IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミツバの特許一覧

<>
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図1
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図2
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図3
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図4
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図5
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図6
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図7
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図8
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図9
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図10
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図11
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図12
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図13
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図14
  • 特開-電子回路基板、及び、オイルポンプ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166634
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】電子回路基板、及び、オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20221026BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20221026BHJP
   H02K 11/33 20160101ALN20221026BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H02K5/22
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071977
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓樹
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 真治
(72)【発明者】
【氏名】神尾 健二
【テーマコード(参考)】
5E338
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5E338BB65
5E338BB72
5E338EE26
5H605BB05
5H605CC01
5H605EC08
5H611TT01
(57)【要約】
【課題】電子回路基板等の破損を少なくする。
【解決手段】切欠きを有する電子回路基板は、前記切欠きを形成する第1辺と、前記第1辺と対向する位置にある第2辺と、前記第1辺を含む第1領域と、前記第2辺を含む第2領域と、前記第1領域、及び、前記第2領域のいずれとも接続して、前記切欠きを跨ぐように組付けて前記電子回路基板の剛性を補強するターミナルとを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切欠きを有する電子回路基板であって、
前記切欠きを形成する第1辺と、
前記第1辺と対向する位置にある第2辺と、
前記第1辺を含む第1領域と、
前記第2辺を含む第2領域と、
前記第1領域、及び、前記第2領域のいずれとも接続して、前記切欠きを跨ぐように組付けて前記電子回路基板の剛性を補強するターミナルと、
を備える電子回路基板。
【請求項2】
前記切欠きは、
前記第1辺、及び、前記第2辺と、
前記第1辺、及び、前記第2辺とも交差する第3辺とによって構成する
