(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166732
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20221026BHJP
G03G 15/06 20060101ALI20221026BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G03G15/08 310
G03G15/06 101
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072135
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】石井 豪
【テーマコード(参考)】
2H073
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H073AA07
2H073BA02
2H073BA13
2H073BA36
2H073CA02
2H073CA22
2H077AC04
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD17
2H077AD23
2H077AD35
2H077CA19
2H077DA22
2H077DA47
2H077DB08
2H077DB25
2H077EA14
2H077GA04
2H270KA09
2H270KA21
2H270KA24
2H270LA04
2H270LA05
2H270LA80
2H270MA02
2H270MA15
2H270MB27
2H270MB43
2H270MB52
2H270MC15
2H270MC29
2H270MC33
2H270MD29
2H270MH12
2H270RA03
2H270RA10
2H270RC05
2H270RC10
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC05
(57)【要約】
【課題】劣化した現像剤を適正に廃棄することができ、画像品位を向上させることができるようにする。
【解決手段】像担持体と、帯電部材と、現像剤担持体と、帯電部材に印加される帯電電圧を制御して低くし、現像剤担持体に印加される現像電圧を制御し、印刷時の標準現像電圧を、現像剤の極性と逆の極性の第1の現像電圧、及び現像剤の極性と同じ極性の絶対値で大きい第2の現像電圧のうちの一方に変更するクリーニング・廃棄処理部Pr2とを有する。帯電部材に付着した現像剤を像担持体に付着させて廃棄することができ、現像剤担持体上の劣化した現像剤を像担持体に付着させて廃棄することができる。クリーニング動作と現像剤廃棄動作とを同時に行うことができるので、無用に印刷が中止されたり、像担持体、現像剤担持体等が回転させられたりすることがない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)像担持体と、
(b)該像担持体を帯電させる帯電部材と、
(c)現像剤を付着させることによって像担持体上の潜像を現像し、現像剤像を形成する現像剤担持体と、
(d)前記帯電部材に印加される帯電電圧を制御して低くし、現像剤担持体に印加される現像電圧を制御し、印刷時の標準現像電圧を、現像剤の極性と逆の極性の第1の現像電圧、及び現像剤の極性と同じ極性の、絶対値で大きい第2の現像電圧のうちの一方に変更するクリーニング・廃棄処理部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニング・廃棄処理部は、前記標準現像電圧を交互に第1、第2の現像電圧に変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニング・廃棄処理部は、所定のクリーニング・廃棄条件が成立するたびにクリーニング・廃棄処理を行い、前記標準現像電圧を交互に第1、第2の現像電圧に変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング・廃棄条件は、一つの印刷ジョブの印刷が終了し、前記クリーニング・廃棄処理部が前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数が閾値以上である場合に成立する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
(a)画像形成装置の環境情報を取得する環境情報取得部を有するとともに、
(b)前記クリーニング・廃棄処理部は、前記帯電部材に印加される帯電電圧を制御して低くし、現像剤担持体に印加される現像電圧を制御し、印刷時の標準現像電圧を、前記環境情報に応じて、現像剤の極性と逆の極性の第1の現像電圧、及び現像剤の極性と同じ極性の、絶対値で大きい第2の現像電圧のうちの一方に変更する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クリーニング・廃棄処理部は、所定のクリーニング・廃棄条件が成立する場合にクリーニング・廃棄処理を行う請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クリーニング・廃棄条件は、一つの印刷ジョブの印刷が終了し、現像剤の劣化の程度を表す劣化指標が所定の値より大きく、前記クリーニング・廃棄処理部が前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数が閾値以上である場合に成立する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記劣化指標は、像担持体の表面に形成されるドットの数を表すドットカウント値、像担持体の回転数を表すドラムカウント値、及び劣化した現像剤を廃棄する基準となる廃棄基準印刷デューティに基づいて算出される請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記クリーニング・廃棄処理部は、印刷時の標準帯電電圧を、像担持体との放電を起こさない帯電電圧に変更する請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタは画像形成部を備え、該画像形成部に、画像形成ユニット、LEDヘッド、転写ローラ等が配設されるようになっている。そして、前記画像形成ユニットにおいて、帯電ローラによって帯電させられた感光体ドラムの表面が前記LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像が現像されて感光体ドラム上にトナー像が形成される。該トナー像は、前記転写ローラによって用紙に転写され、定着器において用紙に定着させられる。
【0003】
また、前記画像形成ユニットにおいて、トナーカートリッジからトナー貯蔵部に供給された現像剤としてのトナーは、供給ローラによって現像ローラに供給される間に帯電させられ、現像ブレードによって層厚が規制された後、感光体ドラムに付着させられてトナー像を形成する。現像ローラ上の他のトナーは、現像ローラの回転に伴ってトナー貯蔵部に回収され、供給ローラによって擦り取られ、トナーカートリッジから供給された新しいトナーと混合される。
【0004】
ところで、トナーは、供給ローラと現像ローラとの間において帯電させられる間、及び現像ブレードによって層厚が規制される間に、繰り返し摩擦力を受けるので、表面に添加されているシリカ、酸化チタン等の外部添加剤が剥離したり、トナー内に埋没させられたりして劣化してしまう。
【0005】
その結果、劣化したトナーを十分に帯電させることができず、静電潜像を十分に現像することができなくなって、画像品位が低下してしまう。
【0006】
そこで、帯電ローラに印加される電圧、すなわち、帯電電圧を制御し、劣化したトナー、すなわち、劣化トナーを廃棄するようにしたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、劣化トナーを適正に廃棄することができず、画像品位が低下してしまうことがある。
