(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166623
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】膝継手、膝継手発電方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/64 20060101AFI20221026BHJP
H02K 7/18 20060101ALI20221026BHJP
A61F 2/74 20060101ALI20221026BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
A61F2/64
H02K7/18 A
A61F2/74
B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071956
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩明
(72)【発明者】
【氏名】三輪 真吾
【テーマコード(参考)】
3C707
4C097
5H607
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707AS38
3C707CY36
3C707HS09
3C707HS13
3C707HS27
3C707KS16
3C707KS21
3C707KS23
3C707KS33
3C707LV22
3C707MT03
3C707MT11
3C707XK03
3C707XK06
3C707XK13
3C707XK27
4C097AA07
4C097BB02
4C097BB06
4C097BB08
4C097CC18
4C097TA06
4C097TB08
4C097TB20
5H607AA12
5H607BB02
5H607CC05
5H607FF21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】膝継手の動作において発生する抵抗を利用して回生電力を得ることができる膝継手、を提供する。
【解決手段】膝継手1は大腿部側に設けられる大腿接続部1Aと、前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部1Bと、大腿接続部1Aと下腿部1Bとに連結されたシリンダ1C(流体圧シリンダ)と、を備える。前記シリンダ1Cには、発電部が設けられており、前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿部側に設けられる大腿接続部と、
前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、
前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する発電部と、を備える膝継手。
【請求項2】
作動流体が流通し前記抵抗を発生させる流体回路を備え、
前記発電部は、前記作動流体の流通に基づいて発電する、
請求項1記載の膝継手。
【請求項3】
前記発電部は、前記作動流体により駆動され発電するギヤモータを備える、
請求項2に記載の膝継手。
【請求項4】
前記流体回路は、前記作動流体の流通に基づいて前記抵抗を調整する制御弁を備える、
請求項2または3に記載の膝継手。
【請求項5】
前記制御弁の動作を制御するとともに前記発電部により発電された電力を利用して動作する制御部を備える、
請求項4に記載の膝継手。
【請求項6】
前記流体回路は、前記作動流体により動作する流体圧シリンダと、前記流体圧シリンダ内を移動するピストンにより仕切られた前記流体圧シリンダ内の第1ポートと第2ポートとを接続するとともに前記発電部が途中に設けられた発電流路と、を備える、
請求項5に記載の膝継手。
【請求項7】
前記発電流路内に設けられ、前記発電流路を流れる前記作動流体の流量と圧力損失により生じる差圧との関係を制御する前記制御弁を備える、
請求項6に記載の膝継手。
【請求項8】
前記発電流路は、前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する他の流路を備え、
前記他の流路には、流通する前記作動流体の流量と圧力損失により生じる差圧との関係を制御する他の制御弁が設けられている、
請求項7に記載の膝継手。
【請求項9】
前記発電流路は、前記第1ポートから前記第2ポートへと前記作動流体が流通し前記作動流体の流量を調整する第1並列制御弁を有する第1並列流路と、
前記第2ポートから前記第1ポートへと前記作動流体が流通し前記作動流体の流量を調整する第2並列制御弁を有する第2並列流路と、を備え、
前記制御部は、前記第1並列制御弁又は前記第2並列制御弁を独立に制御し前記発電部への前記作動流体の流量方向について流量を調整する、
請求項6から8のいずれか1項に記載の膝継手。
【請求項10】
前記第1並列流路において前記第2ポートから前記第1ポートへの前記作動流体の流通を制限する第1逆止弁と、
前記第2並列流路において前記第1ポートから前記第2ポートへの前記作動流体の流通を制限する第2逆止弁と、を備える、
請求項9に記載の膝継手。
【請求項11】
前記発電流路は、前記発電部が途中に設けられた中間流路の一端側と前記第1ポートとを接続する第1流路と、
前記中間流路の前記一端側と前記第2ポートとを接続する第2流路と、
前記中間流路の他端側と前記第1ポートとを接続する第3流路と、
前記中間流路の前記他端側と前記第2ポートとを接続する第4流路と、を備え、
前記第1流路には、前記作動流体の流量を調整する第1制御弁が設けられ、
前記第2流路には、前記作動流体の流量を調整する第2制御弁が設けられ、
前記第3流路には、前記第1ポートから前記中間流路への流通方向における前記作動流体の流通を制限すると共に、前記中間流路から前記第1ポートへの流通方向における前記作動流体の流通を許容する第3逆止弁が設けられ、
前記第4流路には、前記第2ポートから前記中間流路への流通方向における前記作動流体の移動を制限すると共に、前記中間流路から前記第2ポートへの流通方向における前記作動流体の流通を許容する第4逆止弁が設けられる、
請求項6から10のいずれか1項に記載の膝継手。
【請求項12】
前記発電流路は、前記発電部が途中に設けられた中間流路の一端側と前記第2ポートとを並列に接続する第1流路および第2流路と、前記中間流路の他端側と前記第1ポートとを並列に接続する第3流路および第4流路とを備え、
前記第1流路には、前記作動流体の流量を調整する第1制御弁が設けられ、
前記第3流路には、前記作動流体の流量を調整する第2制御弁が設けられ、
前記第2流路には、前記中間流路から前記第2ポートへの前記作動流体の流通を許容すると共に、前記第2ポートから前記中間流路への前記作動流体の流通を制限する第3逆止弁が設けられ、
前記第4流路には、前記中間流路から前記第1ポートへの前記作動流体の流通を許容すると共に、前記第1ポートから前記中間流路への前記作動流体の流通を制限する第4逆止弁が設けられる、
請求項6から10のいずれか1項に記載の膝継手。
【請求項13】
前記中間流路の前記一端側と前記他端側とを接続するバイパス流路と、
前記バイパス流路に設けられ、前記バイパス流路を流通する前記作動流体の流量を調整するバイパス制御弁またはバイパスリリーフ弁と、を備える、
請求項12に記載の膝継手。
【請求項14】
前記制御弁の動作を制御するとともに前記発電部により発電された電力を利用して動作する制御部を備え、
前記制御部は、前記発電部が発生する発電抵抗に比して弱い抵抗を発生させる場合、前記他の制御弁を任意に調整し、前記発電抵抗に比して強い抵抗を発生させる場合、前記制御弁を任意に調整する、
請求項8に記載の膝継手。
【請求項15】
大腿部側に設けられる大腿接続部と、
前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、
前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する発電部と、
