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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166711
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072110
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永谷 優樹
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB02
3B087DB09
(57)【要約】
【課題】バックフレームの剛性を高められる乗物用シートを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、バックフレームを備える乗物用シートである。バックフレームは、アッパフレームと、ロアフレームと、ワイヤとを有する。ロアフレームは、メインパネルと、シート前後方向と交差する板面を有する補強パネルと、ワイヤを保持する保持部とを有する。メインパネルは、シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなる第1勾配部及び第2勾配部を有する。補強パネルのシート幅方向における第1端部は、第1勾配部の上縁の最下点よりもシート幅方向外側に位置する。補強パネルのシート幅方向における第2端部は、第2勾配部の上縁の最下点よりもシート幅方向外側に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
シートバックと、
前記シートバックを支持するバックフレームと、
を備え、
前記バックフレームは、
シート幅方向に互いに離れて配置された第1サイドフレーム及び第2サイドフレームと、
前記第1サイドフレームと前記第2サイドフレームとをシート幅方向に連結するアッパフレームと、
前記アッパフレームよりも下方において前記第1サイドフレームと前記第2サイドフレームとをシート幅方向に連結するロアフレームと、
前記アッパフレームと前記ロアフレームとの間に掛け渡されたワイヤと、
を有し、
前記ロアフレームは、
前記第1サイドフレーム及び前記第2サイドフレームに接合されたメインパネルと、
前記メインパネルよりもシート前方又はシート後方に配置されると共に、シート前後方向と交差する板面を有する補強パネルと、
前記メインパネルに取り付けられると共に、前記ワイヤを保持する保持部と、
を有し、
前記メインパネルは、
前記第1サイドフレームに接合された第1接合部と、
前記第2サイドフレームに接合された第2接合部と、
前記第1接合部よりもシート幅方向内側に設けられ、シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなる第1勾配部と、
前記第2接合部よりもシート幅方向内側に設けられ、シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなる第2勾配部と、
を有し、
前記補強パネルのシート幅方向における第1端部は、前記第1勾配部の前記上縁の最下点よりもシート幅方向外側に位置し、
前記補強パネルのシート幅方向における第2端部は、前記第2勾配部の前記上縁の最下点よりもシート幅方向外側に位置する、乗物用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用シートであって、
前記メインパネルは、前記第1勾配部と前記第2勾配部とをシート幅方向に連結すると共に、上縁の高さがシート幅方向において一定である連結部をさらに有する、乗物用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の乗物用シートであって、
前記保持部は、
前記第1勾配部に固定された第1クリップと、
前記第2勾配部に固定された第2クリップと、
を有し、
前記メインパネルの上縁の最下点は、前記ワイヤの前記第1クリップに保持された部位及び前記ワイヤの前記第2クリップに保持された部位よりも高い位置に存在する、乗物用シート。
【請求項4】
請求項3に記載の乗物用シートであって、
前記ワイヤの前記第1クリップに保持された部位は、前記補強パネルの前記第1端部よりもシート幅方向外側に位置し、
前記ワイヤの前記第2クリップに保持された部位は、前記補強パネルの前記第2端部よりもシート幅方向外側に位置する、乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートのバックフレームにおいて、シートバックを支持するワイヤが上下に掛け渡された構成が公知である(特許文献1参照)。このバックフレームでは、ワイヤがロアフレームによって保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-067173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のバックフレームでは、ロアフレームの上縁の高さが一定(つまり水平)となっているため、ロアフレームとサイドフレームとの接合部分が直角となる。その結果、乗物用シートにシート幅方向の荷重が加わった際に接合部分に負荷が集中する。