【0009】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、劣化した現像剤を適正に廃棄することができ、画像品位を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明の画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体を帯電させる帯電部材と、現像剤を付着させることによって像担持体上の潜像を現像し、現像剤像を形成する現像剤担持体と、前記帯電部材に印加される帯電電圧を制御して低くし、現像剤担持体に印加される現像電圧を制御し、印刷時の標準現像電圧を、現像剤の極性と逆の極性の第1の現像電圧、及び現像剤の極性と同じ極性の、絶対値で大きい第2の現像電圧のうちの一方に変更するクリーニング・廃棄処理部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体を帯電させる帯電部材と、現像剤を付着させることによって像担持体上の潜像を現像し、現像剤像を形成する現像剤担持体と、前記帯電部材に印加される帯電電圧を制御して低くし、現像剤担持体に印加される現像電圧を制御し、印刷時の標準現像電圧を、現像剤の極性と逆の極性の第1の現像電圧、及び現像剤の極性と同じ極性の、絶対値で大きい第2の現像電圧のうちの一方に変更するクリーニング・廃棄処理部とを有する。
【0012】
この場合、クリーニング・廃棄処理部が、帯電部材に印加される帯電電圧を制御して低くし、現像剤担持体に印加される現像電圧を制御し、印刷時の標準現像電圧を、現像剤の極性と逆の極性の第1の現像電圧、及び現像剤の極性と同じ極性の、絶対値で大きい第2の現像電圧のうちの一方に変更するので、帯電部材に付着した現像剤、及び現像剤担持体上の劣化した現像剤を像担持体に付着させて廃棄することができる。
【0013】
したがって、帯電部材によって像担持体を十分に帯電させることができるので、形成される画像にかすれが生じるのを防止することができる。また、現像剤を適正に帯電させることができるので、像担持体上の潜像を十分に現像することができるだけでなく、像担持体上の非露光部に現像剤が付着して、形成される画像に地かぶりが生じるのを防止することができる。その結果、画像品位を向上させることができる。
【0014】
また、劣化した、帯電の低い現像剤又は帯電の高い現像剤を選択的に適正に廃棄することができるので、劣化していない現像剤が廃棄されることがない。
【0015】
さらに、印刷ジョブの印刷が終了したときに、帯電部材に付着した現像剤を像担持体に付着させて除去するクリーニング動作と、現像剤担持体上の劣化した現像剤を廃棄する現像剤廃棄動作とを同時に行うことができるので、無用に印刷が中止されたり、無用に像担持体、現像剤担持体等が回転させられたりすることがない。その結果、印刷スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの要部概念図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態におけるクリーニング・廃棄処理部の制御ブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図7】帯電の低い劣化トナーの挙動を説明するための図である。
【
図8】帯電の高い劣化トナーの挙動を説明するための図である。
【
図9】クリーニング動作及びトナー廃棄動作の参考例を説明するためのタイムチャートである。
【
図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態におけるクリーニング・廃棄処理部の制御ブロック図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態における制御部の動作を示す第1のフローチャートである。
【
図13】本発明の第2の実施の形態における制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【
図14】本発明の第2の実施の形態における第1のクリーニング・廃棄処理のサブルーチンを示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態における第1のクリーニング・廃棄処理の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図16】本発明の第2の実施の形態における第2のクリーニング・廃棄処理のサブルーチンを示す図である。
【
図17】本発明の第2の実施の形態における第2のクリーニング・廃棄処理のタイムチャートである。
【
図18】本発明の第2の実施の形態における第3のクリーニング・廃棄処理のサブルーチンを示す図である。
【
図19】本発明の第2の実施の形態における環境値テーブルの例を示す図である。
【
図20】本発明の第2の実施の形態における第3のクリーニング・廃棄処理の動作を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0018】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図、
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの要部概念図である。なお、本実施の形態においては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの4色の画像形成ユニット(イメージドラムユニット)16Bk、16Y、16M、16Cが配設されるようになっているが、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cはいずれも同じ構造を有するので、
図3においては画像形成ユニット16Bkだけを示す。
【0019】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の外装である筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体である。前記筐体Csは、筐体Csの本体、すなわち、筐体本体Cs1、及び該筐体本体Cs1に対してヒンジhgを介して揺動自在に支持されたカバーCs2を備える。
【0020】
前記装置本体Bdの下部には、第1の給紙部としての、かつ、媒体収容部としての用紙カセット11が配設され、媒体としての用紙Pが用紙カセット11の第1の積載部材としてのスタッカsk1に積載された状態で収容される。また、前記用紙カセット11の前端に隣接させて第1の繰出部材としてのホッピングローラ12、及び分離部材13が配設され、前記用紙Pは、前記ホッピングローラ12及び分離部材13によって1枚ずつ分離させられて媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に給紙され、第1の搬送部材としての給紙ローラ対m1によって用紙搬送路Rt1上を搬送され、給紙ローラ対m1より下流側に配設された第2の搬送部材としてのレジストローラ対m2によって斜行が矯正された後、画像形成部Q1に送られる。
【0021】
また、前記レジストローラ対m2の近傍には、第2の給紙部としての手差しトレイTrが筐体本体Cs1に対して揺動自在に配設され、手差しトレイTrに積載された用紙Pは、第2の繰出部材としてのホッピングローラ15によって用紙搬送路Rt1に繰り出され、前記レジストローラ対m2によって斜行が矯正された後、前記画像形成部Q1に供給される。
【0022】
該画像形成部Q1は、用紙搬送路Rt1における上流側から下流側にかけて並べて配設された画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16C、露光装置としてのLEDヘッドHd、転写ユニットu1等から成る。
【0023】
各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cは、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの本体部に対して着脱自在に配設され、現像剤としてのトナーが収容された現像剤収容部としてのトナーカートリッジCt、矢印A方向に回転自在に配設された像担持体としての感光体ドラム21、該感光体ドラム21に当接させて矢印B方向に回転自在に配設された帯電部材としての帯電ローラ22、前記感光体ドラム21に当接させて矢印C方向に回転自在に配設された現像剤担持体としての現像ローラ23、該現像ローラ23に当接させて矢印D方向に回転自在に配設された供給部材としての供給ローラ24、所定の箇所を現像ローラ23に当接させて配設された規制部材としての現像ブレード25、前記感光体ドラム21と対向させて配設された第1の現像剤回収装置としてのトナー回収部Bx1、該トナー回収部Bx1に配設され、先端を感光体ドラム21に当接させて配設された第1のクリーニング部材としてのクリーニングブレード26、感光体ドラム21と対向させて配設された除電装置27等を備える。
【0024】
