tx(図4中右の駆動電極Tx)との間に容量C2が形成される。他方の駆動電極Txは、スイッチ素子54Bを介して電源電位Vdd又は基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続される。
【0032】
また、第2電極32と、第2電極32に対向する検出電極Rxとの間に容量C3が形成される。複数の検出電極Rx(図4中右の検出電極Rx及び図4中左の検出電極Rx)は、それぞれスイッチ素子54Aを介して検出回路76又は別のノード58に接続される。当該ノード58は、例えば基準電位GND(例えば、グランド電位)に接続される。
【0033】
また、当該ノード58は、基準電位GNDに代えて、後述の検出信号増幅部61の非反転入力部に接続される配線に接続されてもよい。これによって、検出電極Rxが当該ノード58に接続されたときには、当該検出電極Rxの出力側電位は、検出信号増幅部61の非反転入力部の電位と同じになる。また、当該ノード58が、フローティング電極に接続する、又はハイインピーダンス(Hi-z)回路に接続する、あるいは、スイッチ素子54Aをノード58にも接続させないこととし、検出回路76に接続されている以外の期間においては検出電極Rxをフローティング状態に設定する構成も採用可能である。
【0034】
また、複数の検出電極Rxにそれぞれ接続された複数のスイッチ素子54Aは、同期してオン、オフが切り換えられるように制御される。さらに、駆動電極Txと検出電極Rxとの間にも相互静電容量Cmが形成される。また、第1電極31と、第1電極31に対向する検出電極Rxとの間に容量C4が形成される。
【0035】
検出回路76は、検出IC51内に設けられた信号処理回路であり、検出電極Rxから出力された検出信号Vdet(図5参照)を受け取って、所定の信号処理を行って出力信号Voを出力する回路である。検出回路76は、検出信号増幅部61、容量素子62及びリセットスイッチ63を有する。これに限定されず、検出回路76は、さらに、検出信号増幅部61から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路(図示しない)等を有していてもよい。
【0036】
図5は、入力支援装置の検出方法を説明するためのタイミング波形図である。図4及び図5に示すように、スイッチ素子54Bの動作により、他方の駆動電極Tx(図4右側の駆動電極Tx)には、交流矩形波である検出駆動信号VDが供給される。より具体的には、スイッチ素子54Bの切り替え動作により高レベル電位の電源電位Vddと、低レベル電位の基準電位Vdcとが所定の周波数で交互に繰り返し印加されることによって検出駆動信号VDが形成され、他方の駆動電極Txに供給される。他方の駆動電極Txの電位V3は、検出駆動信号VDに応じて変化する。
【0037】
ここで、検出駆動信号VDに同期して繰り返される期間を、第1期間P1及び第2期間P2とする。第1期間P1は、他方の駆動電極Txが電源電位Vddに接続される期間(スイッチ素子54Bが当該他方の駆動電極Txと電源電位Vddとを接続している期間)である。第2期間P2は、他方の駆動電極Txが基準電位Vdcに接続される期間(スイッチ素子54Bが当該他方の駆動電極Txと基準電位(接地電位)とを接続している期間)である。電源電位Vddは例えば基準電位Vdcよりも高い電位とされる。なお、図5中には、1回の電源電位Vddの入力と1回の基準電位Vdcの入力との組み合わせによって検出駆動信号VDが形成されているが、これらが交互に複数回繰り返される構成も検出駆動信号VDと見做せることは当然である。
【0038】
検出電極Rxは、相互静電容量Cmに基づいて検出信号Vdetを出力する。具体的には、上述したように、一方の駆動電極Tx(図4左側の駆動電極Tx)は、第1期間P1及び第2期間P2ともに基準電位(例えば、基準電位Vdc)に接続されている。これにより、第1期間P1では、第1電極31及び第2電極32に、異なる電位の信号が供給される。また、第1期間P1では、スイッチ素子54Aの切り替え動作により検出電極Rxは検出回路76と接続される。これにより、相互静電容量Cmに基づいた電位の変化が検出信号Vdetとして、検出電極Rxから検出回路76に出力される。なお、第2期間P2では、スイッチ素子54Aの切り替え動作により検出電極Rxと検出回路76の接続は遮断される。第2期間P2では、当該スイッチ素子54Aの切り替え動作により、検出電極Rxはノード58に接続される。
【0039】
検出回路76の検出信号増幅部61は、検出電極Rxから供給された検出信号Vdetを増幅する。検出信号増幅部61の非反転入力部には、所定の電位を有する基準電圧が入力され、反転入力部には、検出電極Rxが接続される。本実施形態では、非反転入力部に入力される基準電圧として一方の駆動電極Txと同じ信号が入力される。なお、基準電位として接地電位等の所定の固定電位が設定されてもよい。また、検出回路76は、リセットスイッチ63をオンにすることで、容量素子62の電荷をリセットすることができる。
【0040】
さらに、検出駆動信号VDはLC回路35の共振周波数と同じ周波数を有する。本実施例においては、例えば、スイッチ素子54Bの切り替え動作を当該共振周波数に基づいて行うことで共振周波数を有する検出駆動信号VDが形成される。このため、他方の駆動電極Txと重なる第2電極32も共振周波数で駆動され、LC回路35の共振が発生する。そして、検出期間内で第1期間P1及び第2期間P2が繰り返されるにしたがって、検出信号Vdetの振幅が大きくなる。図5に示すように、第1期間P1が複数回繰り返されるにしたがって、検出信号Vdetの振幅が大きくなり、検出回路76からの出力信号Voの電位は、大きくなるように変化する。
