(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166679
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/127 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
G08G1/127 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072058
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】東出 宇史
(72)【発明者】
【氏名】宇野 慶一
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA06
5H181AA16
5H181BB05
5H181FF18
5H181MA22
5H181MA25
(57)【要約】
【課題】車両に対する需要に配車センターが柔軟に対応する。
【解決手段】情報処理装置10は、各々が特定のエリアの運行計画を管理する複数の配車センターから、各々のエリアにおける運行計画を取得し、取得した運行計画に基づいて、隣接していない第1エリア及び第2エリアにおいて、第1エリアで車両の台数に余裕があり、第2エリアで車両の台数が不足している期間があるか否かを判定し、当該期間がある場合、第1エリアの余剰車両を、第1エリアと第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターに貸し、第2エリアの配車センターが、第1エリアと第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターから車両を借りる、車両移動計画を生成する、制御部15を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が特定のエリアの運行計画を管理する複数の配車センターから、各々のエリアにおける運行計画を取得し、
取得した前記運行計画に基づいて、隣接していない第1エリア及び第2エリアにおいて、前記第1エリアで車両の台数に余裕があり、前記第2エリアで車両の台数が不足している期間があるか否かを判定し、
前記期間があると判定した場合、
前記第1エリアの余剰車両を、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターに貸し、
前記第2エリアの配車センターが、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターから車両を借りる、
車両移動計画を生成する、制御部、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記期間において、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアでは、車両の台数に余裕も不足もない、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記第1エリアと前記第2エリアとの間には1つのエリアがある、情報処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記第1エリアと前記第2エリアとの間には複数のエリアがある、情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記期間において、前記第1エリアと前記第2エリアとの間の前記複数のエリアでドミノ式に車両を貸し借りする車両移動計画を生成する、情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記運行計画を提供した前記配車センターの端末装置にインセンティブを付与する、情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記運行計画が提供された時期に応じて、前記インセンティブを変動させる、情報処理装置。
【請求項8】
各々が特定のエリアの運行計画を管理する複数の配車センターから、各々のエリアにおける運行計画を取得することと、
取得した前記運行計画に基づいて、隣接していない第1エリア及び第2エリアにおいて、前記第1エリアで車両の台数に余裕があり、前記第2エリアで車両の台数が不足している期間があるか否かを判定することと、
前記期間があると判定した場合、
前記第1エリアの余剰車両を、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターに貸し、
前記第2エリアの配車センターが、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターから車両を借りる、
車両移動計画を生成することと、
を含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記期間において、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアでは、車両の台数に余裕も不足もない、プログラム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のプログラムにおいて、
前記第1エリアと前記第2エリアとの間には1つのエリアがある、プログラム。
【請求項11】
請求項8又は9に記載のプログラムにおいて、
前記第1エリアと前記第2エリアとの間には複数のエリアがある、プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記期間において、前記第1エリアと前記第2エリアとの間の前記複数のエリアでドミノ式に車両を貸し借りする車両移動計画を生成すること、をさらに含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記運行計画を提供した前記配車センターの端末装置にインセンティブを付与すること、をさらに含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記運行計画が提供された時期に応じて、前記インセンティブを変動させること、をさらに含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項15】