前記発電部が設けられ前記抵抗を発生させる作動流体が流通する流体回路と、
前記流体回路に設けられ前記作動流体の流通に基づいて前記抵抗を調整する制御弁と、
前記制御弁の動作を制御するとともに前記発電部により発電された電力を利用して動作する制御部と、
前記流体回路に設けられた前記作動流体により動作する流体圧シリンダと、
前記流体圧シリンダ内を移動するピストンにより仕切られた前記流体圧シリンダ内の第1ポートと第2ポートとを接続するとともに前記発電部が途中に設けられた発電流路と、を備え、
前記発電流路は、前記発電部が途中に設けられた中間流路の一端側と前記第1ポートとを接続する第1流路と、
前記中間流路の前記一端側と前記第2ポートとを接続する第2流路と、
前記中間流路の他端側と前記第1ポートとを接続する第3流路と、
前記中間流路の前記他端側と前記第2ポートとを接続する第4流路と、を備え、
前記第1流路には、前記作動流体の流量を調整する第1制御弁が設けられ、
前記第2流路には、前記作動流体の流量を調整する第2制御弁が設けられ、
前記第3流路には、前記第1ポートから前記中間流路への流通方向における前記作動流体の流通を制限すると共に、前記中間流路から前記第1ポートへの流通方向における前記作動流体の流通を許容する第3逆止弁が設けられ、
前記第4流路には、前記第2ポートから前記中間流路への流通方向における前記作動流体の移動を制限すると共に、前記中間流路から前記第2ポートへの流通方向における前記作動流体の流通を許容する第4逆止弁が設けられる、
膝継手。
【請求項16】
大腿部側に設けられる大腿接続部と、
前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、
前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する発電部と、
前記発電部が設けられ前記抵抗を発生させる作動流体が流通する流体回路と、
前記流体回路に設けられ前記作動流体の流通に基づいて前記抵抗を調整する制御弁と、
前記制御弁の動作を制御するとともに前記発電部により発電された電力を利用して動作する制御部と、
前記流体回路に設けられた前記作動流体により動作する流体圧シリンダと、
前記流体圧シリンダ内を移動するピストンにより仕切られた前記流体圧シリンダ内の第1ポートと第2ポートとを接続するとともに前記発電部が途中に設けられた発電流路と、を備え、
前記発電流路は、前記発電部が途中に設けられた中間流路の一端側と前記第2ポートとを並列に接続する第1流路および第2流路と、前記中間流路の他端側と前記第1ポートとを並列に接続する第3流路および第4流路と、
前記発電部の前記一端側と前記他端側とを接続するバイパス流路と、を備え、
前記第1流路には、前記作動流体の流量を調整する第1制御弁が設けられ、
前記第3流路には、前記作動流体の流量を調整する第2制御弁が設けられ、
前記第2流路には、前記中間流路から前記第2ポートへの前記作動流体の流通を許容すると共に、前記第2ポートから前記中間流路への前記作動流体の流通を制限する第3逆止弁が設けられ、
前記第4流路には、前記中間流路から前記第1ポートへの前記作動流体の流通を許容すると共に、前記第1ポートから前記中間流路への前記作動流体の流通を制限する第4逆止弁が設けられ、
前記バイパス流路には、前記バイパス流路を流通する前記作動流体の流量を調整するバイパス制御弁またはバイパスリリーフ弁が設けられている、
膝継手。
【請求項17】
大腿部側に設けられる大腿接続部と、前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、を備える膝継手において、前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する、
膝継手発電方法。
【請求項18】
大腿部側に設けられる大腿接続部と、前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、を備える膝継手において、前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗の抵抗値を制御装置に制御させて発電する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の動きに基づいて発電する膝継手、膝継手発電方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、大腿部シャフトと下腿部シャフトと義足足部と関節と接続部分とを備える補装具(義足)について記載されている。特許文献1に記載されている補装具では、有効な膝モーメントを決定するモーメントセンサが関節に設けられ、屈曲抵抗および伸展抵抗を提供する抵抗手段が下腿部シャフトに設けられている。各々の抵抗手段は、センサデータおよびセンサデータの評価に基づいて制御される。このような義足は、内部に設けられた電源によりセンサや制御装置に電力が供給されることにより油圧機器等の内部装置が制御される。そのため、内部装置を備える義足は、電源が消費した所定のタイミングにおいて充電する必要がある。特許文献2には、義足の屈曲動作において発電し蓄電池に充電する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-510605号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0202057号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
義足は、ユーザの使用時において発電装置があっても本来の機能を損なわず、歩きやすい義足に構成されていることが望ましい。特許文献2に記載された技術によれば、屈曲動作において充電した電力を用いて伸展動作を行うため、発電パターンが限定される。
【0005】
本発明は、膝継手の動作において発生する抵抗を利用して回生電力を得ることができる膝継手、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、大腿部側に設けられる大腿接続部と、前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する発電部と、を備える膝継手である。
【0007】
また、本発明は、作動流体が流通し前記抵抗を発生させる流体回路を備え、前記発電部は、前記作動流体の流通に基づいて発電してもよい。
【0008】
また、本発明は、前記発電部は、前記作動流体により駆動され発電するギヤモータを備えていてもよい。
【0009】
また、本発明の前記流体回路は、前記作動流体の流通に基づいて前記抵抗を調整する制御弁を備えていてもよい。
【0010】
また、本発明は、前記制御弁の動作を制御するとともに前記発電部により発電された電力を利用して動作する制御部を備えていてもよい。
【0011】
また、本発明の前記流体回路は、前記作動流体により動作する流体圧シリンダと、前記流体圧シリンダ内を移動するピストンにより仕切られた前記流体圧シリンダ内の第1ポートと第2ポートとを接続するとともに前記発電部が途中に設けられた発電流路と、を備えていてもよい。
【0012】
また、本発明の前記発電流路内に設けられ、前記発電流路を流れる前記作動流体の流量と圧力損失により生じる差圧との関係を制御する制御弁を備えていてもよい。
【0013】
また、本発明の前記発電流路は、前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する他の流路を備え、前記他の流路には、流通する前記作動流体の流量と圧力損失により生じる差圧との関係を制御する他の制御弁が設けられていてもよい。
【0014】
また、本発明の前記発電流路は、前記第1ポートから前記第2ポートへと前記作動流体が流通し前記作動流体の流量を調整する第1並列制御弁を有する第1並列流路と、前記第2ポートから前記第1ポートへと前記作動流体が流通し前記作動流体の流量を調整する第2並列制御弁を有する第2並列流路と、を備え、前記制御部は、前記第1並列制御弁又は前記第2並列制御弁を独立に制御し前記発電部への前記作動流体の流量方向について流量を調整してもよい。