矩形、台形、又は、段差を有する形状である、
請求項1に記載の電子回路基板。
【請求項3】
前記切欠きは、
前記第1辺、及び、前記第2辺によって構成する
三角形の形状である、
請求項1に記載の電子回路基板。
【請求項4】
前記切欠きは、
前記第1辺、及び、前記第2辺が、前記切欠きを通過する第1物体、又は、前記ターミナルが有する第2物体に対して、1ミリメートルに安全率を加えた以上の距離となるように形成される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子回路基板。
【請求項5】
前記安全率は、1ミリメートル以上であり、
前記第1辺、及び、前記第2辺が、前記第1物体、又は、前記第2物体に対して2ミリメートル以上離れた距離に形成される、
請求項4に記載の電子回路基板。
【請求項6】
前記切欠きは、前記第1辺、及び、前記第2辺を含む空洞であり、
前記ターミナルは、第1端が前記第1領域に対して第1締結部材で固定され、かつ、第2端が前記第2領域に対して第2締結部材で固定され、
前記第1領域は、前記第1締結部材を貫通する第1スルーホールを形成する前記面の一部となる領域であり、
前記第2領域は、前記第2締結部材を貫通する第2スルーホールを形成する前記面の一部となる領域であり、
前記第1領域、及び、前記第2領域は、前記切欠きを挟んで対向する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子回路基板。
【請求項7】
円形の切欠きを有する電子回路基板であって、
前記切欠きを形成する第1辺と、
前記第1辺を含む第1領域と、
前記第1領域と対向する位置にある第2領域と、
前記第1領域、及び、前記第2領域のいずれとも接続して前記切欠きを跨ぐように組付けて前記電子回路基板の剛性を補強するターミナルと、
を備える電子回路基板。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子回路基板と、
開口部を有し、前記電子回路基板を内部に収容する筐体と、
前記開口部を覆うカバーと、
前記カバーを前記筐体に締結するための締結部材とを備えるオイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板、及び、オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、持続可能な開発のための2030アジェンダ、平成27(2015)年9月25日国連サミット採択、以下「SDGs」という。)の推進に向けた取り組みが行われている。具体的には、持続可能な生産消費形態の確保等のため、不良品の削減等を目指す技術が知られている。
【0003】
また、モータを制御するため、電子回路基板等を配置する構成が知られている。そして、電子回路基板は、例えば、配置されるレイアウト等の都合により、金属基板の外周に直線状の切欠きを形成、又は、挿通孔を形成して、配線等を通す。このように、切欠きを有する電子回路基板を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-55567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術では、切欠き、又は、切欠きの周辺等で不良が発生しやすい。具体的には、切欠き、又は、切欠きの周辺等は、剛性等の特性が低下しやすい。そのため、特許文献1に開示の技術は、振動、又は、熱等を要因として基板が変形すると、電子回路基板には、応力が生じて、電子回路基板が破損しやすい課題がある。
【0006】
本発明は、上記に示す事情に鑑みてなされたもので、破損が少ない電子回路基板等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、切欠きを有する電子回路基板は、
前記切欠きを形成する第1辺と、
前記第1辺と対向する位置にある第2辺と、
前記第1辺を含む第1領域と、
前記第2辺を含む第2領域と、
前記第1領域、及び、前記第2領域のいずれとも接続して、前記切欠きを跨ぐように組付けて前記電子回路基板の剛性を補強するターミナルと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
電子回路基板等の破損を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】オイルポンプ1の例を示す図である。
図2】オイルポンプ1の制約例を示す図である。
図3】オイルポンプ1が収納する物体の例を示す図である。
