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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166676
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20221026BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20221026BHJP
【FI】
F24D17/00 F
F24D17/00 K
F24H1/18 302E
F24H1/18 302K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072052
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井浪 裕基
【テーマコード(参考)】
3L073
3L122
【Fターム(参考)】
3L073AA02
3L073AA07
3L073AA18
3L073AB07
3L073AB09
3L073AB15
3L073AB16
3L073AC01
3L073AD05
3L073AD07
3L073AE02
3L122AA02
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA54
3L122AA63
3L122AB22
3L122AB33
3L122BA04
3L122BA12
3L122BA13
3L122BA14
3L122BB02
3L122BB12
3L122BB14
3L122DA02
3L122EA02
3L122FA02
3L122FA06
(57)【要約】
【課題】タンク出湯モードから補助給湯器出湯モードに切り替わって、出湯温度を検出する温度センサが切り替わったときの出湯温度の変化を小さく抑えることができる給湯システムを提供する。
【解決手段】貯湯タンク10から出湯するときに給湯出口温度センサ29を用いて出湯温度を制御するタンク出湯モードと、貯湯タンク10が湯切れしたときに補助給湯器3からの出湯に切り替えて補助給湯器温度センサ40を用いて出湯温度を制御する補助給湯器出湯モードとを実行する給湯制御手段16を備える。給湯制御手段16は、タンク出湯モードから補助給湯器出湯モードに切り替えて出湯を実行したときに、補助給湯器温度センサ40と給湯出口温度センサ29との検出温度差から温度センサ間補正値を算出し、補助給湯器温度センサ40と給湯出口温度センサ29との何れか一方を補正対象温度センサとして、当該補正対象温度センサの検出温度を温度センサ間補正値に基づき補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、
前記貯湯タンクに接続された出湯管と、
前記貯湯タンク及び前記出湯管に接続された給水管と、
前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、
前記貯湯タンクから前記出湯管に供給される湯水と、前記給水管から前記出湯管に供給される水との混合比を変更する混合比変更手段と、
前記貯湯タンクの湯切れを検出する湯切れ検出手段と、
前記出湯管の途中に設けられ、前記出湯管を流通する湯水を加熱する補助給湯器と、
前記補助給湯器をバイパスして、前記出湯管を前記補助給湯器の上流側と下流側とで連通させる出湯バイパス管と、
前記出湯バイパス管を開閉する出湯バイパス弁と、
前記出湯バイパス管の下流側の前記出湯管に設けられた給湯出口温度センサと、
前記補助給湯器を通過した前記出湯管内の湯水の温度を検出する補助給湯器温度センサと、
目標給湯温度を設定する給湯温度設定手段と、
前記貯湯タンクからの出湯中に、前記湯切れ検出手段により貯湯タンクの湯切れが検出されない場合は、前記バイパス弁を開弁状態とし、前記給湯出口温度センサを用いて前記目標給湯温度の湯が前記出湯管から出湯されるように前記混合比変更手段により前記混合比を調節する、タンク出湯モードによる出湯を実行し、前記貯湯タンクからの出湯中に、前記湯切れ検出手段により前記貯湯タンクの湯切れが検出された場合は、前記バイパス弁を閉弁状態とし、前記補助給湯器温度センサを用いて前記目標給湯温度の湯が前記出湯管から出湯されるように前記補助給湯器で加熱する、補助給湯器出湯モードによる出湯を実行する給湯制御手段とを備え、
