(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166740
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】DNAサンプリング用の試料調整方法及びそれに適した容器
(51)【国際特許分類】
C12M 1/28 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
C12M1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072145
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 敬太
(72)【発明者】
【氏名】屋祢下 亮
(72)【発明者】
【氏名】高畑 陽
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029BB20
4B029GB05
(57)【要約】
【課題】DNAサンプリングにおいて、採集から破砕までの手間を省力化できる技術を開発すること。
【解決手段】乾燥剤兼破砕材が入った容器に採集した生物組織の採取試料を保管し、乾燥させた後に、当該容器を用いて乾燥させた採取試料を破砕するDNAサンプリング用の試料調整方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥剤兼破砕材が入った容器に採集した生物組織の採取試料を保管し、乾燥させた後に、当該容器を用いて乾燥させた採取試料を破砕することを特徴とするDNAサンプリング用の試料調整方法。
【請求項2】
粒状の乾燥剤兼破砕材入りの容器を用意して生物組織の採取試料を該容器に収容し、
該容器に採取試料データを記録し、
収納した採取試料を乾燥させて保存し、
乾燥した採取試料を収納した容器を用いて、細胞破砕装置で細胞破砕することを特徴とする請求項1記載のDNAサンプリング用の試料調整方法。
【請求項3】
乾燥剤兼破砕材は、シリカゲル粒状物であることを特徴とする請求項1又は2記載のDNAサンプリング用の試料調整方法。
【請求項4】
採取試料が、野生生物、栽培生物あるいは飼育生物であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のDNAサンプリング用の試料調整方法。
【請求項5】
シリカゲル粒状物が収納されている生物組織の採取試料用の保管、乾燥、破砕用容器。
【請求項6】
採取した生物組織の試料を請求項5記載の容器に保管したDNA分析用の試料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
DNA抽出技術に関する。特に、野外から試料を採集する際に適用できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(実用新案登録第3211475号公報)には、開口部、底壁部及び円筒状の側壁部を備えるチューブ本体と前記開口部を開閉可能に塞ぐ蓋部材とを備え、前記チューブ本体の前記底壁部及び前記側壁部及び前記蓋部材の各内面で囲まれて形成され、検体である組織、遺伝物質を溶出させる液体及び前記組織を破壊する硬質の球体を封入可能な破砕室を形成する組織破砕チューブ(
図7参照)に関する発明が開示されている。
【0003】
特許文献2(特開2018-148847号公報)には、搬送中及び保管中に雑菌が繁殖するのを抑制でき、しかも、搬送中にDNA検体が損なわれるのを防止できるDNA検体採取具として、容器と、容器の内部空間を密閉する蓋部と、蓋部に取り付けられており、先端に採取部を有している、棒体と、内部空間の先端部に充填されている乾燥剤と、を備えており、乾燥剤が、覆い部材で基端側から塞がれることによって、内部空間の先端部に固定されており、覆い部材は、先端側の紙片と基端側のパッキンとからなる2層構造を有しており、パッキンが紙片の角部を容器の内面に押し付けることによって、容器に固定されており、パッキンは、通気孔を有しているDNA検体採取具が提案されている。