図4】収納例を示す図である。
図5】断面を示す図である。
図6】オイルポンプ1の内部を示す図である。
図7】電子回路基板20の例を正面から示す図である。
図8】電子回路基板20の例を側面から示す図である。
図9】ターミナルの組み付け例を示す図である。
図10】距離等の例を示す図である。
図11】面取りの例を示す図である。
図12】円形の例を示す図である。
図13】台形の例を示す図である。
図14】三角形の例を示す図である。
図15】オイルポンプ1の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、オイルポンプ1の例を示す図である。以下、図示するようなオイルポンプ1を例に説明する。例えば、オイルポンプ1は、オイルポンプ用筐体カバー10、筐体11、及び、ポンプ部14等を備える。ただし、オイルポンプ1は、オイルポンプ用筐体カバー10、筐体11、及び、ポンプ部14以外の部品を備えてもよい。
【0012】
ポンプ部14は、オイルを吸い上げる、及び、オイルを所定の位置へ送る等といった動作を行う。また、オイルポンプ1には、リリーフバルブ等があってもよい。
【0013】
リリーフバルブは、ポンプの吐出圧力がリリーフバルブのセット圧を超えた場合に、オイルを外部へ吐出する。このように、オイルポンプ1は、ポンプの吐出圧力がリリーフバルブのセット圧を超えた場合に、リリーフバルブを作動させて、オイルを外部に排出する。ゆえに、オイルポンプ1は、ポンプの吐出側における圧力(例えば、ポンプの吐出配管、又は、ケーシング内の圧力等である。)を所定圧以下に抑えられる。
【0014】
オイルポンプ用筐体カバー10は、筐体11に対して、ねじ等の締結部材で取り付けられる。なお、締結部材は、ねじ以外の種類でもよい。特に、締結部材は、シール性を向上させる部材を含むのが望ましい。
【0015】
また、オイルポンプ1の大きさ、種類、又は、扱うオイル等は問わない。例えば、オイルポンプ1は、‐40℃乃至120℃の環境等となる車両用に使用できるオイルポンプ1である。なお、オイルポンプ1は、‐40℃乃至140℃で保存が可能、‐40℃乃至140℃のヒートショック試験をクリア、又は、20Gの振動試験をクリア等といった仕様も満たす装置である。さらに、オイルポンプ1は、以下のような制約もある。
【0016】
図2は、オイルポンプ1の制約例を示す図である。例えば、オイルポンプ1には、レイアウト上、図における上下方向、すなわち、Z軸方向に短くする制約等がある。このような制約下において、オイルポンプ1は、例えば、以下のような物体を収納する。
【0017】
図3は、オイルポンプ1が収納する物体の例を示す図である。例えば、オイルポンプ1は、モータ15、電子回路基板20、及び、複数の溶接端子12等の物体を収納する。
【0018】
モータ15は、電子回路基板等により制御されて回転する。
【0019】
物体は、例えば、以下のようにオイルポンプ1に収納される。
【0020】
図4は、収納例を示す図である。例えば、溶接端子12等は、図示するように、筐体11が備える4つの壁(以下、「第1壁W1」、「第2壁W2」、「第3壁W3」、及び、「第4壁W4」という。)で囲われる。例えば、第1壁W1、第2壁W2、第3壁W3、及び、第4壁W4によって、開口部21が形成される。
【0021】
第1壁W1は、第1方向、及び、第2方向、すなわち、Z-X平面上に、平面を形成する壁である。
【0022】
第2壁W2は、第1壁W1と交差し、かつ、第1方向、及び、第3方向、すなわち、Z-Y平面上に、平面を形成する壁である。
【0023】
第3壁W3は、第2壁W2と異なる端部で第1壁W1と交差し、かつ、第1方向、及び、第3方向、すなわち、Z-Y平面上に、平面を形成する壁である。
【0024】
第4壁W4は、第2壁W2、及び、第3壁W3と交差し、かつ、第1方向、及び、第2方向、すなわち、X-Z平面上に、平面を形成する壁である。
【0025】
オイルポンプ用筐体カバー10は、第2方向、及び、第3方向、すなわち、X-Y平面上に、平面を形成する平面板である。このようなオイルポンプ用筐体カバー10で開口部21を覆い、電子回路基板20を筐体11の内部に収納すると、オイルポンプ1は、収納する物体を保護できる。
【0026】
図5は、断面を示す図である。以下、A-A’の断面で説明する。例えば、ねじ13等の締結部材で電子回路基板20を収納した後の状態は、例えば、以下のようになる。
【0027】
図6は、オイルポンプ1の内部を示す図である。以下、電子回路基板20に実装する電子部品等を省略して示す。図示するように、オイルポンプ用筐体カバー10にリブ等があってもよい。