前記給湯制御手段は、前記タンク出湯モードから前記補助給湯器出湯モードに切り替えて出湯を実行したときに、前記補助給湯器温度センサと前記給湯出口温度センサとの検出温度差から温度センサ間補正値を算出する補正値算出部と、前記補助給湯器温度センサと前記給湯出口温度センサとの何れか一方を補正対象温度センサとして、当該補正対象温度センサの検出温度を前記温度センサ間補正値に基づき補正する検出温度補正部とを備えることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
請求項1記載の給湯システムにおいて、
前記給湯制御手段の前記補正値算出部は、前記温度センサ間補正値を所定のタイミングで複数回算出することを特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の給湯システムにおいて、
前記給湯制御手段の前記検出温度補正部は、前記補正対象温度センサの検出温度を、複数回に分けて補正することを特徴とする給湯システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項記載の給湯システムにおいて、
前記給湯制御手段の前記検出温度補正部は、前記補正対象温度センサを前記給湯出口温度センサとして、当該給湯出口温度センサの検出温度を前記温度センサ間補正値に基づき補正し、
前記給湯制御手段は、前記タンク出湯モードの際に、前記検出温度補正部によって補正された前記給湯出口温度センサの検出温度を用いて、前記目標給湯温度の湯が前記出湯管から出湯されるように前記混合比変更手段により前記混合比を調節することを特徴とする給湯システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項記載の給湯システムにおいて、
前記補助給湯器は、燃焼給湯器であり、
前記燃焼給湯器は、前記出湯管の途中に接続された熱交換器と、前記熱交換器を加熱するバーナと、前記熱交換器の出口と前記出湯バイパス管の下流端との間の出湯管に設けられた前記補助給湯器温度センサと、前記補助給湯器温度センサの検出温度が前記給湯温度設定手段により設定された目標給湯温度となるようにフィードバック制御を行う燃焼給湯器制御部とを備え、
前記給湯制御手段の前記補正値算出部は、前記補助給湯器温度センサと前記給湯出口温度センサとの検出温度差から温度センサ間補正値を算出するとき、前記補助給湯器温度センサの検出温度として前記給湯温度設定手段により設定された目標給湯温度を用いることを特徴とする給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱された湯を溜める貯湯タンクと補助給湯器とを備える給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ等の加熱手段によって加熱した湯を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクの湯を導出する出湯管の途中に瞬間加熱式の燃焼給湯器等の補助給湯器とを接続した給湯システムが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
出湯管には、補助給湯器の上流側と下流側とで連通させる出湯バイパス管が設けられている。出湯バイパス管は、バイパス弁により開閉される。貯湯タンクから延びる出湯管には、貯湯タンクに給水する給水管が分岐して接続されている。
【0004】
出湯バイパス管の接続部よりも下流の出湯管には、給湯出口温度センサが設けられている。補助給湯器には、当該補助給湯器で加熱した湯の温度を検出する補助給湯器温度センサが設けられている。
【0005】
この給湯システムでは、貯湯タンクから湯を供給するタンク出湯モードと、補助給湯器によって加熱した湯を供給する補助給湯器出湯モードとが実行可能となっている。
【0006】
タンク出湯モードにおいては、出湯バイパス管のバイパス弁が開弁される。貯湯タンクから導出された湯は、給水管からの水が混合されて出湯バイパス管に向かう。このとき、給湯出口温度センサの検出温度が設定温度になるように、出湯管の湯と給水管の水との混合比が調整される。
【0007】
補助給湯器出湯モードにおいては、補助給湯器で加熱された湯の温度を補助給湯器温度センサが検出し、この検出温度が設定温度になるように補助給湯器による加熱量が調整される。
【0008】
そして、この給湯システムによれば、先ず、貯湯タンクから湯を供給するタンク出湯モードが実行されるが、その後、貯湯タンクが湯切れして貯湯タンクから湯が供給できなくなった場合には、補助給湯器によって加熱した湯を供給する補助給湯器出湯モードに切り替えて実行することができるので、貯湯タンクが湯切れしても、湯を供給し続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011-153796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の給湯システムでは、タンク出湯モードにおける出湯温度の検出には給湯出口温度センサが用いられ、補助給湯器出湯モードにおける出湯温度の検出には補助給湯器温度センサが用いられる。