【0015】
また、本発明前記 第1発電流路において前記第2ポートから前記第1ポートへの前記作動流体の流通を制限する第1逆止弁と、前記第2発電流路において前記第1ポートから前記第2ポートへの前記作動流体の流通を制限する第2逆止弁と、を備えていてもよい。
【0016】
また、本発明の前記発電流路は、前記発電部が途中に設けられた中間流路の一端側と前記第1ポートとを接続する第1流路と、前記中間流路の前記一端側と前記第2ポートとを接続する第2流路と、前記中間流路の他端側と前記第1ポートとを接続する第3流路と、前記中間流路の前記他端側と前記第2ポートとを接続する第4流路と、を備え、前記第1流路には、前記作動流体の流量を調整する第1制御弁が設けられ、前記第2流路には、前記作動流体の流量を調整する第2制御弁が設けられ、前記第3流路には、前記第1ポートから前記中間流路への流通方向における前記作動流体の流通を制限すると共に、前記中間流路から前記第1ポートへの流通方向における前記作動流体の流通を許容する第3逆止弁が設けられ、前記第4流路には、第2ポートから前記中間流路への流通方向における前記作動流体の移動を制限すると共に、前記中間流路から前記第2ポートへの流通方向における前記作動流体の流通を許容する第4逆止弁が設けられていてもよい。
【0017】
また、本発明の前記発電流路は、前記発電部が途中に設けられた中間流路の一端側と前記第2ポートとを並列に接続する第1流路および第2流路と、前記中間流路の他端側と前記第1ポートとを並列に接続する第3流路および第4流路とを備え、前記第1流路には、前記作動流体の流量を調整する第1制御弁が設けられ、前記第3流路には、前記作動流体の流量を調整する第2制御弁が設けられ、前記第2流路には、前記中間流路から前記第2ポートへの前記作動流体の流通を許容すると共に、前記第2ポートから前記中間流路への前記作動流体の流通を制限する第3逆止弁が設けられ、前記第4流路には、前記中間流路から前記第1ポートへの前記作動流体の流通を許容すると共に、前記第1ポートから前記中間流路への前記作動流体の流通を制限する第4逆止弁が設けられていてもよい。
【0018】
また、本発明の前記中間流路の前記一端側と前記他端側とを接続するバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ、前記バイパス流路を流通する前記作動流体の流量を調整するバイパス制御弁またはバイパスリリーフ弁と、を備えていてもよい。
【0019】
本発明は、前記制御弁の動作を制御するとともに前記発電部により発電された電力を利用して動作する制御部を備え、前記制御部は、前記発電部が発生する発電抵抗に比して弱い抵抗を発生させる場合、前記他の制御弁を任意に調整し、前記発電抵抗に比して強い抵抗を発生させる場合、前記制御弁を任意に調整してもよい。
【0020】
本発明の一態様は、大腿部側に設けられる大腿接続部と、前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する発電部と、前記発電部が設けられ前記抵抗を発生させる作動流体が流通する流体回路と、前記流体回路に設けられ前記作動流体の流通に基づいて前記抵抗を調整する制御弁と、前記制御弁の動作を制御するとともに前記発電部により発電された電力を利用して動作する制御部と、前記流体回路に設けられた前記作動流体により動作する流体圧シリンダと、前記流体圧シリンダ内を移動するピストンにより仕切られた前記流体圧シリンダ内の第1ポートと第2ポートとを接続するとともに前記発電部が途中に設けられた発電流路と、を備え、前記発電流路は、前記発電部が途中に設けられた中間流路の一端側と前記第1ポートとを接続する第1流路と、前記中間流路の前記一端側と前記第2ポートとを接続する第2流路と、前記中間流路の他端側と前記第1ポートとを接続する第3流路と、前記中間流路の前記他端側と前記第2ポートとを接続する第4流路と、を備え、前記第1流路には、前記作動流体の流量を調整する第1制御弁が設けられ、前記第2流路には、前記作動流体の流量を調整する第2制御弁が設けられ、前記第3流路には、前記第1ポートから前記中間流路への流通方向における前記作動流体の流通を制限すると共に、前記中間流路から前記第1ポートへの流通方向における前記作動流体の流通を許容する第3逆止弁が設けられ、前記第4流路には、第2ポートから前記中間流路への流通方向における前記作動流体の移動を制限すると共に、前記中間流路から前記第2ポートへの流通方向における前記作動流体の流通を許容する第4逆止弁が設けられる、膝継手である。
【0021】
本発明の一態様は、大腿部側に設けられる大腿接続部と、前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する発電部と、前記発電部が設けられ前記抵抗を発生させる作動流体が流通する流体回路と、前記流体回路に設けられ前記作動流体の流通に基づいて前記抵抗を調整する制御弁と、前記制御弁の動作を制御するとともに前記発電部により発電された電力を利用して動作する制御部と、前記流体回路に設けられた前記作動流体により動作する流体圧シリンダと、前記流体圧シリンダ内を移動するピストンにより仕切られた前記流体圧シリンダ内の第1ポートと第2ポートとを接続するとともに前記発電部が途中に設けられた発電流路と、を備え、前記発電流路は、前記発電部が途中に設けられた中間流路の一端側と前記第2ポートとを並列に接続する第1流路および第2流路と、前記中間流路の他端側と前記第1ポートとを並列に接続する第3流路および第4流路と、前記発電部の前記一端側と前記他端側とを接続するバイパス流路と、を備え、前記第1流路には、前記作動流体の流量を調整する第1制御弁が設けられ、前記第3流路には、前記作動流体の流量を調整する第2制御弁が設けられ、前記第2流路には、前記中間流路から前記第2ポートへの前記作動流体の流通を許容すると共に、前記第2ポートから前記中間流路への前記作動流体の流通を制限する第3逆止弁が設けられ、前記第4流路には、前記中間流路から前記第1ポートへの前記作動流体の流通を許容すると共に、前記第1ポートから前記中間流路への前記作動流体の流通を制限する第4逆止弁が設けられ、前記バイパス流路には、前記バイパス流路を流通する前記作動流体の流量を調整するバイパス制御弁またはバイパスリリーフ弁が設けられている膝継手である。
【0022】
本発明の一態様は、大腿部側に設けられる大腿接続部と、前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、を備える膝継手において、前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗を用いて発電する、膝継手発電方法である。
【0023】
本発明の一態様は、大腿部側に設けられる大腿接続部と、前記大腿接続部に対して回転可能に連結された下腿部と、を備える膝継手において、前記大腿接続部に対する前記下腿部の回転において発生する抵抗の抵抗値を制御装置に制御させて発電する、プログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、膝継手の動作において発生する抵抗を利用して回生電力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る膝継手の構成を示す断面図である。
【
図2】膝継手のシリンダの構成を概略的に示す図である。
【
図3】膝継手を制御する制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】発電部を有するシリンダの液圧回路の構成を概略的に示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る液圧回路の構成を概略的に示す図である。
【
図6】膝継手1の抵抗を調整する制御方法を示すフローチャートである。
【
図7】第3実施形態に係る液圧回路の構成を概略的に示す図である。
【
図8】屈曲動作時の液圧回路の動作を示す図である。
