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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166691
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】高純度次亜塩素酸水の製造装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/26 20060101AFI20221026BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20221026BHJP
   C25B 9/015 20210101ALI20221026BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20221026BHJP
   C25B 13/02 20060101ALI20221026BHJP
   C25B 15/00 20060101ALI20221026BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20221026BHJP
   C25B 11/031 20210101ALI20221026BHJP
   C25B 11/042 20210101ALI20221026BHJP
   C02F 1/461 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
C25B1/26 C
C25B9/00 Z
C25B9/015
C25B9/23
C25B13/02 301
C25B15/00 302Z
C25B15/08 302
C25B11/031
C25B11/042
C02F1/461 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072078
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】517088632
【氏名又は名称】有限会社昭和精機
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 博司
(72)【発明者】
【氏名】花形 保
(72)【発明者】
【氏名】小澤 昭三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦之
(72)【発明者】
【氏名】石川 勲
【テーマコード(参考)】
4D061
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4D061DA10
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB02
4D061EB04
4D061EB13
4D061EB16
4D061EB19
4D061EB30
4D061EB31
4D061EB34
4D061EB39
4D061GC15
4K011AA02
4K011AA11
4K011AA15
4K011BA12
4K011DA03
4K021AB07
4K021BA03
4K021BC01
4K021BC07
4K021CA08
4K021DB05
4K021DB11
4K021DB21
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC07
4K021EA03
4K021EA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、カソード電極と陽イオン交換膜およびアノード電極の隔膜一体電極を採用し、効率かつ経済的に純粋な次亜塩素酸水が得られる高純度次亜塩素酸水の製造装置を提供しようとするものである。
【解決手段】カソード電極棒の周囲に所定間隔を置いて筒状の穴開き構造を有するカソード室を配置し、その周囲に筒状の陽イオン交換膜を設置した上、さらに保護膜を介してアノード電極を設置し、これらを金属フレームに収納した隔膜一体電極を浴槽内に収納し、高純度次亜塩素酸水が得られるようにしたことを特徴とする高純度次亜塩素酸水の製造装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード電極棒の周囲に所定間隔を置いて筒状の穴開き構造を有するカソード室を配置し、その周囲に筒状の陽イオン交換膜を設置した上、さらに保護膜を介してアノード電極を設置し、これらを金属フレームに収納した隔膜一体電極を浴槽内に収納し、高純度次亜塩素酸水が得られるようにしたことを特徴とする高純度次亜塩素酸水の製造装置。