【0011】
給湯出口温度センサと補助給湯器温度センサとは、個体差や劣化度合いの相違により、夫々の検出温度の認識値にズレが生じることがある。このため、タンク出湯モードから補助給湯器出湯モードに切り替わったことにより、出湯温度を検出する温度センサが切り替わると、検出温度の認識値のズレによって、出湯温度が変化してしまい、使用者に不快感を与える不都合がある。
【0012】
なお、タンク出湯モードと補助給湯器出湯モードとで給湯出口温度センサのみを用いて出湯温度の検出を行うことが考えられるが、この場合、補助給湯器による湯水の加熱位置から給湯出口温度センサまでの距離が、極めて遠くなり、補助給湯器出湯モードにおいて、検出温度に基づく加熱量のフィードバック制御に後れを生じるため採用できない。
【0013】
上記の点に鑑み、本発明は、タンク出湯モードから補助給湯器出湯モードに切り替わって、出湯温度を検出する温度センサが切り替わったときの出湯温度の変化を小さく抑えることができる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明の給湯システムは、貯湯タンクと、前記貯湯タンクに接続された出湯管と、前記貯湯タンク及び前記出湯管に接続された給水管と、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクから前記出湯管に供給される湯水と、前記給水管から前記出湯管に供給される水との混合比を変更する混合比変更手段と、前記貯湯タンクの湯切れを検出する湯切れ検出手段と、前記出湯管の途中に設けられ、前記出湯管を流通する湯水を加熱する補助給湯器と、前記補助給湯器をバイパスして、前記出湯管を前記補助給湯器の上流側と下流側とで連通させる出湯バイパス管と、前記出湯バイパス管を開閉する出湯バイパス弁と、前記出湯バイパス管の下流側の前記出湯管に設けられた給湯出口温度センサと、前記補助給湯器を通過した前記出湯管内の湯水の温度を検出する補助給湯器温度センサと、目標給湯温度を設定する給湯温度設定手段と、前記貯湯タンクからの出湯中に、前記湯切れ検出手段により貯湯タンクの湯切れが検出されない場合は、前記バイパス弁を開弁状態とし、前記給湯出口温度センサを用いて前記目標給湯温度の湯が前記出湯管から出湯されるように前記混合比変更手段により前記混合比を調節する、タンク出湯モードによる出湯を実行し、前記貯湯タンクからの出湯中に、前記湯切れ検出手段により前記貯湯タンクの湯切れが検出された場合は、前記バイパス弁を閉弁状態とし、前記補助給湯器温度センサを用いて前記目標給湯温度の湯が前記出湯管から出湯されるように前記補助給湯器で加熱する、補助給湯器出湯モードによる出湯を実行する給湯制御手段とを備え、前記給湯制御手段は、前記タンク出湯モードから前記補助給湯器出湯モードに切り替えて出湯を実行したときに、前記補助給湯器温度センサと前記給湯出口温度センサとの検出温度差から温度センサ間補正値を算出する補正値算出部と、前記補正値算出部による前記温度センサ間補正値の算出に応じて、前記補助給湯器温度センサと前記給湯出口温度センサとの何れか一方を補正対象温度センサとして、当該補正対象温度センサの検出温度を前記温度センサ間補正値に基づき補正する検出温度補正部とを備えることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によると、補助給湯器出湯モードによる出湯を実行したとき、補助給湯器を経て流れる湯水が、出湯管の補助給湯器温度センサによる温度検出位置と給湯出口温度センサによる温度検出位置との両方を通過する。そして、この時、出湯管の補助給湯器温度センサによる温度検出位置と給湯出口温度センサによる温度検出位置とを通過するの湯水の温度は同等であると考えられる。
【0016】
そこで、給湯制御手段は、タンク出湯モードから補助給湯器出湯モードに切り替えて出湯を実行したときに、補正値算出部によって温度センサ間補正値を算出する。これにより、補助給湯器温度センサと給湯出口温度センサとの検出温度差から温度センサ間補正値を容易に得ることができる。
【0017】
そして、検出温度補正部が、補正値算出部によって算出した温度センサ間補正値を用いて、補正対象温度センサの検出温度を補正する。これにより、補助給湯器温度センサと給湯出口温度センサとの検出温度のズレを小さくすることができ、出湯モードが切り替わったことによる出湯温度の変化を抑えることができる。