【0041】
また、LC回路35の共振により、第1電極31に発生する波形は、第2電極32に発生する波形と異なり、第1電極31と第2電極32とで、互いに極性が反転するように変化する。具体的には、第1期間P1のそれぞれで、第1電極31の電位は大きくなるように変化し、第2電極32の電位は小さくなるように変化する。第2期間P2のそれぞれで、第1電極31の電位は小さくなるように変化し、第2電極32の電位は大きくなるように変化する。
【0042】
これにより、第1電極31と重畳する検出電極Rxから出力される検出信号Vdet及び出力信号Vo(図示しない)と、第2電極32と重畳する検出電極Rxから出力される検出信号Vdet及び出力信号Voと、は極性が異なる。入力検出システム1は、極性が異なる検出信号Vdetの信号値に基づいて、入力支援装置3の各種情報を検出してもよい。
【0043】
一方、入力支援装置3とは異なる指Fg等の被検出体が、上面111a(図1参照)に接触又は近接した場合には、相互静電容量Cmの変化に応じて、検出信号Vdetが変化する。つまり、指Fg等の検出では、共振が生じないため、図5に示すような検出信号Vdetの振幅の経時的な変化が生じない。また、指Fg等の検出では、同じ極性の検出信号Vdetの信号値が検出される。このように、入力検出システム1は、LC回路35のLC共振を利用して、被検出体が、指Fgであるか、入力支援装置3であるかを判定することができる。
【0044】
次に、調整回路70による回路定数の調整方法及び駆動電極Txの駆動方法について説明する。図6は、入力検出システムの構成例を模式的に示すブロック図である。なお、図6では、表示装置2(タッチセンサ)による入力支援装置3及び指Fg等の被検出体の検出に係る構成要素を示しており、表示IC50の表示動作に係る構成要素は省略する。
【0045】
図6に示すように、表示IC50(制御回路)は、駆動電極Tx(センサ電極)に接続される調整回路70を含む。調整回路70は、駆動電極Txと、駆動電極Txと対向する第1電極31又は第2電極32との間の容量C1、C2(図8参照)に付加される回路定数(例えば容量値Cv)を調整する回路である。
【0046】
具体的には、調整回路70は、少なくとも1つ以上の容量素子71と、容量素子71と並列に接続されたスイッチ素子72と、を含む。容量素子71は、可変容量素子であり、共振周波数制御回路74からの制御信号に基づいて、容量値Cvを調整できる。なお、可変容量素子はどのような構成であってもよく、例えば、複数の容量素子が並列(又は直列)に接続され、これらの容量素子の接続状態を変更するスイッチ素子のオンオフを制御することで多段的に容量値Cvを調整できる。
【0047】
また、共振周波数制御回路74からの制御信号に基づいてスイッチ素子72のオン(接続状態)、オフ(非接続状態)が制御される。スイッチ素子72がオンになると容量素子71の一端側と他端側とが短絡され、駆動電極Txには容量素子71の容量値Cvが付加されない。つまり、駆動電極Txは容量素子71を介さずに、検出IC51側に接続される。スイッチ素子72がオフ(非接続状態)になると、駆動電極Txに容量素子71の容量値Cvが付加される。なお、調整回路70の詳細な接続構成は、図7図8にて後述する。
【0048】
検出IC51は、検出周波数設定回路73、共振周波数制御回路74、駆動信号供給回路75、検出回路76、演算回路77及び記憶回路78を含む。検出回路76は、上述したように、検出電極Rxから出力される検出信号Vdetの信号処理を行う。演算回路77は、検出回路76からの出力信号Voに基づいて演算処理を行う。演算回路77は、被検出体の有無、入力支援装置3及び指Fg等の被検出体の種類、指Fg又は入力支援装置3による入力操作の情報(例えば、指Fgの位置座標、入力支援装置3の位置座標及び回転操作RT等)の演算を行う。
【0049】
演算回路77は、指Fg又は入力支援装置3による入力操作の情報をホストIC100に送信する。ホストIC100は、入力操作に応じた表示を行うように表示IC50に制御信号を出力する。
【0050】
また、タッチセンサ(検出電極Rx)は、外部からのノイズの信号の検出も行う。検出回路76は、検出信号Vdetの信号処理と同様にノイズの信号処理を行う。演算回路77は、ノイズの出力信号Voを受け取って、ノイズの信号強度(電圧)や周波数等の情報を演算する。また、検出回路76は、指Fg及び入力支援装置3が配置されていない状態でのベースラインの情報も検出する。
【0051】
記憶回路78は、指Fg又は入力支援装置3の検出信号Vdetの演算や、ノイズ検出の演算に用いられる各種データを記憶する回路である。記憶回路78は、例えば、ベースライン記憶領域78a、出力信号記憶領域78b、周波数テーブル78c及び演算基準値78dを含む。
【0052】
ベースライン記憶領域78aは、表示装置2のベースラインの情報を記憶する。ベースラインは、例えば入力支援装置3及び指Fg等の被検出体が表示領域DA上に無い状態で駆動電極Txを走査したときの出力信号Voの1フレーム分の情報である。検出IC51は、表示装置2の電源投入時等、あるいは電源投入後に所定の間隔で定期的にベースラインを取得してもよい。
【0053】
出力信号記憶領域78bは、検出回路76から出力された出力信号Voを記憶する。出力信号記憶領域78bは、例えば、1フレーム分の出力信号Voからなる情報をフレームデータとして記憶する。
【0054】
