(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166610
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】調光モジュール
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20221026BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1345
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071932
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 正明
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA04
2H088HA05
2H088MA20
2H092GA13
2H092GA41
2H092GA42
2H092GA44
2H092GA48
2H092GA55
2H092PA01
2H092RA10
(57)【要約】
【課題】調光モジュールの給電電極の間における発熱を回避可能な技術を提供する。
【解決手段】調光フィルム13の一対の透明導電フィルムの一方の透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、第1給電電極1-1が備えられており、もう一方の透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、第2給電電極2-1が備えられ、それらの給電電極は、調光フィルムの平面視において、調光フィルムの一つの辺14に隣接して配置され、給電電極の間を通り、前記辺を始点とし、その辺と対向する辺15に向かう方向の給電電極の長さより長く、前記辺からその辺と対向する辺までの中間点までの距離より短い切断線12-1によって、少なくとも一対の透明導電フィルムのいずれかと、調光層と、が分断されることにより、第1給電電極から第2給電電極に至る導電パスが長くなっていることを特徴とする調光モジュール10-1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルム上に透明導電膜が形成された一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱度が変化する調光層を挟持した調光フィルムの端部に、少なくとも一対の給電電極を備えた調光モジュールであって、
前記調光フィルムの一対の透明導電フィルムは、第1および第2透明導電フィルムからなり、
第1透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、少なくとも第1給電電極が備えられており、
第2透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、少なくとも第2給電電極が備えられており、
前記第1給電電極と前記第2給電電極は、前記調光フィルムの平面視において、該調光フィルムの一つの辺に沿って隣接して配置されており、
前記第1給電電極と前記第2給電電極の間を通り、それらの給電電極が設けられている前記調光フィルムの前記辺を始点とし、その辺と対向する辺に向かう方向における前記第1給電電極と前記第2給電電極の長さより長く、前記辺から前記辺と対向する辺までの中間点までの距離より短い切断線によって、少なくとも前記第1または前記第2透明導電フィルムのいずれかと、前記調光層と、が分断されることにより、前記第1給電電極から前記第2給電電極に至る導電パスが長くなっていることを特徴とする調光モジュール。
【請求項2】
透明フィルム上に透明導電膜が形成された一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱度が変化する調光層を挟持した調光フィルムの端部に、少なくとも一対の給電電極を備えた調光モジュールであって、
前記調光フィルムの一対の透明導電フィルムは、第1および第2透明導電フィルムからなり、
第1透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、すくなくとも第1給電電極が備えられており、
第2透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、すくなくとも第2給電電極が備えられており、
前記第1給電電極と前記第2給電電極とは、前記調光フィルムの平面視において、該調光フィルムの隣接する二つの辺に個別に配置されており、
隣接する二つの辺によって挟まれた頂点を通る切断線によって、少なくとも前記第1または前記第2透明導電フィルムのいずれかと、前記調光層と、が分断されることにより、前記第1給電電極から前記第2給電電極に至る導電パスが長くなっていることを特徴とする調光モジュール。