【0018】
また、本発明の給湯システムにおいて、前記給湯制御手段の前記補正値算出部は、前記温度センサ間補正値を所定のタイミングで複数回算出することを特徴とする。
【0019】
これによれば、補助給湯器温度センサと給湯出口温度センサとの検出温度のズレを確認して温度センサ間補正値を細かく更新することができ、温度センサ間補正値の精度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の給湯システムにおいて、前記給湯制御手段の前記検出温度補正部は、前記補正対象温度センサの検出温度を、複数回に分けて補正することを特徴とする。
【0021】
これによれば、補正対象温度センサの検出温度に対する極度な補正を抑えて、補正された検出温度に極度な変動が生じることを防止することができる。
【0022】
また、本発明の給湯システムの好ましい態様として、前記給湯制御手段の前記検出温度補正部は、前記補正対象温度センサを前記給湯出口温度センサとして、当該給湯出口温度センサの検出温度を前記温度センサ間補正値に基づき補正し、前記給湯制御手段は、前記タンク出湯モードの際に、前記検出温度補正部によって補正された前記給湯出口温度センサの検出温度を用いて、前記目標給湯温度の湯が前記出湯管から出湯されるように前記混合比変更手段により前記混合比を調節することが挙げられる。
【0023】
これによれば、補助給湯器出湯モードによる出湯時に得られた温度センサ間補正値を、次回のタンク出湯モード(湯切れが解消された後のタンク出湯モード)による出湯時に給湯出口温度センサの検出温度の補正を迅速に行うことができる。
【0024】
また、本発明の給湯システムにおいて、前記補助給湯器は、燃焼給湯器であり、前記燃焼給湯器は、前記出湯管の途中に接続された熱交換器と、前記熱交換器を加熱するバーナと、前記熱交換器の出口と前記出湯バイパス管の下流端との間の出湯管に設けられた前記補助給湯器温度センサと、前記補助給湯器温度センサの検出温度が前記給湯温度設定手段により設定された目標給湯温度となるようにフィードバック制御を行う燃焼給湯器制御部とを備え、前記給湯制御手段の前記補正値算出部は、前記補助給湯器温度センサと前記給湯出口温度センサとの検出温度差から温度センサ間補正値を算出するとき、前記補助給湯器温度センサの検出温度として前記給湯温度設定手段により設定された目標給湯温度を用いることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、給湯制御手段は、給湯温度設定手段により設定された目標給湯温度を補助給湯器温度センサの検出温度として採用する。これにより、給湯制御手段は、補助給湯器温度センサの検出温度を、燃焼給湯器に設けられている燃焼給湯器制御部との通信等によって採取することなく、前記補正値算出部により温度センサ間補正値を算出することができる。よって、例えば、給湯制御手段と燃焼給湯器制御部との間で通信等による両温度センサの検出温度の比較が行えなくても、給湯制御手段の補正値算出部により温度センサ間補正値を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態における給湯システムの構成図。
図2】給湯システムの出湯作動を示すフローチャート。
図3】補正値算出部の作動を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本実施形態の給湯システムは、ヒートポンプユニット1が接続されたタンクユニット2に、更に瞬間加熱式の燃焼給湯器3を接続することにより構成されている。燃焼給湯器3は、本発明における補助給湯器に相当するものである。
【0028】
ヒートポンプユニット1は、圧縮機4、水熱交換器(凝縮器)5、膨張弁(減圧器)6、及び空気熱交換器(蒸発器)7を、冷媒循環路8により接続してなるヒートポンプ9を備えている。
【0029】
水熱交換器5は、後述する貯湯タンク10の上部及び下部に接続されたタンク循環路11と接続され、冷媒循環路8の冷媒(例えばフロンガス)とタンク循環路11の湯水とを熱交換させることによって、タンク循環路11の湯水を加熱する。
【0030】
タンク循環路11には、貯湯タンク10に貯められた湯水をタンク循環路11に循環させるための循環ポンプ12と、水熱交換器5から貯湯タンク10に向かう湯水の温度を検出するサーミスタ13と、貯湯タンク10から水熱交換器5に向かう湯水の温度を検出するサーミスタ14とが設けられている。
【0031】