周波数テーブル78cは、駆動電極Txを駆動する検出周波数に関する情報や、入力支援装置3の共振周波数に関する情報を記憶する。ここで、検出周波数は、駆動電極Txに供給される検出駆動信号VDが有する周波数である。周波数テーブル78cは、例えば検出周波数として、X(kHz)、X+Δx(kHz)、X+2Δx(kHz)、X+3Δx(kHz)、・・・等の値を含む。
【0055】
演算基準値78dは、入力支援装置3及び指Fg等の被検出体の検出やノイズ検出の演算に用いられる各種閾値(基準値)を記憶する。演算回路77は、入力支援装置3及び指Fg等の被検出体の検出で、出力信号記憶領域78bに記憶されたフレームデータと、ベースライン記憶領域78aに記憶されたベースラインとの差分データを演算する。そして、演算回路77は、この差分データと演算基準値78dに記憶された閾値とを比較することで、入力支援装置3及び指Fg等の被検出体の有無や、位置等の各種情報を演算する。
【0056】
また演算回路77は、外部からのノイズの検出で、ノイズの信号強度と演算基準値78dに記憶されたノイズ閾値とを比較することで、ノイズの有無及びノイズの周波数を演算する。
【0057】
検出周波数設定回路73は、演算回路77で演算されたノイズの周波数の情報と、周波数テーブル78cの検出周波数に関する情報とに基づいて検出周波数を設定する回路である。検出周波数設定回路73は、例えば、現在の検出周波数(例えば、X(kHz))が、ノイズの周波数(例えば、X(kHz))と一致又は近い周波数の場合、ノイズの周波数(例えば、X(kHz))を避けるように検出周波数をX+Δx(kHz)に変更する。
【0058】
検出周波数設定回路73は、変更後の検出周波数(例えば、X+Δx(kHz))の情報を共振周波数制御回路74及び駆動信号供給回路75に出力する。駆動信号供給回路75は、検出駆動信号VDの周波数をX+Δx(kHz)に変更し、変更後の周波数を有する検出駆動信号VDを駆動電極Txに供給する。これにより、表示装置2(タッチセンサ)は、指Fg等の被検出体の検出では、ノイズの周波数(例えばX(kHz))と異なる検出周波数(例えばX+Δx(kHz))で検出できるので、外部からのノイズによる誤検出を抑制できる。
【0059】
一方、入力支援装置3のLC回路35の共振周波数は固定された値であり、検出駆動信号VDの周波数が変更された場合、LC回路35のLC共振が生じないため、入力支援装置3の検出が困難になる場合がある。LC回路35の共振周波数に合わせて検出駆動信号VDの周波数を設定した場合、特定の周波数(例えばX(kHz))のノイズにより誤検出が発生する可能性がある。
【0060】
共振周波数制御回路74は、検出周波数設定回路73から供給された変更後の検出周波数の情報に基づいて、調整回路70に制御信号Scを出力する。共振周波数制御回路74は、調整回路70を制御することで、入力支援装置3のLC回路35と、第1電極31と駆動電極Txとの間の容量C1(図4参照)と、第2電極32と駆動電極Txとの間の容量C2(図4参照)と、駆動電極Txに接続された調整回路70と、を含む、回路全体の共振周波数を、変更後の検出周波数(例えばX+Δx(kHz))と一致又は近似させる。
【0061】
次に調整回路70の詳細な構成について説明する。図7は、調整回路の構成例を説明するための説明図である。図7に示すように、調整回路70の容量素子71及びスイッチ素子72は、複数の駆動電極Txのそれぞれに接続される。容量素子71の一端側は、駆動電極Txに接続される。容量素子71の他端側は、スイッチ素子79を介して検出IC51の駆動信号供給回路75又は電位供給回路55に接続される。
【0062】
スイッチ素子79及び配線75a、75bは、表示IC50に含まれる。スイッチ素子79の動作により、検出駆動信号VDが供給される駆動電極Tx(以下、駆動電極Tx-Sと表す)と、検出駆動信号VDが供給されない非駆動の駆動電極Tx(以下、駆動電極Tx-NSと表す)とが選択される。スイッチ素子79が配線75a側に接続されると、駆動電極Tx-Sは、調整回路70、配線75aを介して駆動信号供給回路75に接続される。スイッチ素子79が配線75b側に接続されると、非駆動の駆動電極Tx-NSは、調整回路70、配線75bを介して電位供給回路55に接続される。電位供給回路55は、所定の電位を供給するものであって、複数の電位を切り替えて供給可能である。より具体的には、電位供給回路55は、駆動電極Txを用いて指や入力支援装置3を検出する期間(後述の検出期間(ノイズ検出期間を含む))には、接地電位GNDを配線に供給し、駆動電極Txを用いて画像の表示を行う期間(後述の表示期間)には、表示駆動信号VCOMを配線に供給する。なお、当該表示駆動信号VCOMは、所定の固定電位又は所定のパルス波形などの交流波形を有していてもよい。
【0063】
スイッチ素子72の一端側は、容量素子71の一端側に接続され、スイッチ素子72の他端側は、容量素子71の他端側に接続される。検出期間においてスイッチ素子72がオン(接続状態)になると、容量素子71の一端側と他端側とが短絡される。また、配線75bには接地電位GNDが供給される。この場合、駆動電極Txと、駆動信号供給回路75又は基準電位GNDとの間に容量値Cvは形成されない。スイッチ素子72がオフ(非接続状態)になると、駆動電極Txと、駆動信号供給回路75又は基準電位GNDとの間に容量値Cvが形成される。
【0064】