【
図9】屈曲動作の減速、停止時のアイドリング回路の動作を示す図である。
【
図10】伸展動作時の液圧回路の動作を示す図である。
【
図11】伸展動作の減速、停止時のアイドリング回路の動作を示す図である。
【
図12】第4実施形態に係る液圧回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態に係る膝継手の基本構成について説明する。
【0027】
図1に示されるように、膝継手1は、使用者(膝継手1の装着者)の大腿から下部の身体を補う装置である。膝継手1は、大腿に接続される大腿接続部1Aと、大腿接続部1Aに回転可能に連結された下腿部1Bと、大腿接続部1Aと下腿部1Bとに連結されたシリンダ1C(流体圧シリンダ)と、を備える。大腿接続部1Aと下腿部1Bとの間の前方には、前部リンク部11が回転可能に連結されている。大腿接続部1Aと下腿部1Bとの間の後方には、後部リンク部12が回転可能に連結されている。膝継手1は、後述の制御装置10(
図3参照)により制御される。制御装置10は、膝継手1内の任意の位置に設けられている。
【0028】
前部リンク部11の上方は、第1軸13を介して大腿接続部1Aに回転可能に連結されている。前部リンク部11の下方は、第3軸15を介して下腿部1Bに回転可能に連結されている。後部リンク部12の上方は、第2軸14を介して大腿接続部1Aに回転可能に連結されている。後部リンク部12の下方は、第4軸16を介して下腿部1Bに回転可能に連結されている。
【0029】
大腿接続部1Aには、使用者の大腿部の下端に装着されるソケット(例えば特開2017-6339号公報の
図1参照)が接続される。下腿部1Bは、上記構成により、前部リンク部11及び後部リンク部12が膝軸に対応する回転機構となり、大腿接続部1Aに対して回転する。つまり、大腿接続部1Aと下腿部1Bと前部リンク部11と後部リンク部12とは、4節リンクを構成している。その結果、上述したように、下腿部1Bは、大腿接続部1Aに対して膝軸(仮想軸)まわりに回転可能である。
【0030】
大腿接続部1Aと下腿部1Bとの回転は、伸縮自在なシリンダ1C(流体圧シリンダ)により制限または補助されている。シリンダ1Cは、脹脛に相当する位置に配置されている。シリンダ1Cの上端は、大腿接続部1Aに回転可能に連結されている。シリンダ1Cの下端は、下腿部1Bに回転可能に連結されている。シリンダ1Cは、略倒立して設けられたシリンダチューブ1C1と、シリンダチューブ1C1内に移動自在に設けられたピストン1C2と、ピストン1C2の上方に連結されたピストンロッド1C3とを備える。シリンダ1Cは、大腿接続部1A側に設けられていてもよい。
【0031】
シリンダチューブ1C1は、有底の円筒形に形成されている。シリンダチューブ1C1の上端は、蓋1CFにより閉塞されている。蓋1CFの中心には、貫通孔1CHが形成されている。貫通孔には、ピストンロッド1C3が挿入されている。シリンダチューブ1C1の下端部は、下腿部1B側に連結部1C13を介して回転可能に連結されている。シリンダチューブ1C1の内部は、円板状に形成されたピストン1C2により仕切られている。ピストン1C2は、例えば、シリンダチューブ1C1の内径より若干小さい外形に形成されている。シリンダチューブ1C1は、円筒形以外の形状に形成されていてもよい。
【0032】
ピストン1C2の上面には、ピストンロッド1C3の下端が連結されている。ピストンロッド1C3は、円柱状に形成されている。ピストンロッド1C3は、貫通孔1CHからシリンダチューブ1C1の外部に突出している。ピストンロッド1C3の上端は、大腿接続部1Aに連結部1C13を介して回転可能に連結されている。
【0033】
上記構成により膝継手1は、下腿部1Bが大腿接続部1Aに対して回転し、回転に連動してピストンロッド1C3がシリンダチューブ1C1に対して伸縮する。このとき、ピストン1C2がシリンダチューブ1C1の内部を移動する際に抵抗が生じるため、シリンダ1Cは、下腿部1Bが大腿接続部1Aに対して回転する際の抵抗を与える。
【0034】
図2に示されるように、シリンダ1Cには、抵抗を制御するための流体回路が設けられている。シリンダチューブ1C1の内部は、ピストン1C2により仕切られている。シリンダチューブ1C1の内部は、ピストン1C2により仕切られた空間のうちピストンロッド1C3の側に位置する第1ポート1C11と、ピストン1C2を隔ててピストンロッド1C3の反対側の空間に位置する第2ポート1C12とが画定されている。
【0035】
シリンダチューブ1C1の内部は、作動流体が充填されている。作動流体は、例えば、作動油である。作動流体は、作動油以外の流体であってもよい。第1ポート1C11と第2ポート1C12とは、作動流体が流通する流路1Q1により接続されている。流路1Q1には、伸展側バルブ1Gと伸展側逆止弁1G1とが直列に接続されている。伸展側バルブ1Gと伸展側逆止弁1G1との接続順は入れ替えられてもよい。また、第1ポート1C11と第2ポート1C12とは、作動流体が流通する流路1Q2により接続されている。流路1Q2には、屈曲側バルブ1Hと屈曲側逆止弁1H1とが直列に接続されている。屈曲側バルブ1Hと屈曲側逆止弁1H1との接続順は入れ替えられてもよい。
【0036】
図3には、膝継手1を制御する制御装置10の構成が示されている。制御装置10は、例えば、検知部1Dと、制御部1Eと、伸展側バルブ1Gと、伸展側逆止弁1G1と、屈曲側バルブ1Hと、屈曲側逆止弁1H1と、バッテリ1Jと、バッテリ状態取得部1Kと、発電部20とを備えている。発電部20については後述する。
【0037】
検知部1Dは、膝継手1の姿勢や負荷状態及び大腿接続部1Aと下腿部1Bとの相対位置に関する情報を直接又は間接的に取得する。検知部1Dは、例えば特開2017-6339号公報の
図2に記載された膝角度センサ、6軸慣性センサ、荷重センサなどを有することによって、膝継手1の姿勢や負荷状態及び大腿接続部1Aと下腿部1Bとの相対位置に関する情報を取得する。他の例では、検知部1Dが、例えば特開2019-180887号公報の
図2に記載された位置検出部のように距離を計測することによって大腿接続部1Aと下腿部1Bとの相対位置に関する情報を取得したり、例えば特開2019-180887号公報の
図6に記載された位置検出部のように傾斜角度を計測することによって膝継手1の姿勢や負荷状態及び大腿接続部1Aと下腿部1Bとの相対位置に関する情報を取得したりしてもよい。
【0038】
制御部1Eは、検知部1Dの検知結果に基づいてシリンダ1Cの抵抗を制御する。制御部1Eは、検知部1Dの検知結果から使用者の動作の状態を推定する。即ち、制御部1Eは、使用者の動作の状態に応じた抵抗を発生するようにシリンダ1Cの抵抗を制御する。制御部1Eは、発電部20により発電された電力を利用して動作する。制御部1Eは、供給される電力を安定させるため、発電部20により発電された電力をバッテリ1Jに充電し、バッテリ1Jに蓄電された電力に基づいて動作する。
【0039】
伸展側バルブ1Gは、流路1Q1の作動流体の流通量を調整し、シリンダ1Cの伸長を制限する。伸展側バルブ1Gの調整により第1ポート1C11から第2ポート1C12への作動流体の流れが規制され、膝継手1の伸展が制限される。伸展側バルブ1Gの開度は、制御部1Eによって制御される。伸展側バルブ1Gの開度が減少させられる場合には、シリンダチューブ1C1の第1ポート1C11内の作動流体が、伸展側バルブ1Gを介して第2ポート1C12に流入しづらくなる。
【0040】
つまり、伸展側バルブ1Gの開度が減少させられる場合には、シリンダ1Cが伸長しづらくなり、膝継手1が伸展しづらくなる。すなわち、膝継手1の伸展を制限する必要がある場合に、制御部1Eは、伸展側バルブ1Gの開度を減少させる。伸展側逆止弁1G1は、伸展側バルブ1Gの開弁時に第2ポート1C12内の流体が伸展側バルブ1Gを介して第1ポート1C11に逆流することを防止する。
【0041】
