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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166689
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】SNコンテナ及びコンテナセット
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/032 20060101AFI20221026BHJP
   B65D 1/22 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B65D21/032
B65D1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072075
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】高木 祐樹
【テーマコード(参考)】
3E006
3E033
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA02
3E006DA01
3E006DB03
3E033AA09
3E033CA20
3E033DD03
3E033EA01
(57)【要約】
【課題】SNコンテナを、上側及び下側にスタッキング状態にすることが可能な別種のSNコンテナと分別しやすくすることが求められている。
【解決手段】本開示の第1コンテナ10には、第2短辺側壁13Bの脚部20に、上下方向の途中位置から上側を段付き状に幅広にした幅広部20Hが形成されている。幅広部20Hは、下端に、段差部20Dを有している。また、第1コンテナ10には、1対の長辺側壁12に、内側に膨出した溝形壁部30がそれぞれ形成されている。溝形壁部30は、底壁11に開口し、かつ、上端部が、上端閉塞壁30Aにより閉塞されている。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面解放の箱形をなし、外側面に複数の脚部を有すると共に内側面に複数の縦溝を有するコンテナであって、コンテナ同士を180度旋回させて段積みするか、180度旋回させずに段積みするかによって、上段側のコンテナの前記脚部が下段側のコンテナの前記縦溝に受容されるネスティング状態と、上段側のコンテナの前記脚部が下段側のコンテナの側壁の上面に当接するスタッキング状態とに変更可能であるSNコンテナにおいて、
SNコンテナを上側及び下側にスタッキング状態にすることが可能な別種のSNコンテナに対し、ネスティング状態にされることを規制する干渉部を備えるSNコンテナ。
【請求項2】
外側面から突出し、前記別種のSNコンテナの上にSNコンテナを配したときに、前記別種のSNコンテナの上面と干渉する第1の前記干渉部を備える請求項1に記載のSNコンテナ。
【請求項3】
前記脚部は、側壁の一部が外側に膨出しかつ下方に向かって幅狭になり、
前記脚部の内側が前記縦溝となっていて、
前記脚部の上下方向の途中位置から上側を段付き状に幅広にした幅広部を備え、SNコンテナの外面における幅広部の下端の段差部が前記第1の前記干渉部になっている請求項2に記載のSNコンテナ。
【請求項4】
内側面から突出し、SNコンテナの上に前記別種のSNコンテナを配したときに、前記別種のSNコンテナの底壁と干渉する第2の前記干渉部を備える請求項1から3の何れか1の請求項に記載のSNコンテナ。
【請求項5】
SNコンテナの側壁の一部を内側に膨出しかつ下方に向かって幅広になり、SNコンテナの底壁に開口した溝形壁部を備え、前記溝形壁部の上端部が前記第2の前記干渉部になっていて、
前記溝形壁部は、SNコンテナの第1水平方向で対向する1対の側壁のうち、前記第1水平方向と直交する第2水平方向の同一位置に、それぞれ配されている請求項4に記載のSNコンテナ。
【請求項6】
前記干渉部は、SNコンテナの平面形状の縦方向又は横方向の一位置で前記別種のSNコンテナの上面又は底壁と干渉し、上側に配されたSNコンテナ又は前記別種のSNコンテナを傾斜させる請求項1から5の何れか1の請求項に記載のSNコンテナ。
【請求項7】
上面解放の箱形をなし、外側面に複数の脚部を有すると共に内側面に複数の縦溝を有する第1と第2の2種類のSNコンテナを含むコンテナセットであって、同種の前記SNコンテナ同士を180度旋回させて段積みするか、180度旋回させずに段積みするかによって、上段側の前記SNコンテナの前記脚部が下段側の前記SNコンテナの前記縦溝に受容されるネスティング状態と、上段側の前記SNコンテナの前記脚部が下段側の前記SNコンテナの側壁の上面に当接するスタッキング状態とに変更可能であるコンテナセットにおいて、
