(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166699
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
F25D23/02 305Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072093
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守谷 雅秀
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA01
3L102KC07
(57)【要約】
【課題】外観品位に優れた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本実施形態の冷蔵庫1は、貯蔵室を有する冷蔵庫本体2と、貯蔵室の開口部を開閉する扉35と、扉35が開口部を閉塞すると開口部の周縁部において扉35と冷蔵庫本体2との間に配置される封止部材50と、を備えた冷蔵庫1において、封止部材50は、扉35に接触する扉接触部51と、冷蔵庫本体2に接触する袋部52と、扉接触部51と袋部52とを連結する連結壁53,54,55,56と、袋部52において庫外側に位置する庫外袋壁65から扉35側へ延びる庫外側壁66とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室の開口部を開閉する扉と、
前記扉が前記開口部を閉塞すると前記開口部の周縁部において前記扉と前記冷蔵庫本体との間に配置される封止部材と、
を備えた冷蔵庫において、
前記封止部材は、前記扉に接触する扉接触部と、前記冷蔵庫本体に接触する袋部と、前記扉接触部と前記袋部とを連結する連結壁と、前記袋部において庫外側に位置する庫外袋壁から前記扉側へ延びる庫外側壁とを備える冷蔵庫。
【請求項2】
前記庫外側壁の前記扉側の端部が、前記封止部材を前記扉に取り付けた状態で前記扉接触部に接触する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記庫外側壁の前記扉側の端部が、前記封止部材を前記扉に取り付けた状態で前記扉接触部の庫外側において前記扉に接触する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記連結壁を複数備え、
前記庫外側壁は、複数の前記連結壁のうち庫外側に位置する庫外連結壁の一部を構成する連結壁構成部を備え、
前記庫外側壁は、前記連結壁構成部から前記扉側へ突出するヒレ部を備える請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記庫外袋壁が前記連結壁より厚みが大きい請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記連結壁を複数備え、
複数の前記連結壁のうち庫内側に位置する庫内連結壁は前記扉に接触する袋状接触部を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記封止部材は、前記庫外側壁と前記袋部とを連結する補強壁を備える請求項1~6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記袋部は、前記冷蔵庫本体に接触する接触壁を備え、
前記接触壁が、前記冷蔵庫本体に接触していない状態において、庫外側に行くほど前記扉側へ向かうように傾斜している請求項1~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記庫外側壁が、前記庫外袋壁に対して傾斜している請求項1~8のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫において、貯蔵室を開閉する扉の周縁部に、ガスケットと呼ばれる封止部材を設けたものがある。このような冷蔵庫は、扉を閉めると封止部材が冷蔵庫本体に接着して、扉がガスケットを介して冷蔵庫本体に密着される。これにより、貯蔵室内の気密性を高め、貯蔵室内から外部への空気流通を阻害して熱漏洩を防いでいる。
【0003】
