(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166708
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】グリズリーフィーダー
(51)【国際特許分類】
B07B 1/12 20060101AFI20221026BHJP
B02C 23/08 20060101ALI20221026BHJP
B07B 1/00 20060101ALI20221026BHJP
B07B 1/46 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B07B1/12 Z
B02C23/08 Z
B07B1/00 B
B07B1/46 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072106
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000150291
【氏名又は名称】株式会社中山ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】橘川 智宏
(72)【発明者】
【氏名】中尾 孝也
(72)【発明者】
【氏名】下川 宗広
【テーマコード(参考)】
4D021
4D067
【Fターム(参考)】
4D021AA03
4D021AB06
4D021AC01
4D021BA01
4D021BA17
4D021CA07
4D021EA05
4D021EB01
4D067EE01
4D067EE19
4D067EE20
4D067GA02
4D067GB05
(57)【要約】
【課題】簡素な構成により、交換時のメンテナンス作業の効率性を高めたグリズリーフィーダーを提供する。
【解決手段】グリズリーフィーダーは、複数のグリズリーバーを所定間隔に配設され、当該グリズリーバー上で岩石等の破砕材料を一端部側で受け取り篩別して他端部側から搬送するグリズリーフィーダーにおいて、前記グリズリーバーの基底部分を形成して固定支持するベース部と、長尺状の板材からなるバー本体で形成され、当該バー本体を前記ベース部の上面部に着脱可能に配設され、当該上面部で前記破砕材料を搬送するバー部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のグリズリーバーを所定間隔に配設され、当該グリズリーバー上で岩石等の破砕材料を一端部側で受け取り篩別して他端部側から搬送するグリズリーフィーダーにおいて、
前記グリズリーバーの基底部分を形成して固定支持するベース部と、
長尺状の板材からなるバー本体で形成され、当該バー本体を前記ベース部の上面部に着脱可能に配設され、当該上面部で前記破砕材料を搬送するバー部と、
を備えることを特徴とする
グリズリーフィーダー。
【請求項2】
請求項1に記載のグリズリーフィーダーにおいて、
前記バー部が、
前記バー本体の両側下面側から対向して突出する凸部で形成され、当該各凸部で前記ベース部を挟持して嵌合する中間嵌合部と、
前記ベース部の上面部と一又は複数の位置で螺合して固定する螺合部と、
備えることを特徴とする
グリズリーフィーダー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のグリズリーフィーダーにおいて、
前記バー部が、前記一端部側及び/又は他端部側の末端で、突起状に形成され、前記ベース部の前記一端部側及び/又は他端部側と嵌合する末端嵌合部を備えることを特徴とする
グリズリーフィーダー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のグリズリーフィーダーにおいて、
前記バー本体を構成する前記長尺状の板材が、少なくとも上面断面が円弧状の棒状体から形成されることを特徴とする
グリズリーフィーダー。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のグリズリーフィーダーにおいて、
前記バー部が、前記他端部側及び/又は短辺方向の両端側に向かうにつれて隆起する形状の隆起部を備えることを特徴とする
グリズリーフィーダー。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載のグリズリーフィーダーにおいて、
前記バー部が、前記ベース部の接合面に樹脂材が被覆されていることを特徴とする
グリズリーフィーダー。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のグリズリーフィーダーにおいて、