前記現像ローラ23、供給ローラ24及び現像ブレード25によって現像部30が形成される。また、前記画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの本体部における現像部30より上方に、トナーカートリッジCtから供給されたトナーを受けるトナー受け部Rmが形成される。
【0025】
前記各色のトナーには、結着樹脂としてポリエステル樹脂が使用され、トナー粒子内に、帯電制御剤、離型剤、着色剤等の添加剤である内部添加剤が、トナー粒子外に、トナーの流動性及び帯電性を保持するためのシリカ、酸化チタン等の添加剤である外部添加剤が添加される。
【0026】
感光体ドラム21は、有機系感光体から成り、導電性支持体及び該導電性支持体の表面に形成された光導電層を備える。導電性支持体はアルミニウム製の金属パイプによって形成され、光導電層は、電荷発生層及び電荷輸送層を積層することによって形成される。
【0027】
帯電ローラ22は、金属シャフト、及び該金属シャフトの外周に形成された半導電性ゴム層を備え、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる。
【0028】
現像ローラ23は、金属シャフト、該金属シャフトの外周に形成された半導電性ウレタンゴム材等を備え、感光体ドラム21の表面に形成された潜像としての静電潜像にトナーを静電的に付着させ、静電潜像を現像する。
【0029】
供給ローラ24は、金属シャフト、該金属シャフトの外周に形成された発泡性のシリコーンゴム材等を備え、現像ローラ23と同じ方向に回転させられ、トナーカートリッジCtからトナー受け部Rmに供給されたトナーを現像ローラ23に供給するとともに、トナーを摩擦によって帯電させる。
【0030】
現像ブレード25は、ステンレス等の板状部材から成り、所定の曲げ部が現像ローラ23に当接させられ、現像ローラ23上のトナーの層厚を規制し、現像剤層としてのトナー層を形成する。
【0031】
前記各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおいて、トナーカートリッジCtからトナー受け部Rmに供給されたトナーは、供給ローラ24によって現像ローラ23に供給される間に帯電させられ、現像ブレード25によって層厚が規制された後、感光体ドラム21に付着させられてトナー像を形成する。現像ローラ23上の他のトナーは、現像ローラ23の回転に伴ってトナー受け部Rmに回収され、供給ローラ24によって擦り取られ、トナーカートリッジCtから供給された新しいトナーと混合される。
【0032】
クリーニングブレード26は、ポリウレタンゴム等のゴム状弾性体から成り、先端を感光体ドラム21の回転方向に対して突き当てるようにカウンタで当接させられ、トナー像が用紙Pに転写された後に感光体ドラム21上に残留したトナーを掻き取り、除去する。
【0033】
除電装置27は、感光体ドラム21と対向させて、感光体ドラム21の軸方向に配設された発光素子としての複数のLEDを備え、該各LEDを発光させ、除電光を感光体ドラム21に照射し、トナー像が用紙Pに転写された後の感光体ドラム21の表面を除電して表面電位のバラツキをなくす。
【0034】
LEDヘッドHdは、発光素子としての複数のLEDから成るLEDアレイ、各LEDを発光させる駆動素子及びレンズアレイから成り、帯電ローラ22によって帯電させられた感光体ドラム21の表面を露光し、静電潜像を形成する。
【0035】
また、前記転写ユニットu1は、第1のローラとしての駆動ローラr1、第2のローラとしての従動ローラr2、前記駆動ローラr1と従動ローラr2との間に走行自在に張設されたベルト部材としての転写ベルトBt、該転写ベルトBtを介して前記各感光体ドラム21と対向させて矢印E方向に回転自在に配設された転写部材としての転写ローラ28、前記転写ベルトBtの下側走行部と対向させて配設された第2の現像剤回収装置としてのトナー回収部Bx2、該トナー回収部Bx2において、先端を転写ベルトBtに当接させて配設された第2のクリーニング部材としてのクリーニングブレード29等を備える。
【0036】
前記用紙搬送路Rt1における画像形成部Q1より下流側に、定着装置としての定着器31が配設される。該定着器31は、第1の定着部材としてのヒートローラ32、及び該ヒートローラ32と対向させて配設された対向部材としての、かつ、第2の定着部材としてのバックアップローラ33を備える。
【0037】
そして、前記用紙搬送路Rt1における定着器31より下流側に、第3の搬送部材としての搬送ローラ対m3が配設され、該搬送ローラ対m3より下流側に、第4の搬送部材としての排出ローラ対m4が、前記カバーCs2に形成された第2の積載部材としてのスタッカsk2に臨ませて配設される。
【0038】
前記帯電ローラ22に、トナーの極性と同じ極性の帯電電圧を印加するための帯電用の電源43が、現像ローラ23に、トナーの極性と同じ極性、又は逆の極性の現像電圧を印加するための現像用の電源44が、供給ローラ24に、トナーの極性と同じ極性、又は逆の極性の供給電圧を印加するための供給用の電源45が、現像ブレード25に、トナーの極性と逆の極性、又は同じ極性の層形成電圧を印加するための層形成用の電源46が、除電装置27に、除電装置27を駆動するための電源47が、転写ローラ28に、トナーの極性と同じ極性、又は逆の極性の転写電圧を印加するための転写用の電源48が接続される。電源43~48によって電源ユニット49が構成される。
【0039】
次に、プリンタ10の動作について説明する。
【0040】
感光体ドラム21は、帯電ローラ22によって表面が一様に帯電させられ、LEDヘッドHdによって露光されて表面に静電潜像が形成される。現像部30において、供給ローラ24は、現像ローラ23との周速比を一定に保ちながら回転させられ、トナーカートリッジCtから供給されたトナーを、摩擦によって帯電させ、現像ローラ23に供給する。現像ローラ23に供給されたトナーは、現像ブレード25によって層厚が規制され、このとき、更に帯電させられる。
【0041】
現像ローラ23は、電源44によって電圧が印加された状態で感光体ドラム21に当接させられ、静電気力によってトナーを感光体ドラム21上の静電潜像に付着させ、静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
【0042】
一方、用紙Pは、用紙カセット11又は手差しトレイTrから画像形成部Q1に供給され、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cの感光体ドラム21と転写ユニットu1の転写ローラ28との間を搬送され、各現像ローラ23上のトナー像が、転写ローラ28に印加された電圧によって形成された電界によって用紙Pに重ねて転写され、用紙P上にカラーのトナー像が形成される。
【0043】
トナー像が転写された後の感光体ドラム21の表面に残留したトナーは、クリーニングブレード26によって掻き取られて除去される。
【0044】
続いて、用紙Pは定着器31に送られ、用紙P上のカラーのトナー像が、ヒートローラ32によって加熱され、バックアップローラ33によって加圧されて用紙Pに定着させられ、用紙P上にカラーの画像が形成される。
【0045】
カラーの画像が形成された用紙Pは、搬送ローラ対m3によって搬送され、排出ローラ対m4によって装置本体Bd外に排出され、スタッカsk2に積載される。
【0046】
ところで、トナーは、供給ローラ24と現像ローラ23との間において帯電させられる間、及び現像ブレード25によって層厚が規制される間に、繰り返し摩擦力を受けるので、外部添加剤が、剥離したり、トナー内に埋没させられたりすることによって流動性及び帯電性が低くなり、劣化する。
【0047】
そして、画像が形成されるときの印刷デューティが高く、現像ローラ23に保持されたトナーが十分に消費される場合には、劣化したトナー、すなわち、劣化トナーも消費されるが、印刷デューティが低く、現像ローラ23に保持されたトナーが十分に消費されない場合、劣化したトナーは消費されることなく、現像ローラ23に保持された状態を維持する。
【0048】
その結果、トナーが過剰に帯電させられ、帯電電位が低くなって、画像に汚れが生じたり、トナーが十分に帯電させられず、帯電電位が高くなって、地かぶりが生じたり、画像にかすれが生じたりして画像品位が低下してしまう。
【0049】
また、劣化トナーが帯電ローラ22に付着すると、帯電ローラ22と感光体ドラム21とが劣化トナーを介して当接することになり、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させることができなくなり、画像品位が一層低下してしまう。
【0050】