屈曲側バルブ1Hは、流路1Q2の作動流体の流通量を調整し、シリンダ1Cの縮小を制限する。屈曲側バルブ1Hの調整により第2ポート1C12から第1ポート1C11への作動流体の流れが規制され、膝継手1の屈曲が制限される。屈曲側バルブ1Hの開度は、制御部1Eによって制御される。屈曲側バルブ1Hの開度が減少させられる場合には、シリンダチューブ1C1の第2ポート1C12内の流体が、屈曲側バルブ1Hを介して第1ポート1C11に流入しづらくなる。
【0042】
つまり、屈曲側バルブ1Hの開度が減少させられる場合には、シリンダ1Cが縮小しづらくなり、膝継手1が屈曲しづらくなる。すなわち、膝継手1の屈曲を制限する必要がある場合に、制御部1Eは、屈曲側バルブ1Hの開度を減少させる。屈曲側逆止弁1H1は、屈曲側バルブ1Hの開弁時に第1ポート1C11内の流体が屈曲側バルブ1Hを介して第2ポート1C12に逆流することを防止する。
【0043】
制御部1Eは、検知部1Dの検知結果に基づいて各種の演算処理を行う。バッテリ1Jは、例えば検知部1D、制御部1Eなどのような膝継手1を構成する部分(詳細には、電力を消費して作動する部分)に電力を供給する。バッテリ状態取得部1Kは、バッテリ1Jの状態(例えば充電率(SOC)(残量)、容量、開回路電圧、開回路電位などのデータ)を取得する。バッテリ1Jは、発電部20において発生した発電電力を蓄電する。バッテリ1Jの蓄電量は、バッテリ状態取得部1Kにより取得されたデータに基づいて制御部1Eにより制御され、荷重電や過放電が防止される。バッテリ1Jは、例えば、二次電池により構成されている。バッテリ1Jは、コンデンサ、キャパシタにより構成されていてもよい。
【0044】
制御部1Eは、使用者の動作の状態として、使用者が歩行状態であるか非歩行状態であるか、あるいは歩行状態であるとき、歩行のどの局面(遊脚相屈曲期、遊脚相伸展期、立脚相など)であるかを、検知部1Dの検知結果に基づいて推定する。制御部1Eは、使用者の歩行局面が遊脚相屈曲期である場合には、屈曲抵抗を小さく制御し、立脚相である場合には、屈曲抵抗を大きく制御する。また、制御部1Eは、使用者の動作の状態が非歩行状態であると推定した場合、膝継手1を例えば最大屈曲モード、自転車フリーモード、着座フリーモード、セーフティロックモード、立位静止モードなどに設定する。
【0045】
上記実施形態において、流路1Q1及び流路1Q2は、無くてもよい。この場合、制御部1Eは、屈曲動作或いは伸展動作において流路1Q3を流通する作動流体の流量を発電部20の発電抵抗を調整することにより調整してもよい。即ち、制御部1Eは、発電部20におけるギヤモータの端子間に発生する発電抵抗あるいはPWM(Pulse Width Modulation)制御等に基づくギヤモータへの導通時間を調整し、ギヤモータの回転抵抗を変化させてもよい。
【0046】
上述した様に、膝継手1によれば、屈曲或いは伸展の動作において発生する抵抗を用いて発電し、回生電力を膝継手1の電源電力として利用することができる。膝継手1によれば、屈曲或いは伸展の動作の抵抗を発生させる流体回路に流通する作動流体のエネルギーを利用して電力を発生させることができる。
【0047】
[第1実施形態]
以下、膝継手1における発電部20について説明する。
図4に示されるように、膝継手1におけるシリンダ1Cには、発電部20が設けられている。発電部20は、身体の膝関節における屈曲動作および伸展動作のうちいずれか1つにおいて発生する抵抗を用いて電力を発生する。発電部20は、例えば、大腿接続部1Aと下腿部1Bとを回転自在に連結する膝軸まわりの回転において発生する抵抗を用いて発電する。
図4の例では、発電部20は、シリンダ1Cが短縮する屈曲動作において発電すると共に、シリンダ1Cが伸長する伸展動作において発電するように構成されている。
【0048】
シリンダ1Cは、作動流体が流通する流体回路1Q(油圧回路)を備える。流体回路1Qは、作動流体の圧力損失により生じる差圧を発生させることで、シリンダ1Cに抵抗を発生させる。作動流体の抵抗は、発電部20の一方側接続された流路の圧力と、他方側に接続された流路の圧力との圧力損失により生じる差圧に基づいて発生する。流体回路1Qにおいて発生する抵抗力は、この差圧にピストン1C2の面積を乗じることで算出される。
【0049】
流体回路1Qは、作動流体により動作するシリンダ1Cと、シリンダ1C内を移動するピストン1C2により仕切られたシリンダ1C内の第1ポート1C11と第2ポート1C12とを接続すると共に発電部20が途中に設けられた流路1Q3(発電流路)と、他の流路とを備える。他の流路には、例えば、流路1Q1(第1並列流路)と、流路1Q2(第2並列流路)とが設けられている。流路1Q3は、第1ポート1C11と第2ポート1C12とを接続している。流体回路1Qにおいて、流路1Q3から見て他の流路である流路1Q1、流路1Q2は、並列に設けられている。流路1Q1と流路1Q2とが設けられていることにより、伸展動作或いは屈曲動作において発生する抵抗に基づいて発電することができる。
【0050】
ピストンロッド1C3の伸長時において作動流体は、第1ポート1C11から吐出され、流路1Q3及び流路1Q1を流通して第2ポート1C12へと還流する。ピストンロッド1C3の短縮時において作動流体は、第2ポート1C12から吐出され、流路1Q3及び流路1Q2を流通して第1ポート1C11へ還流する。流路1Q1及び流路1Q2は、流路1Q3に並行するバイパス流路である。流路1Q1には、後述の制御弁(伸展側バルブ1G)が接続されている。流路1Q2には、後述の制御弁(屈曲側バルブ1H)が接続されている。流路1Q3に流通する作動流体に基づいて発電部20において発電される。発電部20における抵抗は、伸展側バルブ1G又は屈曲側バルブ1Hの開度に基づいて調整される。
【0051】
発電部20は、例えば、流路1Q3の途中に設けられている。発電部20は、作動流体の流通に基づいて発電する。発電部20は、例えば、作動流体により駆動され発電するギヤモータを備える。ギヤモータは、例えば、トロコイドギヤを有するトロコイドポンプや外接歯車式や楕円歯車等のギヤポンプ等のポンプとポンプに接続されたモータとを備える。ギヤモータにより、ポンプの回転を増速して、モータに大きな起電力を発生させることができる。(発電部20にギヤポンプを設けることにより、発電部20を小型化しても大きなトルクが得られると共に、大きな油圧抵抗を発生させることができる。)ギヤモータにより、発電効率を向上させることができる。
【0052】
膝継手1に生じさせる抵抗は、発電部20の発電量に基づいて調整される。発電量は、ギヤモータの端子間に発生する発電抵抗を変化させて調整される、発電抵抗は、ギヤモータの端子間に設けられた制御回路(不図示)に対するPWM(Pulse Width Modulation)制御に基づいて調整される。制御回路は、例えば、ギヤモータの端子間に接続されたFET等のトランジスタ素子により構成されている。制御回路は、トランジスタ素子のON/OFFの時間をPWMで調整することにより、発電部20に生じる発電抵抗が調整される。
【0053】
制御部1Eは、流体回路1Qに発生する抵抗値を制御し、発電部20の発電量を調整する。作動流体の流量は膝の屈曲伸展速度で決まるため、直接制御できない。制御部1Eは、流体回路1Qを流通する作動流体の流量と差圧(圧力損失)の関係を制御弁及び発電部20により調整することで膝継手に発生する抵抗を任意に調整する。制御部1Eは、伸展側バルブ1G(第1並列制御弁)又は屈曲側バルブ1H(第2並列制御弁)を独立に制御し発電部20への作動流体の流量方向について流量を調整する。ここで、差圧は、バルブにより変わる定数×流量^αにより算出される。αは、理論上2である。制御部1Eは、例えば、発電部20におけるギヤモータの端子間に接続された制御回路のON/OFFの時間をPWM制御し、流体回路1Qに流通する作動流体の流量と差圧の関係を調整する。制御部1Eは、発電部20において発生する発電抵抗に加えて制御弁を制御することにより、膝継手1に発生する抵抗を調整する。
【0054】