また、ヒートポンプユニット1は、マイクロコンピュータ等により構成されたヒートポンプコントローラ15を備え、ヒートポンプコントローラ15から出力される制御信号によって、ヒートポンプ9及び循環ポンプ12の作動が制御される。
【0032】
ヒートポンプコントローラ15は、後述するタンクコントローラ16と通信可能に接続され、タンクコントローラ16から加熱指示信号を受信したときに、タンク循環路11に設けられているサーミスタ13,14の検出温度に基づいて、循環ポンプ12とヒートポンプ9を作動させ、貯湯タンク10の湯水を所定の沸き上げ設定温度(例えば50℃)に沸き上げる。
【0033】
タンクユニット2は、湯水が充填された貯湯タンク10と、マイクロコンピュータ等により構成されたタンクコントローラ16とを備えている。タンクコントローラ16は、本発明の給湯制御手段の一部を構成している。
【0034】
貯湯タンク10の上部には出湯管17が接続されている。出湯管17は、その始端が貯湯タンク10に接続されて終端が図示しないカラン等の出湯栓に接続される。貯湯タンク10の下部には給水管18が接続されている。給水管18は始端が水道に接続され、下流側が2つに分岐して一方の終端が貯湯タンク10に接続されると共に、他方の終端が出湯管17の途中に接続されている。
【0035】
出湯管17は給水管18との接続箇所Xの下流からタンクユニット2の外部に延びて燃焼給湯器3の後述する給湯器回路19を経た後、再びタンクユニット2の内部に延びるが、その途中には、燃焼給湯器3の給湯器回路19の入口側と出口側とで連通させる出湯バイパス管20が接続されている。
【0036】
出湯バイパス管20には出湯バイパス弁21が設けられており、出湯バイパス弁21が閉弁されているとき、貯湯タンク10からの湯水は燃焼給湯器3の給湯器回路19を流れ、出湯バイパス弁21が開弁されているとき、貯湯タンク10からの湯水は出湯バイパス管20を流れてカラン等の出湯栓へ向かう。
【0037】
タンクユニット2における出湯管17と給水管18との接続箇所Xの上流側の給湯管17には、出湯サーミスタ22が設けられている。給水管18には、その通水流量を検出する水量センサ23と、逆止弁付きの減圧弁24とが設けられている。出湯管17との接続箇所Xに向かって延びる給水管18には、入水サーミスタ25が設けられている。
【0038】
また、タンクユニット2には、貯湯タンク10から出湯管17に供給される湯水の流量を変更する湯量可変弁26と、給水管18から出湯管17に供給される水の流量を変更する水量可変弁27とが設けられている。湯量可変弁26と水量可変弁27とは本発明の混合比変更手段に相当するものである。
【0039】
更に、前記接続箇所Xと出湯バイパス管20の上流端との間には混合サーミスタ28が設けられ、出湯バイパス管20の下流端と出湯管17との接続箇所Yの下流側にはカラン等の出湯栓へ向かう湯水の温度を検出する給湯出口サーミスタ29が設けられている。給湯出口サーミスタ29は、本発明の給湯出口温度センサに相当する。
【0040】
貯湯タンク10の上部位置には、貯湯タンク10に貯められた湯水の温度を検出する貯湯サーミスタ30が設けられている。貯湯サーミスタ30は、本発明における湯切れ検出手段に相当するものである。
【0041】
タンクコントローラ16は、貯湯サーミスタ30、出湯サーミスタ22、入水サーミスタ25、混合サーミスタ28、給湯出口サーミスタ29、及びタンク循環路11のサーミスタ13,14により検出された温度と、水量センサ23により検出された給水管18の通水流量とに基づいて、湯量可変弁26、水量可変弁27、及び出湯バイパス弁21の作動を制御する。
【0042】
また、タンクコントローラ16にはリモコン31が接続されている。リモコン31は、使用者の操作に応じて、目標給湯温度を設定する温度スイッチ等(給湯温度設定手段)の複数の操作スイッチ(図示しない)を備えている。
【0043】
ここで、貯湯タンク10内部に充填された湯水の状態を説明する。出湯管17は、貯湯タンク10の上部に接続され、給水管18は、貯湯タンク10の下部に接続されていることにより、貯湯タンク10の湯水が給湯使用されると、出湯管17から湯が導出されて貯湯タンク10の湯が減少し、同時に貯湯タンク10の下部の給水管18から水が供給される。それに応じて、貯湯タンク10内では、上部に高温の湯の層ができ、下部に水の層ができる。
【0044】
そして、貯湯タンク10の上部の湯の層が減少して、水の層が貯湯タンク10の上部に至ると、貯湯サーミスタ30の検出温度がリモコン31により設定された目標給湯温度(以下、設定温度という)以下となり、こうなった場合に湯切れ状態となる。このように、本実施形態では、貯湯タンク10が湯切れ状態であるか否かは、貯湯サーミスタ30の検出温度が設定温度付近に設定された湯切れ判定温度以下であるか否かで判断される。