より詳細には、共振周波数制御回路74は、駆動電極Tx-Sに接続された調整回路70のスイッチ素子72をオンとする。これにより、駆動電極Tx-Sには、駆動信号供給回路75から容量素子71を介さずに検出駆動信号VDが供給される。また、共振周波数制御回路74は、非駆動の駆動電極Tx-NSに接続された調整回路70のスイッチ素子72をオフとする。これにより、非駆動の駆動電極Tx-NSは、容量素子71を介して基準電位GNDと接続される。
【0065】
表示IC50内に設けられるシフトレジスタなどでスイッチ素子79が順次オンオフ制御されることにより、検出駆動信号VDが供給される駆動電極TxーSは、順次走査される。共振周波数制御回路74は、当該スイッチ素子79の動作と同期させて、調整回路70のスイッチ素子72のオンオフを制御する。以上のような動作により、調整回路70は、検出周波数に応じて、非駆動の駆動電極Tx-NSと基準電位GNDとの間、及び、駆動電極Tx-Sと駆動信号供給回路75との間の少なくとも一方の回路定数(容量値Cv)を調整する。
【0066】
図8は、入力支援装置と表示装置の駆動電極Txとの関係を模式的に示す等価回路図である。なお図8では、調整回路70のスイッチ素子72、及び、スイッチ素子72がオンとされ短絡された容量素子71(駆動電極Tx-S側の容量素子71)を省略して示す。図8に示すように、表示装置2の上に入力支援装置3が配置された場合に、第2電極32と、第2電極32と対向する駆動電極Tx-Sとの間に容量C2が形成される。また、第1電極31と、第1電極31と対向する非駆動の駆動電極Tx-NSとの間に容量C1が形成される。調整回路70は、容量C1と直列に容量素子71(容量値Cv)を付加する。すなわち、本実施形態において、共振周波数制御回路74は、検出期間において駆動対象となる駆動電極Txではない非駆動の駆動電極Txに対して、調整回路70を用いて容量を付加する。なお、当該容量を付加する非駆動の駆動電極Txとしては、少なくとも駆動対象となる駆動電極Txの隣に位置する駆動電極Txが選択されるが、これに限らず、さらに複数の非駆動の駆動電極Txを選択してもよいし、すべての非駆動の駆動電極Txを選択しても構わない。
【0067】
これにより、入力検出システム1は、駆動信号供給回路75から、駆動電極Tx-S側の調整回路70(図8では省略)、容量C2(駆動電極Tx-S及び第2電極32)、LC回路35、容量C1(第1電極31及び非駆動の駆動電極Tx-NS)、調整回路70を介して基準電位GNDに至る経路での回路定数を変更することができる。
【0068】
調整回路70の容量素子71は、上述したように多段的に容量値Cvを変更でき、例えば、周波数テーブル78c(図6参照)が有する検出周波数(例えば、X(kHz)、X+Δx(kHz)、X+2Δx(kHz)、X+3Δx(kHz)、・・・)に対応する複数の容量値Cvを有する。共振周波数制御回路74は、容量値Cv、容量C1、LC回路35及び容量C2を含む回路の共振周波数が、検出周波数と一致するように、又は、LC共振が発生する程度に近似させるように、容量値Cvを変更する。
【0069】
入力検出システム1は、検出駆動信号VDの周波数をノイズの周波数(例えばX(kHz))と異なる検出周波数(X+Δx(kHz))に変更したときに、表示装置2側に設けられた調整回路70により、入力支援装置3及び調整回路70を含む回路の共振周波数を例えばX+Δx(kHz)に調整できる。これにより、入力支援装置3に電源や可変素子が設けられていない構成であっても、入力支援装置3が有するLC回路35の回路定数を一定とした状態で、表示装置2側に設けられた調整回路70で容易に共振周波数を調整できる。したがって、入力検出システム1は、入力支援装置3を検出する際に外部からのノイズによる誤検出を抑制できる。また、入力支援装置3は、ノイズ抑制のための電源や可変素子が不要であり、入力支援装置3の回路構成を簡易にすることができる。
【0070】
また、調整回路70は、非駆動の駆動電極Tx-NSに容量素子71(容量値Cv)を接続し、駆動電極Tx-Sに接続された容量素子71(図7参照)はスイッチ素子72により短絡される。すなわち、検出駆動信号VDは、容量素子71(容量値Cv)を介さずに駆動電極Tx-Sに供給される。このため、容量素子71(容量値Cv)の存在による検出駆動信号VDの遅延、波形のなまり等を抑制できるので、入力検出システム1は、検出精度を向上できる。
【0071】
図9は、入力検出システムの表示期間、ノイズ検出期間及び検出期間を説明するためのタイミング波形図である。図9に示すように、入力検出システム1の表示IC50及び検出IC51は、表示期間と、ノイズ検出期間と、検出期間とを交互に時分割で実行する。なお、図9は、あくまで模式的に示したタイミング波形図であり、各期間の長さや、画素信号線SL、走査線GL、駆動電極Txの数等は、これに限定されない。表示期間、ノイズ検出期間及び検出期間は、どのように配置してもよく、例えば、それぞれ1フレームごとに表示と検出とを繰り返してもよい。
【0072】
図9に示す駆動電極Tx1、Tx2、Tx3は、複数の駆動電極Txのうち、隣り合う3つの駆動電極Tx(例えば図7の駆動電極Tx参照)を例示している。また、スイッチ素子72-1、72-2、72-3は、それぞれ駆動電極Tx1、Tx2、Tx3に接続された調整回路70が有するスイッチ素子72を表す。
【0073】
表示期間に、走査線駆動回路52は、走査線GL1、GL2、GL3・・・に順次、走査信号VGLを供給する。表示IC50は、ホストIC100からの画像信号に基づいて、各画素信号線SL1、SL2、SL3・・・に画素信号VSGを供給する。これにより、走査信号VGLに基づいて選択された画素PXに、順次、画素信号VSGが供給されて、画像が表示される。また、表示IC50の電位供給回路55は配線75b及びスイッチ素子79を介して、表示期間に、全ての駆動電極Txに、表示駆動信号VCOMを供給する。これにより、駆動電極Txは、表示期間での共通電極として機能する。