【0028】
電子回路基板20は、例えば、以下のような形状である。
【0029】
図7は、電子回路基板20の例を正面から示す図である。具体的には、図7(A)は、電子回路基板20のおもて面を示す図である。一方で、図7(B)は、電子回路基板20の裏面を示す図である。
【0030】
図8は、電子回路基板20の例を側面から示す図である。
【0031】
例えば、切欠きは、第1切欠き31(図において左側に形成する切欠きをいう。)、及び、第2切欠き32(図において上側に形成する切欠きをいう。)等である。以下、図示するように、2箇所の切欠きを有する電子回路基板20を例に説明する。
【0032】
切欠きは、電子回路基板20における辺において、欠ける部分である。例えば、切欠きは、矩形等の形状に、基板がない空洞となる領域を作るように外形を設計して製造される。なお、切欠きの四隅等に面取り等がされた部分があってもよい。また、切欠きは、矩形に限られず、段差等がある形状でもよい。他にも、切欠きは、円形等の他の形状でもよい。
【0033】
さらに、切欠きは、電子回路基板20において2箇所以上あってもよい。
【0034】
図7(A)、及び、図7(B)に示す例では、第1切欠き31は、第1辺41、第2辺42、及び、第3辺43等で構成する。また、第1切欠き31は、図7(A)、及び、図7(B)に示すように、矩形である。
【0035】
さらに、第1切欠き31は、第3辺43に段差を有する例である。なお、図示する例では、段差が2段であるが、段差は3段以上あってもよい。また、段差は、他の辺にあってもよい。
【0036】
第1辺41は、例えば、X軸方向に形成される。このような第1辺41に対し、第2辺42は、対向する位置に、X軸方向に形成される。また、第3辺43は、第1辺41、及び、第2辺42と交差するように、Y軸方向に形成される。
【0037】
第1切欠き31に対して、電子回路基板20は、例えば、以下のようにターミナルを備える。
【0038】
図9は、ターミナルの組み付け例を示す図である。以下、2つのターミナルのうち、第1切欠き31に対して取り付けるターミナルを「第1ターミナル51」という。一方で、第2切欠き32に対して取り付けるターミナルを「第2ターミナル52」という。以下、第1ターミナル51の組み付け例で説明する。このように、ターミナルは2つ以上あってもよい。
【0039】
第1ターミナル51は、第1端511を第1領域61に接続する。一方で、第1ターミナル51は、第2端512を第2領域62に接続する。
【0040】
第1領域61は、第1辺41、及び、第1スルーホール610等を含む領域である。第1スルーホール610は、第1締結部材の例である第1ねじ611を貫通させる穴である。
【0041】
第2領域62は、第2辺42、及び、第2スルーホール620等を含む領域である。第2スルーホール620は、第2締結部材の例である第2ねじ621を貫通させる穴である。
【0042】
また、第1領域61、及び、第2領域62は、第1切欠き31を挟んで対向する位置関係となる。なお、第1領域61、及び、第2領域62は、厳密に対向する位置関係でなくともよい。すなわち、図7に示す例では、第1領域61、及び、第2領域62は、X軸を中心に線対称であって、対向する位置関係であるが、第1領域61、及び、第2領域62は、線対称の位置関係でなくともよい。例えば、ターミナルは、切欠きを斜めに跨ぐ等でもよい。
【0043】
第1ターミナル51は第1スルーホール610、及び、第1ねじ611により、第1端511を第1領域61側に固定する。一方で、第1ターミナル51は第2スルーホール620、及び、第2ねじ621により、第2端512を第2領域62側に固定する。ゆえに、第1ターミナル51は、第1切欠き31を跨ぐように組付けられる。
【0044】
このように、ターミナルが組付けられると、電子回路基板20、及び、電子回路基板20の周辺等の破損を少なくできる。
【0045】
破損は、例えば、電子回路基板20に亀裂が入る等である。具体的には、電子回路基板20の全部、又は、一部に亀裂が入ると、電子回路基板20上に形成されるパターンが断絶する。このように、パターンが断絶すると、電気信号、又は、電流がパターン上を通電するのが困難になる。
【0046】
又は、電子回路基板20は、剛性が低下すると、ねじれ、又は、反り等が生じやすい。このように、ねじれ、又は、反り等が生じると、電子回路基板20に実装する電子部品が剥がれて、電子部品は電気的に接続しない接触不良等となる。
【0047】