【0045】
タンクコントローラ16は、貯湯サーミスタ30の検出温度が目標給湯温度よりも高いとき(湯切れが生じていない状態)に、水量センサ23により所定の下限流量以上の通水が検出されているときは、出湯バイパス弁21を開弁状態に維持し、給湯出口サーミスタ29の検出温度が設定温度となるように、湯量可変弁26と水量可変弁27の開度を調節して湯と水とを混合する混合温調制御が行われ、タンク出湯モードによる出湯が実行される。
【0046】
一方、貯湯サーミスタ30の検出温度が設定温度以下であるとき(湯切れが生じている状態)、タンクコントローラ16は、出湯バイパス弁21を閉弁し、給水管18及び貯湯タンク10からの水は、燃焼給湯器3の給湯器回路19を流れ、燃焼給湯器3による加熱運転が行われる。
【0047】
燃焼給湯器3は、瞬間加熱式として周知の構成のものを採用することができる。即ち、燃焼給湯器3は、出湯管17に接続された給湯器回路19(本発明においては、出湯管17の一部を構成する)と、マイクロコンピュータ等により構成された給湯器コントローラ32とを備えている。給湯器コントローラ32は、タンクコントローラ16と通信可能に接続されている。なお、給湯器コントローラ32は、本発明の給湯制御手段の一部の機能と、本発明の燃焼給湯制御部の機能とを備えている。
【0048】
給湯器回路19には、熱交換器33と、熱交換器33を加熱するバーナ34と、熱交換器33をバイパスする給湯バイパス管35とが設けられており、給湯器回路19における給湯バイパス管35の接続箇所Zの下流側には、給湯器回路19から分岐して浴槽(図示しない)へ延びる湯張り管36が接続されている。
【0049】
また、給湯器回路19には、熱交換器33への湯水の流量と給湯バイパス管35への湯水の流量との分配比を変更するバイパスサーボ37と、燃焼給湯器3に供給される湯水の流量を調節する絞り弁である水量サーボ38とが設けられている。
【0050】
更に、給湯器回路19には、熱交換器33及び給湯バイパス管35に供給される湯水の流量を検出する給湯器流量センサ39と、給湯器回路19における給湯バイパス管35の接続箇所Zの下流側に流れる湯の温度を検出する給湯器サーミスタ40とが設けられている。給湯器サーミスタ40は、本発明の補助給湯器温度センサに相当するものである。
【0051】
また、湯張り管36には、湯張り管36の通水流量を検出する湯張り流量センサ41と、湯張り管36を開閉する湯張り弁42とが設けられている。
【0052】
そして、給湯器コントローラ32には、給湯器サーミスタ40による温度検出信号と、給湯器流量センサ39による通水流量の検出信号と、湯張り流量センサ41による通水流量の検出信号とが入力される。また、給湯器コントローラ32から出力される制御信号によって、バイパスサーボ37、水量サーボ38、バーナ34、及び湯張り弁42の各作動が制御される。
【0053】
給湯器コントローラ32は、タンクコントローラ16から加熱許可を指示する信号を受信したときに加熱許可状態となる。そして、給湯器流量センサ39により所定の下限流量以上の通水が検出されているときに、給湯器サーミスタ40の検出温度が設定温度となるように、バーナ34の燃焼量を制御する加熱温調制御(フィードバック制御)が行われ、補助給湯器出湯モードによる出湯が実行される。また、タンクコントローラ16から加熱禁止を指示する信号を受信したときに加熱禁止状態となり、加熱温調制御による補助給湯器出湯モードの実行が禁止される。
【0054】
更に、詳しくは後述するが、タンクコントローラ16は、給湯器サーミスタ40と給湯出口サーミスタ29との検出温度差からサーミスタ間補正値(温度センサ間補正値)を算出する補正値算出部と、サーミスタ間補正値を用いて給湯器サーミスタ40と給湯出口サーミスタ29との何れか一方(本実施形態においては、給湯出口サーミスタ29)の検出温度を補正する検出温度補正部とを機能として備えている。
【0055】
ここで、タンクコントローラ16及び給湯器コントローラ32の作動について図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。図2のフローチャートは、本実施形態の給湯システムによる出湯動作の流れを概括的に示している。図3のフローチャートは、本発明の要旨に係る補正値算出部の作動を示している。
【0056】