特許文献3(特表2020-505048号公報)には、ビーズ破砕用システムは、試料チューブ、ビーズ、及び乾燥したブロッキング剤を含み、核酸を含む細胞から核酸を抽出するためのビーズ破砕用システムに関する発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3211475号公報
【特許文献2】特開2018-148847号公報
【特許文献3】特表2020-505048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
野外で採集した植物などの試料を、保存して乾燥させて、細胞の破砕時はビーズ式細胞破砕装置に用いる容器内に生物組織を移し、ジルコニア製のビーズを入れて細胞の破砕を行うことで、サンプルの汚染(コンタミネーション)が発生するリスクがある。細胞破砕の際に密閉容器から容器への生物組織の移し替えやラベリングする必要があり、取り違えや誤認するリスクがある。
本発明は、採集から破砕までの手間を省力化できる技術を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.乾燥剤兼破砕材が入った容器に採集した生物組織の採取試料を保管し、乾燥させた後に、当該容器を用いて乾燥させた採取試料を破砕することを特徴とするDNAサンプリング用の試料調整方法。
2.粒状の乾燥剤兼破砕材入りの容器を用意して生物組織の採取試料を該容器に収容し、
該容器に採取試料データを記録し、
収納した採取試料を乾燥させて保存し、
乾燥した採取試料を収納した容器を用いて、細胞破砕装置で細胞破砕することを特徴とする1.記載のDNAサンプリング用の試料調整方法。
3.乾燥剤兼破砕材は、シリカゲル粒状物であることを特徴とする1.又は2.記載のDNAサンプリング用の試料調整方法。
4.採取試料が、野生生物、栽培生物あるいは飼育生物であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載のDNAサンプリング用の試料調整方法。
5.シリカゲル粒状物が収納されている生物組織の採取試料用の保管、乾燥、破砕用容器。
6.採取した生物組織の試料を5.記載の容器に保管したDNA分析用の試料。
【発明の効果】
【0007】
1.試料を採集、乾燥、破砕を同一容器で行うことができるので、迅速、簡便且つ安価にDNAを抽出することができるようになる。試料としては、糸状菌、担子菌、植物などの細胞壁を有する生物組織に適している。
採集した試料を入れ替える必要も、ラベリングや記録を何度も行う必要がないので、手間や誤記などが発生せず、DNAの分析するためのサンプリングを一貫して行うことができる。
2.細胞破砕の際に密閉容器から容器への生物組織の移し替えや新たなラベリングが不要であり、作業時間が短縮できる。
容器内にシリカゲル等の粒状の乾燥剤をあらかじめ入れて破砕まで蓋を開封する必要がないため、直ちにDNA抽出ができない場合でも容器内で生物組織を安定して乾燥保存することができる。
破砕工程でサンプルの移し替えを行わないことで、DNAを用いた実験で最も注意が必要なサンプルの汚染(コンタミネーション)のリスクを低減できる。なお、シリカゲル粒子と他のビーズを補助破砕材として入れておくことも可能であり、破砕工程で破砕用のビーズを追加することも可能である。
3.乾燥に用いた粒状の乾燥剤を破砕に用いるため、従来使用していたステンレスビーズやジルコニアビーズ等は不要であり、材料費を削減できる。
4.本発明は、地域ごとの品種の分布調査や栽培品種の調査に適している。造成地や崩壊地の緑化などにおいて、国内でも他地域からの外来種を用いることを防止して、その土地の在来種を用いることが推奨されている。在来種を特定すること、造園業者が保有する緑化資材の特定などを行う需要に適している。また、種苗法において、登録品種と侵害品種の同定などに、求められているDNA分析にも適している。
5.初期の緑化材料の確認用あるいは、登録品種の基礎試料として、保管することができる。