【請求項3】
透明フィルム上に透明導電膜が形成された一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱度が変化する調光層を挟持した調光フィルムの端部に、少なくとも二対の給電電極を備えた調光モジュールであって、
前記調光フィルムの一対の透明導電フィルムは、第1および第2透明導電フィルムからなり、
第1透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、少なくとも第1給電電極と第3給電電極が備えられており、
第2透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、少なくとも第2給電電極と第4給電電極が備えられており、
前記第1給電電極~前記第4給電電極は、前記調光フィルムの平面視において、該調光フィルムの一つの辺に沿って隣接して配置されており、
前記第1給電電極と前記第2給電電極の間および前記第2給電電極と第3給電電極の間および第3給電電極と第4給電電極の間をそれぞれ通り、それらの給電電極が設けられている前記調光フィルムの前記辺を始点とし、その辺と対向する辺に向かう方向における前
記第1給電電極と前記第2給電電極と前記第3給電電極と前記第4給電電極の長さより長く、前記辺から前記辺と対向する辺までの中間点までの距離より短い切断線によって、少なくとも前記第1または前記第2透明導電フィルムのいずれかと、前記調光層と、が分断されることにより、前記第1給電電極と前記第2給電電極および前記第2給電電極と第3給電電極および前記第3給電電極と第4給電電極との導電パスが長くなっていることを特徴とする調光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光モジュールの電極構造に関する。さらに詳しくは、調光モジュールの調光フィルムに給電する電極間における発熱問題を回避可能な調光モジュールの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に例示したように、調光モジュール10´は、主たる構成要素の調光フィルム13に、少なくとも、一対の給電電極である裏面電極1´と表面電極2´が備えられた構成となっている。また、裏面電極1´には駆動電源に接続された接続配線であるケーブル3-1が、表面電極2´には駆動電源に接続された接続配線であるケーブル3-2が、それぞれ接続されている。
【0003】
調光フィルム13は、
図5および
図6に例示したように、透明フィルム5-1の表面に透明導電膜6-1が形成された第1透明導電フィルム9-1の透明導電膜6-1と、透明フィルム5-2の表面に透明導電膜6-2が形成された第2透明導電フィルム9-2の透明導電膜6-2と、の間に調光層11が挟持された積層体である。
【0004】
このような調光フィルム13の端部に、裏面電極1´(
図5)と表面電極2´(
図6)が備えられている。
【0005】
図5に示したように、裏面電極1´は、例えば、調光モジュール10´の端部において、第2透明導電フィルム9-2と調光層11を除去した部位に露出した第1透明導電フィルム9-1の透明導電膜6-1の上に、導電性粘着剤層7を介して銅箔8が接着された構成となっている。
【0006】
また、
図6に例示したように、表面電極2´は、例えば、調光モジュール10´の端部において、第1透明導電フィルム9-1と調光層11を除去した部位に露出した第2透明導電フィルム9-2の透明導電膜6-2の上に、導電性粘着剤層7を介して銅箔8が接着された構成となっている。
【0007】
調光モジュール10´は、これらの裏面電極1´と表面電極2´に駆動電圧を印加することによって、調光層11の光散乱度を変化させることによって透明/不透明を切り替え可能となっている。
【0008】
このような調光モジュール10´の裏面電極1´と表面電極2´が最も近接した領域(
図4において、発熱領域4として示した。)において、調光モジュール10´の大型化に伴う駆動電圧の高電圧化によって、発熱領域4が発熱する問題が生じている。調光層11は、本来は電気的に絶縁性の液晶材料である。しかしながら、現実には液晶材料には様々な汚染があり、特にイオン性の汚染によるイオン電流が流れることによりジュール熱が発生していると考えられる。
【0009】
この発熱問題は、調光モジュール10´の大型化に伴う駆動電圧の高電圧化により、急激に発熱量が増加(電圧の2乗に比例して増加)するため、大型化を進める際の障害になっている。
【0010】
このような調光モジュールの発熱問題に関連する先行技術としては、特許文献1に、調光シートを駆動可能とする温度の下限値を引き下げ可能にした調光装置を提供することを