【0074】
調整回路70は、表示期間に、全ての駆動電極Txに接続されるスイッチ素子72をオンにする。これにより、全ての駆動電極Txに接続される容量素子71は、スイッチ素子72で短絡され、表示駆動信号VCOMは容量素子71を介さずに全ての駆動電極Txに供給される。なお、1つの表示期間で1フレーム分(1表示領域全体)の画素信号VSGの書き込みを行ってもいいし、1フレームを複数の領域に分割した部分の画素信号VSGの書き込みを行ってもいい。
【0075】
ノイズ検出期間に入ると、すべてのスイッチ素子79が配線75bから配線75aに切り替わる。そして、検出IC51(駆動信号供給回路75)は、全ての駆動電極Txに検出駆動信号VDを供給せず非駆動とする。全ての駆動電極Txには、固定電位(例えば基準電位GND)が供給される。あるいは、すべてのスイッチ素子79を配線75bに接続しておき、電位供給回路55から固定電位(例えば表示駆動信号VCOMあるいは基準電位GND)を供給する構成としてもよい。また、駆動電極Txは、フローティング状態としてもよい。この状態で、検出回路76は、検出電極Rxからの出力信号Vnzを検出し、演算回路77に出力する。演算回路77は、検出回路からの出力信号Vo´を信号処理することで、ノイズの有無及びノイズ周波数を演算する。
【0076】
また、検出期間では、各スイッチ素子79の接続を配線75bから75aに順次切り替えることにより、駆動電極Tx1、Tx2、Tx3に順次、検出駆動信号VDが供給される。また、電位供給回路からの電位供給は、表示駆動信号VCOMから接地電位GNDに切り替えられる。スイッチ素子79及び調整回路70は、表示期間と検出期間とで、スイッチ素子72の接続状態を切り換える。より詳細には、スイッチ素子79-1、79-2、79-3及びスイッチ素子72-1、72-2、72-3は、駆動電極Tx1、Tx2、Tx3の駆動、非駆動に応じてオン、オフが切り換えられる。例えば図7中に示す如く、駆動電極Tx1に検出駆動信号VDが供給され、駆動電極Tx2、Tx3が非駆動とされる検出期間では、スイッチ素子79-1の接続が配線75bから配線75aに切り替えられる一方、スイッチ素子79-2及び79-3は配線75bに接続された状態が維持される。同時に、スイッチ素子72-1がオン、スイッチ素子72-2、72-3がオフとなるように制御される。また、容量素子71は、共振周波数制御回路74からの制御信号Scに応じて容量値Cvを調整する。
【0077】
なお、図9では、検出期間ごとに駆動電極Tx1、Tx2、Tx3が駆動されているが、模式的に示したものであり、1つの検出期間で複数の駆動電極Txが駆動されてもよいし、1つの検出期間で全ての駆動電極Tx(1検出フレーム)が順次駆動されてもよい。また、入力支援装置3は、LC回路35の共振を利用して検出信号Vdetを出力するので、検出期間の終了後、表示期間の一部と重なる期間にも検出信号Vdetを出力する。また、ノイズ検出期間は、どのように配置されていてもよい。ノイズ検出期間は、1フレーム分の表示を行う1フレーム期間に1つ配置されてもよいし、1フレーム期間に複数配置されてもよい。
【0078】
次に図6及び図10を参照しつつ、入力検出システム1の調整回路70の制御方法について説明する。図10は、入力検出システムの動作例を示すフローチャート図である。図10に示すように、検出電極Rxは、ノイズ検出期間において、外部からのノイズを検出する(ステップST11)。より具体的には、検出電極Rxは、当該ノイズ検出期間における出力信号Vnzを検出回路76に出力する。ここでは、当該出力信号にノイズが含まれているとし、当該ノイズを含む出力信号をノイズ検出信号Vnzとする。検出回路76は、ノイズ検出信号Vnzを信号処理し、出力信号Vo´として演算回路77に出力する。上述したように、ノイズ検出期間においては駆動電極Txは非駆動であるため、検出回路76からの、出力信号Vo´の周波数は、当該検出回路76の信号処理においてノイズ検出信号Vnzをサンプリングする際のサンプリング周波数と等しい。以下では、ノイズ検出期間におけるノイズ検出のために用いられるサンプリング周波数をノイズ検出周波数と称する。現ステップST11においては、ノイズ検出周波数X(kHz)が採用されている。演算回路77は、ノイズの検出周波数X(kHz)でサンプリングされた出力信号Vo´と、記憶回路78の演算基準値78dに格納されているノイズ閾値とを比較する(ステップST12)。
【0079】
出力信号Vo´がノイズ閾値以上の場合(ステップST12、Yes)、演算回路77は、当該出力信号Vo´の周波数(すなわちノイズ検出周波数X(kHz))でノイズ有りと判定し、当該判定結果を検出周波数設定回路73に出力する。検出周波数設定回路73は、判定結果を受けて、記憶回路78の周波数テーブル78cからの情報に基づいて、検出回路のサンプリング周波数を変更すべく、ノイズ検出周波数を現在のノイズ周波数(X(kHz))と異なる周波数(例えばX+Δx(kHz))に変更する(ステップST13)。検出回路76は、検出周波数設定回路73から変更後のノイズ周波数の情報を受け取り、当該変更されたノイズ検出周波数(X+Δx(kHz))で、上述したノイズ検出(ステップST11、ST12)を繰り返し実行する。
【0080】