特に、採取と保管を一つの容器でできるので、封止した容器は同一性を担保することができ、登録品種の同定材料として適している。なお、栽培品種は、世代交代を繰り返すと変異する可能性があり、登録時の植物体との同一性が種苗法の侵害係争では問題になることがあり、DNAによる対比が有効な解決手段として活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】DNAサンプリング用の試料調整方法の工程例を示す図。
【
図7】特許文献1に記載された従来の破砕チューブの例を示す図。図示の符号は、特許文献1のものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、DNA抽出等を目的として糸状菌、担子菌、植物などの細胞壁を有する生物組織を保存、破砕する際に、粒状の乾燥剤を用いて、生物組織の乾燥保存とそれに続く破砕を行う、細胞の乾燥破砕方法に関する発明である。本発明は、自然界における種属や品種の分布調査や田畑で栽培されている品種の同定などに必要な試料の採取、分析用に適している。
本発明は、乾燥剤兼破砕材が入った容器に採集した生物組織の採取試料を保管し、乾燥させた後に、当該容器を用いて乾燥させた採取試料を破砕するDNAサンプリング用の試料調整方法である。そして、この方法に使用するシリカゲル粒状物が収納されている生物組織の採取試料用の保管、乾燥、破砕用容器である。
本発明は、破砕材として使用できる乾燥剤を開発して、屋外で採集したサンプルの乾燥保存、それに続く一連の破砕工程を同一の容器で行うことができるため、迅速、簡便に多数の検体からDNAを抽出することができる。そして、試料に関するデータの写し替えなどの管理も一回で済ませることができ、誤記や取り違えなどのリスクも小さくなって、省力化とともにデータの信頼性も向上する。
【0010】
DNAを試料からサンプリングする通常の説明をする。
DNAは比較的安定な性質を持つが、死細胞内においては生物組織に内在するDNA分解酵素(ヌクレアーゼ)によって分解、断片化が急速に進行するため、良質なDNAを抽出するためには、生きた生物組織を用いるか、DNA抽出までの間、DNA分解酵素の働きを抑制して保存する必要がある。緑化植物など屋外からDNAを採取する場合は、直ちにDNA抽出作業を行うことは困難であり、通常はDNA分解酵素の働きを抑えて生物組織を保存する。DNA分解酵素の働きを抑えて保存する方法としては、乾燥、凍結、エタノール中での保存等がある。屋外のサンプルを用いる場合は凍結保存が困難であるため、主に乾燥、エタノール中での保存方法が用いられる。植物は乾燥保存、動物はエタノール保存を行うことが一般的である。
試験室に乾燥状態で持ち帰った細胞試料からDNAを抽出するための次の工程として、乾燥保存した生物組織の破砕を行う。細胞内のDNAはタンパク質(ヒストン)と結合した状態で、核膜、細胞膜、に包まれて存在している。加えて、植物や藻類などでは細胞膜の外側に、セルロース、リグニンを主とする細胞壁が存在しているため、DNAの抽出時にはまず、生物組織を破砕し、細胞壁を物理的に破壊する必要がある。生物組織の破砕には液体窒素と乳鉢を用いる方法がある。大量のサンプルを処理できるビーズ式細胞破砕装置での細胞破砕方法もある。ビーズ式細胞破砕装置での細胞破砕は、生物組織とビーズが入った容器を高速で振とうし、生物組織とビーズが衝突することにより生物細胞を破砕する方法である。
【0011】
図6に従来の工程を示している。第1工程として、山などのフィールド調査にて、葉、茎、根などの素材を採集して、採集袋などの容器に収納し、採取地、日時、採取部位、種属などの記録を同封し、野帳にも記録する。第2工程として、採集した素材の全部または一部を密閉容器に移して、乾燥するとともに保管する。第3工程として、保管してある素材からDNA分析に必要な部位を選別して破砕容器に入れて、細胞壁などを破砕して、PCRなどを利用してDNA抽出、分析用のサンプルを調整する。これらの一連の工程では、記録してデータの一貫性を保つことが重要である。同一種内の変異の調査や栽培品種の調査などでは、葉などの外見では区別できないような場合も多く、さらに、破砕したものは、品種間の区別も難しくなるので、正確な分析を行うためには記録が重要である。大量の試料の取り扱いには、データの記録に注意と時間を要している。