【0005】
また、上述のバックフレームでは、ロアフレームがシート前後方向の2か所でサイドフレームに面接合されている。そのため、乗物用シートにシート前後方向の荷重が加わった際にロアフレームがたわむと、サイドフレームがロアフレームに引っ張られることでバックフレームのねじれが誘因される。
【0006】
本開示の一局面は、バックフレームの剛性を高められる乗物用シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、シートクッション(2)と、シートバック(3)と、シートバック(3)を支持するバックフレーム(4)と、を備える乗物用シート(1)である。バックフレーム(4)は、シート幅方向に互いに離れて配置された第1サイドフレーム(41)及び第2サイドフレーム(42)と、第1サイドフレーム(41)と第2サイドフレーム(42)とをシート幅方向に連結するアッパフレーム(43)と、アッパフレーム(43)よりも下方において第1サイドフレーム(41)と第2サイドフレーム(42)とをシート幅方向に連結するロアフレーム(44)と、アッパフレーム(43)とロアフレーム(44)との間に掛け渡されたワイヤ(45)と、を有する。
【0008】
ロアフレーム(44)は、第1サイドフレーム(41)及び第2サイドフレーム(42)に接合されたメインパネル(441)と、メインパネル(441)よりもシート前方又はシート後方に配置されると共に、シート前後方向と交差する板面(442A)を有する補強パネル(442)と、メインパネル(441)に取り付けられると共に、ワイヤ(45)を保持する保持部(443)と、を有する。
【0009】
メインパネル(441)は、第1サイドフレーム(41)に接合された第1接合部(441A)と、第2サイドフレーム(42)に接合された第2接合部(441B)と、第1接合部(441A)よりもシート幅方向内側に設けられ、シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなる第1勾配部(441C)と、第2接合部(441B)よりもシート幅方向内側に設けられ、シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなる第2勾配部(441D)と、を有する。
【0010】
補強パネル(442)のシート幅方向における第1端部(442B)は、第1勾配部(441C)の上縁の最下点よりもシート幅方向外側に位置する。補強パネル(442)のシート幅方向における第2端部(442C)は、第2勾配部(441D)の上縁の最下点よりもシート幅方向外側に位置する。
【0011】
このような構成によれば、シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなる第1勾配部(441C)及び第2勾配部(441D)がそれぞれ第1サイドフレーム(41)又は第2サイドフレーム(42)と接合されることで、シート幅方向の荷重に対する負荷の集中を低減できる。
【0012】
また、補強パネル(442)によってロアフレーム(44)の断面剛性が向上するため、ロアフレーム(44)をシート前後方向の複数か所で第1サイドフレーム(41)及び第2サイドフレーム(42)に接合する必要が無くなる。そのため、シート前後方向の荷重に対するバックフレーム(4)のねじれが抑制される。
【0013】
このように、第1勾配部(441C)及び第2勾配部(441D)を含むメインパネル(441)と、補強パネル(442)とを有するロアフレーム(44)によって、バックフレーム(4)の剛性が高められる。
【0014】
本開示の一態様では、メインパネル(441)は、第1勾配部(441C)と第2勾配部(441D)とをシート幅方向に連結すると共に、上縁の高さがシート幅方向において一定である連結部(441E)をさらに有してもよい。このような構成によれば、メインパネル(441)の面積を低減できるため、バックフレーム(4)において着席者が入り込めるスペースを大きくすることができる。
【0015】
本開示の一態様では、保持部(443)は、第1勾配部(441C)に固定された第1クリップ(443A)と、第2勾配部(441D)に固定された第2クリップ(443B)と、を有してもよい。メインパネル(441)の上縁の最下点は、ワイヤ(45)の第1クリップ(443A)に保持された部位及びワイヤ(45)の第2クリップ(443B)に保持された部位よりも高い位置に存在してもよい。このような構成によれば、ワイヤ(45)から入力される荷重に対する、バックフレーム(4)の剛性を高めることができる。
【0016】
