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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166657
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】射出成形用金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/44 20060101AFI20221026BHJP
   B29C 45/33 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B29C45/44
B29C45/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072014
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】511142187
【氏名又は名称】黒田化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】村田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高田 仁志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】筏井 慶悟
(72)【発明者】
【氏名】小城 裕基
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AG08
4F202AG24
4F202AH11
4F202AM32
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK32
4F202CK53
4F202CK89
4F202CM31
(57)【要約】
【課題】無理抜き時に筒体根元部のクラックの発生を抑制する。
【解決手段】外周面にアンダーカットとなる突出部を有する筒体の射出成形用金型であって、筒体の内周面を形成する第1のコアと、筒体の外周面及び突出部を形成する第2のコアと、第1のコアと第2のコアを筒体から離型するように移動させる駆動手段と、第2のコアよりも先に移動する第1のコアが予め定められた位置に移動するまで第2のコアの移動を阻止するロック手段と、を備え、ロック手段は、第1のコアの移動方向と交差する方向に進退自在に突出し、移動する第1のコアにより押し下げられ、第2のコアがスライド移動可能となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にアンダーカットとなる突出部を有する筒体の射出成形用金型であって、
前記筒体の内周面を形成する第1のコアと、
前記筒体の前記外周面及び前記突出部を形成する第2のコアと、
前記第1のコアと前記第2のコアを前記筒体から離型するように移動させる駆動手段と、
前記第2のコアよりも先に移動する前記第1のコアが予め定められた位置に移動するまで前記第2のコアの移動を阻止するロック手段と、を備えた、
ことを特徴とする射出成形用金型。
【請求項2】
前記ロック手段は、前記第1のコアの移動方向と交差する方向に進退自在に突出し、移動する前記第1のコアにより押し下げられ、前記第2のコアがスライド移動可能となる、
ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型。
【請求項3】
前記ロック手段は、前記第1のコアの移動方向に沿って立ち上がる方向に傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形用金型。
【請求項4】
前記第2のコアは、移動方向とは反対側に押圧されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の射出成形用金型。
【請求項5】
前記駆動手段は、ボールねじをサーボモータにより駆動させ前記第1のコアと前記第2のコアを移動させる、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の射出成形用金型。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記第2のコアを前記第1のコアの移動速度よりも速い移動速度で移動させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の射出成形用金型。
【請求項7】
前記筒体は、前記外周面の直径D1が、D1<10mm、
前記突出部の直径D2が、1.08<D2/D1<1.2、
である、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の射出成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
コアブロックとキャビティブロックとからなる金型にて射出成形した成形品をコアブロック側に付帯させたままの状態で型開きし、その型開き動作に続く成形品の突き出し動作に先立って、成形品の一部とコアブロックとが成形品突き出し方向に対して引っ掛かりの関係となっているアンダーカットの関係を回避する射出成形金型であって、成形品にはコアブロックに対する引っ掛かり量が異なる複数のアンダーカット係合部が隣接形成されている一方で、上記コアブロックには、そのコアブロックの一部を形成しつつスライド駆動手段によってアンダーカット回避方向にスライド駆動されるドライブコアと、同じくコアブロックの一部を形成しつつアンダーカット部ごとに独立していて且つ上記ドライブコアのスライド動作に応じて同方向にスライド動作する複数のセクショナルスライドコアがそれぞれに設けられていて、上記ドライブコアのスライド動作に応じスライド駆動されるセクショナルスライドコアそれぞれのスライドストロークが、対応するアンダーカット係合部の引っ掛かり量に応じて互いに異なる大きさに設定されている射出成形金型が知られている(特許文献1)。
【0003】
