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特開2022-166600光ファイバの繰り出し装置および制御装置
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  • 特開-光ファイバの繰り出し装置および制御装置 図1
  • 特開-光ファイバの繰り出し装置および制御装置 図2
  • 特開-光ファイバの繰り出し装置および制御装置 図3
  • 特開-光ファイバの繰り出し装置および制御装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166600
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】光ファイバの繰り出し装置および制御装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/00 20060101AFI20221026BHJP
   B65H 49/34 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B65H63/00 Z
B65H49/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071919
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直
【テーマコード(参考)】
3F109
3F115
【Fターム(参考)】
3F109BA09
3F109CA03
3F109CA06
3F109CA08
3F115AA07
3F115BA05
3F115CA16
3F115CA39
3F115CB16
3F115CC03
3F115CC08
3F115CC23
3F115CC24
(57)【要約】
【課題】光ファイバの歩留まりを高めることができる光ファイバの繰り出し装置および制御装置を提供する。
【解決手段】光ファイバの繰り出し装置は、胴部に光ファイバが巻かれたボビンから光ファイバを繰り出すためにボビンを回転させる駆動装置と、光ファイバが繰り出されているときのボビンの胴部を撮像することにより画像を取得する撮像装置と、画像に基づいて駆動装置を制御する制御装置と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部に光ファイバが巻かれたボビンから前記光ファイバを繰り出すために前記ボビンを回転させる駆動装置と、
前記光ファイバが繰り出されているときの前記ボビンの胴部を撮像することにより画像を取得する撮像装置と、
前記画像に基づいて前記駆動装置を制御する制御装置と、
を備えている、光ファイバの繰り出し装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記画像における前記光ファイバの領域と前記ボビンの前記胴部の領域との面積比を算出し、当該面積比に基づいて前記駆動装置を制御する、請求項1に記載の光ファイバの繰り出し装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記光ファイバが繰り出されているときの前記ボビンの胴部の回転軸方向の端部を撮像することにより前記画像を取得する、請求項1または請求項2に記載の光ファイバの繰り出し装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記画像における前記光ファイバの色と前記ボビンの前記胴部の色との違いに基づいて前記光ファイバと前記ボビンとを判別する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバの繰り出し装置。
【請求項5】
ボビンの回転により当該ボビンの胴部に巻かれた光ファイバが繰り出されているときの前記ボビンの前記胴部を撮像することにより得られた画像に対応する画像データを受け付ける入力部と、
前記画像データに基づいて、前記画像における前記光ファイバの領域と前記ボビンの胴部の領域との面積比を算出する処理部と、
を備えている、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバの繰り出し装置および当該光ファイバの繰り出し装置に用いられる制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ボビンから繰り出される光ファイバをガイドする繰り出しローラを含む繰り出し装置を開示している。当該繰り出し装置において、ボビンから繰り出される光ファイバの位置が検知される。検知された光ファイバの繰り出し位置に基づいて、繰り出しローラをボビンに対して相対的に移動させることにより、繰り出しローラへの光ファイバの入線角度が一定に維持される。
【0003】
特許文献2は、光ファイバが巻かれるボビンが開示されている。当該ボビンにおいて、胴の外周表面にはクッション層が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-70144号公報
