(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166636
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20221026BHJP
A01K 85/16 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
A01K85/00 G
A01K85/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071981
(22)【出願日】2021-04-21
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】598015095
【氏名又は名称】株式会社 デュオ
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】安達 政弘
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】 特に着水後に、ほぼ水平姿勢を維持したまま安定的に水中に沈降して行くようにした新規な釣り用ルアーの開発を技術的課題とした。
【解決手段】 本発明の釣り用ルアーLは、魚体を模して形成されたルアー本体部1を具え、このルアー本体部1には、頭部アゴ下に、側面視における本体輪郭線OLより下方に突出する錘2を設けたことを特徴とする。またルアー本体部1は、左右一対の本体要素10を張り合わせて形成されるものであり、錘2は、この本体要素10の一部である錘保持部11によって、外側から外皮状態に保持されることが好ましい。また錘保持部11は、外皮となる本体要素10が可透視状態に形成され、錘2が外部から目視できることがより好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚体を模して形成されたルアー本体部を具えた釣り用ルアーであって、
このルアー本体部には、頭部アゴ下に、側面視における本体輪郭線より下方に突出する錘を設けたことを特徴とする釣り用ルアー。
【請求項2】
前記ルアー本体部は、左右一対の本体要素を張り合わせて形成されるものであり、
前記錘は、この本体要素の一部である錘保持部によって、外側から外皮状態に保持される構成であることを特徴とする請求項1記載の釣り用ルアー。
【請求項3】
前記錘保持部は、外皮となる本体要素が可透視状態に形成され、錘が外部から目視できるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の釣り用ルアー。
【請求項4】
前記錘は、球状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の釣り用ルアー。
【請求項5】
前記錘は、タングステン合金であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の釣り用ルアー。
【請求項6】
前記錘保持部の周囲は、平板状キールを構成していることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項記載の釣り用ルアー。
【請求項7】
前記ルアー本体部は、長手方向に分断され、且つ分断された要素が相互に揺動自在に接続されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用ルアーに関するものであって、特に着水後、ほぼ水平姿勢を保ったまま安定して沈降(沈水)できるようにした新規な構成に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えばブラックバスを代表とした淡水域でのバス釣りをはじめ、各種の釣りにおいて釣り用ルアーが用いられている。これら釣り用ルアーは、釣りの趣味性を、より高めるために種々のタイプが市場に提供され、且つ多くの改良提案が成されている。
これらの改良提案の内容は、例えばブラックバス等の対象魚の生態、特に捕食行動等を考慮して、対象魚を刺激し捕食行動に向かわせるように仕向けることを狙った改良となっている(例えば特許文献1・2参照)。
【0003】
ところで、このような対象魚の捕食行動を刺激するためには、釣り人は竿の操作やリール操作によりラインを介してその動きをルアーに伝え、ルアーの水中での動きをより自然なものとして再現できるようにしている。
一方でルアーがキャスティングされて水面を打った時の衝撃音も対象魚にとっての刺激となることは間違いないが、その後ルアーが水中に沈んで行くにあたっては、専らラインをフリーにするだけで、ルアーの自重にまかせた沈降(沈水)にゆだねられている。このような水中沈降時には、例えばブラックバス等のバス釣りの場合は、ルアー全体が、ほぼ水平姿勢を保ったまま且つ静かに沈み込んで行くことが好ましいとされている。
