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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166643
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】ウインドシールド装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/10 20060101AFI20221026BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20221026BHJP
   B60S 1/56 20060101ALI20221026BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H05B3/10 Z
H05B3/06 B
B60S1/56 100
B60S1/02 400A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021071994
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000129529
【氏名又は名称】株式会社クラベ
(72)【発明者】
【氏名】永井 利和
(72)【発明者】
【氏名】大高 弘人
(72)【発明者】
【氏名】江間 幹二
【テーマコード(参考)】
3D225
3K092
【Fターム(参考)】
3D225AA02
3D225AB01
3D225AC09
3D225AD02
3D225AD10
3D225AD11
3K092PP15
3K092QB31
3K092RF02
3K092SS03
3K092VV33
(57)【要約】
【課題】ヒータユニットの発熱量が増加しても対応できる断熱構造を得ることができ、それにより、熱効率が向上され、曇り、結露、霜、氷などを効率的に除去することができる車両用ウインドシールド装置を提供すること。
【解決手段】車両のウインドシールド59における車内側に取付けられるブラケット51と、該ブラケット51に設けられるヒータユニット10と、上記ブラケット51に収容されたセンサユニット55と、を備え、上記ヒータユニット10における上記ウインドシールド59と反対側の面に断熱構造31が形成されており、上記断熱構造31は、空間33を有しているとともに、該空間33を維持するための間隔保持部35と蓋部37が形成されている車両用ウインドシールド装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドシールドにおける車内側に取付けられるブラケットと、該ブラケットに設けられるヒータユニットと、上記ブラケットに収容されたセンサユニットと、を備え、
上記ヒータユニットにおける上記ウインドシールドと反対側の面に断熱構造が形成されており、
上記断熱構造は、空間を有しているとともに、該空間を維持するための間隔保持部及び蓋部が形成されている車両用ウインドシールド装置。
【請求項2】
断熱板を有しており、該断熱板に上記間隔保持部及び上記蓋部が形成されている請求項1記載の車両用ウインドシールド装置。
【請求項3】
上記ブラケットの一部が、上記間隔保持部及び上記蓋部を兼ねている請求項1記載の車両用ウインドシールド装置。
【請求項4】
上記空間が、上記ヒータユニットの発熱エリアが存在する位置全面にわたっており、上記間隔保持部が上記ヒータユニットの発熱エリアの外側にあたる位置に形成されている請求項2又は請求項3記載の車両用ウインドシールド装置。
【請求項5】
上記間隔保持部が、ハニカム形状の隔壁として形成されている請求項2又は請求項3記載の車両用ウインドシールド装置。
【請求項6】
上記ヒータユニットの発熱分布に関して、強く発熱させる必要がある位置においては、その他の位置よりも、単位面積当たりの上記間隔保持部が存在する面積が小さくなっている請求項2又は請求項3記載の車両用ウインドシールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両におけるカメラユニット、ウインドシールド、レーダユニット等に付着した結露、氷、霜、水滴を除去するとともに、曇り、結露、氷、霜の付着を防止するためのヒータユニットが備えられたウインドシールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ウインドシールド装置は、ウインドシールドの車室側に取付けられて、車両前方の他車両や障害物の有無の検知に用いられる。車両用ウインドシールド装置は、ウインドシールドに固定されるブラケットと、ブラケットに支持されるカメラユニットまたはレーダユニットを備える。ブラケットには、太陽光などの外光がカメラユニットに入射することを抑制する遮光フードを備えている。ここで、車室内の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合には、曇り、結露、霜、氷などがウインドシールドに付着するため、車両用ウインドシールド装置は、遮光フードを加熱するためのヒータユニットを遮光フードの裏側に備えている。このヒータユニットから発せられる熱によって、遮光フードと対向するウインドシールドに付着した曇り、結露、霜、氷などは溶融、蒸発して除去される。これにより、カメラユニットによる撮影は鮮明なものとなる。また、レーダユニットからのレーダが減衰することなく、正確な検知が可能となる(特許文献1など参照)。