情報処理装置における情報処理方法であって、
各々が特定のエリアの運行計画を管理する複数の配車センターから、各々のエリアにおける運行計画を取得することと、
取得した前記運行計画に基づいて、隣接していない第1エリア及び第2エリアにおいて、前記第1エリアで車両の台数に余裕があり、前記第2エリアで車両の台数が不足している期間があるか否かを判定することと、
前記期間があると判定した場合、
前記第1エリアの余剰車両を、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターに貸し、
前記第2エリアの配車センターが、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターから車両を借りる、
車両移動計画を生成することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項16】
請求項15に記載の情報処理方法において、
前記期間において、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアでは、車両の台数に余裕も不足もない、情報処理方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の情報処理方法において、
前記第1エリアと前記第2エリアとの間には1つのエリアがある、情報処理方法。
【請求項18】
請求項15又は16に記載の情報処理方法において、
前記第1エリアと前記第2エリアとの間には複数のエリアがある、情報処理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の情報処理方法において、
前記期間において、前記第1エリアと前記第2エリアとの間の前記複数のエリアでドミノ式に車両を貸し借りする車両移動計画を生成すること、をさらに含む、情報処理方法。
【請求項20】
請求項15から19のいずれか一項に記載の情報処理方法において、
前記運行計画を提供した前記配車センターの端末装置にインセンティブを付与すること、をさらに含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転バスのような車両の複数台の運行を管理する車両運行システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、複数台の電動車両のそれぞれが搭載している二次電池の情報に基づいて運行計画を変更する車両運行システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配車センターが自動運転バスのような車両の運行計画を管理している1つのエリア内において、車両に対する需要が多い期間があるとき、配車センターが管理している車両の台数ではその期間の需要に対応できない場合がある。
【0006】
本開示の目的は、車両に対する需要に配車センターが柔軟に対応することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る情報処理装置は、
各々が特定のエリアの運行計画を管理する複数の配車センターから、各々のエリアにおける運行計画を取得し、
取得した前記運行計画に基づいて、隣接していない第1エリア及び第2エリアにおいて、前記第1エリアで車両の台数に余裕があり、前記第2エリアで車両の台数が不足している期間があるか否かを判定し、
前記期間があると判定した場合、
前記第1エリアの余剰車両を、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターに貸し、
前記第2エリアの配車センターが、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターから車両を借りる、
車両移動計画を生成する、制御部、
を備える。
【0008】
本開示に係るプログラムは、
各々が特定のエリアの運行計画を管理する複数の配車センターから、各々のエリアにおける運行計画を取得することと、
取得した前記運行計画に基づいて、隣接していない第1エリア及び第2エリアにおいて、前記第1エリアで車両の台数に余裕があり、前記第2エリアで車両の台数が不足している期間があるか否かを判定することと、
前記期間があると判定した場合、
前記第1エリアの余剰車両を、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターに貸し、
前記第2エリアの配車センターが、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターから車両を借りる、
車両移動計画を生成することと、
を含む動作をコンピュータに実行させる。
【0009】
本開示に係る情報処理方法は、
情報処理装置における情報処理方法であって、
各々が特定のエリアの運行計画を管理する複数の配車センターから、各々のエリアにおける運行計画を取得することと、
取得した前記運行計画に基づいて、隣接していない第1エリア及び第2エリアにおいて、前記第1エリアで車両の台数に余裕があり、前記第2エリアで車両の台数が不足している期間があるか否かを判定することと、
前記期間があると判定した場合、
前記第1エリアの余剰車両を、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターに貸し、
前記第2エリアの配車センターが、前記第1エリアと前記第2エリアとの間のエリアの運行計画を管理する配車センターから車両を借りる、
車両移動計画を生成することと、
を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車両に対する需要に配車センターが柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】隣接していないエリアの間に複数のエリアがある場合の一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す図である。
図1を参照して、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成及び概要を説明する。
【0014】