膝継手1によれば、発電部20にギヤモータが設けられていることにより小型化しても大きなトルクを得ることができ、大きな油圧抵抗を発生させることができる。膝継手1によれば、ギヤモータを有していることにより、ギヤポンプ部の回転が遅い場合でも、ギヤにより増速されるため、モータを高速回転させ、起電力を発生させ、回生電力を得ることができる。また、膝継手1によれば、回生電力の発生に基づいてギヤポンプにおいて大きな油圧抗力を発生させることもできる。膝継手1によれば、屈曲或いは伸展の動作に応じて動作する流体回路において流通する作動流体の抵抗を利用して発電することができる。
【0055】
膝継手1によれば、発電部20に制御弁を接続することにより、発電部20において発生する発電抵抗を任意に調整することができる。膝継手1によれば、発電部20に並列に他の流路と他の制御弁を設けることにより、発電部において発生する発電抵抗に比して弱い抵抗を発生させることができる。膝継手1によれば、発電部20において発生する発電抵抗をギヤモータの端子間へのオン/オフに基づいて調整することができる。膝継手1によれば、他の流路と他の制御弁を設けることにより、ギヤモータにおけるその調整幅を超えて弱い抵抗を発生させることができる。
【0056】
発電部20は、発電部20に発電させた電力を利用して動作してもよいし、バッテリ1Jに充電させてもよい。流体回路1Qにおいて、制御部1Eに制御される制御弁(伸展側バルブ1G及び屈曲側バルブ1H)が設けられている。伸展側バルブ1G、屈曲側バルブ1Hは、流路1Q3に並列に設けられた流路1Q1(第1発電流路)及び流路1Q2(第2発電流路)に接続された並列制御弁である。並列制御弁は、発電部20が発生する抵抗に比して弱い抵抗を発生させる。制御部1Eは、発電部20が発生する前記抵抗R1に比して弱い抵抗を発生させる場合、並列制御弁を任意に調整する。
【0057】
伸展側バルブ1G(第1並列制御弁)は、伸展時(第1ポート1C11が高圧になった時)に圧力を下げるように調整する。屈曲側バルブ1H(第2並列制御弁)は、屈曲時(第2ポート1C12が高圧になった時)に圧力を下げるように調整する。流路1Q1において、伸展側バルブ1Gには伸展側逆止弁1G1(第1逆止弁)が直列に接続されている。伸展側逆止弁1G1は、作動流体を第1ポート1C11から第2ポート1C12への流通方向に流通させ、第2ポート1C12から第1ポート1C11への流通方向の流通を制限する。流路1Q2において、屈曲側バルブ1Hには屈曲側逆止弁1H1(第2逆止弁)が直列に接続されている。伸展側逆止弁1G1と屈曲側逆止弁1H1とが設けられていることにより、伸展動作或いは屈曲動作において発生する抵抗を個別に調整することができる。
【0058】
屈曲側逆止弁1H1は、作動流体を第2ポート1C12から第1ポート1C11への流通方向に流通させ、第1ポート1C11から第2ポート1C12への流通方向の流通を制限する。伸展側バルブ1Gと屈曲側バルブ1Hとは、制御部1Eにより制御され、作動流体の流量と圧力損失により生じる差圧との関係を調整して抵抗を発生する制御弁である。伸展側バルブ1Gが電磁弁である場合、開度は、開閉回数によって調整される。伸展側バルブ1Gが電磁制御弁である場合、開度は、開口量によって調整される。屈曲側バルブ1Hが電磁弁である場合、開度は、開閉回数によって調整される。屈曲側バルブ1Hが電磁制御弁である場合、開度は、開口量によって調整される。
【0059】
流体回路1Qにおいて、発電部20には、作動流体の流量(I1)に基づく抵抗(R1)が発生し、伸展側バルブ1G及び屈曲側バルブ1Hにおいて作動流体の流量(I2)に基づく抵抗(R2)が発生する。流体回路1Qの剛性抵抗は、R1・R2/(R1+R2)である。発電部20における作動流体の流量(I1)は、I1=R2/(R1+R2)である。発電部20における発電量は、R1・I1=R1・R2/(R1+R2)である。
【0060】
流体回路1Qにおいて、伸長動作時は、屈曲側逆止弁1H1により流路1Q2に作動流体が流れず、作動流体が流路1Q3と流路1Q1とを経由して第1ポート1C11から第2ポート1C12の流通方向に流通する。流体回路1Qにおいて、屈曲動作時は、伸展側逆止弁1G1により流路1Q1に作動流体が流れず、作動流体が流路1Q3と流路1Q2とを経由して第2ポート1C12から第1ポート1C11の流通方向に流通する。
【0061】
流体回路1Qにおいて、例えば、伸長動作時或いは屈曲動作時に伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hを全開にすると、流路1Q1或いは流路1Q2に作動流体が抵抗なく流通し、発電部20の抵抗(R1)によらず、流体回路1Qの抵抗が略ゼロになる。この場合、流路1Q3に作動流体が流通せず、発電部20において発電が行われない。膝継手1の動作において、例えば遊脚相屈曲期のように屈曲抵抗を小さくする必要がある場合(素早い動きに対応させる場合)、発電部20が抵抗となるので、伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hを全開にすることにより、流体回路1Qを流路する作動流体の抵抗を略ゼロにすることができる。
【0062】
流体回路1Qにおいて、伸長動作時或いは屈曲動作時に伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hの流量を絞っていくと、抵抗(R2)が増加し、流路1Q3の流量(I1)が増加し、発電部20において発電が行われる。即ち、発電部20は、伸展側逆止弁1G1(第1逆止弁)及び屈曲側逆止弁1H1(第2逆止弁)によって許容された流通方向における作動流体の流通に基づいて発電する。
【0063】
流体回路1Qにおいて、伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hを全閉にすると、流体回路1Qの抵抗は、R1となり、流路1Q3の流量(I1)によって発電部20において発電が行われる。この場合、シリンダ1Cの動きをロックすることができない。
【0064】
上述したように、膝継手1によれば、身体の膝関節における屈曲動作および伸展動作のうちいずれか1つにおいて発生する抵抗を用いて発電部により発電することができる。膝継手1によれば、従来、義足動作において抵抗を発生させるために捨てられていたエネルギーを用いて発電により回生し、内部電源の充電回数を低減すると共に、内部機器の電力を賄うことができる。膝継手1によれば、内部において発電した電力に基づいて制御部が動作するため、膝継手の充電回数を低減または不要とすることができる。膝継手1によれば、人が腿を振るエネルギーに基づいて電力を回生しているので、電力消費量を上回る回生エネルギーを得ることができる。
【0065】
[第2実施形態]
図5に示されるように、流体回路1Qにおいて、流路1Q3には、発電部20に直列に接続された第1制御弁1M(制御弁)が設けられている。第1制御弁1Mは、発電流路内に設けられ、当該流路1Q3を流れる作動流体の流量を制御する。第1制御弁1Mは、発電部20に抵抗を加算させる。第4実施形態と同様に、制御部1Eは、伸展側バルブ1G(第1並列制御弁)又は屈曲側バルブ1H(第2並列制御弁)を独立に制御し発電部20への作動流体の流量方向について流量を調整する。制御部1Eは、発電部20が発生する抵抗R1に比して強い抵抗R1を発生させる場合、第1制御弁1Mを任意に調整する。第1制御弁1Mは、例えば、流路1Q3において発電部20と第2ポート1C12との間に接続されている。第1制御弁1Mは、例えば、流路1Q3において発電部20と第1ポート1C11との間に接続されていてもよい。
【0066】
流体回路1Qにおいて、例えば、伸長動作時或いは屈曲動作時に伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hを全開にすると、流路1Q1或いは流路1Q2に作動流体が抵抗なく流通し、発電部20の抵抗(R1)によらず、流体回路1Qの抵抗が略ゼロになる。この場合、流路1Q3に作動流体が流通せず、発電部20において発電が行われない。流体回路1Qにおいて、伸長動作時或いは屈曲動作時に伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hの流量を絞っていくと、抵抗(R2)が増加し、流路1Q3の流量(I1)が増加し、発電部20において発電が行われる。