前記バー部が、前記ベース部より硬度が高いことを特徴とする
グリズリーフィーダー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のグリズリーフィーダーにおいて、
前記ベース部の上面部が、長手方向に沿って段差により高さが低くなる一又は複数の平板状の個別ベース部から構成されると共に、前記バー部が、当該個別ベース部の各々に着脱可能に配設される一又は複数の個別バー部から構成されることを特徴とする
グリズリーフィーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された岩石等の破砕材料を篩別して搬送するグリズリーフィーダーに関し、特に、交換時のメンテナンス性を高めたグリズリーフィーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋材料等の用途において、粒径の整った砕石の骨材を作成する必要がある。このような砕石プロセスのうち、岩石等の破砕材料を篩別(ふるい分け)して搬送する装置として、グリズリーフィーダーが、現在一般に用いられている。
【0003】
グリズリーフィーダーは、所定間隔に配置されて互いに平行となる複数のグリズリーバーから構成され、当該グリズリーバー上で、ホッパーに投入された岩石等の破砕材料をホッパーから受け取って篩別する。このグリズリーバーに振動を与えることで、破砕材料がグリズリーバー間の空隙をかいくぐって分級され、篩別される。
【0004】
グリズリーフィーダーは、このように、篩別を自動化して高い精度で容易に可能とすることで、破砕等の土砂加工プロセスの作業効率を高めることから、特に近年主流となっている自走式ジョークラッシャーにとって欠かせない装置となっている。
【0005】
しかし、グリズリーフィーダーは、長期的使用によって、グリズリーバー上に岩石等の破砕材料の付着が蓄積していき、固着物が形成される。当該固着物は、一般に粘着性も有することから、グリズリーバー上に非常に強固にこびりついて固着される。当該固着物が蓄積するにつれて、グリズリーフィーダーの目詰まりを引き起こし、岩石等の破砕材料に対するグリズリーフィーダーの分級効率の低下を招いてしまう。
【0006】
また、破砕材料自体も建築資材であり大きな重量を有することから、破砕材料の落下による衝撃を長期間にわたって受け続けることでグリズリーバーの破損も招いてしまう。
【0007】
このようなことから、グリズリーフィーダーは、グリズリーバーの目開きの変更時や定期的なメンテナンスとしての交換が必要とされている。しかし、重量のあるグリズリーバーの交換作業は、その運搬も交換も容易な作業ではないことから、メンテナンス性に課題がある。
【0008】
グリズリーフィーダーの長期的使用においては、このような固着物の付着や破損に対してメンテナンス性の向上が重要な課題となっている。
【0009】
このような課題を解決するために、従来のグリズリーフィーダーとしては、例えば、被処理物を受け入れるトラフと、トラフから被処理物を受け入れるグリズリーデッキとを備え、グリズリーデッキを複数のグリズリーバーを平行に配置して構成するグリズリーフィーダーにおいて、グリズリーバーの基端部をグリズリーフィーダーの本体に弾性体を介して固定し、グリズリーバーの先端部をフリーにしたものがある(特許文献1参照)。
【0010】
また、従来のグリズリーフィーダーとしては、複数個のグリズリバーの両端を支持する前後一対の横架バーは上側に長手方向に等間隔に矩形状の切欠を設けるとともに、断面形状が各々矩形で厚さのみ異なる一対のグリズリバーを互いに密着して、その両端を前記切欠内に収納し固定して形成される構成とし、グリズリーバーのスリット間隙を簡便に変更しようとするものがある(特許文献2参照)。
【0011】
また、従来のグリズリーフィーダーとしては、フィーダトラフ内に懸け渡された横架バー上に複数個のグリズリバーを平行に載置し、該各グリズリバー間に同一の自然長ならびにばね定数を有する同一仕様の圧縮コイルばねをばね案内ロッドを貫通して弾装するとともに、該圧縮コイルばねの押圧手段を備えてなる構成とし、グリズリーバーのスリット間隙を簡便に変更しようとするものがある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011-62606号公報
【特許文献2】特開平10-71366号公報