前記第1と第2のSNコンテナは、互いにスタッキング状態に段積み可能であり、かつ、前記第1のSNコンテナの上に前記第2のSNコンテナを配したときと前記第2のSNコンテナの上に前記第1のSNコンテナを配したときとの少なくとも一方でネスティング状態にすることが規制されるコンテナセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、SNコンテナ及びコンテナセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、180度旋回させて段積みするか、180度旋回させずに段積みするかによって、ネスティング状態とスタッキング状態とに変更可能なSNコンテナが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-296830号公報(図6,7参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のSNコンテナにおいては、上側及び下側にスタッキング状態にすることが可能な別種のSNコンテナと分別しやすくすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、上面解放の箱形をなし、外側面に複数の脚部を有すると共に内側面に複数の縦溝を有するコンテナであって、コンテナ同士を180度旋回させて段積みするか、180度旋回させずに段積みするかによって、上段側のコンテナの前記脚部が下段側のコンテナの前記縦溝に受容されるネスティング状態と、上段側のコンテナの前記脚部が下段側のコンテナの側壁の上面に当接するスタッキング状態とに変更可能であるSNコンテナにおいて、SNコンテナを上側及び下側にスタッキング状態にすることが可能な別種のSNコンテナに対し、ネスティング状態にされることを規制する干渉部を備えるSNコンテナである。
【0006】
請求項2の発明は、外側面から突出し、前記別種のSNコンテナの上にSNコンテナを配したときに、前記別種のSNコンテナの上面と干渉する第1の前記干渉部を備える請求項1に記載のSNコンテナである。
【0007】
請求項3の発明は、前記脚部は、側壁の一部が外側に膨出しかつ下方に向かって幅狭になり、前記脚部の内側が前記縦溝となっていて、前記脚部の上下方向の途中位置から上側を段付き状に幅広にした幅広部を備え、SNコンテナの外面における幅広部の下端の段差部が前記第1の前記干渉部になっている請求項2に記載のSNコンテナである。
【0008】
請求項4の発明は、内側面から突出し、SNコンテナの上に前記別種のSNコンテナを配したときに、前記別種のSNコンテナの底壁と干渉する第2の前記干渉部を備える請求項1から3の何れか1の請求項に記載のSNコンテナである。
【0009】
請求項5の発明は、SNコンテナの側壁の一部を内側に膨出しかつ下方に向かって幅広になり、SNコンテナの底壁に開口した溝形壁部を備え、前記溝形壁部の上端部が前記第2の前記干渉部になっていて、前記溝形壁部は、SNコンテナの第1水平方向で対向する1対の内側面のうち、前記第1水平方向と直交する第2水平方向の同一位置に、それぞれ配されている請求項4に記載のSNコンテナである。
【0010】
請求項6の発明は、前記干渉部は、SNコンテナの平面形状の縦方向又は横方向の一位置で前記別種のSNコンテナの上面又は底壁と干渉し、上側に配されたSNコンテナ又は前記別種のSNコンテナを傾斜させる請求項1から5の何れか1の請求項に記載のSNコンテナである。
【0011】
請求項7の発明は、上面解放の箱形をなし、外側面に複数の脚部を有すると共に内側面に複数の縦溝を有する第1と第2の2種類のSNコンテナを含むコンテナセットであって、同種の前記SNコンテナ同士を180度旋回させて段積みするか、180度旋回させずに段積みするかによって、上段側の前記SNコンテナの前記脚部が下段側の前記SNコンテナの前記縦溝に受容されるネスティング状態と、上段側の前記SNコンテナの前記脚部が下段側の前記SNコンテナの側壁の上面に当接するスタッキング状態とに変更可能であるコンテナセットにおいて、前記第1と第2のSNコンテナは、互いにスタッキング状態に段積み可能であり、かつ、前記第1のSNコンテナの上に前記第2のSNコンテナを配したときと前記第2のSNコンテナの上に前記第1のSNコンテナを配したときとの少なくとも一方でネスティング状態にすることが規制されるコンテナセットである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のSNコンテナは、上側及び下側にスタッキング状態にすることが可能な別種のSNコンテナに対してネスティング状態にしようとすると、干渉部によりネスティング状態にされることが規制されるので、SNコンテナと別種のSNコンテナとが混ざっていることが認識しやすくなり、別種のSNコンテナとの分別が容易になる。
