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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166671
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20221026BHJP
【FI】
H01L33/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072035
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 俊之
(72)【発明者】
【氏名】橘田 芳仁
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】松村 一輝
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA04
5F142AA56
5F142BA32
5F142CA02
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD18
5F142CE03
5F142CE16
5F142CE32
5F142CG04
5F142CG05
5F142DA12
5F142DB24
5F142FA21
(57)【要約】
【課題】小型で上方向に強い光を放射する発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置10は、長方形状の基板12と、基板12の上に設けられた発光ダイオード18と、基板12の上面の周縁において、一組の対辺に設けられた第一の光反射材22と、第一の光反射材22の内側で発光ダイオード18を覆う封止材24とを有している。第一の光反射材22は、上に凸である曲面を備える下部内壁22aと、基板12の上面と垂直な平面を備える上部内壁22bとを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状の基板と、
前記基板の上面上に設けられた発光素子と、
前記基板の上面の周縁において、一組の対辺の上に設けられた第一の光反射材と、
前記第一の光反射材の内側で前記発光素子を覆う封止材と、
を有する発光装置であって、
前記第一の光反射材が、上に凸である曲面を備える下部内壁と、前記基板の上面と垂直な平面を備える上部内壁とを備える発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記一組の対辺が、前記基板の上面の2つの長辺である発光装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記基板の上面の周縁において、もう一組の対辺の上に設けられた曲面光反射材をさらに有し、
前記曲面光反射材が、上に凸である曲面を備える内壁を備えるとともに、前記封止材で覆われている発光装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記基板の上に設けられた周辺素子をさらに有し、
前記曲面光反射材が、前記周辺素子を覆っている発光装置。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記基板の上面の周縁において、もう一組の対辺の上であって前記封止材の外側に設けられた第二の光反射材をさらに有し、
前記第二の光反射材が、上に凸である曲面を備える下部内壁と、前記基板の上面と垂直な平面を備える上部内壁とを備える発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型で明るい発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光素子の周囲に光反射樹脂を設け、発光素子が発する光を反射させて、上面から明るい光を放射する発光装置が知られている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載された発光装置では、光反射樹脂の内壁面が基板の上面と垂直な平面であるため、発光素子が発する横方向への光を効率よく上方向に反射できないおそれがある。また、発光素子が発する横方向への光が光反射樹脂を透過することによって、発光装置の側面から光が漏れるおそれもある。
【0003】
一方、発光素子の周囲に設ける光反射樹脂を山形状にして、発光素子が発する横方向への光を効率よく上方向に反射する発光装置も知られている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2に記載された発光装置では、光反射樹脂の下部が厚くなってしまう。このため、特許文献2に記載された発光装置は、例えば薄い導光板に側面実装するような用途には適さないと推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-368281号公報
【特許文献2】特開2008-41290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、小型で上方向に強い光を放射する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光装置は、長方形状の基板と、基板の上面上に設けられた発光素子と、基板の上面の周縁において、一組の対辺の上に設けられた第一の光反射材と、第一の光反射材の内側で発光素子を覆う封止材とを有する発光装置であって、第一の光反射材が、上に凸である曲面を備える下部内壁と、基板の上面に対して垂直な平面を備える上部内壁とを備えている。本発明の発光装置において、一組の対辺が、基板の上面の2つの長辺であってもよい。
【0007】