【0004】
反面、バスを刺激するためには、水中でのルアーの動きを激しく、ないしは活発にすることが求められ、たとえば本体前方、すなわち頭部近くに、下方に向いたフラップ(リップ)を設けたりすることが行われている。しかしながら、このような手法では、沈水時におけるルアーの姿勢安定が損なわれる傾向があり、前述した水平姿勢を保ったままの静かな沈み込みは得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-204733号公報
【特許文献2】特願2004-113056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来のルアーの性能を考慮してなされたものであって、特に着水後、ほぼ水平姿勢をキープしたまま安定的に沈降して行くようにした新規な釣り用ルアーの開発を技術的課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち請求項1記載の釣り用ルアーは、
魚体を模して形成されたルアー本体部を具えた釣り用ルアーであって、
このルアー本体部には、頭部アゴ下に、側面視における本体輪郭線より下方に突出する錘を設けたことを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項2記載の釣り用ルアーは、前記請求項1記載の要件に加え、
前記ルアー本体部は、左右一対の本体要素を張り合わせて形成されるものであり、
前記錘は、この本体要素の一部である錘保持部によって、外側から外皮状態に保持される構成であることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項3記載の釣り用ルアーは、前記請求項2記載の要件に加え、
前記錘保持部は、外皮となる本体要素が可透視状態に形成され、錘が外部から目視できるように構成されていることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項4記載の釣り用ルアーは、前記請求項1から3のいずれか1項記載の要件に加え、
前記錘は、球状であることを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項5記載の釣り用ルアーは、前記請求項1から4のいずれか1項記載の要件に加え、
前記錘は、タングステン合金であることを特徴として成るものである。
【0012】
また請求項6記載の釣り用ルアーは、前記請求項2から5のいずれか1項記載の要件に加え、
前記錘保持部の周囲は、平板状キールを構成していることを特徴として成るものである。
【0013】
また請求項7記載の釣り用ルアーは、前記請求項1から6のいずれか1項記載の要件に加え、
前記ルアー本体部は、長手方向に分断され、且つ分断された要素が相互に揺動自在に接続されていることを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0014】
まず請求項1記載の発明によれば、ルアー本体部の頭部アゴ下に、本体輪郭線より下方に突出する錘を設けたため、ルアーの低重心化が図れ、水中において釣り用ルアーが、前傾姿勢にならず、ほぼ水平姿勢を維持することができ、このような姿勢を維持したままシンキング(スローシンキング)させることができる。なお、ルアーが水中で採る水平姿勢は、バスのバイトを誘発させるのに効果的と言われており、このため水平姿勢がキープできる本発明の釣り用ルアーは、バイト率の向上が見込めるものである。因みに、頭部アゴ下に錘を設けたことにより、ルアーはヘッドを下げる印象を持つかも知れないが、前傾姿勢(前方下げ姿勢)にならないように設定されている。
また、ほぼ水平姿勢が維持できることにより、アングラーがアクションを加えなくても、バスを誘っていることになり、本発明は釣れる可能性の高いルアーと言える。
【0015】
また請求項2記載の発明によれば、錘は、左右一対の本体要素を張り合わせて成る錘保持部によって、外皮状態に保持されるため、ルアー本体部に錘を確実に収容することができ、更には例えば釣り用ルアーが使用の際、岩などの障害物に当たっても、錘の損傷を極力防止することができる。
【0016】
また請求項3記載の発明によれば、釣り用ルアーに錘を収容していることが外観上、明確に分かり、商品の特性をユーザに強くアピールすることができる。すなわち、本発明の釣り用ルアーの良さがユーザに認知された際には、外観目視できる錘が、商品の大きな特徴となり、ユーザも当該釣り用ルアーを選び易くなる。