本開示の一態様では、ワイヤ(45)の第1クリップ(443A)に保持された部位は、補強パネル(442)の第1端部(442B)よりもシート幅方向外側に位置してもよい。ワイヤ(45)の第2クリップ(443B)に保持された部位は、補強パネル(442)の第2端部(442C)よりもシート幅方向外側に位置してもよい。このような構成によれば、バックフレーム(4)の剛性を確保しつつ、補強パネル(442)の幅の低減によりロアフレーム(44)を軽量化できる。
【0017】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態における乗物用シートの模式的な斜視図である。
図2図2Aは、図1の乗物用シートにおけるバックフレームの模式的な正面図であり、図2Bは、図2Aのバックフレームの模式的な背面図である。
図3図3は、図2Aのロアフレームの模式的な斜視図である。
図4図4は、図3のロアフレームの模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す乗物用シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、バックフレーム4とを備える。
【0020】
シートクッション2は、着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック3は、着席者の背部を支持するための部位である。シートバック3は、バックフレーム4によって支持されている。
【0021】
本実施形態の乗物用シート1は、自動車の座席シートとして使用される。なお、以下の説明及び各図面における方向は、乗物用シート1を乗物(つまり自動車)に組み付けた状態における方向を意味する。また、本実施形態では、シート幅方向は、乗物の左右方向に一致し、シートの前方は、乗物の前方に一致する。
【0022】
バックフレーム4は、第1サイドフレーム41と、第2サイドフレーム42と、アッパフレーム43と、ロアフレーム44と、ワイヤ45とを有する。
【0023】
<サイドフレーム>
第1サイドフレーム41及び第2サイドフレーム42は、シート幅方向に互いに離れて配置されている。
【0024】
第1サイドフレーム41及び第2サイドフレーム42は、それぞれ、上下方向に延伸している。第1サイドフレーム41は、第2サイドフレーム42に対しシート幅方向右側に配置されている。
【0025】
第1サイドフレーム41及び第2サイドフレーム42の長手方向と直交する断面の形状は、シート幅方向内側が開放されたU字状である。つまり、第1サイドフレーム41及び第2サイドフレーム42は、それぞれ、シート前後方向に重なる前壁及び後壁と、前壁と後壁とをシート前後方向に連結する側壁とを有する。
【0026】
<アッパフレーム>
アッパフレーム43は、第1サイドフレーム41と第2サイドフレーム42とをシート幅方向に連結している。具体的には、アッパフレーム43は、第1サイドフレーム41の上端部と第2サイドフレーム42の上端部とに、例えば溶接によって接合されている。
【0027】
<ロアフレーム>
ロアフレーム44は、アッパフレーム43よりも下方において第1サイドフレーム41と第2サイドフレーム42とをシート幅方向に連結している。図2A及び図2Bに示すように、ロアフレーム44は、メインパネル441と、補強パネル442と、保持部443とを有する。
【0028】
(メインパネル)
メインパネル441は、第1サイドフレーム41の下端部と第2サイドフレーム42の下端部とに接合された板状の部位である。
【0029】
図3に示すように、メインパネル441は、第1接合部441Aと、第2接合部441Bと、第1勾配部441Cと、第2勾配部441Dと、連結部441Eと、延伸部441Fとを有する。
【0030】
第1接合部441Aは、メインパネル441の右端部を構成している。第1接合部441Aは、第1サイドフレーム41の後壁にシート後方から重ねられた部位である。第1接合部441Aは、第1サイドフレーム41の後面に例えば溶接によって接合されている。
【0031】
第2接合部441Bは、メインパネル441の左端部を構成している。第2接合部441Bは、第2サイドフレーム42の後壁にシート後方から重ねられた部位である。第2接合部441Bは、第2サイドフレーム42の後面に例えば溶接によって接合されている。
【0032】
第1勾配部441Cは、第1接合部441Aのシート幅方向内側(つまり左側)に第1接合部441Aと連続して設けられている。第1勾配部441Cは、シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなっている。つまり、第1勾配部441Cの上縁は、シート前後方向から視て左下方に向かって傾斜している。
【0033】
第2勾配部441Dは、第2接合部441Bのシート幅方向内側(つまり右側)に第2接合部441Bと連続して設けられている。第2勾配部441Dは、シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなっている。つまり、第2勾配部441Dの上縁は、シート前後方向から視て右下方に向かって傾斜している。
【0034】