図2を参照して、STEP1で電源がONされるとSTEP2に進み、タンクコントローラ16は、湯量可変弁26を全閉にすると共に、水量可変弁27を全開にする。そして、タンクコントローラ16は、続くSTEP3で出湯バイパス弁21を開弁する。
【0057】
次のSTEP4で、タンクコントローラ16は、カラン等が開けられて水量センサ23により下限流量以上の通水が検出される通水状態となるのを待つ。本実施形態では、水量センサ23の検出水量が2.7リットル/分以上のとき通水状態であると判断している。そして、通水状態となったときにSTEP4からSTEP5に進む。
【0058】
STEP5で、タンクコントローラ16は、貯湯サーミスタ30の検出温度が設定温度以下であるか否かで、貯湯タンク10が湯切れ状態であるか否かを判断する。そして、湯切れ状態であるときはSTEP11に分岐し、湯切れ状態でないときにはSTEP6に進む。
【0059】
STEP6~STEP9は、前述したタンク出湯モードにおける混合温調制御を実行するときの処理である。
【0060】
STEP6で、タンクコントローラ16は、給湯器コントローラ32に対して加熱を禁止する信号を送信する。次いで、タンクコントローラ16は、STEP7へ進んで、湯量可変弁26及び出湯バイパス弁21を開弁させ、更に、STEP8で給湯器コントローラ32に対して水量サーボ38の全閉を指示する信号を送信する。
【0061】
これにより、給湯器コントローラ32は水量サーボ38を全閉として給湯器回路19における湯水の流通の遮断し、バーナ34の燃焼運転を行わない加熱停止状態となる。
【0062】
続くSTEP9で、タンクコントローラ16は、湯量可変弁26と水量可変弁27の開度を調整して、給湯出口サーミスタ29の検出温度がリモコン31の温度スイッチ等(給湯温度設定手段)により設定された設定温度になるように制御し、タンク出湯モードによる出湯を実行する。
【0063】
そして、タンクコントローラ16は、STEP10で、水量センサ23の検出水量が下限流量未満(好ましくは、下限流量よりも低い値に設定された水量)となる止水状態になったか否かを判断し、止水した場合にはSTEP2へ戻り、止水していない場合にはSTEP5へ戻る。なお、本実施形態では、水量センサ23の検出水量が2.0リットル/分未満のとき止水状態であると判断している。
【0064】
STEP11~STEP14は、前述した補助給湯器出湯モードにおける加熱温調制御を実行するときの処理である。
【0065】
STEP11で、タンクコントローラ16は、給湯器コントローラ32に対して加熱を許可する信号を送信する。次いで、タンクコントローラ16は、STEP12で、出湯バイパス弁21を閉弁させ、更にSTEP13で、給湯器コントローラ32に対して水量サーボ38の開放を指示する信号を送信する。このとき、給水管18からの水、及び、貯湯タンク10から導出された湯水は、全て燃焼給湯器3の給湯器回路19を流通する状態となる。
【0066】
そして、STEP14において、給湯器コントローラ32は、給湯器サーミスタ40の検出温度が設定温度となるように、バーナ34の燃焼量を制御し、補助給湯器出湯モードによる出湯を実行する。
【0067】
その後、STEP10へ進み、止水状態になるまで、STEP6~STEP9の処理、または、STEP11~STEP14の処理を繰り返す。
【0068】
本実施形態においては、図2のSTEP5で貯湯タンク10が湯切れであると判断されて、タンク出湯モードによる出湯から補助給湯器出湯モードによる出湯に切り替わった時、補正値算出部が図3のフローチャートに示す流れで、給湯出口サーミスタ29の検出温度を補正するための補正値を算出する。なお、図3において、「Th」はサーミスタの検出温度を意味している。
【0069】
図3を参照して、STEP20で(図2のSTEP1と同じ)電源がONされるとSTEP21に進み、タンク出湯モードから補助給湯器出湯モードに切り替わったか否かを判断する。STEP21では、図2のSTEP11を通過したか否かで容易に判断することができる。
【0070】
続いて、図3のSTEP22で設定温度が60℃未満であるとき、STEP23へ進んで設定温度が変更されないことを確認し、設定温度が変更されていなければ、STEP24へ進む。
【0071】
STEP24では、先ず、給湯出口サーミスタ29の検出温度(補正後)と給湯器サーミスタ40の検出温度との差の絶対値が3.5℃以下であれば、STEP25へ進む。給湯出口サーミスタ29の検出温度(補正後)と給湯器サーミスタ40の検出温度との差の絶対値が3.5℃を超えている場合には、給湯出口サーミスタ29と給湯器サーミスタ40との検出温度差が極度に大きいため、この値を精度不十分として使用せず、STEP21へ戻る。STEP24の判断に用いる値は3.5℃に限るものではなく、適宜設定することができる。