また、本体要素に収容する錘が外観上目視できるため、たとえ製造段階で錘を収容していないNG品が発生した場合でも、最終的な外観チェックによって、このようなNG品の出荷(市場提供)を確実に防ぐことができる。
【0017】
また請求項4記載の発明によれば、錘が対称形状の球形であるため、釣り用ルアー(錘保持部)に収容する際も、特に収容姿勢といったものがなく、どのような姿勢でも収めることができ、収容し易い。また、錘が対称形状の球形であるため、収容後も水流による偏った抵抗を受けることもほとんどない。
また錘が球形(ボールウェイト)であるため、極めて一般的なウェイト形状であり(汎用品であり)、構成部品の一つとして調達(入手)し易く、製作コストも安価に抑えることができる。
【0018】
また請求項5記載の発明によれば、錘がタングステン合金であるため、鉛・ステンレス・スチール製のウェイトに比べ比重が大きくなり、同じウェイトを実現する際の体積をより小さく抑えることができる。また、このため釣り用ルアーに収容する錘の位置の自由度を向上させることができる。更に、タングステン合金自体、非常に硬く、変形し難いため、例えばルアー(錘保持部)が岩などに接触しても、錘自体の損傷をより確実に防止することができる。
【0019】
また請求項6記載の発明によれば、錘保持部の周囲に、平板状キールが構成されるため、より確実に且つ強固に錘を保持することができる。
また、キールを構成したことにより、このキールが釣り用ルアーにおいてはスタビライザーまたはフィンの作用を担い、釣り用ルアーの水中での動きを安定化させることができる。
【0020】
また請求項7記載の発明によれば、ルアー本体部は、長手方向に分断された複数の要素が相互に接続されたジョイントボディであるため、ルアー本体部は、水中で左右へのひねり(ウォブリング)の他、よじれ(ローリング)等も自由に行えるようになり(いわゆるウォブンロール)、実物のベイトフィッシュに酷似した、よりリアルな水中動作を実現することができる。従ってバス等の対象魚を誘い出すのに適した釣り用ルアーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の釣り用ルアーの使用状態、並びに釣り用ルアーを拡大して示す斜視図である。
【
図2】主に釣り用ルアーの頭部を示す斜視図、並びに錘保持部やジョイント構造を拡大して示す斜視図である。
【
図3】錘保持部による錘の収容状況を示す横断面図(a)、並びに縦断面図(b)である。
【
図4】錘が採り得る種々の形状を示す斜視図(a)~(d)である。
【
図5】ルアー本体が非ジョイントボディで構成された釣り用ルアーの構成例を示す斜視図である。
【
図6】キールにリップを付加するようにした構成例を示す斜視図(a)、並びに平面断面図(b)、並びに側面図(c)である。
【
図13】ジョイントボディを左右方向にひねった状態で示す釣り用ルアーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明たる、釣り用ルアーLの最良の形態は、以下の実施例に示すとおりであるが、これらの実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例0023】
本発明の釣り用ルアーLは、バス等を対象魚とした魚釣り用の疑似餌であって、一例として
図1~
図3・
図7~
図12に示すように、魚体、とりわけ小魚(いわゆるベイトフィッシュ)を模して形成されたボディを有するルアー本体部1を具えて成り、このルアー本体部1の頭部アゴ下に、例えば球状の錘2を設けて成るものである。また、この錘2は、ルアー側面視における本体輪郭線OLより下方に突出するように設けられており、これが本願発明の大きな特徴の一つである。
【0024】
このように本発明では、釣り用ルアーLの頭部アゴ下に錘2を設けるものであり、このため印象としては、水中で釣り用ルアーLは頭部を下げた前傾姿勢(前方下げ姿勢)を採るように思うかも知れないが、水中では前傾姿勢にならず、ほぼ水平姿勢になるように設定されている。すなわち、本発明では、ルアー本体部1の頭部アゴ下に、本体輪郭線OLより下方に突出する錘2を設けることにより、ルアーの低重心化を図り、水中において釣り用ルアーLが、ほぼ水平姿勢を維持することができるようにしたものである。また、ほぼこの水平姿勢のまま釣り用ルアーLを水中で静かに沈降(沈水)させることができるものである。なお、ルアーの水中での水平姿勢は、バスのバイト率を向上させると言われており、このため水平姿勢が維持できる本発明の釣り用ルアーLは、バイト率の向上が見込めるものとなる。また、本発明の釣り用ルアーLは、水中でほぼ水平姿勢が維持できるため、アングラーMがアクションを加えなくてもバスを誘っていることになり、アクションなしでも釣れる可能性を向上させたルアーと言える。