メインパネル441は、左右対称、かつ、シート幅方向と直交する断面がL字状、J字状、又はU字状の形状を有する。そのため、第2勾配部441Dは、乗物用シート1の幅方向の中心を通り、かつ、シート前後方向と直交する仮想面を挟んで第1勾配部441Cと対称の形状を有する。
【0035】
連結部441Eは、第1勾配部441Cと第2勾配部441Dとの間に配置され、第1勾配部441Cと第2勾配部441Dとをシート幅方向に連結している。連結部441Eは、上縁の高さがシート幅方向において一定である。
【0036】
図4に示すように、連結部441Eの上縁の高さは、第1勾配部441Cの上縁の最下点L1(つまり最も右側の点)の高さと、第2勾配部441Dの上縁の最下点L2(つまり最も左側の点)の高さと等しい。
【0037】
第1勾配部441C、第2勾配部441D及び連結部441Eによって、下方に向かって幅が小さくなるすり鉢形状の上縁がメインパネル441に形成されている。なお、第1勾配部441C及び第2勾配部441Dの上縁は、複数の直線又は曲線が組み合わされた非連続的な形状であってもよいし、滑らかに連続した湾曲形状であってもよい。
【0038】
図3に示すように、延伸部441Fは、第1勾配部441C、第2勾配部441D及び連結部441Eの下端からシート前方に向かって延伸している。本実施形態では、延伸部441Fは複数の開口が設けられた板状の部位である。ただし、延伸部441Fには必ずしも開口が設けられなくてもよい。
【0039】
(補強パネル)
補強パネル442は、メインパネル441よりもシート前方に配置されている。具体的には、補強パネル442は、メインパネル441の延伸部441Fの前端から上方に延伸している。
【0040】
補強パネル442は、シート前後方向と交差する板面442Aを有する。本実施形態では、補強パネル442はメインパネル441と一体に成形されている。ただし、補強パネル442は、メインパネル441に溶接等によって接合された、メインパネル441とは独立した部材であってもよい。
【0041】
補強パネル442のシート幅方向の長さは、メインパネル441の連結部441Eのシート幅方向の長さよりも大きい。図4に示すように、補強パネル442のシート幅方向における第1端部442Bは、第1勾配部441Cの上縁の最下点L1よりもシート幅方向外側(つまり右側)に位置する。また、補強パネル442のシート幅方向における第2端部442Cは、第2勾配部441Dの上縁の最下点L2よりもシート幅方向外側(つまり左側)に位置する。
【0042】
第1端部442Bは、補強パネル442の右端部である。第2端部442Cは、補強パネル442の左端部である。補強パネル442は、第1勾配部441Cの一部、連結部441E、及び第2勾配部441Dの一部にシート前後方向において重なっている。
【0043】
補強パネル442の上縁は、連結部441Eの上縁よりも低い位置に存在する。つまり、補強パネル442は、第1勾配部441Cの上縁の最下点L1及び第2勾配部441Dの上縁の最下点L2よりも下方に位置する。
【0044】
(保持部)
保持部443は、メインパネル441に取り付けられている。保持部443は、それぞれワイヤ45を保持する第1クリップ443A及び第2クリップ443Bを有する。
【0045】
第1クリップ443Aは、第1勾配部441Cに固定されている。第1クリップ443Aは、ワイヤ45がシート幅方向に挿通される筒体を有する。第1クリップ443Aは、メインパネル441よりもシート前方において、ワイヤ45を中心軸周りに回転可能に保持する。
【0046】
第2クリップ443Bは、第2勾配部441Dに固定されている。第2クリップ443Bの形状は、第1クリップ443Aの形状を左右反転させたものである。第2クリップ443Bは、第1クリップ443Aと同様に、メインパネル441よりもシート前方において、ワイヤ45を中心軸周りに回転可能に保持する。
【0047】
メインパネル441の上縁の最下点は、ワイヤ45の第1クリップ443Aに保持された部位及びワイヤ45の第2クリップ443Bに保持された部位よりも高い位置に存在する。なお、「ワイヤのクリップに保持された部位」とは、ワイヤ45のうち第1クリップ443A又は第2クリップ443Bに囲まれることで径方向の移動が規制されている部位であり、図4においてハッチングが付された部位である。
【0048】
換言すれば、第1勾配部441Cの上縁の最下点L1及び第2勾配部441Dの上縁の最下点L2は、第1クリップ443A及び第2クリップ443Bそれぞれの筒体の中空部の最上点よりも高い位置に存在する。
【0049】
また、ワイヤ45の第1クリップ443Aに保持された部位は、補強パネル442の第1端部442Bよりもシート幅方向外側(つまり右側)に位置する。ワイヤ45の第2クリップ443Bに保持された部位は、補強パネル442の第2端部442Cよりもシート幅方向外側(つまり左側)に位置する。
【0050】
(ワイヤ)
図2Aに示すように、ワイヤ45は、アッパフレーム43とロアフレーム44との間に掛け渡されている。ワイヤ45は、弾性変形可能なバネであり、シート前後方向に撓むように構成されている。