【特許文献2】特開2002-316830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ファイバを最後までボビンから繰り出す場合、光ファイバの終端部が固定されずに巻き取られるので、光ファイバの終端部が暴れて光ファイバを傷つける場合がある。このため、光ファイバを最後までボビンから繰り出す前に光ファイバの繰り出しが終了される。例えばボビンから繰り出された光ファイバの長さに基づいて、光ファイバの繰り出しが終了される。しかしながら、この場合、測定誤差の観点から、ボビンにはある程度の長さの光ファイバが残された状態で、光ファイバの繰り出しが終了される。
【0006】
本開示は、光ファイバの歩留まりを高めることができる光ファイバの繰り出し装置および制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の光ファイバの繰り出し装置は、
胴部に光ファイバが巻かれたボビンから前記光ファイバを繰り出すために前記ボビンを回転させる駆動装置と、
前記光ファイバが繰り出されているときの前記ボビンの胴部を撮像することにより画像を取得する撮像装置と、
前記画像に基づいて前記駆動装置を制御する制御装置と、
を備えている。
【0008】
本開示の制御装置は、
ボビンの回転により当該ボビンの胴部に巻かれた光ファイバが繰り出されているときの前記ボビンの前記胴部を撮像することにより得られた画像に対応する画像データを取得する入力部と、
前記画像データに基づいて、前記画像における前記光ファイバの領域と前記ボビンの胴部の領域との面積比を算出する処理部と、
を備えている。
【0009】
本発明は、このような特徴的な処理部を備える制御装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする制御方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、制御装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、光ファイバの歩留まりを高めることができる光ファイバの繰り出し装置および制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る光ファイバの繰り出し装置の構成の一例を説明する図である。
図2図2は、図1におけるサプライボビンに巻かれた光ファイバの状態を説明するための図である。
図3図3は、本実施形態に係る光ファイバの繰り出し装置の構成の別例を説明する図である。
図4図4は、本実施形態に係る光ファイバの繰り出し装置の構成の別例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の実施の形態の説明)
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の光ファイバの繰り出し装置は、
胴部に光ファイバが巻かれたボビンから前記光ファイバを繰り出すために前記ボビンを回転させる駆動装置と、
前記光ファイバが繰り出されているときの前記ボビンの胴部を撮像することにより画像を取得する撮像装置と、
前記画像に基づいて前記駆動装置を制御する制御装置と、
を備えている。
【0013】
このような構成によれば、光ファイバが繰り出されているときのボビンの胴部に巻かれている光ファイバの状態に基づいて、ボビンの回転が制御される。例えば、ボビンに巻かれている光ファイバの状態に基づいて、ボビンの回転を停止させて、光ファイバの繰り出しを終了させることができる。これにより、ボビンから繰り出された光ファイバの長さに基づいて光ファイバの繰り出しを終了する場合と比べて、光ファイバの歩留まりを高めることができる。
【0014】
(2)前記制御装置は、前記画像における前記光ファイバの領域と前記ボビンの前記胴部の領域との面積比を算出し、当該面積比に基づいて前記駆動装置を制御してもよい。
【0015】
例えば、光ファイバの繰り出しが進行してボビンに巻かれている光ファイバが残り1~2層程度になると、ボビンの胴部が露出され始める。したがって、ボビンの胴部に巻かれている光ファイバの領域と光ファイバが繰り出されて露出されたボビンの胴部の領域との面積比の値に応じて、ボビンに巻かれている光ファイバの状態を把握できる。
【0016】
(3)前記撮像装置は、前記光ファイバが繰り出されているときの前記ボビンの胴部の回転軸方向の端部を撮像することにより前記画像を取得してもよい。
【0017】
このような構成によれば、ボビンに巻かれている光ファイバの折り返し部分を撮像できるので、ボビンに巻かれている光ファイバの層数の変化を把握できる。
【0018】
(4)前記制御装置は、前記画像における前記光ファイバの色と前記ボビンの前記胴部の色との違いに基づいて前記光ファイバと前記ボビンとを判別してもよい。
【0019】
このような構成によれば、例えばボビンの胴部の表面の色を光ファイバの表面の色と異ならせることにより、光ファイバとボビンの胴部とを容易に判別できる。
【0020】
(5)本開示の制御装置は、
ボビンの回転により当該ボビンの胴部に巻かれた光ファイバが繰り出されているときの前記ボビンの前記胴部を撮像することにより得られた画像に対応する画像データを受け付ける入力部と、
前記画像データに基づいて、前記画像における前記光ファイバの領域と前記ボビンの胴部の領域との面積比を算出する処理部と、
を備えている。
【0021】