情報処理システム1は、情報処理装置10と、端末装置20とを備える。情報処理装置10と、端末装置20とは、ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。ネットワーク40は移動体通信網及びインターネットなどを含むネットワークであってよい。
【0015】
図1では、情報処理装置10を1台示しているが、情報処理装置10は、2台以上であってもよい。また、
図1では、端末装置20を3台示しているが、端末装置20は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0016】
図1に示すエリア1~エリア3は、それぞれ、配車センターによって車両30の運行計画が管理されているエリアである。配車センターは、特定のエリアの運行計画を管理する。例えば、エリア1の配車センターは、エリア1における車両30の運行計画を管理し、エリア2の配車センターは、エリア2における車両30の運行計画を管理し、エリア3の配車センターは、エリア3における車両30の運行計画を管理する。エリア1~エリア3は、それぞれ、所定の台数の車両30を保有している。
【0017】
エリア1とエリア2とは隣接していないエリアである。エリア3は、エリア1とエリア2との間にあるエリアである。エリア3は、エリア1及びエリア2の双方に隣接している。
【0018】
図1では、隣接していないエリア1とエリア2との間にエリア3がある場合を示しているが、これは一例である。隣接していないエリア1とエリア2との間に複数のエリアがあってもよい。
【0019】
配車センターは、複数の台数の車両30の運行計画を管理している。例えば、エリア1の配車センターは、エリア1内を走行する複数の台数の車両30の運行計画を管理している。エリア2及びエリア3についても同様である。配車センターは、車両タイプの異なる複数の台数の車両30の運行計画を管理していてよい。例えば、車両タイプに応じて、乗車可能な人数が異なっていてよい。
【0020】
車両30は、例えば、路線バス、観光バスなどであってよい。車両30は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、EV(Electric Vehicle)、又はFCV(Fuel Cell Vehicle)などの任意の種類の自動車である。車両30は、任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。自動化のレベルは、例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)のレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかであってよい。
【0021】
端末装置20は、配車センターが運行計画を管理するために用いる装置である。端末装置20は、例えば、配車センターの施設に設置されていてよい。端末装置20は、例えば、配車センターの職員によって操作されていてよい。
【0022】
情報処理装置10は、各々が特定のエリアの運行計画を管理する複数の配車センターから、各々のエリアにおける運行計画を取得する。
図1に示す例においては、情報処理装置10は、エリア1~エリア3の運行計画を管理するそれぞれの配車センターから、エリア1~3における運行計画を取得する。
【0023】
情報処理装置10は、取得した運行計画に基づいて、隣接していないエリア1及びエリア2の一方で車両30の台数に余裕があり、隣接していないエリア1及びエリア2の他方で車両30の台数が不足している期間があるか否かを判定する。
【0024】
一例として、エリア1で車両30の台数に余裕があり、エリア2で車両30の台数が不足している期間がある場合を例に挙げて説明する。例えば、エリア2において、乗客増が予測される期間があり、同時に運行する車両30の数を増やしたい場合などに、エリア2で車両30の台数が不足する期間が発生しうる。
【0025】
この場合、情報処理装置10は、エリア1で車両30の台数に余裕があり、エリア2で車両30の台数が不足している期間があると判定する。そして、情報処理装置10は、その期間に、エリア1の車両30をエリア3の運行計画を管理する配車センターに貸し、エリア3の車両30をエリア2の運行計画を管理する配車センターに貸す、車両移動計画を生成する。
【0026】
情報処理装置10は、生成した車両移動計画を、エリア1~エリア3の端末装置20に送信する。端末装置20が受信した車両移動計画を確認したエリア1~エリア3の配車センターの職員は、受信した車両移動計画に従って、車両30の貸し借りを行うことができる。
【0027】
これにより、車両30の台数に余裕があるエリア1と、車両30の台数が不足するエリア2とが隣接していない場合であっても、エリア2の配車センターは、エリア1とエリア2との間にあるエリア3を介して、車両30を借りることができる。
【0028】
情報処理装置10は、端末装置20とネットワーク40を介して通信可能である。情報処理装置10は、例えば、サーバとして機能するように構成された専用のコンピュータである。情報処理装置10は、汎用のPC(Personal Computer)であってもよい。
【0029】
端末装置20は、情報処理装置10とネットワーク40を介して通信可能である。端末装置20は、例えば、汎用のPC、スマートフォン又はタブレットなどであってよい。
【0030】
図2を参照して、本開示の実施形態に係る情報処理装置10の構成を説明する。
【0031】
情報処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、制御部15とを備える。
【0032】
通信部11は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部11は、LAN(Local Area Network)に対応する通信モジュールを含んでもよい。一実施形態において、情報処理装置10は、通信部11を介してネットワーク40に接続されている。通信部11は、ネットワーク40を介して多様な情報を送信及び受信する。通信部11は、ネットワーク40を介して、端末装置20と通信可能である。
【0033】