【特許文献3】特開平10-71342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記特許文献1~3のように、弾性体や横架バーや圧縮コイルばね等の追加部材を用いる場合には、装置が複雑化すると共に、このような追加部材を外部から取り付けたり取り外したりすることが必要となり、追加部材の取り付け作業工程や、追加部材自体のメンテナンス作業工程が増して、かえって作業が煩雑化するという課題がある。
【0014】
本発明は、前記課題を解消するためになされたものであり、簡素な構成により、交換時のメンテナンス作業の効率性を高めたグリズリーフィーダーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願に開示するグリズリーフィーダーは、複数のグリズリーバーを所定間隔に配設され、当該グリズリーバー上で岩石等の破砕材料を一端部側で受け取り篩別して他端部側から搬送するグリズリーフィーダーにおいて、前記グリズリーバーの基底部分を形成して固定支持するベース部と、長尺状の板材からなるバー本体で形成され、当該バー本体を前記ベース部の上面部に着脱可能に配設され、当該上面部で前記破砕材料を搬送するバー部と、を備えるものである。
【0016】
このように、本願に開示するグリズリーフィーダーは、前記グリズリーバーの基底部分を形成して固定支持するベース部と、長尺状の板材からなるバー本体で形成され、当該バー本体を前記ベース部の上面部に着脱可能に配設され、当該上面部で前記破砕材料を搬送するバー部と、を備えることから、前記破砕材料からの直接の衝撃を受けて摩耗が蓄積する前記バー部が、着脱可能であることにより、前記グリズリーバーの部材交換が前記バー部のみの交換で完結できることとなり、摩耗に伴う取り換え時期のメンテナンス作業を低コスト且つ極めて簡素に実施することができる。
【0017】
本願に開示するグリズリーフィーダーは、必要に応じて、前記バー部が、前記バー本体の両側下面側から対向して突出する凸部で形成され、当該各凸部で前記ベース部を挟持して嵌合する中間嵌合部と、前記ベース部の上面部と一又は複数の位置で螺合して固定する螺合部と、を備えるものである。このように、本願に開示するグリズリーフィーダーは、前記バー部が、前記バー本体の両側下面側から対向して突出する凸部で形成され、当該各凸部で前記ベース部を挟持して嵌合する中間嵌合部と、前記ベース部の上面部と一又は複数の位置で螺合して固定する螺合部とを備えることから、前記バー部及び前記ベース部が、より強固に一体化されることとなり、前記バー部及び前記ベース部の位置決めを、正確且つ容易に行うことができると共に、前記グリズリーバーで発生する横方向の振動を抑制することができる。
【0018】
本願に開示するグリズリーフィーダーは、必要に応じて、前記一端部側及び/又は他端部側の末端で、突起状に形成され、前記ベース部の前記一端部側及び/又は他端部側と嵌合する末端嵌合部を備えるものである。このように、本願に開示するグリズリーフィーダーは、前記バー部が、前記一端部側及び/又は他端部側の末端で、突起状に形成され、前記ベース部の前記一端部側及び/又は他端部側と嵌合する末端嵌合部を備えることから、前記バー部及び前記ベース部が、より強固に一体化されることとなり、前記バー部及び前記ベース部の位置決めを、正確且つ容易に行うことができると共に、前記グリズリーバーで発生する縦方向の振動を抑制することが可能となる。
【0019】
本願に開示するグリズリーフィーダーは、必要に応じて、前記バー本体を構成する前記長尺状の板材が、少なくとも上面断面が円弧状の棒状体から形成されるものである。このように、前記バー本体を構成する前記長尺状の板材が、少なくとも上面断面が円弧状の棒状体から形成されることから、前記破砕材料と前記バー本体との接触が、点接触となって接触面積が減少することとなり、前記バー本体に前記破砕材料の引っ掛かり頻度を低減することができ、前記バー本体への前記破砕材料の目詰まりを抑制することができる。
【0020】
本願に開示するグリズリーフィーダーは、必要に応じて、前記バー部が、前記他端部側及び/又は短辺方向の両端側に向かうにつれて隆起する形状の隆起部を備えるものである。このように、本願に開示するグリズリーフィーダーは、前記バー部が、前記他端部側及び/又は短辺方向の両端側に向かうにつれて隆起する形状の隆起部を備えることから、前記隆起部が、岩石等の破砕材料から強い衝撃を受けやすい前記バー部の前記他端部側の摩耗を抑制することとなり、経時的な摩耗による擦り減りが抑制され、前記グリズリーバーの部材交換時期を延ばすことができ、摩耗に伴う取り換え時期のメンテナンス作業を低コスト且つ極めて簡素に実施することができる。
【0021】