【0003】
ヒータユニットとしては、例えば、加熱される面状の対象領域を均一に昇温するため、対象領域の周縁に位置する第1の線状発熱体と、対象領域の内部に位置する第2の線状発熱体とを別々に備えたものが知られている(特許文献2など参照)。また、線状発熱体としても種々のものが知られている(特許文献3など参照)。ヒータユニットとしても、種々の態様のものが知られている(特許文献4~8など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-185893公報:トヨタ自動車
【特許文献2】実用新案登録第1801190号:サンデン
【特許文献3】特許第6320935号:クラベ
【特許文献4】特開2019-93794公報:ニフコ
【特許文献5】特開2019-104378公報:小島プレス工業他
【特許文献6】特開2019-114330公報:ニフコ他
【特許文献7】特開2019-119321公報:ニフコ他
【特許文献8】特開2021-44097公報:クラベ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気自動車化や省エネ化の流れに伴い、消費電力を抑えるべく、発熱の高効率化が要求されている。例えば、上記特許文献7では、ヒータユニットの裏面に断熱層を設けることで、ヒータユニットからの熱を効率的にウインドシールドに向けさせることが記載されている。その一方で、昨今の自動運転化の流れにより、車載のカメラユニットやレーダユニットなどのセンサユニットは、大型化、複数化されてきている。それに伴って、曇り、結露、霜、氷などを除去する必要がある範囲も広くなることから、ヒータユニットで加熱する面積も増加し、ヒータユニットの発熱量の増加や発熱温度の上昇をする必要が生じてきている。これにより、従来の断熱層の材料では耐熱性が不足するおそれが生じるため、耐熱性が高い材料への変更が必要となるが、発泡フッ素樹脂のような高価な材料となってしまうことから、コストの点で大きな課題が生じることになる。また、断熱層の設置には、接着剤等が使用されているが、この接着剤の熱劣化も促進されてしまうおそれがある。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ヒータユニットの発熱量が増加しても対応できる断熱構造を得ることができ、それにより、熱効率が向上され、曇り、結露、霜、氷などを効率的に除去することができる車両用ウインドシールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく、本発明による車両用ウインドシールド装置は、車両のウインドシールドにおける車内側に取付けられるブラケットと、該ブラケットに設けられるヒータユニットと、上記ブラケットに収容されたセンサユニットと、を備え、上記ヒータユニットにおける上記ウインドシールドと反対側の面に断熱構造が形成されており、上記断熱構造は、空間を有しているとともに、該空間を維持するための間隔保持部と蓋部が形成されている車両用ウインドシールド装置。
また、上記空間が、上記ヒータユニットの発熱エリアが存在する位置全面にわたっており、上記間隔保持部が上記ヒータユニットの発熱エリアの外側にあたる位置に形成されていることが考えられる。
また、上記間隔保持部が、ハニカム形状の隔壁として形成されていることが考えられる。
また、上記ヒータユニットの発熱分布に関して、強く発熱させる必要がある位置においては、その他の位置よりも、単位面積当たりの上記間隔保持部が存在する面積が小さくなっていることが考えられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、間隔保持部と蓋部で空間を維持し、この空間により断熱する構造であるため、発泡体のような材料を必要とせず、ヒータユニットの非加熱面側の断熱をすることができる。これにより、ヒータユニットの熱を加熱面側に効率的に伝えることができ、曇り、結露、霜、氷などを効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る図で、車両用ウインドシールド装置の断面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る図で、ブラケットにヒータユニットを取り付け、断熱構造を形成した状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る図で、ブラケットにヒータユニットを取り付け、断熱構造を形成する経過を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る図で、断熱構造の一部を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態2に係る図で、断熱構造の一部を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態3に係る図で、断熱構造の一部を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態4に係る図で、断熱構造の一部を示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態5に係る図で、車両用ウインドシールド装置の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