スライドコアとパイプコアピンとによって、ホースが接続されるホース接続部を成形し、スライドコアによって、ホース接続部の外周面から突出するようにホース抜け止め用凸部を成形する、熱交換器のタンク部材に用いられるパイプの成形方法であって、パイプコアピンは、先端の縁に第1凹部を有する第1パイプコアピンと、第1パイプコアピンに当接し、第1凹部と対向する位置に第2凹部を有する第2パイプコアピンと、から構成され、ホース抜け止め用凸部を成形するとともに、第1凹部と第2凹部とによって、ホース接続部の内周面から突出するように矯正用凸部を成形し、成形したホース接続部から第1パイプコアピンをホース接続部の内周面の形状に沿って引き抜き、成形したホース抜け止め用凸部に引っかかるスライドコアを無理抜きによって強制的に引き抜きつつ、成形した矯正用凸部に引っかかる第2パイプコアピンを無理抜きによって強制的に引き抜くパイプの成形方法も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-170477号公報
【特許文献2】特開2017-36768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、無理抜き時に筒体根元部のクラックの発生を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の射出成形用金型は、
外周面にアンダーカットとなる突出部を有する筒体の射出成形用金型であって、
前記筒体の内周面を形成する第1のコアと、
前記筒体の前記外周面及び前記突出部を形成する第2のコアと、
前記第1のコアと前記第2のコアを前記筒体から離型するように移動させる駆動手段と、
前記第2のコアよりも先に移動する前記第1のコアが予め定められた位置に移動するまで前記第2のコアの移動を阻止するロック手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の射出成形用金型において、
前記ロック手段は、前記第1のコアの移動方向と交差する方向に進退自在に突出し、移動する前記第1のコアにより押し下げられ、前記第2のコアがスライド移動可能となる、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の射出成形用金型において、
前記ロック手段は、前記第1のコアの移動方向に沿って立ち上がる方向に傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の射出成形用金型において、
前記第2のコアは、移動方向とは反対側に押圧されている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の射出成形用金型において、
前記駆動手段は、ボールねじをサーボモータにより駆動させ前記第1のコアと前記第2のコアを移動させる、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の射出成形用金型において、
前記駆動手段は、前記第2のコアを前記第1のコアの移動速度よりも速い移動速度で移動させる、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の射出成形用金型において、
前記筒体は、前記外周面の直径D1が、D1<10mm、
前記突出部の直径D2が、1.08<D2/D1<1.2、
である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、無理抜き時に筒体根元部のクラックの発生を抑制することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、第2のコアが第1のコアの移動と同時に移動することを防止することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第1のコアの移動をスムーズにすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、第2のコアの急激な移動による金型への成形品の取られを無くすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、第2のコアの無理抜き動作の速度制御を行うことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、無理抜きによる突出部の変形を抑制することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、アンダーカット比が大きい筒体を無理抜き成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る射出成形用金型の概略断面模式図である。
図2】射出成形用金型の無理抜き成形機構を駆動手段を省略して部分的に示す部分断面模式図であり、(a)は成形時の状態、(b)は第1スライド台が移動してロックコアを押し下げた状態、(c)は第2スライド台が移動してアンダーカット部が無理抜きされた状態を示している。
図3】(a)はロックコアによる第2スライド台の移動阻止を説明する斜視図、(b)は第1スライド台が移動してロックコアが押し下げられ第2スライド台が移動可能となった状態を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る射出成形用金型を用いた射出成形の動作の流れを示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る射出成形用金型により成形される筒体の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0022】
(1)射出成形用金型の全体構成
図1は本実施形態に係る射出成形用金型1の概略断面模式図、図5は本実施形態に係る射出成形用金型1により成形される筒体100の一例を示す断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、射出成形用金型1の全体構成について説明する。
【0023】
(1.1)筒体