本願に開示するグリズリーフィーダーは、必要に応じて、前記バー部が、前記ベース部の接合面に樹脂材が被覆されているものである。このように、本願に開示するグリズリーフィーダーは、前記バー部が、前記ベース部の接合面に樹脂材が被覆されていることから、前記バー部の振動に連動して引き起こされるガタツキが樹脂の被膜により防止されることとなり、当該グリズリーバー上で岩石等の破砕材料の篩別の精度を維持すると共に、前記グリズリーバーの連結部材の劣化を防止してその交換時期を延ばすことができ、メンテナンス性をさらに高めることができる。
【0022】
本願に開示するグリズリーフィーダーは、必要に応じて、前記バー部が、前記ベース部より硬度が高いものである。このように、本願に開示するグリズリーフィーダーは、前記バー部が、前記ベース部より硬度が高いことから、前記バー部が岩石等の破砕材料から受ける衝撃に対して高い硬度で受けると共に、前記ベース部が低い硬度により装置全体として軽量化されることとなり、摩耗の抑制と装置の移動・運搬・設置の容易性を高めることができる。
【0023】
本願に開示するグリズリーフィーダーは、必要に応じて、前記ベース部の上面部が、長手方向に沿って段差により高さが低くなる一又は複数の平板状の個別ベース部から構成されると共に、前記バー部が、当該個別ベース部の各々に着脱可能に配設される一又は複数の個別バー部から構成されるものである。このように、本願に開示するグリズリーフィーダーは、前記ベース部の上面部が、長手方向に沿って段差により高さが低くなる一又は複数の平板状の個別ベース部から構成されると共に、前記バー部が、当該個別ベース部の各々に着脱可能に配設される一又は複数の個別バー部から構成されることから、岩石等の破砕材料が、前記個別バー部間の段差による落下動作も加わって分級されることとなり、より高い精度で篩別され、装置の高精度化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るグリズリーフィーダーの構成図を示す。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るグリズリーフィーダーの構成図を示す。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るグリズリーフィーダーの構成図を示す。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るグリズリーフィーダーの構成図を示す。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るグリズリーフィーダーの構成図を示す。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るグリズリーフィーダーの斜視図を示す。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るグリズリーフィーダーの振動機構の説明図を示す。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係るグリズリーフィーダーの末端嵌合部の構成図を示す。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るグリズリーフィーダーのグリズリーバーの正面図、側面図、及び上面図を示す。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係るグリズリーフィーダーの末端嵌合部の構成図を示す。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係るグリズリーフィーダーの隆起部の構成図を示す。
【
図12】本発明の第4の実施形態に係るグリズリーフィーダーの構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るグリズリーフィーダーは、
図1に示すように、複数のグリズリーバーを所定間隔に配設され、このグリズリーバー上で岩石等の破砕材料100を一端部側(破砕材料100が供給される側であり、図中のX側)で受け取り篩別して他端部側(破砕材料100を搬送する側であり、図中のY側)から搬送するグリズリーフィーダーにおいて、このグリズリーバーの基底部分を形成して固定支持するベース部1と、長尺状の板材からなるバー本体2aで形成され、このバー本体2aをこのベース部1の上面部に着脱可能に配設され、この上面部でこの破砕材料100を搬送するバー部2と、を備える構成である。
【0026】