まず、図1図4を参照して実施の形態1に係る車両用ウインドシールド装置を説明する。本実施の形態では、センサユニットとしてカメラを使用しており、撮影機能を有する車両用ウインドシールド装置として、車両の衝突防止システムの一部として利用される。
【0011】
図1に断面図、及び、要部を拡大した断面図として示すように、ウインドシールド59に取付けられる車両用ウインドシールド装置は、ブラケット51、センサユニット55、カバー57を備える。ブラケット51には、センサユニット55の受光部が受光する光の範囲を定めるものとして遮光フード53が形成されている。ブラケット51にはセンサユニット55が固定保持され、ブラケット51の遮光フード53の位置には、ヒータユニット10が設置される。ヒータユニット10は、ブラケット51の遮光フード53の位置におけるウインドシールド59と反対側の面に設置される。ブラケット51は、センサユニット55及びヒータユニット10を取り付けるための一連の部品であり、複数のパーツを組立てて構成するものであってもよい。カバー57は椀状の形状を有する樹脂部材であり、遮光フード53及びセンサユニット55を覆うように、ブラケット51に嵌め込まれる。ブラケット51の周縁部には接着剤が形成され、ウインドシールド59の車室側に取付けられる。なお、図1における右側が車両前方となり、ウインドシールド59は、一般的に、フロントガラス、サイドガラス、リアガラスと称されることがある。センサユニット55としては、カメラユニットの他に、レーダユニット等が考えられる。センサユニット55における受光部はウインドシールド59に向けられ、一般的に、センサユニット55における受光部とウインドシールド59の間には他部材を介さないようにされる。
【0012】
図2には、ブラケット51におけるウインドシールド59と反対側の面を示す。ヒータユニット10におけるウインドシールド59と反対側の面には、断熱構造31が形成されている。断熱構造31は、空間33、間隔保持部35、及び、蓋部37からなり、図4に示すように、間隔保持部35と蓋部37は別部材の断熱板39として構成されている。この間隔保持部35と蓋部37を構成する断熱板39を、ブラケット51における遮光フード53の位置、即ち、ヒータユニット10と重なる位置に設置し、カシメによって固定する。図3は、図2における断熱板39を設置する前の状態を示す図である。断熱板39の固定には種々の方法を用いればよく、上記のカシメの他、例えば、スライドロック、スナップフィット、ランナーロックピン、ネジ、面ファスナ、溶接、接着剤などが使用できるが、熱劣化に強い機械的な固定方法を用いることが好ましい。実施の形態1においては、断熱板39の周囲部に間隔保持部35が形成されており、この間隔保持部35に囲われた部分が0.5mmくり抜かれ、その底部が蓋部37となっている。断熱板39をブラケット51に固定することで、間隔保持部35、蓋部37及びヒータユニット10で囲まれた部分、即ち、0.5mmくり抜かれた部分が空間33となる。
【0013】
本実施の形態1では、間隔保持部35がヒータユニット10の発熱エリアの外側にあたる位置に形成されており、これにより、空間33がヒータユニット10の発熱エリアが存在する位置全面にわたっている。図1の要部を拡大した断面図において、点線矢印Hで示した部分がヒータユニット10の発熱エリアとなっている。このような構成であれば、ヒータユニット10からの熱が間隔保持部35に直接伝導伝熱することがないので、断熱部材の断熱効果を高めることができる。
【0014】
本実施の形態1では、ヒータユニット10として、フィルムヒータを使用されている。フィルムヒータは、厚さ28μmのポリアミドイミドフィルム上に、ステンレス鋼(SUS304)の箔をエッチング加工することにより得られた厚さ30μmの導電体を形成し、更に厚さ28μmのポリアミドイミドフィルムを被せたものである。フィルムヒータの導電体の端部2ヶ所は露出されてリード線が接続され、リード線の別の端部にはコネクタが接続される。また、リード線の途中に、サーモスタットや温度ヒューズ等を接続しても良い。このようにして、ヒータユニット10が構成される。ヒータユニット10の構成として、例えば上記した各特許文献等が参照できるが、勿論、他の材料や他の構成による種々のヒータを使用しても良い。
【0015】
遮光フード53における、ウインドシールド59と対向する面には、迷光防止材が形成されていることが好ましい。これにより、受光範囲以外からの外光が入射されることを抑えられるようになる。迷光防止材は、反射防止材と称されることもあり、不織布や、ナシ地加工、シボ加工、つや消し加工、植毛加工といった加工が表面になされたシートが挙げられる。また、迷光防止材を形成する一対応として、つや消し塗料を塗布することも考えられる。