【0025】
更に、ボディを構成するルアー本体部1は、例えばABS樹脂などの樹脂素材によって軽量且つコンパクトに形成される。具体的には、一例として体長88mm・重さ5.9グラムに形成される。
また、本実施例のルアー本体部1は、ジョイント構造4によって、魚体の長手方向において四つの要素に分断され、これら各ジョイント要素が前後方向に連続しながら、前後の要素同士が相互に揺動自在に接続される(言わば四連ジョイント構造)。なお、これら四つに分断されたジョイント要素を、前方側から頭部14・ボディ本体前部15・ボディ本体後部16・尾部17とする。因みに、これら各ジョイント要素は、主に左右方向に揺動するように接続されるが(いわゆるウォブリング)、釣り用ルアーLの長手方向(中心軸)を中心として幾らか回動するようにも接続されており(いわゆるローリング)、かかる構成によって、本物のベイトフィッシュのような動き(いわゆるウォブンロール)を実現する。また、このため釣り用ルアーLが水中を沈降して行く際には、本物のベイトフィッシュのように、ほぼ水平姿勢をキープしながらも緩やかに身体をくねらせて、静かに沈降して行くものであり、このようなウォブンロールもバスを効果的に誘えるものである。
【0026】
次に、ルアー本体部1について更に詳細に説明する。
ルアー本体部1は、例えば左右一対の本体要素10を拝み合わせ状に張り合わせるようして構成され、前記錘2は、当該本体要素10の一部によって、錘2を外側から外皮状に包み込むような状態で保持される。ここでルアー本体部1を形成する本体要素10を左右で区別する場合には、釣り用ルアーL自体における左側の本体要素を10L、右側の本体要素を10Rとして区別する。また本体要素10において、錘2を外側から保持する部位を、特に錘保持部11と称する。なお錘2を、錘保持部11(左右一対の本体要素10L・10R)によって外皮状に保持することにより、ルアー本体部1に錘2を確実に且つ強固に収容することができ、例えば使用中、釣り用ルアーLが岩などの障害物に当たっても、錘2の破損を極力防止することができる。
因みに、ルアー本体部1は、必ずしもABS樹脂素材で形成するだけでなく、他の樹脂素材や、バルサ等の木材、あるいは金属素材等で形成することも可能である。また前記ルアー本体部1は、その表面にベイトフィッシュを模したカラーリングが施され、このカラーリングには適宜、複数種のバリエーション展開が可能である。
【0027】
また錘保持部11は、ここに保持した錘2が外部から目視できるように、可透視状態に構成される。これにより釣り用ルアーLに錘2を収容していることが外観上、明確に分かり、商品の特性をユーザに強くアピールすることができる。すなわち、本発明の釣り用ルアーLの良さがユーザに認知された際には、外観目視できる錘2が、商品の大きな特徴になり得、ユーザも当該釣り用ルアーLを選び易くなる。
また、錘2が外観上目視できることによって、例えば製造段階で錘2を収容していないNG品が発生した場合でも、外観検査によって、このNG品の出荷を未然に防止することができる。
【0028】
また錘保持部11の周囲は、本体要素10L・10Rの合わせ部を利用して、平板状のキール12が構成される。逆に言えば、本実施例では、キール12を利用して錘2を外側から外皮状に保持する錘保持部11を形成したものである。
なお、錘2(錘保持部11)は、キール12の厚み寸法より大きな径寸法に形成されるものであり、このため錘2は、キール12の両側に、はみ出すように構成される。
また、キール12自体は、スタビライザーまたはフィンの作用を担い、釣り用ルアーLの水中での動きを安定化させるものである。また、このキール12を利用して錘保持部11が構成されるため、錘2がより確実に且つ強固に保持されるものである。
【0029】
また錘2は、一例としてタングステン合金で形成されるものであり、このタングステン合金は、鉛やステンレスあるいはスチールに比べ比重が大きいため、同じウェイトを実現する際、より小さな体積で抑えることができる。このためルアー本体部1に収容する錘2の位置を、より高い自由度で収容することができる。また、タングステン合金自体、非常に硬く、変形し難いため、例えば釣り用ルアーL(錘保持部11)が岩などに接触しても、錘2の損傷をより防止することができる。
【0030】
次に、ジョイント構造4について説明する。
ジョイント構造4は、上述したように、ルアー本体部1の各ジョイント要素である頭部14・ボディ本体前部15・ボディ本体後部16・尾部17を前後方向において関節状につなぐ接続構造である。
なお、以下の説明では、頭部14とボディ本体前部15とを連結するジョイント構造4を例に挙げて説明するものであり、頭部14などの前方側に設ける接続部材を「4A」とし、ボディ本体前部15などの後方側に設ける接続部材を「4B」とする。