本発明は、これらのDNAをサンプリングする事前の準備処理として必要な、試料の採取から破砕までの一連の処理を一つの容器で済ませることができることになり、記録も一回で済むことになる。
【0012】
DNAサンプリング用の試料調整方法の工程例を
図1に示す。
本工程は、生物組織からDNA(核酸)を抽出するため、生物細胞の採取、保管、乾燥、破砕までの工程を一つの容器と一種類の粒状の乾燥剤を用い、一連の工程間で容器を開封することなく、粒状の乾燥剤を破砕材として破砕を行う方法である。
【0013】
第1工程では、野外や耕作地などの屋外で採集した試料を、その場で乾燥剤兼破砕材を入れた容器に収納し、容器にデータを表示する。
容器を、予め粒状の乾燥剤兼破砕材を入れて密栓した状態で採取地点に持ち込む。この際、試料のトレーサビリティが確保されるよう、バーコードや二次元バーコードを容器に貼付することで、試料の取り違えのリスクが低減され、情報の管理も容易になる。
試料採取地点で生物組織を容器に入る大きさに裁断し、乾燥剤兼破砕材の入った容器に生物組織を入れて密栓する。容器の側面、蓋上面等の視認できる場所には試料を識別するための記録シートを添付する。記録シートには採集日、採取場所、種名、試料番号等の識別情報を記録する。
なお、試料の量にもよるが概ね6時間程度で乾燥し、DNA分解酵素の働きが抑制される。
収納された試料は、容器内で乾燥して、破砕されるまで保管されることとなる。暗所で数年以上の常温保存が可能である。
【0014】
第2工程は、試料を収納した容器を用いて破砕する工程である。
乾燥・保存した容器をそのままビーズ式細胞破砕装置で2000~5500rpmで、90~120秒間ほど振とう破砕する。実用化されている振とう破砕機を利用することができる。本発明では、乾燥剤の機能を有するシリカゲル粒子を破砕用のビーズとして用いる。本発明でも、補助破砕ビーズとして、従来のビーズを混在させることができる。
なお、破砕用のビーズとして、従来は、鉱物ビーズ、セラミックビーズ、ガラスビーズ、金属ビーズ、ジルコニウムビーズ、ジルコンビーズ、ジルコニアビーズなどが用いられている。
【0015】
第3工程は、DNA分析工程であるが、本発明は第2工程までである。PCRを適用し、電気泳動などを用いて、DNAを分析し、解析する手法は従来法を適用する。
例えば、CTAB法、ガラス吸着法などでDNA抽出を行う。一例としてCTAB法を適用した場合を簡単に説明すると、(1)CTAB溶液に破砕試料を加え細胞を溶解し、(2)クロロホルム・イソアミルアルコールによる脂質の溶解とタンパク変性を行い、(3)DNAが含まれる上層を回収(下層には、有機層、シリカゲル層が存在するので分離される)、(4)エタノール沈殿処理を行ってDNAが回収される。
【0016】
次に、本発明の構成要素について説明する。
<生物組織試料>
生物組織としては、糸状菌、担子菌、植物などの細胞壁を有する生物組織に適している。DNAサンプリング用に調整するために、細胞壁を破砕する必要がある対象に適している。特に、植物体が適しており、更に植物体の中でも葉が適している。
野外フィールで採集した試料や品種同定のための栽培品種用の試料として適している。また、長期の保存ができるので、基礎素材として保存試料としても適しており、必要な時に、DNAを分析して、対比することができる。例えば、登録品種の同定及び被疑侵害植物との対比に活用できる。
【0017】
<容器>
容器は、乾燥状態を維持できる密閉条件を保てる容器である。既存のビーズ式細胞破砕装置を用いる場合は、ビーズ式細胞破砕装置に使用することができる容器とする。