【0067】
流体回路1Qにおいて、伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hを全閉にすると共に、第1制御弁1Mを全閉にするとシリンダ1Cの動きをロックすることができる。上記構成により、流体回路1Qにおいて、膝継手1の動作をロック可能なクラッチが実現できる。また、流体回路1Qにより、電源を切った場合でも任意の抵抗力を発生可能とすると共に、小型軽量化を実現できる。
【0068】
流体回路1Qにおいて抵抗をR1以上にする場合、第1制御弁1Mを全開とすると、流路1Q3の流量(I1)によって発電部20において発電が行われ、発電部20に発生する抵抗(R1)に加えて伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hの抵抗(R2)が合成される。
【0069】
次に制御部1Eにおいて実行される流体回路1Qの制御方法の処理について説明する。
【0070】
図6には、制御部1Eにおいて実行される膝継手発電方法における流体回路1Qの制御方法の処理の流れが示されている。制御部1Eは、膝継手1の伸展動作或いは屈曲動作において抵抗が必要であるか否かを判定する(ステップS100)。抵抗が不要な場合(ステップS100:No)、制御部1Eは、第1制御弁1M、伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hの全ての制御弁を全開に開放する(ステップS102)。抵抗が必要な場合(ステップS:Yes)、制御部1Eは、膝継手1の発生抵抗が発電部20に発生する発電抵抗に比して強いか否かを判定する(ステップS104)。
【0071】
発電抵抗に比して強い発生抵抗が必要な場合(ステップS104:Yes)、制御部1Eは、伸展側バルブ1Gあるいは屈曲側バルブ1Hを全閉とし、第1制御弁1Mを調整する(ステップS106)。発電抵抗以下の弱い発生抵抗が必要な場合(ステップS104:No)、制御部1Eは、第1制御弁1Mを全開とし、並列制御弁である伸展側バルブ1G或いは屈曲側バルブ1Hを調整する(ステップS108)。制御部1Eは、各制御弁を調整し屈曲動作或いは伸展動作に基づいて発電部20に発電させる(ステップS110)。
【0072】
上述したように、第2実施形態に係る流体回路1Qによれば、膝継手1の発生抵抗と発電部20において発生する発電抵抗との強さの度合いに基づいて、膝継手1に適切な抵抗を発生させることができる。
【0073】
第2実施形態に係る膝継手1によれば、発電部20に制御弁を接続することにより、発電部20において発生する発電抵抗を任意に調整することができる。膝継手1によれば、発電部20に並列に他の流路と他の制御弁を設けることにより、発電部において発生する発電抵抗に比して弱い抵抗を発生させることができる。膝継手1によれば、発電部20において発生する発電抵抗をギヤモータの端子間へのオン/オフに基づいて調整することができる。膝継手1によれば、他の流路と他の制御弁を設けることにより、ギヤモータにおけるその調整幅を超えて弱い抵抗を発生させることができる。
【0074】
膝継手1によれば、伸展側逆止弁1G1(第1逆止弁)及び屈曲側逆止弁1H1(第2逆止弁)が設けられていることにより、伸展動作或いは屈曲動作において発生する抵抗を個別に調整することができる。膝継手1によれば、流路1Q1(第1発電流路)と流路1Q2(第2発電流路)とが設けられていることにより、伸展動作或いは屈曲動作において発生する抵抗に基づいて発電することができる。
【0075】
[第3実施形態]
第1実施形態、第2実施形態における流体回路1Qにおいて、発電部20に流通する作動流体は、膝継手1の屈曲動作又は伸展動作を切り替えると逆方向に流通していた。発電部20において作動流体の流通に基づいてギヤモータのロータの回転が増速されるため、ロータ部分の回転慣性が大きくなり、ロータの正転と逆転とが繰り返された場合、その都度回転に基づくエネルギーがロスし、発電効率が低下する。発電部20における発電効率を向上させるためには、作動流体の流通方向は一方向であることが望ましい。第3実施形態の流体回路1Qは、発電部20に流通する作動流体の流通方向が一方向であるように構成されている。
【0076】
図7に示されるように、第3実施形態に係る流体回路1Sは、作動流体が流通する発電流路が形成されている。発電流路は、発電部20が途中に設けられた中間流路1SCを備える。中間流路1SCの一端側の接続部21には、第1ポート1C11と接続する第1流路1S1と、第2ポート1C12とを接続する第2流路1S2とが接続されている。中間流路1SCの他端側の接続部22には、第1ポート1C11と接続する第3流路1S3と、第2ポート1C12と接続する第4流路1S4と、が接続されている。
【0077】
第1流路1S1には、作動流体の流量を調整する第1制御弁1Mが設けられている。第2流路1S2には、作動流体の流量を調整する第2制御弁1Nが設けられている。第3流路1S3には、第1ポート1C11から中間流路1SCへの流通方向における作動流体の流通を制限すると共に、中間流路1SCから第1ポート1C11への流通方向における作動流体の流通を許容する第3逆止弁1H2が設けられている。第4流路1S4には、第2ポート1C12から中間流路1SCへの流通方向における作動流体の移動を制限すると共に、中間流路1SCから第2ポート1C12への流通方向における作動流体の流通を許容する第4逆止弁1G2が設けられる。
【0078】
図8に示されるように、流体回路1Sにおいて膝継手1の屈曲動作時に、作動流体は、第2ポート1C12から吐出され、第2制御弁1N、発電部20、第3逆止弁1H2を流通し、第1ポート1C11に還流する。流体回路1Sによれば、第2制御弁1Nを制御することにより膝継手1の抵抗を調整し発電部20において発電することができる。このとき、作動流体は、第1制御弁1Mにも流通するため、第1制御弁1Mを調整して膝継手1の抵抗を調整してもよい。
【0079】
図9に示されるように、流体回路1Sによれば、膝継手1の屈曲動作の減速時や停止時において、作動流体が発電部20を流通して巡回するアイドリング回路が形成される。アイドリング回路は、第2制御弁1N、発電部20、第4逆止弁1G2を繋ぐループ状の流路により形成される。アイドリング回路にて作動流体が流通することにより、屈曲動作が止まっても発電部20において回生モータにブレーキがかからず慣性により回り続けて発電が継続される。発電部20においては、発電部20の回生モータが常に回転し続けるため慣性によるロスが無く発電性能が向上する。
【0080】
図10に示されるように、流体回路1Sによれば、膝継手1の伸展動作時において、作動流体は、第1ポート1C11から吐出され、第1制御弁1M、発電部20、第4逆止弁1G2を流通し、第2ポート1C12に還流する。流体回路1Sによれば、第1制御弁1Mを制御することにより膝継手1の抵抗を調整し発電部20において発電することができる。このとき、発電部20に流通する作動流体の方向は、屈曲動作時の流通方向と同じである。そのため、流体回路1Sによれば、発電部20に流通する作動流体の流通方向が逆転するものに比して発電効率が向上する。
【0081】
発電部20において作動流体の流通方向が一定であるため、発電部20の回生モータにブレーキがかからず発電が継続される。発電部20において、回生モータが常に回転し続けるため慣性によるロスが無く発電性能が向上する。作動流体は、第2制御弁1Nにも流通するため、第2制御弁1Nを調整して膝継手1の抵抗を調整してもよい。
【0082】
図11に示されるように、流体回路1Sによれば、膝継手1の伸展動作の減速時や停止時において、作動流体が発電部20を流通して巡回するアイドリング回路が形成される。
【0083】
アイドリング回路は、発電部20、第3逆止弁1H2、第1制御弁1Mを繋ぐ流路により形成される。
【0084】