【請求項2】
前記筒状の陽イオン交換膜が、カソード電極棒の下部に逆止弁用開口を有するとともに逆止弁用開口上部に逆止弁用球体を収納されている隔膜一体電極を、浴槽内に挿入することで逆止弁用球体が浮力で浮き上がって食塩水がカソード室内に流れ込み、その注水が完了すると逆止弁用球体が自重で下降して逆止弁用開口を閉じるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の高純度次亜塩素酸水の製造装置。
【請求項3】
前記カソード電極棒が、前記筒状の陽イオン交換膜内に昇降可能に保持されており、前記注水が完了すると逆止弁用球体が自重で下降して逆止弁用開口を閉じ、かつ前記カソード電極棒を降下させてカソード室を閉鎖するようにしてあることを特徴とする請求項1または2に記載の高純度次亜塩素酸水の製造装置。
【請求項4】
前記筒状の陽イオン交換膜上に設置した保護膜が、難燃性のサランネット(商品名:旭化成株式会社)からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高純度次亜塩素酸水の製造装置。
【請求項5】
前記カソード電極が、素材としてチタン繊維焼結体を採用したことにより、塩素ガスを電解水中で微細化させることで、より滞留時間がアップするため、塩素ガスが水に吸収されやすくなり、無駄に大気に放出されるロスが無くなって、次亜塩素酸水の生成効率を著しく向上させたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高純度次亜塩素酸水の製造装置。
【請求項6】
前記隔膜一体電極が、特に紫外線を遮光することにより極めて分解が進行することに対し、アルミホイルないしアルミ蒸着した熱収縮フィルムで保管容器を包むことで保存期限を著しくし延長することを可能としたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の高純度次亜塩素酸水の製造装置。
【請求項7】
前記隔膜一体電極が、筒状の陽イオン交換膜内部の逆止弁用開口上部に逆止弁用球体を収納されており、光電センサからタイマ付きのエア電磁弁を経て次亜塩素酸水の点滴が行われるようにしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の高純度次亜塩素酸水の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高純度次亜塩素酸水の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来使われている隔膜は物理的なフィルターであり、目のサイズが1~数100μで、塩水を電気分解した場合、アノード側の酸性次亜塩素酸水とカソード側に生成する水酸化ナトリュウムを完全に混じらないようにすることは不可能であり、膜を挟んで、ある程度は溶液が混じりあう。
水分子、ナトリュウイオン、次亜塩素酸イオンを完全に仕切り分けできないために生成された次亜塩素酸水の中に水酸化ナトリュウムが混入することが避けられない。
【0003】
<隔膜に陽イオン交換膜(ナフィオン膜)を新規に採用した場合>
そのため、これまでの隔膜法に代わって新規に陽イオン交換膜を採用した場合、より高純度次亜塩素酸水の製造が可能となった。
すなわち、隔膜の替わりに用いる陽イオン交換膜は陽イオン以外は遮断し、完全に水酸化ナトリュウムの混入は無くなり、高純度次亜塩素酸水が得られることになり、高度の殺菌性能を保有し、またアルカリ混入による肌荒れの危険性排除が可能となるメッリットが有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開08-150325号公報 ⇒ 出発物質「次亜塩素酸ナトリウム水溶液」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上記特開08-150325号公報の先行技術があるが、この先行技術においては次亜塩素酸ナトリウムを溶解する水溶液を製造原液として採用するとともに、陽イオンを選択的に透過する選択透過性膜にて区画形成されて陽極が配置された第1の隔室と、陽イオンを選択的に透過する選択透過性膜にて区画形成されて陰極が配置された第2の隔室、これら両隔室間にて区画形成された第3の隔室を備えた電気透析槽を採用したものであり、純粋な次亜塩素酸水が得られるものではなかった。