【0013】
請求項2のSNコンテナを別種のSNコンテナの上に配すると、SNコンテナの外側面から突出した第1の干渉部が別種のSNコンテナの上面に干渉し、ネスティング状態にされることが規制される。
【0014】
第1の干渉部は、脚部とは別個に設けられてもよいし、請求項3のSNコンテナのように、脚部に上下方向の途中位置から上側を段付き状に幅広にした幅広部を備え、その幅広部の下端の段差部から構成してもよい。
【0015】
請求項4のSNコンテナの上に別種のSNコンテナを配すると、内側面から突出した第2の干渉部が別種のSNコンテナの底壁と干渉し、ネスティング状態にされることが規制される。
【0016】
請求項5のSNコンテナでは、第2の干渉部を有する溝形壁部が1対の側壁のそれぞれに配されているので、溝形壁部をもたない別種のSNコンテナではなくSNコンテナであることを、どちらの面から見ても認識しやすくなっている。
【0017】
請求項6のSNコンテナでは、SNコンテナと別種のSNコンテナとをネスティングさせようとすると上側のコンテナが傾斜した状態になるので、SNコンテナと別種のSNコンテナとが混ざっていることがより認識しやすくなり、別種のSNコンテナとの判別がより容易になる。
【0018】
請求項7のコンテナセットでは、互いにスタッキング状態に段積み可能な第1と第2のSNコンテナが、ネスティング状態にされることが規制されるので、第1と第2のSNコンテナが混ざっていることが認識しやすくなり、第1と第2のSNコンテナの分別が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示に係るコンテナセットの斜視図
図2】第1コンテナの斜視図
図3】第2コンテナの斜視図
図4】第1コンテナの下面側斜視図
図5】第2コンテナの下面側斜視図
図6】第1コンテナをスタッキング状態に段積みした状態の斜視図
図7】第2コンテナをスタッキング状態に段積みした状態の斜視図
図8】第1コンテナをネスティング状態に段積みした状態の斜視図
図9】第2コンテナをネスティング状態に段積みした状態の斜視図
図10】第1コンテナの上に第2コンテナを配した状態の正面図
図11】第1コンテナの上に第2コンテナを配した状態の断面図
図12】第2コンテナの上に第1コンテナを配した状態の斜視図
図13】第2コンテナの上に第1コンテナを配した状態の正面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1図13を参照して、本実施形態の第1コンテナ10(特許請求の範囲中の「SNコンテナ」に相当する)及び、第1コンテナ10と第2コンテナ40(特許請求の範囲中の「別種のSNコンテナ」に相当する)とを備えるコンテナセット100について説明する。図1に示すように、第1コンテナ10と第2コンテナ40とは、平面サイズと高さとが略同一で、組み合わせて用いることが可能となっている。
【0021】
図2及び図3に示すように、第1コンテナ10及び第2コンテナ40は、共に、長方形状の上面開口10K,40Kを有する箱形をなし、長方形状の底壁11,41の長辺部から1対の長辺側壁12,42が起立し、短辺部から1対の短辺側壁13,43が起立した構造になっている。これら側壁12,13,42,43は、上側へ向かうに従って開口が拡張されるように傾斜している。なお、隣り合った側壁12,13,42,43同士の連絡部は丸みを帯びている。本実施形態では、適宜、第1コンテナ10及び第2コンテナ40の短手方向(つまり、1対の長辺側壁12,42が対向する方向)を第1水平方向H1といい、長手方向(つまり、1対の短辺側壁13,43が対向する方向)を第2水平方向H2という。
【0022】
第1コンテナ10及び第2コンテナ40の側壁12,13,42,43は、上端から側方に張り出した上端フランジ壁14,44と、上端フランジ壁14,44の外周縁から垂下した垂下壁15,45と、を備えている。図4及び図5に示すように、側壁12,13,42,43と、垂下壁15,45と、の間は、複数の縦リブ16,46により連絡されている。なお、複数の縦リブ16,46の一部は、各側壁12,13,42,43の両端部に配され、下端が垂下壁15,45の下端より下方に位置する当接リブ16A,46Aとなっている。
【0023】