課題とした先行技術が開示されている。具体的には、調光装置の駆動装置が、液晶分子の分極方向を変える第1電圧を電極間に印加する第1動作と、前記第1電圧の極性を反転させる第2電圧を前記電極間に印加する第2動作と、前記第1透明電極を発熱させる電圧を前記第1端子間に印加する加熱動作と、をそれぞれ所定期間の単位動作として周期的に繰り返し、前記単位動作の繰り返しには、前記第1動作と前記第2動作とを交互に繰り返すことが含まれる調光装置を開示している。しかしながら、この技術は、調光モジュールに給電する給電電極間における発熱問題を解決する技術とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の事情に鑑み、本発明は、調光モジュールの隣接する給電電極の間の領域における発熱問題を回避可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、透明フィルム上に透明導電膜が形成された一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱度が変化する調光層を挟持した調光フィルムの端部に、少なくとも一対の給電電極を備えた調光モジュールであって、
前記調光フィルムの一対の透明導電フィルムは、第1および第2透明導電フィルムからなり、
第1透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、少なくとも第1給電電極が備えられており、
第2透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、少なくとも第2給電電極が備えられており、
前記第1給電電極と前記第2給電電極は、前記調光フィルムの平面視において、該調光フィルムの一つの辺に沿って隣接して配置されており、
前記第1給電電極と前記第2給電電極の間を通り、それらの給電電極が設けられている前記調光フィルムの前記辺を始点とし、その辺と対向する辺に向かう方向における前記第1給電電極と前記第2給電電極の長さより長く、前記辺から前記辺と対向する辺までの中間点までの距離より短い切断線によって、少なくとも前記第1または前記第2透明導電フィルムのいずれかと、前記調光層と、が分断されることにより、前記第1給電電極から前記第2給電電極に至る導電パスが長くなっていることを特徴とする調光モジュールである。
【0014】
また、第2の態様は、透明フィルム上に透明導電膜が形成された一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱度が変化する調光層を挟持した調光フィルムの端部に、少なくとも一対の給電電極を備えた調光モジュールであって、
前記調光フィルムの一対の透明導電フィルムは、第1および第2透明導電フィルムからなり、
第1透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、すくなくとも第1給電電極が備えられており、
第2透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、すくなくとも第2給電電極が備えられており、
前記第1給電電極と前記第2給電電極とは、前記調光フィルムの平面視において、該調光フィルムの隣接する二つの辺に個別に配置されており、
隣接する二つの辺によって挟まれた頂点を通る切断線によって、少なくとも前記第1または前記第2透明導電フィルムのいずれかと、前記調光層と、が分断されることにより、前記第1給電電極から前記第2給電電極に至る導電パスが長くなっていることを特徴とする調光モジュールである。
【0015】
また、第2の態様は、透明フィルム上に透明導電膜が形成された一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱度が変化する調光層を挟持した調光フィルムの端部に、少なくとも二対の給電電極を備えた調光モジュールであって、
前記調光フィルムの一対の透明導電フィルムは、第1および第2透明導電フィルムからなり、
第1透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、少なくとも第1給電電極と第3給電電極が備えられており、
第2透明導電フィルムの透明導電膜の端部には、少なくとも第2給電電極と第4給電電極が備えられており、
前記第1給電電極~前記第4給電電極は、前記調光フィルムの平面視において、該調光フィルムの一つの辺に沿って隣接して配置されており、