そこで、本実施の形態においては、所定の期間ごとに帯電電圧を制御し、帯電ローラ22のクリーニングを行い、帯電ローラ22に付着した劣化トナーを除去するとともに、現像電圧を制御し、劣化トナーを感光体ドラム21に付着させ、廃棄するようにしている。
【0051】
なお、印刷デューティとは、用紙P上の画像を形成することが可能な領域、すなわち、印刷可能領域にベタ画像が形成されたときの画像面積(ドット数)に対する、実際に用紙Pに形成された画像の面積、すなわち、実画像面積(ドット数)の比率である。
【0052】
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
【0053】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図、
図4は本発明の第1の実施の形態におけるクリーニング・廃棄処理部の制御ブロック図である。
【0054】
図において、10はプリンタ、PCは、有線又は無線のLAN等によってプリンタ10と接続された上位装置としてのホストコンピュータである。
【0055】
また、50は制御部、IFは、プリンタ10をホストコンピュータPCと接続し、ホストコンピュータPCから印刷データ等を受信したり、プリンタ10のステータス情報をホストコンピュータPCに送信したりする通信部としてのインタフェース部、53は第1の記憶部としてのROM、54は第2の記憶部としてのRAM、55はハードディスク等から成る第3の記憶部としての記憶装置、56は操作・表示部としての操作パネルである。
【0056】
前記記憶装置55には、プリンタ10において印刷が行われた総印刷枚数、該総印刷枚数の更新日時等が記録されるほかに、後述されるクリーニング・廃棄処理が行われるたびに処理実行日時等が記録される。
【0057】
また、43は帯電ローラ22に帯電電圧を印加するための電源、44は現像ローラ23に現像電圧を印加するための電源、45は供給ローラ24に供給電圧を印加するための電源、46は現像ブレード25に層形成電圧を印加するための電源、47は除電装置27を駆動するための電源、48は転写ローラ28に転写電圧を印加するための電源、HdはLEDヘッド、Dr1は該LEDヘッドHdを駆動するヘッドドライバ、M1は感光体ドラム21(
図2)を回転させる画像形成用の駆動部としての駆動モータ(IDモータ)、Dr2は、駆動モータM1に駆動信号を送り、駆動モータM1を駆動するモータドライバである。駆動モータM1を駆動し、感光体ドラム21を回転させると、帯電ローラ22が感光体ドラム21の回転に従動して回転させられ、現像ローラ23、供給ローラ24等が感光体ドラム21と連結された図示されないギヤ列を介して回転させられる。
【0058】
前記制御部50は、図示されない演算装置としてのCPU、入出力ポート、タイマ等を備え、プリンタ10の全体の制御を行うとともに、ROM53に記録されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。ROM53には、前記プログラムのほかに、制御部50が前記各種の処理を行うために必要な設定値、閾値等が記録される。本実施の形態においては、閾値として印刷枚数の閾値εが記録され、該閾値εは70〔枚〕に設定される。
【0059】
また、前記RAM54には、前記印刷データに基づいて生成され、印刷を行うための画像データのほかに、各種の制御用のデータが一時的に記録される。なお、前記RAM54は、前記CPUが演算を行う際にワークエリアとして機能する。
【0060】
前記操作パネル56は、操作者がプリンタ10への指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る操作部58、及びプリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部59を備える。なお、操作パネル56がタッチパネルによって形成されている場合、表示部59は操作部としても機能する。
【0061】
前記制御部50は、印刷処理部Pr1、クリーニング・廃棄処理部Pr2等を有する。
印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、ホストコンピュータPCから印刷データを受信すると、印刷ジョブごとに印刷データを画像データに変換し、該画像データに基づいてLEDヘッドHdを駆動し、用紙Pに画像を形成し、印刷を行う。なお、印刷処理部Pr1は、印刷ジョブについて印刷を行うたびに、印刷ジョブの情報に基づいて印刷枚数をカウントし、記憶装置55に記録された総印刷枚数を更新し、更新日時と共に記録する。
【0062】
クリーニング・廃棄処理部Pr2は、所定のクリーニング・廃棄条件、本実施の形態においては、第1、第2のクリーニング・廃棄条件が成立するかどうか判断し、第1、第2のクリーニング・廃棄条件が成立する場合にクリーニング・廃棄処理を行う。また、前記クリーニング・廃棄処理部Pr2は、帯電電圧制御処理部Pr11及び現像電圧制御処理部Pr12を備える。
【0063】
帯電電圧制御処理部Pr11は、帯電電圧制御処理を行うことによってクリーニング動作を行い、帯電ローラ22に付着した劣化トナー、外部添加剤等を、除去し、感光体ドラム21に付着させた後、クリーニングブレード26によって掻き取り、廃棄する。
【0064】
現像電圧制御処理部Pr12は、現像電圧制御処理を行うことによって現像剤廃棄動作としてのトナー廃棄動作を行い、現像ローラ23上の劣化トナーを、感光体ドラム21に付着させ、クリーニングブレード26によって掻き取り、廃棄する。
【0065】
次に、前記制御部50の動作について説明する。
【0066】
図5は本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を示すフローチャート、
図6は本発明の第1の実施の形態における制御部の動作を説明するためのタイムチャート、
図7は帯電の低い劣化トナーの挙動を説明するための図、
図8は帯電の高い劣化トナーの挙動を説明するための図である。
【0067】
まず、印刷処理部Pr1は、ホストコンピュータPCから印刷データを受信すると、一つの印刷ジョブの印刷データを画像データに変換し、該画像データに基づいてLEDヘッドHdを駆動し、用紙Pに画像を形成し、印刷を行う。
【0068】
そして、印刷処理部Pr1は、一つの印刷ジョブの印刷が終了し、第1のクリーニング・廃棄条件が成立するのを待機し(ステップS1)、一つの印刷ジョブの印刷が終了し、第1のクリーニング・廃棄条件が成立すると、印刷ジョブの情報に基づいて印刷枚数をカウントし、記憶装置55に記録された総印刷枚数を更新して記録するとともに、更新日時を記録する。
【0069】
続いて、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、記憶装置55を参照し、クリーニング・廃棄処理を行った処理実行日時、そのときの総印刷枚数、及び今回更新した総印刷枚数に基づいて、前回、クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕を算出する。そして、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε、本実施の形態においては、70〔枚〕以上であるかどうかによって、第2のクリーニング・廃棄条件が成立するかどうかを判断する(ステップS2)。
【0070】
印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕以上であり、第2のクリーニング・廃棄条件が成立する場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、クリーニング・廃棄処理を行う必要があると判断し、除電装置27をオフにし、転写電圧をオフにする(ステップS3)。
【0071】
続いて、クリーニング・廃棄処理部Pr2の帯電電圧制御処理部Pr11は、帯電電圧制御処理を行い(ステップS4)、帯電電圧を制御して低くし、通常の印刷時の帯電電圧、すなわち、標準帯電電圧Vcrを、感光体ドラム21との放電を起こさないような、すなわち、感光体ドラム21を帯電させないような、放電開始前電圧以下の帯電電圧Vc0、例えば、0〔V〕に変更する。
【0072】
これにより、クリーニング動作が行われ、帯電ローラ22に付着した劣化トナーが、感光体ドラム21に付着させられ、クリーニングブレード26によって掻き取られ、廃棄される。なお、劣化トナーと共に、帯電ローラ22に付着した外部添加剤も感光体ドラム21に付着させられ、廃棄される。
【0073】