振動、又は、熱等が発生すると、切欠き、又は、切欠きの周辺は、他の部分よりも剛性が低い場合が多いため、応力等が集中しやすい。特に、切欠きの四隅等には、応力等が生じやすい。そのため、切欠きは、切欠き、又は、切欠きの周辺等において、破損の要因となりやすい。そこで、破損の対策は、切欠きに対して行われるのが望ましい。具体的には、図9に示すように、対策の対象とする切欠きを跨ぐように、電子回路基板20は、ターミナルを備えるのが望ましい。
【0048】
ただし、ターミナルは、電子回路基板20の剛性を補強できる種類、材質、形状、及び、設置位置であればよく、図7に示す第1ターミナル51、及び、第2ターミナル52以外の構成でもよい。例えば、ターミナルは、3箇所以上で固定される、又は、表面実装形式の電子部品(いわゆるSMD等である。)等でもよい。
【0049】
このように、切欠きを有する電子回路基板20は、切欠きを跨ぐように取り付けられて、電子回路基板20の剛性を補強するターミナルを備えると、ねじれ、又は、反り等を軽減させて、電子回路基板20等の破損を少なくできる。
【0050】
ターミナルは、例えば、導電性の端子等である。なお、ターミナルは、端子をモールドする樹脂と組み合わせた「ターミナルユニット」であってもよい。また、ターミナルは、電子回路基板20を補強できる程度に強度がある材質であるのが望ましい。さらに、ターミナルユニットに使用される樹脂は、強化材を含む材質であるのが望ましい。さらにまた、ターミナルは、140度以上の温度に耐熱性を有するのが望ましい。このような耐熱性を有するターミナルであると、例えば車両のエンジンルーム等に取り付けられる電動オイルポンプにおける保存温度の要件を満たすことができる。
【0051】
切欠き、及び、ターミナルは、以下のような形状、寸法、及び、距離の関係にあるのが望ましい。
【0052】
図10は、距離等の例を示す図である。以下、電子回路基板20、及び、電子回路基板20が実装する電子部品等を簡略な形状で示す。
【0053】
例えば、第2ターミナル52がコネクタ等である場合には、コネクタピン520等の物体(以下「第1物体」という。)が切欠きを通過する。以下、切欠きを構成する辺と、第1物体の距離を「第1距離71」という。
【0054】
第1距離71は、第1物体と、切欠きを構成する辺との距離のうち、最も短い距離である。すなわち、第1距離71は、切欠きに対して、最も第1物体が接近している位置の距離である。
【0055】
第1ターミナル51がコネクタ等の部品を有する場合において、第1ターミナル51が有する端子510等の部品を「第2物体」という。以下、切欠きを構成する辺と、第2物体の距離を「第2距離72」という。
【0056】
第2距離72は、第2物体と、切欠きを構成する辺との距離のうち、最も短い距離である。すなわち、第2距離72は、切欠きに対して、最も第2物体が接近している位置の距離である。
【0057】
なお、第1物体、及び、第2物体は、電子部品に限られず、機構部品、又は、ターミナルの一部等でもよい。また、辺は、切欠きを構成する辺であれば、どの辺でもよい。
【0058】
第1距離71、及び、第2距離72は、1ミリメートルに安全率を加えた以上の距離であるのが望ましい。したがって、切欠きは、第1距離71、及び、第2距離72は、1ミリメートルに安全率を加えた以上の距離となるように形成されるのが望ましい。
【0059】
安全率は、1ミリメートル以上であるのが望ましい。したがって、第1辺、及び、第2辺等の辺は、第1物体、又は、第2物体に対して、2ミリメートル以上に離れた距離となるように形成されるのが望ましい。
【0060】
第1距離71、及び、第2距離72は、少なくとも1ミリメートル程度確保しないと、電子回路基板20と第1物体等が干渉する可能性がある。さらに、第1距離71、及び、第2距離72は、ターミナルの電子回路基板20に対する組み付け精度、電子回路基板20の製造誤差、及び、第1物体等の製造誤差等により、製品ごとにばらつく場合がある。
【0061】
ゆえに、第1辺、及び、第2辺等の辺は、第1物体、又は、第2物体に対して、2ミリメートル以上に離れていると、ばらつき等があっても、電子回路基板20と第1物体等が干渉するのを防ぐことができる。
【0062】
一方で、切欠きは、上記のように安全率等を確保する範囲で、可能な限り小さくなる寸法に設計されるのが望ましい。
【0063】
[変形例]
切欠きは、例えば、以下のような形状でもよい。以下、説明のため、電子回路基板20が有する切欠きを1つで説明する。また、説明のため、以下の図では、ターミナル等を省略する。
【0064】