前記第1給電電極と前記第2給電電極の間および前記第2給電電極と第3給電電極の間および第3給電電極と第4給電電極の間をそれぞれ通り、それらの給電電極が設けられている前記調光フィルムの前記辺を始点とし、その辺と対向する辺に向かう方向における前記第1給電電極と前記第2給電電極と前記第3給電電極と前記第4給電電極の長さより長く、前記辺から前記辺と対向する辺までの中間点までの距離より短い切断線によって、少なくとも前記第1または前記第2透明導電フィルムのいずれかと、前記調光層と、が分断されることにより、前記第1給電電極と前記第2給電電極および前記第2給電電極と第3給電電極および前記第3給電電極と第4給電電極との導電パスが長くなっていることを特徴とする調光モジュールである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の調光モジュールによれば、調光フィルムの1つの辺に、平面視で一対の給電電極(裏面電極と表面電極)が隣接して配置されている。平面視で、調光フィルムの裏面電極と表面電極の間には、一対の給電電極が配置されている調光フィルムの辺と、その辺と対向する辺に向かう方向における裏面電極と表面電極の長さ以上で、且つ一対の給電電極が配置されている調光フィルムの辺と、その辺と対向する辺との距離の1/2の長さ以下の切断線が、一対の給電電極が配置されている調光フィルムの辺を始点とし、一対の給電電極が配置されている調光フィルムの辺と、その辺と対向する辺に向かう方向に沿って形成されている。この切断線は、調光フィルムを構成する一対の透明導電フィルムと調光層のうち、全てを分断しているか、いずれか一方の透明導電フィルムと調光層を分断していることにより、一対の給電電極間の導電パスの長さが、切断線が形成されていない場合と比べて長くなる。そのため、一対の給電電極間の電気抵抗値が増大し、流れる電流値を減少させ、発熱を抑制することができる。このことにより、一対の給電電極間で発熱する問題を解決することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態における調光モジュールの電極構造を例示する上面説明図。
【
図2】本発明の第2実施形態における調光モジュールの電極構造を例示する上面説明図。
【
図3】本発明の第3実施形態における調光モジュールの電極構造を例示する上面説明図。
【
図4】従来の調光モジュールの電極構造を例示する上面説明図。
【
図5】調光モジュールの電極構造のうち、裏面電極を例示する断面説明図。
【
図6】調光モジュールの電極構造のうち、表面電極を例示する断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
本発明の調光モジュールの第1実施形態について、
図1、
図5および
図6を用いて説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の調光モジュール10-1は、透明フィルム上に透明導電膜が形成された一対の透明導電フィルムの透明導電膜側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱度が変化する調光層を挟持した調光フィルム13の端部に、少なくとも一対の給電電極(第1給電電極(裏面電極)1-1、第2給電電極(表面電極)2-1)を備えた調光モジュールである。一対の給電電極(第1給電電極(裏面電極)1-1、第2給電電極(表面電極)2-1)に、それぞれ駆動電源または駆動回路に接続されたケーブル3-1、3-2がそれぞれはんだ付けされることによって、本発明の調光モジュール10-1が駆動可能となる。第1給電電極(裏面電極)1-1と第2給電電極(表面電極)2-1の詳細な構造は、
図5と
図6に例示した。すなわち、裏面電極1-1は、第1透明導電フィルム9-1の端部において露出した透明導電膜6-1上に、導電性粘着剤層7を介して銅箔8が接着され、その銅箔8上にハンダ16によってケーブル3-1がはんだ付けされている。また、表面電極1-1と表面電極2-1の詳細な構造は、
図5と
図6に例示した。すなわち、裏面電極1-1は、第1透明導電フィルム9-1の端部において露出した透明導電膜6-1上に、導電性粘着剤層7を介して銅箔8が接着され、その銅箔8上にハンダ16によってケーブル3-1がはんだ付けされている。また、表面電極2-1は、第2透明導電フィルム9-2の端部において露出した透明導電膜6-2上に、導電性粘着剤層7を介して銅箔8が接着され、その銅箔8上にハンダ16によってケーブル3-2がはんだ付けされている。なお、裏面電極1-1は第1給電電極、表面電極2-1は第2給電電極とも呼ぶこととする。
【0020】
調光フィルム13の一対の透明導電フィルムは、第1透明導電フィルム9-1および第2透明導電フィルム9-2からなる(
図5参照)。なお、調光フィルム13の層構成は、従来の調光モジュール10´と本発明の調光モジュール10-1、10-2、10-3において同じであるため、以後、
図5または
図6を使用して調光モジュール10-1、10-2、10-3を説明する。
【0021】
第1透明導電フィルム9-1の透明導電膜6-1の端部には、少なくとも裏面電極(第1給電電極)1-1が備えられている。また、第2透明導電フィルム9-2の透明導電膜6-2の端部には、少なくとも表面電極(第2給電電極)2-1が備えられている。
【0022】
第1給電電極1-1と第2給電電極2-1は、調光フィルム13の平面視において、調光フィルム13の一つの辺に沿って隣接して配置されている。第1給電電極1-1と第2給電電極2-1は、調光フィルム13の一つの辺に沿って配置されていなくても駆動することは可能であるが、施工現場における作業性が良くなることや美観上の点から、このようにすることが通常である。