次に、クリーニング・廃棄処理部Pr2の現像電圧制御処理部Pr12は、現像電圧制御処理を行い、現像電圧を制御し、クリーニング・廃棄処理を行うたびに、すなわち、一つの印刷ジョブの印刷が終了し、かつ、印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕以上になるたびに、通常の印刷時の現像電圧、すなわち、標準現像電圧Vdrを、交互に、トナーの極性と逆の極性の第1の現像電圧Vd1、及びトナーの極性と同じ極性の第2の現像電圧Vd2に変更する(ステップS5、S6)。これにより、トナー廃棄動作が行われる。
【0074】
例えば、標準現像電圧Vdrが-200〔V〕~-100〔V〕である場合、第1の現像電圧Vd1は、感光体ドラム21の表面電位Viとの差が通常の印刷時より大きくなるように、+300〔V〕以上にされ、第2の現像電圧Vd2は、絶対値で感光体ドラム21の表面電位Viとの差が通常の印刷時より大きくなるように、-400〔V〕~-300〔V〕にされる。
【0075】
現像電圧を第1の現像電圧Vd1にすることによって、現像ローラ23上の、十分に帯電させられず、帯電の低い劣化トナーTn1を、
図7に示されるように、感光体ドラム21に付着させ、廃棄することができる。したがって、帯電の低い劣化トナーTn1が感光体ドラム21上の非露光部に付着して地かぶりが生じ、画像品位が低下するのを防止することができる。
【0076】
また、現像電圧を第2の現像電圧Vd2にすることによって、過剰に帯電させられ、帯電の高い劣化トナーTn2を、
図8に示されるように、感光体ドラム21に付着させ、廃棄することができる。したがって、帯電の高い劣化トナーTn2が感光体ドラム21上の非露光部に付着して画像に汚れが生じ、画像品位が低下するのを防止することができる。
【0077】
印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕未満である場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、クリーニング・廃棄処理を行う必要がないと判断し、処理を終了する。
【0078】
このように、本実施の形態においては、クリーニング・廃棄処理部Pr2が、帯電ローラ22に印加される帯電電圧を制御して低くし、現像ローラ23に印加される現像電圧を制御し、印刷時の標準現像電圧Vdrを、トナーの極性と逆の極性の第1の現像電圧Vd1、及びトナーの極性と同じ極性の、絶対値で大きい第2の現像電圧Vd2のうちの一方に、すなわち、第1、第2の現像電圧Vd1、Vd2に交互に変更するので、帯電ローラ22に付着した劣化トナー、外部添加剤等を感光体ドラム21に付着させて廃棄することができるだけでなく、現像ローラ23上の劣化トナーを感光体ドラム21に付着させて廃棄することができる。
【0079】
したがって、帯電ローラ22によって感光体ドラム21を十分に帯電させることができるので、形成される画像にかすれが生じるのを防止することができる。また、トナーが適正に帯電させられるので、感光体ドラム21上の静電潜像を十分に現像することができ、感光体ドラム21上の非露光部に劣化トナーが付着して、形成される画像に地かぶりが生じるのを防止することができる。その結果、画像品位を向上させることができる。
【0080】
また、帯電の低い劣化トナー又は帯電の高い劣化トナーを選択的に適正に廃棄することができるので、劣化していないトナーが廃棄されることがない。
【0081】
さらに、印刷ジョブの印刷が終了したときに、帯電ローラ22に付着したトナーを感光体ドラム21に付着させて除去するクリーニング動作と、現像ローラ23上の劣化トナーを廃棄するトナー廃棄動作とを同時に行うことができるので、無用に印刷が中止されたり、無用に感光体ドラム21、現像ローラ23等が回転させられたりすることがない。その結果、印刷スループットを向上させることができる。
【0082】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 印刷処理部Pr1は一つの印刷ジョブの印刷が終了するのを待機する。一つの印刷ジョブの印刷が終了した場合はステップS2に進む。
ステップS2 クリーニング・廃棄処理部Pr2は前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε以上であるかどうかを判断する。前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε以上である場合はステップS3に進み、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε未満である場合は処理を終了する。
ステップS3 クリーニング・廃棄処理部Pr2は除電装置27をオフにし、転写電圧をオフにする。
ステップS4 帯電電圧制御処理部Pr11は帯電電圧制御処理を行う。
ステップS5 現像電圧制御処理部Pr12は標準現像電圧Vdrを第1の現像電圧Vd1に変更し、処理を終了する。
ステップS6 現像電圧制御処理部Pr12は標準現像電圧Vdrを第2の現像電圧Vd2に変更し、処理を終了する。
【0083】
次に、クリーニング動作及びトナー廃棄動作の参考例について説明する。
【0084】
図9はクリーニング動作及びトナー廃棄動作の参考例を説明するためのタイムチャートである。
【0085】
参考例においては、トナー廃棄動作において、感光体ドラム21が帯電させられ、LEDヘッドHdが劣化トナー廃棄用発光パターンで駆動されて、感光体ドラム21上に-50~0〔V〕の静電潜像が形成され、現像電圧が標準現像電圧Vdr、例えば、-200〔V〕にされる。これにより、現像電圧と帯電電圧との電位差によって、現像ローラ23上の負の極性に帯電させられたトナーは、感光体ドラム21に付着させられ、クリーニングブレード26によって掻き取られ、廃棄される。
【0086】
また、クリーニング動作において、標準帯電電圧Vcrが放電開始前電圧以下の帯電電圧Vc0、例えば、0〔V〕にされ、感光体ドラム21の表面電位が-50~0〔V〕にされ、現像電圧がトナーの極性と逆の極性の第1の現像電圧Vd1、例えば、+300〔V〕以上にされる。これにより、クリーニング動作が行われ、帯電ローラ22に付着した劣化トナー及び外部添加剤が、感光体ドラム21に付着させられ、除去される。この場合、帯電電圧が0〔V〕にされ、感光体ドラム21の表面がほぼ帯電させられていない状態において、現像ローラ23上のトナーが感光体ドラム21に付着させられるのが防止される。
【0087】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0088】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図、
図11は本発明の第2の実施の形態におけるクリーニング・廃棄処理部の制御ブロック図である。なお、説明の便宜上、プリンタ10の上位装置であるホストコンピュータPCについても併せて説明する。
【0089】
図において、10は画像形成装置としてのプリンタ、PCは上位装置としてのホストコンピュータ、50は制御部、IFは通信部としてのインタフェース部、53は第1の記憶部としてのROM、54は第2の記憶部としてのRAM、55は第3の記憶部としての記憶装置、56は操作・表示部としての操作パネル、s1は第1の環境情報取得部としての、かつ、温度検出部としての温度センサ、s2は第2の環境情報取得部としての、かつ、湿度検出部としての湿度センサである。前記ROM53には、印刷枚数の閾値ε、本実施の形態においては、70〔枚〕が記録されるほかに、プリンタ10の置かれた環境、すなわち、温度及び湿度に応じた現像剤としてのトナーの劣化の程度を表す環境値テーブルが記録される。
【0090】
また、RAM54には、露光装置としての各LEDヘッドHdのLEDを点灯することによって像担持体としての感光体ドラム21の表面に形成されるドットの数を表すドットカウント値Ndについて、後述される開始時ドットカウント値Nds及び終了時ドットカウント値Ndeが、感光体ドラム21の回転数(感光体ドラム21の表面の印刷距離)を表すドラムカウント値Niについて、後述される開始時ドラムカウント値Nis及び終了時ドラムカウント値Nieが記録される。
【0091】
前記記憶装置55には、プリンタ10において印刷が行われた総印刷枚数、該総印刷枚数の更新日時等が記録されるほかに、現像剤回収・廃棄処理としてのクリーニング・廃棄処理の処理実行日時が記録される。また、前記記憶装置55には、トナーの劣化の程度を表す劣化指標としての後述される累計廃棄カウント値σGが記録される。さらに、前記記憶装置55には、劣化トナーを廃棄する基準となる印刷デューティである廃棄基準印刷デューティDhが記録される。本実施の形態において、該基準印刷デューティDhは5〔%〕にされる。