開口部、底壁部及び円筒状の側壁部を備えるチューブであり、粒状の乾燥剤を封入できるパッキンを有し、破砕作業の際に容器が破損しない耐性を有し、滅菌ができる容器である。
容器1の例を
図2に例示する。容器本体11と密封できるようにパッキン13を設けた蓋12から構成され、容器本体11には、バーコード42などのIDコードを付しておくとよい。容器本体11の内部には、粒子状の乾燥剤兼破砕材3を入れて準備しておく。なお、ジルコニウムビーズなどを補助破砕ビーズとして混入しておくこともできる。
試料を長期保存する場合は、密閉性が長期間得られることができるパッキン素材と蓋の構造を採用する。
【0018】
<乾燥剤兼破砕材>
粒状の乾燥剤は一定の強度と吸水効果を持つ球状の部材である。例えば、シリカゲル、デシクレイ、合成ゼオライトなどがある。粒状の乾燥剤としては、熱滅菌処理することが適している。例えば、160~200℃、で30分から2時間加熱する事により、微生物やDNA分解酵素などの酵素や蛋白質を熱変性させて乾熱滅菌処理する。
シリカゲルは、水分を含め、ほとんどの液体・気体を乾燥させることができ、二酸化ケイ素が原料で透明のビーズ状である。吸湿しても溶けたりふくらんだりすることない。原料の二酸化ケイ素は安全性の高い物質であり、食品の乾燥剤としてもよく使用されている。吸湿することで変色する塩化コバルト等で着色した、インジケーターの機能を持つシリカゲルも市販されているが、DNA抽出時のバッファーを着色してサンプルの視認性が低下してしまうため、乾燥剤兼破砕材は着色剤を含まない無垢のシリカゲルが適している。
乾燥効果と破砕効果の両者を得られる粒状のシリカゲルの条件としては直径が2.0mm~10.0mmであり、生物組織に対して0.5~60倍量が適している。
デシクレイは、ベントナイトなど天然の粘土鉱物を原料とした乾燥剤である。外気の湿度に吸湿性能があまり変化せず、大きさや形も変化しない。耐薬性にも優れ、湿気だけでなく臭い成分も吸着でき、シリカゲルと比べて低湿度での吸湿性が高い。
合成ゼオライトは、シート状、タブレット状の乾燥剤である。
【0019】
<破砕装置>
破砕装置としては、実用化されている回転振とう式の破砕装置を利用することができる。例えば、特開2000-023660号公報などに開示されている例がある。そのほか、トミー工業社製のビーズ式細胞破砕装置などがある。
【0020】
<採取、封入操作について>
乾燥剤兼破砕材入りに容器を利用して試料を採取する例を
図3に示す。
フィールドの試料採取地点で例えば、ヤブツバキの葉を採集して、容器1に入る大きさに裁断して採取試料2とし、乾燥剤兼破砕材3が入った容器本体11に採取試料2を入れてすぐに蓋12を締める。蓋12はパッキン13を備えているので、密栓される。容器本体11の側面、蓋12の上面等の視認できる場所にはサンプルを識別するための記録シート41を添付する。記録シートには採集日、採取場所、種名、サンプル番号等の識別情報を記録する。
容器1には、バーコードが付されており、容器個別のIDで識別され、記録シートの記録内容と紐づけされるので、試料の管理は一回で済むこととなる。
【0021】
<試験例>
シリカゲル粒子を用いて、破砕試験を行い、DNA抽出効率を確認する試験を行った。
比較的固いクチクラを持つヤブランの葉を使用し、φ1.5mm、φ2.0mm、φ4.0mmのシリカゲル粒子を用いて葉を破砕した。ビーズ式細胞破砕装置(トミー工業社製MS-100R)を用いて回転数5.500rpmで破砕して、DNA抽出効率試験を行った。
図4にシリカゲル粒子の例を示す。
比較用の破砕ビーズとしてΦ2.0mmのジルコニア粒子を用いた。
DNA抽出量試験の結果を
図5に示す。
いずれの大きさのシリカゲル粒子でもDNAを抽出することができた。φ2.0mm、φ4.0mmのシリカゲル粒子では、Φ2.0mmのジルコニア粒子と同等以上のDNAを抽出することができることを確認した。
【符号の説明】
【0022】
1 容器
11 容器本体
12 蓋
13 パッキン
2 採取試料
3 乾燥剤兼破砕材
31 シリカゲル粒状物
4 採取試料データ
41 記録シート
42 バーコード