本発明の発光装置において、基板の上面の周縁において、もう一組の対辺の上に設けられた曲面光反射材をさらに有し、曲面光反射材が、上に凸である曲面を備える内壁を備え、曲面光反射材が、封止材で覆われていてもよい。本発明の発光装置において、基板の上面上に設けられた周辺素子をさらに有し、曲面光反射材が、周辺素子を覆っていてもよい。本発明の発光装置において、基板の上面の周縁において、もう一組の対辺の上であって封止材の外側に設けられた第二の光反射材をさらに有し、第二の光反射材が、上に凸である曲面を備える下部内壁と、基板の上面に対して垂直な平面を備える上部内壁とを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発光装置は、基板の少なくとも一組の対辺に設けられた光反射材の下部内壁が上に凸である曲面を備え、上部内壁が基板の上面と垂直な平面を備えているので、全体が山形状の光反射材を有する発光装置と比べて、光反射材を薄くでき小型化が可能となる。
【0009】
また、本発明の発光装置は、基板の上面と垂直な内面のみを備える光反射材を有する発光装置と比べて、発光素子から発せられる横方向の光が上方向に反射する量が多いので、上面から強い光を放射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態の発光装置を示す上面模式図である。
図2図1のII-II線断面模式図である。
図3図1のIII-III線断面模式図である。
図4】本発明の第二実施形態の発光装置を示す上面模式図である。
図5図4のV-V線断面模式図である。
図6図4のVI-VI線断面模式図である。
図7】本発明の第三実施形態の発光装置を示す上面模式図である。
図8図7のVIII-VIII線断面模式図である。
図9図7のIX-IX線断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の発光装置について、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、発光装置、発光装置を構成する部材、および発光装置の周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、特にことわらない限り、本明細書では便宜上、図2に示す発光装置の向きを基準に「上」、「下」、または「横」などの方向を表す。重複説明は適宜省略し、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0012】
(第一の実施形態の発光装置)
図1乃至図3は、本発明の第一の実施形態に係る発光装置10を示しており、図1は上面模式図、図2図1のII-II線断面模式図、図3図1のIII-III線断面模式図である。発光装置10は、基板12と、一対の電極14,16と、発光素子としての発光ダイオード18と、周辺素子としてのツェナーダイオード20と、第一の光反射材22と、封止材24とを備えている。基板12は長方形の板状部材である。なお、基板12の形状は長方形に限られず、例えば、正方形であってもよい。基板12は、その上に各種導体部材が設けられる絶縁性部材で、ガラスエポキシ樹脂、セラミックス、またはガラス等から構成される。
【0013】
発光ダイオード18は、一方の電極14を介して、基板12の上面上に設けられている。また、発光ダイオード18の上面電極は、ワイヤ26,27によって、それぞれ電極14,16に電気的に接続されている。ツェナーダイオード20は、発光ダイオード18の静電気放電に対する耐性を向上させるための素子で、他方の電極16を介して基板12の上に設けられている。ツェナーダイオード20は、ワイヤ28によって電極14に電気的に接続されている。第一の光反射材22は、基板12の上面の周縁において、一組の対辺の上に設けられている。本実施形態では、この一組の対辺が基板12の上面の2つの長辺である。
【0014】
第一の光反射材22は、下部内壁22aと、下部内壁22aの上の上部内壁22bとを備えている。下部内壁22aは、図3に示すように、上に凸である曲面を備えている。この曲面は、図3に示すように、基板12の上面から凸状に上向き湾曲した曲面であってもよい。また、上部内壁22bは、図3に示すように、基板12の上面に対して垂直な平面を備えている。第一の光反射材22は同一部材で一体に構成されていてもよいし、上下または内外等で複数に区分された別部材から構成されていてもよい。なお、発光装置10では、図3に示すように、基板12の上面の周縁に段差12aがある。この段差12aは、基板12の上に第一の光反射材22を設ける製造工程で形成されたものである。この段差がなく、基板12の上面が平坦であってもよい。
【0015】
第一の光反射材22は、例えば、シリコーン樹脂やフェノール樹脂等の母材樹脂にTiOやZrO等の光反射物質を添加した光反射樹脂から構成されている。このため、発光ダイオード18から第一の光反射材22に入射した光の多くは、下部内壁22aと上部内壁22bで反射される。なお、下部内壁22aと上部内壁22bの境界22cは、発光ダイオード18の上面より高い位置にあることが好ましい。発光ダイオード18が発する横方向への光が下部内壁22aで反射され、発光ダイオード18が発する斜め上方向への光が上部内壁22bで反射されて、それぞれ発光装置10の上面から放射されるからである。このように、発光装置10は上方向に強い光を放射できる。
【0016】
また、第一の光反射材22の上部内壁22bが基板12の上面に対して垂直な平面であるから、上に凸である曲面の内壁のみからなる光反射材と比べると、第一の光反射材22の上部を薄くでき、第一の光反射材22全体の横方向の厚さを小さくできる。このため、発光装置10自体の横方向の厚さも、特許文献2に記載された発光装置の横方向の厚さと比べて小さくできる。また、このように第一の光反射材22の上部の横方向の厚さを小さくできるため、発光装置10は、特許文献2に記載された発光装置と比べて上面の開口を大きくでき、光の放射量が多くなる。すなわち、発光装置10の上面の周縁部の明るさも確保できる。