破砕材料100は、ジョークラッシャーの破砕材料100の対象となるものであれば、特に限定されないが、例えば、コンクリート廃材、砕石、石炭等を対象とすることができる。
【0027】
このバー部2は、
図2に示すように、所定間隔に配設された互いに平行となる複数の平板状のグリズリーバーから構成され、このベース部1の上面に配設される。
【0028】
このベース部1とバー部2の固定方法は、特に限定されないが、
図3(a)に示すように、このバー部2が、このバー本体2aの両側下面側から対向して突出する凸部で形成され、この各凸部でこのベース部1を挟持して嵌合する中間嵌合部21と、このベース部1の上面部と一又は複数の位置で螺合して固定する螺合部22と、を備える構成とすることができる。
【0029】
この中間嵌合部21は、
図3(b)に示すように、このバー部2の中間近傍の位置に配設されることが好ましく、このベース部1の中間近傍の両側面をしっかりと挟み込むことで、このベース部1の中間近傍にある重心が安定に保持され、このベース部1の左右方向の振動に対しても頑丈な固定が形成され、左右方向のズレ止めとして機能することができる。
【0030】
この螺合部22としては、特に限定されないが、
図3(c)に示すように、螺子22aと、この螺子22aを螺合する溝22bと、から構成され、この螺子22aに溝22bが螺合することによって、このベース部1とバー部2を固定することができる。この螺子22aとしては、例えば、ボルトを用いることができる。
【0031】
また、このベース部1は、
図3(c)に示すように、この螺合部22を設けるため(例えば取り付けボルトの設置空間のため)に切欠かれた切欠部11を備える。
【0032】
この螺合部22は、このベース部1の上面部と一又は複数の位置で螺合して固定する。より好ましくは、このベース部1の上面部の複数の位置で螺合して固定する。例えば、両端面近傍と、中間位置近傍の3点を螺合することができ、このような複数の固定点から、このベース部1との連結がより安定に保たれ、振動に対しても強い固定が形成される。
【0033】
このように、この中間嵌合部21及び螺合部22を備えることで、このバー部2及びこのベース部1が、より強固に一体化されることとなり、このバー部2及びこのベース部1の位置決めを、正確且つ容易に行うことができると共に、このグリズリーバーで発生する横方向の振動を抑制することができる。
【0034】
このように、本実施形態に係るグリズリーフィーダーは、このグリズリーバーの基底部分を形成して固定支持するベース部1と、長尺状の板材からなるバー本体2aで形成され、このバー本体2aをこのベース部1の上面部に着脱可能に配設され、この上面部でこの破砕材料100を搬送するバー部2と、を備えることから、この破砕材料100からの直接の衝撃を受けて摩耗が蓄積するこのバー部2が、簡素に着脱可能であることにより、このグリズリーバーの部材交換がこのバー部2のみの交換で完結できることとなり、摩耗に伴う取り換え時期のメンテナンス作業を低コスト且つ極めて簡素に実施することができる。
【0035】
また、上記では、このベース部1の上面部を一段の平面形状として形成したが、この構成に限定されず、このベース部1の上面部を多段構造とすることも可能である。
【0036】
例えば、
図4(a)に示すように、このベース部1の上面部が、この一端部側(破砕材料100が供給される側であり、図中のX側)から他端部側(破砕材料100を搬送する側であり、図中のY側)へ向かう長手方向に沿って、段差により高さが一段ごとに低くなる複数の個別ベース部1A、1Bから構成されると共に、
図4(b)に示すように、このバー部2が、この個別ベース部1A、1Bの各々に着脱可能に配設される複数の個別バー部2A、2Bから構成されることも可能である。
【0037】
また、本実施形態に係るグリズリーフィーダーのバー本体2aは、棒状又は平板状のバー形状であれば、特に限定されないが、より好適には、このバー本体2aを構成する長尺状の板材が、少なくとも上面断面が円弧状の棒状体から形成されるものである。
【0038】
このバー本体2aを構成する少なくとも上面断面が円弧状の棒状体としては、上面断面のみならず下面断面も円弧状とする構成(すなわち、断面が円形状である構成)が可能である。このような棒状体としては、径が長手方向に一定の円柱形状から形成することが可能であり、この他にも、この他端部側(破砕材料100を搬送する側)に向かうにつれて先細りとなる円錐形状から形成することも可能である。
【0039】
この他にも、このバー本体2aを構成する棒状体としては、上面断面のみが上述のような円弧状であり、下面断面が直線状(すなわち底面部が平面状)として構成することも可能であり、例えば、半円柱形状、又は半円錐形状として構成することも可能である。