したがって本発明は、カソード電極と陽イオン交換膜およびアノード電極の隔膜一体電極を採用し、効率かつ経済的に純粋な次亜塩素酸水が得られる高純度次亜塩素酸水の製造装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の次亜塩素酸水製造装置は、カソード電極棒の周囲に所定間隔を置いて筒状の穴開き構造を有するカソード室を配置し、その周囲に筒状の陽イオン交換膜を設置した上、さらに保護膜を介してアノード電極を設置し、これらを金属フレームに収納した隔膜一体電極を浴槽内に収納し、高純度次亜塩素酸水が得られるようにしたことを特徴とするものである。
(カソード電極+陽イオン交換膜+アノード電極の隔膜一体電極)
【0007】
またこの発明の次亜塩素酸水製造装置は、前記筒状の陽イオン交換膜が、カソード電極棒の下部に逆止弁用開口を有するとともに逆止弁用開口上部に逆止弁用球体を収納されている隔膜一体電極を、浴槽内に挿入することで逆止弁用球体が浮力で浮き上がって食塩水がカソード室内に流れ込み、その注水が完了すると逆止弁用球体が自重で下降して逆止弁用開口を閉じるようにしてあることをも特徴とするものである。
(筒状の陽イオン交換膜の下部に逆止弁二逆止弁用球体)
【0008】
さらにこの発明の次亜塩素酸水製造装置は、前記カソード電極棒が、前記筒状の陽イオン交換膜内に昇降可能に保持されており、前記注水が完了すると逆止弁用球体が自重で下降して逆止弁用開口を閉じ、かつ前記カソード電極棒を降下させてカソード室を閉鎖するようにしてあることをも特徴とするものである。
(カソード電極棒を降下させてカソード室を閉鎖)
【0009】
この発明の次亜塩素酸水製造装置は、前記筒状の陽イオン交換膜上に設置した保護膜が、難燃性のサランネット(旭化成株式会社の商品名)からなることをも特徴とするものである。
(筒状の陽イオン交換膜上に設置した保護膜が、難燃性のサランネット)
【0010】
この発明の次亜塩素酸水製造装置は、カソード電極にチタン繊維焼結体を採用したことで次亜塩素酸水の生成効率を著しく向上させることをも特徴とするものである。
また、チタン基材にプラチナあるいは二酸化イリジウムの層を被覆したアノード電極を使用して、従来電極(板)との違いで差別化することができる。
塩素ガスの電解水中での微細化することに、より滞留時間がアップする。そのため、塩素ガスが水に吸収されやすく成ることで、無駄に大気に放出されるロスが無くなった。ガスは極めて有毒であり、許容濃度1ppm以下である。
【0011】
<生成された次亜塩素酸水の保存性安定性改善の方法>
現行品は、白色または、透明のPP製、PE製、PET製などの容器が使われているが殺菌に必要な、有効塩素濃度の50ppmを、維持する必要があるが、光、特には紫外線による自己分解により、有効保存期限としは1~2日が限界であった。
この発明の次亜塩素酸水製造装置は、前述の問題の解決策として、光、特に紫外線を遮光する事が極めて分解の主要因であることを確認し、アルミホイル等で保管容器を包むことで保存期限を著しくし延長することを可能としたことを特徴とするものである。
また、選択肢として、アルミ蒸着した熱収縮フィルムを貼る事も好ましい。
【0012】
<次亜塩素酸水の自動ディスペンサー装置>
この発明の次亜塩素酸水製造装置は、前記隔膜一体電極が、筒状の陽イオン交換膜内部の逆止弁用開口上部に逆止弁用球体を収納されており、光電センサからタイマ付きのエア電磁弁を経て次亜塩素酸水の点滴が行われるようにしたことを特徴とするものである。
したがって、次亜塩素酸水汲み挙げポンプが要らず構造がシンプルかつ低コストにできる特徴がある。
【発明の効果】
【0013】
<隔膜付電極一体化構造>
アノード電極、カソード電極、隔膜(またはイオン交換膜)を一体化することで、低コストで、使い勝手が良い新型タイプの構造を検討し、採用した。
陽極、イオン交換膜、陰極の3部材を一体化したユニット構造とした点が新規性のある点である。
メリット:使い勝手が良い。すなわち、適当な電解槽容器に電極ユニットを浸漬して通電するだけで生成水が得られる。
すなわちコンパクト化でき、したがってサイズを小型化できる。