【0092】
また、43は帯電部材としての帯電ローラ22に帯電電圧を印加するための電源、44は現像剤担持体としての現像ローラ23に現像電圧を印加するための電源、45は供給部材としての供給ローラ24に供給電圧を印加するための電源、46は規制部材としての現像ブレード25に層形成電圧を印加するための電源、47は除電装置27を駆動するための電源、48は転写部材としての転写ローラ28に転写電圧を印加するための電源、HdはLEDヘッド、Dr1はヘッドドライバ、M1は画像形成用の駆動部としての駆動モータ(IDモータ)、Dr2はモータドライバである。
【0093】
制御部50は、印刷処理部Pr1、クリーニング・廃棄処理部Pr2、ドットカウント値算出処理部Pr3、ドラムカウント値算出処理部Pr4、劣化指標算出部としての累計廃棄カウント値算出処理部Pr5等を有する。
【0094】
印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、印刷ジョブごとに印刷データを画像データに変換し、該画像データに基づいてLEDヘッドHdを駆動し、媒体としての用紙Pに画像を形成し、印刷を行う。なお、印刷処理部Pr1は、印刷ジョブについて印刷を行うたびに、印刷ジョブの情報に基づいて印刷枚数をカウントし、記憶装置55に記録された総印刷枚数を更新し、更新日時と共に記録する。
【0095】
クリーニング・廃棄処理部Pr2は、所定のクリーニング・廃棄条件、本実施の形態においては、第1~第3のクリーニング・廃棄条件が成立するかどうかを判断し、第1~第3のクリーニング・廃棄条件が成立する場合に第1~第3のクリーニング・廃棄処理を行う。
【0096】
また、前記クリーニング・廃棄処理部Pr2は、帯電電圧制御処理部Pr11、現像電圧制御処理部Pr12、露光装置駆動処理部としてのLEDヘッド駆動処理部Pr13、環境値判定処理部Pr14等を備える。
【0097】
帯電電圧制御処理部Pr11は、帯電電圧制御処理を行うことによってクリーニング動作を行い、帯電ローラ22に付着した劣化トナー、外部添加剤等を、感光体ドラム21に付着させて回収した後、第1のクリーニング部材としてのクリーニングブレード26によって掻き取り、除去する。
【0098】
現像電圧制御処理部Pr12は、第1、第2の現像電圧制御処理を行うことによってトナー廃棄動作を行い、現像ローラ23上の劣化トナーを、感光体ドラム21に付着させ、クリーニングブレード26によって掻き取ることにより除去する。
【0099】
LEDヘッド駆動処理部Pr13は、露光装置駆動処理としてのLEDヘッド駆動処理を行い、劣化トナーを廃棄するためにあらかじめ設定された劣化トナー廃棄用発光パターンでLEDヘッドHdを駆動する。
【0100】
環境値判定処理部Pr14は、環境値判定処理を行い、温度センサs1によって検出された温度及び湿度センサs2によって検出された湿度を読み込み、ROM53の環境値テーブルを参照し、プリンタ10の環境値を読み出し、取得する。
【0101】
また、ドットカウント値算出処理部Pr3は、ドットカウント値算出処理を行い、印刷処理部Pr1による印刷処理が行われると、画像データに基づいて各LEDヘッドHdのドットカウント値Ndを算出する。
【0102】
ドラムカウント値算出処理部Pr4は、ドラムカウント値算出処理を行い、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16C(
図2)においてモータドライバDr2が駆動モータM1を駆動するたびに、各感光体ドラム21のドラムカウント値Niを算出する。
【0103】
累計廃棄カウント値算出処理部Pr5は、劣化指標算出処理としての累計廃棄カウント値算出処理を行い、一つのジョブの印刷が行われるたびに、各ドットカウント値Nd、各ドラムカウント値Ni及び廃棄基準印刷デューティDhに基づいて、一つのジョブの印刷が行われたことによる、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおけるトナーの劣化の程度を表すジョブ廃棄カウント値Gを算出し、記憶装置55に記録された累計廃棄カウント値σGに加算し、累計廃棄カウント値σGを更新する。
【0104】
次に、前記制御部50の動作について説明する。
【0105】
図12は本発明の第2の実施の形態における制御部の動作を示す第1のフローチャート、
図13は本発明の第2の実施の形態における制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【0106】
累計廃棄カウント値算出処理部Pr5は、記憶装置55から各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける累計廃棄カウント値σGを読み出す(ステップS11)。続いて、ドラムカウント値算出処理部Pr4は、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける印刷が開始されたときのドラムカウント値Ni、すなわち、開始時ドラムカウント値NisをRAM54に記録し(ステップS12)、ドットカウント値算出処理部Pr3は、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける印刷が開始されたときのドットカウント値Nd、すなわち、開始時ドットカウント値NdsをRAM54に記録する(ステップS13)。
【0107】
続いて、印刷処理部Pr1は、印刷処理を開始し、一つの印刷ジョブについて印刷データを画像データに変換し、画像データに基づいてLEDヘッドHdを駆動し、用紙Pに画像を形成し、印刷を行う。
【0108】
そして、印刷処理部Pr1は、一つの印刷ジョブの印刷が終了し、第1のクリーニング・廃棄条件が成立するのを待機し(ステップS14)、一つの印刷ジョブの印刷が終了し、第1のクリーニング・廃棄条件が成立すると、印刷ジョブの情報に基づいて印刷枚数をカウントし、記憶装置55に記録された総印刷枚数を更新し、更新日時を記録する。
【0109】
また、前記ドラムカウント値算出処理部Pr4は、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける印刷が終了したときのドラムカウント値Ni、すなわち、終了時ドラムカウント値NieをRAM54に記録し(ステップS15)、ドットカウント値算出処理部Pr3は、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける印刷が終了したときのドットカウント値Nd、すなわち、終了時ドットカウント値NdeをRAM54に記録する(ステップS16)。
【0110】
続いて、累計廃棄カウント値算出部Pr5は、RAM54から開始時ドラムカウント値Nis、開始時ドットカウント値Nds、終了時ドラムカウント値Nie及び終了時ドットカウント値Ndeを読み出すとともに、記憶装置55から廃棄基準印刷デューティDhを読み出し、ジョブ廃棄カウント値Gを算出する(ステップS17)。
【0111】
ところで、終了時ドラムカウント値Nieと開始時ドラムカウント値Nisとのドラムカウント値差分をΔNiとし、終了時ドットカウント値Ndeと開始時ドットカウント値Ndsとのドットカウント値差分をΔNdとすると、ドラムカウント値差分ΔNi及びドットカウント値差分ΔNdは、それぞれ、
ΔNi=Nie-Nis
ΔNd=Nde-Nds
になる。
【0112】
そして、ドラムカウント値差分ΔNiに相当する印刷距離Ldにわたり、感光体ドラム21の表面を100〔%〕のデューティで全面露光したときのドット数の総数をΣNdとすると、印刷距離Ldにわたり、一つの印刷ジョブの印刷を行ったときにトナーが劣化するのを防止するために少なくとも必要になるドット数、すなわち、劣化防止ドット数Ndminは、
Ndmin=Dh×ΣNd/100
になる。
【0113】
したがって、前記累計廃棄カウント値算出部Pr5は、一つの印刷ジョブの印刷が行われたことによって形成されたドット数を表す前記ドットカウント値差分ΔNdから劣化防止ドット数Ndminを減算することによって、ジョブ廃棄カウント値Gを算出することができる。
【0114】
続いて、前記累計廃棄カウント値算出部Pr5は、記憶装置55から読み出した累計廃棄カウント値σGにジョブ廃棄カウント値Gを加算することによって、累計廃棄カウント値σGを更新する(ステップS18)。
【0115】