封止部材は、扉と冷蔵庫本体との間に配置されており、冷蔵庫を側方向から見た時に冷蔵庫前側に位置し比較的ユーザの目に付きやすい。しかし、従前、封止部材の外観について考慮されておらず、冷蔵庫を側方向から見た時の外観品位に欠けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、上記事情を考慮してなされたものであり、外観品位に優れた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室の開口部を開閉する扉と、前記扉が前記開口部を閉塞すると前記開口部の周縁部において前記扉と前記冷蔵庫本体との間に配置される封止部材と、を備えた冷蔵庫において、前記封止部材は、前記扉に接触する扉接触部と、前記冷蔵庫本体に接触する袋部と、前記扉接触部と前記袋部とを連結する連結壁と、前記袋部において庫外側を向いた庫外袋壁から前記扉側へ前記庫外袋壁に平行な面に沿って延びる庫外側壁とを備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明の一実施形態における冷凍室扉を後方から見た斜視図
【
図3】本発明の一実施形態における封止部材の断面図
【
図5】本発明の変更例1における封止部材を取り付けた扉の要部拡大断面図
【
図6】本発明の変更例2における封止部材を取り付けた扉の要部拡大断面図
【
図7】本発明の変更例3における封止部材を取り付けた扉の要部拡大断面図
【
図8】本発明の変更例4における封止部材を取り付けた扉の要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0009】
以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、冷蔵庫を正面から見たときの方向を示し、左右方向は冷蔵庫の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、奥、背、手前とは、特に規定がない場合には冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示す。
【0010】
(1)冷蔵庫1の構成
図1に示すように、冷蔵庫1は、前面に開口する冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は、鋼板製の外箱3と合成樹脂製の内箱4との間に形成された断熱空間5に真空断熱材や発泡断熱材等の断熱材を有して構成されている。冷蔵庫本体2は内箱4の内部に複数の貯蔵空間が設けられており、具体的には、上段から順に、冷蔵室6、野菜室7が設けられ、その下方に製氷室8と小冷凍室(不図示)が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室10が設けられている。
【0011】
冷蔵室6及び野菜室7は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1~4℃)に冷却される貯蔵室であり、それらの間は、合成樹脂製の仕切板11により上下に仕切られている。冷蔵室6には複数の載置棚12が設けられている。一番下の載置棚12の下は、冷蔵室6の中でも特に低温に維持されるチルド室13となっている。また、野菜室7には、上下2段の引き出し式容器が収納されている。
【0012】
冷蔵室6の前方開口部は、フレンチ式(観音式)の左右一対の冷蔵室扉31で開閉される。野菜室7の前方開口部は、引き出し式の野菜室扉32で開閉される。野菜室扉32の庫内側には上記の引き出し式容器が取り付けられている。そのため、利用者が野菜室扉32を開けると、野菜室扉32とともに引き出し式容器が一体となって引き出される。
【0013】
製氷室8、小冷凍室及び冷凍室10は、いずれも冷凍温度帯(例えば、-10~-20℃)に冷却される貯蔵室である。製氷室8、小冷凍室及び冷凍室10にはそれぞれ引き出し式の収納容器が収納されている。
【0014】
製氷室8の前方開口部は引き出し式の製氷室扉33で開閉される。製氷室扉33の庫内側の面に上記の収納容器が固定されている。また、冷凍室10の前方開口部は引き出し式の冷凍室扉35で開閉される。冷凍室扉35の庫内側の面に上記の収納容器が固定されている。また、小冷凍室の前方開口部は引き出し式の小冷凍室扉(不図示)で開閉される。
【0015】
冷蔵庫本体2の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室6及び野菜室7)の奥部には、冷蔵温度帯の貯蔵室を冷却するための冷蔵冷却器20が設けられている。冷蔵冷却器20の上方には冷蔵冷却器20で生成された冷気を冷蔵空間に送風する冷蔵ファン21が設けられている。
【0016】
冷蔵庫本体2の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室8、小冷凍室、冷凍室10)の奥部には、冷凍温度帯の貯蔵室を冷却するための冷凍冷却器22が設けられている。冷凍冷却器22の上方には冷凍冷却器22で生成された冷気を冷蔵空間に送風する冷凍ファン23が設けられている。
【0017】