コストが安くできる。したがって、高額な部材のサイズを小さくすることが可能で、構造もシンプル化でき、部品点数を減少させることができる。
また、電極ユニットの交換メンテナンス性が楽である。
さらに、バッチ式の使い方に加え、連続式へのアレンジも比較的楽である。
動作については、底部の逆止弁により、電極ユニットを浴槽に挿入することにより、アルミナ球体が浮力で浮き上がり食塩水がカソード室内に流れ込み、注水が完了するとアルミナ球体が自重で落下し、バルブが閉じる仕組みである。さらに、カソード棒を下にスライドさせると球体を抑えて完全にロック状態になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】高純度次亜塩素酸水の製造装置を構成する隔膜一体電極を示す概略断面図である。
図2】高純度次亜塩素酸水の製造装置を構成する隔膜一体電極を内蔵した電解装置の全体を示す概略断面図である。
図3】高純度次亜塩素酸水の製造装置を構成する自動ディスペンサー装置を示す概略断面図である。
図4】アルミホイル遮光による効果を検証したグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の高純度次亜塩素酸水の製造装置の実施例について詳細に説明する。
図1は隔膜一体電極からなる電極ユニット11の断面図である。図2は隔膜一体電極からなる電極ユニット11が浴槽12内に配置されている状態を示す断面図であう。
図1および図2において、電極ユニット11の内部は陰極室であり、苛性ソーダが満たされている。他方浴槽12内は陽極室であり、次亜塩素酸水が満たされている。図2に示す電解タイマ33のタイムアップにより、次亜塩素酸水の生成が完了する。その際の生成量は以下の通りである。
電流×時間生成量∝HClO 生成量 すなわち、電流×時間が生成量に比例する。
電解が終了したら、電極ユニット11を引き抜き、浴槽12の次亜塩素酸水を使用する。
引き抜いた電極ユニット11内部の苛性ソーダは廃棄する。
【0016】
より詳しく説明すると、図1および図2における高純度次亜塩素酸水の製造装置において、電極ユニット11は、チタン製の筒状金属フレーム21を備え、筒状金属フレーム21内にはチタン基材にプラチナあるいは二酸化イリジウムの層を被覆したアノード電極22が内装されており、サランネット円筒からなる保護膜23がその内側に配置されている。図において24は円筒状の陽イオン交換膜でその内側にアクリル穴開き円筒からなるカソード室25が配置されている。
前記カソード室25の内部にはアクリル穴開き円筒の中心に沿ってチタン製のカソード電極棒26が配設されている。また前記カソード室25の下部には絞り部27が形成されていて、絞り部27にはアルミナ球体からなる逆止弁28が設置されている。このように底部に逆止弁28を配設し、その状態で電極ユニット11を浴槽12に挿入することでアルミナ球体からなる逆止弁28が浮力で浮き上がり、食塩水がカソード室25内に流れ込んで反応が開始する。注水が完了するとアルミナ球体からなる逆止弁28が自重で落下し、絞り部27からなるバルブが閉じるのである。その上でカソード電極棒26を下にスライドさせると、カソード電極棒26が逆止弁28を抑え込んで完全なロック状態となるのである。
そのあとは、浴槽12から電極ユニット11を引き抜き、浴槽12内の次亜塩素酸水を使用すればよい。なお、引き抜いた電極ユニット11内部の苛性ソーダは廃棄するのである。
【0017】
<生成された次亜塩素酸水の保存性、安定化の方法>
現行では白色または透明のPP製、PE製、PET製の電極ユニット用容器31が使われているが、殺菌に必要な有効塩素濃度50ppmを維持する必要がある。しかしながら、光、特には紫外線による自己分解により、有効保存期限としては1~2日が限界であった。
この問題の解決策として、図2に示すようにして、光、特に紫外線を遮光することが、分解の要因である自己分解を防止する効果が極めて高い。したがって、アルミホイル32等で電極ユニット用容器31を包むことで保存期限を著しく延長できることが判明した。
【0018】
<次亜塩素酸水の自動ディスペンサー装置>
図3に示すように、本発明の高純度次亜塩素酸水の製造装置においては、光電センサ41からタイマ43付きのエア電磁弁42を経て次亜塩素酸水の点滴が行われる。