【0017】
さらに、図3に示すように、発光ダイオード18の側面に対応する第一の光反射材22の部分が相対的に厚いため、発光ダイオード18から発せられた横方向の光が発光装置10から漏れるのを抑えられる。したがって、光源として発光装置10を板厚の薄い導光板に側面実装した場合、側面実装した状態で発光装置10の上下方向への光の漏れを、第一の光反射材22によって抑えることができる。また、板厚の薄い導光板に横方向に並べて側面実装された発光装置10は、第一の光反射材22が横方向にないため、横方向に光が拡散しながら前面から光が放射される。このため、2つの発光装置10の中間の地点でも、導光板に入射する光量が少なくなることを抑えられる。このように、発光装置10は側面実装する用途に適している。
【0018】
封止材24は、第一の光反射材22の内側で、電極14,16,発光ダイオード18、ツェナーダイオード20、およびワイヤ26,27,28を覆っている。封止材24は、ちり、水分、および外力などから、発光ダイオード18、ツェナーダイオード20、およびワイヤ26,27,28等を保護するためのもので、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の光透過性樹脂から構成されている。なお、封止材24は蛍光体を含んでいてもよい。発光装置10の製造方法については省略する。
【0019】
(第二の実施形態の発光装置)
図4乃至図6は、本発明の第二の実施形態に係る発光装置30を示しており、図4は上面模式図、図5図4(a)のV-V線断面模式図、図6図4のVI-VI線断面模式図である。本実施形態では、発光装置10との相違点を中心に、発光装置30について説明する。発光装置30は、基板12の上面の周縁において、もう一組の対辺の上に設けられた曲面光反射材32をさらに備えている。曲面光反射材32は、上に凸である曲面を備える内壁32aを備えている。この内壁32aの曲面は、図5に示すように、基板12の上面から凸状に上向き湾曲した曲面であってもよい。
【0020】
また、曲面光反射材32は、図5および図6に示すように、封止材24で覆われている。このように、基板12の上面の周縁において、もう一組の対辺の上に曲面光反射材32を設けることによって、発光ダイオード18が発する全方位の横方向への光が、下部内壁22aおよび内壁32aで反射されて、発光装置30の上面から放射される。このため、発光装置30の上面から強い光が放射される。また、曲面光反射材32が基板12の上面の周縁において、もう一組の対辺を覆っているため、基板12の露出がその分だけ減り、発光ダイオード18が発する光が基板12の下方から漏れるのを抑えられる。
【0021】
曲面光反射材32は、ツェナーダイオード20を覆っていることが好ましい。ツェナーダイオード20によって発光ダイオード18から発せられた光に影ができ、ツェナーダイオード20が存在する部分とそれ以外の部分とで、発光装置30から放射される光量が異なってしまうのを抑えられるからである。また、板厚の薄い導光板に横方向に並べて側面実装された発光装置30は、曲面光反射材32が封止材24で覆われているため、その前面付近では横方向に光が拡散される。このため、2つの発光装置30の中間の地点でも、導光板に入射する光量が少なくなることを抑えられる。このように、発光装置30も側面実装する用途に適している。
【0022】
(第三の実施形態の発光装置)
図7乃至図9は、本発明の第三の実施形態に係る発光装置40を示しており、図7は上面模式図、図8図7のVIII-VIII線断面模式図、図9図7のIX-IX線断面模式図である。本実施形態では、発光装置10との相違点を中心に、発光装置40について説明する。発光装置40は、基板12の上面の周縁において、もう一組の対辺の上に設けられた第二の光反射材42をさらに備えている。第二の光反射材42は、封止材24の外側に設けられている。
【0023】
第二の光反射材42は、下部内壁42aと、下部内壁42aの上の上部内壁42bとを備えている。下部内壁42aは、図8に示すように、上に凸である曲面を備えている。この下部内壁42aの曲面は、図8に示すように、基板12の上面から凸状に上向き湾曲した曲面であってもよい。また、上部内壁42bは、図8に示すように、基板12の上面に対して垂直な平面を備えている。第一の光反射材22と同様の理由で、下部内壁42aと上部内壁42bの境界42cは、発光ダイオード18の上面より高い位置にあることが好ましい。
【0024】
発光装置40において、第一の光反射材22と第二の光反射材42は、共に上部内壁と下部内壁を備えている。そのため、発光装置40では、他の実施形態の発光装置に比べて、発光ダイオード18の周りの空間、つまり、封止材24が充填される空間が狭い。したがって、封止材24に含まれる蛍光体を沈降させながら封止材24を硬化させる場合、蛍光体が発光ダイオード18の周辺に集まる。このため、発光装置40の上面から放射される光の色むらを抑えることができる。
【符号の説明】
【0025】
10 発光装置
12 基板
12a 基板の段差
14,16 電極
18 発光ダイオード
20 ツェナーダイオード
22 第一の光反射材
22a 第一の光反射材の下部内壁
22b 第一の光反射材の上部内壁
22c 第一の光反射材の下部内壁と上部内壁の境界
24 封止材
26,27,28 ワイヤ
30 発光装置
32 曲面光反射材
32a 内壁
40 発光装置
42 第二の光反射材
42a 第二の光反射材の下部内壁
42b 第二の光反射材の上部内壁
42c 第二の光反射材の下部内壁と上部内壁の境界
43 集合基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9