図2及び図3に示すように、第1コンテナ10及び第2コンテナ40の各短辺側壁13,43には、それぞれ1対ずつ、脚部20,50が形成されている。脚部20,50は、短辺側壁13,43の一部を外側に膨出させてなり、上下方向に延びた角溝構造をなしかつ下方に向かって徐々に幅が狭くなっている。脚部20,50の下端は、底壁11,41の下面と面一になっている(図4及び図5参照)。各脚部20,50の内側は、縦溝21,51になっている。縦溝21,51の上端部は、上端フランジ壁14,44の上面に開放しており、縦溝21,51の下端は底壁11,41より若干上方位置に設けた終端壁21A,51Aによって閉塞されている。
【0024】
また、各短辺側壁13,43には、各縦溝21,51の横隣りにスタッキング当接部25,55が設けられている。スタッキング当接部25,55は、上端フランジ壁14,44のうち内縁部の一部を段付き状に陥没させて形成されている。
【0025】
第1コンテナ10及び第2コンテナ40の各短辺側壁13,43では、1対の短辺側壁13,43の一方と他方とで、スタッキング当接部25,55、脚部20,50及び縦溝21,51の配置が異なっている。即ち、1対の短辺側壁13,43の一方である第1短辺側壁13A,43Aでは、横方向の両端部に脚部20,50及び縦溝21,51が配置されると共に、それら縦溝21,51より若干中央寄り位置にスタッキング当接部25,55が配置されている。これに対し、1対の短辺側壁13,43の他方である第2短辺側壁13B,43Bでは、横方向の両端部にスタッキング当接部25,55が配置されると共に、それらスタッキング当接部25,55より若干中央寄り位置に脚部20,50及び縦溝21,51が配置されている。
【0026】
そして、図6及び図7に示すように、同種のコンテナ10,40を積み上げる際に、下側のコンテナ10,40に対して上側のコンテナ10,40を180度旋回して積み上げると、上側のコンテナ10,40の各脚部20,50における下端部が、下側のコンテナ10,40のスタッキング当接部25,55に当接すると共に上側のコンテナ10,40の下端部が下側のコンテナ10,40の上面開口10K,40Kに嵌合する。これにより、コンテナ10,40が、下側のコンテナ10,40の内部に収納空間が確保されたスタッキング状態になる。
【0027】
一方、図8及び図9に示すように、同種のコンテナ10,40を積み上げる際に、下側のコンテナ10,40に対して上側のコンテナ10,40を同じ向きで積み上げると、上側のコンテナ10,40の脚部20,50が下側のコンテナ10,40の縦溝21,51内に挿入されて、コンテナ10,40同士の嵌合を深めたネスティング状態になる。なお、このネスティング状態では、上側のコンテナ10,40の当接リブ16A,46Aが下側のコンテナ10,40の上端フランジ壁14,44に当接して、コンテナ10,40同士が上下方向で位置決めされる。
【0028】
ここで、本実施形態では、図2及び図4に示すように、第1コンテナ10の第2短辺側壁13Bの脚部20に、上下方向の途中位置から上側を段付き状に幅広にした幅広部20Hが形成されている。幅広部20Hは、脚部20の下部に対して中央側(即ち、スタッキング当接部25と反対側)に突出していて、下端に、段差部20D(特許請求の範囲中の「第1の干渉部」に相当する)を有している。段差部20Dは、中央側へ向かうにつれて上方へ傾斜している。脚部20の幅広部20Hの内側は、縦溝21の幅広部21Hとなっている。
【0029】
また、第1コンテナ10には、1対の長辺側壁12に、溝形壁部30がそれぞれ形成されている。溝形壁部30は、長辺側壁12の第2水平方向H2の中央部を内側に膨出させ、上下方向に延びた角溝状をなし、下方に向かうにつれて徐々に幅が広がっている。溝形壁部30は、底壁11に開口し、かつ、上端部が、上端閉塞壁30A(特許請求の範囲中の「第2の干渉部」に相当する)により閉塞されている。上端閉塞壁30Aは、スタッキング当接部25より下方に位置している。
【0030】
図8に示すように、第1コンテナ10同士がネスティング状態に段積されたときは、下側の第1コンテナ10の縦溝21の幅広部21Hに、上側の第1コンテナ10の脚部20の幅広部20Hが受容されるとともに、上側の第1コンテナ10の溝形壁部30の内側に下側の第1コンテナ10の溝形壁部30が受容される。図6に示すように、第1コンテナ10同士がスタッキング状態に段積されたときは、上側の第1コンテナ10の脚部20の段差部20Dは下側の第1コンテナ10の上端フランジ壁14よりも上方に位置し、下側の第1コンテナ10の上端閉塞壁30Aは上側の第1コンテナ10の底壁11よりも下方に位置している。これら幅広部20H,21H及び溝形壁部30は第2コンテナ40には設けられていない。
【0031】