【0016】
車室の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合、曇り、結露、霜、氷などがウインドシールド59に付着することがある。この曇り、結露、霜、氷などによって光が散乱し、センサユニット55による鮮明な撮影が阻害されるおそれがある。これはカメラユニットの代わりにレーダユニットを使用したときも同様である。そのため、遮光フード53として本発明によるヒータユニット10が使用され、ヒータユニット10から発せられる熱によってウインドシールド59を加熱することで、曇り、結露、霜、氷が除去されることになる。また、ヒータユニット10からの熱によってウインドシールド59近傍の空気が加熱され、それによってブラケット51内の湿度が低下することにより、結露が除去されることになる。
【0017】
(実施の形態2)
次いで、図5を参照して実施の形態2を説明する。基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、実施の形態2では、断熱構造31について、実施の形態1と異なっている。
【0018】
実施の形態2においては、図5に示すように、断熱板39に形成された間隔保持部35が、ハニカム形状の隔壁として形成されており、この間隔保持部35に囲われた部分が0.5mmくり抜かれ、その底部が蓋部37となっている。断熱板39をブラケット51に固定することで、間隔保持部35、蓋部37及びヒータユニット10で囲まれた部分、即ち、0.5mmくり抜かれた部分が複数の空間33となる。この複数の空間33について、本実施の形態2においては、それぞれ独立しているが、例えば、間隔保持部35の一部を切削する等して空間33を連続させても良い。
【0019】
本実施の形態2では、間隔保持部35が、ハニカム形状の隔壁として形成されているため、断熱板39の剛性が高くなるとともに、蓋部37がヒータユニット10に接近することが抑制されるため、空間33が潰れにくくなる。
【0020】
(実施の形態3)
次いで、図6を参照して実施の形態3を説明する。基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、実施の形態3では、断熱構造31について、実施の形態1と異なっている。
【0021】
実施の形態3においては、図6に示すように、断熱板39に形成された間隔保持部35が、断熱板39の周囲部に形成されるとともに、複数の柱として形成されており、この柱として形成された間隔保持部35の周囲の部分が0.5mmくり抜かれ、その底部が蓋部37となっている。断熱板39をブラケット51に固定することで、断熱板39の周囲部に形成された間隔保持部35、蓋部37及びヒータユニット10で囲まれた部分、即ち、0.5mmくり抜かれた部分が空間33となる。
【0022】
本実施の形態3では、柱状の間隔保持部35が、複数形成されていることから、蓋部37がヒータユニット10に接近することが抑制されるため、空間33が潰れにくくなる。また、柱状の間隔保持部35の大きさが、図6における上方にいくほど小さくなっているため、ヒータユニット10からの熱は、図6における上方にいくに従って、間隔保持部35に伝導伝熱しにくくなっている。このような手法をとることにより、ヒータユニット10からウインドシールド59に向かう熱を部分的に変化させることができるようになる。
【0023】
(実施の形態4)
次いで、図7を参照して実施の形態4を説明する。基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、実施の形態4では、断熱構造31について、実施の形態1と異なっている。
【0024】
実施の形態4においては、図7に示すように、断熱板39に形成された間隔保持部35が、断熱板39の周囲部に形成されるとともに、複数の横線状に形成されており、この横線状に形成された間隔保持部35の間の部分が0.5mmくり抜かれ、その底部が蓋部37となっている。断熱板39をブラケット51に固定することで、断熱板39の周囲部に形成された間隔保持部35、蓋部37及びヒータユニット10で囲まれた部分、即ち、0.5mmくり抜かれた部分が空間33となる。
【0025】
本実施の形態3では、横線状の間隔保持部35が、複数形成されていることから、蓋部37がヒータユニット10に接近することが抑制されるため、空間33が潰れにくくなる。また、横線状の間隔保持部35の間隔が、図7における下方にいくほど大きくなっているため、ヒータユニット10からの熱は、図7における上方にいくに従って、間隔保持部35に伝導伝熱しやすくなっている。このような手法をとることにより、ヒータユニット10からウインドシールド59に向かう熱を部位ごとに変化させることができるようになる。
【0026】
(実施の形態5)
次いで、図8を参照して実施の形態5を説明する。基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、実施の形態5では、ヒータユニット10を設置する箇所及び断熱構造31を形成する箇所について、実施の形態1と異なっている。