次に、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cのうちの少なくとも一つの画像形成ユニットにおける累計廃棄カウント値σGが正の値を有するかどうかによって、第2のクリーニング・廃棄条件が成立するかどうかを判断する(ステップS19)。すべての画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける累計廃棄カウント値σGが所定の値、本実施の形態においては、0以下であり、第2のクリーニング・廃棄条件が成立しない場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、記憶装置55を参照し、クリーニング・廃棄処理を行った処理実行日時、そのときの総印刷枚数、及び今回更新した総印刷枚数に基づいて、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕を算出する。
【0116】
そして、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε、本実施の形態においては、70〔枚〕以上であるかどうかによって、第3のクリーニング・廃棄条件が成立するかどうかを判断する(ステップS20)。
【0117】
前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕未満であり、第3のクリーニング・廃棄条件が成立しない場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、クリーニング・廃棄処理を行う必要がないと判断し、更新した累計廃棄カウント値σGを記憶装置55に記録する(ステップS21)。
【0118】
続いて、印刷処理部Pr1は、他の印刷ジョブがあるかどうかを判断し(ステップS22)、他の印刷ジョブがある場合、再び、累計廃棄カウント値算出部Pr5は、記憶装置55から累計廃棄カウント値σGを読み出す(ステップS11)。他の印刷ジョブがない場合、印刷処理部Pr1は処理を終了する。
【0119】
一方、すべての画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける累計廃棄カウント値σGが0以下であり、第2のクリーニング・廃棄条件が成立しない場合において、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕以上であり、第3のクリーニング・廃棄条件が成立する場合、前記クリーニング・廃棄処理部Pr2は、第1のクリーニング・廃棄処理を行い(ステップS23)、更新した累計廃棄カウント値σGを記憶装置55に記録する(ステップS21)。
【0120】
また、画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cのうちの少なくとも一つの画像形成ユニットにおける累計廃棄カウント値σGが0より大きく、正の値を有し、第2のクリーニング・廃棄条件が成立した場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、記憶装置55を参照し、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕以上であるかどうかによって、第3のクリーニング・廃棄条件が成立するかどうかを判断する(ステップS24)。
【0121】
そして、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕未満であり、第3のクリーニング・廃棄条件が成立しない場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、第2のクリーニング・廃棄処理を行い(ステップS25)、更新した累計廃棄カウント値σGを記憶装置55に記録する(ステップS21)。また、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕以上であり、第3のクリーニング・廃棄条件が成立する場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、第3のクリーニング・廃棄処理を行い(ステップS26)、更新した累計廃棄カウント値σGを記憶装置55に記録する(ステップS21)。
【0122】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 累計廃棄カウント値算出処理部Pr5は記憶装置55から累計廃棄カウント値σGを読み出す。
ステップS12 ドラムカウント値算出処理部Pr4は開始時ドラムカウント値NisをRAM54に記録する。
ステップS13 ドットカウント値算出処理部Pr3は開始時ドットカウント値NdsをRAM54に記録する。
ステップS14 印刷処理部Pr1は一つの印刷ジョブの印刷が終了するのを待機する。一つの印刷ジョブの印刷が終了した場合はステップS15に進む。
ステップS15 ドラムカウント値算出処理部Pr4は終了時ドラムカウント値NieをRAM54に記録する。
ステップS16 ドットカウント値算出処理部Pr3は終了時ドットカウント値NdeをRAM54に記録する。
ステップS17 累計廃棄カウント値算出部Pr5はジョブ廃棄カウント値Gを算出する。
ステップS18 累計廃棄カウント値算出部Pr5は累計廃棄カウント値σGを更新する。
ステップS19 クリーニング・廃棄処理部Pr2は各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cのうちの少なくとも一つの画像形成ユニットにおける累計廃棄カウント値σGが正の値を有するかどうかを判断する。各画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cのうちの少なくとも一つの画像形成ユニットにおける累計廃棄カウント値σGが正の値を有する場合はステップS24に進み、すべての画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける累計廃棄カウント値σGが0以下である場合はステップS20に進む。
ステップS20 クリーニング・廃棄処理部Pr2は前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε以上であるかどうかを判断する。前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε以上である場合はステップS23に進み、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε未満である場合はステップS21に進む。
ステップS21 クリーニング・廃棄処理部Pr2は更新した累計廃棄カウント値σGを記憶装置55に記録する。
ステップS22 印刷処理部Pr1は他の印刷ジョブがあるかどうかを判断する。他の印刷ジョブがある場合はステップS11に戻り、他の印刷ジョブがない場合は処理を終了する。
ステップS23 クリーニング・廃棄処理部Pr2は第1のクリーニング・廃棄処理を行い、ステップS21に進む。
ステップS24 クリーニング・廃棄処理部Pr2は前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε以上であるかどうかを判断する。前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε以上である場合はステップS26に進み、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が閾値ε未満である場合はステップS25に進む。
ステップS25 クリーニング・廃棄処理部Pr2は第2のクリーニング・廃棄処理を行い、ステップS21に進む。
ステップS26 クリーニング・廃棄処理部Pr2は第3のクリーニング・廃棄処理を行い、ステップS21に進む。
【0123】
次に、第1のクリーニング・廃棄処理について説明する。
【0124】
図14は本発明の第2の形態における第1のクリーニング・廃棄処理のサブルーチンを示す図、
図15は本発明の第2の実施の形態における第1のクリーニング・廃棄処理の動作を説明するためのタイムチャートである。
【0125】
すべての画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける累計廃棄カウント値σGが0以下であり、第2のクリーニング・廃棄条件が成立しない場合において、前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕以上であり、第3のクリーニング・廃棄条件が成立する場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、除電装置47をオフにし、転写電圧をオフにする(ステップS23-1)。