【0023】
さらに、第1給電電極1-1と第2給電電極2-1の間を通り、それらの給電電極1-1、2-1が設けられている調光フィルム13の辺14を始点とし、その辺14と対向する辺15に向かう方向における第1給電電極1-1と第2給電電極2-1の長さより長く、辺14から辺14と対向する辺15までの中間点までの距離より短い切断線12-1によって、少なくとも第1透明導電フィルム9-1または第2透明導電フィルム9-2のいずれかと、調光層11と、が分断されることにより、第1給電電極1-1から第2給電電極2-1に至る導電パスが長くなっていることが特徴である。
【0024】
なお、辺14から辺14と対向する辺15までの中間点とは、辺14と辺15の距離の半分の距離にある点であっても良い。また、辺14と辺15の間において、辺14と対向する辺15に向かう方向における第1給電電極1-1と第2給電電極2-1より辺15側に位置する点であっても良い。すなわち、第1給電電極1-1から第2給電電極2-1に至る導電パスを、それらの給電電極間を最短距離で結んだ時の導電パスより長くすることができる点である。
【0025】
このように、第1給電電極1-1から第2給電電極2-1に至る導電パスが長くなることにより、第1給電電極1-1から第2給電電極2-1間の電気抵抗値が高くなるため、電気抵抗値と反比例して、発熱量第1給電電極1-1から第2給電電極2-1間の領域における発熱量を減少させることができる。
【0026】
なお、切断線12-1は、調光フィルム13を切断するものであっても良いし、第1透明導電フィルム9-1または第2透明導電フィルム9-2のいずれかと、調光層11と、を切断するものであっても良い。
【0027】
このように、切断線12-1によって調光層11が外気に暴露されるため、切断線12-1を、封止樹脂を用いて封止することが望ましい。封止樹脂としては、透明フィルム5-1、5-2と同等の屈折率を持つ封止樹脂を使用することで、切断線12-1を視認不能とすることができる。
【0028】
(透明フィルム)
透明フィルム5-1、5-2は、可視光透過率が80%以上の透明な樹脂フィルムまたはガラスフィルムまたはこれらの複合材料であれば使用することができ、特に限定する必要は無い。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを好適に使用することができる。
【0029】
(透明導電膜)
透明導電膜6-1、6-2としては、化学的に安定であり、可視光透過率が80%以上の透明な導電膜であれば特に限定する必要は無い。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)薄膜を好適に使用することができる。
【0030】
(調光層)
調光層11としては、電圧を印加することによって、光の散乱度が変化し、透明/不透明を切り替え可能な材料であれば使用することができる。調光層11は、適切な電圧を印加することによって透明になり、電圧を切ると不透明になるノーマルモードの調光材料からなるものと、適切な電圧を印加することによって不透明になり、電圧を切ると透明になるリバースモードの調光材料からなるものが知られている。本発明においてはいずれであっても構わない。
【0031】
(導電性粘着剤層)
導電性粘着剤層7としては、透明導電膜6-1、6-2との十分な接着力を有し、十分低い電気抵抗によって銅箔8を接着可能な粘着材料であれば特に限定する必要は無く、市販されている各種の導電性粘着剤や、それらを使用した両面テープを使用することができる。
【0032】
(銅箔)
銅箔8としては、市販されている箔状の銅であれば特に限定する必要は無い。例えば、
各種の電解銅箔や圧延銅箔を使用することができる。
【0033】
(ケーブル)
ケーブル3-1、3-2としては、導線として銅やアルミニウムを使用し、絶縁性の樹脂層が被覆されているものであれば使用することができる。また、調光モジュール10-1がドアなどの可動性の物品に取り付けられる場合に、ケーブル3-1、3-2が恒常的に力を受ける環境となる。そのような場合には、太い単線ケーブルより、導線として細い銅線を使用した撚線からなるものを使用することが望ましい。
【0034】
<第2実施形態>
次に、本発明の調光モジュールの第2実施形態について、
図2、
図5および
図6を用いて説明する。
【0035】
図2に示すように、本発明の調光モジュール10-2は、第1給電電極1-2と第2給電電極2-2とが、調光フィルム13の平面視において、その調光フィルム13の隣接する二つの辺14、17に個別に配置されている。
【0036】
隣接する二つの辺14、17によって挟まれた頂点18を通る切断線12-2によって、少なくとも第1透明導電フィルム9-1または第2透明導電フィルム9-2のいずれかと、調光層11(
図5、