本実施形態に係る射出成形用金型1により成形される筒体100は、図5に示すように、ホース等の弾性パイプ(不図示)が取り付けられるパイプ取付け部110と、機器に取り付けられる接続部120と、から構成される。
パイプ取付け部110は、円筒形状で先端部が開口し、先端部には外周面110aから外側に突出する突出部111を有する。突出部111は、パイプ取付け部110の全周に亘って環状に切れ目なく形成され、取付けられる弾性パイプの抜け止めとなっている。
【0024】
筒体100は、図5に示すように、一例として、
外周面110aの直径D1が、
D1<10mm・・・(1)
突出部111の直径D2が、
1.08<D2/D1<1.2・・・(2)
であり、突出部111は、成形する際にアンダーカットとなっている。
【0025】
筒体100を成形する際に、アンダーカットとなる突出部111を形成する場合、金型を割型としてアンダーカットを回避する成形と、割型を用いないで成形する無理抜き成形があり、本実施形態の射出成形用金型1は、無理抜き成形を行う金型として構成されている。
【0026】
(1.2)射出成形用金型
図1に示すように、射出成形用金型1は、パーティング面で合わさった固定側型10と可動側型20とからなり、固定側型10と可動側型20との間に樹脂が充填され、筒体100を形成するキャビティCが形成されている。
【0027】
固定側型10は、固定側取付板11と、入れ子収納部が形成された固定側型板12と、キャビティCの一部を構成するキャビティ面及びパーティング面の一部が形成された入れ子13からなる。
【0028】
固定側取付板11、入れ子13が配設された固定側型板12は順に接合され、固定側取付板11には樹脂が供給されるロケートリング14が設けられている。
固定側取付板11には、ロケートリング14に連通し溶融樹脂が最初に流入するスプルー15が形成されたスプルーブッシュ16が設けられている。また、入れ子13にはスプルー15から注入される溶融樹脂をキャビティCに向かって流通させるランナ17の一面側を形成するランナ溝が形成されている。
【0029】
可動側型20は、可動側取付板21と、スぺーサブロック22を介して可動側取付板21に取付けられ可動側型20の移動方向に移動可能なストリッパプレート23と、ストリッパプレート23に接合される可動側型板24からなる。可動側型板24の固定側型10側には、入れ子13のキャビティ面に望む凹部を有する入れ子25が取付けられている。
【0030】
入れ子25には、筒体100の内周面110bを形成する第1のコアの一例としてのコアピン30と、筒体100の外周面110a及び突出部111を形成する第2のコアの一例としてのアンダーカットコア40が、駆動手段の一例としてのサーボモータMに連結され、移動可能に配設されている。
アンダーカットコア40で筒体100のアンダーカットとなる突出部111を形成し、型開き後、コアピン30とアンダーカットコア40を筒体100から離型するように移動させることで無理抜き成形機構を構成している。
【0031】
可動側型20にはエジェクタ機構50が設けられている。エジェクタ機構50は、可動側取付板21とストリッパプレート23との間に架設されたエジェクタガイドピン51及びサポートピン52に沿って移動可能な一対のエジェクタプレート53と、エジェクタプレート53に設けられエジェクタプレート53と同動する複数のエジェクタピン54から構成されている。
【0032】
エジェクタプレート53は常時は不図示の付勢手段によって後退位置に位置させられ、脱型時に不図示の駆動手段によって進出させられて、エジェクタピン54を入れ子25から突出させて、キャビティC内の成形品を突き出して入れ子25から製品を離間させるようになっている。
【0033】
(2)無理抜き成形機構の構成と動作
図2は射出成形用金型1の無理抜き成形機構を駆動手段を省略して部分的に示す部分断面模式図であり、(a)は成形時の状態、(b)は第1スライド台31が移動してロックコア42を押し下げた状態、(c)は第2スライド台41が移動してアンダーカット部が無理抜きされた状態を示している。図3(a)はロックコア42による第2スライド台41の移動阻止を説明する斜視図、(b)は第1スライド台31が移動してロックコア42が押し下げられ第2スライド台41が移動可能となった状態を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら射出成形用金型1における無理抜き成形機構の構成と動作について説明する。
【0034】
(2.1)無理抜き成形機構
射出成形用金型1の無理抜き成形機構は、図2(a)に示すように、筒体100の内周面110bを形成するコアピン30と、筒体100の外周面110a及び突出部111を形成するアンダーカットコア40と、コアピン30とアンダーカットコア40を筒体100から離型するように移動させるサーボモータM(図1に図示)と、アンダーカットコア40よりも先に移動するコアピン30が予め定められた位置に移動するまでアンダーカットコア40の移動を阻止するロック手段の一例としてのロックコア42から構成されている。
【0035】
コアピン30は、入れ子25に対して進退方向に移動自在に設けられた第1スライド台31を介してサーボモータM(図1 参照)に連結され、サーボモータMの回転駆動を受けるボールねじBS(図1 参照)の回転駆動でキャビティCに対して進退可能となっている。
尚、図1においては、サーボモータMとボールねじBSは、第1スライド台31を入れ子25に対して進退方向に移動させる機能が理解されるように模式的に示している。
【0036】
アンダーカットコア40は、入れ子25に対して進退方向に移動自在に設けられた第2スライド台41を介してキャビティCに対して進退可能であり、第2スライド台41は、アンダーカットコア40が筒体100から離型する方向の移動が、第2スライド台41の移動軌跡に突出するロックコア42で阻止されている。また、地側(重力方向の下方側:図1においてZ方向)の第2スライド台41は、スプリング(不図示)で移動方向とは反対側に押圧され、アンダーカットコア40及び第2スライド台41の自重による急激な後退衝撃を抑制している。
【0037】