このような構成によれば、ボビンの胴部に巻かれている光ファイバの領域と光ファイバが繰り出されて露出されたボビンの胴部の領域との面積比の値に応じて、ボビンに巻かれている光ファイバの状態を把握できる。例えば、ボビンに巻かれている光ファイバの状態に基づいて、ボビンの回転を停止させて、光ファイバの繰り出しを終了させることにより、光ファイバの歩留まりを高めることができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の光ファイバの繰り出し装置の具体例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
図1は、本実施形態に係る光ファイバの繰り出し装置10の構成例を説明する図である。光ファイバの繰り出し装置10は、光ファイバFの着色あるいは光ファイバFの巻き替えなどを行う際に、光ファイバFが巻かれたサプライボビン20から光ファイバFを繰り出すために使用される。サプライボビン20は、ボビンの一例である。
【0024】
図1に例示されるように、サプライボビン20は、胴部21と鍔部22を有している。胴部21には、光ファイバFが巻き付けられている。鍔部22は、胴部21の両端に設けられている。サプライボビン20は、回転軸方向Aを中心として回転可能に設置されている。
【0025】
光ファイバの繰り出し装置10は、駆動装置11、撮像装置12、および制御装置13を備えている。駆動装置11は、サプライボビン20から光ファイバFを繰り出すためにサプライボビン20を回転させるように構成されている。
【0026】
撮像装置12は、光ファイバFが繰り出されているときのサプライボビン20の胴部21を撮像することにより画像を取得するように構成されている。撮像装置12としては、カメラやイメージセンサが例示されうる。撮像装置12は、取得された画像に対応する画像データIDを制御装置13へ出力する。画像データIDは、アナログデータでもよいし、デジタルデータでもよい。
【0027】
制御装置13は、光ファイバFが繰り出されているときのサプライボビン20の胴部21の画像に基づいて、駆動装置11を制御するように構成されている。
【0028】
制御装置13は、入力部131、処理部132および出力部133を備えている。入力部131は、画像データIDを受け付けるインターフェースとして構成されている。画像データIDがアナログデータである場合、入力部131は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。
【0029】
処理部132は、画像データIDに基づいて、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの状態を判断するように構成されている。処理部132は、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの状態に基づいて、駆動装置11を制御するための制御信号CSを出力部133から出力する。制御信号CSの各々は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。制御信号CSがアナログ信号である場合、出力部133は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0030】
例えば、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFのうち最下層に位置する部分は、サプライボビン20の胴部21の表面に押し付けられているので、変形などが発生している場合がある。したがって、この場合、サプライボビン20に光ファイバFの最後の1層すべてが残っている状態で光ファイバFの繰り出しを終了させることが好ましい。
【0031】
処理部132は、画像データIDに基づいて、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの最上部(露出している層)が残り2層目から1層目に変わり始めたと判断すると、光ファイバFの状態は光ファイバFの繰り出しを終了させる状態であると判断する。そして、処理部132は、光ファイバFの最後の1層目がサプライボビン20にすべて残っている間に、サプライボビン20の回転を停止させる制御信号CSを出力部133から出力する。駆動装置11は、制御信号CSに基づいてサプライボビン20の回転を停止させる。
【0032】
例えば、図2に示されるように、サプライボビン20の胴部21に巻かれている光ファイバFの巻きピッチPが光ファイバFの外径Dよりも大きい場合、光ファイバFの繰り出しが進行しサプライボビン20に巻かれている光ファイバFの層数が少なくなると、サプライボビン20の胴部21の一部が露出され始める。光ファイバFの巻きピッチPが例えば0.4mmおよび光ファイバFの外径Dが例えば0.25mmである場合、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの最上部が残り2層目から1層目に変わり始めると、サプライボビン20の胴部21が露出され始める。そして光ファイバFの繰り出しが進行するにつれて、露出されるサプライボビン20の胴部21の領域が大きくなる。
【0033】
処理部132は、例えばサプライボビン20の胴部21の画像における光ファイバFから露出されている胴部21の領域の面積と閾値との比較に基づいて、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの最上部が残り2層目から1層目に変わり始めたと判断する。閾値は、光ファイバFの外径D、光ファイバFの巻きピッチP、光ファイバFの巻き方などに基づいて適宜設定されうる。