【0040】
例えば、このバー本体2aを構成する棒状体は、
図5(a)及びその正面図である
図5(b)に示すように、上面断面が、この一端部側(破砕材料100が供給される側であり、図中のX側)側に円弧状として形成されると共に、この他端部側(破砕材料100を搬送する側であり、図中のY側)に向かうにつれて徐々に先細りした(径の減少した)円弧状として形成され、この他端部側の先端部ではこの一端部側の上面断面よりも径の減少した円弧状として形成されると共に、下面断面が、この一端部側からこの他端部側にかけて、直線状(すなわち、下面の底面部が平面状)として構成される、半円錐形として形成することができる。この他にも、この他端部側の先端部が、この半円錐形状の頂点として構成することもできる。
【0041】
また、このバー本体2aは、上述の複数の個別バー部2A、2Bの全てをこの少なくとも上面断面が円弧状の棒状体(例えば、円柱形状、円錐形状、半円柱形状、又は半円錐形状)として形成することができるが、この他にも、複数の個別バー部2A、2Bのうちの一部(例えば、個別バー部2Aのみ、又は、個別バー部2Bのみ)を、この少なくとも上面断面が円弧状の棒状体とすることもできる。このように、用途に応じて、このバー本体2aの形状を自在に設計可能である。例えば、破砕材料100からの衝撃を受けやすく摩耗しやすい、他端部側(破砕材料100を搬送する側であり、図中のY側)にある個別バー部2Bのみを、上面断面が円弧状として形成された半円錐形状とすることができる。
【0042】
また、このバー本体2aを構成する少なくとも上面断面が円弧状の棒状体(例えば、円柱形状、円錐形状、半円柱形状、又は半円錐形状)を螺合部22で螺子固定する際には、螺子固定により棒状体に生じた窪みの空間を覆うカバーを備えることができ、これにより、棒状体表面が平滑化されて、破砕材料100との接触面積がさらに減少することとなり、破砕材料100からの衝撃を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
【0043】
このように、このバー本体2aを構成する長尺状の板材が、少なくとも上面断面が円弧状の棒状体(例えば、円柱形状、円錐形状、半円柱形状、又は半円錐形状)から形成されることから、この破砕材料とこのバー本体2aとの接触が、(面接触ではなく)点接触となってその接触面積が低減されることとなり、このバー本体2aに破砕材料100が引っ掛かる頻度を低減することができ、このバー本体2aへの破砕材料100の目詰まりや、破砕材料100からこのバー本体2aが受ける損傷を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、上述のように、
図6に示すように、この個別ベース部1A、1Bの各々に着脱可能に配設される個別バー部2A、2Bから構成されることから、岩石等の破砕材料100が、この個別バー部2A、2B間の段差による落下動作も加わって分級されることとなり、より高い精度で篩別され、装置の高精度化を実現することができる。
【0045】
なお、上記では、この個別ベース部1A、1Bと個別バー部2A、2Bは、水平方向に平坦な形状としたが、傾きのある斜面形状とすることも可能であり、例えば、この他端部側(破砕材料100を搬送する側であり、図中のY側)へ向かって高さが低くなる斜面形状とすることができ、この場合には、この破砕材料100が重力の作用を利用して斜面を滑り落ちることで、よりスムーズに破砕材料100の搬出を行うことができる。
【0046】
また、上記では、この個別ベース部1A、1Bと個別バー部2A、2Bは、段差のある2段の構成としたが、この構成に限定されず、段差のある3段以降の構成(個別ベース部1A、1B、1C、1D・・・、1B個別バー部2A、2B、2C、2D・・・)とすることも可能である。
【0047】
また、このグリズリーフィーダーは、機械式振動フィーダとして、振動を発生させる機構を備えることができ、例えば、
図7に示すように、このグリズリーフィーダーの側壁部200にモーター部300を配設することができ、このモーター部300によりこのベース部1を簡易且つ自在に振動させることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るグリズリーフィーダーは、第1の実施形態と同様に、前記ベース部1と、前記バー部2と、を備え、さらに、