さて、図2及び図3に示すように、第1コンテナ10と第2コンテナ40とでは、スタッキング当接部25,55、脚部20,50及び縦溝21,51の配置が略同一になっている。これにより、図1に示すように、第1コンテナ10の上に第2コンテナ40を180度旋回して(第1コンテナ10の第2短辺側壁13Bの上に第2コンテナ40の第1短辺側壁43Aを配するように)積み上げると、第2コンテナ40の脚部50における下端部が第1コンテナ10のスタッキング当接部25に当接して、スタッキング状態になる。同様に、第2コンテナ40の上に第1コンテナ10を180度旋回して(第2コンテナ40の第1短辺側壁43Aの上に第1コンテナ10の第2短辺側壁13Bを配するように)積み上げると、第1コンテナ10の脚部20における下端部が第2コンテナ40のスタッキング当接部55に当接して、スタッキング状態になる。
【0032】
しかしながら、図10及び図11に示すように、第1コンテナ10の上に第2コンテナ40を同じ向きに(第1コンテナ10の第1短辺側壁13Aの上に第2コンテナ40の第1短辺側壁43Aを配するように)積み上げようとすると、第1コンテナ10の溝形壁部30の上端閉塞壁30Aに第2コンテナ40の底壁41が当接する。これにより、第2コンテナ40が第1コンテナ10へ嵌合を深めることが防がれ、ネスティング状態になることが規制される。このとき、第2コンテナ40は、第2水平方向H2の中央部が第1コンテナ10の上端閉塞壁30Aに当接し、一端部が第1コンテナ10内に入り込んで傾いた状態になる。
【0033】
さらに、図12及び図13に示すように、第2コンテナ40の上に第1コンテナ10を同じ向きに(第2コンテナ40の第1短辺側壁43Aの上に第1コンテナ10の第1短辺側壁13Aを配するように)積み上げようとすると、第1コンテナ10の段差部20Dが第2コンテナ40の第2短辺側壁43Bの上端フランジ壁44に当接する。これにより、第1コンテナ10が第2コンテナ40へ嵌合を深めることが防がれ、ネスティング状態になることが規制される。このとき、第1コンテナ10は、第2水平方向H2の一端部が第2コンテナ40の上端フランジ壁44に当接し他端部が第1コンテナ10内に入り込んで傾いた状態になる。
【0034】
つまり、コンテナセット100の第1コンテナ10と第2コンテナ40とは、相互にスタッキング状態に段積みすることが可能である一方、第1コンテナ10の段差部20D及び上端閉塞壁30Aが第2コンテナ40に干渉することでネスティング状態に段積みすることが規制される。
【0035】
本実施形態のコンテナセット100の構成は以上である。次にコンテナセット100の作用効果について説明する。本実施形態のコンテナセット100は、例えば、以下のように用いられる。即ち、第1コンテナ10と第2コンテナ40とに別の内容物を分けて収容し、それらを混合してスタッキング状態に段積みし、保管又は運搬する。そして、内容物を取り出した後、第1コンテナ10と第2コンテナ40とをネスティング状態に段積みして、保管又は運搬する。
【0036】
ここで、本実施形態では、第2コンテナ40の上に第1コンテナ10をネスティング状態に段積みしようとすると、第1コンテナ10の段差部20Dが第2コンテナ40の上端フランジ壁44に干渉し、ネスティング状態になることが規制される。反対に、第1コンテナ10の上に第2コンテナ40をネスティング状態に段積みしようとすると、第1コンテナ10の上端閉塞壁30Aに第2コンテナ40の底壁41が干渉し、ネスティング状態になることが規制される。
【0037】
これにより、第1コンテナ10と第2コンテナ40とが混ざっていることが認識されやすくなり、第1コンテナ10と第2コンテナ40との分別が容易となる。そして、事前に第1コンテナ10と第2コンテナ40とが分別されているので、再度、第1コンテナ10と第2コンテナ40とに内容物を収容する際の作業効率が向上する。
【0038】
また、第1コンテナ10と第2コンテナ40とをネスティング状態に段積みしようとすると、上側のコンテナ10,40が傾いた状態になるので、ネスティング状態になることが規制されていること、即ち、第1コンテナ10と第2コンテナ40とが混ざっていることがより認識されやすくなり、第1コンテナ10と第2コンテナ40との分別がより容易となる。
【0039】
さらに、第1コンテナ10の上に第2コンテナ40をネスティング状態に段積みすることを規制する溝形壁部30が、第1コンテナ10の1対の長辺側壁12の両方に配されているので、1対の長辺側壁12のどちら側から見ても第1コンテナ10であることが認識でき、第1コンテナ10と第2コンテナ40とを見た目で判別しやすくなっている。
【0040】