図6参照)と、が分断されることにより、第1給電電極1-2から第2給電電極2-2に至る導電パスが長くなっていることが特徴である。以上の点を除き、第1実施形態と同様である。
【0037】
第1給電電極1-2から第2給電電極2-2に至る導電パスが長くなることにより、第1給電電極1-1から第2給電電極2-1間の電気抵抗値が高くなるため、電気抵抗値と反比例して、第1給電電極1-1から第2給電電極2-1間の領域における発熱量を減少させることができる。
【0038】
<第3実施形態>
次に、本発明の調光モジュールの第3実施形態について、
図3、
図5および
図6を使用して説明する。
【0039】
図3に示すように、本発明の調光モジュール10-3は、透明フィルム5-1、5-2上に透明導電膜6-1、6-2が形成された一対の透明導電フィルム9-1、9-2の透明導電膜6-1、6-2側を内側にして、印加する電圧によって光の散乱度が変化する調光層11を挟持した調光フィルム13の端部に、少なくとも二対の給電電極である第1給電電極(裏面電極)1-3-1、第2給電電極(表面電極)2-3-1および第3給電電極(裏面電極)1-3-2、第4給電電極(表面電極)2-3-2を備えた調光モジュールである。
【0040】
裏面電極である第1給電電極1-3-1と第3給電電極1-3-2には、駆動電源または駆動回路に接続されたケーブル3-1-1とケーブル3-1-2が、
図5に示したように、透明導電膜6-1が露出した部位に導電性粘着剤層7を介して接着された銅箔8上に、ハンダ16によってはんだ付けされ、駆動可能となっている。また、表面電極である第2給電電極2-3-1と第4給電電極2-3-2には、駆動電源または駆動回路に接続されたケーブル3-2-1とケーブル3-2-2が、
図6に示したように、透明導電膜6-1が露出した部位に導電性粘着剤層7を介して接着された銅箔8上に、ハンダ16によってはんだ付けされ、駆動可能となっている。
【0041】
前記調光フィルム13の一対の透明導電フィルムは、第1透明導電フィルム9-1およ
び第2透明導電フィルム9-2(
図5、
図6参照)からなる。
【0042】
第1透明導電フィルム9-1の透明導電膜6-1の端部には、少なくとも第1給電電極1-3-1と第3給電電極1-3-2が備えられている。
【0043】
第2透明導電フィルム9-2の透明導電膜6-2の端部には、少なくとも第2給電電極2-3-1と第4給電電極2-3-2が備えられている。
【0044】
第1給電電極1-3-1~第4給電電極2-3-2は、調光フィルム13の平面視において、その調光フィルム13の一つの辺14に沿って隣接して配置されている。
【0045】
第1給電電極1-3-1と第2給電電極2-3-1の間および第2給電電極2-3-1と第3給電電極1-3-2の間および第3給電電極1-3-2と第4給電電極2-3-2の間をそれぞれ通り、それらの給電電極が設けられている調光フィルム13の辺14を始点とし、その辺14と対向する辺15に向かう方向における第1給電電極1-3-1と第2給電電極2-3-1と第3給電電極1-3-2と第4給電電極2-3-2の長さより長く、辺14から辺14と対向する辺15までの中間点までの距離より短い切断線12-3-1、12-3-2、12-3-3によって、少なくとも第1透明導電フィルム9-1または第2透明導電フィルム9-2のいずれかと、調光層11と、が分断されることにより、第1給電電極1-3-1と第2給電電極2-3-1および第2給電電極2-3-1と第3給電電極1-3-2および第3給電電極1-3-2と第4給電電極2-3-2との導電パスが長くなっている。
【0046】
これらのことによって、第1給電電極1-3-1から第2給電電極2-3-1間および第2給電電極2-3-1と第3給電電極1-3-2の間および第3給電電極1-3-2と第4給電電極2-3-2の間の電気抵抗値が高くなるため、電気抵抗値と反比例して、第1給電電極1-3-1から第2給電電極2-3-1間および第2給電電極2-3-1と第3給電電極1-3-2の間および第3給電電極1-3-2と第4給電電極2-3-2の間の領域における発熱量を減少させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1-1、1-2、1-3-1、1-3-2、1´・・・裏面電極(給電電極)
2-1、2-2、2-3-1、2-3-2、2´・・・表面電極(給電電極)
3-1、3-2、3-1-1、3-1-2、3-2-1、3-2-2・・・ケーブル
4・・・発熱領域
5-1、5-2・・・透明フィルム
6-1、6-2・・・透明導電膜
7・・・導電性粘着剤層
8・・・銅箔
9-1・・・第1透明導電膜
9-2・・・第2透明導電膜
10-1、10-2、10-3、10´・・・調光モジュール
11・・・調光層
12-1、12-2、12-3-1、12-3-2、12-3-3・・・透明導電膜の切断線
13・・・調光フィルム
14、17・・・(調光フィルムの)辺
15・・・(辺14と対向する)辺
16・・・ハンダ