当該ノイズ検出周波数(X+Δx(kHz))を用いて検出回路76でサンプリングした出力信号Vo´がノイズ閾値よりも小さい場合(ステップST12、No)、演算回路77は、当該ノイズ検出周波数(X+Δx(kHz))でノイズが抑制されていると判定する。そして、演算回路77は、当該判定結果を検出周波数設定回路73に出力する。検出周波数設定回路73は、当該判定結果を受けて、現状のノイズ検出周波数(X+Δx(kHz))を維持する。
【0081】
駆動信号供給回路75は、検出周波数設定回路73から受け取った検出周波数の情報に応じて、検出駆動信号VDの周波数を変更する(ステップST14)。
【0082】
共振周波数制御回路74は、検出周波数設定回路73から受け取った検出周波数の情報に応じて、調整回路70の回路定数(容量素子71の容量値Cv)を変更する(ステップST15)。より詳細には、共振周波数制御回路74は、容量値Cv、容量C1、LC回路35及び容量C2(図8参照)を含む回路の共振周波数が、変更後の検出周波数(例えば、X+Δx(kHz))と一致、又は、近似するように、容量値Cvの値を演算し、制御信号Scを調整回路70に出力する。
【0083】
そして、各検出期間において、検出駆動信号VDを順次駆動電極Txに供給する(ステップST16)。検出回路76及び演算回路77は、検出電極Rxから検出信号Vdetを受け取って、上述した信号処理を行って入力支援装置3及び指Fg等の被検出体の検出を行う(ステップST17)。
【0084】
なお、各検出期間においては、検出回路76は、検出周波数設定回路73から受け取った検出周波数の情報に基づいて、当該検出周波数と同じ周波数(X+Δx(kHz))をサンプリング周波数として検出電極Rxからの出力信号Voをサンプリングする。なお、当該サンプリング信号として、駆動信号供給回路75から変更後の周波数(X+Δx(kHz))を有する検出駆動信号VDの供給を受ける構成も採用可能である。
【0085】
入力支援装置3及び指Fg等の被検出体が検出された場合(ステップST17、Yes)、演算回路77は、被検出体の種類、指Fg又は入力支援装置3による入力操作の情報(例えば、指Fgの位置座標、入力支援装置3の位置座標及び回転操作RT等)の演算を行う(ステップST18)。演算回路77は、演算結果をホストIC100に出力する(ステップST19)。ホストIC100は、表示IC50に制御信号を出力し、指Fg又は入力支援装置3による入力操作に応じた表示を行う。
【0086】
入力支援装置3及び指Fg等の被検出体が検出されない場合(ステップST17、No)、表示IC50及び検出IC51は、その結果をホストIC100に出力した後、上述したノイズ検出及び被検出体の検出を繰り返し実行する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態の入力検出システム1は、表示領域DA(検出領域)に配列された複数の駆動電極Tx(センサ電極)を含む表示装置2(検出装置)と、LC回路35と、LC回路35の一端側に接続された第1電極31と、LC回路35の他端側に接続された第2電極32と、を含む入力支援装置3と、複数の駆動電極Txに検出駆動信号VDを供給する駆動信号供給回路75と、複数の駆動電極Txに接続される調整回路70と、を含む表示IC(制御回路)と、を有する。調整回路70は、駆動電極Txと、駆動電極Txと対向する第1電極31又は第2電極32との間の容量に付加される回路定数を調整する。
【0088】
これにより、入力検出システム1は、外部からノイズが侵入した場合にノイズ周波数と異なる検出周波数に変更して指Fg又は入力支援装置3を検出することができる。入力検出システム1は、表示装置2側に設けられた調整回路70により、変更された検出周波数に応じた共振周波数となるように容量値Cvを調整することができ、良好に入力支援装置3を検出することができる。したがって、入力検出システム1は、外部からのノイズによる誤検出を抑制することができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、検出期間において、駆動信号供給回路75に接続されていない非駆動の駆動電極Txにおいて、調整回路70にて容量を付加することとしたが、これとは逆に、駆動信号供給回路75に接続されている駆動電極Txについて、調整回路70にて容量を付加し、非駆動の駆動電極Txについては容量を付加しない構成とすることも可能である。
【0090】
また、上記実施例においては、ノイズの周波数に応じて入力支援装置3を検出する際の回路の共振周波数を変更するものとなっているが、本入力検出システム1を用いて所定の検出期間において入力支援装置3ではなく指Fg等の他の被検出体を検出する場合は、検出駆動信号VDの周波数を上記共振周波数と異なる非共振周波数とする場合がある。この場合、ノイズの周波数に応じて非共振周波数を変更する構成も採用可能である。
【0091】
(第1変形例)
図11は、第1変形例に係る入力検出システムの動作例を示すフローチャート図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0092】
図10に示した例では、演算回路77は、所定のノイズ検出周波数を用いて検出電極Rxからの出力をサンプリングし、その出力信号Vo´とノイズ閾値とを比較し、その比較結果に応じ再度ノイズ検出周波数の特定を行うか否かを決定していたが、これに限定されない。図11に示すように、第1変形例では、検出回路76及び演算回路77は、複数の異なる周波数f1、f2、f3で順次ノイズ検出を行う(ステップST21、ST22、ST23)。言い換えると、検出回路76は、1又は複数のノイズ検出期間において、ノイズ検出信号Vnzのサンプリング周波数を異ならせて、複数種の出力信号Vo´を検出する。