しかも、第2コンテナ40を、脚部50及び縦溝51を備えるシンプルな構成とし、第1コンテナ10に段差部20D及び上端閉塞壁30Aを設けているので、既存のSNコンテナ(第2コンテナ40)の形状に合わせて、段差部20D及び上端閉塞壁30Aを備える第1コンテナ10を製造することで、本実施形態のコンテナセット100にすることができる。また、第2コンテナ40の製造型に、幅広部20H,21H及び溝形壁部30用の部品を取り付けることで、第1コンテナ10を製造することが可能であり、製造型の一部を流用することが可能となる。
【0041】
また、上端閉塞壁30Aがスタッキング当接部25よりも下方に位置していて、第1コンテナ10の上に第2コンテナ40をスタッキング状態に段積みしたときに、第2コンテナ40の底壁41が第1コンテナ10の上端閉塞壁30Aに当接しない。第2コンテナ40の底壁41が第1コンテナ10の上端閉塞壁30Aに当接する構成とすると、第2コンテナ40の底壁41が内容物の自重等により下方へ歪んだときに、第2コンテナ40ががたつくことが考えられるが、本実施形態によればそのような事態が防がれる。
【0042】
[他の実施形態]
(1)脚部20に幅広部20Hを設けずに、脚部20及び縦溝21とは別に、上端フランジ壁14から上下方向の中間部まで延びた補助脚部及び補助溝部が側壁12,13の外側面に突出形成された構成であってもよい。
【0043】
(2)幅広部20H(及び段差部20D)が、第1短辺側壁13Aの脚部20と第2短辺側壁13Bの脚部20との両方に設けられていてもよい(第2コンテナ40の上に配された第1コンテナ10が水平に支持され、正規のネスティング状態よりも嵌合深さが小さい構成であってもよい)。また、幅広部20Hは、脚部20の下部に対して中央側ではなく側方へ突出していてもよい。
【0044】
(3)上記実施形態では、溝形壁部30が、第1コンテナ10の長辺側壁12の中央に配されていたが、それ以外の位置(例えば、横方向の端部)に配されていてもよい。また、溝形壁部30は、1つの長辺側壁12に複数配されていてもよい(第1コンテナ10の上に配された第2コンテナ40が水平に支持され、正規のネスティング状態よりも嵌合深さが小さい構成であってもよい)。また、溝形壁部30は、1対の長辺側壁12のうち片方にのみ配されていてもよい。また、溝形壁部30は、短辺側壁13に設けられていてもよい。
【0045】
(4)第1コンテナ10の上に第2コンテナ40をネスティング状態に段積みすることと、第2コンテナ40の上に第1コンテナ10をネスティング状態に段積みすることと、との一方のみが規制される構成であってもよい。
【0046】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0047】
[付記]
本明細書には、以下の特徴が含まれている。
【0048】
[特徴1]
上面が開放したコンテナであって、外側面に複数の脚部を有すると共に内側面に複数の縦溝を有し、コンテナ同士を180度旋回させて段積みするか、180度旋回させずに段積みするかによって、上段側のコンテナの前記脚部が下段側のコンテナの前記縦溝に受容されるネスティング状態と、上段側のコンテナの前記脚部
が下段側のコンテナの側壁の上面に当接するスタッキング状態とに変更可能であるSNコンテナにおいて、
側壁から内側又は外側に突出し、前記スタッキング状態において上下のSNコンテナと干渉しない補助突部と、
側壁を内側又は外側に陥没させ、前記ネスティング状態において、他のSNコンテナの前記補助突部を受容する補助受容部と、を有するSNコンテナ。
【0049】
[特徴2]
SNコンテナと同一サイズで、SNコンテナを上側及び下側にスタッキング状態にすることが可能な別種のSNコンテナの上に、SNコンテナを、SNコンテナの前記脚部と前記別種のSNコンテナの縦溝とが上下方向で並ぶ向きで配したときに、前記別種のSNコンテナの側壁の上面と干渉する第1の前記補助突部が、外側面から突出形成されている特徴1に記載のSNコンテナ。
【0050】
[特徴3]
SNコンテナの上に、SNコンテナと同一サイズで、SNコンテナを上側及び下側にスタッキング状態にすることが可能な別種のSNコンテナを、前記別種のSNコンテナの前記脚部とSNコンテナの縦溝とが上下方向で並ぶ向きで配したときに、前記別種のSNコンテナの底壁と干渉する第2の前記補助突部が、内側面から突出形成されている特徴1又は2に記載のSNコンテナ。
【符号の説明】
【0051】
10 第1コンテナ(SNコンテナ)
12 長辺側壁
13 短辺側壁
14 上端フランジ壁
20 脚部
20D 段差部(第1の干渉部)
20H 幅広部
21 縦溝
21H 幅広部
30 溝形壁部
30A 上端閉塞壁(第2の干渉部)
40 第2コンテナ(別種のSNコンテナ)
41 底壁
44 上端フランジ壁
50 脚部
51 縦溝
100 コンテナセット
図1
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