【0072】
なお、給湯器サーミスタ40の検出温度を基準として、給湯出口サーミスタ29の検出温度を補正するため、STEP24で用いる給湯器サーミスタ40の検出温度と同等の値として設定温度を採用してもよい。補助給湯器出湯モードの加熱温調制御においては、燃焼給湯器3で給湯器サーミスタ40の検出温度を用いたフィードバック制御が行われる。このため、燃焼給湯器3からの出湯温度は、設定温度であるとみなすことができ、給湯器サーミスタ40の検出温度と同等の値として設定温度を用いることも可能である。設定温度を用いることで、給湯器コントローラとタンクコントローラとが通信できない状態であっても、補正値算出部の作動を支障なく行うことができるという利点がある。
【0073】
STEP25へ進むと、給湯出口サーミスタ29と給湯器サーミスタ40との検出温度差に基づくサーミスタ間補正値(温度センサ間補正値)の絶対値が3.0℃未満であるか否かを判断し、サーミスタ間補正値の絶対値が3.0℃未満であれば当該サーミスタ間補正値を採用してSTEP26へ進む。STEP25の判断に用いる値は3.0℃に限るものではなく、適宜設定することができる。
【0074】
続いて、STEP26で給湯器流量センサ39による検出水量の総積算流量が25リットル以上となったとき、出湯管17の通水量が十分となったとして、STEP27へ進む。STEP27では、サーミスタ間補正値の更新(次に続くSTEP28)において用いるΔ補正温度が0.1℃を超えているかを判断し、Δ補正温度が0.1℃を超えている場合には、STEP28へ進む。
【0075】
Δ補正温度は、給湯出口サーミスタ29の実際の検出温度(実測値)にサーミスタ間補正値を加算した値を、給湯器サーミスタ40の検出温度(又は設定温度)から減算して求められる。
【0076】
次いで、STEP28で更新前のサーミスタ間補正値にΔ補正温度の絶対値に係数0.07を掛けた値を加算し、STEP29で10秒経過したとき、STEP21へ戻る。
【0077】
一方、STEP27でΔ補正温度が0.1℃を超えていない場合には、STEP30へ進み、STEP30でΔ補正温度が-0.1℃未満であると判断されると、STEP31へ進む。STEP27及びSTEP30でΔ補正温度の大小の判断に用いる値は適宜設定されるものであり、上記の値とは限らない。
【0078】
STEP31へ進むと、更新前のサーミスタ間補正値にΔ補正温度の絶対値に係数0.07を掛けた値を減算し、STEP32で10秒経過したとき、STEP21へ戻る。また、STEP30で補正温度が-0.1℃未満でないと判断された場合は、STEP21へ戻る。
【0079】
STEP27~STEP32によれば、サーミスタ間補正値が複数回に分けて更新されることになり、給湯出口サーミスタ29の検出温度の補正も徐々に行われることになるため、給湯出口サーミスタ29の
検出温度に対する極度な補正を抑えることができる。
【0080】
そして、図3に示したフローチャートに従い、給湯出口サーミスタ29の検出温度(実際の測定値)にサーミスタ間補正値を加算して給湯出口サーミスタ29の補正後の検出温度を算出し、給湯器サーミスタ40に合わせて補助給湯器出湯モードとタンク出湯モードでの出湯温度に差が生じないよう認識値を補正する。
【0081】
これによれば、貯湯タンク30に湯切れが生じて、タンク出湯モードから補助給湯器出湯モードに切り替わったときに、出湯温度の差を小さくすることができ、使用者の不快感を抑えることができる。
【0082】
また、本実施形態においては、給湯器サーミスタ40の検出温度に合わせて給湯出口サーミスタ29の検出温度を補正する場合について説明したが、これに限るものではなく、給湯出口サーミスタ29の検出温度に合わせて給湯器サーミスタ40の検出温度を補正してもよい。この場合も同様の手順を採用することができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0083】
3…燃焼給湯器(補助給湯器)、9…ヒートポンプ(加熱手段)、10…貯湯タンク、16…タンクコントローラ(給湯制御手段)、17…出湯管、18…給水管、20…出湯バイパス管、21…出湯バイパス弁、26…湯量可変弁(混合比変更手段)、27…水量可変弁(混合比変更手段)、29…給湯出口サーミスタ(給湯出口温度センサ)、30…貯湯サーミスタ(湯切れ検出手段)、31…リモコン(給湯温度設定手段)、32…給湯器コントローラ(燃焼給湯器制御部)、33…熱交換器、34…バーナ、40…給湯器サーミスタ(補助給湯器温度センサ)。
図1
図2
図3