【0093】
周波数f1、f2、f3は、あらかじめ記憶回路78の周波数テーブル78cに記憶されている。また、周波数f1、f2、f3は、現在の検出周波数(例えば、X(kHz))と、現在の検出周波数と異なる周波数(例えば、X+Δx(kHz)、X+2Δx(kHz))とを含む。また、検出回路76及び演算回路77は、2つ又は4つ以上の周波数でノイズ検出を行ってもよい。
【0094】
演算回路77は、周波数f1、f2、f3ごとの出力信号Vo´を比較して、最も小さい出力信号Vo(電圧値)の周波数を検出周波数に設定する(ステップST24)。共振周波数制御回路74は、検出周波数設定回路73から受け取った検出周波数の情報に応じて、調整回路70の回路定数(容量素子71の容量値Cv)を変更する(ステップST25)。以下、図10のステップST16と同様に、変更された検出周波数で入力支援装置3及び指Fg等の被検出体の検出を行う。
【0095】
(第2変形例)
図12は、第2変形例に係る入力検出システムの、調整回路の構成例を説明するための説明図である。上述した第1実施形態では、調整回路70は、駆動電極Txに接続される素子として容量素子71を有しているが、これに限定されない。図12に示すように、第2変形例に係る入力検出システム1Aにおいて、調整回路70Aは、駆動電極Tx(センサ電極)に接続された少なくとも1つ以上のインダクタンス素子71Aと、インダクタンス素子71Aと並列に接続されたスイッチ素子72と、を含む。調整回路70Aは、駆動電極Txと、駆動電極Txと対向する第1電極31又は第2電極32との間の容量C1、C2(図13参照)に付加される回路定数(例えばインダクタンス値Lv)を調整する回路である。
【0096】
共振周波数制御回路74は、第1実施形態と同様にスイッチ素子72及びインダクタンス素子71Aのインダクタンス値Lvを制御する。これにより、非駆動の駆動電極Tx-NSにインダクタンス素子71A(インダクタンス値Lv)が接続され、駆動電極Tx-Sに接続されたインダクタンス素子71Aはスイッチ素子72により短絡される。
【0097】
図13は、第2変形例に係る入力検出システムの、入力支援装置と表示装置の駆動電極との関係を模式的に示す等価回路図である。図13に示すように、表示装置2の上に入力支援装置3が配置された場合に、調整回路70は、第1電極31と、第1電極31と対向する駆動電極Tx-NSとの間の容量C1に、直列にインダクタンス値Lv(インダクタンス素子71A)を付加する。
【0098】
これにより、入力検出システム1Aは、駆動信号供給回路75から、駆動電極Tx-S側の調整回路70A(図13では省略)、駆動電極Tx-S、第2電極32、LC回路35、第1電極31、非駆動の駆動電極Tx-NS、調整回路70Aを介して基準電位GNDに至る経路での回路定数を変更することができる。
【0099】
調整回路70のインダクタンス素子71Aは、多段的にインダクタンス値Lvを変更でき、例えば、周波数テーブル78c(図6参照)が有する検出周波数(例えば、X(kHz)、X+Δx(kHz)、X+2Δx(kHz)、X+3Δx(kHz)、・・・)に対応する複数のインダクタンス値Lvを有する。共振周波数制御回路74は、インダクタンス値Lv、容量C1、LC回路35及び容量C2を含む回路の共振周波数が、検出周波数と一致、又は、近似するように、インダクタンス値Lvを変更する。
【0100】
(第3変形例)
図14は、第3変形例に係る入力検出システムの、入力支援装置と表示装置の駆動電極との関係を模式的に示す等価回路図である。図15は、第3変形例に係る入力検出システムの、入力支援装置と表示装置の駆動電極との関係を模式的に示す平面図である。図14及び図15に示すように、第3変形例に係る入力検出システム1Bでは、第1電極31に対向して複数の駆動電極Txが配置され、第2電極32に対向して1つの駆動電極Txが配置される。図15に示す如く、第1電極31は第2電極32よりも大きく、入力支援装置3の外形形状に沿ってC字状を呈している。第3変形例の調整回路70Bは、複数の駆動電極Txと、基準電位との間に接続されたスイッチ素子72aを含む。
【0101】
共振周波数制御回路74からの制御信号Scによりスイッチ素子72aがオフになると、第1電極31に対向する1つの駆動電極Tx(図14及び図15左側の駆動電極Tx)が基準電位と非接続となる。この場合、図14及び図15左側の駆動電極Txはフローティング状態となり、第1電極31との間に容量C1aは形成されない。また、第1電極31と、第1電極31と対向する駆動電極Tx(図14及び図15左側から2番目の駆動電極Tx)との間に容量C1が形成される。
【0102】
共振周波数制御回路74からの制御信号Scによりスイッチ素子72aがオンになると、第1電極31に対向する2つの駆動電極Txが基準電位と接続される。この場合、第1電極31と、第1電極31と対向する駆動電極Tx(図14及び図15左側から2番目の駆動電極Tx)との間に容量C1が形成される。また、第1電極31と、第1電極31と対向する駆動電極Tx(図14及び図15左側の駆動電極Tx)との間に容量C1aが形成される。
【0103】
第3変形例では、調整回路70Bのスイッチ素子72aのオンオフを切り換えることで、第1電極31と対向する駆動電極Txの数(面積)を調整できる。これにより、調整回路70Bは、第1電極31と、第1電極31と対向する駆動電極Tx(図14及び図15左側から2番目の駆動電極Tx)との間に形成される容量C1に、並列に、容量C1aを付加することができる。これにより、本変形例は、調整回路70B及び入力支援装置3を含む共振周波数を調整できる。