冷蔵冷却器20及び冷凍冷却器22は、冷蔵庫本体2の背面下部に形成された機械室24に収納された圧縮機25や凝縮器とともに冷凍サイクルを構成し、圧縮機25から吐出された冷媒によって冷却される。
【0018】
(2)扉31~35の構造
次に、冷蔵室6、野菜室7、製氷室8、小冷凍室及び冷凍室10の前面開口部を閉塞する冷蔵室扉31,野菜室扉32,製氷室扉33、小冷凍室扉、冷凍室扉35の構成について説明する。なお、この実施形態では、各扉は、大きさ及び形状が異なっているが、基本的な構成が共通しているため、ここでは冷凍室扉35について説明する。
【0019】
冷凍室扉35は、
図1及び
図2に示すように、扉面材36、扉内板37、上キャップ部材38及び下キャップ部材39から外郭を構成し、その内部に断熱材41を配設する空間が形成されている。
【0020】
扉面材36は、鋼板やガラス板などを所定形状に成型してなり、冷凍室10の前面開口部を閉塞した時に冷蔵庫1の正面、側面及び背面の左右側縁部を構成する。扉内板37は、平板形状の合成樹脂成形体からなり、冷凍室10側において扉面材36と連結され扉面材36との間で断熱材41を配設する空間を形成する。
【0021】
上キャップ部材38及び下キャップ部材39は、扉面材36及び扉内板37の上端部及び下端部とそれぞれ接合され、扉面材36及び扉内板37の周囲を保持する。上キャップ部材38の前側(扉面材36側)には、下方に向けて陥没する手掛け部42が冷凍室扉35の全幅にわたって設けられている。
【0022】
扉内板37の周縁部には、後述する封止部材50の係止部59を挿入するための取付溝43(
図4参照)が形成されている。取付溝43は、冷凍室扉35の内側周囲を取り囲むように形成されている。取付溝43に封止部材50の係止部59が挿入されることで、冷凍室10の前面開口部の周縁部と対向する位置に封止部材50が取り付けられている。
【0023】
(3)封止部材50の構成
封止部材50は、軟質合成樹脂を
図3に示すような所定の断面形状に押出成形した長尺の部材を、扉内板37の周縁部を取り囲むように全体としては略矩形の枠状に形成したものである。封止部材50は、冷凍室扉35において冷蔵庫本体2と対向する面(つまり、冷凍室扉35の背面)の周縁部に設けられ、封止部材50の内部に配した磁石57の磁力により冷蔵庫本体2の開口部周縁に密着することで、冷凍室扉35と冷凍室10の前面開口部との間をシールする。
【0024】
なお、この実施形態では、冷蔵室扉31,野菜室扉32,製氷室扉33及び小冷凍室扉の扉内板の周縁部にも封止部材が設けられているが、冷凍室扉35に設けられた封止部材50と基本的な構成が共通しているため、ここでは冷凍室扉35に設けられた封止部材50について説明する。
【0025】
本明細書において、封止部材50の庫内側とは封止部材50を扉の背面の周縁部に取り付けた時に外周に位置する側(外周を向く側)であり、封止部材50の庫内側とは内周に位置する側(内周を向く側)である。また、封止部材50の前、後とは、封止部材50を取り付けた冷蔵庫を正面から見たときの位置や側を示す。
【0026】
封止部材50は、
図4に示すように冷凍室扉35に取り付けた状態で扉内板37の周縁部と接触する扉接触部51と、冷蔵庫本体2に接触する袋部52と、扉接触部51と袋部52とを連結する複数の連結壁53,54,55,56と、袋部52の内部に設けられた磁石57とを備える。
【0027】
扉接触部51は、比較的肉厚に設けられた基部58と、基部58の前側(冷凍室扉35と対向する側)に設けられた係止部59と、基部58の庫外側に設けられた第2ヒレ部60と、基部58の庫内側に設けられた第3ヒレ部61とを備える。基部58は第2ヒレ部60や第3ヒレ部61より肉厚に設けられている。
【0028】
係止部59は、基部58から冷凍室扉35へ向かって(つまり、前方へ向かって)突出し、その先端側が先端に行くほど幅が狭くなる略くさび状をなしている。
【0029】
第2ヒレ部60は、
図3に示すような冷凍室扉35に取り付けられていない状態において、基部58から庫外側へ離れるほど前側(係止部59が突出する側)へ傾斜しており、その先端部が前方へ折れ曲がっている。
【0030】
第3ヒレ部61は、
図3に示すような冷凍室扉35に取り付けられていない状態において、基部58から略平行に庫内側へ延びている。
【0031】
図4に示すように係止部59を冷凍室扉35の取付溝43に挿入して封止部材50を冷凍室扉35に取り付けると、第2ヒレ部60が扉面材36と扉内板37との接合部分を覆いつつ扉内板37に接触し、第3ヒレ部61が扉内板37に接触する。これにより、封止部材50と冷凍室扉35との密着性を高めることができる。
【0032】