【0126】
続いて、クリーニング・廃棄処理部Pr2の帯電電圧制御処理部Pr11は、帯電電圧制御処理を行い(ステップS23-2)、標準帯電電圧Vcrを放電開始前電圧以下の帯電電圧Vc0、本実施の形態においては、0〔V〕に変更する。これにより、帯電ローラ22に付着した劣化トナーが、感光体ドラム21に付着させられて除去され、廃棄される。
【0127】
また、クリーニング・廃棄処理部Pr2の現像電圧制御処理部Pr12は、現像電圧制御処理を行い(ステップS23-3)、標準現像電圧Vdrを、トナーの極性と逆の極性の第1の現像電圧Vd1に変更する。
【0128】
したがって、帯電電圧が0〔V〕にされるので、感光体ドラム21の表面が帯電させられていない状態で現像ローラ23上のトナーが感光体ドラム21に移動するのが防止される。
【0129】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS23-1 クリーニング・廃棄処理部Pr2は除電装置47をオフにし、転写電圧をオフにする。
ステップS23-2 帯電電圧制御処理部Pr11は帯電電圧制御処理を行う。
ステップS23-3 現像電圧制御処理部Pr12は現像電圧制御処理を行い、リターンする。
【0130】
次に、第2のクリーニング・廃棄処理について説明する。
【0131】
図16は本発明の第2の実施の形態における第2のクリーニング・廃棄処理のサブルーチンを示す図、
図17は本発明の第2の実施の形態における第2のクリーニング・廃棄処理の動作を説明するためのタイムチャートである。
【0132】
前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕未満であり、第3のクリーニング・廃棄条件が成立しない場合、累計廃棄カウント値σGが正の値を有するすべての画像形成ユニットにおいて、感光体ドラム21が帯電させられ、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、
図17に示されるトナー廃棄用発光パターンPt1でLEDヘッドHdを駆動し(ステップS25-1)、印刷可能領域におけるすべてのLEDを同時に発光させる。なお、本実施の形態において、LEDを発光させるパルス幅は50〔%〕にされる。
【0133】
これにより、感光体ドラム21上にトナー廃棄用発光パターンPt1の-50~0〔V〕の静電潜像が形成され、現像電圧が標準現像電圧Vdr、例えば、-200〔V〕にされる。これにより、現像電圧と帯電電圧との電位差によって、現像ローラ23上の負の極性に帯電させられたトナーは、感光体ドラム21に付着させられ、クリーニングブレード26によって掻き取られ、廃棄される。
【0134】
この場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、すべての画像形成ユニット16Bk、16Y、16M、16Cにおける累計廃棄カウント値σGが0以下になるまで繰り返し、第2のクリーニング・廃棄処理を行う。
【0135】
なお、累計廃棄カウント値σGが0以下である画像形成ユニットにおいては、第2のクリーニング・廃棄処理が行われることはない。
【0136】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS25-1 クリーニング・廃棄処理部Pr2は累計廃棄カウント値σGが正の値を有するすべての画像形成ユニットにおいてトナー廃棄用発光パターンPt1でLEDヘッドHdを駆動し、リターンする。
【0137】
次に、第3のクリーニング・廃棄処理について説明する。
【0138】
図18は本発明の第2の実施の形態における第3のクリーニング・廃棄処理のサブルーチンを示す図、
図19は本発明の第2の実施の形態における環境値テーブルの例を示す図、
図20は本発明の第2の実施の形態における第3のクリーニング・廃棄処理の動作を説明するためのタイムチャートである。
【0139】
前回クリーニング・廃棄処理を行ってからの印刷枚数N〔枚〕が70〔枚〕以上であり、第3のクリーニング・廃棄条件が成立する場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2は、除電装置47をオフにし、転写電圧をオフにする(ステップS26-1)。
【0140】
次に、クリーニング・廃棄処理部Pr2の帯電電圧制御処理部Pr11は、帯電電圧制御処理を行い(ステップS26-2)、標準帯電電圧Vcrを放電開始前電圧以下の帯電電圧Vc0、本実施の形態においては、0〔V〕に変更する。
【0141】
これにより、クリーニング動作が行われ、帯電ローラ22に付着した劣化トナーが、感光体ドラム21に付着させられ、クリーニングブレード26によって掻き取られ、廃棄される。なお、劣化トナーと共に、帯電ローラ22に付着した外部添加剤も、感光体ドラム21に付着させられ、廃棄される。
【0142】
続いて、環境値判定処理部Pr14は、温度センサs1によって検出された温度及び湿度センサs2によって検出された湿度を読み込み、ROM53の環境値テーブルを参照し、温度及び湿度に対応する環境値を読み出し、環境値が5以下であるかどうかを判断する(ステップS26-3)。
【0143】
環境値が5以下である場合、クリーニング・廃棄処理部Pr2の現像電圧制御処理部Pr12は、現像電圧制御処理を行い、標準現像電圧Vdrを、トナーの極性と逆の極性の第1の現像電圧Vd1に変更する(ステップS26-4)。また、環境値が5より大きい場合、現像電圧制御処理部Pr12は、標準現像電圧Vdrを、トナーの極性と同じ極性の第2の現像電圧Vd2に変更する(ステップS26-5)。これにより、トナー廃棄動作が行われる。
【0144】
例えば、標準現像電圧Vdrが-200〔V〕~-100〔V〕である場合、第1の現像電圧Vd1は、感光体ドラム21の表面電位Viとの差が通常の印刷時より大きくなるように、+300〔V〕以上にされ、第2の現像電圧Vd2は、感光体ドラム21の表面電位Viとの絶対値の差が通常の印刷時より大きくなるように、-400〔V〕~-300〔V〕にされる。
【0145】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS26-1 クリーニング・廃棄処理部Pr2は除電装置47をオフにし、転写電圧をオフにする。
ステップS26-2 帯電電圧制御処理部Pr11は帯電電圧制御処理を行う。
ステップS26-3 環境値判定処理部Pr14は環境値が5以下であるかどうかを判断する。環境値が5以下である場合はステップS26-4に進み、環境値が5より大きい場合はステップS26-5に進む。
ステップS26-4 現像電圧制御処理部Pr12は標準現像電圧Vdrを第1の現像電圧Vd1に変更し、リターンする。
ステップS26-5 現像電圧制御処理部Pr12は標準現像電圧Vdrを第2の現像電圧Vd2に変更し、リターンする。
【0146】
図19から分かるように、温度及び湿度が高いほど環境値は小さくなり、環境値が5以下になると、標準現像電圧Vdrが第1の現像電圧Vd1に変更されるので、現像ローラ23上の、十分に帯電させられず、帯電の低い劣化トナーTn1(
図7)が感光体ドラム21に付着させられる。したがって、帯電の低い劣化トナーTn1が感光体ドラム21上の非露光部に付着して地かぶりが生じ、画像品位が低下するのを防止することができる。
【0147】
また、温度及び湿度が低いほど環境値は大きくなり、環境値が5より大きくなると、標準現像電圧Vdrが第2の現像電圧Vd2に変更されるので、過剰に帯電させられ、帯電の高い劣化トナーTn2(
図8)が感光体ドラム21に付着させられる。したがって、帯電の高い劣化トナーTn2が感光体ドラム21上の非露光部に付着して画像に汚れが生じ、画像品位が低下するのを防止することができる。
【0148】
このように、本実施の形態においては、プリンタ10の環境情報である温度及び湿度に応じて現像電圧が第1、第2の現像電圧Vd1、Vd2に変更されるので、帯電の低い劣化トナー及び帯電の高い劣化トナーを選択的に適正に廃棄することができる。
【0149】
前記各実施の形態においては、プリンタ10について説明したが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0150】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0151】
10 プリンタ
21 感光体ドラム
22 帯電ローラ
23 現像ローラ
Pr2 クリーニング・廃棄処理部
Vdr 標準現像電圧
Vd1、Vd2 第1、第2の現像電圧