【0027】
実施の形態5においては、図8に断面図、及び、要部を拡大した断面図として示すように、ヒータユニット10は、ブラケット51の遮光フード53の位置におけるウインドシールド59側の面に設置される。間隔保持部35が、ブラケット51に形成されているとともに、ブラケット51が蓋部37を兼ねた構造となっている。即ち、ブラケット51の遮光フード53において、ヒータユニット10が設置される位置が、任意の形状で0.5mmくり抜かれ、その底部が蓋部37となり、残部が間隔保持部35となっている。そして、間隔保持部35、蓋部37及びヒータユニット10で囲まれた部分、即ち、0.5mmくり抜かれた部分が空間33となる。なお、図8の要部を拡大した断面図において、点線矢印Hで示した部分がヒータユニット10の発熱エリアとなっている。
【0028】
実施の形態5において、間隔保持部35及び蓋部37は、任意の形状等で形成することができる。例えば、図5図7で示したような間隔保持部35及び蓋部37をブラケット51に形成しても良いし、他の形状等で形成しても良い。
【0029】
このような実施の形態5の構成によって、上記実施の形態1~4のような断熱板39がなくても、同様に、ヒータユニット10の非加熱面側の断熱をすることができる。これにより、ヒータユニット10の熱を加熱面側に効率的に伝えることができ、曇り、結露、霜、氷などを効率的に除去することができる。
【0030】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。断熱構造における間隔保持部は、空間を維持するために蓋部を支える部分であり、種々の形状が考えられる。例えば、空間が球形状になるような場合など、間隔保持部と蓋部が明確に区別できない場合も想定されるが、実質的な機能として、間隔保持と蓋の機能が果たされていれば本発明の構成を満たすものであり、任意の場所で区切って、それぞれを間隔保持部と蓋部と称することができる。また、間隔保持部と蓋部を別のパーツとしても良いし、さらに複数のパーツに分解されていても良い。また、ブラケットの遮光フードの部分を中空成形するようなものも考えられる。この場合、中空にした部分が空間となり、中空における遮光フード主面と略平行な面が蓋部となり、中空における遮光フード主面と略垂直な面が間隔保持部となる。
【0031】
断熱板やブラケットを構成する材料には特に限定はないが、ヒータユニットからの熱に耐え得るだけの耐熱性を有するものが好ましい。また、自動車用の内層材料でもあるので耐熱性を有するものが好ましい。また、ある程度の剛性を有する硬質な樹脂であることが好ましい。例えば、ABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル等、種々の材料が考えられる。
【0032】
なお、本発明により断熱構造と別に、他の断熱材を設置することは制限されない。例えば、発泡樹脂等を更に重ねて貼り付けすることも考えられる。但し、本発明による断熱構造は、上記実施の形態2のように、空間が複数に分割されることも考えられるが、発泡樹脂のような、いわゆる多孔体とは異なるものである。空間の大きさは、機械的に形成できる程度以上であることが目安となり、おおよそ1mmより大きいことが好ましい。また、ヒータユニットからの熱の伝導方向に複数の空間が重なっていないものが好ましく、当該方向の空間の方向の長さ、即ち、間隔保持部の高さは0.2~1.0mm程度であることが好ましい。
【0033】
また、ヒータユニットにより加熱され、空間33に保持された暖気は、そのまま空間33に維持され続けていても良いが、適宜導出されるようになっていても良い。例えば、ブラケット51やヒータユニット10に所定の貫通孔を形成し、そこからウインドシールド59近傍に暖気が導出されるようにすれば、この暖気によってもウインドシールド59が暖められるので、結露、氷、霜、水滴を除去する効果を高めることができる。また、暖気が導出される構造であれば、空気の熱膨張による圧力を逃がすこともできる。但し、センサユニット55は比較的熱に弱いものが多いため、センサユニット55に直接暖気が導出されることは避けた方が良い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上詳述したように本発明によれば、車両におけるカメラユニット、ウインドシールド、レーダユニット等に付着した結露、氷、霜、水滴を除去するとともに、曇り、結露、氷、霜の付着を防止するためのヒータユニットが備えられたウインドシールド装置を得ることができる。本発明は、車両用ウインドシールド装置だけでなく、断熱構造の応用として、例えば、家庭用暖房器具、自動車内装用暖房装置、産業用加熱装置、各種除雪解氷装置、防曇装置、加熱調理器具などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 ヒータユニット
31 断熱構造
33 空間
35 間隔保持部
37 蓋部
39 断熱板
53 遮光フード
55 センサユニット
59 ウインドシールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8