袋部52は、断面が前後方向に薄い偏平な略矩形の筒状をなしており、その内部が磁石収納部62と中空部63に区画されている。磁石収納部62には、磁性粉末が混合された合成ゴム製の磁石(ゴム磁石)等の可撓性を有する磁石57が収納されている。冷凍室扉35の閉扉時に磁石57が冷蔵庫本体2に磁気吸着することで磁石収納部62の接触壁64が冷蔵庫本体2に密着する。また、中空部63の内部には、空気層が形成されている。
【0033】
磁石収納部62は、封止部材50を冷凍室扉35に取り付けた状態で庫外側を向いた壁部(以下、この壁部を庫外袋壁ということもある)65が略平面形状をなしている。つまり、
図4に示すように冷凍室扉35と冷蔵庫本体2の開口部周縁との間に封止部材50が配置された時に、接触壁64が冷蔵庫本体2の前端面に接触し、庫外袋壁65が冷蔵庫本体2から冷凍室扉35へ向かって前後方向へ突出する。
【0034】
なお、庫外袋壁65は、扉接触部51の基部58と袋部52とを連結する連結壁53,54,55,56より厚みが大きいことが好ましい。
【0035】
また、磁石収納部62の接触壁64は、冷蔵庫本体2に接触していない状態(開扉状態)において、庫外側に行くほど前方へ向かうように(つまり、冷凍室扉35に近づくように)緩やかに傾斜していることが好ましい。
【0036】
庫外袋壁65には前側(冷凍室扉35側)へ延びる庫外側壁66が設けられている。 この庫外側壁66は、ユーザが庫外側から封止部材50を見た時に、庫外袋壁65との境界部分に目立つような段差やくびれを形成することがないように連結されている。つまり、庫外側壁66は、庫外袋壁65を延長する延長面に沿って庫外袋壁65から冷凍室扉35側へ向かって突出するように設けられ、例えば、庫外袋壁65に平行な面に沿って設けられても良い。
【0037】
これにより、封止部材50を冷凍室扉35に取り付けた状態で、庫外側壁66は庫外袋壁65とともに庫外側に段差のない平坦な面を形成する。
【0038】
なお、本明細書において庫外袋壁65に平行な面に沿ってとは、庫外袋壁65に対して完全に平行に設けられ庫外袋壁65と同一平面を形成する場合だけでなく、庫外袋壁65に対する角度θ(
図3参照)が135度以上225度以下の場合も含む概念であり、好ましくは上記角度θが160度以上200度以下であり、より好ましくは上記角度θが160度以上180度未満あるいは180度より大きく200度以下であり、更に好ましくは、上記角度θが160度以上180度未満である。また、平坦な面とは、完全な平面だけでなく、ユーザが庫外側から封止部材50を見た時に目立たない程度に緩やかに湾曲したり波打つように湾曲する湾曲面も含む概念である。
【0039】
庫外側壁66は、後述する庫外連結壁53の一部を構成する連結壁構成部67と、連結壁構成部67から前方へ突出する第1ヒレ部68とを備える。
【0040】
第1ヒレ部68の先端は、
図3に示すように封止部材50が冷凍室扉35に取り付けられていない状態において第2ヒレ部60から離れている。しかし、
図4に示すように封止部材50を冷凍室扉35に取り付けると、第1ヒレ部68が第2ヒレ部60に当接して、第1ヒレ部68、第2ヒレ部60及び庫外連結壁53によって囲まれた空間69が形成される。なお、
図4に示すように、第1ヒレ部68の先端部が第2ヒレ部60に当接することが好ましい。
【0041】
複数の連結壁53,54,55,56は、上記した庫外袋壁65や扉接触部51の基部58より厚みが小さく可撓性を有する庫外連結壁53、庫内連結壁54、第1内部連結壁55及び第2内部連結壁56を備える。
【0042】
庫外連結壁53は、庫外側壁66の一部を構成する連結壁構成部67と、連結壁構成部67から庫内側へ延びる連結部70とを備え、連結部70が扉接触部51の基部58に連結されている。つまり、庫外連結壁53は、複数の連結壁のうち最も庫外側に配置され、庫外側おいて扉接触部51の基部58と袋部52の庫外袋壁65とを連結している。
【0043】
庫内連結壁54は、複数の連結壁のうち最も庫内側に配置され庫内側おいて扉接触部51の基部58と袋部52の中空部63とを連結する。庫内連結壁54には、内部を仕切る隔壁が設けられ筒状の袋状接触部71が設けられている。袋状接触部71は、
図4に示すように封止部材50を冷凍室扉35に取り付けると扉内板37に当接して密封シール性能を高め、熱損失を低減させる。なお、上記した袋状接触部71に換えて封止部材50に沿って延びる突起状の接触部を庫内連結壁54に設け、当該突起状の接触部を扉内板37に当接させてもよい。
【0044】
第1内部連結壁55は、庫外連結壁53及び庫内連結壁54の間において、磁石収納部62の前壁74と扉接触部51の基部58とを連結する。第2内部連結壁56は、庫外連結壁53及び庫内連結壁54の間において、袋部52の中空部63の庫内側と扉接触部51の基部58とを連結する。第2内部連結壁56は基部58側の端部において第1内部連結壁55と1つになって基部58に連結されている。