ロックコア42は、図2(a)に示すように、スプリングSで第1スライド台31の移動方向と交差(直交)する方向に付勢され、第2スライド台41の移動軌跡に対して進退自在に突出することで、第2スライド台41の移動を阻止している。
【0038】
ロックコア42は、図3(a)に示すように、全体がブロック状の立方体で、第2スライド台41の端面41aと接触して第2スライド台41の移動を阻止する第1面42aと、第1スライド台31の移動方向に沿って立ち上がる方向に傾斜する傾斜面42bを有している。これにより、第1スライド台31の移動をスムーズにすることができる。
第1スライド台31が移動して(図2(b)、図3(a)に矢印R1で示す)、第1スライド台31の端面31aが傾斜面42bに乗り上げるように接触すると、ロックコア42は、第2スライド台41の移動軌跡から突出しない位置まで押し下げられ(図2(b)、図3(b)に矢印R2で示す)、図2(b)に示すように、第2スライド台41の端面41aと第1面42aとの接触が解除される。
【0039】
ロックコア42を押し下げた第1スライド台31が、更に移動すると、第1スライド台31の端面31aが第2スライド台41の一端41bに接触して、第2スライド台41は、移動する第1スライド台31に押されて第1スライド台31とともに移動する(図2(c)に矢印R3で示す)。これにより、図2(c)に示すように、アンダーカットコア40が、筒体100の突出部111を乗り越えて無理抜きされる。
【0040】
このように、アンダーカットコア40は、先に移動するコアピン30がロックコア42が配設された位置に移動するまでロックコア42で移動を阻止され、コアピン30の筒体100からの過大な離型抵抗によるコアピン30との連れ動きが防止される。これにより、コアピン30が筒体100から確実に離型したあと、無理抜きされることになり、筒体100の根元部のクラックの発生を抑制することができる。
【0041】
(2.2)成形動作
図4は本実施形態に係る射出成形用金型1を用いた射出成形の動作の流れを示すフローチャートである。
射出成形用金型1を型締め(S101)すると、固定側型10の入れ子13のパーティング面と可動側型20の入れ子25のパーティング面が当接して筒体100を成形するキャビティCの一部が形成される。また、入れ子25に対して、コアピン30とアンダーカットコア40がスライド移動してコアピン30の先端部が入れ子13に位置決めされた状態で筒体100の内周面110b、外周面110aの一部及び突出部111を成形するキャビティCが形成される。
【0042】
この状態で、射出成形装置のノズル(不図示)から溶融樹脂がスプルー15に流入し、このスプルー15に流入した溶融樹脂がランナ17を経由してゲート28からキャビティCに充填される(S102)。
【0043】
キャビティCに充填された溶融樹脂は所定の保圧で保持されながら冷却固化して(S103)筒体100となる。
【0044】
次に、パーティングロック装置PLのパーティングロックが解除され固定側型10から可動側型20を離間させて型開放を行い(S104)、筒体100が固定側型10の入れ子13から分離される。ついで、サーボモータMを回転駆動して第1スライド台31を移動させコアピン30を成形された筒体100から離型させる(S105)。
【0045】
第1スライド台31が、ロックコア42の位置まで移動すると、第1スライド台31でロックコア42が押し下げられて(S106)第2スライド台41が移動可能になる。
【0046】
そして、サーボモータMの回転数を増加させて回転駆動して第1スライド台31とともに第2スライド台41を移動させてアンダーカットコア40をコアピン30の離型速度よりも速い引き抜き速度で筒体100から引き抜く(S107)。
本実施形態における射出成形用金型1においては、コアピン30及びアンダーカットコア40をサーボモータMとボールねじBSを用いて引き抜き速度及び速度パターンを制御して無理抜きで成形される筒体100の突出部111の変形を抑制している。
【0047】
アンダーカットコア40が筒体100から離型するタイミングでエジェクタプレート33が不図示の駆動手段により駆動され、エジェクタピン34が筒体100に向かって突き出されて、筒体100が可動側型20の入れ子25から離型される(S108)。
【0048】
このように本実施形態に係る射出成形用金型1によれば、アンダーカットとなる突出部111を有する筒体100の無理抜き成形において、筒体100の外周面110a及び突出部111を形成するアンダーカットコア40が、筒体100の内周面110bを形成するコアピン30が予め定められた位置に移動するまでロックコア42で移動を阻止され、コアピン30との連れ動きが防止される。これにより、コアピン30が筒体100から確実に離型したあと、突出部111が無理抜きされることになり、筒体100の根元部のクラックの発生を抑制することができる。
【0049】
また、コアピン30及び無理抜きするアンダーカットコア40の離型動作をサーボモータMとボールねじBSを用いて速度制御することで、アンダーカット比((2)式で示すD2/D1)の大きい小径(D1<10mm)の筒体100の変形を抑制しながら無理抜き成形することができる。尚、筒体100の外周面110aの直径D1が大きい場合、例えば、D1が15mm~40mmである場合、駆動手段として公知の油圧シリンダを用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1・・・射出成形用金型
10・・・固定側型
11・・・固定側取付板、12・・・固定側型板、13・・・入れ子(固定側)
20・・・可動側型
21・・・可動側取付板、24・・・可動側型板、25・・・入れ子(可動側)
30・・・コアピン
31・・・第1スライド台
40・・・アンダーカットコア
41・・・第2スライド台、42・・・ロックコア
100・・・筒体
110・・・パイプ取付け部、111・・・突出部、110a・・・外周面、110b・・・内周面
PL・・・パーティングロック装置
C・・・キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5