【0051】
ワイヤ45は、第1部451と、第2部452と、第3部453とを有する。第1部451及び第2部452は、それぞれ上端部がアッパフレーム43に固定され、アッパフレーム43からロアフレーム44まで上下方向に延伸している。
【0052】
第1部451及び第2部452は、シート幅方向に互いに離れて配置されている。第1部451及び第2部452それぞれの下端部はシート幅方向外側に湾曲し、第3部453と連結されている。
【0053】
第3部453は、シート幅方向に延伸している。第3部453の右端部は、ロアフレーム44の第1クリップ443Aに挿通されている。第3部453の左端部は、ロアフレーム44の第2クリップ443Bに挿通されている。第3部453は、第1クリップ443Aに保持された部位及び第2クリップ443Bに保持された部位を中心にシート前後方向に揺動可能である。
【0054】
第3部453のシート幅方向の中央部分は、第1クリップ443Aに保持された部位及び第2クリップ443Bに保持された部位よりも上方に位置し、メインパネル441の連結部441Eよりも高い位置に存在する。
【0055】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)シート幅方向内側に向かって上縁の高さが小さくなる第1勾配部441C及び第2勾配部441Dがそれぞれ第1サイドフレーム41又は第2サイドフレーム42と接合されることで、シート幅方向の荷重に対する負荷の集中を低減できる。
【0056】
また、補強パネル442によってロアフレーム44の断面剛性が向上するため、ロアフレーム44をシート前後方向の複数か所で第1サイドフレーム41及び第2サイドフレーム42に接合する必要が無くなる。そのため、シート前後方向の荷重に対するバックフレーム4のねじれが抑制される。
【0057】
このように、第1勾配部441C及び第2勾配部441Dを含むメインパネル441と、補強パネル442とを有するロアフレーム44によって、バックフレーム4の剛性が高められる。
【0058】
(1b)第1勾配部441Cと第2勾配部441Dとの間に連結部441Eを設けることによってメインパネル441の面積を低減できるため、バックフレーム4において着席者が入り込めるスペースを大きくすることができる。
【0059】
(1c)メインパネル441の上縁が、ワイヤ45の第1クリップ443Aに保持された部位及びワイヤ45の第2クリップ443Bに保持された部位よりも高い位置に存在することで、ワイヤ45から入力される荷重に対するバックフレーム4の剛性を高めることができる。
【0060】
(1d)ワイヤ45の第1クリップ443Aに保持された部位及び第2クリップ443Bに保持された部位が補強パネル442よりもシート幅方向外側に位置することで、バックフレーム4の剛性を確保しつつ、補強パネル442の幅の低減によりロアフレーム44を軽量化できる。
【0061】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0062】
(2a)上記実施形態の乗物用シートにおいて、補強パネルは、メインパネルよりもシート後方に配置されてもよい。また、補強パネルは、メインパネルよりも下方に配置されてもよい。つまり、補強パネルは、シート前後方向においてメインパネルと重ならなくてもよい。
【0063】
(2b)上記実施形態の乗物用シートにおいて、メインパネルの第1勾配部及び第2勾配部は、シート前方からサイドフレームに重ね合わされてもよい。また、第1勾配部及び第2勾配部は、サイドフレームの前壁に接合されてもよい。
【0064】
(2c)上記実施形態の乗物用シートにおいて、メインパネルは必ずしも連結部を有しなくてもよい。つまり、第1勾配部と第2勾配部とがシート幅方向中央において直接連結されてもよい。
【0065】
(2d)上記実施形態の乗物用シートにおいて、保持部は、ワイヤを保持する構造として、クリップ以外の構造を有してもよい。
【0066】
(2e)上記実施形態の乗物用シートは、上述した自動車に用いられる乗物用シート以外に、自動車以外の例えば、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物に用いられる乗物用シートにも適用できる。
【0067】
(2f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0068】
1…乗物用シート、2…シートクッション、3…シートバック、4…バックフレーム、
41…第1サイドフレーム、42…第2サイドフレーム、43…アッパフレーム、
44…ロアフレーム、45…ワイヤ、441…メインパネル、441A…第1接合部、
441B…第2接合部、441C…第1勾配部、441D…第2勾配部、
441E…連結部、441F…延伸部、442…補強パネル、442A…板面、
442B…第1端部、442C…第2端部、443…保持部、
443A…第1クリップ、443B…第2クリップ、451…第1部、
452…第2部、453…第3部。
図1
図2
図3
図4