【0034】
上記のような構成によれば、光ファイバFが繰り出されているときのサプライボビン20の胴部21に巻かれている光ファイバFの状態に基づいて、サプライボビン20の回転が制御される。例えば、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの状態に基づいて、サプライボビン20の回転を停止させて、光ファイバFの繰り出しを終了させることができる。これにより、サプライボビン20から繰り出された光ファイバFの長さに基づいて光ファイバFの繰り出しを終了する場合と比べて、光ファイバFの歩留まりを高めることができる。
【0035】
制御装置13は、光ファイバFが繰り出されているときのサプライボビン20の胴部21の画像における光ファイバFの領域とサプライボビン20の胴部21の領域との面積比を算出するように構成されうる。制御装置13は、当該面積比に基づいて駆動装置11を制御するように構成されうる。
【0036】
具体的には、制御装置13の処理部132は、画像データIDに基づいて、サプライボビン20の胴部21に巻かれている光ファイバFの領域と光ファイバFが繰り出されることにより露出されたサプライボビン20の胴部21の領域との面積比を算出する。処理部132は、算出された面積比に基づいて、サプライボビン20の胴部21に巻かれている光ファイバFの状態を判断する。処理部132は、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの状態に基づいて、駆動装置11を制御するための制御信号CSを出力部133から出力する。
【0037】
例えば、処理部132は、算出された面積比が変化した場合、サプライボビン20の胴部21が露出され始めたと判断する。あるいは、処理部132は、算出された面積比と閾値との比較に基づいて、サプライボビン20の胴部21に巻かれている光ファイバFの状態を判断してもよい。閾値は、光ファイバFの外径D、光ファイバFの巻きピッチP、光ファイバFの巻き方などに基づいて適宜設定されうる。
【0038】
このような構成によれば、算出された面積比の値に応じて、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの状態を把握できる。
【0039】
なお、制御装置13は、上記面積比の代わりに、画像における明るさやRGB情報に基づいて駆動装置11を制御するように構成されてもよい。例えば、制御装置13は、画像に含まれる画素全体の明るさやRGB値を算出し、算出された明るさやRGB値と閾値との比較により、サプライボビン20の胴部21に巻かれている光ファイバFの状態を判断する。閾値は、光ファイバFがサプライボビン20に複数層巻かれている状態の画像、光ファイバFがサプライボビン20に最後の1層のみ巻かれている状態の画像、およびサプライボビン20の胴部21が露出した状態の画像に含まれる画素全体の明るさやRGB値の情報などに基づいて適宜設定されうる。
【0040】
図1に破線で示されるように、撮像装置12は、光ファイバFが繰り出されているときのサプライボビン20の胴部21の回転軸方向Aの端部を撮像するように構成されうる。これにより、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの折り返し部分(繰り出し層が切り替わる部分)を撮像できるので、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの層数の変化を把握できる。例えばサプライボビン20に巻かれている光ファイバFの最上部が2層目から1層目に変わり始めたことを把握できる。
【0041】
図3に例示されるように、撮像装置12は、サプライボビン20の胴部21の回転軸方向Aの両端部に配置された二つの撮像装置121,122を有するように構成されうる。これにより、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの状態をより正確に判断することができる。
【0042】
また、このような構成において、制御装置13は、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの状態が光ファイバFの繰り出しを終了させる前の状態であると判断した場合、駆動装置11によりサプライボビン20の回転を減速させるように構成されてもよい。
【0043】
例えば、制御装置13の処理部132は、撮像装置121,122の一方により取得された画像データIDに基づいて、光ファイバFの最上部が2層目から1層目に変化していると判断すると、サプライボビン20の回転を減速させるための制御信号CSを出力部133から出力させる。駆動装置11は、制御信号CSに基づいて、サプライボビン20の回転を減速させる。そして、処理部132は、撮像装置121,122の他方により取得された画像データIDに基づいて、光ファイバFの最上部が2層目から1層目に変化していると判断すると、サプライボビン20の回転を停止させるための制御信号CSを出力部133から出力させる。駆動装置11は、制御信号CSに基づいて、サプライボビン20の回転を停止させる。このような構成によれば、光ファイバFの繰り出しを終了させる前にサプライボビン20の回転が減速されるので、繰り出し終了位置を精度よく調整することができる。