図8に示すように、前記バー部2が、前記一端部側(破砕材料100が供給される側)及び/又は他端部側(破砕材料100を搬送する側)の末端で、突起状に形成され、前記ベース部1の前記一端部側及び/又は他端部側と嵌合する末端嵌合部23を備える構成である。
【0049】
図9(a)に示すグリズリーバーの上面図、
図9(b)に示すグリズリーバーの側面図、及び、
図9(b)に示すグリズリーバーの正面図に示すように、この中間嵌合部21が、このバー部2の中間位置近傍に配設されることから、振動による左右方向のズレ止めを可能とすると共に、この末端嵌合部23は、このバー部2の末端に配設されることから、ストッパーとしてこのバー部2の前後方向の位置決めを可能とする。このように、前後左右各方向について強い固定がなされることから、長期間にわたり高い安定性で正確な位置決め及び振動抑制が可能となる。
【0050】
この末端嵌合部23は、この一端部側(破砕材料100が供給される側)に配設されてもよいし、他端部側(破砕材料100を搬送する側)に配設されてもよい。この一端部側に配設される場合は、破砕材料100からの落下による衝撃を受けやすい側に配設されることから、グリズリーバーの長手方向(縦方向)の振動が抑制されることとなり、耐衝撃性を高めて、高い安定性で長手方向の正確な位置決めが可能となる。この他端部側に配設される場合は、この破砕材料100からの繰り返し曲げによる応力による摩耗を受けやすい側に配設されることから、摩耗による経年劣化しやすい位置のグリズリーバーが安定的に固定されることとなり、長期間にわたり高い安定性で長手方向の正確な位置決めが可能となる。
【0051】
また、この末端嵌合部23は、
図10に示すように、このバー部2の一端部側及び他端部側の両方の末端で構成されることも可能である。この構成により、このベース部1の両末端を同時に挟み込むこととなり、このベース部1とバー部2をより強固に嵌合することができる。
【0052】
この他にも、この末端嵌合部23は、様々な形状をとることが可能であり、例えば、折れ曲がりのあるコの字型形状(U字型形状)とすることも可能である。この構成により、この末端嵌合部23が、このベース部1の末端の側面と下面の異なる2面を同時に挟み込むこととなり、より強固にこのベース部1とこのバー部2を嵌合することができる。
【0053】
このように、この末端嵌合部23により、このバー部2及びこのベース部1が、より強固に一体化されることとなり、このバー部2及びこのベース部1の位置決めを、正確且つ容易に行うことができると共に、このグリズリーバーで発生する縦方向の振動を抑制することが可能となる。
【0054】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るグリズリーフィーダーは、第1の実施形態と同様に、前記ベース部1と、前記バー部2と、を備え、さらに、
図11(a)に示すように、前記バー部2が、前記一端部側(破砕材料100が供給される側であり、図中のX側)から他端部側(破砕材料100を搬送する側であり、図中のY側)に向かうにつれて隆起する形状の隆起部24を備えるものである。
【0055】
この隆起部24は、
図11(a)及び(b)に示すように、このバー部2が、長手方向の他端部側(破砕材料100を搬送する側であり、図中のY側)に向かうにつれて徐々に厚みを増してこの他端部側の末端で高さLまで隆起する形状とすることができる。この高さLの長さは、特に限定されないが、このバー部2の一端部側の高さの1.1~2倍、より好ましくは、1.3~1.7倍、さらに好ましくは、1.4~1.6倍とすることができ、運搬性と耐摩耗性を両立することが可能となる。
【0056】
また、この隆起部24は、
図11(c)に示すように、このバー部2が、短辺方向の両端側に向かうにつれて徐々に厚みを増すように、長手方向の断面における左右両端側が中央側よりも隆起した形状を取ることも可能である。
【0057】
上記のように、長手方向の他端部側及び短辺方向の両端側の両方に向かうにつれて徐々に厚みを増す形状も可能であり、また、長手方向の他端部側又は短辺方向の両端側のいずれかに向かうにつれて徐々に厚みを増す形状も可能である。
【0058】
この形状により、破砕材料100から特に衝撃を受けやすく摩耗が進みやすいバー本体2aの両端側に厚みが形成されることとなり、摩耗による劣化の進行を抑制することが可能となり、また劣化しにくい形状により、バー本体2aの交換時の積み重ねも容易となり、運搬性も高めることができる。
【0059】
この隆起部24は、このバー部2と同一の材質から形成されることも可能であり、この他にも、このバー部2と別の材質から形成されることも可能である。
【0060】