記憶部12は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部12は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、情報処理装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部11によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部12に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク40から受信される情報で更新可能であってもよい。記憶部12の一部は、情報処理装置10の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設置されている記憶部12の一部は、任意のインタフェースを介して情報処理装置10と接続されてよい。
【0034】
入力部13は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力用インタフェースを含む。例えば、入力部13は、物理キー、静電容量キー、出力部14のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等を含むが、これに限定されない。
【0035】
出力部14は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力用インタフェースを含む。例えば、出力部14は、情報を画像で出力するディスプレイ、情報を音声で出力するスピーカ等を含むが、これに限定されない。
【0036】
制御部15は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部15は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0037】
図3を参照して、本開示の実施形態に係る端末装置20の構成を説明する。
【0038】
端末装置20は、通信部21と、記憶部22と、入力部23と、出力部24と、制御部25とを備える。
【0039】
通信部21は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部21は、LANに対応する通信モジュールを含んでもよい。一実施形態において、端末装置20は、通信部21を介してネットワーク40に接続されている。通信部21は、ネットワーク40を介して多様な情報を送信及び受信する。通信部21は、ネットワーク40を介して、情報処理装置10と通信可能である。
【0040】
記憶部22は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部22は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、端末装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部21によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部22に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク40から受信される情報で更新可能であってもよい。記憶部22の一部は、端末装置20の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設置されている記憶部22の一部は、任意のインタフェースを介して端末装置20と接続されてよい。
【0041】
入力部23は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力用インタフェースを含む。例えば、入力部23は、物理キー、静電容量キー、出力部24のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0042】
出力部24は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力用インタフェースを含む。例えば、出力部24は、情報を画像で出力するディスプレイ、情報を音声で出力するスピーカ等を含むが、これに限定されない。
【0043】
制御部25は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部25は、端末装置20の各部を制御しながら、端末装置20の動作に関わる処理を実行する。
【0044】
(情報処理システムの動作)
図1に示す情報処理システム1の動作を、
図1~
図3を参照して説明する。一例として、
図1に示すように、エリア1~エリア3という3つのアリアがある場合を例に挙げて説明する。エリア1とエリア2とは隣接していないものとする。エリア3は、エリア1とエリア2との間にあるエリアである。エリア3は、エリア1及びエリア2に隣接している。
【0045】
エリア1の配車センターは、エリア1における車両30の運行計画を管理している。同様に、エリア2及びエリア3の配車センターも、エリア2及びエリア3における車両30の運行計画をそれぞれ管理している。
【0046】
配車センターの職員は、当該配車センターが運行計画を管理しているエリアにおける車両30の運行計画を、端末装置20の入力部23に入力する。例えば、エリア1の配車センターの職員は、エリア1の端末装置20の入力部23に、運行計画を入力する。制御部25は、入力部23に入力された運行計画を、通信部21を介して情報処理装置10に送信する。
【0047】
運行計画は、車両30の運行を計画するために必要な情報を含む。例えば、運行計画は、その運行計画の対象となるエリアの範囲を示す情報、各車両30のルート情報、車両30の台数に余裕がある期間の情報、車両30の台数が不足している期間の情報、各車両30の車両タイプの情報などを含んでよい。なお、使用していない車両30が車庫に待機している状態であっても、必ずしも車両30の台数に余裕があるとはいわない。例えば、車庫で待機している車両30がその後の運行に必要な車両30であれば、その車両30は余裕がある車両30ではない。車庫で待機している車両30がその後の運行に使用しなくても支障のない車両30であれば、その車両30は余裕がある車両30である。
【0048】