【0045】
庫外連結壁53、第1内部連結壁55、基部58及び磁石収納部62によって囲まれた空間には、第1内部連結壁55と前後方向に対向するように基部58から冷蔵庫本体2側へ突出する支持突起72が設けられている。支持突起72は、封止部材50が外力によってつぶれるように変形した際に第1内部連結壁55に当接することで、封止部材50の過度の変形を防止することができる。
【0046】
(4)効果
以上のような本実施形態では、庫外袋壁65から庫外袋壁65に平行な面に沿って前方へ延びる庫外側壁66が設けられているため、庫外袋壁65及び庫外側壁66によって封止部材50の庫外側に段差のない平坦な面が形成される。そのため、冷蔵庫1を外側(庫外側)から見た時に封止部材50に筋状の凹凸が現れにくく、冷蔵庫本体2及び扉31,32,33,35の視覚的な一体感が高まり外観品位を向上することができる。
【0047】
また、庫外袋壁65及び庫外側壁66によって封止部材50の庫外側に段差のない平坦な面が形成されているため、封止部材50に汚れが付きにくく、また、封止部材50を清掃しやすい。
【0048】
また、庫外側壁66が筒状に設けられた磁石収納部62の庫外袋壁65から延びている。つまり、封止部材50の庫外側を構成する庫外袋壁65及び庫外側壁66は、磁石収納部62を構成する接触壁64や前壁74に連結されることで補強されている。そのため、変形によって庫外袋壁65及び庫外側壁66に皺などが生じにくく、外観品位を維持することができる。
【0049】
本実施形態では、庫外側壁66の前端部に設けられた第1ヒレ部68が、封止部材50を冷凍室扉35に取り付けた状態で第2ヒレ部60に当接して空間69を形成するため、封止部材50の密封シール性能と断熱性能を向上させることができる。しかも、本実施形態では、第1ヒレ部68の先端部が第2ヒレ部60に当接するため、第1ヒレ部68と第2ヒレ部60との接触部分が目立ちにくく、外観品位を向上することができる。
【0050】
また、本実施形態では、庫外側壁66の前端が、扉接触部51と分断されているため、封止部材50が前後方向に伸縮変形しやすくなり、封止部材50と冷蔵庫本体2との密着性が向上してシール性能を向上することができる。
【0051】
本実施形態では、第2ヒレ部60が扉面材36と扉内板37との接合部分を覆いつつ扉内板37に接触するため、扉面材36と扉内板37との接合部分を覆い隠しつつ、封止部材50と冷凍室扉35との密着性を高めることができる。
【0052】
本実施形態では、庫外袋壁65が、扉接触部51の基部58と袋部52とを連結する連結壁53,54,55,56より肉厚に設けられているため、封止部材50の庫外側を構成する庫外袋壁65及び庫外側壁66に皺などが生じにくく、外観品位を維持することができる。
【0053】
本実施形態では、庫内連結壁54に袋状接触部71が設けられているため、密封シール性能を高め、熱損失を低減させることができる。
【0054】
本実施形態では、磁石収納部62の接触壁64が、冷蔵庫本体2に接触していない状態において、庫外側に行くほど前方へ向かうように傾斜しているため、閉扉時に磁石57が冷蔵庫本体2に磁気吸着されると、庫外側壁66が冷蔵庫本体2側へ引っ張られ、きれいな平坦な面となりやすい。また、開扉時に封止部材50が接触壁64の庫外側端部から剥がれやすくなり、比較的小さい力によって開扉できるようになる。
【0055】
また、本実施形態において、庫外袋壁65に対する庫外側壁66の角度θを135度以上225度以下に設定することで、庫外からユーザが視認可能な封止部材50の庫外側に筋状の凹凸が現れにくく、外観品位を向上することができ、160度以上200度以下に設定することで、封止部材50の庫外側に筋状の凹凸がより一層現れにくくなる。
【0056】
また、上記角度θが160度以上180度未満あるいは180度より大きく200度以下であると、庫外側壁66が前後方向に対して平行とならず緩やかに傾斜するように配置されるため、第1ヒレ部68の先端部が庫外側及び庫内側の一方側に湾曲しやすくなる。その結果、第1ヒレ部68の先端部が扉の周方向に沿って庫外側及び庫内側に蛇行しにくくなり、庫外側壁66が扉の周方向に均一な面となり外観品位を向上することができる。
【0057】
(5)変更例
以上の実施形態に対して、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な変更を行うことができる。以下に変更例を列挙する。
【0058】
(変更例1)
次に、上記した実施形態の変更例1について、