また、この隆起部24は、上記のように、徐々になだらかに厚みを増す形状とすることに限定されず、この他端部側の末端側で段差を設けて厚みを増す形状とすることも可能であり、上記と同様に、運搬性と耐摩耗性を両立することが可能となる。
【0061】
このように、本実施形態に係るグリズリーフィーダーは、このバー部2が、この他端部側及び/又は短辺方向の両端側に向かうにつれて隆起する形状の隆起部24を備えることから、この隆起部24が、岩石等の破砕材料100から経時的に強い衝撃を受けやすいバー部2の他端部側及び/又は短辺方向の両端側の摩耗を抑制することとなり、経時的な摩耗による擦り減りが抑制され、このグリズリーバーの部材交換時期を延ばすことができ、摩耗に伴う取り換え時期のメンテナンス作業を低コスト且つ極めて簡素に実施することができる。
【0062】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るグリズリーフィーダーは、
図12(a)及び(b)に示すように、第1の実施形態と同様に、前記ベース部1と、前記バー部2と、を備え、さらに、
図12(c)に示すように、前記バー部2が、前記ベース部1の接合面に樹脂材21aが被覆されているものである。
【0063】
この樹脂材21aとしては、特に限定されないが、例えば、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができるが、ライニング材としての強度、耐摩耗性、防食性、及び塗膜伸張性に優れる点から、ポリウレア樹脂を用いることが好ましく、市販のポリウレア樹脂を使用可能であり、例えば、ケムコ189(セメントワークス株式会社社製)のポリウレア樹脂を用いることができる。
【0064】
この樹脂材21aは、このベース部1と嵌合する面(すなわち内側の面)に被覆される。この樹脂材21aは、この接合面の一部(例えば、中間嵌合部21)のみを被覆することも可能であり、また、接合面の全体にわたって被覆することも可能である。この被覆された樹脂材21aにより、摩擦が生じやすいベース部1との嵌合位置でバー部2に生じる摩擦や衝撃が緩衝される。
【0065】
このように、このバー部2が、このバー部2が、このベース部1の接合面に樹脂材21aが被覆されていることから、このバー部2の振動に連動して引き起こされるガタツキが樹脂の被膜により防止されることとなり、このグリズリーバー上で岩石等の破砕材料100の篩別の精度を維持すると共に、このグリズリーバーの連結部材の劣化を防止してその交換時期を延ばすことができ、メンテナンス性をさらに高めることができる。
【0066】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係るグリズリーフィーダーは、第1の実施形態と同様に、前記ベース部1と、前記バー部2と、を備え、さらに、前記バー部2が、前記ベース部1より硬度が高いものである。
【0067】
硬度の基準については、ブリネル硬さ(HB、HBW)、ビッカース硬さ(HV)、ヌープ硬さ等の標準化された各種試験に基づく指標値を用いて判断することが可能である。
【0068】
例えば、このベース部1の材質として、アルミニウム合金、樹脂等の比較的軽くて柔らかい材質を用いると共に、このバー部2の材質として、超硬合金、ステンレス合金の比較的硬い材質を用いることができる。
【0069】
このベース部1を構成可能な樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂等のプラスチックを用いることができる。
【0070】
このバー部2を構成可能な超硬合金としては、例えば、炭化タングステン(WC)とコバルト(Co)とを混合し焼結したものを用いることができる。超硬合金は、硬度が極めて高く、硬度低下も少ないことから、このバー部2において、優れた耐摩耗性を発揮することができる。
【0071】
このように、このバー部2が、このベース部1より硬度が高いことから、このバー部2が岩石等の破砕材料100から受ける衝撃に対して高い硬度で受けると共に、このベース部1が低い硬度により軽量化されることとなり、摩耗の抑制と装置の移動・運搬の容易性を高めることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 ベース部
1A 個別ベース部
1B 個別ベース部
11 切欠部
2 バー部
2A 個別バー部
2B 個別バー部
2a バー本体
21 中間嵌合部
21a 樹脂材
22 螺合部
22a 螺子
22b 溝
23 末端嵌合部
24 隆起部
100 破砕材料
200 側壁部
300 モーター部