本装置のポイントはエア電磁弁42であり、次いで次亜塩素酸水の落差で点滴することである。次亜塩素酸水汲み挙げポンプが要らず、構造がシンプルで低コストにできる特徴がある。
【0019】
<隔膜付電極一体構造>
本発明の目的及びメリットは以下の通りである。
(a)高性能で多用途の廉価版のHClO(次亜塩素酸)生成器を提供すること。
(b)電解槽と電極ユニットを分離することで、電解槽として色々な容器を使えて生成量も選択可能とすること。手洗い~野菜~農業消毒殺菌用途まで対応可能である。従来品は電解槽筐体に電極が組み込まれている構造であり、有利に差別化できる。農薬ではKClを使用することが望ましい。
(c)陽イオン交換膜を備えた2室型の電解装置となり、高品位の次亜塩素酸水を生成可能である。市販品の隔膜無しの1室品と差別化することができる。
(d)カソード電極にチタン繊維焼結体を採用したことで次亜塩素酸水の生成効率を著しく向上させることができる。従来電極(板)との違いで有意に差別化することができる。
(e)塩素ガスを電解水中で微細化することができ、より滞留時間がアップし、塩素ガスが水に吸収されやすくなることで、無駄に大気に放出されるロスが無くなった。放出ガスは極めてすくなくなった。なお、塩素ガスは極めて有毒であり、有毒許容濃度1ppm以下である。
(f)アノード室に生成される水酸化ナトリュウム廃液は電極下部に設けた逆止弁(アルミナ球)により、簡単に排出ができる機構となっている。
【0020】
<アルミ蒸着遮光フィルムによる保管性向上。フィルムの構造、収縮フィルムを使う。>
前述のように、光、特に紫外線を遮光することが、分解の要因である自己分解を防止する効果が極めて高い。したがって図2に示すように、アルミホイル32等で電極ユニット用容器31を包むことで保存期限を著しく延長できることが判明した。
図4にアルミホイル遮光による効果を検証したグラフを示す。
特に、アルミ蒸着遮光フィルムを使用し、かつ収縮フィルムを用いることにより非常に作業性がアップすることとなった。
【0021】
<隔膜に陽イオン交換膜を採用>
電解隔膜とは、物理的な微細孔を有するメッシュ、網目構造の膜のことをいう。
これに対して、陽イオン交換膜は、化学的に陽イオンのみが通過できる膜であり、燃料電池や苛性ソーダ工業に採用されている。この膜を次亜塩素酸生成に応用し、NaClOの生成と混入を抑制し、高純度次亜塩素酸水が得られることとなった。
【0022】
<電解次亜塩素酸水生成原理>
本発明において、電解次亜塩素酸水とは、陽極と陰極を仕切る隔膜が無い(無隔膜)一室型電解槽で純度99%以上の食塩を水に溶解したものを電解して生成したpH7以上の次亜塩素酸水溶液のことをいう。
この電解次亜塩素酸水は、次亜塩素酸が陰極で生成するアルカリのため殺菌活性の微弱な次亜塩素酸イオン(ClO- )に変換された形で存在する。そのため、そのままでは酸性電解水に比べて殺菌活性は低くなるが、使用できる有効塩素濃度に制限が無いため、その他の次亜塩素酸水と比べてより高い濃度で使用することが可能である。
電解次亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムの希釈液と同等であるとされていて、食品添加物として使用できる。
従って電解次亜塩素酸水を酸で中和し、pHを6.5以下に調整することで、殺菌力を高めることが可能で、更に実用性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
電解次亜塩素酸水の場合、原料は私たちにとって最も身近な存在である「水」と「食塩」を使用している。
製法も至ってシンプルであり、食塩水を電解槽に入れて電気分解することで生成される。そのため使用上の安全性はもちろん、人体や自然環境、食品、食材に含まれる栄養素にも影響が少なく安心・安全に殺菌効果を得ることができる。
なお電解次亜塩素酸水と市販の次亜塩素酸ナトリウムを比較すると電解次亜塩素酸水は未反応の食塩の残留による分解の速さに加えて電解電極の消耗が著しいことによるコスト高が欠点であるが、電極構造の改良によりそれらの欠点を解決することが知られている。
【符号の説明】
【0024】
11 電極ユニット
12 浴槽
21 筒状金属フレーム
22 アノード電極
23 保護膜
24 陽イオン交換膜
25 カソード室
26 カソード電極棒
27 絞り部
28 逆止弁
31 電極ユニット用容器
32 アルミホイル
33 電解タイマ
41 光電センサ
42 エア電磁弁
43 タイマ


図1
図2
図3
図4