図5を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0059】
上記した実施形態では、封止部材50を冷凍室扉35に取り付けると、第1ヒレ部68が第2ヒレ部60に当接する場合について説明した。
【0060】
本変更例の封止部材150では、
図5に示すように、庫外側壁166が庫外袋壁65と平行とならず庫外袋壁65に対して傾斜するように設けられている。また、封止部材150では、冷凍室扉35に取り付けると、第1ヒレ部168が第2ヒレ部60の庫外側において冷凍室扉35の扉面材36に接触する。
【0061】
本変更例では、庫外側壁166が前後方向に対して平行とならず緩やかに傾斜するように配置されているため、第1ヒレ部168の先端部が庫外側に湾曲しやすくなり、庫外側壁166が扉の周方向に均一な面となる。
【0062】
また、本変更例では、第1ヒレ部168が第2ヒレ部60の庫外側に位置するため、第1ヒレ部168が第2ヒレ部60を庫外側から覆い隠すことができ、外観品位を更に向上することができる。
【0063】
また、本変更例では、支持突起72と前後方向に対応する位置に袋状部175を設けても良い。封止部材150が外力によってつぶれるように変形した際に支持突起72は袋状部175に当接することで、封止部材150の過度の変形を防止することができる。
【0064】
また、本変更例では、封止部材150に沿って延びる突起状の接触部171が庫内連結壁54に設けられても良い。突起状の接触部171は、
図5に示すように封止部材50を冷凍室扉35に取り付けると扉内板37に当接して密封シール性能を高め、熱損失を低減させることができる。
【0065】
なお、本変更例では、第1ヒレ部168の先端部が庫外袋壁65より庫外側に位置するように庫外側壁166が傾斜する場合、つまり、庫外袋壁65に対する庫外側壁166の角度θ1が180度より小さい場合について
図5に例示したが、上記角度θ1を180度より大きく設定し、第1ヒレ部168の先端部が庫外袋壁65より庫内側に位置するように庫外側壁166を傾斜させてもよい。このように庫外側壁166を傾斜させた場合であっても、第1ヒレ部168の先端部が庫内側に湾曲しやすくなり、庫外側壁166が扉の周方向に均一な面となり、外観品位を更に向上することができる。
【0066】
(変更例2)
次に、上記した実施形態の変更例2について、
図6を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0067】
上記した実施形態では、庫外側壁66が庫外連結壁53の一部を構成する連結壁構成部67を備える場合について説明した。
【0068】
本変更例の封止部材250では、
図6に示すように、庫外袋壁65から扉側へ延びる庫外側壁266が、庫外袋壁65と平行とならず庫外袋壁65に対して傾斜するように設けられている。また、封止部材250では、庫外袋壁65から延びる庫外側壁266が、庫外連結壁253と連結されることなく、庫外連結壁253の庫外側に配置されている。庫外連結壁253は、磁石収納部62の前壁74と扉接触部51の基部58とを連結する。庫外側壁266の先端部は、第2ヒレ部60の庫外側において冷凍室扉35の扉面材36に接触する。
【0069】
本変更例では、庫外側壁266が前後方向に対して平行とならず緩やかに傾斜するように配置されているため、庫外側壁266の先端部が庫外側に湾曲しやすくなり、庫外側壁266が扉の周方向に均一な面となる。
【0070】
また、本変更例では、庫外側壁266が第2ヒレ部60の庫外側に位置するため、庫外側壁266が第2ヒレ部60を庫外側から覆い隠すことができ、外観品位を更に向上することができる。
【0071】
また、本変更例では、庫外連結壁253が庫外側壁266と分離され前後方向に伸縮変形しやすいため、封止部材150と冷蔵庫本体2との密着性が向上してシール性能を向上することができる。
【0072】
また、本変更例では、封止部材250に沿って延びる突起状の接触部271が庫内連結壁54に設けられても良い。突起状の接触部271は、
図6に示すように封止部材50を冷凍室扉35に取り付けると扉内板37に当接して密封シール性能を高め、熱損失を低減させることができる。
【0073】
なお、本変更例では、支持突起72と前後方向に対応する位置に袋状部275を設けても良い。封止部材250が外力によってつぶれるように変形した際に支持突起72は袋状部275に当接することで、封止部材250の過度の変形を防止することができる。
【0074】
また、本変更例では、庫外側壁266の先端部が第2ヒレ部60の庫外側において冷凍室扉35の扉面材36に接触したが、庫外側壁266の先端部が第2ヒレ部60に接触するように庫外側壁266を配置してもよい。