アイドリング回路にて作動流体が流通することにより、発電部20において発電部20の回生モータにブレーキがかからず発電が継続される。発電部20においては、発電部20の回生モータが常に回転し続けるため慣性によるロスが無く発電性能が向上する。
【0085】
流体回路1Sによれば、屈曲時において第2制御弁1Nが発電部20に対する直列制御弁であり、第1制御弁1Mが発電部20に対する並列制御弁として作用する。そして、伸展時には、第1制御弁1Mが発電部20に対する直列制御弁であり、第2制御弁1Nが発電部20に対する並列制御弁として作用する。即ち、流体回路1Sは、第2実施形態の流体回路1Q(
図5、
図6参照)と同様の回路構成として作用する。
【0086】
第3実施形態に係る膝継手1によれば、伸展動作或いは屈曲動作において発生する抵抗に基づいて流通する作動流体を発電部20において一定の方向に流通させることができ、発電部20における損失を低減し、発電効率を向上させることができる。
【0087】
[第4実施形態]
図12に示されるように、第4実施形態に係る流体回路1Tは、作動流体が流通する発電流路が形成されている。発電流路は、発電部20が途中に設けられた中間流路1TCを備える。中間流路1TCの一端側の接続部21には、第2ポート1C12と接続された第1流路1T1および第2流路1T2とが並列に接続されている。中間流路1TCの他端側の接続部22には、第1ポート1C11と接続された第3流路1T3および第4流路1T4とが並列に接続されている。中間流路1TCの一端側の接続部21と他端側の接続部22とは、バイパス流路1TBにより接続されている。
【0088】
第1流路1T1には、作動流体の流量を調整する第1制御弁1Mが設けられている。第2流路1T2には、中間流路1TCから第2ポート1C12への作動流体の流通を許容すると共に、第2ポート1C12から中間流路1TCへの作動流体の流通を制限する第3逆止弁1G3が設けられている。第3流路1T3には、作動流体の流量を調整する第2制御弁1Nが設けられている。第4流路1T4には、中間流路1TCから第1ポートへの作動流体の流通を許容すると共に、第1ポート1C11から中間流路1TCへの作動流体の流通を制限する第4逆止弁1H3が設けられている。バイパス流路1TBには、バイパス流路1TBを流通する作動流体の流量を調整するバイパス制御弁1Pが設けられている。バイパス制御弁1Pは、発電部20の中間流路1TCに対する並列制御弁として作用する。
【0089】
膝継手1の屈曲動作時に流体回路1Tにおいて作動流体は、第2ポート1C12から吐出され第1制御弁1M、発電部20、第4逆止弁1H3を流通し、第1ポート1C11に還流する。流体回路1Tによれば、屈曲動作時に、第1制御弁1Mを制御することにより膝継手1の抵抗を調整し発電部20において発電することができる。このとき、作動流体は、第2制御弁1Nにも流通するため、第2制御弁1Nを調整して膝継手1の抵抗を調整してもよい。膝継手1の屈曲動作時にバイパス制御弁1Pを開放すると、作動流体は発電部20を経由せずにバイパス流路1TBを流通して第4逆止弁1H3を経由して第1ポート1C11に流入するため、抵抗が生じなくなる。
【0090】
流体回路1Tにおいて、バイパス制御弁1Pは、伸展時に第2実施形態に係る流体回路1Qにおける伸展側バルブ1Gと同様に作用し、屈曲時に第2実施形態に係る流体回路1Qにおける屈曲側バルブ1Hと同様に作用する。
【0091】
流体回路1Tにおいて、第2制御弁1Nと並列に第4逆止弁1H3が接続されているため、膝継手1の屈曲時における第4逆止弁1H3の抵抗を0とすると、第2制御弁1Nの開閉状態に関わらず作動流体が第4流路1T4を流通するため、流体回路1T全体の抵抗は変化しない。第4実施形態に係る流体回路1Tが適用された膝継手1によれば、屈曲時における屈曲側抵抗が伸展側の抵抗を調整するための第2制御弁1Nの開閉状態に依存しない様に構成することができる。
【0092】
膝継手1の伸展動作時に流体回路1Tにおいて作動流体は、第1ポート1C11から吐出され、第2制御弁1N、発電部20、第3逆止弁1G3を流通し、第2ポート1C12に還流する。流体回路1Tによれば、伸展動作時に、第2制御弁1Nを制御することにより膝継手1の抵抗を調整し発電部20において発電することができる。このとき、作動流体は、第1制御弁1Mにも流通するため、第1制御弁1Mを調整して膝継手1の抵抗を調整してもよい。伸展動作時にバイパス制御弁1Pを開放すると、作動流体は発電部20を経由せずにバイパス流路1TBを流通して第3逆止弁1G3を経由して第2ポート1C12に流入するため、抵抗が生じなくなる。流体回路1Tにおいて、第1制御弁1Mを開閉しても流体回路1Tにおける全体の抵抗は変化しない。
【0093】
バイパス制御弁1Pは、モータにより開閉が制御される制御弁を例示しているが、これに限らず、作動流体の圧力が予め設定された一定以上の圧力となった場合に自動的に閉状態から開放状態となり作動流体を流通させるように構成されたバイパスリリーフ弁であってもよい。
【0094】
第4実施形態に係る膝継手1によれば、伸展動作或いは屈曲動作において発生する抵抗に基づいて流通する作動流体に基づいて発電部20において発電することができ、更に、伸展動作においては第1制御弁に、屈曲動作においては第2制御弁に作動流体が流通するため、抵抗の調整を任意に行うことができる。膝継手1によれば、バイパス流路1TBにおいて並列制御弁として作用するバイパス制御弁1Pを開放することで、発生する抵抗を無くすこともできる。
【0095】
膝継手1によれば、伸展動作においては第1制御弁に、屈曲動作においては第2制御弁に作動流体が流通するため、抵抗の調整を屈曲伸展それぞれ独立に(任意に)行うことができる。また、膝継手1によれば、バイパス流路の並列制御弁を開放することで、発生する抵抗を無くすこともできる。本発明によれば、発電部において発生する抵抗に比して弱い抵抗、強い抵抗のいずれも発生させることができる。
【0096】
上述した制御部1Eは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。これらの各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0097】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。上記実施形態において発電部は、ギヤモータを用いて発電するものを例示した。発電部は、これに限らず、他の発電装置が適用されてもよい。例えば、発電部は、膝継手におけるシリンダ等の伸縮する機構に応じて発電するリニアモータや、膝継手の回転軸に設けられる回生モータ等が用いられてもよい。またピストンロッドにラックを形成し、その伸縮をピニオンギヤで回転に変えてギヤモータに接続し、発電してもよい。
【0098】
上述の各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0099】
上述の各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0100】
1…膝継手、1A…大腿接続部、1B…下腿部、1C…シリンダ、1C1…シリンダチューブ、1C11…第1ポート、1C12…第2ポート、1C13…連結部、1C2…ピストン、1C3…ピストンロッド、1CF…蓋、1CH…貫通孔、1D…検知部、1E…制御部、1G…伸展側バルブ、1G1…伸展側逆止弁、1G2…第4逆止弁、1G3…第3逆止弁、1H…屈曲側バルブ、1H1…屈曲側逆止弁、1H2…第3逆止弁、1H3…第4逆止弁、1J…バッテリ、1K…バッテリ状態取得部、1M…第1制御弁、1N…第2制御弁、1P…バイパス制御弁、1Q…流体回路、1Q1…流路、1Q2…流路、1Q3…流路、1S…流体回路、1S1…第1流路、1S2…第2流路、1S3…第3流路、1S4…第4流路、1SC…中間流路、1T…流体回路、1T1…第1流路、1T2…第2流路、1T3…第3流路、1T4…第4流路、1TB…バイパス流路、1TC…中間流路、2…理論上、10…制御装置、11…前部リンク部、12…後部リンク部、13…第1軸、14…第2軸、20…発電部