【0104】
なお、図14及び図15では図示を省略するが、検出駆動信号VDが供給される駆動電極Tx-S側にも調整回路70Bが設けられる。第2電極32と対向して複数の駆動電極Tx-Sが配置されていてもよく、調整回路70Bのスイッチ素子72aにより、第2電極32と対向する複数の駆動電極Tx-Sの数(面積)を調整してもよい。
【0105】
(第2実施形態)
図16は、第2実施形態に係る入力検出システムの概略断面構造を表す断面図である。上述した第1実施形態では、駆動電極Txと検出電極Rxとを有する相互静電容量方式のタッチセンサを含む表示装置2の上に入力支援装置3が配置される例を説明したが、これに限定されない。タッチセンサ(表示装置2)は、自己静電容量方式(セルフ方式)であってもよい。
【0106】
図16に示すように、第2実施形態に係る入力検出システム1Cにおいて、表示装置2Aは、アレイ基板SUB1上に設けられた複数の検出電極DE(センサ電極)を有する。検出電極DEは、表示における共通電極と、入力支援装置3や指Fg等の被検出体を検出する電極を兼ねる。第2実施形態では、第1実施形態と異なり、対向基板SUB2には検出電極Rx、検出IC51及び配線基板115(図2参照)は設けられていない。
【0107】
図17は、第2実施形態に係る入力検出システムのアレイ基板を模式的に示す平面図である。図17に示すように、検出電極DEは、アレイ基板SUB1の表示領域DAにマトリクス状に配置されている。配線53Cは、検出電極DEのそれぞれに対応して設けられ、コンタクトホールCNを介して検出電極DEと接続される。複数の配線53Cは、それぞれ第2方向Dyに沿って延在し、第1方向Dxに配列される。配線53C及び画素信号線SLは、周辺領域BEに設けられた表示IC50に接続される。
【0108】
本実施形態では、図6に示した検出IC51が有する各回路の機能は、表示IC50に含まれる。ただし、これに限定されず、第1実施形態と同様に、表示IC50と別に検出IC51が設けられていてもよい。
【0109】
表示期間に、表示IC50が有する駆動信号供給回路75は、複数の検出電極DEに同時に表示駆動信号VCOMを供給する。検出期間では、表示IC50(駆動信号供給回路75)は、検出電極DEに検出駆動信号VDを供給する。検出電極DEは、自己静電容量の変化に基づいた検出信号Vdetを、表示IC50が有する検出回路76(図6参照)に出力する。これにより、表示IC50は、指Fg又は入力支援装置3を検出する。
【0110】
より具体的には、指Fg等を検出するタッチ検出では、表示IC50(駆動信号供給回路75)は、複数の検出電極DEに同時に検出駆動信号VDを供給する。入力支援装置3の検出では、表示IC50(駆動信号供給回路75)は、検出電極DEに順次検出駆動信号VDを供給し、検出電極DEの自己静電容量の変化と、入力支援装置3及び調整回路70の共振を利用して、入力支援装置3の位置等を検出する。
【0111】
図18は、第2実施形態に係る入力検出システムの、調整回路の構成例を説明するための説明図である。図18に示すように、調整回路70の容量素子71及びスイッチ素子72は、複数の検出電極DEのそれぞれに接続される。容量素子71の一端側は、配線53Cを介して検出電極DEに接続される。容量素子71の他端側は、スイッチ素子79を介して検出IC51の駆動信号供給回路75、基準電位GND又は検出回路76に接続される。
【0112】
本実施形態では、配線75a、75bに加え配線76cを有する。スイッチ素子79が配線75a側に接続されると、検出駆動信号VDが供給される検出電極DE-Sは、調整回路70のスイッチ素子72、配線75aを介して駆動信号供給回路75に接続される。その後、スイッチ素子79が配線75c側に接続されて、検出駆動信号VDが供給された検出電極DE-Sは、配線75cを介して検出回路76に接続される。検出駆動信号VDが供給されない非駆動の検出電極DE-NSは、調整回路70(容量素子71)、配線75bを介して基準電位GNDに接続される。
【0113】
このように、自己静電容量方式の表示装置2A(タッチセンサ)においても、調整回路70により、第1電極31(又は第2電極32)と、第1電極31(又は第2電極32)と対向する検出電極DEとの間に形成される容量C1に、容量素子71の容量値Cvを付加することができる。
【0114】
なお、図18では、容量素子71を有する調整回路70を示したが、これに限定されない。本実施形態は、上述した第2変形例及び第3変形例の調整回路70A、70Bを採用することもできる。また、第1実施形態及び第1変形例で説明したノイズ検出方法も第2実施形態に採用することができる。
【0115】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0116】
1、1A、1B、1C 入力検出システム
2、2A 表示装置
3、3A、3B、3C 入力支援装置
10 第1基板
30 ハウジング
31 第1電極
32 第2電極
33 コンデンサ
34 インダクタ
35 LC回路
50 表示IC
51 検出IC
70、70A、70B 調整回路
71 容量素子
71A インダクタンス素子
72、72a スイッチ素子
73 検出周波数設定回路
74 共振周波数制御回路
75 駆動信号供給回路
76 検出回路
77 演算回路
78 記憶回路
Rx 検出電極
Tx、Tx-S、Tx-NS 駆動電極
DE 検出電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18