【0075】
また、本変更例では、庫外側壁266の先端部が庫外袋壁65より庫外側に位置するように庫外側壁266が傾斜する場合、つまり、庫外袋壁65に対する庫外側壁266の角度θ2が180度より小さい場合について
図6に例示したが、上記角度θ2を180度より大きく設定し、庫外側壁266の先端部が庫外袋壁65より庫内側に位置するように庫外側壁266を傾斜させてもよい。このように庫外側壁266を傾斜させた場合であっても、庫外側壁266の先端部が庫内側に湾曲しやすくなり、庫外側壁266が扉の周方向に均一な面となり、外観品位を更に向上することができる。
【0076】
(変更例3)
次に、上記した実施形態の変更例3について、
図7を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0077】
本変更例の封止部材350では、庫外側壁366と磁石収納部62の前壁74とを連結する補強壁376が設けられており、庫外側壁366と磁石収納部62の前壁74と補強壁376との間で空間377が形成されている。
【0078】
このような場合、庫外側壁366を補強壁376によって補強することができ、変形によって庫外側壁366に皺などが生じにくく、外観品位を維持することができる。
【0079】
なお、この変更例では、庫外側壁366の先端部が第2ヒレ部60に接触するように庫外側壁366を配置したが、庫外側壁366の先端部が第2ヒレ部60の庫外側において冷凍室扉35の扉面材36に接触してもよい。
【0080】
また、本変更例において、庫内連結壁54には、封止部材350に沿って延びる突起状の接触部171が設けられている。突起状の接触部171は、
図7に示すように封止部材50を冷凍室扉35に取り付けると扉内板37に当接して密封シール性能を高め、熱損失を低減させる。
【0081】
(変更例4)
次に、上記した実施形態の変更例4について、
図8を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0082】
本変更例の封止部材450では、冷蔵庫本体2に接触する袋部452の内部が、庫外側から庫内側に向けて順に第1中空部478、磁石収納部462及び第2中空部463に区画されている。第1中空部478及び第2中空部463の内部には空気層が形成されている。磁石収納部462には、磁性粉末が混合された合成ゴム製の磁石(ゴム磁石)等の可撓性を有する磁石57が収納されている。
【0083】
このような封止部材450では、磁石57が冷凍室扉35の閉扉時に冷蔵庫本体2に磁気吸着することで、第1中空部478及び磁石収納部462の後面からなる接触壁464が冷蔵庫本体2に密着する。
【0084】
また、封止部材450では、第1中空部478の庫外側を向いた壁部である庫外側壁466と磁石収納部462の前壁474とを連結する補強壁476が設けられており、庫外側壁466と第1中空部478の前壁と磁石収納部462の前壁474と補強壁476との間で空間477が形成されている。
【0085】
このような場合、庫外側壁466を補強壁476によって補強することができ、変形によって庫外側壁466に皺などが生じにくく、外観品位を維持することができる。
【0086】
また、本変更例では、磁石収納部462の庫外側に第1中空部478が形成されているため、封止部材450の密封シール性能と断熱性能を向上させることができる。
【0087】
なお、この変更例では、庫外側壁466の先端部が第2ヒレ部60に接触するように庫外側壁466を配置したが、庫外側壁466の先端部が第2ヒレ部60の庫外側において冷凍室扉35の扉面材36に接触してもよい。
【0088】
また、本変更例において、庫内連結壁54には、封止部材450に沿って延びる突起状の接触部471が設けられている。突起状の接触部471は、
図8に示すように封止部材50を冷凍室扉35に取り付けると扉内板37に当接して密封シール性能を高め、熱損失を低減させる。
【符号の説明】
【0089】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、6…冷蔵室、7…野菜室、8…製氷室、10…冷蔵室、31…冷蔵室扉、32…野菜室扉、33…製氷室扉、35…冷凍室扉、36…扉面材、37…扉内板、43…取付溝、50…封止部材、51…扉接触部、52…袋部、53…庫外連結壁、54…庫内連結壁、55…内部連結壁、56…内部連結壁、57…磁石、58…基部、59…係止部、60…第2ヒレ部、61…第3ヒレ部、62…磁石収納部、63…中空部、64…接触壁、65…庫外袋壁、66…庫外側壁、67…連結壁構成部、68…第1ヒレ部、69…空間、70…連結部、71…袋状接触部、72…支持突起、74…前壁