情報処理装置10の通信部11は、端末装置20が送信した運行計画を受信する。制御部15は、端末装置20が送信した運行計画を、通信部11を介して取得する。制御部15は、取得した運行計画を記憶部12に記憶する。
【0049】
これにより、配車センターは、当該配車センターが運行計画を管理しているエリアの運行計画を、情報処理装置10に提供することができる。
【0050】
配車センターの職員は、車両30に対する需要の予測に応じて運行計画を変更してよい。配車センターの職員は、運行計画を変更する場合、変更後の運行計画を端末装置20の入力部23に入力する。そうすると、上述の処理により、変更後の運行計画が情報処理装置10に送信され、変更後の運行計画が情報処理装置10の記憶部12に記憶される。
【0051】
情報処理装置10の制御部15は、それぞれのエリアから取得した運行計画に基づいて、隣接していないエリアにおいて、一方のエリアで車両30の台数に余裕があり、他方のエリアで車両30の台数が不足している期間があるか否かを判定する。
【0052】
例えば隣接していないエリア1とエリア2において、エリア1で車両30の台数に余裕があり、エリア2で車両30の台数が不足している期間があるものとする。この場合、制御部15は、エリア1で車両30の台数に余裕があり、エリア2で車両30の台数が不足している期間があると判定する。
【0053】
上述の期間があると判定した場合、制御部15は、当該期間に、エリア1において余剰車両となっている車両30をエリア3の配車センターに貸し、エリア2の配車センターがエリア3の配車センターから車両30を借りる車両移動計画を生成する。
【0054】
この車両移動計画に基づいて車両30の貸し借りを実行すれば、エリア1とエリア3は隣接しているので、エリア1の配車センターは、余剰車両となっている車両30をエリア3の配車センターに容易に貸すことができる。また、エリア2の配車センターは、エリア3の配車センターから容易に車両30を借りることができる。
【0055】
この際、上述の期間において、エリア3が車両30の台数に余裕も不足もなくても、エリア3はエリア2に車両30を貸すことができる。なぜなら、エリア3は、エリア2に貸す分の車両30に相当する車両30をエリア1から借りることができるためである。
【0056】
制御部15は、生成した車両移動計画を、それぞれのエリアの端末装置20に、通信部11を介して送信する。
【0057】
端末装置20の通信部21は、情報処理装置10が送信した車両移動計画を受信する。制御部25は、情報処理装置10が送信した車両移動計画を、通信部21を介して取得する。制御部15は、取得した車両移動計画を出力部24に出力させる。出力部24に出力された車両移動計画に基づいて、配車センターの職員は、隣接しているエリアに車両30を貸すなどの、車両30の移動を実行する。
【0058】
例えば、ある期間において、エリア1の車両30をエリア3に貸し、エリア3の車両30をエリア2に貸す場合、エリア1の配車センターの職員は、当該期間に、エリア1の車両30をエリア3に移動させる。また、エリア3の配車センターの職員は、当該期間に、エリア3の車両30をエリア2に移動させる。
【0059】
この際、エリア3の車庫に次の運行に向けて待機している車両30がある場合、エリア3の配車センターの職員は、エリア1から車両30を借りる前に、エリア3の車庫で待機している車両30をエリア2に貸してもよい。なぜなら、車庫で待機している車両30が出発する時間までに、エリア1から車両30を借りられればエリア3の運行計画に支障をきたさないためである。
【0060】
車両30を貸す際の車両30の移動は、そのエリアの車庫で待機している車両30を移動させることにより行ってよい。例えば、エリア1の車両30をエリア3に貸す場合、エリア1の車庫で待機している車両30をエリア3に移動させて、エリア3に貸してよい。これにより、運行計画に大きな影響を与えることなく、車両30を貸すことができる。
【0061】
あるいは、車両30を貸す際の車両30の移動は、運行中の車両30を運行の途中で隣接するエリアに移動させることにより行ってもよい。例えば、エリア1の車両30をエリア3に貸す場合、エリア1のあるルートを運行している車両30がエリア3に近づいたときに、車両30をエリア3に貸してよい。これにより、車両30が乗客を乗せずに走行する距離を低減することができる。例えば、エリア1のルートの終点とエリア3のルートの始点とが近い場合に、このような移動方法が有効である。
【0062】
情報処理装置10の制御部15は、配車センターから運行計画の提供を受けると、当該配車センターの端末装置20にインセンティブを付与してよい。インセンティブは、例えば、商品の購入に使用可能なクーポン、各種割引クーポンなどであってよい。
【0063】
インセンティブを付与することで、制御部15は、配車センターが運行計画を提供することの動機付けを高めることができる。動機付けが高くなることによって運行計画を提供する配車センターが増えれば、あるエリアにおいて車両30の不足が発生する期間があったときに、情報処理装置10が車両30を提供可能な配車センターを見つけやすくなる。
【0064】
情報処理装置10の制御部15は、車両30の貸し借りが行われたときに、車両30を貸した配車センターの端末装置20にインセンティブを付与してよい。
【0065】
インセンティブを付与することで、制御部15は、配車センターが車両30を貸すことの動機付けを高めることができる。動機付けが高くなることによって車両30に余裕があるとの運行計画を取得することが増えれば、あるエリアにおいて車両30の不足が発生する期間があったときに、情報処理装置10が車両30を提供可能な配車センターを見つけやすくなる。
【0066】
情報処理装置10の制御部15は、配車センターから運行計画が提供された時期に応じて、当該配車センターの端末装置20に付与するインセンティブを変動させてよい。例えば、制御部15は、実際に車両30の貸し借りが発生した期間に対して運行計画が提供された時期が早いほど、インセンティブを増やしてよい。
【0067】
このようにインセンティブを変動させることで、制御部15は、配車センターが運行計画を早めに提供することの動機付けを高めることができる。動機付けが高くなることによって運行計画が早めに提供されれば、あるエリアにおいて車両30の不足が発生する期間があったときに、その期間に対して十分余裕があるため、情報処理装置10は、車両30を提供可能な配車センターを見つけやすくなる。