【0044】
これまで説明した各機能を有する処理部132は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。プロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバからダウンロードされて汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。
【0045】
処理部132は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。処理部132は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0046】
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0047】
撮像装置12として、複数のセンサが一列に配置されたラインセンサカメラが使用されてもよい。例えば、ラインセンサカメラは、センサ列方向をサプライボビン20の回転軸方向Aに合わせて配置される。ラインセンサカメラは、サプライボビン20の回転に伴って連続的に撮影するように構成されうる。サプライボビン20の胴部21および胴部21に巻かれている光ファイバFの表面が曲面状の場合でも、ラインセンサカメラを用いることにより、焦点ずれを防止できる。
【0048】
サプライボビン20の胴部21の外周面にはクッション層が設けられてもよい。光ファイバFはクッション層を介してサプライボビン20の胴部21に巻かれるので、サプライボビン20に巻かれている光ファイバFの最後の1層目の部分の変形を抑制できる。この場合、制御装置13は、サプライボビン20に巻かれた光ファイバFの最後の1層目が繰り出され始めてから最後の1層目のすべての部分が繰り出されるまでの間に、光ファイバFの繰り出しが終了するように、駆動装置11を制御してもよい。このような構成により、歩留まりをさらに高めることができる。
【0049】
サプライボビン20は、サプライボビン20の少なくとも胴部21の表面の色が光ファイバFの色と異なるように形成されうる。例えば、サプライボビン20は、胴部21の表面が黒色になるように形成される。このような構成によれば、制御装置13は、画像における光ファイバFの色とサプライボビン20の胴部21の色との違いに基づいて、光ファイバFとサプライボビン20の胴部21とを容易に判別できる。
【0050】
サプライボビン20は、胴部21が光沢のない表面を有するように形成されうる。このような構成によれば、光ファイバFの表面は光沢を有しているので、画像における光沢の違いに基づいて、サプライボビン20の胴部21と光ファイバFを容易に判別できる。
【0051】
図4に例示されるように、光ファイバの繰り出し装置10は、繰り出しローラユニット14、往復移動機構15および位置センサ16を備えうる。繰り出しローラユニット14は、サプライボビン20から繰り出される光ファイバFを一定の方向から繰り出させる。繰り出しローラユニット14は、サプライボビン20から繰り出される光ファイバFをガイドする繰り出しローラ141を有している。繰り出しローラユニット14は、サプライボビン20の回転軸方向Aへサプライボビン20に対して相対的に往復移動可能なように構成されている。
【0052】
往復移動機構15は、繰り出しローラユニット14をサプライボビン20の回転軸方向Aへサプライボビン20に対して相対的に往復移動させる。位置センサ16は、サプライボビン20の回転軸方向Aにおける光ファイバFの繰り出し位置を検知する。
【0053】
制御装置13は、位置センサ16により検知された光ファイバFの繰り出し位置に基づいて、繰り出しローラ141への光ファイバFの入線角度を一定に維持するように、往復移動機構15を制御するように構成される。
【0054】
制御装置13は、繰り出しローラ141の往復移動回数情報と、光ファイバFが繰り出されているときのサプライボビン20の胴部21の画像に基づいて、駆動装置11を制御するように構成されうる。例えば、制御装置13は、繰り出しローラ141の往復移動回数情報と連動させて、片側への移動ごとに撮像された画像同士を比較する。制御装置13は、片側へ移動する前の画像と片側へ移動した後の画像の比較により、例えばサプライボビン20に巻かれている光ファイバFが最後の1層であることを判断する。
【0055】
本実施形態では、制御装置13は、ボビンに巻かれている光ファイバの状態が光ファイバの繰り出しを終了させる状態であると判断した場合に、駆動装置11を制御している。しかしながら、制御装置13は、繰り出し終了時に限らず、画像に基づいて光ファイバFの繰り出しに異常が発生したと判断した場合に、駆動装置11を制御するように構成されうる。
【符号の説明】
【0056】
10: 光ファイバの繰り出し装置
11:駆動装置
12、121、122:撮像装置
13:制御装置
14:繰り出しローラユニット
15:往復移動機構
16:位置センサ
20:サプライボビン
21:胴部
22:鍔部
131:入力部
132:処理部
133:出力部
141:繰り出しローラ
A:回転軸方向
CS:制御信号
D:外径
F:光ファイバ
ID:画像データ
P:ピッチ
図1
図2
図3
図4