【0031】
本実施例では、例えば
図2に示すように、割ピン状の接続部材4A(ヘアピンやUピンでも可)においてテールと称される両脚部先端を、前方側のジョイント要素(接続部材4A)である頭部14に埋設し、割ピン頭部のリング部(これが揺動孔)を後方側に露出させる。因みに、この接続部材4Aは、一つのジョイント要素である頭部14に対し、上下二カ所に設けられる。
一方、後方側のジョイント要素(接続部材4B)であるボディ本体前部15には、ほぼ上下方向に短寸柱状のピン(これが揺動ピン)で構成した接続部材4Bを立設するとともに、前記接続部材4Aたる割ピンの頭部リング部(揺動孔)を、接続部材4Bたる柱状のピン(揺動ピン)に挿通状態で組み付けることにより、頭部14(接続部材4A)に対して、ボディ本体前部15(接続部材4B)を揺動自在に接続している。もちろん、ボディ本体前部15において接続部材4Aの揺動孔が挿通される部分の材料(余肉)は除去され、接続部材4Bの相対的揺動が円滑に行えるように考慮されている。
このような構造により揺動孔と揺動ピン、つまり接続部材4Aと接続部材4Bとには遊びが生じ、このため例えばボディ本体前部15は、頭部14に対し左右方向に比較的大きく揺動(ウォブリング)するものの、ローリングもできるように構成される。
そして、このような接続部材4Aと接続部材4Bとを用いたジョイント構造4は、ボディ本体前部15・ボディ本体後部16との接続においても同様に採用される。
【0032】
次に、ボディ本体後部16と尾部17とのジョイント構造4について説明する。尾部17は、ボディ本体後部16に対し、他のジョイント要素よりも比較的大きくウォブンロールさせることが好ましい。このため本実施例では、一例として
図9・
図10に示すように、ボディ本体後部16と尾部17とにおいては、例えば接続部材4A・4BともにU字ピンを適用し、ボディ本体後部16・尾部17との双方において、U字ピン頭部のリング部(揺動孔)を露出するように、約90度の位相差を持って埋設し、且つ露出したU字ピン頭部のリング部同士をチェーン状に掛止するものである。これにより尾部17をボディ本体後部16に対し比較的大きくウォブンロールさせ得るようにしている。
【0033】
また、ルアー本体部1には、釣り糸たるラインLIや、釣り針たるフック72が取り付けられるため、以下これについて説明する。
まずルアー本体部1の先端部付近、つまり本実施例では頭部14の先端側に円環状のラインアイ6が設けられる。ここでラインLIをラインアイ6に取り付けるには、例えば
図1の拡大図に示すように、ラインLIとラインアイ6との間にスイベルS1とスナップS2とを介在させて接続することができる。
なお、スイベルS1とスナップS2とは、必ずしも別体である必要はなく、これらが一体となった、いわゆるスナップ付サルカンを適用することもあり得る。
【0034】
またルアー本体部1には、胸鰭、腹鰭、しり鰭付近の適宜の部位に円環状のフックアイ7が具えられる。特に、本実施例では、胸鰭と尾部17との二カ所にフックアイ7が設けられており、各々のフックアイ7に対してスプリットリング71を介して、フック72が接続されている。
なお、フック72としては、一例として
図1・
図11・
図12に示すように、針本体が三叉状に配設されたトレブルフックが適用されるが、これに代えて針本体が二股状に配設されたダブルフックにすることも可能である。因みに、釣り用ルアーLの標準装備として、当初からトレブルフックが取り付けられていても、スプリットリング71を介在させていれば、ユーザがダブルフックに容易に取り替えることができる。また、このようなアレンジやカスタマイズが容易に採り得る構造は、使用場所などに応じて根掛かりが懸念される状況等に極めて有効である。
【0035】
本発明の釣り用ルアーLは、以上のような基本構造を有するものであり、以下、この釣り用ルアーLを用いたルアーフィッシングについて説明する。なお、説明にあたっては、主に釣り用ルアーLの水中での姿勢や動きについて説明する。
【0036】
(1)キャスト前
まずアングラーMは、キャスト前、釣り用ルアーLをラインLIの先端に取り付ける。
この際、例えば
図1に示すように、ラインLIとラインアイ6とは、スイベルS1とスナップS2とを介して、接続することができる。
次いで、アングラーMは、例えばロッドRを振るように操作して、ラインLIの先端に取り付けた釣り用ルアーLを、狙ったポイントに落とし込むようにキャストする。
【0037】
(2)キャスト後の釣り用ルアーの沈み込み
キャスト後、アングラーMがロッドRを操作しなければ、釣り用ルアーLは、例えば
図1・