【0068】
図1においては、隣接していないエリア1とエリア2との間に1つのエリア3がある場合を例に挙げて説明したが、隣接していないエリア1とエリア2との間に複数のエリアがあってもよい。
【0069】
図4に、隣接していないエリア1とエリア2との間に2つのエリアがある場合の例を示す。
図4に示す例においては、エリア1とエリア2との間にエリアAとエリアBがある。エリアAは、エリア1とエリアBに隣接している。エリアBは、エリアAとエリア2に隣接している。
【0070】
以下、
図4に示す例を参照して説明する。ある期間において、エリア1、エリア2、エリアA及びエリアBは、3台の車両30があれば、運行計画に基づいて過不足なく運行できるものとする。
【0071】
図4に示す例においては、ある期間において、エリア1は5台の車両30を有し、エリア2は2台の車両30を有し、エリアA及びエリアBは3台の車両30を有するものとする。すなわち、当該期間において、エリア1は、車両30に2台の余裕がある。エリア2は、車両30が1台不足している。エリアA及びエリアBは、車両30に余裕も不足もない。
【0072】
この場合、情報処理装置10の制御部15は、エリア1がエリアAに車両30を貸し、エリアAがエリアBに車両30を貸し、エリアBがエリア2に車両30を貸す車両移動計画を生成する。いわば、制御部15は、隣接しないエリア1とエリア2との間の複数のエリアでドミノ式に車両30を貸し借りする車両移動計画を生成する。
【0073】
なお、
図4では、隣接しないエリア1とエリア2との間に2つのエリアがある場合の例を示したが、隣接しないエリア1とエリア2との間には3つ以上のエリアがあってもよい。
【0074】
このように、隣接しないエリア1とエリア2との間の複数のエリアでドミノ式に車両30を貸し借りする車両移動計画を生成することにより、車両30の台数に余裕があるエリア1と、車両30の台数が不足しているエリア2とが遠く離れている場合であっても、エリア2は、隣接するエリアBから車両30を借りることができる。
【0075】
図5に示すフローチャートを参照して、情報処理システム1の動作を説明する。
【0076】
ステップS101において、情報処理装置10の制御部15は、端末装置20が送信した、各エリアの運行計画を取得する。
【0077】
ステップS102において、制御部15は、隣接していない2つのエリアにおいて、一方のエリアで車両30の台数に余裕があり、他方のエリアで車両30の台数が不足している期間があるか否かを判定する。
【0078】
ステップS102においてYesと判定した場合、制御部15は、ステップS103に進む。ステップS102においてNoと判定した場合、制御部15は、処理を終了する。
【0079】
ステップS103において、制御部15は、車両移動計画を生成する。例えば、ステップS102において、車両30の台数に余裕がある一方のエリアがエリア1であり、車両30の台数が不足している他方のエリアがエリア2である場合、制御部15は、エリア1において余剰車両となっている車両30をエリア3の配車センターに貸し、エリア2の配車センターがエリア3から車両30を借りる車両移動計画を生成する。ここで、エリア3は、隣接していないエリア1とエリア2との間にあるエリアである。
【0080】
ステップS104において、制御部15は、生成した車両移動計画を、それぞれのエリアの端末装置20に送信する。
【0081】
上述のように、本実施形態に係る情報処理装置10において、制御部15は、隣接していないエリア1及びエリア2において、一方のエリアで車両30の台数に余裕があり、他方のエリアで車両30の台数が不足している期間があるか否かを判定する。例えば、エリア1で車両30の台数に余裕があり、エリア2で車両30の台数が不足している期間があると判定した場合、制御部15は、エリア1の余剰車両を、エリア1とエリア2との間のエリア3の運行計画を管理する配車センターに貸し、エリア2の配車センターが、エリア3の運行計画を管理する配車センターから車両30を借りる、車両移動計画を生成する。これにより、エリア2の配車センターは、車両30の台数に余裕があるエリア1とエリア2とが隣接していなくても、エリア1とエリア2との間のエリア3から車両30を借りることができる。したがって、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、車両30に対する需要に配車センターが柔軟に対応することができる。
【0082】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【0083】
例えば、上述した実施形態において情報処理装置10において実行される一部の処理動作が、端末装置20において実行されてもよい。また、上述した実施形態において端末装置20において実行される一部の処理動作が、情報処理装置10において実行されてもよい。
【0084】
例えば、スマートフォン又はコンピュータ等の汎用の電子機器を、上述した実施形態に係る情報処理装置10として機能させる構成も可能である。具体的には、実施形態に係る情報処理装置10等の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、電子機器のメモリに格納し、電子機器のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させることも考えられる。したがって、一実施形態に係る開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0085】
例えば、上述した実施形態において、車両30が路線バス又は観光バスなどの場合を例に挙げて説明したが、車両30は、その他の車両でもよい。
【0086】
例えば、上述した実施形態において、1つの端末装置20が1つのエリアの運行計画を管理する場合を例に挙げて説明したが、1つの端末装置20が複数のエリアの運行計画を管理してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
15 制御部
20 端末装置
21 通信部
22 記憶部
23 入力部
24 出力部
25 制御部
30 車両
40 ネットワーク