図11は、面取りの例を示す図である。例えば、切欠きは、隅等に対して面取りの加工がされてもよい。なお、面取り、図示する以外の隅でもよい。
【0065】
図12は、円形の例を示す図である。例えば、切欠きは、第1辺201により、円形(半円、又は、3/4円等を含む。)等の形状でもよい。このように、切欠きが円形の場合には、第1領域61、及び、第2領域62は、切欠きを挟んで対向する位置関係となる。したがって、電子回路基板20は、円形の切欠きを跨ぐようにターミナルを組み付けて、電子回路基板20の剛性を補強するようにしてもよい。
【0066】
図13は、台形の例を示す図である。例えば、切欠きは、第1辺301、第2辺302、及び、第3辺303で構成する台形等の形状でもよい。
【0067】
図14は、三角形の例を示す図である。例えば、切欠きは、第1辺401、及び、第2辺402で構成する三角形等の形状でもよい。
【0068】
切欠きは、上記に示すような形状に限られない。すなわち、切欠きは、上記に示す例以外の形状であってもよい。つまり、ターミナルが跨ぐように、第1領域と第2領域が切欠きを挟んで対向する位置関係になるのであれば、切欠きは、どのような形状でもよい。
【0069】
このように、矩形、台形、段差を有する、三角形、円形、又は、これらを組み合わせた形状の切欠きを有する電子回路基板20は、電子回路基板20の剛性を補強するようにターミナルを備えると、電子回路基板20等の破損を少なくできる。
【0070】
[オイルポンプ1の使用環境例]
図15は、オイルポンプ1の使用例を示す図である。例えば、オイルポンプ1は、図示するように、車両において、オイルポンプ1の一部又は全部が油没する環境等で使用される。
【0071】
オイルポンプ1は、AT(オートマチックトランスミッション)車両におけるトランスミッションケース内等で使用する。具体的には、トランスミッションケース内は、オイル2が溜まる環境である。そして、オイルポンプ1は、オイル2に半分程度が浸かる状態等で使用される。
【0072】
したがって、オイルポンプ1は、構成する部品等をオイル等から保護するような構造、及び、図示するような環境でも信頼性が確保できる部品等で構成する。
【0073】
[SDGs推進への貢献]
以上のように、本実施形態は、オイルポンプ1において用いる電子回路基板20の破損を少なくできる効果を奏する。具体的には、電子回路基板20は、電子回路基板20の破損を原因とする、故障率曲線における初期故障、又は、偶発故障等を少なくできる。ゆえに、オイルポンプ1、及び、電子回路基板20等の製品は、破損による不良品を削減できる。又は、オイルポンプ1、及び、電子回路基板20等が破損しにくい構成であると、製品の長寿命化等といった効果を奏する場合もある。したがって、本発明が適用された製品の不良等を少なくできる効果を奏する。その結果、廃棄物の削減、又は、長寿命化等の効果により、SDGsにおける「目標12 持続可能な生産消費形態を確保する」、及び、「目標13 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」等に貢献する。
【0074】
[その他の実施形態]
本発明は、上記に示す例に限定されず、様々な変形例がある。上記の説明は、技術の分野における通常の知識を有する者が実施をすることができるように、明確、かつ、十分に説明するように詳細に説明するためのものであり、本発明は、上記に記載する構成をすべて備える実施形態に限定されない。また、本発明は、上記に示す例の一部を他の実施形態の構成に置き換えた実施形態でもよい。さらに、本発明は、上記に示す例に他の実施形態の構成を加えた実施形態でもよい。またさらに、本発明は、上記に示す例の一部について、他の構成を追加、削除、又は、置換した実施形態でもよい。また、本発明は、他の製品等に組み込まれた実施形態でもよい。すなわち、本発明は、請求の範囲に記載する範囲内において、様々な変形、及び、変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 :オイルポンプ
10 :オイルポンプ用筐体カバー
11 :筐体
20 :電子回路基板
21 :開口部
31 :第1切欠き
32 :第2切欠き
41、201、301、401 :第1辺
42、302、402 :第2辺
43、303 :第3辺
51 :第1ターミナル
52 :第2ターミナル
61 :第1領域
62 :第2領域
71 :第1距離
72 :第2距離
511 :第1端
512 :第2端
610 :第1スルーホール
620 :第2スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15