図9に示すように、ほぼ水平姿勢を維持しながら自然に水中を沈降して行く。また釣り用ルアーLが軽量であることから、この水中沈降は、ゆっくりと沈んで行く動作となる(いわゆるスローシンキング)。ここで釣り用ルアーLの水平姿勢は、上述したように、バスのバイトを誘発させるのに効果的だと言われている。
なお、本実施例では、釣り用ルアーLがコンパクトに形成され、なお且つルアー本体部1が四連のジョイントボディで形成されているため、各ジョイント要素が、左右に揺動しながら、また適宜ローリングしながら、静かにフォールして行く(いわゆるウォブンロール)。このような動きは、あたかも水中にいる本物のベイトフィッシュの動きに酷似しているため、アングラーMは積極的にロッドRを動かさなくても、釣り用ルアーLの自然沈降のみで、バスを有効に誘い込むことができる。従って本発明の釣り用ルアーLは、釣れる可能性の高いルアーと言える。
【0038】
(3)キャスト後のただ巻き(ストレートリトリーブ)
一方、キャスト後に、リールをただ巻き(ストレートリトリーブ)した場合には、釣り用ルアーLは、正に本物のベイトフィッシュが泳いでくるように、身体をクネクネと動かしながら、アングラーMに接近してくる。
この際、リールをゆっくり巻いても、釣り用ルアーLは、ちょっとした水流でしっかりスイムアクションするものである。また、ロッドRを立てて速めに巻くと、釣り用ルアーLは、水面表層部で引き波を立てて泳ぐようにアングラーMに接近してくるものである。
【0039】
(4)キャスト後のアクション巻き
また、キャスト後にアクションを入れながらラインLIを巻き取って行った場合には(いわゆるトゥイッチ)、釣り用ルアーLは、左右に短く移動し、悶えるようなパニックアクションを起こしながら、アングラーMに接近してくる動きとなり(いわゆるダートスイムアクション)、これが瀕死のベイトフィッシュの動きに酷似している。因みに、このような動きもバスが好むものであり、バスを誘うのに適している。
このように、本発明の釣り用ルアーLは、巻き方によって多彩に動かすことができ、このような動きがベイトフィッシュに酷似した動きとなり、バスを効率良く誘うことができるものである。
【0040】
(5)ステイ状態
また、本発明の釣り用ルアーLは、錘2(重量や位置を含む)とルアー本体部1との浮力バランスが絶妙に取ってあることから、水中底部では、例えばルアー本体部1がフック72の上で立つようにステイする。この状態は、ルアー本体部1を多少曲げて(傾けて)静止している姿勢であり、正に死にそうなベイトフィッシュを演出するものである。
【0041】
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず、上述した基本の実施例では、例えば
図1・
図2・
図4(a)に示すように、錘2を球状に形成した。
これにより錘2を釣り用ルアーL(錘保持部11)に収容する際、どのような姿勢でも収めることができ、極めて収容し易いものである。また、錘2が対称形状であるため、収容後も例えば水流による偏った抵抗を受け難いものである。また球形の錘2は、ボールウェイトと称され、極めて一般的なウェイト形状であるため(汎用品であるため)、構成部品の一つとして調達(入手)し易く、製作コストも安価に抑えることができるものである。
しかしながら、錘2は、必ずしも球状である必要はなく、例えば
図4(b)に示すように、水滴状、特に横長の水滴状に形成することが可能である。
また、例えば
図4(c)に示すように、短寸円柱状の錘2を、あたかもタイヤのように立設して設けることも可能であるし、あるいは例えば
図4(d)に示すように、
図4(c)の錘2を孔空き円柱状(言わばドーナツ状)に形成することも可能である。
【0042】
また、上述した基本の実施例では、ルアー本体部1は、四連のジョイントボディで構成されていたが、ルアー本体部1は、必ずしもこのようなジョイントボディである必要はない。すなわち、ルアー本体部1は、例えば
図5に示すように、頭部14から尾部17までが連続して形成された一体ボディであっても構わない。
【0043】
また、上述した基本の実施例では、ルアー本体部1は、リップを設けない構造であった。ここでリップとは、ルアーの前方下部に、下向きに設けられる部材であり、ルアーを前進させたときに水の力を受けて、ルアー前方が水中に潜り込むようにする作用部材である(言わば潜行作用)。
すなわち、基本の実施例では、このようなリップの代わりに、ルアー本体部1と絶妙な浮力バランスを具えた錘2を設けたものであるが、ルアー本体部1や錘2のサイズ、あるいは錘2の取付位置・素材などによって、上記潜行作用を担うリップ3を併設することは何ら構わない。なお、リップ3を併設する場合には、例えば
図6に示すように、キール12に対し直交状態に張り出すように、錘保持部11に設けることが可能である。